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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022119138
(43)【公開日】2022-08-16
(54)【発明の名称】電子機器及びその時刻合わせ方法
(51)【国際特許分類】
   G04G 5/00 20130101AFI20220808BHJP
   G07D 11/26 20190101ALN20220808BHJP
   G07D 11/32 20190101ALN20220808BHJP
【FI】
G04G5/00 J
G07D11/26
G07D11/32 102Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021016164
(22)【出願日】2021-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】000116079
【氏名又は名称】ローレルバンクマシン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500267170
【氏名又は名称】ローレル機械株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500265501
【氏名又は名称】ローレル精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169960
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 貴光
(72)【発明者】
【氏名】村越 稔
【テーマコード(参考)】
2F002
3E040
3E141
【Fターム(参考)】
2F002AA04
2F002AA12
2F002FA16
2F002GA06
3E040AA01
3E040BA11
3E040CA02
3E040CA07
3E040EA10
3E040FJ07
3E040FK08
3E141AA01
3E141BA11
3E141CA02
3E141CA07
3E141EA10
3E141FJ08
3E141FK08
(57)【要約】
【課題】上位装置と下位装置との時刻合わせを簡便に行える電子機器及びその時刻合わせ方法を提供する。
【解決手段】貨幣処理システム10は、上位端末装置20A,20Bと、上位端末装置20A,20Bに共用される紙幣処理装置1と、を備えている。紙幣処理装置1は、時計用IC4と、時計用IC4の時刻を調整する時刻調整部6と、上位端末装置20A,20Bに対して、調整後の時計用IC4の時刻で時刻合わせする時刻合わせ部7と、を備えている。これにより、時刻調整部6による時計用IC4の時刻調整と、調整後の時計用IC4の時刻に上位端末装置20A,20Bの時刻を合わせる時刻合わせとを、一括して行うことができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上位装置に接続可能な電子機器であって、
時計デバイスと、
前記時計デバイスの時刻を調整する時刻調整手段と、
前記上位装置に対して、調整後の前記時計デバイスの時刻で時刻合わせする時刻合わせ手段と、
を備えていることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記時刻合わせ手段は、複数の前記上位装置に対して時刻合わせを行い、時刻合わせが完了しなかった前記上位装置に対して、所定時間経過後に前記時計デバイスの前記所定時間が経過した現在時刻で再び時刻合わせすることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記時刻合わせの実施時間を時系列で記憶するログ記憶手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
予め設定された前記時刻合わせ手段が時刻合わせを行う周期が到来すると、前記周期の到来を報知する報知手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記時刻調整手段は、先行して実行された前記時計デバイスの時刻調整における調整前後の時刻の誤差に基づいて、前記時計デバイスの時刻を自動調整することを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
