(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022119173
(43)【公開日】2022-08-16
(54)【発明の名称】ダイレクト電気車充電器
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20220808BHJP
H02M 3/155 20060101ALI20220808BHJP
B60L 53/14 20190101ALI20220808BHJP
B60L 53/53 20190101ALI20220808BHJP
B60L 55/00 20190101ALI20220808BHJP
【FI】
H02J7/00 303A
H02M3/155 U
H02M3/155 W
H02J7/00 P
B60L53/14
B60L53/53
B60L55/00
【審査請求】有
【請求項の数】41
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021171104
(22)【出願日】2021-10-19
(31)【優先権主張番号】10-2021-0015092
(32)【優先日】2021-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0059223
(32)【優先日】2021-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】519031612
【氏名又は名称】グリーン パワー カンパニー, リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GREEN POWER CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】792, Dongbu-daero, Dongtan-myeon Hwaseong-si Gyeonggi-do 18487, KR
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】チョ,チュン ク
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
5H730
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
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5G503GB04
5H125AA01
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5H730CC11
5H730DD02
5H730DD03
5H730DD04
5H730FG05
5H730ZZ16
(57)【要約】 (修正有)
【課題】充電器の効率を最大限に高めるとともに原価を減らして高効率で低原価の電気車充電器及び非絶縁型dc/dcコンバータを提供する。
【解決手段】ダイレクト電気車充電器は、高圧配電変圧器の出力を整流した後、簡単な非絶縁型dc/dcコンバータを用いて充電電流及び電圧を制御する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気車を充電するための電気車充電器であって、
一次巻線が高圧配電線に連結され、1つ以上の独立した二次巻線が低圧出力端に連結される配電変圧器と、
前記配電変圧器の出力端それぞれに連結される遮断器と、
それぞれの前記遮断器の出力に連結される低圧ケーブルと、
それぞれの前記低圧ケーブルの末端に連結される整流器と、
それぞれの前記整流器の出力に連結される非絶縁型dc/dcコンバータと、
それぞれの前記非絶縁型dc/dcコンバータの出力端に連結される充電ケーブルおよび充電コネクタと、
前記非絶縁型dc/dcコンバータの出力電流および電圧を制御する充電制御器と、
を含むことを特徴とする、ダイレクト電気車充電器。
【請求項2】
前記配電変圧器は、
高圧遮断器VCBを介して高圧配電線に連結されることを特徴とする、請求項1に記載のダイレクト電気車充電器。
【請求項3】
前記高圧配電線の電圧は、3kVよりは高く、30kVよりは低いことを特徴とする、請求項1に記載のダイレクト電気車充電器。
【請求項4】
前記配電変圧器の出力電圧は、380Vよりは高く、800Vよりは低いことを特徴とする、請求項1に記載のダイレクト電気車充電器。
【請求項5】
前記配電変圧器の二次巻線それぞれは、
変圧器コア、前記一次巻線、他の二次巻線、または変圧器外箱との間のストレーキャパシタンスが特定値以下になるように離隔配置されることを特徴とする、請求項1に記載のダイレクト電気車充電器。
【請求項6】
前記配電変圧器は、
コア外郭に低圧絶縁層を置き、その外郭に1つ以上の二次巻線を巻き、その外郭に高圧絶縁層を置き、その外郭に一次巻線を巻き、この際、低圧絶縁層および高圧絶縁層の厚さは、それぞれの必要な絶縁電圧、および、二次巻線とコア、二次巻線と一次巻線との間の限界ストレーキャパシタンスによって決定されることを特徴とする、請求項2に記載のダイレクト電気車充電器。
【請求項7】
前記配電変圧器は、
前記二次巻線としてY-結線と△-結線をそれぞれ半々ずつ構成し、
1つのY-結線出力と1つの△-結線出力にそれぞれ同一の前記整流器、前記非絶縁型dc/dcコンバータを構成し、2個の最終出力を並列に束ねて1つの充電器を構成し、2個の非絶縁型dc/dcコンバータの出力電流を同一に制御して12-パルス整流になるようにすることを特徴とする、請求項1に記載のダイレクト電気車充電器。
【請求項8】
前記配電変圧器は、
前記二次巻線のうち1つにアクティブパワーフィルタ(Active Power Filter)またはエネルギー貯蔵装置(ESS)機能を追加することを特徴とする、請求項1に記載のダイレクト電気車充電器。
【請求項9】
前記配電変圧器は、
前記二次巻線のうち1つは、標準電圧で巻いて一般充電器または一般負荷用として使用するようにすることを特徴とする、請求項1に記載のダイレクト電気車充電器。
【請求項10】
前記低圧ケーブルは、
前記配電変圧器と前記整流器を連結させるケーブルであって、ケーブルと周辺の大地または隣接した導体、誘電体、または他の二次巻線ケーブルとの間のストレーキャパシタンスが特定値以下になるように離隔配置されることを特徴とする、請求項1に記載のダイレクト電気車充電器。
【請求項11】
前記充電ケーブルは、
前記非絶縁型dc/dcコンバータと充電コネクタとの間を連結させるケーブルであって、ケーブルと周辺の大地または隣接した導体、誘電体、または他の二次巻線ケーブルとの間のストレーキャパシタンスが特定値以下になるように離隔配置されることを特徴とする、請求項1に記載のダイレクト電気車充電器。
【請求項12】
前記整流器は、
スイッチングをすることなく3相電源を整流するダイオード整流器であることを特徴とする、請求項1に記載のダイレクト電気車充電器。
【請求項13】
前記整流器は、
エネルギー回生型整流器であって、エネルギー回生をする場合に3相ダイオード整流器の各ダイオードの両端に逆方向に能動スイッチを取り付け、この際、前記能動スイッチは、スイッチングせず、ダイオードのように前記整流器出力端に常に最大電圧が出る方向にオンオフすることを特徴とする、請求項1に記載のダイレクト電気車充電器。
【請求項14】
前記整流器は、
出力両端に高周波リップルを除去するための50uF以内のキャパシタフィルタを追加することを特徴とする、請求項12に記載のダイレクト電気車充電器。
【請求項15】
前記整流器は、
出力両端に高周波リップルを除去するための50uF以内のキャパシタフィルタを追加することを特徴とする、請求項13に記載のダイレクト電気車充電器。
【請求項16】
前記整流器と前記非絶縁型dc/dcコンバータとの間にLCフィルタが追加されることを特徴とする、請求項1に記載のダイレクト電気車充電器。
【請求項17】
前記LCフィルタは、
カットオフ(cut off)周波数が後端に連結される前記非絶縁型dc/dcコンバータのスイッチング周波数の1/30~1/3範囲であることを特徴とする、請求項16に記載のダイレクト電気車充電器。
【請求項18】
前記整流器は、入力端にサージ電圧が入ってくる場合に前記整流器の出力電圧が急激に上がるのを防止するために、整流器出力端の(+)端子と(-)端子との間にダイオードとキャパシタが直列に連結されたクランプ回路(clamp circuit)を連結し、前記整流端電圧が上がると、ダイオードがオンになり、キャパシタ電圧により整流端電圧がクランプされることを特徴とする、請求項1に記載のダイレクト電気車充電器
