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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022118988
(43)【公開日】2022-08-16
(54)【発明の名称】硬貨処理装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/00 20190101AFI20220808BHJP
【FI】
G07D11/00 111
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021015881
(22)【出願日】2021-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】▲瀧▼澤 秀行
【テーマコード(参考)】
3E001
3E141
【Fターム(参考)】
3E001AB05
3E001BA01
3E001CA09
3E001EA09
3E001FA11
3E001FA57
3E141AA08
3E141GB05
3E141HA09
3E141KA09
3E141LA11
3E141LA57
(57)【要約】      (修正有)
【課題】収納可能な金種の数を減らすことなく小型化し得る硬貨処理装置を提供する。
【解決手段】硬貨処理装置に、投入口10に投入された硬貨を識別する識別部14と、正常な指定金種の硬貨であると識別された硬貨を振り分ける第1~第4の金種別ゲートと、第1~第4の金種別ゲートにより振り分けられた正常な指定金種の硬貨を金種別に収納する第1~第4の金種別収納庫31、34と、識別部14により正常な指定金種の硬貨以外の硬貨であると識別された硬貨を振り分けるリジェクトゲート15と、リジェクトゲート15により振り分けられた硬貨を、放出口11と、指定外金種の硬貨を一時保留するとともに一時保留した当該硬貨を放出口11へ放出するまたは回収庫42に収納する一時保留部41とのいずれかに振り分ける振分ブレード40とを設けた。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬貨が投入される投入口と、
前記投入口に投入された硬貨を識別する識別部と、
前記投入口に投入された硬貨から、前記識別部により正常な指定金種の硬貨であると識別された硬貨を振り分ける指定金種振分部と、
前記指定金種振分部により振り分けられた正常な指定金種の硬貨を金種別に収納する金種別収納庫と、
前記投入口に投入された硬貨から、前記識別部により正常な指定金種の硬貨以外の硬貨であると識別された硬貨を振り分ける指定金種以外振分部と、
硬貨を放出する放出口と、
回収すべき硬貨を収納する回収庫と、
前記指定金種以外振分部により振り分けられた硬貨を、前記放出口と、当該硬貨を一時保留するとともに一時保留した当該硬貨を前記放出口へ放出するまたは前記回収庫に収納する一時保留部とのいずれかに振り分ける一時保留振分部と
を備えることを特徴とする硬貨処理装置。
【請求項2】
前記一時保留振分部は、
前記指定金種以外振分部により振り分けられた正常な指定金種の硬貨以外の硬貨のうち、異常な硬貨として識別された硬貨を前記放出口へと振り分け、正常な指定外金種として識別された硬貨を前記一時保留部へと振り分ける
ことを特徴とする請求項1に記載の硬貨処理装置。
【請求項3】
前記一時保留部は、
投入された硬貨の入金確定時に、一時保留した硬貨を前記回収庫に収納し、投入された硬貨の入金キャンセル時に、一時保留した硬貨を前記放出口へ放出する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の硬貨処理装置。
【請求項4】
前記一時保留部は、複数の指定外金種の硬貨をまとめて一時保留する
ことを特徴とする請求項2または3に記載の硬貨処理装置。
【請求項5】
前記一時保留部は、
前記一時保留振分部よりも下方で、前記放出口及び前記回収庫よりも上方となる位置に配置されていて、
前記一時保留振分部により振り分けられて落下してくる硬貨を一時保留し、一時保留した当該硬貨を前記放出口へ落下させるまたは前記回収庫に落下させる
ことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の硬貨処理装置。
【請求項6】
前記金種別収納庫から繰り出された硬貨をプールするとともにプールした当該硬貨を前記放出口へ送り出すまたは前記回収庫に収納する硬貨プール部を備え、
前記硬貨プール部は、
投入された硬貨の入金キャンセル時および硬貨の出金時に、前記金種別収納庫から繰り出された硬貨を前記放出口へと送り出し、硬貨の回収時に、前記金種別収納庫から繰り出された硬貨を前記回収庫に収納する
ことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の硬貨処理装置。
【請求項7】
前記回収庫は、
前記指定金種の硬貨を収納する第1の部分と、指定外金種の硬貨を収納する第2の部分とを有している
ことを特徴とする請求項6に記載の硬貨処理装置。
【請求項8】
前記硬貨プール部は、前記放出口の下方に配置され、
前記硬貨プール部から送り出された硬貨を前記放出口に搬送する出金搬送部を
備える
ことを特徴とする請求項6に記載の硬貨処理装置。
【請求項9】
前記硬貨プール部は、プールした硬貨を搬送する振分搬送ベルトを有し、当該振分搬送ベルトを一方向に走行させることにより当該硬貨を前記放出口へ送り出し、他方向に走行させることにより当該硬貨を前記回収庫に収納する
