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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022119353
(43)【公開日】2022-08-17
(54)【発明の名称】喫煙具用カートリッジ
(51)【国際特許分類】
   A24D 1/20 20200101AFI20220809BHJP
   A24F 40/42 20200101ALI20220809BHJP
【FI】
A24D1/20
A24F40/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021016413
(22)【出願日】2021-02-04
(71)【出願人】
【識別番号】721008039
【氏名又は名称】Future Technology株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 龍志
【テーマコード(参考)】
4B045
4B162
【Fターム(参考)】
4B045AA50
4B045AB17
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB01
4B162AB12
4B162AB22
4B162AC08
4B162AC13
(57)【要約】      (修正有)
【課題】エアロゾルを生成するエアロゾル形成基材を含む被加熱体の支持部材側への移動を抑制できる喫煙具用カートリッジを提供する。
【解決手段】喫煙具用カートリッジ1は、喫煙具70の加熱部75が挿入されて発熱することによりエアロゾルを生成するエアロゾル形成基材23を含む被加熱体20と、筒状に形成され、被加熱体と対面する第1端部30aおよび第1端部と反対側の第2端部30bを有する支持部材30と、を備え、支持部材は、その軸方向が喫煙具用カートリッジの中心軸に沿うように配置されて、喫煙具の加熱部が被加熱体に挿入されたときに被加熱体の支持部材側への移動を抑制し、支持部材の第1端部の内径r1は、被加熱体の両端部のうち支持部材と対面する側の端部23aの外径よりも小さく形成される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱部が設けられた加熱式の喫煙具に装着されて使用される喫煙具用カートリッジであって、
前記喫煙具用カートリッジは、前記喫煙具の前記加熱部が挿入されて発熱することによりエアロゾルを生成するエアロゾル形成基材を含む被加熱体と、筒状に形成され、前記被加熱体と対面する第1端部および前記第1端部と反対側の第2端部を有する支持部材と、を備え、
前記支持部材は、その軸方向が前記喫煙具用カートリッジの中心軸に沿うように配置されて、前記喫煙具の前記加熱部が前記被加熱体に挿入されたときに前記被加熱体の前記支持部材側への移動を抑制し、
前記支持部材の前記第1端部の内径は、前記被加熱体の両端部のうち前記支持部材と対面する側の端部の外径よりも小さく形成されることを特徴とする喫煙具用カートリッジ。
【請求項2】
請求項1に記載の喫煙具用カートリッジにおいて、
前記支持部材の前記第1端部の外径の寸法と、前記被加熱体の前記支持部材と対面する側の端部の外径の寸法と、は同一であることを特徴とする喫煙具用カートリッジ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の喫煙具用カートリッジにおいて、
前記支持部材の前記第1端部の形状は、前記第2端部の形状と異なることを特徴とする喫煙具用カートリッジ。
【請求項4】
請求項3に記載の喫煙具用カートリッジにおいて、
前記支持部材の前記第1端部の内径は、前記第2端部の内径よりも大きいことを特徴とする喫煙具用カートリッジ。
【請求項5】
請求項4に記載の喫煙具用カートリッジにおいて、
前記支持部材は、前記第1端部から前記第2端部に向かうに連れて徐々に内径が小さくなるようにシート状の部材を巻いて形成されていることを特徴とする喫煙具用カートリッジ。
【請求項6】
請求項4に記載の喫煙具用カートリッジにおいて、
前記支持部材の前記第1端部の外径は、前記第2端部の外径よりも大きいことを特徴とする喫煙具用カートリッジ。
【請求項7】
請求項1,2または6に記載の喫煙具用カートリッジにおいて、
前記支持部材は樹脂成形品から成り、
前記支持部材の外周面には複数の凸部または凹部が形成されていることを特徴とする喫煙具用カートリッジ。
【請求項8】
請求項1または2に記載の喫煙具用カートリッジにおいて、
前記支持部材は、その内周面に前記軸方向に沿って延びる複数の突条部を有することを特徴とする喫煙具用カートリッジ。
【請求項9】
請求項8に記載の喫煙具用カートリッジにおいて、
前記複数の突条部は、前記支持部材の周方向に2つ以上等間隔で配置されていることを特徴とする喫煙具用カートリッジ。
【請求項10】
請求項8または9に記載の喫煙具用カートリッジにおいて、
前記支持部材は、シート状部材を巻いて形成されており、
前記複数の突条部は、それぞれ、前記シート状部材の外周面の一部を内方に折り曲げて形成されていることを特徴とする喫煙具用カートリッジ。
【請求項11】
請求項10に記載の喫煙具用カートリッジにおいて、
前記複数の突条部は、それぞれ、前記支持部材の前記第1端部側の幅が前記第2端部側の幅よりも狭くなるように形成されていることを特徴とする喫煙具用カートリッジ。
【請求項12】
請求項1~3に記載の喫煙具用カートリッジにおいて、
前記支持部材の前記第1端部に、前記被加熱体の前記軸方向への移動を阻止する阻止部が形成されていることを特徴とする喫煙具用カートリッジ。
【請求項13】
請求項12に記載の喫煙具用カートリッジにおいて、
前記阻止部は、前記支持部材の前記第1端部に、周方向に沿って複数設けられていることを特徴とする喫煙具用カートリッジ。
【請求項14】
請求項12に記載の喫煙具用カートリッジにおいて、
前記阻止部としての網目状部材が前記支持部材の前記第1端部を覆うように設けられていることを特徴とする喫煙具用カートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、喫煙具用カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、火炎を用いることなく、タバコの成分を含むタバコカートリッジを加熱して、気化したタバコ成分を吸引する方式のタバコ製品が広く知られている。また、嗜好の多様化から、タバコ成分を含まない植物の芳香や味わいを、タバコ同様に火炎を用いずに楽しむためのカートリッジ製品も知られ始めている。
【0003】
例えば特許文献1には、タバコ植物または非タバコ植物を用いた電子タバコカートリッジ用の支持部材が開示されている。具体的には、「支持部材は、電子タバコカートリッジの長手方向の中心軸に沿って位置する中心部と、当該中心部から外方へ延伸して電子タバコカートリッジの周縁に位置する包装部材と接する複数の側部と、を有し、電子タバコカートリッジの一端部に位置するエアロゾル形成基材に隣接して、またはエアロゾル形成基材との間に他の部材を挟んで配置され、当該エアロゾル形成基材を支持する。」ことが記載されている(要約参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-120695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の支持部材は、その中心部によってエアロゾル形成基材(被加熱体)を支持する構成である。そのため、支持部材の中心部に支持されないエアロゾル形成基材の一部が、支持部材側に移動する虞があり、改良の余地がある。
【0006】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたもので、その目的は、被加熱体の支持部材側への移動を抑制できる喫煙具用カートリッジを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様は、加熱部が設けられた加熱式の喫煙具に装着されて使用される喫煙具用カートリッジであって、前記喫煙具用カートリッジは、前記喫煙具の前記加熱部が挿入されて発熱することによりエアロゾルを生成するエアロゾル形成基材を含む被加熱体と、筒状に形成され、前記被加熱体と対面する第1端部および前記第1端部と反対側の第2端部を有する支持部材と、を備え、前記支持部材は、その軸方向が前記喫煙具用カートリッジの中心軸に沿うように配置されて、前記喫煙具の前記加熱部が前記被加熱体に挿入されたときに前記被加熱体の前記支持部材側への移動を抑制し、前記支持部材の前記第1端部の内径は、前記被加熱体の両端部のうち前記支持部材と対面する側の端部の外径よりも小さく形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、被加熱体の支持部材側への移動を抑制できる。なお、上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る喫煙具用カートリッジの断面図。
