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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022119284
(43)【公開日】2022-08-17
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
   G11C 11/4091 20060101AFI20220809BHJP
   G11C 11/4076 20060101ALI20220809BHJP
   G11C 7/22 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
G11C11/4091 140
G11C11/4076
G11C7/22
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021016276
(22)【出願日】2021-02-04
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】512167426
【氏名又は名称】華邦電子股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Winbond Electronics Corp.
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 貴彦
【テーマコード(参考)】
5M024
【Fターム(参考)】
5M024AA23
5M024AA36
5M024BB14
5M024BB35
5M024CC82
5M024GG01
5M024PP01
5M024PP02
5M024PP03
5M024PP07
(57)【要約】
【課題】活性化されるワード線の位置に関わらずにディスターブの発生を抑制することの可能な半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】半導体記憶装置は、複数のワード線と、ビット線と、複数のワード線のうち何れかのワード線とビット線とに接続された複数のメモリセルと、ビット線に接続されたセンスアンプと、複数のワード線のうち活性化されるワード線の位置がセンスアンプに近いほどセンスアンプを活性化させるタイミングが遅くなるように制御するセンスアンプ制御部107と、を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のワード線と、
ビット線と、
前記複数のワード線のうち何れかのワード線と前記ビット線とに接続された複数のメモリセルと、
前記ビット線に接続されたセンスアンプと、
前記複数のワード線のうち活性化されるワード線の位置が前記センスアンプに近いほど前記センスアンプを活性化させるタイミングが遅くなるように制御する制御部と、を備える、
半導体記憶装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記複数のワード線のうち活性化されるワード線を示す信号に基づいて、前記センスアンプを活性化させるタイミングを制御する、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記複数のワード線のうち何れかのワード線を活性化させるための信号が入力された場合に、前記センスアンプを活性化させるための信号を、前記何れかのワード線の位置が前記センスアンプに近いほど前記センスアンプを活性化させるタイミングが遅くなるように遅延させて出力する回路部を備える、請求項1又は2に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記複数のワード線が前記センスアンプからの距離に応じた複数のグループに分類されている場合に、前記複数のワード線のうち活性化されるワード線が分類されているグループに設定された遅延量であって、前記センスアンプに対するグループの距離が短いほど大きくなるように設定された遅延量に基づいて、前記センスアンプを活性化させるタイミングを制御する、請求項1~3の何れかに記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記複数のワード線のうち活性化されるワード線が分類されているグループを識別するための情報は、前記複数のワード線のうち活性化されるワード線を示す信号に含まれている、請求項4に記載の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の半導体記憶装置では、行列状に配列された複数のメモリセルを有するメモリセルアレイを備えたものが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
かかる半導体記憶装置は、例えば図1(a)に示すように、X方向に間隔をおいて設けられた複数のセンスアンプを含むセンスアンプ列と、Y方向に間隔をおいて設けられた複数のワード線ドライバを含むワード線ドライバ列と、をメモリセルアレイ内に備えている。
【0004】
複数のワード線ドライバの各々は、自身に電気的に接続されたワード線(図の例では、wl(n),wl(n+1),wl(n+α)、ここで、n及びαは任意の整数である)を駆動する回路であり、例えばロウデコーダ等から出力された信号によって動作が制御されるように構成されている。また、各ワード線ドライバに接続された複数のワード線は、Y方向に間隔をおいてX方向に延在している。
【0005】
複数のセンスアンプの各々は、自身に電気的に接続されたビット線(図の例では、bl(k),bl(k+β)、ここで、k及びβは任意の整数である)を駆動する回路であり、例えばカラムデコーダ等から出力された信号によって動作が制御されるように構成されている。また、各センスアンプに接続された複数のビット線は、X方向に間隔をおいてY方向に延在している。
【0006】
複数のメモリセルMCの各々は、複数のワード線と複数のビット線との交差部分に配置されている。各メモリセルMCは、1つのNチャンネル型のMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)と、このMOSFETに接続されたキャパシタ(コンデンサ)と、を備えている。MOSFETのゲートは、ワード線に電気的に接続されており、MOSFETのドレインは、ビット線に電気的に接続されている。また、キャパシタの一方の端子は、MOSFETのソースに接続されており、キャパシタの他方の端子は、プレートラインPLに接続されている。プレートラインPLには、所定のプレート電位が与えられている。
