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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022119053
(43)【公開日】2022-08-16
(54)【発明の名称】取付物品の着脱治具
(51)【国際特許分類】
   A45D 40/16 20060101AFI20220808BHJP
   A45D 40/04 20060101ALI20220808BHJP
【FI】
A45D40/16 Z
A45D40/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021016017
(22)【出願日】2021-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】中平 悠
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 智愛
(57)【要約】
【課題】棒状化粧料等の取付物品を、損傷させることなく取付対象物に着脱自在に取り付けることを補助できる、簡単な構造の着脱治具を得る。
【解決手段】着脱治具30は、取付物品Aの基端と先端との間の一部に対して、該基端と先端とを結ぶ方向と交わる方向に移動させて組み付けられ、該取付物品Aの一部を相対向する左右両側から把持する把持部31と、把持部31が取付物品Aの一部を把持している状態において、該把持部31よりも先端側に有る取付物品Aの少なくとも一部を、上記移動の後方側および左右両側から、並びに該取付物品Aの先端側から覆い得る先端側カバー部39とを有している。先端側カバー部39は、取付物品Aの少なくとも一部を覆っているカバー位置と、このカバー位置と比べて取付物品Aをより大きく露出させる開放位置との間で移動可能に、把持部31にヒンジ部38によってヒンジ保持されている。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付物品の基端を、取付対象物に対して押し込むことにより該取付物品を取付対象物に取り付け、前記取付物品の基端を前記取付対象物から引き抜くことにより、該取付物品を取付対象物から取り外すことを補助する着脱治具であって、
前記取付物品の基端と先端との間の一部に対して、該基端と先端とを結ぶ方向と交わる方向に移動させて組み付けられ、該取付物品の一部を相対向する左右両側から把持する把持部と、
前記把持部が前記取付物品の一部を把持している状態において、該把持部よりも前記先端側に有る取付物品の少なくとも一部を、前記移動の後方側および前記左右両側から、並びに該取付物品の先端側から覆い得る先端側カバー部と、
を有し、
前記先端側カバー部が、前記取付物品の少なくとも一部を覆っているカバー位置と、このカバー位置と比べて前記取付物品をより大きく露出させる開放位置との間で移動可能に、前記把持部にヒンジ保持されている、
ことを特徴とする取付物品の着脱治具。
【請求項2】
前記先端側カバー部が、前記カバー位置と、このカバー位置から取付物品に対して離れる方向に倒れた開放位置との間で移動可能にして、前記把持部にヒンジ保持されている請求項1に記載の取付物品の着脱治具。
【請求項3】
前記先端側カバー部が、一部が前記把持部を構成している第1の半割り部と、この第1の半割り部に、前記把持がなされた状態にある取付物品の先端より離間した位置においてヒンジ保持された第2の半割り部とから構成され、
前記第2の半割り部が、前記第1の半割り部と互いに向かい合う状態に結合して筒状のカバー部を構成するカバー位置と、前記第1の半割り部に対して概略、前記把持がなされた状態にある取付物品の基端と先端とを結ぶ方向に連なる開放位置との間で移動可能にヒンジ保持されている、
請求項1に記載の取付物品の着脱治具。
【請求項4】
前記第2の半割り部の一部が、前記把持部を構成している請求項3に記載の取付物品の着脱治具。
【請求項5】
前記把持部が前記取付物品の一部を把持している状態において、該把持部よりも前記基端側に有る取付物品の少なくとも一部を、前記移動の後方側および前記左右両側から覆う基端側カバー部をさらに有する請求項1から4のいずれか1項に記載の取付物品の着脱治具。
【請求項6】
取付物品の基端を、取付対象物に対して押し込むことにより該取付物品を取付対象物に取り付け、前記取付物品の基端を前記取付対象物から引き抜くことにより、該取付物品を取付対象物から取り外すことを補助する着脱治具であって、
前記取付物品の基端と先端との間の一部に対して、該基端と先端とを結ぶ方向と交わる方向に移動させて組み付けられ、該取付物品の一部を相対向する左右両側から把持する把持部と、
この把持部が前記取付物品の一部を把持している状態において、該把持部よりも前記基端側に有る取付物品の少なくとも一部を、前記移動の後方側および前記左右両側から覆う基端側カバー部と、
前記把持部が前記取付物品の一部を把持している状態において、該把持部よりも前記先端側に有る取付物品の少なくとも一部を、前記移動の後方側および前記左右両側から、並びに該取付物品の先端側から覆い得る先端側カバー部と、
を有し、
前記把持部と前記先端側カバー部とが一体化され、これらの把持部および先端側カバー部が、前記基端側カバー部において、概略、前記把持がなされた状態にある取付物品の基端と先端とを結ぶ方向にスライド自在に保持されている、
ことを特徴とする取付物品の着脱治具。
【請求項7】
前記取付物品が、前記把持部によって把持される部材表面に、該把持部の前記移動の方向に沿って延びる横溝を有するものであり、
前記把持部が前記横溝内に係合する横リブを有し、この係合がなされることにより該把持部が、前記把持がなされた状態にある取付物品の基端と先端とを結ぶ方向に移動されたとき該取付物品から離脱することが防止される、
請求項1から6のいずれか1項に記載の取付物品の着脱治具。
【請求項8】
前記基端と先端との間が棒状に延びている棒状部材を前記取付物品とするものである請求項1から7のいずれか1項に記載の取付物品の着脱治具。
【請求項9】
前記取付物品が、棒状化粧料と、前記基端となる一端に係合部が形成され他端に前記棒状化粧料を保持した化粧料保持部とからなるものであり、
前記取付対象物が、前記係合部に係合する被係合部を有し、前記係合により保持した棒状化粧料を繰り出す機構を備えた棒状化粧料容器である、
請求項8に記載の取付物品の着脱治具。
【請求項10】
