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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022119461
(43)【公開日】2022-08-17
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/20 20210101AFI20220809BHJP
   H01G 11/78 20130101ALI20220809BHJP
【FI】
H01M2/10 E
H01M2/10 S
H01G11/78
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021016599
(22)【出願日】2021-02-04
(71)【出願人】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100153224
【弁理士】
【氏名又は名称】中原 正樹
(72)【発明者】
【氏名】柴田 延言
(72)【発明者】
【氏名】河手 謙志
【テーマコード(参考)】
5E078
5H040
【Fターム(参考)】
5E078JA02
5H040AA03
5H040AS04
5H040AS05
5H040AS06
5H040AS07
5H040AT02
5H040AT06
5H040AY05
5H040CC05
5H040CC13
5H040JJ03
5H040LL06
(57)【要約】
【課題】外装体を備える蓄電装置であって、簡易な構成で信頼性が向上された蓄電装置を提供すること。
【解決手段】蓄電装置1は、蓄電素子20を収容する外装体10を備える。外装体10は、外装体本体110と、本体開口部111を塞ぐように外装体本体110に取り付けられた蓋体120とを備える。外装体本体110は、本体開口部111の周縁に配置され、Z軸方向に沿って立設された第一壁部115を有する。蓋体120は、Z軸方向に沿って立設された第二壁部125であって、Y軸方向において第一壁部115と対向する第二壁部125を有する。第一壁部115及び第二壁部125は、第一壁部115及び第二壁部125の一方において他方に向けて突設された凸部126を有する。凸部126は、X軸方向において当該他方に当接した状態で、接着剤180を介して互いに固定されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電素子を収容する外装体を備える蓄電装置であって、
前記外装体は、第一部材と、前記第一部材に設けられた開口部を塞ぐように前記第一部材に取り付けられた第二部材とを備え、
前記第一部材は、前記開口部の周縁に配置され、前記第二部材及び前記第一部材の一方に対する他方の取付方向である第一方向に沿って立設された第一壁部を有し、
前記第二部材は、前記第一方向に沿って立設された第二壁部であって、前記第一方向に直交する第二方向において前記第一壁部と対向する第二壁部を有し、
前記第一壁部及び前記第二壁部は、前記第一壁部及び前記第二壁部の一方において他方に向けて突設された凸部を有し、
前記凸部は、前記第一方向及び前記第二方向に直交する第三方向において前記他方に当接した状態で、接着剤を介して互いに固定されている、
蓄電装置。
【請求項2】
前記凸部は、前記第一壁部及び前記第二壁部の一方の、前記第二方向において前記他方と対向する側面から、前記他方に向けて突設されている、
請求項1記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記第一壁部及び前記第二壁部の前記他方は、前記第三方向において前記凸部を挟持した状態で前記凸部と嵌合する嵌合部を有する、
請求項1または2記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記第一壁部及び前記第二壁部の前記一方は、前記一方を有する前記第一部材または前記第二部材に設けられた溝における一対の内側面のうちの一方の内側面を形成する壁部であり、
前記第一壁部及び前記第二壁部の他方は、前記溝に挿入された状態で、前記第三方向において前記凸部に当接し、
前記凸部は、前記溝の前記一対の内側面のうちの他方の内側面、及び、前記溝の底面のいずれかとの間に隙間を形成した状態で前記溝の内部に設けられている、
請求項1~3のいずれか一項に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記凸部は、前記溝の前記一対の内側面のうちの前記他方の内側面との間に前記隙間が形成された状態で配置されており、
前記溝に挿入されている前記第一壁部または前記第二壁部は、前記溝の内部において、前記一対の内側面のうちの、前記凸部が突設された前記一方の内側面に近い位置に配置されている、
請求項4記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外装体を備える蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、外装体を備える蓄電装置が開示されている。外装体は、外装体本体である第一外装体と、第一外装体の上方に配置された蓋体である第二外装体とを有しており、第一外装体の開口部が第二外装体によって塞がれている。第二外装体は、第一外装体の開口部をなす第一周縁部に対して外方から対向する第二周縁部を有している。第一周縁部は第二周縁部に向けて突出する第一突起が形成されており、第二周縁部には、第一周縁部に向けて突出する第二突起が形成されている。第一突起及び第二突起が上下方向で係合した状態で、第一周縁部の上端面と第二外装体とが接着剤により接着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-154381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
