IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 合同会社グロリアスコネクションの特許一覧

<>
  • 特開-除菌装置 図1
  • 特開-除菌装置 図2
  • 特開-除菌装置 図3
  • 特開-除菌装置 図4
  • 特開-除菌装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022119220
(43)【公開日】2022-08-17
(54)【発明の名称】除菌装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/20 20060101AFI20220809BHJP
【FI】
A61L9/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021016169
(22)【出願日】2021-02-04
(71)【出願人】
【識別番号】520155653
【氏名又は名称】合同会社グロリアスコネクション
(74)【代理人】
【識別番号】100216471
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬戸 麻希
(72)【発明者】
【氏名】吉田 敬太
【テーマコード(参考)】
4C180
【Fターム(参考)】
4C180AA07
4C180DD03
4C180HH05
4C180HH11
4C180HH19
(57)【要約】
【課題】 気体に同伴される菌等を紫外光照射にて除菌する除菌装置において、菌等への照射時間を長くでき、有効な除菌を手間なく継続できるものを提供する。
【解決手段】 この除菌装置100の筐体10は、空気の流入口14を、上下方向である第1方向上側に備えるとともに、空気の流出口15を、第1方向上側に備えている。送風機41は、筐体10の内部の第1方向下側に設けられている。水銀ランプである光源31は、筐体10の内部であって、第1方向と直交する第2方向に沿った線上に位置している。流入口14から流入した空気は、第1方向の上側および下側を交互に往来するよう筐体10の内部で複数回旋回した後、流出口15から流出する。光源31のUV-C領域の紫外光は、空気が旋回する領域に向けて照射される。

【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部と連通する気体の流入口および流出口を有する筐体と、
前記流入口を介して前記筐体の内部へ前記気体を流入させ、かつ、前記流出口を介して前記筐体の外部へ前記気体を流出させる送風機と、
前記筐体の内部における前記気体に向けて紫外光を照射する光源と、
を少なくとも備え、
前記筐体の内部にて、前記気体に同伴される菌またはウィルスを、前記紫外光の照射により除菌または不活性化する除菌装置において、
前記筐体は、
第1方向が規定され、前記第1方向の一端側に前記流入口を備えるとともに、前記第1方向の前記一端側とは逆の他端側に前記流出口を備え、
前記送風機は、
前記筐体の内部であって、前記第1方向の前記他端側に設けられ、
前記流入口から前記筐体の内部に流入した前記気体は、
前記第1方向の前記一端側および前記他端側を交互に往来するよう前記筐体の内部で旋回した後、前記流出口から前記筐体の外部へ流出する除菌装置。
【請求項2】
請求項1に記載の除菌装置において、
前記筐体は、
前記第1方向に沿った線と平行な側面と、前記第1方向の前記他端側において前記側面と隣り合う底面と、を有し、
前記第1方向の前記一端側における前記側面に前記流入口を備えるとともに、前記第1方向の前記他端側における前記底面に前記流出口を備え、
前記送風機は、
前記筐体の内部であって、前記第1方向の前記他端側における前記底面に設けられた除菌装置。
【請求項3】
請求項2に記載の除菌装置において、
前記筐体の側面は、
前記第1方向に沿った線に対して所定の曲率をもつ曲面部を含み、前記曲面部に複数個の前記流入口を備えた除菌装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の除菌装置において、
前記光源は、
前記筐体の内部であって、前記第1方向と直交する第2方向に沿った線上に設けられ、前記気体が旋回する領域に向けて前記紫外光を照射する除菌装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の除菌装置において、
