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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022119585
(43)【公開日】2022-08-17
(54)【発明の名称】非接触電力伝送システム
(51)【国際特許分類】
   H01F 38/14 20060101AFI20220809BHJP
   H02J 50/12 20160101ALI20220809BHJP
   H02J 50/70 20160101ALI20220809BHJP
【FI】
H01F38/14
H02J50/12
H02J50/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021016833
(22)【出願日】2021-02-04
(71)【出願人】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 統公
(72)【発明者】
【氏名】木村 和峰
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智清
(72)【発明者】
【氏名】金崎 正樹
(57)【要約】
【課題】送電コイル及び受電コイルの体格増加を抑制しつつ、漏洩磁界を良好に低減することが可能な非接触電力伝送システムを提案する。
【解決手段】この非接触電力伝送システムは、送電コイルから受電コイルに非接触で電力を伝送する。送電コイルは、一対のコイルである第1コイル部と、一対のコアである第1コア部とを含む。受電コイルは、一対のコイルである第2コイル部と、一対のコアである第2コア部とを含む。第1コイル部及び第2コイル部に含まれるそれぞれのコイルは、水平面で巻回された形状であって、電流によって発生する磁界の向きが互いに逆方向となるように構成されている。第1コア部及び第2コア部は、それぞれ第1コイル部及び第2コイル部と一体的であって、それぞれに含まれるコアは距離を空けて配置されている。そして、第1コイル部と第2コイル部は、対面するように配置されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送電コイルから受電コイルに非接触で電力を伝送する非接触電力伝送システムであって、
前記送電コイルは、
水平方向に隣り合って配置する一対のコイルである第1コイル部と、
前記第1コイル部のそれぞれの前記コイルが発生する磁界を誘導する一対のコアである第1コア部と、
を含み、
前記第1コイル部のそれぞれの前記コイルは、
水平面で巻回された形状であって、電流によって発生する磁界の向きが互いに逆方向となるように構成されており、
前記第1コア部のそれぞれの前記コアは、
前記第1コイル部のそれぞれの前記コイルと一体的であって、距離を空けて配置されており、
前記受電コイルは、
水平方向に隣り合って配置する一対のコイルである第2コイル部と、
前記第2コイル部のそれぞれの前記コイルが発生する磁界を誘導する一対のコアである第2コア部と、
を含み、
前記第2コイル部のそれぞれの前記コイルは、
水平面で巻回された形状であって、電流によって発生する磁界の向きが互いに逆方向となるように構成されており、
前記第2コア部のそれぞれの前記コアは、
前記第2コイル部のそれぞれの前記コイルと一体的であって、距離を空けて配置されており、
前記第1コイル部と前記第2コイル部は、
対面するように配置される
ことを特徴とする非接触電力伝送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送電コイルから受電コイルに非接触で電力を伝送する非接電力伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
送電コイルから受電コイルに非接触で電力を伝送する非接触電力伝送システムでは、送電コイルが発生する磁界のうち受電コイルに鎖交しない磁界(以下、「漏洩磁界」とも称する。)が大きくなると、電力の伝送効率が低下する。また漏洩磁界の拡がりが大きくなると、周囲の環境に影響を与えてしまう虞がある。従来、漏洩磁界を低減するための様々な技術が提案されている。
【0003】
特許文献1には、漏洩磁界を低減することが可能なコイル構造を有する非接触電力伝送システムが開示されている。この非接触電力伝送システムでは、送電コイルは、第1の面において互いに第1方向に間隔を空けて配置され、流れる電流が互いに逆位相となるように構成された第1単位コイル及び第2単位コイルを含んでいる。また受電コイルは、第1の面に平行な第2の面において互いに第1方向に間隔を空けて配置され、流れる電流が互いに逆位相となるように構成された第3単位コイル及び第4単位コイルを含んでいる。そして、第1及び第2単位コイルの巻回軸線は、第1の面において第1方向に交差する方向に沿って平行に配置され、第3及び第4単位コイルの巻回軸線は、第2の面において第1方向に交差する方向に沿って平行に配置される。ここで、第1単位コイルと第2単位コイルとの間の距離は、第1単位コイルと第3単位コイルとの間の距離よりも大きく、第3単位コイルと第4単位コイルとの間の距離は、第2単位コイルと第4単位コイルとの間の距離よりも大きくなっている。このようなコイル構造とすることで、漏洩磁界の低減を図るとともに、伝送効率の高い電力伝送システムを提供している。