【請求項19】
前記非絶縁型dc/dcコンバータは、
順方向能動スイッチと逆方向ダイオードが直列に連結されて構成されるバックスイッチが入力電源の両端に連結され、バックスイッチの中間地点にインダクタLoの一端が連結され、前記インダクタの他端と出力キャパシタの(+)端子が連結され、前記出力キャパシタの(-)端子と前記入力電源の(-)端子が連結されて構成される単方向バック(buck)コンバータであることを特徴とする、請求項1に記載のダイレクト電気車充電器。
【請求項20】
前記単方向バックコンバータは、
出力電圧または出力電流を一定に制御するために、前記バックスイッチのデューティ比(duty ratio)を前記整流器の出力電圧リップルとは反対方向のリップルを有するように制御することを特徴とする、請求項19に記載のダイレクト電気車充電器。
【請求項21】
前記非絶縁型dc/dcコンバータは、
順方向能動スイッチと逆方向ダイオードが直列に連結されて構成されるバックスイッチが入力電源の両端に連結され、逆方向ダイオードと順方向能動スイッチが直列に連結されて構成されるブーストスイッチが出力キャパシタVoの両端に連結され、前記バックスイッチの中間地点と前記ブーストスイッチの中間地点との間にインダクタLaが連結されて単方向バック-ブーストコンバータを構成することを特徴とする、請求項1に記載のダイレクト電気車充電器。
【請求項22】
前記非絶縁型dc/dcコンバータは、
順方向能動スイッチと逆並列にダイオードが連結されて構成される第1スイッチ、2個の前記第1スイッチが直列に連結されて構成される双方向バックスイッチが入力電源の両端に連結され、前記双方向バックスイッチの中間地点にインダクタの一端が連結され、前記インダクタの他端と出力キャパシタの(+)端子が連結され、前記出力キャパシタの(-)端子と入力電源の(-)端子が連結されて構成され、双方向の電力変換が可能なバック(buck)コンバータ構造であることを特徴とする、請求項1に記載のダイレクト電気車充電器。
【請求項23】
前記非絶縁型dc/dcコンバータは、
順方向能動スイッチと逆並列にダイオードが連結されて構成される第1スイッチ、2個の前記第1スイッチが直列に連結されて構成される双方向バックスイッチが入力電源の両端に連結され、
2個の前記第1スイッチが直列に連結されて構成される双方向ブーストスイッチが出力キャパシタVoの両端に連結され、前記双方向バックスイッチと前記双方向ブーストスイッチの中間地点の間にインダクタLaが連結されて双方向バック-ブーストコンバータを構成することを特徴とする、請求項1に記載のダイレクト電気車充電器。
【請求項24】
前記非絶縁型dc/dcコンバータは、
逆方向ダイオードと順方向能動スイッチが直列に連結されて構成されるブーストスイッチがdc-linkキャパシタVdcの両端に連結され、前記ブーストスイッチの中間地点にインダクタLbの一端が連結され、前記インダクタの他端は前記整流器出力の(+)端子に連結され、前記整流器出力の(-)端子とdc-linkキャパシタの(-)端子が互いに連結されて構成されるブースト(boost)コンバータと、順方向能動スイッチと逆方向ダイオードが直列に連結されて構成されるバックスイッチが、前記dc-linkキャパシタの両端に連結され、前記バックスイッチの中間地点にインダクタLoの一端が連結され、前記インダクタLoの他端が出力キャパシタの(+)端子に連結され、前記dc-linkキャパシタの(-)端子と出力キャパシタの(-)端子が連結されて単方向ブースト-バックコンバータを構成することを特徴とする、請求項1に記載のダイレクト電気車充電器。
【請求項25】
前記非絶縁型dc/dcコンバータは、
順方向能動スイッチと逆並列にダイオードが連結されて構成される第1スイッチ、2個の前記第1スイッチが直列に連結されて構成される双方向ブーストスイッチがdc-linkキャパシタVdcの両端に連結され、双方向ブーストスイッチの中間地点と前記整流器出力の(+)端子との間にインダクタLbが連結され、前記整流器出力の(-)端子とdc-linkキャパシタの(-)端子が互いに連結されて構成される双方向ブースト(boost)コンバータと、
前記dc-linkキャパシタの両端に2個の前記第1スイッチが直列に連結されて構成される双方向バックスイッチが連結され、前記双方向バックスイッチの中間地点にインダクタLoの一端が連結され、前記インダクタの他端が出力キャパシタの(+)端子に連結され、前記dc-linkキャパシタの(-)端子と出力キャパシタの(-)端子が連結されて構成される双方向バックコンバータと、
を含んで双方向ブースト-バックコンバータを構成することを特徴とする、請求項1に記載のダイレクト電気車充電器。
【請求項26】
前記非絶縁型dc/dcコンバータは、
ダイオードが導通する際、逆並列に連結された能動スイッチをオンにしてダイオードの導通損失を減らすことを特徴とする、請求項22に記載のダイレクト電気車充電器。
【請求項27】
前記非絶縁型dc/dcコンバータは、
ダイオードが導通する際、逆並列に連結された能動スイッチをオンにしてダイオードの導通損失を減らすことを特徴とする、請求項23に記載のダイレクト電気車充電器。
【請求項28】
前記非絶縁型dc/dcコンバータは、
ダイオードが導通する際、逆並列に連結された能動スイッチをオンにしてダイオードの導通損失を減らすことを特徴とする、請求項25に記載のダイレクト電気車充電器。
【請求項29】
前記能動スイッチは、
ボディダイオードが内在しているMOSFET(metal oxide semiconductor field effect transistor)であることを特徴とする、請求項26に記載のダイレクト電気車充電器。
【請求項30】
前記能動スイッチは、
ボディダイオードが内在しているMOSFET(metal oxide semiconductor field effect transistor)であることを特徴とする、請求項27に記載のダイレクト電気車充電器。
【請求項31】
前記能動スイッチは、
ボディダイオードが内在しているMOSFET(metal oxide semiconductor field effect transistor)であることを特徴とする、請求項28に記載のダイレクト電気車充電器。
【請求項32】
前記エネルギー回生型整流器は、
順方向の電力変換による充電時にも、ダイオードが導通する間に当該ダイオードと逆並列に連結された能動スイッチをオンにしてダイオード導通損失を減らせることを特徴とする、請求項13に記載のダイレクト電気車充電器。
【請求項33】
前記エネルギー回生型整流器は、
相間に能動スイッチをオンオフする際に互いにオーバラップ(overlap)しないように一定のデッドタイム(dead time)を置くことを特徴とする、請求項32に記載のダイレクト電気車充電器。
【請求項34】
前記エネルギー回生型整流器は、
整流器出力端の(+)端子と(-)端子との間にダイオードとキャパシタが直列に連結されたクランプ回路(clamp circuit)を連結し、前記整流端電圧が上がると、ダイオードがオンになり、キャパシタ電圧により整流端電圧がクランプされ、クランプキャパシタにたまるクランプエネルギーは抵抗を介して放電させて双方向の電力変換が可能であることを特徴とする、請求項33に記載のダイレクト電気車充電器。
【請求項35】
前記エネルギー回生型整流器は、
前記デッドタイム(dead time)間に整流端電圧が上がるのを防止するために、整流端出力の(+)端子と(-)端子との間にダイオードと逆並列に連結された能動スイッチと直列連結されたキャパシタで構成されたクランプ回路(clamp circuit)を連結し、前記整流端電圧が上がると、ダイオードがオンになり、キャパシタ電圧により整流端電圧がクランプされ、クランプキャパシタにたまるクランプエネルギーは、クランプが終わって前記ダイオードがオンになる際、前記能動スイッチをオンにしてキャパシタ電圧が一定に維持されるように放電させて双方向の電力変換が可能であることを特徴とする、請求項33に記載のダイレクト電気車充電器。
【請求項36】
前記エネルギー回生型整流器は、出力端に電池エネルギー貯蔵装置または太陽光発電装置を含むことを特徴とする、請求項13に記載のダイレクト電気車充電器。
【請求項37】
請求項1に記載のダイレクト電気車充電器の非絶縁型dc/dcコンバータであって、
前記非絶縁型dc/dcコンバータが、バックコンバータとブーストコンバータが順に連結されたバック-ブーストコンバータ、またはブーストコンバータとバックコンバータが順に連結されたブースト-バックコンバータとして構成される場合、
前記バック-ブーストコンバータまたは前記ブースト-バックコンバータは、