上位装置に接続可能な電子機器の時刻合わせ方法であって、
前記電子機器が備えている時計デバイスの時刻を調整する時刻調整工程と、
前記上位装置に対して、調整後の前記時計デバイスの時刻で時刻合わせする時刻合わせ工程と、
を含むことを特徴とする電子機器の時刻合わせ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器及びその時刻合わせ方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、上位装置と下位装置とが接続されたシステムにおいて、時刻等の登録情報に関し、上位装置の登録情報に下位装置の登録情報を一致させることが行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、カレンダー機能と時計機能とを有する上位装置と時計機能のみを有する少なくとも1つの下位装置とを接続し、上位装置から下位装置へのデータ伝送の際に未来時刻を含めて伝送し、下位装置の時刻を上位装置の時刻に合わせることができる時刻合わせ方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7-134187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上位装置と下位装置との間で伝送障害が発生した場合には、時系列で記憶されたログを解析して原因究明を行うのが一般的であるが、1つの下位装置に対して複数の上位装置が接続されているシステム等において、システム内の各装置の時刻が一致していない場合には、ログ解析が困難になる虞があるという問題があった。
【0006】
そこで、上位装置と下位装置との時刻合わせを簡便に行うために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る電子機器は、上位装置に接続可能な電子機器であって、時計デバイスと、前記時計デバイスの時刻を調整する時刻調整手段と、前記上位装置に対して、調整後の前記時計デバイスの時刻で時刻合わせする時刻合わせ手段と、を備えている。
【0008】
この構成によれば、電子機器の時計デバイスの時刻を調整する時刻調整と、調整後の時計デバイスの時刻に上位装置の時刻を合わせる時刻合わせとを、一括して行うことができる。
【0009】
また、上記目的を達成するために、本発明に係る電子機器の時刻合わせ方法は、上位装置に接続可能な電子機器の時刻合わせ方法であって、前記電子機器が備えている時計デバイスの時刻を調整する時刻調整工程と、前記上位装置に対して、調整後の前記時計デバイスの時刻で時刻合わせする時刻合わせ工程と、を含む。
【0010】
この構成によれば、電子機器の時計デバイスの時刻を調整する時刻調整と、調整後の時計デバイスの時刻に上位装置の時刻を合わせる時刻合わせとを、一括して行うことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、上位装置と下位装置との時刻合わせを簡便に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る紙幣処理装置を含む貨幣処理システムを示す正面図。
図2】紙幣処理装置の要部を示す斜視図。
図3】貨幣処理システムの主な構成を示すブロック図。
図4】紙幣処理装置及び上位端末装置の時刻合わせを行う操作画面。
図5】登録情報合わせを行う登録情報を選択する選択画面。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態について図面に基づいて説明する。なお、以下では、構成要素の数、数値、量、範囲等に言及する場合、特に明示した場合及び原理的に明らかに特定の数に限定される場合を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも構わない。
【0014】
また、構成要素等の形状、位置関係に言及するときは、特に明示した場合及び原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似又は類似するもの等を含む。
【0015】
また、図面は、特徴を分かり易くするために特徴的な部分を拡大する等して誇張する場合があり、構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
【0016】
本発明の一実施形態に係る紙幣処理装置1を適用した貨幣処理システム10を図1~3に基づいて説明する。
