(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022119442
(43)【公開日】2022-08-17
(54)【発明の名称】組立式構造体キット及び組立式構造体
(51)【国際特許分類】
E04H 3/24 20060101AFI20220809BHJP
E04H 1/12 20060101ALI20220809BHJP
E04H 3/12 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
E04H3/24
E04H1/12 A
E04H3/12 Z
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021016563
(22)【出願日】2021-02-04
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】503225917
【氏名又は名称】株式会社 ニード
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(74)【代理人】
【識別番号】100206586
【弁理士】
【氏名又は名称】市田 哲
(72)【発明者】
【氏名】前田 恵
(57)【要約】
【課題】 高さの調整範囲を広く確保し、高さの調整作業を容易に行い得る組立式構造体キット及び組立式構造体を提供する。
【解決手段】 複数のサブフレーム2が互いに脱着自在に連結されて全体フレーム3を構成する組立式構造体1を形成するための組立式構造体キット1Aである。サブフレーム2は、縦枠材8と横枠材9とで枠組みされた側フレーム5を含んでいる。縦枠材5は、内孔10Hを有するパイプ状の上縦枠部材10と、内孔10Hにスライド自在に挿入される下縦枠部材11と、上縦枠部材10に対して下縦枠部材11を自在なスライド位置にてロック及びロック解除を行うロック機構12とを含んでいる。ロック機構12は、ロック及びロック解除を手操作する操作レバー20を含んでいる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のサブフレームが互いに脱着自在に連結されて全体フレームを構成する組立式構造体を形成するための組立式構造体キットであって、
前記サブフレームは、縦枠材と横枠材とで枠組みされた側フレームを含み、
前記縦枠材は、内孔を有するパイプ状の上縦枠部材と、前記内孔にスライド自在に挿入される下縦枠部材と、前記上縦枠部材に対して前記下縦枠部材を自在なスライド位置にてロック及びロック解除を行うロック機構とを含み、
前記ロック機構は、ロック及びロック解除を手操作する操作レバーを含む、
組立式構造体キット。
【請求項2】
前記操作レバー以外の前記ロック機構は、前記上縦枠部材内に収納され、
前記上縦枠部材の側面には、前記操作レバーが通る切欠き口が配される、請求項1に記載の組立式構造体キット。
【請求項3】
前記ロック機構は、前記下縦枠部材の一側面に形成される第1係止部と、前記上縦枠部材に取り付き、かつ前記第1係止部に噛み合い可能な第2係止部を有するロック部材とを含み、
前記操作レバーは、前記ロック部材に配される、請求項1又は2に記載の組立式構造体キット。
【請求項4】
前記第1係止部は、前記下縦枠部材の長手方向に沿って並設される複数の凹溝部を含み、
前記第2係止部は、前記凹溝部に噛み合い可能な1以上の凸条部を含む、請求項3に記載の組立式構造体キット。
【請求項5】
前記凹溝部及び前記凸条部は、それぞれ、矩形歯状をなす、請求項4に記載の組立式構造体キット。
【請求項6】
前記ロック部材は、前記第2係止部が前記第1係止部に噛み合って前記下縦枠部材をロックするロック状態と、前記第2係止部が前記第1係止部から離間してロックを解除する解除状態との間を移動可能に支持される、請求項3ないし5のいずれか1項に記載の組立式構造体キット。
【請求項7】
前記ロック部材は、前記上縦枠部材に設けられた支軸により、前記ロック状態と前記解除状態との間を傾動可能に支持される、請求項6に記載の組立式構造体キット。
【請求項8】
前記ロック機構は、前記ロック部材を前記ロック状態に付勢するロックバネを含む、請求項6又は7に記載の組立式構造体キット。
【請求項9】
前記下縦枠部材は、その長手方向に延びる長穴を有する、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の組立式構造体キット。
【請求項10】
