(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022119072
(43)【公開日】2022-08-16
(54)【発明の名称】車両用音情報提供装置
(51)【国際特許分類】
H04R 1/32 20060101AFI20220808BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20220808BHJP
H04R 1/02 20060101ALI20220808BHJP
H04R 7/04 20060101ALI20220808BHJP
【FI】
H04R1/32 310Z
G08G1/16 A
H04R1/02 102B
H04R7/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021016055
(22)【出願日】2021-02-03
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和2年2月5日にhttps://www.c-nexco.co.jp/corporate/pressroom/news_release/4732.htmlにて発表
(71)【出願人】
【識別番号】000195029
【氏名又は名称】星和電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】509165714
【氏名又は名称】株式会社早稲田エデュケイショナル・エンジニアリング
(71)【出願人】
【識別番号】505398952
【氏名又は名称】中日本高速道路株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】特許業務法人あーく特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷口 浩二
(72)【発明者】
【氏名】兼本 丈資
(72)【発明者】
【氏名】服部 宏明
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 芳男
(72)【発明者】
【氏名】山本 浩司
【テーマコード(参考)】
5D016
5D017
5D018
5H181
【Fターム(参考)】
5D016AA01
5D016AA11
5D017AE11
5D018AF16
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB15
5H181LL01
5H181LL04
5H181LL07
(57)【要約】
【課題】道路敷地外への音の拡散を抑制することが可能な車両用音情報提供装置を提供する。
【解決手段】スピーカ1は、車両が通行する道路において車両の通行に支障とならない箇所に設置され、該車両の乗員に対して音情報を提供するものである。スピーカ1は、表裏両面(車両進行方向と車両逆進行方向)から音を発する平面スピーカ本体11と、該平面スピーカ本体11の上縁、下縁及び一側縁から、前記平面スピーカ本体11の音の放射方向に沿って延設され、前記音の放射方向を前記車両の通行帯にのみ指向させる導波板12~14と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が通行する道路において車両の通行に支障とならない箇所に設置され、該車両の乗員に対して音情報を提供する車両用音情報提供装置であって、
表裏両面(車両進行方向と車両逆進行方向)から音を発する平面スピーカ本体と、
該平面スピーカ本体の上縁、下縁及び一側縁のうち少なくとも一箇所から、前記平面スピーカ本体の音の放射方向に沿って延設され、前記音の放射方向を前記車両の通行帯にのみ指向させる導波板と、
を備えたことを特徴とする車両用音情報提供装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用音情報提供装置において、
前記導波板は、前記平面スピーカ本体の上縁、下縁及び一側縁のいずれにおいても前記平面スピーカ本体からの延出長さが可変とされたことを特徴とする車両用音情報提供装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車両用音情報提供装置において、
前記導波板は、前記平面スピーカ本体の上縁、下縁及び一側縁のいずれに対しても着脱可能とされたことを特徴とする車両用音情報提供装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一つに記載の車両用音情報提供装置において、
前記導波板は、制振手段を備えた金属板からなることを特徴とする車両用音情報提供装置。
【請求項5】
請求項4に記載の車両用音情報提供装置において、