前記光源の前記紫外光が有する波長は、
100nmから280nmの範囲にある除菌装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の除菌装置であって、
更に、前記筐体が設置面よりも上方に位置するように前記筐体を保持するスタンドを備えた除菌装置。
【請求項7】
請求項6に記載の除菌装置において、
前記スタンドは、
前記設置面と接するベースと、
前記ベースおよび前記筐体との間に介装され、長軸が前記筐体の前記第1方向に沿った線と平行である支柱と、を備えた除菌装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体に同伴される菌またはウィルスを、紫外光の照射により除菌または不活性化する除菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、除菌装置として、気体に同伴される菌またはウィルスを、紫外光の照射により除菌または不活性化するものが知られている。例えば、下記特許文献1、2では、筐体と、送風機と、光源と、を備えた除菌装置が開示されている。筐体は、内部と連通する気体の流入口および流出口を有する。送風機は、流入口を介して筐体の内部へ気体を流入させ、かつ、流出口を介して筐体の外部へ気体を流出させる。光源は、筐体の内部における気体に向けて紫外光を照射する。
【0003】
この種の除菌装置において、除菌または不活性化のメカニズムとしては、紫外光により、細胞核内(またはカプシド内)のDNA・RNAの構造を変化させる。これにより、細胞分裂の機能が停止し、菌またはウィルスの増殖が抑制される。従って、有効な除菌または不活性化を達成するには、菌またはウィルスに対し、紫外光を十分に照射することが望ましい。
【0004】
この観点から、特許文献1に開示の除菌装置においては、送風機にて、気体が筐体下部より流入し、筐体上部から流出するようになっている。筐体は、円筒形状を呈しており、気体は、円筒内周に沿って旋回する。このため、筐体内部での気体の滞留時間の増大、及び、内壁への菌等の付着を狙うことができる。特許文献2に開示の除菌装置においては、送風機にて、気体が筐体側面より流入し、筐体上部から流出するようになっている。筐体は、気体の流通路にフィルタを備えており、フィルタへの菌等の付着が期待される。このように、菌等を所定部材に付着させて、菌等への紫外光の照射時間を長くするための構想がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-183126号公報
【特許文献2】実用新案登録第3223623号公報
【発明の概要】
【0006】
上記特許文献1に開示の除菌装置では、気体が旋回するものの、円筒内周に沿ってのみ旋回するため、旋回半径および旋回回数が限られる。従って、滞留時間を十分に増大させることが難しい。加え、菌等は気流に追従しやすく、気流からの分離が十分になされない。これは、菌等のサイズが非常に小さいためである。即ち、内壁への菌等の付着は不十分となる可能性が高く、上記照射時間を長くすることは難しい。上記特許文献2に開示の除菌装置では、フィルタへの菌等の付着が達成され得るものの、フィルタには、気体に同伴される塵や埃も同様に付着する。有効な除菌または不活性化を継続するには、定期的なフィルタ浄化または交換が必要となり、大きな手間を要する。
【0007】
以上より、菌またはウィルスに対し、紫外光の照射時間を長くすることができ、かつ、有効な除菌または不活性化を、手間なく継続できる除菌装置が望まれている。
【0008】
本発明の目的は、気体に同伴される菌またはウィルスを、紫外光の照射により除菌または不活性化する除菌装置において、菌またはウィルスに対し、紫外光の照射時間を長くすることができ、かつ、有効な除菌または不活性化を、手間なく継続できるものを提供することにある。
【0009】
本発明による除菌装置は、内部と連通する気体の流入口および流出口を有する筐体と、流入口を介して筐体の内部へ気体を流入させ、かつ、流出口を介して筐体の外部へ気体を流出させる送風機と、筐体の内部における気体に向けて紫外光を照射する光源と、を少なくとも備える。本発明による除菌装置は、気体に同伴される菌またはウィルスを、紫外光の照射により除菌または不活性化する。
