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特開2022-118993毛髪用化粧品及び毛髪トリートメント処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022118993
(43)【公開日】2022-08-16
(54)【発明の名称】毛髪用化粧品及び毛髪トリートメント処理方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/02 20060101AFI20220808BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20220808BHJP
   A61Q 5/06 20060101ALI20220808BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20220808BHJP
   A61K 8/64 20060101ALI20220808BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20220808BHJP
【FI】
A61K8/02
A61Q5/12
A61Q5/06
A61K8/44
A61K8/64
A61K8/92
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021015897
(22)【出願日】2021-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】519143638
【氏名又は名称】株式会社ミッシェル
(74)【代理人】
【識別番号】100077539
【弁理士】
【氏名又は名称】飯塚 義仁
(72)【発明者】
【氏名】藤抜 志守生
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC581
4C083AD411
4C083BB12
4C083CC32
4C083CC33
4C083DD23
4C083DD30
4C083EE28
(57)【要約】
【課題】 髪質改善のためのトリートメント成分の付着時間を持続させて毛髪内への浸透を促進し、髪質改善を促進する。
【解決手段】 この毛髪用化粧品は、アミノ酸及び/又はタンパク質等の毛髪保護成分を含むトリートメント成分と、常温で固形の油脂分を含むヘアスタイリング剤成分とを含み、前記トリートメント成分を前記ヘアバーム主成分内に配合してなり、常温で固形をなすものである。ヘアスタイリング剤成分はヘアバーム又はヘアワックスである。この毛髪用化粧品を毛髪に塗布し、塗布した該毛髪用化粧品に含まれる前記トリートメント成分を除去する処理を行うことなく、処理を終了する。ヘアスタイリング剤成分は、常温で固形であるが体温程度の温度で溶ける性質を有しており、人の指にとって毛髪に塗布することで溶けて毛髪に馴染み、その含有成分(特にトリートメント成分)を髪の毛の中に浸透させることができる。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノ酸及び/又はタンパク質等の毛髪保護成分を含むトリートメント成分と、
常温で固形の油脂分を含むヘアスタイリング剤成分と
を含み、前記トリートメント成分を前記ヘアスタイリング剤成分内に配合してなり、常温で固形をなすことを特徴とする毛髪用化粧品。
【請求項2】
前記ヘアスタイリング剤成分はヘアバーム又はヘアワックスである、請求項1の毛髪用化粧品。
【請求項3】
請求項1又は2の前記毛髪用化粧品を毛髪に塗布するステップからなり、
塗布した前記毛髪用化粧品に含まれる前記トリートメント成分を除去する処理を行うことなく、処理を終了することを特徴とする毛髪トリートメント処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪保護成分を含むトリートメント成分をヘアバームあるいはヘアワックス内に配合してなる毛髪用化粧品に関し、さらには毛髪トリートメント処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘアトリートメント剤には種々の成分を含むものが知られている。中でも、髪質改善のために、毛髪保護成分(タンパク質、アミノ酸等)を含むトリートメント剤で処理することが知られている(例えば特許文献1)。通常、トリートメント剤は液状であり、液状のトリートメント剤を毛髪に塗布し、くし等を使用してトリートメント剤を毛髪全体にしっかり行き渡らせた後に5~6分間程度放置し、その後、ぬるま湯ですすぎ、乾かす、という手順でトリートメントが行われる。しかし、このような従来のトリートメント処理手法では、トリートメント剤が毛髪に塗布されている時間が5~6分間程度と短いので、髪質改善効能を十分に発揮することができない。
