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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022118985
(43)【公開日】2022-08-16
(54)【発明の名称】納骨堂参拝システム
(51)【国際特許分類】
   E04H 13/00 20060101AFI20220808BHJP
【FI】
E04H13/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021015876
(22)【出願日】2021-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】594147512
【氏名又は名称】株式会社エムエスシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】寺村 公陽
(57)【要約】
【課題】煩雑な行為を必要とせずに納骨堂を参拝することが可能な納骨堂参拝システムを提供する。
【解決手段】納骨堂の収蔵スペースに収蔵された複数の遺骨の各々を、前記納骨堂の所定の位置に搬送可能な搬送装置と、参拝者の識別情報を書き込み可能なRFIDタグと、前記RFIDタグから、前記参拝者の識別情報を読み取り可能なRFIDリーダーと、前記参拝者の識別情報と、前記識別情報に紐づけられた遺骨情報とを記憶するための記憶部と、前記RFIDリーダーが読み取った識別情報に基づいて、前記参拝者が参拝に訪れたか、又は参拝を終了したかを判断する判断部と、前記判断部による判断に応じて、前記搬送装置を制御する搬送制御部と、を有する制御端末と、を備え、前記判断部が、前記参拝者が参拝に訪れたと判断した場合に、前記搬送制御部は、前記参拝者の識別情報に紐づけられた遺骨情報に基づいて、前記収蔵された複数の遺骨から遺骨を特定し、前記搬送装置に、前記遺骨を前記所定の位置に搬送させることを特徴とする納骨堂参拝システム。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
納骨堂の収蔵スペースに収蔵された複数の遺骨の各々を、前記納骨堂の所定の位置に搬送可能な搬送装置と、
参拝者の識別情報を書き込み可能なRFIDタグと、
前記RFIDタグから、前記参拝者の識別情報を読み取り可能なRFIDリーダーと、
前記参拝者の識別情報と、前記識別情報に紐づけられた遺骨情報とを記憶するための記憶部と、前記RFIDリーダーが読み取った識別情報に基づいて、前記参拝者が参拝に訪れたか、又は参拝を終了したかを判断する判断部と、前記判断部による判断に応じて、前記搬送装置を制御する搬送制御部と、を有する制御端末と、
を備え、
前記判断部が、前記参拝者が参拝に訪れたと判断した場合に、
前記搬送制御部は、前記参拝者の識別情報に紐づけられた遺骨情報に基づいて、前記収蔵された複数の遺骨から遺骨を特定し、前記搬送装置に、前記遺骨を前記所定の位置に搬送させることを特徴とする
納骨堂参拝システム。
【請求項2】
前記所定の位置に前記遺骨がある状態で、
前記判断部が、前記参拝者が参拝を終了したと判断した場合に、
前記搬送制御部は、前記搬送装置に、前記遺骨を前記収蔵スペースへ返却させることを特徴とすることを特徴とする
請求項1に記載の納骨堂参拝システム。
【請求項3】
前記搬送制御部は、前記判断部が、前記参拝者が参拝を終了したと判断してから所定の時間が経過した後に、前記搬送装置に、前記遺骨を前記収蔵スペースへ返却させることを特徴とすることを特徴とする
請求項2に記載の納骨堂参拝システム。
【請求項4】
前記RFIDタグは、複数であり、
前記所定の位置に第1の参拝者の識別情報に紐づけられた遺骨情報に基づく第1の遺骨がある期間に、
前記判断部が、第2の参拝者が参拝に訪れたと判断した場合に、
前記搬送制御部は、前記搬送装置の制御を停止することを特徴とする
請求項1~3のいずれか一に記載の納骨堂参拝システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、納骨堂参拝システムに関する。
【背景技術】
【0002】
