(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022119208
(43)【公開日】2022-08-16
(54)【発明の名称】射出成形機の流し込みユニットの液圧式の制御装置
(51)【国際特許分類】
F15B 11/02 20060101AFI20220808BHJP
【FI】
F15B11/02 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022014727
(22)【出願日】2022-02-02
(31)【優先権主張番号】10 2021 200 958.1
(32)【優先日】2021-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ディアク-ヴァルター ヘロルト
(72)【発明者】
【氏名】ホルガー エンガート
【テーマコード(参考)】
3H089
【Fターム(参考)】
3H089AA02
3H089BB15
3H089BB27
3H089CC01
3H089DA02
3H089DA14
3H089DA18
3H089DB12
3H089DC02
3H089EE06
3H089EE24
3H089EE31
3H089JJ04
3H089JJ05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】一次成形機械のための流し込みユニットの液圧式の制御装置の提供。
【解決手段】流し込みユニット1の液圧式の制御装置であって、ピストン11により分離されているロッド側の環状室15と底部側の底部室14とを有する流し込みシリンダ10であって、液圧式に操作可能な弁装置27,29,41,46を介してピストン力およびピストン速度が、圧力媒体源34および圧力媒体槽Tとの選択的な接続により、制御可能である。昇圧可能な制御圧力媒体アキュムレータSD1、SD2が設けられており、液圧式の制御装置により、圧力媒体アキュムレータを介して、弁装置を液圧式に操作するために制御圧力媒体が利用可能である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出成形機の流し込みユニット(1)のための液圧式の制御装置であって、
ピストンにより分離されているロッド側の操作室(15)と底部側の操作室(14)とを有する流し込みシリンダ(10)であって、前記ピストンに底部側の操作面と、該底部側の操作面よりも小さなロッド側の操作面とが形成されている流し込みシリンダ(10)と、
液圧式に操作可能な弁装置(27,29,41,46)であって、該弁装置(27,29,41,46)を介して、ピストン力およびピストン速度が、前記操作室(14,15)の、圧力媒体源(34)および圧力媒体槽(T)との、かつ/または互いに対する選択的な接続により、流し込みの複数の段階(I,II,III)において制御可能である、弁装置(27,29,41,46)と
を備え、
昇圧可能な少なくとも1つの制御圧力媒体アキュムレータ(SD1,SD2)が設けられており、該制御圧力媒体アキュムレータ(SD1,SD2)を介して、前記弁装置(27,29,41,46)を液圧式に操作するために制御圧力媒体が利用可能である、液圧制御装置において、
昇圧のために前記ロッド側の操作室(15)が前記少なくとも1つの制御圧力媒体アキュムレータ(SD1,SD2)に流体接続可能である昇圧経路(23,86,88,90)を備えることを特徴とする、液圧式の制御装置。
【請求項2】
前記弁装置(27,29,41,46)の第1の弁(27)を介して、前記ロッド側の操作室(15)が第1の流れ経路(23)を介して前記底部側の操作室(14)に接続可能である、請求項1記載の制御装置。
【請求項3】
前記弁装置(27,29,41,46)の第2の弁(46)を介して、前記ロッド側の操作室(15)が第2の流れ経路(44)を介して前記圧力媒体槽(T)に流体接続可能である、請求項1または2記載の制御装置。
【請求項4】
保圧段階において前記底部側の操作室(14)内の圧力を高めるように設計されている液圧式の増圧器(24)を備え、前記弁装置(27,29,41,46)の第3の弁(29)を介して、前記増圧器(24)の作動のために、前記増圧器(24)の圧力室(32)に開口する第3の圧力媒体流れ経路が開制御可能である、または形成可能である、請求項1から3までのいずれか1項記載の制御装置。
【請求項5】
前記弁装置(27,29,41,46)の第4の弁(41)が、アクティブロジック弁(41)として構成されており、該アクティブロジック弁(41)を介して、前記底部側の操作室(14)が、圧力媒体アキュムレータ(56)に前記液圧ポンプ(34)に依存せずに流体接続可能である、請求項1から4までのいずれか1項記載の制御装置。
【請求項6】
少なくとも2つの制御圧力媒体アキュムレータ(SD1,SD2)を備え、一方の制御圧力媒体アキュムレータ(SD1)により、前記第1の弁(27)、前記第2の弁(46)および/または前記第3の弁(29)に制御圧力媒体が供給可能であり、他方の制御圧力媒体アキュムレータ(SD2)により、前記第4の弁(41)に制御圧力媒体が供給可能である、請求項2から5までのいずれか1項記載の制御装置。
【請求項7】
前記昇圧経路(86)内に、遮断弁(92)が設けられている、請求項1から6までのいずれか1項記載の制御装置。
【請求項8】
前記昇圧経路(86)内に、調節可能な絞り装置(94)が設けられている、請求項1から7までのいずれか1項記載の制御装置。
【請求項9】
前記昇圧経路(86)が、複数の制御圧力媒体アキュムレータ(SD1,SD2)へと分岐している(88,90)、請求項1から8までのいずれか1項記載の制御装置。
【請求項10】
前記制御圧力媒体アキュムレータ(SD1,SD2)の少なくとも1つに、圧力調整弁(96,98)が対応配置されており、かつ/または1つまたは2つの前記制御圧力媒体アキュムレータの制御圧力が、前記底部側の操作室内の公称圧力および前記流し込みシリンダのピストンにおける面積比を介して決定可能である、請求項1から9までのいずれか1項記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載の形式の射出成形機の流し込みユニットの液圧式の制御装置に関する。
