(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022119148
(43)【公開日】2022-08-16
(54)【発明の名称】IREパルス発生器のための仮想的に短絡された電極
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20220808BHJP
【FI】
A61B18/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021056828
(22)【出願日】2021-03-30
(31)【優先権主張番号】17/166,678
(32)【優先日】2021-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アンドレス・クラウディオ・アルトマン
(72)【発明者】
【氏名】アサフ・ゴバリ
(72)【発明者】
【氏名】ユーリ・シャミス
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK04
(57)【要約】
【課題】医療装置を提供すること。
【解決手段】医療装置が、患者の体腔へと挿入されるように構成された挿入チューブと、体腔内の組織に接触するように構成された複数の電極を備え、挿入チューブの遠位側に接続される遠位アセンブリと、を含むプローブを含む。電気信号発生器が、電極のうちの2つ以上からなる少なくとも1つのグループに同時に二相性の電気パルスを、少なくとも1つのグループ内の電極に接触する組織を不可逆に電気穿孔するための充分なエネルギで、印加するように構成される。コントローラが、少なくとも1つのグループ内の電極の間の時間変化する電圧差を測定し、二相性の電気パルスの印加の最中のあらゆる時点において電圧差が所定のしきい値を超えることがないように、少なくとも1つのグループ内の電極に印加される二相性の電気パルスを調整するように結合される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不可逆電気穿孔法のための医療装置であって、
プローブであって、
患者の体腔への挿入用に構成された挿入チューブと、
前記体腔内の組織に接触するように構成された複数の電極を備え、前記挿入チューブの遠位側に接続された遠位アセンブリと
を備えるプローブと、
前記電極のうちの2つ以上からなる少なくとも1つのグループに同時に二相性の電気パルスを、前記少なくとも1つのグループ内の前記電極に接触する前記組織を不可逆に電気穿孔するための充分なエネルギで、印加するように構成された電気信号発生器と、
前記少なくとも1つのグループ内の前記電極の間の時間変化する電圧差を測定し、前記二相性の電気パルスの印加の最中のあらゆる時点において前記電圧差が所定のしきい値を超えることがないように、前記少なくとも1つのグループ内の前記電極に印加される前記二相性の電気パルスを調整するように結合されたコントローラと、
を備える装置。
【請求項2】
前記コントローラは、前記少なくとも1つのグループの前記電極の任意のペアにおいて測定されるそれぞれのピーク電圧の差を補償するように、前記二相性の電気パルスの振幅を調整するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記コントローラは、前記少なくとも1つのグループの前記電極の任意のペアにおいて測定されるそれぞれの電圧波形の間の位相オフセットを補償するように、前記二相性の電気パルスの位相を調整するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記遠位アセンブリは、バルーンを備え、前記バルーンは、前記挿入チューブの遠位側に接続され、前記挿入チューブを通って前記バルーンへと流れる流体によって前記体腔内で膨張させられるように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記患者の身体上の位置に固定されるように構成された共通電極を備え、前記二相性の電気パルスが、前記複数の電極から前記共通電極へと前記身体を通過することにより、単極モードにおいて前記組織を不可逆に電気穿孔する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つのグループは、第1のグループ及び第2のグループを備え、前記二相性の電気パルスは、二極モードにおいて、前記第1のグループの前記電極と前記第2のグループの前記電極との間に印加され、前記コントローラは、前記第1のグループ及び前記第2のグループの前記電極の間の時間変化する電圧差を測定し、前記第1のグループ及び前記第2のグループの前記電極の間の前記電圧差が二相性の電気パルスの所定の列を含むように、前記第1のグループ及び前記第2のグループの前記電極に印加される前記二相性の電気パルスを調整するように結合されている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
不可逆電気穿孔法を利用する医療処置のための方法であって、
患者の体腔への挿入用のプローブを用意することであって、前記プローブが、
挿入チューブと、
前記体腔内の組織に接触するように構成された複数の電極を備え、前記挿入チューブの遠位側に接続された遠位アセンブリと
を備える、ことと、
前記電極のうちの2つ以上からなる少なくとも1つのグループに同時に二相性の電気パルスを、前記少なくとも1つのグループ内の前記電極に接触する前記組織を不可逆に電気穿孔するための充分なエネルギで、印加することと、
