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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022119127
(43)【公開日】2022-08-16
(54)【発明の名称】情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20220808BHJP
   G16Y 10/65 20200101ALI20220808BHJP
   G16Y 40/20 20200101ALI20220808BHJP
【FI】
A63F7/02 330
G16Y10/65
G16Y40/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021016151
(22)【出願日】2021-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】591142507
【氏名又は名称】株式会社北電子
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉村 和郎
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088CA01
2C088CA11
2C088CA28
2C088CA31
2C088CA35
(57)【要約】
【課題】 遊技場における遊技機の設置比率に関する検証機能を提供する。
【解決手段】 複数の遊技場の営業情報と、遊技場に対応する環境情報に基づく処理を実行可能な情報処理装置(サーバ6)において、操作者が指定可能な指定遊技場(自店舗)と環境情報(遊技機の設置台数等)が類似する類似遊技場を特定可能な類似遊技場特定手段と、類似遊技場のうち、営業情報に関連する所定条件を充足する類似遊技場(アウトが最大の遊技場)を比較対象である特定類似遊技場として特定可能な比較対象特定手段と、指定遊技場及び特定類似遊技場に設置されている遊技機を複数の種別(貸出レート毎)に分類し、当該分類別の設置比率(貸出レート毎の設置比率)を特定可能な設置比率特定手段と、指定遊技場の設置比率及び特定類似遊技場の設置比率(最適設置比率)を比較可能に表示するための情報を出力可能な出力手段と、を備えた構成としてある。
【選択図】図28
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の遊技場の営業情報と、前記遊技場に対応する環境情報に基づく処理を実行可能な情報処理装置において、
操作者が指定可能な指定遊技場と前記環境情報が類似する類似遊技場を特定可能な類似遊技場特定手段と、
前記類似遊技場のうち、前記営業情報に関連する所定条件を充足する類似遊技場を比較対象である特定類似遊技場として特定可能な比較対象特定手段と、
前記指定遊技場及び前記特定類似遊技場に設置されている遊技機を複数の種別に分類し、当該分類別の設置比率を特定可能な設置比率特定手段と、
前記指定遊技場の設置比率及び前記特定類似遊技場の設置比率を比較可能に表示するための情報を出力可能な出力手段と、
を備える
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記出力手段は、前記比較対象特定手段によって複数の前記特定類似遊技場が特定された場合に、複数の前記特定類似遊技場のうち、前記設置比率が前記指定遊技場の設置比率と近い前記特定類似遊技場を対象として、前記指定遊技場の設置比率及び前記特定類似遊技場の設置比率を比較可能に表示するための情報を出力可能である
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記比較対象特定手段は、前記類似遊技場のうち、遊技機で使用される遊技媒体の数値が最も多い遊技場を前記特定類似遊技場として特定可能である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
複数の遊技場の営業情報と、前記遊技場に対応する環境情報に基づく処理を実行可能な情報処理装置において、
操作者が指定可能な指定遊技場と環境情報が類似する類似遊技場を特定可能な類似遊技場特定手段と、
前記類似遊技場のうち、前記営業情報に関連する所定条件を充足する類似遊技場を比較対象である特定類似遊技場として特定可能な比較対象特定手段と、
前記指定遊技場及び前記特定類似遊技場に設置されている遊技機を複数の種別に分類し、当該分類別の設置比率を特定可能な設置比率特定手段と、
前記指定遊技場の設置比率を前記特定類似遊技場の設置比率に近づけるように変更した場合に得られる前記営業情報の予測値を、前記類似遊技場の営業情報及び設置比率に基づいて特定可能な予測値特定手段と、
を備える
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
前記予測値特定手段は、前記指定遊技場の設置比率がグラフで表示されている場合であって、当該グラフ上の境界を移動させることで前記特定類似遊技場の設置比率に近づけるように変更する操作を受け付けた場合に、前記営業情報の予測値を特定可能である
ことを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記予測値特定手段は、
前記営業情報及び前記環境情報に基づく学習によって、前記予測値を特定するための学習モデルを生成可能な学習モデル生成手段を備える
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記環境情報には、遊技場の周辺の大学の数が含まれる
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記環境情報には、遊技場の地域における産業別人口が含まれる
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
複数の遊技場の営業情報と、前記遊技場に対応する環境情報に基づく処理を実行可能なコンピュータを、
操作者が指定可能な指定遊技場と前記環境情報が類似する類似遊技場を特定可能な類似遊技場特定手段、
前記類似遊技場のうち、前記営業情報に関連する所定条件を充足する類似遊技場を比較対象である特定類似遊技場として特定可能な比較対象特定手段、
前記指定遊技場及び前記特定類似遊技場に設置されている遊技機を複数の種別に分類し、当該分類別の設置比率を特定可能な設置比率特定手段、
前記指定遊技場の設置比率及び前記特定類似遊技場の設置比率を比較可能に表示するための情報を出力可能な出力手段、として機能させる
ことを特徴とするプログラム。
【請求項10】
複数の遊技場の営業情報と、前記遊技場に対応する環境情報に基づく処理を実行可能なコンピュータを、
操作者が指定可能な指定遊技場と環境情報が類似する類似遊技場を特定可能な類似遊技場特定手段、
前記類似遊技場のうち、前記営業情報に関連する所定条件を充足する類似遊技場を比較対象である特定類似遊技場として特定可能な比較対象特定手段、
前記指定遊技場及び前記特定類似遊技場に設置されている遊技機を複数の種別に分類し、当該分類別の設置比率を特定可能な設置比率特定手段、
前記指定遊技場の設置比率を前記特定類似遊技場の設置比率に近づけるように変更した場合に得られる前記営業情報の予測値を、前記類似遊技場の営業情報及び設置比率に基づいて特定可能な予測値特定手段、として機能させる
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各遊技場に設置されている遊技機に関する情報を収集可能な情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
遊技場に設置されている遊技機に関する情報を収集・集計可能なシステムが知られている。
例えば、特許文献1には、遊技場経営をサポートするため、ある商圏内において、自店舗における特定の機種の設置比率と、他店舗における特定の機種の設置比率とを用い、どれだけ客付き率が良いか評価し、ユーザーに提供するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-205120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、遊技機に関する情報を収集・集計する従来のシステムには、改良すべき余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の情報処理装置は、複数の遊技場の営業情報と、前記遊技場に対応する環境情報に基づく処理を実行可能な情報処理装置において、操作者が指定可能な指定遊技場と前記環境情報が類似する類似遊技場を特定可能な類似遊技場特定手段と、前記類似遊技場のうち、前記営業情報に関連する所定条件を充足する類似遊技場を比較対象である特定類似遊技場として特定可能な比較対象特定手段と、前記指定遊技場及び前記特定類似遊技場に設置されている遊技機を複数の種別に分類し、当該分類別の設置比率を特定可能な設置比率特定手段と、前記指定遊技場の設置比率及び前記特定類似遊技場の設置比率を比較可能に表示するための情報を出力可能な出力手段と、を備えた構成としてある。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の第1実施形態に係る遊技システムの全体構成を示す概略図である。
図2】サーバの制御構成を示すブロック図である。
図3】店舗基本情報DBの構成を示すデータテーブルである。
図4】店舗周辺情報DBの構成を示すデータテーブルである。
図5】地域産業別人口DBの構成を示すデータテーブルである。
図6】設置台数DBの構成を示すデータテーブルである。
図7】遊技情報DBの構成を示すデータテーブルである。
図8】「STA値とPOT値」グラフの生成・表示における処理を示すフローチャートである。
図9】(a)は検索条件設定画面であり、(b)は要素選択画面である。
図10】学習データの一例である。
図11】重回帰分析に用いられる重回帰式である。
図12】(a)は検索条件設定画面において、競合店舗数、1円パチンコ設置台数、及び、2次産業人口が要素として選択されたことを示す図であり、(b)は(a)の要素選択が行われた場合の学習データである。
図13図12(b)の学習データを重回帰分析することで得られたアウトプットデータである。
図14図13のアウトプットデータに基づいて生成されたモデル式である。
図15】環境区分の下限値(FROM)及び上限値(TO)を示す図表である。
図16図14のモデル式に、図15の下限値及び上限値を代入することでPOT値(最小値)及びPOT値(最大値)が算出されることを示す計算式である。
図17】ポテンシャル分析画面(店舗別)である。
図18】「STA値とPOT値」グラフの説明図である。
図19】グラフと共に表示されるパネルの説明図である。
図20】マウスオーバーによりツールチップ表示されるデータを示す図である。
図21】順位付けの説明図である。
図22】ポイントの換算表である。
図23】STA値及びPOT値に関するリストデータである。
図24】ポテンシャル分析画面(機種別)である。
図25】ポテンシャル分析画面(過去推移)である。
図26】本発明の他の実施形態に係る遊技システムの全体構成を示す概略図である。
図27】本発明の第2実施形態に係るサーバにおいて取得される各遊技場のデータであり、貸出レート毎のアウトを含む環境情報及び営業情報の一例である。
図28】(a)は自店舗における貸出レート毎の設置比率及びアウト(STA値)の一例であり、(b)は特定類似遊技場における貸出レート毎の設置比率及びアウト(STA値)の一例である。
図29】特定類似遊技場及び最適設置比率の特定方法等を示すフローチャートである。
図30】設置比率(変更後)のアウト予測値の算出方法等を示すフローチャートである。
図31】設置比率(変更後)のアウト予測値を貸出レート毎に参照する際に表示される表示画面の一例である。(a)は「設置比率(変更後)」欄が未入力の状態を示し、(b)は「設置比率(変更後)」欄に検証したい数値が入力された状態を示し、(c)は「アウト(POT値)」欄に設置比率(変更後)のアウト予測値が表示された状態を示す。
図32】対象レート台の設置比率(変更後)におけるアウト予測値yを算出するためのモデル式である。(1)は4円パチンコの設置比率(変更後)のアウト予測値yを算出するためのモデル式であり、(2)は1円パチンコの設置比率(変更後)のアウト予測値yを算出するためのモデル式であり、(3)は20円スロットの設置比率(変更後)のアウト予測値yを算出するためのモデル式であり、(4)は5円スロットの設置比率(変更後)のアウト予測値yを算出するためのモデル式である。
図33】(a)は自店舗における貸出レート毎の設置比率(変更前)を示す円グラフと設置比率(変更前)における貸出レート毎のアウト(STA値)とが共に表示された表示画面の一例であり、(b)は自店舗における貸出レート毎の設置比率(変更後)を示す円グラフと設置比率(変更前後)における貸出レート毎のアウト(STA値及びPOT値)とが共に表示された表示画面の一例である。
図34】4円パチンコの設置比率を10%に変更する操作を行うことによって、他の3つの貸出レートにおける設置比率がそれぞれ30%に変更された様子を示す図である。
図35】5円スロットについて上限設置比率:20%が設定されている状態において、4円パチンコの設置比率を10%に変更する操作が行われたことによって、5円スロットは20%に変更され、他の2つのレートはそれぞれ35%に変更された様子を示す図である。
図36】パチンコ機とスロットマシンの設置比率が固定されている状態において、4円パチンコを28%に変更する操作が行われたことによって1円パチンコの設置比率が22%に変更され、20円スロットの設置比率を30%に変更する操作が行われたことによって5円スロットの設置比率が20%に変更された様子を示す図である。
図37】本発明の第2実施形態に係るサーバにおいて取得されるデータであり、機種タイプ毎のアウトを含む環境情報及び営業情報の一例である。
図38】(a)は自店舗における機種タイプ毎の設置比率及びアウト(STA値)の一例であり、(b)は特定類似遊技場における機種タイプ毎の設置比率及びアウト(STA値)の一例である。
図39】設置比率(変更後)のアウト予測値を機種タイプ毎に参照する際に表示される表示画面の一例である。
図40】対象タイプの設置比率(変更後)におけるアウト予測値yを算出するためのモデル式である。(1)はパチンコミドルの設置比率(変更後)のアウト予測値yを算出するためのモデル式であり、(2)はパチンコ甘デジの設置比率(変更後)のアウト予測値yを算出するためのモデル式であり、(3)はスロットAタイプの設置比率(変更後)のアウト予測値yを算出するためのモデル式であり、(4)はスロットATタイプの設置比率(変更後)のアウト予測値yを算出するためのモデル式であり、(5)は30π沖スロの設置比率(変更後)のアウト予測値yを算出するためのモデル式である。
図41】(a)は自店舗における機種タイプ毎の設置比率(変更前)を示す円グラフと設置比率(変更前)における機種タイプ毎のアウト(STA値)とが共に表示された表示画面の一例であり、(b)は自店舗における機種タイプ毎の設置比率(変更後)を示す円グラフと設置比率(変更前後)における機種タイプ毎のアウト(STA値及びPOT値)とが共に表示された表示画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る遊技システムの全体構成を示す概略図である。
図1に示すように、遊技システムは、遊技場(以下、店舗ともいう)に設けられている遊技機1と、遊技機1に関する情報を収集可能なホールコンピュータ4と、ホールコンピュータ4と通信可能なサーバ6と、店舗の管理者等が使用するスマートフォンやパーソナルコンピュータなどの端末装置(以下、店舗管理者端末7という)とによって構成される。
この遊技システムにおいては、サーバ6が、各店舗のホールコンピュータ4から収集した遊技情報を分析し、分析結果を、店舗管理者端末7において閲覧可能に表示するサービスを提供できるようになっている。
なお、本サービスは、サービスの利用に際し、所定の認証処理が必要となる場合があるが、認証処理の説明は省略する。
また、サービス利用者として店舗管理者を例示して説明するが、店舗管理者に限らずサービス加入者であればよい。
【0008】
[遊技機]
図1に示すように、各店舗には、複数の遊技機1(パチンコ機1a,スロットマシン1b)が設置されている。