蓄電装置の外装体は、一般的に、外装体本体及び蓋体など、開口部を有する部材(第一部材)と、その開口部を塞ぐ部材(第二部材)とを有している。これら2つの部材の接合に、例えば上記従来の蓄電装置のように接着剤を用いる場合、接着剤が固化するまでの間に、第二部材が接着剤によって押し戻され、その結果、接合部分の強度、気密性または水密性が十分ではなくなる場合がある。つまり、蓄電装置の信頼性を損ねる事態が生じる場合がある。そのため、例えば接着剤が固化するまでの間、一方の部材を他方の部材に向けて押さえる作業、装置または治具が必要となる。そこで、例えば、上記従来の蓄電装置のように、接着剤で接合される2つの部材に、一方の部材の他方の部材への取付方向で係合する突起等が設けられる。これにより、接着剤が固化するまでの間に一方の部材を他方の部材に向けて押さえる治具等は不要である。しかしながら、2つの部材の少なくとも一方のサイズまたは形状などに起因し、互いに係合する突起等の構造物を設けることが困難または実質的に不可能な場合もある。この場合、例えば、蓄電装置の構造もしくは製造工程が複雑化する、または、信頼性の保証が困難になるなどの問題が生じる。
【0005】
本発明は、本願発明者が上記課題に新たに着目することによってなされたものであり、外装体を備える蓄電装置であって、簡易な構成で信頼性が向上された蓄電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る蓄電装置は、蓄電素子を収容する外装体を備える蓄電装置であって、前記外装体は、第一部材と、前記第一部材に設けられた開口部を塞ぐように前記第一部材に取り付けられた第二部材とを備え、前記第一部材は、前記開口部の周縁に配置され、前記第二部材及び前記第一部材の一方に対する他方の取付方向である第一方向に沿って立設された第一壁部を有し、前記第二部材は、前記第一方向に沿って立設された第二壁部であって、前記第一方向に直交する第二方向において前記第一壁部と対向する第二壁部を有し、前記第一壁部及び前記第二壁部は、前記第一壁部及び前記第二壁部の一方において他方に向けて突設された凸部を有し、前記凸部は、前記第一方向及び前記第二方向に直交する第三方向において前記他方に当接した状態で、接着剤を介して互いに固定されている。
【0007】
この構成によれば、第一部材と第二部材とを組み合わせる際に、第一壁部及び第二壁部の一方が有する凸部による他方への押圧力(凸部と他方との間の摩擦力)によって、第二部材及び第一部材の一方を他方に仮固定することができる。つまり、第二部材及び第一部材は、接着剤による押し戻しが生じ難い状態に維持される。さらに、第二部材と第一部材とが互いに仮固定された状態において、第一壁部と第二壁部との間に塗布または充填された接着剤が固化することにより、第二部材が第一部材に本固定される。つまり、接着剤が硬化するまでの間、第二部材を押さえるための作業、装置または治具等は不要であり、かつ、第一部材の開口部と、開口部を塞ぐ第二部材との隙間より確実に接着剤で埋められる。その結果、第一部材と第二部材とが強固に接合され、また、第一部材の開口部の周縁における気密性または水密性がより確実に確保される。このように、本態様に係る蓄電装置は、簡易な構成で信頼性が向上された蓄電装置である。
【0008】
前記凸部は、前記第一壁部及び前記第二壁部の一方の、前記第二方向において前記他方と対向する側面から、前記他方に向けて突設されている、としてもよい。
【0009】
この構成によれば、例えば、第一壁部または第二壁部の立設方向及び延在方向に沿う広い側面から凸部が突設されるため、凸部の強度を確保しやすい。従って、凸部と、凸部に当接する第一壁部または第二壁部との間に、比較的に大きな摩擦力を生じさせることができ、これにより、接着剤の硬化の際に、より安定的に第二部材及び第一部材の一方を他方に仮固定することができる。その結果、第一部材と第二部材との接合部分の信頼性(接合強度、気密性または水密性等)が向上する。
【0010】
前記第一壁部及び前記第二壁部の前記他方は、前記第三方向において前記凸部を挟持した状態で前記凸部と嵌合する嵌合部を有する、としてもよい。
【0011】
この構成によれば、第一壁部または第二壁部が有する嵌合部は、第三方向において凸部を挟んだ状態で凸部に嵌合するため、凸部に当接する第一壁部または第二壁部との間に、比較的に大きな摩擦力を生じさせることができる。これにより、接着剤の硬化の際に、より安定的に第二部材及び第一部材の一方を他方に仮固定することができる。また、嵌合部は凸部に対応する形状及びサイズのスリットまたは凹部によって実現できるため、嵌合部は、比較的に簡易な工程で第一壁部または第二壁部に形成することができる。
【0012】
前記第一壁部及び前記第二壁部の前記一方は、前記一方を有する前記第一部材または前記第二部材に設けられた溝における一対の内側面のうちの一方の内側面を形成する壁部であり、前記第一壁部及び前記第二壁部の他方は、前記溝に挿入された状態で、前記第三方向において前記凸部に当接し、前記凸部は、前記溝の前記一対の内側面のうちの他方の内側面、及び、前記溝の底面のいずれかとの間に隙間を形成した状態で前記溝の内部に設けられている、としてもよい。
【0013】