前記少なくとも1つのグループ内の前記電極の間の時間変化する電圧差を測定し、前記二相性の電気パルスの印加の最中のあらゆる時点において前記電圧差が所定のしきい値を超えることがないように、前記少なくとも1つのグループ内の前記電極に印加される前記二相性の電気パルスを調整することと、
を含む方法。
【請求項8】
前記二相性の電気パルスを調整することは、前記少なくとも1つのグループの前記電極の任意のペアにおいて測定されるそれぞれのピーク電圧の差を補償するように、前記二相性の電気パルスの振幅を調整することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記二相性の電気パルスを調整することは、前記少なくとも1つのグループの前記電極の任意のペアにおいて測定されるそれぞれの電圧波形の間の位相オフセットを補償するように、前記二相性の電気パルスの位相を調整することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記遠位アセンブリは、バルーンを備え、前記バルーンは、前記挿入チューブの遠位側に接続され、前記挿入チューブを通って前記バルーンへと流れる流体によって前記体腔内で膨張させられるように構成されている、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記患者の身体上の位置に共通電極を固定することを含み、前記二相性の電気パルスが、前記複数の電極から前記共通電極へと前記身体を通過することにより、単極モードにおいて前記組織を不可逆に電気穿孔する、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つのグループは、第1のグループ及び第2のグループを備え、前記二相性の電気パルスを印加することは、前記第1のグループの前記電極と前記第2のグループの前記電極との間に二極モードにて前記二相性の電気パルスを印加することと、前記第1のグループ及び前記第2のグループの前記電極の間の時間変化する電圧差を測定し、前記第1のグループ及び前記第2のグループの前記電極の間の前記電圧差が二相性の電気パルスの所定の列を含むように、前記第1のグループ及び前記第2のグループの前記電極に印加される前記二相性の電気パルスを調整することと、を含む、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くには、医療装置に関し、とくには、生体組織の不可逆電気穿孔のための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
不可逆的エレクトロポレーション(IRE)は、強い電界の短パルスを印加して細胞膜内に永久的、それゆえ致死的なナノ細孔を形成し、それにより細胞恒常性(内部の物理的条件及び化学的条件)を崩壊させる軟組織アブレーション技術である。IRE後の細胞死は、アポトーシス(プログラムされた細胞死)に起因し、全ての他の熱又は放射線ベースのアブレーション技術におけるような壊死(細胞自体の酵素の作用を通じて細胞の破壊をもたらす細胞傷害)に起因しない。IREは普通、精度、並びに細胞外マトリックス、血流、及び神経の保全が重要な領域における腫瘍のアブレーションで使用される。
【0003】
米国特許出願公開第2010/0125315号が、電極のアレイが埋め込まれた患者に治療を提供する方法及びシステムを記載している。電気刺激電流が、電極のうちの少なくとも2つから、患者の組織を通る少なくとも2つの電気経路に沿って、電極のうちの少なくとも1つへと伝わり、電気刺激電流は、電気経路のうちの1つ以上にそれぞれ関連付けられた1つ以上の有限抵抗を能動的に調整することによって、電気経路間でシフトされる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
下記に記載される本発明の実施形態は、身体組織の不可逆電気穿孔のための改良された装置及び方法を提供する。
【0005】
したがって、本発明の一実施形態によれば、患者の体腔への挿入用に構成された挿入チューブと、体腔内の組織に接触するように構成された複数の電極を備え、挿入チューブの遠位側に接続された遠位アセンブリと、を含むプローブを含む医療装置が提供される。電気信号発生器が、電極のうちの2つ以上からなる少なくとも1つのグループに同時に二相性の電気パルスを、少なくとも1つのグループ内の電極に接触する組織を不可逆に電気穿孔するための充分なエネルギで、印加するように構成される。コントローラが、少なくとも1つのグループ内の電極の間の時間変化する電圧差を測定し、二相性の電気パルスの印加の最中のあらゆる時点において電圧差が所定のしきい値を超えることがないように、少なくとも1つのグループ内の電極に印加される二相性の電気パルスを調整するように結合される。
【0006】
いくつかの実施形態において、コントローラは、少なくとも1つのグループの電極の任意のペアにおいて測定されるそれぞれのピーク電圧の差を補償するように、二相性の電気パルスの振幅を調整するように構成される。一実施形態において、コントローラは、少なくとも1つのグループの電極の任意のペアにおいて測定されるそれぞれの電圧波形の間の位相オフセットを補償するように、二相性の電気パルスの位相を調整するように構成される。
【0007】
更なる実施形態において、遠位アセンブリは、バルーンを含み、バルーンは、挿入チューブの遠位側に接続され、挿入チューブを通ってバルーンへと流れる流体によって体腔内で膨張させられるように構成される。
【0008】