【0017】
貨幣処理システム10は、金融機関に設置されて2名の窓口操作員(テラー)によって使用されるものである。貨幣処理システム10は、左右2名の窓口操作員A,Bに対応して設けられた上位装置としての左右2台の上位端末装置20A,20Bと、上位端末装置20A,20Bに有線また無線の通信回線を介して接続された下位装置としての1台の紙幣処理装置1と、を備えている。なお、「左右」とは、窓口操作員側から視た左右を意味する。なお、「上位装置」とは、下位装置に対して所定の動作を行う指示を出力する装置を意味する。
【0018】
左側の窓口操作員A用の左側の上位端末装置20A及び右側の窓口操作員B用の右側の上位端末装置20Bは、パーソナルコンピュータからなる。左側の上位端末装置20Aは、左側の窓口操作員Aに対して設けられた左側のカウンタ30Aの上に設置され、右側の上位端末装置20Bは、右側の窓口操作員Bに対して設けられた右側のカウンタ30Bの上に設置される。
【0019】
上位端末装置20A,20Bは、それぞれが、対応する窓口操作員により操作入力が行われるキーボード等からなる操作部21と、対応する窓口操作員に対して表示を行う液晶モニタ等からなる表示部22と、操作部21からの信号に基づいて、表示部22の表示画面を制御して出金指示信号等を紙幣処理装置1に送信する制御部23と、を備えている。
【0020】
また、上位端末装置20A,20Bは、時計デバイスとしての時計用IC24が実装され、いわゆる時計機能を備えている。なお、時計デバイスは、自らが時を刻むものに限定されず、例えば、装置外部から電波を受信して時を刻むもの等であっても構わない。
【0021】
また、上位端末装置20A,20Bに対する操作の操作ログや紙幣処理装置1との間で通信を行った際の通信ログ等は、記憶部25に時系列で記憶されるようになっている。
【0022】
紙幣処理装置1は、左右2台の上位端末装置20A,20Bにインターフェースを介して接続されて共用される。紙幣処理装置1は、予め金種別に分類されて出金準備金として機内の図示略のスタッカにスタックされた紙幣を上位端末装置20A,20Bからの出金指示信号に基づいて出金する出金動作を行う紙幣出金機である。紙幣処理装置1は、左右2つのカウンタ30A,30Bの境界位置の下側に設置されている。
【0023】
図2に示すように、紙幣処理装置1は、窓口操作員A,Bに相対する機体前面1a側に、
機内から出金紙幣が繰り出される出金口2が設けられている。また、出金口2には、出金口2を開閉する出金口シャッタ2aが設けられている。
【0024】
紙幣処理装置1の上面には、液晶モニタ等からなるタッチパネル式の操作表示部3が設けられている。操作表示部3は、金種別の出金準備金の残量状態を表示したり、異常発生時の異常箇所の状態情報を表示したり、後述する係員モードの選択画面を表示したりする。
【0025】
紙幣処理装置1は、時計デバイスとしての時計用IC4が実装され、いわゆる時計機能を備えている。なお、時計デバイスは、自らが時を刻むものに限定されず、例えば、装置外部から電波を受信して時を刻むもの等であっても構わない。紙幣処理装置1に対する操作の操作ログや上位端末装置20A,20Bとの間で通信を行った際の通信ログ等は、時系列で記憶部5に記憶されるようになっている。
【0026】
また、紙幣処理装置1は、時刻調整部6と、時刻合わせ部7と、報知部8と、を備えている。時刻調整部6は、時計用IC4の時刻を調整可能である。時刻合わせ部7は、後述する上位端末装置20A,20Bに対する時刻合わせを行う。紙幣処理装置1を構成する各種機器は、制御部9によって動作制御されている。
【0027】
紙幣処理装置1には、通常の取引を行う「取引モード」と各種設定を行う「係員モード」とが切換可能に設けられている。「取引モード」では、上位端末装置20A,20Bからの出金指示信号に基づいて出金動作を行う。「係員モード」では、複数の設定項目を含む図示しない一覧メニューが操作表示部3に表示される。
【0028】
次に、紙幣処理装置1の時刻調整及び上位端末装置20A,20Bの時刻合わせを行う手順について、説明する。
【0029】
[紙幣処理装置の時刻調整]
紙幣処理装置1の「係員モード」が起動して、一覧メニューから図4(a)に示す「日時の設定」画面S1が選択され、図4(a)~(d)に示す手順により、時計用IC4の時刻を調整することができる。
【0030】
