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特開2022-119393運転支援装置、運転支援方法、および運転支援プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022119393
(43)【公開日】2022-08-17
(54)【発明の名称】運転支援装置、運転支援方法、および運転支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/09 20120101AFI20220809BHJP
   B60W 40/068 20120101ALI20220809BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20220809BHJP
   B62D 6/00 20060101ALI20220809BHJP
   B60T 8/1755 20060101ALI20220809BHJP
   B60T 8/1761 20060101ALI20220809BHJP
   B60T 8/28 20060101ALI20220809BHJP
   B60T 8/26 20060101ALI20220809BHJP
   B62D 101/00 20060101ALN20220809BHJP
   B62D 119/00 20060101ALN20220809BHJP
   B62D 113/00 20060101ALN20220809BHJP
【FI】
B60W30/09
B60W40/068
G08G1/16 C
B62D6/00
B60T8/1755 Z
B60T8/1761
B60T8/28 A
B60T8/26 Z
B62D101:00
B62D119:00
B62D113:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021016468
(22)【出願日】2021-02-04
(71)【出願人】
【識別番号】519373914
【氏名又は名称】株式会社J-QuAD DYNAMICS
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】小澤 有樹
【テーマコード(参考)】
3D232
3D241
3D246
5H181
【Fターム(参考)】
3D232CC20
3D232DA03
3D232DA15
3D232DA24
3D232DA25
3D232DA29
3D232DA77
3D232DA84
3D232DA88
3D232DA93
3D232DC33
3D232DC34
3D232DC38
3D232EB04
3D232EC34
3D232GG01
3D241BA33
3D241BB08
3D241BC01
3D241BC02
3D241CC08
3D241CC17
3D241CE05
3D241DB02Z
3D241DB05Z
3D241DB27Z
3D241DB32Z
3D241DC47Z
3D246DA01
3D246EA18
3D246GB01
3D246GB05
3D246GB12
3D246GB18
3D246GB27
3D246GC14
3D246HA02A
3D246HA13A
3D246HA94A
3D246HA95A
3D246HB02A
3D246JB26
5H181AA01
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181LL09
(57)【要約】
【課題】摩擦係数が小さい路面であっても障害物回避のために車両を旋回させることができるようにした運転支援装置を提供する。
【解決手段】時刻t1において、車両VC(1)の運転者が前方の車両VC(2)との衝突を予見して急ブレーキを踏むとブレーキアクチュエータの作動油の圧力Pwcが急上昇する。CPUは、車両VC(2)に衝突する可能性があると判定すると、衝突を回避可能な領域Aaへと車両VC(1)を走行させるための転舵角指令値θs*を設定し、転舵角θsを転舵角指令値θs*に制御する。そして、CPUは、すべりが生じている場合、転舵角θsが転舵角指令値θs*となる時刻t3において、ブレーキアクチュエータの圧力Pwcを低下させる。これにより、タイヤの横力を確保し、車両VC(1)を旋回させる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
転舵輪を転舵させる転舵アクチュエータ(32)と、ブレーキアクチュエータ(41~44)と、を備えた車両(VC)に適用され、
前記車両の走行する路面に対する前記車両のすべりを検出するすべり検出処理(S22)と、
前記ブレーキアクチュエータの制動力の大きさを小さい側に制限する制限処理(S24,S24a)と、を実行し、
前記制限処理は、前記車両が障害物を回避するために前記転舵輪を転舵させる場合であって前記すべり検出処理によってすべりが検出されている場合、少なくとも前記障害物を回避する期間にわたって前記ブレーキアクチュエータの制動力の大きさを小さい側に制限する処理を含む運転支援装置。
【請求項2】
前記車両の外部の物体を検知する物体検知処理(S10)と、