更なる実施形態において、装置は患者の身体上の位置に固定されるように構成された共通電極を含み、二相性の電気パルスが、複数の電極から共通電極へと身体を通過することにより、単極モードにおいて組織を不可逆に電気穿孔する。
【0009】
また更なる実施形態において、少なくとも1つのグループは、第1のグループ及び第2のグループを含み、二相性の電気パルスは、二極モードにおいて、第1のグループの電極と第2のグループの電極との間に印加され、コントローラは、第1のグループ及び第2のグループの電極の間の時間変化する電圧差を測定し、第1のグループ及び第2のグループの電極の間の電圧差が二相性の電気パルスの所定の列を含むように、第1のグループ及び第2のグループの電極に印加される二相性の電気パルスを調整するように結合される。
【0010】
更に、本発明の一実施形態によれば、医療処置のための方法も提供される。この方法は、患者の体腔への挿入用のプローブを提供することを含み、プローブは、挿入チューブと、体腔内の組織に接触するように構成された複数の電極を含み、挿入チューブの遠位側に接続された遠位アセンブリとを含む。二相性の電気パルスが、電極のうちの2つ以上からなる少なくとも1つのグループに同時に、少なくとも1つのグループ内の電極に接触する組織を不可逆に電気穿孔するための充分なエネルギで印加される。時間変化する電圧差が、少なくとも1つのグループ内の電極の間で測定され、少なくとも1つのグループ内の電極に印加される二相性の電気パルスが、二相性の電気パルスの印加の最中のあらゆる時点において電圧差が所定のしきい値を超えることがないように調整される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明は、以下の「発明を実施するための形態」を図面と併せて考慮することで、より完全に理解されよう。
【
図1】本発明の典型的な実施形態によるIRE処置の過程における医療装置の概略の絵図である。
【
図2】本発明の典型的な実施形態による二相性のIREパルスの概略図である。
【
図3】本発明の典型的な実施形態による二相性のパルスのバーストの概略図である。
【
図4】本発明の典型的な実施形態によるIREパルス発生器と、コントローラと、電極と、リターンパッチとの間の接続を概略的に示すブロック図である。
【
図5】本発明の典型的な実施形態による
図4のパルスルーティング及び計測アセンブリの電気概略図である。
【
図6】本発明の典型的な実施形態による二極モードでのIREに合わせて構成されたパルスルーティング及び計測アセンブリの2つの隣接するモジュールの電気概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
概論
IREは、主に熱によらないアブレーションプロセスであり、組織の温度を、最大でも、数ミリ秒にわたって数度上昇させるだけである。したがって、IREは、組織温度を20~70℃上昇させ、加熱により細胞を破壊するRF(高周波)アブレーションとは異なる。IREは、非ゼロのDC電圧成分による筋収縮を回避するために、二相性のパルス(正及び負のパルスの組み合わせ)を利用する。二相性のパルスは、一般に、「二極」パルスとも呼ばれる。しかしながら、以下で更に詳しく説明されるように、IREは、単極モード又は二極モードのいずれかで実行されてよい。混乱を回避するために、「二極」という用語は、以下では、IREの二極モードの文脈においてのみ使用される。
【0013】
いくつかのIRE処置は、遠位端に位置するバルーンと、バルーンの表面に配列された電極とを有するバルーンカテーテルを使用する。バルーンを体腔内で膨張させ、電極を電気穿孔されるべき組織に接触させる。身体内の小さな空洞、例えば心臓の左心房の組織を電気穿孔するために、例えば15mm未満の直径を有する小径のバルーンを使用することができる。
【0014】
IREを、電気穿孔の電流が1つの電気穿孔電極から同じカテーテル上の別の電極へと流れる二極モード、又は電気穿孔の電流がカテーテル上の電気穿孔電極と「リターンパッチ」と称される外部電極との間を流れる単極モードのいずれかで実行することができる。リターンパッチは、典型的には、IRE信号発生器への電気的な戻りの接続を備えつつ、例えば被験者の胴体の皮膚上など、被験者の身体表面に固定される。
【0015】
小径のバルーン上に配列された電極、並びにIRE処置において使用される他の種類の電極アセンブリ上に配列された電極は、一般に、アブレーションエネルギの正確な照準を可能にするために、サイズが小さい。典型的には、IREパルスを電極に印加する電気信号発生器(本明細書において、「IREパルス発生器」とも呼ばれる)は、発生器のそれぞれのチャネルを介して各電極の個別の作動を可能にする。各電極は、サイズが小さいため、組織の小さな領域にのみに接触し、アブレーションする。
【0016】
場合によっては、単一の小さな電極によってカバーすることができる領域よりも大きい組織の領域にわたってIREを適用することが望まれる可能性がある。この目的のために、2つ以上の隣接する電極を、それらを互いに電気的に短絡させることによって一緒にグループ化することにより、より大きな有効電気穿孔領域を生み出すことができる。しかしながら、ハードウェアにてこの手法を実装するためには、IREパルス発生器の個々の出力チャネルの間に追加の高電圧スイッチが必要である。これらの追加のスイッチは、高価であり、専用の制御ラインを必要とし、電極の様々なグループ化を生成可能にする柔軟性が限られている。
【0017】