前記制振手段は、粘弾性高分子材料層から構成されたことを特徴とする車両用音情報提供装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の車両用音情報提供装置において、
前記制振手段は、前記金属板に対して着脱可能とされたことを特徴とする車両用音情報提供装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一つに記載の車両用音情報提供装置において、
前記平面スピーカ本体は、防水及び防塵シートで被覆されたことを特徴とする車両用音情報提供装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一つに記載の車両用音情報提供装置において、
前記平面スピーカ本体は、音圧又は周波数が異なる複数の音源と接続され、これらの音源は暗騒音のレベルに応じて選択及び制御されることを特徴とする車両用音情報提供装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一つに記載の車両用音情報提供装置において、
前記平面スピーカ本体から発せられる音は、周波数が500Hz~2kHzを中心とする音声メッセージであり、母音が「う」である音にアクセントが付されていることを特徴とする車両用音情報提供装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路の路側に設置され、道路を通行する車両の乗員(運転手)に対して、音声や音によって情報を提供するための車両用音情報提供装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路脇に設置され、非常時の音声放送やサイレン音などの警報音を発するスピーカが知られている。なお、スピーカとしては、平面型のものがある(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、道路脇に設置されたスピーカを用いて、非常時以外の平常時に常時放送が行われると、道路敷地外に音が拡散して近隣住民などへの騒音となるおそれがある。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、道路敷地外への音の拡散を抑制することが可能な車両用音情報提供装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による車両用音情報提供装置は、車両が通行する道路において車両の通行に支障とならない箇所に設置され、該車両の乗員に対して音情報を提供するものである。車両用音情報提供装置は、表裏両面(車両進行方向と車両逆進行方向)から音を発する平面スピーカ本体と、該平面スピーカ本体の上縁、下縁及び一側縁のうち少なくとも一箇所から、前記平面スピーカ本体の音の放射方向に沿って延設され、前記音の放射方向を前記車両の通行帯にのみ指向させる導波板と、を備える。
【0007】
このように構成することによって、導波板により、道路敷地外への音の拡散を抑制することができる。
【0008】
上記車両用音情報提供装置において、前記導波板は、前記平面スピーカ本体の上縁、下縁及び一側縁のいずれにおいても前記平面スピーカ本体からの延出長さが可変とされていてもよい。
【0009】
上記車両用音情報提供装置において、前記導波板は、前記平面スピーカ本体の上縁、下縁及び一側縁のいずれに対しても着脱可能とされていてもよい。
【0010】
上記車両用音情報提供装置において、前記導波板は、制振手段を備えた金属板からなっていてもよい。
【0011】
上記導波板が制振手段を備える車両用音情報提供装置において、前記制振手段は、粘弾性高分子材料層から構成されていてもよい。
【0012】
上記導波板が制振手段を備える車両用音情報提供装置において、前記制振手段は、前記金属板に対して着脱可能とされていてもよい。
【0013】
上記車両用音情報提供装置において、前記平面スピーカ本体は、防水及び防塵シートで被覆されていてもよい。
【0014】
上記車両用音情報提供装置において、前記平面スピーカ本体は、音圧又は周波数が異なる複数の音源と接続され、これらの音源は暗騒音のレベルに応じて選択及び制御されていてもよい。
【0015】
上記車両用音情報提供装置において、前記平面スピーカ本体から発せられる音は、周波数が500Hz~2kHzを中心とする音声メッセージであり、母音が「う」である音にアクセントが付されていてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の車両用音情報提供装置によれば、道路敷地外への音の拡散を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施形態による車両用音情報提供装置全体のシステムを示したブロック図である。