具体的には、まず、図4(a)に示すように、「日時の設定」画面S1において、操作者が、調整したい「日付」又は「時間」のウインドウを押下した後に、「プラス」又は「マイナス」のボタンを押下して、「日付」又は「時間」のウインドウに表示される数値を所望の数値に変更することにより、調整後の時計用IC4の時刻(現在時刻)を入力する。なお、「年月日」の調整が不要な場合には、「年月日」の項目を非表示として、「時間」のみを調整可能に表示させても構わない。
【0031】
次に、図4(b)に示すように、操作者が、「日時の設定」画面S1に表示される項目名「上位装置の時刻合わせ」に関する「ON」、「OFF」の何れかのボタンを押下することにより、上位端末装置20A,20Bの時刻合わせを行うか否かを設定する。
【0032】
すなわち、「ON」ボタンが押下されると、紙幣処理装置1の時刻調整と併せて上位端末装置20A,20Bに対して後述する時刻合わせを行う。一方、「OFF」ボタンが押下されると、上位端末装置20A,20Bに対して時刻合わせは行われず、紙幣処理装置1の時刻調整のみが行われる。
【0033】
次に、図4(c)に示すように、操作者が、「日時の設定」画面S1に含まれる「終了」ボタンを押下して、時計用IC4の現在時刻及び上位端末装置20A,20Bの時刻合わせの要否を確定させると、図4(d)に示すように、入力された時計用IC4の現在時刻(本実施形態では、2017年2月8日10時51分に設定されている)の確認を促す確認画面S2が表示される。操作者が、確認画面S2に含まれる「はい」ボタンを押下すると、時刻調整部6が、時計用IC4の時刻を入力された現在時刻に調整する。一方、操作者が、確認画面S2に含まれる「いいえ」ボタンを押下すると、時刻調整部6は、時計用IC4の時刻を調整せず、操作表示部3に一覧メニューが表示される。
【0034】
[上位端末装置の時刻合わせ]
「日時の設定」画面S1に含まれる項目名「上位装置の時刻合わせ」の「ON」ボタンが押下された後に、図4(d)に示す確認画面S2で「はい」が押下された場合には、時計用IC4の時刻を基準として上位端末装置20A,20Bの時刻合わせを行う。
【0035】
具体的には、時計用IC4の時刻調整に続いて、時刻合わせ部7が、上位端末装置20A,20Bに対して、時計用IC4の調整後の時刻(基準時刻)で上位端末装置20A,20B内の時計用IC24の時刻を時刻合わせするように通知する。
【0036】
なお、図4(c)に示す時計用IC4の確定操作から上位端末装置20A,20Bに対して時刻合わせを通知するまでにタイムラグが生じることから、上位端末装置20A,20Bに対して通知する基準時刻は、このようなタイムラグを考慮して、図4(c)で確定した時刻から進行した通知時における現在時刻であるのが好ましい。
【0037】
上位端末装置20A,20Bは、紙幣処理装置1から送られた通知時現在時刻で時計用IC24の時刻合わせを行う。時刻合わせが終了した後には、上位端末装置20A,20Bは、時刻合わせ部7に対してその旨を応答する。
【0038】
一方、上位端末装置20A,20Bが電源OFFでシャットダウンしている又は別の処理中でビジー状態である等により、時計用IC24の時刻合わせを行えない場合には、上位端末装置20A,20Bは、紙幣処理装置1に対して時刻合わせに関する応答をしない。
【0039】
すなわち、時刻合わせ部7は、所定時間内に上位端末装置20A,20Bから応答があった場合には、時計用IC4の基準時刻で上位端末装置20A,20Bの時刻合わせが正常に実行されたものと認識し、所定時間内に上位端末装置20A,20Bから応答がなかった場合には、上位端末装置20A,20Bの時刻合わせが正常に実行されなかったものと認識する。
【0040】
上位端末装置20A,20Bの時刻合わせが実行されなかった場合、時刻合わせ部7は、所定の待機時間(例えば、1時間)が経過した後に、時刻合わせが正常に実行されなかった上位端末装置20A,20Bに対して時刻合わせを再通知する。
【0041】
このとき、時刻合わせ部7が上位端末装置20A,20Bに対して通知する時計用IC4の基準時刻は、時計用IC4の現在時刻、すなわち前回の時刻合わせから所定の待機時間が経過した再通知時における現在時刻である。例えば、前回の時刻合わせの際の基準時刻が2017年2月8日10時51分であり、前回の通知から再通知までの待機時間が1時間に設定された場合には、再通知時の基準時刻は、2017年2月8日11時51分に設定される。
【0042】
