(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022119092
(43)【公開日】2022-08-16
(54)【発明の名称】キャパシタ部品
(51)【国際特許分類】
H01G 4/33 20060101AFI20220808BHJP
H01G 4/10 20060101ALI20220808BHJP
H01G 13/00 20130101ALI20220808BHJP
【FI】
H01G4/33 102
H01G4/10
H01G13/00 391Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021016089
(22)【出願日】2021-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126572
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 智史
(72)【発明者】
【氏名】青柳 善雄
(72)【発明者】
【氏名】川島 由
(72)【発明者】
【氏名】増田 秀俊
(72)【発明者】
【氏名】武 宜成
【テーマコード(参考)】
5E082
【Fターム(参考)】
5E082AB10
5E082BC35
5E082EE05
5E082EE17
5E082EE23
5E082EE37
5E082FF05
5E082FG03
5E082FG16
5E082FG27
5E082FG44
5E082GG10
5E082LL40
(57)【要約】 (修正有)
【課題】多孔性本体内に設けられた内部電極を有するキャパシタ部品において静電容量の低下を抑制しつつ耐電圧を向上させる。
【解決手段】キャパシタ部品1は、第1方向に延びる複数の貫通孔11を有する多孔性本体10と、第1内部電極と、第2内部電極と、を備える。多孔性本体には、当該多孔性本体を第1方向に貫通しその第1方向と直交する第2方向に延びるように第1溝12a、12c、12e、12gが形成されている。第1内部電極に含まれる第1電極層23a~23dは、この第1溝に埋め込まれる。多孔性本体には、壁部13を介して第1溝と対向する第2溝12b、12d、12f、12hが形成されている。第2内部電極に含まれる第2電極層24a~24dは、この第2溝に埋め込まれる。壁部は、第1方向及び第2方向に直交する第3方向に沿って多孔性本体の複数の貫通孔のうちの少なくとも2つを含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延びる複数の貫通孔を有する多孔性本体と、
前記多孔性本体を前記第1方向に貫通し前記第1方向と直交する第2方向に延びるように前記多孔性本体に形成された第1溝に埋め込まれた第1電極層を有する第1内部電極と、
前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向に沿って前記複数の貫通孔のうちの少なくとも2つを含む壁部を介して前記第1溝に対向するように前記多孔性本体に形成された第2溝に埋め込まれた第2電極層を有する第2内部電極と、
を有するキャパシタ部品。
【請求項2】
前記第1内部電極の前記第2方向における寸法は、前記貫通孔の直径の2倍よりも大きい、
請求項1に記載のキャパシタ部品。
【請求項3】
前記複数の貫通孔の各々は、空孔である、
請求項1又は2に記載のキャパシタ部品。
【請求項4】
前記壁部の前記第3方向における寸法に対する前記第1方向における寸法の比を表すアスペクト比が10以上500以下である、
請求項2に記載のキャパシタ部品。
【請求項5】
前記壁部は、前記第1方向に対して25°以内の傾斜角だけ傾斜している、
請求項1から4のいずれか1項に記載のキャパシタ部品。
【請求項6】
前記第1内部電極と電気的に接続された第1外部電極と、
前記第2内部電極と電気的に接続された第2外部電極と、
をさらに備える請求項1から5のいずれか1項に記載のキャパシタ部品。
【請求項7】
前記多孔性本体は、弁金属が陽極酸化された酸化物からなる、
請求項1から6のいずれか1項に記載のキャパシタ部品。
【請求項8】
弁金属からなる基材を準備する工程と、
前記基材に陽極酸化処理を行うことにより第1方向に延びる複数の貫通孔を有する酸化体を得る工程と、
前記酸化体にウェットエッチングを行うことにより、前記酸化本体を前記第1方向に貫通し前記第1方向と直交する第2方向に延びる第1溝前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向において前記第1溝から離間した位置で前記第1溝に対向する第2溝を、前記第1溝と前記第2溝との間に前記第3方向に沿って前記複数の貫通孔のうちの少なくとも2つを含む壁部が残存するように形成する工程と、
前記第1溝に第1電極層を形成し、前記第2溝に第2電極層を形成する工程と、
