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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022011939
(43)【公開日】2022-01-17
(54)【発明の名称】体動検出装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/113 20060101AFI20220107BHJP
   A61B 5/08 20060101ALI20220107BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
A61B5/113
A61B5/08
A61B5/11 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020113370
(22)【出願日】2020-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000150707
【氏名又は名称】長野計器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉池 義弘
(72)【発明者】
【氏名】池田 昇
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038SS09
4C038SV01
4C038SX01
4C038VB33
4C038VB35
(57)【要約】
【課題】データの評価に係る作業を簡素化できる体動検出装置を提供すること。
【解決手段】体動検出装置は、被験者の体動に応じて内部圧力が変化する感圧パイプと、感圧パイプの内部圧力を測定する圧力センサ230と、圧力センサ230による圧力測定結果に基づいて被験者の体動の有無を判定する体動判定部2111と、圧力測定結果をデータとして記憶する記憶部212と、記憶部212に記憶されたデータを外部装置に出力する通信部280と、を有する。そして、記憶部212は、体動が無いと判定されるまでの所定の期間の圧力測定結果を無体動直前データとして記憶するデータブロックと、体動が有ると判定されている所定期間の圧力測定結果を通常時データとして記憶するデータブロックと、を有し、通信部280は、無体動直前データと、通常時データとを出力可能に構成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の体動に応じて内部圧力が変化する感圧部材と、
前記感圧部材の前記内部圧力を測定する圧力測定器と、
前記圧力測定器による圧力測定結果に基づいて前記被験者の前記体動の有無を判定する体動判定部と、
前記圧力測定結果をデータとして記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記データを外部装置に出力するデータ出力部と、を有し、
前記記憶部は、
前記体動判定部によって前記体動が無いと判定された場合において、前記体動が無いと判定されるまでの所定の期間の前記圧力測定結果を無体動直前データとして記憶する無体動直前データ記憶部と、
前記体動判定部によって前記体動が有ると判定されている所定期間の前記圧力測定結果を通常時データとして記憶する通常時データ記憶部と、を有し、
前記データ出力部は、前記無体動直前データと、前記通常時データとを出力可能に構成されている
ことを特徴とする体動検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の体動検出装置において、
前記通常時データにおける所定期間と、前記無体動直前データにおける所定期間とは同じである
ことを特徴とする体動検出装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の体動検出装置において、
前記通常時データ記憶部は、記憶している中で最も古い前記圧力測定結果を、最も新しい前記圧力測定結果に更新することで、前記通常時データを連続的に記憶する
ことを特徴とする体動検出装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の体動検出装置において、
前記記憶部は、複数の記憶ブロックを有し、複数の前記記憶ブロックのいずれか一つを前記通常時データ記憶部として構成し、その他の前記記憶ブロックを前記無体動直前データ記憶部として構成する
ことを特徴とする体動検出装置。
【請求項5】
請求項4に記載の体動検出装置において、
前記記憶部は、前記通常時データ記憶部を構成する前記記憶ブロックと、前記無体動直前データ記憶部を構成する前記記憶ブロックとを順次入れ替えながら、前記通常時データおよび前記無体動直前データを記憶する
ことを特徴とする体動検出装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の体動検出装置において、
前記体動判定部は、第1時間以上かつ第2時間未満の間、前記圧力測定器による圧力測定結果の絶対値が所定値以下である場合に一時的無体動と判定し、第2時間以上の間、前記圧力測定器による圧力測定結果の絶対値が所定値以下である場合に前記体動が無いと判定するよう構成され、
前記記憶部は、前記体動判定部によって前記一時的無体動と所定回数以上判定された場合において、前記一時的無体動と判定されるまでの前記圧力測定結果を一時的無体動直前データとして記憶する一時的無体動直前データ記憶部を備える
ことを特徴とする体動検出装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の体動検出装置において、
前記記憶部は、前記体動判定部によって前記体動が無いと判定された場合において、前記体動が無いと判定された後の所定の期間の前記圧力測定結果を無体動後データとして記憶する無体動後データ記憶部を備える
ことを特徴とする体動検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体動検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