【0002】
射出成形機という用語は、特に、ダイカスト機、チクソモールディング機およびプラスチック射出成形機の使用分野を含むことが望ましい。
【0003】
このような液圧式の制御装置の基本構造は、たとえば、本出願人に帰する独国特許出願公開第102017220836号明細書に開示されている。当該明細書によれば、制御装置は、複動式の流し込みシリンダを有しており、この流し込みシリンダのピストン面は、ピストン底部側の操作室(底部室)を画定し、かつこの流し込みシリンダのピストンロッド側の環状面は、ピストンロッド側の操作室(環状室)を画定する。公知の解決手段では、底部室が、予備充填段階中および型充填段階中に、まず、たとえばアクティブロジックとして構成された2ポート2位置切換シート弁を介して、低圧アキュムレータに接続されており、環状室は、調整弁を介して底部室に接続されているので、予備充填段階において、縮小する環状室から押し退けられる圧力媒体は、差動回路または回生回路内に設けられた上述の調整弁を介して、拡大する底部室に供給される。
【0004】
型充填段階では、射出のために、タンク側の調整弁を介して、タンクに通じる圧力媒体接続部が開制御され、ピストン室と環状室との間の調整弁は閉じられていてもよい。次いで、保圧段階では、底部室が、別の調整弁を介して高圧アキュムレータに接続され、その際にアクティブロジックを介して、低圧アキュムレータに通じる圧力媒体接続部が遮断される。概して、この圧力上昇は、増圧器を介して行うこともできる。この保圧段階では、上述のタンク側の調整弁を介して、環状室とタンクとの間の圧力媒体接続部は開らかれたままであるので、キャビティ内の溶融物は高圧で圧縮され、場合によっては生じる材料の目減りが補償される。
【0005】
アクティブロジックの基本構造は、独国特許発明第102005035170号明細書(DE102005035170B4)から公知である。
【0006】
上述の弁の操作ダイナミクスおよび操作精度は、重要である。制御の高い精度を以てのみ、流し込みプロセスの力制御および速度制御が高い製品品質をもたらすからである。
【0007】
弁が液圧式に操作可能であるか、パイロット制御されている場合、利用可能な制御圧力が高ければ高いほど、この弁の操作ダイナミクスおよび操作精度は向上する。したがって、できるだけ高い制御圧力が望まれる。他方では、このために設けられた圧力媒体源、たとえば液圧ポンプは、対応する高い公称圧力を提供する必要があり、このことはこのユニットを高価なものにしてしまう。
【0008】
これに関して、本発明の根底にある課題は、高い制御圧力が、この高い制御圧力のために利用可能である圧力媒体源のための小さな手間をもって達成可能である、流し込みユニットの液圧式の制御装置を提供することにある。
【0009】
この課題は、請求項1の特徴部に記載の特徴を備えた液圧式の制御装置により解決される。
【0010】
制御装置の有利な改良形は、請求項2~請求項10に記載されている。
【0011】
射出成形機、特に射出成型機、ダイカスト機、チクソモールディング機のための流し込みユニットの液圧式の制御装置は、流し込みシリンダを有している。この流し込みシリンダは、流し込みユニットの流し込みピストンが結合可能であるロッドを有している。流し込みシリンダのロッド側の操作室と、底部側の操作室とは、流し込みシリンダのピストンにより分離されている。この場合、ピストンには、圧力が加えられ得る底部側の操作面と、この底部側の操作面よりも小さな、圧力が加えられ得るロッド側の操作面とが形成されている。流し込みの段階中のピストン力およびピストン速度を制御するために、液圧式に操作可能な弁装置が設けられている。この弁装置を介して段階に応じて、2つの操作室が圧力媒体源および圧力媒体槽に、かつ/または互いに流体接続可能である。弁装置を液圧式に制御するために制御圧力媒体が利用可能である、昇圧可能な少なくとも1つの制御圧力媒体アキュムレータが設けられている。本発明によれば、昇圧経路が設けられており、この昇圧経路を介して、ロッド側の操作室は、昇圧のために少なくとも1つの制御圧力媒体アキュムレータに流体接続可能である。
【0012】
これにより、流し込みシリンダのピストンと、このピストンの2つの操作面の有利な比とを、少なくとも1つの制御圧力媒体アキュムレータの昇圧のために利用することができる。この比によって、ピストンは増圧器に準じて働く。したがって、高い制御圧力が、この制御圧力のために利用可能である圧力媒体源のための小さな手間で達成可能である。
【0013】
新規の請求項:昇圧(Aufladung)は、組み合わせとしても行うことができる。すなわち、ポンプを介した低圧へのベース供給と、請求項に記載の解決手段を介した高圧への昇圧を行うことができる。
【0014】
高い制御ダイナミクス、制御精度および制御多様性を可能にする1つの改良形では、弁装置が、互いに独立して操作可能な弁に分解されており、これらの弁のそれぞれにより、操作室の1つまたは複数の圧力媒体接続部を、1つまたは複数の別の弁から独立して制御することができる。
【0015】
分解された弁装置の第1の弁を介して、特にロッド側の操作室が、第1の流れ経路を介して底部側の操作室に接続可能である。したがって、第1の弁を介して、回生圧力媒体流れ経路を形成することができ、このことは、比較的小さな公称体積流量を有する流し込みシリンダを調節するために一次的な液圧ポンプを設計し、提供することを可能にする。さらに、第1の弁および第1の圧力媒体流れ経路が速度制御のための介入可能性を提供する。
【0016】
弁装置の第2の弁を介して、特にロッド側の操作室が、第2の流れ経路を介して圧力媒体槽に流体接続可能である。これにより、流し込みピストンの運動は第2の弁を介して流出制御されるように制御可能である。
【0017】
