(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022119621
(43)【公開日】2022-08-17
(54)【発明の名称】自動ドア保守支援装置、自動ドア保守支援方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
E05F 15/74 20150101AFI20220809BHJP
E05F 15/43 20150101ALI20220809BHJP
G06Q 10/00 20120101ALI20220809BHJP
E05F 15/643 20150101ALN20220809BHJP
【FI】
E05F15/74
E05F15/43
G06Q10/00 300
E05F15/643
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021016877
(22)【出願日】2021-02-04
(71)【出願人】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】来海 大輔
【テーマコード(参考)】
2E052
5L049
【Fターム(参考)】
2E052AA02
2E052BA06
2E052CA06
2E052DA04
2E052DB04
2E052EA15
2E052EB01
2E052EC03
2E052GA06
2E052GB06
2E052GB16
2E052HA01
2E052KA25
2E052KA27
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】自動ドアについて保守が必要かどうかの判断を支援することが可能な自動ドア保守支援装置を提供する。
【解決手段】自動ドア保守支援装置1は、複数の自動ドアに関する稼働情報を取得する取得部101と、取得部101が取得した複数の自動ドアに関する稼働情報のうち、同一の開閉方式の自動ドアに関する稼働情報同士を比較する比較部106と、比較部の比較結果に基づいて、所定の基準から外れる自動ドアを特定するためのドア特定情報を提示する情報提示部107と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の自動ドアに関する稼働情報を取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記複数の自動ドアに関する前記稼働情報のうち、同一の開閉方式の自動ドアに関する前記稼働情報同士を比較する比較部と、
前記比較部の比較結果に基づいて、所定の基準から外れる自動ドアを特定するためのドア特定情報を提示する情報提示部と、
を備える、自動ドア保守支援装置。
【請求項2】
前記比較部は、さらに管理者が同一の自動ドアに関する前記稼働情報同士を比較する、
請求項1に記載の自動ドア保守支援装置。
【請求項3】
前記比較部は、さらに同じ建物に設置される自動ドア、同一種類の駆動部を使用する自動ドア、同一の設置時期又は保守点検時期の自動ドアのうちの少なくとも1つに関する前記稼働情報同士を比較する、
請求項1または2に記載の自動ドア保守支援装置。
【請求項4】
前記稼働情報は、自動ドアの開閉動作の回数と、自動ドアの走行距離と、閉動作中の自動ドアと物体とが衝突した場合に自動ドアを反転開動作させるセーフティリターンの回数と、走行中の自動ドアと物体とが衝突した場合に自動ドアを停止させるセーフティストップの回数と、自動ドアを開閉する駆動部を駆動する際の駆動電圧、駆動電流及び通電時間の少なくとも1つと、走行中の自動ドアを停止させるために必要な制動距離と、全閉位置と全開位置との間の自動ドアの位置と前記駆動電圧、前記駆動電流及び前記自動ドアの走行速度のうちの少なくとも1つとの相関関係を示す第1相関データと、前記走行速度と自動ドアの開動作及び閉動作の一方の開始からの経過時間との相関関係を示す第2相関データと、のうちの少なくとも1つを含む、
請求項1から3のいずれか1項に記載の自動ドア保守支援装置。
【請求項5】
前記比較部は、前記稼働情報のうち、前記駆動電圧と前記駆動電流とのうちの少なくとも1つの最大値を比較する、
