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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022119064
(43)【公開日】2022-08-16
(54)【発明の名称】丸棒状ワークの整列装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/04 20060101AFI20220808BHJP
【FI】
G01N35/04 G
G01N35/04 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021016036
(22)【出願日】2021-02-03
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000159618
【氏名又は名称】吉川工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001601
【氏名又は名称】特許業務法人英和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北御門 脩
(72)【発明者】
【氏名】松尾 繁則
(72)【発明者】
【氏名】吉永 誠法
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058CB08
2G058CB15
2G058CB16
2G058GC05
(57)【要約】
【課題】丸棒状ワークに付された識別情報を読み取り、その読み取りに成功した丸棒状ワークのみをラックに収納して整列させることのできる丸棒状ワークの整列装置を提供する。
【解決手段】整列装置は、ワーク供給部から供給される丸棒状ワークWを保持するワーク保持部60と、丸棒状ワークWに付された識別情報を読み取る識別情報読取器8と、ワーク収納ラック100と、ワーク収納ラックを載せてXY方向に移動する移動テーブル110とを備える。識別情報読取器8による識別情報の読み取りに成功した丸棒状ワークWがワーク排出位置62で排出されるときに、丸棒状ワークWがワーク収納ラック100のワーク収納部101に順次収納されるように移動テーブルをXY方向に順次移動させる。
【選択図】図11A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
識別情報が付された丸棒状ワークを起立の姿勢で1本ずつ供給するワーク供給部と、
前記ワーク供給部から供給される丸棒状ワークを起立の姿勢のままで保持可能であり、前記ワーク供給部から供給される丸棒状ワークを起立の姿勢のままで受け入れるワーク受入位置と当該丸棒状ワークを起立の姿勢のままで下方に排出するワーク排出位置との間を移動可能なワーク保持部と、
前記ワーク受入位置と前記ワーク排出位置との間に配置され、丸棒状ワークに付された識別情報を読み取る識別情報読取器と、
前記ワーク排出位置で排出される丸棒状ワークを起立の姿勢のままで収納するワーク収納部をXY方向に複数配列しているワーク収納ラックと、
前記ワーク収納ラックを載せてXY方向に移動する移動テーブルと、
前記移動テーブルの動作を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記識別情報読取器による識別情報の読み取りに成功した丸棒状ワークが前記ワーク排出位置で排出されるときは、丸棒状ワークが前記ワーク収納ラックのワーク収納部に順次収納されるように前記移動テーブルをXY方向に順次移動させ、前記識別情報読取器による識別情報の読み取りに失敗した丸棒状ワークがワーク排出位置で排出されるときは、丸棒状ワークが前記ワーク収納ラックのワーク収納部に収納されずに前記ワーク排出位置の下方に排出されるように前記移動テーブルをX方向又はY方向に退避させる、丸棒状ワークの整列装置。
【請求項2】
前記ワーク排出位置において丸棒状ワークを下方に押し込む押込機構をさらに備える、請求項1に記載の丸棒状ワークの整列装置。
【請求項3】
前記押込機構が丸棒状ワークを所定の押込位置まで押し込むことができなかったときに、エラー信号を発信する機能を有する、請求項2に記載の丸棒状ワークの整列装置。
【請求項4】
前記ワーク供給部から1本ずつ供給される丸棒状ワークを前記ワーク受入位置にある前記ワーク保持部へ案内する案内部と、前記案内部内にある丸棒状ワークの本数を検知する検知手段とをさらに備え、前記検知手段で検知した丸棒状ワークの本数が所定本数以下である場合にのみ、前記ワーク供給部を駆動させる機能を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の丸棒状ワークの整列装置。