【0010】
本発明による除菌装置の特徴は、筐体が、第1方向が規定され、第1方向の一端側に流入口を備えるとともに、第1方向の一端側とは逆の他端側に流出口を備え、送風機が、筐体の内部であって、第1方向の他端側に設けられ、流入口から筐体の内部に流入した気体が、第1方向の一端側および他端側を交互に往来するよう筐体の内部で旋回した後、流出口から筐体の外部へ流出することにある。
【0011】
本発明によれば、筐体において、第1方向の一端側に流入口が備えられる。加え、第1方向の他端側に流出口および送風機が備えられる。これにより、筐体内部で、第1方向の一端側および他端側を交互に往来するよう、気体が旋回する。従って、第1方向の一端側および他端側を長くすることで、旋回半径を大きくでき、旋回回数を多くすることができる。この結果、気体の流入時から流出時までの滞留時間を、長くすることができる。菌またはウィルスは旋回気流に追従するため、菌またはウィルスの筐体内部での滞留時間も、長くすることができる。この状態で気体に向けて紫外光が照射されることで、菌またはウィルスに対し、紫外光の照射時間を長くすることができる。更に、筐体内部の気体の流通路には、フィルタ等が不要となる。以上より、菌またはウィルスに対し、紫外光の照射時間を長くすることができ、かつ、有効な除菌または不活性化を、手間なく継続できる。
【0012】
上記発明に係る除菌装置においては、筐体が、第1方向に沿った線と平行な側面と、第1方向の他端側において側面と隣り合う底面とを有し、第1方向の一端側における側面に流入口を備えるとともに、第1方向の他端側における底面に流出口を備え、送風機が、筐体の内部であって、底面に設けられると好適である。
【0013】
上記発明に係る除菌装置においては、筐体の側面が、第1方向に沿った線に対して所定の曲率をもつ曲面部を含み、曲面部に複数個の流入口を備えると更に好適である。
【0014】
上記発明に係る除菌装置においては、光源が、筐体の内部であって、第1方向と直交する第2方向に沿った線上に設けられ、気体が旋回する領域に向けて紫外光を照射すると好適である。
【0015】
上記発明に係る除菌装置においては、光源の紫外光が有する波長が、100nmから280nmの範囲にあると更に好適である。
【0016】
上記発明に係る除菌装置においては、更に、筐体が設置面よりも上方に位置するように筐体を保持するスタンドが、備えられると好適である。
【0017】
上記発明に係る除菌装置においては、スタンドが、設置面と接するベースと、ベースおよび筐体との間に介装され、長軸が筐体の第1方向に沿った線と平行である支柱と、を備えると更に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る除菌装置の全体構成を示す三面図である。
図2図1に示した除菌装置が備える筐体の縦断面図である。
図3図1に示した除菌装置が備える筐体の縦断面図である。
図4図1に示した除菌装置が備える筐体の横断面図である。
図5図1に示した除菌装置が備える筐体の内部において、空気が旋回している状態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明による除菌装置の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施形態に係る除菌装置100の全体構成を示す三面図である。なお、以下の説明において、上下方向、前後方向、左右方向は、各図に示すように、除菌装置100を利用する者から見た上下方向、手前奥手方向、左右方向に相当しており、各図中に適宜される矢印の方向に対応している。
【0021】
除菌装置100は、筐体10と、スタンド20と、を備えている。金属製の筐体10は、設置面Gよりも上方に位置するように、スタンド20により保持される。筐体10においては、上下方向に延びる中心軸上に沿って、第1方向が規定される(図1(b)参照)。平面図である図1(a)に示すように、筐体10は、略半円柱状を呈しており、側面11の前側に、第1方向に対して所定の曲率をもつ曲面部11aを有している。一方、側面11の後側に、平面部11bを有している。
【0022】
