(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022119527
(43)【公開日】2022-08-17
(54)【発明の名称】電線弛度制御装置および電線弛度制御方法
(51)【国際特許分類】
H02G 1/02 20060101AFI20220809BHJP
G06N 20/00 20190101ALI20220809BHJP
【FI】
H02G1/02
G06N20/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021016724
(22)【出願日】2021-02-04
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111132
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 浩
(72)【発明者】
【氏名】弘末 豊
(72)【発明者】
【氏名】鍵本 真二郎
(72)【発明者】
【氏名】片本 隆
(72)【発明者】
【氏名】月坂 太
【テーマコード(参考)】
5G352
【Fターム(参考)】
5G352AA12
(57)【要約】
【課題】電線の弛度を容易かつ高精度に設計弛度の範囲内とすることができ、導入時等の負担を軽減できる電線弛度制御装置および電線弛度制御方法を提供する。
【解決手段】送電鉄塔に支持される電線の弛度が規定範囲内となるように、保持手段に保持された電線の出入量を制御する電線弛度制御装置1であって、弛度に関連する弛度関連データと、弛度関連データに対応する出入量からなる特徴データを取得する取得部2と、特徴データから、新たな弛度関連データに対応する新たな出入量を推定するための学習モデルを構築する学習部3と、学習部3で構築された学習モデルに基づいて、新たな弛度関連データに対応する新たな出入量を推定する推定部4と、推定部4が推定した新たな出入量に基づいて、保持手段52の駆動を実行させる実行部5を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の送電鉄塔に支持される電線の弛度が規定範囲内となるように、保持手段に保持された前記電線の出入量を制御する電線弛度制御装置であって、
前記弛度に関連する弛度関連データと、前記弛度関連データに対応する前記出入量からなる特徴データを取得する取得部と、
前記特徴データから、新たな弛度関連データに対応する新たな出入量を推定するための学習モデルを構築する学習部を備え、
前記弛度関連データは、前記電線の画像データと、前記規定範囲を表す設計弛度と、前記電線の単位長さ当たりの荷重と、前記電線の最大張力と、前記電線の実長と、複数の前記送電鉄塔の径間長と、複数の前記送電鉄塔の各支持点の鉛直高さと、複数の前記送電鉄塔の各支持点の高低差と、前記電線の周囲の外気温のうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする電線弛度制御装置。
【請求項2】
前記弛度関連データは、少なくとも前記画像データを含み、
前記学習部は、
前記弛度関連データと、前記出入量を関連付けて関連付けデータを生成する関連付け部を備え、
前記関連付けデータに基づいて、前記新たな弛度関連データに対応する前記新たな出入量を推定する前記学習モデルを構築することを特徴とする請求項1に記載の電線弛度制御装置。
【請求項3】
前記学習部は、
前記出入量を選択した結果に対する報酬を決定する報酬部と、
前記報酬に基づいて、前記出入量を選択した価値を表す関数を更新する関数更新部を備え、
前記関数更新部において前記関数の更新が繰り返されることで、前記報酬部で求められた前記報酬が最大となるように、前記新たな出入量を推定する前記学習モデルを構築することを特徴とする請求項1に記載の電線弛度制御装置。
【請求項4】
前記弛度関連データは、少なくとも、前記荷重と前記最大張力の組み合わせ及び/又は前記設計弛度と、前記径間長と、前記鉛直高さ及び/又は前記高低差と、前記実長を含み、
前記報酬は、選択した前記出入量に対応する前記弛度が、前記設計弛度に近づくほど増加するように設定されることを特徴とする請求項3に記載の電線弛度制御装置。
【請求項5】
前記学習部で構築された前記学習モデルに基づいて、前記新たな弛度関連データに対応する前記新たな出入量を推定する推定部と、
前記推定部が推定した前記新たな出入量に基づいて、前記保持手段の駆動を実行させる実行部を備え、
前記実行部は、
前記推定部が推定した前記新たな出入量を反映する駆動信号を発生させる信号発生部と、
前記保持手段を駆動する駆動部と、
前記駆動信号を前記駆動部に送信する送信部を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の電線弛度制御装置。
【請求項6】
複数の送電鉄塔に支持される電線の弛度が規定範囲内となるように、保持手段に保持された前記電線の出入量を制御する電線弛度制御方法であって、