【請求項5】
前記ワーク保持部は、円形状の回転ホルダの円周方向に沿って等間隔で複数配置されおり、前記回転ホルダが一方向にピッチ回転することにより、各ワーク保持部が前記ワーク受入位置と前記ワーク排出位置との間を循環する、請求項1から4のいずれか一項に記載の丸棒状ワークの整列装置。
【請求項6】
前記回転ホルダにおいて前記ワーク受入位置にあるワーク保持部に丸棒状ワークが保持されているか否かを検知する第1のセンサと、前記回転ホルダにおいて前記ワーク排出位置にあるワーク保持部に丸棒状ワークが保持されているか否かを検知する第2のセンサとをさらに備え、前記第1のセンサによって丸棒状ワークが検知され、かつ前記第2のセンサによって丸棒状ワークが検知されないときに、前記回転ホルダを1ピッチ回転させる機能を有する、請求項5に記載の丸棒状ワークの整列装置。
【請求項7】
前記識別情報読取器で丸棒状ワークに付された識別情報を読み取る識別情報読取位置に到来した丸棒状ワークをその上下方向軸線周りに回転させる回転機構をさらに備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の丸棒状ワークの整列装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば臨床検査や医療検査分野において使用されている採便管、採尿管、採血管のような丸棒状ワークを1本ずつラックに収納して整列させるための丸棒状ワークの整列装置に関する。
なお、本発明において「丸棒状ワーク」とは、上述の採便管等には限定されず、外形が概ね丸棒状のワーク(物品)を総称するもので、中空であっても中実であってもよい。
【背景技術】
【0002】
臨床検査や医療検査分野において使用されている採便管、採尿管、採血管のような丸棒状ワークには、バーコードのような識別情報が付されており、このような丸棒状ワークをラックに収納して整列させる際には、その丸棒状ワークに付されている識別情報を読取器で読み取ったうえでラックに収納して整列させる。
このような丸棒状ワークの整列作業は、従来一般的には手作業で行われていたが、例えば特許文献1には、丸棒状ワークの一種であるチップを自動的にチップラックにセットする整列装置が提案されている。
しかし、特許文献1の整列装置が取り扱うチップにはバーコードのような識別情報は付されておらず、そのため特許文献1には識別情報を読み取る機構についての記載はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-59012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、丸棒状ワークに付された識別情報を読み取り、その読み取りに成功した丸棒状ワークのみをラックに収納して整列させることのできる丸棒状ワークの整列装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一観点によれば、次の丸棒状ワークの整列装置が提供される。
識別情報が付された丸棒状ワークを起立の姿勢で1本ずつ供給するワーク供給部と、
前記ワーク供給部から供給される丸棒状ワークを起立の姿勢のままで保持可能であり、前記ワーク供給部から供給される丸棒状ワークを起立の姿勢のままで受け入れるワーク受入位置と当該丸棒状ワークを起立の姿勢のままで下方に排出するワーク排出位置との間を移動可能なワーク保持部と、
前記ワーク受入位置と前記ワーク排出位置との間に配置され、丸棒状ワークに付された識別情報を読み取る識別情報読取器と、
前記ワーク排出位置で排出される丸棒状ワークを起立の姿勢のままで収納するワーク収納部をXY方向に複数配列しているワーク収納ラックと、
前記ワーク収納ラックを載せてXY方向に移動する移動テーブルと、
前記移動テーブルの動作を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記識別情報読取器による識別情報の読み取りに成功した丸棒状ワークが前記ワーク排出位置で排出されるときは、丸棒状ワークが前記ワーク収納ラックのワーク収納部に順次収納されるように前記移動テーブルをXY方向に順次移動させ、前記識別情報読取器による識別情報の読み取りに失敗した丸棒状ワークがワーク排出位置で排出されるときは、丸棒状ワークが前記ワーク収納ラックのワーク収納部に収納されずに前記ワーク排出位置の下方に排出されるように前記移動テーブルをX方向又はY方向に退避させる、丸棒状ワークの整列装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明の整列装置によれば、丸棒状ワークに付された識別情報を読み取り、その読み取りに成功した丸棒状ワークのみをラックに収納して整列させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態である丸棒状ワークの整列装置の斜視図。