乳児突然死症候群(以下、SIDSと略す)による乳児等の死亡を抑制することを目的として、被験者の体動(呼吸)を検出する体動検出装置(無呼吸検出装置)が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1の体動検出装置では、体動を検出する感圧部を備える検出マットをマットレスや布団等の下に敷き、被験者による体動を感圧部の圧力変化として捉えることで、被験者の体動を検出可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-107154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、SIDSの診断において、無体動状態になる直前の圧力変化のデータ(無体動直前データ)を、通常状態(有体動状態)における圧力変化のデータ(通常時データ)と比較して評価を行うことが有効である可能性が知られている。
【0006】
特許文献1の体動検出装置は、圧力変化や検出結果等を、外部出力端子を介して出力可能に構成されている。しかし、特許文献1では、無体動直前データと通常時データとを切り分けて出力するわけではない。そのため、上記のような評価を行うには、医師等が、出力されたデータの中から無体動直前データと通常時データとを切り分けて評価する必要があったことから、データの切り分けに手間がかかるといった問題があった。
【0007】
本発明の目的は、データの評価に係る作業を簡素化できる体動検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の体動検出装置は、被験者の体動に応じて内部圧力が変化する感圧部材と、前記感圧部材の前記内部圧力を測定する圧力測定器と、前記圧力測定器による圧力測定結果に基づいて前記被験者の前記体動の有無を判定する体動判定部と、前記圧力測定結果をデータとして記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された前記データを外部装置に出力するデータ出力部と、を有し、前記記憶部は、前記体動判定部によって前記体動が無いと判定された場合において、前記体動が無いと判定されるまでの所定の期間の前記圧力測定結果を無体動直前データとして記憶する無体動直前データ記憶部と、前記体動判定部によって前記体動が有ると判定されている所定期間の前記圧力測定結果を通常時データとして記憶する通常時データ記憶部と、を有し、前記データ出力部は、前記無体動直前データと、前記通常時データとを出力可能に構成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明では、圧力測定結果をデータとして記憶する記憶部が、体動が無いと判定されるまでの所定の期間の圧力測定結果を無体動直前データとして記憶する無体動直前データ記憶部と、体動が有ると判定されている所定期間の圧力測定結果を通常時データとして記憶する通常時データ記憶部と、を有する。そして、データ出力部は、無体動直前データと、通常時データとを出力可能に構成されている。これにより、体動検出装置から出力されたデータでは、無体動直前データと通常時データとが切り分けられているため、医師等のデータを評価する者が、無体動直前データと通常時データとを切り分ける必要がない。そのため、データの評価に係る作業を簡素化することができる。
【0010】
本発明の体動検出装置において、前記通常時データにおける所定期間と、前記無体動直前データにおける所定期間とは同じであることが好ましい。
この構成では、通常時データにおける所定期間と、無体動直前データにおける所定期間とは同じなので、データを評価しやすくすることができる。また、通常時データと無体動直前データとでデータの容量を同等にできるので、記憶部においてこれらのデータを効率的に保存することができる。
【0011】
本発明の体動検出装置において、前記通常時データ記憶部は、記憶している中で最も古い前記圧力測定結果を、最も新しい前記圧力測定結果に更新することで、前記通常時データを連続的に記憶することが好ましい。
この構成では、通常時データ記憶部において、最も古い圧力測定結果を、最も新しい圧力測定結果に更新することで通常時データを連続的に記憶するので、少ない記憶容量で最新の通常時データを連続的に記憶することができる。
【0012】
本発明の体動検出装置において、前記記憶部は、複数の記憶ブロックを有し、複数の前記記憶ブロックのいずれか一つを前記通常時データ記憶部として構成し、その他の前記記憶ブロックを前記無体動直前データ記憶部として構成することが好ましい。
この構成では、記憶部は、通常時データおよび無体動直前データを記憶するための複数の記憶ブロックを有するので、1つの記憶部で複数のデータを切り分けて記憶することができる。そのため、例えば、RAM等の記憶装置を複数設ける必要がなく、体動検出装置の構成を簡素化することができる。
【0013】
本発明の体動検出装置において、前記記憶部は、前記通常時データ記憶部を構成する前記記憶ブロックと、前記無体動直前データ記憶部を構成する前記記憶ブロックとを順次入れ替えながら、前記通常時データおよび前記無体動直前データを記憶することが好ましい。
ここで、通常、通常時データ記憶部はデータが書き換えられる頻度が高いので、通常時データ記憶部を構成する記憶ブロックは劣化しやすくなってしまう。しかし、この構成では、通常時データ記憶部を構成する記憶ブロックを入れ替えながらデータを記憶するので、記憶ブロックが偏って劣化してしまうことを抑制することができる。
【0014】
本発明の体動検出装置において、前記体動判定部は、第1時間以上かつ第2時間未満の間、前記圧力測定器による圧力測定結果の絶対値が所定値以下である場合に一時的無体動と判定し、第2時間以上の間、前記圧力測定器による圧力測定結果の絶対値が所定値以下である場合に前記体動が無いと判定するよう構成され、前記記憶部は、前記体動判定部によって前記一時的無体動と所定回数以上判定された場合において、前記一時的無体動と判定されるまでの前記圧力測定結果を一時的無体動直前データとして記憶する一時的無体動直前データ記憶部を備えることが好ましい。
