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特開2022-119513クローラ走行装置およびクローラガイド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022119513
(43)【公開日】2022-08-17
(54)【発明の名称】クローラ走行装置およびクローラガイド
(51)【国際特許分類】
   B62D 55/26 20060101AFI20220809BHJP
   B62D 55/32 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
B62D55/26 A
B62D55/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021016696
(22)【出願日】2021-02-04
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】特許業務法人あーく特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】棚橋 佑斗
(57)【要約】
【課題】クローラガイドの着脱作業を容易にすることのできるクローラ走行装置およびクローラガイドを提供する。
【解決手段】クローラ走行装置10は、トラックフレーム12と、クローラ21と、クローラ21をガイドする揺動クローラガイド18aと、クローラ21の内周面との接触により回転する転輪15aおよび15bと、トラックフレーム12に対し揺動軸を中心として揺動自在に取り付けられたイコライザであって、転輪15aおよび15bを支持するイコライザ17aと、イコライザ17aに対して揺動クローラガイド18aを着脱可能に連結する連結具とを備える。連結具は、揺動クローラガイド18aとイコライザ17aとを上下方向で連結する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラックフレームと、
クローラと、
前記クローラをガイドするクローラガイドと、
前記クローラの内周面との接触により回転する第1の転輪と、
前記トラックフレームに対し揺動軸を中心として揺動自在に取り付けられたイコライザであって、前記第1の転輪を支持するイコライザと、
前記イコライザに対して前記クローラガイドを着脱可能に連結する連結具とを備え、
前記連結具は、前記クローラガイドと前記イコライザとを上下方向で連結する、クローラ走行装置。
【請求項2】
前記クローラガイドおよび前記イコライザの各々は、前記連結具が挿入される挿入孔を含み、
前記連結具は、前記クローラガイドおよび前記イコライザの各々の前記挿入孔に対して上方から挿入されることにより前記クローラガイドと前記イコライザとを連結する、請求項1に記載のクローラ走行装置。
【請求項3】
前記イコライザは、前記クローラガイドと係合するための係合部を含む、請求項1または2に記載のクローラ走行装置。
【請求項4】
前記クローラガイドは、
前記クローラをガイドする本体部と、
前記本体部から上方に突出し、前記イコライザと接触する2つの突出部の各々とを含む、請求項1~3のいずれか一つに記載のクローラ走行装置。
【請求項5】
前記第1の転輪は、
内側転輪と、
前記内側転輪の外側に設けられた外側転輪と、
前記内側転輪と前記外側転輪とを互いに接続する回転軸とを含み、
前記イコライザは、
前記揺動軸よりも前側の位置および後側の位置の各々において、前記第1の転輪の前記回転軸を保持する支持部の各々と、
前記支持部の各々の外周面から突出し、前記イコライザが揺動した場合に、前記クローラガイドと隣接する別のクローラガイドと接触する爪とを含む、請求項1~4のいずれか一つに記載のクローラ走行装置。
【請求項6】
前記トラックフレームに対して揺動しない状態で取り付けられた第2の転輪をさらに備え、
前記第1の転輪の直径は前記第2の転輪の直径よりも小さい、請求項1~5のいずれか一つに記載のクローラ走行装置。
【請求項7】
クローラをガイドするクローラガイドであって、
トラックフレームに対し揺動軸を中心として揺動自在に取り付けられたイコライザであって、前記クローラの内周面との接触により回転する第1の転輪を支持するイコライザと、連結具によって上下方向で連結される、クローラガイド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クローラ走行装置およびクローラガイドに関する。より特定的には、本発明は、クローラガイドの着脱作業を容易にすることのできるクローラ走行装置およびクローラガイドに関する。