前記サブフレームは、第1サブフレームと第2サブフレームとを含み、
前記第1サブフレームの上縦枠部材と、前記第2サブフレームの上縦枠部材とを連結するための連結金具を含む、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の組立式構造体キット。
【請求項11】
前記サブフレームは、第1サブフレームと第2サブフレームとを含み、
前記第1サブフレームの上縦枠部材と、前記第2サブフレームの上縦枠部材とを連結するための連結金具を含み、
前記連結金具は、前記第1サブフレームの上縦枠部材に抜け止め保持され、かつ前記上縦枠部材を貫通して前記第2サブフレーム側に延びる連結シャフトを含み、
前記連結シャフトは、前記長穴を通る、請求項9に記載の組立式構造体キット。
【請求項12】
複数のサブフレームが互いに脱着自在に連結されて全体フレームを構成する組立式構造体であって、
前記サブフレームは、縦枠材と横枠材とで枠組みされた側フレームを含み、
前記縦枠材は、内孔を有するパイプ状の上縦枠部材と、前記内孔にスライド自在に挿入される下縦枠部材と、前記上縦枠部材に対して前記下縦枠部材を自在なスライド位置にてロック及びロック解除を行うロック機構とを含み、
前記ロック機構は、ロック及びロック解除を手操作する操作レバーを含む、
組立式構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに脱着自在な複数のサブフレームからなる組立式構造体キット及びこれら複数のサブフレームが互いに連結されて全体フレームを構成する組立式構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、仮設のステージ、写真撮影用のひな段、臨時観覧席等の組立式構造体として、複数のサブフレームを互いに連結して全体フレームとする組立式構造体が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の組立式構造体では、サブフレームを構成する縦枠材が一定の長さに設定されているため、屋外など起伏や傾斜のある設置面では、組立式構造体を安定させることが難しかった。
【0005】
なお、縦枠材の下端に、ボルト状の脚部を設け、この脚部の螺進退によって高さ調整する、いわゆるアジャスタ機構を用いることが考えられる。しかしながら、ボルト状の脚部は、高さの調整範囲が狭く、また調整作業に手間と労力を要するという問題があった。
【0006】
本発明は、高さの調整範囲を広く確保し、高さの調整作業を容易に行い得る組立式構造体キット及び組立式構造体を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、複数のサブフレームが互いに脱着自在に連結されて全体フレームを構成する組立式構造体を形成するための組立式構造体キットであって、前記サブフレームは、縦枠材と横枠材とで枠組みされた側フレームを含み、前記縦枠材は、内孔を有するパイプ状の上縦枠部材と、前記内孔にスライド自在に挿入される下縦枠部材と、前記上縦枠部材に対して前記下縦枠部材を自在なスライド位置にてロック及びロック解除を行うロック機構とを含み、前記ロック機構は、ロック及びロック解除を手操作する操作レバーを含むことを特徴としている。
【0008】
本発明に係る組立式構造体キットにおいて、前記操作レバー以外の前記ロック機構は、前記上縦枠部材内に収納され、前記上縦枠部材の側面には、前記操作レバーが通る切欠き口が配されるのが望ましい。
【0009】
本発明に係る組立式構造体キットにおいて、前記ロック機構は、前記下縦枠部材の一側面に形成される第1係止部と、前記上縦枠部材に取り付き、かつ前記第1係止部に噛み合い可能な第2係止部を有するロック部材とを含み、前記操作レバーは、前記ロック部材に配されるのが望ましい。
【0010】
本発明に係る組立式構造体キットにおいて、前記第1係止部は、前記下縦枠部材の長手方向に沿って並設される複数の凹溝部を含み、前記第2係止部は、前記凹溝部に噛み合い可能な1以上の凸条部を含むのが望ましい。
【0011】
本発明に係る組立式構造体キットにおいて、前記凹溝部及び前記凸条部は、それぞれ、矩形歯状をなすのが望ましい。
【0012】
本発明に係る組立式構造体キットにおいて、前記ロック部材は、前記第2係止部が前記第1係止部に噛み合って前記下縦枠部材をロックするロック状態と、前記第2係止部が前記第1係止部から離間してロックを解除する解除状態との間を移動可能に支持されるのが望ましい。