本明細書に記載される本発明の実施形態は、IREシステム内の2つ以上の電極のグループの「仮想短絡」を可能にすることによって、この問題に対処する。電極は、グループ内の全ての電極が同じ振幅及び位相を有する同じ電圧波形を、それらの電極が接触している組織に同時に印加するという意味で、「仮想的に短絡」させられている。したがって、IRE電流は、グループ内の全ての電極の接触位置によって定められる組織のより大きい領域を通って流れる。
【0018】
しかしながら、この種の仮想短絡は、単にIREパルス発生器をグループ内の全ての電極に同じ波形を印加するように設定するだけでは、確実に達成することが不可能である。例えば、組織のインピーダンスの局所的な差、並びにグループ内の電極とそれらが接触する組織との間の接触インピーダンスの差が、種々の電極によって組織に実際に印加されるIRE波形の振幅及び位相に相違を生じさせる可能性がある。波形のこの不均一性により、IRE電流が予期せぬ経路に沿って組織を流れ、アブレーション結果が満足できないものになる可能性がある。
【0019】
本明細書に記載される本発明の実施形態は、グループ内の電極間の時間変化する電圧差を測定することによって、この問題に対処する。これらの測定値に基づいて、IREパルス発生器は、グループ内の電極に印加される二相性の電気パルスを、二相性の電気パルスの印加の最中のあらゆる時点において電圧差が所定のしきい値を超えないように調整する。
【0020】
開示される実施形態では、単極のIRE処置において、IREパルス発生器が、電極に接触した組織を電気穿孔するための充分なエネルギで、プローブ上の電極の選択されたグループに同時に二相性のIREパルスを印加する。コントローラが、グループ内の電極間の時間変化する電圧差を測定し、IREパルスの印加の最中のあらゆる時点において電圧差が所定のしきい値を超えることがないように、IREパルスの振幅及び位相を調整する。この手法は、電極のグループが、あたかもグループが単一の大面積の電極であるかのようにIREパルスを印加することを保証する。
【0021】
二極のIRE処置においては、IREパルスが、電極の1つのグループから電極の別のグループへと組織を通って流れる必要がある。この目的のために、コントローラは、2つのグループに印加されるIREパルスの間の相対的な振幅及び位相を調整して、電極のこれら2つのグループの間の組織における二極の電気穿孔のために2つのグループの間にIREパルスの列を生成する。加えて、単極のIREと同様に、コントローラは、グループの電極の間の電圧差がIREパルスの印加の最中のあらゆる時点において所定のしきい値を超えることがないように、各グループ内のIREパルスの振幅及び位相を調節する。
【0022】
システムの説明
図1が、本発明の一実施形態によるIRE処置の過程における医療装置20の概略の絵図である。医師22が、電気穿孔カテーテル26(カテーテルの更なる詳細は、以下で説明される)を使用して患者24についてIRE処置を行う。図に示される実施形態は、バルーン32を使用した心臓27の心室内のIRE処置の一例に関する。別の実施形態においては、IRE処置を、複数の電極を有する他の種類のカテーテルを使用して実行してもよく、本明細書を検討することによって当業者にとって明らかになるとおり、心臓27のみならず、他の臓器及び組織においても実行することができる。
【0023】
差し込み
図36に示されるように、電気穿孔カテーテル26は、シャフト28及び遠位アセンブリ30を備え、シャフトは、遠位アセンブリを患者24の体腔へと挿入し、この場合には心臓27の心室へと挿入するための挿入チューブとして機能する。遠位アセンブリ30は、複数の電気穿孔電極34を有するバルーン32を備える。遠位アセンブリ30及びシャフト28の一部は、差し込み
図38にも示されている。代案の実施形態において、遠位アセンブリ30は、バルーンとは異なる構造を備えてもよい。
【0024】
医療装置20は、コントローラ42と、典型的にはコンソール46内に存在するIREパルス発生器44として構成された電気信号発生器とを更に備える。コントローラ及び信号発生器はそれぞれ、1つ以上の回路構成要素を備えることができる。この種の信号発生器の更なる詳細は、2019年12月3日に出願された米国特許出願第16/701,989号及び2020年11月9日に出願された米国特許出願第17/092,662号に記載されており、どちらの開示も、ここでの言及によって本明細書に援用される。カテーテル26は、ポート又はソケットなどのIREパルスをIREパルス発生器44から遠位アセンブリ30に伝える電気インターフェース48を介して、コンソール46に接続される。コンソール40は、キーボード及びマウスなどの入力装置49と、表示画面58とを備える。
【0025】
コントローラ42は、医師22(又は、他のオペレータ)から、電気穿孔処置の前及び/又は最中に、処置のための設定パラメータ51を受信する。例えば、キーボード、マウス、又はタッチスクリーン(図示せず)などの1つ以上の適切な入力装置を使用して、医師22は、選択された電極34に印加されるIREパルスの電気的及び時間的パラメータを定める。コントローラ42は、IREを実行するために、IREパルス発生器44に適切な制御信号を渡す。
【0026】