図2】左側の図は、図1に示す喫煙具用カートリッジをII-II線に沿って切断した断面を支持部材側から視たエアロゾル形成基材の縦断面、右側の図は、同断面をエアロゾル形成基材側から視た支持部材の縦断面。
図3図1に示す喫煙具用カートリッジを喫煙具に挿入した状態の断面図。
図4】第2実施形態に係る喫煙具用カートリッジの断面図。
図5】左側の図は、図4に示す喫煙具用カートリッジをV-V線に沿って切断した断面を支持部材側から視たエアロゾル形成基材の縦断面、右側の図は、同断面をエアロゾル形成基材23側から視た支持部材の縦断面。
図6】第3実施形態に係る喫煙具用カートリッジの断面図。
図7】左側の図は、図6に示す喫煙具用カートリッジをVII-VII線に沿って切断した断面を支持部材側から視たエアロゾル形成基材の縦断面、右側の図は、同断面をエアロゾル形成基材側から視た支持部材の縦断面。
図8】第4実施形態に係る喫煙具用カートリッジの断面図。
図9】左側の図は、図8に示す喫煙具用カートリッジをIX-IX線に沿って切断した断面を支持部材側から視たエアロゾル形成基材の縦断面、右側の図は、同断面をエアロゾル形成基材側から視た支持部材の縦断面。
図10】第5実施形態に係る喫煙具用カートリッジの断面図。
図11】左側の図は、図10に示す喫煙具用カートリッジをXI-XI線に沿って切断した断面を支持部材側から視たエアロゾル形成基材の縦断面であり、右側の図は、同断面をエアロゾル形成基材側から視た支持部材の縦断面。
図12】第6実施形態に係る喫煙具用カートリッジの断面図。
図13】左側の図は、図12に示す喫煙具用カートリッジをXIII-XIII線に沿って切断した断面を支持部材側から視たエアロゾル形成基材の縦断面であり、右側の図は、同断面をエアロゾル形成基材側から視た支持部材の縦断面。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係る喫煙具用カートリッジ1の断面図である。図1に示すように、第1実施形態に係る喫煙具用カートリッジ1は、被加熱体20と、支持部材30と、マウスピース40と、を備える。被加熱体20と支持部材30とマウスピース40とは、中心軸C1上に並んで配置される。そして、被加熱体20と支持部材30とマウスピース40とは、シート状の外装部材10により巻かれて一体化されている。外装部材10は、例えば紙から成る。
【0012】
ここで、図1に示す喫煙具用カートリッジ1は、例えば、直径が6.5~7.5mm、長さが40~60mmに形成される。また、被加熱体20は、10~25mmの長さを有する。勿論、喫煙具用カートリッジ1は、これ以外の寸法で形成されても良い。
【0013】
被加熱体20は、外装部材10の内側であって、支持部材30と対向する側である一端部から後述する加熱式の喫煙具70に挿入される側である他端部に至るまでの円筒状の空間内に配置されるものである。そして、本発明における「被加熱体の外径」は、この円筒状の空間の外径として定義される。本実施形態では、被加熱体20(エアロゾル形成基材23)は直接外装部材10によって覆われた構成(図1参照)であり、被加熱体20の外径Dは、この円筒状の空間の外径であって、外装部材10の内径と等しくなる。そして、この外径Dは、中心軸C1に沿って概ね一定の値となっている。
【0014】
被加熱体20は、加熱されることでエアロゾルを生成するエアロゾル形成基材23を含む。なお、被加熱体20は、あらゆる形態のエアロゾル形成基材23を含む。このようなエアロゾル形成基材23の形態としては、例えば後述の短冊状、棒状、粒状等の部材が高密度または低密度で充填された形態、複数の短冊状、棒状、粒状等の部材が所定の隙間を介して設けられた形態、および風味添加剤を含む複数のカプセルから成る形態等が挙げられる。勿論、上記に挙げられていない以下に説明されるエアロゾル形成基材23の形態でも良い。
【0015】
なお、被加熱体20に含まれるエアロゾル形成基材23が、喫煙具用カートリッジ1の向きに応じて、外装部材10の内部で充填状態が変化したとしても、被加熱体20の外径Dの大きさは常に不変であり、本実施形態の場合、上記したように外装部材10の内径の大きさと等しい。
【0016】
また、上記においては、被加熱体20(エアロゾル形成基材23)が直接外装部材10によって覆われている場合を説明したが、被加熱体20がエアロゾル形成基材23を後述するシート状の包装部材によって巻いた構成である場合、被加熱体20の外径Dの大きさは、包装部材の外径の大きさと等しくなる。例えば上記した短冊状、棒状、粒状のエアロゾル形成基材23が低密度で包装部材に充填された構成である場合、エアロゾル形成基材23が、包装部材の内部で移動する可能性があるが、包装部材自体の形態は不変であるため、被加熱体20の外径Dも不変である。
【0017】
さらに、支持部材30は、被加熱体20を構成するエアロゾル形成基材23の充填密度に関係なく、被加熱体20の移動を阻止する機能を有している限り、本発明の「支持部材」に含まれる。即ち、上記したあらゆる態様の被加熱体20と支持部材30の構成が本発明の技術的範囲に含まれる。例えば被加熱体20が短冊状、棒状、粒状、顆粒状の部材から成るエアロゾル形成基材23が低密度で充填されたものである場合、喫煙者が喫煙具70の針状またはブレード状の加熱部75をエアロゾル形成基材23に挿入することで、エアロゾル形成基材23が支持部材30に向かって押されても、支持部材30によってエアロゾル形成基材23の支持部材30側への移動を阻止できる。
【0018】
エアロゾル形成基材23は、外装部材10により巻かれて円筒状に形成される。エアロゾル形成基材23の外径Dは、被加熱体20の外径Dと等しく、また、中心軸C1に沿って概ね一定の値となっている。この外径Dの大きさは、例えば4.0mm~7.5mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは5.0mm~7.0mmの範囲である。外径Dの大きさを4.0mm以上に設定すれば、最低限必要な量のエアロゾルを発生可能となる。また、外径Dの大きさを5.0mm以上に設定すれば、十分な量のエアロゾルを発生可能となる。さらに、外径Dの大きさを7.5mm以下に設定すれば、喫煙具70に被加熱体20を装着可能となる。また、外径Dの大きさを7.0mm以下に設定すれば、喫煙具70に被加熱体20を容易に装着可能となる。
【0019】
また、エアロゾル形成基材23の両端部は、蓋部材(例えば紙)により覆われておらず、露出している。エアロゾル形成基材23の両端部のうち一方の端部23aは、支持部材30と対面する側であり、他方の端部23bは、喫煙具70の挿入部72に挿入される側である。ここで、本明細書でいう「端部」とは、端面と、端面から中心軸C1に沿って所定範囲内側の部分と、を含む。なお、被加熱体20は、エアロゾル形成基材23を例えば紙から成るシート状の包装部材によって巻いた構成としても良いし、エアロゾル形成基材23を蓋部材で覆う構成としても良い。
【0020】
エアロゾル形成基材23は、詳しくは後述するタバコ植物または非タバコ植物を原料とする喫煙材で構成されている。エアロゾル形成基材23は、例えば、短冊状の部材を束ねて構成され、その軸方向(長手方向)が中心軸C1に沿うように配置される。
【0021】
エアロゾル形成基材23を短冊状部材で構成した場合、中心軸C1に直交する断面は略長方形状であり、その断面の長辺と短辺の比は、例えば、1:1~30:1の範囲であることが好ましい。長辺の長さは、0.1mm~7.5mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは、0.1mm~3.0mmの範囲である。短辺の長さは、0.1mm~1.0mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは0.1mm~0.5mmの範囲である。また、エアロゾル形成基材23の長さは被加熱体20の長さと略同一であるのが好ましい。エアロゾル形成基材の長さは10mm~25mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは10mm~20mmの範囲である。このようなエアロゾル形成基材23の寸法の一例を挙げると、長辺が1.5mm、短辺が0.3mm、長さが12mmである。
【0022】
勿論、エアロゾル形成基材23は、短冊状の部材に限定されない。例えば、棒状の部材であっても良く、あるいは紛粒状やペースト状の部材であっても良い。また、エアロゾル形成基材23は、短冊状の部材と紛粒状の部材の組み合わせ、短冊状の部材と棒状の部材の組み合わせ、棒状の部材と紛粒状の部材の組み合わせ、あるいは、短冊状の部材と棒状の部材と紛粒状の部材の組み合わせから成る構成としても良い。これらの場合、各部材の原料の少なくとも一部を異なるものとすれば、芳香や味わいが向上するので好ましい。