この構成では、体動判定部は、第1時間以上かつ第2時間未満の間、圧力測定器による圧力測定値の絶対値が所定値以下である場合に一時的無体動と判定する。そして、記憶部は、体動判定部によって一時的無体動と所定回数以上判定された場合において、一時的無体動と判定されるまでの圧力測定結果を一時的無体動直前データとして記憶する一時的無体動直前データ記憶部を備える。そのため、体動が無いと判定されないものの、一時的に体動が検出されないような場合の圧力測定結果を記憶できるので、SIDSの診断において、データをより詳細に評価することができる。
【0015】
本発明の体動検出装置において、前記記憶部は、前記体動判定部によって前記体動が無いと判定された場合において、前記体動が無いと判定された後の所定の期間の前記圧力測定結果を無体動後データとして記憶する無体動後データ記憶部を備えることが好ましい。
この構成では、体動が無いと判定された後の所定の期間の圧力測定結果を無体動後データとして記憶できるので、SIDSの診断において、データをより詳細に評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1施形態に係る体動検出装置の概略を示す模式図。
図2】第1実施形態の検出マットの概略を示す分解斜視図。
図3】第1実施形態のモニタ装置の回路構成を示すブロック図。
図4】第1実施形態の体動検出中の圧力変化を示す図。
図5】第1実施形態の記憶部の概略構成を示すブロック図。
図6】第1実施形態の記憶部のデータ記憶方法を示す図。
図7】第1実施形態の記憶部のデータ記憶方法を示す図。
図8】第1実施形態の記憶部のデータ記憶方法を示す図。
図9】第2実施形態のモニタ装置の回路構成を示すブロック図。
図10】第2実施形態の記憶部の概略構成を示すブロック図。
図11】第2実施形態の体動検出方法を説明するフローチャート。
図12】第2実施形態の記憶部のデータ移行を示す図。
図13】第3実施形態のモニタ装置の回路構成を示すブロック図。
図14】第3実施形態の体動検出中の圧力変化を示す図。
図15】第3実施形態の記憶部の概略構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の体動検出装置1の概略を示す模式図である。
図1に示すように、体動検出装置1は、検出マット100と、モニタ装置200とを備える。
検出マット100は、例えば、新生児用ベッド等に設置される。そして、通常、検出マット100の上部にはマットレス等が載せられ、当該マットレスの上部に被験者である新生児等が載せられる。なお、検出マット100の詳細については後述する。
【0018】
モニタ装置200は、樹脂等から形成された連結チューブ10によって検出マット100と接続されている。そして、モニタ装置200は、ケース201と、ケース201および連結チューブ10を接続するノズル202とを備えて構成され、検出マット100の内部で生じた圧力変動を計測可能に構成されている。モニタ装置200の背面側には、装置取付具20が取り付けられている。なお、モニタ装置200の詳細については後述する。
【0019】
装置取付具20は、略長方形の板状に形成された取付具本体部21を有しており、取付具本体部21には、長手方向に沿って開口22が中央部に設けられている。そして、取付具本体部21は、長手方向に対して折り曲げ可能に構成されている。これにより、例えば、新生児用ベッドの外枠等に対して、モニタ装置200を取り付け可能に構成されている。
【0020】
[検出マット100]
図2は、検出マット100の概略を示す分解斜視図である。
図2に示すように、検出マット100は、カバー110、上板120、下板130、クッション材140、感圧パイプ150、接続パイプ160等を備えて構成される。
【0021】
カバー110は略矩形状に形成され、上板120、下板130、クッション材140、感圧パイプ150、および接続パイプ160等を内部に収納する。また、カバー110は、上部カバー111および下部カバー112が溶着されて一体に構成され、軟質プラスチックシート等の樹脂部材や布などで形成されている。これにより、感圧パイプ150の内部圧力の変化を測定する際に、測定感度への影響が小さくなるように構成されている。
【0022】
上板120は、例えば、樹脂板、木板、ボール紙等で略矩形の板状に形成され、弾性変形可能に構成されている。上板120の外周部には支点部121が下板130に向かって形成されており、当該支点部121を支点として、板バネとして作用するように構成されている。これにより、被験者の呼吸に応じて上板120が弾性変形することで、当該上板120と当接して配置される感圧パイプ150の内部圧力が、被験者の呼吸に応じて変化するように構成されている。
【0023】
下板130は、例えば、金属板や硬質プラスチック等の硬質部材により形成されることで、弾性変形しないように構成されている。下板130は、略矩形の板状に形成され、中心部に長手方向に沿って感圧パイプ150が配置されている。また、下板130の四隅には、クッション材140が配置されている。
【0024】
クッション材140は、前述したように、下板130の四隅に配置され、例えば、ボルトや接着剤等によって下板130に固定されている。これにより、例えば、検出マット100を持ち運んでいる際に、検出マット100の四隅と新生児用ベッドの枠等とが衝突したとしても、その衝撃がクッション材140によって緩和されるので、検出マット100が損傷してしまうことを防止できる。
【0025】
感圧パイプ150は、例えば、シリコンチューブ等の弾性変形可能なパイプ状の中空体から構成されている。感圧パイプ150の一方の端部151は、栓等で封止されている。また、他方の端部152には、接続パイプ160の一端が接続されている。そして、当該接続パイプ160の他端は、連結チューブ10(図1参照)に接続されている。これにより、感圧パイプ150は、接続パイプ160および連結チューブ10を介して、モニタ装置200に接続されている。
【0026】