バックスイッチの中間地点とブーストスイッチの中間地点との間に共振インダクタLrと補助スイッチSrが直列に連結された補助回路が連結され、
前記バックスイッチおよび前記ブーストスイッチのスイッチング周期を同期させ、バックコンバータおよびブーストコンバータの還流モードが終わる前に補助スイッチをオンにして共振インダクタに電流を増加させ、共振インダクタ電流がバックコンバータおよびブーストコンバータの還流電流よりも大きくなると、還流ダイオードがオフになり、力行スイッチの逆並列ダイオードが導通し、力行スイッチがゼロ電圧でオンになるゼロ電圧スイッチングバック-ブーストコンバータまたはブースト-バックコンバータであることを特徴とする、非絶縁型dc/dcコンバータ。
【請求項38】
前記補助回路は、
前記共振インダクタと補助スイッチが連結される地点と、前記共振インダクタが連結されたスイッチ(バックスイッチまたはブーストスイッチ)の両端との間にそれぞれ連結される2個のクランプダイオードを含むことを特徴とする、請求項37に記載の非絶縁型dc/dcコンバータ。
【請求項39】
前記ゼロ電圧スイッチングバック-ブーストコンバータおよび前記ゼロ電圧スイッチングブースト-バックコンバータにおいて、双方向バックスイッチおよび双方向ブーストスイッチを用いて、前記補助スイッチをオンにして共振インダクタに電流を増加させる際、バックスイッチおよびブーストスイッチの還流ダイオードと逆並列に連結された能動スイッチを続けてオンにして共振電流が還流電流よりも一定部分さらに大きくなるようにした後、前記還流ダイオードと逆並列に連結された能動スイッチをオフにすると、ゼロ電圧スイッチングのためのスイッチングタイムマージンが増加することを特徴とする、請求項37に記載の非絶縁型dc/dcコンバータ。
【請求項40】
前記補助スイッチは、
前記バック-ブーストコンバータまたはブースト-バックコンバータが単方向の電力変換のみをする場合、ダイオードと第1スイッチが直列連結された形態であることを特徴とする、請求項37に記載の非絶縁型dc/dcコンバータ。
【請求項41】
前記補助スイッチは、
前記双方向バック-ブーストコンバータまたは双方向ブースト-バックコンバータが双方向の電力変換をする場合、2個の第1スイッチが互いに向き合って直列連結された形態で構成されることを特徴とする、請求項37に記載の非絶縁型dc/dcコンバータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気車の急速充電器に関する。より詳しくは、高圧配電変圧器の出力を整流した後、簡単な非絶縁型dc/dcコンバータを用いて充電電流および電圧を制御することで、高効率、低原価の電気車の急速充電器を提供する。
【背景技術】
【0002】
以下に記述される内容は、単に本実施形態と関わる背景情報のみを提供するものにすぎず、従来技術を構成するものではない。
【0003】
今まで人類が生きていくにおいて、化石エネルギーがエネルギー源の大半を占めていた。しかし、化石エネルギーは、その埋蔵量が有限であり、それを消費するに伴って多くの公害が発生するという点で使用上の問題があった。よって、最近、公害の発生を減らすために、化石エネルギーの代わりに電池に貯蔵されたエネルギーを用いて動力を得る電気車に対する需要および供給が急増している。これに応じて電気車充電器の市場も急速に増加している。
【0004】
図1に示されたように、従来の電気車充電器は、配電線において高圧配電変圧器を介して標準低電圧(220V、380Vなど)に電圧を変換した後、その電圧を整流し、絶縁型dc/dcコンバータを用いて充電器を構成する。一方、電気車充電器は、入出力間に必ず電気的な絶縁がなされなければならないため、絶縁型dc/dcコンバータを使用せざるを得ない。
【0005】
かかる従来の電気車充電器の構造は、配電変圧器の損失、低圧端にACB、CBなどの遮断器の損失、低圧ケーブルに大きい電流が流れることで発生する損失、整流器、絶縁型dc/dcコンバータの損失などを全て合わせると、全体効率が90%程度しかならないという問題がある。また、種々の段階を経るにつれ、充電器の製造原価が多く上昇するという問題もある。
【0006】
また、最近、電気車の電池エネルギーを配電線に回生させることで系統の安定化を図るVehicle-to-Grid(V2G)に対する機能が求められたりもするが、既存の充電器はその機能がない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来技術の問題を解決するために導き出されたものであり、充電器の効率を最大限に高めるとともに原価を減らして高効率、低原価の電気車充電器を提供することにその目的がある。
【0008】
本発明が成し遂げようとする技術的課題は、以上で言及した技術的課題に制限されず、言及していないまた他の技術的課題は、以下の記載から本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に明らかに理解できるものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記のような目的を達成するために本発明の一実施形態に係る電気車充電器は、電気車充電器の必須条件である入出力間の電気的な絶縁に配電変圧器の絶縁機能を用い、配電変圧器の出力に整流器および非絶縁型dc/dcコンバータを用いることで、原価を減らすとともに効率を極大化することができるダイレクト充電器を提示する。この際、電気車充電器の漏れ電流仕様を満たすために、配電変圧器の二次巻線は、隣接した物体とのストレーキャパシタンスが小さく設計されなければならず、整流器は、ダイオード整流器のように高周波スイッチングをしない形態の整流器でなければならない。
【0010】
また、本実施形態に係る電気車充電器は、配電変圧器を電気車充電器専用の変圧器に作り、出力電圧を標準電圧である220V、380Vなどの低電圧の代わりに、最近の電気車の電池電圧に合わせて500~600V程度の高い電圧を採択することで、配電変圧器の後端の遮断器、ケーブルなどの原価を減らすとともに損失も減らすことができる。
【0011】
また、本実施形態に係る電気車充電器は、V2Gのためのエネルギー回生時にも、高周波スイッチングac/dcコンバータを用いることなくダイオード整流器のように回生する方法を提示する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一実施形態に係る電気車充電器は、配電変圧器と簡単なダイオード整流器および非絶縁型dc/dcコンバータを用いることで、原価を画期的に減らすとともに効率を極大化することができる。
また、本発明の一実施形態に係る電気車充電器による場合、V2Gのための回生型充電機能も高効率で実現可能であるという長所を有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】本発明に係るダイレクト電気車充電器の構成図である。
【
図4】ダイレクト電気車充電器のための配電変圧器の第1内部構成図である。
【
図5】ダイレクト電気車充電器のための配電変圧器の第2内部構成図である。
【
図6】ダイレクト電気車充電器のための配電変圧器の第3内部構成図である。
【
図7】ダイレクト充電器において、12-pulse整流のための配電変圧器の二次巻線の構成図である。
【
図8】ダイレクト充電器において、アクティブフィルタ(Active Filter)とESSおよび太陽光発電機能を付加するための配電変圧器の二次巻線の構成図である。
【
図9】非絶縁dc/dcコンバータのためのバックコンバータとブーストコンバータの構成および動作原理の説明図である。
【
図10】ダイオード整流器とLCフィルタおよびバックコンバータを含むダイレクト充電器の構成図(a)および動作波形(b)である。
【
図11】ダイオード整流器とLCフィルタおよび双方向バックコンバータを含むダイレクト充電器の構成図(a)および動作波形(b)である。
【
図12】双方向バック(buck)コンバータ出力に双方向ブースト(boost)コンバータを追加して双方向バック-ブーストコンバータを構成するが、この際、インダクタを互いに共有するようにする構成を示す。
【
図13】3相整流器の後端に双方向ブーストコンバータと双方向バックコンバータを順に連結した双方向ブースト-バックコンバータの構成(a)および動作波形(b)、(c)を示す。
【
図14】バック-ブーストコンバータにおいて、ゼロ電圧スイッチングのための第1補助回路の構成図(a)および動作波形(b)を示す。
【
図15】単方向バック-ブーストコンバータにおいて、ゼロ電圧スイッチングのための第2補助回路の構成図を示す。
【