流し込み時に保圧段階を可能にするために、制御装置は、1つの改良形において液圧式の増圧ユニットを有している。この増圧ユニットは、保圧段階において底部側の操作室における圧力を高めるように設計されている。
【0018】
液圧式の増圧ユニットは、付加的な高圧アキュムレータとして、または増圧器として、特に大小異なる2つの操作面のうち、より大きな操作面に圧力を加えることができる差動シリンダとして設計されていてもよい。
【0019】
増圧ユニットが増圧器として、特に差動シリンダとして構成されている1つの改良形では、弁装置の第3の弁が、増圧器を作動するために設けられている。この増圧器を介して、増圧器の圧力室または操作室に開口している第3の圧力媒体流れ経路が開制御可能または形成可能である。第3の圧力媒体流れ経路が開口している操作室に応じて、増圧器は流入制御されるか、または流出制御される。
【0020】
増圧ユニットが高圧アキュムレータとして構成されている1つの改良形では、比例式に操作可能な第3の位置切換弁が、高圧アキュムレータと、流し込みシリンダの底部側の操作室との間に設けられている。この位置切換弁を介して、底部側の操作室における圧力形成が調整可能である。
【0021】
流し込みシリンダの底部側の操作室と圧力媒体源との間の迅速かつ確実に再現される接続のために、かつ対応する迅速かつ確実に再現される分離のために、1つの改良形において弁装置の第4の弁が、アクティブロジック弁として構成されている。したがって、底部側の操作室を、特に圧力媒体アキュムレータに、かつ液圧ポンプに依存せずに流体接続することができる。
【0022】
1つの改良形では、少なくとも2つの制御圧力媒体アキュムレータが設けられており、一方の第1の制御圧力媒体アキュムレータにより、第1の弁、第2の弁および第3の弁に制御圧力媒体が供給可能であり、他方の第2の制御圧力媒体アキュムレータにより、第4の弁に制御圧力媒体が供給可能である。
【0023】
これに対する1つの改良形では、昇圧経路が、複数の制御圧力媒体アキュムレータへと分岐している。代替的には、単に1つの制御圧力媒体アキュムレータが設けられていてもよい。
【0024】
制御圧力媒体アキュムレータに対する弁の異なる対応配置も当然ながら可能である。この対応配置は特に、それぞれの弁のその都度必要となる制御圧力レベルに依存して、かつ/またはそれぞれの弁に対する制御圧力媒体アキュムレータの空間的な近接に応じて定義されている。この場合、アキュムレータへの供給時にも制御圧力媒体の取出し時にも減衰および弾性が最小限にされるので、すぐ近傍であると有利である。したがって、制御圧力は、弁ピストンの信号立ち上がり中、たとえば流し込みシリンダの射出時に常に安定的なままであり、弁ピストンは最大の加速で所望の目標値に至るまで開く。
【0025】
制御圧力媒体アキュムレータの確実な昇圧および制御圧力媒体アキュムレータの、流し込みシリンダに対する確実な遮断を保証するために、1つの改良形では、昇圧経路に遮断弁、特に2ポート2位置切換弁が設けられている。
【0026】
昇圧-制御圧力媒体体積流量に影響を与えることができるようにするために、1つの改良形では、昇圧経路内に調節可能な絞り装置、特にオリフィス絞りが設けられている。
【0027】
1つの改良形では、制御圧力媒体アキュムレータまたは制御圧力媒体アキュムレータの少なくとも1つに圧力調整弁が対応配置されている。この圧力調整弁を介して、この制御圧力媒体アキュムレータ内の圧力が調整可能である。特に、これは、入口にロッド側の操作室の圧力がかかっているか、このロッド側の操作室内の圧力に依存した圧力がかかっており、出口が制御圧力媒体アキュムレータに接続されている減圧弁である。
【0028】
1つの可能なバリエーションでは、制御圧力媒体アキュムレータのそれぞれに、別個の昇圧経路が対応配置されている。
【0029】
これに対応して、複数の昇圧経路内にそれぞれ最後に言及した遮断弁、特に2ポート2位置切換弁と、代替的または付加的に最後に言及した調節可能な絞り装置、特にオリフィス絞りが設けられていてもよい。
【0030】
代替的または補足的には、制御圧力媒体アキュムレータの制御圧は、底部側の操作室内の公称圧力および流し込みシリンダのピストンにおける面積比を介して決定されていてもよい。
【0031】
本発明の好適な実施例を以下に概略図につき詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図2】1つの実施例による、液圧式の制御装置を備えた、
図1に示す流し込みユニットの簡略化された液圧回路図を示す図である。
【0033】
図1には、ダイカスト機の本発明による液圧式の流し込みユニット1の重要な機械的な構成要素が図示されている。この図によれば、流し込みユニット1は、差動シリンダとして構成されており、そのピストン11が対応してピストンロッド12を備えて構成されている流し込みシリンダ10を有している。ピストン11は、流し込みシリンダのケーシング13と一緒に、底部側の底部室14と、ピストンロッド12に貫通された環状室15とを画定している。ピストンロッド12の、ケーシング13から突出している端部には、流し込みスリーブ17の射出室18内に進入する流し込みピストン16が取り付けられている。流し込みスリーブ17には、成形されるべきワークが形成される液状またはペースト状の成形材料(以下で溶融物と呼ぶ)のための充填開口19が位置している。流し込みスリーブ17は、型20に接しており、型20は、通常は可動の型半部と固定の型半部とから成っている。両型半部は、キャビティとも呼ばれる、加工成形されるべきワークの幾何学形状に対応して形成されている型中空室21を画定する。射出室18は、流し込み通路22を介して型中空室21に開口している。
【0034】
このような流し込みユニット1は、型20内に溶融物を導入するために役立ち、急速な固化プロセスに基づいて、充填のために高い速度が必要であり、次いで型20を完全に充填し、圧縮し、かつ固化時の材料収縮を調整するためには、高い圧力が必要とされている。
【0035】
図2に図示した本発明による1つの実施例では、流し込みユニット1は、液圧式の制御装置を有している。簡単にするために、流し込みピストン16、流し込みスリーブ17、型20の図示は省略した。