遊技機1には、遊技者に遊技媒体を貸し出す貸出機2(パチンコ機用2a,スロットマシン用2b)が隣接して配置されている。
各遊技機1において、遊技者は以下のような遊技の流れに沿って遊技を行う。
例えば、遊技者は、遊技の開始にあたり、遊技機1に隣接配置されている貸出機2に現金又は所定のカードを投入するとともに、所定の貸出操作を行うことにより遊技媒体の貸し出しを行う。貸し出された遊技媒体は遊技機1に投入され遊技が可能となる。
パチンコ機1aでは、遊技者が発射ハンドルを操作して遊技媒体となる遊技球を遊技領域に発射させ、その発射した遊技球が所定の入賞口に入賞することで、所定数の遊技球が払い出される。
スロットマシン1bでは、遊技者が遊技媒体となる遊技用メダルを投入してスタートレバーを操作することにより、所定の絵柄や文字,数字等の図柄を表示した複数(通常は3個)のリールが回転を開始し、各リールに対応した複数(通常は3個)のストップボタンを任意のタイミングで押下することでリールを停止させ、停止したリールの図柄の配列に応じて所定数のメダルが払い出される。
この種の遊技機1は、遊技媒体の貸出レートに応じて分類することができる。
例えば、遊技球1玉の貸出レートが1円/玉のパチンコ機1aを「1円パチンコ」といい、遊技球1玉の貸出レートが4円/玉のパチンコ機1aを「4円パチンコ」という。
また、メダル1枚の貸出レートが5円/枚のスロットマシン1bを「5円スロット」といい、メダル1枚の貸出レートが20円/枚のスロットマシン1bを「20円スロット」という。
【0009】
また、遊技機1は、メーカーや仕様等に応じて複数の機種があり、機種タイプによって分類することもできる。
パチンコ機1aは、大当りの発生確率などによって分類することができ、例えば、確率が高く出玉の小さい「甘デジ」タイプ、確率が低く出玉の大きい「マックス」タイプ、甘デジタイプとマックスタイプの中間の出玉特性を有する「ミドル」タイプなどに分類することもできる。
スロットマシン1bは、ビックボーナスやレギュラーボーナスなどのボーナスの入賞によってメダルを獲得する「Aタイプ」、小役などの入賞をアシストするAT遊技状態を有する「ATタイプ」、直径30ミリのメダルが遊技媒体として用いられる「30π沖スロ」などに分類することができる。
上記各機種に貸出レートを含めたものを「機種タイプ」として分類することもできる。
例えば、パチンコ機1aについては、貸出レートが4円で、かつ、ミドルタイプのものを「4円パチンコミドル」とし、貸出レートが1円で、かつ、甘デジタイプのものを「1円パチンコ甘デジ」とし、それぞれ「機種タイプ」として分類することができる。
また、スロットマシン1bについては、貸出レートが20円で、かつ、Aタイプのものを「20円Aタイプ」とし、貸出レートが5円で、かつ、ATタイプのものを「5円ATタイプ」とし、それぞれ「機種タイプ」として分類することができる。
このほか、遊技機1は、「新台」(例えばホール導入日から2月未満の遊技機)、「準新台」(例えばホール導入日から2月以上5月未満の遊技機)、「既存台」(例えばホール導入日から5月以上の遊技機)に分類することができる。
遊技機1及び貸出機2は、LAN3及び図示しない中継装置を介してホールコンピュータ4と通信可能に接続されており、遊技機1及び貸出機2からは様々な遊技信号がホールコンピュータ4に送信される。
遊技信号には、遊技機1へ投入された遊技媒体数に対応して出力されるアウト信号、遊技機1から払い出された遊技媒体数に対応して出力されるセーフ信号、貸出機20における貸出操作に応じて出力される貸出信号などがある。
【0010】
[ホールコンピュータ]
ホールコンピュータ4は、プログラムに従って動作する情報処理装置であり、LAN3を介して遊技機1と通信可能に接続されているとともに、インターネットなどの公衆回線5を介してサーバ6と通信可能に接続されている。
ホールコンピュータ4は、店舗管理者が操作可能な場所、例えば、カウンター奥の管理室などに設置されている遊技用装置である。
ホールコンピュータ4は、キーボードやマウスなどの操作手段や、液晶ディスプレイなどの表示手段を備え、店舗に設置されている全遊技機1の遊技に関する情報(遊技情報、機種情報、貸出レートなど)を収集・集計することができる。
具体的には、ホールコンピュータ4は、遊技機1や貸出機2から送信される遊技信号に基づいて遊技機1毎にアウト、台売上、台粗利、粗利率、玉粗利、玉単価などの各種遊技情報を収集・集計する。
「アウト」は、遊技機1へ投入された遊技媒体数に対応して出力されるアウト信号に基づいて集計されるアウト数である。
「台売上」は、「売上げ金額(1営業日あたり)÷遊技機の台数」により算出される。
「台粗利」は、「台売上×利益率」により算出される。「利益率」は、「粗利÷売上げ」により算出される。
「粗利率」は、「粗利÷売上」により算出される。「粗利」は、「売上げ金額-景品の仕入金額」により算出される。
「玉粗利」は、「台粗利÷アウト」により算出される。
「玉単価」は、「台売上÷アウト」により算出される。
また、遊技情報は、店舗全体、遊技機1毎、機種毎、貸出レート毎(1円パチンコ、4円パチンコ、5円スロット、20円スロット)、営業日毎に集計値や平均値が算出され、それぞれサーバ6に送信される。
ホールコンピュータ4は、店舗における損益分岐割数を算出することもでき、その情報をサーバ6に送信することもできる。
損益分岐割数は、「交換玉数÷貸玉数」により算出することができる。例えば、店舗において、800円の景品に必要な玉数(交換玉数)を300玉と設定しており、800円で貸し出される遊技媒体数の数(貸出数)が200玉と設定している場合、その店舗の損益分岐割数は15割となる。
なお、上記各情報は、上記算出方法に限らず、公知の他の算出方法によって算出することもできる。
【0011】
[サーバ]
サーバ6は、プログラム(本発明のプログラムを含む)に従って動作する、本発明の情報処理装置であり、インターネットなどの公衆回線5を介してホールコンピュータ4や店舗管理者端末7と通信可能に接続されている。
遊技システムにおいては、各店舗のホールコンピュータ4から受信した遊技情報を分析し、分析結果であるグラフや各種データを、店舗管理者端末7に表示させることができる。
サーバ6は、図2に示すように操作部61と、通信部62と、表示部63と、記憶部64と、制御部65とによって構成されている。
操作部61は、キーボードやマウスなどの操作手段である。
通信部62は、公衆回線5を介して、各店舗のホールコンピュータ4、店舗管理者端末7、Web-API(当該APIを提供するサーバ)と通信可能に接続される。Web-APIとしては、地図APIや統計情報APIが使用される。
表示部63は、液晶ディスプレイなどの表示手段である。
【0012】
記憶部64は、サーバ6の各種機能を実行するためのプログラムやデータを記憶可能な記憶媒体(例えば、ROM、RAM、ハードディスク、SSDなど)で構成される。
記憶部64に記憶される情報には、店舗IDに紐付けて管理される店舗基本情報DB、店舗周辺情報DB、地域産業別人口DB(環境情報記憶手段)、設置台数DB、遊技情報DBがある。
図3図7は、店舗基本情報DB、店舗周辺情報DB、地域産業別人口DB、設置台数DB、遊技情報DBの構成を示すデータテーブルである。
店舗基本情報DBは、図3に示すように、店舗名、住所、郵便番号等、店舗の基本的な情報から構成されるデータベースである。
なお、図3に示すように、本実施形態においては、店舗基本情報DBに各店舗の損益分岐割も構成に含む。
【0013】
店舗周辺情報DBは、店舗の周辺の環境情報である店舗周辺情報からなるデータベースであり、図4に示すように、店舗の周辺の競合店舗数、駅の数、大学の数によって構成される。
「競合店舗数」は、店舗の周辺に所在する遊技場の数であり、例えば、Google(登録商標)MapsAPIなどの地図APIを使用して、店舗基本情報DBの住所から店舗の緯度・経度を取得し、当該緯度・経度から特定される店舗の位置から所定距離(例えば3km)圏内の「パチンコ店」を検索することで求めることができる。
なお、「競合店舗数」は、店舗の周辺のすべての店舗数でもよく、関連する系列やグループの店舗を除いた店舗数とすることもできる。
「駅の数」は、店舗の周辺の所在する主に鉄道駅の数であり、地図APIを使用して、前記緯度・経度から特定される店舗の位置から所定距離(例えば3km)圏内の「駅」を検索することで求めることができる。
「大学の数」は、店舗の周辺の大学の数であり、地図APIを使用して、前記緯度・経度から特定される店舗の位置から所定距離(例えば3km)圏内の「大学」を検索することで求めることができる。
なお、店舗周辺情報として、店舗の周辺やその地域における「昼間人口」、「夜間人口」、「昼間人口と夜間人口の平均」、「年代別人口」、「商業施設の数」を適用することもできる。
なお、店舗から3km圏内を「店舗の周辺」として説明したが、これに限らず、任意の距離(例えば5km)を設定することができ、環境情報の種類に応じて距離を異ならせることもできる。
また、店舗の所在地域のエリア全体を「店舗の周辺」とすることもできる。
【0014】
地域産業別人口DBは、店舗の地域に関する環境情報である産業別人口からなるデータベースであり、図5に示すように、1次産業人口、2次産業人口、3次産業人口によって構成される。
地域産業別人口DBは、具体的には、店舗基本情報DBの住所又は郵便番号から店舗の地域(都道府県等)を特定し、e-StatsAPIなどの統計情報APIから取得したその店舗の地域における1次産業人口、2次産業人口、3次産業人口によって構成される。
【0015】
設置台数DBは、図6に示すように、店舗内の環境情報である遊技機1の設置台数によって構成されるデータベースであり、全台数のほか、機種毎台数、貸出レート毎台数を参照可能に構成されている。
設置台数DBは、操作部61の操作によって手動で構成したり、各店舗のホールコンピュータ4から受信した設置台数情報に基づいて自動的に構成することができる。
【0016】
遊技情報DBは、図7に示すように、アウト、台売上、台粗利、粗利率、玉粗利、玉単価の店舗別平均、機種別平均、1円パチンコ平均、4円パチンコ平均、5円スロット平均、20円スロット平均などの各種遊技情報によって構成されるデータベースである。
サーバ6は、営業日毎に、ホールコンピュータ4から上記各種遊技情報を受信しており、受信した各種遊技情報に基づいて自動的に遊技情報DBが構成される。
なお、サーバ6において、ホールコンピュータ4から受信したアウトなどの基本的な遊技情報に基づいて各種遊技情報を算出することもでき、当該算出結果に基づいて遊技情報DBを構成することもできる。
【0017】
制御部65は、CPUなどで構成されており、記憶部64に記憶されているプログラムを読み込んで実行することにより、以下の動作を行う。
具体的には、制御部65は、特定遊技情報算出手段として動作することで、各店舗の遊技情報及び環境情報に基づき、対象の店舗と環境が類似する店舗(類似店舗)に設置されている遊技機1に関する特定の遊技情報(POT値など)を算出する。
より具体的には、遊技情報と環境情報(店舗周辺情報、地域産業別人口、設置台数)に対し、所定の機械学習を行うことで、遊技情報の予測値(POT値)を算出可能な学習モデル(モデル式)を生成し、類似遊技場における環境情報を学習モデルに入力して出力された遊技情報の予測値を、前記特定の遊技情報として算出する。
また、制御部65は、グラフ生成手段として動作することで、特定遊技情報算出手段により算出された特定の遊技情報(POT値(最大値)及びPOT値(最小値))に基づいて、当該遊技情報の範囲に対応した幅のグラフである幅グラフ(後記「STA値とPOT値」グラフ、「店舗の順位」グラフ、ポイントグラフ等)を生成する。
そして、制御部65は、表示制御手段として動作することで、グラフ生成手段により生成された幅グラフを店舗管理者端末7の表示部71に表示させる。
【0018】
制御部65の具体的動作について、図8に示すフローチャートを参照しながら説明する。
まず、対象店舗を設定する(S1)。
一般的には、店舗管理者端末7における操作に応じ、店舗管理者の自店舗が対象店舗として設定される。
後工程(S2,S4)において、自店舗の環境区分を特定したり、自店舗の遊技情報の実績値(STA値)を取得する必要があるからである。
具体的には、図9(a)に示す検索条件設定画面における操作を介して対象店舗が設定される。
検索条件設定画面は、サーバ6により提供される画面であり、店舗管理者端末7のブラウザにより指定のアドレス(URL)にアクセスすることで、店舗管理者端末7の表示部71に表示させることができる。
検索条件設定画面において「ホール」の▼を選択すると、サービスに加入している店舗の店舗名がリストボックス内に選択可能に表示される。
このため、店舗管理者は、リストボックスの中から自店舗(例えば「ABCホール」)を選択することで自店舗が対象店舗として設定される。なお、自店舗以外の店舗を選択することもできる。
なお、検索条件設定画面には、「日付」、「区分」、「損益分岐」の欄、「要素選択」ボタン等が設けられているが、これらについては後述する。
【0019】
次に、環境区分の特定を行う(S2)。
具体的には、S1において設定した対象店舗(自店舗)の環境情報に基づいて環境区分を特定する。
「環境区分」は、環境情報に関する値を一定の数値範囲毎に区分けしたものであり、例えば、「競合店舗数」については、「0~5店舗」、「6~10店舗」、「11~15店舗」・・・、「1円パチンコ設定台数」については、「0~100台」、「101~200台」、「201~300台」・・・、「2次産業人口」については、「0~1000人」、「1001~2000人」、「2001~3000人」、といったように区分されている。
例えば、自店舗(対象店舗)として「ABCホール(店舗ID:10001)」が設定された場合、「ABCホール」の競合店舗数は8店舗、1円パチンコ設置台数が140台、2次産業人口が6500人であるため(図4~6参照)、環境区分は、競合店舗数については「6~10店舗」、1円パチンコ設置台数については「101~200台」、2次産業人口については「6001~7000人」と自動的に特定される(図15参照)。
環境区分は、後工程(S6)において「POT値の算出」に用いられる。
【0020】
次に、機械学習に用いる学習データを抽出する(S3)。
相当店舗数の過去の遊技情報(実績値)と環境情報とを学習データ(教師データ)として利用するためである。
具体的には、図9(a)に示す検索条件設定画面において、太枠破線で囲まれた欄のうち、「日付」A1の指定に基づき営業日を絞り込み、「区分」A2及び「損益分岐」A3において指定された条件を満たすすべての店舗を絞り込むとともに、当該すべての店舗の当該営業日の各種遊技情報(実績値)を遊技情報DB(図7)から抽出するとともに、当該すべての店舗の各種環境情報を各種DB(図4~6)から抽出する。
「日付」A1では、カレンダーアイコンを選択するとカレンダー(週別、月別など)がポップアップ表示され、このカレンダーの中から所望の営業日や期間を指定することができる。
「区分」A2では、▼を選択すると、「全国」、「北海道」、「東北」、「関東」、「近畿」、「中国」、「九州」、「政令指定都市」、「政令都市以外」、「東京・大阪の区」、「東京・大阪の区以外」、「東京・大阪近郊」、「東京・大阪近郊以外」がリストボックス内に表示され、この中から任意の地域区分を指定することができる。
「損益分岐」A3では、▼を選択すると、「すべて」、「10割」、「11割」、「12割」、「13割」、「14割」、「15割」、「16割~」がリストボックス内に表示され、この中から任意の損益分岐割を指定することができる。
図9(a)に示す検索条件設定画面の例では、「ホール」において「ABCホール」(自店舗)が指定され、「日付」A1において「2017年10月第3週」が指定され、「区分」A2において「全国」が指定され、「損益分岐」A3において「すべて」が指定されている。
このため、店舗基本情報DB(図3)から全国のすべての店舗(店舗ID)が特定され、当該店舗の「2017年10月第3週」の各種遊技情報が遊技情報DB(図7)から抽出されるとともに、当該店舗の各種環境情報が各種DB(図4~6)から抽出される。
なお、検索条件に基づいて抽出されるすべての店舗を「全店舗」とも称する。
図10は、このようにして抽出された学習データの一例であり、遊技情報(指標)の一例であるアウトと、競合店舗数、駅の数、大学の数、全台数、4円パチンコ設置台数、1円パチンコ設置台数、20円スロット設置台数、5円スロット設置台数、1次産業人口、2次産業人口、3次産業人口などの各種環境情報(要素)との組み合わせからなる全店舗分のデータである。