図16】双方向バック-ブーストコンバータにおいて、単方向の電力変換をする際にゼロ電圧スイッチングのための第2補助回路の構成図を示す。
【
図17】双方向バック-ブーストコンバータにおいて、双方向の電力変換をする際にゼロ電圧スイッチングのための第3補助回路の構成図を示す。
【
図18】双方向ブースト-バックコンバータにおいて、ゼロ電圧スイッチングのための第2補助回路の構成図(a)および動作波形(b)を示す。
【
図19】双方向ブースト-バックコンバータにおいて、ゼロ電圧スイッチングのための第3補助回路の構成図を示す。
【
図20】V2Gのための双方向の電力変換が可能な整流回路の構成図(a)および動作波形(b)を示す。
【
図21】V2Gのための双方向の電力変換が可能な整流回路において、スイッチングオーバーラップ(overlap)が発生時の動作波形を示す。
【
図22】V2Gのための双方向の電力変換が可能な整流回路において、スイッチングデッドタイムを与えるための受動クランプ回路の構成(a)および動作波形(b)を示す。
【
図23】V2Gのための双方向の電力変換が可能な整流回路において、スイッチングデッドタイムを与えるための能動クランプ回路の構成を示す。
【
図24】V2Gのための双方向の電力変換が可能なダイレクト充電器のdc-link端に取り付けるESSおよび太陽光発電装置を適用した構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して当該分野で通常の知識を有する者が容易に実施することができるように説明する。添付された図面上で構成または作用に表記された参照番号は、他の図面上でも同一の構成または作用を表記する際にできる限り同一の参照番号を付していることに留意しなければならない。また、下記で本発明を説明するにおいて、関連した公知の機能または公知の構成に関する具体的な説明が本発明の要旨を不要に濁す恐れがあると判断される場合には、その詳細な説明は省略する。
【0015】
図1は、従来の電気車充電器の構成図である。
図1に示されたように、従来の電気車充電器100は、配電線101において配電変圧器(distribution transformer)102を介して標準低電圧(220V、380Vなど)に電圧を変換する。そして、電気車充電器100は、変換された電圧を入力とする整流器(rectifier)110と、電気的な絶縁および充電電流の制御のための絶縁型dc/dcコンバータ(isolated dc/dc conv)120とを含む。これは、電気車充電器において、入出力間に電気的な絶縁が必須に求められるためである。配電線電圧は国ごとに多様であり、一般的に10kV~30kV範囲の電圧を使用する。一例として、韓国は22.9kVであり、米国は13.8kVである。需用家内の配電線の場合には、3kVから10kV範囲の電圧を使用する。
【0016】
一方、
図1に全て示されてはいないが、一般的に、従来の電気車充電器100は、配電変圧器102の前端にはVCB(高圧遮断器)、ヒューズ、および電力量計などが含まれ、配電変圧器の後端にはACB(低圧遮断器)が含まれる。かかる従来の電気車充電器100は、電力が複数のCB(遮断器)を経て複数の負荷に分かれ、低圧ケーブルが充電器と連結されるため、多数の低圧大電流電力機器により、単価が上昇し、効率が低下するという問題が存在する。
【0017】
さらに、整流器110は、力率を改善するために力率改善回路が追加されるか、または逆方向の電力変換構造が追加されると、充電器の構造がさらに複雑になるという問題がある。
【0018】
この他にも、充電器に逆方向の電力変換が可能となるようにするためには、PWM ac/dcコンバータを用いなければならないが、損失も多く、高価であるという短所を有する。
【0019】
絶縁型dc/dcコンバータも、複雑であり、効率が低く、原価が高いという短所を有する。
逆方向の電力変換になる絶縁型dc/dcコンバータの構成は、さらに複雑であり、原価が高くなる。
【0020】
一方、最近、電気車の電池は、次第に容量が大きくなりつつあり、電流容量を増やす代わりに電圧を上げる方向に進んでいる。そこで、従来の電池は、380Vdcクラスが主軸であったが、最近、次第に高くなって800Vdcクラスが主軸をなしている。電池電圧を上げる理由は、車両内で駆動インバータやモータの効率を高めることができるだけでなく、急速充電時に充電ケーブルおよび充電コネクタの発熱を減らすために電流を減らし電圧を高めることが有利であるためである。
【0021】
電池電圧が800Vクラスに進むと、充電器の入力電圧もそれに応じて上げることが効率的であるが、配電変圧器の出力電圧は、他の負荷とともに使用するため、3相220Vや3相380Vをそのまま使用せざるを得ない。これは、充電器入力端の遮断器や低圧ケーブルに多くの電流が流れることでさらに多い損失が発生し、原価はさらに上昇するという短所を有する。
【0022】
例えば、最近の技術で実現された充電器において、配電線から電気車までの全体効率を計算すると、約90%程度しかならない。
従来の充電器効率=配電変圧器(99%)+低圧機器/ケーブル(97%)+整流器(98%)+dc/dcコンバータ(96%)=90%
【0023】
図2は、本発明に係るダイレクト電気車充電器200の構成図を示す。
本発明の場合、充電器に求められる電気的な絶縁は、配電変圧器の絶縁機能を活用する。よって、本発明に係る充電器は、配電変圧器102、ダイオード整流器210、および非絶縁型(non-isolated)dc/dcコンバータ220で簡単に構成される。
【0024】
例えば、配電変圧器102は、一次巻線が高圧遮断器を介して高圧配電線101に連結され、1つ以上の独立した二次巻線が低圧出力端に連結される。配電線の電圧は、10kVよりは高く、30kVよりは低い。
【0025】
1つ以上の配電変圧器102の出力端それぞれに遮断器が連結され、それぞれの遮断器の出力には低圧ケーブル(low voltage cable)103が連結される。ここで、低圧ケーブル103は、配電変圧器と整流器を連結させるケーブルである。低圧ケーブル103は、ケーブルと周辺の大地、導体、誘電体、または他の二次元ケーブルとの間にストレーキャパシタンスCs5が存在し、それにより漏れ電流が発生し得る。電気車充電器は、入出力間に絶縁が十分に大きくて漏れ電流が特定値以下にならなければならないが、上記のストレーキャパシタンスが大きいと、前記漏れ電流の規格を満たすことができなくなり得る。よって、前記ストレーキャパシタンスを減らすことができるように、前記低圧ケーブルと周辺の大地、導体、誘電体、または他の二次元ケーブルとの間に距離を最大限に離隔して設けなければならない。
【0026】
充電ケーブル104は、非絶縁型dc/dcコンバータと充電コネクタとの間を連結させるケーブルであって、ケーブルと周辺の大地、導体、または誘電体との間にストレーキャパシタンスCs6が存在し、それにより漏れ電流が発生し得る。ここでも、前記ストレーキャパシタンスを減らすことができるように、前記充電ケーブルと周辺の大地、導体、または誘電体との間に距離を最大限に離隔して設けなければならない。
【0027】
それぞれの低圧ケーブル103の末端には整流器210が連結され、それぞれの整流器210の出力には非絶縁型dc/dcコンバータ220が連結される。それぞれの非絶縁型dc/dcコンバータ220の出力端には、充電ケーブル(charging cable)104と充電コネクタ(charging connector)105が連結される。
【0028】
前記整流器は、ダイオード整流器で実現されてもよく、前記非絶縁型dc/dcコンバータ220は、充電制御器230を介して出力電流および電圧が制御されることができる。本発明に係る電気車充電器は、高圧配電線101を直接入力として用いるため、以下では本発明に係る電気車充電器をダイレクト充電器と称することにする。
【0029】
一方、
図2には示されていないが、電気車充電器は、それぞれの整流器の出力端に高周波リップルを除去するための50uF以内のキャパシタフィルタを追加することができる。
また、電気車充電器は、整流器と非絶縁型dc/dcコンバータとの間にLCフィルタを追加することができる。
【0030】
前記低圧遮断器、前記低圧ケーブルなどの損失を最小化するためには、前記配電変圧器の出力電圧を上げることが有利である。しかし、前記整流器および非絶縁型dc/dcコンバータに使用される電力半導体素子の電圧定格が1200Vdcが主軸をなしているため、配電変圧器の出力電圧は、600V以下に制限することが好ましい。また、最近の電気車の電池電圧が800Vdc標準に変わっていくに伴い、前記整流器および前記非絶縁型dc/dcコンバータの効率を極大化するためには、電池電圧と前記配電変圧器の出力電圧とを類似するように合わせることが好ましい。前記800Vdc電池の電圧範囲は約600~900Vdc範囲を有するため、配電変圧器の出力電圧を500V~600V範囲にすることが最も効率的である。これは、500~600V交流電圧を整流すると、675~810Vdcになるためである。配電変圧器の出力電圧の範囲をやや少し広くするとしても、380~800V程度が適切である。