前記弛度に関連する弛度関連データと、前記弛度関連データに対応する前記出入量からなる特徴データを取得する取得工程と、
前記特徴データから、新たな弛度関連データに対応する新たな出入量を推定するための学習モデルを構築する学習工程を備え、
前記弛度関連データは、前記電線の画像データと、前記規定範囲を表す設計弛度と、前記電線の単位長さ当たりの荷重と、前記電線の最大張力と、前記電線の実長と、複数の前記送電鉄塔の径間長と、複数の前記送電鉄塔の各支持点の鉛直高さと、複数の前記送電鉄塔の各支持点の高低差と、前記電線の周囲の外気温のうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする電線弛度制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の送電鉄塔に支持される電線の弛度を制御する電線弛度制御装置および電線弛度制御方法に係り、特に、保持手段に保持された電線の出入量を自動的に制御することで、弛度を容易かつ高精度に設計弛度の範囲内とすることができる電線弛度制御装置および電線弛度制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、送電鉄塔に電線を延線する際には、電線の高さや、電線を支持する支持物の強度等を考慮して、複数の送電鉄塔の間で電線に弛みが設けられる。
そのための作業手順として、例えば、作業員が一方の送電鉄塔に昇塔し、その電線支持点から既定の弛度と等しい長さだけ降下させた位置にポケットコンパスを設置する。同様に、他方の送電鉄塔の電線支持点から既定の弛度と等しい長さだけ降下させた位置にバーテックスを取り付ける。そして、作業員がポケットコンパスの望遠鏡を覗きながら電線の最下位置を測定し、この最下位置がバーテックスと一致するように、電線の先頭端が巻回された延線機の巻取り量や、電線の基端が巻回された電線ドラムの巻取り量を調整する、といった手順が採られていた。
しかしながら、上記の手順では、作業完了までに時間を要する。また、電線を張り上げている間中、作業員が同一姿勢で電線の最下位置を測定し続けることが求められるため、その負担が大きく、特に酷暑期や厳冬期では負担が一層大きいものとなっていた。さらに、バーテックスが障害物によって視認困難な場合があり、このときには延線した電線の弛度に誤差が含まれるおそれがある。
このような課題を解決するため、弛度を容易かつ高精度に規定の範囲内に調整するための技術が開発されており、それに関して既にいくつかの発明が開示されている。
【0003】
特許文献1には、「送電線の弛度測定方法および緊線方法ならびに工具」という名称で、高精度に送電線の弛度を測定し、所要弛度を有するように電線を緊線可能な発明が開示されている。
特許文献1に開示された発明は、弛度を測定しようとする電線に受信アンテナを設置し、人工衛星より発信される信号を受信アンテナで受信し、各アンテナの設置位置における受信波の位相差を演算処理することにより各アンテナの3次元の測位を求め、それによってアンテナの取り付けられている電線の弛度を実測し、この実測した弛度と所望の設計弛度との間に過不足が生じているときには、過不足信号を緊線用ウインチの巻取制御装置に入力させることを特徴とする。
このような特徴を有する発明においては、受信アンテナを電線に設置しさえすれば、昼夜の別や気象条件に関係なく弛度測定を行うことができる。しかも、電線上への受信アンテナの設置は、受信アンテナを載置した台座を電線上で走行させうる工具を用いることで非常に容易化できる。
よって、特許文献1に開示された発明によれば、人工衛星より発信される信号を利用することで極めて高精度の弛度測定が可能となる。さらに、作業員の負荷が軽減でき、かつ測定に要する時間を従来よりも大幅に短縮できる。
【0004】
特許文献2には、「保護線用弛度調整装置」という名称で、送電線の弛度に保護線の弛度を近づけるように、保護線の弛度を調節可能な発明が開示されている。
特許文献2に開示された発明は、架設されている送電線の弛度を変化させる要因となるデータを収集するデータ収集手段と、送電線の下方に所定の間隔を空けて架設される保護線に取り付けられ、架設されている保護線の長さを調節する調節手段と、収集されたデータに基づいて送電線の弛度を推定し、推定した弛度に保護線の弛度を近づけるように、調節手段の駆動制御を行い、保護線の長さを調節する弛度調節制御手段とを有することを特徴とする。
このような特徴を有する発明においては、送電線の弛度を収集されたデータに対応付けることによって、送電線の弛度を推定し、さらに推定した送電線の弛度に合わせて保護線の弛度が調整され、送電線と保護線との間隔が維持される。そのため、推定した送電線の弛度に基づいて、この弛度を調整可能に調節手段の駆動制御を行うように設計変更することで、送電線の弛度を容易に自動制御できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2-306102号公報