納骨堂にモニターを設置し、当該モニターに参拝画面を表示させることにより参拝をすることが可能な納骨堂向けの参拝システムが知られている。例えば非特許文献1には、参拝画面に、参拝者毎のコンテンツを表示させることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献1】エスアイマネジメント株式会社,“現代のお墓参りの新しいかたち”,[online],[令和2年9月18日検索],インターネット<URL:https://www.si-m.com/digital-sanpai/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、非特許文献1に開示された参拝システムでは、参拝をするために、参拝者は例えば受付用のモニターにカードリーダーをかざすといった煩雑な行為が必要になる。
【0005】
本発明の目的は、煩雑な行為を必要とせずに納骨堂を参拝することが可能な納骨堂参拝システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための一の発明は、納骨堂の収蔵スペースに収蔵された複数の遺骨の各々を、前記納骨堂の所定の位置に搬送可能な搬送装置と、参拝者の識別情報を書き込み可能なRFIDタグと、前記RFIDタグから、前記参拝者の識別情報を読み取り可能なRFIDリーダーと、前記参拝者の識別情報と、前記識別情報に紐づけられた遺骨情報とを記憶するための記憶部と、前記RFIDリーダーが読み取った識別情報に基づいて、前記参拝者が参拝に訪れたか、又は参拝を終了したかを判断する判断部と、前記判断部による判断に応じて、前記搬送装置を制御する搬送制御部と、を有する制御端末と、を備え、前記判断部が、前記参拝者が参拝に訪れたと判断した場合に、前記搬送制御部は、前記参拝者の識別情報に紐づけられた遺骨情報に基づいて、前記収蔵された複数の遺骨から遺骨を特定し、前記搬送装置に、前記遺骨を前記所定の位置に搬送させることを特徴とする納骨堂参拝システムである。本発明の他の特徴については、本明細書の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、煩雑な行為を必要とせずに納骨堂を参拝することが可能な納骨堂参拝システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】納骨堂参拝システム1の一例を示す図である。
図2】納骨堂に設置された搬送装置と、制御端末と、の一例を示す図である。
図3】搬送制御部の制御の一例を説明する図である。
図4】搬送制御部の制御の一例を説明する図である。
図5】搬送制御部の制御の一例を説明する図である。
図6】搬送制御部の制御の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
==実施形態==
図1は、本実施形態の納骨堂参拝システム1の一例を示すブロック図である。図2は、本実施形態の納骨堂2の一例を示す図である。
【0010】
納骨堂2には、収蔵スペース20と、参拝スペース21と、入退室ゲート22とが設けられている。収蔵スペース20は、納骨堂参拝システム1の利用者(以下、「参拝者」と称する)が所有する遺骨Rを、収蔵スペース20の所定の位置に収蔵する。参拝スペース21は、参拝者が、参拝するためのスペースである。参拝スペース21は、複数設けられてもよく、図2では、複数の参拝スペース21のうち一の参拝スペース21aを示している。また、入退室ゲート22は、複数の参拝スペース21毎に設けられた入退室ゲート22のうち参拝スペース21aに設けられた入退室ゲート22aを示している
【0011】
入退室ゲート22aは、納骨堂2内の、参拝者が参拝スペース21aへ移動するための通路上のいずれかの位置に設置されている。本実施形態の入退室ゲート22aは、天井部220aを有している。天井部220aには、2つのRFIDリーダー12(第1のRFIDリーダー12a及び第2のRFIDリーダー12b)が設置されている(RFIDリーダー12の詳細は後述)。
【0012】