請求項4に記載の自動ドア保守支援装置。
【請求項6】
前記比較部は、前記複数の自動ドアに関する前記稼働情報のうち、同一時点又は同一期間の前記稼働情報同士を比較する、
請求項1から5のいずれか1項に記載の自動ドア保守支援装置。
【請求項7】
前記比較部は、前記複数の自動ドアに関する前記稼働情報のうち、第1の時点に関する前記稼働情報と、前記第1の時点よりも後の第2の時点に関する前記稼働情報とを比較する、
請求項1から6のいずれか1項に記載の自動ドア保守支援装置。
【請求項8】
前記情報提示部は、前記所定の基準から外れる自動ドアの前記稼働情報と前記所定の基準から外れる自動ドア以外の自動ドアの前記稼働情報とを比較するための比較用情報をさらに提示する、
請求項1から7のいずれか1項に記載の自動ドア保守支援装置。
【請求項9】
前記情報提示部は、前記所定の基準から外れる自動ドアの前記稼働情報に対する差分が最も大きい前記所定の基準から外れる自動ドア以外の自動ドアの前記稼働情報を提示する、
請求項1から8のいずれか1項に記載の自動ドア保守支援装置。
【請求項10】
複数の自動ドアに関する稼働情報を取得するステップと、
前記取得した複数の稼働情報のうち、同一の開閉方式の自動ドアに関する前記稼働情報同士を比較するステップと、
前記比較結果に基づいて、所定の基準から外れる自動ドアを特定するためのドア特定情報を提示するステップと、
を備える、自動ドア保守支援方法。
【請求項11】
複数の自動ドアに関する稼働情報を取得するステップと、
前記取得した複数の稼働情報のうち、同一の開閉方式の自動ドアに関する前記稼働情報同士を比較するステップと、
前記比較結果に基づいて、所定の基準から外れる自動ドアを特定するためのドア特定情報を提示するステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動ドアの保守支援技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電気等の動力で自動的に開閉する自動ドアは広く普及し、あらゆるタイプの建物や施設に設置されている。自動ドアの正常な稼働を担保するため、自動ドアの維持管理のための保守契約を締結するケースがある(例えば、特許文献1参照)。保守契約を締結している顧客には、通常、設置後に定期的な保守点検が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
保守契約を締結していない顧客には、保守メンテナンスが必要な時期が来たときに保守メンテナンスを行うことを勧めている。しかし、保守メンテナンスが必要な時期に来たとしても、自動ドアは基本的には開閉可能であり、通行自体は滞りなく可能なことが多い。そのため、顧客に対して保守メンテナンスが必要な時期に来たことを説明しても、保守メンテナンスの必要性を理解してもらえない場合がある。
【0005】
上記に鑑み、本発明の目的は、自動ドアについて保守が必要かどうかの判断を支援できる自動ドア保守支援装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の自動ドア保守支援装置は、複数の自動ドアに関する稼働情報を取得する取得部と、前記取得部が取得した前記複数の自動ドアに関する前記稼働情報のうち、同一の開閉方式の自動ドアに関する前記稼働情報同士を比較する比較部と、前記比較部の比較結果に基づいて、所定の基準から外れる自動ドアを特定するためのドア特定情報を提示する情報提示部と、を備える。
【0007】
本発明の別の態様の自動ドア保守支援方法は、複数の自動ドアに関する稼働情報を取得するステップと、前記取得した複数の稼働情報のうち、同一の開閉方式の自動ドアに関する前記稼働情報同士を比較するステップと、前記比較結果に基づいて、所定の基準から外れる自動ドアを特定するためのドア特定情報を提示するステップと、を備える。
【0008】