コントローラ42を、任意の適切な追跡技術を使用して、IRE処置の最中に電極34のそれぞれの位置を追跡するように更に構成することができる。例えば、遠位アセンブリ30が、1つ以上の電磁位置センサ(図示せず)を備えることができ、電磁位置センサは、1つ以上の磁場発生器50が発生させる外部磁場の存在下で、センサの位置によって変化する信号を出力する。これらの信号に基づいて、コントローラ42は、電極34の位置を確認することができる。磁場発生器50は、ケーブル52及びインターフェース54を介してコンソール46に接続される。或いは、各々の電極34について、コントローラ42は、電極と、さまざな異なる位置において患者24に結合され、ケーブル39によってコンソール46に接続された複数の外部電極56との間の、それぞれのインピーダンスを確認することができる。コントローラ42は、これらのインピーダンスの間の比を計算し、これらの比が、各々の電極34の位置を表す。更に別の代案として、コントローラは、例えばその開示がここでの言及によって本明細書に援用される米国特許第8,456,182号に記載されているように、電磁気による追跡及びインピーダンスに基づく追跡の両方を使用してもよい。
【0027】
いくつかの実施形態において、コントローラ42は、被験者の身体構造の関連の画像60を、例えば遠位アセンブリ30の現在の位置及び向きを示すように注釈を付けて、表示画面58上に表示する。
【0028】
コントローラ42及び電気IREパルス発生器44は、典型的には、アナログ素子及びデジタル素子の両方を備えることができる。したがって、コントローラ42は、IREパルス発生器44によって各々の電極34に印加されるIREパルスを監視するためのそれぞれのアナログデジタル変換器(ADC)を備える複数の入力を有するアナログフロントエンドを備える。コントローラ42は、以下で
図4~
図6に詳述されるように、IREパルスを調整するためのコマンドをIREパルス発生器44へと送信するための複数のデジタル出力回路を更に備える。
【0029】
電気IREパルス発生器44は、典型的には、電気穿孔用のIREパルスを生成及び増幅するためのアナログ回路、並びにコントローラ42からのデジタル制御信号を受信するためのデジタル入力回路を備える。
【0030】
或いは、制御信号をコントローラ42から電気IREパルス発生器44へとアナログの形態で伝えることも、コントローラ及びIREパルス発生器がそれに応じて構成されるならば可能である。
【0031】
典型的には、コントローラ42の機能は、本明細書に記載されるように、少なくとも部分的にソフトウェアにて実現される。例えば、コントローラ42は、少なくとも中央演算処理ユニット(CPU)及びランダムアクセスメモリ(RAM)を備えるプログラムされたデジタルコンピューティングデバイスを備えることができる。ソフトウェアプログラムを含むプログラムコード、及び/又はデータは、CPUによる実行及び処理のためにRAMに読み込まれる。プログラムコード及び/又はデータを、例えば、ネットワークを介して、電子形態でプロセッサへとダウンロードすることができる。あるいは又は更に、プログラムコード及び/又はデータは、磁気、光学、又は電子メモリなどの非一時的有形媒体上に提供及び/又は記憶されてもよい。このようなプログラムコード及び/又はデータは、コントローラへともたらされると、本明細書に記載のタスクを実行するように構成されたマシン又は専用コンピュータを生む。
【0032】
IRE処置の開始時に、医師22は、バルーン32を畳んだ状態で、カテーテル26をシース62を通って挿入し、カテーテルがシースから出た後にのみ、バルーンを、シャフト28を通ってバルーン内に流入する流体によって、意図される機能時形状へと膨張させる。この機能時形状が、差し込み
図36及び38に示されている。畳まれた状態のバルーン32を収容することにより、シース62は、バルーンが目標位置へともたらされるときの血管の外傷を最小限に抑える役割も果たす。医師22は、カテーテルの近位端の付近のマニピュレータ64及び/又はシース62からの偏向を使用してカテーテルを操作することによって、カテーテル26を患者24の心臓27内の目標位置へと誘導する。医師22は、遠位アセンブリ30を、心臓27の心筋組織などの組織に接触させる。次に、医師22及びコントローラ42の制御のもとで、IREパルス発生器44は、カテーテル26を通って異なるそれぞれのチャネルを介して電気穿孔電極34へと運ばれるIREパルスを生成する。
【0033】
IREの単極モードにおいて、電気穿孔電流は、1つ以上の電気穿孔電極34から外部電極、又は典型的には被験者の導体の皮膚上で患者24とIREパルス発生器44との間の外部に結合された「リターンパッチ」66へと流れる。15mm未満の直径を有するバルーン32を備えるカテーテル26は、例えば心臓27の左心房など、身体内の小さな空洞内の組織を電気穿孔するために使用されることが多い。これらの小径バルーンの電気穿孔電極34のサイズが小さいことにより、電極のうちの1つだけにIREパルスを通電すると、電気穿孔が生じる領域が小さすぎる可能性がある。いくつかの電極34を短絡させてグループとすることにより、実質的により大きな電気穿孔の領域が生じると考えられる。これは、IREパルス発生器44の個々の出力チャネルの間に短絡スイッチを追加することによって達成できるが、そのような追加は高価である。本開示の実施形態においては、少なくとも2つの電極34が、これらの電極のそれぞれにおけるIREパルスの振幅及び位相を同じになるように調整することによって、一緒にグループ化され、実質的に短絡させられる。この目的のために、コントローラ42は、グループ内の電極34のそれぞれにおけるIREパルスの振幅及び位相を監視し、これらの振幅及び位相を等しくするようにIREパルス発生器44に制御信号を送信する。
【0034】
IREの二極モードにおいては、電気穿孔電流が、2つの電極又は電極34の2つのグループの間を流れ、電極間のIREパルスの列が必要である。本開示の実施形態において、コントローラ42は、上述の単極IREの実施形態のように、電極34のそれぞれにおけるIREパルスの振幅及び位相を監視するが、ここでは、2つの電極又は電極の2つのグループの間のIREパルスの必要な列を生成するように、それらを調整する。更に、コントローラ42は、単極IREと同様に、各グループ内のIREパルスの振幅及び位相を等しくする。