を備えるキャパシタ部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書において開示される発明は、キャパシタ部品に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の小型化に伴い、キャパシタ部品においては単位面積あたりの発生容量を向上させることが求められている。従来から、複数の貫通孔を有する多孔性本体と、この複数の貫通孔の各々に充填された内部電極と、を備えるキャパシタ部品が知られている。この種のキャパシタ部品は、ポーラスコンデンサと呼ばれることがある。ポーラスコンデンサは、隣接する貫通孔内に充填された内部電極の組と、多孔性本体のうち内部電極間に配置された領域とにより容量を発生させる。ポーラスコンデンサは、多孔性本体の厚さ方向に延びる貫通孔に内部電極が設けられるため、積層セラミックコンデンサと比べて単位体積あたりの容量(容量密度)を向上させることができる。従来のポーラスコンデンサは、例えば、特開2016-004827号公報、特開2015-088582号公報、及び特開2009-21553号公報に記載されている。
【0003】
キャパシタ部品用の多孔性本体は、例えば、弁金属の酸化物からなる。多孔性本体は、例えば、弁金属に陽極酸化処理を施すことにより得られる弁金属の酸化物からなる構造体である。多孔性本体に形成される貫通孔は、陽極酸化処理時の条件に応じて数十nm~数百nmの範囲の直径を有し、隣接する貫通孔と数十nm~数百nmの間隔だけ離れるように形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-004827号公報
【特許文献2】特開2015-088582号公報
【特許文献3】特開2009-21553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ポーラスコンデンサの耐電圧及び静電容量は、対向する内部電極の間隔、即ち隣接する貫通孔の間隔によって影響を受ける。隣接する貫通孔の間隔を大きくすると耐電圧が大きくなる一方で静電容量は小さくなる。逆に、隣接する貫通孔の間隔を小さくすると、静電容量は大きくなる一方で耐電圧は小さくなる。上記のように、隣接する貫通孔の間隔は、数十nm~数百nm程度の大きさであるため、ポーラスコンデンサにおいては耐電圧が低いことが問題となる。
【0006】
本明細書により開示される発明(以下、「本発明」という。)の目的は、上述した問題の少なくとも一部を解決又は緩和することである。本発明のより具体的な目的の一つは、多孔性本体内に設けられた内部電極を有するキャパシタ部品において静電容量の低下を抑制しつつ耐電圧を向上させることである。
【0007】
本発明の前記以外の目的は、明細書全体の記載を通じて明らかにされる。特許請求の範囲に記載される発明は、「発明を解決しようとする課題」から把握される課題以外の課題を解決するものであってもよい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態によるキャパシタ部品は、第1方向に延びる複数の貫通孔を有する多孔性本体と、前記多孔性本体を前記第1方向に貫通し前記第1方向と直交する第2方向に延びるように前記多孔性本体に形成された第1溝に埋め込まれた第1電極層を有する第1内部電極と、前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向に沿って前記複数の貫通孔のうちの少なくとも2つを含む壁部を介して前記第1溝に対向するように前記多孔性本体に形成された第2溝に埋め込まれた第2電極層を有する第2内部電極と、を備える。
【0009】
本発明の一実施形態において、前記第1内部電極の前記第2方向における寸法は、前記貫通孔の直径の2倍よりも大きい。
【0010】
本発明の一実施形態において、前記複数の貫通孔の各々は、空孔である。
【0011】
本発明の一実施形態において、前記壁部の前記第3方向における寸法に対する前記第1方向における寸法の比を表すアスペクト比が10以上500以下である。
【0012】
本発明の一実施形態において、前記壁部は、前記第1方向に対して25°以内の傾斜角だけ傾斜している。
【0013】
本発明の一実施形態によるキャパシタ部品は、前記第1内部電極と電気的に接続された第1外部電極と、前記第2内部電極と電気的に接続された第2外部電極と、をさらに備える。
【0014】
本発明の一実施形態において、前記多孔性本体は、弁金属が陽極酸化された酸化物からなる。
【0015】
本発明の一実施形態によるキャパシタ部品の製造方法は、弁金属からなる基材を準備する工程と、前記基材に陽極酸化処理を行うことにより第1方向に延びる複数の貫通孔を有する酸化体を得る工程と、前記酸化体にウェットエッチングを行うことにより、前記酸化本体を前記第1方向に貫通し前記第1方向と直交する第2方向に延びる第1溝前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向において前記第1溝から離間した位置で前記第1溝に対向する第2溝を、前記第1溝と前記第2溝との間に前記第3方向に沿って前記複数の貫通孔のうちの少なくとも2つを含む壁部が残存するように形成する工程と、前記第1溝に第1電極層を形成し、前記第2溝に第2電極層を形成する工程と、を備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明の実施形態によれば、多孔性本体内に設けられた内部電極を有するキャパシタ部品において静電容量の低下を抑制しつつ耐電圧を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態によるキャパシタ部品を概略的に示す斜視図である。