【0013】
本発明に係る組立式構造体キットにおいて、前記ロック部材は、前記上縦枠部材に設けられた支軸により、前記ロック状態と前記解除状態との間を傾動可能に支持されるのが望ましい。
【0014】
本発明に係る組立式構造体キットにおいて、前記ロック機構は、前記ロック部材を前記ロック状態に付勢するロックバネを含むのが望ましい。
【0015】
本発明に係る組立式構造体キットにおいて、前記下縦枠部材は、その長手方向に延びる長穴を有するのが望ましい。
【0016】
本発明に係る組立式構造体キットにおいて、前記サブフレームは、第1サブフレームと第2サブフレームとを含み、前記第1サブフレームの上縦枠部材と、前記第2サブフレームの上縦枠部材とを連結するための連結金具を含むのが望ましい。
【0017】
本発明に係る組立式構造体キットにおいて、前記サブフレームは、第1サブフレームと第2サブフレームとを含み、前記第1サブフレームの上縦枠部材と、前記第2サブフレームの上縦枠部材とを連結するための連結金具を含み、前記連結金具は、前記第1サブフレームの上縦枠部材に抜け止め保持され、かつ前記上縦枠部材を貫通して前記第2サブフレーム側に延びる連結シャフトを含み、前記連結シャフトは、前記長穴を通るのが望ましい。
【0018】
本発明は、複数のサブフレームが互いに脱着自在に連結されて全体フレームを構成する組立式構造体であって、前記サブフレームは、縦枠材と横枠材とで枠組みされた側フレームを含み、前記縦枠材は、内孔を有するパイプ状の上縦枠部材と、前記内孔にスライド自在に挿入される下縦枠部材と、前記上縦枠部材に対して前記下縦枠部材を自在なスライド位置にてロック及びロック解除を行うロック機構とを含み、前記ロック機構は、ロック及びロック解除を手操作する操作レバーを含むことを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
本発明の組立式構造体キット及び組立式構造体は、それぞれ、側フレームを構成する縦枠材が、パイプ状の上縦枠部材と、その内孔内にスライド自在に挿入される下縦枠部材と、前記上縦枠部材に対して前記下縦枠部材を自在なスライド位置にてロック及びロック解除を行うロック機構とを含み、前記ロック機構は、ロック及びロック解除を手操作する操作レバーを含んでいる。
【0020】
このような組立式構造体キット及び組立式構造体は、下縦枠部材のスライド動作によって縦枠材を高さ調整し得るため、調整範囲を広く確保することができる。さらに、このような組立式構造体キット及び組立式構造体は、ロック機構の操作レバーを上縦枠部材の側面側に配することが可能となるため、高さ調整作業をより容易に行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の組立式構造体の一実施形態を示す斜視図である。
【
図3】(a)は縦枠材を内方側から見た側面図、(b)は側方側から見た断面図である。
【
図5】(a)はロック機構を示す縦枠材の長手方向と直角な断面図、(b)はロック機構を示す縦枠材の長手方向に沿った断面図である。
【
図7】(a)は連結金具を示す縦枠材の長手方向と直角な断面図、(b)はその分解斜視図である。
【
図8】(a)は他の実施形態の連結金具を示す縦枠材の長手方向と直角な断面図、(b)はその分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の一形態が、図面に基づき詳細に説明される。
図1は、本実施形態の組立式構造体1を示す斜視図である。
図1に示されるように、本実施形態の組立式構造体1は、複数のサブフレーム2が互いに脱着自在に連結された全体フレーム3と、全体フレーム3の上面に載置される複数の床板4とを含んで構成されている。このような組立式構造体1は、例えば、仮設のステージとして好適に用いられる。
【0023】
組立式構造体1は、例えば、3つのサブフレーム2がそれぞれ連結された2組の全体フレーム3と、その上面に載置される9枚(6枚のみを図示)の床板4とで構成されている。本実施形態は、このような組立式構造体1と、組立式構造体1を形成するためのサブフレーム2、床板4等の部品の集合体である組立式構造体キット1Aに関するものである。
【0024】
図2は、1つのサブフレーム2と、その上に載置される1枚の床板4とを示す斜視図である。
図2に示されるように、本実施形態のサブフレーム2は、一対の側フレーム5と、一対の側フレーム5間を結合する継ぎ部材6とを有している。各側フレーム5の上面には、例えば、床板4を固定するための複数のピン5aが突出している。