【0031】
本実施形態の場合、大容量配電変圧器102に複数の二次巻線を巻き、それぞれの出力に整流器210、非絶縁型dc/dcコンバータ220を取り付けて複数台の充電器を構成することができる。220Vや380V標準電圧を必要とする負荷が存在する場合、それに合った別の二次巻線を巻いて使用する。
【0032】
配電変圧器204の前端には高圧遮断器VCBが位置し、後端には二次巻線が複数に分けられており、あえて大容量低圧遮断器ACBを用いる必要がなく、二次巻線の出力端それぞれに簡単な遮断器CBを用いることができるため、大容量遮断器のような電力機器を大幅に減らすことができるという効果がある。
【0033】
また、配電変圧器204の二次出力電圧が500V~600Vに高くなるにつれ、遮断器や電力ケーブルの値段を大幅に減らすとともに損失も大幅に減らすことができるという長所を有する。
【0034】
これにより、整流器210および非絶縁型dc/dcコンバータ220で構成される本発明に係る電気車充電器200の構成による場合、従来の充電器100の構成よりも非常に簡単であるため、原価が低く、効率が高い。
【0035】
すなわち、配電線101から電気車までの充電器の全体効率を計算してみると、以下のように95%程度となり、従来の充電器に比べて5%程度高いため、エネルギー節約にも大きく役立つことができる。
ダイレクト充電器の効率=配電変圧器(98.5%)+低圧機器/ケーブル(99%)+整流器(99.5%)+dc/dcコンバータ(98%)=95%
【0036】
一方、本発明の電気車充電器のようなダイレクト充電器は、V2G(Vehicle-to-Grid)のための双方向の電力変換も容易であるという長所を有する。そこで、本発明に係る電気車充電器200は、新たに建設される電気車充電ステーション、電気バス車庫充電ステーション、新築ビルの建築時の駐車場充電ステーション、野外駐車場充電ステーション、高速道路サービスエリア充電ステーションなどに効果的に使用可能である。
【0037】
図3は、従来の配電変圧器の構成を示す。
図3を参照すると、従来の配電変圧器は、コア300の外郭に低圧絶縁層が存在し、その外郭に二次巻線を巻き、その外郭に高圧絶縁層が存在し、その外郭に一次巻線を巻き、その外郭に高圧絶縁層が構成される。二次巻線の端子はコアと隣接して上部に露出され、一次巻線の端子は側面から主に露出される。
【0038】
より詳しく説明すると、従来の変圧器は、接地されたコア300を中心にコア外郭に薄い絶縁層310が存在し、その外郭に二次巻線320が存在し、その外郭に厚い高圧絶縁層330が存在し、その外郭に一次巻線340が巻かれる。
【0039】
従来の配電変圧器において、コアは接地させ、二次巻線320はコア300と隣接するため、両端にストレー(stray)キャパシタンスCs1が大きく、一次巻線340ともストレー(stray)キャパシタンスCs2が存在する。ハウジング360も接地されるが、二次巻線320とハウジング360との間にもストレー(stray)キャパシタンスCs4が存在する。これは、二次巻線320の電位が急激に変わると、ストレーキャパシタンスを介して漏れ電流が多く流れ得るため、充電器の仕様を合わせることが難しくなり得る。
【0040】
図4は、ダイレクト電気車充電器のための配電変圧器の構造を示す。
図4を参照すると、ダイレクト充電器用の配電変圧器は、中心には接地されたコア300が位置する。コア300の外郭には低圧絶縁層310が設けられ、低圧絶縁層310の外郭には多数の層を有する二次巻線が巻かれる。低圧絶縁層310の外郭に巻かれる二次巻線は、低圧絶縁層310の外面を基準に1層に1つずつ巻かれることができ、巻かれた二次巻線の各層の間には、絶縁層が位置することができる。二次巻線それぞれのターミナルは、上部に露出させることができる。二次巻線の最外郭層の外郭には、高圧絶縁層330が位置することができ、高圧絶縁層330の外郭には、一次巻線が巻かれることができる。この際、高圧絶縁層330の外郭に巻かれた一次巻線も前述したした二次巻線と同様に層別に巻かれることができ、各層の間には絶縁層が配置されることができる。また、一次巻線の最外郭には、図面に示されていない高圧絶縁層がさらに位置することができる。一次巻線のターミナルは、一次巻線の最外郭に位置した高圧絶縁層の外側に露出されることができる。
【0041】
本発明は、1つ以上の二次巻線320それぞれの電位が自由に変わることができるようにストレーキャパシタンスを含むことができる。より具体的に、本発明は、互いに層が異なるように巻かれた二次巻線間のストレーキャパシタンスCs3、二次巻線とコアとの間のストレーキャパシタンスCs1、二次巻線と一次巻線との間のストレーキャパシタンスCs2、二次巻線とハウジング360との間のストレーキャパシタンスCs4を含むことができる。前記ストレーキャパシタンスそれぞれは、特定値以下になるように十分に離隔配置されて構成される。ストレーキャパシタンスの特定値は、漏れ電流の大きさに応じて決定される。本発明においては、二次巻線とコア300との間のストレーキャパシタンスが最も大きいため、漏れ電流が発生する可能性が高い。よって、低圧絶縁層310の厚さは、漏れ電流の発生を防止できる程度の厚さを必要とし得る。
【0042】
図5は、ダイレクト電気車充電器のための配電変圧器の他の構造を示す。
図5に示されたように、本発明に係る配電変圧器の他の構造は、1つの二次巻線を別のボビン321に巻き、複数のボビンを1つずつ挟んで積層して二次巻線を構成することができる。但し、上記のような構造の配電変圧器は、一次巻線340と二次巻線320との間の漏れインダクタンスが大きくなり得るという短所を有する。この際にも、1つ以上の二次巻線320それぞれまたは低圧絶縁層310は、変圧器コア300、一次巻線340、他の二次巻線、またはハウジング360との間にストレーキャパシタンスが特定値以下になるように設計されることができる。
【0043】
図6は、ダイレクト電気車充電器のための配電変圧器のまた他の構造を示す。
図6に示された配電変圧器のまた他の構造は、一次巻線340がコア300に近い内側に巻かれ、二次巻線320が一次巻線340よりも外郭に巻かれる構成である。この場合、コア300と一次巻線340との間に高圧絶縁層330を置かなければならず、一次巻線の外郭にも高圧絶縁層を置かなければならないため、体積が大きくなり得る。しかし、かかる配電変圧器のまた他の構造は、二次巻線320が最外郭に巻かれるため、二次巻線320の個数が多い場合、二次巻線320のターミナルを露出させやすいだけでなく、二次巻線320とコア300、特定の二次巻線320と一次巻線340との間にストレーキャパシタンスを最小化できるという長所がある。
【0044】
図7は、ダイレクト充電器において、12-pulse整流のための配電変圧器の二次巻線の構成図である。
図7に示されたダイレクト充電器用の配電変圧器においては、偶数の二次巻線を巻くが、この際、互いに同一の出力電圧を有するY-結線400と△-結線410を半分ずつ巻き、Y-結線と△-結線を1つずつ引き抜いてそれぞれに互いに直列に連結された整流器210と非絶縁型dc/dcコンバータ220を連結し、出力端を並列に束ねる。ここで、充電制御器231は、2個の非絶縁型dc/dcコンバータ220の電流を同一に制御することで、12-パルス整流器を構成して入力力率を改善する。
【0045】
図8は、ダイレクト充電器用の配電変圧器において、充電器のための二次巻線の他に別の追加の二次巻線を巻き、その出力端に3相AC/DCコンバータ510を取り付け、dc-端に電池530を連結することで、アクティブフィルタ(Active Filter)およびエネルギー貯蔵(Energy Storage)機能を実現する。また、ダイレクト充電器用の配電変圧器において、dc-端に太陽光発電装置(PVパネル520)をさらに取り付けて太陽光発電機能を実現することができる。
【0046】
図9は、代表的な非絶縁型dc/dcコンバータであるバックコンバータ630とブーストコンバータ640の構成および動作原理を示す。