【
図2】
図1のA-A線で切断したキャパシタ部品の断面を模式的に示す断面図である。
【
図3】
図1のB-B線で切断したキャパシタ部品の断面を模式的に示す断面図である。
【
図4】
図1のC-C線で切断したキャパシタ部品の断面を模式的に示す断面図である。
【
図5】
図2のD-D線で切断したキャパシタ部品の断面を模式的に示す断面図である。
【
図6】
図2の領域R1を拡大して模式的に示す拡大図である。
【
図7a】
図1のキャパシタ部品を製造する方法の一例を示す説明図である。
【
図7b】
図1のキャパシタ部品を製造する方法の一例を示す説明図である。
【
図7c】
図1のキャパシタ部品を製造する方法の一例を示す説明図である。
【
図7d】
図1のキャパシタ部品を製造する方法の一例を示す説明図である。
【
図7e】
図1のキャパシタ部品を製造する方法の一例を示す説明図である。
【
図7f】
図1のキャパシタ部品を製造する方法の一例を示す説明図である。
【
図7g】
図1のキャパシタ部品を製造する方法の一例を示す説明図である。
【
図7h】
図1のキャパシタ部品を製造する方法の一例を示す説明図である。
【
図7i】
図1のキャパシタ部品を製造する方法の一例を示す説明図である。
【
図7j】
図1のキャパシタ部品を製造する方法の一例を示す説明図である。
【
図7k】
図1のキャパシタ部品を製造する方法の一例を示す説明図である。
【
図7l】
図1のキャパシタ部品を製造する方法の一例を示す説明図である。
【
図7m】
図1のキャパシタ部品を製造する方法の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、適宜図面を参照し、本発明の様々な実施形態を説明する。なお、複数の図面において共通する構成要素には当該複数の図面を通じて同一の参照符号が付されている。各図面は、説明の便宜上、必ずしも正確な縮尺で記載されているとは限らない点に留意されたい。
【0019】
図1から
図6を参照して、本発明の一実施形態によるキャパシタ部品1について説明する。まず、
図1を参照して、本発明の一実施形態によるキャパシタ部品1の概略について説明する。
図1は、キャパシタ部品1を概略的に示す斜視図である。
【0020】
図1に示されているように、本発明の一実施形態によるキャパシタ部品1は、多孔性本体10と、上部保護層40aと、下部保護層40bと、外部電極21と、外部電極22と、を備える。後述するように、多孔性本体10には、外部電極21と接続される第1内部電極及び外部電極22と接続される第2内部電極が埋め込まれている。多孔性本体10は、誘電体として機能する。
【0021】
各図には、互いに直交するL軸、W軸、及びT軸が記載されている。キャパシタ部品1の各構成要素の配置や寸法は、随時、これらの軸を基準にして説明される。キャパシタ部品1は、L軸方向の寸法が0.5mm~10mm、幅寸法(W方向の寸法)が0.5~10mm、高さ寸法(T方向の寸法)が0.05~1mmとなるように形成される。本発明の一実施形態によるキャパシタ部品1は、後述するようにL軸方向に延びる溝(後述する溝12a~12h)に電極層を埋め込むことにより高い容量密度を実現している。このため、キャパシタ部品1のT軸方向の寸法を小さくしても高い静電容量を確保することができる。キャパシタ部品1のT軸方向における寸法は、例えば300μm以下であってもよい。
【0022】
一実施形態において、多孔性本体10は、上面10a、下面10b、第1端面10c、第2端面10d、第1側面10e、及び第2側面10fを有する。上面10aと下面10bとは互いに対向し、第1端面10cと第2端面10dとは互いに対向し、第1側面10eと第2側面10fとは互いに対向している。多孔性本体10は、その上面10aにおいて上部保護層40aと接しており、その下面10bにおいて下部保護層40bと接している。
【0023】
上部保護層40a及び下部保護層40bは、外部から受ける衝撃などの機械的ダメージから容量発生部を保護するために多孔性本体10の上面10a及び下面10bにそれぞれ設けられる。上部保護層40a及び下部保護層40bの材料として、酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)、ポリイミド等の樹脂材料、及びこれら以外の絶縁材料を用いることができる。上部保護層40a及び下部保護層40bは、例えば、スピンコート法により感光性ポリイミドを塗布し、この塗布されたポリイミドを露光、現像、及びキュアすることにより形成される。上部保護層40a及び下部保護層40bは、これ以外の任意の公知の方法によりバリア層30の上に設けられる。上部保護層40a及び下部保護層40bはそれぞれ、その膜厚が例えば200nm~5000nmとなるように形成される。上部保護層40a及び下部保護層40bの材料及び膜厚は、本明細書で明示的に説明されたものには限定されない。