【
図2】
図1の車両用音情報提供装置全体のシステムを説明するための図である。
【
図3】本実施形態による車両用音情報提供装置全体のシステムの動作を説明するためのフローチャートである。
【
図4】
図1の車両用音情報提供装置全体のシステムのスピーカを示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を説明する。
【0019】
まず、
図1及び
図2を参照して、本発明の一実施形態による車両用音情報提供装置(スピーカ1)全体のシステム100の構成について説明する。
【0020】
車両用音情報提供装置全体のシステム100は、車両が通行する道路において車両の通行に支障とならない箇所(路側)に設置され、道路を通行する車両の乗員(運転手)に対して、音声や音によって情報を提供するように構成されている。つまり、車両用音情報提供装置全体のシステム100は、従来からある道路情報板設備(電光式掲示板)及びハイウェイラジオ設備(カーラジオ)とは異なる第3の情報提供手段であり、非常時以外の平常時に常時放送を行うことが可能である。たとえば、車両用音情報提供装置全体のシステム100は、高速道路におけるトンネル以外の部分に設置されている。
【0021】
車両用音情報提供装置全体のシステム100は、
図1に示すように、32台のスピーカ1-1~1-32と、スピーカ制御機2と、渋滞検知センサ3a及び3bと、雨センサ4とを備えている。なお、32台のスピーカ1-1~1-32を区別する必要がない場合には、スピーカ1という。
【0022】
スピーカ1は、屋外用であり、路側に設置可能に構成されている。スピーカ1は、指向性を有し、出力される音が道路の車両通行帯に向かうように設けられている。なお、スピーカ1の構造の詳細については後述する。スピーカ1は本発明の「車両用音情報提供装置」の一例である。
【0023】
また、スピーカ1は、
図2に示すように、高速道路において渋滞源になることが予測される区域(以下、「渋滞発生予測区域」という)A1に対して、車両進行方向(X1方向)における上流側に配置されている。渋滞発生予測区域A1は、たとえば、工事区域又は事故多発区域である。すなわち、渋滞発生予測区域A1の上流側に音情報提供区域A2が設けられ、その音情報提供区域A2にスピーカ1が配置されている。たとえば、32台のスピーカ1-1~1-32は、音情報提供区域A2において車両進行方向に沿って順に配置されている。
【0024】
図1に示すように、スピーカ制御機2は、スピーカ1を制御するように構成されている。このスピーカ制御機2は、音声再生装置21と、アンプ22a及び22bと、制御部23と、時計24と、通信部25とを含んでいる。
【0025】
音声再生装置21は、音源21a~21dが格納され、その音源21a~21dを選択的に再生するように構成されている。たとえば、音源21a~21dは、「この先 渋滞 走行注意」との音声メッセージであり、音声メッセージの内容が同じであるが音圧又は周波数が異なっている。音源21aは昼間において降雨がない場合に用いられ、音源21bは昼間において降雨がある場合に用いられ、音源21cは夜間において降雨がない場合に用いられ、音源21dは夜間において降雨がある場合に用いられる。音源21aの音圧又は周波数は、音源21bのものよりも低く、音源21cのものよりも高い。音源21bの音圧又は周波数は音源21dのものよりも高く、音源21cの音圧又は周波数は音源21dのものよりも低い。また、この音声メッセージは、周波数が500Hz~2kHzを中心とする音声メッセージであり、母音が「う」である音にアクセントが付されている。なお、車両内では、周波数500Hz~2kHzの帯域が低くなる傾向がある。また、「う」のフォルマント周波数は500Hz程度である。
【0026】
アンプ22a及び22bは、音声再生装置21と接続され、音声再生装置21から入力された信号を増幅してスピーカ1に出力するように構成されている。アンプ22aには第1~第4出力系統が設けられ、アンプ22bには第5~第8出力系統が設けられている。
【0027】
そして、アンプ22aには、第1出力系統を介してスピーカ1-1、1-3、1-5及び1-7が接続され、第2出力系統を介してスピーカ1-2、1-4、1-6及び1-8が接続され、第3出力系統を介してスピーカ1-9、1-11、1-13及び1-15が接続され、第4出力系統を介してスピーカ1-10、1-12、1-14及び1-16が接続されている。また、アンプ22bには、第5出力系統を介してスピーカ1-17、1-19、1-21及び1-23が接続され、第6出力系統を介してスピーカ1-18、1-20、1-22及び1-24が接続され、第7出力系統を介してスピーカ1-25、1-27、1-29及び1-31が接続され、第8出力系統を介してスピーカ1-26、1-28、1-30及び1-32が接続されている。