【0036】
流し込みシリンダ10には、増幅ユニットとして、増幅シリンダとも呼ばれる増圧器24が対応配置されており、この増圧器24は、たとえば差動シリンダとして構成されている。一次ピストン26の底面が、増圧器の圧力室28を画定しており、ピストンロッド30は、環状室32の形態の、増圧器の逆圧室を貫通している。このような増圧器24の構造は公知であるので、さらなる説明は不要である。たとえば接続可能な高圧アキュムレータのような、増圧器を有しない別の増幅ユニットも当然ながら可能である。
【0037】
図示の流し込みユニット1の基本的な圧力媒体供給は、図示の実施例では定容量形の液圧機として構成され、回転数制御された電動モータ36により駆動される液圧ポンプ34を介して行われる。電動モータ36は、たとえばサーボ変換器を備えたサーボモータとして、または周波数変換器を備えた三相モータとして構成されている。液圧ポンプ34の圧力接続部は、ポンプ管路を介して、4ポート3位置切換弁として構成された予圧弁42に接続されている。予圧弁42は、図示の、ばねによりセンタリングされた基本位置または中間位置において、液圧ポンプ34を、流し込みシリンダ10および増圧器24に対して遮断し、その代わりに少なくとも底部室14を、対応する逆止弁72を介してタンクTに接続し、かつポンプ管路40および逆止弁70を介して増圧器24の環状室32に接続する。予圧弁42は、2つの切換磁石および液圧式のパイロット制御により、2つの通流位置a,bに切り換えることができ、通流位置a,bにおいて、予圧弁42は液圧ポンプ34と共に、流し込みシリンダ10および増圧器24に予圧を加えるための装置の機能を満たすことができ、このことは以下でさらに説明する。
【0038】
流し込みシリンダの環状室15は、第1の圧力媒体流れ経路23と、この第1の圧力媒体流れ経路23内に配置された第1の位置切換・比例弁27とを介して、流し込みシリンダ10の底部室14に接続可能である。第1の位置切換・比例弁27は、図示の実施例では、本出願人のポートフォリオに基づいて2WRCE-4Xとして公知であり、流量調整弁として構成されている電気液圧式にパイロット制御される2ポート2位置切換・比例弁として、ばねにより予荷重が加えられた基本位置または遮断位置を備えて構成されている。電気液圧式のパイロット制御の開始により、弁27の開口横断面が、調整信号に応じて開制御され、環状室15は、回生手順のために底部室14に接続される。
【0039】
流し込みシリンダ10の環状室15はさらに、内部に第2の位置切換・比例弁46が配置されている第2の圧力媒体流れ経路44を介してタンクTに接続可能である。第2の位置切換・比例弁46は、弁型式および駆動制御に関して第1の位置切換・比例弁27と構造同一であるが、第1の位置切換・比例弁27よりも大きな呼び寸法を有している。第2の位置切換・比例弁46を介する圧力媒体体積流量が、回生手順において第1の位置切換・比例弁27を介する圧力媒体体積流量よりも大きいからである。第2の位置切換・比例弁46は、電気液圧式にパイロット制御される2ポート2位置の流量調整弁として構成されており、第2の位置切換・比例弁46は、その基本位置においてタンクTへの圧力媒体接続を遮断し、かつ電気液圧式のパイロット制御の開始により、タンクTに向かう開口横断面を調整信号に応じて開制御する。
【0040】
第2の圧力媒体流れ経路44は、第2の圧力媒体流れ経路44に対して開く逆止弁48を介して、液圧ポンプ34により供給可能な予圧管路50に流体接続可能である。予圧管路50は、逆止弁48の、ばねにより予荷重が加えられた基本位置では遮断されている。
【0041】
ポンプ管路40は、第3の位置切換・比例弁29と増圧器環状室32との間の第3の圧力媒体流れ経路25内に開口している。ポンプ管路40内には、ポンプ管路40からの予圧管路50の分岐部と、上述の開口との間で、増圧器環状室32に向かって開く逆止弁70が配置されている。両逆止弁48,70は、ポンプ管路40および予圧管路50内の圧力が十分な場合に開くようになっているので、流し込みシリンダ10の環状室15および増圧器24の環状室32に圧力媒体が送られる。これにより、流し込みシリンダ10と増圧器24とを戻すことができ、流し込みシリンダ10と増圧器24とに予圧を加えるために必要な逆圧を、それぞれの環状室15,32内で形成することができる。
【0042】
このためには、予圧弁42が、第1の切換位置aを有しており、第1の切換位置aでは、液圧ポンプ34の圧力接続部Pがポンプ管路40および予圧管路50に接続されており、かつ第1の圧力媒体流れ経路23および底部室14が、開放可能な逆止弁72を介して圧力媒体槽Tに接続可能である。
【0043】
液圧ポンプ34の出口における圧力は、自体公知の形式で、タンクTに向かって開く圧力制限弁を介して制限することができる。
【0044】
増圧器24および流し込みシリンダ10には、互いに独立して操作可能な3つの流量調整弁27,46および29に分けられた弁装置が対応配置されており、これらの流量調整弁27,46および29はそれぞれ、2つの接続部を備えた常に調節可能な、電気液圧式にパイロット制御される弁として構成されている。液圧式の操作およびパイロット制御は、制御圧力媒体アキュムレータSD1,SD2内に保持されている制御圧力媒体により行われ、このことは以下で詳細に説明する。
【0045】
パイロット制御される2ポート2位置の位置切換組込みシート弁が、アクティブロジック弁41として形成されている。このアクティブロジック弁41のパイロット制御は、3ポート2位置切換弁として形成された切換パイロット弁52を介して行われる。アクティブロジック弁41の入口接続部Aは、低圧アキュムレータ管路54を介して低圧アキュムレータ56に接続されている。アクティブロジック弁41の出口接続部Bは、流し込みシリンダ10の底部室14に接続されている。
【0046】