図2A図1の整列装置においてワーク供給部であるワーク供給装置の全体構成を示す斜視図。
図2B】ワーク供給装置の全体構成を示す正面図。
図3A】ワーク供給装置の動作を示す斜視図。
図3B】同上。
図3C】同上。
図3D】同上。
図4A】ワーク供給装置の動作を示す側断面図(図3Dの状態にあるワーク供給装置の側断面図。)。
図4B】ワーク供給装置の動作を示す側面図(図3Dの状態にあるワーク供給装置の側面図。)。
図5図1の整列装置において回転ホルダ及びその近傍を示す斜視図。
図6図5において回転ホルダの識別情報読取位置近傍を示す斜視図。
図7】移動テーブルの平面図。
図8】架台の斜視図。
図9】エレベータの斜視図。
図10A】ラック供給部からワーク収納ラックを切り出す動作を示す説明図。
図10B】ラック収納部へワーク収納ラックを収納する動作を示す説明図。
図11A】整列装置による丸棒状ワークの整列動作において、丸棒状ワークをワーク収納ラックのワーク収納部に順次収納する状態を示す要部の斜視図。
図11B】整列装置による丸棒状ワークの整列動作において、丸棒状ワークをワーク収納ラックのワーク収納部に収納せずにワーク排出位置の下方に排出する状態を示す要部の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1に、本発明の一実施形態である丸棒状ワークの整列装置(以下、単に「整列装置」という。)Aを斜視図で示している。
整列装置Aは、ワーク供給部としてのワーク供給装置1、回転ホルダ2、ラック供給部3、ラック収納部4、及び制御部5を備えている。
【0009】
まず、ワーク供給装置1について説明する。
図2A及び図2Bに、ワーク供給装置1の全体構成を示している。ワーク供給装置1は、丸棒状ワーク(以下、単に「ワーク」という。)を起立の姿勢で1本ずつ供給するもので、複数本のワークWを横倒しの姿勢にて並列配置で収容するワーク収容部10と、ワーク収容部10に収容されている複数本のワークWから1本のワークWを切り出して、回転ホルダ2へ起立の姿勢で1本ずつ供給するワーク切出部材20とを備えている。
なお、図示を省略しているが、各ワークWには、バーコード、RF-IDタグ等の識別情報が付されている。
【0010】
ワーク収容部10は、平面視において、横幅がワークWの軸線方向の長さに略対応し、縦幅が横幅より長い長方形をなす角箱形状に形成されており、このワーク収容部10に収容されているワークWの軸線方向と直交する一方向に傾斜する傾斜床11を含む。
本実施形態においてワーク収容部10は、傾斜床11の傾斜方向を前後方向として傾斜床11の上面に沿って前後にスライドするスライド板12をさらに含む。
また、本実施形態においてワーク収容部10は、傾斜床11の傾斜方向における前端部の上方に、ワークを1本ずつ通過させる大きさを有する開口13を含む。具体的には、傾斜床11の傾斜方向における前端部の上方に開口13が形成されるように仕切壁14が設置されている。仕切壁14と側壁15との間の間隙の大きさ(幅)はワークWの直径に略対応する。また、開口13の大きさ(高さ)もワークWの直径に略対応する。
なお、図2A及び図2Bにおいて、ワーク収容部10の正面壁は省略している。
【0011】
ワーク切出部材20は、1本のワークWを保持可能なワーク保持部21を有する。本実施形態においてワーク切出部材20は、ワーク収容部10の側壁を兼ねる側壁15の内面に沿って上下方向(鉛直方向)に移動可能な基板22と、この基板22の上端部の一端に回転可能に連結された回転板23とを含み、回転板23の上端面がワーク保持部21となっている。
【0012】
本実施形態においてワーク供給装置1は、ワーク切出部材20を駆動させる駆動源として、ワーク収容部10の下方に回転モータ30を備えている。回転モータ30の回転軸には円盤31が固定されており、この円盤31にカムフォロア32が取り付けられている。一方、基板22には、カムフォロア32を受けるための、水平溝状のカムフォロア受け部22aが設けられている。また、基板22には、側壁15の両側面にそれぞれ設けているガイドレール15aに沿って上下方向(鉛直方向)にスライドするスライド部22bが設けられている。このような構成において、回転モータ30が回転すると、スライド部22bがガイドレール15aに沿って上下方向(鉛直方向)にスライドし、結果として基板22が側壁15の内面に沿って上下方向(鉛直方向)に移動する。
【0013】