【0007】
図1(b)には、従来の半導体記憶装置においてメモリセルアレイ内のメモリセルMCがアクセスされる場合のワード線及びビット線の活性化タイミングの一例が示されている。なお、ここでは、ワード線ドライバ列に近くセンスアンプ列に近い領域R内のメモリセルMCがアクセスされる場合をケース1として示し、ワード線ドライバ列から遠くセンスアンプ列に近い領域r内のメモリセルMCがアクセスされる場合をケース2として示している。
【0008】
先ず、ケース1について説明する。時刻t1において、ワード線(ここでは、wl(n))を活性化するためのワード線活性化信号wlonがアサートされる(ハイレベルになる)と、ワード線wl(n)に接続されたワード線ドライバがワード線wl(n)の駆動(活性化)を開始する。なお、ここでは、ワード線wl(n)の電圧をwl(n)[R]として示している。ここで、ワード線wl(n)の活性化の開始から完了までの間、ワード線wl(n)とこれに隣接するワード線(ここでは、wl(n+1))との間でクロストークが発生することによって、ワード線wl(n+1)の電圧が上昇する。なお、ここでは、ワード線wl(n+1)の電圧をwl(n+1)[R]として示している。そして、ワード線wl(n)の活性化が完了すると、ワード線wl(n+1)の電圧が徐々に低下して、時刻t2においてローレベルになる。
【0009】
その後、時刻t3において、ビット線(ここでは、bl(k))を活性化するためのセンスアンプ活性化信号saonがメモリセルアレイに入力されると、ビット線bl(k)に接続されたセンスアンプがビット線bl(k)の駆動(活性化)を開始する。そして、時刻t4において、ビット線bl(k)の活性化が完了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2011-146116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
一方、ケース2の場合、領域rがワード線ドライバ列から離れているので、時刻t1においてワード線活性化信号wlonがアサートされると、ワード線wl(n)の活性化が完了するまでの時間がケース1と比べて長くなる。なお、ここでは、ワード線wl(n)の電圧をwl(n)[r]として示している。また、クロストークの発生によって上昇したワード線wl(n+1)の電圧は、ケース1と同様に徐々に低下して、時刻t4の後の時刻t5においてローレベルになる。なお、ここでは、ワード線wl(n+1)の電圧をwl(n+1)[r]として示している。
【0012】
しかしながら、この場合には、図中一点鎖線で示すように、時刻t4において領域r内のビット線bl(k+β)の活性化が完了した後もワード線wl(n+1)[r]の電圧がローレベルより高い状態になっているので、ワード線wl(n+1)及びビット線bl(k+β)に接続されたメモリセルMC内のキャパシタの電荷が減少する異常(ディスターブ)が発生する可能性がある。したがって、活性化されるワード線の位置(つまり、アクセスされるメモリセルの位置)がワード線ドライバ列から遠いほど、且つ、センスアンプに近いほど、ディスターブが発生する虞があった。
【0013】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、活性化されるワード線の位置に関わらずにディスターブの発生を抑制することの可能な半導体記憶装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明は、複数のワード線と、ビット線と、前記複数のワード線のうち何れかのワード線と前記ビット線とに接続された複数のメモリセルと、前記ビット線に接続されたセンスアンプと、前記複数のワード線のうち活性化されるワード線の位置が前記センスアンプに近いほど前記センスアンプを活性化させるタイミングが遅くなるように制御する制御部と、を備える、半導体記憶装置を提供する(発明1)。
【0015】
かかる発明(発明1)によれば、活性化されるワード線の位置がセンスアンプに近い場合には、センスアンプが活性化されるタイミングを遅くすることが可能になる。これにより、例えば、センスアンプに近いワード線が活性化された場合であっても、当該ワード線に隣接するワード線の電圧がローレベルまで低下した後にセンスアンプを活性化させることが可能になるので、当該隣接するワード線に接続されたメモリセルの電荷が減少するのを防ぐことができる。したがって、活性化されるワード線の位置に関わらずにディスターブの発生を抑制することができる。
【0016】
上記発明(発明1)においては、前記制御部は、前記複数のワード線のうち活性化されるワード線を示す信号に基づいて、前記センスアンプを活性化させるタイミングを制御してもよい(発明2)。
【0017】
かかる発明(発明2)によれば、活性化されるワード線がセンスアンプに近いか否かを、活性化されるワード線を示す信号に基づいて容易に判別することが可能になる。これにより、センスアンプを活性化させるタイミングを容易に制御することができる。
【0018】
上記発明(発明1~2)においては、前記制御部は、前記複数のワード線のうち何れかのワード線を活性化させるための信号が入力された場合に、前記センスアンプを活性化させるための信号を、前記何れかのワード線の位置が前記センスアンプに近いほど前記センスアンプを活性化させるタイミングが遅くなるように遅延させて出力する回路部を備えてもよい(発明3)。
【0019】
かかる発明(発明3)によれば、活性化されるワード線がセンスアンプに近い場合には、センスアンプを活性化させるための信号が遅延して出力されるので、センスアンプが活性化されるタイミングを遅くすることが可能になる。
【0020】
上記発明(発明1~3)においては、前記制御部は、前記複数のワード線が前記センスアンプからの距離に応じた複数のグループに分類されている場合に、前記複数のワード線のうち活性化されるワード線が分類されているグループに設定された遅延量であって、前記センスアンプに対するグループの距離が短いほど大きくなるように設定された遅延量に基づいて、前記センスアンプを活性化させるタイミングを制御してもよい(発明4)。