【背景技術】
【0002】
クローラガイドは、クローラ走行装置において、前後方向に延在するトラックフレームの下部においてクローラをガイドするものとして知られている。イコライザは、クローラの内周面に接触して回転する接地転輪を揺動可能に支持するものとして知られている。クローラガイドの多くは、イコライザと一体化している。しかし、クローラガイドは、回転するクローラと摺動するため、イコライザと比較して摩耗が激しい。
【0003】
そこで、クローラガイドが摩耗した場合に、イコライザを交換せずにクローラガイドのみを新しいものと交換可能とすることが求められている。たとえば下記特許文献1などには、イコライザとクローラガイドとが別体で構成された技術が開示されている。
【0004】
下記特許文献1において、支持体は、連結ボス部と、前後一対の支持ボス部と、支持体本体とを備えている。連結ボス部は、揺動軸芯となる軸芯を含んでいる。前後一対の支持ボス部は、揺動軸芯に対して走行装置前後側に分れて位置し、接地転輪を保持する。支持体本体は、連結ボス部と前後一対の支持ボス部とを連結する。支持体本体は、横板部と、縦板部とを含んでいる。横板部は、連結ボス部の前後側に連結ボス部の外周面と支持ボス部の各々の外周面とにわたって連結された状態で位置している。縦板部は、前側の横板部の下方と後側の横板部の下方とにわたり、連結ボス部および前後の支持ボス部の外周面に連結された状態で位置している。クローラガイドは、クローラガイド本体と、連結部とを含んでいる。クローラガイド本体は、前後方向に延在し、クローラにおける左右一対の芯金突起の間に入り込むように構成されている。連結部は、クローラガイド本体から上方に突出している。クローラガイドは、連結ボルトを用いて側面方向(水平方向)から支持体に対して着脱可能に連結される。具体的には、支持体の縦板部の側面とクローラガイドの連結部の側面とが互いに接触した状態で、縦板部および連結部の各々に設けられた水平方向に延在する孔に対して連結ボルトを挿入することで、クローラガイドは支持体に対して連結される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-97731号公報(特許第5951452号)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の技術では、イコライザ(支持体)に対してクローラガイドを着脱する際に、連結ボルトの着脱のために連結ボルトを回転させる必要があった。しかしながら、連結ボルトの延在方向とイコライザの揺動軸とはいずれも水平方向であるため、連結ボルトの回転とともに、クローラガイドを支持するイコライザが揺動しやすく、クローラガイドの着脱作業が難しいという問題があった。
【0007】
加えて、特許文献1の技術では、連結ボルトの延在方向とイコライザの揺動軸とはいずれも水平方向であり、連結ボルトは接地転輪の付近に設けられている。このため、接地転輪の径が大きい場合には連結ボルトが接地転輪と重なってしまい、クローラガイドの着脱作業が難しいという問題があった。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためのものであり、その目的は、クローラガイドの着脱作業を容易にすることのできるクローラ走行装置およびクローラガイドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一の局面に従うクローラ走行装置は、トラックフレームと、クローラと、クローラをガイドするクローラガイドと、クローラの内周面との接触により回転する第1の転輪と、トラックフレームに対し揺動軸を中心として揺動自在に取り付けられたイコライザであって、第1の転輪を支持するイコライザと、イコライザに対してクローラガイドを着脱可能に連結する連結具とを備え、連結具は、クローラガイドとイコライザとを上下方向で連結する。
【0010】
上記クローラ走行装置において好ましくは、クローラガイドおよびイコライザの各々は、連結具が挿入される挿入孔を含み、連結具は、クローラガイドおよびイコライザの各々の挿入孔に対して上方から挿入されることによりクローラガイドとイコライザとを連結する。
【0011】
上記クローラ走行装置において好ましくは、イコライザは、クローラガイドと係合するための係合部を含む。
【0012】
上記クローラ走行装置において好ましくは、クローラガイドは、クローラをガイドする本体部と、本体部から上方に突出し、イコライザと接触する2つの突出部の各々とを含む。
【0013】