前記物体検知処理による検知結果に基づき前記障害物を回避したか否かを判定する回避判定処理(S26)と、を実行し、
前記障害物を回避する期間の終点は、前記回避判定処理によって回避したと判定された時点である請求項1記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記物体検知処理による検知結果に基づき、前記車両が前記障害物と接触しない領域を設定する領域設定処理(S16)と、
前記車両を前記設定された領域に移動させるべく、前記転舵輪の転舵角を操作する舵角操作処理(S18)と、を実行し、
前記制限処理を、前記舵角操作処理を実行する場合に実行する請求項2記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記舵角操作処理は、前記車両が前記設定された領域に移動した場合、前記転舵角を戻す処理(S28)を含み、
前記制限処理は、前記転舵角を戻す処理を完了するまで前記制動力の大きさを小さい側に制限する処理を継続する処理を含む請求項3記載の運転支援装置。
【請求項5】
前記制限処理による前記制動力の大きさを小さい側に制限する処理が解除された時点において、運転者がブレーキを解放している場合、前記ブレーキアクチュエータを操作して前記車両を停車させる停止処理(S32,S34)を実行する請求項1~4のいずれか1項に記載の運転支援装置。
【請求項6】
前記ブレーキアクチュエータは、前記車両の前輪と前記車両の後輪とで独立に制動力を付与可能となっており、
前記制限処理は、前記前輪の制動力の大きさを小さい側に制限する処理を含んで且つ、前記前輪の制動力の大きさを小さい側に制限しているときの前記後輪の制動力を前記前輪の制動力よりも大きくする処理(S24a)を含む請求項1~5のいずれか1項に記載の運転支援装置。
【請求項7】
前記車両が走行する路面の摩擦係数に関する情報である摩擦情報を取得する取得処理(S50)を実行し、
前記制限処理は、前記前輪および前記後輪の双方の制動力を小さくする処理と、前記後輪の制動力を前記前輪の制動力よりも大きくする処理と、を前記摩擦情報に応じて切り替える処理(S52,S24,S24a)を含む請求項6記載の運転支援装置。
【請求項8】
前記制限処理によって前記制動力を小さい側に制限するときに前記車両の駆動系が駆動輪に加える負荷トルクを小さくするように前記駆動系を操作するフリクション低減処理(S62)を実行する請求項1~7のいずれか1項に記載の運転支援装置。
【請求項9】
前記車両が走行する路面の摩擦係数に関する情報である摩擦情報を取得する取得処理(S50)と、
前記制限処理の実行時に、前記フリクション低減処理を実行するか否かを、前記摩擦情報に応じて決定する決定処理(S60)と、を実行する請求項8記載の運転支援装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の運転支援装置における前記各処理を実行するステップを有する運転支援方法。
【請求項11】
請求項1~9のいずれか1項に記載の運転支援装置における前記各処理をコンピュータに実行させる運転支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援装置、運転支援方法、および運転支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば下記特許文献1には、車両が直進することにより歩行者等と接触するおそれがある場合に、自動操舵によって車両の走行経路を変更する装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-206040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、凍結路等の低μ路の走行時、運転者が車両の前方の障害物との衝突を回避すべく急ブレーキを踏み込むと、タイヤがロックするおそれがある。そしてその場合、上記装置のように自動操舵によって走行経路を変更しようとしても、車両を十分に旋回させることができない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、上記課題を解決するための手段およびその作用効果について記載する。
1.転舵輪を転舵させる転舵アクチュエータ(32)と、ブレーキアクチュエータ(41~44)と、を備えた車両(VC)に適用され、前記車両の走行する路面に対する前記車両のすべりを検出するすべり検出処理(S22)と、前記ブレーキアクチュエータの制動力の大きさを小さい側に制限する制限処理(S24,S24a)と、を実行し、前記制限処理は、前記車両が障害物を回避するために前記転舵輪を転舵させる場合であって前記すべり検出処理によってすべりが検出されている場合、少なくとも前記障害物を回避する期間にわたって前記ブレーキアクチュエータの制動力の大きさを小さい側に制限する処理を含む運転支援装置である。
【0006】