【0021】
かかる発明(発明4)によれば、センスアンプを活性化させるタイミングを、複数のグループ毎に設定された遅延量に基づいて制御することが可能になるので、例えば複数のワード線毎に遅延量が設定されている場合と比較して、遅延量を記憶するための回路やデバイスを簡素化することができるとともに、遅延量を設定するための処理を軽減することができる。これにより、センスアンプを活性化させるタイミングを容易に制御することができる。
【0022】
上記発明(発明4)においては、前記複数のワード線のうち活性化されるワード線が分類されているグループを識別するための情報は、前記複数のワード線のうち活性化されるワード線を示す信号に含まれていてもよい(発明5)。
【0023】
かかる発明(発明5)によれば、活性化されるワード線が何れのグループに分類されているかを、活性化されるワード線を示す信号に基づいて容易に判別することが可能になる。これにより、センスアンプを活性化させるタイミングをさらに容易に制御することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の半導体記憶装置によれば、活性化されるワード線の位置に関わらずにディスターブの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】(a)は、従来の半導体記憶装置に設けられたメモリセルアレイの構成の一例を示す図であり、(b)は、メモリセルアレイ内のメモリセルがアクセスされる場合のワード線及びビット線の活性化タイミングの一例を示すタイムチャートである。
図2】本発明の一実施形態に係る半導体記憶装置の構成例を示すブロック図である。
図3】メモリセルアレイの構成例を示す図である。
図4図3の一部を拡大した図である。
図5】メモリマット内の複数の領域とセンスアンプ活性化の遅延時間との関係の一例を示す図である。
図6】回路図の構成例を示す図である。
図7】回路図の動作の一例を示すタイムチャートである。
図8】(a)は、本発明の一実施形態に係る半導体記憶装置において、ワード線ドライバから遠くセンスアンプから近い領域に存在するメモリセルに対してアクセスする場合のワード線及びビット線の活性化タイミングの一例を示すタイムチャートであり、(b)は、本発明の一実施形態に係る半導体記憶装置において、ワード線ドライバから遠くセンスアンプから遠い領域に存在するメモリセルに対してアクセスする場合のワード線及びビット線の活性化タイミングの一例を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態に係る半導体記憶装置について添付図面を参照して詳細に説明する。ただし、この実施形態は例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。
【0027】
また、本明細書等における「第1」、「第2」、「第3」等の表記は、或る構成要素を他の構成要素と区別するために使用されるものであって、当該構成要素の数、順序又は優先度等を限定するためのものではない。例えば、「第1要素」及び「第2要素」との記載が存在する場合、「第1要素」及び「第2要素」という2つの要素のみが採用されることを意味するものではないし、「第1要素」が「第2要素」に先行しなければならないことを意味するものでもない。
【0028】
図2は、本発明の一実施形態に係る半導体記憶装置の構成例を示すブロック図である。本実施形態に係る半導体記憶装置100は、アドレスバッファ101と、ロウプリデコーダ102と、ロウデコーダ103と、を備える。また、半導体記憶装置100は、コマンドバッファ104と、コマンドデコーダ105と、ロウ制御部106と、センスアンプ制御部107と、カラムプリデコーダ108と、を備える。さらに、半導体記憶装置100は、カラム制御部109と、カラムデコーダ110と、センスアンプ111と、メモリセルアレイ112と、を備える。
【0029】
半導体記憶装置100内の各部101~112は、専用のハードウェアデバイスや論理回路によって構成されてもよい。なお、本実施形態では、説明を簡略化するために、例えば電源回路、データ入出力端子、クロックジェネレータ等の他の周知の構成が示されていない。
【0030】
アドレスバッファ101は、外部装置(例えば、メモリコントローラ等)からアドレス端子(ADD)に入力されたロウアドレスを示す信号ariを、ロウプリデコーダ102に出力する。また、アドレスバッファ101は、外部からアドレス端子(ADD)に入力されたカラムアドレスを示す信号aciを、カラムプリデコーダ108に出力する。
【0031】
ロウプリデコーダ102は、アドレスバッファ101から入力された信号ariをプリデコードして、メモリセルアレイ112内の複数のワード線(図4に示すwl(n),wl(n+1),…(nは、任意の整数である))のうち活性化されるワード線を示すロウアドレス信号raaを生成する。そして、ロウプリデコーダ102は、生成したロウアドレス信号raaを、ロウデコーダ103及びセンスアンプ制御部107に出力する。
【0032】
ロウデコーダ103は、ワード線を活性化するためのワード線活性化信号wlonがアサートされた状態でロウ制御部106から入力された場合に、メモリセルアレイ112内の複数のワード線ドライバ113(図4に示す)のうちロウアドレス信号raaによって示されたワード線に接続されているワード線ドライバ113を制御して、当該ワード線を活性化させる。
【0033】
コマンドバッファ104は、外部装置からコマンド端子(CMD)に入力されたコマンドを示す信号cmdiを、コマンドデコーダ105に出力する。
【0034】
コマンドデコーダ105は、コマンドバッファ104から入力された信号cmdiをデコードして、内部コマンドを生成する。ここで、生成される内部コマンドには、例えば、アクティブ信号act、リード信号rd、ライト信号wr等が含まれる。また、図には示されていないが、コマンドデコーダ105は、プリチャージ信号やリフレッシュ信号等を内部コマンドとして生成してもよい。また、コマンドデコーダ105は、信号cmdiに基づいてアクティブ信号actを生成した場合に、アクティブ信号actをロウ制御部106に出力する。さらに、コマンドデコーダ105は、信号cmdiに基づいてリード信号rd又はライト信号wrを生成した場合に、生成したリード信号rd又はライト信号wrをカラム制御部109に出力する。
