(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022119252
(43)【公開日】2022-08-17
(54)【発明の名称】乗物用コインホルダ
(51)【国際特許分類】
B60N 3/12 20060101AFI20220809BHJP
B60R 7/04 20060101ALI20220809BHJP
B60N 3/00 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
B60N3/12
B60R7/04 T
B60N3/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021016227
(22)【出願日】2021-02-04
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】309018445
【氏名又は名称】明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 康介
(72)【発明者】
【氏名】川内 浩志
(72)【発明者】
【氏名】澤田 吉宏
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 史尚
(72)【発明者】
【氏名】成松 哲哉
(72)【発明者】
【氏名】江口 徳亨
(72)【発明者】
【氏名】加藤 武蔵
【テーマコード(参考)】
3B088
3D022
【Fターム(参考)】
3B088BA02
3D022CA14
3D022CC08
3D022CD06
(57)【要約】
【課題】コインを簡単に取り出すことが可能で、通常時には外部から見難く、さらに、収納操作が簡単な乗物用コインホルダを提供する
【解決手段】乗物用内装材10に固定的に設けられて乗物室側に向けて開口する収容部31において、収容部31の一端側に設けられた当接部23Bと、第1付勢部材81によって当接部23Bに向かって付勢された可動部材40とによって、複数のコインを挟持可能な構成の乗物用コインホルダ20であって、収容部31においてコインを重ね合わせる方向に移動可能に設けられて収容部31の開口の一部を塞ぐカバー部材50と、カバー部材50を一端側に向かって付勢する第2付勢部材82とを備え、第2付勢部材82によって付勢されたカバー部材50と、当接部23Bとの間に、コインを取り出すための間隙G1が形成されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗物用内装材に固定的に設けられて乗物室側に向けて開口する凹状の収容部において、前記収容部の一端側に設けられた当接部と、第1付勢部材によって前記当接部に向かって付勢された可動部材とによって、複数のコインを厚み方向に重ね合わせた状態で挟持可能な構成の乗物用コインホルダであって、
前記収容部において前記コインを重ね合わせる方向に移動可能に設けられて前記収容部の開口の少なくとも一部を塞ぐカバー部材と、前記カバー部材を前記一端側に向かって付勢する第2付勢部材とを備え、
前記第2付勢部材によって付勢された前記カバー部材と、前記当接部との間に、コインを取り出すための間隙が形成されている乗物用コインホルダ。
【請求項2】
前記カバー部材は、乗物室と反対側に延び出したカバー部材側当接部を有し、前記可動部材は、前記カバー部材側当接部に対して、前記収容部の他端側から当接可能とされている請求項1に記載の乗物用コインホルダ。
【請求項3】
前記カバー部材は、乗物室と反対側に延び出したカバー部材側補助壁を備えており、
前記収容部は、前記カバー部材側補助壁が前記収容部の他端側から当接される収容部側補助壁を備えており、
前記第2付勢部材によって付勢された前記カバー部材は、前記カバー部材側補助壁が前記収容部側補助壁に当接することで前記一端側への移動が規制され、前記カバー部材と前記当接部との間に前記間隙が形成されるようになっている請求項1または請求項2に記載の乗物用コインホルダ。
【請求項4】
前記第1付勢部材の前記他端側は前記収容部側補助壁に取り付けられており、前記第2付勢部材の前記一端側は前記カバー部材側補助壁に取り付けられている請求項3に記載の乗物用コインホルダ。
【請求項5】
前記収容部と前記可動部材とは、前記コインを重ね合わせる方向に沿って形成された第1凹部および第1凸部により凹凸係合した状態とされ、前記可動部材は前記収容部に対して移動可能とされている請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の乗物用コインホルダ。
【請求項6】
前記可動部材と前記カバー部材とは、前記コインを重ね合わせる方向に沿って形成された第2凹部および第2凸部により凹凸係合した状態とされ、相対的に移動可能とされている請求項1から請求項5のいずれか一項記載の乗物用コインホルダ。
【請求項7】
乗物用内装材に固定するための固定部材をさらに備え、前記固定部材は、前記収容部の前記開口の周囲のうち少なくとも前記コインを重ね合わせる方向に沿って設けられており、
前記カバー部材は、前記カバー部材の縁部が前記固定部材と前記開口の周囲との間に挟まれた状態で前記収容部に対して移動可能とされている請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の乗物用コインホルダ。
【請求項8】
前記カバー部材には、前記収容部の内部を外側から視認可能な貫通孔が設けられている請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の乗物用コインホルダ。