前述したように、感圧パイプ150は、上部カバー111の上部に載せられた新生児等の被験者の呼吸に応じて、内部圧力が変化する。本実施形態では、後述するように、感圧パイプ150の内部圧力の変化を、モニタ装置200の圧力センサ230で測定することで、被験者の体動を検出可能に構成されている。すなわち、感圧パイプ150は、本発明の感圧部材の一例である。
なお、感圧パイプ150は、上記構成に限られるものではなく、例えば、偏平バルーン状に形成されていてもよく、新生児等の呼吸に応じて圧力が変動するように構成されていればよい。
【0027】
[モニタ装置200の回路構成]
図3は、モニタ装置200の回路構成の概略を示すブロック図である。
図3に示すように、モニタ装置200は、ケース201に収納される制御回路210、人感センサ220、圧力センサ230、操作部240、表示部250、ブザー260、LED270、通信部280、接点出力部290等を備えて構成される。
なお、モニタ装置200は、電源としての電池を備えて構成されていてもよく、あるいは、ACアダプタ等により家庭用のコンセントから電流を供給可能に構成されていてもよい。
【0028】
制御回路210は、例えば、回路基板等に設けられ、制御装置211と、記憶部212とを備える。制御回路210は、人感センサ220、圧力センサ230、操作部240、表示部250、ブザー260、LED270、通信部280、接点出力部290等と電気的に接続され、これらの動作を制御する。
【0029】
[制御装置211]
制御装置211は、マイクロコンピュータやCPU(Central Processing Unit)等の演算装置により構成されており、体動判定部2111と、警報信号出力部2112とを備えて構成される。
体動判定部2111は、圧力センサ230の測定結果に基づいて、被験者の体動の有無を判定する。
【0030】
図4は、体動検出装置1による体動検出中の、感圧パイプ150内部圧力の変化の一例を示す図である。
図4に示すように、検出マット100の上部に新生児等の被験者が載せられている場合、被験者の体動に応じて感圧パイプ150の内部圧力が変化する。具体的には、被験者が吸気している際は、感圧パイプ150内部圧力が上昇し、被験者が呼気している際は、内部圧力が低下する。そのため、被験者の体動に応じた感圧パイプ150の内部圧力の変化が圧力センサ230にて測定される。
体動判定部2111は、第1閾値D1以上の圧力、および、第2閾値D2以下の圧力が一定周期で測定されるか否かを判定する。具体的には、体動判定部2111は、図4の左側に示す体動状態では、一定周期で第1閾値D1以上の圧力、および、第2閾値D2以下の圧力が測定されるので、体動が正常に検出されていると判定する。一方、体動判定部2111は、図4の右側に示す無体動状態では、判定時間TNの間、第1閾値D1以上の圧力、および、第2閾値D2以下の圧力が測定されないので、体動が検出されないと判定する。なお、判定時間TNは、例えば、15秒間が設定されている。
また、体動判定部2111は、被験者が検出マット上にいない場合は、被験者の体動の判定を中断するように構成されていてもよい。
【0031】
図3に戻って、警報信号出力部2112は、体動判定部2111による判定結果に基づいて、警報信号を出力する。具体的には、警報信号出力部2112は、体動判定部2111により被験者の体動が検出されないと判定されると、警報信号をブザー260およびLED270に出力する。
【0032】
[記憶部212]
図5は、記憶部212の概略構成を示すブロック図である。
図5に示すように、記憶部212は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等により構成されている。
本実施形態では、記憶部212は、データ保存領域とアドレス保存領域との2つの領域を備える。データ保存領域は第1~第6データブロックの6個のデータブロックを備え、アドレス保存領域は第1~第6アドレスブロックの6個のアドレスブロックを備える。
そして、本実施形態では、例えば、第1データブロックには通常時データが記憶され、第2~6データブロックには無体動直前データが記憶されている。また、各アドレスブロックには、アドレスデータが記憶されている。なお、データ保存領域およびアドレス保存領域の詳細については後述する。
【0033】
ここで、無体動直前データとは、体動判定部2111によって体動が無いと判定された場合において、体動が無いと判定されるまでの所定時間の圧力測定結果である。具体的には、無体動直前データは、体動が検出されないと判定される直前の5分間の圧力測定結果である。なお、無体動直前データが記憶されている第2~第6データブロックは、本発明の無体動直前データ記憶部の一例である。
【0034】
通常時データとは、体動判定部2111によって体動が有ると判定されている所定期間の圧力測定結果である。ここで、本実施形態では、体動が有ると判定されている5分間の圧力測定結果が通常時データとして第1データブロックに記憶されている。すなわち、通常時データの所定期間と、無体動直前データの所定時間とは同じである。なお、通常時データを記憶する第1データブロックは、本発明の通常時データ記憶部の一例である。
すなわち、本実施形態では、記憶部212は、6つのデータブロックを有し、第1データブロックを通常時データ記憶部として構成し、その他の第2~第6データブロックを無体動直前データ記憶部として構成している。なお、各データブロックは、本発明の記憶ブロックの一例である。
また、記憶部212への通常時データおよび無体動直前データの記憶方法の詳細については後述する。
【0035】
[人感センサ220]
図3に戻って、人感センサ220は、例えば、焦電センサや交流増幅回路等を備えて構成され、新生児を介助する看護師等の利用者を感知可能に構成されている。そして、本実施形態では、人感センサ220により利用者が感知されると、体動判定部2111による体動の判定を中断するように構成されている。これにより、例えば、看護師等によって新生児が抱き上げられた際に、誤って体動が無いと判定されてしまうことを防ぐことができる。
【0036】
[圧力センサ230]
