(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022119507
(43)【公開日】2022-08-17
(54)【発明の名称】車いす用のハンドリムおよび車いす用ハンドリムの製造方法
(51)【国際特許分類】
A61G 5/02 20060101AFI20220809BHJP
【FI】
A61G5/02 701
A61G5/02 703
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021016688
(22)【出願日】2021-02-04
(71)【出願人】
【識別番号】502327953
【氏名又は名称】三貴ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135460
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 康利
(74)【代理人】
【識別番号】100084043
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 喜多男
(74)【代理人】
【識別番号】100142240
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 優
(72)【発明者】
【氏名】村田 安孝
(72)【発明者】
【氏名】矢野 迅人
(72)【発明者】
【氏名】立道 智志
(57)【要約】
【課題】車いすのホイールとの接合強度を向上でき、該車いすを長期に亘って安定して使用し得る車いす用のハンドルリムと、その製造方法とを提案する。
【解決手段】繊維強化プラスチック製のリム本体2と該リム本体2の周方向に間隔をおいて複数配設された取付部材11とを備え、取付部材11は、リム本体2を構成する繊維強化プラスチックの強化繊維の層間に埋設された埋設部13と、該リム本体2から突設された突設部12とを備えたものである。かかる構成のハンドリム1は、リム本体2と取付部材11との接合強度が向上する。また、こうしたハンドリム1の製造方法としては、強化繊維を積層する形成工程と、マトリクス樹脂を硬化する硬化工程とを備え、該形成工程で、該強化繊維の層間に前記取付部材11の埋設部13を配置させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
強化繊維とマトリクス樹脂とからなる繊維強化プラスチックにより中空状に成形されたリム本体と、
前記リム本体に、周方向に所定間隔をおいて複数設けられた取付部材と
を備え、前記取付部材を介して車いすのホイールに取り付けられる車いす用のハンドリムであって、
前記リム本体は、前記繊維強化プラスチックを構成する強化繊維が厚み方向に積層されれてなるものであり、
前記取付部材は、
前記リム本体を構成する強化繊維の層間に埋設された埋設部と、
前記リム本体から突設され、前記車いすのホイールに所定の固結手段を介して固結される突設部と
を備えてなるものであることを特徴とする車いす用のハンドリム。
【請求項2】
請求項1に記載の車いす用のハンドリムを製造する製造方法であって、
前記強化繊維を厚み方向に積層することにより、前記リム本体の原形体を形成する形成工程と、
前記ハンドリムの原形体を構成する前記強化繊維と複合化されたマトリクス樹脂を硬化する硬化工程と
を備え、
前記形成工程では、厚み方向に積層する強化繊維の層間に、周方向に所定間隔をおいて前記取付部材の埋設部を配置させる部材配置工程が実行されることを特徴とする車いす用ハンドリムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車いすに配設されるハンドリム、および該ハンドリムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車いすには、駆動輪に、使用者により操作されて該駆動輪を回転させるハンドリムが取り付けられている。こうしたハンドリムとして、例えば特許文献1では、繊維強化プラスチック製のハンドリムが提案されている。かかる従来構成のハンドリムは、比強度と比弾性率に優れた強化繊維からなる繊維強化プラスチックにより成形されたものであることから、軽量化と力学的特性(強度や剛性)とを両立できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前述した従来構成のハンドリムは、該ハンドリムに取り付けられたインサートナットに、ホイール(駆動輪)から突成された軸部材が螺着されることによって、該ホイールに取り付けられる。ここで、インサートナットは、ハンドリムを成形した後に、該ハンドリムに形成されたナット取付孔に挿入されて固着されるものであり、通常、接着剤によりハンドリムに固着される。