上記クローラ走行装置において好ましくは、第1の転輪は、内側転輪と、内側転輪の外側に設けられた外側転輪と、内側転輪と外側転輪とを互いに接続する回転軸とを含み、イコライザは、揺動軸よりも前側の位置および後側の位置の各々において、第1の転輪の回転軸を保持する支持部の各々と、支持部の各々の外周面から突出し、イコライザが揺動した場合に、クローラガイドと隣接する別のクローラガイドと接触する爪とを含む。
【0014】
上記クローラ走行装置において好ましくは、トラックフレームに対して揺動しない状態で取り付けられた第2の転輪をさらに備え、第1の転輪の直径は第2の転輪の直径よりも小さい。
【0015】
本発明の他の局面に従うクローラガイドは、クローラをガイドするクローラガイドであって、トラックフレームに対し揺動軸を中心として揺動自在に取り付けられたイコライザであって、クローラの内周面との接触により回転する第1の転輪を支持するイコライザと、連結具によって上下方向で連結される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、クローラガイドの着脱作業を容易にすることのできるクローラ走行装置およびクローラガイドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施の形態におけるコンバイン1の構成を示す側面図である。
図2】本発明の一実施の形態におけるクローラ走行装置10の構成を示す側面図である。
図3】本発明の一実施の形態におけるイコライザ17aおよび揺動クローラガイド18aの構成を示す斜視図である。
図4】本発明の一実施の形態におけるイコライザ17aおよび揺動クローラガイド18aの構成を示す側面図である。
図5】本発明の一実施の形態におけるイコライザ17aおよび揺動クローラガイド18aの構成を示す上面図である。
図6】本発明の一実施の形態において、イコライザ17aが揺動軸23に固定され、転輪15aおよび15bがイコライザ17aに取り付けられた状態を示す側面図である。
図7】本発明の一実施の形態において、イコライザ17aが揺動軸23に固定され、転輪15aおよび15bがイコライザ17aに取り付けられた状態を示す上面図である。
図8】本発明の一実施の形態における揺動クローラガイド18aとクローラ21との関係を示す断面図であって、前後方向を法線とする平面で切った場合の断面図である。
図9】本発明の一実施の形態の固定クローラガイド16a、イコライザ17a、および揺動クローラガイド18aの位置関係を示す側面図である。
図10図9におけるイコライザ17aの爪57付近の構成を示す拡大図である。
図11】本発明の一実施の形態におけるイコライザ17aの構成を示す下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0019】
[コンバインおよびクローラ走行装置の構成]
【0020】
始めに、本実施の形態におけるコンバイン1およびクローラ走行装置10の構成について説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施の形態におけるコンバイン1の構成を示す側面図である。図2は、本発明の一実施の形態におけるクローラ走行装置10の構成を示す側面図である。
【0022】
なお、図面における矢印AR1は、コンバインの進行方向を示している。以降の説明では、コンバインの進行方向を前と記し、コンバインの進行方向とは反対の方向を後と記すことがある。クローラ走行装置10については、特に断りが無い限り、進行方向を向いた場合の左側の構成(図2に示されている構成)のみについて説明する。クローラ走行装置10における進行方向を向いた場合の右側の構成は、左側の構成とほぼ同様であるため、その説明は繰り返さない。
【0023】
図1を参照して、本実施の形態におけるコンバイン1は、クローラ走行装置10と、機体フレーム2と、脱穀装置3と、グレンタンク4と、運転席5と、引起こし・刈取り装置6と、分草板7と、搬送装置8と、フィードチェーン9などを備えている。
【0024】
機体フレーム2は、クローラ走行装置10上に載置されている。機体フレーム2上には、脱穀装置3およびグレンタンク4などが載置されている。グレンタンク4の前方には、運転席5が設けられている。脱穀装置3の前方には引起こし・刈取り装置6が設けられている。引起こし・刈取り装置6の前方には分草板7が設けられている。分草板7は、倒伏する穀稈を掬い上げる。引起こし・刈取り装置6は、穀稈をタインによって引き起こし、引き起こした穀稈の株元を刈刃にて刈り取る。搬送装置8は、刈り取られた穀稈を後方に送る。後方に送られた穀稈の株元は、搬送装置8からフィードチェーン9に受け継がれる。脱穀装置3は、フィードチェーン9によって挟持された穀稈を脱穀する。脱穀により得られた穀粒は、図示しない選別装置で選別されて精粒となる。グレンタンク4は精粒を貯溜する。