本発明のさらに別の態様のプログラムは、複数の自動ドアに関する稼働情報を取得するステップと、前記取得した複数の稼働情報のうち、同一の開閉方式の自動ドアに関する前記稼働情報同士を比較するステップと、前記比較結果に基づいて、所定の基準から外れる自動ドアを特定するためのドア特定情報を提示するステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、自動ドアについて保守が必要かどうかの判断を支援することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】自動ドアの機能を概略的に示すブロック図である。
【
図3】自動ドア保守支援装置の構成を模式的に示す図である。
【
図4】自動ドアの位置とドア速度及び駆動電圧の関係の一例を示す図である。
【
図5】自動ドアのドア速度と経過時間との関係の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の実施形態および変形例では、同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0012】
[実施形態]
本実施形態の概要を説明する。本実施形態の自動ドア保守支援装置は、複数の自動ドアの中から、同一の開閉方式の自動ドアを抽出し、後述する稼働情報同士を比較する。同一の開閉方式という非常に近い条件の自動ドアの稼働情報同士は、自動ドアの異常や劣化がなければ、基本的には近似したものとなるはずである。したがって、他の稼働情報から乖離した稼働情報を見出すことにより、異常や劣化の可能性がある自動ドアを効果的に発見できる。その結果、様々な場所に設置された多数の自動ドアについての保守メンテナンスの要否の判断を支援することが可能となる。
【0013】
本発明の自動ドア保守支援装置1の保守支援対象である自動ドアについて、
図1および
図2を参照して説明する。
図1は、自動ドア100を概略的に示す正面図である。
図2は、自動ドア100の機能を概略的に示すブロック図である。
【0014】
図2に示す各機能ブロックは、ハードウェア的には、演算機能、制御機能、記憶機能、入力機能、出力機能を有するコンピュータや、各種の電子素子、機械部品等で実現され、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックが描かれる。したがって、これらの機能ブロックがハードウェア、ソフトウェアの組合せによって様々な形態で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0015】
図1または
図2に示されるように、自動ドア100は、開閉動作される扉部10と、自動ドア100全体を制御するコントローラ20と、通行者を検出するドアセンサ30と、動力を発生させる駆動部40と、動力を扉部10に伝達する動力伝達部50と、を主に備える。なお、以下の説明では、
図1における左右方向を水平方向(可動方向)とし、
図1における上下方向を鉛直方向とするが、自動ドア100は任意の姿勢で設置することができ、その設置方向が以下の例に限定されるものではない。
図1の例では、その開閉方式が両引き式の自動ドアを示したが、これに限定されず、その開閉方式は、片引き式、開き戸式、折り戸式、回転式等であってもよい。
【0016】
扉部10は、それぞれ水平方向に可動に設けられる第1の可動扉11Lと第2の可動扉11Rと、第1の可動扉11Lおよび第2の可動扉11Rが開状態のときにそれぞれと重なる位置に設けられる第1の固定扉12Lと第2の固定扉12Rと、第1の可動扉11Lと第2の可動扉11Rの水平方向の動作をガイドするガイド機構13と、を備える。扉部10の開動作時には、
図1で左側に示される第1の可動扉11Lが左方向に駆動され、
図1で右側に示される第2の可動扉11Rが右側に駆動される。また、扉部10の閉動作時には、開動作時とは逆に、第1の可動扉11Lが右方向に駆動され、第2の可動扉11Rが左方向に駆動される。なお、扉部10を構成する扉の数、形状、開閉方式等は上記に限られず、設置場所のニーズに合わせて適宜設計可能である。また、同様に、扉部10の可動方向も水平方向に限られず、水平方向から傾斜した方向としてもよい。
【0017】