側面図である図1(b)に示すように、除菌装置100は、筐体10の内部であって平面部11bの内側に、殺菌灯ユニット30を備えている。殺菌灯ユニット30は、後述のように光源31等を含んでいる(図2参照)。筐体10の側面11は、第1方向に沿った線と平行である。筐体10における第1方向の上側の一端および下側の他端には、頂面12および底面13が規定される。頂面12および底面13は、互いに平行で側面11とそれぞれ隣り合う。
【0023】
正面図である図1(c)に示すように、除菌装置100は、筐体10の内部であって底面13の内側に、ファンユニット40を備えている。ファンユニット40は、後述のように送風機41等を含んでいる(図2図3図4参照)。筐体10は、側面11の曲面部11aに、流入口14を備えている。流入口14は、3つの開口で構成される。各流入口14は、丸角長方形をそれぞれ呈しており、第1方向の上側の一端側に、同じ高さで左右方向にそれぞれ並んでいる。各流入口14は、筐体10の内部空間とそれぞれ連通している。これにより、筐体10の外部の空気(気体に相当)は、流入口14を介し、筐体10の内部へ流入可能となっている。また、筐体10は、底面13に流出口15を備えている。流出口15は、1つの開口で構成される。流出口15は、円形を呈しており、後述するプロペラ41bの回動円周に対応するよう開口している(図4参照)。また、筐体10の内部空間は、送風機41を介して流通口15を経て、筐体10の外部に連通するようになっている。これにより、筐体10の内部の空気(気体に相当)は、流出口15を介し、筐体10の外部へ流入可能となっている。
【0024】
このように、筐体10は、第1方向の上側の一端側に、流入口14を有するとともに、第1方向の下側の他端側に、流出口15を有している。送風機41(ファンユニット40)は、筐体10の内側であって、第1方向の下側の他端側に設けられている。
【0025】
スタンド20は、支柱21と、ベース22と、を備えている。支柱21は、金属製の円管であり、長軸が上下方向に延びる。支柱21の長軸は、図1(b)に示すように、第1方向に沿った線と平行である。支柱21の上側端部は、筐体10の底面13における後側部位と接続されている。支柱21の下側端部は、ベース22の上側における中心部位と接続されている。樹脂製のベース22は、四股構造を呈しており、下側にて車輪を介し接地面Gと接する。即ち、支柱21は、筐体10およびベース22の間に介装されている。
【0026】
本例では、接地面Gから筐体10の頂面12までの上下方向における高さHが、略1200mmとなるように、支柱21の長さが調整されている。この高さHは、人の立位状態において、筐体10の流入口14に、人の呼気が効率的に導入されるよう調整されたものである。なお、電源ケーブル50は、支柱21の下側から、支柱21の内部を介し上側まで導かれ、筐体10内の殺菌灯ユニット30およびファンユニット40とそれぞれ電気的に接続されている。電源ケーブル50を介して、殺菌灯ユニット30およびファンユニット40に対し、AC100Vの電圧が印加可能となっている。
【0027】
図2および図3は、図1(a)の前後方向におけるA-A切断線に沿った筐体10の縦断面図(A-A断面図)、および、A-A切断線と直交するB-B切断線に沿った筐体10の縦断面図(B-B断面図)である。図4は、図1(c)の左右方向におけるC-C切断線に沿った筐体10の横断面図(C-C断面図)である。
【0028】
図2図3、および、図4に示すように、ファンユニット40は、筐体10の内部であって、底面13における左右方向略中央の前側部位に設けられている。ファンユニット40は、送風機41と、ファンセード42とを備えている。送風機41は、図4に示すように、略直方体形状のケーシング41aを備え、ケーシング41a内部にプロペラ41bが収容されている。ケーシング41aには、プロペラ41bと筐体10の内部空間とを連通する所定の開口が、複数設けられている。プロペラ41bは、ケーシング41a中心における上下方向の軸と同軸的に収容されており、この軸まわりに回動可能となっている。即ち、本例の送風機41は、軸流ファンである。
【0029】