参拝者は、参拝に訪れ、納骨堂2の外部から参拝スペース21aへ移動する際に、入退室ゲート22aを通過する(この場合、「外から内へ通過する」と称する)。また、参拝者は、参拝を終了して、参拝スペース21aから納骨堂2の外部へ移動する際に、入退室ゲート22aを再度通過する(この場合、「内から外へ通過する」と称する)。なお、以下では、「外から内へ通過する」と、「内から外へ通過する」とを区別しない場合は、単に「通過する」と称する。
【0013】
納骨堂参拝システム1は、搬送装置10と、RFIDタグ11と、RFIDリーダー12と、制御端末13と、を備えている(図1)。
【0014】
搬送装置10は、納骨堂2の収蔵スペース20に収蔵された複数の遺骨Rの各々を、納骨堂2の所定の位置に搬送する。搬送装置10の構成は特に限定されないが、たとえば、収蔵スペース20の所定の位置に収蔵された遺骨Rを出し入れするためのロボットアーム、遺骨Rを水平方向に搬送するためのコンベア、遺骨Rを上下方向に搬送するための昇降装置を含む。搬送装置10は、後述する搬送制御部132によって制御される。
【0015】
RFIDタグ11は、参拝者が所有するICチップである。納骨堂参拝システム1の管理者(以下、「管理者」と称する)は、参拝者が納骨堂参拝システム1の利用を開始する際に、RFIDタグ11を参拝者に配布する。このとき、管理者は、RFIDタグ11を携帯するための専用の袋を当該参拝者に配布してもよい。専用の袋とは、例えば、お守り袋の意匠を有する袋とすることができる。納骨堂参拝システム1におけるRFIDタグ11の数は、少なくとも一つである。本実施形態では、RFIDタグ11の数は、複数である。つまり、複数の参拝者の各々がRFIDタグ11を所有する。
【0016】
複数のRFIDタグ11の各々は、所有者である参拝者の識別情報を書き込み可能である。なお、以下では、「参拝者の識別情報」と、「参拝者が所有するRFIDタグ11の識別情報」とは同義であるとする。
【0017】
また、以下では、複数のRFIDタグ11は、少なくとも、参拝者Aが所有する第1のRFIDタグ11aと、参拝者Bが所有する第2のRFIDタグ11bとを含むとして説明する。
【0018】
この場合、第1のRFIDタグ11aには、第1のRFIDタグ11aの所有者である参拝者Aの識別情報が書き込まれている。同様に、第2のRFIDタグ11bには、参拝者Bの識別情報が書き込まれている。
【0019】
RFIDリーダー12は、RFIDタグ11との間で無線通信を行い、RFIDタグ11に書き込まれた情報を読み出す装置である。つまり、本実施形態では、RFIDリーダー12は、RFIDタグ11に書き込まれた参拝者の識別情報を読み出す。
【0020】
RFIDリーダー12は、入退室ゲート22aに設置されている。RFIDリーダー12は、参拝者が入退室ゲート22aを通過する際に、RFIDタグ11に書き込まれた参拝者の識別情報を読み出す。RFIDリーダー12は、読み取った識別情報を、制御装置の判断部131に出力する(後述)。
【0021】
本実施形態では、入退室ゲート22aの天井部220aに2つのRFIDリーダー12(第1のRFIDリーダー12a及び第2のRFIDリーダー12b)が設置されている。第1のRFIDリーダー12aは、第2のRFIDリーダー12bよりも参拝スペース21a側に設置されている。
【0022】
制御端末13は、本実施形態では、参拝スペース21aに設けられている。制御端末13は、記憶部130と、判断部131と、搬送制御部132と、を有する。
【0023】
記憶部130は、RFIDタグ11の識別情報と、識別情報に紐づけられた遺骨情報とを記憶する。遺骨情報とは、収蔵スペース20に収蔵された複数の遺骨Rの各々の識別情報である。管理者は、参拝者が納骨堂参拝システム1の利用を開始する際に、参拝者にRFIDタグ11を配布するとともに、当該参拝者が所有する遺骨に遺骨情報を付与する。そして、管理者は、RFIDタグ11の識別情報と、遺骨情報を、互いに紐づけて記憶部130に記憶させる。このとき、管理者は、RFIDタグ11の識別情報と、遺骨情報を、無線通信、記憶媒体等を介して記憶部130に記憶させる。参拝者の参拝時に、当該参拝者の識別情報に紐付けられた遺骨情報に基づく遺骨Rが、搬送装置10により収蔵スペース20から参拝スペース21aに搬送される(後述)。