【0035】
ロウ制御部106は、アクティブ信号actがコマンドデコーダ105から入力されると、アサートされたワード線活性化信号wlonをロウデコーダ103及びセンスアンプ制御部107に出力する。
【0036】
センスアンプ制御部107は、アサートされたワード線活性化信号wlonがロウ制御部106から入力されると、センスアンプを活性化させるためのセンスアンプ活性化信号saonをアサートして、センスアンプ111に出力する。
【0037】
ここで、センスアンプ制御部107は、複数のワード線wl(n),wl(n+1),…のうち活性化されるワード線の位置がセンスアンプ111に近いほどセンスアンプ111を活性化させるタイミングが遅くなるように制御する。
【0038】
また、センスアンプ制御部107は、ロウプリデコーダ102から入力されたロウアドレス信号raa(複数のワード線wl(n),wl(n+1),…のうち活性化されるワード線を示す信号)に基づいて、センスアンプ111を活性化させるタイミングを制御する。これにより、活性化されるワード線がセンスアンプ111に近いか否かを、ロウアドレス信号raaに基づいて容易に判別することが可能になる。したがって、センスアンプを活性化させるタイミングを容易に制御することができる。
【0039】
なお、センスアンプ制御部107は、本発明における「制御部」の一例である。また、センスアンプ制御部107の機能の詳細については、後述する。
【0040】
カラムプリデコーダ108は、アドレスバッファ101から入力された信号aciをプリデコードして、活性化されるビット線を示すカラムアドレス信号caaを生成する。そして、カラムプリデコーダ108は、生成したカラムアドレス信号caaを、カラムデコーダ110に出力する。
【0041】
カラム制御部109は、リード信号rd又はライト信号wrがコマンドデコーダ105から入力されると、ビット線を活性化するための信号clonをアサートして、カラムデコーダ110に出力する。
【0042】
カラムデコーダ110は、信号clonがアサートされた状態でカラム制御部109から入力された場合に、メモリセルアレイ112内の複数のビット線のうち、入力されたカラムアドレス信号caaによって示されたビット線を活性化するための信号clを、センスアンプ111に出力する。
【0043】
センスアンプ111は、後述する図4に示すように、メモリセルアレイ112内に複数設けられている。センスアンプ活性化信号saonがセンスアンプ制御部107から入力されている場合には、複数のセンスアンプ111のうち、信号clによって示されたビット線に接続されているセンスアンプ111が活性化して、自身に電気的に接続されたビット線を駆動する。そして、センスアンプ111は、ビット線上の信号(データ)を増幅する。
【0044】
図3及び図4を参照して、本実施形態におけるメモリセルアレイ112の構成について説明する。図3に示すように、メモリセルアレイ112には、それぞれX方向に延在する複数のセンスアンプ列SAAであって、Y方向に間隔をおいて設けられた複数のセンスアンプ列SAAと、それぞれY方向に延在する複数のワード線ドライバ列WLDAであって、X方向に間隔をおいて設けられた複数のワード線ドライバ列WLDAと、が設けられている。図4に示すように、各センスアンプ列SAAには、複数のセンスアンプ111がX方向に間隔をおいて設けられており、各ワード線ドライバ列WLDAには、複数のワード線ドライバ113がY方向に間隔をおいて設けられている。
【0045】
各ワード線ドライバ113は、自身に電気的に接続されたワード線wl(n),wl(n+1),…を駆動する回路であり、ワード線を活性化するための信号がロウデコーダ103から入力されると、自身に接続されたワード線を駆動するように構成されている。
【0046】
図4に示すように、Y方向に隣接するセンスアンプ列SAAと、X方向に隣接するワード線ドライバ列WLDAと、によって囲まれた領域(メモリマット)には、複数のワード線wl(n),wl(n+1),…と、複数のビット線bl(k),…(kは、任意の整数である)と、複数のワード線wl(n),wl(n+1),…のうち何れかのワード線と複数のビット線bl(k),…のうち何れかのビット線とに電気的に接続された複数のメモリセルMCと、が設けられている。なお、図4には、図が煩雑になるのを避けるために、一部のメモリセルMCのみが示されている。
【0047】
複数のワード線wl(n),wl(n+1),…の各々は、Y方向に間隔をおいてX方向に延在しており、延在方向一端側(図4に示す例では、左端側又は右端側)において、対応するワード線ドライバ113に電気的に接続されている。また、複数のビット線bl(k),…の各々は、X方向に間隔をおいてY方向に延在しており、複数のワード線wl(n),wl(n+1),…に対して垂直に交差するように設けられている。また、複数のビット線bl(k),…の各々は、延在方向一端側(図4に示す例では、上端側又は下端側)において、対応するセンスアンプ111に電気的に接続されている。なお、例えば、X方向一端側(図4に示す例では、左側)のワード線ドライバ列WLDAのワード線ドライバ113に接続されたワード線と、X方向他端側(図4に示す例では、右側)のワード線ドライバ列WLDAのワード線ドライバ113に接続されたワード線とは、メモリマット内でY方向に沿って交互に配置されてもよい。また、例えば、Y方向一端側(図4に示す例では、上側)のセンスアンプ列SAAのセンスアンプ111に接続されたビット線と、Y方向他端側(図4に示す例では、下側)のセンスアンプ列SAAのセンスアンプ111に接続されたビット線とは、メモリマット内でX方向に沿って交互に配置されてもよい。
【0048】
複数のメモリセルMCの各々は、複数のワード線wl(n),wl(n+1),…のうち何れかのワード線と複数のビット線bl(k),…のうち何れかのビット線との交差部分に配置されている。なお、各メモリセルMCの構成は、周知の構成(例えば、図1(a)に示す構成)と同様であってもよい。
【0049】