この構成によれば、第一部材及び第二部材の一方に設けられた溝に、第一部材及び第二部材の他方の壁部(第一壁部または第二壁部)が挿入された状態で、第一部材と第二部材とが接着剤によって接合される。そのため、接合に用いる接着剤の量を比較的に多くすることができ、その結果、第一部材と第二部材との接合強度が向上される。また、溝の内部の凸部は、溝の内面との間に隙間を有するように配置されているため、例えば、溝に流し込まれた接着剤は凸部の側方に存在する当該隙間を通過して溝の内部で移動可能である。これにより、接着剤は、溝の広い範囲に広がることができ、その結果、第一部材と第二部材とがより確実かつ強固に接合される。
【0014】
前記凸部は、前記溝の前記一対の内側面のうちの前記他方の内側面との間に前記隙間が形成された状態で配置されており、前記溝に挿入されている前記第一壁部または前記第二壁部は、前記溝の内部において、前記一対の内側面のうちの、前記凸部が突設された前記一方の内側面に近い位置に配置されている、としてもよい。
【0015】
この構成によれば、溝に挿入されている第一壁部または前記第二壁部は、凸部の根元側の内側面(第一内側面)に近い位置に配置され、すなわち、凸部との間に隙間を形成する内側面(第二内側面)から離れた位置に配置される。これにより、接着剤は、凸部と第二内側面との間の隙間を介して溝の内部を流れることができ、かつ、溝の内部における第二内側面側の比較的に大きい空間にも充填される。これにより、第一部材と第二部材とをより確実かつ強固に接合することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、外装体を備える蓄電装置であって、簡易な構成で信頼性が向上された蓄電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施の形態に係る蓄電装置の外観を示す斜視図である。
図2】実施の形態に係る蓄電装置の分解斜視図である。
図3】実施の形態に係る外装体本体の斜視図である。
図4】実施の形態に係る蓋体の斜視断面図である。
図5】実施の形態に係る外装体本体と蓋体との構造上の関係を示す斜視断面図である。
図6】実施の形態に係る外装体本体及び蓋体が組み合わされた状態を示す斜視断面図である。
図7】実施の形態の変形例に係る外装体本体及び蓋体が組み合わされた状態を示す斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態(その変形例も含む)に係る蓄電装置について説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、製造工程、製造工程の順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、各図において、寸法等は厳密に図示したものではない。さらに、各図において、同一または同様な構成要素については同じ符号を付している。
【0019】
以下の説明及び図面中において、蓄電装置の外装体の長手方向、または、蓄電素子の短側面の対向方向を、X軸方向と定義する。蓄電装置の外装体の短手方向、または、複数の蓄電素子の並び方向を、Y軸方向と定義する。蓄電装置の外装体の本体と蓋体との並び方向、または、上下方向を、Z軸方向と定義する。これらX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに交差(本実施の形態では直交)する方向である。なお、使用態様によってはZ軸方向が上下方向にならない場合も考えられるが、以下では説明の便宜のため、Z軸方向を上下方向として説明する。
【0020】
また、以下の説明において、例えば、X軸プラス方向とは、X軸の矢印方向を示し、X軸マイナス方向とは、X軸プラス方向とは反対方向を示す。Y軸方向及びZ軸方向についても同様である。また、単に、「X軸方向」という場合は、X軸に平行な双方向またはいずれか一方の方向を意味する。Y軸及びZ軸に関する用語についても同様である。
【0021】
さらに、平行及び直交などの、相対的な方向または姿勢を示す表現は、厳密には、その方向または姿勢ではない場合も含む。例えば、2つの方向が直交している、とは、当該2つの方向が完全に直交していることを意味するだけでなく、実質的に直交していること、すなわち、例えば数%程度の差異を含むことも意味する。
【0022】
(実施の形態)
[1-1.蓄電装置の全般的な説明]
まず、図1及び図2を用いて、実施の形態に係る蓄電装置1の全般的な説明を行う。図1は、実施の形態に係る蓄電装置1の外観を示す斜視図である。図2は、実施の形態に係る蓄電装置1の分解斜視図である。図2では、外装体10の蓋体120を、外装体本体110から分離して、複数の蓄電素子20を露出させた状態が図示されている。
【0023】
蓄電装置1は、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電することができる装置であり、本実施の形態では、略直方体形状を有している。蓄電装置1は、例えば、電力貯蔵用途または電源用途等に使用される電池モジュール(組電池)である。具体的には、蓄電装置1は、例えば、自動車、自動二輪車、ウォータークラフト、船舶、スノーモービル、農業機械、建設機械、または、電気鉄道用の鉄道車両等の移動体の駆動用またはエンジン始動用等のバッテリ等として用いられる。上記の自動車としては、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)及びガソリン自動車が例示される。上記の電気鉄道用の鉄道車両としては、電車、モノレール、リニアモーターカー、並びに、ディーゼル機関及び電気モーターの両方を備えるハイブリッド電車が例示される。蓄電装置1は、家庭用または事業用等に使用される定置用のバッテリ等としても用いることができる。