【0028】
制御部23は、音声再生装置21を制御するように構成されている。制御部23には、渋滞検知センサ3a、3b、雨センサ4、時計24及び通信部25が接続されている。渋滞検知センサ3aは、音情報提供区域A2における渋滞の発生を検知するために設けられ、渋滞検知センサ3bは、渋滞発生予測区域A1における渋滞の発生を検知するために設けられている。雨センサ4は、音情報提供区域A2での降雨の有無を検出するために設けられている。時計24は、時刻を算出するように構成されている。通信部25は、ネットワーク150を介してモバイル端末5と通信するために設けられている。モバイル端末5は、スピーカ制御機2に対するユーザの操作を受け付ける機能を有する。
【0029】
そして、制御部23は、渋滞検知センサ3a及び3bからの入力に基づいて、音声再生装置21に音声メッセージを再生させるか否かを判断するように構成されている。また、制御部23は、音声メッセージを再生させると判断した場合に、雨センサ4及び時計24からの入力に基づいて音源21a~21dを選択するように構成されている。すなわち、制御部23は、周囲の暗騒音のレベルに応じた音圧又は周波数の音声メッセージを音声再生装置21に再生させるように構成されている。
【0030】
なお、制御部23は、モバイル端末5からのユーザの操作がネットワーク150を介して通信部25に入力された場合に、そのユーザの操作に応じて音声再生装置21を制御するように構成されている。たとえば、ユーザによる再生指示が入力された場合には、制御部23が音声再生装置21に音声メッセージを再生させるとともに、ユーザによる再生停止指示が入力された場合には、制御部23が音声再生装置21に音声メッセージの再生を停止させるようになっている。
【0031】
-動作-
次に、
図3を参照して、本実施形態の車両用音情報提供装置全体のシステム100の動作について説明する。なお、以下のフローは所定時間間隔毎に繰り返し実行される。また、以下の各ステップはスピーカ制御機2の制御部23によって実行される。
【0032】
まず、
図3のステップS1において、渋滞検知センサ3aが渋滞を検知したか否かが判断される。すなわち、音情報提供区域A2で渋滞が発生しているか否かが判断される。そして、渋滞検知センサ3aが渋滞を検知していないと判断された場合には、ステップS2に移る。その一方、渋滞検知センサ3aが渋滞を検知していると判断された場合には、既に音情報提供区域A2まで渋滞が続いており、もはや音声メッセージによる報知を行う必要がないので、リターンに移る。
【0033】
次に、ステップS2において、渋滞検知センサ3bが渋滞を検知したか否かが判断される。すなわち、渋滞発生予測区域A1で渋滞が発生しているか否かが判断される。そして、渋滞検知センサ3bが渋滞を検知していると判断された場合には、音声メッセージによる報知を行う必要があるため、ステップS3に移る。その一方、渋滞検知センサ3bが渋滞を検知していないと判断された場合には、音声メッセージによる報知を行う必要がないため、リターンに移る。
【0034】
次に、ステップS3において、時計24からの入力に基づいて昼間であるか否かが判断される。たとえば、8時~18時の場合に昼間であると判断される。そして、昼間であると判断された場合には、ステップS4に移る。その一方、昼間ではないと判断された場合(夜間の場合)には、ステップS5に移る。
【0035】
次に、ステップS4において、雨センサ4が雨を検知したか否かが判断される。すなわち、音情報提供区域A2での降雨の有無が判断される。そして、雨センサ4が雨を検知していないと判断された場合には、ステップS6に移る。その一方、雨センサ4が雨を検知していると判断された場合には、ステップS7に移る。
【0036】
また、ステップS5において、雨センサ4が雨を検知したか否かが判断される。すなわち、音情報提供区域A2での降雨の有無が判断される。そして、雨センサ4が雨を検知していないと判断された場合には、ステップS8に移る。その一方、雨センサ4が雨を検知していると判断された場合には、ステップS9に移る。
【0037】
そして、昼間で降雨なしの場合(ステップS4:No)には、ステップS6において、音声再生装置21により音源21aが再生される。これにより、昼間で降雨なしの場合に応じた音圧又は周波数の音声メッセージが32台のスピーカ1-1~1-32から出力される。
【0038】
また、昼間で降雨ありの場合(ステップS4:Yes)には、ステップS7において、音声再生装置21により音源21bが再生される。これにより、昼間で降雨ありの場合に応じた音圧又は周波数の音声メッセージが32台のスピーカ1-1~1-32から出力される。
【0039】