【特許文献2】特開2011-151939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された発明においては、人工衛星より発信される信号を受信する受信アンテナや、この受信アンテナを電線上で走行させる新たな工具を必要とする。そのため、初期コストが嵩んで導入困難なおそれがある。また、気象条件が不良であると、人工衛星より発信される信号にノイズが混入し、その結果、弛度測定の精度が低下する可能性もある。
【0007】
また、特許文献2に開示された発明においては、予め電線温度と送電線弛度との関係性を実測によって求めることが必要である。しかし、この関係性は、送電線の構造によって異なってくるため、構造の異なる送電線についての上記関係性をそれぞれ実測することは非常に手間がかかる。
【0008】
本発明は、このような従来の事情に対処してなされたものであり、弛度の測定に必要な数値データの実測に手間取ることなく弛度を容易かつ高精度に設計弛度の範囲内とすることができ、しかも導入時や運用時の負担を軽減できる電線弛度制御装置および電線弛度制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、第1の発明は、複数の送電鉄塔に支持される電線の弛度が規定範囲内となるように、保持手段に保持された電線の出入量を制御する電線弛度制御装置であって、弛度に関連する弛度関連データと、弛度関連データに対応する出入量からなる特徴データを取得する取得部と、特徴データから、新たな弛度関連データに対応する新たな出入量を推定するための学習モデルを構築する学習部を備え、弛度関連データは、電線の画像データと、規定範囲を表す設計弛度と、電線の単位長さ当たりの荷重と、電線の最大張力と、電線の実長と、複数の送電鉄塔の径間長と、複数の送電鉄塔の各支持点の鉛直高さと、複数の送電鉄塔の各支持点の高低差と、電線の周囲の外気温のうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする。
【0010】
このような構成の第1の発明において、電線の弛度とは、複数の送電鉄塔の各支持点を結ぶ直線と、電線がなす曲線との鉛直距離の最大値をいう。このうち、各支持点を結ぶ直線は、水平方向に対して平行な場合と、水平方向に対して傾斜している場合がある。また、径間長とは、複数の送電鉄塔の各支持点を結ぶ直線を、水平方向に投影したときの直線の長さである。
また、保持手段とは、具体的には、例えば電線を送電鉄塔に延線する際に使用される、電線の基端が巻回される電線ドラムや、電線の先端が巻回される延線機を指す。よって、電線の出入量とは、電線ドラムや延線機から引き出されたり、巻き取られたりする電線の長さである。
さらに、弛度関連データとして、例えば、電線の画像データ、電線の単位長さ当たりの荷重等、送電鉄塔の各支持点の高低差の各設計値または各実測値、外気温の実測値等が用いられる。
【0011】
そして、本願発明においては、弛度関連データのうちの少なくとも一つや、弛度関連データに対応する電線の出入量を入力とし、電線の出入量を出力として概念している。ただし、弛度関連データに電線の出入量が含まれてもよい。なお、弛度関連データにおける「少なくとも一つ」とは、弛度関連データに含まれる物理量の種類についての個数を意味している。
上記構成の第1の発明においては、取得部で取得された、弛度関連データと、出入量からなる特徴データを用いて、学習部において学習モデルが構築される。すなわち、例えば、送電鉄塔の径間長等の設計値や外気温の実測値、電線の新たな画像データ等にそれぞれ対応する電線の新たな出入量を推定可能な学習モデルが構築される。このような学習モデルの構築は機械学習によるものであり、この機械学習として、例えば、教師あり学習、教師なし学習または強化学習が用いられる。
【0012】
次に、第2の発明は、第1の発明において、弛度関連データは、少なくとも画像データを含み、学習部は、弛度関連データと、出入量を関連付けて関連付けデータを生成する関連付け部を備え、関連付けデータに基づいて、新たな弛度関連データに対応する新たな出入量を推定する学習モデルを構築することを特徴とする。
このような構成の第2の発明において、学習モデルは、ディープラーニング技術による教師あり学習によって構築される。すなわち、学習モデルは、画像データが少なくとも含まれる入力データと、この入力データに対応する電線の出入量である出力データの回答が、予め与えられている場合のものである。
【0013】
このような構成の第2の発明において、関連付けデータとは、例えば、複数枚の画像データと、この複数枚の画像データにそれぞれ対応する複数個の出入量からなるデータ群や、選択された種類や値が様々に変化した複数個の弛度関連データと、この複数個の弛度関連データに対応する複数枚の画像データと、この複数枚の画像データに対応する複数個の電線の出入量からなるデータ群である。