【0025】
側フレーム5は、縦枠材8と横枠材9とで枠組みされた略矩形状をなすのが望ましい。本実施形態では、2本の縦枠材8と、この縦枠材8間を上下で継ぐ2本の横枠材9とで枠組みされた場合が例示される。本明細書では、側フレーム5において、縦枠材8が向き合う側を「内方側」、その逆を「外方側」、これら「内方側」及び「外方側」と直交する向きを「側方側」と呼ぶ。
【0026】
側フレーム5は、2本の縦枠材8の間で2本の横枠材9を継ぐ1本の補助部材5bを含むのが望ましい。補助部材5bは、例えば、2本の縦枠材8の中間位置に設けられる。本実施形態の補助部材5bは、縦枠材8に平行に延びている。補助部材5bは、例えば、縦枠材8よりも小さい断面形状を有する部材であってもよい。このような補助部材5bは、サブフレーム2の軽量化に役立つ。
【0027】
本実施形態の継ぎ部材6は、一対の側フレーム5の補助部材5bに結合されている。継ぎ部材6は、例えば、周知のヒンジによって屈曲可能に構成される。このため、一対の側フレーム5は、継ぎ部材6が開いた展開状態と、継ぎ部材6が折畳まれた収納状態とを、短時間に変更することができる。
【0028】
図1及び
図2に示されるように、床板4は、例えば、略矩形状の平板で構成されている。床板4は、例えば、アルミニウム等の軽合金により構成されている。本実施形態の床板4は、各サブフレーム2の上面と、隣接する全体フレーム3間とに載置されている。このため、組立式構造体1は、サブフレーム2の個数を少なくするとともに、より多くの床板4を載置することができる。
【0029】
図3(a)は、縦枠材8を内方側から見た側面図であり、
図3(b)は、縦枠材8を側方側から見た断面図である。また、
図4は、縦枠材8の斜視図である。
図3(a)、(b)及び
図4に示されるように、本実施形態の縦枠材8は、床板4が取付く上縦枠部材10と、脚部となる下縦枠部材11と、ロック機構12とを含んでいる。
【0030】
上縦枠部材10は、内孔10Hを有するパイプ状体から構成されるのが望ましい。本実施形態では、上縦枠部材10に横枠材9が連結される。上縦枠部材10は、例えば、アルミニウム等の軽合金からなる。上縦枠部材10の断面形状として、例えば、略矩形状が好適に採用される。
【0031】
下縦枠部材11は、内孔10H内に、上下にスライド自在に挿入されるのが望ましい。この下縦枠部材11も、例えば、アルミニウム等の軽合金からなる。下縦枠部材11の下端には、例えば、ゴム脚等の接地用のベースパッド13が固着されている。
【0032】
本実施形態の下縦枠部材11は、内孔10H内に、ガイド部材14(
図3(b)に示す)を介して上下にスライド自在に案内される。ガイド部材14は、例えば、下縦枠部材11の上端部に取り付く第1のスライド補助部材14Aと、内孔10Hの内周面かつ下端部に取り付く第2のスライド補助部材14Bとを含んでいる。
【0033】
第1のスライド補助部材14Aは、例えば、矩形板状をなしている。第1のスライド補助部材14Aの外周面は、内孔10Hの内周面に案内されるのが望ましい。本実施形態の第1のスライド補助部材14Aの外周面には、内孔10Hとの接触面積を減じるために、上下に延びる複数のリブ状凸部(図示省略)が設けられる。第2のスライド補助部材14Bは、その内周面により、下縦枠部材11の各側面を案内するのが望ましい。第2のスライド補助部材14Bの内周面にも、第1のスライド補助部材14Aの外周面と同様に、例えば、上下に延びる複数のリブ状凸部(図示省略)が設けられていてもよい。ガイド部材14としては、これに限定されることなく、種々な構造のものが採用し得る。
【0034】
図5(a)は、ロック機構12を示す縦枠材8の長手方向と直角な断面図、
図5(b)は、ロック機構12を示す縦枠材8の長手方向に沿った断面図である。
図5(a)に示されるように、本実施形態の下縦枠部材11は、主部16と、後述する第1係止部21を備える副部17とを含んで構成されている。
【0035】
主部16は、例えば、両側のフランジ部分18a間をウェブ部分18bで継ぐ断面H状の本体部分18と、フランジ部分18aの外端間を継ぐ継ぎ部分19とを含む。継ぎ部分19の巾方向中央には、内方側に向かって凹む凹部19aが形成されるのが望ましい。これにより、上縦枠部材10の外方側の壁部10oと凹部19aとの間には、後述する連結金具30の一部を収納するためにスペースH1が形成される。
【0036】