上記構成では、車両が障害物回避のために転舵輪を転舵させる場合であってすべりが検出されている場合に、ブレーキアクチュエータの制動力の大きさを小さい側に制限する。これにより、制限しない場合と比較してタイヤに生じる横力を大きくすることができる。そのため、転舵輪の転舵によって車両を狙い通りに旋回させることが可能となる。したがって、上記構成によれば、摩擦係数が小さい路面であっても障害物回避のために車両を旋回させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態にかかる車両内の機器の構成を示すブロック図。
図2】同実施形態にかかるADASECUが実行する処理の手順を示す流れ図。
図3】同実施形態にかかるADASECUが実行する処理の手順を示す流れ図。
図4】(a)および(b)は、同実施形態の原理を説明する図。
図5】同実施形態の作用を説明するためのタイムチャート。
図6】同実施形態にかかるADASECUが実行する処理の手順を示す流れ図。
図7】同実施形態の原理を説明する図。
図8】同実施形態にかかるADASECUが実行する処理の手順を示す流れ図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<第1の実施形態>
以下、第1の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1に、本実施形態にかかる車両VCの構成の一部を示す。
【0009】
図1に示すように、レーダ装置12は、車両VCの周囲にミリ波レーダを送信し、車両VCの周囲の物体から反射されたミリ波レーダを受信することによって、ミリ波レーダを反射した物体との距離に関する信号を、ミリ波データDmwとして出力する。ミリ波データDmwは、ミリ波ECU10に取り込まれる。ミリ波ECU10は、ミリ波データDmwに基づき、車両VCの周囲の物体の認識処理を実行する。
【0010】
一方、カメラ22によって撮像された画像に関するデータである画像データDimは、画像ECU20に入力される。画像ECU20は、画像データDimに基づき、車両VCの周囲の物体の認識処理を実行する。
【0011】
転舵ECU30は、転舵輪を転舵させる転舵アクチュエータ32を操作することによって、転舵輪を転舵する制御を実行する電子制御装置である。転舵ECU30は、ローカルネットワーク38を介して操舵角センサ34によって検出される転舵角θsとトルクセンサ36によって検出される操舵トルクTrqsとを取り込む。操舵トルクTrqsは、運転者がステアリングホイールに入力するトルクである。そして、転舵ECU30は、運転者が車両VCを運転しているときには、操舵トルクTrqsに応じて転舵アクチュエータ32を操作する。その際、転舵ECU30は、転舵角θsを参照する。
【0012】
ブレーキECU40は、ブレーキアクチュエータ41~44を操作することによって、車両VCの制動力を制御する電子制御装置である。ブレーキECU40は、ローカルネットワーク38を介して、ブレーキセンサ46によって検出されるブレーキペダルの踏み込み量である、ブレーキ操作量Brkを取り込む。また、ブレーキECU40は、ローカルネットワーク38を介して、車輪速センサ48によって検出される、各車輪の回転速度である車輪速度ω1~ω4を取り込む。上記ブレーキアクチュエータ41は、前輪右側に制動力を付与するアクチュエータである。また、ブレーキアクチュエータ42は、前輪左側に制動力を付与するアクチュエータである。また、ブレーキアクチュエータ43は、後輪右側に制動力を付与するアクチュエータである。また、ブレーキアクチュエータ44は、後輪左側に制動力を付与するアクチュエータである。
【0013】
ブレーキECU40は、ブレーキ操作量Brkの急上昇に対して、制動力の増加速度を緩やかにするとともに、車輪速度ω1~ω4に基づき車輪の滑りが検知されると制動力の大きさを減少させる周知の制御を実行する。換言すれば、ブレーキECU40は、アンチロック・ブレーキ制御を実行するアンチロック・ブレーキ・システム(ABS)を搭載している。
【0014】
エンジンECU50は、車両の推力生成装置としてのエンジン52を制御対象とし、その制御量であるトルクや排気成分比率等を制御すべく、エンジン52の各種操作部を操作する電子制御装置である。
【0015】
ADASECU60は、運転者による車両の運転を支援する電子制御装置である。ADASECU60は、CPU62、ROM64、および周辺回路66を備えており、それらが通信線68を介して接続されている。ROM64には、運転支援プログラム64aが記憶されている。ADASECU60は、CPU62が運転支援プログラム64aを実行することによって、運転者による車両VCの運転を支援する処理を実行する。
【0016】
図2および図3に、運転支援処理のうちの、特に、障害物との衝突回避に関する処理の手順を示す。図2および図3に示す処理は、CPU62が、運転支援プログラム64aに規定された指令を所定の条件が成立する都度実行することによって実現される。なお、以下では、先頭に「S」が付与された数字によって、各処理のステップ番号を表現する。
【0017】