なお、各メモリセルMCに対するデータ制御の詳細については周知の技術と同様であるため、本実施形態では説明を省略する。
【0050】
本実施形態において、センスアンプ列SAAとワード線ドライバ列WLDAとによって囲まれた領域(メモリマット)は、複数のタイプ(図の例では、RC,Rc,rC,rc)の領域に区分されている。各タイプについて説明すると、RCは、ワード線ドライバ113に近く、且つ、センスアンプ111に近い領域であることを示している。また、Rcは、ワード線ドライバ113に近く、且つ、センスアンプ111から遠い領域であることを示している。さらに、rCは、ワード線ドライバ113から遠く、且つ、センスアンプ111に近い領域であることを示している。さらにまた、rcは、ワード線ドライバ113から遠く、且つ、センスアンプ111から遠い領域であることを示している。この場合、図4に示すように、複数のワード線wl(n),wl(n+1),…は、センスアンプ111に近い第1グループ(RC領域又はrC領域に設けられたワード線のグループ)又はセンスアンプ111から遠い第2グループ(Rc領域又はrc領域に設けられたワード線のグループ)の何れかに分類される。
【0051】
次に、本実施形態におけるセンスアンプ制御部107の機能の詳細について説明する。本実施形態において、センスアンプ制御部107は、複数のワード線wl(n),wl(n+1),…がセンスアンプ111からの距離に応じた複数のグループ(第1グループ又は第2グループ)に分類されている場合に、複数のワード線wl(n),wl(n+1),…のうち活性化されるワード線が分類されているグループに設定されたセンスアンプ111活性化の遅延時間td_saon(遅延量)であって、センスアンプ111に対するグループの距離が短いほど長く(大きく)なるように設定された遅延時間td_saonに基づいて、センスアンプ111を活性化させるタイミングを制御する。これにより、センスアンプ111を活性化させるタイミングを、複数のグループ毎に設定された遅延時間td_saonに基づいて制御することが可能になるので、例えば複数のワード線wl(n),wl(n+1),…毎に遅延時間td_saonが設定されている場合と比較して、遅延時間td_saonを記憶するための回路やデバイスを簡素化することができるとともに、遅延時間td_saonを設定するための処理を軽減することができる。これにより、センスアンプ111を活性化させるタイミングを容易に制御することができる。
【0052】
また、本実施形態において、複数のワード線wl(n),wl(n+1),…のうち活性化されるワード線が分類されているグループを識別するための情報は、ロウアドレス信号raa(複数のワード線wl(n),wl(n+1),…のうち活性化されるワード線を示す信号)に含まれている。これにより、活性化されるワード線が何れのグループに分類されているかを、ロウアドレス信号raaに基づいて容易に判別することが可能になる。よって、センスアンプ111を活性化させるタイミングをさらに容易に制御することができる。
【0053】
この場合におけるセンスアンプ制御部107の機能について図5を参照して説明する。図5は、メモリマット内の複数の領域(RC領域、rC領域、Rc領域、rc領域)とセンスアンプ111活性化の遅延時間td_saonとの関係の一例を示す図である。本実施形態において、ロウプリデコーダ102によって生成されるロウアドレス信号raaには、活性化されるワード線が何れのグループ(第1グループ又は第2グループ)に分類されているかを示す1つ以上のビット(ここでは、2ビット)の情報raa[i],raa[i-1](iは、任意の整数である)が含まれている。図5に示す例では、メモリマット内の上部のRC領域及びrC領域に設けられたワード線が活性化される場合に、raa[i]=0及びraa[i-1]=0がロウアドレス信号raaに含まれる。また、メモリマット内のRc領域及びrc領域の上部に設けられたワード線が活性化される場合には、raa[i]=0及びraa[i-1]=1がロウアドレス信号raaに含まれ、メモリマット内のRc領域及びrc領域の下部に設けられたワード線が活性化される場合には、raa[i]=1及びraa[i-1]=0がロウアドレス信号raaに含まれる。さらに、メモリマット内の下部のRC領域及びrC領域に設けられたワード線が活性化される場合に、raa[i]=1及びraa[i-1]=1がロウアドレス信号raaに含まれる。
【0054】
つまり、図5に示す例では、raa[i]及びraa[i-1]の値が同じ場合に、活性化されるワード線が第1グループ(センスアンプ111に近いグループ)に分類されていることを示している。また、raa[i]及びraa[i-1]の値が異なる場合に、活性化されるワード線が第2グループ(センスアンプ111から遠いグループ)に分類されていることを示している。
【0055】
また、図5に示すように、raa[i]及びraa[i-1]の値が同じ場合(センスアンプ111に近いワード線が活性化される場合)には、センスアンプ111活性化の遅延時間td_saonが長くなるように設定されており、raa[i]及びraa[i-1]の値が異なる場合(センスアンプ111から遠いワード線が活性化される場合)には、センスアンプ111活性化の遅延時間td_saonが短くなるように設定されている。
【0056】
センスアンプ制御部107は、例えば、図5に示すraa[i]及びraa[i-1]と遅延時間td_saonとの関係を示すルックアップテーブル等を用いて、アサートされたセンスアンプ活性化信号saonの出力タイミングを調整してもよい。このようにして、センスアンプ制御部107は、複数のワード線wl(n),wl(n+1),…のうち活性化されるワード線が分類されているグループに設定された遅延時間td_saonであって、センスアンプ111に対するグループの距離が短いほど長くなるように設定された遅延時間td_saonに基づいて、センスアンプ111を活性化させるタイミングを制御することが可能になる。また、このようにして、センスアンプ制御部107は、ロウアドレス信号raa(複数のワード線wl(n),wl(n+1),…のうち活性化されるワード線を示す信号)に基づいて、センスアンプ111を活性化させるタイミングを制御することが可能になる。
【0057】