本体部分18は、両側のフランジ部分18aから向き合う側に突出する突起部18cを備えるのが望ましい。本実施形態の突起部18cとウェブ部分18bとの間には、副部17が保持される。これにより、上縦枠部材10の内方側の壁部10iと副部17との間には、ロック機構12を収納するためのスペースH2が形成される。
【0037】
次に、本実施形態のロック機構12が、詳細に説明される。本実施形態のロック機構12は、上縦枠部材10に対し、下縦枠部材11を自在なスライド位置にてロック及びロック解除を行う。このような組立式構造体キット1A及び組立式構造体1は、下縦枠部材11のスライド動作によって縦枠材8を高さ調整し得るため、調整範囲を広く確保することができる。
【0038】
図6は、ロック機構12の主要部の斜視図である。
図5(a)、(b)及び
図6に示されるように、本実施形態のロック機構12は、ロック及びロック解除を手操作する操作レバー20を含んでいる。このような組立式構造体キット1A及び組立式構造体1は、ロック機構12の操作レバー20を上縦枠部材10の側面側に配することが可能となるため、高さ調整作業をより容易に行うことが可能になる。
【0039】
本実施形態では、操作レバー20以外のロック機構12は、上縦枠部材10内に収納されている。すなわち、ロック機構12は、操作レバー20のみを上縦枠部材10の内方側の側面10Sから突出させるのが望ましい。このようなロック機構12は、破損やゴミの侵入等による動作不良が抑制され得る。また、このような組立式構造体キット1A及び組立式構造体1は、操作レバー20以外、上縦枠部材10の側面10Sから突出しないため、縦枠材8がコンパクトになり、搬送性、保管性の向上に貢献し得る。
【0040】
本実施形態のロック機構12は、下縦枠部材11の一側面に形成される第1係止部21と、上縦枠部材10に取り付くロック部材23とを含んでいる。ロック部材23は、第1係止部21に噛み合い可能な第2係止部22を有するのが望ましい。ロック部材23は、例えば、スペースH2内に配されるとともに、このロック部材23に、操作レバー20が一体に形成されている。
【0041】
第1係止部21は、例えば、下縦枠部材11の長手方向に沿って並設される複数の凹溝部21Aを含む。本実施形態の第1係止部21は、板状をなす副部17の内方側の側面に、複数の凹溝部21Aが、副部17の長手方向の略全長に亘って並設される。
【0042】
第2係止部22は、凹溝部21Aに噛み合い可能な1以上、本実施形態では複数の凸条部22Aを含んでいる。凹溝部21A及び凸条部22Aとしては、例えば、矩形歯状の凹凸形状が、好適に採用され得る。このようなロック機構12は、矩形歯状とすること、及びロック部材23が複数の凸条部22Aを有することで、ロック外れが確実に抑制され得る。凸条部22Aの形成数として、5つ以上が好ましい。
【0043】
図5(b)に示されるように、ロック部材23は、ロック状態Y1と解除状態Y2との間を移動可能に支持されるのが望ましい。ここで、ロック状態Y1とは、第2係止部22が第1係止部21に噛み合って下縦枠部材11をロックする状態である。また、解除状態Y2とは、第2係止部22が第1係止部21から離間してロックを解除する状態である。
【0044】
本実施形態のロック部材23は、上縦枠部材10に設ける支軸25により、ロック状態Y1と解除状態Y2との間を傾動可能に支持される。このようなロック部材23は、ロック状態Y1と解除状態Y2とにスムーズに移動させることができる。
【0045】
ロック機構12は、さらに、ロック部材23をロック状態Y1に向かって付勢するロックバネ26を含むのが望ましい。本実施形態のロックバネ26は、いわゆるフックバネであって、上縦枠部材10に設ける支軸27に保持される。
【0046】
本実施形態の下縦枠部材11は、後述する連結金具30の連結シャフト31が通るための長穴28を備えている。長穴28は、下縦枠部材11の長手方向に延びるのが望ましい。このような長穴28は、下縦枠部材11のスライド移動に際しての連結シャフト31との干渉を防止することができる。
【0047】
図1に示されるように、サブフレーム2は、例えば、第1サブフレーム2Aと第2サブフレーム2Bとを含んでいる。ここで、第1サブフレーム2A及び第2サブフレーム2Bは、連結金具30によって互いに連結される一方側、他方側のサブフレーム2を区別するために名付けたものであり、実質的に同構成をなす。
【0048】
図7(a)は、連結金具30を示す縦枠材8の長手方向と直角な断面図であり、