【請求項9】
前記収容部の前記一端側には、前記コインが前記当接部と前記可動部材とによって挟持された状態において、前記コインの前記当接部側の面を露出させる指かけ部が設けられている請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の乗物用コインホルダ。
【請求項10】
当該乗物用コインホルダは、車両用ドアトリムにおけるアームレスト上に、前記コインを重ね合わせる方向が車両前後方向となる状態で設けられている請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の乗物用コインホルダ。
【請求項11】
前記車両用ドアトリムには、ドアを開閉するために乗員が把持可能な上方に開口するプルハンドルが設けられており、
当該乗物用コインホルダの前方側が前記プルハンドルの内部に突出した状態で設けられている請求項10に記載の乗物用コインホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗物用コインホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば自動車等の乗物のドアトリムやコンソールボックスに、複数のコインを収容するためのコインホルダが設けられる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなコインホルダは、駐車代金の支払いやドライブスルー等で手軽に支払いができるようにするため、乗員が座席に座った状態で簡単に取り出せるドアトリムに設けられると便利である。しかし、コインホルダをドアトリムに設ける場合には、乗物の外部から容易にコインが見えるため、ドアガラスが破壊されて盗難にあう虞がある。従って、コインホルダをカバー等で覆ったり、ドアトリムに対して回転させることで、外部から見えないようにすることが好ましいが、コインを取り出した後にそのような操作を手動で行うことは煩わしく、操作し忘れる場合も考えられる。
【0005】
また、コインホルダへのコインの収納はできるだけ速やかに行いたいが、複数のコインを一度に収納する操作がし難い、あるいは、できない構成のものもある。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、コインを簡単に取り出すことが可能で、通常時には外部から見難く、さらに、収納操作が簡単な乗物用コインホルダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、乗物用内装材に固定的に設けられて乗物室側に向けて開口する凹状の収容部において、前記収容部の一端側に設けられた当接部と、第1付勢部材によって前記当接部に向かって付勢された可動部材とによって、複数のコインを厚み方向に重ね合わせた状態で挟持可能な構成の乗物用コインホルダであって、前記収容部において前記コインを重ね合わせる方向に移動可能に設けられて前記収容部の開口の少なくとも一部を塞ぐカバー部材と、前記カバー部材を前記一端側に向かって付勢する第2付勢部材とを備え、前記第2付勢部材によって付勢された前記カバー部材と、前記当接部との間に、コインを取り出すための間隙が形成されている。
【0008】
このような構成によれば、間隙がコインを取り出すためのスロットとして機能するから、コインを取り出す際にいちいちカバー部材を開かなくて済む。また、コインを取り出した後には、一端側に付勢された可動部材により次のコインが間隙内に速やかに移動される。収容部内にコインを収納する際には、カバーを部材大きく開いて複数枚を一括に収納することができる。また、カバー部材は第2付勢部材により一端側に付勢されているから、収納後にいちいち手動でカバー部材を閉じる必要がない。このため、閉じ忘れがなく、外部から収容部内のコインが見えないようになっているから、盗難の心配もない。
【0009】
前記カバー部材は、乗物室と反対側に延び出したカバー部材側当接部を有し、前記可動部材は、前記カバー部材側当接部に対して、前記収容部の他端側から当接可能とされていてもよい。
【0010】
このような構成によれば、可動部材はカバー部材側当接部に対して他端側から当接するようになっているから、カバー部材を他端側に向けて開く際には、可動部材もカバー部材とともに他端側に移動される。したがって、コインを収容部内に簡単に収納することができる。
【0011】
前記カバー部材は、乗物室と反対側に延び出したカバー部材側補助壁を備えており、前記収容部は、前記カバー部材側補助壁が前記収容部の他端側から当接される収容部側補助壁を備えており、前記第2付勢部材によって付勢された前記カバー部材は、前記カバー部材側補助壁が前記収容部側補助壁に当接することで前記一端側への移動が規制され、前記カバー部材と前記当接部との間に前記間隙が形成されるようになっていてもよい。
【0012】
このような構成によれば、カバー部材と当接部との間に形成される間隙の寸法を所望の寸法に精度よく設定することができる。
【0013】
前記第1付勢部材の前記他端側は前記収容部側補助壁に取り付けられており、前記第2付勢部材の前記一端側は前記カバー部材側補助壁に取り付けられていてもよい。
【0014】
このような構成により、第1付勢部材および第2付勢部材の具体的な取り付け構造を実現することができる。
【0015】
前記収容部と前記可動部材とは、前記コインを重ね合わせる方向に沿って形成された第1凹部および第1凸部により凹凸係合した状態とされ、前記可動部材は前記収容部に対して移動可能とされていてもよい。