アクティブロジック弁41の1つの可能な構造は、本明細書の冒頭で引用した刊行物である独国特許出願公開第102017220836号明細書および独国特許発明第102005035170号明細書に基づいて公知であるので、本明細書では本発明を理解するために必要な構造エレメントのみを説明し、その他の点については上述の従来技術が参照される。従来技術によれば、アクティブロジック弁41は、段付けされたメインピストン60を有しており、このメインピストン60は、制御圧力媒体アキュムレータSD1からの切換パイロット弁52を介して面A5に加えられる圧力により、弁座58に対して予荷重を加えられており、かつアクティブロジック弁41の接続部A,B間、ひいては低圧アキュムレータ管路54と圧力管路59との間の圧力媒体接続を遮断する。圧力管路59は、流し込みシリンダ10の底部室14内に開口している。メインピストン60は、裏側の面A5から端面側の面A3にまで内孔を有しており、これにより、閉鎖するように作用する面A5と、開放するように作用する面A3との圧力補償が保証されている。制御面A4を介して、アクティブロジック弁41を切換パイロット弁52の作用により意図的に開閉することができる。この場合、面A4を、A5-A3の差分よりも大きく選択することができるか、または制御圧力媒体アキュムレータSD1の制御圧を対応して比較的高く調節されていてもよく、これによりアクティブロジック弁41を確実に開くことができる。
【0047】
タンク管路62が、切換パイロット弁52のタンク接続部に接続されており、切換パイロット弁52の入口接続部が、管路64を介して制御圧力媒体アキュムレータSD1に接続されている。切換パイロット弁52の切換磁石への通電により、切換パイロット弁52をばね力に抗して、アクティブロジック弁41の、面A4により画定された環状制御室が管路64を介して低圧アキュムレータND1に接続されている切換位置に変位させることができ、これにより、環状の端面A4に作用する圧力に基づいてメインピストン60は弁座58から持ち上がり、接続部A,B間の流体接続を開制御する。
【0048】
アクティブロジック弁41は、最小の圧力損失で通流され得、かつ切換パイロット弁52を介した対応する制御時に、最短の切換時間かつ高い再現精度で閉じるように構成されている。後の閉鎖挙動を最適化するために、アクティブロジック弁41の行程を制限することができる。アクティブロジック弁41のこの構成により、呼び寸法が大きな場合でも、アクティブロジック弁41を迅速かつ高い再現精度で開閉するために、少量の制御油流しか必要とならない。
【0049】
さらに、切換パイロット弁52によるアクティブロジック弁41の能動的な開閉およびアキュムレータ圧力によるアクティブロジック弁41の確実な閉鎖により、運転確実性が高められている。この場合、アクティブロジック弁41の能動的な閉鎖により、閉鎖のための条件を自由に選択することが可能である。この閉鎖は、たとえば圧力、荷重力、走行距離、走行速度等に応じて行うことができる。
【0050】
図2に図示されているように、低圧アキュムレータ56に対して付加的に、別の低圧アキュムレータ57が設けられている。この別の低圧アキュムレータ57は、パイロット制御弁68によりパイロット制御される、以下でアキュムレータ遮断弁66と呼ばれる2ポート2位置切換シート弁を介して、増圧器圧力室28に接続可能である。代替的かつ顧客の要求に応じて、両方の低圧アキュムレータ56,57は1つに纏められていてもよい。この場合、パイロット制御弁68の、予荷重が加えられた基本位置では、アキュムレータ遮断弁66の、閉鎖するように作用する背側室に、低圧アキュムレータ56の圧力が供給され、切換位置ではタンク圧が供給され、これによりアキュムレータ遮断弁66が、低圧アキュムレータ56を増圧器の圧力室28に接続する。したがって、上述の切換位置では、増圧器24は支援方向に緊縮させられている。
【0051】
以下ではまず、
図2に図示した流し込みユニット1の、冒頭で説明した段階I~III中の機能形式を説明し、その後にそのために必要となる制御圧力媒体の提供のための構成要素に言及する。
【0052】
前充填段階における流し込みシリンダ10の始動時に、始動衝撃を発生させる圧力波が流し込みシリンダ10の方向で発生することを阻止するために、アキュムレータ遮断弁とも呼ばれるアクティブロジック弁41の開放前に、流し込みシリンダ10には前充填段階Iの開始前に予圧が加えられる。これにより、このような始動衝撃が溶融物、空気および溶融物のスキンを混合してしまうことが阻止されている。この混合は、不都合な場合に流し込み成形部分における孔および封入物、ひいては劣悪な品質または不良品をもたらすだろう。
【0053】
予荷重は、使用可能な圧力媒体源に応じて種々異なる形式で行うことができる。図示の実施例では、流し込みシリンダ10および増圧器24が戻っている場合に、液圧ポンプ34および第1の切換位置aへと操作された予圧弁42を介して、かつ開いた逆止弁48,70を介して、流し込みシリンダ10の環状室15および増圧器24の増圧器環状室32に最大のポンプ圧になるまで予圧を加えることができる。この手順では、第1の位置切換・比例弁27、第2の位置切換・比例弁46、第3の位置切換・比例弁29が閉じられているので、タンクに対する短絡が阻止されている。遮断・予圧弁42は、好適には逆止機能を有して構成されている。
【0054】
予荷重のタスクに関して、液圧ポンプ34は、たとえば420barまでの高圧ポンプとして構成されていてもよい。
【0055】
代替的または付加的に、環状室15,32の予圧のために、増圧器が設けられていてもよく、このことは、あまり強力ではない液圧ポンプの使用を可能にするだろう。より低い予圧の場合、概して低圧液圧ポンプまたは低圧調整ポンプを設ける可能性が生じる。
【0056】
続くステップでは、