上記構成の第2の発明においては、第1の発明の作用に加えて、関連付けデータから電線の出入量の決定に役立つ情報が抽出され、この情報に基づいて新たな弛度関連データに対応する新たな出入量を推定し得る学習モデルが構築される。
【0014】
さらに、第3の発明は、第1の発明において、学習部は、出入量を選択した結果に対する報酬を決定する報酬部と、報酬に基づいて、出入量を選択した価値を表す関数を更新する関数更新部を備え、関数更新部において関数の更新が繰り返されることで、報酬部で求められた報酬が最大となるように、新たな出入量を推定する学習モデルを構築することを特徴とする。
このような構成の第3の発明において、学習モデルは、強化学習によって構築される。すなわち、学習モデルは、電線の出入量である出力データの回答が予め与えられていない場合のものである。
また、報酬部が決定する報酬とは、行動主体がある状態において特定の行動をした際に得られる数量であって、例えば、求める出力データの精度が高い場合に大きく、出力データの精度が低い場合に小さく設定することができる。
さらに、関数更新部において更新される関数は、行動価値関数と呼ばれる関数であり、報酬を使用してある状態の下で行動を選択する価値を示すものである。
よって、第3の発明においては、任意の状態の下で様々な行動を選択する試行錯誤を繰り返すことで関数が繰り返し更新され、この関数の値が最大となる行動を選択することが出力データの最適解となる。
【0015】
上記構成の第3の発明においては、第1の発明の作用に加え、学習部において、上記のような学習モデルが構築されるため、例えば、行動を電線の出入量を選択することとすれば、試行錯誤の後で最終的に最も適切な出入量が求められる。よって、求められた最も適切な出入量を新たな出入量とする。なお、試行錯誤前における当初の出入量としては、任意の値が用いられる。
【0016】
続いて、第4の発明は、第3の発明において、弛度関連データは、少なくとも、荷重と最大張力の組み合わせ及び/又は設計弛度と、径間長と、鉛直高さ及び/又は高低差と、実長を含み、報酬は、選択した出入量に対応する弛度が、設計弛度に近づくほど増加するように設定されることを特徴とする。
このような構成の第4の発明においては、第3の発明の作用に加えて、関数が更新されるにつれ、報酬が増加する方向、すなわち弛度が、設計弛度に近づくほど増加するように選択されるから、最終的に最も適切な電線の出入量が求められると、電線の弛度が規定範囲内になったとの推定が成立する。
【0017】
さらに、第5の発明は、第1乃至第4のいずれかの発明において、学習部で構築された学習モデルに基づいて、新たな弛度関連データに対応する新たな出入量を推定する推定部と、推定部が推定した新たな出入量に基づいて、保持手段の駆動を実行させる実行部を備え、実行部は、推定部が推定した新たな出入量を反映する駆動信号を発生させる信号発生部と、保持手段を駆動する駆動部と、駆動信号を駆動部に送信する送信部を備えることを特徴とする。
このような構成の第5の発明においては、第1乃至第4のいずれかの発明の作用に加えて、推定部によって、新たな弛度関連データに対応する新たな出入量、すなわち求めたい電線の出入量が推定される。
次に、実行部の信号発生部が発生させた駆動信号が、送信部により駆動部に送信されることにより、保持手段が駆動する。この駆動信号は、推定部が推定した新たな出入量を反映することから、保持手段の駆動は新たな出入量を実現したものとなる。
【0018】
そして、第6の発明は、複数の送電鉄塔に支持される電線の弛度が規定範囲内となるように、保持手段に保持された電線の出入量を制御する電線弛度制御方法であって、弛度に関連する弛度関連データと、弛度関連データに対応する出入量からなる特徴データを取得する取得工程と、特徴データから、新たな弛度関連データに対応する新たな出入量を推定するための学習モデルを構築する学習工程を備え、弛度関連データは、電線の画像データと、規定範囲を表す設計弛度と、電線の単位長さ当たりの荷重と、電線の最大張力と、電線の実長と、複数の送電鉄塔の径間長と、複数の送電鉄塔の各支持点の鉛直高さと、複数の送電鉄塔の各支持点の高低差と、電線の周囲の外気温のうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする。
【0019】
このような構成の第5の発明においては、取得工程及び学習工程は、第1の発明を構成する取得部及び学習部においてそれぞれ実行され、第1の発明と同様の作用を発揮する。
【発明の効果】
【0020】
第1の発明によれば、電線の新たな出入量は、送電鉄塔に昇塔することなく、かつ必要な数値データを手間取ることなく得ることができるため、弛度を容易に規定範囲内とすることが可能であるとともに、導入時や運用時の負担を軽減することができる。