【0016】
このような構成により、収容部と可動部材とは、凹凸係合により正規の姿勢を保ちつつ相対的に移動可能とされる。
【0017】
前記可動部材と前記カバー部材とは、前記コインを重ね合わせる方向に沿って形成された第2凹部および第2凸部により、凹凸係合した状態とされ、相対的に移動可能とされていてもよい。
【0018】
このような構成により、可動部材とカバー部材とは、凹凸係合により正規の姿勢を保ちつつ相対的に移動可能とされる。
【0019】
乗物用内装材に固定するための固定部材をさらに備え、前記固定部材は、前記収容部の前記開口の周囲のうち少なくとも前記コインを重ね合わせる方向に沿って設けられており、前記カバー部材は、前記カバー部材の縁部が前記固定部材と前記開口の周囲との間に挟まれた状態で前記収容部に対して移動可能とされていてもよい。
【0020】
このような構成によれば、カバー部材と収容部とは、カバー部材の縁部が固定部材と開口の周囲との間に挟まれることにより正規の姿勢を保ちつつ、相対的に移動可能である。
【0021】
前記カバー部材には、前記収容部の内部を外側から視認可能な貫通孔が設けられていてもよい。このような構成によれば、カバー部材を開かなくても、外側からコインの残り状態を確認することができる。
【0022】
前記収容部の前記一端側には、前記コインが前記当接部と前記可動部材とによって挟持された状態において、前記コインの前記当接部側の面を露出させる指かけ部が設けられていてもよい。このような構成によれば、コインがより取り出し易くなる。
【0023】
当該乗物用コインホルダは、車両用ドアトリムにおけるアームレスト上に、前記コインを重ね合わせる方向が車両前後方向となる状態で設けられていてもよい。このような構成であると、腕の延び方向に沿う形でコインを取り出すことができるから、取り出し易い。
【0024】
前記ドアトリムには、ドアを開閉するために乗員が把持可能な上方に開口するプルハンドルが設けられており、当該乗物用コインホルダの前方側が前記プルハンドルの内部に突出した状態で設けられていてもよい。このような構成によれば、プルハンドルを指挿入部として利用することが可能であり、コインCを取り出すための指挿入部をわざわざ設ける必要がない。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、コインを簡単に取り出すことが可能で、通常時には外部から見難く、さらに、収納操作が簡単な乗物用コインホルダを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】実施形態1に係るコインホルダを有するドアトリムを室内側から視た正面図
【
図3】自然状態(カバーが閉じた状態)のコインホルダの斜視図、
【
図4】自然状態(カバーが閉じた状態)のコインホルダの平面図
【
図9】
図4のA-A線に相当するコインホルダの断面図
【
図10】
図4のB-B線に相当するコインホルダの部分拡大断面図
【
図11】
図4のB-B線に相当するコインホルダの断面図(コインが入っていない自然状態)
【
図12】
図4のB-B線に相当するコインホルダの断面図(カバーを開いてコインを入れ終えた直後の状態)
【
図13】
図4のB-B線に相当するコインホルダの断面図(カバーを開いてさらにコインを入れようとしている状態)
【
図14】
図4のB-B線に相当するコインホルダの断面図(コインが収容された自然状態)
【
図15】実施形態2に係る自然状態(カバーが閉じた状態)のコインホルダの斜視図
【発明を実施するための形態】
【0027】
<実施形態1>
実施形態1を、
図1から
図14を参照しつつ説明する。本実施形態では、自動車等の車両用のドアトリム10(乗物用内装材の一例)に設けられたコインホルダ20(乗物用コインホルダの一例)について例示する。なお、各図において、FR及びRRの矢印は車両前方及び車両後方をそれぞれ示し、UP及びDWの矢印は車両上方及び車両下方をそれぞれ示し、IN及びOUTの矢印は車室内(乗物室内)側及び車室外(乗物室外)側をそれぞれ示す。
【0028】
図1は、コインホルダ20を有するドアトリム10を車室内側から視た正面図である。ドアトリム10は、車両用ドアの車室内側部分を構成するものであって、ドアインナパネル(図示せず)に対して、車室内側から取り付けられる。ドアトリム10は、トリムボード11を主体として構成されており、複数の部品が互いに組み付けられたものからなる。
【0029】
トリムボード11の上下方向における中央、かつ、車両後方寄りには、乗員の肘掛けとして使用されるアームレスト12が車室内側に張り出す形で形成されている。このアームレスト12の上面は、略水平方向に沿って延びている。アームレスト12の前方には、下方へ向けて傾斜する傾斜部13と、傾斜部13の下端から前方に向けて略水平方向に延びる平坦部14とが連続して形成されている。さらに、平坦部14の前方は、斜め上方へ向けて延びており、ここに、ドアウインドウを開閉操作するためのスイッチ操作部が設けられている。スイッチ操作部の上方には、車両用ドアの開閉操作を行うためのインサイドハンドル15が設けられている。
【0030】
また、アームレスト12およびスイッチ操作部の下方には、ドアポケット16が形成されている。ドアポケット16の前方には、スピーカグリル17が設けられている。
【0031】