【0004】
その他、本技術分野の技術レベルを示す文献として以下の特許文献2、及び特許文献3がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-047046号公報
【特許文献2】特表2018-507671号公報
【特許文献3】特開2015-088673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された非接触電力伝送システムでは、第1単位コイルと第2単位コイルとの間の距離、及び第3単位コイルと第4単位コイルとの間の距離を、それぞれ第1単位コイルと第3単位コイルとの間の距離、及び第2単位コイルと第4単位コイルとの間の距離よりも大きくする必要がある。つまり、送電コイル及び受電コイルそれぞれに含まれる一対のコイルのコイル間距離を、送電コイルと受電コイルとの間の距離よりも大きくする必要がある。
【0007】
これは、特許文献1に記載する構成では、送電コイル及び受電コイルそれぞれに含まれる一対のコイルのコイル間距離を送電コイルと受電コイルとの間の距離よりも小さくすると、一対のコイルの間で逆方向の磁束干渉が起きることで受電コイルへの鎖交磁束が減少し、送電コイルと受電コイルとの間の結合係数が低下、延いては送電効率が低下する虞があるためである。
【0008】
従って、送電コイル及び受電コイルの体格が、送電コイルと受電コイルとの間の距離により制限される。延いては、送電コイル及び受電コイルの体格増加を招いてしまう。
【0009】
本発明は上記の課題を鑑みてなされたもので、送電コイル及び受電コイルの体格増加を抑制しつつ、漏洩磁界を良好に低減することが可能な非接触電力伝送システムを提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る非接触電力伝送システムは、送電コイルと、受電コイルと、を備え、送電コイルから受電コイルに非接触で電力を伝送する。送電コイルは、水平方向に隣り合って配置する一対のコイルである第1コイル部と、第1コイル部のそれぞれのコイルが発生する磁界を誘導する一対のコアである第1コア部と、を含んでいる。第1コイル部に含まれるそれぞれのコイルは、水平面で巻回された形状であって、電流によって発生する磁界の向きが互いに逆方向となるように構成されている。第1コア部に含まれるそれぞれのコアは、第1コイル部に含まれるそれぞれのコイルと一体的であって、距離を空けて配置されている。
【0011】
受電コイルは、水平方向に隣り合って配置する一対のコイルである第2コイル部と、第2コイル部のそれぞれのコイルが発生する磁界を誘導する一対のコアである第2コア部と、を含んでいる。第2コイル部に含まれるそれぞれのコイルは、水平面で巻回された形状であって、電流によって発生する磁界の向きが互いに逆方向となるように構成されている。第2コア部に含まれるそれぞれのコアは、第2コイル部に含まれるそれぞれのコイルと一体的であって、距離を空けて配置されている。
【0012】
そして、第1コイル部と第2コイル部は、対面するように配置されている。
【発明の効果】
【0013】
本出願に係る発明者らは、送電コイル及び受電コイルそれぞれに含まれる一対のコイルを水平面で巻回されたサーキュラー型の形状とし、一対のコイルのそれぞれのコイルと一体的である一対のコアのそれぞれのコアを距離を空けて配置することで、漏洩磁界を低減しつつ、一対のコアのコア間距離(延いては、一対のコイルのコイル間距離)を小さくしても送電コイルと受電コイルの間の結合係数が低下せずに増加することを見出した。
【0014】
本発明に係る非接触電力伝送システムでは、第1コイル部及び第2コイル部それぞれに含まれる一対のコイルを、水平面で巻回されたサーキュラー型の形状とする。そして、第1コイル部及び第2コイル部に含まれる一対のコイルは、電流によって発生する磁界の向きが互いに逆方向となるように構成されている。また、第1コイル部及び第2コイル部それぞれに含まれる一対のコイルと一体的である第1コア部及び第2コア部は、それぞれに含まれるコアが距離を空けて配置されている。これにより、送電コイル及び受電コイルの体格増加を抑制しつつ、漏洩磁界を良好に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施の形態に係る非接触電力伝送システムの回路構成を示す回路図である。
図2】本実施の形態に係る送電回路の構成を説明するための概念図である。
図3】本実施の形態に係る受電回路の構成を説明するための概念図である。
図4】本実施の形態に係る送電回路及び受電回路の配置を説明するための概念図である。
図5】本実施の形態に係る送電回路及び受電回路の配置を説明するための概念図である。
図6】本実施の形態に係る送電装置の複数のインバータの駆動及び制御の処理を示すフローチャートである。
図7】漏洩磁界が電流素片によって発生していると仮定した場合の漏洩磁界につついて説明するための概念図である。
図8】本実施の形態に係る非接触電力伝送システムとの比較対象とする非接触電力伝送システムに係る送電回路及び受電回路の構成を示す概念図である。
図9】本実施の形態に係る非接触電力伝送システムの比較対象とする非接触電力伝送システムに係る送電回路及び受電回路の配置を示す概念図である。