図3に示すように、送風機41のケーシング41aの下方は、筐体10の内部底面13に固定されている。ケーシング41aの下方に対応する底面13には、流出口15が備えられている。送風機41のケーシング41aの上方には、金属製のファンセード42が、設けられている。ファンセード42は、四角柱筒状を呈した側壁42aをケーシング41aと同軸的に備えている。側壁42aは、ケーシング41aの上端四辺から上方向に延設されている。また、図4に示すように、ファンセード42は、側壁42aの中央部から左右両方向に延びる羽根板42bを備えている。羽根板42bは、側壁42aの上端を覆うように設置されている。このように、送風機41は、その上方にて側壁42aおよび羽根板42bにより覆われている。ファンセード42により、送風機41により生じる気流が、整流されるようになっている。
【0030】
図2に示すように、ファンユニット40の後側に、直方体形状の配線ケース60が設けられている。配線ケース60は、筐体10の内部の底面13および側面11の平面部11bに、それぞれ接するように設置されている。配線ケース60には、殺菌灯ユニット30の配線、ファンユニット40の配線、電源ケーブル50の端部、各種配線を接続する接続端子等が、まとめて収容されている。
【0031】
図2に示すように、配線ケース60の上側に、殺菌灯ユニット30が設けられている。殺菌灯ユニット30は、筐体10の内部であって、側面11の平面部11bに設けられている。殺菌灯ユニット30は、光源31と、反射板32とを備えている。光源31は、筐体10における第1方向と直交する第2方向に沿った線上に設けられている。また、光源31は、側面11の平面部11bにおいて、左右方向略中央部の上側に位置する。光源31は、紫外光を照射可能な水銀ランプであり、紫外光が有する波長は、100nmから280nmの範囲のUV-C領域内にある。本例では、照射される紫外光の波長スペクトルは、波長が253.7nmのとき、強度ピークを有する。この波長は、除菌または不活性化に際し、他の波長に比して大きな効果を奏するものである。
【0032】
図2に示すように、反射板32は、紫外光を反射する素材で構成されており、光源31の後側から下側にかけて設けられている。反射板32は、内側に向かって湾曲しており、光源31から照射される紫外光のうち、光源31の後側および下側に向かう紫外光を反射させ、紫外光が前側に向かうよう光路変更が可能となっている。
【0033】
なお、図3に示すように、ON/OFF切替可能な電源スイッチ70が、筐体10の外側に備えられている。電源スイッチ70は、ON時には、電源ケーブル50と、殺菌灯ユニット30およびファンユニット40との電気的接続を維持し、OFF時にはその電気的接続を遮断する。
【0034】
上述のように構成された除菌装置100において、電源スイッチ70がONにされると、電源ケーブル50を介し、殺菌灯ユニット30およびファンユニット40に、電圧がそれぞれ印加される。これにより、光源31から紫外光が照射され、同時に、送風機41のプロペラ41bが回動する。
【0035】
図5の空気の流れを示す幅広矢印に示すように、送風機41の駆動により、筐体10の外部の空気が、流入口14を介して筐体10の内部に流入する。図5は、図2に対応するA-A断面図である。流入した空気は、第1方向における上側から下側に向かって流動し、ファンセード42の近傍まで到達する。到達した気流は、ファンセード42における羽根板42bの頂面にて反射されて、空気は、第1方向における下側から上側に向かって折り返し流動する。上側の流入口14近傍に到達した空気は、再び下側に向かって流動していく。この一連の空気の流動が継続することで、流入口14から筐体10の内部に流入した空気が、第1方向の上側(一端側)および下側(他端側)を交互に往来するよう筐体10の内部で複数回旋回した後、ファンセード42における羽根板42bの側面を介して、下側の流出口15から筐体10の外部へ流出する。
【0036】
図5の光路を示す破線矢印に示すように、光源31から照射される紫外光は、上述のように旋回状態の空気に対し、光源31から直接的に到達するのに加え、反射板32を介して間接的にも到達する。このため、光源31から照射される紫外光の全てが、無駄なく利用される。
【0037】