ガイド機構13は、走行レール131と、戸車132と、ガイドレール133と、振れ止め部134と、を備える。走行レール131は、可動扉11L、11Rの上方において、その可動域の全体に亘って水平方向に延伸する柱状のレール部材である。戸車132は、可動扉11L、11Rの上部にそれぞれ二つずつ設けられ、各可動扉11L、11Rを走行レール131に懸架する。各可動扉11L、11Rが水平方向に開閉動作される際、戸車132が走行レール131を転動するため、円滑な開閉動作が可能となる。ガイドレール133は、可動扉11L、11Rの下方において、その可動域の全体に亘って水平方向に延伸する溝状のレール部材である。振れ止め部134は、可動扉11L、11Rの下部から張り出して溝状のガイドレール133に収まる。各可動扉11L、11Rが水平方向に開閉動作される際、振れ止め部134がガイドレール133に沿って動くため、各可動扉11L、11Rの見込み方向(
図2の紙面に垂直な方向)の振動を抑制できる。
【0018】
コントローラ20は、扉部10の開閉に関する各種のパラメータを設定可能である。例えば、コントローラ20は、開閉速度、開閉強度、開口幅等を設定できる。開閉速度は、第1の可動扉11Lおよび第2の可動扉11Rの水平方向の速度であり、両扉の速度の方向は互いに逆向きである。両扉で速度の大きさ(速さ)は等しくするのが好適であるが、異なる速さとしてもよい。また、開閉速度は、通常開閉時とそれ以外の時で異なる値を設定してもよい。例えば、扉部10の通常の閉動作中に、閉じる可動扉11L、11Rに通行者が挟まれるのを緊急回避するために開動作に切り替えるいわゆる反転の場合、その開動作時の可動扉11L、11Rの速度は、通常の開動作時の速度と異なる値を設定してもよい。
【0019】
開閉強度は、可動扉11L、11Rの開閉時の力の大きさであり、後述するモータ41の発生トルク値で制御される。上記の開閉速度と同様に、基本的には可動扉11L、11Rで等しい開閉強度とするのが好適である。また、通常開閉時とそれ以外の時で異なる開閉強度が設定されてもよい。開口幅は、扉部10が全開のときの第1の可動扉11Lと第2の可動扉11Rの水平方向の間隔である。
【0020】
コントローラ20は、制御装置21と、記憶装置22と、通信装置23と、を備える。制御装置21は、マイクロコントローラに実装された演算処理装置で実現され、自動ドア100における各種の情報処理と制御とを司る。制御装置21は、ドアセンサ30から通行人などの検知結果に応じて駆動部40を制御して扉部10を開閉する。また、制御装置21は、通信装置23を介して作業員の作業端末や遠隔のコンピュータから自動ドア100を開閉させるための開閉指令信号を受信したことに応じて、自動ドア100を開閉可能である。制御装置21は、駆動部40のモータ41を駆動する電圧ないし電流を発生させる。
【0021】
記憶装置22は、自動ドア100の各種のデータを記憶する汎用メモリである。特に本実施形態では、後述する自動ドア100の稼働情報とドア条件データの記憶に記憶装置22が利用される。なお、後述するように、稼働情報およびドア条件データは遠隔にあるサーバ等にも記録され、一元的に参照可能となっている。
【0022】
通信装置23は、有線または無線の接続により、自動ドア100の外部の通信機器と様々な情報をやり取りする。例えば、通信装置23は、自動ドア100の設置や保守点検のために現場に赴いた作業員が使用する作業端末と通信可能である。これにより、作業員は作業端末上で、自動ドア100の各部の情報を確認でき、また自動ドア100の各種のデータを入力できる。通信装置23がインターネット等の公衆情報通信網を介した通信機能を備える場合は、遠隔にあるコンピュータから自動ドア100の情報確認やデータ入力を行うことができる。
【0023】
ドアセンサ30は、起動センサ31と、補助センサ32と、を備える。起動センサ31は、扉部10の上方の無目60の表面に設けられる光電センサである。起動センサ31は、赤外線等の光を床面に向けて発射する投光部と、床面からの反射光を検出する受光部を備える。自動ドア100に通行者が近づいて光を遮ると受光部の受光量が変化するため、通行者を検出できる。このような起動センサ31での検出情報がコントローラ20に入力されると、モータ41が駆動されて扉部10が開く。