上位端末装置20A,20Bは、紙幣処理装置1から再通知された基準時刻で時計用IC24の時刻合わせを行うことができた場合には、時刻合わせ部7に対してその旨を応答し、時刻合わせ部7は、時刻合わせ部7から応答があった場合には、再通知した時計用IC4の現在時刻で上位端末装置20A,20Bの時刻合わせが正常に実行されたものと認識する。
【0043】
なお、時刻合わせの再通知の回数は1回に限定されず、時刻合わせ部7は、上位端末装置20A,20Bからの応答が得られるまで繰り返し行うのが好ましい。
【0044】
また、時刻合わせの再通知は、前回の時刻合わせにおいて無応答だった上位端末装置20A,20Bのみに対して発しても構わないし、前回の時刻合わせの応答の有無にかかわらず全ての上位端末装置20A,20Bに対して発しても構わない。
【0045】
なお、報知部8は、上位端末装置20A,20Bの時刻合わせの周期が到来した旨を操作表示部3に報知するのが好ましい。
【0046】
具体的には、上位端末装置20A,20Bの時刻合わせの周期(例えば、3か月)が予め設定されている場合、記憶部5に記録された前回の時刻合わせの日時から、報知部8が、時刻合わせ部7が時刻合わせを行う周期が到来しているか否かを判定する。
【0047】
そして、時刻合わせの周期が迫ると、報知部8が、時刻合わせを促すメッセージを操作表示部3に表示する。その後、上位端末装置20A,20Bの時刻合わせが行われて、記憶部5に新たな時刻合わせのログが記憶されると、報知部8は、操作表示部3に表示されたメッセージを非表示にする。
【0048】
また、時計用IC4の時刻調整は、操作者の手動操作で行われる場合に限定されず、自動で行っても構わない。
【0049】
例えば、時刻調整部6は、時刻調整の実施間隔と前回の時計用IC4の時刻調整時の誤差(入力された現在時刻及びその時の時計用IC4の時刻の差)とから、例えば1か月で約30秒進む等の時計用IC4の精度(誤差の傾向)を算出して記憶しておき、それ以降の時計用IC4の時刻調整の際に、この時計用IC4の精度と時刻調整の実施間隔とに基づいて、時計用IC4の時刻と現在時刻との誤差を予測して、時計用IC4の時刻を自動で調整することが考えられる。
【0050】
また、上位端末装置20A,20Bの時刻合わせの要否は、「日時の設定」画面S1において操作者の手動操作で選択される場合に限らず、自動で判定を行っても構わない。
【0051】
例えば、時刻合わせ部7が、1日に1回、時計用IC4の時刻及び上位端末装置20A,20Bの各時計用IC24の時刻を比較して、これら3つの時刻間の最大誤差が2分を超えた場合には、上位端末装置20A,20Bに対して時刻合わせを自動で行うことが考えられる。
【0052】
また、紙幣処理装置1の時計用IC4の時刻調整と上位端末装置20A,20Bの時刻合わせとは別々に行ってもよく、例えば、図4(b)の操作画面に代えて、紙幣処理装置1の時計用IC4の時刻調整を終えた後に、上位端末装置20A,20Bに対する時刻合わせを行うか否かの確認画面を表示させても構わない。
【0053】
以上説明したとおり、本実施形態に係る紙幣処理装置1は、上位端末装置20A,20Bに接続可能な装置であって、時計用IC4と、時計用IC4の時刻を調整する時刻調整部6と、上位端末装置20A,20Bに対して、調整後の時計用IC4の時刻で時刻合わせする時刻合わせ部7と、を備えている構成とした。
【0054】
これにより、時計用IC4の時刻を現在時刻に調整する時刻調整と、調整後の時計用IC4の現在時刻に上位端末装置20A,20Bの時刻を合わせる時刻合わせとを、一括して行うことができる。
【0055】
また、紙幣処理装置1は、時刻合わせ部7が、複数の上位端末装置20A,20Bに対して時刻合わせを行い、時刻合わせが完了しなかった上位端末装置20A,20Bに対して、所定時間経過後に時計用IC4の所定時間が経過した現在時刻で再び時刻合わせする構成とした。
【0056】
これにより、複数の上位端末装置20A,20Bに供用される紙幣処理装置1の時刻調整及び上位端末装置20A,20Bの時刻合わせを一括して行うことができ、さらに、電源オフ等の事情により時刻合わせが行えない上位端末装置20A,20Bの時刻合わせも自動で行うことができる。
【0057】
また、紙幣処理装置1は、時刻合わせの実施時間を時系列で記憶する記憶部5をさらに備えている構成とした。
【0058】
これにより、上位端末装置20A,20Bに対して時刻合わせを行ったログが記憶部5に記憶されることにより、伝送障害の原因究明の際に行うログ解析を円滑に行うことができる。