前記棒状化粧料が口唇用化粧料である請求項9に記載の取付物品の着脱治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は取付物品の着脱治具、すなわち取付物品の基端を、取付対象物に対して押し込むことにより該取付物品を取付対象物に取り付け、また上記基端を取付対象物から引き抜くことにより取付物品を取付対象物から取り外す場合に、この取り付けおよび取り外しを補助する着脱治具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に示されているように、棒状化粧料、例えば口紅等の口唇用化粧料をカートリッジ体とし、そのカートリッジ体を容器本体に着脱自在に係合させてなる化粧料容器が知られている。この種の化粧料容器においては、棒状化粧料が使い切られたなら、いわゆるレフィルとしての新しいカートリッジ体と交換することにより、容器本体は捨てずに継続使用できるので、経済的である。またこの種の化粧料容器によれば、棒状化粧料が使い切られた場合に限らず、カートリッジ体を取り替えることにより、色等が異なる複数種類の棒状化粧料を容易に使い分けることも可能になる。
【0003】
ところで、上述のようなカートリッジ式の化粧料容器においては、カートリッジ体の交換時に棒状化粧料を損傷させたり、手指等を化粧料で汚してしまうという問題が認められていた。特許文献1には、そのような問題を解決するための構造が提案されている。ここに示された構造では、筒状部材の中に、棒状化粧料を保持する中皿や、その中皿を棒状化粧料の長手方向に螺進退させる繰出し機構等を収めてカートリッジ体を構成しているので、カートリッジ体の交換時も棒状化粧料は筒状部材に覆われたままとなり、上述の問題が防止される。
【0004】
一方、上述のように棒状化粧料を筒状部材の中に保持した状態ではなく、棒状化粧料をいわば裸の状態で取付対象物に取り付ける際に、棒状化粧料が損傷することを防止できるようにした取付方法および装置が、特許文献2に示されている。ここに示された棒状化粧料の取付方法および装置は、棒状化粧料であるリップスティックを、取付対象物としてのディスペンサの受容部に取り付けるに当たり、受容部内を負圧状態にしてそこにリップスティックを吸引、受容するようにしたものである。この棒状化粧料の取付方法および装置によれば、リップスティックを機械的に保持することが不要となるので、棒状化粧料の損傷が防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平6-11611号公報
【特許文献2】特許第6161602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に示された構造には、カートリッジ体を容器本体に対して着脱させる際に、使用者がカートリッジ体の小さな基底部を把持して着脱操作を行う必要があるので、この着脱がし難いという問題が認められる。特許文献2に示される方法および装置を、カートリッジ体を容器本体に取り付ける場合に適用すれば、この取付けを容易に行い得ると考えられる。
【0007】
しかし、特許文献2に示される方法を実施する装置は、真空ポンプ等の負圧源を備える複雑な機構を要する上に、棒状化粧料を取付対象物に取り付ける場合専用のものであって、棒状化粧料を取付対象物から取り外す場合には適用不可能である。
【0008】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、棒状化粧料等の取付物品を取付対象物に着脱自在に取り付ける際に、取付物品の損傷を防止し、また取付物品によって手指等を汚すことを防止しながら、取付物品の着脱を容易に行えるように補助できる、簡単な構造の取付物品の着脱治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による第1の取付物品の着脱治具は、
取付物品の基端を、取付対象物に対して押し込むことにより該取付物品を取付対象物に取り付け、また、取付物品の基端を取付対象物から引き抜くことにより、該取付物品を取付対象物から取り外すことを補助する着脱治具であって、
取付物品の基端と先端との間の一部に対して、該基端と先端とを結ぶ方向と交わる方向に移動させて組み付けられ、該取付物品の一部を相対向する左右両側から把持する把持部と、
把持部が取付物品の一部を把持している状態において、該把持部よりも先端側に有る取付物品の少なくとも一部を、上記移動の後方側および左右両側から、並びに該取付物品の先端側から覆い得る先端側カバー部と、
を有し、
上記先端側カバー部が、取付物品の少なくとも一部を覆っているカバー位置と、このカバー位置と比べて取付物品をより大きく露出させる開放位置との間で移動可能に、把持部にヒンジ保持されている、
ことを特徴とするものである。
なお、上記の「把持部にヒンジ保持されている」とは、把持部に直接的にヒンジ保持されていることは勿論、把持部に何らかの部材を介して間接的にヒンジ保持されていることも含むものである。
さらに、先端側カバー部の一部(把持部側の部分)と先端側カバー部のその他の部分(把持部から遠い側の部分)とが互いにヒンジ保持し合っているような場合でも、上記先端側カバー部の一部(把持部側の部分)を把持部と考えることにより、「把持部にヒンジ保持」とみなすことにする。
【0010】
上記の構成においては、先端側カバー部が、前記カバー位置と、このカバー位置から取付物品に対して離れる方向に倒れた開放位置との間で移動可能にして把持部にヒンジ保持されていることが望ましい。
【0011】
また上記構成を有する本発明による第1の取付物品の着脱治具においては、
先端側カバー部が、一部が把持部を構成している第1の半割り部と、この第1の半割り部に、上記の把持がなされた状態にある取付物品の先端より離間した位置においてヒンジ保持された第2の半割り部とから構成され、
第2の半割り部が、第1の半割り部と互いに向かい合う状態に結合して筒状のカバー部を構成するカバー位置と、第1の半割り部に対して概略、上記把持がなされた状態にある取付物品の基端と先端とを結ぶ方向に連なる開放位置との間で移動可能にヒンジ保持されていてもよい。
【0012】
そのような第1の半割り部と第2の半割り部とから先端側カバー部を構成する場合、第2の半割り部は、その一部が上記把持部を構成するように構成してもよい。しかし、必ずしもそのような構成とはしないで、第2の半割り部が、ヒンジ保持部から比較的短く形成されて、取付物品を覆うことができるギリギリ程度の長さとされたような場合は、第2の半割り部と第1の半割り部とを係合させて筒状としてもよい。
【0013】
また上記構成を有する本発明による第1の取付物品の着脱治具においては、
把持部が取付物品の一部を把持している状態において、該把持部よりも前記基端側に有る取付物品の少なくとも一部を、前記把持のための移動の後方側および前記左右両側から覆う基端側カバー部をさらに有するのが望ましい。
【0014】
一方、本発明による第2の取付物品の着脱治具は、
取付物品の基端を、取付対象物に対して押し込むことにより該取付物品を取付対象物に取り付け、取付物品の基端を取付対象物から引き抜くことにより、該取付物品を取付対象物から取り外すことを補助する着脱治具であって、
取付物品の基端と先端との間の一部に対して、該基端と先端とを結ぶ方向と交わる方向に移動させて組み付けられ、該取付物品の一部を相対向する左右両側から把持する把持部と、
この把持部が取付物品の一部を把持している状態において、該把持部よりも基端側に有る取付物品の少なくとも一部を、上記移動の後方側および左右両側から覆う基端側カバー部と、