図1に示した溶融物が、充填開口19を介して流し込みスリーブ17の射出室18内に充填され、前充填段階Iが開始される。このためには、液圧ポンプ34がランプ関数を介して制御され、流し込みシリンダ10の底部室14が、遮断・予圧弁42の第2の切換位置bを介して、低圧アキュムレータ56のアキュムレータ圧力の値に至るまで昇圧させられる。これにより、環状室15内に収容された流体が圧縮され、ピストン11において力が均衡するまで、流し込みシリンダ10は緩慢に、かつ環状室15内の予圧に抗する始動衝撃なしに少しだけ走出する。この場合に重要であるのは、この制御により、低圧アキュムレータ56内の圧力に対する、流し込みシリンダ10の底部室14の圧力の衝撃のない同化が行われることである。その後に、アクティブロジック弁41(アキュムレータ遮断弁)を介して、低圧アキュムレータ56を底部室14に接続し、アキュムレータ遮断弁66を介して、低圧アキュムレータ56を増圧器圧力室28に接続することができる。
【0057】
ポンプ34が十分に高い圧力を発生させることができる場合、この手順は不要である。環状室15に相応に高い予圧が加えられている場合、低圧アキュムレータ56もアクティブロジック弁41を介してピストン室14に切り換えることができる。
【0058】
これにより、第1の切換比例弁27はパイロット制御を介して制御されるので、環状室15から押し退けられた圧力媒体が、回生回路の形式で底部室14に直接供給される。このことは、流し込みシリンダ10がソフトに(衝撃なしに回生式かつ制御されて)始動かつ移動させられることを可能にする。これにより溶融物が加速させられ、
図1に示した型中空室21の方向に移動させられる。このことは、溶融物が型ゲートに到達し、前充填段階Iが終了するまで行われる。
【0059】
前充填段階Iにおける流し込みシリンダ10の回生手順により、低圧アキュムレータ56からは比較的少ない圧力媒体が取り出されるので、低圧アキュムレータ56は、回生手順なしの従来の構成よりも小さな容積を備えて構成されていてもよい。さらに、差動回路により引き起こされるより小さな圧力低下および1つまたは2つの呼び寸法だけ小さな第1の位置切換・比例弁27に基づき、流し込みシリンダ速度のより良好な分解が可能であるので、流し込みシリンダ10を、より低速かつより良好な再現精度で移動させることができる。
【0060】
回生手順の別の利点は、第1の位置切換・比例弁27における比較的少ない圧力損失と、圧力媒体が環状室15からタンク圧(0bar)に抗してではなく、低圧アキュムレータ56内の圧力に抗して流出するという事実とに基づいて、弁46、ピストン11および流し込みシリンダ10のケーシング13ならびに関連する制御ブロックにおいて、より少ないキャビテーションひいてはより少ない摩耗が生じる、という点にある。
【0061】
第1の位置切換・比例弁27と、第1の位置切換・比例弁27に直列接続された第2の位置切換・比例弁46とを制御することにより、底部室14内の圧力に、減圧または放圧の意味で能動的に影響を及ぼすことができる。つまりたとえば、底部室14内の圧力オーバーシュートを、この経路で簡単に減じることができる。
【0062】
さらに、底部室14内の圧力に、第1の位置切換・比例弁27および第2の位置切換・比例弁46から完全に独立して操作可能な第3の位置切換・比例弁29により影響を与えることができる。上述の独立した圧力媒体流れ経路23,44,25および弁27,46,29に基づいて、底部室14内の圧力の正確かつ動的な調整が生じる。
【0063】
融物が型ゲートに到達するや否や、本来の型充填過程(段階II)が開始される。型充填(射出)が低い型充填力で行われる場合、引き続き回生手順が行われる。対応して、溶融物が型ゲートに到達する時点に、第1の位置切換・比例弁27は、たとえば跳躍関数で、環状室15と底部室14との間の圧力媒体接続部が大きく開放されている位置に変位させられるので、溶融物は高い射出速度(最高10m/s)で型20内に射出される。この場合は引き続き回生手順を行い、つまり、環状室15から押し退けられた圧力媒体は、拡大している底部室14に供給される。
【0064】
このような回生を伴う手順は、段階IIにおいても従来の構成の場合よりも少ない圧力媒体を低圧アキュムレータ56から取り出せば済む、という利点を有している。
【0065】
射出が比較的高い型充填力で行われる場合には、溶融物が型ゲートに到達する時点に、第1の位置切換・比例弁27が、たとえば跳躍関数でその閉鎖位置にもたらされるので、環状室15と底部室14との間の圧力媒体接続が中断されている。並行して、第2の位置切換・比例弁46は、経過中に、たとえば跳躍関数でタンクTに向かって予め規定された開口横断面まで開かれる。このことは、溶融物が高い射出速度で型中空室21内に射出されるが、低い型充填力の場合の手順とは異なり、回生手順が行われ、したがって流し込みシリンダ10の最大の力を利用することができることにつながる。
【0066】
原則的には、荷重力に応じて第1の位置切換・比例弁27が段階IIにおいてようやくその遮断位置に変位させられる混合形態も可能である。
【0067】
段階IIを、完全に回生式に行うこともできる。しかしこのことは、段階IIにおいて要求される荷重力を回生回路内でも達成することができることを前提とする。この場合、第2の位置切換・比例弁46は、段階IIIにおいて環状室15を放圧するために迅速に切り換わる弁により代替することができる。
【0068】
型中空室2の完全な充填後に、保圧のための段階IIIへの移行が行われる。このためには、型充填段階IIの最後に第3の位置切換・比例弁29が、増圧器環状室32とタンクTとの接続部を開放する方向へのパイロット制御により制御される。同時に第2の位置切換・比例弁46が開かれる。発生する増圧器環状室32の放圧は、一次ピストン26を加速し、対応して底部室14内で高圧が形成されるので、ピストン11には高圧が加えられ溶融物は後圧縮される。所望の保圧の達成時に、圧力制御装置を介して第2の位置切換・比例弁46が再び閉鎖方向に戻される。第2の位置切換・比例弁46の閉鎖が十分迅速に行われない場合には、上述の放圧経路、すなわちタンクTに通じる位置切換・比例弁27および46の開制御により、底部室14内の圧力オーバーシュートを解消することができる。
【0069】
アクティブロジック弁41は、遮断弁と外部の逆止弁とによって代替することができる。
【0070】