以上説明したように、本発明の実施形態にかかる除菌装置100によれば、筐体10において、第1方向の上側に流入口14が備えられる。加え、第1方向の下側に送風機41および流出口15が備えられる。これにより、筐体10の内部で、第1方向の上側および下側を交互に往来するよう、空気が旋回する。従って、筐体10における第1方向の上側から下側までの距離が長く、旋回半径を大きくでき、旋回回数を多くすることができる。この結果、空気の流入時から流出時までの滞留時間を、長くすることができる。菌またはウィルスは旋回気流に追従するため、菌またはウィルスの筐体10の内部での滞留時間も、長くすることができる。この状態で空気に向けて紫外光が照射されることで、菌またはウィルスに対し、紫外光の照射時間を長くすることができる。更に、筐体10の内部の空気の流通路には、フィルタ等が不要となる。以上より、菌またはウィルスに対し、紫外光の照射時間を長くすることができ、かつ、有効な除菌または不活性化を、手間なく継続できる。
【0038】
また、上記実施形態においては特に、流入口14が、側面11の上側部位に設けられ、送風機41及び流出口15が、筐体10の内部の底面13に設けられている。これにより、第1方向に沿った空気の旋回を確実に生じさせることができる。
【0039】
また、上記実施形態においては特に、側面11は、曲面部11aを含み、前記曲面部11aに3個の流入口14が設けられている。複数個の流入口14により、空気が流通する際の圧力損失を低減でき、送風機41の動力を低減できる。従って、消費電力を低減することができる。また、曲面部11aに流入口14が設けられるので、流入口14を複数個備える場合であっても、十分に側面11の面積を容易に確保することができ、筐体10の大型化を抑制できる。
【0040】
また、上記実施形態においては特に、光源31が、筐体10の内部の第2方向に沿った線上に設けられている。この光源31より、空気が旋回する領域に向けて、紫外光が照射されるようになっている。これにより、菌またはウィルスに対して、より効果的に紫外光を照射することができる。
【0041】
また、上記実施形態においては特に、光源31の紫外光において、スペクトルピークに対応する波長は253.7nmであり、100nmから280nmの範囲のUV-C領域にある。従って、紫外光が照射された菌またはウィルスを、確実に除菌または不活性化することができる。
【0042】
また、上記実施形態においては特に、設置面Gから所定の高さHをもって、筐体10が設置面Gよりも上方に位置するように、筐体10がスタンド20で保持される。これにより、筐体10を、人の顔近傍に近づけることができ、筐体10の流入口14に、人の呼気を効率的に導入させることができる。また、スタンド20が備えられているので、除菌装置100を容易に移動設置することができる。
【0043】
また、上記実施形態においては特に、スタンド20が、支柱21およびベース22を備え、筐体10およびベース22の間に介装された支柱21の長軸が、第1方向に沿った線と平行となっている。このため、除菌装置100の重心を、スタンド20のベース22側に移すことができ、除菌装置100を安定して設置できる。
【0044】
なお、本発明による除菌装置における構成要素の形状、材料等は、特許請求の範囲のものであればよく、上記実施形態のものに限定されない。
【0045】
上記実施形態の除菌装置100においては、スタンド20が備えらえているが、これに代えて、変形例として、例えば、筐体10を吊り下げ可能に構成してもよいし、筐体10を壁掛け可能に構成してもよい。
【0046】
上記実施形態の除菌装置100においては、筐体10に流入させて除菌する対象の気体が空気であるが、これに代えて、変形例として、例えば、除菌装置100が高濃度酸素の部屋等にて用いられ、高濃度酸素を除菌する対象としてもよい。
【0047】
上記実施形態の除菌装置100においては、光源31として水銀ランプが用いられているが、これに代えて、変形例として、例えば、265nmまたは280nmの波長をもつ紫外光を照射するLEDが、用いられてもよい。なお、光源31は、波長が100nmから280nmの範囲のUV-C領域内となる光を照射できるものであればよく、これらに限定されない。
【符号の説明】
【0048】
100…除菌装置、10…筐体、11…側面、11a…曲面部、13…底面、14…流入口、15…流出口、20…スタンド、21…支柱、22…ベース、31…光源、41…送風機、G…設置面
図1
図2
図3
図4
図5