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  • 特開-プリント配線板の検査方法 図1
  • 特開-プリント配線板の検査方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022119300
(43)【公開日】2022-08-17
(54)【発明の名称】プリント配線板の検査方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20220809BHJP
   H05K 3/00 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
H05K3/46 W
H05K3/46 Q
H05K3/00 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021016303
(22)【出願日】2021-02-04
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095795
【弁理士】
【氏名又は名称】田下 明人
(72)【発明者】
【氏名】石黒 直人
(72)【発明者】
【氏名】佛田 哲生
(72)【発明者】
【氏名】柳沢 裕行
(72)【発明者】
【氏名】川村 洋一郎
【テーマコード(参考)】
5E316
【Fターム(参考)】
5E316AA02
5E316AA15
5E316AA43
5E316BB02
5E316CC08
5E316CC32
5E316EE31
5E316GG31
5E316HH07
5E316JJ02
(57)【要約】
【課題】 ICチップを実装する必要の無いプリント配線板の検査方法の提供
【解決手段】 樹脂絶縁層50Aと導体層58Aが交互に積層され、層間の導体層58A、58Bがビア導体60Bで接続され、最上面FFに電子部品実装用のビアランド60HRと特定のビアランド60HRを接続する接続配線58HCの設けられるプリント配線板10の検査方法。そして、検査方法は、プリント配線板10のビアランド60HR上にダミー基板110を実装することと、接続配線58HCで接続された回路の抵抗を検査すること、とを有する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂絶縁層と導体層が交互に積層され、層間の導体層がビアで接続され、最上面に電子部品実装用の端子と前記端子中の特定の端子を接続する接続配線の設けられるプリント配線板の検査方法であって、
前記プリント配線板の前記端子上にダミー基板を実装することと、
前記接続配線で接続された回路の抵抗を検査すること、とを有する。
【請求項2】
請求項1のプリント配線板の検査方法であって、
前記端子上に半田バンプが設けられ、
前記ダミー基板は、前記ダミー基板に設けられたパッドを介して、前記半田バンプに接続される。
【請求項3】
請求項1又は請求項2のプリント配線板の検査方法であって、
前記ダミー基板はガラス板である。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか1のプリント配線板の検査方法であって、
前記プリント配線板は、最下面にパッドを有し、
前記最下面のパッドにプローブが当てられ、前記回路の抵抗が検査される。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれか1のプリント配線板の検査方法であって、 前記接続配線で接続された回路は、7段以上のスタックドビアである。
【請求項6】
請求項1~請求項4のいずれか1のプリント配線板の検査方法であって、 前記接続配線で接続された回路は、8段以上のスタックドビアである。
【請求項7】
請求項5又は請求項6のプリント配線板の検査方法であって、
前記プリント配線板は、第1面と前記第1面の反対側の第2面とを有するコア基板を有し、
前記スタックドビアは、前記コア基板の前記第1面と前記第2面に形成されている。
【請求項8】