【0024】
本実施形態では、記憶部130には、少なくとも、第1のRFIDタグ11aの所有者である参拝者Aの識別情報と、第1の遺骨情報と、第2のRFIDタグ11bの所有者である参拝者Bの識別情報と、第2の遺骨情報と、が記憶されている。ここで、参拝者Aの識別情報と、第1の遺骨情報と、は互いに紐づけられている。同様に、参拝者Bの識別情報と、第2の遺骨情報と、は互いに紐づけられている。
【0025】
判断部131は、RFIDリーダー12が読み取った識別情報に基づいて、参拝者が参拝に訪れたか、又は参拝を終了したかを判断する。
【0026】
先ず、判断部131が、「参拝者が参拝に訪れた」と判断する場合について説明する。このような場合は、参拝者が入退室ゲート22aを外から内へ通過する場合である。この場合、最初に第2のRFIDリーダー12bがRFIDタグ11から参拝者の識別情報を読み取り、参拝者の識別情報を判断部131に出力する。その後、第1のRFIDリーダー12aがRFIDタグ11から参拝者の識別情報を読み取り、参拝者の識別情報を判断部131に出力する。このように、第2のRFIDリーダー12bが、第1のRFIDリーダー12aよりも早く、参拝者の識別情報を判断部131に出力した場合、判断部131は、「参拝者が参拝に訪れた」と判断する。
【0027】
次いで、判断部131が、「参拝者が参拝を終了した」と判断する場合について説明する。このような場合は、参拝者が入退室ゲート22aを内から外へ通過する場合である。この場合、最初に第1のRFIDリーダー12aがRFIDタグ11から参拝者の識別情報を読み取り、参拝者の識別情報を判断部131に出力する。その後、第2のRFIDリーダー12bがRFIDタグ11から参拝者の識別情報を読み取り、参拝者の識別情報を判断部131に出力する。このように、第1のRFIDリーダー12aが、第2のRFIDリーダー12bよりも早く、参拝者の識別情報を判断部131に出力した場合、判断部131は、「参拝者が参拝を終了した」と判断する。
【0028】
なお、判断部131が、参拝者が参拝に訪れたか、又は参拝を終了したかを判断する手段はこの例に限られない。例えば、入退室ゲート22aの代わりに、入室ゲートと、退室ゲートとを設け、各々のゲートに1つのRFIDリーダー12を設置してもよい(図示せず)。そして、参拝者が入室ゲートを通過して、入室ゲートのRFIDリーダー12が参拝者の識別情報を判断部131に出力した場合に、参拝者が参拝に訪れたと判断してもよい。一方、参拝者が退室ゲートを通過して、退室ゲートのRFIDリーダー12が参拝者の識別情報を判断部131に出力した場合に、参拝者が参拝を終了したと判断してもよい。
【0029】
搬送制御部132は、判断部131による判断に応じて、搬送装置10を制御する。具体的には、搬送制御部132は、以下のような制御を実行する。
【0030】
判断部131が、参拝者が参拝に訪れたと判断した場合、搬送制御部132は、RFIDタグ11の識別情報に紐づけられた遺骨情報に基づいて、収蔵された複数の遺骨Rから遺骨を特定し、搬送装置10に、遺骨Rを所定の位置に搬送させる。
【0031】
また、所定の位置に遺骨Rがある状態で、判断部131が、参拝者が参拝を終了したと判断した場合、搬送制御部132は、搬送装置10に、遺骨Rを収蔵スペース20へ返却させる。
【0032】
なお、このとき、搬送制御部132が、搬送装置10に遺骨Rを収蔵スペース20へ返却させるのは、判断部131が、参拝者が参拝を終了したと判断してから所定の時間が経過した場合としてもよい。このようにすることによって、参拝者が参拝中に、例えば納骨堂2内の化粧室(図示せず)等を利用するために入退室ゲート22aを通過した場合であっても、所定の時間内は、遺骨Rは収蔵スペース20へ返却されることがない。これによって、参拝者が、参拝スペース21aから一時的に退室し、再度入室した場合に、遺骨Rは返却されずに参拝スペース21aの所定の位置に置かれた状態を維持する。
【0033】
また、所定の位置に第1の参拝者の識別情報に紐づけられた遺骨情報に基づく第1の遺骨R1がある期間に、判断部131は、第2の参拝者が参拝に訪れたと判断した場合、搬送制御部132は、搬送装置10の制御を停止する。