図10】本実施の形態に係る非接触電力伝送システムと図8及び図9に示す非接触電力伝送システムとの漏洩磁界分布の比較を示す図である。
図11】本実施の形態に係る非接触電力伝送システムと図8及び図9に示す非接触電力伝送システムとの図10に示す遠方地点における漏洩磁界の比較を示す図である。
図12】本実施の形態に係る非接触電力伝送システムにおいて、送受電距離を一定としてコア間距離を可変とした場合の、送受電距離とコア間距離との比率に対する送電コイルと受電コイルとの間の結合係数を示すグラフである。
図13】本実施の形態に係る非接触電力伝送システムにおいて、コア間距離が小さくなることによる結合係数の増加を説明するための概念図である。
図14】本実施の形態に係る非接触電力伝送システムにおいて、送受電距離を一定としてコア間距離を可変とした場合の、送受電距離とコア間距離との比率に対する遠方地点における漏洩磁界を示すグラフである。
図15】本実施の形態の変形例に係る送電回路及び受電回路の配置を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に示す実施の形態において各要素の個数、数量、量、範囲などの数に言及した場合、特に明示した場合や原理的に明らかにその数が特定される場合を除いて、その言及した数に、この発明が限定されるものではない。また、以下に示す実施の形態において説明する構成などは、特に明示した場合や明らかに原理的にそれに特定される場合を除いて、この発明に必ずしも必須のものではない。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を附しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0017】
1.構成
1-1.回路構成
図1は、本実施の形態に係る非接触電力伝送システム10の回路構成を示す回路図である。非接触電力伝送システム10は、送電装置100と、受電装置200と、電源300と、バッテリ400と、を含んでいる。
【0018】
送電装置100及び電源300は、典型的には、地面、路面、床面等に定置される。受電装置200及びバッテリ400は、典型的には、充電の対象となる移動体(車両、スマートフォン等)に搭載される。
【0019】
本実施の形態に係る非接触電力伝送システム10は、送電装置100に含まれる送電コイル111と、受電装置200に含まれる受電コイル211と、が互いに磁界共振することにより、送電コイル111から受電コイル211に電力を伝送する。つまり、磁界共振方式による電力伝送が行われる。これにより、電源300から送電装置100に供給される電力が受電装置200に伝送されることで、受電装置200はバッテリ400の充電を行う。
【0020】
なお図1には、1つの受電装置200及びバッテリ400が示されているが、充電の対象となる移動体が複数ある場合には、それぞれの移動体に図1に示す受電装置200及びバッテリ400が搭載される。そして、複数の移動体は、同一の送電装置100により電力の伝送及びバッテリ400の充電が行われても良い。
【0021】
電源300は、送電装置100と接続し、送電装置100に電力を供給する。電源300は、3相の交流電源である。例えば、相電圧200Vの系統電源である。ただし、電源300は、単相の交流電源であっても良い。
【0022】
バッテリ400は、受電装置200と接続し、受電装置200により電力が充電される。バッテリ400は、典型的には、リチウムイオン電池やニッケル水素電池等の再充電可能な直流電源である。
【0023】
送電装置100は、送電回路110と、イミタンスフィルタ120と、インバータ130と、ACDCコンバータ140と、を含んでいる。送電回路110と、イミタンスフィルタ120と、インバータ130と、ACDCコンバータ140と、はそれぞれ従属接続するように構成されている。
【0024】
ACDCコンバータ140は、電源300から供給される交流電力を整流及び変圧し、インバータ130へ直流電力を出力する。ACDCコンバータ140は、典型的には、ダイオード及びコンデンサを含んだ整流回路と、半導体スイッチング素子(IGBTやMOSFET等)を含んだ昇降圧回路により構成される。ACDCコンバータ140は、図示しない制御装置により半導体スイッチング素子が制御されることで、出力電圧、駆動、及び停止の制御が行われる。
【0025】
インバータ130は、ACDCコンバータ140から出力される直流電力を所定周波数の交流電力に変換し、イミタンスフィルタ120を介して送電回路110へ交流電力を出力する。インバータ130は、出力する交流電力の周波数が、後述する送電回路110の共振周波数と同等となるように直流電力を変換する。インバータ130が出力する交流電力の周波数(送電回路110の共振周波数)は、例えば、85kHz程度の高周波である。
【0026】
インバータ130は、典型的には、半導体スイッチング素子を含む単相フルブリッジ回路により構成される。インバータ130は、図示しない制御装置によりパルス幅変調(PWM;Pulse Width Modulation)等によるスイッチング制御が行われることで、直流電力を所定周波数の交流電力に変換する。またインバータ130は、制御装置により、駆動及び停止の制御が行われる。
【0027】
