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  • 特開-車両構造 図1
  • 特開-車両構造 図2
  • 特開-車両構造 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022119287
(43)【公開日】2022-08-17
(54)【発明の名称】車両構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 7/04 20060101AFI20220809BHJP
【FI】
B60R7/04 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021016279
(22)【出願日】2021-02-04
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100147
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 宏
(72)【発明者】
【氏名】田中 貴士
【テーマコード(参考)】
3D022
【Fターム(参考)】
3D022CA22
(57)【要約】
【課題】車両の内装部材に設けられたトレイ内に溜まったゴミや水等を掃き出し易い車両構造を提供する。
【解決手段】車両構造1は、インストルメントパネル2等の車両の内装部材に設けられたトレイ3を備える。前記トレイ3は、底部31と、前記底部31から上方に立ち上がる壁部32とを備える。前記壁部32は、前記トレイ3の内外を連通するように上方に開口している複数の切欠き部33を備え、前記複数の切欠き部33の各々は、前記底部31の表面310とほぼ面一である底面330を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の内装部材に設けられたトレイを備え、
前記トレイは、底部と、前記底部から上方に立ち上がる壁部とを備え、
前記壁部は、前記トレイの内外を連通するように上方に開口している複数の切欠き部を備え、
前記複数の切欠き部の各々は、前記底部の表面とほぼ面一である底面を備える、
車両構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、上方に開口したトレイを備えるインストルメントパネルを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-29287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インストルメントパネル等の内装部材に設けられたトレイは、代表的には、底部と、底部から上方に立ち上がる壁部とを備える。このようなトレイは、断面凹形状であり、内部にゴミや水等が溜まり易い。
【0005】
本発明の目的の一つは、車両の内装部材に設けられたトレイ内に溜まったゴミや水等を掃き出し易い車両構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る車両構造は、
車両の内装部材に設けられたトレイを備え、
前記トレイは、底部と、前記底部から上方に立ち上がる壁部とを備え、
前記壁部は、前記トレイの内外を連通するように上方に開口している複数の切欠き部を備え、
前記複数の切欠き部の各々は、前記底部の表面とほぼ面一である底面を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の車両構造は、複数の切欠き部によって、トレイ内に溜まったゴミや水等を掃き出し易い。複数の切欠き部を備えることで、隣り合う切欠き部間に突部が構成される。この突部は、バッグ等を掛けるフックとして用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態の車両構造が設けられているインストルメントパネルの外観を示す概略斜視図である。
図2図3は、実施形態の車両構造を説明するための概略構成図である。
図3図4は、実施形態の車両構造に備わる複数の切欠き部及びその周辺を拡大して示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1から図3を参照して、本発明の車両構造の実施形態を以下に説明する。図中の同一符号は同一名称物を示す。なお、以下の説明において、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」とは、車両の正面を「前」とし、これを基準とする方向を意味する。図中、「FR」は車両前後方向の前側、「RR」は後側、「UP」は車両上下方向の上側、「LWR」は下側、「RH」は車両幅方向の右側、「LH」は左側を示す。
【0010】
<要旨>
実施形態の車両構造1は、図1及び図2に示すように、車両の内装部材に設けられたトレイ3を備える。トレイ3は、図2に示すように、底部31と、底部31から上方に立ち上がる壁部32とを備える。実施形態の車両構造1の特徴の一つは、壁部32が複数の切欠き部33を備え、複数の切欠き部33の各々が底部31の表面310とほぼ面一である底面330を備える点にある。以下、各構成を詳細に説明する。実施形態では、図1及び図2に示すように、内装部材がインストルメントパネル2であり、助手席の前方に位置するインストルメントパネル2にトレイ3が設けられている例を説明する。図1は、インストルメントパネル2を車室側から見た全体の概略を示す。図2は、図1に示すインストルメントパネル2における助手席の前方を示す。図1及び図2は、車両左側に助手席が設けられている例を図示する。
【0011】
<トレイ>
トレイ3は、物を載置可能な箇所である。本例のトレイ3は、図1に示すように、インストルメントパネル2に設けられている。インストルメントパネル2は、前側の座席正面に配置された内装部材である。インストルメントパネル2は、主として樹脂で構成されている。インストルメントパネル2における車両幅方向の中央部分には、車両後方に膨出したセンターコンソール20が設けられている。センターコンソール20は、車両幅方向の中間点を通って車長方向に延びる中心軸を含む領域に位置する。センターコンソール20には、代表的にはナビゲーションシステムやエアコンシステム等が配置されている。図1に示すインストルメントパネル2は、スピードメータ等の計器類やステアリングコラム等が取り付けられる各箇所に開口部を備える。インストルメントパネル2における助手席の前方には、グローブボックス5が設けられている。本例のトレイ3は、グローブボックス5の上方に設けられている。本例のトレイ3は、インストルメントパネル2の上方が凹むことで構成されている。