図2に示す一連の処理において、CPU62は、まずミリ波ECU10による物体の認識結果と画像ECU20による物体の認識結果とを取得する(S10)。そして、CPU62は、各認識結果に基づき、車両VCの進行方向前方に障害物があるか否かを判定する(S12)。ここで、障害物とは、前方車両等、車両VCの走行に伴って車両VCと接触する可能性がある物体のことである。CPU62は、車両VCの進行方向前方を、転舵角θsと、道路形状と、に応じて予測すればよい。CPU62は、障害物があると判定する場合(S12:YES)、障害物と衝突する可能性があるか否かを判定する(S14)。CPU62は、この処理において、車輪速度ω1~ω4に基づき算出される車両VCの速度を入力とする。この際、CPU62は、図1に示す加速度センサ70によって検出される車両VCの前後加速度Gxおよび横加速度Gyを参照してもよい。なお、障害物と衝突するか否かを判定するうえでは、障害物と車両VCとの相対速度が重要な変数となる。相対速度は、上述の車両VCの速度に基づき算出できる。さらに、たとえば、レーダ装置12がFMCW方式の装置である場合、ミリ波データDmwが、障害物との相対速度の情報を有することから、これを加味してもよい。
【0018】
CPU62は、衝突する可能性があると判定する場合(S14:YES)、車両VCの走行可能領域に、衝突を回避することが可能となる領域が存在するか否かを判定する(S16)。この処理は、ミリ波ECU10による物体の認識結果と画像ECU20による物体の認識結果とを入力とする処理である。
【0019】
CPU62は、回避可能な領域があると判定する場合(S16:YES)、回避可能な領域に車両VCの走行経路を変更させるべく、転舵アクチュエータ32を操作する、操舵介入処理を実行する(S18)。すなわち、CPU62は、回避可能な領域に車両VCを走行させるための目標軌跡を設定し、目標軌跡に沿って走行するうえでの転舵角θsの指令値である転舵角指令値θs*を算出する。そして、CPU62は、ローカルネットワーク38を介して転舵ECU30に転舵角指令値θs*を出力する。これにより、転舵ECU30は、転舵角θsを転舵角指令値θs*にフィードバック制御すべく、転舵アクチュエータ32を操作する処理を実行する。すなわち、この場合には、運転者によるステアリングホイールの操作にかかわらず、ADASECU60と転舵ECU30との協働で転舵角θsが転舵角指令値θs*に制御される。
【0020】
そして、CPU62は、転舵角θsと転舵角指令値θs*との差の絶対値が閾値Δθs以下となるまで待機する(S20:NO)。この処理は、転舵角θsが転舵角指令値θs*に追従したか否かを判定する処理である。換言すれば、操舵介入による指令通りの転舵角θsになったか否かを判定する処理である。この処理は、転舵ECU30から、転舵角θsと転舵角指令値θs*との差の絶対値が閾値Δθs以下となった旨の信号を受信するか否かを判定する処理とすればよい。もっとも、これに代えてCPU62自身が、転舵角θsを受信し、転舵角θsと転舵角指令値θs*との差の絶対値が閾値Δθs以下であるか否かを判定してもよい。
【0021】
CPU62は、閾値Δθs以下となる場合(S20:YES)、車両VCの走行にすべりが生じているか否かを判定する(S22)。すべりが生じていることは、たとえば、次のようにして判定すればよい。すなわち、車輪速度ω1~ω4がゼロであるのに、ミリ波ECU10による物体の認識結果および画像ECU20による物体の認識結果から車両VCがある程度の車速を有していることに基づき判定すればよい。
【0022】
CPU62は、すべりが生じていると判定する場合(S22:YES)、ブレーキアクチュエータ41~44の制動力を小さい側に制限する処理を実行する(S24)。詳しくは、CPU62は、ブレーキアクチュエータ41~44による制動力を最小とすべく、ブレーキ液圧開放指令を、ブレーキECU40に出力する(S24)。ブレーキ液圧開放指令は、ブレーキアクチュエータ41~44の作動油の圧力を制御する制御弁を開放状態とする指令である。これにより、ブレーキECU40は、制御弁を開放状態とすることによって、ブレーキアクチュエータ41~44の作動油の圧力を最低値へと低下させる処理を実行する。
【0023】
CPU62は、S24の処理を完了する場合と、S22の処理において否定判定する場合とには、ミリ波ECU10の出力および画像ECU20の出力に基づき、障害物を回避するまで待機する(S26:NO)。そしてCPU62は、障害物を回避したと判定する場合(S26:YES)、転舵角指令値θs*をS18の処理の開始前の値に応じた所定の角度に変化させる操舵戻し制御を実行する(S28)。ここで、たとえば車両VCが直線状の車線を走行しており、隣接車線に回避した場合であって且つ、回避前に車両VCが直進していた場合、所定の角度は、S18の処理の開始前の値となる。ただし、S18の処理の開始前の値が、回避した車線において車両VCを直進させるのに不適切な値である場合には、所定の角度を、S18の処理の開始前の値と同一の値とすることなく、車両VCを直進させるうえで適切な値へと微調整した値を所定の角度に設定する。この処理は、CPU62が、転舵角指令値θs*に所定の角度を代入し、転舵角指令値θs*をローカルネットワーク38を介して転舵ECU30に出力する処理となる。これにより、転舵ECU30では、転舵角θsを新たな転舵角指令値θs*に制御する。
【0024】