こうした従来構成は、使用者によりハンドリムが操作される際に、該ハンドリムとホイールとを連結する前記軸部材やインサートナットに負荷が掛かり易く、比較的長期に亘る使用や強い負荷の瞬間的な作用等によって、インサートナットがハンドリムから外れてしまう恐れがあった。そのため、ハンドリムとホイールとの接合強度を向上し得る構成が求められていた。
【0005】
本発明は、車いすのホイールとの接合強度を向上でき、該車いすを長期に亘って安定して使用し得る車いす用のハンドリムと、該ハンドリムの製造方法とを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一発明は、強化繊維とマトリクス樹脂とからなる繊維強化プラスチックにより中空状に成形されたリム本体と、前記リム本体に、周方向に所定間隔をおいて複数設けられた取付部材とを備え、前記取付部材を介して車いすのホイールに取り付けられる車いす用のハンドリムであって、前記リム本体は、前記繊維強化プラスチックを構成する強化繊維が厚み方向に積層されてなるものであり、前記取付部材は、前記リム本体を構成する強化繊維の層間に埋設された埋設部と、前記リム本体から突設され、前記車いすのホイールに所定の固結手段を介して固結される突設部とを備えてなるものであることを特徴とする車いす用のハンドリムである。
【0007】
ここで、強化繊維は、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維などを適用できる。また、マトリクス樹脂としては、エポキシ樹脂やフェノール樹脂等などの熱硬化性樹脂が好適に用いられるが、ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂を用いることもできる。
取付部材は、例えば、アルミニウム合金、ステンレス、及びスチール等の金属製、プラスチック製、又は繊維強化プラスチック製のものを適用することができる。また、固結手段としては、ボルトや螺子が好適に用いられるが、取付部材が前記金属製であれば、溶接を用いることも可能である。
【0008】
かかる構成にあっては、ホイールに固結される取付部材の埋設部が、リム本体を構成する強化繊維の層間に埋設されて該リム本体と一体化されていることから、該リム本体と取付部材との接合強度が極めて高い。そのため、本発明のハンドリムは、車いすのホイールに取付られた状態で、該車いすの使用中に掛かる負荷に対する耐性が向上し、比較的長期に亘る使用や強い負荷の作用などによる破損を抑制できる。したがって、本発明の構成によれば、車いすを比較的長期に亘って安定して使用することができる。
【0009】
また、本発明の第二発明は、前述した第一発明の車いす用のハンドリムを製造する製造方法であって、前記強化繊維を厚み方向に積層することにより、前記リム本体の原形体を形成する形成工程と、前記ハンドリムの原形体を構成する前記強化繊維と複合化されたマトリクス樹脂を硬化する硬化工程とを備え、前記形成工程では、厚み方向に積層する強化繊維の層間に、周方向に所定間隔をおいて前記取付部材の埋設部を配置させる部材配置工程が実行されることを特徴とする車いす用ハンドリムの製造方法である。
【0010】
ここで、形成工程としては、強化繊維にマトリクス樹脂を含浸させたプリプレグを積層する方法、強化繊維の基材(織物など)を積層する方法、強化繊維の束を引き揃えて巻き付けて積層する方法などのいずれを適用することも可能である。また、硬化工程としては、オートクレーブを用いる方法、金型を用いる方法、真空引きを利用する方法などのいずれを適用することも可能である。
【0011】
かかる製造方法にあっては、強化繊維を積層する形成工程で、該強化繊維の層間に取付部材の埋設部を配置させて、リム本体の原形体を形成した後に、硬化工程でマトリクス樹脂を硬化させて成形することから、取付部材をリム本体と一体成形することができる。したがって、本製造方法によれば、リム本体と取付部材との接合強度が極めて高い前記第一発明のハンドリムを容易に製造することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の車いす用のハンドリムは、前述したように、リム本体と取付部材との接合強度が極めて高くなることから、比較的長期に亘る使用や強い負荷の瞬間的な作用などによって該リム本体と取付部材との接合が破損することを抑制できる。したがって、本発明の車いす用のハンドリムを取り付けた車いすによれば、比較的長期に亘って安定して使用できる。
【0013】