【0024】
外部電極21及び外部電極22は、保護層40の外側に、L軸方向において互いから離間するように設けられる。外部電極21及び外部電極22は、保護層40の外側に、金属材料を含む導体ペーストを塗布することにより形成される。外部電極21及び外部電極22は、の材料として、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、銀(Ag)、金(Au)、もしくはこれら以外の金属材料、または、これらの金属元素の一または複数を含む合金材料を用いることができる。
【0025】
キャパシタ部品1は、外部電極21及び外部電極22を実装基板に設けられたランドに接合することにより、当該実装基板に実装される。この実装基板は、様々な電子機器に搭載され得る。キャパシタ部品1が実装された実装基板を備える電子機器には、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末、ゲームコンソール、サーバ、自動車の電装部品、及びこれら以外のキャパシタ部品1が実装された回路基板を備えることができる任意の電子機器が含まれる。外部電極21及び外部電極22の形状及び配置は、図示されたものには限定されない。
【0026】
続いて、
図2から
図6を参照して、多孔性本体10及びその内部に設けられる第1内部電極及び第2内部電極について説明する。
図2~
図5は、キャパシタ部品1の各切断線における断面図であり、
図6は、
図2の一部を拡大して示す拡大図である。
【0027】
図2に示されているように、多孔性本体10は、多数の貫通孔11を有する多孔性の構造体である。
図3から
図5に明瞭に示されているように、貫通孔11の各々は、多孔性本体10をT軸方向に貫通している。つまり、貫通孔11の各々は、多孔性本体10の上面10aから多孔性本体10の下面10bまでT軸方向に沿って延びている。このため、貫通孔11のT軸方向における寸法は、多孔性本体10のT軸方向における寸法と同じであり、例えば50~1000μmの範囲とされる。本明細書においては、貫通孔11のT軸方向における寸法を貫通孔11の深さということがある。
図2に示されているように、貫通孔11は、平面視において円形の形状を有していてもよい。貫通孔11は、多孔性本体10に規則的に配置されてもよい。隣接する貫通孔11同士の間隔は、貫通孔11の直径と同程度であってもよい。
【0028】
多孔性本体10は、弁金属等の金属を陽極酸化して得られた陽極酸化物であってもよい。アルミニウム(Al)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、タングステン(W)等の弁金属に対して陽極酸化処理を施すと、自己組織化によって多数の空孔を有する弁金属の陽極酸化物が得られる。多孔性本体10の貫通孔11は、陽極酸化処理によって形成された空孔であってもよい。空孔の径や深さは、陽極酸化処理において、陽極酸化処理における条件(例えば、電圧や処理時間)に応じて調整可能である。貫通孔11は、例えば、数十~数百nmのオーダーの直径を有する。図示されている貫通孔11は、説明の便宜のために、その直径が実際の寸法よりも拡大して記載されている。貫通孔11の直径が数十~数百nmのオーダーである一方、上述したようにキャパシタ部品1のL軸方向及びW軸方向の寸法は0.5mm~10mm程度の大きさを有するため、多孔性本体10は、図示されているよりも多い数の貫通孔11を有することができる。
【0029】
多孔性本体10は、各々がL軸方向に延びる複数の溝を有する。
図2に示されている例では、多孔性本体10は、L軸方向に延びる溝12a~12hの8つの溝を有している。溝12a~12hの各々は、隣接する溝と対向するように形成されている。また、多孔性本体10は、W軸方向に延びる溝12i、12jを有している。溝12iは、溝12a、12c、12e、12gの各々のL軸方向の負側の端部と接続されており、溝12jは、溝12b、12d、12f、12hの各々のL軸方向の正側の端部と接続されている。多孔性本体10には、8つより多い又は少ない数のL軸方向に延びる溝が形成されてもよい。
【0030】
溝12a~12hは、L軸方向における寸法がW軸方向における寸法よりも大きくなるように形成される。一実施形態において、溝12a~12hの各々のL軸方向における寸法は、キャパシタ部品1のL軸方向における寸法の0.5倍~0.8倍に設定されてもよい。溝12a~12hの各々のL軸方向における寸法は、例えば250~800μmの範囲とされる。このように、溝12a~12hの各々のL軸方向における寸法は、貫通孔11の直径や隣接する貫通孔同士の間隔よりも大幅に大きい。溝12a~12hの各々のW軸方向における寸法D13は、一つの貫通孔11のW軸方向における寸法よりも大きい。例えば、溝12a~12hの各々のW軸方向における寸法D13は、100nm~2000nm(2μm)とされる。
【0031】