【0024】
補助センサ32は、扉部10の第1の固定扉12Lと第2の固定扉12Rに設けられる光電センサである。補助センサ32は、第1の固定扉12Lおよび第2の固定扉12Rの一方に設けられる投光部と、他方に設けられる受光部と、を備える。投光部と受光部は床面から同じ高さに設けられ、投光部から水平方向に発射される赤外線等の光を受光部で検出する。扉部10が開いている状態で、その開口部を通行者が通過して光を遮ると受光部の受光量が変化するため、通行者を検出できる。補助センサ32の主な目的は閉保護であり、可動扉11L、11Rの閉動作中に補助センサ32が通行者を検出すると、制御装置21は閉動作を中止して開動作に切り替える反転制御を行う。これにより、通行者が閉じる可動扉11L、11Rに挟まれるのを抑制できる。
【0025】
駆動部40は、回転動力を発生させる動力源としてのモータ41と、モータ41によって回転駆動される駆動プーリ42を備える。モータ41は、各種の公知のモータとして構成できるが、本実施形態では、一例として、ホール素子を用いたエンコーダ41Aを備えるブラシレスモータとする。エンコーダ41Aで検出されたモータ41の回転子の位置が制御装置21に入力され、それに応じて駆動電圧ないし駆動電流がモータ41に印加されることで、所望の回転動力が発生される。駆動プーリ42は、図示しない歯車機構等を介してモータ41の回転子と連結され、連動して回転する。
【0026】
動力伝達部50は、駆動部40で発生された動力を扉部10に伝達し、可動扉11L、11Rを開閉動作する。動力伝達部50は、動力伝達ベルト51、従動プーリ52、連結部材53と、を備える。動力伝達ベルト51は、内周面に多数の歯が形成された環状のタイミングベルトであり、
図2の右側において駆動プーリ42に巻き付けられ、
図2の左側において従動プーリ52に巻き付けられる。この状態において動力伝達ベルト51の水平方向の寸法は、駆動プーリ42と従動プーリ52の水平方向の距離に等しく、また可動扉11L、11Rの可動域の水平方向の寸法と同程度である。モータ41により駆動プーリ42が回転すると、動力伝達ベルト51を介して従動プーリ52が連動して回転する。
【0027】
連結部材53は、可動扉11L、11Rをそれぞれ動力伝達ベルト51に連結して、開閉動作する。ここで、一方の可動扉は動力伝達ベルト51の上側に連結され、他方の可動扉は動力伝達ベルト51の下側に連結される。
図1の例では、動力伝達ベルト51が反時計回りに回転すると、第1の可動扉11Lが左側に移動し第2の可動扉11Rが右側に移動する開動作となり、動力伝達ベルト51が時計回りに回転すると、第1の可動扉11Lが右側に移動し第2の可動扉11Rが左側に移動する閉動作となる。
【0028】
図3は、本発明の実施形態に係る自動ドア保守支援装置1の構成を模式的に示す。自動ドア保守支援装置1は、建物内の様々な場所に設置された多数の自動ドアについて保守が必要かどうかの判断を支援する。自動ドア保守支援装置1は、取得部101と、稼働情報記録部102と、ドア条件記録部103と、自動ドア指定部104と、抽出部105と、比較部106と、情報提示部107と、を備える。自動ドア保守支援装置1は、コントローラ20と一体的に設けられてもよいし、コントローラ20とは別に設けられてもよいし、自動ドア100から離隔して設けられてもよい。
【0029】
本実施形態の自動ドア保守支援装置1を詳細に説明する。自動ドア保守支援装置1は、様々な場所に設置された多数(mを自然数としてm個とする)の自動ドアA1~Amの保守作業を支援する。ここで、各自動ドアA1~Amは、典型的には
図1および
図2で説明したような標準的な構成を有するが、異なる型番や仕様の自動ドアが含まれる。また、型番や仕様が同じであっても、設置環境、設置方法、設置後の稼働状況等は自動ドア毎に異なり、その意味で完全に同一な自動ドアは存在しない。
【0030】