【0034】
ここで、図3図6を用いて、搬送制御部132による搬送装置10の制御について、参拝者A及び参拝者Bが独立で参拝スペース21aに参拝に訪れる場合を例として説明する。図3図6では、参拝スペース21aの範囲を破線で示している。具体的には、(1)いずれの参拝者も参拝スペース21aにいないとき、(2)参拝者Aのみが参拝スペース21aに訪れたとき、(3)参拝者Aの参拝中に、参拝者Bが参拝スペース21aに訪れたとき、(4)参拝者Aが参拝を終了して参拝スペース21aを離れるとき、(5)参拝者Bのみが参拝スペース21aに参拝に訪れたとき、を想定し、この順で説明する。
【0035】
(1)いずれの参拝者も参拝スペース21aにいないとき
図3は、いずれの参拝者も参拝スペース21aにいない状態を示す図である。このような期間は、搬送制御部132は、搬送装置10の制御を停止している。
【0036】
(2)参拝者Aのみが参拝スペース21aに訪れたとき
図4は、参拝者Aのみが参拝スペース21aに訪れた状態を示す図である。参拝者Aは、第1のRFIDタグ11aを携帯して、入退室ゲート22aを外から内に通過する。このとき、判断部131は、参拝者Aが参拝に訪れたと判断する。
【0037】
この場合、搬送制御部132は、第1のRFIDタグ11aの識別情報に紐づけられた第1の遺骨情報に基づいて、収蔵された複数の遺骨Rから第1の遺骨R1を特定し、搬送装置10に、第1の遺骨R1を参拝スペース21aに搬送させる。
【0038】
(3)参拝者Aの参拝中に、参拝者Bが参拝スペース21aに参拝に訪れたとき
図5は、参拝者Aの参拝中に、参拝者Bが参拝スペース21aに参拝に訪れた状態を示す図である。参拝者Bは、第2のRFIDタグ11bを携帯して、入退室ゲート22aを外から内に通過する。このとき、判断部131は、参拝者Bの識別情報についての読み取り履歴に基づいて、参拝者Bが参拝スペース21aに入室したと判断する。
【0039】
このとき、参拝者Aが参拝スペース21aで参拝中であり、参拝スペース21aには第1の遺骨R1が置かれている。このような場合、搬送制御部132は、搬送装置10の制御の停止を維持する。つまり、参拝スペース21aに第1の遺骨R1が置かれている期間に、判断部131が、参拝者A以外の参拝者が参拝に訪れたと判断しても、搬送装置10は、いずれの遺骨Rも搬送しない。
【0040】
(4)参拝者Aが参拝を終了して参拝スペース21aを離れるとき
図6は、図4の状態ののち、参拝者Aが参拝を終了して参拝スペース21aを離れた状態を示す図である。参拝を終了した参拝者Aは、第1のRFIDタグ11aを携帯して、入退室ゲート22aを内から外へ通過する。
【0041】
このとき、判断部122は、参拝者Aが参拝を終了したと判断する。
【0042】
この場合、搬送制御部132は、搬送装置10に、第1の遺骨R1を収蔵スペース20へ返却させる。参拝スペース21aに置かれていた遺骨R1が返却されると、再び、複数の参拝者のいずれかが参拝可能な状態となる。「参拝可能な状態」とは、いずれの参拝者についても、判断部131による最後の判断が、「参拝を終了した」である状態である。
【0043】
(5)参拝者Bのみが墓碑20aに参拝に訪れたとき
この場合、上述した(2)の説明と同様に、この場合、搬送制御部132は、第2のRFIDタグ11bの識別情報に紐づけられた第2の遺骨情報に基づいて、収蔵された複数の遺骨Rから第2の遺骨R2を特定し、搬送装置10に、第2の遺骨R2を参拝スペース21aに搬送させる(図示せず)。
【0044】
==変形例1==
判断部131が、参拝者が参拝を終了したと判断する手段の変形例を説明する。本変形例では、参拝スペース21aの任意の位置に退出ボタンを設置しておく(図示せず)。判断部131は、退出ボタンが押下されたときに、参拝者が参拝を終了したと判断してもよい。
【0045】
この場合、参拝者は、参拝を終了した後、退出ボタンを押下し、入退室ゲート22aを内から外に通過する。判断部131は、参拝者が入退室ゲート22aを内から外に通過した場合に、参拝者が参拝を終了したと判断する処理を実行しない。これによって、参拝者が、参拝スペース21aから一時的に退室し、再度入室した場合であっても、遺骨Rは返却されずに参拝スペース21aの所定の位置に置かれた状態を維持する。