上述したアームレスト12の前方に設けられた平坦部14には、コインホルダ用開口部18が上下方向に貫通して設けられており、ここに、次述するコインホルダ20が取り付けられている。コインホルダ用開口部18の後端側は、一部が傾斜部13にさしかかっている。
【0032】
図2はコインホルダ20の分解斜視図、
図3はコインホルダ20の斜視図、
図4はコインホルダ20の平面図である。コインホルダ20は、
図2に示すように、ホルダ本体21と、コイン押さえ40と、カバー50と、第1コイルバネ81および第2コイルバネ82と、取付枠体70と、を備えて構成されている。
【0033】
図2に示すように、ホルダ本体21は、車両前後方向に延びる長尺な概ね箱型をなしている。ホルダ本体21の内面は、複数のコインCを厚み方向に重ね合わせた状態で前後方向に並べて収容可能な寸法の、断面半円形状に形成されている(
図9参照)。以下、内面の断面が半円形状とされて前後方向に延びる部分を長尺部22とし、長尺部22の前端を塞ぐように配される壁を前壁23、後端を塞ぐように配される壁を後壁24とする。また、長尺部22と前壁23と後壁24とで囲まれた領域を、収容部25とする。
【0034】
ホルダ本体21の収容部25のうち、前方から約2/3の位置には、収容部25を前方部分および後方部分に仕切る半円板状の仕切壁26(収容部側補助壁の一例)が設けられている。また、仕切壁26の上端中央、および、後壁24の上端中央には、それぞれ、前方に向けて断面U字形状に突出する支持部27,28が設けられている。
【0035】
以下、ホルダ本体21の収容部25のうち、仕切壁26より前方部分を第1収容部31(収容部の一例)とし、仕切壁26より後方部分を第2収容部32とする。また、仕切壁26に設けられた支持部を本体側前方支持部27、後壁24に設けられた支持部を本体側後方支持部28とする。
【0036】
長尺部22のうち、第1収容部31の底部中央には、前後方向に延びる凹状の収容部側案内溝(第1凹部の一例)33が設けられている(
図6、
図9参照)。また、長尺部22の前後方向に延びる壁の一対の上端縁には、外側に向けて張り出す本体側フランジ部34(開口の周囲の一例)が設けられている(
図2、
図9参照)。本体側フランジ部34には、後述する取付枠体70の係止片73を嵌め入れるための複数の係止孔35が設けられている。
【0037】
図2に示すように、ホルダ本体21は、前壁23の上端および本体側フランジ部34の前端から前方に向けて板状に延びる延設部36を備えている。前壁23と延設部36との境界部分(前壁23の上端)を構成する角部の中央部分は、U字形状に切り欠かれている。詳細には、前壁23には、延設部36との境界部分を構成する角部から下方に向けてU字形状に切り欠いた前壁側切欠部231が形成されており、延設部36には、前壁23との境界部分を構成する角部から前方に向けてU字形状に切り欠いた延設部側切欠部361が形成されている。また、前壁側切欠部231と延設部側切欠部361との間は、斜め下方に向けて膨出する形で湾曲する板状の連結部37により連結されている(
図10参照)。連結部37の内面に囲まれた内側領域は、指を挿入するための指挿入部38(指かけ部の一例)とされる。
【0038】
なお、前壁側切欠部231の一対の対向する縁部間の寸法は、長尺部22の内面の幅寸法より狭い寸法とされている。つまり、前壁23のうち前壁側切欠部231の周囲(前壁23の背面23B)は第1収容部31内に露出しており、この背面23B(当接部の一例)に対して、後述するように、第1収容部31内に収容されたコインCが宛がわれるようになっている。また、前壁23は長尺部22の底部22Aよりも下方まで延びており、前壁側切欠部231の下端は、長尺部22の底部22Aよりも下方に位置している。
【0039】
さらに、本体側フランジ部34および延設部36の外縁には、上方に向けて立ち上がる立壁39が設けられている。
【0040】
ホルダ本体21の第1収容部31には、コイン押さえ40(可動部材の一例)が収容されている。コイン押さえ40は、
図2、
図7、および
図10に示すように、第1収容部31の内面に沿う筒状の周壁41と、周壁41の一端側(前端)を塞ぐように設けられる押圧壁42と、周壁41の内側において押圧壁42の中央から後方に向かって延びる筒状のコイン押さえ側支持部43とを備えている。周壁41の前後方向の長さ寸法は、第1収容部31の前後方向の長さ寸法より十分小さい寸法(例えば1/4程度)とされており、周壁41の外径寸法は、コインCと同等あるいは僅かに大きい寸法とされている。また、コイン押さえ側支持部43の前後方向の長さ寸法は、周壁41の長さ寸法の約半分とされている(
図10参照)。
【0041】
周壁41の上外面には、前後方向に延びる5本の上側案内リブ44が、上方に向けて平行に突出するように並んで設けられている。上側案内リブ44は、周壁41の前端よりやや後方側から後方に向けて延びている。また、周壁41の下外面の中央には、上述した収容部側案内溝33内に嵌め入れるための下側案内リブ45(第1凸部の一例)が、前後方向に延びて設けられている。下側案内リブ45も、周壁41の前端よりやや後方側から後方に向けて延びている。なお、上側案内リブ44は下側案内リブ45と比較して、周壁41の外面からの突出寸法および幅寸法が大きく設定されている。
【0042】
ホルダ本体21の開口の一部およびコイン押さえ40は、カバー50(カバー部材の一例)によって覆われている。カバー50は、
図2、
図8、および