本発明の車いす用ハンドリムの製造方法は、前述した車いす用のハンドリムを容易かつ安定して製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施例のハンドリム1と車いすのホイール51との取付状態を示す斜視図である。
【
図2】ハンドリム1とホイール51との取付状態を示す縦断面図である。
【
図3】ハンドリム1とホイール51とを分離した斜視図である。
【
図5】取付部材11の、(A)正面図と、(B)側面図と、(C)斜視図である。
【
図6】ハンドリム1の製造工程を示す説明図である。
【
図7】別例の取付部材41の、(A)正面図と、(B)側面図と、(C)斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明にかかる実施例を添付図面を用いて説明する。
図示しない車いすには、駆動輪に、該車いすの自走時に使用者が回動操作できるハンドリム1が取り付けられている。ハンドリム1は、
図1~3に示すように、駆動輪を構成するホイール51に取り付けられ、回動操作されることによって、該駆動輪を回動できるものである。尚、ホイール51に取り付けられるタイヤと、該ホイール51を構成するスポークとは、従来と同様のものを適用できることから、その図示と説明とを省略する。
【0016】
ホイール51は、タイヤのサイドウォールを支持する左右一対のフランジ部52と、該フランジ部52,52間に連成されたリム凹部53とを備え、該リム凹部53の内周面に、前記ハンドリム1を取り付けるためのリム側取付片55が、周方向に所定間隔をおいて複数配設されている。リム側取付片55は、リム凹部53の内周面に当接されるリム当接部と、該リム当接部から外方へ延出された突出部とから構成される略板状を成し、該リム当接部に、図示しない取付孔が貫通形成されると共に、突出部に取付孔56が貫通形成されている。こうしたリム側取付片55は、前記リム当接部の取付孔と、前記リム凹部53を貫通する貫通孔(図示せず)とに挿通された取付ボルト58によって、該リム凹部53に固結されている。
【0017】
一方、ハンドリム1は、円環状のリム本体2と、周方向に所定間隔をおいて該リム本体2に固着された複数の取付部材11とを備えたものである。ここで、取付部材11は、前記ホイール51に配設されたリム側取付片55に取り付けられるものであり、該リム側取付片55に対応する周方向位置に同数設けられる。
【0018】
ハンドリム1のリム本体2は、炭素繊維とマトリクス樹脂とを複合化してなる炭素繊維強化プラスチック(以下、CFRPという)により中空状に形成されたものである。本実施例のリム本体2にあっては、後述するように、炭素繊維の織物にマトリクス樹脂を含浸させた織物プリプレグが所定数積層されてなるものであり、薄肉かつ中空状に形成されている。そして、本実施例では、マトリクス樹脂として、エポキシ樹脂(熱硬化性樹脂)を用いている。尚ここで、炭素繊維が、本発明にかかる強化繊維に相当する。
【0019】
リム本体2は、
図2,4に示すように、径方向外側の外環部3と、該外環部3から径方向内側へ連成された内環部4とから構成され、外環部3は、径方向と直交する軸方向の幅が内環部4に比して広く形成されている。そして、外環部3の軸方向外表面と内環部4の軸方向外表面とが整一に連成されている一方、外環部3の軸方向内表面と内環部4の軸方向内表面とが傾斜周面部5を介して連成されている。こうした外環部3と内環部4とにより構成された形態のリム本体2によれば、使用者が該リム本体2を掴んで操作し易くなっている。
【0020】
取付部材11は、
図5に示すように、平板状の矩形片が折り曲げられてなるものであり、前記リム側取付片55に固定される突設部12と、該突設部12の一側縁から折り曲げられた埋設部13とから構成されている。そして、突設部12には、長孔状の挿通孔14が貫通形成されていると共に、埋設部13には、板厚方向に貫通する円形孔状の樹脂嵌入部15が形成されている。
【0021】
こうした取付部材11は、その埋設部13が、
図2に示すように、リム本体2の傾斜周面部5に埋め込まれて、該リム本体2と一体化されている。すなわち、リム本体2は、前述したように織物プリプレグが積層されてなるものであり、その成形時に、該織物プリプレグの層間に前記取付部材11の埋設部13が埋め込まれて、該プリプレグのマトリクス樹脂が硬化されることによって、該取付部材11が一体成形される。そして、取付部材11は、埋設部13がリム本体2に埋設された状態で、突設部12が該リム本体2から軸方向に沿って突設される。ここで、取付部材11は、その埋設部13の樹脂嵌入部15内に前記マトリクス樹脂が入り込んで硬化した状態となることから、アンカー効果が生じて、リム本体2に強固に一体化される。