溝12a~12jは、弁金属を陽極酸化処理して得られた陽極酸化体にレジストをエッチングパターニングし、陽極酸化体のうちレジストによって被覆されていない領域をウェットエッチングにより除去することにより形成されてもよい。
【0032】
溝12a、12c、12e、12gには、第1電極層23a~23dがそれぞれ充填され、溝12b、12d、12f、12hには、第2電極層24a~24dがそれぞれ充填される。溝12iには、電極層23a~23dを電気的に接続する接続電極25が充填されており、溝12jには、電極層24a~24dを電気的に接続する接続電極26が充填されている。第1電極層23a~23d、第2電極層24a~24d、及び接続電極25、26は、優れた導電性を有する導電性材料、例えば、In、Sn、Pb、Cd、Bi、Al、Cu、Ni、Au、Ag、Pt、Pd、Co、Cr、Fe、Zn等の金属又はこれらの合金からる。本発明の一実施形態において、貫通孔11には導電性材料は充填されない。貫通孔11は空孔であってもよい。貫通孔11には、合成樹脂等の絶縁性材料が充填されていてもよい。
【0033】
図3~
図5に示されているように、接続電極25と外部電極21とは引出電極27で接続され、接続電極26と外部電極22とは引出電極28で接続されている。引出電極27、28は、上部保護層40aに設けられたコンタクトホールに設けられている。一実施形態において、引出電極27は、W軸方向において第1電極層23aと第1電極層23dとの間に延在し、引出電極28は、W軸方向において第1電極層24aと第1電極層24dとの間に延在する。このように、引出導体27により、多孔性本体10内に設けられた第1電極層23a~23d及び接続電極25が外部電極21と電気的に接続され、引出導体28により、多孔性本体10内に設けられた第2電極層24a~24d及び接続電極26が外部電極21と電気的に接続される。このため、第1電極層23a~23d及び接続電極25が第1内部電極を構成し、第2電極層24a~24d及び接続電極26が第2内部電極を構成する。
【0034】
溝12a~12jの各々は、貫通孔11と同様に、多孔性本体10をT軸方向に貫通している。よって、溝12a~12jの各々のT軸方向における寸法D11(深さD11)は、貫通孔11のT軸方向における寸法と等しい。溝12a~12jの各々のT軸方向における寸法D11は、例えば50~1000μmの範囲とされる。
【0035】
溝12a~12hのうち隣接する溝同士は、多孔性本体10の一部である壁部13によってW軸方向に隔てられている。壁部13は、隣接する溝同士を隔てるように多孔性本体10の上面10aから下面10bまで延びている。また、壁部13は、L軸方向において、溝12a~12hよりも大きい寸法を有している。このため溝12a~12hに設けられた第1電極層23a~23dを第2電極層24a~24dから電気的に絶縁することができる。
【0036】
本発明の一実施形態において、壁部13は、W軸方向に沿って少なくとも2つの貫通孔11を有する。したがって、
図6に示されているように、壁部13のW軸方向における寸法D12は、貫通孔11同士の間隔D1よりも大きくなる。キャパシタ部品1において第1電極層23aと第2電極層24aとは、W軸方向において壁部13によって距離D12だけ隔てられている。この壁部13のW軸方向における寸法D12は貫通孔11の間隔D1よりも大きく、壁部13内の貫通孔11には内部電極は設けられていないので、キャパシタ部品1は、多孔性本体の複数の貫通孔の各々に内部電極が充填される従来のポーラスコンデンサと比べて内部電極間の間隔が大きくなる。よって、本発明の一実施形態によるキャパシタ部品1においては、従来のポーラスコンデンサと比べて耐電圧を高くすることができる。
【0037】
本明細書においては、壁部13の前記W軸方向における寸法D12に対するT軸方向における寸法D11の比であるD11/D12をキャパシタ部品1のアスペクト比とする。本発明の一実施形態においては、アスペクト比が10以上500以下とされる。
【0038】
図2に示されているように、多孔性本体10は、平面視において(T軸方向から見た視点において)、接続電極25と体1端面10cとの間の領域に周壁部14aを有し、接続電極26と第2端面10dとの間の領域に周壁部14bを有し、第1電極層23aと第1側面10eとの間の領域に周壁部14cを有し、第2電極層24dと第2側面10fとの間に周壁部14dを有する。周壁部14a、14bの各々は、L軸方向に沿って2つ以上の貫通孔11を有する。周壁部14c、14dの各々は、W軸方向に沿って2つ以上の貫通孔11を有する。周壁部14a~14dにより、キャパシタ部品1の内部電極と外部の導体との間でショートが発生することを防止できる。また、周壁部14a~14dにより、キャパシタ部品1の耐候性が向上する。
【0039】
続いて、
図7a~
図7mを参照して、キャパシタ部品1の製造方法の例について説明する。これらの図においては、完成品であるキャパシタ部品1においてT軸、W軸、L軸となる各軸が図示されており、各部材の配置や方向については各軸を随時参照して説明される。
【0040】
まず、