【0024】
図1及び図2に示すように、蓄電装置1は、蓄電素子20と、蓄電素子20を収容する外装体10とを備える。本実施の形態では、外装体10には4個の蓄電素子20が収容されている。なお、蓄電装置1が備える蓄電素子20の数は4には限定されない。蓄電装置1は、1以上の蓄電素子20を備えればよい。本実施の形態では、Y軸方向に並べられた4個の蓄電素子20により1つの蓄電素子ユニット24が構成されている。蓄電素子ユニット24は、図示しないスペーサ及び絶縁フィルム等を有してもよい。
【0025】
外装体10は、蓄電素子ユニット24を収容する外装体本体110と、外装体本体110の開口部(本体開口部111)を塞ぐ蓋体120とを有する。本実施の形態において、外装体本体110は第一部材の一例であり、蓋体120は第二部材の一例である。外装体10の内部において、蓄電素子ユニット24の上方には、複数の蓄電素子20に電気的に接続されるバスバー、バスバーを保持するバスバープレート、及び、制御回路等が配置されるが、これらの部材の図示及びその説明は省略する。
【0026】
外装体10は、蓄電装置1の外殻を構成する略直方体状(箱状)の容器(モジュールケース)である。つまり、外装体10は、蓄電素子ユニット24及びバスバープレート等を所定の位置に固定し、これらを衝撃などから保護する部材である。外装体10は、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリフェニレンエーテル(PPE(変性PPEを含む))、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ABS樹脂、若しくは、それらの複合材料等の絶縁部材、または、絶縁塗装をした金属等により形成されている。
【0027】
外装体10が有する外装体本体110は、蓄電素子ユニット24を収容するための本体開口部111が形成された有底矩形筒状のハウジングである。蓋体120は、外装体本体110の本体開口部111を閉塞する矩形状の部材であり、正極側の外部端子91及び負極側の外部端子92を有している。外部端子91及び92は、複数の蓄電素子20と電気的に接続されており、蓄電装置1は、この外部端子91及び92を介して、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電する。外部端子91及び92は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属製の導電部材で形成されている。
【0028】
蓄電素子20は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池(単電池)であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池である。蓄電素子20は、扁平な直方体形状(角形)の形状を有しており、本実施の形態では、上述のように、4個の蓄電素子20がY軸方向に配列されている。
【0029】
なお、蓄電素子20は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。蓄電素子20は、二次電池ではなく、使用者が充電をしなくても蓄えられている電気を使用できる一次電池であってもよい。蓄電素子20は、パウチタイプの蓄電素子であってもよい。また、蓄電素子20の形状は、上記角形には限定されず、それ以外の多角柱形状、円柱形状、楕円柱形状、長円柱形状等であってもよい。
【0030】
本実施の形態では、蓄電素子20は、金属製の容器21を備える。容器21は、互いに対向する一対の長側面21aと、互いに対向する一対の短側面21bとを有する角形のケースである。容器21の内部には、電極体、集電体、及び電解液等が収容されている。本実施の形態では、複数の蓄電素子20のそれぞれは長側面21aがY軸方向に向く姿勢(短側面21bがY軸方向に平行な姿勢)で、Y軸方向に一列に並べられている。
【0031】
容器21の蓋板21cには、容器21の内部の電極体と電気的に接続された金属製の電極端子22(正極端子及び負極端子)が設けられている。電極端子22は、容器21の蓋板21cから、上方(Z軸プラス方向)に向けて突出して配置されている。容器21の蓋板21cにはさらに、容器21の内圧が過度に上昇した場合に内部のガスを外部に排出するためのガス排出弁23が設けられている。本実施の形態では、図2に示すように、複数の蓄電素子20のそれぞれは、ガス排出弁23がZ軸プラス方向に向く姿勢で配置されている。
【0032】
このような基本構成を有する蓄電装置1において、外装体本体110の本体開口部111は、蓋体120によって密閉されている。具体的には、蓄電素子20のガス排出弁23が開放してガスが噴出した場合、例えば、蓄電素子20の使用者の安全確保のために、外装体10に設けられた排気口(図示せず)から所定の場所までガスを導く必要がある。しかし、仮に、外装体本体110と、蓋体120との接合部分に隙間がある場合、または、ガスの圧力で隙間ができた場合、予期せぬ位置からガスが漏れ出すことになり、このことは不安全事象の発生の要因となる。さらに、蓄電装置1は、例えば、風雨にさらされる状況で使用される場合、及び、自然災害などにより水没する場合等もある。そのため、外装体本体110と蓋体120との接合部分には高い気密性または水密性が求められる場合もある。
【0033】