圧力センサ230は、接続パイプ160および連結チューブ10を介して、検出マット100の感圧パイプ150に接続され、感圧パイプ150の内部圧力の変化を測定可能に構成されている。圧力センサ230は、例えば、ダイヤフラムや当該ダイヤフラムの歪量を検出する歪みゲージ等を備えて構成される。なお、圧力センサ230は、本発明の圧力測定器の一例である。
また、圧力センサ230には、圧力センサ230内部の圧力を徐々に開放する図示略のフィルタ部が設けられている。これにより、感圧パイプ150の内部圧力は、当該フィルタ部を介して徐々に開放される。
【0037】
[操作部240]
操作部240は、モニタ装置200を操作するためのものであり、通信ボタン241、停止ボタン242、電源ボタン243(図1参照)等を備えて構成される。
本実施形態では、通信ボタン241が押されると、操作部240は通信操作信号を制御装置211に出力する。制御装置211は、通信操作信号を入力すると、記憶部212に記憶された通常時データおよび無体動直前データを、通信部280を介して外部装置に出力する。
また、停止ボタン242が押されると、操作部240は停止信号を制御装置211に出力する。制御装置211に停止信号が入力されると、体動判定部2111は、体動の判定を中断する。
【0038】
[表示部250]
表示部250は、液晶ディスプレイ(LCD)等によって構成される。本実施形態では、体動判定部2111により被験者の体動が検出されると、表示部250にバーグラフが表示される。そして、表示部250に表示されたバーグラフは、圧力センサ230によって測定される圧力変化に応じて、上下に振れる。
なお、表示部250は、バーグラフを表示するものに限られるものではなく、例えば、圧力センサ230の測定値がデジタル表示されるように構成されていてもよく、あるいは、測定値の変動により表示色を変更するように構成されていてもよい。
【0039】
[ブザー260]
ブザー260は、制御装置211の警報信号出力部2112から出力される警報信号を入力し、警報音を発するよう構成される。
【0040】
[LED270]
LED270は、制御装置211から出力される信号に基づいて、発光するように構成されている。本実施形態では、LED270は、高輝度3色発光LED(Light Emitting Diode)から構成されている。
LED270は、制御装置211の警報信号出力部2112から出力される警報信号を入力すると、赤色に点滅する。これにより、ケース201の天面が赤色に点滅する。
また、本実施形態では、体動判定部2111は、被験者の体動の判定を中断すると、中断信号をLED270に出力する。そして、LED270は、当該中断信号を入力すると、緑色に点滅する。これにより、ケース201の天面が緑色に点滅する。
【0041】
[通信部280]
通信部280は、USBポート等を備えており、USBケーブル等を介して、外部装置と通信可能に構成される。そして、本実施形態では、通信部280は、記憶部212に記憶された通常時データおよび無体動直前データを、外部装置に出力可能に構成される。すなわち、通信部280は、本発明のデータ出力部の一例である。
なお、通信部280は、上記構成に限られるものではなく、例えば、無線LANやBluetooth(登録商標)等のモジュールを備えて構成されていてもよい。
【0042】
[接点出力部290]
接点出力部290は、フォトモスリレー等により構成され、警報信号出力部2112から警報信号を入力すると、接点がオンされる。接点出力部290には、例えば、発信機等が接続されており、これにより警報信号が出力されたことを外部装置に発信可能に構成することができる。
【0043】
[データ記憶方法]
次に、記憶部212によるデータ記憶方法について説明する。
図6図8は、記憶部212のデータ記憶方法を示す図である。
先ず、図6に示すように、体動測定が開始されると、例えば、記憶部212の第1データブロックへの圧力測定結果、つまり、通常時データの記憶が開始される。ここで、本実施形態では、各データブロックは、0000~9999の10000アドレス分の記憶容量を有している。そして、0.1秒間分の圧力測定結果が1アドレスに記憶される。すなわち、各データブロックは、1000秒間分の圧力測定結果を記憶可能に構成されている。そして、各データブロックは、1000秒間分の圧力測定結果を記憶した後、記憶している中で最も古い圧力測定結果を、最も新しい圧力測定結果に更新することで、通常時データを連続的に記憶する。
【0044】
ここで、例えば、4999アドレスに圧力測定結果を記憶している時点でアラームが発生した、つまり、無体動が発生したと体動判定部2111が判定した場合、記憶部212はその時点で第1データブロックへの圧力測定結果の記憶を停止する。そして、記憶部212は、2000~4999のアドレスデータをアドレス保存領域の第1アドレスブロックに記憶する。すなわち、各アドレスブロックは、各データブロックにおいて、無体動直前データが記憶されているアドレスをアドレスデータとして記憶する。これにより、第1データブロックの2000~4999の3000アドレス(5分間分の容量)に無体動直前データが記憶されていることが、第1アドレスブロックに記憶される。
【0045】
次に、図7に示すように、第1データブロックに最新の無体動直前データが記憶されている場合、記憶部212の第2データブロックへの圧力測定結果、つまり、通常時データの記憶が開始される。
ここで、例えば、3999アドレスに圧力測定結果を記憶している時点でモニタ装置200の電源がOFFされた場合、記憶部212はその時点で第2データブロックへの圧力測定結果の記憶を停止する。そして、記憶部212は、前述した第1データブロックにおける無体動直前データが記憶されたアドレスデータ(2000~4999)を第1アドレスブロックから第2アドレスブロックに移行し、1000~3999のアドレスデータを第1アドレスブロックに記憶する。これにより、第2データブロックの1000~3999の3000アドレス(5分間分の容量)に通常時データが記憶されていることが、第1アドレスブロックに記憶される。