把持部が取付物品の一部を把持している状態において、該把持部よりも先端側に有る取付物品の少なくとも一部を、上記移動の後方側および左右両側から、並びに該取付物品の先端側から覆い得る先端側カバー部と、
を有し、
上記把持部と上記先端側カバー部とが一体化され、これらの把持部および先端側カバー部が、上記基端側カバー部において、概略、上記把持がなされた状態にある取付物品の基端と先端とを結ぶ方向にスライド自在に保持されている、
ことを特徴とするものである。
【0015】
以上述べた本発明による第1あるいは第2の取付物品の着脱治具においては、
取付物品が、把持部によって把持される部材表面に、該把持部の前記把持のための移動の方向に沿って延びる横溝を有するものであり、
把持部が上記横溝内に係合する横リブを有し、この係合がなされることにより該把持部が、前記把持がなされた状態にある取付物品の基端と先端とを結ぶ方向に移動されたとき該取付物品から離脱することが防止される、
ことが望ましい。
【0016】
また、本発明による第1あるいは第2の取付物品の着脱治具は、特に、基端と先端との間が棒状に延びている棒状部材を取付物品とするものであってもよい。そのような取付物品としては例えば、棒状化粧料と、前記基端となる一端に係合部が形成され他端に前記棒状化粧料を保持した化粧料保持部とからなるものが挙げられる。一方、その場合の取付対象物としては例えば、係合部に係合する被係合部を有し、その係合により保持した棒状化粧料を繰り出す機構を備えた棒状化粧料容器が挙げられる。また、上記の棒状化粧料としては、例えば口紅等の口唇用化粧料が挙げられる。
【発明の効果】
【0017】
本発明による第1の取付物品の着脱治具においては、前述した通りの把持部と、基端側カバー部と、先端側カバー部とが設けられ、そして先端側カバー部は、取付物品の少なくとも一部を覆っているカバー位置と、このカバー位置から取付物品に対して離れる方向に倒れた開放位置との間で移動可能に把持部にヒンジ保持されているので、先端側カバー部を上記カバー位置に設定することにより、取付物品の損傷を防止でき、さらに、取付物品によって取扱者が手指等を汚すことを防止できる。なお、以上の効果をより顕著にするためには、先端側カバー部を、より広い範囲に亘って取付物品を覆うように形成すればよい。またこの着脱治具は、上述した通りの把持部と、基端側カバー部と、先端側カバー部とからなり、先端側カバー部がカバー位置と開放位置との間で移動可能に把持部にヒンジ保持されたものであって、構造が極めて簡単なものとなっている。
【0018】
また、本発明による第2の取付物品の着脱治具においては、前述した通りの把持部と、基端側カバー部と、先端側カバー部とが設けられ、そして先端側カバー部は把持部と一体化され、これらの把持部および先端側カバー部が、基端側カバーにおいて、概略、上記把持がなされた状態にある取付物品の基端と先端とを結ぶ方向にスライド自在に保持されているので、先端側カバー部を把持部と共に上記方向にスライドさせて取付物品を覆う位置に設定することにより、取付物品の損傷を防止でき、さらに、取付物品によって取扱者が手指等を汚すことを防止できる。なお、以上の効果をより顕著にするためには、先端側カバー部を、より広い範囲に亘って取付物品を覆うように形成すればよい。またこの着脱治具は、上述した通りの把持部と、基端側カバー部と、先端側カバー部とからなり、先端側カバー部が把持部と共にスライド自在に基端側カバー部に保持されたものであって、構造が極めて簡単なものとなっている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明による取付物品の着脱治具が取り扱う取付物品および、その取付物品が取り付けられる取付対象物の例を示す斜視図
図2図1の取付物品を詳しく示す斜視図
図3図1の取付物品の一部を示す側面図(a)、側断面図(b)および概略側面図(c)
図4図1の取付対象物を示す斜視図
図5図1の取付対象物を構成する上下可動パーツを示す斜視図(a)、平面図(b)および側面図(c)
図6】上記上下可動パーツが上死点にある状態を示す概略側面図
図7】上記上下可動パーツが上死点以外の上下位置にある状態を示す概略側面図
図8】本発明の第1実施形態による取付物品の着脱治具を示す斜視図
図9図8の着脱治具が図8とは別の状態にあるところを示す斜視図
図10図8の着脱治具が図8とはさらに別の状態にあるところを示す斜視図
図11図8の着脱治具を図8とは別の方向から見て示す斜視図
図12】本発明の第2実施形態による取付物品の着脱治具を示す斜視図
図13図12の着脱治具が図12とは別の状態にあるところを示す斜視図
図14図12の着脱治具が図12とはさらに別の状態にあるところを示す斜視図
図15】本発明の第3実施形態による取付物品の着脱治具を示す斜視図
図16図15の着脱治具が図15とは別の状態にあるところを示す斜視図
図17図15の着脱治具が図15とはさらに別の状態にあるところを示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。まず図1図7を参照して、本発明の実施形態による取付物品の着脱治具(以下、単に着脱治具という)が取り扱う取付物品と、その取付物品が取り付けられる取付対象物について説明する。図1および図2に示すように本例の取付物品Aは、棒状化粧料の一例である口紅1が化粧料保持部2に保持されてなる棒状物品である。口紅1は一例として、後述する棒状化粧料容器に収めて使用され、また、そうして使用されたものが使い切られた場合等に新たに棒状化粧料容器に補充して用いられる、いわゆる「レフィル」としての口紅である。この取付物品Aは、例えば本発明による着脱治具が保護用カバーとして被着された状態で、あるいはそのようなカバーの被着は無しで、例えば透明な有底角筒状のレフィル収容箱(図示せず)に収められて、販売等に供される。
【0021】
なお化粧料保持部2および、後述する各実施形態の着脱治具は、一例として生分解性ポリマーPHBH(登録商標)や、ABS(アクリルニトリル・ブタジエン・スチレン)樹脂等から形成される。PHBHは、環境保護の観点から特に好ましい材料である。一方上記レフィル収容箱は、一例としてPE(ポリエチレン)樹脂等から形成される。しかし、化粧料保持部2、着脱治具、およびレフィル収容箱の材料はそれらに限定されるものではなく、特にレフィル収容箱は、樹脂使用量を低減するために紙から形成することも好ましい。
【0022】
図1に示すように取付物品Aは、その図中の下端(基端)側から概略円筒状の螺旋パーツ10内の上下可動パーツ20に係合、一体化される。本発明による着脱治具は、後に詳述するように、この係合およびその解除を補助できるようにしたものである。なお、本例の口紅1は直接的に化粧料保持部2に保持されているが、口紅1は、何らかの部材を介して間接的に化粧料保持部2に保持されてもよい。なお、取付物品Aの基端を構成する化粧料保持部2の詳細形状を図3に示す。
【0023】