このようなデータを、アウト、台売上、台粗利、粗利率、玉粗利、玉単価のそれぞれについて抽出する。
【0021】
なお、検索条件設定画面(図9(a))には、「要素選択」ボタンや各要素を選択可能なチェックボックスが表示されるが、これらを用いて店舗や営業日が特定されることはない。
また、S3において、営業日や店舗の絞り込みまでを行い、遊技情報や環境情報の抽出を、後工程(S5)における「モデル式」の生成時に行うこともできる。
【0022】
次に、STA値を取得する(S4)。
具体的には、対象店舗(自店舗)における遊技情報の実績値を取得する。
より具体的には、S3において抽出された学習データを構成する全店舗の遊技情報のうち、自店舗の遊技情報がSTA値(実績値)として取得される。
STA値は、アウト、台売上、台粗利、粗利率、玉粗利、玉単価のそれぞれについて取得する。このため、6種のSTA値が取得される。
【0023】
次に、モデル式の生成を行う(S5)。
具体的には、S3において抽出した学習データの全部又は一部(後記「要素選択」に基づく一部のデータ)を機械学習させることで、環境情報を入力とし遊技情報の予測値を出力とするプログラム(学習モデル)を生成する。
遊技情報と環境情報とは相関関係を有することから、過去の遊技情報(実績値)と各種環境情報とを相当数分(全店舗分)機械学習することで、遊技情報の予測を精度良く行うことが可能なモデル式を生成するものである。
【0024】
なお、「相関関係を有する」とは、遊技情報と各種環境情報との間に相関関係が存在することが明確であることのみならず、技術常識からこれらの間に何らかの相関関係の存在を推認できる場合を含む。
例えば、「競合店舗数」は、その数が多いほど、周辺地域の遊技市場規模が大きい可能性が高く、その場合、店舗の遊技客となり得る人数も多いため、店舗単位での遊技機1の延べ稼働時間が長くなることが推定される。
また、周辺の競合店舗数が多いほど店舗における延べ稼働時間が長くなる傾向があることが調査によって判明している。
このことから、「競合店舗数」はアウト(遊技情報)と相関関係を有するといえる。
「駅の数」は、その数が多いほどこれらの駅の利用客が多く、当該利用客が遊技客となって遊技機1の延べ稼働時間が長くなることが推定される。
また、周辺の駅の数が多いほど延べ稼働時間が長くなる傾向があることが調査によって判明している。
このことから、「駅の数」はアウト(遊技情報)と相関関係を有するといえる。
「大学の数」は、その数が多いほど、学生が多く、学生は、空き時間や自由時間が多いことから、多くの学生が遊技客となって遊技機1の延べ稼働時間が長くなることが推定される。
また、遊技機1には、学生など年齢の若い遊技者が好む機種や貸出レート(低レートの遊技機1)がある。
このため、「大学の数」が多いほど、このような遊技機1の設置台数が多い店舗においては延べ稼働時間が長くなることが推定される。
さらに、周辺の大学の数が多いほど、延べ稼働時間が長くなる傾向にあることが調査によって判明している。
このことから、「大学の数」はアウト(遊技情報)と相関関係を有するといえる。
【0025】
産業別人口については、例えば、1次産業である漁業の労働人口が多い地域や、2次産業である建設業の労働人口が多い地域の店舗では、遊技機1の延べ稼働時間が長くなる傾向が見られる。
また、産業別人口の種類及び多寡に応じて延べ稼働時間が変動することが調査によって判明している。
このことから、地域産業別人口DBにおける各産業別人口はアウト(遊技情報)と相関関係を有するといえる。
【0026】
遊技機1の設置台数は、その数が多いほど、店舗の遊技客の人数が多く、遊技機1の延べ稼働時間がなることが推定される。
また、遊技機1の設置台数が多いほど延べ稼働時間が長くなる傾向にあることが調査によって判明している。
このことから、設置台数DBにおける設置台数はアウト(遊技情報)と相関関係を有するといえる。
なお、遊技情報と相関関係を有する情報には、上記以外にも、昼間人口、夜間人口、昼間人口と夜間人口の平均、年代別人口、商業施設の数などがあり、これらを店舗周辺情報に含めることもできる。
また、産業別人口は、その地域の全労働人口における産業別人口の割合でもよく、また、公務員など、細分化した職種毎の労働人口やその割合であってもよい。
【0027】
機械学習としては、重回帰分析を用いる。
重回帰分析は、1つの目的変数を複数の説明変数で予測を行う分析手法であり、図11及び以下に示す重回帰式(1)が用いられる。
「y=w0+w+w+w+・・・+w」(nは整数) ・・・(1)
「y」は目的変数と称され、他の変数によって説明される変数を意味する。
「x,x,x・・・」は説明変数と称され、目的変数を説明する変数を意味する。
「w,w,w・・・」は偏回帰係数と称され、説明変数が目的変数にどの程度の影響を与えるか(重み付け)を表す数値である。係数が大きいほど影響度が高くなる。
「w」は切片と称され、説明変数の変動に影響されない数値である。
【0028】
重回帰分析では、S3において抽出した学習データを所定の重回帰分析プログラムに入力する処理を介して遊技情報の予想値を算出可能なモデル式を生成する。
モデル式は、図10に示すデータの全部又は一部の要素を選択して生成することができる。
このような要素選択は、図9(a)の検索設定画面の下部領域に表示されるチェックボックスの選択操作に基づいて行うことができる。
例えば、図9(a)の検索条件設定画面に示すように、すべての要素のチェックボックスが選択されている場合には、「店舗数」、「1円パチンコ」、「2次産業人口」以外のチェックボックスからチェックを外すことによって、「店舗数」、「1円パチンコ」、「2次産業人口」を要素として選択することができる(図12(a)参照)。
図12(b)は、このような要素選択によって、図10に示すデータから「競合店舗数」、「1円パチンコ設置台数」、「2次産業人口」及び「アウト」からなる各店舗のデータが選択的に抽出されたものである。
次に、目的変数「y」を「アウト」とし、各説明変数「x,x,x」をそれぞれ「競合店舗数」、「1円パチンコ設置台数」、「2次産業人口」とするデータの組み合わせの全店舗分を所定の重回帰分析プログラムにインプットする。
重回帰分析プログラムとしては、例えば、Pythonの「Scikit-learn」など、公知のライブラリやアプリケーションを用いることができる。
この結果、切片(w)と偏回帰係数(w,w2,)がアウトプットとして得られる。
例えば、図13に示すように、切片(w):「-3000」、偏回帰係数については、競合店舗数(w):150、1円パチンコ設置台数(w):250、2次産業人口(w):400がアウトプットとして得られたものとする。
得られた切片及び偏回帰係数は、(1)の重回帰式の「w」及び「w,w2,」にそれぞれ配置することで、図14に示すように、アウトの予測値を算出可能な以下のモデル式(2)を生成することができる。
y=-3000+150x+250x+400x・・・(2)
(2)のモデル式によれば、x,x,xに任意の店舗における競合店舗数、1円パチンコ設置台数、2次産業人口をそれぞれ代入することで、その店舗のアウトの予測値を算出することができる。
このような処理を、6種の遊技情報(アウト、台売上、台粗利、粗利率、玉粗利、玉単価)のそれぞれについて行う。
この結果、6つのモデル式(アウトの予測値を算出可能なモデル式、台売上の予測値を算出可能なモデル式、台粗利の予測値を算出可能なモデル式、粗利率の予測値を算出可能なモデル式、玉粗利の予測値を算出可能なモデル式、及び、玉単価の予測値を算出可能なモデル式)が生成される。
なお、要素選択は、検索条件設定画面の「要素選択」ボタンの選択を介して表示される「要素選択」画面(図9(b)参照)を介して行うこともできる。
具体的には、図9(b)において、「要素に指定しない」を選択することで、その要素は選択されない。
また、例えば、「店舗周辺設定」における「競合店舗数」の▼を選択すると、「0~5店舗」「6~10店舗」「11~15店舗」・・・などの各環境区分がリストボックス内に表示されるため、その中から任意の環境区分を選択できるようになっている。
このため、新規店舗の検討など、まだ店舗がないために「ホール」において店舗設定を行えず、これにより環境区分の自動特定ができない場合には、この要素選択画面を介して自店舗(新規店舗)の想定環境区分(要素)を手動設定することができる。
【0029】
次に、POT値の算出を行う(S6)。
POT値は、全店舗の過去の遊技情報に基づいて算出される任意の店舗における遊技情報の予測値である。
具体的には、POT値(最小値)とPOT値(最大値)の算出を行う。
POT値(最小値)は、自店舗において発生し得る最小の遊技情報の値(遊技情報の最小予測値)であり、S5で生成したモデル式の各説明変数に、S2において特定した環境区分の下限値を代入することで求めることができる。
POT値(最大値)は、自店舗において発生し得る最大の遊技情報の値(遊技情報の最大予測値)であり、S5で生成したモデル式の各説明変数に、S2において特定した環境区分の上限値を代入することで求めることができる。
なお、POT値(最小値)及びPOT値(最大値)は、自店舗と類似店舗に共通する環境区分の上限値及び下限値を代入して算出する値であること、及び、自店舗と類似店舗とは環境が類似し、当該環境は遊技情報と相関関係を有することから、類似店舗において発生し得る遊技情報ともいえる。
図15は、S2において特定した環境区分の範囲を示す下限値(FROM)と上限値(TO)である。
図15に示すように、競合店舗数の環境区分の下限値は「6」、上限値は「10」であり、1円パチンコ設置台数の環境区分の下限値は「101」、上限値は「200」、2次産業人口の環境区分の下限値は「6001」、上限値は「7000」である。
このため、(2)式の各説明変数にこれら環境区分の下限値を代入することで、図16及び以下に示すように、アウトに関するPOT値(最小値)を求めることができる。
POT値(最小値)=予測アウト最小値=-3000+150×6+250×101+400×6001=2,423,550
また、(2)式の各説明変数にこれら環境区分の上限値を代入することで、図16及び以下に示すように、アウトに関するPOT値(最大値)を求めることができる。
POT値(最大値)=予測アウト最大値=-3000+150×10+250×200+400×7000=2,848,500
これを、S5で生成した6つのモデル式についてそれぞれ行い、各遊技情報のPOT値(最小値)及びPOT値(最大値)を算出する。
なお、POT値(最小値)及びPOT値(最大値)は、環境区分の上限値及び下限値を用いて算出する上記方法とは別に、例えば、自店舗と環境区分が同じ店舗(類似店舗)をすべて抽出し、抽出した各類似店舗の環境情報をモデル式に代入して全類似店舗分の遊技情報の予測値(POT値)を算出し、算出した予測値のうちの最小値及び最大値をPOT値(最小値)及びPOT値(最大値)とすることもできる。
ただし、この方法だと、類似店舗数に応じ大量の算出負荷がかかる。
これに比べ、上記方法によれば、環境区分の上限値と下限値の2つの数値のみを用いて2回の算出処理を行うだけで済むため、算出負荷を極めて抑えることができる。
【0030】
次に、「STA値とPOT値」グラフの生成・表示に関する処理を行う(S7)。
「STA値とPOT値」グラフは、図17に示すポテンシャル分析画面(店舗別)の下部のグラフ領域において左部に配置されるレーダーチャート形式のグラフであり、検索条件設定画面(図9(a)、図12(a)等参照)において各種条件の設定(要素選択含む)が行われることで表示される。
図18に示すように、「STA値とPOT値」グラフは、背景画像として、6種の遊技情報に対応する6つの数値軸がチャートの中心から放射状に配置されており、これら6つの数値軸上に、対応する遊技情報に関する「STA値」、「POT値(最小値)」、「POT値(最大値)」をプロットする処理を行う。
なお、各遊技情報は、それぞれ単位が異なるため、「STA値」、「POT値(最小値)」、「POT値(最大値)」を「割合」に変換してプロットする。
例えば、「STA値」の割合は、「STA値」/(「STA値」+「POT値の最大値」)によって求めることができる。
POT値(最小値)及びPOT値(最大値)の割合も同様の方法で求める。
例えば、アウトに関し、「STA値」が21,980で、「POT値の最大値」が18,020の場合、「STA値」の割合は、21,980/(21,980+18,020)=55%となるため、「アウトのSTA値」は、アウト軸上の55%の位置(図18のアウト軸上の■参照)にプロットする。
このようなSTA値に関するプロットを、アウト、台売上、台粗利、粗利率、玉粗利、玉単価のそれぞれについて行う(図18の全ての■参照)。
そして、隣り合う遊技情報のプロット同士を線で結ぶことによって、六角形の辺からなるレーダーチャート形式のSTA値グラフを生成することができる(図18の太実線参照)。
【0031】
POT値グラフに関し、例えば、アウトのPOT値(最小値)が17,000でPOT値(最大値)が18,020の場合、POT値(最小値)の割合は、アウト軸上の17,000/(21,980+18,020)=42.5%の位置(図18のアウト軸上の下部の●参照)にプロットされ、POT値(最大値)の割合は、アウト軸上の18,020/(21,980+18,020)≒45%の位置(図18のアウト軸上の上部●参照)にプロットされる。
このようなPOT値(最小値)とPOT値(最大値)に関するプロットを、アウト、台売上、台粗利、粗利率、玉粗利、玉単価のそれぞれについて行う(図18の全ての●参照)。
そして、隣り合う遊技情報のPOT値(最小値)のプロット同士を線で結ぶことで第1の六角形の辺を形成するとともに、隣り合う遊技情報のPOT値(最大値)のプロット同士を線で結ぶことで第2の六角形の辺を形成することで、第1の六角形の辺と第2の六角形の辺とで囲まれた領域(幅)を有するレーダーチャート形式のPOT値グラフ(幅グラフ)を生成することができる(図18の斜線領域参照)。
【0032】
制御部65は、生成したSTA値グラフとPOT値グラフ、すなわち、「STA値とPOT値」グラフのデータを店舗管理者端末7に送信(出力)する。
これにより、店舗管理者端末7の表示部71において「STA値とPOT値」グラフが表示される(図17参照)。
【0033】
このように、制御部65は、特定遊技情報算出手段として、各店舗における遊技情報に基づき、自店舗と同じ環境区分の店舗(すなわち類似店舗)における遊技情報に基づいて算出される遊技情報の予測値であるPOT値(すなわち、類似店舗に設置されている遊技機1に関する遊技情報に基づいて算出される特定の遊技情報)を算出し、グラフ生成手段として、前記特定遊技情報算出手段により算出されたPOT値(詳しくはPOT値(最大値)及びPOT値(最小値))に基づいて、POT値(遊技情報の予測値)の範囲に対応した幅のグラフである幅グラフ(POT値グラフ)を生成し、表示制御手段として、前記グラフ生成手段により生成された幅グラフを店舗管理者端末7に表示させるようにしている。
また、制御部65は、表示制御手段として、自店舗における遊技情報のグラフであるSTA値グラフを、幅グラフ(POT値グラフ)と共に表示させるようにしている。
【0034】
POT値グラフは、自店舗と類似する店舗における遊技情報の最大値及び最小値に基づいて生成されるグラフであり、自店舗において発生しうる遊技情報の範囲を幅で表したグラフでもある。
このようなPOT値グラフは、従来のような平均値に基づくグラフと異なり、幅をもたせていることから、自店舗と類似する店舗はどのような遊技情報となっているかを、当該グラフの幅に基づいて容易に把握することができる。
また、幅グラフであるPOT値グラフと線グラフであるSTA値グラフを重ねて表示することにより、自店舗の遊技情報の実績値と、類似店舗における遊技情報の範囲との関係を比較することができる。
例えば、STA値グラフの線がPOT値グラフの幅(領域)に含まれている場合にはその遊技情報に関しては適切と判断することができ、STA値グラフの線がPOT値グラフの幅(領域)に含まれていない場合にはその遊技情報に関しては何らかの課題があると判断することができる。
このため、今後、自店舗において「維持すべきこと」や「改善すべきこと」を把握することができる。
また、POT値グラフは、自店舗の遊技情報であるSTA値グラフと比較する際に、自店舗の遊技情報がPOT値グラフの範囲に含まれるか否かの判断がし易くなり、例えば、POT値グラフの幅の範囲に自店舗の遊技情報が含まれる場合には、自店舗の経営者に対して安心感を与えることができる。
【0035】
[パネル表示]