一方、図3Aに表れているように、回転板23には、基板22との連結部側(基板22の上端部の一端側)の反対側(基板22の上端部の他端側)にガイド突起23aが設けられており、側壁15には、ガイド突起23aをガイドするガイド溝15bが設けられている。ガイド溝15bは、回転板23と基板22との連結部側(基板22の上端部の一端側)の反対側(基板22の上端部の他端側)から、回転板23と基板22との連結部側(基板22の上端部の一端側)へ向けて湾曲しながら上方向に伸びるように設けられている。このような構成により、上述の通り回転モータ30の回転により基板22が側壁15の内面に沿って上下方向(鉛直方向)に移動すると、回転板23は、上下方向(鉛直方向)に移動しながら基板22との連結部を回転中心として回転する。
【0014】
本実施形態においてスライド板12は、ワーク切出部材20の基板22のスライド部22bとリンク板40(リンク手段)で連結されている。具体的には、スライド板12の下面側にリンク連結部12aを設け、このリンク連結部12aにリンク板40の一端を連結している。リンク板40の他端は、ワーク切出部材20の基板22のスライド部22bに直接連結している。このような構成により、上述の通り回転モータ30の回転により基板22が側壁15の内面に沿って上下方向(鉛直方向)に移動すると、その移動と連動してスライド板12は傾斜床11の上面に沿って前後にスライドする。その具体的な連動の関係性については後述する。
【0015】
次に、ワーク供給装置1の動作について説明する。図3Aから図3Dに、ワーク供給装置1の動作を示している。なお、図3Aから図3Dでは、図2A及び図2Bと同様にワーク収容部10の正面壁を省略すると共に、仕切壁14及びリンク板40を破線で示しこれらを透視して示している。また、図3Aから図3Dでは、複数本のワークWのうち、ワーク切出部材20のワーク保持部21に保持された1本のワークWのみを示している。
【0016】
図3Aは、ワーク保持部21が傾斜床11の傾斜方向における前端位置でワークWを保持する位置にある初期状態を示している。この初期状態では、スライド板12は傾斜床11の傾斜方向における前端側に位置している。なお、ワークWは開口13を通じてワーク保持部21へ1本ずつ供給される。
この初期状態から回転モータを駆動して円盤31を図3A中の矢印方向に回転させると、ワーク保持部21は、図3Bから図3Cに順次示しているように、ワークWを保持した状態で鉛直上向きに上昇しながらワークWの軸線方向に沿った一方向に回転することにより、図3Dに示すようにワークWを起立の姿勢とする。
図4A及び図4Bに、図3Dの状態にあるワーク供給装置1を示している。図4A及び図4Bに示すように、本実施形態において起立の姿勢とされたワークWは円筒状の案内部(以下「案内管」という。)50内に滑り落ちるように落下し、この案内管50を通じて、起立の姿勢のままで回転ホルダ2へ供給される。
このように、ワーク保持部21がワークWを起立の姿勢として回転ホルダ2へ供給する位置にある状態においてスライド板12は、図3Dに表れているように、傾斜床11の傾斜方向における後端側に位置する。
そのワークWを回転ホルダ2へ供給したら、回転モータ30を逆方向に回転させ、図3Aの初期状態に戻す。
【0017】
本実施形態では以上の動作を繰り返すことで、ワーク収容部10内に横倒しの姿勢にて並列配置されている複数本のワークWからワークWを1本ずつ切り出して、そのワークWを起立の姿勢として回転ホルダ2へ供給することができる。
【0018】
また、本実施形態では、ワーク保持部21は、ワークWを保持した状態で鉛直上向きに上昇しながらワークWの軸線方向に沿った一方向に回転することにより、ワークWを起立の姿勢として回転ホルダ2へ供給する。これにより、傾斜床11より高い位置において、ワークWを起立の姿勢として回転ホルダ2へ供給することができるから、回転ホルダ2を傾斜床11より高い位置に設けることができる。
なお、回転ホルダ2を傾斜床11より高い位置に設ける必要がない場合には、ワーク保持部21は、鉛直上向きに上昇することなく単にワークWの軸線方向に沿った一方向に回転することにより、ワークWを起立の姿勢として回転ホルダ2へ供給するようにすることもできる。この場合、ワーク保持部21を含むワーク切出部材20の一端に直接、回転モータを連結することもできる。
【0019】
また、本実施形態においてワーク収容部10は、傾斜床11の傾斜方向を前後方向として傾斜床11の上面に沿って前後にスライドするスライド板12を含む。これにより、ワーク収容部10に横倒しの姿勢にて並列配置されている複数本のワークWが流動しやすくなり、ワークWがワーク保持部21(傾斜床11の傾斜方向における前端位置)に向けて移動しやすくなる。