図9の(a)に示されたように、前記バックコンバータ630は、入力電源の両端に2個のスイッチが直列に連結されて構成されるバックスイッチ610が連結され、バックスイッチの中間地点にインダクタLの一端が連結され、インダクタLの他端は出力キャパシタの(+)端子に連結され、入力電源の(-)端子と出力キャパシタの(-)端子が互いに連結されて構成される。前記バックスイッチは、2個のスイッチが交互にオンになり、上段スイッチSaがオンになると、インダクタLの両端にVin-Voだけの電圧がかかってインダクタ電流が増加し、下段スイッチSbがオンになると、インダクタLの両端に-Voだけの電圧がかかってインダクタ電流が減少するようになる。インダクタ電流が増加するモードを力行モード(powering mode)といい、インダクタ電流が減少する区間を還流モード(freewheeling mode)という。前記バックコンバータの出力電圧は、力行モードと還流モードとの比率d.buckにより、線形的に変化する。これを数学式で表すと次のとおりである。
【0047】
<数学式1>
Vo=d.buck*Vin
【0048】
図9の(a)に示されたように、前記ブーストコンバータは、出力キャパシタの両端に2個のスイッチが直列に連結されて構成されるブーストスイッチ620が連結され、ブーストスイッチの中間地点にインダクタLの一端が連結され、インダクタLの他端は入力電源の(+)端子に連結され、入力電源の(-)端子と出力キャパシタの(-)端子が互いに連結されて構成される。前記ブーストスイッチは、2個のスイッチが交互にオンになり、下段スイッチScがオンになると、インダクタLの両端にVinだけの電圧がかかってインダクタ電流が増加し、上段スイッチSdがオンになると、インダクタLの両端にVin-Voだけの電圧がかかってインダクタ電流が減少するようになる。インダクタ電流が増加するモードを力行モード(powering mode)といい、インダクタ電流が減少する区間を還流モード(freewheeling mode)という。前記ブーストコンバータの出力電圧は、力行モードと還流モードとの比率d.boostにより、以下の数学式のとおりに決定される。
【0049】
<数学式2>
Vo=Vin/(1-d.boost)
【0050】
図9の(b)は、前記バックコンバータまたはブーストコンバータにおいて順方向の電力変換になる場合のスイッチの構造を示す。単方向バックスイッチ611は、順方向能動スイッチSaと逆方向ダイオードDbが直列に連結されて構成され、単方向ブーストスイッチ621は、逆方向ダイオードDdと順方向能動スイッチScが直列に連結されて構成される。
【0051】
図9の(c)は、前記バックコンバータまたはブーストコンバータにおいて双方向の電力変換になる場合のスイッチの構造を示す。双方向バックスイッチ612は、能動スイッチSaおよび逆並列ダイオードDaで構成される、2個の第1スイッチ613が直列に連結されて構成され、双方向ブーストスイッチ622も同様に2個の第1スイッチ613が直列に連結されて構成される。前記バックスイッチまたはブーストスイッチにおいて能動スイッチとして使用可能な素子は、トランジスタ、IGBT、MOSFETなどであってもよい。
【0052】
図10の(a)は、ダイレクト充電器において、整流器650と非絶縁型dc/dcコンバータ220を実現する一実施形態として、3相入力電源600、すなわち、配電変圧器の出力電圧に3相ダイオード整流器650とLCフィルタ660が連結され、その後端に単方向バックコンバータ631が連結されて構成されることを示す。
【0053】
前記整流器650は、スイッチングをしない、単に3相電源を整流する整流器である。高周波スイッチングするPWMコンバータのようなものは使用することが難しい。これは、高周波スイッチングにより変圧器の二次巻線の電位が瞬間的に大きく変わるため、多くの漏れ電流が発生し得るためである。通常、電気車充電器は、電気車と連結される出力端が入力端と完全に絶縁されており、2個の出力端キャパシタを直列に構成した後、その中間電圧を接地とする。このため、上記の3相ダイオード整流器および非絶縁型dc/dcコンバータの構成においては、二次巻線の1個の相と整流器の(-)端子および非絶縁型dc/dcコンバータの(-)端子が全て連結されているため、配電変圧器の二次巻線の電位が瞬間的に変わることなく、整流電圧の300Hzまたは360Hzのリップルに応じて徐々に変わるため、漏れ電流が多く発生しない。
【0054】
図10の(b)は、本発明に係るダイオード整流器650の入力電圧Vaと入力電流Ia、ダイオード整流器の出力電圧、LCフィルタ660のインダクタ電流、後端のバックコンバータ631のデューティ比の波形を示す。
【0055】
一般の場合、ダイオード整流器出力端のLCフィルタは、LCフィルタのカットオフ周波数fcが前記ダイオード整流器650の出力電圧のリップル周波数(入力電源周波数の6倍)の1/10以下になるようにする。
【0056】
LCフィルタのカットオフ周波数を数学式で表すと次のとおりである。
<数学式3>
【0057】
一方、フィルタキャパシタ電圧のリップル電圧をフィルタキャパシタ電圧の10%以内にするためのLCフィルタのカットオフ周波数がfc=1/20*(整流器出力リップル電圧の周波数)程度だけになるようにしても、入力電源の周波数が50Hzや60Hzであるため、LCフィルタは、約5mHのインダクタおよび5mFのキャパシタにならなければならない。これは、LCフィルタのサイズおよび重さが非常に大きいことが分かる。
【0058】
本発明に係るLCフィルタの特徴は、ダイオード整流器650の出力電圧リップル(入力電源周波数の6倍周波数)を全くフィルタリングすることなく、後端のバックコンバータ631のスイッチングリップルのみをフィルタリングすることである。よって、LCフィルタの出力キャパシタ電圧Vdcは、前記ダイオード整流器650の出力電圧Vrecにほぼ従う。
【0059】
前記バックコンバータ631の出力電圧を一定に制御すると、すなわち、一定の電力を供給するためには、dc-linkキャパシタ電圧Vdcのリップルとは反対方向にバックコンバータのデューティ比d.buckを制御しなければならず、前記LCフィルタのインダクタ電流は、前記ダイオード整流器650の電圧リップルとは反対のリップルを有するようになる。当該リップルが入力電源に流れると、
図10の(b)のように若干変形された6-パルス波形になるが、入力力率を0.9から大きくは低下させない。
【0060】
例えば、バックコンバータ631のスイッチング周波数が80kHzであるとし、LCフィルタのカットオフ周波数をバックコンバータスイッチング周波数の1/10になるように設計した際、fc=8kHzとなる。この際、インダクタおよびキャパシタ値は、それぞれ20uHおよび20uFとなる。この場合、本発明に係るLCフィルタは、従来のLCフィルタよりも0.4%程度の容量となり、LCフィルタのサイズと重さ、原価の面で画期的な改善があると見ることができる。また、本発明は、LCフィルタのカットオフ周波数が高いことにより、制御のためのダイナミクスも著しく改善される。上記の目的を達成するためのLCフィルタのカットオフ周波数は、後端の非絶縁dc/dcコンバータスイッチング周波数の1/30~1/3範囲に定めることが適切である。
【0061】
一方、LCフィルタのサイズが大幅に小さくなることにより、3相入力端にサージが発生する場合、LCフィルタの出力電圧が多く上がり得る。これを防止するために、前記整流器の出力端にクランプ(clamp)ダイオードとクランプキャパシタが直列に連結された過電圧クランプ回路を追加することができる。この場合、普段はクランプキャパシタが前記整流器出力端の最大値よりもさらに高く充電されているため、前記クランプダイオードは常にオフになっており、入力端にサージが発生すると、クランプダイオードがオンになり、前記整流器の出力電圧は、前記クランプキャパシタ電圧にクランプされるようになって過電圧を避けることができる。クランプキャパシタにエネルギーが続けてたまらないように前記クランプダイオードと並列に放電抵抗をつなげることが好ましい。
【0062】
図11の(a)は、前記単方向バックコンバータ631での単方向バックスイッチの代わりに双方向バックスイッチを適用した双方向の電力変換が可能なバックコンバータ632を示す。
【0063】
図11の(b)は、前記双方向バックコンバータ632の構成においてダイオードが導通する際、当該ダイオードと逆並列に連結された能動スイッチをオンにしてダイオードに流れる電流を能動スイッチに流れるようにすることで、ダイオードの導通電圧を減らし、導通損失を減らす方法を示す。
【0064】
但し、スイッチングする間に2個の能動スイッチが同時にオンになるオーバラップ(overlap)期間が発生する場合、入力電圧が短絡になり得る。よって、本発明においては、2個の能動スイッチを交互にオンオフする際、2個のスイッチが両方ともオフになる一定のデッドタイムを与えることが好ましい。この場合、能動スイッチは、逆方向に電流が流れる機能があるMOSFETであってもよい。かかる目的で、双方向バックコンバータではあるが、単方向の電力変換にも多く用いられる。