図11等に示すように、全体として車両前後方向に延びて下方に開口する、ホルダ本体21の長尺部22よりは短い寸法の概ね箱型をなしており、ホルダ本体21に対して前後方向に移動可能に取り付けられている。以下、ホルダ本体21の一部を上方から覆う壁を上壁51、上壁51の前端から下方に立ち上がる壁を前壁54、上壁51の両側端から下方に立ち上がる壁を側壁55、上壁51の後端付近から下方に立ち上がる壁を後壁56とする。
【0043】
カバー50の上壁51のうち前方約2/5は、前端から後方かつ上方に向けて傾斜して立ち上がる立ち上がり部52とされており、その後方側(後方約3/5の部分)は、立ち上がり部52より下方に配された平坦な平坦部53とされている。立ち上がり部52の上面は、後述するようにカバー50が閉じられた状態において、ドアトリム10の傾斜部13に段差なく連なる形態とされている。
【0044】
上壁51(立ち上がり部52および平坦部53)の内側(下面)には、前後方向に延びる4本のカバー側案内リブ57(第2凸部の一例)が平行に並んで立ち上がっている(
図9参照)。4本の各カバー側案内リブ57は、コインホルダ20が組み付けられた状態において、それらの先端(下端)が、上述したコイン押さえ40の5本の上側案内リブ44の間441(第2凹部の一例)に配される位置に設けられている。また、各カバー側案内リブ57は、それらの先端が、コイン押さえ40の周壁41の外面に到達する立ち上がり寸法に設定されている。これら4本のカバー側案内リブ57の基部側は、車両の内外方向(幅方向)に延びる複数の補強リブ59により、断続的に連結されている(
図10から
図14参照)。
【0045】
また、カバー50の立ち上がり部52の前方寄りには、4本のカバー側案内リブ57のうち中央の2本の間に位置して前後方向に延びる長孔58(貫通孔の一例)が設けられている。この長孔58は、後述するようにカバー50が閉じられた際に、第1収容部31の内部を外側から視認するための孔である。
【0046】
図2に示すように、カバー50の前壁54には、下端から上方に向けて半円形状に切り欠いた形態のカバー側開口60が形成されている。カバー側開口60を構成する半円の直径寸法は、上述したコイン押さえ40の周壁41の直径寸法よりも大きく、かつ、コイン押さえ40の上側案内リブ44の先端を含む円の直径寸法よりも小さい寸法に設定されている。これにより、第1収容部31に収容されたコイン押さえ40は、後述する第1コイルバネ81により前方に付勢された際には、
図10に示すように、その押圧面42A(周壁41の前端)がカバー側開口60を通過可能とされる一方、上側案内リブ44の前端面44Aはカバー50の前壁54の背面54B(カバー部材側当接部の一例)に当接するため、上側案内リブ44の前端面44Aより後方側は、カバー側開口60より前方には露出しないようになっている。つまり、カバー50の前壁54は、コイン押さえ40の前方への抜け止め部としての機能を果たすようになっている。
【0047】
なお、コイン押さえ40が前方に付勢され、上側案内リブ44の前端面44Aがカバー50の前壁54の背面54Bに当接した状態において、コイン押さえ40の押圧面42Aは、カバー50の前壁54の前面54AからコインCの1枚の厚み寸法分だけ突出するように、上側案内リブ44の前端面44Aの位置が設定されている。すなわち、押圧面42Aから上側案内リブ44の前端面44Aまでの寸法は、コインCの1枚の厚み寸法とカバー50の前壁54の厚み寸法とを合計した寸法に設定されている。
【0048】
カバー50の後壁56(カバー部材側補助壁の一例)は、
図8に示すように、一対の側壁55を連結する矩形の上側部分61と、上側部分61の下端から下方に向けて延びて、ホルダ本体21の長尺部22の内側に配される半円形状の下側部分62とを備えている。カバー50の後壁56は、後述するようにカバー50が閉じられた状態において、下側部分62がホルダ本体21の仕切壁26の背面に当接するようになっている(
図11参照)。またカバー50の後壁56は、カバー50が閉じられた状態(下側部分62がホルダ本体21の仕切壁26の背面に当接した状態)において、カバー50の前壁54が、ホルダ本体21の前壁23の背面23Bとの間に、コインCの1枚の厚み寸法の間隙G1を形成する(
図4参照)位置に配されるように、その前後方向の位置が設定されている。
【0049】
カバー50の後壁56には、
図8および
図11等に示すように、カバー側支持部63が設けられている。カバー側支持部63は、後壁56から後方に向けて突出するように設けられており、その周囲には、筒状の周壁64が設けられている。周壁64は、カバー側支持部63の前後方向の長さ寸法と同等の長さ寸法とされている。カバー側支持部63は、コインホルダ20が組み付けられた状態において、ホルダ本体21の本体側後方支持部28と同軸上に配されるように設定されている。なお、カバー50の上壁51は、周壁64およびカバー側支持部63の後端と前後方向における同等位置まで延びている。
【0050】
また、カバー50のうち前後方向に延びる一対の側壁55の下端には、外側に向けて張り出すカバー側フランジ部65(縁部の一例)が設けられている。カバー側フランジ部65の外縁は、コインホルダ20が組み付けられた状態において、本体側フランジ部34に設けられた係止孔35の内縁部よりも内側に配されるように、その幅寸法が設定されている(
図9参照)。
【0051】
上述したホルダ本体21には、取付枠体70(固定部材の一例)が取り付けられる。取付枠体70は、コインホルダ20をドアトリム10に固定するための部材であって、
図2に示すように、ホルダ本体21に上方から取り付けられるべく、ホルダ本体21の上端の外形とほぼ同形状の枠状をなしている。取付枠体70は、上下方向に延びる板面を有する枠体である。