さらに、本実施形態においてスライド板12は、ワーク保持部21が傾斜床11の傾斜方向における前端位置でワークWを保持する位置にあるときに(図3Aの状態)、傾斜床11の傾斜方向における前端側に位置し、ワーク保持部21がワークWを起立の姿勢として別の工程又は場所に供給する位置にあるときに(図3Dの状態)、傾斜床11の傾斜方向における後端側に位置するように、ワーク切出部材20とリンク板40で連結されている。これにより、ワークWがワーク保持部21(傾斜床11の傾斜方向における前端位置)に向けてさらに移動しやすくなる。なお、本実施形態ではリンク手段としてリンク板40を用いたが、他のリンク手段を用いることもできる。
ここで、傾斜床11はワーク保持部21側に向けて傾斜しているので、スライド板12は必ずしも設ける必要はない。
【0020】
本実施形態においてワーク収容部10は、傾斜床11の傾斜方向における前端部の上方に、丸棒状ワークを1本ずつ通過させる大きさを有する開口13を含む。これにより、ワークWをワーク保持部21に向けて1本ずつ供給することができる。さらに本実施形態においてワーク収容部10には、傾斜床11の傾斜方向における前端部の上方に開口13が形成されるように仕切壁14が設置されており、仕切壁14と側壁15との間の間隙の大きさ(幅)はワークWの直径に略対応する。これにより、ワークWをワーク保持部21に向けて1本ずつ供給することができると共に、ワーク保持部21は、確実に1本のワークWを保持した状態で鉛直上向きに上昇しながらワークWの軸線方向に沿った一方向に回転することができる。
なお、ワーク保持部21は、基本的に1本のワークWのみを保持可能であるから、開口13や仕切壁14がなくても、ワーク収容部10に収容されている複数本のワークWからワークを1本ずつ切り出すことは可能である。
【0021】
また、本実施形態では、ワーク保持部21は、ワーク切出部材20の回転板23の上端面としたが、回転板23の側面に1本のワークWを保持可能な溝を設けてこれをワーク保持部とすることもできる。
【0022】
次に、回転ホルダ2について説明する。図5に、回転ホルダ2及びその近傍を示している。
回転ホルダ2は平面視において円形であり、上述の通りワーク供給装置1から案内管50を通じて1本ずつ供給されるワークWを、起立の姿勢のままで保持可能なワーク保持部60を円周方向に沿って等間隔で複数備えている。回転ホルダ2は一方向(図5に示す矢印方向)にピッチ回転する。これにより、各ワーク保持部60は、ワーク供給装置1から供給されるワークWを起立の姿勢のままで受け入れるワーク受入位置61と当該ワークWを起立の姿勢のままで下方に排出するワーク排出位置62との間を循環する。
【0023】
案内管50は、ワーク供給装置1から1本ずつ供給されるワークWをワーク受入位置61にあるワーク保持部60へ案内する。そして本実施形態の整列装置Aは、この案内管50内にあるワークWの本数を検知する検知手段としてワーク検知センサ6aを備えている。
本実施形態において案内管50は上下に2本のワークWを保持可能であり、ワーク検知センサ6aは上段にワークWがあるか否かを検知する。すなわち、ワーク検知センサ6aがワークWを検知した場合、案内管50内にあるワークWの本数は2本であり、案内管50内にはそれ以上ワークWを保持できない状態である。一方、ワーク検知センサ6aがワークWを検知しない場合、案内管50内にあるワークWの本数は1本以下であり、案内管50内にはもう1本のワークWを保持できる状態である。そこで、本実施形態では、ワーク検知センサ6aがワークWを検知しない場合、すなわちワーク検知センサ6aで検知したワークWの本数が1本以下である場合にのみ、ワーク供給装置1を駆動させるようにしている。具体的には、ワーク検知センサ6aで検知したワークWの本数情報が制御部5に送信され、制御部5は、その本数情報に基づいてワーク供給装置1の動作を制御する。
このように、ワーク検知センサ6aで検知したワークWの本数が所定本数(本実施形態では1本)以下である場合にのみ、ワーク供給装置1を駆動させることで、ワークWが案内管50内に過剰に供給されることを防止できる。
【0024】
回転ホルダ2において、その円周方向に沿って等間隔で複数配置されたワーク保持部60の下方には円形状の底板63が配置されている。図5には表れていないが、この底板63にはワーク排出位置62にのみワークWが通過可能な貫通孔が設けられている。すなわち、ワーク受入位置61でワーク保持部60に受け入れられたワークWは、ワーク受入位置61からワーク排出位置62の1ピッチ前までは、下端を底板63で支持されつつワーク保持部60に保持されて移動する。そして、そのワーク保持部60がワーク排出位置62に到来したら、そのワークWは前記貫通孔を通過して下方に排出される。
【0025】