また、学習部において、例えば、電線の画像データと、これに対応する電線の出入量から、電線の新たな画像データに対応する電線の新たな出入量を推定可能な学習モデルが構築されるため、この学習モデルを用いることで、電線の新たな出入量を正確に求めることができる。したがって、電線の弛度を高精度に規定範囲内とすることができる。
【0021】
第2の発明によれば、第1の発明の効果に加えて、関連付けデータから自動的に抽出される電線の出入量の決定に役立つ情報から、新たな弛度関連データに対応する新たな出入量を推定可能な学習モデルを構成できる。そのため、この学習モデルを用いることで、例えば、延線時に作業員が電線を観察しながら保持手段を操作する作業が不要となるとともに、弛度を精度良く設計弛度の範囲内にすることができる。したがって、作業効率を従来技術と比較して著しく高めることができる。
【0022】
第3の発明によれば、第1の発明の効果に加えて、当初の任意の出入量に基づいて最終的に最も適切な電線の出入量が求められることから、第2の発明と同様に、作業効率を従来技術と比較して著しく高めることができる。
また、学習された学習モデルによって得られた最も適切な電線の出入量を新たな出入量としているため、求められた新たな出入量の信頼性を高いものにすることができる。
【0023】
第4の発明によれば、第3の発明の効果に加えて、最終的に最も適切な電線の出入量が求められると、電線の弛度が規定範囲内になったとの推定が成立するから、弛度を実測することなく、設計弛度を実現できる。
【0024】
第5の発明によれば、第1乃至第4のいずれかの発明の効果に加えて、推定部によって推定された電線の新たな出入量が、実行部によって保持手段において実現されるため、電線の出入りを自在に制御し、弛度を規定範囲内にすることができる。
【0025】
第6の発明によれば、第1の発明と同様の効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】(a)は電線を延線する作業の概要を説明するための説明図であって、電線の走行方向に対して略直角な水平方向から見た場合の外観図であり、(b)は(a)の一部を拡大した拡大図である。
【
図2】本発明の実施例1に係る電線弛度制御装置の構成図である。
【
図3】本発明の実施例1に係る電線弛度制御装置による電線の出入量を推定する手順を示すフロー図である。
【
図4】本発明の実施例2に係る電線弛度制御装置の構成図である。
【
図5】本発明の実施例2に係る電線弛度制御装置による電線の出入量を推定する手順を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0027】
最初に、電線を延線する作業の概要を、
図1を用いて説明する。
図1(a)は電線を延線する作業の概要を説明するための説明図であって、電線の走行方向に対して略直角な水平方向から見た場合の外観図であり、
図1(b)は
図1(a)の一部を拡大した拡大図である。
図1(a)及び
図1(b)に示すように、電線51を送電鉄塔50A~50Cに延線する際は、一方の保持手段52に基端が巻回された電線51を送電鉄塔50A~50Cの支持点50a~50cに張設し、他方の保持手段52に巻回された電線51の先端を巻き取るという方法が採られる。一方の保持手段52は電線ドラム53であり、他方の保持手段52は延線機54である。
そして、延線機54を例えば車両(図示せず)に積載し、これを白抜矢印方向へ向かって走行させると、電線51が送電鉄塔50A~50Cの支持点50a,50b間と、支持点50b,50c間において、それぞれある程度の弛みを持って支持されることになる。なお、支持点50a~50cは、例えば、碍子が取り付けられる送電鉄塔50A~50Cの支持アームを基準とした任意の位置(図示せず)に設定される。
次に、支持点50a,50b間における電線51に注目すると、
図1(b)に示すように、電線51の弛みを表す弛度d(m)は、支持点50aと支持点50bを結ぶ直線L
50と、電線51との鉛直距離(鉛直方向Vに沿った距離)の最大値をいう。また、径間長S(m)は、直線L
50を水平方向H上に投影したときに形成される直線の長さである。
【0028】
また、電線51の周囲の外気温T
e(℃)として、温度計2c(
図2参照)によって測定された実測値を用いることができる。これは、電線は外気温T
eの変化によって伸縮することから、外気温T
eの変化に起因する弛度の変化を、求める新たな出入量に反映させるためである。
【0029】
さらに、送電鉄塔50Aの地表面Gから支持点50aまでの鉛直高さをh1(m)、地表面Gから送電鉄塔50Bの支持点50bまでの鉛直高さをそれぞれh2(m)とすると、高低差h(m)はh1とh2の差となる。この鉛直高さh1,h2はいずれも既知であるから、直ちに高低差hを求めることができる。
そして、電線51の単位長さ当たりの荷重W(N/m)と、電線51の最大張力Tmax(N)は、電線51の構造や材質といった電線51の種類毎の設計値である。