【0025】
図2を参照して、クローラ走行装置10は、スイングアーム11aおよび11bと、トラックフレーム12(トラックフレームの一例)と、駆動スプロケット13と、転輪14a~14e(第2の転輪の一例)と、転輪15a~15d(第1の転輪の一例)と、固定クローラガイド16a~16cと、イコライザ17aおよび17b(イコライザの一例)と、揺動クローラガイド18aおよび18b(クローラガイドの一例)と、テンションローラ19と、キャリアローラ20aおよび20bと、クローラ21(クローラの一例)と、連結具22aおよび22b(図3)(連結具の一例)などを含んでいる。
【0026】
スイングアーム11aおよび11bは、機体フレーム2に沿って前後方向に並んでいる。スイングアーム11aおよび11bの各々の上端部は、機体フレーム2に対して回動可能に支持されている。スイングアーム11aおよび11bの各々の下端部は、トラックフレーム12に対して回動可能に支持されている。これにより、トラックフレーム12は、スイングアーム11aおよび11bを介して機体フレーム2に揺動可能に固定されている。なお、機体を昇降制御または傾斜制御しない構成の場合には、トラックフレーム12は機体フレーム2に固定されていてもよい。スイングアーム11bは、図示しない昇降シリンダーを介してスイングアーム11aに対して連結されている。昇降シリンダーは、水平センサーからの入力や手動によって作動し、トラックフレーム12の昇降を制御する。
【0027】
駆動スプロケット13は、トラックフレーム12の前方上部において、図示しないミッションケースから側方へ突出した駆動軸により支持されている。駆動スプロケット13は、クローラ21に駆動軸の回転を伝達する。
【0028】
転輪14a~14eおよび転輪15a~15dの各々は、トラックフレーム12の前端から後端に向かって、転輪14a、14b、15a~15d、および14c~14eという順序で設けられている。転輪14a~14eおよび転輪15a~15dの各々は、外側転輪と内側転輪として1組で構成されている。転輪14a~14eおよび転輪15a~15dの各々を構成する内側転輪および外側転輪は、図2中紙面に垂直な方向に並んでおり、回転軸によって互いに連結されている。転輪14a~14eおよび転輪15a~15dの各々は、クローラ21の内周面との接触により回転する。転輪14a~14eの各々は、固定転輪であり、トラックフレーム12に対して揺動しない状態で回動可能に取り付けられている。転輪15a~15dの各々は、揺動転輪であり、イコライザ17aおよび17bの各々を用いて、トラックフレーム12に対して揺動可能に固定されている。転輪14a~14eの各々は同一の形状を有しており、転輪15a~15dの各々は同一の形状を有している。転輪15a~15dの各々の直径は、転輪14a~14eの各々の直径よりも小さい。
【0029】
固定クローラガイド16a~16cの各々は、トラックフレーム12の下部に設けられたクローラ21の部分をガイドし、クローラ21の脱落を防止する。固定クローラガイド16a~16cの各々は、トラックフレーム12に固定されており、クローラ21の内周面と接触している。固定クローラガイド16aは、転輪14aを構成する内側転輪と外側転輪との間、および転輪14bを構成する内側転輪と外側転輪との間を通って前後方向に延在している。固定クローラガイド16bは、転輪14cを構成する内側転輪と外側転輪との間を通って前後方向に延在している。固定クローラガイド16cは、転輪14dを構成する内側転輪と外側転輪との間、および転輪14eを構成する内側転輪と外側転輪との間の間を通って前後方向に延在している。
【0030】
イコライザ17aおよび17bは、トラックフレーム12に対し揺動軸を中心として揺動可能に取り付けられている。イコライザ17aは、転輪15aおよび15bを回動可能に支持している。イコライザ17bは、転輪15cおよび15dを回動可能に支持している。
【0031】
揺動クローラガイド18aおよび18bの各々は、トラックフレーム12の下部に設けられたクローラ21の部分をガイドし、クローラ21の脱落を防止する。揺動クローラガイド18aおよび18bの各々は、イコライザ17aおよび17bの各々の下部に固定されており、クローラ21の内周面と接触している。揺動クローラガイド18aは、転輪15aを構成する内側転輪と外側転輪との間、および転輪15bを構成する内側転輪と外側転輪との間を通って前後方向に延在している。揺動クローラガイド18bは、転輪15cを構成する内側転輪と外側転輪との間、および転輪15dを構成する内側転輪と外側転輪との間を通って前後方向に延在している。