図7aに示されているように基材100を準備する。基材100は、例えば、弁金属からなる構造体である。基材100は、概ね直方体形状を有する。基材100は、例えばアルミニウムからなる構造体である。
【0041】
次に、基材100に陽極酸化処理を施す。この陽極酸化処理により、基材100の少なくとも一部が酸化される。基材100が酸化される酸化体110となる。酸化体110は、
図7bに示されているように、T軸方向に延びる多数の空孔11aを有する。空孔11aは、陽極酸化処理において、自己組織化作用によって酸化体110内に形成される。空孔11aは、完成品であるキャパシタ部品1において貫通孔11となり、酸化体110がキャパシタ部品1において多孔性本体10となる。図示されている酸化体110は、説明の便宜のために概略的に記載されている。酸化体110は、図示されているよりも多くの数の空孔11aを有していてもよい。
図7bに示した例においては、酸化体110の底面には、未酸化の基材110が残っている。陽極酸化処理における処理条件を調整することにより、基材100が残存しないように陽極酸化処理が行われてもよい。陽極酸化処理は、例えば15℃~20℃に調整されたシュウ酸(0.1mol/l)溶液中で基材100を陽極として電圧を印加することにより行うことが可能である。印加電圧は例えば数V~数100V、処理時間は例えば数分~数日とすることができる。基材100がアルミニウムの場合、酸化体110は、酸化アルミニウムからなる。陽極酸化処理の前に基材100に規則的なピット(凹部)を形成しておき、このピットを基点として空孔11aを成長させてもよい。このピットの配置により空孔11aの配列を制御することが可能となる。ピットは、例えば基材100にモールド(型)を押圧することによって形成することが可能である。
【0042】
次に、
図7cに示すように、酸化されていない基材100を除去する。基材100は、例えばウェットエッチング等の化学的方法によって除去することができる。基材100は、やすり、サンドブラスト等の物理的な方法で除去されてもよい。基材100が除去されると空孔11aが酸化体110をT軸方向に貫通する貫通孔となる。
【0043】
次に、
図7dに示すように、酸化体110の上面(T軸方向の正側の面)に導電性材料からなる導電体層111を形成し、さらに導電体層111の上面に補強層112を形成する。導電体層111は、スパッタ法、真空蒸着法、及びこれら意外の公知の方法によって酸化体110の上面に成膜される。補強層112は、導電体層111をシード層として酸化体110の上側の部位に電解めっきを施すことにより形成されてもよい。
【0044】
次に、
図7eに示すように、酸化体110の下面(T軸方向の負側の面)の一部領域に、例えばスピンコート法によりエッチングレジスト113を設ける。エッチングレジスト113は、例えばフォトリソグラフィによってパターニングすることが可能である。エッチングレジスト113は、酸化体110の下面のうち、平面視において(T軸方向から見た視点において)、壁部13及び周壁部14a~14dに対応する領域に設けられる。
【0045】
次に、
図7fに示すように、酸化体110のうちエッチングレジスト113が設けられていない領域をウェットエッチングにより除去することで多孔性本体10が得られる。上記のように、エッチングレジスト113は、壁部13及び周壁部14a~14dに対応する領域に設けられているので、酸化体110から壁部13及び周壁部14a~14d以外の部位が除去される。このウェットエッチングにより除去された領域が多孔性本体10の溝12a~12jとなる。
図7fには、多孔性本体10の溝12a~12jのうち溝12fのみが示されているが、溝12f以外の溝もウェットエッチング処理により溝12fと並行して形成される。ウェットエッチングにより処理される溝12a~12jは、T軸方向に平行に延びていてもよいし、T軸方向に対して25°以内の傾斜角だけ傾斜していてもよい。
【0046】
このように、溝12a~12jは、多孔性本体10の貫通孔11同士を隔てている隔壁を除去することによって形成されるため、L軸方向及びW軸方向のいずれにおいても貫通孔11の直径及び貫通孔11の間隔よりも大きな寸法を有する。多孔性本体10には、エッチングレジスト113により保護されて、壁部13及び周壁部14a~14dが除去されずに残っている。壁部13及び周壁部14a~14dの各々は、貫通孔11を含んでいる。
【0047】
次に、
図7gに示すように、多孔性本体10の溝12a~12j内に、導電体層111をシード層として電解Niめっきを施すことによりNiめっき導体を成長させる。この溝12a~12j内に生成されためっき導体が、キャパシタ部品1における第1電極層23a~23d、第2電極層24a~24d、接続電極25、及び接続電極26に対応する。このめっき処理時に、壁部13及び周壁部14a~14dに対応する領域にはエッチングレジスト113が残存しているため、壁部13及び周壁部14a~14dに含まれる貫通孔11にはめっき導体が生成されない。
【0048】
次に、