イミタンスフィルタ120は、インバータ130の出力電力の電磁ノイズを低減する。イミタンスフィルタ120は、図1に示すようにコイルとコンデンサにより構成されており、ローパスフィルタとして機能し送電装置100のインピーダンスを調整する。
【0028】
送電回路110は、送電コイル111と、コンデンサC11及びC12と、により構成される共振回路である。送電回路110及び送電コイル111の詳細については後述する。
【0029】
送電回路110の共振周波数は、インバータ130の出力電力の周波数と同等である。送電コイル111は、インバータ130から共振周波数で出力される電力によって、後述する受電コイル211と磁界共振する。そして、送電コイル111から受電コイル211に電力が伝送される。
【0030】
ところで、移動している移動体を対象として電力を伝送する場合、移動体の移動経路に沿って複数の送電コイル111(延いては送電回路110)が配置される。例えば、走行している車両を対象として電力を伝送する場合、車両の走行経路に沿って複数の送電コイル111が道路上に配置される。このとき、移動体の移動に従って送電を行う送電コイル111を適切に切り替えることが必要となる。このため、送電回路110に加え、イミタンスフィルタ120、及びインバータ130が、移動経路に沿って複数配置される。一方で、ACDCコンバータ140は、出力する直流電力が複数のインバータ130それぞれに供給されれば良く、複数配置しなくても良い。
【0031】
図1では、このことを示すために、送電装置100が、送電回路110、イミタンスフィルタ120、及びインバータ130をそれぞれ複数含む場合を示している。図1に示すように、送電回路110、イミタンスフィルタ120、及びインバータ130それぞれが従属接続した複数の回路が、ACDCコンバータ140の出力端に並列に接続している。なお、複数の送電回路110、イミタンスフィルタ120、及びインバータ130それぞれは、前述する内容において説明したものと同等である。また、複数の送電回路110、イミタンスフィルタ120、及びインバータ130それぞれを区別するために、それぞれの符号に記号(A,B,・・・)を附している。ただし、本実施の形態に係る送電装置100は、1つの送電回路110、イミタンスフィルタ120、及びインバータ130により構成されていても良い。
【0032】
受電装置200は、受電回路210と、イミタンスフィルタ220と、整流回路230と、平滑コンデンサC24と、を含んでいる。受電回路210と、イミタンスフィルタ220と、整流回路230と、はそれぞれ従属接続するように構成されている。平滑コンデンサC24は、整流回路の出力端に接続されている。
【0033】
受電回路210は、受電コイル211と、コンデンサC21及びC22と、により構成される共振回路である。受電回路210及び受電コイル211の詳細については後述する。
【0034】
受電回路210の共振周波数は、インバータ130の出力電力の周波数(送電回路110の共振周波数)と同等である。受電コイル211は、送電コイル111と磁界共振し、送電コイル111から伝送される電力を受電する。
【0035】
イミタンスフィルタ220は、受電回路210が受電した電力の電磁ノイズを低減する。イミタンスフィルタ220は、図1に示すようにコイルとコンデンサにより構成されており、ローパスフィルタとして機能し受電装置200のインピーダンスを調整する。
【0036】
整流回路230は、受電回路210が受電した電力を直流電力に変換して出力する。整流回路230は、典型的には、単相全波整流回路である。
【0037】
平滑コンデンサC24は、整流回路230が出力する直流電力を平滑化する。平滑コンデンサC24により平滑化された直流電力が、バッテリ400の充電電力となる。
【0038】
1-2.送電回路、受電回路
1-2-1.送電回路
図2は、本実施の形態に係る送電回路110の構成を説明するための概念図である。図2は、水平面(XY面)に位置する送電回路110について、鉛直方向(Z軸方向)から見た平面図と、水平縦方向(X軸方向)から見た断面図を示している。送電回路110は、前述したように、送電コイル111と、コンデンサC11及びC12と、により構成される共振回路である。
【0039】
送電コイル111は、一対のコイルである第1コイル部(コイルL11及びL12)と、一対のコアである第1コア部(コアMM11及びMM12)と、コンデンサC13と、アルミプレートPL1と、を含んでいる。なお、図2に示すコイルL11及びL12は、その内外径を示すとともに、巻回方向を模式的に示している。また、コイルL11及びL12と、コアMM11及びMM12は、図示しない樹脂部材等で保持される。
【0040】
第1コイル部のそれぞれのコイルL11及びL12は、図2に示すように、水平面(XY平面)で巻回されたサーキュラー型の形状となっている。また、コイルL11及びL12は、それぞれの一端がコンデンサC13を介して接続しており、電流によって発生する磁界が互いに逆方向となるように巻回されている。つまり、コイルL21は、鉛直方向(Z軸方向)に対して上向きの磁界を発生し、コイルL22は、鉛直方向(Z軸方向)に対して下向きの磁界を発生する。このような構成とすることで、漏洩磁界を低減することができる。漏洩磁界の詳細については後述する。
【0041】