従って、外装体本体110と蓋体120との接合部分は、蓄電装置1の信頼性の観点から重要な部分である。一方で、当該接合部分に複雑な構造を採用すること、及び、煩雑な作業を要する接合手法を採用すること等は、蓄電装置1の時間的または経済的な製造効率の観点からは採用し難い。
【0034】
そこで、本実施の形態では、簡易な構成であって、かつ、外装体本体110と蓋体120とをより確実に接合するための構成が採用されている。以下、図3図6を参照しながら、本実施の形態に係る外装体本体110と蓋体120との接合部分の詳細について説明する。
【0035】
[1-2.外装体本体と蓋体との接合部分について]
図3は、実施の形態に係る外装体本体110の斜視図である。図3では、本体開口部111の周縁に配置された第一壁部115の一部が拡大して図示されている。図4は、実施の形態に係る蓋体120の斜視断面図である。図4では、図2のIV-IV線を通るYZ平面における蓋体120の断面が表されている。図5は、実施の形態に係る外装体本体110と蓋体120との構造上の関係を示す斜視断面図である。図6は、実施の形態に係る外装体本体110及び蓋体120が組み合わされた状態を示す斜視断面図である。図5及び図6における断面の位置は、図4における断面の位置と同じである。
【0036】
上述の図2、及び、図3図6に示されるように、蓋体120は、外装体本体110の本体開口部111の開口方向(Z軸プラス方向)から外装体本体110に向けて取り付けられる部材である。外装体本体110は、本体開口部111の周縁に設けられた第一壁部115を有している。蓋体120は、図4図6に示すように、第二壁部125を有している。具体的には、第二壁部125は、外装体本体110の第一壁部115が挿入される溝127の内側面127aを形成する壁部である。本実施の形態において、溝127の内面は、図4に示すように一対の内側面127a及び127b、並びに、底面127cによって構成されている。内側面127bは、第二壁部125に対向して配置された第二壁部128によって形成されている。つまり、離間して配置された一対の第二壁部125及び128の間に溝127が形成されており、本実施の形態では、一対の第二壁部125及び128の内の第二壁部125に、後述する凸部126が設けられている。
【0037】
外装体本体110の第一壁部115及び蓋体120の第二壁部125は、ともに、蓋体120の外装体本体110の一方に対する他方の取付方向(Z軸方向)に沿って立設されている。第一壁部115及び第二壁部125は、蓋体120が外装体本体110に取り付けられた状態では、互いに対向する位置及び姿勢で配置されている。上記の取付方向(Z軸方向)は第一方向の一例であり、当該取付方向と直交する、第一壁部115と第二壁部125との対向方向(図5及び図6におけるY軸方向)は第二方向の一例である。
【0038】
このように構成された蓋体120と外装体本体110とは、図6に示すように、接着剤180によって接合されている。例えば、蓋体120の上下を反転させることで溝127の開口を上向きにした状態で、溝127に接着剤180を流し込む。さらに、溝127の上方から、外装体本体110の第一壁部115を、蓋体120の溝127に挿入する(図5参照)。その後、接着剤180が固化することで、蓋体120と外装体本体110とが接合される。この接着剤180の固化までの間、接着剤180によって、外装体本体110に上方に押し戻す力が作用する。この力によって外装体本体110が移動した場合、外装体本体110及び蓋体120の互いの接合面が乖離し、外装体本体110及び蓋体120の接合部分の信頼性に問題が生じる可能性がある。そこで、本実施の形態に係る蓋体120及び外装体本体110は、接着剤180による押し戻しを抑制する構成を有している。
【0039】
具体的には、本実施の形態では、例えば図4に示すように、蓋体120の第二壁部125には凸部126が設けられている。凸部126は、蓋体120が外装体本体110に取り付けられた状態において、外装体本体110の第一壁部115に向けて突設されており、かつ、第一壁部115と、第一壁部115の延在方向(図4のX軸方向)で当接する。第一壁部115の延在方向は、第一方向及び第二方向に直交する第三方向の一例である。
【0040】
より詳細には、第一壁部115には、図3及び図6に示すように、X軸方向で凸部126と当接する面を形成する嵌合部116が設けられている。本実施の形態では、嵌合部116は、第一壁部115の上端部からZ軸方向に沿って長尺状であり、かつ、第一壁部115を厚み方向(Y軸方向)に貫通するスリットである。このスリットである嵌合部116の、X軸方向で対向する一対の内面の少なくとも一方が、第二壁部125に設けられた凸部126に押し当てられた状態となる。これにより、少なくとも、接着剤180が固化するまでの間における接着剤180の押し戻し力に抗する程度の摩擦力が、凸部126と第一壁部115との間に生じる。従って、外装体本体110が、蓋体120に対する正規の位置で停止した状態で接着剤180が固化し、その結果、蓋体120と外装体本体110との適切な接合状態が得られる。また、本実施の形態では、互いに嵌め合わされる凸部126と嵌合部116との組が、本体開口部111の周縁に沿って複数配置されている。これにより、蓋体120と外装体本体110とは、本体開口部111の周縁における幅広い範囲で適切に接合される。
【0041】