取得部101は、複数の自動ドアA1~Amの稼働情報を取得する。稼働情報は、各自動ドアA1~Amの実際の稼働に伴う情報である。例えば、本実施形態の稼働情報は、自動ドア100の開閉動作の回数と、自動ドア100の走行距離と、閉動作中の自動ドア100と物体(通行人等)とが衝突した場合に自動ドア100を反転開動作させるセーフティリターンの回数と、走行中の自動ドア100と物体とが衝突した場合に自動ドア100を停止させるセーフティストップの回数と、を含む。これらの稼働情報は、自動ドア100の異常、劣化等の判断に利用できる。例えば、上記の開閉動作の回数及び走行距離については、これらが大きいほど、自動ドア100にかかる負担が大きくなるためである。上記のセーフティリターン及びセーフティストップは通常の開閉動作に比べて自動ドア100にかかる負担が大きく、これらの回数の多い自動ドアは回数の少ない自動ドアと比べて異常や劣化等が生じている可能性が高いためである。これらの稼働情報については設置時または保安点検時からの累計の数値を用いてもよいし、過去の一定期間内での累計の数値を用いてもよい。
【0031】
自動ドア100の稼働情報は、取得部101から稼働情報記録部102に供給され、その自動ドア100と関連付けられて稼働情報記録部102に逐次記憶され、稼働情報記録部102から読み出されて利用される。例えば、自動ドア100の設置現場に赴いた作業員は、作業端末を介して稼働情報記録部102に記憶された稼働情報を読み出すことができる。この場合、取得部101の機能は作業端末内に実現される。また、サーバ等の遠隔のコンピュータは、インターネット等の公衆情報通信網を介して、稼働情報記録部102に記憶された稼働情報を読み出すことができる。この場合、取得部101の機能は遠隔のコンピュータ内に実現される。また、通信装置23と遠隔のコンピュータが公衆情報通信網に常時接続されていれば、稼働情報をリアルタイムで遠隔のコンピュータに送信して記録させることができる。この場合は稼働情報記録部102に稼働情報を記憶しなくてもよい。
【0032】
なお、以上の説明から明らかなように、取得部101の機能は、特定の機器内に固定的に実現されるものではなく、様々な機器(作業端末や遠隔のコンピュータ)内に必要に応じて実現される。取得部101で随時取得される自動ドアA1~Amの稼働情報は、稼働情報記録部102に一元的に記録され、現場作業員の作業端末や遠隔にあるコンピュータから随時アクセスできる。ここで、稼働情報記録部102には、全ての自動ドアの全ての稼働情報を全期間または一定期間に亘ってそのまま記録してもよいし、全期間または一定期間の稼働情報に基づく平均値等の統計値を記録してもよい。
【0033】
ドア条件記録部103は、複数の自動ドアA1~Amのドア条件データを記録する。ドア条件データは、特定の自動ドア100を抽出または選定する際の条件に関する情報である。ドア条件データは、自動ドアの開閉方式を示すデータを少なくとも含む。自動ドアの開閉方式を示すデータは、例えば、片引き式、両引き式、開き戸式、折り戸式、回転式のいずれかの開閉方式を示す。
【0034】
ドア条件データは、例えば、自動ドア100の設置時に設置を担当する作業員や遠隔から設置作業を監督する監督員等によってまとめてドア条件記録部103に記録される。ドア条件データは、自動ドア100のローカルの記憶装置22にも記録できるが、作業員または監督員のマニュアル操作に基づき、またはネットワークを介して自動的に読み出して、サーバ等のストレージ領域に構成されるドア条件記録部103に一元的に記録されるのが好ましい。これにより、自動ドア保守支援装置1の後段で、多数の自動ドアの稼働条件を参照した適切な処理を行うことができる。
【0035】
自動ドア指定部104は、例えば作業員によるコンピュータの操作入力に基づき、自動ドアを指定する。ここでは、例えば、保安点検の時期が近づいてきた自動ドア100や特定の管理者又は所有者の自動ドア100が指定される。また、コンピュータによって巡回的に各自動ドアが順番に保守対象に指定されてもよい。
【0036】
抽出部105は、ドア条件記録部103で記録されたドア条件データに基づいて、同一の開閉方式の複数の自動ドア100の稼働情報を稼働情報記録部102から抽出する。具体的には、抽出部105は、自動ドアの開閉方式を示すデータに基づいて、自動ドア指定部104によって指定された自動ドア100の稼働情報と、指定された自動ドア100と同一の開閉方式の他の自動ドア100の稼働情報とを抽出する。