【0065】
図12は、双方向バックコンバータの出力端に双方向ブースト(boost)コンバータを取り付けるが、この際、インダクタLaを共有した、双方向バック-ブーストコンバータの構成を示す。充電しようとする電池電圧の変動幅が広いため、バックコンバータのみを用いる場合には、高い入力電圧を必要とし、電池電圧の低い領域においてインダクタLa電流リップルが大きくなり、効率が低下するという問題があるが、バック-ブーストコンバータを用いると、入力電圧を電池電圧の変動幅の中間程度に設定して昇圧または減圧を行う場合に、最も効率的に充電ができるようになる。
【0066】
図12に示された双方向バック-ブーストコンバータにおいては、入力電圧が電池電圧より高い際にはバックコンバータのみを動作させ、入力電圧が出力電圧より低い際にはブーストコンバータのみを動作させ、入力電圧と電池電圧との差が一定範囲内にある際にはバック-ブーストコンバータを全て動作させることが好ましい。但し、ブーストコンバータのみを動作させる際にも、有事の際にはバックコンバータをオフして充電器および負荷を保護することができる。
【0067】
図13は、ダイレクト充電器において、整流器650と非絶縁型dc/dcコンバータを実現する一実施形態として、3相入力電源に3相ダイオード整流器650と、その後端に双方向ブーストコンバータ642と双方向バックコンバータ632を順に連結した双方向ブースト-バックコンバータの構成(a)およびその動作波形(b)、(c)を示す。
図13の(a)において、スイッチの構造を単方向ブーストスイッチと単方向バックスイッチに変えると、単方向ブースト-バックコンバータに構成することもできる。前記ブースト-バックコンバータは、ブーストインダクタLbおよびdc-linkキャパシタCdcのサイズを最小化するために2つの制御方法を用いることができる。
【0068】
図13の(b)のように整流器の出力電圧をフィルタリングするためにブーストコンバータのデューティ比d.boostを一定のデューティ比に固定すると、dc-link電圧Vdcは整流器の出力電圧Vrecにほぼ従うようになり、後端のバックコンバータのデューティ比d.buckとブーストインダクタLbは整流器の出力電圧のリップルとは反対方向にリップルを有するようになり、最終的な出力電圧は一定に制御できるようになる。電池電圧が整流器の出力電圧より低い際にはブーストスイッチを動作させなくてもよいが、この場合、
図10の(a)の整流器-LCフィルタ-バックコンバータの構造となり、動作波形も
図10の(b)のようになる。
【0069】
図13の(c)においては、整流器の出力電圧をフィルタリングするためにブーストコンバータの出力電圧、すなわち、dc-link電圧を一定に制御すると、ブーストコンバータのデューティ比d.boostとブーストインダクタLb電流は、整流器の出力電圧Vrec波形とは反対方向にリップルを有するようになり、dc-link電圧が一定に制御されると、最終的な出力電圧を一定に制御するためにバックコンバータのデューティ比d.buckも一定になる。
【0070】
前記ブーストコンバータ642の出力電圧を一定に制御するためには、入力ac電圧の6倍に該当する整流器の出力電圧のリップルをフィルタリングするほど大きい容量のdc-linkキャパシタを用いなければならない。
【0071】
3相入力電圧を充電しようとする電池電圧の変動範囲の中間程度に定め、電池電圧が整流器電圧Vrecより低い場合にはバックコンバータのみを動作させ、電池電圧が整流器電圧Vrecより高い場合にはブーストコンバータのみを動作させ、電池電圧と整流器電圧Vrecとの差が一定範囲内にある場合にはブーストコンバータおよびバックコンバータを両方とも動作させることが好ましい。
【0072】
また1つの制御方法は、ブーストコンバータおよびバックコンバータのデューティ比を制御するにおいて、ブーストインダクタLbおよびバックインダクタLoの電流リップルを最小に維持する方向に制御することが好ましい。この場合にも、
図12の双方向バック-ブーストコンバータと同様に、単方向の電力変換をしながらも、ダイオードが導通する際、逆並列スイッチをオンにしてダイオードの導通損失を大幅に減らすことができる。
【0073】
図14は、バック-ブーストコンバータをゼロ電圧スイッチングするための第1補助回路700の構成図(a)およびその動作波形(b)を示す。第1ゼロ電圧スイッチング補助回路700は、共振インダクタLrとスイッチSrが直列に連結され、その両端がバックスイッチ611の中間地点とブーストスイッチ621の中間地点との間に連結され、前記共振インダクタLrと前記スイッチSrが連結された地点と、バック-スイッチ両端との間に2個のクランプダイオードがそれぞれ連結されて構成される。共振インダクタLrがブーストスイッチ側に連結され、スイッチSrがバックスイッチ側に連結される場合、前記2個のダイオードは、ブーストスイッチの両端に連結されて構成される。
【0074】
図14の(b)に示されたように、バックスイッチ611およびブーストスイッチ621の能動スイッチSa、Scは同期して同時にオンになり、バックコンバータのデューティ比d.buckおよびブーストコンバータのデューティ比d.boostに応じて、SaおよびScはオフになり、DbおよびDdがオンになる。SaおよびScがオフになる際には、スイッチ両端にキャパシタンスが存在してゼロ電圧スイッチングになるが、DbおよびDdが導通中に能動スイッチSaおよびScがオンになる際には、ハードスイッチングをするようになる。第1補助回路は、SaおよびScがゼロ電圧スイッチングをすることができるように、補助スイッチSrを予めオンにして共振電流を増加させ、共振電流がLa電流より大きくなると、DbおよびDdはオフになり、スイッチ両端のキャパシタンスと共振インダクタLrが共振をしつつ、DaおよびDcがオンになる。この際、SaおよびScをオンにすると、ゼロ電圧スイッチングになる。SaおよびScがオンになると、共振インダクタ電流は線形的に減少してゼロに落ちる。共振インダクタ電流がゼロになると、Srをオフにし、補助回路の動作が完了する。
【0075】
従来のバック-ブーストコンバータは、それぞれゼロ電圧スイッチング補助回路が必要であったが、本発明においては、1つの補助回路により、バックコンバータおよびブーストコンバータの両方ともゼロ電圧スイッチングが可能であるという長所を有する。
【0076】
図15は、電力変換が単方向に行われる場合の補助回路710の構成を示す。前記補助回路の理想的なスイッチの代わりに実際のスイッチの構成を示す。前記理想的なスイッチは、前記第1スイッチと直列にダイオードが連結されて構成をすることができる。補助スイッチの方向は、ブーストスイッチからバックスイッチに電流が流れる方向に構成される。
【0077】
図16は、
図15の単方向バック-ブーストコンバータでの単方向バックスイッチおよび単方向ブーストスイッチの代わりに、双方向バックスイッチおよび双方向ブーストスイッチで構成され、単方向の電力変換になる場合のゼロ電圧スイッチング補助回路710を示す。双方向スイッチの場合にも、電力変換が単方向であれば、ゼロ電圧スイッチング補助回路の構成は同一である。単方向の電力変換になる際、DbおよびDdがオンになる場合にも、SbおよびSdをオンにしてDbおよびDdの導通損失を減らすことができる。一般の場合には、バック-ブーストコンバータのスイッチング周期が終わる時点に、バックスイッチやブーストスイッチが、2個の能動スイッチが同時にオンになることにより、短絡になるのを防止するために、一定のデッドタイムの間、SbおよびSdをオフにしてDbおよびDdがオンになるようにしておき、SaおよびScをオンにする方法を用いる。しかし、ゼロ電圧スイッチングをする場合には、スイッチング方法が変わる。すなわち、バック-ブーストコンバータのスイッチング周期に応じてSaおよびScをゼロ電圧でオンにするために、スイッチング周期以前に補助スイッチSiをオンにして共振インダクタ電流を増加させるが、この際、スイッチング周期の終わり部分にSbおよびSdをオフにせず続けてオンにしておく。すると、共振インダクタ電流をインダクタLa電流よりもさらに大きくなるようにすることができ、一定大きさだけ大きくなった後にSbおよびSdをオフにすると共振をしてDaおよびDcがさらに長くオンになり、SaおよびScをゼロ電圧でオンにすることができる時間幅がさらに大きくなり、さらに余裕をもってゼロ電圧スイッチングをすることができる。その反面、