【0023】
マウスピース40は、喫煙具用カートリッジ1の吸口を構成する部分であり、例えば紙等を用いて形成される。また、マウスピース40は、例えば、直径が6.5mm~7.5mm、中心軸C1に沿った長さが50mm以下に形成される。さらに、マウスピース40は、例えば紙から成るシート状の部材を巻いて円筒状に形成しても良いし、微粒子を取り除くセルロースアセテートフィルタ等を含んでいても良い。被加熱体20で生成された水蒸気やエアロゾル中の微粒子の一部は、このマウスピース40のフィルタによってろ過される。
【0024】
支持部材30は、例えば紙から成るシート状部材31を1回または複数回巻いて円筒状に形成される。支持部材30は、その軸方向が中心軸C1に沿うようにエアロゾル形成基材23とマウスピース40との間に配置される。支持部材30は、例えば、中心軸C1に沿った長さが50mm以下に形成される。支持部材30の両端部のうち一方の端部である第1端部30aは、エアロゾル形成基材23の一方の端部23aと対面する側であり、他方の端部である第2端部30bは、第1端部30aと反対側、つまりマウスピース40と対面する側である。支持部材30の第1端部30aはエアロゾル形成基材23と当接し、第2端部30bがマウスピース40と当接する。そして、支持部材30の内部をエアロゾルが通過する。
【0025】
支持部材30は、その内部にエアロゾルを通過させる円錐台状の貫通孔31aを有し、第1端部30aの形状と第2端部30bの形状とが異なっている。具体的には、支持部材30を構成するシート状部材31を、第1端部30aよりも第2端部30bの方の径が小さくなるように巻くことにより、第1端部30aの内径r1は第2端部30bの内径r2よりも大きくなっている。また、支持部材30の内径は第1端部30aから第2端部30bに向かうに連れて徐々に小さくなっている。また、支持部材30の第1端部30aの外径R1は、第2端部30bの外径R2よりも大きい。
【0026】
支持部材30の内径r1の大きさは、例えば0.5mm~6.5mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは1.0mm~5.0mmの範囲である。内径r1の大きさを0.5mm以上に設定すれば、エアロゾルが支持部材30の貫通孔31aを流れるために最低限必要な流路の大きさを確保可能となる。また、内径r1の大きさを1.0mm以上に設定すれば、エアロゾルが支持部材30の貫通孔31aを流れるために十分な流路の大きさを確保可能となる。さらに、内径r1の大きさを6.5mm以下に設定すれば、被加熱体20を支持するために最低限必要な支持部材30の厚みを確保可能となる。また、内径r1の大きさを5.0mm以下に設定すれば、被加熱体20を支持するために十分な支持部材30の厚みを確保可能となる。
【0027】
また、支持部材30の内径r2の大きさは、例えば0.5mm~6.5mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは0.5mm~4.5mmの範囲である。内径r2の大きさを0.5mm以上に設定すれば、エアロゾルが支持部材30の貫通孔31aを流れるために最低限必要な流路の大きさを確保可能となる。さらに、内径r2の大きさを6.5mm以下に設定すれば、被加熱体20を支持するために最低限必要な支持部材30の厚みを確保可能となる。また、内径r2の大きさを4.5mm以下に設定すれば、被加熱体20を支持するために十分な支持部材30の厚みを確保可能となる。
【0028】
支持部材30の製造の際、内径r1,r2の大きさを上記の範囲内で適宜選択することで、支持部材30の流路の大きさを調整してエアロゾルをマウスピース40へ移送する流路を確保できる。また、支持部材30による被加熱体20(エアロゾル形成基材23)の支持強度を調整してエアロゾル形成基材23の材質に応じて被加熱体20を適切に支持できる。
【0029】
また、支持部材30の中心軸C1に沿った長さおよび内径r1,r2をエアロゾル形成基材23の形態に応じて、上記の範囲内で適宜選択することで、支持部材30の外周部の傾斜角度を調整して、エアロゾル形成基材23がマウスピース40側へ移動することを防止できる。例えば、エアロゾル形成基材23が粉状、粒状または顆粒(例えばカプセル)である場合、支持部材30の長さを短く設定し、かつ、内径r1の大きさを内径r2の大きさよりも十分大きく設定すれば、支持部材30の外周部の第1端部30aに対する傾斜角度を小さく設定できる。そして、このとき、支持部材30の外周部は、第1端部30aから第2端部30bに向かって下方傾斜する。こうすれば、仮にエアロゾル形成基材23が支持部材30の貫通孔31a内に進入しても、そのエアロゾル形成基材23は支持部材30の外周部と当接してマウスピース40側へ移動できなくなる。よって、支持部材30の貫通孔31a内でエアロゾル形成基材23のマウスピース40側への移動を阻止できる。なお、支持部材30の内径r1を小さくして支持部材30の内径r1と外径R1との間の厚み部分によって、エアロゾル形成基材23を十分に支持できるようにすれば、内径r2に拘わらず、エアロゾル形成基材23が支持部材30の貫通孔31a内に進入することは困難となる。
【0030】
支持部材30の外径R1の大きさは、例えば4.0mm~7.5mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは5.0mm~7.0mmの範囲である。また、支持部材30の外径R2の大きさは、例えば1.0mm~7.5mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは1.5mm~6.5mmの範囲である。外径R1の大きさはエアロゾル形成基材23の外径Dの大きさと等しくなるよう設定することが好ましい。すなわち、外径R1の寸法と、外径Dの寸法と、は同一であることが好ましい。こうすれば、エアロゾル形成基材23が、支持部材30の第1端部30aと外装部材10との間を通って支持部材30側に移動することを阻止できる。
【0031】
次に、図2を参照して、支持部材30の外径R1および内径r1と、エアロゾル形成基材23の外径Dと、の関係について説明する。図2の左側の図は、図1に示す喫煙具用カートリッジ1をII-II線に沿って切断した断面を支持部材30側から視たエアロゾル形成基材23の縦断面であり、図2の右側の図は、同断面をエアロゾル形成基材23側から視た支持部材30の縦断面である。
【0032】
なお、図2において、L1はエアロゾル形成基材23および支持部材30の頂部を通る直線、L2は支持部材30(シート状部材31)の内周部分の頂部を通る直線、L3は支持部材30の内周部分の底部を通る直線、L4はエアロゾル形成基材23および支持部材30の底部を通る直線である。
【0033】
支持部材30の外径R1は、エアロゾル形成基材23の外径Dと等しく設定される。図2に示すように、支持部材30の外径R1およびエアロゾル形成基材23の外径Dはともに、L1とL4との間の長さに相当する。よって、支持部材30の第1端部30aは、エアロゾル形成基材23の一方の端部23aにおける外周部分を支持できる。なお、支持部材30の第1端部30aが、エアロゾル形成基材23の外周部分を支持できれば、外径R1は外径Dよりも小さくても良い。
【0034】
また、支持部材30の内径r1は、L2とL3との間の長さに相当し、エアロゾル形成基材23の外径Dよりも小さい。具体的には、支持部材30の内径r1は、支持部材30の外径R1(≦外径D)からL1とL2との間の長さ(Δr)およびL3とL4との間の長さ(Δr)、つまり支持部材30(シート状部材31)の厚み(2Δr)を除いた長さに相当する。そのため、支持部材30の第1端部30aは、シート状部材31の厚み部分によって、エアロゾル形成基材23の外周部分から所定範囲内側の部分まで支持できる。
【0035】
上記したΔrの大きさは、例えば0.5mm~3.5mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは1.0mm~3.25mmの範囲である。Δrの大きさを0.5mm以上に設定すれば、被加熱体20を支持するために最低限必要な支持部材30の厚みを確保可能となる。また、Δrの大きさを1.0mm以上に設定すれば、被加熱体20を支持するために十分な支持部材30の厚みを確保可能となる。さらに、Δrの大きさを3.5mm以下に設定すれば、エアロゾルが支持部材30の貫通孔31aを流れるために最低限必要な流路の大きさを確保可能となる。また、Δrの大きさを3.25mm以下に設定すれば、エアロゾルが支持部材30の貫通孔31aを流れるために十分な流路の大きさを確保可能となる。