螺旋パーツ10および、その周辺の構造からなる棒状化粧料容器を図4に示す。この図4では、左側に螺旋パーツ10とはかまパーツ11との組付け状態を概略的に示し、右側に螺旋パーツ10およびはかまパーツ11に加えてその他の要素も加えた実際の組付け状態を分解して示している。図示のように螺旋パーツ10は、円筒状部材の内周面に、筒軸方向に繰り返す1本の螺旋状凹溝10aが形成されたものである。この螺旋パーツ10は、有底円筒状のはかまパーツ11内において、該はかまパーツ11と筒軸周りに相対回転可能に配設されている。
【0024】
はかまパーツ11内に配設された螺旋パーツ10の内部には、さらに中筒14が配設されている。この中筒14は、概略円筒状の部材からなるものであり、その周壁部には互いに180°(度)の角度間隔を置いて、大部分が筒軸と平行な方向に延びる2つのスリット14aが形成されている。各スリット14aは、スリット上端から中筒14の周方向に折れ曲がった短い曲がり部14bが連なる形状とされている。また中筒14の下端部には、係合用切欠き14cが設けられている。この係合用切欠き14cには、はかまパーツ11の周壁に形成された図示外の係合部が係合している。それにより中筒14およびはかまパーツ11は一体的に、螺旋パーツ10に対して相対回転可能とされている。
【0025】
中筒14の内部には、上下可動パーツ20が収められている。上下可動パーツ20は、周外方に向いた2つの凸部23を有するものであり、これらの凸部23をそれぞれスリット14aに通すことによって中筒14と組み合わされている。それにより上下可動パーツ20は中筒14に対して筒軸方向に、つまりスリット14aの直線状部分に沿って相対移動可能となっている。また、スリット14aから飛び出た凸部23の先端部は、螺旋パーツ10の螺旋状凹溝10a内に収められている。
【0026】
この構造において、はかまパーツ11を螺旋パーツ10に対して相対回転させると、上下可動パーツ20は、螺旋状凹溝10aに案内されて回転しながら、中筒14のスリット14aに沿って上下方向に移動する。この上下移動の向きは、上記相対回転の方向に応じて変わる。そこで、上下可動パーツ20に化粧料保持部2を係合させておけば、口紅1を螺旋パーツ10から繰り出し、そして螺旋パーツ10に収めることができる。なお、螺旋パーツ10および中筒14は、例えばABS樹脂やPS(ポリエチレン)樹脂等から形成される。
【0027】
ここで図5を参照して、上下可動パーツ20の形状を詳しく説明する。この図5では、(a)、(b)および(c)にそれぞれ、上下可動パーツ20の斜視形状、平面形状および側面形状を示している。図示の通り上下可動パーツ20は、概略円筒の一部をなす形状の2つの周壁部21、同じく概略円筒の一部をなす形状とされて周壁部21を連結する2つの基部22、および2つの周壁部21の各外周面から周外方に突出した凸部23を有するもので、一体的に形成されている。周壁部21は上述の形状とされているので、その中央部に、上下方向(同図(b)では、紙面に直交する方向)に延びる貫通孔を有している。また2つの周壁部21同士の間には、隙間が形成されている。この上下可動パーツ20は、例えば環境保護の観点から好ましいPHBHを用いて形成される。
【0028】
上述した通り上下可動パーツ20は、中筒14の中に配されて該中筒14に対して筒軸方向に相対移動する。その際に上下可動パーツ20がガタつくと、つまり中筒14の径方向に動いてしまうと使用感が損なわれてしまう。そのために、中筒14の内周面に接する上下可動パーツ20の基部22は、この内周面に緊密に接する形状、大きさとされている。
【0029】
次に、上記上下可動パーツ20と係合する化粧料保持部2について、図2および図3を参照して詳しく説明する。図2は化粧料保持部2および、そこに保持されている口紅1の斜視形状を示している。また図3の(a)および(b)にはそれぞれ、化粧料保持部2の側面形状および、筒軸を含む面内の側断面形状を示している。これらの図に示される通り化粧料保持部2は、概略円筒状に形成されて上端部の内部に口紅1を保持する外側周壁部2aと、この外側周壁部2aの内側に同心状に配された概略円筒状の内側周壁部2dとを有して、全体として二重筒状に形成されている。
【0030】
外側周壁部2aの周表面には、この外側周壁部2aの一つの接線方向と平行な方向に延びる横溝2bが形成されている。またこの横溝2bの下側において外側周壁部2aの周表面には、外側周壁部2aの軸方向に延びる縦溝2cが形成されている。以上の横溝2bおよび縦溝2cの組は、外側周壁部2aの周方向に互いに180度の角度間隔を置いて2組設けられている。一方、内側周壁部2dの外周面の一部には、この内側周壁部2dから外側に突出したガタ防止リブ2e(図2参照)が2つ形成されている。
【0031】
上記2つのガタ防止リブ2eは、上下可動パーツ20が化粧料保持部2と係合した際に、上下可動パーツ20の周壁部21同士間の隙間に入り、その外面が基部22(図5参照)の外周面と整合する状態となる。そこで、化粧料保持部2が上下可動パーツ20と共に中筒14の中で筒軸方向に相対移動する際に、化粧料保持部2がガタつくことも防止される。なお図5の(a)に示されているように、上記隙間を形成する2つの周壁部21のそれぞれにおいて、隙間側の上端部はテーパ状に形成されて、ガタ防止リブ2eを上記隙間に誘導可能とされている。
【0032】
以下、化粧料保持部2と上下可動パーツ20との係合をより確実に果たすための構成を説明する。図2に示す通り、化粧料保持部2の筒状をなす外側周壁部2aには、筒軸方向に延びてこの外側周壁部2aの外方、つまり下方に開口する切欠きCが形成されている。この切欠きCは、開口している部分から上方に延び、次いで外側周壁部2aの周方向に延びる概略L字状の形とされている。そこで、この切欠きCの上記周方向に延びる部分の下側には、この部分に沿って延びる舌状の押え部2fが形成されている。化粧料保持部2は前述した樹脂等から形成されているので、この押え部2fの特に先端部は外側周壁部2aの径方向に弾性変形可能となっている。そしてこの押え部2fの先端面2gは、概略「く」字状つまり、上下方向の略中央部から上の部分と下の部分とが互いに逆向きに傾斜した形状とされて、切欠きCを途中で細くする切欠き絞り部を構成している。
【0033】
なお前述した図3の(c)には、化粧料保持部2に上下可動パーツ20が係合した際の両者の位置関係を概略的に示している。図示の通り上記係合は、上下可動パーツ20の凸部23が上記切欠きCの中に入った状態下で、押え部2fの先端面2gにより(詳しくは、概略「く」字状である該先端面2gの上側の傾斜面により)凸部23の移動が阻止されることによってより確実になされる。以上述べた切欠きCおよび押え部2fの組は、図3の(a)および図2では1組だけ示されているが、実際は、上下可動パーツ20の2つの凸部23に対応させて、外側周壁部2aの周方向に互いに180度の角度間隔を置いて2組設けられている。
【0034】