ことを特徴とする請求項6に記載の硬貨処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は硬貨処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、硬貨処理装置として、投入された硬貨を1枚ずつ選別して金種ごとに収納庫に収納することで入金し、収納庫に収納した硬貨を1枚ずつ繰り出して排出することで出金するものがある。
【0003】
このような硬貨処理装置として、例えば1円、5円、10円、50円、100円、500円の6金種全てが指定金種として入金(収納)及び出金(排出)可能なものがある。また6金種のうちの4金種が指定金種として入金及び出金可能で、残りの2金種が投入された場合には収納せずに排出することで返却するものがある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4117124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の硬貨処理装置では、6金種全てを収納可能(入金可能)にすると、6金種分の収納庫が必要になることからサイズが大きくなってしまう。この為、例えば、券売機を使用している狭い店舗では、6金種全ての収納に対応する硬貨処理装置を券売機の代わりとなる精算機として設置することは難しかった。
【0006】
一方で、従来の硬貨処理装置では、収納可能な金種(つまり指定金種)の数を減らすことでサイズを小さくすることができる。しかしながら、この場合、当然のことながら、指定金種以外の硬貨については収納できなくなる為、利便性が低下してしまう。
【0007】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、収納可能な金種の数を減らすことなく小型化し得る硬貨処理装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するため本発明の硬貨処理装置においては、硬貨が投入される投入口と、前記投入口に投入された硬貨を識別する識別部と、前記投入口に投入された硬貨から、前記識別部により正常な指定金種の硬貨であると識別された硬貨を振り分ける指定金種振分部と、前記指定金種振分部により振り分けられた正常な指定金種の硬貨を金種別に収納する金種別収納庫と、前記投入口に投入された硬貨から、前記識別部により正常な指定金種の硬貨以外の硬貨であると識別された硬貨を振り分ける指定金種以外振分部と、硬貨を放出する放出口と、回収すべき硬貨を収納する回収庫と、前記指定金種以外振分部により振り分けられた硬貨を、前記放出口と、当該硬貨を一時保留するとともに一時保留した当該硬貨を前記放出口へ放出するまたは前記回収庫に収納する一時保留部とのいずれかに振り分ける一時保留振分部とを備える。
【0009】
こうすることで、投入された指定金種の硬貨については金種別収納庫に収納する一方で、投入された指定外金種の硬貨については、金種別収納庫とは別に設けた一時保留部に一時保留した後、返却する場合には放出口へ、収納する場合には回収庫へ振り分けることができる。これにより、例えば、全ての金種について金種別収納庫を設ける場合と比較して、収納可能な金種の数を減らすことなく小型化することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、収納可能な金種の数を減らすことなく小型化し得る硬貨処理装置を提案しようとするものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】硬貨処理装置の外観構成を示す斜視図である。
図2】硬貨処理装置の内部構成を示す上面図である。
図3】硬貨処理装置の内部構成を示す前面図である。
図4】硬貨処理装置の内部構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
【0013】
[1.硬貨処理装置の構成]
図1に、硬貨処理装置1の外観を示す。この硬貨処理装置1は、硬貨の入金及び出金が可能な装置であり、箱型の装置筐体2を有している。ここで、装置筐体2を形成する各面のうち、使用者と対峙する面を前面2a、その反対側の面を後面2b、使用者から見て左側の面を左側面2c、その反対側の面を右側面2d、上側の面を上面2e、その反対側の面を下面2fとする。
【0014】
装置筐体2は、前後方向及び左右方向に比べて上下方向に長い箱型であり、上面2eの左寄りに、硬貨を投入する投入口10が設けられている。硬貨処理装置1は、入金時、使用者によってこの投入口10に硬貨が投入されるようになっている。また装置筐体2は、前面2aの上部に、硬貨が放出される放出口11が設けられている。硬貨処理装置1は、入金時、投入口10に投入された硬貨のうち、使用者に返却する硬貨をこの放出口11から放出するようになっている。また硬貨処理装置1は、出金時、指定された金額分の硬貨をこの放出口11から放出するようになっている。
【0015】
尚、図1では省略しているが、硬貨処理装置1は、表示部及び操作部を有する端末装置と接続されていて、当該端末装置上で、硬貨処理装置1に投入された金額を使用者が確認して入金を確定したり、硬貨処理装置1から出金する金額を使用者が指定したりできるようになっている。
【0016】
つづけて、図2図4を用いて、硬貨処理装置1の内部構成について説明する。尚、図2は、硬貨処理装置1の上面図であり、内部構成が分かるように装置筐体2の上面2eを透過させた図となっている。また図3は、硬貨処理装置1の前面図であり、内部構成が分かるように装置筐体2の前面2aを透過させた図となっている。さらに図4は、硬貨処理装置1の左側面図であり、内部構成が分かるように装置筐体2の左側面2cを透過させた図となっている。