なお、その後、モニタ装置200の電源がONされると、記憶部212の第2データブロックへの圧力測定結果、つまり、通常時データの記憶が開始される。そして、この状態で再びモニタ装置200の電源がOFFされた場合、記憶部212は各アドレスブロックのデータ移行は行わず、モニタ装置200の電源がOFFされた直前のアドレスデータを第1アドレスブロックに上書きする。
【0046】
一方、図8に示すように、例えば、6999アドレスに圧力測定結果を記憶している時点でアラームが発生した場合、記憶部212はその時点で第2データブロックへの圧力測定結果の記憶を停止する。そして、記憶部212は、前述した第1データブロックにおける無体動直前データが記憶されたアドレスデータ(2000~4999)を第1アドレスブロックから第2アドレスブロックに移行し、4000~6999のアドレスデータを第1アドレスブロックに記憶する。これにより、第2データブロックの4000~6999の3000アドレス(5分間分の容量)に無体動直前データが記憶されていることが、第1アドレスブロックに記憶される。
【0047】
その後、第2データブロックに最新の無体動直前データが記憶されている場合、記憶部212の第3データブロックへの圧力測定結果、つまり、通常時データの記憶が開始され、上記のような処理が繰り返される。
このように、本実施形態では、記憶部212は、通常時データを記憶するデータブロックと、無体動直前データを記憶するデータブロックとを順次入れ替えながら、通常時データおよび無体動直前データを記憶するように構成されている。
【0048】
[第1実施形態の効果]
以上のような本実施形態では、次の効果を奏することができる。
(1)本実施形態では、圧力測定結果をデータとして記憶する記憶部212が、体動が無いと判定されるまでの5分間の圧力測定結果を無体動直前データとして記憶するデータブロックと、体動が有ると判定されている5分間の圧力測定結果を通常時データとして記憶するデータブロックと、を有する。そして、通信部280は、無体動直前データと、通常時データとを出力可能に構成されている。これにより、体動検出装置1から出力されたデータでは、無体動直前データと通常時データとが切り分けられているため、医師等のデータを評価する者が、無体動直前データと通常時データとを切り分ける必要がない。そのため、データの評価に係る作業を簡素化することができる。
【0049】
(2)本実施形態では、通常時データと、無体動直前データとが同じ期間のデータなので、データを評価しやすくすることができる。また、通常時データと無体動直前データとでデータの容量を同等にできるので、記憶部212においてこれらのデータを効率的に保存することができる。
【0050】
(3)本実施形態では、各データブロックは、記憶している中で最も古い圧力測定結果を、最も新しい圧力測定結果に更新することで、通常時データを連続的に記憶するので、少ない記憶容量で最新の通常時データを連続的に記憶することができる。
【0051】
(4)本実施形態では、記憶部212は、通常時データおよび無体動直前データを記憶するための複数のデータブロックを有するので、1つの記憶部212で複数のデータを切り分けて記憶することができる。そのため、例えば、RAM等の記憶装置を複数設ける必要がなく、体動検出装置1の構成を簡素化することができる。
【0052】
(5)本実施形態では、記憶部212は、通常時データ記憶部を構成するデータブロックを入れ替えながらデータを記憶するので、データブロックが偏って劣化してしまうことを抑制することができる。
【0053】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について図面に基づいて説明する。
第2実施形態では、記憶部212Aが、通常時データを記憶する第1ブロックと、無体動直前データを記憶する第2~第6ブロックとを備える点で第1実施形態と異なる。なお、第2実施形態において、第1実施形態と同一または同様の構成には同一符号を付して、説明を省略する。
【0054】
[モニタ装置200Aの回路構成]
図9は、第2実施形態のモニタ装置200Aの回路構成の概略を示すブロック図である。モニタ装置200Aは、前述した第1実施形態のモニタ装置200と同様に、ケース201に収納される制御回路210A、人感センサ220、圧力センサ230、操作部240、表示部250、ブザー260、LED270、通信部280、接点出力部290等を備えて構成される。
そして、本実施形態では、制御回路210Aは、制御装置211Aと、記憶部212Aとを備える。
【0055】
[制御装置211A]
制御装置211Aは、前述した第1実施形態の制御装置211と同様に、マイクロコンピュータやCPU(Central Processing Unit)等の演算装置により構成されており、体動判定部2111Aと警報信号出力部2112とを備えて構成される。
体動判定部2111Aは、前述した第1実施形態の体動判定部2111と同様に、圧力センサ230の測定結果に基づいて、被験者の体動の有無を判定する。具体的には、判定時間TN(図4参照)の間、第1閾値D1以上の圧力、および、第2閾値D2以下の圧力が測定されるか否かを判定する。
【0056】
図10は、記憶部212Aの概略構成を示すブロック図である。
図10に示すように、記憶部212Aは、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等により、第1~第6ブロックの6個の記憶ブロックを備えて構成されている。
そして、本実施形態では、第1ブロックには通常時データが記憶され、第2~6ブロックには無体動直前データが記憶されている。
【0057】
[体動検出方法]
次に、本実施形態の体動検出装置1による体動検出方法について説明する。
図11は、体動検出中における中断処理を説明するフローチャートである。
図11に示すように、先ず、モニタ装置200Aは、電源ボタン243が押されることで、圧力センサ230による体動測定を開始する(ステップS1)。
【0058】
次に、ステップS1で体動測定が開始されると、記憶部212Aの第1ブロックへの圧力測定結果(通常時データ)の記憶が開始される(ステップS2)。この際、第1ブロックでは、記憶している中で最も古い圧力測定結果を、最も新しい圧力測定結果に更新することで、通常時データを連続的に記憶する。