また、本実施形態において、センスアンプ制御部107は、ワード線活性化信号wlon(複数のワード線wl(n),wl(n+1),…のうち何れかのワード線を活性化させるための信号)が入力された場合に、センスアンプ111を活性化させるための信号を、何れかのワード線の位置がセンスアンプ111に近いほどセンスアンプ111を活性化させるタイミングが遅くなるように遅延させて出力する回路部200を備える。これにより、活性化されるワード線がセンスアンプ111に近い場合には、センスアンプ活性化信号saon(センスアンプ111を活性化させるための信号)が遅延して出力されるので、センスアンプ111が活性化されるタイミングを遅くすることが可能になる。
【0058】
図6を参照して、回路部200の構成について説明する。回路部200は、Pチャンネル型のMOSFET201と、抵抗202と、Nチャンネル型のMOSFET203と、インバータ204と、MOSキャパシタ205,206と、NAND回路207と、インバータ208と、NAND回路209と、インバータ210と、NAND回路211,212と、インバータ213と、を備える。
【0059】
MOSFET201,抵抗202及びMOSFET203は、電源と接地間に直列に接続されている。また、MOSFET201,203のゲートには、ワード線活性化信号wlonが入力される。MOSFET201と抵抗202との間の接続ノードN1は、インバータ204の入力端子に接続されている。また、接続ノードN1には、Nチャンネル型のMOSFETによって構成されたMOSキャパシタ205のゲートが接続されている。さらに、MOSキャパシタ205のドレイン及びソースは、接地されている。
【0060】
さらにまた、接続ノードN1には、Nチャンネル型のMOSFETによって構成されたMOSキャパシタ206のゲートが接続されている。また、MOSキャパシタ206のドレイン及びソースは、NAND回路211の出力端子に接続されている。
【0061】
NAND回路207の一方の入力端子には、ロウアドレス信号raaに含まれる情報raa[i]が入力される。また、インバータ208の入力端子には、ロウアドレス信号raaに含まれる情報raa[i-1]が入力され、インバータ208の出力端子は、NAND回路207の他方の入力端子に接続されている。
【0062】
NAND回路209の一方の入力端子は、インバータ210の出力端子に接続されている。また、NAND回路209の他方の入力端子には、ロウアドレス信号raaに含まれる情報raa[i-1]が入力される。インバータ210の入力端子には、ロウアドレス信号raaに含まれる情報raa[i]が入力される。
【0063】
NAND回路211の一方の入力端子は、NAND回路207の出力端子に接続されており、NAND回路211の他方の入力端子は、NAND回路209の出力端子に接続されている。
【0064】
NAND回路212の一方の入力端子には、ワード線活性化信号wlonが入力される。また、NAND回路212の他方の入力端子は、インバータ204の出力端子に接続されている。さらに、NAND回路212の出力端子は、インバータ213の入力端子に接続されている。
【0065】
インバータ213は、NAND回路212から入力された信号を論理反転し、論理反転した信号をセンスアンプ活性化信号saonとして出力する。
【0066】
次に、回路部200の動作について説明する。先ず、ワード線活性化信号wlonがローレベルの場合には、MOSFET201がオン状態になり、MOSFET203がオフ状態になる。この場合、MOSFET201を介してMOSキャパシタ205が充電される。また、この場合には、NAND回路212の一方の端子の電位はハイレベルであり、他方の入力端子の電位はローレベルである。これにより、NAND回路212の出力信号はハイレベルであり、インバータ213から出力されるセンスアンプ活性化信号saonはローレベルとなる。
【0067】
次いで、ワード線活性化信号wlonがハイレベルになると、MOSFET201がオフ状態になり、MOSFET203がオン状態になる。この場合、MOSキャパシタ205の放電が開始される。そして、MOSキャパシタ205の放電が進むに従って、インバータ204に入力される遅延信号dlyの電位が下がった場合に、NAND回路212の他方の入力端子の電位がハイレベルになる。これにより、NAND回路212の出力信号はローレベルになり、インバータ213から出力されるセンスアンプ活性化信号saonはハイレベルになる(アサートされる)。
【0068】
ここで、情報raa[i]=0且つ情報raa[i-1]=0の場合、及び、情報raa[i]=1且つ情報raa[i-1]=1の場合には、NAND回路207から出力される信号eo10及びNAND回路209から出力される信号eo01は、ハイレベルになる。これにより、NAND回路211から出力される信号eorはローレベルになる。この場合、MOSキャパシタ206が充電されることによって、遅延信号dlyの電荷量が大きくなり、遅延信号dlyの電位の低下が遅くなる。したがって、インバータ213から出力されるセンスアンプ活性化信号saonがハイレベルになるタイミングが遅くなる。
【0069】
一方、情報raa[i]=0且つ情報raa[i-1]=1の場合、及び、情報raa[i]=1且つ情報raa[i-1]=0の場合には、NAND回路207から出力される信号eo10又はNAND回路209から出力される信号eo01は、ローレベルになる。これにより、NAND回路211から出力される信号eorはハイレベルになる。この場合、MOSキャパシタ206が充電されないことから、遅延信号dlyの電荷量が小さくなり、MOSFET203による遅延信号dlyの電位の低下が速くなる。したがって、インバータ213から出力されるセンスアンプ活性化信号saonがハイレベルになるタイミングは、MOSキャパシタ206が充電される場合と比較して早くなる。
【0070】