コイルL11及びL12は、それぞれの一端にコンデンサC11及びC12が接続している。コンデンサC11、コイルL11、コンデンサC13、コイルL12、及びコンデンサC12が、この順に直列に接続しており、送電回路110は直列共振回路となっている。コンデンサC11、C12、及びC13は、共振回路(送電回路110)のキャパシタンスを与える共振コンデンサである。コンデンサC11及びC12のキャパシタンスは同程度であり、コンデンサC13のキャパシタンスはコンデンサC11及びC12のキャパシタンスの1/2程度である。
【0042】
ここで、コンデンサC13は、コイルL11とコイルL12との間に接続している。これにより、伝送する電力が大電力となり、送電回路110にかかる電圧が高くなる場合であっても、コイルL11及びL12と、コアMM11及びMM12との間の電位差を低減することができる。
【0043】
第1コア部のそれぞれのコアMM11及びMM12は、第1コイル部のそれぞれのコイルL11及びL12が発生する磁界を誘導する磁性材料である。コアMM11及びMM12は、典型的には、フェライトで構成される。
【0044】
また、第1コア部のそれぞれのコアMM11及びMM12は、第1コイル部のそれぞれのコイルL11及びL12と一体的となっており、水平方向(Y軸方向)に距離AW1(以下、「第1コア間距離AW1」とも称する。)を空けて隣り合って配置している。
【0045】
アルミプレートPL1は、コイルL11及びL12とコアMM11及びMM12の下に配置され、送電回路110に対する外部の磁界の影響を低減する。
【0046】
1-2-2.受電回路
図3は、本実施の形態に係る受電回路210の構成を説明するための概念図である。図3は、水平面(XY面)に位置する受電回路210について、鉛直方向(Z軸方向)から見た平面図と、水平縦方向(X軸方向)から見た断面図を示している。受電回路210は、前述したように、受電コイル211と、コンデンサC21及びC22と、により構成される共振回路である。
【0047】
受電コイル211は、一対のコイルである第2コイル部(コイルL21及びL22)と、一対のコアである第2コア部(コアMM21及びMM22と)、コンデンサC23と、アルミプレートPL2と、を含んでいる。なお、図3に示すコイルL21及びL22は、その内外径を示すとともに、巻回方向を模式的に示している。また、コイルL21及びL22と、コアMM21及びMM22は、図示しない樹脂部材等で保持される。
【0048】
第2コイル部のそれぞれのコイルL21及びL22は、図3に示すように、水平面(XY平面)で巻回されたサーキュラー型の形状となっている。また、コイルL21及びL22は、それぞれの一端がコンデンサC23を介して接続しており、電流によって発生する磁界が互いに逆方向となるように巻回されている。これにより、第1コイル部のコイルL11及びL12それぞれから発生する互いに逆方向の磁界を適切に受電することができる。
【0049】
コイルL21及びL22は、それぞれの一端にコンデンサC21及びC22が接続している。コンデンサC21、コイルL21、コンデンサC23、コイルL22、及びコンデンサC22が、この順に接続しており、受電回路210は直列共振回路となっている。コンデンサC21、C22、及びC23は、共振回路(受電回路210)のキャパシタンスを与える共振コンデンサである。
【0050】
なお、第1コイル部の長軸方向(X軸方向)の長さは、第2コイル部の長軸方向(X軸方向)の長さより長くなっている。一方で、第1コイル部と第2コイル部の短軸方向(Y軸方向)の長さは同等である。これにより、受電コイル211が受電する電力の脈動を抑えることができる。
【0051】
第2コア部のそれぞれのコアMM21及びMM22は、第2コイル部のそれぞれのコイルL21及びL22が発生する磁界を誘導する磁性材料である。
【0052】
また、第2コア部のそれぞれのコアMM21及びMM22は、第2コイル部のそれぞれのコイルL21及びL22と一体的となっており、水平方向(Y軸方向)に距離AW2(以下、「第2コア間距離AW2」とも称する。)を空けて隣り合って配置している。
【0053】
ここで、伝送効率の向上のため、第2コア間距離AW2は、第1コア間距離AW1と同等であることが望ましい。以下、第1コア間距離AW1と第2コア間距離AW2は同等であるとする。
【0054】
アルミプレートPL2は、コイルL21及びL22とコアMM21及びMM22の下に配置され、受電回路210に対する外部の磁界の影響を低減する。
【0055】
1-2-3.配置
第1コイル部(コイルL11及びL12)と第2コイル部(コイルL21及びL22)は対面するように配置される。図4及び図5は、送電回路110及び受電回路210の配置を説明するための概念図である。図4は、斜視図を示している。図5は、鉛直方向(Z軸方向)から見た平面図と、水平縦方向(X軸方向)から見た断面図と、水平横方向(Y軸方向)から見た断面図と、を示している。また図4及び図5は、送電装置100が複数の送電回路110を含む場合を示しており、5つの第1コイル部が示されている。つまり、移動している移動体に対して電力の伝送を行う場合の配置を示している。なお図4及び図5では、図2及び図3において説明した送電回路110及び受電回路210の構成のうち、一部の部分を省略して示している。