【0052】
取付枠体70の長手方向に延びる一対の長手部71のうち、ホルダ本体21の長尺部22に対応する領域の下端には、外側かつ下方に向けてクランク状(段差状)に屈曲された段差部72が形成されている。また、段差部72の下端には、それぞれ、下方に突出するとともに前方に向けて屈曲されたL字形状の係止片73が3つずつ設けられている。
【0053】
さらに、取付枠体70の4つの各辺の外面には、外側に向けて張り出す取付片74がそれぞれ1つずつ(合計4つ)設けられており、これらの取付片74に、ドアトリム10に固定するためのボルトを挿通する取付孔75が貫通形成されている。
【0054】
次に、本実施形態のコインホルダ20の組み立て方法について説明する。コインホルダ20を組み立てる際には、まず、コイン押さえ40のコイン押さえ側支持部43に圧縮コイルバネ(第1付勢部材の一例、第1コイルバネ81とする)の一端側を外嵌させ、バネ81を圧縮させつつ、一体とされたコイン押さえ40および第1コイルバネ81を第1収容部31内に収容する。この時、第1コイルバネ81の後端側を、本体側前方支持部27に外嵌させる。第1収容部31に収容された第1コイルバネ81は、自然状態において、コイン押さえ40を前方に付勢した状態としている。つまり、コイン押さえ40の押圧壁42は、ホルダ本体21の前壁23の背面23B(前壁側切欠部231の周囲)に押し付けられた状態とされている。またこの状態において、コイン押さえ40の下側案内リブ45は、ホルダ本体21の収容部側案内溝33内に前後移動可能な状態で嵌め入れられている。
【0055】
次に、第2の圧縮コイルバネ(第2付勢部材の一例、第2コイルバネ82とする)をカバー側支持部63に外嵌させるとともに、第2コイルバネ82を圧縮しつつカバー側フランジ部65を本体側フランジ部34に重ね合わせて、第2コイルバネ82を第2収容部32内に収容するとともに、その後端側を本体側後方支持部28に外嵌させる(
図11参照)。第2コイルバネ82は、第2収容部32に収容された自然状態において、カバー50を前方に向けて付勢した状態としている。つまり、カバー50の後壁56はホルダ本体21の仕切壁26の背面に押し付けられて当接しており、カバー50は最も前方に配された状態とされている。この状態を、カバー50が閉じられた状態とする。
【0056】
このようにカバー50をホルダ本体21に取り付けた状態においては、
図9に示すように、カバー50の4本のカバー側案内リブ57の先端(下端)は、ホルダ本体21の第1収容部31に収容されているコイン押さえ40の5本の上側案内リブ44の間に配されている。
【0057】
次に、取付枠体70の係止片73をホルダ本体21の本体側フランジ部34の係止孔35に上方から挿入するとともに前方にスライドさせることにより、取付枠体70をホルダ本体21に対して係止する。取付枠体70がホルダ本体21に組み付けられた状態においては、
図9に示すように、取付枠体70の段差部72の下面とホルダ本体21の本体側フランジ部34の上面との間に溝状の隙間G2が形成されるようになっており、この溝状の隙間G2に、カバー50のカバー側フランジ部65が前後方向に移動可能な状態で配される。その後、取付片74をトリムボード11の所定の位置にボルト締結により固定する。
【0058】
次に、使用方法について説明する。
図11は、
図4のB-B線に相当するコインホルダ20の断面図であって、コインCが未だ収容されていない自然状態を示している。自然状態においては、カバー50の後端は第2コイルバネ82により前方に付勢され、第1収容部31の開口を閉じた状態としている。この状態において、カバー50の立ち上がり部52の上面は、トリムボード11の傾斜部13の上面と連続的に連なった状態とされている。また、コイン押さえ40は、カバー50前端のカバー側開口60からコイン1枚分前方に突出するとともに、押圧面42Aのうち側方部分が前壁23の背面23Bに押し当てられた状態とされている。
【0059】
このようなコインホルダ20に複数のコインCを厚み方向に重ね合わせた状態で収容する際には、カバー50を第2コイルバネ82に抗して後方に向けてスライドさせる(
図12参照)。すると、カバー50の前壁54がコイン押さえ40の上側案内リブ44を後方に向けて押圧し、コイン押さえ40が第1コイルバネ81に抗して後方へ移動する。これにより、第1収容部31の前方部分が露出するから、この露出した部分に複数のコインCを一括に収容する。
【0060】
さらにコインCを収容したい場合には、指挿入部38に指を差し入れ、
図13に示すように、第1収容部31内に収容された複数のコインCの前端面を後方に向けて押圧する。すると、収容された複数のコインCによりコイン押さえ40が第1コイルバネ81に抗してさらに後方へ移動する。これにより、第1収容部31の前方部分が再び露出するから、この露出した部分に複数のコインCを一括に収容する。
【0061】
コインCの収容後はコインホルダ20から手を放すことにより、カバー50は第2コイルバネ82により前方に付勢され、第1収容部31が閉じられた状態となる(
図14参照)。この状態において、カバー50に設けられた長孔58により、第1収容部31内部のコインCの残りを確認することが可能である。また、カバー50の前端からはコインCが1枚だけが露出している。このコインCを取り出す際には、指を指挿入部38に差し入れ、前壁側切欠部231の内側に露出しているコインCを上方に引き出すことにより、簡単に取り出すことができる。
【0062】