図7は、回路図の動作の一例を示すタイムチャートである。図5及び図6を参照して説明したように、情報raa[i]=0且つ情報raa[i-1]=0の場合、及び、情報raa[i]=1且つ情報raa[i-1]=1の場合には、ワード線活性化信号wlonの立ち上がりエッジからセンスアンプ活性化信号saonの立ち上がりエッジまでの遅延時間td_saonが、情報raa[i]=0且つ情報raa[i-1]=1の場合、及び、情報raa[i]=1且つ情報raa[i-1]=0の場合と比較して長くなる。すなわち、活性化されるワード線が第1グループ(センスアンプ111に近いグループ)に分類されている場合には、センスアンプ111の活性化タイミングが遅くなる。なお、センスアンプ活性化信号saonがローレベル(ネゲート)になるタイミングは、ワード線活性化信号wlonの立ち下がりエッジの後のタイミングであってもよい。また、センスアンプ活性化信号saonがローレベル(ネゲート)になるタイミングは、情報raa[i]及び情報raa[i-1]が同じ値であるか否かに関わらず、同じタイミングであってもよいし、異なるタイミング(例えば、情報raa[i]及び情報raa[i-1]が同じ値の場合には、これらの情報raa[i],情報raa[i-1]の値が異なる場合よりも遅くなる等)であってもよい。
【0071】
図8は、本実施形態に係る半導体記憶装置100の動作の一例を示すタイムチャートである。先ず、図8(a)を参照して、ワード線ドライバ113から遠くセンスアンプ111から近い領域(rC領域)に存在するメモリセルMCに対してアクセスする場合のワード線wl(n),wl(n+1)及びビット線bl(k)の活性化タイミングの一例について説明する。
【0072】
時刻t11において、ワード線wl(n)を活性化するためのワード線活性化信号wlonがハイレベルになる(アサートされる)と、ワード線wl(n)に接続されたワード線ドライバ113がワード線wl(n)の駆動(活性化)を開始する。なお、ここでは、RC領域に設けられたワード線wl(n)の電圧をwl(n)[R]として示している。ここで、RC領域に設けられたワード線wl(n)の活性化の開始から完了までの間、RC領域に設けられたワード線wl(n)とこれに隣接するワード線wl(n+1)との間でクロストークが発生することによって、RC領域に設けられたワード線wl(n+1)の電圧が上昇する。なお、ここでは、RC領域に設けられたワード線wl(n+1)の電圧をwl(n+1)[R]として示している。そして、RC領域に設けられたワード線wl(n)の活性化が完了すると、RC領域に設けられたワード線wl(n+1)の電圧が徐々に低下して、ローレベルになる。
【0073】
また、RC領域に設けられたワード線wl(n)の活性化が開始された後に、rC領域に設けられたワード線wl(n)の活性化が開始される。なお、ここでは、rC領域に設けられたワード線wl(n)の電圧をwl(n)[r]として示している。また、rC領域に設けられたワード線wl(n)の活性化の開始から完了までの間、rC領域に設けられたワード線wl(n)とこれに隣接するワード線wl(n+1)との間でクロストークが発生することによって、rC領域に設けられたワード線wl(n+1)の電圧が上昇する。なお、ここでは、rC領域に設けられたワード線wl(n+1)の電圧をwl(n+1)[r]として示している。そして、rC領域に設けられたワード線wl(n)の活性化が完了すると、rC領域に設けられたワード線wl(n+1)の電圧が徐々に低下する。
【0074】
ここで、上述したように、rC領域内のメモリセルMCがアクセスされる場合には、情報raa[i]及び情報raa[i-1]が同じ値に設定される。これにより、ワード線活性化信号wlonの立ち上がりエッジからセンスアンプ活性化信号saonの立ち上がりエッジまでの遅延時間td_saonが長くなる。そして、時刻t12において、rC領域に設けられたビット線bl(k)を活性化するためのセンスアンプ活性化信号saonがハイレベルになる(アサート)されると、rC領域に設けられたビット線bl(k)に接続されたセンスアンプ111が当該ビット線bl(k)の駆動(活性化)を開始する。なお、ここでは、rC領域に設けられたビット線bl(k)の電圧をbl(k)[R]として示している。
【0075】
その後、時刻t13において、rC領域に設けられたワード線wl(n+1)の電圧がローレベルになる。そして、その後の時刻t14において、rC領域に設けられたビット線bl(k)の活性化が完了する。
【0076】
このようにして、活性化されるワード線wl(n)の位置がセンスアンプ111に近い場合には、当該ワード線wl(n)の位置がワード線ドライバ113から近いか否かに関わらず、センスアンプ111が活性化されるタイミングを遅くすることが可能になる。これにより、センスアンプ111に近いワード線wl(n)が活性化された場合であっても、当該ワード線wl(n)に隣接するワード線wl(n+1)の電圧がローレベルまで低下した後にセンスアンプ111を活性化させることが可能になるので、隣接するワード線wl(n+1)に接続されたメモリセルMCの電荷が減少するのを防ぐことができる。
【0077】
次に、図8(b)を参照して、ワード線ドライバ113から遠くセンスアンプ111から遠い領域(rc領域)に存在するメモリセルMCに対してアクセスする場合のワード線wl(n),wl(n+1)及びビット線bl(k)の活性化タイミングの一例について説明する。なお、時刻t21においてワード線活性化信号wlonがハイレベルになった(アサートされた)場合のワード線wl(n),ワード線wl(n+1)の電圧変化は、図8(a)と同様である。また、ここでは、Rc領域に設けられたワード線wl(n)の電圧をwl(n)[R]として示しており、Rc領域に設けられたワード線wl(n+1)の電圧をwl(n+1)[R]として示している。さらに、rc領域に設けられたワード線wl(n)の電圧をwl(n)[r]として示しており、rc領域に設けられたワード線wl(n+1)の電圧をwl(n+1)[r]として示している。
【0078】
ここで、rc領域内のメモリセルMCがアクセスされる場合には、情報raa[i]及び情報raa[i-1]が異なる値に設定される。これにより、ワード線活性化信号wlonの立ち上がりエッジからセンスアンプ活性化信号saonの立ち上がりエッジまでの遅延時間td_saonが短くなる。そして、時刻t22において、rc領域に設けられたビット線bl(k)を活性化するためのセンスアンプ活性化信号saonがハイレベルになる(アサート)されると、rC領域に設けられたビット線bl(k)に接続されたセンスアンプ111が当該ビット線bl(k)の駆動(活性化)を開始する。なお、ここでは、rc領域に設けられたビット線bl(k)の電圧をbl(k)[c]として示している。