このように、本実施の形態に係る蓄電装置1は、蓄電素子20を収容する外装体10を備える。外装体10は、第一部材(外装体本体110)と、外装体本体110に設けられた本体開口部111を塞ぐように外装体本体110に取り付けられた第二部材(蓋体120)とを備える。外装体本体110は、本体開口部111の周縁に配置され、蓋体120及び外装体本体110の一方に対する他方の取付方向である第一方向(Z軸方向)に沿って立設された第一壁部115を有する。蓋体120は、Z軸方向に沿って立設された第二壁部125であって、Z軸方向に直交する第二方向(Y軸方向)において第一壁部115と対向する第二壁部125を有する。第一壁部115及び第二壁部125は、第一壁部115及び第二壁部125の一方において他方に向けて突設された凸部126を有する。凸部126は、Z軸方向及びY軸方向に直交する第三方向(X軸方向)において当該他方に当接した状態で、接着剤180を介して互いに固定されている。より具体的には、本実施の形態では、凸部126は、第二壁部125において、第一壁部115に向けて突設されている。つまり、第一壁部115及び第二壁部125は、第二壁部125に設けられた凸部126がX軸方向で第一壁部115に当接した状態で、接着剤180を介して互いに固定されている。
【0042】
この構成によれば、外装体本体110を蓋体120に組み合わせる際に、第二壁部125が有する凸部126による他方(第一壁部115)への押圧力(凸部126と第一壁部115との間の摩擦力)によって、蓋体120及び外装体本体110の一方を他方に仮固定することができる。つまり、接着剤180による押し戻し(蓋体120及び外装体本体110の接合面の乖離)が生じ難い状態に維持される。さらに、蓋体120と外装体本体110とが互いに仮固定された状態において、第一壁部115と第二壁部125との間に塗布または充填された接着剤180が固化することにより、蓋体120が外装体本体110に本固定される。つまり、接着剤180が硬化するまでの間、蓋体120を押さえるための作業、装置または治具等は不要であり、かつ、外装体本体110の本体開口部111と、本体開口部111を塞ぐ蓋体120との隙間より確実に接着剤180で埋められる。その結果、外装体本体110と蓋体120とが強固に接合され、また、外装体本体110の本体開口部111の周縁における気密性または水密性がより確実に確保される。このように、本実施の形態に係る蓄電装置1は、簡易な構成で信頼性が向上された蓄電装置である。
【0043】
上記の効果は、第一壁部115に、第二壁部125に向けて突設された凸部126が設けられている場合でも奏される。具体的には、第二壁部125の、凸部126に対向する位置に、凸部126の先端部が挿入される凹部を設けることで、凸部126は、第二壁部125の一部である凹部の内面とX軸方向で当接する。この構成によれば、凸部126と第二壁部125との間の摩擦力によって、外装体本体110及び蓋体120の一方が他方に仮固定された状態となり、その状態で接着剤180を固化させることができる。その結果、蓋体120と外装体本体110とは適切に接合される。また、第二壁部125ではなく、第二壁部125に対向して配置された第二壁部128(図4参照)に、凸部126が配置されていてもよい。一対の第二壁部125及び128のそれぞれに凸部126が配置されていてもよい。いずれの場合であっても、第一壁部115における凸部126に対向する位置に嵌合部116が設けられていることで、凸部126はX軸方向において第一壁部115と当接することができ、これにより、蓋体120と外装体本体110とは適切に接合される。
【0044】
なお、本実施の形態に係る外装体本体110及び蓋体120の一方を他方に仮固定するために、例えば、突起と係合部とが上下方向(Z軸方向)で係合する係合構造を設けることも考えられる。しかしながら、この場合、外装体本体110及び蓋体120の一方を他方に安定的に仮固定するためには、突起及び係合部の組を複数配置する必要があり、かつ、これらのそれぞれを、Z軸方向の緩みがないように精度よく係合させる必要がある。従って、これら突起及び係合部の、3次元位置及び3次元形状に高い精度が求められる。この点に関し、本実施の形態では、Y軸方向に突設された凸部126をX軸方向で第一壁部115に当接させることで、外装体本体110及び蓋体120の一方を他方に仮固定する。そのため、凸部126及び第一壁部115の位置及び形状について、少なくともZ軸方向の高い精度は求められない。このことは、信頼性が向上された蓄電装置1の効率的な製造の観点から有利である。
【0045】
また、本実施の形態において、凸部126は、第一壁部115及び第二壁部125の一方の、第二方向において他方と対向する側面から、他方に向けて突設されている。より具体的には、凸部126は、第二壁部125の、第一壁部115と対向する側面(溝127の内側面127a)から、第一壁部115に向けて突設されている。
【0046】
この構成によれば、例えば、第二壁部125の立設方向(Z軸方向)及び延在方向(X軸方向)に沿う広い側面から凸部126が突設される。この場合、例えば凸部126の厚みを大きくすることができるため、凸部126の強度を確保しやすい。従って、凸部126と、凸部126に当接する第一壁部115との間に、比較的に大きな摩擦力を生じさせることができ、これにより、接着剤180の硬化の際に、より安定的に蓋体120及び外装体本体110の一方を他方に仮固定することができる。その結果、外装体本体110と蓋体120との接合部分の信頼性が向上する。
【0047】
上記効果は、凸部126が、第一壁部115の、第二壁部125と対向する側面(Y軸マイナス方向側の側面)から、第二壁部125に向けて突設されている場合でも奏される。つまり、第一壁部115の、Z軸方向及びX軸方向に沿う広い側面から凸部126が突設されるため、凸部126の強度が確保しやすく、これにより、凸部126と第二壁部125との間に、比較的に大きな摩擦力を生じさせることができる。その結果、より安定的に蓋体120及び外装体本体110の一方を他方に仮固定することができる。