【0030】
続いて、本発明の第1の実施の形態に係る電線弛度制御装置の構成について、
図2を用いて説明する。
図2は、実施例1に係る電線弛度制御装置の構成図である。なお、
図1で示した構成要素については、
図2においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
図2に示すように、実施例1に係る電線弛度制御装置1は、送電鉄塔50A~50Cに支持される電線51の弛度dが規定範囲内となるように、保持手段52に保持された電線51の出入量ΔL(m)を制御する電線弛度制御装置であって、取得部2と、学習部3と、推定部4と、実行部5を備える。
【0031】
このうち、取得部2は、弛度dに関連する弛度関連データDRと、弛度関連データDRに対応する電線51の出入量ΔLからなる特徴データDを取得する。また、取得部2は、弛度関連データDRが入力される記憶媒体、キーボードまたはインターネットサイトからなる入力部2aと、画像データDIが撮像される撮像手段2bと、外気温Teが測定される温度計2cと通信可能に接続されている。また、入力部2aと、撮像手段2bと、温度計2cは、互いに通信可能に接続されている。
【0032】
ここで、弛度関連データDRは、電線51の画像データDIと、弛度の規定範囲を表す、所定の外気温Teにおける設計弛度d0と、荷重Wと、最大張力Tmaxと、径間長Sと、電線51の実長Lと、鉛直高さh1,h2と、高低差hと、外気温Teのうちの少なくとも一つを含むことができる。
また、弛度関連データDRのうち、画像データDIとしては、支持点50a~50cの各区間において、それぞれ電線51の全体形状を把握できるように、電線51の走行方向に対して略直角な一方向から撮像されているものが望ましい。ただし、支持点50a,50bの鉛直高さh1,h2はいずれも既知であるため、送電鉄塔50A,50Bの基部は画像データDI内に撮像されていなくてもよい。
しかし、送電鉄塔50A~50Cの設置位置、径鉛直高さh1,h2または径間長Sの長さによっては、一方向からの撮像により電線51の全体形状を把握することが困難な場合がある。この場合には、画像データDIとして、視点の異なる複数の画像を用いてもよい。複数の画像として、例えば地上に設置した撮像手段2bや、撮像手段2bを搭載したドローンを用いて、電線51の走行方向に対して任意の斜方向から撮像した静止画や動画が考えられる。電線51の形状は、例えば公用されている三次元復元ソフトウェアにより、複数の画像から三次元の点群データとして復元される。
【0033】
そして、電線51の実長L(m)とは、支持点50a~50cの各区間における電線51の長さである。さらに、電線51の出入量ΔL(m)とは、電線ドラム53や延線機54において引き出されたり、巻き取られたりする電線51の長さであって、延線された電線51の弛度dを規定範囲内にすることができる値である。
【0034】
なお、実施例1において、弛度関連データDRは、電線51の画像データDIと、画像データDI以外の弛度関連データDRのうちの少なくとも一つを含んでいる。この画像データDI以外の弛度関連データDRは既知であり、画像データDIは画像データDI以外の弛度関連データDRの変化に対応して撮像されたものである。
ただし、電線51の実長Lは、実測が困難であることや、画像データDIから読み取り可能な場合を考慮して、必ずしも弛度関連データDRに含まれなくてもよい。さらに、電線51の出入量ΔLは、予め電線ドラム53や延線機54において、例えば電線51の引き出し量や巻き取り量を測定するエンコーダーを用いて測定することができる。
【0035】
次に、学習部3は、関連付け部6と、構築部7と、記憶部8を備えており、取得部2が取得した特徴データDから、新たな弛度関連データDRNに対応する新たな出入量ΔLNを推定するための学習モデルを構築する。
学習部3のうち、関連付け部6は、弛度関連データDR(すなわち、画像データDIと、画像データDI以外の弛度関連データDRのうちの少なくとも一つ)と、電線51の出入量ΔLを関連付けて関連付けデータDAを生成する。
具体的には、関連付け部6で処理される弛度関連データDRは、画像データDI以外の弛度関連データDRのうちの少なくとも一つの物理量の値や、物理量の種類が変更された複数の値である。また、画像データDIは、複数の弛度関連データDRのそれぞれに対応した複数の画像である。よって、関連付けデータDAは、複数の画像データDIにそれぞれ対応した複数のデータからなるデータ群となる。
また、構築部7は、関連付けデータDAに基づき、公知のディープラーニング技術を用いて上記の学習モデルを構築する。記憶部8は、関連付け部6で生成された関連付けデータDAや、構築部7で構築された学習モデルを記憶する。
【0036】
さらに、推定部4は、学習部3の構築部7で構築された学習モデルに基づいて、新たな弛度関連データDRNに対応する新たな出入量ΔLNを推定する。