【0022】
本実施例のハンドリム1は、
図3に示すように、各取付部材11が、前記ホイール51の各リム側取付片55に固結されることによって、該ホイール51に取り付けられる。詳述すると、リム本体2に配設された各取付部材11の突設部12と、前記ホイール51の各リム側取付片55とをそれぞれ対置させて、該突設部12の挿通孔14と該リム側取付片55の取付孔56とを重ね合わせる。この状態で、前記挿通孔14と取付孔56とに取付ボルト21を挿通させて、取付ボルト21と取付ナット22とを螺合させ、該取付ボルト21と取付ナット22との締結作用によって取付部材11とリム側取付片55とを固結させる。このようにハンドリム1の各取付部材11をホイール51の各リム側取付片55に固結させることで、該ハンドリム1が該ホイール51に取り付けられる。
尚、本実施例にあって、取付ボルト21と取付ナット22とが、本発明にかかる固結手段に相当する。
【0023】
次に、前述した本実施例のハンドリム1の製造方法について説明する。
本実施例では、ハンドリム1の製造方法として、CFRP製品の製造方法として知られている内圧成形法を用いる。
【0024】
ハンドリム1を製造する製造工程では、
図6に示すように、熱可塑性樹脂製のチューブ等の内圧付与体に、前記織物プリプレグを積層して、原形体(プリフォーム)を形成する形成工程と、前記原形体を金型のキャビティ内にセットするセット工程と、原形体の前記内圧付与体に高圧の気体を注入すると共に該金型を加熱する硬化工程と、該金型から取り出した成形品の表面形状を整える仕上げ工程とを順次行う。これら各工程を以下で説明する。
【0025】
形成工程では、前記した内圧付与体の外表面に、予め所定形状に裁断した織物プリプレグを重ねて貼り付けていくことによって、前記原形体を形成する。そして、本実施例の形成工程では、所定数の織物プリプレグを貼り付けた状態で、前記取付部材11を配置する。この際、取付部材11は、その埋設部13を、内圧付与体に貼り付けられた織物プリプレグの表面に載せて、配置する。その後、さらに所定数の織物プリプレグを重ねて貼り付け、取付部材11の埋設部13を該プリプレグで覆う。ここで、取付部材11を配置する位置は、該取付部材11の埋設部13がハンドリム1の前記傾斜周面部5に埋設される径方向位置と、周方向に所定間隔をおいた周方向位置とにより定められる。この形成工程で形成された原形体には、その表面から各取付部材11の突成部12が突出している。尚、このように織物プリプレグを積層する途中で、取付部材11の埋設部13を配置する工程が、本発明にかかる部材配置工程に相当する。
【0026】
セット工程では、金型のキャビティ内に、前記形成工程で形成した原形体をセットする。ここで、金型は、ハンドリム1の外観形態に形成されたキャビティを備えたものであり、さらに、このキャビティには、原形体から突出する各取付部材11の突成部12を嵌入可能な嵌入穴が形成されている。セット工程では、原形体の各取付部材11の突成部12を、前記キャビティの嵌入穴にそれぞれ嵌入させるようにして、該原形体を該キャビティ内にセットする。
【0027】
硬化工程では、前述したように、キャビティ内にセットした原形体の内圧付与体に、所定圧力で気体を注入する。そして、金型を加熱して所定温度で保持する。この硬化工程で、各取付部材11の樹脂嵌入部15内に、該原形体を構成するプリプレグのマトリクス樹脂が入り込で硬化する。尚ここで、内圧付与体に注入する気体の圧力、金型の加熱温度、加熱時間などの硬化条件は、織物プリプレグの仕様(炭素繊維やマトリクス樹脂の目付)や織物プリプレグの積層数(ハンドリム1の厚み)などに応じて適宜設定される。
【0028】
仕上げ工程では、金型から取り出した成形品に存在するバリを削除する等して、表面形態を整える。こうして本実施例のハンドリム1が成形される。
【0029】
本実施例のハンドリム1は、前述したように、ホイール51に取り付けるための取付部材11の埋設部13が、リム本体2に埋設されて該リム本体2と一体成形されてなるものであるから、取付部材11とリム本体2との接合強度が極めて高い。特に、リム本体2を構成するマトリクス樹脂が取付部材11の樹脂嵌入部15内に入り込んで硬化することから、そのアンカー効果によって該取付部材11がリム本体2に一層強固に接合できる。こうしたことから、車いすの使用中に掛かる負荷に対して高い耐性を発揮でき、比較的長期に亘る使用や強い負荷の作用などによって取付部材11とリム本体2との接合部が破損してしまうことを、抑制できる。すなわち、本実施例のハンドリム1は、比強度と比弾性率とに優れたCFRP製であることにより、所望の強度と剛性とを有しつつ軽量化できることに加えて、前記した破損の発生を抑制できるものである。