【0017】
装置筐体2の内部には、上端部に略円筒状の投入口10が設けられている。具体的には、投入口10は、装置筐体2内部の上端部における前後方向の中央且つ左側面2c寄りの位置に設けられていて、図1に示したように、装置筐体2の上面2eから露出し、使用者が容易に硬貨を投入できるようになっている。
【0018】
この投入口10の硬貨搬送方向下流側には、投入口10に投入された硬貨を搬送路13へと繰り出す繰出部12が設けられている。具体的には、繰出部12は、投入口10の底部の左側(別の言い方をすると、装置筐体2内部の上端部における前後方向の中央且つ左端)に位置している。
【0019】
搬送路13は、繰出部12から装置筐体2の外周面に沿うようにしてほぼ水平に延びている。具体的には、搬送路13は、繰出部12から装置筐体2の左側面2cに沿うようにして前方の前面2aへと延びる第1の部分13aと、第1の部分13aの末端(前端)から装置筐体2の前面2aに沿うようにして右方の右側面2dへと延びる第2の部分13bと、第2の部分13bの末端(右端)から右側面2dに沿うようにして後方の後面2bへと延びる第3の部分13cと、第3の部分13cの末端(後端)から後面2bに沿うようにして左方の左側面2cへと延びる第4の部分13dとで構成されている。
【0020】
この搬送路13には、図示しない搬送ベルトが配置されていて、繰出部12によって投入口10から繰り出された硬貨を、この搬送ベルトにより搬送路13に沿って搬送するようになっている。
【0021】
搬送路13の第1の部分13aよりも硬貨搬送方向下流側に位置する第2の部分13bには、識別部14が配置されている。識別部14は、搬送路13に沿って搬送されてくる硬貨の金種を判別したり、正常な硬貨であるか否かを判別したりする機能を有している。尚、正常ではなく異常な硬貨として判別された硬貨を、リジェクト硬貨と呼ぶ。
【0022】
さらに第2の部分13bには、識別部14よりも硬貨搬送方向下流側となる位置(つまり識別部14の右方)に、リジェクト硬貨を振り分ける為のリジェクトゲート15が設けられている。リジェクトゲート15は、図示しないソレノイドの動作により開閉可能となっていて、閉じたときには、搬送路13に沿って搬送されてきた硬貨をそのまま搬送路13に沿って搬送させ、開いたときには、搬送路13に沿って搬送されてきた硬貨をリジェクトゲート15の下方に位置するシュート16へと振り分ける(落下させる)ようになっている。
【0023】
搬送路13の第2の部分13bよりも硬貨搬送方向下流側に位置する第3の部分13cには、第1の金種別ゲート21が設けられ、さらにこの第3の部分13cには、第1の金種別ゲート21よりも硬貨搬送方向下流側となる位置(つまり第1の金種別ゲート21の後方)に、第2の金種別ゲート22が設けられている。
【0024】
さらに搬送路13の第3の部分13cよりも硬貨搬送方向下流側に位置する第4の部分13dには、第3の金種別ゲート23が設けられ、さらにこの第4の部分13dには、第3の金種別ゲート23よりも硬貨搬送方向下流側となる末端(つまり第3の金種別ゲート23の左方)に、第4の金種別ゲート24が設けられている。
【0025】
第1の金種別ゲート21、第2の金種別ゲート22、第3の金種別ゲート23、第4の金種別ゲート24は、それぞれ指定金種の硬貨(より詳しくは正常な指定金種の硬貨)を金種別に振り分ける為のゲートであり、それぞれの下方には、指定金種の硬貨を金種別に収納する第1の金種別収納庫31、第2の金種別収納庫32、第3の金種別収納庫33、第4の金種別収納庫34が設けられている。尚、硬貨処理装置1における指定金種とは、入金も出金も可能な金種のことであり、これに対して、指定外金種とは、入金のみ可能な金種のことである。
【0026】
これら第1の金種別ゲート21、第2の金種別ゲート22、第3の金種別ゲート23、第4の金種別ゲート24は、リジェクトゲート15と同様、図示しないソレノイドの動作により開閉可能となっていて、閉状態にあるときには、搬送路13に沿って搬送されてきた硬貨をそのまま搬送路13に沿って搬送させ、開状態にあるときには、搬送路13に沿って搬送されてきた硬貨を、それぞれの下方に位置する第1の金種別収納庫31、第2の金種別収納庫32、第3の金種別収納庫33、第4の金種別収納庫34へと振り分ける(落下させる)ようになっている。
【0027】
尚、硬貨処理装置1では、1円、5円、10円、50円、100円、500円の6金種のうちの任意の4金種を指定金種に設定でき、残りの2金種を指定外金種に設定できるようになっている。つまり、第1の金種別ゲート21は、4つの指定金種のうちの1つに対応付けられていて、搬送路13に沿って搬送されてくる硬貨のうち、識別部14により対応する指定金種の硬貨であると判別された硬貨を、下方に位置する第1の金種別収納庫31に振り分けるようになっている。第2の金種別ゲート22、第3の金種別ゲート23、第4の金種別ゲート24についても同様に、それぞれ識別部14により対応する指定金種の硬貨であると判別された硬貨を、それぞれの下方に位置する第2の金種別収納庫32、第3の金種別収納庫33、第4の金種別収納庫34に振り分けるようになっている。こうすることで、第1の金種別収納庫31、第2の金種別収納庫32、第3の金種別収納庫33、第4の金種別収納庫34には、それぞれ対応する指定金種の硬貨が収納されることになる。尚、第1の金種別ゲート21、第2の金種別ゲート22、第3の金種別ゲート23、第4の金種別ゲート24により振り分けられた指定金種の硬貨は、それぞれ図示しないシュートにより、第1の金種別収納庫31、第2の金種別収納庫32、第3の金種別収納庫33、第4の金種別収納庫34に案内されるようになっている。