【0032】
テンションローラ19は、トラックフレーム12の後方上部に設けられている。テンションローラ19は、クローラ21の後方上部の部分をガイドし、クローラ21の張力を調整する。
【0033】
キャリアローラ20aおよび20bの各々は、トラックフレーム12の中央部上部において、機体フレーム2に支持されている。キャリアローラ20aおよび20bの各々は、トラックフレーム12の上部に設けられたクローラ21の部分をガイドする。
【0034】
クローラ21は、トラックフレーム12の前方上部からクローラ21の回転方向(図2中反時計回りの方向)に沿って、駆動スプロケット13、転輪14a、14b、15a~15d、および14c~14e、テンションローラ19、キャリアローラ20b、ならびにキャリアローラ20aの各々にこの順序で巻き回されている。クローラ21は、駆動スプロケット13により回転駆動される。転輪14a~14eおよび転輪15a~15d、テンションローラ19、ならびにキャリアローラ20aおよび20bの各々は、回転するクローラ21の内周面との接触により回転する。クローラ21の回転により、クローラ走行装置10は走行する。
【0035】
[転輪、イコライザ、および揺動クローラガイドの構成]
【0036】
次に、本実施の形態における転輪15aおよび15b、イコライザ17a、ならびに揺動クローラガイド18aの構成について説明する。なお、転輪15cおよび15d、イコライザ17b、ならびに揺動クローラガイド18bの各々は、転輪15aおよび15b、イコライザ17a、ならびに揺動クローラガイド18aの各々と同一の構成を有している。このため、転輪15cおよび15d、イコライザ17b、ならびに揺動クローラガイド18bの各々の構成の説明は繰り返さない。
【0037】
図3図5は、本発明の一実施の形態におけるイコライザ17aおよび揺動クローラガイド18aの構成を示す図である。図3は斜視図であり、図4は側面図であり、図5は上面図である。図6および図7は、本発明の一実施の形態において、イコライザ17aが揺動軸23に固定され、転輪15aおよび15bがイコライザ17aに取り付けられた状態を示す図である。図6は側面図であり、図7は上面図である。図4には、挿入孔51aおよび51bならびに61aおよび61bの位置が一点鎖線で示されている。
【0038】
図3図7を参照して、イコライザ17aは、挿入孔51aおよび51b(イコライザの挿入孔の一例)と、連結ボス部52と、支持ボス部53および54(支持部の一例)と、腕部55および56と、爪57および58(爪の一例)などを含んでいる。
【0039】
連結ボス部52は、トラックフレーム12に設けられた揺動軸23に対して揺動可能な状態で固定されている。連結ボス部52は左右方向に貫通した孔52aを含んでいる。孔52aの内部には軸受(図示無し)が設けられている。揺動軸23は、孔52aに挿入された状態で、軸受によって支持されている。これにより、イコライザ17aは、トラックフレーム12に対して揺動軸23を中心として揺動可能となっている。連結ボス部52の上部には、揺動軸23にグリスを注入するためのグリスニップル71が設けられている。
【0040】
転輪15aは、内側転輪151aと、内側転輪151aの外側に設けられた外側転輪152aと、内側転輪151aと外側転輪152aとを互いに接続する回転軸24aとを含んでいる。支持ボス部53は、揺動軸23(連結ボス部52)よりも前方の位置において、回転軸24aを回動可能に支持している。支持ボス部53は左右方向に貫通した孔53aを含んでいる。孔53aの内部には軸受(図示無し)が設けられている。回転軸24aは、孔53aに挿入された状態で、軸受によって支持されている。これにより、イコライザ17aは、転輪15aが揺動軸23を中心として揺動可能な状態で、転輪15aを回動可能に支持している。爪57は、支持ボス部53の外周面から突出している。支持ボス部53の上部には、回転軸24aにグリスを注入するためのグリスニップル72が設けられている。
【0041】
転輪15bは、内側転輪151bと、内側転輪151bの外側に設けられた外側転輪152bと、内側転輪151bと外側転輪152bとを互いに接続する回転軸24bとを含んでいる。支持ボス部54は左右方向に貫通した孔54aを含んでいる。孔54aの内部には軸受(図示無し)が設けられている。回転軸24bは、孔54aに挿入された状態で、軸受によって支持されている。これにより、イコライザ17aは、転輪15bが揺動軸23を中心として揺動可能な状態で、転輪15bを回動可能に支持している。爪58は、支持ボス部54の外周面から突出している。支持ボス部54の上部には、回転軸24bにグリスを注入するためのグリスニップル73が設けられている。