図7(b)はその分解斜視図である。
図7(a)及び(b)に示されるように、連結金具30は、例えば、第1サブフレーム2Aの上縦枠部材10と、第2サブフレーム2Bの上縦枠部材10とを連結して全体フレーム3を構成するためのものである。ここで、便宜上、第1サブフレーム2Aの上縦枠部材を10A、第2サブフレーム2Bの上縦枠部材を10Bと呼ぶ場合がある。
【0049】
本実施形態の連結金具30は、上縦枠部材10Aを貫通して第2サブフレーム2B側に延びる連結シャフト31を含んでいる。本実施形態の連結シャフト31は、第1サブフレーム2Aに抜け止めされるのが望ましい。
【0050】
本実施形態の連結金具30は、連結シャフト31の内方側の端部に固定された手操作用のノブ32と、外方側の端部に固定された連結用の係止片33とを、さらに含んでいる。連結シャフト31は、上縦枠部材10Aの壁部10i、10oに設ける挿通孔34により、長手方向にスライド可能に保持されるのが望ましい。
【0051】
係止片33は、連結シャフト31よりも大径な円盤状の基部33Aと、その外周から半径方向に突出する少なくとも1つの、本実施形態では2つの突片部33Bとを備える。連結シャフト31は、この係止片33とノブ32とにより、上縦枠部材10Aから抜け止めされる。
【0052】
図中の符号35は、補強板であって、例えば、ビス等を用いて壁部10oの凹部36に固定される。凹部36は、例えば、非連結時、係止片33の外面と壁部10oの外面とを略面一とするために形成される。なお、補強板35は、係止片33と略同一の厚さであるのが望ましい。また、補強板35には、係止片33が入る収納孔35Hが形成されるのが望ましい。
【0053】
連結金具30は、連結シャフト31を内方側に付勢するバネ37を備えるのが望ましい。本実施形態のバネ37は、連結シャフト31に固定の例えばCリング等のリング38と、壁部10oとの間に介在し、非連結時、連結シャフト31を内方側の待機位置Qで待機させる。
【0054】
第2サブフレーム2Bの上縦枠部材10Bの壁部10oには、例えば、係止片33と同形状の係止孔39が配される。このため、連結金具30は、ノブ32による押し操作により、係止片33を係止孔39に通過させることができる。その後、ノブ32を例えば半回転させることにより、係止片33の突片部33Bを係止孔39に係合でき、上縦枠部材10A、10B間をワンタッチで連結することができる。
【0055】
図8(a)は、他の実施形態の連結金具40を示す縦枠材8の長手方向と直角な断面図であり、
図8(b)はその分解斜視図である。
図8(a)及び(b)に示されるように、この実施形態の連結金具40は、上述の連結金具30と同様に、第1サブフレーム2Aの上縦枠部材10と、第2サブフレーム2Bの上縦枠部材10とを連結して全体フレーム3を構成するためのものである。
【0056】
この実施形態の連結金具40は、上縦枠部材10Aを貫通して第2サブフレーム2B側に延びる連結シャフト41を含んでいる。本実施形態の連結シャフト41は、上述の連結シャフト31と同様に、第1サブフレーム2Aに抜け止めされるのが望ましい。
【0057】
この実施形態の連結金具40は、連結シャフト41の内方側の端部に固定された手操作用のノブ42と、外方側の端部に固定された連結用のネジ部43とを、さらに含んでいる。連結シャフト41は、上縦枠部材10Aの壁部10i、10oに設ける挿通孔44により、長手方向にスライド可能に保持されるのが望ましい。このような連結金具40は、小さいノブ42で連結することができるので、連結金具40とロック機構12(
図3に示す)との距離を小さくすることができ、ひいては、縦枠材8の高さの調整範囲を広く確保することができる。
【0058】
ネジ部43は、例えば、2条ネジで構成される。このような連結金具40は、少ない回転角度で上縦枠部材10A、10B間を連結することができる。
【0059】
第2サブフレーム2Bの上縦枠部材10Bの壁部10oには、例えば、上縦枠部材10Aの壁部10oに設けられた挿通孔44と同形状の挿通孔45が設けられる。ネジ部43は、上縦枠部材10Bの挿通孔45を通り、上縦枠部材10Bの内孔10H内に設けられたナット部46に締結されるのが望ましい。ナット部46は、例えば、ビス等を用いて上縦枠部材10Bの壁部10oに固定される。
【0060】
組立式構造体1は、本例の如き仮設のステージの他、例えば、やぐら、観覧席、朝礼台、撮影台、机、いす、仮設ベッド、作業台等の種々の組立式構造体1として構成することができる。