次に、化粧料保持部2と上下可動パーツ20との係合、一体化と、この係合の解除について説明する。説明を容易にするために、まず、この係合、一体化がなされている状態、つまり口紅1が使用可能となっている状態から説明する。この状態下では、図4および図5に示す上下可動パーツ20の周壁部21が中央部に有する貫通孔内に、化粧料保持部2の内側周壁部2d(図3参照)が収められる。そして、化粧料保持部2の外側周壁部2a、特にその一部である押え部2fが上記周壁部21を周外方から弾力的に把持すると共に、化粧料保持部2の内側周壁部2dが上記貫通孔の周壁である周壁部21の内壁に密接、嵌合することによって、化粧料保持部2が上下可動パーツ20と係合、一体化される。この状態にあるときは、先に図3の(c)を参照して説明した通り、押え部2fの先端面2gにより凸部23の移動が阻止されるので、化粧料保持部2と上下可動パーツ20との係合が簡単に解除されてしまうことはない。
【0035】
以上の状態下では、上下可動パーツ20の凸部23が中筒14のスリット14aを通過し、そして凸部23の先端部が螺旋パーツ10の螺旋状凹溝10a内に収められている。前述した通り、中筒14およびはかまパーツ11を、螺旋パーツ10に対して相対回転させると、上下可動パーツ20が中筒14のスリット14aに沿って上下方向に移動する。こうして上下可動パーツ20が移動すれば、そこに係合している化粧料保持部2も、該化粧料保持部2に保持されている口紅1も上下方向に移動するので、口紅1を螺旋パーツ10から出退させることができる。そこで、螺旋パーツ10から突出させた口紅1を化粧に使用可能となる。以上説明の通り図4に示した棒状化粧料容器では、中筒14、螺旋パーツ10およびはかまパーツ11により、上下可動パーツ20を中筒14に対して筒軸方向に相対移動させる繰出し機構が構成されている。
【0036】
上記のように中筒14およびはかまパーツ11を、螺旋パーツ10に対して相対回転させて、上下可動パーツ20を中筒14のスリット14aに沿って上方に移動させ続けると、上下可動パーツ20の凸部23は中筒14のスリット14aの上端に達し、そして螺旋状凹溝10aに案内されて曲がり部14b内に誘い込まれる。この状態になると、上下可動パーツ20はそれよりも上方に移動することができないので、この状態下での上下可動パーツ20の位置を「上死点」と称する。上死点に上下可動パーツ20が到達すると、図6に示すように、上下可動パーツ20と係合している化粧料保持部2の押え部2fは、その先端部が中筒14のスリット14aと整合するようになる。
【0037】
押え部2fの先端部が中筒14のスリット14aと整合していない場合は、押え部2fが周外方から中筒14の内周面によって緊密に押えられている。そこでこの場合、押え部2fの先端部は、化粧料保持部2の外側周壁部2aの径方向に容易に動くことはできない。つまり、上下可動パーツ20と化粧料保持部2との係合は解除困難である。この状態は、上下可動パーツ20が上死点以外の上下位置にあるときに得られるものであり、この状態を概略的に図7に示す。
【0038】
それに対して、押え部2fの先端部が中筒14のスリット14aと整合している場合、押え部2fの先端部はスリット14a内に逃げ込めるので、外側周壁部2aの径外方に弾性変形可能となる。そこで、上下可動パーツ20が上死点に位置している状態下で、化粧料保持部2を、あるいはこの化粧料保持部2に保持されている口紅1を、上下可動パーツ20に対して(つまり中筒14に対して)ある程度大きい力で上方に動かすと、押え部2fの先端部が弾性変形しつつ凸部23を上方に向かって乗り越えて、凸部23が化粧料保持部2の外側周壁部2aの切欠きCから切欠き開口側に抜け出る。こうして、上下可動パーツ20と化粧料保持部2との係合が解除される。
【0039】
したがって、化粧料保持部2に保持されている口紅1が使い切られた際等には、以上の通りにして上下可動パーツ20と化粧料保持部2との係合を解除した後、レフィルとしての新しい口紅1を保持している別の化粧料保持部2を上方から上下可動パーツ20に押し込むと、この別の化粧料保持部2が新たに上下可動パーツ20と係合、一体化される。そこで、この別の化粧料保持部2に保持されている口紅1を新たに使用可能となる。上述のように別の化粧料保持部2を上方から上下可動パーツ20に押し込む際にも、上下可動パーツ20が上死点に有る状態にしておけば、押え部2fの先端部が弾性変形しつつ凸部23を下方に向かって乗り越え、凸部23が切欠きCの中に入って押え部2fの先端面2gにより移動が阻止される状態、つまり図3の(c)に示す状態になる。
【0040】
なお、上下可動パーツ20と化粧料保持部2との係合を解除可能、解除困難とは、通常の力による操作を前提とするものであって、例えば容器の一部を破壊するような特別大きな力で係合を解除しても、それは解除可能とはみなさないものとする。一般に使用者は、上下可動パーツ20が上死点ではない位置にある状態下で、上下可動パーツ20と化粧料保持部2との係合を解除するように口紅1を上方に動かしても、係合が解除される感じがしないことから、この状態下で係合を解除させようとするのは誤った操作であると気づくことができる。これは、図4に示した棒状化粧料容器の使用に慣れている使用者や、あるいはこの棒状化粧料容器の取扱説明書を良く理解している使用者は勿論のこと、そうではない使用者の多くに関しても言えることである。
【0041】
以上詳しく説明した通り、図4に示した棒状化粧料容器においては、上下可動パーツ20が中筒14に対して上死点付近まで移動した位置では、該上下可動パーツ20と化粧料保持部2との係合が解除可能で、上下可動パーツ20がその他の上下位置にあるときは上記係合が解除困難に構成されているので、上下可動パーツ20を上死点付近まで移動させれば、その後は簡単な手作業、つまり化粧料保持部2を上下可動パーツ20から引き抜く作業だけで、化粧料保持部2を交換のために取出し可能となっている。また図4に示した棒状化粧料容器においては、上述のように構成されていることから、上下可動パーツ20を上死点付近以外の位置まで移動させるだけで、化粧料保持部2が上下可動パーツ20と係合、一体化した状態を確実に、かつ安定して維持させることができる。
【0042】
なお図4に示した棒状化粧料容器においては、上下可動パーツ20に2つの凸部23が設けられ、それに対応して中筒14には2本のスリット14aが形成されているが、凸部23を1つあるいは3つ以上設け、それに対応して中筒14のスリット14aも凸部23と同数形成してもよい。
【0043】
次に図8図11を参照して、本発明の第1実施形態による着脱治具30について説明する。この着脱治具30は図8に示すように、前述した通り口紅1が化粧料保持部2に保持されてなる取付物品Aを、取付対象物Bに取り付け、またそこから取り外すことを補助するために用いられるものである。着脱治具30は、後述する着脱治具40および50と同様に例えば合成樹脂から形成されている。本例において取付対象物Bは、図1および図4に示した螺旋パーツ10、より詳しくはその中に保持されている上下可動パーツ20であるが、図8図11においては、それらをまとめて概略的に取付対象物Bとして示している。この点は、後に説明する図12図17においても同様である。