【0028】
第1の金種別収納庫31、第2の金種別収納庫32、第3の金種別収納庫33、第4の金種別収納庫34は、それぞれ上側の開口から入ってくる硬貨(つまり第1の金種別ゲート21、第2の金種別ゲート22、第3の金種別ゲート23、第4の金種別ゲート24により振り分けられた指定金種の硬貨)を内部の収納空間に収納するようになっていて、指定金種の硬貨を例えば300枚程度収納可能な硬貨収納容量を有している。
【0029】
また第1の金種別収納庫31、第2の金種別収納庫32、第3の金種別収納庫33、第4の金種別収納庫34は、それぞれ上下方向の位置はほぼ等しく、前後左右の位置が異なるように配置されている。つまり、第1~第4の金種別収納庫31~34は、装置筐体2の奥行方向及び幅方向に並べて配置されている。
【0030】
一方で、6つの金種のうち、4つの指定金種以外の金種である2つの指定外金種については、リジェクトゲート15により、シュート16へと振り分けられるようになっている。つまり、リジェクトゲート15は、搬送路13に沿って搬送されてくる硬貨のうち、識別部14によりリジェクト硬貨であると判別された硬貨と、指定外金種の硬貨(より詳しくは正常な指定外金種の硬貨)であると判別された硬貨を、シュート16へと振り分けるようになっている。
【0031】
シュート16は、上側の開口よりも下側の開口の方が左右方向に大きい末広がり形状のガイドであり、内部に、リジェクト硬貨と指定外金種の硬貨とを振り分ける為の振分ブレード40を有している。振分ブレード40は、図示しないソレノイドの動作により、上側の開口と下側の開口の左半分とを繋ぐルート16a(以下、リジェクトルート16aと呼ぶ)を形成する位置と、上側の開口と下側の開口の右半分とをつなぐルート16b(以下、一時保留ルート16bと呼ぶ)を形成する位置とを切り替えるように回動可能となっている。
【0032】
シュート16の左下(つまり下側の開口の左半分の下方であり、リジェクトルート16aの先)には、放出口11が設けられている。つまり、シュート16へと振り分けられた硬貨のうち、リジェクト硬貨は、振分ブレード40により形成されたリジェクトルート16aを通って、放出口11に振り分けられる(落下する)ようになっている。
【0033】
放出口11は、略皿型であり、装置筐体2内部の前端部における左右方向のほぼ中央且つ上面2e寄りの位置に設けられている。この放出口11は、図1に示したように、装置筐体2の前面2aから露出していて、放出された硬貨を使用者が容易に取り出すことができるようになっている。
【0034】
一方、シュート16の右下(つまり下側の開口の右半分の下方であり、一時保留ルート16bの先)には、指定外金種を一時保留する為の一時保留部41が設けられている。つまり、シュート16へと振り分けられた硬貨のうち、指定外金種の硬貨は、振分ブレード40により形成された一時保留ルート16bを通って、一時保留部41に振り分けられる(落下する)ようになっている。
【0035】
尚、一時保留部41は、上下方向の位置が、シュート16と放出口11との間に位置していて、一時保留部41の左下近傍に放出口11が配置されている。
【0036】
一時保留部41は、上側の開口から入ってくる硬貨(つまり一時保留ルート16bを通ってきた指定外金種の硬貨)を内部の収納空間に収納するようになっていて、指定外金種の硬貨を例えば30枚程度収納可能な硬貨収納容量を有している。尚、一時保留部41は、2つの指定外金種(例えば、1円と5円の金種)をまとめて収納するようになっているが、入金時に一時的に収納するだけなので、第1の金種別収納庫31などと比較して硬貨収納容量及びサイズが十分小さくなっている。
【0037】
また一時保留部41は、一時保留している硬貨(つまり指定外金種の硬貨)を放出口11と回収庫42のいずれかに振り分ける為の返却ゲート43及び収納ゲート44を有している。返却ゲート43は、図示しないソレノイドの動作により、一時保留部41の下側の開口の左半分を開閉可能となっている。一方、収納ゲート44は、図示しないソレノイドの動作により、一時保留部41の下側の開口の右半分を開閉可能となっている。
【0038】
一時保留部41は、右側の収納ゲート44を閉じたまま左側の返却ゲート43を開くことで、一時保留部41の下側の開口の左半分を、放出口11へと続く返却ルート45aに繋ぐ。尚、このとき、右側の収納ゲート44は、返却ルート45aに向かって傾斜していて、一時保留部41に収納されている硬貨を返却ルート45aへと案内するガイドとして機能する。また返却ルート45aは、放出口11に向かって傾斜するガイドとしての返却シュート46により形成されている。よってこのとき一時保留部41に収納されている硬貨は、収納ゲート44と返却シュート46により案内されて放出口11へと振り分けられる(落下する)ようになっている。
【0039】
また一時保留部41は、左側の返却ゲート43を閉じたまま右側の収納ゲート44を開くことで、一時保留部41の下側の開口の右半分を、回収庫42へと続く収納ルート45bに繋ぐ。尚、このとき、左側の返却ゲート43は、収納ルート45bに向かって傾斜していて、一時保留部41に収納されている硬貨を収納ルート45bへと案内するガイドとして機能する。また収納ルート45bは、回収庫42に向かって下方に延びるガイドとしての収納シュート47により形成されている。よってこのとき一時保留部41に収納されている硬貨は、返却ゲート43と収納シュート47により案内されて回収庫42へと振り分けられる(落下する)ようになっている。