次に、実行部5は、推定部4が推定した新たな出入量ΔLNに基づいて、保持手段52の駆動を実行させるものであって、推定部4が推定した新たな出入量ΔLNを反映する駆動信号を発生させる信号発生部5aと、保持手段52を駆動する駆動部5bと、信号発生部5aが発生した駆動信号を駆動部5bに送信する送信部5cを備える。なお、駆動部5bは、保持手段52である電線ドラム53及び延線機54のうちの少なくともいずれか一方の、駆動モーター(図示せず)の回動軸を回動させるよう構成されている。
【0037】
さらに、電線弛度制御装置1の動作について、
図3を用いて説明する。
図3は、本発明の実施例1に係る電線弛度制御装置による電線の出入量を推定する手順を示すフロー図である。なお、
図1及び
図2で示した構成要素については、
図3においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
図3に示すように、電線弛度制御装置1においては、送電鉄塔50A~50Cに支持される電線51の弛度dが規定範囲内となるように、電線ドラム53及び延線機54に保持された電線51の出入量ΔLを制御する電線弛度制御方法9が実施される。
この電線弛度制御方法9は、ステップS1の取得工程と、ステップS2の学習工程と、ステップS3の推定工程と、ステップS4の実行工程を備える。このうち、ステップS1の取得工程は、ステップS1-1の新たな弛度関連データ取得工程と、ステップS1-2の弛度関連データ等取得工程を備える。また、ステップS2の学習工程は、ステップS2-1の関連付け工程と、ステップS2-2の構築工程と、ステップS2-3の記憶工程を備える。
【0038】
まず、ステップS1の取得工程においては、取得部2において、新たな弛度関連データDRNを取得するステップS1-1の新たな弛度関連データ取得工程を実行する。
このステップS1-1の新たな弛度関連データ取得工程においては、弛度dを調整する直前の電線51を撮像した新たな画像データDINと、新たな画像データDIN以外の新たな弛度関連データDRNのうちの少なくとも一つを取得する。この新たな弛度関連データDRNは、弛度関連データDRと同様に、所定の外気温Teにおける設計弛度d0と、荷重Wと、最大張力Tmaxと、径間長Sと、電線51の実長Lと、鉛直高さh1,h2と、高低差hと、外気温Teのうちの少なくとも一つを含むことができる。
また、外気温Te以外の新たな弛度関連データDRNの取得は、作業員によって入力部2aに入力された後で取得部2に送信されることによる。これ以外に、外気温Teは温度計2cによる測定値が所定のタイミングで自動的に取得部2に送信されてもよい。
【0039】
さらに、ステップS1-1の新たな弛度関連データ取得工程の直後は、そのままS1-2の弛度関連データ等取得工程に進む(Yes)か、またはステップS3の推定工程に進む(No)かを選択する。これは、例えば支持点50a,50c間で、すでにステップS2の学習工程を一度実行して学習モデルを構築済の場合に、同じ支持点50a,50c間で、再度新たな弛度関連データDRNに対応する新たな出入量ΔLNを求める場合は、学習モデルの構築に必要な特徴データDは取得されなくてよいからである。
すなわち、S1-2の弛度関連データ等取得工程に進む場合は、ステップS2の学習工程と、ステップS3の推定工程と、ステップS4の実行工程が実行される。これに対し、ステップS3の推定工程に進む場合では、S1-2の弛度関連データ等取得工程と、ステップS2の学習工程は省略され、その後にステップS3の推定工程と、ステップS4の実行工程が実行される。なお、上記の選択は、作業員によって入力部2aに入力された後で取得部2に送信されることによる。
【0040】
S1-2の弛度関連データ等取得工程に進む場合、取得部2において、画像データDIと、画像データDI以外の弛度関連データDRのうちの少なくとも一つと、弛度関連データDRに対応する電線51の出入量ΔLからなる特徴データDを取得する。この特徴データDは、前述のとおり、学習モデルの構築に必要なデータであって、教師あり学習における教師データと呼ばれているものである。
また、外気温Te以外の弛度関連データDRの取得は、外気温Te以外の新たな弛度関連データDRNの取得の場合と同様である。
さらに、所定の外気温Teにおける設計弛度d0は、以下の式(1)で示すような、電線51の単位長さ当たりの荷重Wと、電線51の最大張力TMAXと、径間長Sから演算される一定の値に設定される。しかし、設計弛度d0は、実務上の要請によって決定される幅を持った値であってもよい。
【0041】
【0042】
ただし、実施例1において、設計弛度d0は学習モデルによって推定されたり、電線の出入量ΔLの精度を判断したりするための物理量ではなく、あるいは式(1)から荷重Wと、最大張力TMAXによって求めることができるため、設計弛度d0は必ずしも弛度関連データDRに含まれなくてもよい。