【0035】
IREパルス発生器44及びコントローラ42の更なる詳細が、以下で
図4~
図6に示される。
【0036】
図1に示される特定の種類の電気穿孔処置にかかわらず、本明細書に記載される実施形態が、任意の適切な種類の多チャネルIRE処置に適用可能であることに、注意すべきである。
【0037】
図2が、本発明の実施形態による二相性のIREパルス100の概略図である。
【0038】
曲線102が、IRE処置における時間tの関数としての二相性のIREパルス100の電圧Vを示している。二相性のIREパルスは、正のパルス104及び負のパルス106を含むが、用語「正」及び「負」は、二相性のパルスが印加される2つの電極の任意に選択された極性を指す。単極IREにおいては、二相性のパルスを、単一の電極34とリターンパッチ66との間又は電極34のグループとリターンパッチ66との間のいずれかに適用することができる。二極IREの場合には、二相性のパルスを、2つの電極34の間又は電極34の2つのグループの間に適用することができる。正のパルス104の振幅はV+とラベル付けされ、パルスの時間幅は、t+とラベル付けされる。同様に、負のパルス106の振幅はV-とラベル付けされ、パルスの時間幅は、t-とラベル付けされる。正のパルス104と負のパルス106との間の時間幅は、t間隔とラベル付けされる。二相性のパルス100のパラメータの典型的な値が、以下の表1に示される。
【0039】
図3が、本発明の実施形態による二相性のパルスのバースト200の概略図である。
【0040】
IRE処置において、IRE信号は、曲線202によって示される1つ以上のバースト200として電極34にもたらされる。バースト200は、NT個のパルス列204を含み、各列は、NP個の二相性のパルス100を含む。パルス列204の長さはtTとラベル付けされる。パルス列204内の二相性のパルス100の周期は、tPPと標記され、連続する列の間の区間は、ΔTと標記され、この間に信号は印加されない。バースト200のパラメータの典型的な値を、以下の表1に示す。
【0041】
【0042】
図4が、本発明の実施形態によるIREパルス発生器44と、コントローラ42と、電極34と、リターンパッチ66との間の接続を含むシステム20(
図1)の詳細を概略的に示すブロック図である。
【0043】
点線の枠404によって境界付けられたIREパルス発生器44は、パルス発生アセンブリ406と、パルスルーティング及び計測アセンブリ408とを備え、ルーティング及び計測アセンブリは、以下で
図5及び
図6において更に詳述される。
【0044】
コントローラ42は、パルスルーティング及び計測アセンブリ408からデジタル電圧及び電流信号412を受信し、設定パラメータ51から導出されるデジタルコマンド信号418をパルス発生アセンブリ406へと通信し、上述の
図2及び
図3に示したIREパルスなどのIREパルスを生成するようにIREパルス発生器44に命令する。これらのIREパルスは、アナログパルス信号420として、パルスルーティング及び計測アセンブリ408に送信される。パルスルーティング及び計測アセンブリ408は、出力チャネル422を介して電極34に結合され、接続部424を介してリターンパッチ66に結合される。
図4は、CH1~CH10と標記された10個の出力チャネル422を示している。以下の説明においては、個々の電極34を、その電極に結合された個々のチャネルの名前で呼ぶ。例えば、電極CH5は、チャネル422のCH5に結合された電極を指す。
図4は、10個のチャネル422を示しているが、これに代え、IREパルス発生器44は、例えば、8個、16個、又は20個のチャネル、或いは任意の他の適切な数のチャネルなど、異なる数のチャネルを含んでもよい。
【0045】
図5が、本発明の実施形態による
図4のパルスルーティング及び計測アセンブリ408の電気概略図である。分かりやすくするために、電流及び電圧の測定に関与する回路は省略されている。これらの回路は、以下の
図6で詳述される。出力チャネル422及び接続部424は、
図5において、
図4と同じ標記を使用して示されている。
【0046】
パルスルーティング及び計測アセンブリ408は、各出力チャネル422のための1つのモジュールを有するモジュール502を含む。二極IRE用に構成された隣接するモジュール502のペア504が、以下の
図6に詳細に示されている。代案において、リターンパッチ66に接続されたBPライン506を、単極IREの戻り経路として使用することができる。モジュール502は、パルス発生アセンブリ406内の一次コイルによって駆動されるそれぞれの変圧器二次側508、510を介してパルス入力を受信する。
【0047】
各モジュール502は、i番目のモジュールについてFOi、SOi、Ni、及びBPiと標記されるスイッチ及びリレーを備える。スイッチFOiが全て、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA、図には示されていない)によって制御される、IREアブレーションをチャネルからチャネルへ切り替えるための高速スイッチである一方で、スイッチSOi、Ni、及びBPiは、パルスルーティング及び計測アセンブリ408をIREアブレーションの所与のモードに合わせて設定するために使用されるより低速なリレーである。高速スイッチFOiの典型的な切替時間は0.3μsより短い一方、低速リレーSOi、Ni、及びBPiは、ただ3msだけの切替時間を要する。