図15の単方向バック-ブーストコンバータの場合には、ゼロ電圧スイッチングが可能な時間がきっちり定められているため、その時間からスイッチング時点が少しでも脱すると、完全なゼロ電圧スイッチングができなくなる。
【0078】
図17は、双方向バック-ブーストコンバータにおいて、電力変換も双方向になる際のゼロ電圧スイッチングのための第3補助回路720の構成図を示す。補助回路の補助スイッチが双方向電流を流せるとともに双方向電圧もかけられるように双方向スイッチで構成される。
【0079】
図18は、双方向ブーストコンバータと双方向バックコンバータが順に連結されて双方向ブースト-バックコンバータを構成する際にゼロ電圧スイッチングのための第2補助回路710の構成図(a)および動作波形(b)を示す。
図15のバック-ブーストコンバータとは異なり、ブースト-バックコンバータの場合には、ブーストスイッチとバックスイッチに流れる電流が互いに異なるため、単方向ブーストスイッチおよび単方向バックスイッチで構成されるブースト-バックコンバータの場合には、前記第2補助回路の使用は不可能である。ブースト-バックコンバータの場合には、必ず双方向ブーストスイッチおよび双方向バックスイッチが使用されてこそ、互いに異なる電流が流れるとしてもゼロ電圧スイッチングが可能となる。ブースト-バックコンバータの場合も同様にブーストスイッチおよびバックスイッチのスイッチング周期を同期させなければならず、1つのスイッチング周期が終わる時点までSdおよびSbをオンにしておく。1つのスイッチング周期が終わる前に補助スイッチSiをオンにして共振インダクタ電流を増加させ、共振インダクタ電流がブーストインダクタLb電流およびバックインダクタLo電流のうち大きい電流よりもさらに大きい電流になると、SdおよびSbをオフにする。SdおよびSbがオフになると、共振インダクタとスイッチ両端のキャパシタが共振をしてDaおよびDcがオンになり、SaおよびScをゼロ電圧でオンにすることができるようになる。共振インダクタ電流がブーストインダクタLb電流およびバックインダクタLo電流のうち大きい電流よりも一定部分さらに大きい電流になるまで増加させると、SaおよびScのゼロ電圧スイッチングのための時間マージンは増加するようになる。
【0080】
図19は、双方向ブースト-バックコンバータにおいて、電力変換も双方向になる際のゼロ電圧スイッチングのための第3補助回路720の構成図を示す。補助回路の補助スイッチが双方向電流を流せるとともに双方向電圧もかけられるように双方向スイッチで構成される。
【0081】
図20は、充放電のための双方向の電力変換が可能な整流器800の構成(a)および動作原理(b)を示す。前記整流器800は、3相ダイオード整流器650においてそれぞれのダイオード両端に逆方向に能動スイッチが取り付けられて構成される。
【0082】
図20の(b)は、双方向整流器800の動作原理を示す。前記整流器800は、放電時には、入力の各相の電圧波形が30度から150度までは、前記各相の入力電源に連結された当該スイッチポールで上方の能動スイッチをオンにし、210度から330度までは、前記各相の入力電源に連結された当該スイッチポールで下方の能動スイッチをオンにし、電力を配電系統に回生する。
入力相電流の模様は充電時の電流模様と同一であり、極性が反対となっていることを見ることができる。
【0083】
図21は、前記整流器800において放電時にスイッチング時間がオーバラップ(overlap)した際、入力線間電圧が短絡になり、
図21のように大きいパルス性電流が流れ得る。この問題を解決するために、オフになる能動スイッチとオンになる能動スイッチとの間に一定のデッドタイム(dead time)を置けば解決が可能である。しかし、デッドタイムの間、整流器の出力端につながっているインダクタLbの電流が行くところがなくなり、整流器800の両端電圧が高く上がって素子が破損するという問題が発生する。
【0084】
図22は、上記の問題を解決するために、整流端の(+)端子と(-)端子との間にダイオードDclおよび直列キャパシタCclで構成されたクランプ回路(clamp circuit)を連結し、前記整流端電圧が上がると、ダイオードDclがオンになり、キャパシタCcl電圧により整流端電圧がクランプされ、クランプキャパシタにたまるクランプエネルギーは放電抵抗Rclを介して放電させることができる。
【0085】
図23は、前記放電抵抗Rclの代わりにダイオードと逆並列に能動スイッチSclを連結し、前記整流端電圧が上がると、ダイオードがオンになり、キャパシタ電圧により整流端電圧がクランプされ、クランプキャパシタにたまるクランプエネルギーは、クランプが終わって前記ダイオードがオンになる際、前記能動スイッチをオンにしてキャパシタ電圧が一定に維持されるように放電できることを示す。この場合、放電抵抗による損失を減らすことができるという長所がある。
【0086】
図24は、前記整流器の出力端キャパシタの両端に方向バックスイッチを連結し、その中間地点にインダクタ920の一端を連結し、インダクタの他端と出力端キャパシタの(-)端子との間に電池910を連結してエネルギーを貯蔵または放出するようにするエネルギー貯蔵装置900の実現例を示す。また、双方向バックスイッチとインダクタをもう1つ連結し、インダクタと出力端キャパシタCfの両端に太陽光パネルを連結して太陽光発電も可能にする構成である。
【0087】
以上、本発明について本発明の原理を例示するための好ましい実施形態と関連付けて説明し図示したが、本発明は、それとともに図示し説明されたとおりの構成および作用に限定されるものではない。本発明が属する技術分野の当業者であれば、本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更せず、他の具体的な形態で実施可能であることを理解することができるであろう。よって、以上で記述された実施形態は、全ての面で例示的であって、限定的ではないものと理解しなければならない。本発明の範囲は上記の詳細な説明よりは後述の特許請求の範囲により示され、特許請求の範囲の意味および範囲、そしてその等価概念から導き出される全ての変更または変形された形態が本発明の範囲に含まれるものと解釈しなければならない。
【符号の説明】
【0088】
100:従来の電気車充電器
101:配電線
102:配電変圧器
103:低圧ケーブル
104:充電ケーブル
105:充電コネクタ
110:整流器
120:絶縁型dc/dcコンバータ
200:ダイレクト充電器
210:整流器
220:非絶縁型dc/dcコンバータ
230、231:充電制御器
300:コア
310:低圧絶縁層
320:低圧二次巻線
321:二次巻線ボビン
330:高圧絶縁層
340:高圧一次巻線
341:一次巻線ボビン
Cs1:コア-二次巻線間のストレーキャパシタンス
Cs2:二次巻線-一次巻線間のストレーキャパシタンス
Cs3:二次巻線-二次巻線間のストレーキャパシタンス
Cs4:二次巻線-ハウジング間のストレーキャパシタンス
Cs5:低圧配電線-大地または隣接導電体間のストレーキャパシタンス
Cs6:充電ケーブル-大地または隣接導電体間のストレーキャパシタンス
360:ハウジング
400:Y-結線
410:△-結線
500:能動フィルタ-エネルギー貯蔵装置-太陽光パネル結合装置
510:AC/DCコンバータ
520:太陽光パネル
530:電池
600:3相入力電源
610:バックスイッチ
620:ブーストスイッチ
611:単方向バックスイッチ
621:単方向ブーストスイッチ
612:双方向バックスイッチ
622:双方向ブーストスイッチ
630:バックコンバータ
640:ブーストコンバータ
631:単方向バックコンバータ
641:単方向ブーストコンバータ
632:双方向バックコンバータ
642:双方向ブーストコンバータ
613:第1スイッチ
650:整流器、3相ダイオード整流器
Cif:整流器フィルタキャパシタ
660:LCフィルタ
Lf:フィルタインダクタ
Cf:フィルタキャパシタ
Sa:能動スイッチ
Db:ダイオード
Lo:バックインダクタ
Co:出力フィルタキャパシタ
670:双方向バック-ブーストコンバータ
La:バック-ブーストインダクタ
680:双方向バック-ブーストコンバータ
Sc:能動スイッチ
Dd:ダイオード
Lb:ブーストインダクタ
Cdc:dc-linkキャパシタ
700:第1ゼロ電圧スイッチング補助回路
710:第2ゼロ電圧スイッチング補助回路
720:第3ゼロ電圧スイッチング補助回路
800:エネルギー回生のための整流器
810:第1受動クランプ回路
820:第2能動クランプ回路
900:エネルギー貯蔵装置
910:太陽光発電器