また、荷重Wと、最大張力TMAXは、それぞれ、弛度dを調整する対象の電線51の種類毎の設計値である。
さらに、径間長Sと、支持点50a,50bの鉛直高さh1,h2と、高低差hは、電線51が支持される送電鉄塔50A,50Bの構造や配置が変更されない限り不変である。なお、高低差hは、鉛直高さh1と鉛直高さh2の差であるため、鉛直高さh1,h2が弛度関連データDRに含まれる場合には、必ずしもこの弛度関連データDRに含まれなくてもよい。
【0043】
次に、ステップS2の学習工程においては、まず学習部3の関連付け部6において、ステップS2-1の関連付け工程を実行する。
このステップS2-1の関連付け工程においては、画像データDI及びこの画像データDI以外の弛度関連データDRのうちの一つと、既知の出入量ΔLを関連付けて関連付けデータDAを生成する。前述したように、関連付けデータDAとは、複数の画像データDIにそれぞれ対応した複数のデータからなるデータ群となる。
【0044】
そして、ステップS2-2の構築工程においては、構築部7において、複数の関連付けデータDAに基づいて、新たな出入量ΔLNの決定に役立つ情報が抽出される。そして、構築部7は、この抽出された情報に基づいて新たな弛度関連データDRNに対応する新たな出入量ΔLNを推定する学習モデルを構築する。
さらに、ステップS2-3の記憶工程においては、記憶部8において、ステップS2-1の関連付け工程で生成された複数の関連付けデータDAや、ステップS2-2の構築工程で構築された学習モデルが記憶される。
【0045】
続いて、ステップS3の推定工程においては、推定部4において、ステップS2-2の構築工程で構築された学習モデルに基づいて、ステップS1-2の新たな弛度関連データ取得工程で取得済みの新たな弛度関連データDRNに対応する新たな出入量ΔLNを推定する。
これにより、例えば、支持点50a,50b間や、支持点50b,50c間に新たに延線された電線51について、温度計2cによって測定された外気温Teにおける電線ドラム53や延線機54の引き出し量や巻き取り量が求められる。
【0046】
さらに、ステップS4の実行工程においては、新たな出入量ΔLNを反映する駆動信号が信号発生部5aによって発生され、送信部5cを介して駆動部5bへ送信される。したがって、保持手段52が新たな出入量ΔLNだけ駆動し、温度計2cによって測定された外気温Teにおける電線51の弛度dが規定範囲内に設定される。
【0047】
以上説明したように、実施例1に係る電線弛度制御装置1によれば、電線51を延線する際に弛度dを測定する必要がないため、送電鉄塔50A~50Cに昇塔する作業をなくすことができる。また、弛度d以外の必要な弛度関連データDRも手間取ることなく得ることができる。さらに、電線51の新たな出入量ΔLNを学習モデルに基づいて推定することで、弛度dを容易に規定範囲内とすることが可能である。したがって、電線弛度制御装置1の導入時や運用時の負担を軽減することができる。
【0048】
詳細には、電線弛度制御装置1によれば、複数の関連付けデータDAから自動的に抽出される情報から、新たな弛度関連データDRNに対応する新たな出入量ΔLNを推定可能な学習モデルが構成されるため、この学習モデルを用いることで、例えば、延線時に作業員が電線51を観察しながら保持手段52を駆動する作業が不要となるとともに、弛度dを精度良く規定範囲内にすることができる。したがって、従来技術と比較して作業性を著しく高めることが可能になる。さらに、人が弛度測定に介在する場合に起こり得る弛度の読み取り誤差や作業員間のバラツキの影響を排除できる。
加えて、電線弛度制御装置1によれば、推定部4によって推定された電線51の新たな出入量ΔLNが、実行部5によって保持手段52において実現されるため、電線51の出入りを自在に制御し、弛度dを規定範囲内にすることができる。
ここで、電線51の実長Lと、出入量ΔLと、調整前の弛度dと、径間長Sと、支持点の高低差hの関係は、式(3)で表される。このうち、実長Lは、電線51が設計弛度d0を有している場合の値である。
よって、式(3)より、実長Lと、出入量ΔLと、径間長Sと、支持点の高低差hが与えられたときに、弛度d(d>0)が求められる。前述したように、実長Lと、出入量ΔLはそれぞれ順次増加した値が与えられ、径間長Sと、高低差hはいずれも既知であるから、式(3)より求められた弛度dが設計弛度d0に近いか否かを判断できる。そして、この判断結果によって、報酬rt+1の増減が決定される。
報酬rt+1の増減が決定された後、ステップS5-2の関数更新工程において、式(2)にしたがって行動価値関数Qが繰り返し更新され、この行動価値関数Qの値が最大となる行動を選択することで出入量ΔLの最適解が求められる。よって、ステップS3の推定工程において、出入量ΔLの最適解が新たな出入量ΔLNとして推定される。また、出入量ΔLの最適解に対応する実長Lを、新たな弛度関連データDRNとする。