【0042】
腕部55は、前後方向に延在している。腕部55は、連結ボス部52と支持ボス部53とを連結している。腕部55の前後方向のほぼ中央部には、挿入孔51aが形成されている。挿入孔51aは、上下方向に腕部55を貫通している。挿入孔51aの内周面には雌ネジが形成されている。腕部55は、わずかに下方に突出した突出部55aを含んでいる。突出部55aの下面は揺動クローラガイド18aと接触している。突出部55aの下面には挿入孔51aが露出している。
【0043】
腕部56は、前後方向に延在している。腕部56は、連結ボス部52と支持ボス部54とを連結している。腕部56の前後方向のほぼ中央部には、挿入孔51bが形成されている。挿入孔51bは、上下方向に腕部56を貫通している。挿入孔51bの内周面には雌ネジが形成されている。腕部56は、わずかに下方に突出した突出部56aを含んでいる。突出部56aの下面は揺動クローラガイド18aと接触している。突出部56aの下面には挿入孔51bが露出している。
【0044】
揺動クローラガイド18aは、挿入孔61aおよび61b(クローラガイドの挿入孔の一例)と、底板62(本体部の一例)と、突出部63および64(突出部の一例)とを含んでいる。揺動クローラガイド18aは、ボルト(雄ネジ)などよりなる連結具22aおよび22bによってイコライザ17aに対して上下方向で着脱可能に連結されている。
【0045】
連結具22aおよび22bの各々は、挿入孔51aおよび51bの各々に対して上方から挿入されることにより、イコライザ17aと揺動クローラガイド18aとを連結している。連結具22aおよび22bの各々の下端部は、揺動クローラガイド18aの挿入孔61aおよび61bの各々に達している。連結具22aは、挿入孔51aおよび61aに対してねじの嵌め合いにより固定されている。連結具22bは、挿入孔51bおよび61bに対してねじの嵌め合いにより固定されている。なお、揺動クローラガイド18aをイコライザ17aに連結するための連結具は、揺動クローラガイド18aの下面に設けられた挿入孔に対して下方から挿入されていてもよい。
【0046】
底板62は、クローラ21をガイドする部分であり、前後方向に延在している。突出部63および64の各々は、底板62から上方に突出しており、イコライザ17aの突出部55aおよび56aの各々と接触している。突出部63の上面には所定の深さの挿入孔61aが形成されている。挿入孔61aの内周面には雌ネジが形成されている。突出部63の上面は、イコライザ17aの突出部55aの下面と接触している。突出部64の上面には所定の深さの挿入孔61bが形成されている。挿入孔61bの内周面には雌ネジが形成されている。突出部64の上面は、イコライザ17aの突出部56の下面と接触している。
【0047】
揺動クローラガイド18aをイコライザ17aに取り付ける際には、連結具22aを回転させることにより、イコライザ17aの上方からイコライザ17aの挿入孔51aおよび揺動クローラガイド18aの挿入孔61aにこの順序で連結具22aが挿入される。同様に、連結具22bを回転させることにより、イコライザ17aの上方からイコライザ17aの挿入孔51bおよび揺動クローラガイド18aの挿入孔61bにこの順序で連結具22bが挿入される。
【0048】
図8は、本発明の一実施の形態における揺動クローラガイド18aとクローラ21との関係を示す断面図であって、前後方向を法線とする平面で切った場合の断面図である。
【0049】
図8を参照して、クローラ21は、ラグ21aと、クローラベルト21bと、芯金21cとを含んでいる。ラグ21aは、クローラベルト21bの外周側に設けられている。芯金21cは、クローラベルト21bの内部に固定されている。芯金21cは、クローラベルト21bの内径側に突出する2つの突出部21dを含んでいる。2つの突出部21dは、クローラ21の回転方向(紙面に対して垂直な方向)に沿って等間隔に設けられている。
【0050】
揺動クローラガイド18aの底板62は、2つの突出部21dの間に設けられている。底板62の下面は2つの突出部21dの間に存在する芯金21cの部分と接触している。底板62によりクローラ21の左右方向の移動が制限される。このようにして、クローラ21は揺動クローラガイド18aによってガイドされ、クローラ21の脱落が防止される。
【0051】
図9は、本発明の一実施の形態の固定クローラガイド16a、イコライザ17a、および揺動クローラガイド18aの位置関係を示す側面図である。図10は、図9におけるイコライザ17aの爪57付近の構成を示す拡大図である。なお、図9および図10では、説明の便宜のために転輪15aおよび15bの図示が省略されている。