次に、作用効果について説明する。本実施形態のコインホルダ20は、ドアトリム10に固定的に設けられて車両室側に向けて開口する凹状の収容部25において、第1収容部31の前側(一端側)に設けられた前壁23と、第1コイルバネ81によって前壁23の背面23Bに向かって付勢されたコイン押さえ40とによって、複数のコインCを厚み方向に重ね合わせた状態で挟持する構成とされており、収容部25においてコインCを重ね合わせる方向に移動可能に設けられて収容部25の開口の一部を塞ぐカバー50と、カバー50を前壁23の背面23B側に向かって付勢する第2コイルバネ82とを備え、第2コイルバネ82によって付勢されたカバー50と、前壁23の背面23Bとの間に、コインCを取り出すための間隙G1が形成されている。
【0063】
このような構成によれば、間隙G1がコインCを取り出すためのスロットとして機能するから、コインCを取り出す際にいちいちカバー50を開かなくて済む。また、コインCを取り出した後には、前方に付勢されたコイン押さえ40により次のコインCが間隙G1内に速やかに移動される。第1収容部31内にコインCを収納する際には、カバー50を大きく開いて複数枚を一括に収納することができる。また、カバー50は第2コイルバネ82により前壁23側に付勢されているから、収納後にいちいち手動でカバーを閉じる必要がない。このため、閉じ忘れがなく、車両の外部から収容部25(第1収容部31)内のコインCが見えないようになっているから、盗難の心配もない。
【0064】
カバー50は、コイン押さえ40よりもホルダ本体21の前方側において収容部25側(乗物室と反対側)に延び出した前壁54を有し、コイン押さえ40は、前壁54に対して、後方側から当接可能とされている。
【0065】
このような構成によれば、コイン押さえ40はカバー50の前壁54に対して後方側から当接するようになっているから、カバー50を後方に向けて移動して開く際には、コイン押さえ40もカバー50とともに後方に移動される。したがって、コインCを第1収容部31内に簡単に収納することができる。
【0066】
カバー50は、収容部25の後方側において収容部25側(乗物室と反対側)に延び出した後壁56を備えており、収容部25は、カバー50の後壁56が後方側(収容部25の他端側)から当接される仕切壁26を備えており、第2コイルバネ82によって付勢されたカバー50は、後壁56が仕切壁26に当接することでホルダ本体21の前壁23側(一端側)への移動が規制され、カバー50と前壁23との間に間隙G1が形成されるようになっている。
【0067】
このような構成によれば、カバー50とホルダ本体21の前壁23との間に形成される間隙G1の寸法を所望の寸法に精度よく設定することができる。
【0068】
第1コイルバネ81の後端側は仕切壁26に取り付けられており、第2コイルバネ82の前端側はカバー50の後壁56に取り付けられていてもよい。
【0069】
このような構成により、第1コイルバネ81および第2コイルバネ82を安定した姿勢で設けることができる。
【0070】
第1収容部31とコイン押さえ40とは、第1収容部31に前後方向(コインCを重ね合わせる方向)に沿って形成された収容部側案内溝33、および、コイン押さえ40に前後方向に沿って形成された下側案内リブ45により凹凸係合した状態とされ、コイン押さえ40は第1収容部31に対して移動可能とされている。
【0071】
このような構成により、第1収容部31とコイン押さえ40とは、凹凸係合により正規の姿勢を保ちつつ前後方向に移動可能とされる。
【0072】
コイン押さえ40とカバー50とは、コイン押さえ40に前後方向に沿って形成された隣接する上側案内リブ44の間441およびカバー側案内リブ57により、凹凸係合した状態とされ、前後方向に移動可能とされている。
【0073】
このような構成により、コイン押さえ40とカバー50とは、凹凸係合により正規の姿勢を保ちつつ相対的に移動可能とされている。
【0074】
ドアトリム10に固定するための取付枠体70をさらに備え、取付枠体70は、収容部25の開口の周囲のうち前後方向(コインCを重ね合わせる方向)に沿って設けられており、カバー50は、カバー側フランジ部65が取付枠体70と本体側フランジ部34との間に挟まれた状態で収容部25(第1収容部31)に対して前後方向に移動可能とされている。
【0075】
このような構成によれば、カバー50と収容部25は、カバー側フランジ部65が取付枠体70と本体側フランジ部34との間に挟まれることにより正規の姿勢を保ちつつ、前後方向に移動可能である。
【0076】
カバー50には、収容部25(第1収容部31)の内部を外側から視認可能な長孔58が設けられている。このような構成によれば、カバー50を開かなくても、外側からコインCの残り状態を確認することができる。
【0077】
収容部25の前端側には、コインCが前壁23とコイン押さえ40とによって挟持された状態において、コインCの前壁23側の面を露出させる指挿入部38が設けられている。このような構成によれば、コインCがより取り出し易くなる。
【0078】
当該乗物用コインホルダ20は、ドアトリム10のアームレスト12上に、コインCを重ね合わせる方向が車両前後方向となる状態で設けられている。このような構成であると、腕の延び方向に沿う形でコインCを取り出すことができるから、さらに取り出し易い。
【0079】
<実施形態2>
次に、実施形態2を