【0048】
また、本実施の形態において、第一壁部115及び第二壁部125の他方は、第三方向において凸部126を挟持した状態で凸部126と嵌合する嵌合部116をする。より具体的には、本実施の形態では、第二壁部125が有する凸部126の当接相手である第一壁部115が、凸部126と嵌合する嵌合部116を有している。
【0049】
この構成によれば、第一壁部115が有する嵌合部116は、X軸方向において凸部126を挟んだ状態で凸部126に嵌合するため、凸部126に当接する第一壁部115または第二壁部125との間に、比較的に大きな摩擦力を生じさせることができる。これにより、接着剤180の硬化の際により安定的に蓋体120及び外装体本体110の一方を他方に仮固定することができる。また、嵌合部116は凸部126に対応する形状及びサイズのスリットまたは凹部等によって実現できる(本実施の形態ではスリット)。そのため、嵌合部116は、比較的に簡易な工程で第一壁部115に形成することができる。
【0050】
上記効果は、第一壁部115が凸部126を有し、かつ、第二壁部125が、凸部126と嵌合する嵌合部116を有する場合でも奏される。具体的には、例えば、第二壁部125に、嵌合部116として、第二壁部125のZ軸マイナス方向の端縁からZ軸プラス方向に向けて延在する凹部を設ける。これにより、凹部である嵌合部116は、X軸方向において凸部126を挟んだ状態で凸部126に嵌合する。そのため、比較的に大きな摩擦力によって、より安定的に蓋体120及び外装体本体110の一方を他方に仮固定することができる。
【0051】
また、本実施の形態において、第一壁部115及び第二壁部125の一方は、当該一方を有する外装体本体110または蓋体120に設けられた溝127における一対の内側面のうちの一方の内側面を形成する壁部である。第一壁部115及び第二壁部125の他方は、溝127に挿入された状態で、第三方向において凸部126に当接する。凸部126は、溝127の一対の内側面のうちの他方の内側面、及び、溝127の底面127cのいずれかとの間に隙間を形成した状態で溝127の内部に設けられている。より具体的には、本実施の形態では、第二壁部125は、第二壁部125を有する蓋体120に設けられた溝127における一対の内側面127a及び127c(図4及び図5参照)のうちの、内側面127aを形成する壁部である。第一壁部115は、溝127に挿入された状態で、X軸方向において凸部126に当接する。凸部126は、図4図6に示すように、溝127の内側面127bとの間に隙間を形成した状態で溝127の内部に設けられている。
【0052】
この構成によれば、蓋体120に設けられた溝127に、外装体本体110の第一壁部115が挿入された状態で、外装体本体110と蓋体120とが接着剤180によって接合される。そのため、接合に用いる接着剤180の量を比較的に多くすることができ、その結果、外装体本体110と蓋体120との接合強度が向上される。また、溝127の内部の凸部126は、溝127の内面との間に隙間を有するように配置されているため、例えば、溝127に流し込まれた接着剤180は凸部126の側方に存在する当該隙間を通過して溝127の内部で移動可能である。より詳細には、本実施の形態では、凸部126と、凸部126の突設方向に位置する内側面127bとの間に、固化する前の状態(流体)である接着剤180が通過可能な隙間が存在する。これにより、接着剤180は、溝127の広い範囲に広がることができ、その結果、外装体本体110と蓋体120とがより確実かつ強固に接合される。
【0053】
上記効果は、外装体本体110の第一壁部115が、例えば、外装体本体110の本体開口部111の周縁に沿って形成された溝127の内側面127aを形成する壁部である場合でも奏される。この場合、第一壁部115から第二壁部125に向けて突設された凸部126は、第二壁部125に設けられたスリットまたは凹部である嵌合部116に嵌合することで、X軸方向において第二壁部125と当接する。この構成において、凸部126が、溝127の内側面127a若しくは127b、または、底面127cのいずれかとの間に隙間を形成した状態で溝127の内部に設けられていることで、接着剤180は、溝127の広い範囲に広がることができる。つまり、壁部が溝127に挿入された状態で、壁部と溝127とが接着剤180で接合される構造において、溝127は、蓋体120ではなく外装体本体110に設けられてもよい。この場合であっても、上述のように、凸部126と蓋体120の第二壁部125とがX軸方向で当接する構造が採用されることで、外装体本体110と蓋体120との接合部分の信頼性を向上させることができる。また、溝127の内部において、凸部126と溝127の内面との間に隙間が存在することで、固化する前の接着剤180を溝127の内部において広く行きわたらせることが可能である。
【0054】
また、本実施の形態において、凸部126は、溝127の一対の内側面のうちの、凸部の突設方向に位置する内側面との間に隙間が形成された状態で配置されている。溝127に挿入されている第一壁部115または第二壁部125は、溝127の内部において、一対の内側面のうちの、凸部126が突設された一方の内側面に近い位置に配置されている。より具体的には、本実施の形態では、凸部126は、溝127の内側面127aに突設されており、内側面127bとの間に隙間が形成された状態で配置されている。溝127に挿入されている第一壁部115は、溝127の内部において、一対の内側面127a及び127bのうちの、凸部126が突設された内側面127aに近い位置に配置されている。