【0056】
図5で示すように、第1コイル部と第2コイル部は、鉛直方向に距離AG(以下、「送受電距離AG」とも称する。)を隔てて対面している。また図4に示すように、複数の第1コイル部は、アルミプレートPL1に連なって取り付けられ、地面、路面、床面等に定置される。第1コイル部が連なる方向(X軸方向)は、典型的には、移動体の移動経路の進行方向である。第2コイル部は、アルミプレートPL2に取り付けられ、充電の対象となる移動体に搭載される。面FLは、第2コイル部が搭載される移動体の部分を示す。面FLは、例えば、移動体が車両である場合、車両のボデーの底部である。
【0057】
前述したように、複数の第1コイル部の1ピッチ当たりの長さは、第2コイル部の長軸方向(X軸方向)の長さより長くなっている。これにより、1ピッチ当たりに対する受電コイル211が受電する電力の脈動を抑えることができる。
【0058】
2.動作
移動している移動体に対して電力の伝送を行うためには、複数の送電コイル111に係るインバータ130それぞれを移動体の位置に応じて適切に制御することが必要となる。図6は、本実施の形態に係る送電装置100の複数のインバータ130の駆動及び制御の処理の例を示すフローチャートである。
【0059】
図6に示す処理は、インバータ130に係る制御装置により実行される。また、1番目のインバータ130を駆動する条件が満たされたときに図6に示す処理を開始する。ここで、1番目のインバータ130とは、移動体に対して最初に電力の伝送を行う送電コイル111に係るインバータ130である。これは、例えば、移動体が車両であって、送電コイル111が道路上に連なって配置されている場合、車両が最初に通過する送電コイル111に係るインバータ130である。1番目のインバータ130を駆動する条件とは、例えば、最初に通過することとなる送電コイル111の位置の手前の地点であって、送電コイル111を通過するまでの間に分岐がない地点を通過したことが検出された場合等である。
【0060】
ステップS100において、制御装置は、制御の対象とするインバータ130を示す値であるNを1に設定する。Nは、連なって配置する送電コイル111に係るインバータ130の順番に対応しており、N=1は、移動体に対して最初に電力の伝送を行う送電コイル111に係るインバータ130に対応する。ステップS100の後、処理はステップS110に進む。
【0061】
ステップS110において、制御装置は、N番目のインバータ130を小電圧出力で駆動する。処理の開始直後は、N=1となるから、1番目のインバータ130を小出力電圧で駆動する。ステップS110の後、処理はステップS120に進む。
【0062】
ステップS120において、制御装置は、N番目のインバータ130に係る出力電流(インバータ電流)が所定値を超えるか否かを判定する。ここで、インバータ電流は、受電コイル211が送電コイル111に近づくほど増加し、遠ざかるほど減少する特性がある。このため、移動体が送電コイル111を通過する場合、移動体が送電コイル111に最接近する位置まではインバータ電流が増加し、その後減少することとなる。つまり、N番目のインバータ電流が所定値を超えたことにより、移動体がN番目のインバータ130に十分近づいたことを判断することができる。なお所定値は、プログラムにあらかじめ与える値であり、実験等により最適に定められる値である。
【0063】
N番目のインバータ電流が所定値を超える場合(ステップS120;Yes)、処理はステップS130に進む。N番目のインバータ電流が所定値を超えない場合(ステップS120;No)、次の実行周期において再度ステップS120の処理を実行する。
【0064】
ステップS130において、制御装置は、N番目のインバータ130の出力電圧を増加させる。これは、移動体がN番目のインバータ130に十分に近づいており、N番目のインバータ130に係る送電コイル111による電力の伝送を十分に行うためである。ステップS130の後、処理はステップS140に進む。
【0065】
ステップS140において、制御装置は、N番目のインバータ電流が所定値を下回るか否かを判定する。前述したように、N番目のインバータ電流が所定値を下回ったことにより、移動体がN番目のインバータ130から一定程度離れたことを判断することができる。なお所定値は、プログラムにあらかじめ与えられる値であり、実験等により最適に定められる値である。またステップS120における所定値と同等であっても異なっていても良い。
【0066】
N番目のインバータ電流が所定値を下回る場合(ステップS140;Yes)、処理はステップS150に進む。N番目のインバータ電流が所定値を下回らない場合(ステップS140;No)、次の実行周期において再度ステップS140の処理を実行する。
【0067】
ステップS150において、制御装置は、N番目のインバータ130の出力電圧を低下させる。これは、移動体がN番目のインバータ130から一定程度離れており、N番目のインバータ130に係る送電コイル111による電力の伝送の効果が小さいためである。このとき、N番目のインバータ130を停止し、N番目のインバータ130に係る送電コイル111による電力の伝送を止めても良い。ステップS150の後、処理はステップS160に進む。
【0068】