サーバ6は、「STA値とPOT値」グラフと共に、STA値やPOT値に関する各種データをパネル表示させる制御も可能である。
パネル表示に関し、制御部65は、表示制御手段として、対象の遊技場における遊技情報(STA値)と類似遊技場に設置されている遊技機1に関する特定の遊技情報(POT値(最大値))との差分に関する情報を、POT値グラフと共(同じ領域内)に表示させるようにしている。
例えば、図17及び図19に示すように、「STA値とPOT値」グラフの右側において、「アウト」、「台売上」、「台粗利」、「粗利率」、「玉粗利、「玉単価」に関する情報をそれぞれ表示するための6つのパネルを設けている。
パネル内には、比較的大きくSTA値を表示するとともに、STA値の上部に、POT値(最大値)とSTA値との差分(POT値(最大値)-STA値)を表示している。
また、差分が「正」の場合には上矢印(↑)を表示し、差分が「負」の場合には下矢印(↓)を表示するようにしている。
このようなデータ表示方法によれば、店舗管理者は、グラフで遊技情報の大小や全体の傾向を直観的に把握しながら、同一視野内に表示されるパネルでその詳細なデータを正確に把握することができる。
このため、遊技情報に関する詳細な分析を容易にかつ効果的に行うことができる。
【0036】
[マウスオーバーによるツールチップ表示]
サーバ6は、「STA値とPOT値」グラフの所定位置にマウスのカーソルを配置(マウスオーバー)したことに基づいて、その位置に対応した遊技情報を表示する制御も可能である。
具体的には、図20に示すように、例えば、台粗利軸やその近辺にカーソルを配置すると、台粗利のSTA値(2340円)とPOT値範囲(2340円~3500円)をツールチップ表示することができる。
すなわち、制御部65は、表示制御手段として、類似遊技場に設置されている遊技機1に関する特定の遊技情報(POT値)の範囲を特定可能な情報を、POT値グラフと共に表示させるようにしている。
これにより、店舗管理者は、グラフで遊技情報の大小や範囲を直観的に把握しながら、必要に応じ、パネルで遊技情報の最大値及び最小値並びに範囲をデータによって把握することができる。
このため、遊技情報に関する詳細な分析を容易にかつ効果的に行うことができる。
【0037】
[店舗の順位グラフ]
サーバ6は、STA値等による順位付けに基づいた「店舗の順位」グラフを生成することもできる。
「店舗の順位」グラフは、図17に示すポテンシャル分析画面(店舗別)におけるグラフ領域の中央部に配置されるレーダーチャート形式のグラフである。
「店舗の順位」グラフは、背景画像として、6種の遊技情報に対応する6つの数値軸がチャートの中心から放射状に配置されており、これら6つの数値軸上に、全店舗における自店舗の順位、「POT値(最小値)」の順位、「POT値(最大値)」の順位をプロットする処理を行う。
簡単のため、全店舗が9店舗(自店舗を含む)の場合について説明する。
まず、各店舗の順位をSTA値に基づいて決定する。これにより、自店舗の順位付けも行われる。
例えば、図21(a)に示すように、アウトに関し、9店舗についてそれぞれ順位が決定され、これに伴って自店舗(STA値)の順位が4位と決定する。
このため、アウトに関する自店舗の順位の座標として、アウト軸を9分割したうちの端部(1位)から4番目の軸上にプロットを行う。
このような自店舗の順位のプロットを、アウト、台売上、台粗利、粗利率、玉粗利、玉単価のそれぞれについて行う。
そして、隣り合う遊技情報のプロット同士を線で結ぶことによって、六角形の辺からなるレーダーチャート形式の「店舗の順位」グラフを生成することができる(図17の中央下部における太実線参照)。
【0038】
次に、POT値(最小値)の順位付けとPOT値(最大値)の順位付けを行う。
なお、POT値(最小値)及びPOT値(最大値)は、前述の「STA値とPOT値」グラフの生成過程で算出したもの(図8のS6において算出したPOT値(最小値)及びPOT値(最大値))を用いることができる。
ここで、アウトのPOT値(最大値)が42,000であるとすると、図21(b)に示すように、当該POT値(最大値)は、2位:45,000(STA値)と3位:40,000(STA値)との間の値であり、かつ、3位のSTA値に近い値(近似値)であるため、その順位を3位に決定する。
このため、アウトのPOT値(最大値)の順位を示す座標として、アウト軸を9分割したうちの端部(1位)から3番目の軸上にプロットを行う。
このようなPOT値(最大値)の順位のプロットを、アウト、台売上、台粗利、粗利率、玉粗利、玉単価のそれぞれについて行い、隣り合う遊技情報のプロット同士を線で結ぶことで第1の六角形の辺を形成する。
他方、アウトのPOT値(最小値)は18,000であるとすると、図21(b)に示すように、当該アウトのPOT値(最小値)は、7位:20,000(STA値)と8位:15,000(STA値)との間の値であり、かつ、7位のSTA値に近い値(近似値)であるため、その順位を7位に決定する。
このため、アウトのPOT値(最小値)の順位を示す座標として、アウト軸を9分割したうちの端部(1位)から7番目の軸上にプロットを行う。
このようなPOT値(最小値)の順位のプロットを、アウト、台売上、台粗利、粗利率、玉粗利、玉単価のそれぞれについて行い、隣り合う遊技情報のプロット同士を線で結ぶことで第2の六角形の辺を形成する。
これにより、第1の六角形の辺と第2の六角形の辺とで囲まれる領域(幅)を有するレーダーチャート形式の「店舗の順位」グラフを生成することができる(図17の中央下部における斜線領域参照)。
制御部65は、生成した「STA値とPOT値」グラフのデータを店舗管理者端末7に送信(出力)する。
これにより、店舗管理者端末7の表示部71において「店舗の順位」グラフが表示される(図17参照)。
【0039】
このように、「店舗の順位」グラフに関し、制御部65は、順位付け手段として、特定遊技情報算出手段により算出されたPOT値(特定の遊技情報)に基づいてPOT値の順位付け(所定の順位付け)を行い、グラフ生成手段として、順位付け手段により順位付けされた順位の範囲(POT値範囲)に対応した幅グラフを生成するようにしている。
「店舗の順位」グラフは、自店舗の順位として、可能性のある順位の範囲を幅で表したグラフでもある。
このような「店舗の順位」グラフは、従来のような単なる順位付けやランク付けと異なり、順位の範囲を幅で表現していることから、類似店舗はどのような順位となっているかを、当該幅に基づいて把握することができる。
また、類似店舗の順位に関する幅グラフと自店舗の順位に関する線グラフとを重ねて表示することにより、自店舗の順位と、類似店舗の順位範囲との関係を比較することができる。
例えば、線グラフの線が幅グラフの幅(領域)に含まれている場合にはその遊技情報の順位は適切と判断することができ、線グラフの線が幅グラフの幅(領域)に含まれていない場合にはその遊技情報に関しては何らかの課題があると判断することができる。
このため、今後、自店舗において「維持すべきこと」や「改善すべきこと」を把握することができる。
また、幅グラフは、自店舗の順位である線グラフと比較する際に、自店舗の順位が幅グラフの範囲に含まれるか否かの判断がし易くなり、例えば、幅グラフの幅の範囲に自店舗の線グラフの線が含まれる場合には、自店舗の経営者に対して安心感を与えることができる。
なお、「店舗の順位」グラフにおいても、前記「パネル表示」や前記「マウスオーバーによるツールチップ表示」が可能である(図17参照)。
このため、店舗順位に関する詳細な分析を容易にかつ効果的に行うことができる。
【0040】
[ポイントグラフ]
サーバ6は、STA値等によるポイント付けに基づいたポイントグラフを生成することもできる。
ポイントグラフは、図17に示すポテンシャル分析画面(店舗別)におけるグラフ領域の右部に配置されるレーダーチャート形式のグラフである。
ポイントグラフは、背景画像として、6種の遊技情報に対応する6つの数値軸がチャートの中心から放射状に配置されており、これら6つの数値軸上に、自店舗のポイント、「POT値(最小値)」のポイント、「POT値(最大値)」のポイントをプロットする処理を行う。
自店舗のポイントは、自店舗のSTA値を、図22の換算表に基づいて1~10のいずれかのポイントに換算することで求める。
換算表は、貸出レート毎に、アウト、台売上、台粗利、粗利率、玉単価、玉粗利について所定の閾値ごとに1~10のポイントが割り当てられている。なお、貸出レート毎ではなく、遊技機1に共通のポイントを割り当てることもできる。
例えば、自店舗に4円パチンコのみ設置されている場合、当該4円パチンコのSTA値を換算表の「4円パチンコ」の欄の該当するポイントが付与される。
自店舗に4円パチンコと1円パチンコが設置されている場合、換算表の「4円パチンコ」の欄と「1円パチンコ」の欄が参照される。
この場合、自店舗における4円パチンコのSTA値(実績値)が50,000以上で、1円パチンコのSTA値(実績値)が15,000とすると、前者に付与されるポイント(10ポイント)と、後者に付与されるポイント(2ポイント)との平均値(6ポイント)が自店舗(STA値)のポイントとして付与される。
なお、平均値ではなく、最大ポイントや最小ポイントを付与することもできる。
例えば、アウトに関し6ポイントが付与された場合、アウト軸を10分割して得られる各分割点のうち、端部(10ポイント)から6番目の分割点上にプロットを行う。
このような自店舗のポイントのプロットを、アウト、台売上、台粗利、粗利率、玉粗利、玉単価のそれぞれについて行う。
そして、隣り合う遊技情報のプロット同士を線で結ぶことによって、六角形の辺からなるレーダーチャート形式のポイントグラフを生成することができる(図17の右下部における太実線参照)。
POT値(最小値)及びPOT値(最大値)のポイント付けにあたり、まず、POT値(最小値)及びPOT値(最大値)を、4円パチンコ、1円パチンコ、20円スロット、5円スロットに分けて算出する。
例えば、4円パチンコに関するPOT値(最小値)は、全店舗の4円パチンコの遊技情報(実績値)を遊技情報DBから抽出し、抽出した各遊技情報等を学習させることでモデル式を生成し、生成したモデル式に環境区分の下限値を代入して算出する。
また、4円パチンコに関するPOT値(最大値)は、上記モデル式に環境区分の上限値を代入することで算出する。
算出したPOT値(最小値)及びPOT値(最大値)は、図22の換算表を参照することでそれぞれポイントに換算する。
これを4円パチンコ、1円パチンコ、20円スロット、5円スロットについてそれぞれ行い、得られたポイントの平均を算出することでPOT値(最小値)やPOT値(最大値)について1~10のポイントを求めることができる。
例えば、アウトに関するPOT値(最大値)のポイントが8の場合、アウト軸を10分割して得られる各分割点のうち端部(10ポイント)から3番目の分割点上にプロットを行う。
このようなPOT値(最大値)のポイントのプロットを、アウト、台売上、台粗利、粗利率、玉粗利、玉単価のそれぞれについて行い、隣り合う遊技情報のプロット同士を線で結ぶことで第1の六角形の辺を形成する。
他方、アウトのPOT値(最小値)のポイントが2の場合、アウト軸を10分割して得られる各分割点のうち端部(10ポイント)から3番目の分割点上にプロットを行う。
このようなPOT値(最小値)のポイントのプロットを、アウト、台売上、台粗利、粗利率、玉粗利、玉単価のそれぞれについて行い、隣り合う遊技情報のプロット同士を線で結ぶことで第2の六角形の辺を形成する。
これにより、第1の六角形の辺と第2の六角形の辺とで囲まれる領域からなる幅を有するレーダーチャート形式の「ポイント」グラフを生成することができる(図17の右下部における斜線領域参照)。
【0041】
このように、ポイントグラフに関し、制御部65は、順位付け手段として、特定遊技情報算出手段により算出されたPOT値、詳しくは、POT値に基づくポイント(特定の遊技情報)に基づいてランク付けに相当するポイント付与(所定の順位付け)を行い、グラフ生成手段として、付与されるポイントの範囲(順位付け手段により順位付けされた順位の範囲)に対応した幅グラフを生成するようにしている。
ポイントグラフは、自店舗のランクを示すポイントとして、可能性のあるポイントの範囲を幅で表したグラフでもある。
このようなポイントグラフは、従来のような単なるランク付けやポイント付けと異なり、ポイントの範囲を幅で表現していることから、類似店舗はどのようなポイントとなっているかを、当該幅に基づいて把握することができる。
また、類似店舗のポイントに関する幅グラフと自店舗のポイントに関する線グラフとを重ねて表示することにより、自店舗のポイントと、類似店舗におけるポイント範囲との関係を比較することができる。
例えば、線グラフの線が幅グラフの幅(領域)に含まれている場合にはその遊技情報のポイントは適切と判断することができ、線グラフの線が幅グラフの幅(領域)に含まれていない場合にはその遊技情報に関し何らかの課題があると判断することができる。
このため、今後、自店舗において「維持すべきこと」や「改善すべきこと」を把握することができる。
また、幅グラフは、自店舗のポイントを示す線グラフと比較する際に、線グラフの線が幅グラフの範囲に含まれるか否かの判断がし易くなり、例えば、幅グラフの幅の範囲に自店舗の線グラフの線が含まれる場合には、自店舗の経営者に対して安心感を与えることができる。
なお、「ポイント」グラフにおいても、前記「パネル表示」や前記「マウスオーバーによるツールチップ表示」が可能である(図17参照)。
このため、ポイントに関する詳細な分析を容易にかつ効果的に行うことができる。
【0042】
[レートの選択]
図17に示すように、グラフ領域の左部には、貸出レートに対応して「1円パチンコ」、「4円パチンコ」、「5円スロット」、「20円スロット」を選択可能な「レート」のリストボックスが設けられている。
例えば、「レート」の▼を選択すると「1円パチンコ」「4円パチンコ」「5円スロット」「20円スロット」がリストボックス内に表示される。
例えば、リストボックスの中から「20円スロット」が選択されたものとする。
この場合、自店舗の20円スロットの各種遊技情報(実績値)がSTA値として取得され、これらのSTA値に基づいてSTA値グラフが生成される。
また、所定店舗における20円スロットのSTA値を学習データとする機械学習によってPOT値が算出されてPOT値グラフが生成される。
また、このようにして得られたSTA値やPOT値に基づいて順位付けやポイント付与がなされて「店舗の順位」グラフやポイントグラフ等が生成される。
このため、「レート」は、任意の貸出レートに関する分析結果を望む場合に有効に用いることができる。
また、「レート」において貸出レートを切り替えるたびに、その貸出レートに基づいた分析結果が得られる。
例えば、1円パチンコのグラフ等を閲覧しつつ、これを、「レート」を「4円パチンコ」に切り替えた場合には、「4円パチンコ」に関するグラフや各種データを表示させることができる。
このため、貸出レート毎の比較分析を容易にかつ効果的に行うことができる。
【0043】
[データリスト]
各種グラフ(「STA値とPOT値」グラフ、「店舗の順位」グラフ、「ポイント」グラフ)の構成データをリストにて表示させることもできる。
図23は、各種グラフに関する各種データのデータリストであり、具体的には、アウト、台売上、台粗利、玉単価、玉粗利、粗利率のそれぞれのSTA値、POT値(最大値)、差(POT値(最大値)-STA値)を、リスト表示できるようにしている。
データリストは、例えば、グラフ領域の下部に配置されており、スクロール操作に応じ画面上の見やすい位置に配置できるようになっている。
このようなデータリストによれば、各種グラフの具体的内容を把握することができる。
例えば、グラフを閲覧しつつ、その詳細を確認したい場合には、スクロールして閲覧することができる。
このため、データリストによれば、遊技情報の詳細な分析を容易にかつ効果的に行うことができる。
【0044】
[ポテンシャル分析(機種別)]
図24は、ポテンシャル分析画面(機種別)である。
ポテンシャル分析画面(機能別)は、例えば、ポテンシャル分析画面(店舗別)を表示した状態において、画面上部の「機種別」タブ(見出し)を選択することでポテンシャル分析画面(店舗別)と切り替えて表示させることができる。
ポテンシャル分析画面(機種別)では、「機種選択」欄において選択した機種(選択機種という)の「設置比率」を加味したPOT値(最大値)のグラフやデータを表示する。
具体的には、選択機種の設置比率を、当該設置比率の範囲に基づく複数の区分に分け、当該区分毎にPOT値(最大値)を算出し、当該算出結果を棒グラフやリストにより表示する。