【0037】
本実施形態では、抽出部105は、m個の自動ドアA1~Amの中から複数の自動ドアを抽出する際に、自動ドア指定部104によって指定された自動ドアB1と、それと同一の開閉方式のn-1個の自動ドアB2~Bnの、合計n個の自動ドアB1~Bnを抽出するものとする。ここで、自動ドアB1~Bnの集合は、自動ドアA1~Amの集合の部分集合であり、nはm以下である。抽出部105は、抽出した稼働情報を比較部106に供給する。
【0038】
比較部106は、取得部101によって取得された稼働情報のうち、抽出部105によって抽出された複数の自動ドアB1~Bnの稼働情報同士を比較し、その比較結果を情報提示部107に出力する。本実施形態では、同一の開閉方式(
図1の例では両引き式)の複数の自動ドアB1~Bnの稼働情報同士(自動ドア100の開閉動作の回数同士、自動ドア100の走行距離同士、セーフティリターンの回数同士及びセーフティストップの回数同士)が比較される。本実施形態の比較結果は、各自動ドアB1~Bnの稼働情報の他の稼働情報に対する差分である。各自動ドアの各稼働情報の値は、現在の値でもよいし、一定期間の稼働情報に基づく平均値等の統計値でもよい。
【0039】
情報提示部107は、比較部106の比較結果に基づいて、所定の基準から外れる自動ドア100を特定するためのドア特定情報を提示する。具体的には、情報提示部107は、各稼働情報の他の稼働情報に対する差分が閾値を超えるか否かに基づいて、各稼働情報に関する自動ドアが所定の基準から外れるか否かを判定する。所定の基準から外れる場合、情報提示部107は、所定の基準から外れた自動ドア100を特定するためのドア特定情報を上記作業端末等に提示する。ドア特定情報は、例えば、自動ドア100によって個別に定められた管理番号等を含む。所定の基準から外れる自動ドアの稼働情報がない場合、情報提示部107は、例えばその旨を上記作業端末等に提示する。なお、不図示の判定部を設け、この判定部が、各稼働情報の他の稼働情報に対する差分が閾値を超えるか否かに基づいて各稼働情報に関する自動ドアが所定の基準から外れるか否かを判定して、その判定結果を情報提示部107に供給してもよい。
【0040】
自動ドア指定部104、抽出部105、比較部106、情報提示部107は、自動ドア設置現場での保守点検の際は作業端末内に実現され、遠隔のコンピュータからの保守点検の際はコンピュータ内に実現される。前者の場合、自動ドア指定部104は作業端末でその現場の自動ドアを指定し、作業端末内に実現される抽出部105は稼働情報記録部102及びドア条件記録部103にアクセスして稼働情報を抽出し、情報提示部107はこれらの稼働情報を作業端末の表示画面等で提示する。同様に、後者の場合、自動ドア指定部104は遠隔のコンピュータで任意の自動ドアを保守対象に指定し、コンピュータ内に実現される抽出部105が稼働情報記録部102及びドア条件記録部103にアクセスして稼働情報を抽出し、情報提示部107はこれらの稼働情報をコンピュータの表示画面等で提示する。以上のように、自動ドア保守支援装置1の各機能は、主に、自動ドア設置現場の作業員が使用する作業端末と、サーバ等の遠隔にあるコンピュータ内に実現される。
【0041】
以下、本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0042】
多数の自動ドアが設置される場合、同じ開閉方式の自動ドアについての稼働情報は、異常や劣化等がなければ基本的に近似した値になると考えられる。そのため、所定の基準から外れる自動ドアがあれば、その異常や劣化等が疑われる。本実施形態によると、多数の自動ドア100の中から異常や劣化の可能性のある自動ドア100を効果的に発見できる。これにより、異常や劣化の可能性のある自動ドア100について保守メンテナンスの必要性を把握しやすくなる。したがって、様々な場所に設置された多数の自動ドアについて保守メンテナンスの要否の判断を支援することが可能となる。
【0043】
