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  • 特開-揚重装置及び揚重装置の施工方法 図1
  • 特開-揚重装置及び揚重装置の施工方法 図2
  • 特開-揚重装置及び揚重装置の施工方法 図3
  • 特開-揚重装置及び揚重装置の施工方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022119303
(43)【公開日】2022-08-17
(54)【発明の名称】揚重装置及び揚重装置の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E01D 22/00 20060101AFI20220809BHJP
   E04G 21/16 20060101ALI20220809BHJP
   E01D 21/00 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
E01D22/00 B
E04G21/16
E01D21/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021016308
(22)【出願日】2021-02-04
(71)【出願人】
【識別番号】000103769
【氏名又は名称】オリエンタル白石株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(74)【代理人】
【識別番号】100198214
【弁理士】
【氏名又は名称】眞榮城 繁樹
(72)【発明者】
【氏名】崎谷 和也
(72)【発明者】
【氏名】池田 達彦
【テーマコード(参考)】
2D059
2E174
【Fターム(参考)】
2D059BB37
2D059DD02
2D059GG40
2E174BA03
2E174CA02
2E174CA09
2E174CA16
(57)【要約】
【課題】高架構造物の高架下空間で資材を揚重することが可能となり、安全性を向上させることが可能となる揚重装置を提供する。
【解決手段】実施形態に係る揚重装置1は、高架構造物9の高架下空間で資材を揚重する際に用いられる揚重装置であって、高架構造物9の上面9a側に載置される上部受金具2と、高架構造物9の下面9b側に配置されるレール部3と、上部受金具2とレール部3とを連結する連結部材4と、レール部3に沿って移動可能な揚重機5と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高架構造物の高架下空間で資材を揚重する際に用いられる揚重装置であって、
高架構造物の上面側に載置される上部受金具と、
高架構造物の下面側に配置されるレール部と、
前記上部受金具と前記レール部とを連結する連結部材と、
前記レール部に沿って移動可能な揚重機と、を備えること
を特徴とする揚重装置。
【請求項2】
前記上部受金具は、第1高架構造物と、前記第1高架構造物と離間して立設された第2高架構造物と、に架設され、
前記連結部材は、前記第1高架構造物と前記第2高架構造物との間に配置されること
を特徴とする請求項1記載の揚重装置。
【請求項3】
前記連結部材は、高架構造物の上面側から下面側に貫通された貫通孔に配置されること
を特徴とする請求項1記載の揚重装置。
【請求項4】
前記レール部は、
高架構造物の下面側に対向して配置される第1板部と、
前記第1板部に貫通され、前記第1板部の上面からの突出長さを調整可能な調整部材と、を有すること
を特徴とする請求項1~3の何れか1項記載の揚重装置。
【請求項5】
前記調整部材は、前記連結部材を挟んで両側に配置されること
を特徴とする請求項4記載の揚重装置。
【請求項6】
高架構造物の上面側に上部受金具を載置し、前記上部受金具と高架構造物の下面側に配置されるレール部とを連結部材により連結する設置工程と、
前記レール部に沿って移動可能な揚重機を前記レール部に取り付ける取付工程と、を備えること
を特徴とする揚重装置の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揚重装置及び揚重装置の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、既設高架橋の桁下空間に主版補強用や主版取替用の支保工を設置する際には、移動式クレーンを用いて資材の揚重を行う。しかしながら、桁下空間が十分に確保できない場所では、移動式クレーンのブームが既設高架橋に接触してしまうことから、移動式クレーンが使用できないことがある。
【0003】
従来、構造物の作業のための仮設工事用作業装置として、特許文献1が開示されている。特許文献1の仮設工事用作業装置は、構築物に沿って取付けられるハンガーレールと、このハンガーレールに移動自在に装備された吊持機と、この吊持機によって吊持され、吊持機に対して水平面に沿って回転できる状態で連結されている第2の吊持機と、前記吊持機によって支持されているトラス梁とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平1-287363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の開示技術では、ハンガーレールが既設の上部支持梁に取り付けられていることから、ハンガーレール等の荷重が上部支持梁の下方へ作用してしまうため、ハンガーレールが落下するおそれ等の安全性に問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