請求項1~請求項7のいずれか1のプリント配線板の検査方法であって、 前記抵抗の検査は、前記プリント配線板と前記ダミー基板とにヒートサイクルを加えながら行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタックドビアを備えるプリント配線板の検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、フィルドビアを複数段、同軸上に積み上げたスタックドビアを有するプリント配線板で、スタックドビアのピーリングテストを行うことを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-5673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、スタックドビアの信頼性を試験するために、ICチップを実装する必要があると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、樹脂絶縁層と導体層が交互に積層され、層間の導体層がビアで接続され、最上面に電子部品実装用の端子と前記端子中の特定の端子を接続する接続配線の設けられるプリント配線板の検査方法である。そして、前記プリント配線板の前記端子上にダミー基板を実装することと、前記接続配線で接続された回路の抵抗を検査すること、とを有する。
【0006】
[実施形態の効果]
本発明の実施形態のプリント配線板の検査方法によれば、プリント配線板の最上面に電子部品実装用の端子と端子中の特定の端子を接続する接続配線が設けられている。接続配線で端子間が接続されているため、配線を備えないダミー基板を実装してビアの信頼性の検査ができる。このため、信頼性の検査のためにICチップを実装する必要が無い。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態に係るプリント配線板の断面図
図2】本発明の実施形態の応用例に係るプリント配線板の断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本発明の実施形態に係る信頼性試験専用のプリント配線板10の断面図である。プリント配線板10は、第1面Fと第1面Fと反対側の第2面Sとを有するコア基板30と、コア基板30の第1面F上に形成されている第1ビルドアップ層BFと、コア基板30の第2面S上に形成されている第2ビルドアップ層BSと、とを有する。
【0009】
コア基板30は第1面Fと第1面Fと反対側の第2面Sとを有するコア層20とコア層20の第1面F上に形成されている第3導体層34Fとコア層20の第2面S上に形成されている第4導体層34Sを有する。コア基板30は、さらに、コア層20を貫通するスルーホール導体36を有する。第3導体層34Fと第4導体層34Sはスルーホール導体36を介して接続されている。
【0010】
第1ビルドアップ層BFは、コア基板30の第1面Fと第3導体層34F上に形成されている第1樹脂絶縁層50Aと、第1樹脂絶縁層50A上に形成されている第1導体層58Aと、第1樹脂絶縁層50Aを貫通し、第3導体層34Fに接続する第1ビア導体60Aを有する。第1ビア導体60Aは、上層の第1ビア導体60Bにスタックされる第1ビア導体60Asを含む。
【0011】
第1ビルドアップ層BFは、更に、第1樹脂絶縁層50Aと第1導体層58A上に形成されている第1樹脂絶縁層50Bと、第1樹脂絶縁層50B上に形成されている第1導体層58Bと、第1樹脂絶縁層50Bを貫通し、第1導体層58Aに接続する第1ビア導体60Bを有する。第1ビア導体60Bは、上層の第1ビア導体60Cにスタックされる第1ビア導体60Bsを含む。
【0012】
第1ビルドアップ層BFは、更に、第1樹脂絶縁層50Bと第1導体層58B上に形成されている第1樹脂絶縁層50Cと、第1樹脂絶縁層50C上に形成されている第1導体層58Cと、第1樹脂絶縁層50Cを貫通し、第1導体層58Bに接続する第1ビア導体60Cを有する。第1ビア導体60Cは、上層の第1ビア導体60Dにスタックされる第1ビア導体60Csを含む。
【0013】
第1ビルドアップ層BFは、更に、第1樹脂絶縁層50Cと第1導体層58C上に形成されている第1樹脂絶縁層50Dと、第1樹脂絶縁層50D上に形成されている第1導体層58Dと、第1樹脂絶縁層50Dを貫通し、第1導体層58Cに接続する第1ビア導体60Dを有する。第1ビア導体60Dは、上層の第1ビア導体60Eにスタックされる第1ビア導体60Dsを含む。
【0014】
第1ビルドアップ層BFは、更に、第1樹脂絶縁層50Dと第1導体層58D上に形成されている第1樹脂絶縁層50Eと、第1樹脂絶縁層50E上に形成されている第1導体層58Eと、第1樹脂絶縁層50Eを貫通し、第1導体層58Dに接続する第1ビア導体60Eを有する。第1ビア導体60Eは、上層の第1ビア導体60Fにスタックされる第1ビア導体60Esを含む。
【0015】