【0048】
図6が、本発明の実施形態による二極モードでのIREに合わせて構成されたパルスルーティング及び計測アセンブリ408の2つの隣接するモジュール601及び602の電気概略図である。単極モードのためのモジュール601の使用について、以下で更に説明する。
【0049】
モジュール601及びモジュール602が、
図5のペア504を、同じ標記(504)を有する一点鎖線の枠によって示されるように構成する。モジュール601及びモジュール602はそれぞれ、
図4に関するパルス発生アセンブリ406の一部分を含むパルス発生回路603及びパルス発生回路604によって供給される。次いで、モジュール601及びモジュール602は、
図5のペア504のモジュール502と同様に、それぞれチャネルCH1及びチャネルCH2に供給する。
図6には、モジュール間の接続605を示すために、2つのモジュール601及びモジュール602が示されている。2つのモジュールは同一である(並びにパルスルーティング及び計測アセンブリ408内の追加のモジュールと同一である)ため、モジュール601についてのみ以下に詳細に説明する。
【0050】
パルス発生アセンブリ406は、IREパルス発生器44の各々のチャネルについて、回路603及び回路604と同様の1つのパルス発生回路を備える。パルス発生回路603は、変圧器606によってモジュール601に結合される。高速スイッチFO
1、並びに低速リレーSO
1、N
1、及びBP
1は、
図5と同様に標記されている。
【0051】
CH1に結合された電圧V
1及び電流I
1が、チャネルCH1及びCH2の間の電圧、及びCH1へと流れ、CH2から戻る電流として、
図6に示されている。
【0052】
V
1及びI
1は、電圧を測定するための演算増幅器614と、電流検知抵抗器618を横切る電流を測定する差動増幅器616と、を含む計測モジュール612によって測定される。電圧V
1は、抵抗器R
1、R
2、及びR
3、並びにアナログマルチプレクサ622を含む分圧器620から測定される。アナログマルチプレクサ622は、分圧器620の分圧比がR
1/R
3又はR
2/R
3のいずれかであるように、抵抗器R
1又はR
2のいずれかに結合する。計測モジュール612は、測定されたアナログ電圧V
1及び電流I
1をデジタル信号DV
1及びDI
1に変換するためのアナログデジタル変換器(analog-to-digital converter、ADC)624を更に含む。これらのデジタル信号は、デジタルアイソレータ626を介して信号412(
図4)としてコントローラ42に送信される。コントローラ42は、受信したデジタル信号412を利用して、チャネルCH1及びCH2に結合されたIREパルスの振幅及び位相を調整すべくパルス発生アセンブリ406へと送信されるコマンド信号418を生成する。
【0053】
「仮想短絡」の目的で、コントローラ42は、それぞれのモジュール502から信号412を受信する。「仮想的に短絡した電極」を有する二極のIREの例として、(チャネルCH1、CH2、及びCH3に結合された)電極CH1、CH2、及びCH3が、一方の拡大電極として選択され、電極CH4、CH5、及びCH6が、他方の拡大電極として選択される。電極CH1、CH2、及びCH3からの信号は、
図5に示されたリレーを使用して、患者24の組織を通過した後にチャネルCH4、CH5、及びCH6に結合される。コントローラ42は、チャネルCH1、CH2、及びCH3からそれぞれの測定電圧及び電流を表す信号412を受信し、V
1、V
2、及びV
3の各々が同じ振幅及び位相を有する(すなわち、仮想的に短絡させられる)ようにそれぞれのコマンド信号418を生成する。同様に、コントローラ42は、チャネルCH4、CH5、及びCH6から信号412を受信し、V
4、V
5、及びV
6の各々が同じ振幅及び同じ位相を有するが、V
1、V
2、及びV
3の振幅及び位相とは相違し、したがってIREパルスの所望の列がチャネルの2つのグループの間(結果として、これらのチャネルに結合された電極34の2つのグループの間)を流れるように、それぞれのコマンド信号418を生成する。
【0054】
「仮想的に短絡した電極」による単極IREの例として、電極CH1、CH2、及びCH3が1つの拡大電極として選択される一方で、リターンパッチ66が、電極CH1、CH2、及びCH3から発せられるIREアブレーション信号のための戻り電極として機能する。リターンパッチ66は、接続部424を介し、リレーBP1、BP2、及びBP3によってチャネルCH1、CH2、及びCH3のそれぞれのモジュール502に結合される。上述の二極のIREと同様に、コントローラ42は、チャネルCH1、CH2、及びCH3から信号412を受信し、V1、V2、及びV3の各々が同じ振幅及び位相を有し、したがってこれらのチャネルに結合された電極34を仮想的に短絡させるように、それぞれのコマンド信号413を生成する。
【0055】
デジタルアイソレータ626が、被験者24(
図1)を望まれない電圧及び電流から保護する。
【0056】
スイッチFO
1、リレーSO
1、BP
1、N
1、及び610、並びにアナログマルチプレクサ622は、コントローラ42によって駆動される。単純化のために、それぞれの制御線は、
図6には示されていない。
【0057】
上に記載される実施形態は例として挙げたものであり、本発明は本明細書において上に具体的に図示及び記載されるものに限定されない点が理解されよう。むしろ、本発明の範囲は、本明細書において上記載される様々な特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせの両方、並びに前述の記載を読むと当業者に着想されるであろう、先行技術に開示されていないその変形及び修正を含む。