本実施形態の整列装置Aは、ワーク排出位置62においてワークWを下方に押し込む押込機構7をさらに備えている。この押込機構7は、ワーク排出位置62において上下方向に駆動する押込棒70を含み、この押込棒70を下方に駆動させることで、ワーク排出位置62においてワークWを下方に所定の押込位置まで押し込む。これにより、ワーク排出位置62においてワークWを確実に下方に排出することができる。
一方、押込機構7がワークWを所定の押込位置まで押し込むことができなかったときには、エラー信号を発信する。なお、押込機構7がワークWを所定の押込位置まで押し込むことができなかったことは、押込時の押込棒70のストロークを監視したり、押込棒70を駆動させる駆動モータの負荷を監視したりすることで検知することができる。すなわち、押込時の押込棒70のストロークが所定のストロークに達しなかったとき、あるいは押込棒70を駆動させる駆動モータが過負荷になったときに、押込機構7がワークWを所定の押込位置まで押し込むことができなかったと判断する。
【0026】
本実施形態の整列装置Aは、回転ホルダ2においてワーク受入位置61にあるワーク保持部60にワークWが保持されているか否かを検知する第1のセンサとしてワーク検知センサ6b、及び回転ホルダ2においてワーク排出位置62にあるワーク保持部60にワークWが保持されているか否かを検知する第2のセンサとしてワーク検知センサ6cをさらに備えている。そして制御部5は、ワーク検知センサ6bによってワークWが検知され、かつワーク検知センサ6cによってワークWが検知されないときに、回転ホルダ2を1ピッチ回転させる。すなわち、ワーク検知センサ6bによってワークWが検知されたということはワーク受入位置61においてワークWの受入が成功したということである。また、ワーク検知センサ6cによってワークWが検知されないということはワーク排出位置62においてワークWの排出が成功したということである。このようにワークWの受入及び排出が共に成功したときに、制御部5は回転ホルダ2を1ピッチ回転させる。これにより、ワークWの受入及び排出を確実に行うことができる。
なお、ワーク検知センサ6bによってワークWが検知されないときはワークWの受入が失敗したということであり、この場合、制御部5はエラー信号を発信することができる。同様に、ワーク検知センサ6cによってワークWが検知されたときはワークWの排出が失敗したということであり、この場合、制御部5はエラー信号を発信することができる。
【0027】
図5に示すように、ワーク受入位置61とワーク排出位置62との間には、ワークWに付された識別情報を読み取る識別情報読取器8が配置されている。識別情報読取器8の種類は、ワークWに付された識別情報の種類に応じて適宜選択する。例えば、識別情報がバーコードの場合はバーコードリーダ、識別情報がRF-IDタグの場合はタグリーダとする。
【0028】
本実施形態の整列装置Aは、識別情報読取器8でワークWに付された識別情報を読み取る識別情報読取位置64に到来したワークWをその上下方向軸線周りに回転させる回転機構9をさらに備えている。回転機構9は回転棒90を含む。回転棒90は、その上下方向中心軸周りに回転可能、かつ上下方向に移動可能である。そして図6に示すように、回転棒90をその下端部91が識別情報読取位置64に到来したワークWの上端面に当接して係合するまで下方向に移動させて回転させる。そうすると、そのワークWは上下方向軸線周りに回転する。このように、ワークWを上下方向軸線周りに回転させることで、ワークWに付された識別情報を確実に読み取ることができる。すなわち、一般的に識別情報はワークWの側面に付されるところ、識別情報読取位置64に到来したワークWの側面に付された識別情報の向きはまちまちであり、識別情報読取器8と対向する方向を向いていないことがある。そこで、ワークWを上下方向軸線周りに回転させることで、ワークWの側面に付された識別情報の向きが識別情報読取器8と対向する方向に断続的に向くようになるので、その識別情報を確実に読み取ることができる。
【0029】
本実施形態においてワーク収納ラック(以下、単に「ラック」という。)100は、図1に示すように予めラック供給部3内に準備されており、後述するエレベータの動作によって移動テーブルの上に載せられる。ラック100には、上述のワーク排出位置62で排出されるワークWを起立の姿勢のままで収納するワーク収納部101がXY方向に複数配列されている。所定本数のワークWを収容したラック100は、移動テーブル及びエレベータの動作によりラック収納部4に収納される。
【0030】
図7に、移動テーブルを平面視で示している。また、図8には図1の整列装置Aにおける架台を示している。