図15によって説明する。実施形態2のコインホルダ120は、基本構造が上記実施形態1のコインホルダ20と同様であるため、以下においては実施形態1と異なる構成についてのみ説明し、実施形態1と同様の構成には実施形態1の符号に100を足した符号を付すこととして、重複する説明を省略する。
【0080】
本実施形態のコインホルダ120は、プルハンドル100と一体に設けられているところが上記実施形態1と相違する。
【0081】
プルハンドル100は、ドアトリムのアームレストにおいて、ドアの開閉時に乗員が把持可能な、上方に開口する箱型をなしている。プルハンドル100の開口縁部には、外側に向けて広がるフランジ部101が設けられている。
【0082】
コインホルダ120は、実施形態1と同様に、車両前後方向の延びる長尺な概ね箱型のホルダ本体121を有しており、その前方側が、プルハンドル100の内部に突出した状態でプルハンドル100と一体に設けられている。具体的には、ホルダ本体121の前壁123は、プルハンドル100の内部を仕切るように配されている。前壁123の高さ寸法は、プルハンドル100の側壁102の底部からの高さ寸法より低い寸法とされており、その車両幅方向における中央部には、上端からU字形状に切り欠かれた切欠部1231が設けられている。
【0083】
ホルダ本体121は、カバー150によって覆われている。カバー150は、その上壁151がプルハンドル100のフランジ部101の下方において前後方向に移動可能な高さとなるように設定されている。その他、コイン押さえ140やコイルバネ182等の基本構造は上記実施形態1と同様である。
【0084】
このような本実施形態のコインホルダ120によれば、プルハンドル100の内側の空間を指を挿入するための空間として利用することが可能であり、コインCを取り出すための指挿入空間(上記実施形態1の指挿入部38)をコインホルダ120にわざわざ設ける必要がない。
【0085】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0086】
(1)上記実施形態では、コイン押さえ40がホルダ本体21の前壁23に向けて付勢され、押圧面42AあるいはコインCが前壁23の背面23Bに当接される形態を示したが、前壁ではなく、例えば、ホルダ本体の内側に突出する形態の当接部を設ける構成としてもよい。
【0087】
(2)上記実施形態では、コイン押さえ40の上側案内リブ44がカバー50の前壁54に当接することで、コイン押さえ40がカバー50の開放操作とともに後方に移動される形態を示したが、コイン押さえ40とカバー50とは、それぞれ独立に移動する形態としてもよい。
【0088】
(3)上記実施形態では、カバー50の後壁56がホルダ本体21の仕切壁26に当接することで、ホルダ本体21の前壁23に対するカバー50の最前方位置を設定する形態を示したが、例えば、カバー部材を付勢する第2付勢部材によりカバー50の位置を設定する形態とすることもできる。
【0089】
(4)第1コイルバネ81や第2コイルバネ82の取り付け方法は、上記実施形態に限るものではない。
【0090】
(5)第1収容部31とコイン押さえ40との凹凸係合(収容部側案内溝33と下側案内リブ45との係合)は、省略することもできる。
【0091】
(6)また、コイン押さえ40とカバー50との凹凸係合(上側案内リブ44とカバー側案内リブ57との係合)も、省略することができる。
【0092】
(7)取付枠体70は必ずしも設ける必要はなく、省略することもできる。
【0093】
(8)上記実施形態では、カバー50に第1収容部31の内部を視認するための長孔58を設ける形態を示したが、長孔58は省略することもできる。
【0094】
(9)上記実施形態では、ホルダ本体21の前壁23に前壁側切欠部231を設けるとともに延設部36に延設部側切欠部361を設けることにより、指挿入部38(指かけ部)を形成する構成を示したが、指かけ部の構成は上記実施形態に限るものではない。例えば、コインが当接する当接部の高さをコインの高さより十分低く設定することにより、コインの前端面を露出させることが可能である。
【0095】
(10)上記実施形態では、トリムボード11に設けられたコインホルダ用開口部18にコインホルダ20,120を取り付ける構成を示したが、収容部がトリムボードに一体に形成されたコインホルダとすることもできる。
【符号の説明】
【0096】
10:ドアトリム(乗物用内装材)、12、アームレスト、20,120:コインホルダ(乗物用コインホルダ)、21,121:ホルダ本体、22:長尺部、23,123:前壁、23B:背面(当接部)、24:後壁、25:収容部、26:仕切壁(収容部側補助壁)、27:本体側前方支持部、28:本体側後方支持部、31:第1収容部(収容部)、32:第2収容部、33:収容部側案内溝(第1凹部)、34:本体側フランジ部(開口の周囲)、36:延設部、37:連結部、38:指挿入部(指かけ部)、40,140:コイン押さえ(可動部材)、41:周壁、42:押圧壁、42A:押圧面、44:上側案内リブ、44A:前端面、45:下側案内リブ(第1凸部)、50,150:カバー(カバー部材)、51,151:上壁、54:前壁(カバー部材側当接部)、54B:背面(カバー部材側当接部)、56:後壁(カバー部材側補助壁)、57:カバー側案内リブ(第2凸部)、58:長孔(貫通孔)、59:カバー側開口、65:カバー側フランジ部(縁部)、70:取付枠体(固定部材)、71:長手部、72:段差部、81:第1コイルバネ(第1付勢部材)、82、182:第2コイルバネ(第2付勢部材)、100:プルハンドル、441:上側案内リブの間(第2凹部)、C:コイン、G1:間隙