、高架構造物の高架下空間で資材を揚重することが可能となり、安全性を向上させることが可能となる揚重装置及び揚重装置の施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る揚重装置は、高架構造物の高架下空間で資材を揚重する際に用いられる揚重装置であって、高架構造物の上面側に載置される上部受金具と、高架構造物の下面側に配置されるレール部と、前記上部受金具と前記レール部とを連結する連結部材と、前記レール部に沿って移動可能な揚重機と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る揚重装置の施工方法は、高架構造物の上面側に上部受金具を載置し、前記上部受金具と高架構造物の下面側に配置されるレール部とを連結部材により連結する設置工程と、前記レール部に沿って移動可能な揚重機を前記レール部に取り付ける取付工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、高架構造物の高架下空間で資材を揚重することが可能となり、安全性を向上させることが可能となる技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1実施形態に係る揚重装置が用いられる高架構造物の一例を示す図である。
図2図2は、第1実施形態に係る揚重装置を拡大して示す図である。
図3図3は、第1実施形態に係る揚重装置の使用方法の一例を示す図である。
図4図4は、第2実施形態に係る揚重装置を拡大して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態に係る揚重装置及び揚重装置の施工方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
<第1実施形態>
第1実施形態に係る揚重装置1は、図1に示すように、橋梁等の高架構造物9の高架下空間で、資材を揚重する際に用いられる。揚重装置1は、高架構造物9の主版93を補強及び取替する際に主版93を保持するための支保工8の組立時や解体時に用いられる。高架構造物9は、第1高架構造物91と、第1高架構造物91と離間して立設された第2高架構造物92と、を有する。揚重装置1は、第1高架構造物91と第2高架構造物92との間に設けられる。
【0013】
揚重装置1は、図2に示すように、揚重機5と、揚重機5を高架構造物9に保持する保持部6と、を備える。保持部6は、上部受金具2と、レール部3と、連結部材4と、を有する。
【0014】
上部受金具2は、高架構造物9の上面9a側に載置される。上部受金具2は、第1高架構造物91と第2高架構造物92とに架設される。上部受金具2は、H形鋼や溝形鋼等の鋼材が用いられる。
【0015】
レール部3は、高架構造物9の下面9b側に配置される。レール部3は、第1板部31と、レール本体部32と、調整部材33と、を有する。
【0016】
第1板部31は、鋼板等が用いられ、高架構造物9の下面9bに対向して配置される。第1板部31は、第1高架構造物91と第2高架構造物92とに跨るように配置される。レール本体部32は、アイビーム等が用いられる。
【0017】
調整部材33は、第1板部31に貫通されるボルト等が用いられる。調整部材33は、第1板部31の上面からの突出長さを調整可能であり、調整部材33の上端は、高架構造物9の下面9bに接触される。調整部材33は、レール本体部32を第1板部31に固定する。調整部材33は、連結部材4を挟んで両側に配置される。
【0018】
ここで、連結部材4を挟んで両側の高架構造物9の下面9bの高さが異なる場合がある。例えば、第1高架構造物91の下面9bの高さが、第2高架構造物92の下面9bの高さよりも高い位置に配置される。
【0019】
連結部材4は、レール部3と揚重機5とを連結するものである。連結部材4は、例えば、高さ方向Zに延びるPC鋼棒等の棒状部材41と、棒状部材41に螺合可能なナット42とにより構成される。連結部材4は、第1高架構造物91と第2高架構造物92との間Sに配置される。
【0020】
揚重機5は、資材を揚重可能なものであり、例えば、電動チェーンブロックが用いられる。揚重機5は、レール部3に沿って走行して移動可能なものである。また、揚重機5は、水平方向に回転可能である。
【0021】
次に、第1実施形態に係る揚重装置の施工方法について説明する。揚重装置の施工方法は、設置工程と、設置工程の後に行われる取付工程と、を備える。
【0022】
先ず、設置工程では、上部受金具2を高架構造物9の上面9a側に載置する。設置工程では、橋軸直角方向Yに間隔を空けて立設された第1高架構造物91と第2高架構造物92との間に、上部受金具2を架設する。上部受金具2は、橋軸方向Xに複数設けられる。
【0023】
そして、設置工程では、高所作業車等を用いて、上部受金具2に連結部材4を設置する。連結部材4は、第1高架構造物91と第2高架構造物92との間に配置される。
【0024】
そして、設置工程では、高所作業車等を用いて、連結部材4にレール部3を設置する。これにより、上部受金具2とレール部3とが連結部材4により連結される。詳細には、設置工程では、高架構造物9の下面9bに対向して第1板部31を配置し、第1板部31を連結部材4に連結する。そして、設置工程では、調整部材33により、レール本体部32を第1板部31に固定する。このとき、調整部材33の第1板部31の上面から突出長さを調整し、調整部材33の上端を高架構造物9の下面9bに接触させる。これにより、レール本体部32を水平に調整することができる。レール部3は、橋軸方向Xに延伸するように順次設ける。