なお、貸出レート毎の「設置比率」は、「店舗に設置されている選択機種の設置台数」と「店舗に設定されている対象レートの設置台数」との割合により算出することができる。
このうち、分母にあたる「店舗に設置されている対象レートの設置台数」とは、例えば、選択機種が20円スロットの場合、その店舗に設置されている20円スロットの設置台数をいう。
設置比率の「区分」は、0%~5%、5%~10%、10%~15%、15%~20%、20%~25%、25%~30%の7区分とする。
【0045】
以下、図24に示す条件設定及び要素選択が行われ、かつ、同図に示すように、「パチスロAAA」が機種選択された場合について説明する。
この場合、「競合店舗数」、「1円パチンコ」、「2次産業人口」及び「設置比率」をそれぞれ説明変数x,x,x,xとするデータと、アウトを目的変数(y)とするデータとの組み合わせデータを「機械学習に使用するインプットデータ」として用いる(図12(b)参考)。
次に、このインプットデータに基づいて重回帰分析を行う。
これにより、切片(w)、及び、偏回帰係数(「競合店舗数(w)」、「1円パチンコ(w)」、「2次産業人口(w)」、「設置比率(w)」)が求められる(図13参考)。
このため、以下のモデル式(3)が生成される。
y=w+w+w+w+w ・・・(3)
次に、(3)式に基づいて、区分毎のPOT値(最大値)を求める。
具体的には、(3)式の説明変数x1,x2,x3に、対応する環境区分の上限値(図15の「TO」値)を代入するとともに、説明変数x4に、例えば、0%~5%の区分の最大値5%を代入して得られる算出結果を0%~5%のPOT値(最大値)とする。
このような計算を、5%、10%、15%、20%、25%、30%、100%についてそれぞれ行うことで、0%~5%のPOT値(最大値)、5%~10%のPOT値(最大値)、10%~15%のPOT値(最大値)、15%~20%のPOT値(最大値)、20%~25%のPOT値(最大値)、25%~30%のPOT値(最大値)、30%~のPOT値(最大値)が得られる。
このほか、貸出レートに関する設置比率の区分毎のPOT値(最大値)も求める。
例えば、選択機種がスロットマシン1bの場合、20円スロットの設置比率の区分毎のPOT値(最大値)及び5円スロットの設置比率の区分毎のPOT値(最大値)を求めることができる。
そして、図24の左下部にあたるポテンシャル分析画面(機種別)のグラフ表示領域に、設置比率を横軸とし、POT値(最大値)を縦軸とする選択機種の棒グラフを表示するようにしている。
このため、選択機種において、どの設置比率の場合にアウトが多いかなど、設置比率が遊技情報に与える影響を把握したり分析することができる。
また、例えば、選択機種がスロットマシン1bの場合、20円スロットや5円スロットの設置比率毎の同様の棒グラフを、選択機種の棒グラフと並べて表示するようにしている。
このため、選択機種の設置比率に応じた遊技情報の影響を把握できるだけでなく、その選択機種における貸出レートが遊技情報に及ぼす影響を把握したり分析することが可能になる。
また、図24の右下部に示すように、ポテンシャル分析画面(機種別)のデータ表示領域には、選択機種の設置比率とPOT値(最大値)とを対応付けた図表を表示するようにしている。
また、貸出レート毎の同様の図表を表示し、加えて、図表の最上欄には、選択機種の自店舗における設置比率とSTA値を表示するようにしている。
このため、例えば、図24に示すように、全体においては、選択機種の設置比率が15%~20%の店舗が最もアウト(POT値(最大値))が多く、その設置比率は、自店舗における設置比率(15%)と同じであるにもかかわらずアウト(STA値)は8,000程度であることから、自店舗に何らかの課題があることを把握できるようになる。
なお、ポテンシャル分析画面(機種別)には、アウト、台売上、台粗利、粗利率、玉粗利、玉単価のタブ(見出し)が設けられており、所望のタブを選択することで、その遊技情報(例えばアウト)のPOT値(最大値)と設置比率とを対応付けた棒グラフと図表が表示されるようになっている。
また、ポテンシャル分析画面(機種別)のグラフにおいても、前記「マウスオーバーによるツールチップ表示」が可能である(図24参照)。
このため、機種別の遊技情報に関する詳細な分析を容易にかつ効果的に行うことができる。
【0046】
[ポテンシャル分析(過去推移)]
図25は、ポテンシャル分析画面(過去推移)である。
ポテンシャル分析画面(過去推移)は、例えば、ポテンシャル分析画面(店舗別)等を表示した状態において、画面上部の「過去推移」タブを選択することでポテンシャル分析画面(店舗別)と切り替えて表示させることができる。
ポテンシャル分析画面(過去推移)では、「機種選択」欄において選択した機種(例えばパチスロAAA)に関するSTA値やPOT値に関する過去の推移をグラフやデータで表示できるようになっている。
例えば、アウトに関し、当年及び前年の過去12週分における自店舗における選択機種の週毎のアウトを求める。なお、アウトは、週平均値とする。
これにより、例えば、サービス利用日が2017年10月24日の場合、2017年における8月8日~8月14日、8月15日~8月21日、8月22日~8月28日、8月29日~9月4日、9月5日~9月11日、9月12日~9月18日、9月19日~9月25日、9月26日~10月2日、10月3日~10月9日、10月10日~10月16日、10月17日~10月23日、の各週について自店舗のSTA値を取得する。
また、前年における前記各週の自店舗のSTA値を取得する。
また、前記各週の全店舗のアウト及び環境情報に基づいてモデル式を生成し、当該モデル式に環境区分の上限値を代入することで前記各週のPOT値(最大値)を算出するとともに環境区分の下限値を代入することで当該各週のPOT値(最小値)を算出する。
そして、図25の左下部に示すように、ポテンシャル分析画面(過去推移)の左下部領域には、横軸を各週を時系列に配置した時間軸とし、縦軸をアウトとした、当年のSTA値や前年のSTA値の折れ線グラフを表示するようにしている。
また、POT値(最大値)の折れ線グラフ(第1の折れ線)とPOT値(最小値)の折れ線グラフ(第2の折れ線)を表示することで、第1の折れ線と第2の折れ線とで囲まれた領域(幅)を有する折れ線形式のPOT値グラフ(幅グラフ)を表示することができる。
このように、POT値の範囲の推移を幅で表すとともに、自店舗のSTA値の推移を線で表すようにしているため、POT値の範囲と自店舗のSTA値との関係を時系列に沿って把握することができる。
このため、POT値と自店舗のSTA値の過去の傾向から将来の傾向の予測を行うことができ、店舗における今後の運用に役立てることができる。
また、図25の右下部に示すように、ポテンシャル分析画面(過去推移)の右下部領域には、アウト、台売上、台粗利、玉単価、玉粗利、粗利率のそれぞれについて、当年の各週のSTA値(「STA値」)、前年の各週のSTA値(「前年」)、当年の各週のPOT値(最大値)、当年の各週のSTA値と前年の各週のSTA値の差分(「前年差」)を対応付けた図表を表示するようにしている。
このようなグラフや図表によれば、グラフにおいて過去の推移や傾向を直観的に把握しつつ、図表に示すデータを確認することで詳細な分析を行うことができる。
なお、ポテンシャル分析画面(過去推移)のグラフにおいても、前記「マウスオーバーによるツールチップ表示」が可能である(図25参照)。
このため、遊技情報の過去推移に関する詳細な分析を容易にかつ効果的に行うことができる。
【0047】
図26は、本発明の他の実施形態に係る遊技システムの構成を示す概略図である。
図26に示すように、他の実施形態に係る遊技システムは、サーバ6を単独に備えておらず、店舗のホールコンピュータ4においてその機能を備えている点において前述の実施形態と異なる(図1参照)。
すなわち、前述の実施形態では、サーバ6が本発明の情報処理装置として機能するところ、他の実施形態においては、店舗のホールコンピュータ4を本発明の情報処理装置として機能させることに特徴を有する。
ホールコンピュータ4は、サーバ6と同様、操作部、通信部、表示部、記憶部、及び制御部を備えた情報処理装置である。
このため、ホールコンピュータ4においては、記憶部が、環境情報記憶手段として、遊技場の環境に関する情報である環境情報を遊技場毎に記憶し、制御部が、特定遊技情報算出手段として、各遊技場に設置されている遊技機に関する遊技情報及び前記環境情報に基づき、対象の遊技場と類似する類似遊技場に設置されている遊技機に関する特定の遊技情報を算出し、グラフ生成手段として、前記特定遊技情報算出手段により算出された特定の遊技情報に基づいて、当該遊技情報の範囲に対応した幅のグラフである幅グラフを生成し、表示部(表示手段)が、前記グラフ生成手段により生成された幅グラフを表示することができる。
これにより、ホールコンピュータ4では、自店舗の遊技情報を収集・表示できるだけでなく、各店舗における遊技情報に基づきSTA値やPOT値(POT値(最大値)・POT値(最小値))を算出し、これらのデータに基づいて生成された幅グラフや各種データを表示することができる。
このため、店舗管理者は、ホールコンピュータ4を介して、自店舗の遊技情報を閲覧したり、幅グラフや各種データを閲覧することができる。
【0048】
以上のように、本発明の遊技システムは、サーバ6と店舗管理者端末7とにより構成され、サーバ6は、各店舗における遊技情報に基づき、自店舗と同じ環境区分の店舗(すなわち類似店舗)における遊技情報に基づいて算出される遊技情報の予測値であるPOT値(すなわち、類似店舗に設置されている遊技機に関する遊技情報に基づいて算出される特定の遊技情報)を算出可能な特定遊技情報算出手段と、前記特定遊技情報算出手段により算出されたPOT値(詳しくはPOT値(最大値)及びPOT値(最小値))に基づいて、遊技情報の予測値の範囲に対応した幅のグラフである幅グラフ(POT値グラフ)を生成するグラフ生成手段と、前記グラフ生成手段により生成された幅グラフを店舗管理者端末7に表示させることが可能な表示制御手段と、を備えている。
また、サーバ6は、自店舗における遊技情報のグラフであるSTA値グラフを、幅グラフ(POT値グラフ)と共に表示させるようにしている。
POT値グラフは、自店舗と類似する店舗における遊技情報の最大値及び最小値に基づいて生成されるグラフであり、自店舗において発生しうる遊技情報の範囲を幅で表したグラフでもある。
このようなPOT値グラフは、従来のような平均値に基づくグラフと異なり、幅をもたせていることから、自店舗と類似する店舗はどのような遊技情報となっているかを、当該グラフの幅に基づいて容易に把握することができる。
また、幅を有するPOT値グラフと線状のSTA値グラフを重ねて表示することにより、自店舗の遊技情報の実績値と、類似店舗における遊技情報の範囲との関係を比較することができる。
例えば、STA値グラフの線がPOT値グラフの幅(領域)に含まれている場合にはその遊技情報に関しては適切と判断することができ、STA値グラフの線がPOT値グラフの幅(領域)に含まれていない場合にはその遊技情報に関しては適切でないと判断することができる。
このため、今後、自店舗において「維持すべきこと(優れていること)」や「改善すべきこと(劣っていること)」を把握することができる。
また、POT値グラフは、自店舗の遊技情報であるSTA値グラフと比較する際に、自店舗の遊技情報がPOT値グラフの範囲に含まれるか否かの判断がし易くなり、例えば、POT値グラフの幅の範囲に自店舗の遊技情報が含まれる場合には、自店舗の経営者に対して安心感を与えることができる。
これに対し、従来の遊技システムや遊技用装置では、自店舗のデータのみを確認できるだけなので、今後、自店舗において、「維持すべきこと」、「改善すべきこと」を把握することが困難であった。
本発明によれば、このような従来の遊技システムや遊技用装置における問題の一部又は全部を解決することができる。
【0049】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係るサーバ6ついて説明する。
サーバ6は、本発明の情報処理装置の一例であり、自店舗と規模や環境が類似する他店舗の稼働データ(アウトなどの営業情報)に基づいて、自店舗における最適な設置比率の検証を行う機能を提供可能に構成されている。
なお、第2実施形態における遊技システム(サーバ6、遊技機1等を含む)の構成は、基本的には第1実施形態におけるものと共通するため、第1実施形態の記載を援用して説明を省略する。
【0050】
(貸出レートに関する設置比率の検証機能)
「設置比率の検証機能」の一例として、貸出レートに関する設置比率の検証機能について説明する。
なお、サーバ6は、予め、複数の遊技場(自店舗を含む)における営業情報(第1実施形態における「遊技情報」と同義)や環境情報を取得しているものとする。
図27は、サーバ6が取得した各遊技場の営業情報や環境情報の一例である。
同図に示すように、サーバ6は、アウトなどの営業情報や、遊技場の周辺の大学の数、遊技機の設置台数、遊技場の地域における産業別人口などの環境情報のほか、貸出レート毎のアウトなどの情報を取得しており、これらを記憶部64に記憶している。
図27における「アウト」は店舗全体のアウトを示す。
貸出レート毎のアウトには、4円パチンコにおけるアウトを示す「4Pアウト」、1円パチンコにおけるアウトを示す「1Pアウト」、20円スロットにおけるアウトを示す「20Sアウト」、5円スロットにおけるアウトを示す「5Sアウト」がある。
【0051】
サーバ6は、類似遊技場特定手段、比較対象特定手段、設置比率特定手段、及び、出力手段などの各種構成を備える。各構成について詳細に説明する。
【0052】
類似遊技場特定手段は、操作者が指定可能な指定遊技場と環境情報が類似する類似遊技場を特定する。
「操作者」は、例えば、店舗管理者を例示することができ、「指定遊技場」は、店舗管理者が管理する遊技場(自店舗)を例示することができる。
例えば、店舗管理者は、ホールコンピュータ4を操作して自店舗の店舗IDを入力することで自店舗を指定遊技場として指定することができる。なお、店舗管理者端末7を操作して指定遊技場を指定することや、自店舗以外の店舗(例えばチェーン店舗)を指定遊技場として指定することもできる。
ホールコンピュータ4は指定遊技場の店舗IDをサーバ6に送信し、サーバ6は、ホールコンピュータ4から店舗IDを取得する。
これにより、サーバ6は、自店舗を指定遊技場として特定することができる。
「類似遊技場」は、指定遊技場と「環境情報」が類似する遊技場である。
この「環境情報」は任意の環境情報(規模を含む)を指定することができる。
例えば、「環境情報」として「全台数」を指定した場合、指定遊技場に遊技機の設置台数と類似する設置台数の遊技場が「類似遊技場」として特定される。
具体的には、指定遊技場における「全台数」が「400」の場合、「400」に近似する「全台数」の遊技場(例えば「全台数」が360~440の規模の遊技場)がすべて「類似遊技場」として特定される。
なお、「環境情報」として、他の環境情報(大学の数、産業別人口など)を指定してもよく、1つを指定してもよく、複数を指定してもよい。
例えば、環境情報として「全台数」、「大学の数」、「2次産業人口」の3要素を指定した場合において、自店舗において、「全台数」が「400」で、「大学の数」が「2」で、「2次産業人口」が「6500」の場合、「全台数」が「360~440」、かつ、「大学の数」が「1~3」で、かつ、「1次産業人口」が「6000~7000」である遊技場が「類似遊技場」として特定される。
「近似」の範囲や基準は、上述の例に限らず、任意に設定又は変更することができる。
【0053】
比較対象特定手段は、類似遊技場のうち、営業情報に関連する所定条件を充足する類似遊技場を比較対象である特定類似遊技場として特定する。
「営業情報」は、遊技場における営業状況を示す指標であり、本実施形態では、遊技機の稼働状況を示す「アウト(店舗全体)」を用いる。
「営業情報に関連する所定条件」は、営業成績が優秀な遊技場を特定するための条件である。
このため、「類似遊技場のうち、営業情報に関連する所定条件を充足する類似遊技場」は、類似遊技場のうち営業成績が優秀な遊技場、すなわち、「アウト(店舗全体)」が多い遊技場が相当する。
本実施形態のサーバ6は、制御部65が、比較対象特定手段として、類似遊技場のうち、遊技機1で使用される遊技媒体の数値(アウト)が最も多い遊技場を「特定類似遊技場」として特定する。
つまり、類似遊技場のうち、営業成績が最も優秀な遊技場として、アウト(店舗全体)が最大の遊技場が「特定類似遊技場」として特定される。