【0036】
このように、支持部材30の外径R1と内径r1は、エアロゾル形成基材23の外径Dに対して上記のような関係を有するため、支持部材30はエアロゾル形成基材23の外周部分のみならず、外周部分から所定範囲内側の部分に至るまで支持できる。
【0037】
なお、図1では、支持部材30の内径r1は内径r2よりも大きくなっているが、この構成に限定されない。支持部材30(シート状部材31)の厚み部分によってエアロゾル形成基材23の一方の端部23aを支持できれば、支持部材30の内径r2は、内径r1と等しいか、または内径r1よりも大きくても良い。支持部材30の内径r2が内径r1と等しい場合、支持部材30の内径は第1端部30aから第2端部30bに向かって一様となるよう形成すれば良い。また、支持部材30の内径r2が内径r1よりも大きい場合、支持部材の内径は、第1端部30aから第2端部30bに向かう途中で大きくなっても良いし、第1端部30aから第2端部30bに向けて徐々に大きくなっても良い。さらに、支持部材30の内径r2が、内径r1と等しい場合および内径r1よりも大きい場合の何れの場合でも、支持部材30の外径R1と外径R2とを等しくしても良い。
【0038】
なお、支持部材30は、その貫通孔31a内に種々の充填物が充填されるような構成であっても良い。このような充填物として、例えば粒状物、繊維状物、多孔質状物、および風味添加剤等が挙げられる。
【0039】
粒状物が充填される場合、例えばプラスチック粒子を採用できる。粒状物の形状は、特に限定されず、例えば断面形状が丸、楕円、または多角形状等でも良い。また、粒状物は中実でも中空でも良く、その粒径は例えば0.5mm~1mmであることが好ましい。
【0040】
繊維状物が充填される場合、例えばセルロースアセテート(CA)繊維やポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル繊維体を採用できる。
【0041】
多孔質状物が充填される場合、例えばPE、PP等のポリオレフィン樹脂、PET樹脂、CA樹脂、ポリ乳酸(PLA)、アルミニウム等の金属箔および金属そのもの等を採用できる。
【0042】
さらに、上記した粒状物等が充填される場合、その充填物として、エアロゾルに混入された特定の化学物質(例えばタール)を除去できる活性炭や、セラミックスやガラスなどの無機物を材料とする粒子を採用しても良く、これら複数種類の粒子を混合させたものを採用しても良い。また、充填物の一部または全部に、上記化学物質(例えばホルムアルデヒドなどのアルデヒド類)を除去できる除去剤(例えばキトサン)を添加しても良い。
【0043】
あるいは、上記した粒状物等が充填される場合、その充填物として、コーヒーを抽出した後のコーヒー豆粕や、茶葉を抽出した後の茶殻などの植物性原料を採用しても良い。これら植物性原料は多孔質で高い消臭効果を有する物質であるため、消臭効果付きの支持部材30を実現できる。なお、コーヒー豆粕を採用する場合、コーヒー豆粕はそのままだと粒径が小さいため、澱粉などでお団子状にした状態で使用することが好ましい。また、茶殻を採用する場合、エアロゾル形成基材23を茶殻にて構成すれば、エアロゾル形成基材23と支持部材30を両方共に同じ材料にて製造できる。
【0044】
風味添加剤が充填される場合、例えばはっか、ココア、コーヒー、紅茶のエキス、茶抽出物のカテキンの粉末等を採用できる。風味添加剤を支持部材30の貫通孔31a内に充填させる態様としては、以下に示すような種々の態様が挙げられる。
【0045】
例えば風味添加剤がカプセルに封入されている場合、このカプセルを貫通孔31a内に配置しても良い。こうすれば、喫煙者がカプセルを指で押圧することで、カプセルを破壊でき、所望のタイミングで風味添加剤の芳香成分を揮発できる。また、このカプセルが熱溶融性を有する場合、このカプセルがエアロゾルに晒されることによって溶融し、風味添加剤を外部に放出できる。さらに、このカプセルがマイクロカプセルである場合、このマイクロカプセルが支持部材30の内周面に埋没されても良い。勿論、マイクロカプセルが貫通孔31a内に配置されても良い。なお、風味添加剤がカプセルに封入されない場合、例えば風味添加剤を支持部材30の内周面に含侵させても良い。
【0046】
次に、エアロゾル形成基材23として用いられる原料の具体例について説明する。エアロゾル形成基材23は、以下に示す原料のうち任意の1つまたは複数の組み合わせで構成される。
【0047】
エアロゾル形成基材23は、タバコ植物または非タバコ植物を原料とする。タバコ植物としては、タバコ葉、タバコ茎、膨張タバコ、均質化タバコ等が挙げられる。非タバコ植物としては、タバコ植物以外の植物が挙げられる。非タバコ植物の好ましい部位としては、葉、果肉、種子、根(鱗根、塊根等)、茎、塊茎、皮(茎皮、樹皮等)、花(花弁、雄蕊、雌蕊等)、幹、枝等が挙げられる。
【0048】
なお、本明細書でいう「植物」とは動物に対する一群を意味し、草および木等のように、根があって場所が固定されて生きているような生物以外に、微細藻類および海藻等のような藻類、キノコ等の菌類等をも含む。
【0049】
エアロゾル形成基材23は、例えば、乾燥・粉砕された非タバコ植物に、エアロゾルを発生させるエアロゾルフォーマ、微結晶セルロース、風味を追加する添加剤、保存料、結着剤または増粘剤等を適宜混合し、粉砕若しくは分級して粉状または粒状にしたり、ペースト状に成形される。また、エアロゾル形成基材23は、シート状に成形した上で、所定の幅および長さを有するように切断して短冊状または棒状とされる。
【0050】
例えば、非タバコ植物の部位が葉である場合は、好ましくは茶類を使用できる。茶類は茶になる植物が異なるだけでな<、同じ植物であっても加工法によって異なるお茶になる。具体的には、たとえば、日本茶、紅茶、明日葉茶、甘茶、アマチャヅル茶、アロエ茶、イチョウ葉茶、ウーロン茶、ウコン茶、ウラジロガシ茶、エゾウコギ茶、オオバコ茶、カキオドシ茶、柿の葉茶、カミツレ茶、カモミールティ、河原決明茶、カリン茶、菊花茶、ギムネマ茶、グァバ茶、クコ茶、柔の葉茶、黒豆茶、ゲンノショウコ茶、玄米茶、ゴボウ茶、コンフリー茶、毘布茶、桜茶、サフラン茶、シイタケ茶、シソ茶、ジャスミン茶、しょうが茶、スギナ茶、セキショウ茶、センブリ茶、ソバ茶、タラノキ茶、タンポポ茶、甜茶、ドクダミ茶、杜仲茶、ナタマメ茶、ニワトコ茶、ネズミモチ茶、ハトムギ茶、ハブ茶、ビワの葉茶、プーアル茶、紅花茶、松葉茶、マテ茶、麦茶、メグスリノキ茶、ヨモギ茶、ユーカリ茶、羅漢果茶、ルイボスティ、ゴーヤ茶などが挙げられる。これらお茶については飲用後の茶殻を使用しても良い。茶殻などを使用すれば高価なお茶などを再利用して有効活用できる。
【0051】
さらに、上記に例示した非タバコ植物の抽出物、所謂エキスや加工品も使用することができる。抽出物の形態としては、液体、水あめ状、粉末、顆粒、溶液等が挙げられる。
【0052】
エアロゾル形成基材23の原料としてのエアロゾルフォーマは、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、トリエチレングリコール、乳酸、ジアセチン(グリセリンジアセタート)、トリアセチン(グリセリントリアセタート)、トリエチレングリコールジアセタート、クエン酸トリエチル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸メチル、ドデカンジオン酸ジメチル、テトラデカンサンジオン酸ジメチルなどが挙げられる。なかでも、グリセリン、プロピレングリコールが好ましい。
【0053】
エアロゾル形成基材23の原料としての微結晶セルロースとは、例えば、繊維性植物のパルプから得られたα-セルロースを酸で部分的に解重合したものとして得られるものであり、セルロースから可溶性部分を取り除き、適宜、不溶性部分を結晶化したものである。
【0054】
微結晶セルロースは、粉体のままでも良いし、水などの溶媒に分散させて懸燭液でも良い。この場合、溶媒ヘの分散は、高速攪拌機や高圧ホモジナイザーなどが使用できる。
【0055】
さらに、必要に応じエアロゾル形成基材23の原料として風味を追加する風味添加剤も好ましく用いられる。風味添加剤としては、はっか、ココア、コーヒー、紅茶のエキス、茶抽出物のカテキンの粉末等が挙げられる。保存料としては食品に使用されるものが好ましく、例えば、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、安息香酸、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。
【0056】