また、夜間で降雨なしの場合(ステップS5:No)には、ステップS8において、音声再生装置21により音源21cが再生される。これにより、夜間で降雨なしの場合に応じた音圧又は周波数の音声メッセージが32台のスピーカ1-1~1-32から出力される。
【0040】
また、夜間で降雨ありの場合(ステップS5:Yes)には、ステップS9において、音声再生装置21により音源21dが再生される。これにより、夜間で降雨ありの場合に応じた音圧又は周波数の音声メッセージが32台のスピーカ1-1~1-32から出力される。
【0041】
-スピーカの構造-
次に、
図4~
図7を参照して、本実施形態によるスピーカ1の構造について説明する。なお、
図4~
図7では、X1方向が車両進行方向であり、X2方向が車両逆進行方向である。
【0042】
スピーカ1は、出力される音が道路の車両通行帯に向かうように構成されており、道路敷地外への音の拡散が抑制されるようになっている。このスピーカ1は、
図4~
図7に示すように、平面スピーカ本体11と、導波板12~14とを備えている。
【0043】
平面スピーカ本体11は、表裏両面から音を発するように構成されている。
図4に示すように、平面スピーカ本体11の一面(X2方向側の面)には、大部分に2つのグリル11aが設けられている。グリル11aには多数の開口部が形成され、その開口部を介して音が出力されるようになっている。平面スピーカ本体11の他面(X1方向側の面)にも一面と同様に、大部分に2つのグリル(図示省略)が設けられている。そのグリルにも多数の開口部が形成され、その開口部を介して音が出力されるようになっている。
【0044】
また、平面スピーカ本体11の下端部には、取付部11bが設けられている。取付部11bは、支柱1aの上端部に取付可能に構成されている。支柱1aは、路側の地面から上方に延びるように設けられている。なお、平面スピーカ本体11は、一面のグリル11a及び他面のグリルが、防水及び防塵シート(図示省略)で被覆されていてもよい。この防水及び防塵シートは、通音性を有する。
【0045】
平面スピーカ本体11の一面には、グリル11aからの音を車両通行帯に導くための導波板12~14が設けられている。平面スピーカ本体11の他面には、グリルからの音を車両通行帯に導くための導波板12~14が設けられている。なお、一面側の導波板12~14と他面側の導波板12~14とはほぼ同様に構成されているため、以下では、一面側の導波板12~14についてのみ説明し、他面側の導波板12~14についての説明を省略する。
【0046】
導波板12~14は、それぞれ、たとえば一枚の金属板からなり、平面スピーカ本体11の一面に着脱可能に取り付けられている。なお、導波板が制振手段を備えた金属板からなっていてもよい。この場合、制振手段は、ゴム等の粘弾性高分子材料層から構成され、金属板に対して着脱可能とされていてもよい。
【0047】
導波板12は、平面スピーカ本体11の下縁に配置され、平面スピーカ本体11の一面からX2方向側に延びるように形成されている。この導波板12は、たとえば、平面スピーカ本体11の一面と直交するように配置されている。導波板12のX1方向側の端部には、取付片12a(
図6参照)が形成されている。取付片12aは、下方に延びるように形成され、たとえばボルト及びナットを用いて平面スピーカ本体11の一面に締結されている。導波板12のX2方向の長さは、適宜調整可能である。
【0048】
導波板13は、平面スピーカ本体11の上縁に配置され、平面スピーカ本体11の一面からX2方向側に延びるように形成されている。この導波板13は、たとえば、平面スピーカ本体11の一面と直交するように配置されている。そして、導波板12及び13は、上下方向においてグリル11aを挟んで対向するように平行に配置されている。導波板13のX1方向側の端部には、取付片13aが形成されている。取付片13aは、上方に延びるように形成され、たとえばボルト及びナットを用いて平面スピーカ本体11の一面に締結されている。導波板13のX2方向の長さは、適宜調整可能である。
【0049】
導波板14は、平面スピーカ本体11の道路敷地外側の縁(一側縁)に配置され、平面スピーカ本体11の一面からX2方向側に延びるように形成されている。導波板14には、
図6に示すように、X1方向側の端部に取付片14aが形成され、下端部に取付片14bが形成され、上端部に取付片14cが形成されている。取付片14aは、道路敷地外側(グリル11aとは反対側)に延びるように形成され、たとえばボルト及びナットを用いて平面スピーカ本体11の一面に締結されている。取付片14bは、道路敷地外側に延びるように形成され、たとえばボルト及びナットを用いて導波板12に締結されている。取付片14cは、道路敷地外側に延びるように形成され、たとえばボルト及びナットを用いて導波板13に締結されている。導波板14のX2方向の長さ、及び、導波板14の平面スピーカ本体11の一面に対する角度(導波板14と平面スピーカ本体11とのなす角)は、適宜調整可能である。たとえば、導波板14と平面スピーカ本体11の一面とでグリル11a側(車両通行帯側)になす角は、90度以内に設定される。