図7hに示すように、多孔性本体10の上面10aから導電体層111及び補強層112を除去し、下面10bからエッチングレジスト113を除去する。導電体層111、補強層112、及びエッチングレジスト113を除去する処理は、超音波洗浄法、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法、又はこれら以外の公知の方法により行われる。
【0049】
次に、
図7iに示すように、多孔性本体10の上面10aに酸化シリコン(SiO
2)からなる上部保護層40aが形成され、孔性本体10の下面10bに酸化シリコン(SiO
2)からなる下部保護層40bが形成される。上部保護層40a及び下部保護層40bは、例えばCVD法により形成される。上部保護層40a及び下部保護層40bは、酸化シリコン(SiO
2)から形成されてもよいし、CVD法以外の当業者に明らかな方法により形成されてもよい。
【0050】
次に、
図7jに示すように、上部保護層40aの上面にエッチングレジスト114を例えばスピンコート法により形成する。エッチングレジスト114は、上部保護層40aの上面に、接続電極25、26に対応する領域が開口するようにパターニングされる。
【0051】
次に、
図7kに示すように、上部保護層40aのうちエッチングレジスト114が設けられていない領域を除去することで、上部保護層40aにコンタクトホールを形成する。コンタクトホールは、例えば、RIE(反応性エッチング)、NLD(磁気中性線放電)プラズマによりエッチング等の当業者に明らかな方法により形成される。
【0052】
次に、
図7lに示すように、エッチングレジスト114を上部保護層40aから剥離し、上部保護層40aの上面を露出させる。
【0053】
次に、
図7mに示すように、上部保護層40aに形成されたコンタクトホールに、スパッタ法、真空蒸着法又はこれら以外の当業者に明らかな方法によって、引出電極27、28を形成する。次に、上部保護層40aの上面から露出している引出電極27を覆うように外部電極21が形成され、上部保護層40aの上面から露出している引出電極28を覆うように外部電極22が形成される。外部電極21、22は、スパッタ法、真空蒸着法又はこれら以外の当業者に明らかな方法により形成される。
【0054】
以上のようにして、キャパシタ部品1を製造することが可能である。キャパシタ部品1は、外部電極21、22を実装基板のランドと接続することにより、実装基板に実装されてもよい。
【0055】
本発明者は、上記の製造方法に従って、W軸、L軸、及びT軸方向の各々における寸法がそれぞれ4.6mm、5.1mm、0.15mmキャパシタ部品1を試作したところ、その耐電圧及び静電容量はそれぞれ2kV及び4.7nFであった。MLCCタイプのキャパシタ部品において同程度の耐電圧及び静電容量を有するためには、本出願の出願時点の技術水準において、試作した4.6x5.1x0.15mmのキャパシタ部品1の10倍程度の体積が必要である。また、本発明の一実施形態によるキャパシタ部品1は、優れた耐電圧及び静電容量を有する。このため、所定の耐電圧及び静電容量を有するキャパシタ部品1は、同程度の耐電圧及び静電容量を有するMLCCタイプのキャパシタ部品と比べて体積を1/10程度小型化することができる。
【0056】
続いて、上記の実施形態が奏する作用効果について説明する。本発明の一又は複数の実施形態によれば、第1電極層23a~23dと第2電極層24a~24dのうち隣接する組同士が多孔性本体10の一部である壁部13によって隔てられている。壁部13は、W軸方向に沿って少なくとも2つの貫通孔11を有するため、壁部13の厚さ(W軸方向における寸法)D12は、貫通孔11同士の間隔D1よりも大きくなる。よって、本発明の一実施形態によるキャパシタ部品1は、多孔性本体の複数の貫通孔の各々に内部電極が充填される従来のポーラスコンデンサと比べて内部電極間の間隔が大きくなる。よって、本発明の一実施形態によるキャパシタ部品1においては、従来のポーラスコンデンサと比べて耐電圧を高くすることができる。
【0057】
本発明の一実施形態によるキャパシタ部品1においては、耐電圧を高めるために第1電極層23a~23d及び第2電極層24a~24dのうち隣接する層同士の間隔が従来のポーラスコンデンサの内部電極間の間隔よりも大きくなっている。キャパシタ部品1における従来のポーラスコンデンサと比べた内部電極間の距離の増加は、従来のポーラスコンデンサよりもキャパシタ部品1の静電容量を低下させる要因となり得る。他方、キャパシタ部品1においては第1電極層23a~23d及び第2電極層24a~24dが埋め込まれる溝12a~12hの各々がL軸方向に延びるように形成されている。よって、溝12a~12hのL軸方向の寸法に応じて、第1電極層23a~23d及び第2電極層24a~24dのうち隣接する電極層同士の対向面積を大きくすることができる。このため、本発明の一実施形態によるキャパシタ部品1は、第1電極層23a~23d及び第2電極層24a~24dのうち隣接する電極層同士の間隔が従来のポーラスコンデンサにおける隣接する内部電極間の間隔より大きくても、隣接する電極層同士の対向面積を大きくすることが可能であるから、この電極層同士の対向面積の増加による容量密度の増加によって電極層同士の間隔の増加による容量密度の低下を補うことができる。