【0055】
この構成によれば、溝127に挿入されている第一壁部115は、凸部126の根元側の内側面127aに近い位置に配置される。つまり、第一壁部115は、凸部126との間に隙間を形成する内側面127bから離れた位置に配置される。これにより、接着剤180は、凸部126と内側面127bとの間の隙間を介して溝127の内部を流れることができ、かつ、溝127の内部における、第一壁部115の内側面127b側に存在する比較的に大きい空間にも充填される。これにより、外装体本体110と蓋体120とをより確実かつ強固に接合することができる。
【0056】
以上、実施の形態に係る蓄電装置1について、外装体本体110と蓋体120との接合部分を中心に説明した。しかし、当該接合部分の構造は、図3図6とは異なる構造であってもよい。そこで、以下に、外装体本体110と蓋体120との接合部分についての変形例を、上記実施の形態との差分を中心に説明する。
【0057】
[3.変形例]
上記実施の形態では、外装体本体110及び蓋体120の一方に設けられた凸部126が、他方に設けられた嵌合部116に嵌合することで、外装体本体110及び蓋体120の一方を他方に仮固定するとした。しかし、外装体本体110及び蓋体120の一方を他方に仮固定するための構造において、凸部126は、嵌合部116に挟持される必要はない。つまり、例えば蓋体120の第二壁部125に設けられた凸部126は、X軸方向の両側で、第一壁部115と当接する必要はない。
【0058】
図7は、実施の形態の変形例に係る外装体本体110a及び蓋体120が組み合わされた状態を示す斜視断面図である。図7に示す外装体本体110aは、第一壁部115を有し、第一壁部115は、X軸方向に向く当接端面117を有している。本変形例では、蓋体120が有する凸部126は、X軸マイナス方向側に位置する当接端面117と当接する。しかし、本変形例に係る凸部126は、X軸プラス方向側では第一壁部115とは当接しない。つまり、第一壁部115は、凸部126のX軸方向の両面の内の一方の面にのみ当接するよう形成されている。このような構造は、例えば、実施の形態に係る嵌合部116であるスリットのX軸方向の幅を広げることで得ることができる。この場合であっても、凸部126と第一壁部115との間で、外装体本体110a及び蓋体120の一方に対する他方の仮固定が可能な程度の摩擦力を生じさせることは可能であり、これにより、外装体本体110と蓋体120との接合強度等を向上させることができる。
【0059】
(他の実施の形態)
以上、本発明の実施の形態及びその変形例に係る蓄電装置1について説明したが、本発明は、この実施の形態及び変形例に限定されるものではない。つまり、今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではなく、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれる。
【0060】
例えば、外装体本体110及び蓋体120の一方が、他方との接合部分に溝127を持つことは必須ではない。例えば、実施の形態において、蓋体120は、一対の第二壁部125及び128(図4参照)の内の、凸部126が設けられていない第二壁部128を有しなくてもよい。この場合であっても、蓋体120の第二壁部125において、第一壁部115に向けて突設された凸部126は、X軸方向で第一壁部115に当接することができ、これにより、接着剤180が固化するまでの間における接合面の乖離が抑制される。
【0061】
また、図6及び図7に示される接合構造で接合される第一部材及び第二部材は、外装体本体110と蓋体120との組み合わせには限定されない。例えば、外装体本体110が、蓄電素子ユニット24が収容される空間と、他の空間とを隔てる部材(例えば「中蓋」という。)を備える場合、第一部材である外装体本体110と、第二部材である中蓋との接合に例えば、図6または図7に示される接合構造が採用されてもよい。
【0062】
また、互いに嵌め合わされる凸部126と嵌合部116との組の数及び配置レイアウトについて特に限定はない。例えば、図3では、外装体本体110の長側面の上端にのみ複数の嵌合部116が配置されているが、外装体本体110の長側面に換えてまたは加えて、外装体本体110の短側面の上端に1以上の嵌合部116が配置されてもよい。この場合、Z軸方向における複数の嵌合部116のそれぞれに対向する位置に、蓋体120の凸部126が設けられていればよい。
【0063】
また、外装体10の形状は略直方体状(箱状)である必要はない。例えば、一端が閉じられた円筒状の外装体本体と、円形の開口部を塞ぐ、平面視で円形状の蓋体で構成された外装体との接合に、例えば図6または図7に示される接合構造が採用されてもよい。
【0064】
また、上記説明された複数の構成要素を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、リチウムイオン二次電池などの蓄電素子を備えた蓄電装置に適用できる。
【符号の説明】
【0066】
1 蓄電装置
10 外装体
20 蓄電素子
110、110a 外装体本体
111 本体開口部
115 第一壁部
116 嵌合部
117 当接端面
120 蓋体
125 第二壁部
126 凸部
127 溝
127a、127b 内側面
127c 底面
128 第二壁部
180 接着剤
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7