第1ビルドアップ層BFは、更に、第1樹脂絶縁層50Eと第1導体層58E上に形成されている第1樹脂絶縁層50Fと、第1樹脂絶縁層50F上に形成されている第1導体層58Fと、第1樹脂絶縁層50Fを貫通し、第1導体層58Eに接続する第1ビア導体60Fを有する。第1ビア導体60Fは、上層の第1ビア導体60Gにスタックされる第1ビア導体60Fsを含む。
【0016】
第1ビルドアップ層BFは、更に、第1樹脂絶縁層50Fと第1導体層58F上に形成されている第1樹脂絶縁層50Gと、第1樹脂絶縁層50G上に形成されている第1導体層58Gと、第1樹脂絶縁層50Gを貫通し、第1導体層58Fに接続する第1ビア導体60Gを有する。第1ビア導体60Gは、上層の第1ビア導体60Hにスタックされる第1ビア導体60Gsを含む。
【0017】
第1ビルドアップ層BFは、更に、第1樹脂絶縁層50Gと第1導体層58G上に形成されている第1樹脂絶縁層50Hと、第1樹脂絶縁層50H上に形成されている第1導体層58Hと、第1樹脂絶縁層50Hを貫通し、第1導体層58Gに接続する第1ビア導体60Hを有する。第1ビア導体60Hは、下層の第1ビア導体60Gにスタックする第1ビア導体60Hsを含む。第1ビア導体60Hには、ビアランド60HRが設けられている。第1導体層58Hは、2つのビアランド60HRを接続する接続配線58HCを含む。ビアランド60HRは第1導体層58Hに含まれる。第1導体層58Hは、プリント配線板10の最上面FF上に形成されている。端子を構成するビアランド60HR上には、半田バンプ78が設けられている。
【0018】
第2ビルドアップ層BSは、コア基板30の第2面Sと第4導体層34S上に形成されている第2樹脂絶縁層50Iと、第2樹脂絶縁層50I上に形成されている第2導体層58Iと、第2樹脂絶縁層50Iを貫通し、第4導体層34Sに接続する第2ビア導体60Iを有する。第2ビア導体60Iは、上層の第2ビア導体60Jにスタックされる第2ビア導体60Isを含む。
【0019】
第2ビルドアップ層BSは、更に、第2樹脂絶縁層50Iと第2導体層58I上に形成されている第2樹脂絶縁層50Jと、第2樹脂絶縁層50J上に形成されている第2導体層58Jと、第2樹脂絶縁層50Jを貫通し、第2導体層58Iに接続する第2ビア導体60Jを有する。第2ビア導体60Jは、上層の第2ビア導体60Kにスタックされる第2ビア導体60Jsを含む。
【0020】
第2ビルドアップ層BSは、更に、第2樹脂絶縁層50Jと第2導体層58J上に形成されている第2樹脂絶縁層50Kと、第2樹脂絶縁層50K上に形成されている第2導体層58Kと、第2樹脂絶縁層50Kを貫通し、第2導体層58Jに接続する第2ビア導体60Kを有する。第2ビア導体60Kは、上層の第2ビア導体60Lにスタックされる第2ビア導体60Ksを含む。
【0021】
第2ビルドアップ層BSは、更に、第2樹脂絶縁層50Kと第2導体層58K上に形成されている第2樹脂絶縁層50Lと、第2樹脂絶縁層50L上に形成されている第2導体層58Lと、第2樹脂絶縁層50Lを貫通し、第2導体層58Kに接続する第2ビア導体60Lを有する。第2ビア導体60Lは、上層の第2ビア導体60Mにスタックされる第2ビア導体60Lsを含む。
【0022】
第2ビルドアップ層BSは、更に、第2樹脂絶縁層50Lと第2導体層58L上に形成されている第2樹脂絶縁層50Mと、第2樹脂絶縁層50M上に形成されている第2導体層58Mと、第2樹脂絶縁層50Mを貫通し、第2導体層58Lに接続する第2ビア導体60Mを有する。第2ビア導体60Mは、上層の第2ビア導体60Nにスタックされる第2ビア導体60Msを含む。
【0023】
第2ビルドアップ層BSは、更に、第2樹脂絶縁層50Mと第2導体層58M上に形成されている第2樹脂絶縁層50Nと、第2樹脂絶縁層50N上に形成されている第2導体層58Nと、第2樹脂絶縁層50Nを貫通し、第2導体層58Mに接続する第2ビア導体60Nを有する。第2ビア導体60Nは、上層の第2ビア導体60Oにスタックされる第2ビア導体60Nsを含む。
【0024】
第2ビルドアップ層BSは、更に、第2樹脂絶縁層50Nと第2導体層58N上に形成されている第2樹脂絶縁層50Oと、第2樹脂絶縁層50O上に形成されている第2導体層58Oと、第2樹脂絶縁層50Oを貫通し、第2導体層58Nに接続する第2ビア導体60Oを有する。第2ビア導体60Oは、上層の第2ビア導体60Pにスタックされる第2ビア導体60Osを含む。
【0025】