そして、CPU62は、ブレーキ操作量Brkが閾値Brkth以上であるか否かを判定する(図3:S30)。閾値Brkthは、車両VCを停止させる上で適切な値に設定されている。この処理は、運転者が車両VCを停止させるようにブレーキペダルを操作しているか否かを判定する処理である。CPU62は、閾値Brkth未満であると判定する場合(S30:NO)、車両VCを停止させるための制動力を付与するように、ブレーキECU40に指令を出力する(S32)。これにより、ブレーキECU40は、各車輪を停止させるべく、ブレーキアクチュエータ41~44を操作する。なお、この際、ABS機能を起動させてもよい。
【0025】
そしてCPU62は、車両VCが停止するまで待機する(S34:NO)。この処理は、たとえば、車輪速度ω1~ω4がゼロとなるか否かに基づき判定すればよい。
CPU62は、車両VCが停止したと判定する場合(S34:YES)、図1に示すヒューマンインターフェース80を操作することによって、運転者に、ブレーキペダルを踏むように指示する(S36)。ここで、ヒューマンインターフェース80としては、ヘッドアップディスプレイであってもよい。その場合、S36の処理は、ヘッドアップディスプレイに視覚情報を表示する処理となる。また、ヒューマンインターフェース80としては、スピーカであってもよい。その場合、S36の処理は、マイクから音声を出力する処理となる。
【0026】
CPU62は、ブレーキ操作量Brkが閾値Brkth以上となるまで待機する(S38)。CPU62は、閾値Brkth以上となると判定する場合(S38:YES)と、S30の処理において肯定判定する場合とには、障害物の回避処理を完了する(S40)。すなわち、車両VCの運転を運転者にゆだね、ADASECU60による、転舵角θsおよび制動力の強制的な制御を停止する。ここで、CPU62は、ローカルネットワーク38を介して、転舵ECU30およびブレーキECU40に、回避処理を完了したことを通知する。
【0027】
なお、CPU62は、S40の処理を完了する場合と、図2に示したS12,S14,S16の処理において否定判定する場合とには、図2および図3に示した一連の処理を一旦終了する。
【0028】
ここで、本実施形態の作用および効果について説明する。
CPU62は、運転者が車両VCを運転している間、ミリ波ECU10の出力および画像ECU20の出力に基づき、車両VCが安全に走行できるか否かを監視する。CPU62は、車両VCの進行方向前方に障害物を検知して且つ、障害物と衝突する可能性があると判定する場合、操舵介入を実行する。そして、CPU62は、操舵介入後、すべりの有無を判定し、すべりが生じている場合には、ブレーキECU40に、ブレーキ液圧開放指令を出力する。これは、車輪に生じる横力を大きくするための処理である。以下、これについて説明する。
【0029】
図4に、タイヤに働く摩擦力を示す。図4には摩擦力の大きさが360°にわたって等しい摩擦円Cfである例を示している。
図4(a)は、制動力Fbが大きい場合に車両VCに働く横力の最大値Flmaxを示す。タイヤに働く摩擦力の大きさは、摩擦円Cfの外に出ることはできないことから、この場合の最大値Flmaxは小さい。前輪の横力は操舵する力となり、後輪の横力は車両VCを安定に保つ力となる。そのため、横力の最大値Flmaxが小さい場合、車両VCを十分に旋回させることができない。換言すれば、転舵角θsを転舵角指令値θs*に制御したとしても、十分なヨーレートが生じることがなく、車両VCを狙いとする方向に旋回させることができない。
【0030】
そこで、CPU62は、すべりを検知する場合、ブレーキECU40にブレーキ液圧開放指令を出力する。これにより、図4(b)に示すように、横力の最大値Flmaxを大きい値とすることができる。
【0031】
図5に、雪道等、摩擦係数が小さい路面における障害物回避の処理を例示する。図5においては、図1に示した車両VCを車両VC(1)と記載し、障害物としての前方車両を車両VC(2)と記載している。
【0032】
図5に示すように、時刻t1において、運転者が車両VC(2)との衝突を予見し急ブレーキを踏むことで、ブレーキ操作量Brkが急上昇する。これにより、ブレーキアクチュエータ41~44の作動油の圧力Pwcが急上昇する。ここで、CPU62は、車両VC(2)との衝突の可能性があると判定すると、時刻t2において操舵介入を実行する。図5においては、CPU62が設定した衝突回避が可能な領域を回避領域Aaと記載している。これにより、車両VC(1)の走行車線を隣接する右側の車線に変更すべく、転舵角指令値θs*が右旋回側の値とされる。そして、転舵角θsが転舵角指令値θs*に追従した時刻t3において、CPU62は、ブレーキECU40にブレーキアクチュエータ41~44による制動力を最小とするように指示する。これにより、横力が大きくなり、転舵角θsに応じて車両VCを右側に旋回させ、回避領域Aaへと車両VCを走行させることができる。
【0033】
そしてCPU62は、車両VCが回避領域Aaに入り衝突を回避できたと判定する時刻t4において、転舵角θsを直進方向に戻すように転舵ECU30に指示する。これにより、車両VCの前後方向を、回避領域Aaにおいて車線に沿った方向に制御することができる。転舵角θsが直進方向に戻された時刻t5において、CPU62は、ブレーキ操作量Brkが閾値Brkth以上であることから、衝突回避のための処理を完了する旨、ブレーキECU40等に通知する。これにより、ブレーキECU40は、ブレーキ操作量Brkに応じてブレーキアクチュエータ41~44を操作する。