【0059】
次に、制御装置211Aは、モニタ装置200Aの電源がOFFされたか否かを判定する(ステップS3)。
ステップS3でYESと判定された場合、すなわち、電源ボタン243が押された場合、制御回路210Aはモニタ装置200Aの電源をOFFして、後述するステップS7に移行する。
【0060】
一方、ステップS3でNOと判定された場合、体動判定部2111Aは無体動が発生したか否かを判定する(ステップS4)。具体的には、体動判定部2111Aは、15秒間に第1閾値D1以上の圧力、および、第2閾値D2以下の圧力が測定されなかった場合は無体動が発生したと判定し、15秒間に第1閾値D1以上の圧力、および、第2閾値D2以下の圧力が測定された場合は無体動が発生しなかったと判定する。
【0061】
ステップS4でNOと判定された場合、ステップS2に戻って処理を繰り返す。すなわち、本実施形態では、モニタ装置200Aの電源がOFFとされるか、無体動が発生したと判定されるまで、記憶部212Aの第1ブロックに通常時データが更新されながら記憶される。
一方、ステップS4でYESと判定された場合、無体動直前データが記憶される(ステップS5)。この際、記憶部212Aの第1ブロックに記憶されている圧力測定結果の中で、無体動が発生する直前の5分間のデータが無体動直前データとして記憶される。すなわち、無体動が発生した場合、第1ブロックに無体動直前データが記憶される。
【0062】
また、無体動が発生すると、ブザー260により警報音が発せられ、LED270が赤色に点滅することで、無体動が発生したことを看護師等の利用者が認識する。そして、通常、看護師等の利用者は、モニタ装置200Aの電源をOFFし(ステップS6)、新生児の様子を確認する。
【0063】
次に、電源ボタン243が押されてモニタ装置200Aの電源がONされると(ステップS7)、制御装置211Aは通信要求が有るか否かを判定する(ステップS8)。ここで、本実施形態では、制御装置211Aは、通信部280を介して外部装置に接続されている場合、外部装置から通信要求を受信可能に構成されている。そして、上述したように、制御装置211Aは、モニタ装置200Aの電源がONされた際に、外部装置から通信要求が有るか否かを判定するように構成されている。
【0064】
ステップS8でNOと判定された場合、後述するステップS10に移行する。
一方、ステップS8でYESと判定された場合、制御装置211Aは、記憶部212Aに記憶されている通常時データおよび無体動直前データを、通信部280を介して、外部装置に出力する(ステップS9)。
【0065】
次に、制御装置211Aは、記憶部212Aの第1ブロックに無体動直前データが記憶されているか否かを判定する(ステップS10)。ここで、ステップS3でモニタ装置200Aの電源がOFFされた場合、第1ブロックには通常時データが記憶されているので、ステップS10でNOと判定される。この場合、ステップS1に戻って処理を繰り返す。
【0066】
一方、前述したように、無体動が発生した場合、ステップS5で無体動直前データが第1ブロックに記憶されるので、ステップS10でYESと判定される。この場合、記憶部212Aに記憶されたデータが移行される(ステップS11)。
【0067】
図12は、記憶部212Aのデータ移行を示す図である。
図12に示すように、ステップS11にてデータを移行する以前において、ステップS5で記憶した無体動直前データAが記憶部212Aの第1ブロックに格納されている。また、第2~第6ブロックには、無体動直前データAの以前に記憶された無体動直前データB~Fが格納されている。なお、無体動直前データB~Fの内、無体動直前データBが最も新しいデータであり、無体動直前データFが最も古いデータである。すなわち、無体動が発生した順に、第6ブロックから第2ブロックに無体動直前データが記憶されている。
【0068】
そして、ステップS11でデータが移行されると、第6ブロックに格納された無体動直前データFが消去され、第5ブロックに格納された無体動直前データEが第6ブロックに移行する。そして、第1~第4ブロックに格納された無体動直前データA~Dは、それぞれ第2~5ブロックに移行する。すなわち、最も古いデータが消去され、データの新しい順に、無体動直前データA~Eが第2~6ブロックに格納される。
そして、ステップS1に戻って処理を繰り返すことで、第1ブロックには通常時データが記憶される。すなわち、本実施形態では、通常時データは常に第1ブロックに記憶される。
【0069】
[第2実施形態の効果]
以上のような本実施形態では、次の効果を奏することができる。
(6)本実施形態では、第1ブロックに通常時データが記憶され、第2~第6ブロックに無体動直前データが記憶されるので、医師等のデータを評価する者が、無体動直前データと通常時データとを容易に特定することができる。そのため、データの評価に係る作業を簡素化することができる。
【0070】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について図面に基づいて説明する。
第3実施形態では、記憶部212Bは、一時的無体動直前データを記憶する記憶ブロックを有する点で第1,2実施形態と異なる。なお、第3実施形態において、第1,2実施形態と同一または同様の構成には同一符号を付し、説明を省略する。
【0071】
[モニタ装置200Bの回路構成]
図13は、第3実施形態のモニタ装置200Bの回路構成の概略を示すブロック図である。モニタ装置200Bは、前述した第1,2実施形態のモニタ装置200,200Aと同様に、ケース201に収納される制御回路210B、人感センサ220、圧力センサ230、操作部240、表示部250、ブザー260、LED270、通信部280、接点出力部290等を備えて構成される。
そして、本実施形態では、制御回路210Bは、制御装置211Bと、記憶部212Bとを備える。
【0072】
[制御装置211B]