【0079】
なお、図8(a)に示す場合とは異なり、rc領域がセンスアンプ111から離れているので、rc領域に設けられたビット線bl(k)の活性化が完了するまでの時間が長くなる。このため、rc領域に設けられたビット線bl(k)の活性化が完了するまでの間の時刻t23において、rc領域に設けられたワード線wl(n+1)の電圧がローレベルになる。そして、その後の時刻t24において、rc領域に設けられたビット線bl(k)の活性化が完了する。
【0080】
このように、活性化されるワード線wl(n)の位置がセンスアンプ111から遠い場合には、遅延時間td_saonが短く設定されていても、ワード線wl(n)に隣接するワード線wl(n+1)の電圧がローレベルまで低下した後にセンスアンプ111を活性化させることが可能になる。これにより、ディスターブの発生を抑制することができる。
【0081】
上述したように、本実施形態の半導体記憶装置によれば、活性化されるワード線wl(n)の位置がセンスアンプ111に近い場合には、センスアンプ111が活性化されるタイミングを遅くすることが可能になる。これにより、例えば、センスアンプ111に近いワード線wl(n)が活性化された場合であっても、ワード線wl(n)に隣接するワード線wl(n+1)の電圧がローレベルまで低下した後にセンスアンプ111を活性化させることが可能になるので、隣接するワード線wl(n+1)に接続されたメモリセルMCの電荷が減少するのを防ぐことができる。したがって、活性化されるワード線wl(n)の位置に関わらずにディスターブの発生を抑制することができる。
【0082】
また、例えば、Y方向一端側(図4に示す例では、上側)のセンスアンプ列SAAのセンスアンプ111に接続されたビット線と、Y方向他端側(図4に示す例では、下側)のセンスアンプ列SAAのセンスアンプ111に接続されたビット線とが、メモリマット内でX方向に沿って交互に配置される場合には、Y方向一端側のセンスアンプ列SAAのセンスアンプ111は、所定のデータ列の偶数番目のデータ(例えば、DQ0、DQ2等)及び奇数番目のデータ(例えば、DQ1、DQ3等)のうち何れか一方が記憶されたメモリセルMCにアクセスするために使用されてもよい。また、Y方向他端側のセンスアンプ列SAAのセンスアンプ111は、データ列の偶数番目のデータ及び奇数番目のデータのうち何れか他方が記憶されたメモリセルMCにアクセスするために使用されてもよい。この場合、データ列の各データにアクセスするために、Y方向両端側の各センスアンプ列SAAのセンスアンプ111が同時に活性化されることが考えられる。ここで、本実施形態の半導体記憶装置によれば、データ列の各データが記憶されている複数のメモリセルMCに対する距離がY方向両端側の各センスアンプ列SAA間で異なる場合(例えば、Y方向一端側のセンスアンプ列SAAから近いが、Y方向他端側のセンスアンプ列SAAから遠い場合)であっても、Y方向両端側の各センスアンプ列SAAのセンスアンプ111の活性化タイミングを、アクセスされるメモリセルMCの位置に応じて個別に制御することができる。
【0083】
以上説明した各実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記各実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0084】
例えば、上述した実施形態では、半導体記憶装置100がDRAMである場合を一例として説明したが、本発明はこの場合に限られない。例えば、半導体記憶装置100は、複数のワード線と、ビット線と、複数のワード線のうち何れかのワード線とビット線とに接続された複数のメモリセルと、ビット線に接続されたセンスアンプと、を備えるものであれば、他の半導体記憶装置(例えば、SRAM(Static Random Access Memory)、フラッシュメモリ等)であってもよい。
【0085】
また、上述した実施形態では、遅延時間td_saon(遅延量)が長いか短いかの何れかの場合を一例として説明したが、本発明はこの場合に限られない。例えば、遅延量の度合いは、3つ以上に分類されてもよい。なお、この場合には、回路部200のMOSキャパシタ206と同様のMOSキャパシタの数を、遅延量の度合いの数に応じて増やしてもよい。
【0086】
さらに、上述した実施形態では、複数のワード線wl(n),wl(n+1),…が2つのグループ(第1グループ及び第2グループ)の何れかに分類される場合を一例として説明したが、本発明はこの場合に限られない。例えば、複数のワード線wl(n),wl(n+1),…は、3つ以上のグループの何れかに分類されてもよい。
【0087】
さらにまた、上述した実施形態では、メモリマットが4つのタイプ(RC,Rc,rC,rc)の領域に区分されている場合を一例として説明したが、本発明はこの場合に限られない。例えば、メモリマットは、4つ以外の複数のタイプの領域に区分されてもよい。
【0088】
また、上述した実施形態では、図3図5に示すように、RC領域及びRc領域のX方向の寸法と、rC領域及びrc領域のX方向の寸法との比が約1:2であり、RC領域及びrC領域のY方向の寸法と、Rc領域及びrc領域のY方向の寸法との比が約1:2である場合を一例として説明しているが、本発明はこの場合に限られない。例えば、これらの比は、任意に設定されてもよい。
【0089】
さらに、上述した実施形態では、センスアンプ制御部107が本発明における「制御部」である場合を一例として説明したが、本発明はこの場合に限られない。例えば、上述したセンスアンプ制御部107の機能と同様の機能を実現する回路又はデバイスが制御部として設けられてもよい。
【0090】
さらに、図2に示す半導体記憶装置100及び図6に示す回路部200の構成は一例であり、適宜変更されてもよいし、他の様々な構成が採用されてもよい。
【符号の説明】
【0091】
100…半導体記憶装置
107…センスアンプ制御部
111…センスアンプ
200…回路部
bl(k)…ビット線
MC…メモリセル
raa…ロウアドレス信号
saon…センスアンプ活性化信号
td_saon…遅延時間
wlon…ワード線活性化信号
wl(n),wl(n+1)…ワード線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8