【0058】
〔実施の態様〕
(1) 不可逆電気穿孔法のための医療装置であって、
プローブであって、
患者の体腔への挿入用に構成された挿入チューブと、
前記体腔内の組織に接触するように構成された複数の電極を備え、前記挿入チューブの遠位側に接続された遠位アセンブリと
を備えるプローブと、
前記電極のうちの2つ以上からなる少なくとも1つのグループに同時に二相性の電気パルスを、前記少なくとも1つのグループ内の前記電極に接触する前記組織を不可逆に電気穿孔するための充分なエネルギで、印加するように構成された電気信号発生器と、
前記少なくとも1つのグループ内の前記電極の間の時間変化する電圧差を測定し、前記二相性の電気パルスの印加の最中のあらゆる時点において前記電圧差が所定のしきい値を超えることがないように、前記少なくとも1つのグループ内の前記電極に印加される前記二相性の電気パルスを調整するように結合されたコントローラと、
を備える装置。
(2) 前記コントローラは、前記少なくとも1つのグループの前記電極の任意のペアにおいて測定されるそれぞれのピーク電圧の差を補償するように、前記二相性の電気パルスの振幅を調整するように構成されている、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記コントローラは、前記少なくとも1つのグループの前記電極の任意のペアにおいて測定されるそれぞれの電圧波形の間の位相オフセットを補償するように、前記二相性の電気パルスの位相を調整するように構成されている、実施態様1に記載の装置。
(4) 前記遠位アセンブリは、バルーンを備え、前記バルーンは、前記挿入チューブの遠位側に接続され、前記挿入チューブを通って前記バルーンへと流れる流体によって前記体腔内で膨張させられるように構成されている、実施態様1に記載の装置。
(5) 前記患者の身体上の位置に固定されるように構成された共通電極を備え、前記二相性の電気パルスが、前記複数の電極から前記共通電極へと前記身体を通過することにより、単極モードにおいて前記組織を不可逆に電気穿孔する、実施態様1に記載の装置。
【0059】
(6) 前記少なくとも1つのグループは、第1のグループ及び第2のグループを備え、前記二相性の電気パルスは、二極モードにおいて、前記第1のグループの前記電極と前記第2のグループの前記電極との間に印加され、前記コントローラは、前記第1のグループ及び前記第2のグループの前記電極の間の時間変化する電圧差を測定し、前記第1のグループ及び前記第2のグループの前記電極の間の前記電圧差が二相性の電気パルスの所定の列を含むように、前記第1のグループ及び前記第2のグループの前記電極に印加される前記二相性の電気パルスを調整するように結合されている、実施態様1に記載の装置。
(7) 不可逆電気穿孔法を利用する医療処置のための方法であって、
患者の体腔への挿入用のプローブを用意することであって、前記プローブが、
挿入チューブと、
前記体腔内の組織に接触するように構成された複数の電極を備え、前記挿入チューブの遠位側に接続された遠位アセンブリと
を備える、ことと、
前記電極のうちの2つ以上からなる少なくとも1つのグループに同時に二相性の電気パルスを、前記少なくとも1つのグループ内の前記電極に接触する前記組織を不可逆に電気穿孔するための充分なエネルギで、印加することと、
前記少なくとも1つのグループ内の前記電極の間の時間変化する電圧差を測定し、前記二相性の電気パルスの印加の最中のあらゆる時点において前記電圧差が所定のしきい値を超えることがないように、前記少なくとも1つのグループ内の前記電極に印加される前記二相性の電気パルスを調整することと、
を含む方法。
(8) 前記二相性の電気パルスを調整することは、前記少なくとも1つのグループの前記電極の任意のペアにおいて測定されるそれぞれのピーク電圧の差を補償するように、前記二相性の電気パルスの振幅を調整することを含む、実施態様7に記載の方法。
(9) 前記二相性の電気パルスを調整することは、前記少なくとも1つのグループの前記電極の任意のペアにおいて測定されるそれぞれの電圧波形の間の位相オフセットを補償するように、前記二相性の電気パルスの位相を調整することを含む、実施態様7に記載の方法。
(10) 前記遠位アセンブリは、バルーンを備え、前記バルーンは、前記挿入チューブの遠位側に接続され、前記挿入チューブを通って前記バルーンへと流れる流体によって前記体腔内で膨張させられるように構成されている、実施態様7に記載の方法。
【0060】
(11) 前記患者の身体上の位置に共通電極を固定することを含み、前記二相性の電気パルスが、前記複数の電極から前記共通電極へと前記身体を通過することにより、単極モードにおいて前記組織を不可逆に電気穿孔する、実施態様7に記載の方法。
(12) 前記少なくとも1つのグループは、第1のグループ及び第2のグループを備え、前記二相性の電気パルスを印加することは、前記第1のグループの前記電極と前記第2のグループの前記電極との間に二極モードにて前記二相性の電気パルスを印加することと、前記第1のグループ及び前記第2のグループの前記電極の間の時間変化する電圧差を測定し、前記第1のグループ及び前記第2のグループの前記電極の間の前記電圧差が二相性の電気パルスの所定の列を含むように、前記第1のグループ及び前記第2のグループの前記電極に印加される前記二相性の電気パルスを調整することと、を含む、実施態様7に記載の方法。
【外国語明細書】