【0046】
==変形例2==
参拝スペース21aの所定の位置に第1の遺骨R1がある期間に、判断部131が第2の参拝者が参拝に訪れたと判断した場合に、搬送制御部132が行う制御の変形例を説明する。上記実施形態では、この場合、搬送制御部132は、搬送装置10の制御を停止することとした。
【0047】
本変形例では、この場合、上記実施形態の制御に代えて、搬送制御部132は、第1の遺骨R1を収蔵スペース20に返却し、第2の遺骨R2を収蔵スペース2から参拝スペース21aの所定の位置に搬送する。なお、搬送制御部132がこのような制御を行うのは、第1の参拝者が、例えば所定の時間を経過した後に参拝を継続していた場合等に限ってもよい。
【0048】
以上説明したように、本実施形態の納骨堂参拝システム1は、納骨堂2の収蔵スペース20に収蔵された複数の遺骨Rの各々を、納骨堂2の所定の位置に搬送可能な搬送装置10と、参拝者の識別情報を書き込み可能なRFIDタグ11と、RFIDタグ11から、参拝者の識別情報を読み取り可能なRFIDリーダー12と、参拝者の識別情報と、識別情報に紐づけられた遺骨情報とを記憶するための記憶部130と、RFIDリーダー12が読み取った識別情報に基づいて、参拝者が参拝に訪れたか、又は参拝を終了したかを判断する判断部131と、判断部131による判断に応じて、搬送装置10を制御する搬送制御部132と、を有する制御端末13と、を備え、判断部131が、参拝者が参拝に訪れたと判断した場合に、搬送制御部132は、参拝者の識別情報に紐づけられた遺骨情報に基づいて、収蔵された複数の遺骨Rから遺骨Rを特定し、搬送装置10に、遺骨Rを所定の位置に搬送させる。
【0049】
このような構成によれば、参拝者が所定の位置(例えば参拝スペース21a)に接近するだけで、当該参拝ペースに当該参拝者が所有する遺骨Rが搬送される。従って、参拝者は、例えば受付用のモニターにカードリーダーをかざすといった煩雑な行為を必要とせずに、遺骨Rと対面し、参拝することが可能となる。
【0050】
また、納骨堂参拝システム1は、所定の位置に遺骨Rがある状態で、判断部131が、参拝者が参拝を終了したと判断した場合に、搬送制御部132は、搬送装置10に、遺骨Rを収蔵スペース20へ返却させる。このような構成によれば、参拝者が当該参拝スペース21aから離れるだけで、当該参拝者が所有する遺骨Rが返却される。従って、納骨堂2の管理が簡略化される。
【0051】
また、納骨堂参拝システム1において、搬送制御部132は、判断部131が、参拝者が参拝を終了したと判断してから所定の時間が経過した後に、搬送装置10に、遺骨Rを収蔵スペース20へ返却させる。このような構成によれば、参拝者が、参拝スペース21aから一時的に退室し、再度入室した場合に、遺骨Rは返却されずに参拝スペース21aの所定の位置に置かれた状態を維持するため、納骨堂参拝システム1の利便性が増す。
【0052】
また、RFIDタグ11は、複数であり、所定の位置に第1の参拝者Aの識別情報に紐づけられた遺骨情報に基づく第1の遺骨R1がある期間に、判断部131が、第2の参拝者Bが参拝に訪れたと判断した場合に、搬送制御部132は、搬送装置10の制御を停止する。このような構成によれば、第1のRFIDタグ11aを所有している第1の参拝者Aが参拝中に、第2のRFIDタグ11bを所有している第2の参拝者Bを含む他の参拝者が、当該所定の範囲に存在しても、参拝者Aの参拝が妨げられることがない。
【0053】
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのはいうまでもない。
【符号の説明】
【0054】
1:納骨堂参拝システム
10:搬送装置
11:RFIDタグ
12:RFIDリーダー
13:制御端末
130:記憶部
131:判断部
132:搬送制御部
2:納骨堂
20:収蔵スペース
21:参拝スペース
21a:参拝スペース
22a:入退室ゲート
220a:天井部
図1
図2
図3
図4
図5
図6