【0052】
図9および図10を参照して、爪57は、支持ボス部53が矢印AR2で示すように上方に移動するようにイコライザ17aが大きく揺動した場合に、揺動クローラガイド18aと隣接する固定クローラガイド16aと接触する。これにより、イコライザ17aの過度な揺動が抑止される。
【0053】
図11は、本発明の一実施の形態におけるイコライザ17aの構成を示す下面図である。
【0054】
図11を参照して、イコライザ17aは、係合部59aおよび59bをさらに含んでいる。係合部59aおよび59bの各々は、突出部55aおよび56aの各々の下面に設けられている。係合部59aおよび59bの各々は、揺動クローラガイド18aの突出部63および64の各々と係合するためのものである。ここでは、係合部59aおよび59bの各々は凹部であり、揺動クローラガイド18aの突出部63および64の各々の上面に設けられた凸部と係合する。なお、係合部59aおよび59bの各々は、揺動クローラガイド18aと係合する形状を有していればよい。係合部59aおよび59bの各々が凸部であり、揺動クローラガイド18aの突出部63および64の各々の上面が凹部であってもよい。係合部59aおよび59bを設けることにより、揺動クローラガイド18aの取付時に、イコライザ17aに対する揺動クローラガイド18aの位置決めが容易になる。
【0055】
[実施の形態の効果]
【0056】
上述の実施の形態において、揺動クローラガイド18aは、イコライザ17aの上方から挿入孔51aおよび51bの各々に挿入された連結具22aおよび22bの各々によって、イコライザ17aに対して着脱可能に連結されている。連結具22aおよび22bの各々の延在方向(鉛直方向)と、イコライザ17aの揺動軸23の延在方向(水平方向)とは、互いに直交する方向である。このため、連結具22aおよび22bの各々の着脱の際にイコライザ17aは揺動しにくくなる。その結果、揺動クローラガイド18aの着脱作業を容易にすることができる。
【0057】
加えて、連結具22aおよび22bの各々の延在方向(鉛直方向)と、転輪15aの回転軸24aおよび転輪15bの回転軸24bの各々の延在方向(水平方向)とは、互いに直交する方向である。これにより、転輪15aおよび15bの径を大きくしても、連結具22aおよび22bの各々と転輪15aおよび15bの各々とが重なることはなくなる。その結果、揺動クローラガイド18aの着脱作業を容易にすることができる。
【0058】
[その他]
【0059】
クローラ走行装置における、揺動転輪、固定転輪、クローラガイド、イコライザ、および連結具などの数および位置などは上述のものに限られるものではなく、任意である。
【0060】
上述の実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0061】
1 コンバイン
2 機体フレーム
3 脱穀装置
4 グレンタンク
5 運転席
6 引起こし・刈取り装置
7 分草板
8 搬送装置
9 フィードチェーン
10 クローラ走行装置
11a,11b スイングアーム
12 トラックフレーム(トラックフレームの一例)
13 駆動スプロケット
14a~14e,15a~15d 転輪(第1および第2の転輪の一例)
16a~16c 固定クローラガイド
17a,17b イコライザ(イコライザの一例)
18a,18b 揺動クローラガイド(クローラガイドの一例)
19 テンションローラ
20a,20b キャリアローラ
21 クローラ(クローラの一例)
21a クローラのラグ
21b クローラベルト
21c クローラの芯金
21d 芯金の突出部
22a,22b 連結具(連結具の一例)
23 イコライザの揺動軸
24a,24b 転輪の回転軸
51a,51b イコライザに設けられた連結具のための挿入孔(イコライザの挿入孔の一例)
52 イコライザの連結ボス部
52a 連結ボス部に設けられた揺動軸のための孔
53,54 イコライザの支持ボス部(支持部の一例)
53a,54a 支持ボス部に設けられた転輪の回転軸のための孔
55,56 イコライザの腕部
55a,56a 腕部の突出部
57,58 イコライザの爪(爪の一例)
59a,59b イコライザ17aの係合部
61a,61b クローラガイドの挿入孔(クローラガイドの挿入孔の一例)
62 クローラガイドの底板(本体部の一例)
63,64 クローラガイドの突出部(突出部の一例)
71~73 グリスニップル
151a,151b 内側転輪
152a,152b 外側転輪
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11