【0044】
図8に示すように、着脱治具30に保持させた取付物品Aが取付対象物Bの上方に位置する状態として、該着脱治具30を図中の矢印Yの下向きの方向にある程度大きな力で押し込めば、図9に示すように取付物品Aが取付対象物Bに取り付けられる。この際、より詳しくは、化粧料保持部2が係合して上下可動パーツ20に取り付けられるが、その係合の詳細は前述した通りであるので、ここでは重複して説明しない。また着脱治具30を、つまり化粧料保持部2を上方から上下可動パーツ20に押し込むに当たっても、上下可動パーツ20は前述した上死点に有る状態とされる。それにより、押え部2fの先端部が弾性変形しつつ凸部23を下方に向かって乗り越えて、凸部23が切欠きCの中に入る状態となる(図3の(c)参照)。なお、着脱治具30を図8とは略反対側から見た状態を図11に示す。
【0045】
着脱治具30による取付物品Aの保持は、図8および図9に示すように、取付物品Aの一部をその太さ方向に相対向する左右両側から、1対の把持部31(両図では見えている一方のみ表示)で把持することによってなされる。この把持は、図10に示す状態から、着脱治具30を取付物品Aに対して矢印Xの左向きの方向に移動させて、図9に示す状態とすることによってなされる。その際、弾性変形可能な合成樹脂からなる1対の把持部3は、取付物品Aの一部を弾力的に把持する。ここで、着脱治具30の上記移動の方向は、取付物品Aの長さ方向と交わる方向であり、本実施形態では特に、取付物品Aの長さ方向と略直交する方向である。
【0046】
なお実際には、取付物品Aに対して着脱治具30を上述のように移動させる代わりに、静置させた着脱治具30に対して取付物品Aを移動させても、取付物品Aを把持部31に把持させることができる。しかしその場合も、着脱治具30と取付物品Aとの相対移動で考えて、着脱治具30を取付物品Aに対して移動させると言うものとする。この点は、後述する他の実施形態の説明でも同様である。また、着脱治具30が把持する取付物品Aの一部とは、取付物品Aの基端つまり化粧料保持部2の図10における下端と、取付物品Aの先端つまり口紅1の図10における上端との間の一部であり、詳しくは化粧料保持部2の外側周壁部2aの横溝2bが形成された部分(図2および図3参照)である。
【0047】
この状態から、着脱治具30を図10の矢印Xの右向きの方向に移動させれば、該着脱治具30による取付物品Aの把持を解除することができる。そこで、図9に示すように取付物品Aを取付対象物Bに取り付けた後、上述のようにして着脱治具30による取付物品Aの把持を解除させ、取付物品Aから着脱治具30を取り外すことができる。したがってその後は、螺旋パーツ10に、つまりは上記棒状化粧料容器に係合している取付物品Aの口紅1を普通に使用することができる。なお、このように口紅1を使用する場合は、上下可動パーツ20を上記上死点以外の位置まで下降させて(図7の状態)、上下可動パーツ20から化粧料保持部2が簡単に外れない状態とするのが望ましい。
【0048】
以上の通りにして口紅1を使用し、その口紅1が使い切られた場合や、あるいはその口紅1を色等が異なる別の種類の口紅1と交換したくなった場合は、上下可動パーツ20を上死点まで上昇させて、取付物品Aを取付対象物Bから引き抜いて取り外す。その後、新しい口紅1あるいは別の種類の口紅1が化粧料保持部2に保持されてなる取付物品Aを着脱治具30に保持させてから、前述と同様にしてその取付物品Aを取付対象物Bに(つまり化粧料保持部2を上下可動パーツ20に)取り付けることができる。なお、上述のように取付物品Aを取付対象物Bから引き抜く際にも、着脱治具30によって取付物品Aを把持し、その状態で着脱治具30を操作することにより、引き抜きを容易に行うことができる。
【0049】
次に、着脱治具30のさらに詳しい構成およびそれによる作用について説明する。図9および図10に明示されるように着脱治具30は、それぞれ一方向に延びる1対の角棒状の把持部31、およびこれらの把持部31の先端部に一体的に形成された同じく角棒状の把持案内部32を有している。把持部31は図10では一方だけが示されているが、それぞれが把持案内部32の内側に位置し、互いに左右方向に所定間隔を置いた状態にして1対設けられている。
【0050】
上記の左右方向とは、前述したように取付物品Aを着脱治具30によって把持させ、あるいは把持を解除する際に着脱治具30を取付物品Aに対して移動させる方向(矢印X方向)および取付物品Aの長手方向(取付物品Aの基端と先端を結ぶ方向:矢印Y方向)の双方に略直交する方向である。1対の角棒状の把持部31が把持する取付物品Aの一部は、前述した通り、化粧料保持部2の外側周壁部2aの横溝2bが形成された部分である。つまり角棒状の把持部31は横溝2bに係合して、把持部31が取付物品Aに対して矢印Y方向に移動されたとき、該取付物品Aから離脱することを防止する横リブとして機能する。
【0051】
各把持案内部32は図11に示される通り、基端部から先端部に向かって相手の把持案内部32との間隔が次第に広がるように、内端面が斜めに形成されている。そこで、取付物品Aの一部を把持するために着脱治具30を取付物品Aに対して近接させると、まず1対の把持案内部32の間隔が大きい先端部が取付物品Aの一部を容易に間に補え、そこから着脱治具30が取付物品Aの方に移動されるのに連れて把持案内部32が取付物品Aの一部を、間隔が小さい1対の把持部31の間に導くように案内する。
【0052】
また着脱治具30は図10および図11に示される通り、概略上記左右方向に延びる1枚の基端側背板33と、この基端側背板33の左右両側外方に各々配された2枚の基端側側板34とを有する。基端側背板33と基端側側板34とは、互いに一体化されている。上記把持案内部32は、それぞれ基端側側板34の一部を構成している。この把持案内部32と一体化された把持部31は、同様に基端側背板33とも一体化されている。以上の基端側背板33および基端側側板34は、図8に示すように把持部31が取付物品Aの一部を把持している状態において、把持部31よりも基端側に有る取付物品Aの一部を、この把持のために移動される把持部31の移動方向後方側および左右両側から覆い得る基端側カバー部37を構成している。
【0053】
上記基端側背板33は図11に示される通り、2枚の基端側側板34の間に差し渡された横板33bおよび33cの間に保持されている。また横板33bの上には、基端側背板33と同様に取付物品Aを上記移動方向後方側から覆い得る湾曲した背板33aが配設されている。
【0054】