上述の説明は、流し込み成形製品の高い品質のために、ピストン11および26の力制御および速度制御が、高い精度およびダイナミクスを有していなければならないことを示した。この制御のために重要な弁は、特に液圧式に操作可能な弁27,29,41および46であり、これらの弁27,29,41および46に制御圧力媒体を供給するために、制御圧力媒体アキュムレータSD1,SD2が設けられている。上述の弁27,29,41および46の機能性および操作は既に説明した。
【0071】
弁27,29,46のそれぞれの制御面74,76,78は、それぞれの制御圧力媒体管路80,82,84を介して、制御圧力媒体アキュムレータSD2に接続可能である。面A4は、上述のように、管路64および切換パイロット弁52を介して制御圧力媒体アキュムレータSD1に接続可能である。
【0072】
制御圧力媒体供給に対する要求は以下の通りである。アクティブロジック弁41を上述のように面4に荷重を加えることにより開放するために、流し込みプロセスの段階IIおよびIIIが制御される低圧アキュムレータ56,57内の圧力よりも上にある、少なくとも20bar、図示の実施例では30barである制御圧力が必要とされる。
【0073】
これに関して、弁27,29,46に提供される制御圧力が高ければ高いほど、段階I,II,IIIにおいて達成可能な、これらの弁の開閉時のダイナミクス(ステップ応答時間)が改善されるようになる。
【0074】
従来の解決手段では、制御圧力媒体アキュムレータは、液圧ポンプ34または別の適切な液圧ポンプを介して昇圧させられる。したがって、達成可能な最大の制御圧力は、これらの液圧ポンプが形成することができる最高圧に左右される。高い制御圧力により力制御および速度制御の高い精度およびダイナミクスが達成可能であるので、これらの液圧ポンプはこの高い圧力をカバーすることができなければならず、このことはエネルギおよびコストを要する。
【0075】
したがって本発明によれば、制御圧力媒体アキュムレータSD1,SD2が別の形式で昇圧可能である。このためには、本発明によれば昇圧経路86が設けられており、この昇圧経路86を介して、流し込みシリンダ10の環状室15は、制御圧力媒体アキュムレータSD1への分岐部88および制御圧力媒体アキュムレータSD2への分岐部90と流体接続可能である。昇圧経路86内に、分岐部の手前で、2位置切換弁92および調節可能な絞り装置94が直列に流体接続されている。各分岐部88,90は、それぞれ1つの減圧弁96,98を有しており、これらの減圧弁96,98を介して、存在する圧力をそれぞれの制御圧力媒体アキュムレータSD1,SD2において必要とされる制御圧力へと調整可能であり、したがって制限可能である。代替的には、各制御圧力媒体アキュムレータSD1,SD2に、それぞれの2位置切換弁および直列接続された調節可能な絞り装置を備えた昇圧経路が対応配置されていてもよい。
【0076】
両制御圧力媒体アキュムレータSD1,SD2において同一の制御圧が必要とされる場合、代替的に単に1つの減圧弁が昇圧経路86内に設けられていてもよい。制御圧力媒体を制御圧力媒体アキュムレータSD1,SD2のそれぞれから個別に取り出すことができることが規定されている場合、分岐部88,90ごとにそれぞれ1つの逆流防止弁を設けることができる。両方の制御圧力媒体アキュムレータSD1,SD2から常に同時に取り出される場合には、このような逆止弁は必ずしも必要ではない。
【0077】
したがって制御圧媒体アキュムレータSD1,SD2の昇圧は、本発明によれば、流し込みシリンダの環状室15を介して行うことができる。この場合、ピストン11のロッド側の操作面に対する底部側の操作面の面積比が、増圧器のように作用するので、底部室14内の比較的低い圧力を介して、環状室15内の比較的高い圧力、ひいてはそれぞれの制御圧力媒体アキュムレータSD1,SD2内の制御圧力も達成可能である。このような面積比は、およそ1.5と2.5~3との間であり、この面積比に基づいて対応する増圧を引き起こすことができる。換言すると、比較的僅かにしか増圧しない液圧ポンプ34により、底部室内の圧力に間接的に依存して高い制御圧を得ることができ、この制御圧が弁27,29,41および46または別の弁に、必要となる制御の高いダイナミクスおよび精度のために提供されている。
【0078】
制御圧力流体アキュムレータSD1,SD2の昇圧のためには、流し込みサイクルを使用することができる。昇圧のための手順の複数のバリエーションを、単独または組み合わせで使用することができる。
-第1の可能性:流し込みシリンダ10および増圧器24の上述の予圧後に、底部室14に圧力媒体を供給し、液圧ポンプ34により提供可能である圧力にまで昇圧させられる。このためには、液圧ポンプ34が、圧力媒体を、切換位置bへと操作されている予圧弁42を介して、かつ逆止弁72を介して底部室14にまで送る。結果として、ピストン11が緩慢に走り出し、位置切換弁92および昇圧経路86の絞り装置94が開いた状態で、流し込みシリンダの環状室15から減圧弁96,98を介して圧力媒体が制御圧力媒体アキュムレータSD1,SD2へと流れる。このようにして達成された制御圧は、ピストン11における面積比(環状面対ピストン面)に応じて、液圧ポンプ34により底部室14内に提供可能である圧力よりも高く、所望の場合には、減圧弁96,98を介して減圧することができる。
-別の1つの可能性は、制御圧力媒体アキュムレータSD1,SD2の昇圧を、昇圧経路86を介して流し込みシリンダ10の上述の回生手順(前充填段階)時に実行することである。このためには、2位置切換弁92が開かれ、ピストン11の回生手順時に、制御圧力媒体アキュムレータSD1,SD2が調節可能な絞り装置94および減圧弁96,98を介して昇圧させられる。
-別の1つの可能性は、型充填段階または射出段階における昇圧経路86を介した制御圧力媒体アキュムレータSD1,SD2の昇圧である。この場合、制御圧力媒体アキュムレータSD1,SD2は、射出時に環状室15内に生じる制御圧力にまで昇圧することができる。