【0054】
設置比率特定手段は、指定遊技場及び特定類似遊技場に設置されている遊技機を複数の種別に分類し、当該分類別の設置比率を特定する。
具体的には、指定遊技場における遊技機の設置台数を貸出レート毎に分類し、当該分類別の設置比率を特定すると共に、特定類似遊技場における遊技機の設置台数を貸出レート毎に分類し、当該分類別の設置比率を特定する。
より具体的には、遊技機を「4円パチンコ」、「1円パチンコ」、「20円スロット」、「5円スロット」に分類する。
そして、例えば、指定遊技場における設置台数(「全台数」)が「400台」の場合において、4円パチンコの設置台数(「4P設置台数」)が「100台」の場合、4円パチンコの設置比率(「4P設置比率」)は「25%」と特定することができる。
同様に、「1P設置台数」が「100」の場合、「1P設置比率」は「25%」と特定することができ、「20S設置台数」が「100」の場合、「20S設置比率」は「25%」と特定することができ、「5S設置台数」が「100」の場合、「5S設置比率」は「25%」と特定することができる。
また、特定類似遊技場においても同様にして、「4P設置比率」、「1P設置比率」、「20S設置比率」、「5S設置比率」を特定することができる。
なお、同様の方法により、特定類似遊技場の「4P設置比率」は「35%」と特定され、「1P設置比率」は「15%」と特定され、「20S設置比率」は「35%」と特定され、「5S設置比率」は「15%」と特定されたものとする。
【0055】
出力手段は、指定遊技場の設置比率及び特定類似遊技場の設置比率を比較可能に表示するための情報を出力する。
具体的には、サーバ6は、指定遊技場における貸出レート毎の設置比率及びアウト(STA値:実績値)と、特定類似遊技場における貸出レート毎の設置比率及びアウト(STA値)と、を指定遊技場のホールコンピュータ4に送信する。
これにより、指定遊技場のホールコンピュータ4において、自店舗における貸出レート毎の設置比率及びアウト(STA値)と、特定類似遊技場における貸出レート毎の設置比率及びアウト(STA値)とを同一画面に表示するなどして比較可能に表示することができる。
図28(a)は、自店舗における貸出レート毎の設置比率及びアウト(STA値)の一例であり、図28(b)は、特定類似遊技場における貸出レート毎の設置比率(最適設置比率)及びアウト(STA値)の一例である。
これにより、指定遊技場の店舗管理者は、自店舗における貸出レート毎の設置比率と、特定類似遊技場における貸出レート毎の設置比率(最適設置比率)と、それぞれのアウト(STA値)を参照しながら比較検証することができる。
【0056】
具体的には、設置比率とアウトとの間に相関関係があることが推認されることから、理論上は、4円パチンコの設置比率を25%から35%に変更することで4円パチンコのアウトを15000から20000に増やすことができ、1円パチンコの設置比率を25%から15%に変更することで1円パチンコのアウトを10000から15000に増やすことができ、20円スロットの設置比率を25%から35%に変更することで20円スロットのアウトを10000から15000に増やすことができ、5円スロットの設置比率を25%から15%に変更することで5円スロットのアウトを5000から10000に増やすことができ、この結果、店舗全体のアウトを40000から60000に増やすことができる。
【0057】
つまり、特定類似遊技場は、類似遊技場の中でも最も営業成績に優れた遊技場であることから、特定類似遊技場における設置比率は、目指す価値のある設置比率(以下、最適設置比率という)として把握することができる。
このため、自店舗の設置比率と最適設置比率とを比較可能に表示することで、店舗管理者は、自店舗の営業成績を最大化できる設置比率を検証することができる。
【0058】
なお、営業情報(指標)として、「アウト」以外の情報(例えば、「台売上」、「台粗利」、「玉粗利」、「玉単価」など)や、特定の貸出レートのアウトを用い、これらが最大の遊技場に関する情報(設置比率等)を表示するなど、複数の指標に関する検証情報を選択的又は複合的に提供することもできる。
また、図28においては、説明を簡単にするため、すべての貸出レートにおいて、自店舗のアウトよりも特定類似遊技場のアウトが高いケースを例示したが、一部の貸出レートについては、自店舗のアウトの方が特定類似遊技場のアウトより高い場合も想定される。
この場合でも店舗全体のアウトを優先してすべての貸出レートの設置比率の変更を検討してもよく、一部の貸出レートについては、設置比率を「維持すべき(優れている)」と判断し、他の貸出レートについては「改善すべき(劣っている)」と判断するなど、様々な検証を行うことができる。
【0059】
特定類似遊技場を複数特定することもできる。
つまり、比較対象特定手段は、複数の特定類似遊技場を特定することができる。
具体的には、類似遊技場のうちアウト最大値の遊技場を唯一特定するのではなく、アウト最大値から所定範囲内(例えば±5%)に含まれるアウトの遊技場を特定類似遊技場として特定することができ、この場合、所定範囲内に含まれるアウトの遊技場が複数ある場合には、これら複数の遊技場をそれぞれ「特定類似遊技場」として特定することになる。
この場合、複数の特定類似遊技場を対象として、それらの設置比率をそれぞれ最適設置比率として表示することができる。
【0060】
この場合、複数の特定類似遊技場を対象とするのではなく、設置比率が自店舗の設置比率と近い方の遊技場を対象とすることもできる。
具体的には、出力手段は、比較対象特定手段によって複数の特定類似遊技場が特定された場合、複数の特定類似遊技場のうち、設置比率が指定遊技場の設置比率と近い特定類似遊技場を対象として、指定遊技場の設置比率及び特定類似遊技場の設置比率を比較可能に表示するための情報を出力することができる。
すなわち、複数の特定類似遊技場を候補として特定し、その候補の中から設置比率が自店舗に近い方の特定類似遊技場の設置比率(最適設置比率)を採用して表示させることもできる。
例えば、自店舗の4円パチンコの設置比率が20%の場合において、第1の特定類似遊技場の4円パチンコの設置比率が22%で、第2の特定類似遊技場の4円パチンコの設置比率が30%の場合には、出力手段は、自店舗の設置比率及び第1の特定類似遊技場の設置比率を比較可能に表示するための情報を出力する。
【0061】
設置比率の近さを、各貸出レートの設置比率に用いて総合的に求めることもできる。
例えば、自店舗の設置比率Aは、4円パチンコの設置比率がa1、1円パチンコの設置比率がa2、20円スロットの設置比率がa3、5円スロットの設置比率がa4であり、第1の特定類似遊技場の設置比率Xは、4円パチンコの設置比率がx1、1円パチンコの設置比率がx2、20円スロットの設置比率がx3、5円スロットの設置比率がx4であり、第2の特定類似遊技場の設置比率Yは、4円パチンコの設置比率がy1、1円パチンコの設置比率がy2、20円スロットの設置比率がy3、5円スロットの設置比率がy4であるものとする。
この場合、自店舗の設置比率Aと第1の遊技場の設置比率Xとの遠近度AXは、直線AX間のユークリッド距離とみなして下記式により算出することができる。
AX=((x1-a1)+(x2-a2)+(x3-a3)+(x4-a4)1/2
同様に、自店舗の設置比率Aと第2の遊技場の設置比率Yとの遠近度AYは、下記式により算出することができる。
AY=((y1-a1)+(y2-a2)+(y3-a3)+(y4-a4)1/2
【0062】
上記式による算出の結果、AX>AYの場合、第2の遊技場の設置比率Yの方が第1の遊技場の設置比率Xよりも自店舗の設置比率Aに近いと判定することができるため、第2の遊技場の設置比率Yを対象として表示を行うようにする。
上記式による算出の結果、AX<AYの場合、第1の遊技場の設置比率Xの方が第2の遊技場の設置比率Yよりも自店舗の設置比率Aに近いと判定することができるため、第1の遊技場の設置比率Xを対象として表示を行うようにする。
つまり、今の自店舗における遊技機の設置状況に近い遊技場における設置比率を最適設置比率として提示するようにしている。
これにより、自店舗にとって、無理のない範囲で営業成績を最大化する設置比率を検証することができる。
なお、自店舗の設置比率と他の遊技場の設置比率との遠近度(近さ)は、上記に限らず、他の公知の指標(コサイン類似度など)や手法を用いて求めることもできる。
【0063】
以上の構成を備えたサーバ6における特定類似遊技場や最適設置比率の特定方法等について、図29のフローチャートを参照しながら説明する。
【0064】
同図に示すように、まず、類似遊技場の特定を行う(S11)。
具体的には、店舗管理者の操作により、自店舗のホールコンピュータ4において自店舗を指定遊技場として指定することで、サーバ6において、自店舗と環境(例えば、遊技機の設置台数、大学の数、産業別人口等)が類似する遊技場を類似遊技場として特定する。
【0065】
次に、特定類似遊技場を特定する(S12)。
具体的には、サーバ6において、特定したすべての類似遊技場の中から営業情報に関連する所定条件を充足する遊技場を特定類似遊技場として特定する。
例えば、類似遊技場のうち、店舗全体のアウトが最大の遊技場を特定類似遊技場と特定する。
【0066】
次に、最適設置比率の特定を行う(S13)。
具体的には、特定類似遊技場における設置比率を最適設置比率として特定する。
【0067】
そして、検証情報の出力を行う(S14)。
具体的には、サーバ6が、指定遊技場における貸出レート毎の設置比率とアウト(STA値)や、特定類似遊技場における貸出レート毎の設置比率(最適設置比率)とアウト(STA値)を含む検証情報を指定遊技場のホールコンピュータ4に送信する。
ホールコンピュータ4は、サーバ6から検証情報を受信する。
これにより、ホールコンピュータ4において、自店舗の設置比率と特定類似遊技場の設置比率(最適設置比率)とを比較可能に表示することができる。
具体的には、自店舗における貸出レート毎の設置比率及びアウトと、貸出レート毎の最適設置比率及びアウトとを比較可能に表示することができ(図28参照)、これにより、店舗管理者は、自店舗における最適な設置比率の検証を行うことができる。
【0068】
このように、本実施形態のサーバ6においては、自店舗と規模や環境が類似する他店舗の稼働データ(アウトなどの営業情報)を参考に、自店舗における最適な設置比率の検証を行う機能を提供することができる。
具体的には、4円パチンコ、1円パチンコ、20円スロット、5円スロットの4レートにおいて、設置比率が異なる類似店舗の営業情報を提供することができる。
【0069】
(設置比率を変更した場合における営業情報の予測機能)
自店舗の経営状況や設備状況によっては、自店舗における設置比率を、必ずしも最適設置比率に変更することができるわけではない。
この場合、自店舗の設置比率を最適設置比率と同じでなくとも、最適設置比率に近づけることで、自店舗の営業成績を少しでも営業成績が優秀な類似店舗の設置比率に近づけることができ、少なくとも今よりも営業成績を向上させることが期待できる。
例えば、4円パチンコの設置比率を現状の25%から最適設置比率35%に近づける(増やす)ことで、少なくとも4円パチンコのアウトを多くすることが望め、1円パチンコの設置比率を現状の25%から最適設置比率15%に近づける(減らす)ことで、少なくとも4円パチンコのアウトを多くすることが望め、20円スロットの設置比率を現状の25%から最適設置比率35%に近づける(増やす)ことで、少なくとも1円パチンコのアウトを多くすることが望め、5円スロットの設置比率を現状の25%から最適設置比率15%に近づける(減らす)ことで、少なくとも5円スロットのアウトを多くすることが望め、この結果、自店舗における店舗全体のアウトを多くすることが期待できる。
この場合、設置比率の変更に応じてアウトがどのように増減するかは、実際に設置比率を変更して結果(アウト)を検証してみないとわからず、そのような方法だと検証までに時間がかかり不便である。
そこで、本実施形態のサーバ6は、ポテンシャル分析の手法を用いて、設置比率を変更した場合におけるアウトの予測値(POT値)を算出できるようになっている。
【0070】
設置比率(変更後)のアウト予測値の算出方法等について、図30に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0071】
まず、設置比率(変更後)を受け付ける(S21)。
具体的には、ホールコンピュータ4において、店舗管理者の操作により設置比率(変更後)の数値を入力する。つまり、検証したい設置比率の数値を入力する。
図31は、ホールコンピュータ4において表示される設置比率(変更後)の入力画面の一例である。
図31(a)は、設置比率(変更後)がまだ入力されていない状態を示している。
店舗管理者は、この入力画面が表示された状態において、「設置比率(変更後)」欄に検証したい設置比率の数値を入力する。
【0072】
入力する数値は、現在の設置比率~最適設置比率の範囲内が望ましい。
現在の設置比率を、最適設置比率に近づけた場合におけるアウト予測値を参照することが目的だからである。
このため、予め前述した方法で特定した最適設置比率を表示しておき、店舗管理者が参照できるようにすることが望ましい。
また、「設置比率(変更後)」欄には、上記範囲外の数値を入力できないようにしたり、当該数値が入力されても受け付けないように制限を加えることもできる。
ただし、このような制限を加えず、所望の数値を入力できるようにしてもよい。
【0073】
図31(b)は、「設置比率(変更後)」欄に数値が入力された状態を示している。
具体的には、4円パチンコの設置比率(変更後)として「28%」が入力され、1円パチンコの設置比率(変更後)として「22%」が入力され、20円スロットの設置比率(変更後)として「30%」が入力され、5円スロットの設置比率(変更後)として「20%」が入力されたことを示している。
これにより、「設置比率(変更後)」欄に入力された数値が、ホールコンピュータ4からサーバ6に送信され、サーバ6において、設置比率(変更後)の数値が受け付けられる。
具体的には、4円パチンコの設置比率(変更後)として「28%」が受け付けられ、1円パチンコの設置比率(変更後)として「22%」が受け付けられ、20円スロットの設置比率(変更後)として「30%」が受け付けられ、5円スロットの設置比率(変更後)として「20%」が受け付けられる。
なお、「設置比率(変更後)の受け付け」は、S21(図30参照)に限らず、「設置比率(変更後)のアウト予測値の算出」(S24)の前であればどのような順序でも実行することができる。
【0074】
次に、類似遊技場を特定する(S22)。
具体的には、サーバ6において、指定遊技場と環境が類似する遊技場を類似遊技場として特定する。
ここでは、自店舗における「貸出レート毎の設置比率」、「大学の数」、及び「2次産業人口」と類似する遊技場を類似遊技場として特定する例について説明する。
自店舗の設置比率は、「4P設置比率」:25%、「1P設置比率」:25%、「20S設置比率」:25%、「5S設置比率」:25%、「大学の数」:2、「2次産業人口」:6500人とする。
【0075】
本実施形態において、類似遊技場は、貸出レート毎に抽出する。
例えば、4円パチンコに係る類似遊技場(4P類似遊技場ともいう)として、「4P設置比率」が20%~30%であり、かつ、「大学の数」が1~3であり、かつ、「2次産業人口」が6000人~7000人である遊技場を抽出する。
1円パチンコに係る類似遊技場(1P類似遊技場ともいう)として、「1P設置比率」が20%~30%であり、かつ、「大学の数」が1~3であり、かつ、「2次産業人口」が6000人~7000人である遊技場を抽出する。
20円スロットに係る類似遊技場(20S類似遊技場ともいう)として、「20S設置比率」が20%~30%であり、かつ、「大学の数」が1~3であり、かつ、「2次産業人口」が6000人~7000人である遊技場を抽出する。
5円スロットに係る類似遊技場(5S類似遊技場ともいう)として、「5S設置比率」が20%~30%であり、かつ、「大学の数」が1~3であり、かつ、「2次産業人口」が6000人~7000人である遊技場を抽出する。
なお、「類似」の範囲や基準は、上述の例に限らず、任意に設定・変更することができる。
【0076】
次に、モデル式を生成する(S23)。
このため、予測値特定手段は、営業情報及び環境情報に基づく学習によって、営業情報の予測値を特定するための学習モデル(モデル式)を生成可能な学習モデル生成手段を備える。