エアロゾル形成基材23に、メントールおよび非水溶性架橋ポリマー(好ましくはポリビニルポリピロリドン)を含有させても良い。メントールに非水溶性架橋ポリマーを組み合わせることで、メントールの昇華を効果的に抑制でき、メントールの風味を長期間保つことができる。ここで、メントールとは、天然物から得られたものに限られず、合成物でも良い。また、はっか、ミント、ハッカ油、その他のメントールを含むものを使用しても良い。
【0057】
風味添加剤は、例えば、マウスピース40の壁部に含浸させることによってマウスピース40に設けられている。風味添加剤がマウスピース40に設けられている態様は、このような態様に限られず、例えば、当該風味添加剤が封入されているカプセルをマウスピース40の壁部に埋設することによって、マウスピース40に風味添加剤が設けられているようにしても良い。または、マウスピース40と被加熱体20との間に風味添加剤が封入されたカプセルが配置されるようにしても良い。風味添加剤がカプセルに封入されている場合、喫煙者は、カプセルを指で押圧することにより、カプセルを破壊することができ、所望のタイミングで風味添加剤の芳香成分を揮発させることが可能となる。
【0058】
さらに、風味添加剤は、例えば、マイクロカプセルに封入されている場合、封入されているマイクロカプセルを被加熱体20に設けても良い。勿論、当該マイクロカプセルを支持部材30に設けても良い。
【0059】
エアロゾル形成基材23の原料としての結着剤または増粘剤としては、グアーガム、キサンタンガム、アラビアゴムおよびローカストビーンガムなどのゴム、例えばヒドロキシプロピルセルレロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロースおよびエチルセルロースなどのセルロース結合剤、例えばデンプン、アルギン酸などの有機酸、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラナギン、寒天およびペクチンなどの有機酸の共役塩基塩などの多糖類、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0060】
(エアロゾル形成基材の製造方法)
既述のエアロゾル形成基材23の製造方法について、各工程に分けて説明する。エアロゾル形成基材23の製造工程は、主原料となるタバコ植物または非タバコ植物を乾燥・粉砕し、秤量等を行う乾燥・粉砕工程と、その他の原料の前処理、秤量等を行う準備工程と、原料を混合して組成物とする混合工程と、組成物を成形する充填物成形工程と、を有する。
【0061】
乾燥・粉砕工程では、主原料となるタバコ植物または非タバコ植物の使用部位(例えば、葉、種子、乾燥果実、茎、樹皮、根など)を組成物とするため、所定の粉砕物に加工する。その際、後に添加するエアロゾルフォーマ、水その他の成分を吸収あるいは担持するのに都合の良い水分量に調整することが好ましい。乾燥において、温度は60℃以上80℃以下が好ましい。この範囲とすることで、必要とする香味成分の散逸を避けながら、所望の水分量に到達させやすい。さらに、乾燥・粉砕工程には、粉砕物を篩分けする篩工程を設けることもでき、所望の粒度に調整して混合工程に投入することができる。
【0062】
準備工程においては、エアロゾル形成基材23を作製するにあたり必要な原料を準備することができる。前述の微結晶セルロースは、準備工程において秤量され、混合工程に投入される。
【0063】
混合工程においては、通常の混合機を使用することができる。例えば、混合槽中の原料を撹拌羽根にて、剪断力を加えつつ混合するような形態が好ましく用いられる。
【0064】
充填物成形工程では、各種原料が混合された組成物を薄いシート状に成形してから、切断することで、短冊状または棒状のエアロゾル形成基材23が成形される。本実施形態では、薄いシートにするため、複数本のロールミルを用意する。複数本のロールミルを用いると、狭いロール間に押し込まれることによる圧縮と、ロール速度差による剪断により、混練、分散などを行いながら、ドクターブレードにより所望の厚さのシートとすることが可能であり、好ましい。また、プレスローラあるいはプレス機を用いて作製することもできる。
【0065】
また、粉状または粒状のエアロゾル形成基材23とするには、上記組成物について、適宜粉砕若しくは分級を行うことが好ましい。粉状または粒状のエアロゾル形成基材23における平均粒子径は、例えば0.1~3.0mmであることが好ましく、0.5mm以下であることがより好ましい。当該平均粒子径は、例えばJIS K 0069:1992に記載された篩分け法によって求められる。つまり、この平均粒子径は、複数の篩による試験結果について、目開きの大きいほうからの質量の積算を行い、その質量50%に相当する径をいう。また、レーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径を平均粒子径としても良い。
【0066】
充填物成形工程では、組成物を加圧によりオリフィスを通過させて成形するなど、他の手段を用いても良い。また、充填物成形工程では、必要に応じて、非タバコ植物、エアロゾルフォーマ、結着剤または増粘剤等、風味添加剤、保存料をさらに添加しても良いし、水などを添加しても良い。
【0067】
充填物成形工程で得られるシートの厚さは、0.1mm~1.0mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは0.1mm~0.5mmの範囲である。得られたシートは、カッター、回転刃方式のロータリーカッター等により、所定の幅に切断される。
【0068】
ここで、エアロゾル形成基材23の表面に粘着性を付与する場合は、粘着性を付与できる手段であれば特に限定されないが、既述の結着剤を少なくとも一部に付着させれば良い。粘着性を付与することで、短冊状または棒状のエアロゾル形成基材23と粉状、粒状またはペースト状のエアロゾル形成基材23と組み合わせる場合に、短冊状または棒状のエアロゾル形成基材23の表面に粉状、粒状またはペースト状のエアロゾル形成基材23を安定して保持することができる。
【0069】
(喫煙具用カートリッジの使用方法)
喫煙具用カートリッジ1の使用方法について説明する。図3は喫煙具用カートリッジ1を喫煙具70に挿入した状態の断面図である。喫煙具用カートリッジ1は、加熱式の喫煙具70に装着されて使用される。喫煙具70は、喫煙具用カートリッジ1を挿入するための挿入部72を有している。挿入部72には、針状あるいはブレード状の加熱部75が設けられる。挿入部72に喫煙具用カートリッジ1が挿入された状態で加熱部75が発熱することにより、エアロゾル形成基材23からエアロゾルが生成される。この状態で喫煙者がマウスピース40をくわえて吸引すると、エアロゾルが支持部材30の貫通孔31a、マウスピース40の順に流れて、喫煙者の口内へと流入される。
【0070】
このように構成された第1実施形態に係る喫煙具用カートリッジ1によれば、以下の効果を奏することができる。
【0071】
支持部材30の内径r1は、エアロゾル形成基材23の外径Dよりも小さいため、支持部材30の内径r1と外径R1との間の厚み部分によって、被加熱体20(エアロゾル形成基材23)を支持できる。したがって、被加熱体20(エアロゾル形成基材23)の支持部材30側への移動を抑制できる。
【0072】
また、支持部材30の外径R1の寸法と、被加熱体20(エアロゾル形成基材23)の外径Dの寸法と、は同一に設定可能であり、両者が同一である場合、支持部材30の第1端部30a全体がエアロゾル形成基材23と当接できる。そのため、支持部材30によってエアロゾル形成基材23を十分に支持できるため、被加熱体20(エアロゾル形成基材23)の支持部材30側への移動をさらに抑制できる。また、エアロゾル形成基材23が、支持部材30の第1端部30aと外装部材10との間を通って支持部材30側に移動することを阻止できる。
【0073】
また、支持部材30の第1端部30aの形状は、第2端部30bの形状と異なるため、支持部材30の貫通孔31aの形状が中心軸C1に沿って一様にならない。よって、仮にエアロゾル形成基材23の一部が、貫通孔31a内に進入しても、その内部を移動することは困難である。
【0074】
さらに、支持部材30の内径r1は、内径r2よりも大きく、支持部材30の貫通孔31aの径は第1端部30aよりも第2端部30bの方が小さくなる。よって、貫通孔31aの内部に進入したエアロゾル形成基材23の移動をさらに困難にできる。
【0075】
また、支持部材30は、第1端部30aから第2端部30bに向かうに連れて徐々に内径が小さくなるよう形成されるため、支持部材30の貫通孔31a内に進入したエアロゾル形成基材23と貫通孔31aの内周部分とが衝突する。しかも、この衝突したエアロゾル形成基材23の逃げるスペースが制限される。よって、貫通孔31a内に進入したエアロゾル形成基材23の移動を防止できる。
【0076】