【0003】
一方、髪を立上げる等のヘアスタイリングのために、あるいは毛髪保湿等のために、常温で固形油脂状をなすヘアバームあるいはヘアワックスを用いてヘアケアを行うことが知られている(例えば特許文献2)。しかし、従来のヘアバームあるいはヘアワックスは、髪質改善を行うものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-057560号
【特許文献2】特開2019-163235号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、髪質改善のためのトリートメント成分の付着時間を持続させうる毛髪用化粧品及び毛髪トリートメント処理方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る毛髪用化粧品は、アミノ酸及び/又はタンパク質等の毛髪保護成分を含むトリートメント成分と、常温で固形の油脂分を含むヘアスタイリング剤成分とを含み、前記トリートメント成分を前記ヘアスタイリング剤成分内に配合してなることを特徴とする。さらに、本発明に係る毛髪トリートメント処理方法は、前記毛髪用化粧品を毛髪に塗布するステップからなり、塗布した前記毛髪用化粧品に含まれる前記トリートメント成分を除去する処理を行うことなく、処理を終了することを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、常温で固形の油脂分を含むヘアスタイリング剤成分内に毛髪保護成分を含むトリートメント成分を配合しているので、通常のヘアバームあるいはヘアワックスの使用方法と同様に、本発明に係るヘアバーム状の毛髪用化粧品を毛髪に塗布したままとしておくことで、トリートメント成分が長時間にわたって毛髪内に浸透し、トリートメント効果を持続的に発揮させることができる。こうして、髪質改善のためのトリートメント成分の付着時間を持続させて毛髪内への浸透を促進することができ、髪質改善効果を飛躍的に高めることができる。また、ヘアスタイリング剤成分によって所望のヘアスタイリングを維持することができるので、1日中所望のヘアスタイリングを維持しながら、トリートメント効果を持続させることができる、という一石二鳥の効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施例に係る毛髪用化粧品は、アミノ酸及び/又はタンパク質等の毛髪保護成分を含むトリートメント成分と、常温で固形の油脂分を含むヘアスタイリング剤成分とを含み、前記トリートメント成分を前記ヘアスタイリング剤成分内に配合してなるものである。ヘアスタイリング剤成分としては、ヘアバーム又はヘアワックスを用いることができる。公知のように、ヘアバーム又はヘアワックスは、常温で固形であるが、体温程度の温度で溶ける性質を有しており、本実施例において用いられるヘアスタイリング剤成分も同様に、常温で固形であるが、体温程度の温度で溶ける性質を有している。
【0009】
一例として、ヘアスタイリング剤成分として用いるヘアバームは、常温で固形の天然油脂分として、ミツロウ、シアバターなど天然蝋成分のいずれか一種又は複数種を含み、かつ、常温で液体状をなすオイル成分をこれら固形油脂分と共に練り込んでなるものである。したがって、本実施例に係る毛髪用化粧品に含まれるヘアスタイリング剤成分には、常温で固形の油脂分以外に、常温で液体状をなすオイル成分など、各種のヘアバーム又はヘアワックスにおいて公知の如何なる成分が含まれていてよい。例えば、ヘアスタイリング剤成分には、各種のオイル成分(例えば、スクワランオイル、ホホバオイル、アルガンオイル等の天然由来のオイル成分)のいずれか一種又は複数種が含まれていてよく、これにより、ヘアスタイリング剤としての固形状若しくは半固形状の滑らかさを打ち出すことができ、また、主に保湿効能及び美容効果をもたらすこともできる。なお、ヘアスタイリング剤成分に含まれる常温で固形の油脂分と常温で液体状をなすオイル成分との配合比率は、一般的なヘアバームあるいはヘアワックスにおいて公知の比率であってよく、一例として、固形油脂分対オイル成分の配合比率(重量比率又は体積比率)は、1対2(固めに仕上げる場合)乃至1対3(柔らかめに仕上げる場合)程度である。勿論、両者の配合比率は、これに限らず、最終的な仕上がり製品の常温での固さ及び/又は体温程度での溶けやすさの設計思想に応じて(及び使用する油脂及びオイルの材質も考慮して)、適宜に設計し得る。
【0010】