【0059】
また、紙幣処理装置1は、予め設定された時刻合わせ部7が時刻合わせを行う周期が到来すると、周期の到来を報知する報知部8をさらに備えている構成とした。
【0060】
これにより、操作者に対して定期的な時刻合わせを促すことができ、時刻のズレが大きくなる前に時刻合わせを行われることが期待できる。
【0061】
また、紙幣処理装置1は、時刻調整部6が、先行して実行された時計用IC4の時刻調整における調整前後の時刻の誤差に基づいて、時計用IC4の時刻を自動調整する構成とした。
【0062】
これにより、時計用IC4の時刻調整を自動で行うことにより、操作者の時計用IC4の時刻調整を行う煩雑な作業を省略することができる。
【0063】
また、本実施形態に係る紙幣処理装置1の時刻合わせ方法は、上位端末装置20A,20Bに接続可能な装置の時刻合わせ方法であって、紙幣処理装置1が備えている時計用IC4の時刻を調整する時刻調整工程と、上位端末装置20A,20Bに対して、調整後の時計用IC4の時刻で時刻合わせする時刻合わせ工程と、を含む。
【0064】
これにより、時計用IC4の時刻を現在時刻に調整する時刻調整と、調整後の時計用IC4の現在時刻に上位端末装置20A,20Bの時刻を合わせる時刻合わせとを、一括して行うことができる。
【0065】
なお、本実施形態では、紙幣処理装置1とこれを共用する2台の上位端末装置20A,20Bを備えている貨幣処理システム10を例に説明したが、本発明に係る電子機器を適用したシステムはこのような構成に限定されず、例えば、出納室に設置される出納機とこれを共用する複数の渉外員が各々所持するタブレット型の上位装置とを備えているシステムや、売り場のレジに設置される釣銭機とこれを共用する複数の店員が各々所持するタブレット型の上位装置とを備えているシステム等であっても構わない。
【0066】
また、本実施形態では、下位装置として紙幣処理装置1を例に挙げて説明したが、下位装置は、時計デバイスを備え上位装置に対して時刻合わせを行える構成の電子機器であれば良く、例えば、鍵管理装置等であっても構わない。
【0067】
また、本発明に係る電子機器は、上位装置と電子機器との間で共通する登録情報について、上位装置の登録情報を電子機器の登録情報に一致させるように一括して変更可能なものであればよく、登録情報は「時刻」に限定されない。
【0068】
例えば、紙幣処理装置1に関して時系列で変動し得る最新の登録情報を上位端末装置20A,20Bへ通知して、上位端末装置20A,20Bの登録情報を紙幣処理装置1の登録情報に一致させる登録情報合わせも行うように構成しても良い。このような登録情報としては、「操作者登録情報」や「操作内容情報」等が考えられる。
【0069】
「操作者登録情報」とは、紙幣処理装置1の操作を許諾された者として登録された操作者の情報であり、紙幣処理装置1及び上位端末装置20A,20Bに、予め各々記憶されている。そして、この登録された操作者のみが上位端末装置20A,20Bを操作して、紙幣処理装置1での取引操作が行える仕組みとなっている。また、「操作内容情報」とは、上位端末装置20A,20Bからの操作連携で紙幣処理装置1の操作における、操作可能な処理メニューの情報や、1取引あたりの出金限度額の情報等である。
【0070】
これらの登録情報は、紙幣処理装置1及び上位端末装置20A,20Bの登録情報の変更状況によっては不整合が発生しうる。そこで、例えば、図5に示すような操作表示部3に表示される選択画面S3において、記憶部5内で時系列で記憶している最新の「操作者登録情報」や「操作内容情報」を上位端末装置20A,20Bへ通知することの要否を操作者が「ON」ボタン又は「OFF」ボタンを押下することで選択し、「ON」ボタンが押下された登録情報のみを上位端末装置20A,20Bへ通知することにより、上位端末装置20A,20Bと紙幣処理装置1との間での登録情報の不整合を解消することができる。
【符号の説明】
【0071】
1 :紙幣処理装置
1a :機体前面
2 :出金口
2a :出金口シャッタ
3 :操作表示部
4 :時計用IC(時計デバイス)
5 :記憶部(ログ記憶手段)
6 :時刻調整部(時刻調整手段)
7 :時刻合わせ部(時刻合わせ手段)
8 :報知部(報知手段)
9 :制御部
10 :貨幣処理システム
20A,20B :上位端末装置
21 :操作部
22 :表示部
23 :制御部
24 :時計用IC
25 :記憶部
図1
図2
図3
図4
図5