【0040】
回収庫42は、装置筐体2内の最下部に設けられていて、硬貨処理装置1から回収すべき硬貨を収納するようになっている。この回収庫42は、指定金種と指定外金種の両方を回収することができるように、第1の金種別収納庫31や一時保留部41などと比べて十分多くの硬貨を収納可能なサイズとなっている。尚、装置筐体2は、例えば、前面2aが開閉可能な扉となっていて、この扉を開くことで、回収庫42にアクセスできるようになっている。
【0041】
また第1の金種別収納庫31の下端部には、第1の金種別収納庫31に収納されている硬貨を1枚ずつ繰り出す第1の収納庫繰出部51が設けられている。同様に、第2の金種別収納庫32、第3の金種別収納庫33、第4の金種別収納庫34のそれぞれの下端部には、第2の収納庫繰出部52、第3の収納庫繰出部53、第4の収納庫繰出部54が設けられている。
【0042】
また装置筐体2の内部には、第1の金種別収納庫31、第2の金種別収納庫32、第3の金種別収納庫33、第4の金種別収納庫34よりも下方となる位置に、前後方向に延びる繰り出し搬送ベルト60が設けられている。
【0043】
第1の収納庫繰出部51、第2の収納庫繰出部52、第3の収納庫繰出部53、第4の収納庫繰出部54のそれぞれは、第1の金種別収納庫31、第2の金種別収納庫32、第3の金種別収納庫33、第4の金種別収納庫34のそれぞれの下端部から繰り出し搬送ベルト60の左側面もしくは右側面へと延びていて、第1の金種別収納庫31、第2の金種別収納庫32、第3の金種別収納庫33、第4の金種別収納庫34のそれぞれから繰り出した硬貨を、繰り出し搬送ベルト60の左側もしくは右側から繰り出し搬送ベルト60上に放出するようになっている。
【0044】
繰り出し搬送ベルト60は、ベルト上面が前方に走行することで、第1の収納庫繰出部51、第2の収納庫繰出部52、第3の収納庫繰出部53、第4の収納庫繰出部54のそれぞれから繰り出された硬貨(つまり指定金種の硬貨)を、前方に搬送するようになっている。
【0045】
繰り出し搬送ベルト60の前方には、繰り出し搬送ベルト60から搬送されてきた硬貨を放出口11と回収庫42のいずれかに振り分ける為の硬貨プール61が設けられている。硬貨プール61は、上側の開口から入ってくる硬貨(つまり繰り出し搬送ベルト60から搬送されてきた硬貨)を一時的にプールするようになっている。
【0046】
この硬貨プール61は、底部に、左右方向に延びる振分搬送ベルト62が設けられている。また硬貨プール61は、左側の下部に、プールしている硬貨を放出口11へ送り出す為に1枚ずつ繰り出す出金繰出部63が設けられ、右側の下部に、プールしている硬貨を回収庫42に振り分ける為の回収ゲート64が設けられている。
【0047】
硬貨プール61は、プールしている硬貨を放出口11へ送り出す場合には、振分搬送ベルト62のベルト上面を一方向(具体的には左方向)に走行させることで、プールしている硬貨を左側の出金繰出部63へと送り、プールしている硬貨を出金繰出部63により1枚ずつ繰り出す。硬貨プール61の左方には、硬貨プール61から1枚ずつ繰り出された硬貨を、上方へと搬送する為の出金搬送部としての出金搬送ベルト65が設けられている。硬貨プール61の左側から1枚ずつ繰り出された硬貨は、この出金搬送ベルト65により上方へと搬送され、放出口11へ放出されるようになっている。尚、ここでは、硬貨プール61から放出口11まで硬貨を搬送する為の出金搬送部として出金搬送ベルト65を用いたが、これに限らず、ローラやリフトなどで構成される出金搬送部を用いてもよい。
【0048】
また硬貨プール61は、プールしている硬貨を回収庫42に振り分ける場合には、図示しないソレノイドの動作により回収ゲート64を開くことで、硬貨プール61の右側の下部に設けられた開口を開放する。さらに硬貨プール61は、振分搬送ベルト62のベルト上面を他方向(具体的には右方向)に走行させることで、プールしている硬貨を右側の開口から放出する。硬貨プール61の右方には、硬貨プール61から放出された硬貨を、硬貨プール61の下方に位置する回収庫42へと案内するガイドとしての回収シュート66が設けられている。硬貨プール61の右側から放出された硬貨は、回収シュート66により案内されて回収庫42に振り分けられる(落下する)ようになっている。
【0049】
このように、硬貨プール61は、第1の収納庫繰出部51、第2の収納庫繰出部52、第3の収納庫繰出部53、第4の収納庫繰出部54のそれぞれから繰り出された硬貨(つまり指定金種の硬貨)をプールし、プールした硬貨を、放出口11へと送り出すまたは回収庫42に収納するようになっている。尚、硬貨プール61は、出金時などに硬貨を一時的にプールするだけなので、第1の金種別収納庫31などと比較して硬貨収納容量及びサイズが十分小さくなっている。
【0050】
また装置筐体2内部の所定位置(例えば回収庫42の左側)には、硬貨処理装置1全体の制御、各種情報の保持、外部の端末装置との通信などを行う制御部70が設けられている。
【0051】
尚、回収庫42については、4つの指定金種の硬貨と、2つの指定外金種の硬貨とを区別することなくまとめて収納するようにしてもよいし、図3に示すように、回収庫42の内部を、第1の部分42aと第2の部分42bとに分け、第1の部分42aに指定金種の硬貨を収納するとともに、第2の部分42bに指定外金種の硬貨を収納するようにしてもよい。