【0034】
以上説明した本実施形態によれば、さらに以下に記載する作用および効果が得られる。
(1)CPU62は、衝突回避ができた段階で、転舵角指令値θs*を衝突回避前の値に応じた所定の角度に変化させた。これにより、車両VCの前方を車線に沿ったものとすることが可能となる。
【0035】
(2)CPU62は、転舵角指令値θs*を衝突回避前の値に応じた所定の角度に変化させ終わるまで、ブレーキアクチュエータ41~44の制動力を最小値に維持させた。これにより、衝突回避後の車両VCの向きを狙いとする向きに制御することができる。
【0036】
(3)CPU62は、転舵角指令値θs*を衝突回避前の値に応じた所定の角度に変化させた時点で、運転者がブレーキを解放している場合には、ブレーキECU40を介したブレーキアクチュエータの操作によって車両VCを停止させた。これにより、車両VCを停止させた状態で衝突回避の処理を完了させることができる。
【0037】
<第2の実施形態>
以下、第2の実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0038】
上記実施形態では、衝突回避のために車両VCを旋回させる場合であって車両VCがすべっているときにはブレーキアクチュエータ41~44の制動力を最小値とすることにより、前輪、後輪の横力の最大値Flmaxを増大させた。これに対し、本実施形態では、後輪についてはブレーキアクチュエータ43,44の制動力を最小値としない。
【0039】
図6に、本実施形態においてADASECU60が実行する処理の手順を示す。なお、図6に示す処理において、図2に示した処理に対応する処理については、便宜上、同一のステップ番号を付与してその説明を省略する。
【0040】
図6に示す一連の処理において、CPU62は、S22の処理において肯定判定する場合、路面の摩擦係数μを取得する(S50)。摩擦係数μは、たとえばCPU62により前後加速度Gxおよび車両VCの車体重量から求まる制動力の、すべりが検知される直前の値が摩擦係数μに応じた摩擦力であるとして算出すればよい。ここで、すべりは、たとえば車輪速度ω1~ω4から算出される車両の速度に対する車輪速度ω1~ω4のそれぞれから算出される車両の速度の比率によって定量化できる。
【0041】
次にCPU62は、摩擦係数μが閾値μth以上であるか否かを判定する(S52)。閾値μthは、タイヤにある程度の制動力を付与できる値に設定されている。CPU62は、閾値μth未満であると判定する場合(S52:NO)、S24の処理に移行する。
【0042】
これに対し、CPU62は、閾値μth以上であると判定する場合(S52:YES)、前輪についてはブレーキアクチュエータ41,42の制動力を最小とし、後輪については制動力を付与するようにブレーキECU40に指令を出す(S24a)。
【0043】
なお、CPU62は、S24,S24aの処理を完了する場合、S26の処理に移行する。
ここで、本実施形態の作用および効果について説明する。
【0044】
CPU62は、操舵介入後、すべりがあると判定する場合であって、路面の摩擦係数μが閾値μth以上であると判定する場合、前輪のブレーキアクチュエータ41,42の制動力を最小とする。これに対しCPU62は、後輪については、摩擦係数μから定まるタイヤの摩擦力の最大値以下であってゼロよりも大きい摩擦力を付与させる。これにより、ブレーキアクチュエータ43,44の制動力を最小とした場合と比較すると、後輪に加わる横力が小さくなることから、後輪が旋回外側に滑りやすくなる。そのため、車両VCを右旋回させる場合、図7に示すように、車両VCの後ろ側については左側に滑りやすくなり、車両VCを右旋回させやすくなる。
【0045】
なお、摩擦係数μが過度に小さい場合には、この制御によって車両VCがスピンする懸念があることから、CPU62は、後輪についてもブレーキアクチュエータ43,44の制動力を最小とする指令を出力する。
【0046】
<第3の実施形態>
以下、第3の実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0047】
図4(b)では、ブレーキアクチュエータ41~44の制動力を最小とすることにより、制動力Fbを模式的にゼロとした。しかし、実際には運転者によるブレーキ操作がなされ、エンジン52がアイドル運転やフューエルカット制御状態となっていたとしても、エンジン52が駆動輪に負荷トルクを付与する。そのため、ブレーキアクチュエータ41~44の制動力を最小としたとしても、駆動輪の制動力はゼロとならない。もちろん、ブレーキアクチュエータ41~44の制動力を最小とすることにより最小としない場合と比較して、横力の最大値Flmaxを大きく上昇させることができることから、これにより、操舵介入によって車両VCを旋回させやすくなる。ただし、図4に示す摩擦円Cfの大きさは、路面の摩擦係数μが小さいほど小さくなる。そのため、摩擦係数μが過度に小さい場合には、ブレーキアクチュエータ41~44の制動力を最小としたとしても十分な横力を得ることができないおそれがある。本実施形態では、こうした事態に対処する処理を加える。