【0025】
次に、取付工程では、レール本体部32に揚重機5を取り付ける。
【0026】
以上により、第1実施形態に係る揚重装置の施工方法が完了する。
【0027】
揚重装置1を用いて支保工8を組み立てる場合には、図3に示すように、資材ヤードにある桁材81を揚重機5により吊り上げて揚重する。そして、支保工8の組み立て箇所まで揚重機5をレール部3に沿って移動させる。そして、揚重機5を水平方向に回転させ、桁材81を設置し、支保工8を組み立てる。
【0028】
本実施形態によれば、レール部3に沿って移動可能な揚重機5を備える。これにより、高架構造物9の高架下空間で長尺の桁材81等の資材を揚重することが可能となる。
【0029】
本実施形態によれば、高架構造物9の上面9a側に載置される上部受金具2を備える。これにより、レール部3の荷重が作用する上部受金具2を、既設の高架構造物9の下方から支持することができる。このため、レール部3をより安定した状態で保持することができ、安全性を高くすることが可能となる。
【0030】
本実施形態によれば、上部受金具2は、第1高架構造物91と、第1高架構造物91と離間して立設された第2高架構造物92と、に架設され、連結部材4は、第1高架構造物91と第2高架構造物92との間に配置される。これにより、第1高架構造物91と第2高架構造物92とに削孔等の作業を発生させることなく、連結部材4による上部受金具2とレール部3とを短時間で連結することができる。このため、施工時間を短縮化することができる。
【0031】
加えて、本実施形態によれば、連結部材4は、第1高架構造物91と第2高架構造物92との間に配置される。これにより、例えば、第1高架構造物91と第2高架構造物92とに車両等が通行する供用中であっても、上部受金具2が車両の通行を阻害することがない。このため、供用中の高架構造物9であっても、交通規制を行うことなく揚重装置1を施工することができる。
【0032】
本実施形態によれば、高架構造物9の下面9bに対向して配置される第1板部31と、第1板部31に貫通され、第1板部31の上面からの突出長さを調整可能な調整部材33と、を有する。これにより、第1高架構造物91の下面9bの高さと、第2高架構造物92の下面9bの高さとが異なる場合であっても、調整部材33の突出長さを調整することで、レール部3を水平に調整することが可能となる。
【0033】
本実施形態によれば、調整部材33は、連結部材4を挟んで両側に配置される。これにより、レール部3を水平に調整する作業をより容易に行うことができる。このため、揚重装置1の施工時間を短縮することが可能となる。
【0034】
<第2実施形態>
第2実施形態に係る揚重装置1では、図4に示すように、連結部材4が高架構造物9の上面9a側から下面側に貫通された貫通孔99に配置される。
【0035】
次に、第2実施形態に係る揚重装置の施工方法について説明する。揚重装置の施工方法は、設置工程と、設置工程の後に行われる取付工程と、を備える。
【0036】
先ず、設置工程では、上部受金具を高架構造物9の上面9a側に載置する。上部受金具2は、橋軸方向Xに複数設けられる。
【0037】
そして、設置工程では、削孔装置を用いて、高架構造物9の上面9a側から下面9b側に向けて貫通孔99を削孔し、貫通孔99に連結部材4を配置し、上部受金具2に連結部材4を設置する。なお、貫通孔99が予め設けられている場合には、削孔作業を行くことなく、当該貫通孔99に連結部材4を配置すればよい。
【0038】
そして、設置工程では、高所作業車等を用いて、連結部材4にレール部3を設置する。これにより、上部受金具2とレール部3とが連結部材4により連結される。詳細は、第1実施形態と同様のため、省略する。
【0039】
次に、取付工程では、第1実施形態と同様に、レール本体部32に揚重機5を取り付ける。
【0040】
以上により、第2実施形態に係る揚重装置の施工方法が完了する。
【0041】
本実施形態によれば、連結部材4は、高架構造物9の上面9a側から下面9b側に貫通された貫通孔99に配置される。これにより、貫通孔99を削孔する位置に応じて、高架構造物9の上面9a側に載置する上部受金具2の位置を設定することができる。このため、揚重装置1の施工の自由度を高くすることができる。
【0042】
以上、この発明の実施形態を説明したが、この実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。また、上記の実施形態は、この発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更が可能である。このような新規な形態や変形は、この発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明、及び特許請求の範囲に記載された発明の均等物の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0043】
1 :揚重装置
2 :上部受金具
3 :レール部
31 :第1板部
32 :レール本体部
33 :調整部材
4 :連結部材
5 :揚重機
6 :保持部
8 :支保工
81 :桁材
9 :高架構造物
9a :上面
9b :下面
91 :第1高架構造物
92 :第2高架構造物
93 :主版
99 :貫通孔
X :橋軸方向
Y :橋軸直角方向
Z :高さ方向
図1
図2
図3
図4