制御装置211Bは、前述した第1,2実施形態の制御装置211,211Aと同様に、マイクロコンピュータやCPU(Central Processing Unit)等の演算装置により構成されており、体動判定部2111Bと警報信号出力部2112とを備えて構成される。
体動判定部2111Bは、前述した第1,2実施形態の体動判定部2111,2111Aと同様に、圧力センサ230の測定結果に基づいて、被験者の体動の有無を判定する。具体的には、判定時間TN(図4参照)の間、第1閾値D1以上の圧力、および、第2閾値D2以下の圧力が測定されるか否かを判定する。
さらに、本実施形態では、体動判定部2111Bは、一時的に体動が検出されない一時的無体動が発生したか否かを判定する。
【0073】
図14は、本実施形態の体動検出中の、感圧パイプ150内部圧力の変化の一例を示す図である。
図14に示すように、本実施形態では、判定時間TM以上、圧力センサ230による圧力測定結果の絶対値が所定値以下である場合に、体動判定部2111Bは一時的無体動と判定する。
ここで、本実施形態では、判定時間TMは、被験者の体動の有無を判定する判定時間TNよりも短い時間が設定されている。例えば、判定時間TNが15秒間に設定される場合、判定時間TMは10秒間に設定される。この場合、10秒間以上、かつ、15秒間未満の間、第1閾値D1以上の圧力、および、第2閾値D2以下の圧力が測定されない場合、体動判定部2111Bは一時的無体動と判定する。また、15秒間以上、第1閾値D1以上の圧力、および、第2閾値D2以下の圧力が測定されない場合、体動判定部2111Bは無体動と判定する。なお、判定時間TMは本発明の第1時間の一例であり、判定時間TNは本発明の第2時間の一例である。
【0074】
[記憶部212B]
図15は、記憶部212Bの概略構成を示すブロック図である。
図15に示すように、前述した第2実施形態の記憶部212Aと同様に、記憶部212Bは第1~第6ブロックの6個の記憶ブロックを備えて構成されている。
そして、本実施形態では、第3ブロック、第5ブロック、第6ブロックに一時的無体動直前データが記憶されている。
【0075】
ここで、一時的無体動直前データとは、体動判定部2111Bによって一時的無体動と判定された場合において、一時的無体動と判定されるまでの判定時間TMの圧力測定結果である。そして、本実施形態では、体動判定部2111Bによって一時的無体動と所定回数以上判定された場合、所定回数以降における一時的無体動と判定されるまでの判定時間TMの圧力測定結果が一時的無体動直前データとして記憶されている。例えば、電源をONしてから一時的無体動が2回以上判定された場合、2回目以降における一時的無体動と判定されるまでの判定時間TMの圧力測定結果が一時的無体動直前データとして記憶される。
【0076】
具体的には、体動判定部2111Bによって一時的無体動が2回判定された場合、2回目に一時的無体動と判定されるまでの判定時間TMの圧力測定結果が第1ブロックに記憶される。そして、前述した第1実施形態のようなデータ移行処理が行われ、第1ブロックに記憶された圧力測定結果は第2ブロックに移行する。すなわち、本実施形態では、第2~第6ブロックは、本発明の無体動直前データ記憶部および一時的無体動直前データ記憶部として機能する。
なお、本実施形態では、警報信号出力部2112は、電源をONしてから一時的無体動が2回以上判定された場合にも、警報信号を出力するように構成されていてもよい。
【0077】
[第3実施形態の効果]
以上のような本実施形態では、次の効果を奏することができる。
(7)本実施形態では、体動判定部2111Bは、TM以上かつTN未満の間、圧力センサ230による圧力測定結果の絶対値が所定値以下である場合に一時的無体動と判定する。そして、記憶部212Bは、体動判定部2111Bによって一時的無体動と所定回数以上判定された場合において、一時的無体動と判定されるまでの圧力測定結果を一時的無体動直前データとして記憶する。そのため、体動が無いと判定されないものの、一時的に体動が検出されないような場合の圧力測定結果を記憶できるので、SIDSの診断において、データをより詳細に評価することができる。
【0078】
[変形例]
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記各実施形態では、警報信号出力部2112は、ブザー260およびLED270に警報信号を出力するように構成されていたが、これに限定されるものではない。例えば、警報信号出力部2112は、通信部280を介して接続された管理装置等の外部装置に警報信号を出力するように構成されていてもよい。この場合、モニタ装置200,200Aにブザー260およびLED270は設けられていなくてもよい。
【0079】
前記各実施形態では、記憶部212,212A,212Bは、通常時の圧力測定結果および体動が無いと判定されるまでの圧力測定結果を記憶するように構成されていたが、これに限定されない。例えば、記憶部は、体動が無いと判定された後の所定の期間の圧力測定結果を無体動後データとして記憶する無体動後データ記憶部を備えていてもよい。
この構成では、体動が無いと判定された後の所定の期間の圧力測定結果を無体動後データとして記憶する無体動後データ記憶できるので、SIDSの診断において、データをより詳細に評価することができる。
【符号の説明】
【0080】
1…体動検出装置、10…連結チューブ、20…装置取付具、100…検出マット、110…カバー、120…上板、130…下板、140…クッション材、150…感圧パイプ(感圧部材)、160…接続パイプ、200,200A,200B…モニタ装置、201…ケース、210、210A,210B…制御回路、211,211A,211B…制御装置、212,212A,212B…記憶部、220…人感センサ、230…圧力センサ(圧力測定器)、240…操作部、250…表示部、260…ブザー、270…LED、280…通信部(データ出力部)、290…接点出力部、2111,2111A,2111B…体動判定部、2112…警報信号出力部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15