【0048】
図8に、本実施形態においてADASECU60が実行する処理の手順を示す。なお、図8に示す処理において、図6に示した処理に対応する処理については、便宜上、同一のステップ番号を付与してその説明を省略する。
【0049】
図8に示す一連の処理において、CPU62は、S50の処理を完了する場合、摩擦係数μが規定値μL以下であるか否かを判定する(S60)。ここで、規定値μLは、ブレーキアクチュエータ41~44の制動力を最小としても十分な横力を得ることができない値に設定されている。CPU62は、規定値μL以下であると判定する場合(S60:YES)、駆動輪に加わる制動力をゼロとするためのトルクをエンジン52が生成するようにエンジンECU50に指令を出力する(S62)。これにより、エンジンECU50は、エンジン52の出力を増大させて、駆動輪にエンジン等が制動力を付与することを抑制する。なお、このときのエンジンのトルクは、駆動輪に駆動力を付与することがない値とする。
【0050】
CPU62は、S62の処理を完了する場合や、S60の処理において否定判定する場合には、S24の処理に移行する。
このように、本実施形態によれば、すべりが検知される場合、エンジン52によって駆動輪に加わる負荷トルクを相殺することによって、相殺しない場合と比較してタイヤに大きい横力を生じさせることができる。特に、CPU62は、すべりが検知されて且つ摩擦係数μの値が小さい場合に限って、エンジン52の出力を増大させたことから、不必要にエネルギ消費量が高まることもない。
【0051】
<その他の実施形態>
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0052】
「すべり検出処理について」
・上記実施形態では、カメラ22が出力する画像データ等を用いて車両VCが変位していると判定されて且つ、車輪速センサ48によって検出される車輪の速度がゼロであることに基づき、すべりを検知したが、これに限らない。たとえば、カメラ22が出力する画像データに基づき、路面に雪や水が検知される場合に低μ路であるとして、低μ路であるか否かを加味して滑りを検知してもよい。
【0053】
・すべりを検知する処理としては、カメラ22が出力する画像データ等、車両VCと車両VCの周囲の物体との相対的な変位を検知可能な装置の出力を利用するものに限らない。たとえば車輪速センサ48の出力信号に基づきスリップ率を算出し、スリップ率が閾値以上である場合にすべりが生じていると判定する処理を加えてもよい。この処理によれば、タイヤがロックしていない場合であっても、S24の処理を実行することができる。ここで、4輪の各車輪のスリップ率は、車体速度と対象とする車輪の速度との差を車体速度で割った値に100を乗算した値とすればよい。なお、各車輪の速度と車体速度とは、特定の回転体の速度に換算するか、車体速度に換算するかした後にスリップ率を算出するものとする。なお、ここでたとえば、低μ路である場合に高μ路である場合よりも閾値を小さい値に設定してもよい。これにより、スリップ率の算出誤差の影響を加味して閾値を設定する際のマージンを小さくすることも可能となる。なお、この際、低μ路であるか否かの判定に、カメラ22が出力する画像データを用いてもよい。
【0054】
「物体検知処理について」
・物体検知処理としては、画像データDimと、ミリ波データDmwとを利用するものに限らない。たとえば、近赤外線等の光の照射に伴う反射光を受光する光センサが出力する測距点群データを利用するものであってもよい。また、超音波の照射に伴う反射波を受信するセンサの出力を利用するものであってもよい。なお、それら4つに関しては、それらのうちの4つ全てを利用してもよいし、3つのみを利用してもよいし、2つのみを利用してもよいし、1つのみを利用してもよい。
【0055】
「舵角操作処理について」
・上記実施形態では、障害物を回避したと判定する場合、回避する処理の開始前の値に応じた所定の角度へと転舵角θsを戻す処理を実行したが、これに限らない。たとえば、障害物以外に車両VCの周囲に車両VCに接触する物体が存在しない場合等には、障害物を回避して停止するのみであっても、安全を確保できる。
【0056】
図2,6,8には、転舵ECU30に、障害物を回避するための転舵角指令値θs*を出力する処理を例示したが、これに限らない。たとえば下記「運転支援装置について」の欄に記載したように、ADASECU60と転舵ECU30とが一体的に形成されている場合、転舵アクチュエータ32に操作信号を出力する処理であってもよい。
【0057】
「制限処理について」
・S24の処理では、油圧を最低値に制御してブレーキアクチュエータ41~44に付与する制動力を最小に制御したがこれに限らない。たとえばABSが指示する油圧に対して油圧を低下させつつも、油圧を最低値まで低下させない処理であってもよい。その場合であっても、油圧を低下させない場合と比較して、横力を大きくすることができる。
【0058】