【0061】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施し得る。
【符号の説明】
【0062】
1 組立式構造体
1A 組立式構造体キット
2 サブフレーム
2A 第1サブフレーム
2B 第2サブフレーム
3 全体フレーム
5 側フレーム
8 縦枠材
9 横枠材
10 上縦枠部材
10H 内孔
10S 側面
11 下縦枠部材
12 ロック機構
20 操作レバー
21 第1係止部
21A 凹溝部
22 第2係止部
22A 凸条部
23 ロック部材
24 切欠き口
25 支軸
26 ロックバネ
28 長穴
30 連結金具
31 連結シャフト
Y1 ロック状態
Y2 解除状態
【手続補正書】
【提出日】2021-08-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のサブフレームが互いに脱着自在に連結されて全体フレームを構成する組立式構造体を形成するための組立式構造体キットであって、
前記サブフレームは、縦枠材と横枠材とで枠組みされた側フレームを含み、
前記縦枠材は、内孔を有するパイプ状の上縦枠部材と、前記内孔にスライド自在に挿入される下縦枠部材と、前記上縦枠部材に対して前記下縦枠部材を自在なスライド位置にてロック及びロック解除を行うロック機構とを含み、
前記ロック機構は、ロック及びロック解除を手操作する操作レバーを含み、
前記下縦枠部材は、その長手方向に延びる長穴を有し、
前記サブフレームは、第1サブフレームと第2サブフレームとを含み、
前記第1サブフレームの上縦枠部材と、前記第2サブフレームの上縦枠部材とを連結するための連結金具を含み、
前記連結金具は、前記第1サブフレームの上縦枠部材に抜け止め保持され、かつ前記上縦枠部材を貫通して前記第2サブフレーム側に延びる連結シャフトを含み、
前記連結シャフトは、前記長穴を通る、
組立式構造体キット。
【請求項2】
前記操作レバー以外の前記ロック機構は、前記上縦枠部材内に収納され、
前記上縦枠部材の側面には、前記操作レバーが通る切欠き口が配される、請求項1に記載の組立式構造体キット。
【請求項3】
前記ロック機構は、前記下縦枠部材の一側面に形成される第1係止部と、前記上縦枠部材に取り付き、かつ前記第1係止部に噛み合い可能な第2係止部を有するロック部材とを含み、
前記操作レバーは、前記ロック部材に配される、請求項1又は2に記載の組立式構造体キット。
【請求項4】
前記第1係止部は、前記下縦枠部材の長手方向に沿って並設される複数の凹溝部を含み、
前記第2係止部は、前記凹溝部に噛み合い可能な1以上の凸条部を含む、請求項3に記載の組立式構造体キット。
【請求項5】
前記凹溝部及び前記凸条部は、それぞれ、矩形歯状をなす、請求項4に記載の組立式構造体キット。
【請求項6】
前記ロック部材は、前記第2係止部が前記第1係止部に噛み合って前記下縦枠部材をロックするロック状態と、前記第2係止部が前記第1係止部から離間してロックを解除する解除状態との間を移動可能に支持される、請求項3ないし5のいずれか1項に記載の組立式構造体キット。
【請求項7】
前記ロック部材は、前記上縦枠部材に設けられた支軸により、前記ロック状態と前記解除状態との間を傾動可能に支持される、請求項6に記載の組立式構造体キット。
【請求項8】
前記ロック機構は、前記ロック部材を前記ロック状態に付勢するロックバネを含む、請求項6又は7に記載の組立式構造体キット。
【請求項9】
複数のサブフレームが互いに脱着自在に連結されて全体フレームを構成する組立式構造体であって、
前記サブフレームは、縦枠材と横枠材とで枠組みされた側フレームを含み、
前記縦枠材は、内孔を有するパイプ状の上縦枠部材と、前記内孔にスライド自在に挿入される下縦枠部材と、前記上縦枠部材に対して前記下縦枠部材を自在なスライド位置にてロック及びロック解除を行うロック機構とを含み、
前記ロック機構は、ロック及びロック解除を手操作する操作レバーを含み、
前記下縦枠部材は、その長手方向に延びる長穴を有し、
前記サブフレームは、第1サブフレームと第2サブフレームとを含み、
前記第1サブフレームの上縦枠部材と、前記第2サブフレームの上縦枠部材とを連結するための連結金具を含み、
前記連結金具は、前記第1サブフレームの上縦枠部材に抜け止め保持され、かつ前記上縦枠部材を貫通して前記第2サブフレーム側に延びる連結シャフトを含み、
前記連結シャフトは、前記長穴を通る、
組立式構造体。