【0012】
トレイ3を構成する底部31は、図2及び図3に示すように、フラットな表面310を備える。本例では、底部31のほぼ全面がフラットな表面310である。
【0013】
トレイ3を構成する壁部32は、助手席に向かい合うように車両幅方向に延びている。壁部32は、トレイ3の内外を連通するように上方に開口している複数の切欠き部33を備える。隣り合う切欠き部33の間には、突部34が構成されている。
【0014】
<切欠き部>
各切欠き部33は、トレイ3内に溜まったゴミや水等を掃き出すための掃き出し口として機能する。各切欠き部33は、図3に示すように、底部31の表面310とほぼ面一である底面330を備える。図3では、表面310と底面330との境界を二点鎖線で示している。ほぼ面一とは、底面330が表面310に段差なく連続して面一である形態は勿論、底面330が表面310よりも若干低くなることで底面330と表面310との間に若干の段差を有する形態を含む。底面330と表面310との間に若干の段差を有する形態の場合、底面330と表面310との境界部分にゴミ等が溜まらない程度の段差であることが好ましい。例えば、段差は1mm以下程度が挙げられる。底面330が表面310よりも若干低いと、ゴミ等を掃き出し易い。本例の底面330は、表面310との間に段差を有さない面一でフラットな面である。
【0015】
各切欠き部33の形状は適宜選択できる。切欠き部33の形状は、切欠き部33を車両幅方向に沿った鉛直面で切断した面の形状である。切欠き部33の形状は、正方形、長方形、台形等が挙げられる。他に、切欠き部33を構成する壁面が湾曲するような形状であってもよい。本例では、各切欠き部33の形状は長方形状である。
【0016】
各切欠き部33の幅は、トレイ3に載置した物が落下し難く、かつごみや水等を掃き出し易い長さを適宜選択できる。各切欠き部33の幅は、例えば指が通るような長さであることが挙げられる。
【0017】
切欠き部33の個数は適宜選択できる。切欠き部33の個数は、偶数であることが挙げられる。二つの切欠き部33を一組として、この組を一つ以上備えることが挙げられる。本例では、二つの切欠き部33が設けられている。つまり、本例では、二つの切欠き部33で構成される組が一つ設けられている。二つの切欠き部33は、所定の間隔をあけて設けられている。二つの切欠き部33の間に構成される突部34は、後述するように、バッグ100等を掛けるフックとして機能する。そのため、二つの切欠き部33の間の長さ、つまり突部34の幅は、バッグ100等を掛け易い長さであることが好ましい。
【0018】
切欠き部33の位置は適宜選択できる。本例では、二つの切欠き部33が壁部32の左側の端部に並んで設けられている。二つの切欠き部33が壁部32の右側の端部に並んで設けられていてもよい。また、二つの切欠き部33が壁部32の中央部に並んで設けられていてもよい。二つの切欠き部33で構成される組が複数設けられている場合、上記組がそれぞれ壁部32の両端部や中央部の所望の位置に設けられていてもよい。
【0019】
<突部>
突部34は、バッグ100等を掛けるフックとして機能する。突部34の幅は、上述したように、バッグ100等を掛け易い長さであることが好ましい。
【0020】
突部34の高さは適宜選択できる。突部34の高さは、壁部32の高さと同じであってもよいし、壁部32よりも高くてもよい。突部34が壁部32よりも高いと、突部34にバッグ100等を掛け易い。
【0021】
突部34の形状は適宜選択できる。突部34の形状は、角柱状、円柱状、角錐台状、円錐台状等が挙げられる。本例の突部34は、前後方向の厚さが下側から上側に向かって漸次的に薄くなっている。厚さが薄くなると、突部34の構成材料を削減できる。本例の突部34は、トレイ3側の面、即ち前面がほぼ鉛直方向に沿った面である。突部34の前面が鉛直面であると、バッグ100等を突部34に掛けた状態が維持され易い。本例の突部34は、トレイ3の外側の面、即ち後面が下側から上側に向かって漸次的に前側に曲がった湾曲面である。突部34の後面には、突部34に掛けることができるバッグ100等の耐荷重を表記することができる。突部34の後面が湾曲面であると、後面が鉛直面である場合に比較して、後面に表記された耐荷重を助手席に着座した状態でも見易くできる。突部34の側面が湾曲するような形状であってもよい。例えば、突部34の下側の幅が上側の幅よりも狭くなるような形状であると、バッグ100等を突部34に掛けた状態が維持され易い。
【0022】
<作用効果>
実施形態の車両構造1は、トレイ3の底部31の表面310と、各切欠き部33の底面330とがほぼ面一であることで、各切欠き部33を通して、トレイ3内に溜まったゴミや水等を掃き出し易い。隣り合う切欠き部33の間に構成される突部34は、バッグ100等を掛けるフックとして用いることができる。実施形態の車両構造1は、複数の切欠き部33を備えることで、ごみや水等の掃き出し口の機能とフックの機能とを兼ね備えることができるため、非常に使い勝手がよい。
【0023】
本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。例えば、上述した実施形態において、以下の変更が可能である。
【0024】
(1)上述した実施形態では、二つの切欠き部33の間の長さ、つまり突部34の幅が比較的小さい形態を説明した。二つの切欠き部33の間の長さ、つまり突部34の幅が比較的大きくてもよい。例えば、各切欠き部33が壁部32の各端部に設けられていてもよい。この場合、隣り合う切欠き部33間には、ある程度の長さを有する壁部32が存在することになる。この場合であっても、バッグ100等の取っ手の長さにもよるが、隣り合う切欠き部33間の壁部32にバッグ100等を掛けることができる。
【0025】
(2)上述した実施形態では、助手席の前方に位置するインストルメントパネル2にトレイ3が設けられている形態を説明した。トレイ3は、運転席の前方に位置するインストルメントパネル2に設けられていてもよい。
【0026】
(3)上述した実施形態では、インストルメントパネル2にトレイ3が設けられている形態を説明した。トレイ3は、ドアトリム、シートバック、デッキサイドボード等に設けられていてもよい。つまり、トレイ3が設けられた内装部材は、ドアトリム、シートバック、デッキサイドボード等であってもよい。
【符号の説明】
【0027】
1 車両構造
2 インストルメントパネル
20 センターコンソール
3 トレイ
31 底部、310 表面
32 壁部
33 切欠き部、330 底面
34 突部
5 グローブボックス
100 バッグ
図1
図2
図3