【0030】
また、本実施例の製造方法は、前述したように、内圧成形法により前記ハンドリム1を製造する方法であって、内圧付与体に織物プリプレグを積層して原形体(プリフォーム)を形成する形成工程で、重ね合わせる織物プリプレグの間に取付部材11を配置して埋め込み、その後に、セット工程、硬化工程、および仕上げ工程を順次実行することによって、前記した本実施例のハンドリム1を成形する。こうして製造されたハンドリム1は、取付部材11の埋設部13がリム本体2に埋設されて、該取付部材11とリム本体2とが極めて強固に接合されたものである。したがって、本実施例の製造方法によれば、取付部材11とリム本体2との接合部の破損を防止できるという前述した作用効果を奏する、本実施例のハンドリム1を安定して製造できる。
【0031】
本発明は、前述した実施例に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜変更することが可能である。
例えば、実施例のリム本体2は、外環部3と内環部4とからなる構成であるが、これに限らず、リム本体2の形態は適宜変更することができる。例えば、断面円筒形の円環形状であっても良いし、拡径部と縮径部とが繰り返し連成された略数珠状であっても良い。
また、実施例では、ハンドリム1の取付部材11を、ホイール51のリム側取付片55に固結する構成であるが、これに限らず、ハンドリム1の取付部材11を、ホイール51のリム凹部53にボルト等によって直接固結する構成であっても良い。
また、ハンドリム1に設けられた取付部材11の配設個数は、適宜変更可能である。
また、実施例では、ハンドリム1が織物プリプレグを積層してなるものであるが、これに限らず、例えば、炭素繊維を一方向に引き揃えた一方向プリプレグを積層してなるものであっても良い。こうした一方向プリプレグを用いた場合にあっても、実施例と同様に内圧成形法により成形できる。
また、実施例では、ハンドリム1の製造にプリプレグを用いたが、これに限らず、例えば、炭素繊維の織物シート(マトリクス樹脂を未含浸のもの)や一方向シート(同じくマトリクス樹脂を未含浸のもの)を積層し、金型内へマトリクス樹脂を注入して硬化させるRTM成形法を用いることもできる。又は、炭素繊維の束を巻き付けていくフィラメントワインディング法を用いることも可能である。これらいずれの製造方法にあっても、炭素繊維の積層途中で、所定位置に取付部材11を配置することによって、本実施例と同様のハンドリム1を製造できる。
また、本実施例では、ハンドリムを構成する強化繊維に炭素繊維を用いた構成であるが、これに限らず、ガラス繊維やアラミド繊維を用いることも可能である。さらに、実施例では、マトリクス樹脂にエポキシ樹脂を用いた構成であるが、これに限らず、フェノール樹脂(熱硬化性樹脂)やポリアミド樹脂(熱可塑性樹脂)を用いることも可能である。
【0032】
また、取付部材11は、埋設部13と突設部12とを備えたものであれば、その形状は適宜変更することが可能である。さらに、埋設部13の樹脂嵌入部15にあっても、その形態を適宜変更することができる。例えば、実施例では、埋設部13の板厚方向に貫通する円形状の孔としたが、これに限らず、他の形状(例えば、四角形など)の孔とすることもできる。さらには、樹脂嵌入部が、埋設部13の側縁に切欠き形成された形態であっても良いし、埋設部13の少なくとも表裏一方に、板厚方向に凹む形態であっても良い。さらには、埋設部13に樹脂嵌入部が形成されていないものとすることも可能である。
ここで、具体的な別例の取付部材41を
図7に示す。この取付部材41は、埋設部13の両側部に、半円弧状に切り欠かれた樹脂嵌入部45,45がそれぞれ形成されたものである。かかる構成にあっても、埋設部13の樹脂嵌入部45,45の内側に、プリプレグのマトリクス樹脂が入り込んで硬化することから、前述の実施例と同様にアンカー効果が生じて、リム本体2に強固に一体化される。尚、別例の取付部材41は、前述した実施例の取付部材11に貫通形成された円形孔状の樹脂嵌入部15に代えて、切欠き状の樹脂嵌入部45,45が形成された構成であり、これ以外は実施例と同じであるから、同じ構成要素には同じ符号を記し、その説明を省略した。
【符号の説明】
【0033】
1 ハンドリム
2 リム本体
3 外環部
4 内環部
5 傾斜周面部
11 取付部材
12 突設部
13 埋設部
14 挿通孔
15 樹脂嵌入部
21 取付ボルト(固結手段)
22 取付ナット(固結手段)
41 取付部材
45 樹脂嵌入部
51 ホイール
52 フランジ部
53 リム凹部
55 リム側取付片
56 取付孔
58 取付ボルト