【0052】
この場合、例えば、回収庫42の第1の部分42aを、指定金種の硬貨が落下してくる回収シュート66の下方に配置し、第2の部分42bを、指定外金種の硬貨が落下してくる収納シュート47の下方に配置するようにすればよい。硬貨処理装置1の構成は、以上のようになっている。
【0053】
[2.硬貨処理装置の動作]
次に、硬貨処理装置1の動作について説明する。ここでは、硬貨処理装置1の動作として、入金の動作と出金の動作と回収の動作について説明する。まず入金の動作について説明する。尚、硬貨処理装置1の動作は、制御部70により制御される動作である。
【0054】
硬貨の入金時、使用者は、投入口10に入金したい硬貨を投入する。投入口10に投入された硬貨は、繰出部12により1枚ずつ間隔を空けて繰り出されて搬送路13に送り出される。搬送路13に送り出された硬貨は、図示しない搬送ベルトにより搬送され、識別部14により金種と、正常/異常とが判別される。
【0055】
ここで、投入された硬貨が識別部14により異常な硬貨と判別されると(つまりリジェクト硬貨と判別されると)このとき制御部70は、識別部14よりも硬貨搬送方向下流に位置するリジェクトゲート15を開くとともに、リジェクトゲート15の下方に位置するシュート16の振分ブレード40を、リジェクトルート16aを形成する位置に回動させる。これにより、リジェクト硬貨は、搬送路13からリジェクトルート16aを通り、放出口11に振り分けられる(落下する)。
【0056】
このように、硬貨処理装置1は、使用者に投入された硬貨のうち、異常と判別されたリジェクト硬貨については、放出口11に放出することで、使用者に返却するようになっている。
【0057】
一方で、投入された硬貨が識別部14により正常な指定金種の硬貨と判別されると、このとき制御部70は、リジェクトゲート15は閉じたまま、リジェクトゲート15よりも硬貨搬送方向下流に位置する4つの金種別ゲート(第1の金種別ゲート21、第2の金種別ゲート22、第3の金種別ゲート23、第4の金種別ゲート24)のうち、識別部14により判別された指定金種に対応する金種別ゲートを開く。これにより、正常な指定金種の硬貨は、4つの金種別収納庫(第1の金種別収納庫31、第2の金種別収納庫32、第3の金種別収納庫33、第4の金種別収納庫34)のうち、識別部14により判別された指定金種に対応する金種別収納庫に収納される。
【0058】
このように、硬貨処理装置1は、使用者に投入された硬貨のうち、正常な指定金種と判別された硬貨については、識別部14により判別された指定金種に対応する金種別収納庫に収納するようになっている。
【0059】
また、投入された硬貨が識別部14により正常な指定外金種の硬貨と判別されると、このとき制御部70は、リジェクトゲート15を開くとともに、シュート16の振分ブレード40を、一時保留ルート16bを形成する位置に回動させる。これにより、正常な指定外金種の硬貨は、搬送路13から一時保留ルート16bを通り、一時保留部41に振り分けられる(落下する)。
【0060】
このように、硬貨処理装置1は、使用者に投入された硬貨のうち、正常な指定外金種(例えば1円又は5円)と判別された硬貨については、一時保留部41に一時保留するようになっている。
【0061】
ここで、制御部70は、識別部14による識別結果をもとに算出した投入金額を、外部の端末装置に表示させる。使用者は、端末装置に表示された投入金額を確認したうえで、投入した硬貨の入金を確定する操作もしくはキャンセルする操作を行う。
【0062】
投入した硬貨の入金を確定する操作が行われた場合、制御部70は、一時保留部41の収納ゲート44を開く。これにより、一時保留部41に一時保留されている指定外金種の硬貨は、収納ルート45b経由で回収庫42へと振り分けられ、回収庫42に収納される。
【0063】
このように、硬貨処理装置1は、使用者に投入された指定金種の硬貨については金種別収納庫に収納し、指定外金種の硬貨については一時保留部41に一時保留した後、投入された硬貨の入金が確定した時点で、回収庫42に収納するようになっている。
【0064】
一方で、入金をキャンセルする操作が行われた場合、制御部70は、一時保留部41の返却ゲート43を開く。これにより、一時保留部41に一時保留されている指定外金種の硬貨は、返却ルート45a経由で放出口11へと振り分けられ、放出口11に放出される。
【0065】
またこのとき制御部70は、第1の収納庫繰出部51、第2の収納庫繰出部52、第3の収納庫繰出部53、第4の収納庫繰出部54により、第1の金種別収納庫31、第2の金種別収納庫32、第3の金種別収納庫33、第4の金種別収納庫34のそれぞれから、今回収納した各金種枚数と同じ金種枚数の硬貨を繰り出させて、繰り出し搬送ベルト60により硬貨プール61へ搬送する。ここで、制御部70は、硬貨プール61にプールした硬貨を、出金繰出部63により繰り出して、出金搬送ベルト65により放出口11まで搬送して、放出口11に放出する。
【0066】
このように、硬貨処理装置1は、入金がキャンセルされると、一時保留部41に一時保留している指定外金種を放出口11に放出するとともに、第1の金種別収納庫31、第2の金種別収納庫32、第3の金種別収納庫33、第4の金種別収納庫34のそれぞれから、今回収納した各金種枚数と同じ金種枚数の硬貨を繰り出し、硬貨プール61により放出口11へ送り出すことで、投入された指定外金種の硬貨と指定金種の硬貨を使用者に返却するようになっている。入金の動作は、以上のようになっている。