また、支持部材30はシート状部材31を巻いて形成されるため、エアロゾル形成基材23とシート状部材31との間に摩擦が発生し易い。よって、支持部材30の貫通孔31a内に進入したエアロゾル形成基材23の移動をさらに防止できる。
【0077】
さらに、支持部材30はシート状部材31を円筒状に巻いた簡単な構成であるため、製造コストを抑制できる。
【0078】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る喫煙具用カートリッジについて説明する。第2実施形態に係る喫煙具用カートリッジ2は、第1実施形態に係る喫煙具用カートリッジ1と基本的には同じ構成であるが、支持部材30が円錐台状の樹脂成形品32から成る点が相違する。よって、以下の説明では、この相違点を中心に説明し、第1実施形態と重複する説明は省略する。
【0079】
図4は第2実施形態に係る喫煙具用カートリッジ2の断面図である。図4に示すように、支持部材30(樹脂成形品32)は、その下底面をエアロゾル形成基材23に対向させ、その上底面をマウスピース40に対向させるように配置される。支持部材30の第1端部30aの形状は、第2端部30bの形状と異なる。支持部材30は、その内部に円錐台状の貫通孔32aを有し、支持部材30の内径r1は、内径r2よりも大きい。また、支持部材30の第1端部30aの外径R1は、第2端部30bの外径R2よりも大きい。さらに、支持部材30の外周面32bには、複数の凹部32cが形成される。なお、複数の凹部32cの代わりに、複数の凸部が形成されても良い。
【0080】
次に、図5を参照して、支持部材30の外径R1および内径r1と、エアロゾル形成基材23の外径Dと、の関係について説明する。図5の左側の図は、図4に示す喫煙具用カートリッジ2をV-V線に沿って切断した断面を支持部材30側から視たエアロゾル形成基材23の縦断面であり、図5の右側の図は、同断面をエアロゾル形成基材23側から視た支持部材30の縦断面である。
【0081】
図5に示すように、支持部材30(樹脂成形品32)の外径R1およびエアロゾル形成基材23の外径Dはともに、L1とL4との間の長さに相当する。また、支持部材30の内径r1は、L2とL3との間の長さ、つまり支持部材30の外径R1(=外径D)から支持部材30の肉厚部分の厚み(2Δr)を除いた長さに相当する。
【0082】
このように構成された第2実施形態に係る喫煙具用カートリッジ2によれば、上記した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、第2実施形態によれば、支持部材30の外径R1は、外径R2よりも大きいため、支持部材30は大きな面積でエアロゾル形成基材23の一方の端部23aと接触できる。特に、支持部材30は円錐台状の樹脂成形品32から成るため、その肉厚部分によってエアロゾル形成基材23の一方の端部23aを確実に支持でき、被加熱体20(エアロゾル形成基材23)の支持部材30側への移動を確実に抑制できる。
【0083】
また、支持部材30の外周面32bには、複数の凹部32cが形成されるため、喫煙具用カートリッジ2の製造の際に、支持部材30を把持し易くなり、製造を効率化できる。勿論、複数の凹部32cの代わりに、複数の凸部が形成されていても良く、その場合も同様の作用効果を奏する。
【0084】
なお、図4では、支持部材30の内径r1は内径r2よりも大きくなっているが、この構成に限定されない。支持部材30(樹脂成形品32)の厚み部分によってエアロゾル形成基材23の一方の端部23aを支持できれば、支持部材30の内径r2は、内径r1と等しいか、または内径r1よりも大きくても良い。支持部材30の内径r2が内径r1と等しい場合、支持部材30の内径は第1端部30aから第2端部30bに向かって一様となるよう形成すれば良い。また、支持部材30の内径r2が内径r1よりも大きい場合、支持部材30の内径は、第1端部30aから第2端部30bに向かう途中で大きくなっても良いし、第1端部30aから第2端部30bに向けて徐々に大きくなっても良い。さらに、支持部材30の内径r2が、内径r1と等しい場合および内径r1よりも大きい場合の何れの場合でも、支持部材30の外径R1と外径R2とを等しくしても良い。
【0085】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る喫煙具用カートリッジについて説明する。第3実施形態に係る喫煙具用カートリッジ3は、シート状部材33を巻いて形成された円筒体から成る支持部材30が、その内周面33aに複数(本実施形態では4つ)の突条部33bを有する点で第1実施形態と異なる。
【0086】
4つの突条部33bは、それぞれ、シート状部材33の外周面33cの一部(4箇所)に長手方向に対して斜めに切込みを形成し、この切込みが形成された部分を内方に折り曲げることで形成される。4つの突条部33bは、中心軸C1に沿って延び、支持部材30の周方向に等間隔(90度間隔)で配置される(後述の図7参照)。各突条部33bは、支持部材30の第1端部30a側の幅W1が第2端部30b側の幅W2よりも狭くなるように形成される。また、各突条部33bの幅は、支持部材30の第1端部30aから第2端部30bに向かうに連れて徐々に広くなっている。なお、支持部材30の第1端部30aの形状は、第2端部30bの形状と異なっている。
【0087】
支持部材30の幅W1の大きさは、例えば0.5mm~4.0mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは1.0mm~3.0mmの範囲である。幅W1の大きさを0.5mm以上に設定すれば、被加熱体20を支持するために最低限必要な支持部材30の幅を確保可能となる。また、幅W1の大きさを1.0mm以上に設定すれば、被加熱体20を支持するために十分な支持部材30の幅を確保可能となる。さらに、幅W1の大きさを4.0mm以下に設定すれば、エアロゾルが図7にて点線で示す円C内の領域を流れるために最低限必要な流路の大きさを確保可能となる。また、幅W1の大きさを3.0mm以下に設定すれば、エアロゾルが図7にて点線で示す円C内の領域を流れるために十分な流路の大きさを確保可能となる。
【0088】
また、支持部材30の幅W2の大きさは、例えば0.5mm~4.0mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは1.25mm~3.25mmの範囲である。幅W2の大きさを0.5mm以上に設定すれば、被加熱体20を支持するために最低限必要な支持部材30の幅を確保可能となる。また、幅W2の大きさを1.25mm以上に設定すれば、被加熱体20を支持するために十分な支持部材30の幅を確保可能となる。さらに、幅W2の大きさを4.0mm以下に設定すれば、エアロゾルが図7にて点線で示す円C´内の領域を流れるために最低限必要な流路の大きさを確保可能となる。また、幅W2の大きさを3.25mm以下に設定すれば、エアロゾルが図7にて点線で示す円C´内の領域を流れるために十分な流路の大きさを確保可能となる。
【0089】
支持部材30の製造の際、幅W1,W2の大きさを上記の範囲内で適宜選択することで、支持部材30の流路の大きさを調整できる。また、支持部材30による被加熱体20(エアロゾル形成基材23)の支持強度を調整してエアロゾル形成基材23の材質に応じて被加熱体20を適切に支持できる。
【0090】
以下においては、説明の便宜上、4つの突条部33bのうち支持部材30(シート状部材33)の頂部に形成された突条部33bを「第1突条部331b」と言い、この第1突条部331bを基準として時計回りに90度毎に回転した位置に形成された突条部33bを順次、「第2突条部332b」、「第3突条部333b」、および「第4突条部334b」と言う。
【0091】
次に、図7を参照して、支持部材30の外径Rおよび内径r1と、エアロゾル形成基材23の外径Dと、の関係について説明する。図7の左側の図は、図6に示す喫煙具用カートリッジ3をVII-VII線に沿って切断した断面を支持部材30側から視たエアロゾル形成基材23の縦断面であり、図7の右側の図は、同断面をエアロゾル形成基材23側から視た支持部材30の縦断面である。なお、図7において、L2は、支持部材30の第1端部30aにおける第1突条部331bの先端部を通る直線であり、L3は、第3突条部33bの先端部を通る直線である。また、図7の右側の図では、点線で示す円Cは、第1~第4突条部331b~334bの先端部を弧状に結ぶことで描かれ、その直径は支持部材30の内径r1を表す。
【0092】