さらに着脱治具30は図9図11に示される通り、上記左右方向に延びる1枚の先端側背板35aと、この先端側背板35aの左右両側外方に各々配された2枚の先端側側板36と、これらの先端側側板36の上端に差し渡された先端側天板35bとを有する。以上の先端側背板35a、先端側側板36および先端側天板35bは、図8および図11に示すように把持部31が取付物品Aの一部を把持している状態において、把持部31よりも先端側に有る取付物品Aの一部を、この把持のために移動される把持部31の移動方向後方側および左右両側から、並びに取付物品Aの先端側から覆い得る先端側カバー部39を構成している。
【0055】
上記2枚の先端側側板36の下部にはそれぞれ、図11に示される通り、ヒンジ部38が形成されている(同図では一方のみ表示)。そこで先端側側板36は、したがって先端側カバー部39全体は、ヒンジ部38のヒンジ軸Hを中心として、基端側カバー部37に対して揺動自在となっている。先端側カバー部39はこのように揺動自在とされているので、図8および図11に示すように取付物品Aの一部を覆うカバー位置と、このカバー位置から取付物品Aに対して離れる方向に揺動して該取付物品Aを大きく露出させる開放位置(図9および図10に示す位置)とを取り得る。
【0056】
先端側カバー部39を上記のカバー位置に設定することにより、取付物品Aを覆って保護可能で、また、口紅1で取扱者の手指等が汚れることも防止できる。そこで、この状態にした先端側カバー部39および取付物品Aをそのまま、あるいは例えば簡易包装して、取付物品Aの(つまり口紅1の)レフィルとして販売に供することも可能である。
【0057】
なお、先端側カバー部39を上記のカバー位置に設定しておくと、着脱治具30に取付物品Aを保持させる際に取付物品Aが見え難くて、把持部31による取付物品Aの把持が円滑になされないことも有り得る。そこで取付物品Aの保持に際しては、先端側カバー部39を上記の開放位置に設定して、取付物品Aがどこに有るか視認し易くするのが望ましい。そのようにすれば、例えば把持案内部32の先端を取付物品Aに衝突させるようなことを防止して、把持部31による取付物品Aの把持を円滑に行うことができる。
【0058】
次に図12図14を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。なおこれらの図において、既に説明したものと同等の要素には同番号を付してあり、それらについての説明は、特に必要の無い限り省略する(以下、同様)。図12図14は、本発明の第2実施形態による取付物品の着脱治具40の全体形状を示す斜視図であり、図12は着脱治具40に取付物品Aが保持されている状態を示し、図13はこの保持がなされるときの状態を示し、図14はこの保持がなされる直前あるいは保持が解除されたときの状態を示している。
【0059】
これらの図に示されているように本実施形態の着脱治具40は、棒状の取付物品Aを把持する左右1対の把持部41を有している。各把持部41は、第1実施形態における把持部31および把持案内部32が一体化されたような形状を有するもので、先端部は把持案内部32と同様に内端面が斜めに形成されている。把持部41は、上記把持部31および把持案内部32と同様の作用を果たす。
【0060】
また着脱治具40は、上記1対の把持部41およびそれらと一体化された後述の先端側カバー部を、把持された状態にある取付物品Aの長手方向(図12の矢印Y方向)にスライド自在に保持する基端側カバー部を有する。この基端側カバー部は、台座部42と、図中でその上に固定あるいは一体的に形成された載置部44とから構成されている。載置部44は、概略円筒状の部材の一部をなす形状とされたもので、図中の上端面44aは概略矢印Y方向に延びており、また前端面44cを含む前端部は、内側に張り出した張出部44bとされている。
【0061】
上記先端側カバー部は、取付物品Aが把持部41に把持されたとき、その取付物品Aの先端に対面する先端側天板45と、この先端側天板45と一体化されて矢印Y方向に延びる先端側側板46とから構成されている。先端側天板45は平坦な矩形の板部材であり、先端側側板46は取付物品Aを受け入れる側に開いた湾曲形状の板部材である。前述した1対の把持部41は、先端側側板46と一体的に形成されている。
【0062】
基端側カバー部の一部を構成する載置部44の内周面には、図13および図14に示されるように、矢印Y方向に延びるレール状部分および凹溝状部分からなる係合部47が形成されている。この係合部47は図13および図14では一方だけ表示されているが、表示されているものと間隔を置いて向き合う状態にして、載置部44の内周面に図示外の係合部47も形成されている。つまり係合部47は、矢印X方向および図12に示す矢印Y方向の双方に直交する方向に互いに離して、1対形成されている。
【0063】
把持部41と一体的に形成された先端側側板46は、その上端部46aが上記係合部47に係合している。さらに、把持部41に取付物品Aが把持された状態下で、把持部41よりも取付物品Aの基端側に位置する先端側側板46の後端部46bも係合部47に係合している。それにより先端側側板46は把持部41と共に、載置部44に対して、係合部47が延びる方向にスライド自在とされている。このように先端側側板46および把持部41がスライドする際、把持部41の外端面41aは載置部44の内周面に沿って移動する。
【0064】
上記構成の着脱治具40は、取付物品Aに対して図14の矢印Xの上向きの方向に移動させることにより、1対の把持部41が取付物品Aの一部を把持して該取付物品Aを保持する状態(図12の状態)にすることができる。こうして取付物品Aを保持した後、着脱治具40を図12の取付対象物Bに向かう方向(矢印Yの左向きの方向)にある程度大きな力で押し込めば、取付物品Aが取付対象物Bに取り付けられる。
【0065】
取付物品Aが把持部41に把持された状態、つまり図12に示される状態において、先端側天板45と先端側側板46とから構成された先端側カバー部は、把持部41よりも先端側に有る取付物品Aの一部を、上記把持のための着脱治具40の移動の後方側および左右両側から、並びに該取付物品Aの先端側から覆って保護可能で、また、口紅1で取扱者の手指等が汚れることも防止できる。また図12に示される状態において載置部44は、把持部41よりも基端側に有る取付物品Aの一部を、上記移動の後方側および左右両側から覆って保護可能で、また、口紅1で取扱者の手指等が汚れることも防止できる。そこで、この状態にした先端側カバー部、基端側カバーおよび取付物品Aをそのまま、あるいは例えば簡易包装して、取付物品Aの(つまり口紅1の)レフィルとして販売に供することも可能である。
【0066】
前述した通り、先端側側板46は把持部41と共に、載置部44に対して、係合部47が延びる方向にスライド自在とされている。したがって、この先端側側板46と一体化している先端側天板45を、取付物品Aの先端に近接したカバー位置(図12に示す位置)と、このカバー位置から離れて取付物品Aを大きく露出させる開放位置(図13および図14に示す位置)とに選択的に設定することができる。着脱治具40を取付物品A側に移動させて把持部41に取付物品Aを把持させる際には、先端側天板45を上記の開放位置に設定するのが望ましい。そのようにすれば、取付物品Aの先端部やその周辺部が良く見える状態となるので、把持部41の先端を取付物品Aに衝突させるようなことを防止して、把持部41による取付物品Aの把持を円滑に行うことができる。