図32は、対象レート台の設置比率(変更後)におけるアウト予測値yを算出するためのモデル式である。
このようなモデル式は、営業情報及び環境情報に基づく学習によって生成することができる。
モデル式は、第1実施形態と同様、重回帰の手法を用いて生成することができる。
ここでは、説明変数として環境情報を用いることで、目的変数「対象レート台のアウト予測値y」を算出可能なモデル式を生成する。
対象レート台の「設置比率(変更後)」におけるアウト予測値yを算出するため、説明変数には、少なくとも「設置比率」を用いる。
本実施形態においては、「設置比率」、「大学の数」及び「2次産業人口」を説明変数として用いた場合を一例として説明するが、「設置比率」だけを説明変数として用いてもよく、「設置比率」と他の様々な環境情報を説明変数に用いることもできる。
図32(1)は、4円パチンコの設置比率(変更後)のアウト予測値yを算出するためのモデル式(1)であり、図32(2)は、1円パチンコの設置比率(変更後)のアウト予測値yを算出するためのモデル式(2)であり、図32(3)は、20円スロットの設置比率(変更後)のアウト予測値yを算出するためのモデル式(3)であり、図32(4)は、5円スロットの設置比率(変更後)のアウト予測値yを算出するためのモデル式(4)である。
【0077】
モデル式(1)は、すべての4P類似遊技場における4Pアウト(STA値)、4P設置比率、大学の数、2次産業人口を用いて生成することができる。
具体的には、目的変数「y」を「4Pアウト」とし、各説明変数「x,x,x」をそれぞれ「4P設置比率」、「大学の数」、「2次産業人口」とし、すべての4P類似遊技場におけるこれらのデータを用いた公知の重回帰式の生成方法によってモデル式(1)を生成することができる。
つまり、これにより、切片:w01、偏回帰係数については、4P設置比率(変更後):w11、大学の数:w、2次産業人口:wが導出される結果、「4円パチンコのアウト予測値y」を算出可能な下記モデル式(1)が生成される(図32(1))。
=w01+w11+w+w・・・(1)
【0078】
モデル式(2)~(4)も、モデル式(1)と同様の方法により生成する。
モデル式(2)は、すべての1P類似遊技場における1Pアウト(STA値)、1P設置比率、大学の数、2次産業人口を用いて生成することができる。
これにより、切片:w02、偏回帰係数については、4P設置比率(変更後):w21、大学の数:w、2次産業人口:wが導出される結果、「1円パチンコのアウト予測値y」を算出可能な下記モデル式(2)が生成される(図32(2))。
=w02+w21+w+w・・・(2)
モデル式(3)は、すべての20S類似遊技場における20Sアウト(STA値)、20S設置比率、大学の数、2次産業人口を用いて生成することができる。
これにより、切片:w03、偏回帰係数については、20S設置比率(変更後):w31、大学の数:w、2次産業人口:wが導出される結果、「20円スロットのアウト予測値y」を算出可能な下記及びモデル式(3)が生成される(図32(3))。
=w03+w31+w+w・・・(3)
モデル式(4)は、すべての5S類似遊技場における5Sアウト(STA値)、5S設置比率、大学の数、2次産業人口を用いて生成することができる。
これにより、切片:w04、偏回帰係数については、5S設置比率(変更後):w41、大学の数:w、2次産業人口:wが導出される結果、「5円スロットのアウト予測値y」を算出可能な下記モデル式(4)が生成される(図32(4))。
=w04+w41+w+w・・・(4)
【0079】
次に、設置比率(変更後)のアウト予測値を算出する(S24)。
具体的には、モデル式(1)~(4)に、受け付けた設置比率(変更後)の数値、自店舗における「大学の数」及び「2次産業人口」を代入することで設置比率(変更後)のアウト予測値y~yを算出することができる。
4円パチンコの設置比率(変更後)のアウト予測値yは、モデル式(1)において、xに4P設置比率(変更後):28%を代入し、xに大学の数:2を代入し、xに2次産業人口:6500を代入することで算出することができる。
1円パチンコの設置比率(変更後)のアウト予測値yは、モデル式(2)において、xに1P設置比率(変更後):22%を代入し、xに大学の数:2を代入し、xに2次産業人口:6500を代入することで算出することができる。
20円スロットの設置比率(変更後)のアウト予測値yは、モデル式(3)において、xに20S設置比率(変更後):30%を代入し、xに大学の数:2を代入し、xに2次産業人口:6500を代入することで算出することができる。
5円スロットの設置比率(変更後)のアウト予測値yは、モデル式(4)において、xに5S設置比率(変更後):20%を代入し、xに大学の数:2を代入し、xに2次産業人口:6500を代入することで算出することができる。
この結果、4円パチンコのアウト予測値yは18000と算出され、1円パチンコのアウト予測値yは13000と算出され、20円スロットのアウト予測値yは14000と算出され、5円スロットのアウト予測値yは8000と算出されたものとする。
すなわち、サーバ6は、予測値特定手段として、指定遊技場(自店舗)の設置比率を特定類似遊技場の設置比率(最適設置比率)に近づけるように変更した場合に得られる営業情報の予測値(アウト(POT値))を、類似遊技場の営業情報(アウト(STA値))及び設置比率(変更後)の数値に基づいて特定することができる。
【0080】
そして、サーバ6は、検証情報の出力を行う(S25)。
具体的には、サーバ6は、指定遊技場における貸出レート毎の設置比率(変更前)と当該貸出レート毎のアウト(STA値)とを対応付けた情報と、指定遊技場における貸出レート毎の設置比率(変更後)と当該貸出レート毎のアウト予測値(POT値)を含む検証情報を指定遊技場のホールコンピュータ4に送信する。
これにより、図31(c)に示すように、ホールコンピュータ4において、自店舗において、設置比率(変更前)と設置比率(変更後)とを比較可能に表示させると共に、設置比率(変更後)におけるアウト(POT値)を貸出レート毎に表示させることができる。
同図によれば、自店舗において、4円パチンコの設置比率を25%から28%に変更した場合は、4円パチンコのアウトは18000になるであろうと予測することができる。
同様に、1円パチンコの設置比率を25%から22%に変更した場合は、1円パチンコのアウトは13000になるであろうと予測することができる。
同様に、20円スロットの設置比率を25%から30%に変更した場合は、20円スロットのアウトは14000になるであろうと予測することができる。
同様に、5円スロットの設置比率を25%から20%に変更した場合は、5円スロットのアウトは8000になるであろうと予測することができる。
また、これらの変更によって、自店舗のアウト(店舗全体)は、53000になるであろうと予測することができる。
なお、設置比率(変更前)のアウト(STA値)を表示することもできる。
これにより、店舗管理者は、設置比率の変更前と変更後とにおけるアウトの増減を比較しながら、最適な設置比率(アウトの増加が大きい設置比率)について検証することができる。
【0081】
以上のように、本実施形態のサーバ6によれば、類似店舗の営業情報に基づき、自店舗の設置比率を変更した場合の営業情報の予測値を提供することができる。
このようなデータを提供することにより、自店舗において、特定類似遊技場と同じ設置比率に変更することができなくても、少しでも営業成績が優秀な類似店舗の設置比率と等しくすることができ、その場合に、どの程度の営業結果が見込めるかを確認することができる。
このため、店舗にとって無理のない範囲で特定の指標を最大化可能な設置比率を検証することができる。
【0082】
設置比率を示すグラフを表示することもできる。
図33は、ホールコンピュータ4において、設置比率(変更前)と設置比率(変更後)における、それぞれのグラフと、貸出レート毎のアウト(STA値、POT値)と、合計アウトとを表示した表示画面の一例である。
図33(a)は、設置比率(変更前)の円グラフと設置比率(変更前)における貸出レート毎のアウト(STA値)とを共に表示した図である。
具体的には、4円パチンコ、1円パチンコ、20円スロット及び5円スロットの設置比率(変更前)を円グラフで表示すると共に、4円パチンコ、1円パチンコ、20円スロット及び5円スロットにおけるそれぞれのアウト(STA値)を表示したものである。
【0083】
図33(b)は、設置比率(変更後)の円グラフと設置比率(変更後)における貸出レート毎のアウト予測値(POT値)とを共に表示した図である。
具体的には、4円パチンコ、1円パチンコ、20円スロット及び5円スロットの設置比率(変更後)を円グラフで表示すると共に、4円パチンコ、1円パチンコ、20円スロット及び5円スロットにおけるそれぞれのアウト予測値(POT値)を表示したものである。
これにより、設置比率の増減を、グラフを通して直観的に把握しつつ、変更前のアウト(STA値)と変更後のアウト予測値(POT値)とを比較しながら、設置比率の検証を行うことができる。
このため、店舗管理者は、各設置比率につき、「維持すべきか(優れているか)」や「改善すべきか(劣っているか)」などを、検証することができる。
【0084】
設置比率(変更後)は、任意の数値を入力する方法(図31参照)以外にも、グラフに対する直接的な操作により指定することもでき、このような操作によっても設置比率(変更後)のアウト予測値を求めることができる。
具体的には、予測値特定手段は、指定遊技場の設置比率がグラフで表示されている場合であって、当該グラフ上の境界を移動させることで特定類似遊技場の設置比率に近づけるように変更する操作を受け付けた場合に、営業情報の予測値を特定することもできる。
図34は、説明を簡単にするため、図33における円グラフのみを示している。
図34(a)は、ホールコンピュータ4において表示された、自店舗の設置比率(変更前)の円グラフの一例である。
ここで、店舗管理者は、マウス操作等により、グラフ上の境界をマウス等の操作により移動させることができる。
図34(b)は、マウス操作によりカーソルと共に境界を動かす(いわゆるドラッグ&ドロップ等)ことで4円パチンコの設置比率を25%から10%に変更する操作が行われたことを示している(各矢印参照)。
【0085】
このように特定の貸出レートの設置比率を変更する操作を行った場合、基本的には、他の貸出レートにおける設置比率を元の設置比率の割合に応じて配分(比例配分)される。
このため、4円パチンコの設置比率を25%から10%に変更した場合は、1円パチンコと20円スロットと5円スロットの元の設置比率の割合は、25%:25%:25%=1:1:1であるため、1円パチンコと20円スロットと5円スロットの設置比率は、それぞれ30%に変更する自動操作が行われる。
【0086】
特定の貸出レートについて設置比率に上限や下限を設定することもできる。
図35は、5円スロットについて上限設置比率:20%が設定された場合において、4円パチンコの設置比率が25%から10%に変更されたときの様子を示す図である。
この場合、1円パチンコと20円スロットと5円スロットの設置比率は、本来、比例配分によりそれぞれ30%に変更されるが、5円スロットについては上限設置比率:20%が設定されているため、当該設定が優先される結果、20%に変更され、1円パチンコと20円スロットの設置比率は、残りの70%が比例配分されることで、それぞれ35%に変更される。
【0087】
特定の貸出レートについて設置比率を固定設定することもできる。
例えば、パチンコ機1aの設置比率とスロットマシン1bの設置比率を固定設定した場合について説明する。
この場合、4円パチンコと1円パチンコのうち一方の設置比率を変更することに伴い他方の設置比率が自動的に変更されるが、スロットマシン1bの設置比率は変更されない。
同様に、20円スロットと5円スロットのうち一方の設置比率を変更することに伴い他方の設置比率が自動的に変更されるが、パチンコ機1aの設置比率は変更されない。
図34(b)は、4円パチンコの設置比率を28%に変更する操作が行われたことで1円パチンコの設置比率が22%に自動的に変更され、20円スロットの設置比率を30%に変更する操作が行われたことで5円スロットの設置比率が20%に自動的に変更された様子を示している。
この結果、4円パチンコの設置比率が25%から28%に変更され、1円パチンコの設置比率が25%から22%に変更され、20円スロットの設置比率が25%から30%に変更され、5円スロットの設置比率が25%から20%に変更される。
【0088】
この場合、ホールコンピュータ4は、4円パチンコの設置比率(変更後):28%、1円パチンコの設置比率(変更後):22%、20円スロットの設置比率(変更後):30%、5円スロットの設置比率(変更後):20%をそれぞれサーバ6に送信する。
これにより、サーバ6は、4円パチンコの設置比率(変更後):28%、1円パチンコの設置比率(変更後):22%、20円スロットの設置比率(変更後):30%、5円スロットの設置比率(変更後):20%を受け付ける。
サーバ6は、モデル式(1)において、xに、受け付けた4P設置比率(変更後):28%を代入し、xに大学の数:2を代入し、xに2次産業人口:6500を代入することで、4円パチンコの設置比率を28%に変更した場合における4円パチンコのアウト予測値を算出する。
同様に、サーバ6は、モデル式(2)において、xに、受け付けた1P設置比率(変更後):22%を代入し、xに大学の数:2を代入し、xに2次産業人口:6500を代入することで、1円パチンコの設置比率を22%に変更した場合における1円パチンコのアウト予測値を算出する。
同様に、モデル式(3)において、xに、受け付けた20S設置比率(変更後):30%を代入し、xに大学の数:2を代入し、xに2次産業人口:6500を代入することで、20円スロットの設置比率を30%に変更した場合における20円スロットのアウト予測値を算出する。
同様に、モデル式(4)において、xに、受け付けた5S設置比率(変更後):20%を代入し、xに大学の数:2を代入し、xに2次産業人口:6500を代入することで、5円スロットの設置比率を20%に変更した場合における5円スロットのアウト予測値を算出する。
【0089】
サーバ6は、算出した貸出レート毎のアウト予測値を、ホールコンピュータ4に送信する。
これにより、ホールコンピュータ4において、設置比率(変更後)のアウト予測値を貸出レート毎に表示することができる。
具体的には、図33(b)の「アウト(POT値)」欄において、設置比率(変更後)のアウト予測値を貸出レート毎に表示したり、その合計値である店舗全体のアウト予測値を表示することができる。
【0090】
サーバ6は、グラフ上において境界の移動中(ドラッグした状態であるがまだドロップされていない状態)においても、リアルタイムに、その境界の位置に対応する設置比率(変更後)に基づいてアウト予測値を算出して、ホールコンピュータ4に送信するようにもできる。
これにより、ホールコンピュータ4において、設置比率の変更操作中に、アウト予測値をリアルタイムに表示することができる。
このため、店舗管理者は、アウト予測値を参照しながら設置比率の変更操作を行うことができ、最適な設置比率をより探り易くなる。
【0091】
以上のように、本実施形態のサーバ6によれば、グラフを直接操作して設置比率の変更を検証できるようにしているため、より直観的に設置比率の検証を行うことができる。
【0092】
(機種タイプに関する設置比率の検証機能)
サーバ6は、貸出レート以外にも、機種タイプに関する設置比率の検証機能を備えることもできる。
基本的には、貸出レートにおける場合と同様であるため、詳細な説明は省略し、相違点を中心に説明する。
図37は、サーバ6が取得した各店舗の営業情報や環境情報の一例である。
同図に示すように、サーバ6は、アウト(店舗全体)などの営業情報や、大学の数、遊技機の設置台数、産業別人口などの環境情報のほか、機種タイプ毎のアウトなどの情報を取得しており、これらを記憶部64に記憶している。
「機種タイプ毎のアウト」には、パチンコミドルにおけるアウトを示す「ミドルアウト」、パチンコ甘デジにおけるアウトを示す「甘デジアウト」、スロットAタイプにおけるアウトを示す「Aタイプアウト」、スロットATタイプにおけるアウトを示す「ATタイプアウト」、30π沖スロにおけるアウトを示す「沖スロアウト」があり、サーバ6は、各遊技場における、これら機種タイプ毎のアウトを記憶部64に記憶している。
【0093】
図38(a)は、自店舗における機種タイプ毎の設置比率とアウト(STA値)を示す図である。