-別の1つの可能性として、(排出)弁46を閉制御することによって、ピストン11が「射出」時に終端位置に達する前に制動される段階が提供される。これにより、環状室15内の圧力が増大し、昇圧経路86を介して制御圧力媒体アキュムレータSD1,SD2を昇圧することができる。
【0079】
これらの可能性から成る組み合わせを選択することもできる。
【0080】
本出願人は、少なくとも1つの制御圧力媒体アキュムレータの昇圧のためのこのような手順および/またはこの昇圧を含む流し込みユニットを制御する方法に対して特許を要望しまたは独立請求権を整える権利を有する。
【0081】
弁27を介して、前充填段階におけるピストン11の速度調整を行うことができ、制御圧力媒体アキュムレータSD1,SD2の昇圧時の体積流量変化を補償することができる。
【0082】
開示されているのは、一次成形機のための流し込みユニットの液圧式の制御装置であり、液圧式の制御装置の流し込みシリンダは、液圧式に操作可能な弁装置を介して、流し込み段階中の力および速度を時間に応じて制御可能である。制御圧力媒体の提供は、昇圧可能な圧力媒体アキュムレータまたは昇圧可能な圧力媒体リザーバを介して実現されている。本発明によれば、流し込みシリンダの環状室から圧力媒体アキュムレータまたは圧力媒体リザーバに至るまでの昇圧経路が設けられているので、流し込みシリンダのピストンの増圧が昇圧のために利用され、昇圧のために設けられた圧力媒体源は低い圧力レベルを有していてもよい。
【手続補正書】
【提出日】2022-03-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出成形機の流し込みユニット(1)のための液圧式の制御装置であって、
ピストンにより分離されているロッド側の操作室(15)と底部側の操作室(14)とを有する流し込みシリンダ(10)であって、前記ピストンに底部側の操作面と、該底部側の操作面よりも小さなロッド側の操作面とが形成されている流し込みシリンダ(10)と、
液圧式に操作可能な弁装置(27,29,41,46)であって、該弁装置(27,29,41,46)を介して、ピストン力およびピストン速度が、前記操作室(14,15)の、圧力媒体源(34)および圧力媒体槽(T)との、かつ/または互いに対する選択的な接続により、流し込みの複数の段階(I,II,III)において制御可能である、弁装置(27,29,41,46)と
を備え、
昇圧可能な少なくとも1つの制御圧力媒体アキュムレータ(SD1,SD2)が設けられており、該制御圧力媒体アキュムレータ(SD1,SD2)を介して、前記弁装置(27,29,41,46)を液圧式に操作するために制御圧力媒体が利用可能である、液圧制御装置において、
昇圧のために前記ロッド側の操作室(15)が前記少なくとも1つの制御圧力媒体アキュムレータ(SD1,SD2)に流体接続可能である昇圧経路(23,86,88,90)を備えることを特徴とする、液圧式の制御装置。
【請求項2】
前記弁装置(27,29,41,46)の第4の弁(41)が、アクティブロジック弁(41)として構成されており、該アクティブロジック弁(41)を介して、前記底部側の操作室(14)が、圧力媒体アキュムレータ(56)に前記圧力媒体源(34)に依存せずに流体接続可能である、請求項1記載の制御装置。
【請求項3】
前記弁装置(27,29,41,46)の第1の弁(27)を介して、前記ロッド側の操作室(15)が第1の流れ経路(23)を介して前記底部側の操作室(14)に接続可能である、請求項2記載の制御装置。
【請求項4】
少なくとも2つの制御圧力媒体アキュムレータ(SD1,SD2)を備え、一方の制御圧力媒体アキュムレータ(SD1)により、前記第1の弁(27)に制御圧力媒体が供給可能であり、他方の制御圧力媒体アキュムレータ(SD2)により、前記第4の弁(41)に制御圧力媒体が供給可能である、請求項3記載の制御装置。
【請求項5】
前記弁装置(27,29,41,46)の第2の弁(46)を介して、前記ロッド側の操作室(15)が第2の流れ経路(44)を介して前記圧力媒体槽(T)に流体接続可能である、請求項2から4までのいずれか1項記載の制御装置。
【請求項6】
少なくとも2つの制御圧力媒体アキュムレータ(SD1,SD2)を備え、一方の制御圧力媒体アキュムレータ(SD1)により、前記第2の弁(46)に制御圧力媒体が供給可能であり、他方の制御圧力媒体アキュムレータ(SD2)により、前記第4の弁(41)に制御圧力媒体が供給可能である、請求項5記載の制御装置。
【請求項7】
保圧段階において前記底部側の操作室(14)内の圧力を高めるように設計されている液圧式の増圧器(24)を備え、前記弁装置(27,29,41,46)の第3の弁(29)を介して、前記増圧器(24)の作動のために、前記増圧器(24)の圧力室(32)に開口する第3の圧力媒体流れ経路が開制御可能である、または形成可能である、請求項2から6までのいずれか1項記載の制御装置。
【請求項8】
少なくとも2つの制御圧力媒体アキュムレータ(SD1,SD2)を備え、一方の制御圧力媒体アキュムレータ(SD1)により、前記第3の弁(29)に制御圧力媒体が供給可能であり、他方の制御圧力媒体アキュムレータ(SD2)により、前記第4の弁(41)に制御圧力媒体が供給可能である、請求項7記載の制御装置。
【請求項9】
前記昇圧経路(86)内に、遮断弁(92)が設けられている、請求項1から8までのいずれか1項記載の制御装置。
【請求項10】
前記昇圧経路(86)内に、調節可能な絞り装置(94)が設けられている、請求項1から9までのいずれか1項記載の制御装置。
【請求項11】
前記昇圧経路(86)が、複数の制御圧力媒体アキュムレータ(SD1,SD2)へと分岐している(88,90)、請求項1から10までのいずれか1項記載の制御装置。
【請求項12】
前記制御圧力媒体アキュムレータ(SD1,SD2)の少なくとも1つに、圧力調整弁(96,98)が対応配置されており、かつ/または1つまたは2つの前記制御圧力媒体アキュムレータの制御圧力が、前記底部側の操作室内の公称圧力および前記流し込みシリンダのピストンにおける面積比を介して決定可能である、請求項1から11までのいずれか1項記載の制御装置。
【外国語明細書】