移動テーブル110は、図8に示す架台120の天板121の下方に配置されている中間板122の上に配置されている。なお、架台120の天板121の上には図1に示すようにワーク供給装置1等が配置される。
図7に示すように、移動テーブル110は、架台の中間板122の上に配置されるテーブル基板111と、テーブル基板111の上に配置されるテーブル本体112とを含み、テーブル本体112の上にラック100が載せられる。テーブル基板111は、テーブル基板111上に配置されたX方向ガイドレール123に沿ってX方向に移動可能である。また、テーブル本体111は、テーブル基板112上に配置されたY方向ガイドレール113に沿ってY方向に移動可能である。すなわち、テーブル本体111はラック100を載せた状態でXY方向に移動可能である。
【0031】
図9に、エレベータを示している。
エレベータ130は、本体部131と、本体部131に対して昇降する昇降部132とを含む。また昇降部132は、それぞれラック100を載せることのできる、第1の載置面133と第2の載置面134とを含む。第1の載置面133の高さ位置は、第2の載置面134の高さ位置より低く設定されている。
エレベータ130は、移動テーブル110の直下に配置される。具体的にはエレベータ130は、その第1の載置面133が移動テーブル110のテーブル基板111に形成している第1の開口111a及び架台120の天板121に形成している第1の開口121aと整合し、かつ第2の載置面134が移動テーブル110のテーブル基板111に形成している第2の開口111b及び架台120の天板121に形成している第2の開口121bと整合するように配置されている。また、移動テーブル110のテーブル本体112には、テーブル基板111の第1の開口111a又は第2の開口111bを整合するように開口112aが形成されている。
なお、架台120の天板121に形成している第1の開口121aの直上にはラック供給部3が位置し、第2の開口121bの直上にはラック収納部4が位置する。
【0032】
次に、ラック供給部3からラック100を切り出す動作、及びラック収納部4へラック100を収納する動作について説明する。
図10Aに、ラック供給部3からラック100を切り出す動作を示している。同図に示すように、ラック供給部3からラック100を切り出す際、移動テーブル110のテーブル本体112は、ラック供給部3の直下に位置する。そしてエレベータ130の第1の載置面133が、上述の第1の開口111a、開口112a及び第1の開口121aを通過し、さらにラック供給部3においてラック100を支持している支持爪3aより上方まで上昇している。これにより、ラック100は第1の載置面133に載置された状態になる。その後、第1の載置面133を下降させると、支持爪3aの動作により最下段のラック100のみが切り出される。さらに第1の載置面133を下降させると、第1の載置面133に載置されているラック100が移動テーブル110のテーブル本体112に移載される。これにより、ラック供給部3から切り出されたラック100が移動テーブル110のテーブル本体112に載置される。
なお、この切り出し動作の際、第2の載置面134は、ラック収納部4においてラック100を支持している支持爪4aより上方まで上昇するが、その後、第1の載置面133と共に第2の載置面134を下降させると、ラック収納部4においてラック100は再び支持爪4aによって支持され、ラック収納部4に収納されたままとなる。
【0033】
図10Bに、ラック収納部4へラック100を収納する動作を示している。同図に示すように、ラック収納部4へラック100を収納する際、移動テーブル110のテーブル本体112は、ラック収納部4の直下に位置する。そしてエレベータ130の第2の載置面134が、上述の第2の開口111b、開口112a及び第2の開口121bを通過し、さらにラック収納部4においてラック100を支持する支持爪4aより上方まで上昇している。その後、第2の載置面134を下降させると、第2の載置面134に載置されているラック100が支持爪4aに移載される。これにより、ラック100がラック収納部4に収納される。
【0034】
ここで、図10A図10Bを対比するとわかるように、図10Bに示すラック収納部4へラック100を収納する動作の場合のエレベータ130の昇降部132の上昇高さは、図10Aに示すラック供給部3からラック100を切り出す動作の場合より低く設定している。また上述の通り、第1の載置面133の高さ位置は、第2の載置面134の高さ位置より低く設定されている。このような設定により、図10Bに示すようにラック収納部4へラック100を収納する動作の際、第1の載置面133は、ラック供給部3においてラック100を支持している支持爪3aより上方までには上昇しない。そのため、ラック収納部4へラック100を収納する動作の際に、ラック供給部3からラック100が切り出されることはない。