同図は、自店舗において、パチンコミドルの設置比率(以降、「ミドル設置比率」ともいう)は20%でそのアウト(STA値)は15000であり、パチンコ甘デジの設置比率(以降、「甘デジ設置比率」ともいう)は20%でそのアウト(STA値)は10000であり、スロットAタイプの設置比率(以降、「Aタイプ設置比率」ともいう)は20%でそのアウト(STA値)は10000であり、スロットATタイプの設置比率(以降、「ATタイプ設置比率」ともいう)は20%でそのアウト(STA値)は5000であり、30π沖スロの設置比率(以降、「沖スロ設置比率」ともいう)は20%でそのアウト(STA値)は30000であり、店舗全体のアウト(STA値:実績値)は40000であることを示している。
【0094】
図38(b)は、特定類似遊技場における機種タイプ毎の設置比率とアウト(STA値)を示す図である。
特定類似遊技場は、自店舗と環境が類似する類似遊技場を特定し、当該類似遊技場の中から営業情報に関連する所定条件を充足する遊技場を特定する。
例えば、すべての類似遊技場のうち、店舗全体のアウトが最大値の遊技場を特定類似遊技場として特定することができる。
図38(b)に示すように、特定類似遊技場において、パチンコミドルの設置比率は30%でそのアウト(STA値)は20000であり、パチンコ甘デジの設置比率は15%でそのアウト(STA値)は15000であり、スロットAタイプの設置比率は15%でそのアウト(STA値)は13000であり、スロットATタイプの設置比率は15%でそのアウト(STA値)は8000であり、30π沖スロの設置比率は25%でそのアウト(STA値)は40000であり、店舗全体のアウト(STA値)は96000である。
特定類似遊技場は、類似遊技場の中でも営業成績が優秀な遊技場であることから、特定類似遊技場における設置比率を目指す価値のある最適設置比率として把握することができる。
【0095】
ポテンシャル分析を用いて、設置比率を変更した場合におけるアウトの予測値(POT値)を算出することもできる。
一例として、図39に示すように、パチンコミドルの設置比率を20%から22%に変更した場合のパチンコミドルのアウト予測値y1、パチンコ甘デジの設置比率を20%から18%に変更した場合のパチンコ甘デジのアウト予測値y2、スロットAタイプの設置比率を20%から17%に変更した場合のスロットAタイプのアウト予測値y3、スロットATタイプの設置比率を20%から19%に変更した場合のスロットATタイプのアウト予測値y4、30π沖スロの設置比率を20%から24%に変更した場合の30π沖スロのアウト予測値y5を算出する場合について説明する。
この場合、サーバ6において、類似遊技場を特定し、特定されたすべての類似遊技場における環境情報及び営業情報を用いて、設置比率(変更後)のアウト予測値(POT値)を算出可能なモデル式を機種タイプ毎に生成する。
【0096】
類似遊技場は、指定遊技場と環境が類似する遊技場を類似遊技場として特定することができる。
例えば、自店舗の設置比率、大学の数、及び2次産業人口が類似する遊技場を類似遊技場として特定することができる。
自店舗の設置比率は、「ミドル設置比率」が20%で、「甘デジ設置比率」が20%で、「Aタイプ設置比率」が20%で、「ATタイプ設置比率」が20%で、「沖スロ設置比率」が20%であるほか、「大学の数」が2で、2次産業人口が6500人とする。
類似遊技場は、機種タイプ毎に抽出する。
【0097】
例えば、パチンコミドルに係る類似遊技場(ミドル類似遊技場ともいう)として、「ミドル設置比率」が15%~25%であり、かつ、「大学の数」が1~3であり、かつ、「2次産業人口」が6000人~7000人である遊技場を抽出する。
パチンコ甘デジに係る類似遊技場(甘デジ類似遊技場ともいう)として、「甘デジ設置比率」が15%~25%であり、かつ、「大学の数」が1~3であり、かつ、「2次産業人口」が6000人~7000人である遊技場を抽出する。
スロットAタイプに係る類似遊技場(Aタイプ類似遊技場ともいう)として、「Aタイプ設置比率」が15%~25%であり、かつ、「大学の数」が1~3であり、かつ、「2次産業人口」が6000人~7000人である遊技場を抽出する。
スロットATタイプに係る類似遊技場(ATタイプ類似遊技場ともいう)として、「ATタイプ設置比率」が15%~25%であり、かつ、「大学の数」が1~3であり、かつ、「2次産業人口」が6000人~7000人である遊技場を抽出する。
30π沖スロに係る類似遊技場(沖スロ類似遊技場ともいう)として、「沖スロ設置比率」が15%~25%であり、かつ、「大学の数」が1~3であり、かつ、「2次産業人口」が6000人~7000人である遊技場を抽出する。
【0098】
図40は、対象タイプの設置比率(変更後)におけるアウト予測値yを算出するためのモデル式である。
モデル式は、第1実施形態と同様、重回帰の手法を用いて生成するが、目的変数として「対象タイプのアウト」を用い、説明変数として環境情報を用いて生成する。
対象タイプの「設置比率(変更後)」におけるアウト予測値yを算出するため、説明変数には、少なくとも「設置比率」を用いる。
本実施形態においては、「設置比率」、「大学の数」及び「2次産業人口」を説明変数として用いた場合を一例として説明するが、「設置比率」だけを説明変数として用いてもよく、「設置比率」と他の様々な環境情報を説明変数に用いることもできる。
【0099】
図40(1)は、パチンコミドルの設置比率(変更後)のアウト予測値yを算出するためのモデル式(1)であり、図40(2)は、パチンコ甘デジの設置比率(変更後)のアウト予測値yを算出するためのモデル式(2)であり、図40(3)は、スロットAタイプの設置比率(変更後)のアウト予測値yを算出するためのモデル式(3)であり、図40(4)は、スロットATタイプの設置比率(変更後)のアウト予測値yを算出するためのモデル式(4)であり、図40(5)は、30π沖スロの設置比率(変更後)のアウト予測値yを算出するためのモデル式(5)である。
【0100】
モデル式(1)は、すべてのミドル類似遊技場におけるミドルアウト(STA値)、ミドル設置比率、大学の数、2次産業人口を用いて生成することができる。
具体的には、目的変数「y」を「ミドルアウト」とし、各説明変数「x,x,x」をそれぞれ「ミドル設置比率」、「大学の数」、「2次産業人口」とし、すべてのミドル類似遊技場におけるこれらのデータを用いた公知の重回帰式の生成方法によってモデル式(1)を生成することができる。
つまり、これにより、切片:w01、偏回帰係数については、ミドル設置比率(変更後):w11、大学の数:w、2次産業人口:wが導出される結果、「パチンコミドルのアウト予測値y」を算出するための下記モデル式(1)が生成される(図40(1))。
=w01+w11+w+w・・・(1)
【0101】
モデル式(2)~(5)も、モデル式(1)と同様の方法により生成する。
モデル式(2)は、すべての甘デジ類似遊技場における甘デジアウト(STA値)、甘デジ設置比率、大学の数、2次産業人口を用いて生成することができる。
これにより、切片:w02、偏回帰係数については、甘デジ設置比率(変更後):w21、大学の数:w、2次産業人口:wが導出される結果、「パチンコ甘デジのアウト予測値y」を算出するための下記モデル式(2)が生成される(図40(2))。
=w02+w21+w+w・・・(2)
モデル式(3)は、すべてのAタイプ類似遊技場におけるAタイプアウト(STA値)、Aタイプ設置比率、大学の数、2次産業人口を用いて生成することができる。
これにより、切片:w03、偏回帰係数については、Aタイプ設置比率(変更後):w31、大学の数:w、2次産業人口:wが導出される結果、「スロットAタイプのアウト予測値y」を算出するための下記モデル式(3)が生成される(図40(3))。
=w03+w31+w+w・・・(3)
モデル式(4)は、すべてのATタイプ類似遊技場におけるATタイプアウト(STA値)、ATタイプ設置比率、大学の数、2次産業人口を用いて生成することができる。
これにより、切片:w04、偏回帰係数については、ATタイプ設置比率(変更後):w41、大学の数:w、2次産業人口:wが導出される結果、「スロットATタイプのアウト予測値y」を算出するための下記モデル式(4)が生成される(図40(4))。
=w04+w41+w+w・・・(4)
モデル式(5)は、すべての沖スロ類似遊技場における沖スロアウト(STA値)、沖スロ設置比率、大学の数、2次産業人口を用いて生成することができる。
これにより、切片:w05、偏回帰係数については、沖スロ設置比率(変更後):w51、大学の数:w、2次産業人口:wが導出される結果、「30π沖スロのアウト予測値y」を算出するための下記モデル式(5)が生成される(図40(5))。
=w05+w51+w+w・・・(5)
【0102】
モデル式(1)~(5)に、それぞれ設置比率(変更後)、「大学の数」及び「2次産業人口」を代入することで設置比率(変更後)のアウト予測値y~yを算出することができる。
パチンコミドルの設置比率(変更後)のアウト予測値yは、モデル式(1)において、xにミドル設置比率(変更後):22%を代入し、xに大学の数:2を代入し、xに2次産業人口:6500を代入することで算出することができる。
パチンコ甘デジの設置比率(変更後)のアウト予測値yは、モデル式(2)において、xに甘デジ設置比率(変更後):18%を代入し、xに大学の数:2を代入し、xに2次産業人口:6500を代入することで算出することができる。
スロットAタイプの設置比率(変更後)のアウト予測値yは、モデル式(3)において、xにAタイプ設置比率(変更後):17%を代入し、xに大学の数:2を代入し、xに2次産業人口:6500を代入することで算出することができる。
スロットATタイプの設置比率(変更後)のアウト予測値yは、モデル式(4)において、xに5S設置比率(変更後):19%を代入し、xに大学の数:2を代入し、xに2次産業人口:6500を代入することで算出することができる。
30π沖スロの設置比率(変更後)のアウト予測値yは、モデル式(5)において、xに沖スロ設置比率(変更後):24%を代入し、xに大学の数:2を代入し、xに2次産業人口:6500を代入することで算出することができる。
この結果、パチンコミドルのアウト予測値yは18000と算出され、パチンコ甘デジのアウト予測値yは13000と算出され、スロットAタイプのアウト予測値yは12000と算出され、スロットATタイプのアウト予測値yは6000と算出され、30π沖スロのアウト予測値yは35000と算出されたものとする。
【0103】
図41は、(a)は自店舗における機種タイプ毎の設置比率(変更前)を示す円グラフと設置比率(変更前)における機種タイプ毎のアウト(STA値)とが共に表示された表示画面の一例であり、(b)は自店舗における機種タイプ毎の設置比率(変更後)を示す円グラフと設置比率(変更前後)における機種タイプ毎のアウト(STA値及びPOT値)とが共に表示された表示画面の一例である。
これらの図に示すように、店舗管理者は、機種タイプにおいても、検証したい設置比率を指定することで、その場合のアウト予測値等を参照したり、変更前と変更後とでアウトの増減を確認することができる。
【0104】
以上のように、本実施形態のサーバ6においては、機種タイプにおいても、前述した貸出レートと同様に設置比率の検証を行う機能を提供することができる。
なお、機種タイプにおいても、設置比率をグラフ表示したり、グラフに対する直接的な操作により設置比率(変更後)のアウト予測値を求めることができる。
また、特定の機種タイプの設置比率を固定したり、上限や下限を設定しながら、設置比率の変更操作を行うこともできる。
また、5つの機種タイプについて最適設置比率を特定したり、設置比率(変更後)のアウト予測値を算出するなどして設置比率の検証可能としているが、自店舗に設置されている機種タイプのみで検証するように設定することもできる。
例えば、自店舗に4つの機種タイプしかない場合には、特定類似遊技場において5つの機種タイプ毎に最適設置比率を特定した場合でも該当する4つの機種タイプ毎に最適設置比率を表示するようにでき、また、4つの機種タイプに対応する4つのモデル式を生成して、当該機種タイプ毎に設置比率(変更後)のアウト予測値を算出し提供するようにもできる。
【0105】
以上のように、本実施形態のサーバ6においては、自店舗と類似する他店舗の稼働データを参考に、自店舗における最適な設置比率の検証を行う機能を提供することができる。
例えば、貸出レートや機種タイプに分類して、当該分類別に、設置比率が異なる類似店舗の営業情報を提供することができる。
また、類似店舗の営業情報を参考に、自店舗の設置比率を変更した場合の営業情報の予測値を提供することができる。
これに対し、従来の遊技システムや遊技用装置では、自店舗と他店舗の規模や店舗全体の各種遊技機の設置比率を加味したデータは提供されず、検証するには不十分であった。
本発明によれば、このような従来の遊技システムや遊技用装置における問題の一部又は全部を解決することができる。
本発明によれば、目指す価値のある設置比率を提供することができ、店舗にとって無理のない範囲で特定の指標(アウトなど)を最大化する設置比率を検証することができる。
【0106】
以上、本発明に好ましい実施形態について説明したが、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、前述したレートや機種に限らず、他の様々なレートや機種タイプ(パチンコ機1aについてはマックスタイプ、4円パチンコミドル、1円パチンコ甘デジなど、スロットマシン1bについてはARTタイプ、A+ATタイプ、A+ARTタイプ、20円Aタイプ、5円ATタイプなど)に分類して当該分類別に設置比率の検証情報を提供することもできる。
また、貸出レートや機種タイプに限らず、「新台、準新台、既存台」など、様々な種別に分類して当該分類別に設置比率の検証を行うこともできる。
設置比率の変更操作において、固定設定と上限・下限の設定を組み合わせることもできる。
【0107】
モデル式の生成において、予め貸出レート毎や機種タイプ毎に類似遊技場を設けたが、これに限るものではない。
具体的には、各モデル式の説明変数に、対応する設置比率を用いるのであれば、一の類似遊技場におけるデータを共通に用いて各モデル式を生成することもできる。
また、目標の営業情報を入力して、それに対応する設置比率の予測値を提示するようにもできる。
例えば、貸出レート毎に設置比率の予測値を重回帰の手法により求めることができる。
この場合、説明変数に貸出レートのアウト(STA値)を用いて、目的変数「対象レート台における設置比率の予測値」を算出可能なモデル式を生成すればよい。
例えば、目的変数「y」を「4P設置比率」とし、各説明変数「x,x,x」をそれぞれ「4Pアウト」、「大学の数」、「2次産業人口」とし、すべての4P類似遊技場におけるこれらのデータを用いた公知の重回帰式の生成方法によって「4P設置比率の予測値」を算出可能なモデル式を生成することができる。
つまり、このようなモデル式をすべての貸出レートについて生成すればよい。
そして、それぞれのモデル式において、説明変数xに目標のアウトを代入し、説明変数x,xに自店舗の「大学の数」、「2次産業人口」を代入することで、設置比率の予測値を貸出レート毎に算出することができる。
【0108】
本実施形態においては、「設置比率」、「大学の数」及び「2次産業人口」を説明変数として用いた場合を一例として説明したが、「設置比率」だけを説明変数として用いてもよく、「設置比率」と他の様々な環境情報を説明変数に用いることもできる。
また、重回帰分析に限らず、他の学習方法を用いることもできる。
例えば、各遊技場における各種環境情報(設置比率を含む)と営業情報(アウト)とのデータセットを教師データとして、いわゆるニューラルネットワーク分析(深層学習を含む)を実行することによっても、設置比率を変更した場合におけるアウトの予測値を出力可能な学習モデルを生成することができ、このような学習モデルに設置比率(変更後)を入力することで設置比率(変更後)のアウト予測値を出力させることもできる。
また、ニューラルネットワークを用いて目標の営業情報を入力して、それに対応する設置比率の予測値を出力可能な学習モデルを生成することもできる。
【符号の説明】
【0109】
1 遊技機
4 ホールコンピュータ(情報処理装置)
6 サーバ(情報処理装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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