ステップS160において、制御装置は、N番目のインバータ130が終端であるか否かを判定する。これは、例えば、配置する送電コイル111の個数kを、プログラムにあらかじめ与えておく、あるいは取得し、Nがkとなるか否かを判定することにより行う。N番目のインバータ130が終端である場合(ステップS160;Yes)、処理は終了する。N番目のインバータ130が終端でない場合(ステップS160;No)、処理はステップS170に進む。
【0069】
ステップS170において、制御装置は、Nのインクリメントを行う。ステップS170の後、次の実行周期においてステップS110に戻り、処理を繰り返す。
【0070】
以上説明した処理により、移動体の位置に応じて複数のインバータ130それぞれの制御を行うことができる。なお図6に示す処理は一例であり、本実施の形態に係る非接触電力伝送システム10が適応される環境等に応じて適切な処理が与えられても良い。
【0071】
3.特性
3-1.漏洩磁界
本実施の形態に係る非接触電力伝送システム10では、距離を空けて配置する一対のコア(第1コア部)と一体的な一対のコイル(第1コイル部)により磁界を発生させることで、漏洩磁界を良好に低減することができる。
【0072】
漏洩磁界は、第1コイル部のそれぞれのコイルL11及びL12の位置にある電流素片によって発生していると仮定することができる。図7は、漏洩磁界が第1コイル部のそれぞれのコイルL11及びL12の位置にある電流素片CE1及びCE2によって発生していると仮定した場合の漏洩磁界について説明するための概念図である。図7は、鉛直方向から見た図である。図7の中央軸線は、第1コイル部のそれぞれのコイルL11及びL12の中央をX軸方向に通る線である。
【0073】
電流素片CE1及びCE2は、水平横方向(Y軸方向)に互いに距離dを隔てて位置している。また、電流素片CE1は中央軸線から距離d1の位置であり、電流素片CE2は中央軸線から距離d2の位置である。電流素片CE1及びCE2は、それぞれ長さがdsで、電流値がIで同一である。電流素片CE1に流れる電流の向き(ベクトルds1の向き)は、負のY軸方向であり、電流素片CE2に流れる電流の向き(ベクトルds2の向き)は、正のY軸方向である。これは、送電コイル111(第1コイル部)の長軸方向がX軸方向であり、第1コイル部のそれぞれのコイルL11及びL12が、Y軸方向に隣り合って配置されていることによる。
【0074】
このとき、送電コイル(第1コイル部)の中央地点Oから、水平縦方向(X軸方向)に距離r離れた地点Pにおける漏洩磁界dHの大きさは、以下の式(1)で与えられる。なお漏洩磁界dHの大きさは、Z軸方向の向きを正としている。
【0075】
【数1】
【0076】
ここで、図7に示すように、θ1は、電流素片CE1の位置から地点Pを覗く方向とY軸とのなす角である。θ2は、電流素片CE2の位置から地点Pを覗く方向とY軸とのなす角である。
【0077】
式(1)括弧内の左式は、電流素片CE1に係る漏洩磁界を与えるものであり、右式は、電流素片CE2に係る漏洩磁界を与えるものである。電流素片CE1及び電流素片CE2に係る漏洩磁界は、互いに逆方向となる。
【0078】
式(1)より、距離rが距離d(距離d1及び距離d2)より十分に大きければ、電流素片CE1に係る漏洩磁界と電流素片CE2に係る漏洩磁界の大きさは同等となり互いに打ち消しあい、漏洩磁界dHは0に近似できる。例えば、充電の対象となる移動体が車両であり、送電コイル111(第1コイル部)が車両の走行経路となる道路上に連なって配置している場合、車両の進行方向(X軸方向)に十分離れた(例えば、10m程度離れた)遠方地点では、漏洩磁界が良好に低減される。
【0079】
以下、本実施の形態に係る非接触電力伝送システム10における漏洩磁界と、一対のコアと一体的な1対のコイルを用いない非接触電力伝送システムにおける漏洩磁界と、の比較を示す。本実施の形態に係る非接触電力伝送システム10は、送電回路110及び受電回路210が図1乃至図5に示す構成及び配置であるとする。
【0080】
図8及び図9は、本実施の形態に係る非接触電力伝送システム10の比較対象とする非接触電力伝送システムの送電回路C110及び受電回路C210の構成及び配置を示す概念図である。図8に示すように、送電回路C110及び受電回路C210それぞれは、一対のコアと一体的な1対のコイルではなく、それぞれ1つのコアCM1とコイルCL1、及び1つのコアCM2とコイルCL2を含んでいる。一方で、図9に示すように、比較対象とする非接触電力伝送システムの送電回路C110及び受電回路C210の配置は、本実施の形態に係る非接触電力伝送システム10の送電回路110及び受電回路210の配置と同等である。
【0081】
図10に、漏洩磁界分布の比較を示す。また図11に、遠方地点における漏洩磁界の大きさの比較を示す。図10は、送電コイル111の中央部分の断面(A-B断面)の漏洩磁界の分布を示している。また図11は、図10で示す漏洩磁界分布において、水平縦方向(X軸方向)の遠方地点における漏洩磁界を示している。図10及び図11に示すように、本実施の形態に係る非接触電力伝送システム10では、遠方地点の漏洩磁界を良好に低減できていることがわかる。また図10に示すように、漏洩磁界の拡がりを小さくすることができている。
【0082】
3-2.結合係数