また、比較的微量の添加成分として、ヘアスタイリング剤成分には、オレンジスイート、ラベンダー、レモンセントティーツリー、ゼラニウム油、ダマスクバラ花油など各種の精油のいずか一種又は複数種が含まれていてよく、さらに、トコフェロールのようなビタミン類、イチョウ葉エキス、キハダ樹皮エキスのような植物エキス、及び、ハマメリスウォーター、ローズウォーターのような天然由来の化粧水成分など、それらのいずれか一種又は複数種が適宜含まれていてよい。また、ヘアスタイリング剤成分には、ステアリン酸グリセリルなどの界面活性剤が適宜含まれていてよく、これにより、油分と水分を均一に混ぜ合わせて分離しないように安定させる働きをなす。
【0011】
一例として、トリートメント成分に含まれるアミノ酸及び/又はタンパク質等の毛髪保護成分は、加水分解卵殻膜、加水分解ケラチン、加水分解コラーゲン、加水分解シルク、加水分解コムギ、加水分解コムギタンパク、加水分解ダイズタンパク、グルタミン酸、アルギニン、ピロリドンカルボン酸などのいずれか一種又は複数種であってよい。このような毛髪保護成分によって、髪の毛の間充物質を補給し(髪の内部に栄養分を補給する)、キューティクルの保護及び保湿効能を発揮させ、健やかな髪質を可及的に維持させることができる。さらに、毛髪保護成分には、ヘマチンが含まれていてよい。ヘマチンは毛髪内でケラチンと結合することにより、傷んだ毛髪を覆いダメージを補修するという効果をもたらす。
【0012】
一例として、トリートメント成分には、毛髪保護成分に限らず、適宜のコンディショニング成分が含まれていてよい。例えば、そのようなコンディショニング成分として、卵黄脂肪油、吸着精製ラノリン、ダイズステロール、コレステロール、セラミドなどの脂質成分のいずれか一種又は複数種が含まれていてよく、これにより、毛髪のCMC(細胞膜複合体脂質)成分を補う効能を発揮し、もって、保湿性を高め、毛髪組織を接着させて、髪質改善効能を高めることができる。さらに、一例として、トリートメント成分には、公知のヘアトリートメント剤に含まれる任意の成分(例えば、界面活性剤、pH調整剤等)が適宜含まれていてよい。
【0013】
なお、本実施例に係る毛髪用化粧品に含まれるトリートメント成分とヘアスタイリング剤成分の配合比率(重量比率又は体積比率)は、設計上適宜に決定してよい。要は、ヘアスタイリング剤成分内にトリートメント成分を配合してなる本実施例に係る毛髪用化粧品が、常温で適度の固形をなすような配合比率とするのがよい。例えば、ヘアスタイリング性能を確保するために、トリートメント成分よりもヘアスタイリング剤成分の配合比率(重量比率又は体積比率)の方を大きくするとよい。例えば、ヘアスタイリング剤成分の配合比率が、少なくとも全体の51%以上であることが好ましく、若しくは55%限度若しくはそれ以上、または60%限度若しくはそれ以上、または65%限度若しくはそれ以上、又は70%限度若しくはそれ以上、若しくは75%限度若しくはそれ以上等、であってもよい。別の例として、トリートメント性能を確保するために、トリートメント成分よりもヘアスタイリング剤成分の配合比率(重量比率又は体積比率)の方を小さくしてもよい。その場合、例えば、ヘアスタイリング剤成分の配合比率が、少なくとも全体の49%以下であることが好ましく、若しくは45%限度若しくはそれ以下、または40%限度若しくはそれ以下、または35%限度若しくはそれ以下等、または30%限度若しくはそれ以下等、であってもよい。
【0014】
一実施例に係る毛髪トリートメント処理方法は、上述した毛髪用化粧品を毛髪に塗布するステップからなり、塗布した該毛髪用化粧品に含まれる前記トリートメント成分を濯ぎ等によって除去する処理を行うことなく、処理を終了することを特徴とする。
【0015】
上述のように、本実施例に係る毛髪用化粧品は、ヘアバーム又はヘアワックスのようなヘアスタイリング剤成分を含み、常温で固形であるが適宜の温度(体温程度)又は摩擦熱(指で擦るなどによる摩擦熱)で溶ける性質を有しており、人の指にとって毛髪に塗布することで溶けて毛髪に馴染み、その含有成分(特にトリートメント成分)を髪の毛の中に浸透させることができる。したがって、通常のヘアバーム又はヘアワックスの使用方法と同様に、本実施例に係る毛髪用化粧品を毛髪に塗布したままにしておくことで、トリートメント処理を終了するようにしてよい。
【0016】
これにより、本実施例に係る毛髪用化粧品中に含まれる前記トリートメント成分は、除去されることなく毛髪に付着し、毛髪内に浸透し、長時間にわたってその浸透状態が維持されることとなり、トリートメント効果を持続的に発揮させることができる。こうして、髪質改善のためのトリートメント成分の付着時間を持続させて毛髪内への浸透を促進することができ、髪質改善効果を飛躍的に高めることができる。また、ヘアバーム又はヘアワックスのようなヘアスタイリング剤成分によって所望のヘアスタイリングを維持することができるので、1日中所望のヘアスタイリングを維持しながら、トリートメント効果を持続させることができる、という一石二鳥の効果を奏することができる。