図7に示すように、支持部材30(シート状部材33)の外径Rおよびエアロゾル形成基材23の外径Dはともに、L1とL4との間の長さに相当する。また、支持部材30の内径r1は、円Cの直径に相当するL2とL3との間の長さ、つまり支持部材30の外径R(=外径D)から第1突条部331bの幅(W1)および第3突条部333bの幅(W1)を除いた値に相当する。なお、図7の右側の図において、各突条部33bにおいて円Cの内側に突出している部分は、支持部材30の第1端部30aから第2端部30bに向かって幅広となっている部分である。
【0093】
このように構成された第3実施形態に係る喫煙具用カートリッジ3によれば、上記した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、第3実施形態によれば、支持部材30は、その内周面33aに中心軸C1に沿って延びる複数の突条部33bを有するため、支持部材30の第1端部30a側でエアロゾル形成基材23を強固に支持できる。また、複数の突条部33bは支持部材30の周方向に4つ等間隔で配置されているため、バランス良くエアロゾル形成基材23を支持できる。
【0094】
また、支持部材30はシート状部材33を巻いて形成されており、複数の突条部33bは、それぞれ、シート状部材33の外周面33cの一部を内方に折り曲げて形成されているため、支持部材30を簡単な構成とすることができ、製造コストを抑制できる。
【0095】
なお、支持部材30は、第2実施形態のように樹脂成形品から成る構成でも良い。この場合、複数の突条部は樹脂成形によって支持部材30の内周面から突出するように形成されれば良い。また、複数の突条部33bの個数は、4つに限定されることなく、1つ以上であれば良い。
【0096】
なお、図6では、支持部材30の幅W1は幅W2よりも狭くなるように形成されているが、この構成に限定されない。支持部材30の複数の突条部33bによってエアロゾル形成基材23の一方の端部23aを支持できれば、支持部材30の幅W2は、幅W1と等しいか、または幅W1よりも広くても良い。支持部材30の幅W2が幅W1と等しい場合、支持部材30の第1端部30aから第2端部30bに至る幅は、第1端部30aから第2端部30bに向かって一様となるように形成すれば良い。また、支持部材30の幅W2が幅W1よりも大きい場合、支持部材30の第1端部30aから第2端部30bに至る幅は、第1端部30aから第2端部30bに向かう途中で大きくなっても良いし、第1端部30aから第2端部30bに向けて徐々に大きくなっても良い。
【0097】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態に係る喫煙具用カートリッジについて説明する。第4実施形態に係る喫煙具用カートリッジ4は、支持部材30の第1端部30aに被加熱体20(エアロゾル形成基材23)の軸方向への移動を阻止する阻止部34が形成される点で第1実施形態と異なる。
【0098】
阻止部34は、支持部材30の第1端部30aにおいて内周面から中心軸C1に突出する複数(本実施形態では6つ)の突出部34aから成る。支持部材30は、中心軸C1に沿って配置される円筒部35を有し、6つの突出部34aは円筒部35のエアロゾル形成基材23側に設けられる。これら突出部34aは、エアロゾル形成基材23の一方の端部23aと対向するように周方向に等間隔(60度間隔)で配置される。なお、支持部材30の第1端部30aの形状は、第2端部30bの形状と異なっている。
【0099】
以下においては、説明の便宜上、6つの突出部34aのうち支持部材30(円筒部35)の頂部に形成された突出部34aを「第1突出部341a」と言い、この第1突出部341aを基準として時計回りに60度毎に回転した位置に形成された突出部34aを順次、「第2突出部342a」、「第3突出部343a」、「第4突出部344a」、「第5突出部345a」、および「第6突出部346a」と言う。
【0100】
次に、図9を参照して、支持部材30の外径Rおよび内径r1と、エアロゾル形成基材23の外径Dと、の関係について説明する。図9の左側の図は、図8に示す喫煙具用カートリッジ4をIX-IX線に沿って切断した断面を支持部材30側から視たエアロゾル形成基材23の縦断面であり、図9の右側の図は、同断面をエアロゾル形成基材23側から視た支持部材30の縦断面である。なお、図9において、L2は、支持部材30の第1突出部341aの先端部を通る直線であり、L4は、支持部材30の第4突出部344aの先端部を通る直線である。また、図9の右側の図では、点線で示す円C´は、第1~第6突出部341a~346aの先端部を弧状に結ぶことで描かれ、その直径は支持部材30の内径r1を表す。この内径r1の大きさは、例えば6.5mm以下である。
【0101】
図9に示すように、支持部材30の外径Rおよびエアロゾル形成基材23の外径Dはともに、L1とL4との間の長さに相当する。また、支持部材30の内径r1は、円C´の直径に相当するL2とL4との間の長さ、つまり支持部材30の外径R(=外径D)から第1突出部341aの突出量(T)および第4突出部344aの突出量(T)に相当する長さを除いた値に相当する。なお、突出量(T)の大きさは、例えば0.5mm~3.5mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは1.0mm~3.25mmの範囲である。突出量(T)の大きさを0.5mm以上に設定すれば、被加熱体20を支持するために最低限必要な支持部材30の突出量を確保可能となる。また、突出量(T)の大きさを1.0mm以上に設定すれば、被加熱体20を支持するために十分な支持部材30の突出量を確保可能となる。さらに、突出量(T)の大きさを3.5mm以下に設定すれば、エアロゾルが図9にて点線で示す円C´内の領域を流れるために最低限必要な流路の大きさを確保可能となる。また、突出量(T)の大きさを3.25mm以下に設定すれば、エアロゾルが図9にて点線で示す円C´内の領域を流れるために十分な流路の大きさを確保可能となる。
【0102】
支持部材30の製造の際、突出量(T)の大きさを上記の範囲内で適宜選択することで、支持部材30の第1端部30a側の流路の大きさを調整できる。また、支持部材30による被加熱体20(エアロゾル形成基材23)の支持強度を調整してエアロゾル形成基材23の材質に応じて被加熱体20を適切に支持できる。
【0103】
このように構成された第4実施形態に係る喫煙具用カートリッジ4によれば、上記した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、第4実施形態によれば、支持部材30の第1端部30aに、被加熱体20(エアロゾル形成基材23)の軸方向への移動を阻止する阻止部34が形成されているため、被加熱体20(エアロゾル形成基材23)の支持部材30側への移動を確実に抑制できる。しかも、阻止部34として6つの突出部34aが支持部材30の周方向に沿って設けられるので、エアロゾル形成基材23の外周部分および外周部分から所定範囲内側の部分を確実に支持できる。
【0104】
また、6つの突出部34aは周方向に等間隔で配置されるので、バランスよくエアロゾル形成基材23を支持できる。
【0105】
また、支持部材30の第1端部30aにだけ阻止部34(複数の突出部34a)を形成すれば良いので、支持部材30を簡単な構成とすることができ、製造コストを抑制できる。
【0106】
なお、図8では、阻止部34は、支持部材30の第1端部30a側にだけ形成されているが、第2端部30b側にも形成されても良い。この場合、第2端部30b側の阻止部の突出量は、第1端部30a側の阻止部34の突出量(T)と等しいか、またはこの突出量(T)とは異なるように形成されても良く、このとき第1端部30a側の阻止部34と第2端部30b側の阻止部とが繋がるように形成されても良い。第2端部30b側の阻止部の突出量が第1端部30a側の阻止部34の突出量(T)と等しい場合、第1端部30a側から第2端部30b側に至る阻止部の突出量は、第1端部30aから第2端部30bに向かって一様となるように形成すれば良い。また、第2端部30b側の阻止部の突出量が第1端部30a側の阻止部34の突出量(T)と異なる場合、第1端部30a側から第2端部30b側に至る阻止部の突出量は、第1端部30aから第2端部30bに向かう途中でその大きさが変わっても良いし、第1端部30aから第2端部30bに向けて徐々に大きくなっても良い。
【0107】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態に係る喫煙具用カートリッジについて説明する。第5実施形態に係る喫煙具用カートリッジ5は、阻止部34として網目状部材34bを有する点で第4実施形態と異なる。
【0108】
網目状部材34bは、支持部材30(円筒部35)の第1端部30aを覆っており、支持部材30の第1端部30aの形状は、第2端部30bの形状と異なっている。網目状部材34bは、例えば金網状の部材から成り、その網目の大きさは、エアロゾル形成基材23が通過できない大きさに設定される。なお、網目状部材34bの材質は、比較的耐熱性の高い材質であれば何れであっても良い。また、パンチングプレート等で代用することもできる。