・S24aの処理では、前輪のブレーキアクチュエータ41,42に付与する制動力を最小としたがこれに限らない。たとえばABSが指示する油圧に対して油圧を低下させつつも、油圧を最低値まで低下させない処理であってもよい。その場合であっても、油圧を低下させない場合と比較して、横力を大きくすることができる。
【0059】
図6の処理では、後輪の両輪の制動力を前輪の制動力よりも大きくしたが、これに限らない。たとえば、後輪のうちの内輪の制動力に限って前輪の制動力よりも大きくしてもよい。これによっても、車両VCを旋回させやすくなる。
【0060】
図2,6,8には、転舵角θsと転舵角指令値θs*との差の絶対値が閾値Δθs以下となってから制動力を小さい側に制限したがこれに限らない。たとえば、S18の処理の実行タイミングと同時に、制動力を小さい側に制限してもよい。またたとえば、S18の処理の実行タイミングに先立って、制動力を小さい側に制限してもよい。
【0061】
・制動力を小さい側に制限する処理にとって、S18の処理が実行されることは必須ではない。たとえば、運転者が障害物を回避しようとして急ハンドルを切った場合に、制動力を小さい側に制限してもよい。これにより、運転者が意図通りに車両VCを旋回させることが可能となる。なお、その場合、運転者のブレーキ操作にかかわらず、制動力を強制的に小さい側に制限する処理を、少なくとも障害物の回避が完了するまで実行する。
【0062】
図2,6,8には、ブレーキECU40に制動力を小さい側に制限する指令を出力する処理を例示したが、これに限らない。たとえば、下記「運転支援装置について」の欄に記載したように、ADASECU60とブレーキECU40とが一体的に形成されている場合、ブレーキアクチュエータ41~44に操作信号を出力する処理であってもよい。
【0063】
「フリクション低減処理について」
・フリクション低減処理の操作対象とする駆動系としては、エンジン52に限らない。たとえば下記「駆動系について」の欄の記載したように、駆動系が回転電機を備える場合、回転電機に接続された駆動回路であってもよい。
【0064】
・上記実施形態では、路面の摩擦係数μが規定値μL以下の場合に、フリクション低減処理を実行したが、これに限らない。たとえば、摩擦係数μと、回避可能な領域に変位するのに必要な旋回量と、に基づき、フリクション低減処理の実行の可否を判定してもよい。また、たとえば、摩擦係数μの大きさに応じて、フリクションを低減するためのトルクの大きさを可変としてもよい。
【0065】
図8には、エンジンECU50にフリクション相殺トルクの指令値を出力する処理によってフリクション低減処理を実現したが、これに限らない。たとえば下記「運転支援装置について」の欄に記載したように、ADASECUと駆動系のECUとが一体的に形成されている場合、エンジンや回転電機の駆動回路等に操作信号を出力する処理としてもよい。換言すれば、車両VCの推力生成装置に操作信号を出力する処理としてもよい。
【0066】
「運転支援装置について」
・運転支援装置としては、ADASECU60に限らない。たとえばADASECU60とエンジンECU50等の駆動系のECUとが一体的に形成されたものであってもよい。またたとえば、ADASECU60とブレーキECU40とが一体的に形成されたものであってもよい。またたとえばADASECU60と転舵ECU30とが一体的に形成されたものであってもよい。またたとえば、ADASECU60と、ミリ波ECU10等の車両VCの外部の物体を検知するためのECUとが一体的に形成されたものであってもよい。
【0067】
・運転支援装置としては、CPUとプログラムを格納するプログラム格納装置とを備えて、ソフトウェア処理を実行するものに限らない。たとえば、上記実施形態においてソフトウェア処理されたものの少なくとも一部を、ハードウェア処理するたとえばASIC等の専用のハードウェア回路を備えてもよい。すなわち、運転支援装置は、以下の(a)~(c)のいずれかの構成であればよい。(a)上記処理の全てを、プログラムに従って実行する処理装置と、プログラム格納装置とを備える。(b)上記処理の一部をプログラムに従って実行する処理装置およびプログラム格納装置と、残りの処理を実行する専用のハードウェア回路とを備える。(c)上記処理の全てを実行する専用のハードウェア回路を備える。ここで、処理装置およびプログラム格納装置を備えたソフトウェア実行装置や、専用のハードウェア回路は複数であってもよい。
【0068】
「コンピュータについて」
・走行支援を行うコンピュータとしては、図1に例示したCPU62に限らない。たとえば、図2に示した処理のうち、S16の処理についてはユーザの携帯端末が実行することとし、残りの処理をCPU62が実行するようにしてもよい。
【0069】
「駆動系について」
・駆動系としては、エンジン52を備えるものに限らない。たとえば車両の推力生成装置としてエンジン52と回転電機とを備えるものであってもよく、またたとえば、回転電機のみを備えるものであってもよい。
【符号の説明】
【0070】
60…ADASECU
62…CPU
64…ROM
68…通信線
80…ヒューマンインターフェース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8