【0067】
つづけて出金の動作を説明する。硬貨の出金時、使用者は、例えば出金する硬貨の指定金種ごとの枚数を端末装置上で指定する。制御部70は、端末装置を介して、出金する硬貨の指定金種ごとの枚数を認識し、第1の収納庫繰出部51、第2の収納庫繰出部52、第3の収納庫繰出部53、第4の収納庫繰出部54により、第1の金種別収納庫31、第2の金種別収納庫32、第3の金種別収納庫33、第4の金種別収納庫34のそれぞれから、指定金種ごとに指定された枚数の硬貨を繰り出させて、繰り出し搬送ベルト60により硬貨プール61へ搬送する。ここで、制御部70は、硬貨プール61にプールした硬貨を、出金繰出部63により繰り出して、出金搬送ベルト65により放出口11まで搬送して、放出口11に放出することで、硬貨を出金する。出金の動作は、以上のようになっている。
【0068】
次に回収の動作を説明する。硬貨の回収時、使用者は、例えば硬貨の回収を端末装置上で指示する。制御部70は、端末装置を介して、硬貨の回収が指示されたことを認識すると、第1の収納庫繰出部51、第2の収納庫繰出部52、第3の収納庫繰出部53、第4の収納庫繰出部54により、第1の金種別収納庫31、第2の金種別収納庫32、第3の金種別収納庫33、第4の金種別収納庫34のそれぞれに収納されている硬貨を1枚ずつ繰り出させて、繰り出し搬送ベルト60により硬貨プール61へ搬送する。ここで、制御部70は、回収ゲート64を開き、振分搬送ベルト62を右方向に走行させることで、硬貨プール61にプールした硬貨を、回収シュート66を通して回収庫42に送る(落下させる)。これにより、第1の金種別収納庫31、第2の金種別収納庫32、第3の金種別収納庫33、第4の金種別収納庫34のそれぞれに収納されている指定金種の硬貨が回収庫42に収納される。尚、指定外金種の硬貨については、入金時に既に回収庫42に収納されている。よって、この時点で、指定金種の硬貨と、指定外金種の硬貨の全てが、回収庫42に収納されている状態となり、この回収庫42が使用者により回収される。回収の動作は、以上のようになっている。
【0069】
[3.まとめと効果]
ここまで説明したように、本実施の形態では、硬貨処理装置1に、硬貨が投入される投入口10と、投入口10に投入された硬貨を識別する識別部14と、投入口10に投入された硬貨から、識別部14により正常な指定金種の硬貨であると識別された硬貨を振り分ける指定金種振分部としての第1~第4の金種別ゲート21~24と、第1~第4の金種別ゲート21~24により振り分けられた正常な指定金種の硬貨を金種別に収納する第1~第4の金種別収納庫31~34と、投入口10に投入された硬貨から、識別部14により正常な指定金種の硬貨以外の硬貨(正常な指定外金種の硬貨とリジェクト硬貨)であると識別された硬貨を振り分ける指定金種以外振分部としてのリジェクトゲート15と、硬貨を放出する放出口11と、回収すべき硬貨を収納する回収庫42と、リジェクトゲート15により振り分けられた硬貨を、放出口11と、当該硬貨を一時保留するとともに一時保留した当該硬貨を放出口11へ放出するまたは回収庫42に収納する一時保留部41とのいずれかに振り分ける一時保留振分部としての振分ブレード40とを設けた。
【0070】
また振分ブレード40は、リジェクトゲート15により振り分けられた硬貨のうち、異常な硬貨として識別された硬貨を放出口11へと振り分け、正常な指定外金種として識別された硬貨を一時保留部41へと振り分けるようにした。さらに一時保留部41は、投入された硬貨の入金確定時に、一時保留した硬貨を回収庫42に収納し、投入された硬貨の入金キャンセル時に、一時保留した硬貨を放出口11へ放出するようにした。
【0071】
本実施の形態の硬貨処理装置1は、投入された指定金種の硬貨については第1~第4の金種別収納庫31~34に収納する一方で、投入された指定外金種の硬貨については、第1~第4の金種別収納庫31~34とは別に設けた一時保留部41に一時保留した後、返却する場合には放出口11へ、収納する場合には回収庫42へ送ることができるので、全ての金種を収納する(入金する)ことができる。
【0072】
また指定外金種の硬貨を収納する一時保留部41については、1回の入金で投入されることが想定される指定外金種の硬貨の枚数に応じた硬貨収納容量を有していればよいことから、第1~第4の金種別収納庫31~34と比較して硬貨収納容量及びサイズを十分小さくすることができる。これにより、硬貨処理装置1は、全ての金種について金種別収納庫を設ける場合と比較して、小型化することができる。
【0073】
具体的には、例えば金種別収納庫を全6金種分設けるとなると、装置筐体2の内部には、6個の金種別収納庫を前後左右に並べて配置するだけのスペースが必要になってくる。また、仮に6個の金種別収納庫を前後左右に加えて上下方向に並べて配置すると、レイアウトを大幅に変更しなければならず、また金種別収納庫の収納容量を十分に確保するためには装置の全高を高くしてスペースを確保する必要があり、大型化してしまうことが想定される。これに対して、本実施の形態の硬貨処理装置1では、装置筐体2の内部に、4個の金種別収納庫(第1~第4の金種別収納庫31~34)を前後左右に並べて配置するスペースと、金種別収納庫よりも十分に小さい1つの一時保留部41を配置するスペースがあればよく、6個の金種別収納庫を設ける場合と比較して、装置筐体2の幅と奥行きを小さくできる。
【0074】