【0109】
次に、図11を参照して、支持部材30の外径Rおよび内径r1と、エアロゾル形成基材23の外径Dと、の関係について説明する。図11の左側の図は、図10に示す喫煙具用カートリッジ5をXI-XI線に沿って切断した断面を支持部材30側から視たエアロゾル形成基材23の縦断面であり、図11の右側の図は、同断面をエアロゾル形成基材23側から視た支持部材30の縦断面である。
【0110】
図11に示すように、支持部材30の外径Rおよびエアロゾル形成基材23の外径Dはともに、L1とL4との間の長さに相当する。また、支持部材30の内径r1は、L2とL3との間の長さに相当し、支持部材30の外径R(=外径D)からL1とL2との間の長さ(Δr)およびL4とL5との間の長さ(Δr)、つまり円筒部35の厚み(2Δr)を除いた長さに相当する。
【0111】
このように構成された第5実施形態に係る喫煙具用カートリッジ5によれば、上記した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、第5実施形態によれば、阻止部34としての網目状部材34bが、支持部材の第1端部30aを覆うように設けられているため、エアロゾル形成基材23全面を支持でき、被加熱体20(エアロゾル形成基材23)の支持部材30側への移動を確実に阻止できる。
【0112】
また、支持部材30の第1端部30aにだけ阻止部34(網目状部材34b)を形成すれば良いので、支持部材30を簡単な構成とすることができ、製造コストを抑制できる。
【0113】
なお、図10では、網目状部材34bは、支持部材30の第1端部30a側にだけ形成されているが、第2端部30b側にも形成されても良い。この場合、第2端部30b側の網目状部材の直径(支持部材30の内径r2)は、第1端部30a側の網目状部材34bの直径(支持部材30の内径r1)と等しいか、またはこの網目状部材34bの直径よりも大きくても良い。また、第2端部30b側の網目状部材の直径が第1端部30a側の網目状部材34bの直径と等しい場合、図10に示す支持部材30(円筒部35)の第2端部30bを網目状部材によって覆うようにすれば良い。また、第2端部30b側の網目状部材の直径が第1端部30a側の網目状部材34bの直径よりも大きい場合、円筒部35の内方への突出量は、第1端部30aから第2端部30bに向かう途中でその大きさが変わっても良いし、第1端部30aから第2端部30bに向けて徐々に大きくなっても良い。さらに、この場合、円筒部35内に網目状部材を充填した構成としても良い。
【0114】
(第6実施形態)
次に、第6実施形態に係る喫煙具用カートリッジについて説明する。第6実施形態に係る喫煙具用カートリッジ6は、阻止部36が鋸刃形状を有する点で第4実施形態と異なる。
【0115】
阻止部36は、支持部材30の第1端部30aにおいて内周面から中心軸C1に突出する複数(本実施形態では8つ)の突出部36aから成る。各突出部36aの先端は尖っており、複数の突出部36aは、支持部材30の円筒部35のエアロゾル形成基材23側において、周方向に等間隔(45度間隔)で配置される。これにより、阻止部36は鋸刃形状を有するようになっている。なお、支持部材30の第1端部30aの形状は、第2端部30bの形状と異なっている。
【0116】
以下においては、説明の便宜上、8つの突出部36aのうち支持部材30(円筒部35)の頂部に形成された突出部36aを「第1突出部361a」と言い、この第1突出部361aを基準として時計回りに45度毎に回転した位置に形成された突出部36aを順次、「第2突出部362a」、「第3突出部363a」、「第4突出部364a」、「第5突出部365a」、「第6突出部366a」、「第7突出部367a」、および「第8突出部368a」と言う。
【0117】
次に、図13を参照して、支持部材30の外径Rおよび内径r1と、エアロゾル形成基材23の外径Dと、の関係について説明する。図13の左側の図は、図12に示す喫煙具用カートリッジ6をXIII-XIII線に沿って切断した断面を支持部材30側から視たエアロゾル形成基材23の縦断面であり、図13の右側の図は、同断面をエアロゾル形成基材23側から視た支持部材30の縦断面である。なお、図13において、L2は、支持部材30の第1突出部361aの先端部を通る直線であり、L4は、支持部材30の第5突出部365aの先端部を通る直線である。また、図13の右側の図では、点線で示す円C´は、第1~第8突出部361a~368aの先端部を弧状に結ぶことで描かれ、その直径は支持部材30の内径r1を表す。
【0118】
図13に示すように、支持部材30の外径Rおよびエアロゾル形成基材23の外径Dはともに、L1とL4との間の長さに相当する。また、支持部材30の内径r1は、円C´の直径に相当するL2とL4との間の長さ、つまり支持部材30の外径R(=外径D)から第1突出部361aの突出量(T)および第5突出部365aの突出量(T)に相当する長さを除いた値に相当する。
【0119】
このように構成された第6実施形態に係る喫煙具用カートリッジ6によれば、上記した第1実施形態および第4実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、第6実施形態によれば、阻止部36の複数の突出部36aが鋸刃形状を有するので、仮にエアロゾル形成基材23の一部が支持部材30の内部に進入しても、そのエアロゾル形成基材23は複数の突出部36aの尖った先端に引っ掛かるため移動が困難となる。よって、被加熱体20(エアロゾル形成基材23)の支持部材30側への移動を確実に抑制できる。
【0120】
また、支持部材30の第1端部30aにだけ阻止部36(複数の突出部36a)を形成すれば良いので、支持部材30を簡単な構成とすることができ、製造コストを抑制できる。
【0121】
なお、図12では、阻止部36は、支持部材30の第1端部30a側にだけ形成されているが、第2端部30b側にも形成されても良い。この場合、第2端部30b側の阻止部の突出量は、第1端部30a側の阻止部36の突出量(T)と等しいか、またはこの突出量(T)とは異なるように形成されても良く、このとき第1端部30a側の阻止部34と第2端部30b側の阻止部とが繋がるように形成されても良い。第2端部30b側の阻止部の突出量が第1端部30a側の阻止部36の突出量(T)と等しい場合、第1端部30a側から第2端部30b側に至る阻止部の突出量は、第1端部30aから第2端部30bに向かって一様となるように形成すれば良い。また、第2端部30b側の阻止部の突出量が第1端部30a側の阻止部36の突出量(T)と異なる場合、第1端部30a側から第2端部30b側に至る阻止部の突出量は、第1端部30aから第2端部30bに向かう途中で大きさが変わっても良いし、第1端部30aから第2端部30bに向けて徐々に大きくなっても良い。
【0122】
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【0123】
例えば本発明において、上記した第1~第6実施形形態のマウスピース40を設けることは必ずしも必須ではない。喫煙具用カートリッジの設計仕様に応じて適宜決定できる。支持部材30の軸方向の長さをエアロゾル形成基材23の軸方向の長さの例えば約2.5倍に延ばし、当該支持部材30内を通過するエアロゾルを十分に冷却できれば、マウスピース40を設けなくても良い。
【0124】
また、例えば第1実施形態に係る喫煙具用カートリッジ1において、支持部材30を樹脂成形品によって構成しても良く、またこの樹脂成形品の外周面には凸部または凹部が形成されても良い。
【0125】
また、第1実施形態において、支持部材30の貫通孔31aに中心軸C1上に沿って延びる軸部を設けても良い。この場合、貫通孔31aの内周面から軸部を保持する保持部材を設けることで、軸部の姿勢を保てば良い。
【0126】
さらに、上記実施形態では、支持部材30は筒状に形成されれば、その形状は問わない。例えば断面が三角形や四角形、その他の多角形の筒体でも良い。
【0127】
また、第2~第6実施形態でも、第1実施形態と同様に支持部材の外径R(R1)は、エアロゾル形成基材23の外径Dよりも小さくても良い。
【符号の説明】
【0128】
1,2,3,4,5 喫煙具用カートリッジ
20 被加熱体
23 エアロゾル形成基材
30 支持部材
30a 第1端部
30b 第2端部
31 シート状部材(シート状の部材)
32c 複数の凹部
33 シート状部材
33b 複数の突条部
34 阻止部
34a,36a 複数の突出部(阻止部)
34b 網目状部材(阻止部)
75 加熱部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13