【0035】
次に、整列装置AによるワークWの整列動作について説明する。
本実施形態においてワークWは、図4A及び図4Bに示すように、ワーク供給装置1から案内管50を通じて起立の姿勢のままで回転ホルダ2へ供給される。具体的には図5に示すように、案内管50は、ワーク供給装置1から1本ずつ供給されるワークWを、回転ホルダ2においてワーク受入位置61にあるワーク保持部60へ案内する。これにより、ワークWは起立の姿勢のままでワーク受入位置61にあるワーク保持部60に保持される。
回転ホルダ2は、一方向(図5の矢印方向)にピッチ回転するところ、このピッチ回転に伴い順次ワーク受入位置61に到来するワーク保持部60へワークWを供給する。
【0036】
回転ホルダ2のピッチ回転により、ワーク保持部60に保持されたワークWは順次、識別情報読取位置64に到来する。そして識別情報読取位置64において、ワークWに付されている識別情報を識別情報読取器8によって読み取る。このとき制御部5は、識別情報読取器8による識別情報の読み取りの成否(成功/失敗)を判定し、その成否情報をそのワークWに対応させて記憶する。
【0037】
回転ホルダ2のピッチ回転により、ワーク保持部60に保持されたワークWは順次、ワーク排出位置62に到来する。そして、ワーク排出位置62においてワーク保持部60に保持されたワークWは起立の姿勢のままで下方に排出される。このとき制御部5は、識別情報読取器8による識別情報の読み取りに成功したワークWがワーク排出位置62で排出されるときは、図11Aに示すように、ワークWがラック100のワーク収納部101に順次収納されるように移動テーブル110のテーブル本体112をXY方向に順次移動させる。一方、識別情報読取器8による識別情報の読み取りに失敗したワークWがワーク排出位置62で排出されるときは、図11Bに示すように、ワークWがラック100のワーク収納部101に収納されずにワーク排出位置62の下方に排出されるように移動テーブル110のテーブル本体112をX方向又はY方向に退避させる。なお、図11Bでは、移動テーブル110のテーブル本体112をX方向に退避させており、ワークWは、ワーク排出位置62の下方にある不良ワーク仮置部140に排出される。
【0038】
このように、本実施形態の整列装置Aによれば、ワークWに付された識別情報を読み取り、その読み取りに成功したワークWのみをラック100に収納して整列させることができる。また、識別情報の読み取りに失敗したワークWについては、ラック100に収納することなくワーク排出位置62の下方に排出することができる。
【0039】
なお、本実施形態の整列装置Aにおいてワーク保持部60は、回転ホルダ2の円周方向に沿って等間隔で複数配置され、回転ホルダ2が一方向にピッチ回転することにより、各ワーク保持部60がワーク受入位置61とワーク排出位置62との間を循環するようにしたが、本発明の整列装置においてワーク保持部は、ワーク受入位置とワーク排出位置との間を移動可能であればよく、例えば、ワーク受入位置とワーク排出位置との間を直線的に移動可能(往復可能)にしてもよい。
【符号の説明】
【0040】
A 整列装置
1 ワーク供給装置(ワーク供給部)
10 ワーク収容部
11 傾斜床
12 スライド板
12a リンク連結部
13 開口
14 仕切壁
15 側壁
15a ガイドレール
15b ガイド溝
20 ワーク切出部材
21 ワーク保持部
22 基板
22a カムフォロア受け部
22b スライド部
23 回転板
23a ガイド突起
30 回転モータ
31 円盤
32 カムフォロア
40 リンク板(リンク手段)
50 案内管(案内部)
2 回転ホルダ
60 ワーク保持部
61 ワーク受入位置
62 ワーク排出位置
63 底板
64 識別情報読取位置
3 ラック供給部
3a 支持爪
4 ラック収納部
4a 支持爪
5 制御部
6a、6b、6c ワーク検知センサ
7 押込機構
70 押込棒
8 識別情報読取器
80 回転棒
9 回転機構
90 回転棒
91 回転棒の下端部
100 ラック
101 ワーク収納部
110 移動テーブル
111 テーブル基板
111a 第1の開口
111b 第2の開口
112 テーブル本体
112a 開口
113 Y方向ガイドレール
120 架台
121 天板
121a 第1の開口
121b 第2の開口
122 中間板
123 X方向ガイドレール
130 エレベータ
131 本体部
132 昇降部
133 第1の載置面
134 第2の載置面
140 不良ワーク仮置部
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B