かくして、硬貨処理装置1は、収納可能な金種の数を減らすことなく小型化することができる。別の言い方をすると、例えば4つの指定金種の収納(入金)にしか対応していない硬貨処理装置とほぼ同サイズで、4つの指定金種と2つの指定外金種の収納(入金)に対応する硬貨処理装置1を実現できる。
【0075】
また硬貨処理装置1では、複数(具体的には2つ)の指定外金種をまとめて一時保留部41に一時保留するようになっている為、比較的容易に、収納可能な指定外金種の数を増加(例えば2つから3つに増加)させることもできる。
【0076】
[4.他の実施の形態]
[4-1.他の実施の形態1]
尚、上述した実施の形態では、図2図4に示す配置で、硬貨処理装置1を構成する各部を配置するようにした。これに限らず、硬貨処理装置1と同様の効果を得ることができる範囲内で、各部の配置を変更するようにしてもよい。また例えば、第1~第4の金種別ゲート21~24のそれぞれと、第1~第4の金種別収納庫31~34のそれぞれとの間に、第1~第4の一時保留部(図示せず)を設けてもよい。この場合、投入された指定金種の硬貨を、金種別に第1~第4の一時保留部に一時保留させ、入金が確定されたら、第1~第4の一時保留部に一時保留させている硬貨を、第1~第4の金種別収納庫31~34に収納する一方で、入金がキャンセルされたら、第1~第4の一時保留部に一時保留させている硬貨を放出口11に放出すればよい。
【0077】
[4-2.他の実施の形態2]
また上述した実施の形態では、4つの指定金種と2つの指定外金種を収納可能な構成を有する硬貨処理装置1について述べたが、これに限らず、硬貨処理装置については、少なくとも1つ以上の指定金種と1つ以上の指定外金種を収納可能な構成であればよい。
【0078】
[4-3.他の実施の形態3]
さらに上述した実施の形態では、リジェクトゲート15の下方に位置するシュート16と、シュート16よりも下方に位置する放出口11との間に、一時保留部41を設けた。これに限らず、例えば、一時保留部41と返却シュート46と収納シュート47を省略して、代わりにシュート16の下側の開口の右半分から、硬貨プール部としての硬貨プール61へと延びる図示しないプールシュートを設け、硬貨プール61を一時保留部41の代わりとして機能させるようにしてもよい。
【0079】
この場合、例えば、入金時に、投入口10に投入された硬貨のうち、正常な指定外金種の硬貨については、リジェクトゲート15によりシュート16に振り分けられ、さらに振分ブレード40により形成された一時保留ルート16bとプールシュートを通って硬貨プール61に振り分けられ、硬貨プール61に一時保留させられる。
【0080】
制御部70は、入金が確定すると、回収ゲート64を開いて、硬貨プール61に一時保留させている硬貨(つまり指定外金種の硬貨)を、回収シュート66を通して回収庫42に送る(落下させる)。
【0081】
一方で、入金がキャンセルされると、制御部70は、硬貨プール61に一時保留させている硬貨(指定外金種の硬貨)を、出金繰出部63により繰り出して、出金搬送ベルト65により放出口11まで搬送し、放出口11に放出する。また制御部70は、第1~第4の金種別収納庫31~34のそれぞれから今回収納した各金種枚数と同じ金種枚数の硬貨を繰り出して、繰り出し搬送ベルト60により硬貨プール61へ搬送し、出金繰出部63により繰り出して、出金搬送ベルト65により放出口11まで搬送し、放出口11に放出する。
【0082】
このように、硬貨プール61を一時保留部41の代わりとして機能させることで、一時保留部41を省略することができ、硬貨処理装置1をより一層小型化することができる。
【0083】
[4-4.他の実施の形態4]
さらに上述した実施の形態では、識別部14により正常な指定外金種の硬貨であると識別された硬貨と、異常な硬貨(リジェクト硬貨)であると識別された硬貨とを、リジェクトゲート15により振り分けるようにした。これに限らず、例えば、搬送路13の2箇所にゲートを設け、識別部14により正常な指定外金種の硬貨であると識別された硬貨を一方のゲートにより振り分け、異常な硬貨(リジェクト硬貨)であると識別された硬貨を他方のゲートにより振り分けるようにしてもよい。
【0084】
[4-5.他の実施の形態5]
さらに上述した実施の形態では、硬貨処理装置1が、表示部及び操作部を有する端末装置と接続されているとしたが、これに限らず、例えば、端末装置の機能(つまり表示部と操作部の機能)を硬貨処理装置1に持たせるようにしてもよい。
【0085】
[4-6.他の実施の形態6]
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、例えば硬貨の入出金を行う硬貨処理装置で利用できる。
【符号の説明】
【0087】
1……硬貨処理装置、2……装置筐体、10……投入口、11……放出口、12……繰出部、13……搬送路、14……識別部、15……リジェクトゲート、16……シュート、21……第1の金種別ゲート、22……第2の金種別ゲート、23……第3の金種別ゲート、24……第4の金種別ゲート、31……第1の金種別収納庫、32……第2の金種別収納庫、33……第3の金種別収納庫、34……第4の金種別収納庫、40……振分ブレード、41……一時保留部、42……回収庫、43……返却ゲート、44……収納ゲート、46……返却シュート、47……収納シュート、51……第1の収納庫繰出部、52……第2の収納庫繰出部、53……第3の収納庫繰出部、54……第4の収納庫繰出部、60……繰り出し搬送ベルト、61……硬貨プール、62……振分搬送ベルト、63……出金繰出部、64……回収ゲート、65……出金搬送ベルト、66……回収シュート、70……制御部。

図1
図2
図3
図4