【0067】
なお、先端側天板45が上記のカバー位置に設定されたとき、該先端側天板45は台座部42の端面42aに当接し、また先端側側板46の後端部46bは載置部44の張出部44bに当接する。そこで、先端側天板45が取付物品Aの先端に接するほど該取付物品Aに近付8ことはない。
【0068】
次に、本発明の第3実施形態について説明する。図15図17は、本発明の第3実施形態による取付物品の着脱治具50の全体形状を示す斜視図であり、図15は着脱治具50に取付物品Aが保持されている状態を示し、図16はこの保持がなされるときの状態を示し、図17はこの保持がなされる直前あるいは保持が解除されたときの状態を示している。
【0069】
これらの図に示されているように本実施形態の着脱治具50は、棒状の取付物品Aを把持する左右1対の把持部52を固定した第1の半割り部53と、この第1の半割り部53にヒンジ保持された第2の半割り部63とを有している。なお本例においては、取付物品Aを構成する化粧料保持部2の表面に小さな凹部2hが所定の角度間隔を置いて2個形成されており(図17参照)、各把持部52はその内表面に形成されている凸部51を上記凹部2hに収めて取付物品Aを把持する。それにより取付物品Aは、1対の把持部52に所定の姿勢、位置を保って確実に保持される。
【0070】
第1の半割り部53は、概略円筒の一部をなす形状とされた部分と、この部分の左右から各々立ち上がった部分とからなるものであり、1対の把持部52に取付物品Aが把持された状態において該把持部52よりも図中で下側の部分、上側の部分はそれぞれ第1の基端側カバー部54、第1の先端側カバー部56とされている。なお上記下側の部分、上側の部分はそれぞれ、1対の把持部52に取付物品Aが把持された状態において、取付物品Aの全体のうち、把持部52よりも基端側の部分、把持部52よりも先端側の部分と概略向かい合う部分である。
【0071】
第1の先端側カバー部56の一端部、詳しくは第1の基端側カバー部54と反対側の端部は、第1の天板55によって閉じられている。この第1の天板55の位置は、把持部52に把持された状態(図16の状態)にある取付物品Aの先端から所定長さ離間した位置である。第1の天板55には、外方つまり第1の先端側カバー部56と反対側に突出した4つのヒンジ部57が一体的に形成されている。
【0072】
一方第2の半割り部63も、概略円筒の一部をなす形状とされた部分と、この部分の左右から各々立ち上がった部分とからなるものであり、全体が第2の先端側カバー部66とされている。この第2の先端側カバー部56の一端部は、第2の天板65によって閉じられている。この第2の天板65には、外方に突出した2つのヒンジ部67が一体的に形成されている。2つのヒンジ部67の各々は、第1の天板55の2つのヒンジ部57に対して、ヒンジ軸Hを中心として回動可能に組み合わされている。そこで第2の先端側カバー部66は、つまり第2の半割り部63は、第1の半割り部53に対して、図16中の矢印R方向に揺動自在となっている。
【0073】
上述のように揺動可能な第2の半割り部63は、図15に示すカバー位置と、図16および図17に示す開放位置とを取り得る。この開放位置は、第2の半割り部63が第1の半割り部53に対して概略矢印Y方向(把持された取付物品Aの基端と先端とを結ぶ方向)に連なる位置である。つまり第2の半割り部63をこの開放位置に設定しておけば、第1の半割り部53の内部が良く見える状態となる。
【0074】
そこで、この状態とした着脱治具50を取付物品Aに対して、図17の矢印Xの左向きの方向に移動させることにより、1対の把持部52が取付物品Aの一部を把持して該取付物品Aを保持する状態(図16の状態)にすることができる。その際、第1の半割り部53の内部が良く見える状態となっているので、取付物品Aの把持は円滑になされ得る。
【0075】
こうして取付物品Aを着脱治具50に保持させた後、第2の半割り部63を図15に示すカバー位置に設定してから、着脱治具50を図15の取付対象物Bに向かう方向(矢印Yの下向きの方向)にある程度大きな力で押し込めば、取付物品Aが取付対象物Bに取り付けられる。その際、取付物品Aの基端近傍部分は一部が第1の基端側カバー部54に覆われただけであるので、該基端近傍部分を見ながら取付物品Aを取付対象物Bに円滑に取り付けることができる。
【0076】
一方、上記のカバー位置は、第2の半割り部63が、第1の半割り部53と互いに向かい合う状態に結合して、筒状のカバー部を構成する位置である。第2の半割り部63をこのカバー位置に設定しておけば、該第2の半割り部63の第2の先端側カバー部66と、第1の半割り部53の第1の先端側カバー部56とにより、取付物品Aの先端近傍部分を覆って保護可能で、また、口紅1で取扱者の手指等が汚れることも防止できる。そこで、この状態にした着脱治具50および取付物品Aをそのまま、あるいは例えば簡易包装して、取付物品Aの(つまり口紅1の)レフィルとして販売に供することも可能である。
【0077】
以上説明した実施形態の着脱治具30、40および50はいずれも、口唇用化粧料である棒状の口紅1を含む棒状の取付物品Aを扱うものであるが、本発明による取付物品の着脱治具は、例えばスティック状の糊や乾電池等、その他の棒状物品を扱うものとして形成することもできるし、さらには棒状以外の形状の取付物品を扱うものとして形成することもできる。
【符号の説明】
【0078】
1 口紅
2 化粧料保持部
2a 化粧料保持部の外側周壁部
2b 化粧料保持部の横溝
2c 化粧料保持部の縦溝
2d 化粧料保持部の内側周壁部
2e 化粧料保持部のガタ防止リブ
2f 化粧料保持部の押え部
2g 化粧料保持部の押え部の先端面
2h 化粧料保持部の凹部
10 螺旋パーツ
20 上下可動パーツ
30、40、50 取付物品の着脱治具
31、41、52 把持部
32 把持案内部
33 基端側背板
33a 背板
33b、33c 横板
34 基端側側板
35a 先端側背板
35b 先端側天板
36 先端側側板
37 基端側カバー部
38 ヒンジ部
39 先端側カバー部
41a 把持部の外端面
42 台座部
44 載置部
44a 載置部の上端面
44b 載置部の張出部
44c 載置部の前端面
45 先端側天板
46 先端側側板
46a 先端側側板の上端部
46b 先端側側板の後端部
47 係合部
51 把持部の凸部
53 第1の半割り部
54 第1の基端側カバー部
55 第1の天板
56 第1の先端側カバー部
57、67 ヒンジ部
63 第2の半割り部
65 第2の天板
66 第2の先端側カバー部
A 取付物品
B 取付対象物
H ヒンジ軸
図1
図2
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