第2ビルドアップ層BSは、更に、第2樹脂絶縁層50Oと第2導体層58O上に形成されている第2樹脂絶縁層50Pと、第2樹脂絶縁層50P上に形成されている第2導体層58Pと、第2樹脂絶縁層50Pを貫通し、第2導体層58Oに接続する第2ビア導体60Pを有する。第2ビア導体60Pは、下層の第2ビア導体60Oにスタックする第2ビア導体60Psを含む。第2ビア導体60Pには、ビアランド60PRが設けられている。ビアランド60PRは第2導体層58Pに含まれる。第2導体層58Pは、プリント配線板の最下面SS上に形成されている。
【0026】
図2は、実施形態のプリント配線板10にダミー基板110が実装された断面図である。ダミー基板110は、ガラス板から成り、下面にダミーのパッド112が設けられている。ダミー基板110には、配線が設けられていない。パッド112は、配線に接続されず、個々独立して配置されている。ダミー基板110は、プリント配線板10の半田バンプ78に、パッド112を介して実装される。ダミー基板110を構成するガラス板の熱膨張係数は実装が予定されるICチップの熱膨張係数と近似するように調整されている。
【0027】
図2に示すダミー基板110が実装されたプリント配線板10について、ヒートサイクル試験が行われ、その前後における導通試験が行われた。
ヒートサイクル試験では、-65℃で3分間および130℃で3分間放置するサイクルが1000サイクル繰り返された。
【0028】
プリント配線板10の第2ビルドアップ層BSの最外層の第2導体層58Pの図中の第1ポイントP1、第2ポイントP2に検査装置の図示されない抵抗測定用プローブが当てられる。第1ポイントP1と第2ポイントP2と間の抵抗が測定される。即ち、第1ポイントP1のビアランド60PR、第2ビルドアップ層BSの8段のスタックドビアである第2ビア導体60Ps、60Os、60Ns、60Ms、60Ls、60Ks、60Js、60Is、スルーホール導体36、第1ビルドアップ層BFの8段のスタックドビアである第1ビア導体60As、60Bs、60Cs、60Ds、60Es、60Fs、60Gs、60Hs、ビアランド60HR、接続配線58HC、ビアランド60HR、第1ビルドアップ層BFの8段のスタックドビアである第1ビア導体60Hs、60Gs、60Fs、60Es、60Ds、60Cs、60Bs、60As、スルーホール導体36、第2ビルドアップ層BSの8段のスタックドビアである第2ビア導体60Is、60Js、60Ks、60Ls、60Ms、60Ns、60Os、60Ps、第2ポイントP2のビアランド60PRの抵抗が測定される。抵抗の測定はヒートサイクル試験の前後で行われ、ヒートサイクル試験の前後で抵抗値が変化するか否かにより、8段のスタックドビア66F、66Sの信頼性が試験された。
【0029】
第3ポイントP3と第4ポイントP4と間の抵抗が測定される。即ち、第3ポイントP3のビアランド60PR、第2ビア導体60P、第2ビルドアップ層BSの7段のスタックドビアである第2ビア導体60Os、60Ns、60Ms、60Ls、60Ks、60Js、60Is、スルーホール導体36、第1ビルドアップ層BFの7段のスタックドビアである第1ビア導体60As、60Bs、60Cs、60Ds、60Es、60Fs、60Gs、第1ビア導体60H、ビアランド60HR、接続配線58HC、ビアランド60HR、第1ビア導体60H、第1ビルドアップ層BFの7段のスタックドビアである第1ビア導体60Gs、60Fs、60Es、60Ds、60Cs、60Bs、60As、スルーホール導体36、第2ビルドアップ層BSの7段のスタックドビアである第2ビア導体60Is、60Js、60Ks、60Ls、60Ms、60Ns、60Os、第2ビア導体60P、第4ポイントP4のビアランド60PRの抵抗が測定される。抵抗の測定はヒートサイクル試験の前後で行われ、ヒートサイクル試験の前後で抵抗値が変化するか否かにより、7段のスタックドビアの信頼性が試験された。
【0030】
実施形態のプリント配線板の検査方法によれば、プリント配線板10の最上面FFに電子部品実装用のビアランド60HRと特定のビアランド60HRを接続する接続配線58HCが設けられている。接続配線58HCでビアランド60HR間が接続されているため、配線を備えないダミー基板110を実装してビアの信頼性の検査ができる。このため、信頼性の検査のためにICチップを実装する必要が無い。
【符号の説明】
【0031】
10 プリント配線板
30 コア基板
36 スルーホール導体
50A 第1樹脂絶縁層
58A 第1導体層
58HC 接続配線
60HR ビアランド(端子)
60A 第1ビア導体
50I 第2樹脂絶縁層
58I 第2導体層
60I 第2ビア導体
図1
図2