本実施の形態に係る非接触電力伝送システム10では、コア間距離(第1コア間距離AW1=第2コア間距離AW2)が送受電距離AGに対して小さくなったとしても、送電コイルと受電コイルとの間の結合係数は低下することがない。図12は、送受電距離AGを一定としてコア間距離AWを可変とした場合の、送受電距離AGとコア間距離AWとの比率AW/AGに対する結合係数を示すグラフである。図12に示すように、比率AW/AGが0に近づくにつれて、すなわち、コア間距離AWが0に近づくにつれて、結合係数は増加することがわかる。
【0083】
この結合係数の増加は、第1コイル部及び第2コイル部のそれぞれのコイルがサーキュラー型の形状であるため、コア間距離AWが小さくなると1つの大きな主磁束を形成することによるものである。図13は、コア間距離AWが小さくなることによる結合係数の増加を説明するための概念図である。図13では、(a)AW/AG=0.3の場合と、(b)AW/AG=0(AW1=AW2=0)の場合と、を示している。
【0084】
図13の(a)に示すように、コア間距離AWが一定程度ある場合は、第1コイル部のそれぞれのコイルL11及びL12は、一体的である第1コア部それぞれのコアMM11及びMM12によって磁界が誘導されることで、互いに逆方向の磁界を発生する。これにより、互いの漏洩磁界が打ち消し合い、漏洩磁界が低減される。
【0085】
一方で、図13の(b)に示すように、コア間距離AWが0になると、第1コア部それぞれのコアMM11及びMM12と、第2コア部それぞれのコアMM21及びMM22は一体となって1つのコアを形成し、1対のコイルの間で1つの主磁束を形成する磁界を発生させる。つまり、1対のコイルが磁気結合状態となり、送電コイル111と受電コイル211との間の相互インダクタンスが高くなる。このようにして、コア間距離AWが送受電距離AGに対して小さくなったとしても、結合係数が増加することとなる。
【0086】
ゆえに、本実施の形態に係る非接触電力伝送システム10では、コア間距離AW(延いては、一対のコイルのコイル間距離)を小さくしたとしても、結合係数の減少に伴う送電効率の低下が起きることがない。
【0087】
ただし、コア間距離AWを一定程度以上小さくすると、前述したように一対のコイルの磁気結合が強まるため、互いに逆方向の磁界を発生させることによる漏洩磁界を低減する効果が弱まる。図14は、送受電距離AGを一定としてコア間距離AWを可変とした場合の、送受電距離AGとコア間距離AWとの比率AW/AGに対する遠方地点における漏洩磁界を示すグラフである。図14に示すように、比率AW/AGを一定程度以上小さくすると、すなわちコア間距離AWを一定程度以上小さくすると、漏洩磁界が大きくなることがわかる。
【0088】
このため、コア間距離AWを漏洩磁界の大きさに注意して与える必要がある。つまり、本実施の形態に係る非接触電力伝送システム10では、漏洩磁界の許容範囲内でコア間距離AWを小さくすることができる。
【0089】
4.効果
以上説明したように、本実施の形態に係る非接触電力伝送システム10では、送電コイル111及び受電コイル211の体格増加を抑制しつつ、漏洩磁界を良好に低減することができる。延いては、送電コイル111及び受電コイル211を小型化することができる。
【0090】
なお本実施の形態においては、第1コイル部に含まれるそれぞれのコイル、及び第2コイル部に含まれるそれぞれのコイルについて、発生する磁界が互いに逆方向となるように巻回方向を与える構成としているが、発生する磁界の向きが互いに逆方向となる他の構成を採用しても良い。例えば、電流を流す方向を変えることによって発生する磁界が互いに逆方向となるように構成しても良い。また本実施の形態においては、磁界共振方式により電力の伝送を行う構成としているが、電磁誘導方式やその他の非接触電力伝送方式についても、好適に適用することで同様の効果を得ることができる。
【0091】
5.変形例
本実施の形態に係る非接触電力伝送システム10は、以下のように変形した態様を採用しても良い。
【0092】
第2コイル部の短軸方向の長さは、第1コイル部の短軸方向の長さよりも短い構成であっても良い。図15は、変形例に係る送電回路110及び受電回路210の配置を示す概念図である。図15に示すように、変形例では、第2コイル部の短軸方向(Y軸方向)の長さが、第1コイル部の短軸方向(Y軸方向)の長さよりも短い。この場合、第1コイル部の1対のコイルそれぞれと、第2コイル部の1対のコイルそれぞれの、中央を合わせるため、第2コア間距離AW2は第1コア間距離AW1よりも大きくなる。このような構成においても、前述の実施の形態において説明した非接触電力伝送システム10と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0093】
10 非接触電力伝送システム
100 送電装置
110 送電回路
111 送電コイル
120 イミタンスフィルタ
130 インバータ
140 ACDCコンバータ
200 受電装置
210 受電回路
211 受電コイル
220 イミタンスフィルタ
230 整流回路
C24 平滑コンデンサ
300 電源
400 バッテリ
AW1 第1コア間距離
AW2 第2コア間距離
AG 送受電距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15