【0050】
また、平面スピーカ本体11の一面と導波板12との間には支持アーム15aが設けられ、平面スピーカ本体11の一面と導波板13との間には支持アーム15bが設けられている。支持アーム15a及び15bは、細長い板体であり、車両走行帯側の縁(他側縁)に配置されている。支持アーム15aは、一方端部が平面スピーカ本体11の一面に取り付けられ、他方端部が導波板12に取り付けられている。支持アーム15bは、一方端部が平面スピーカ本体11の一面に取り付けられ、他方端部が導波板13に取り付けられている。
【0051】
-効果-
本実施形態では、上記のように、スピーカ1は、表裏両面(車両進行方向と車両逆進行方向)から音を発する平面スピーカ本体11と、平面スピーカ本体11の上縁、下縁及び一側縁から、平面スピーカ本体11の音の放射方向に沿って延設され、その音の放射方向を車両通行帯にのみ指向させる導波板12~14とを備える。このように構成することによって、道路敷地外への音の拡散を抑制することができるので、音声メッセージによる報知を行いながら、近隣住民などへの騒音となるのを抑制することができる。
【0052】
また、本実施形態では、導波板12~14は平面スピーカ本体11からの延出長さが可変とされることによって、平面スピーカ本体11からの音声メッセージの指向性を適宜調整することができる。
【0053】
また、本実施形態において、導波板が制振手段を備える場合には、音の拡散をより抑制することができる。
【0054】
また、本実施形態において、防水及び防塵シートにより平面スピーカ本体11が被覆される場合には、平面スピーカ本体11を風雨や粉塵などから保護することができるので、耐久性の向上を図ることができる。
【0055】
また、本実施形態では、暗騒音のレベルに応じて、音圧又は周波数が異なる複数の音源21a~21dが選択及び制御されることによって、音声メッセージによる報知を適切に行いながら、近隣住民などへの騒音となるのを抑制することができる。
【0056】
ここで、車両内では周波数500Hz~2kHzの帯域が低くなる傾向がある。そこで、本実施形態では、周波数が500Hz~2kHzを中心とする音声メッセージをスピーカ1が発することによって、車両の乗員(運転手)に対して音声メッセージを聞こえやすくすることができる。また、母音が「う」である音にアクセントが付されることによって、メリハリのある音声メッセージにすることができる。
【0057】
-他の実施形態-
なお、今回開示した実施形態は、すべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0058】
たとえば、上記実施形態では、導波板12~14が設けられる例を示したが、これに限らず、導波板12~14のうち少なくとも一つが設けられていればよい。
【0059】
また、上記実施形態では、導波板12が平面スピーカ本体11の一面と直交する例を示したが、これに限らず、導波板12の平面スピーカ本体11の一面に対する角度が適宜調整可能であってもよい。同様に、導波板13が平面スピーカ本体11の一面と直交する例を示したが、これに限らず、導波板13の平面スピーカ本体11の一面に対する角度が適宜調整可能であってもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、「この先 渋滞 走行注意」との音声メッセージをスピーカ1が発する例を示したが、これに限らず、それとは異なる内容の音声メッセージをスピーカが発するようにしてもよいし、音声メッセージ以外の警告音などをスピーカが発するようにしてもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、車両用音情報提供装置全体のシステム100に32台のスピーカ1-1~1-32が設けられる例を示したが、これに限らず、車両用音情報提供装置全体のシステムに設けられるスピーカの数はいくつであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、車両が通行する道路において車両の通行に支障とならない箇所に設置され、該車両の乗員に対して音情報を提供する車両用音情報提供装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0063】
1 スピーカ(車両用音情報提供装置)
11 平面スピーカ本体
12 導波板
13 導波板
14 導波板
21a 音源
21b 音源
21c 音源
21d 音源