【0058】
本発明の一又は複数の実施形態によるキャパシタ部品1は、高い耐電圧を有するため、スナバ回路に用いるのに適している。
【0059】
本発明の一又は複数の実施形態によるキャパシタ部品1は、優れた容量密度を有するため小型化が可能である。
【0060】
本発明者の知る限り公知とはなっていないが、本発明の一実施形態によるキャパシタ部品1の多孔性本体10と同様の形状の溝及び貫通孔を有する構造体は、ボッシュプロセスにより作製することが可能と考えられる。しかしながら、ボッシュプロセスにより加工可能な基材は、Siなどの低誘電率の材料からなる基材に限られるため、ボッシュプロセスにより作製される多孔性本体10と同様の形状を有する本体を有するキャパシタ部品は、弁金属の酸化物からなる多孔性本体10を有するキャパシタ部品1と比べて静電容量の点で劣ると考えられる。逆にいうと、本発明の一実施形態によるキャパシタ部品1は、ボッシュプロセスにより作製された同様の形状を有する本体に内部電極を埋め込んで作製されたキャパシタ部品よりも優れた静電容量を有する。
【0061】
発明者の知る限り公知とはなっていないが、本発明の一実施形態によるキャパシタ部品1の多孔性本体10と同様の形状の溝及び貫通孔を有する構造体は、厚膜レジストをリソグラフィーによりパターニングすることによって作製することが可能と考えられる。しかしながら、厚膜レジストは樹脂材料から形成されるため、厚膜レジストをパターニングして作製される多孔性本体10と同様の形状を有する本体を有するキャパシタ部品は、弁金属の酸化物からなる多孔性本体10を有するキャパシタ部品1と比べて静電容量の点で劣ると考えられる。また、厚膜レジストをパターニングして作製される多孔性本体10と同様の形状を有する本体を有するキャパシタ部品は、誘電体として機能する厚膜レジストが高温で溶融してしまうため、高温環境での使用に適しないという問題がある。本発明の一実施形態によるキャパシタ部品1は、厚膜レジストを誘電体として機能させるキャパシタ部品よりも高温での使用に適している。
【0062】
キャパシタ部品1の多孔性本体10は、トレンチキャパシタやインダクタの基体としても使用することができる。多孔性本体10を基体とするトレンチキャパシタ及びインダクタも本明細書に開示されている発明の一部である。多孔性本体10をトレンチキャパシタの基体に適用する場合には、弁金属の酸化物からなる酸化体に、ウェットエッチングにより、溝12a~12jに代えてトレンチキャパシタのMIM構造が埋め込まれる複数のトレンチが形成される。多孔性本体10に形成されたトレンチの内部及び多孔性本体10の表面には、公知の手法に従って、正極又は負極の一方となる第1内部電極層が形成され、この内部電極層の上に誘電体層が形成され、この誘電体層の上に第1内部電極層と逆の極性となる第2内部電極層が形成される。多孔性本体10に形成される複数のトレンチは、隣接するトレンチ間に2以上の貫通孔11が含まれるように構成される。隣接するトレンチ間に2以上の貫通孔11が含まれることにより、トレンチ間での絶縁破壊が起こりにくくなる。つまり、トレンチキャパシタの耐電圧を向上させることができる。
【0063】
多孔性本体10をインダクタの基体に適用する場合には、弁金属の酸化物からなる酸化体に、ウェットエッチングにより、溝12a~12jに代えてコイル導体が埋め込まれる周回溝が形成される。周回溝は、多孔性本体10の貫通孔11と平行にT軸方向に延びる仮想的なコイル軸の周りに複数ターンだけ周回する渦巻形状に形成される。この周回溝に公知の手法により導電性材料からなるコイル導体が埋め込まれる。この周回溝の隣接するターン間は多孔性本体10の一部である壁部により隔てられる。隣接するターン間を隔てる壁部は、周回溝の径方向(コイル軸を通り、コイル軸と直交する方向)に沿って2以上の貫通孔11を含む。周回溝の隣接するターン間に2以上の貫通孔11が含まれることにより、コイル導体の隣接するターン間での絶縁破壊が起こりにくくなる。つまり、インダクタの耐電圧を向上させることができる。
【0064】
本明細書において、ある構成要素を「含む」又は「備える」という場合、特に異なる趣旨の説明がされていない限り、他の構成要素を除外する趣旨ではなく、他の構成要素をさらに含むことができるということを意味する。
【0065】
本明細書で説明された各構成要素の寸法、材料、及び配置は、実施形態中で明示的に説明されたものに限定されず、この各構成要素は、本発明の範囲に含まれ得る任意の寸法、材料、及び配置を有するように変形することができる。また、本明細書において明示的に説明していない構成要素を、説明した実施形態に付加することもできるし、各実施形態において説明した構成要素の一部を省略することもできる。
【符号の説明】
【0066】
1 キャパシタ部品
10 多孔性本体
11 貫通孔
12a~12h 溝
13 壁部
14a~14d 周壁部
21、22 外部電極
23a~23d 第1電極層
24a~24d 第2電極層
25、26 接続電極
27、28 引出電極