本実施形態の稼働情報は、自動ドア100の開閉動作の回数、自動ドア100の走行距離、セーフティリターンの回数及びセーフティストップの回数を含む。本構成によると、新たな構成を設けることなく、問題のある稼働情報に関連付けられた自動ドア100を特定して提示することが可能となる。
【0044】
以下、本実施形態の変形例を説明する。
【0045】
本実施形態の稼働情報は、自動ドア100の開閉動作の回数、自動ドア100の走行距離、セーフティリターンの回数及びセーフティストップの回数を含んだが、これに限定されず、これらの少なくとも1つを含むものであってもよい。
【0046】
稼働情報は、自動ドアを開閉する駆動部40を駆動する際の駆動電圧、駆動電流及び通電時間の少なくとも1つと、走行中の自動ドア100を停止させるために必要な制動距離と、のうちの少なくとも1つを含んでもよい。ここでの制動距離は、上記のセーフティリターン及びセーフティストップにおける制動距離を含む。例えば、モータ41に異常または劣化がある場合、通常の駆動電圧や駆動電流では所期の開閉動作ができない。そのため、制御ループ等を通じて駆動電圧や駆動電流が過大または過小となり、通電時間が通常よりも長くなり、制動距離が通常よりも大きくなる。したがって、これらの稼働情報を比較することにより、異常や劣化の可能性のある自動ドアを特定できる。
【0047】
稼働情報は、自動ドア100の全閉位置と全開位置との間の自動ドア100の扉部10の位置と駆動電圧、駆動電流及び走行速度のうちの少なくとも1つとの相関関係を示す第1相関データと、自動ドア100の走行速度と自動ドア100の開動作及び閉動作の一方の動作の開始からの経過時間との相関関係を示す第2相関データと、のうちの少なくとも1つを含んでもよい。まず、
図4を参照して、界磁磁石(不図示)の減磁などによりモータ41が劣化してその能力が低下した場合を例に、第1相関データについて説明する。
図4は、開動作における扉部10の位置に対する扉部10の走行速度Vd及び駆動電圧Emを示すグラフである。
図4の実線は、モータ41が劣化していない初期状態の自動ドア100(A)の走行速度(ドア速度)Vd(A)および駆動電圧Em(A)を示す。
図4の破線は、モータ41の能力が低下した状態の自動ドア100(B)の走行速度Vd(B)および駆動電圧Em(B)を示す。ここで、本実施形態の開動作は、閉位置で停止している扉部10を所定の第1速度まで加速する加速制御動作と、第1速度を維持する高速制御動作と、第2速度まで減速する減速制御動作と、第2速度を維持する低速制御動作と、扉部10をストッパ(不図示)に接触させて停止させるドア当たり動作と、を含む。
【0048】
図4の扉部10の位置対走行速度・駆動電圧のグラフから、以下がわかる。
(1)高速域(高速制御動作時)の自動ドア100(B)の電圧Em(B)は、自動ドア100(A)の電圧Em(A)より高い。
(2)加速域(加速制御動作時)で同じ位置に対応する、自動ドア100(B)のドア速度Vd(B)は、自動ドア100(A)のドア速度Vd(A)より低い。
(3)加速終了時(
図4中の第1速度に達したとき)における、自動ドア100(B)は、自動ドア100(A)よりも閉後方側に位置する。
【0049】
図4では駆動電圧を例に挙げたが、駆動電流でも駆動電圧と同様の結果が得られる。また、
図4ではモータ41の劣化を例に挙げたら、これ以外にも、例えば戸車132の摩耗などによる扉部10の走行抵抗の増加により
図4と同様の結果が得られる。したがって、第1相関データ同士を比較して駆動電流、駆動電圧及び走行速度が乖離しているかを判断することにより、異常や劣化の可能性のある自動ドアを特定できる。
【0050】
次に、
図5を参照して、動力伝達ベルト51が緩んだ場合を例に、第2相関データについて説明する。
図5は、自動ドア100の開動作の開始からの経過時間に対する自動ドア100の走行速度Vdを示すグラフである。
図5の実線は、動力伝達ベルト51が緩んでいない初期状態の自動ドア100(C)の走行速度Vd(C)を示す。
図5の破線は、動力伝達ベルト51が緩んだ状態の自動ドア100(D)の走行速度Vd(D)を示す。
【0051】
動力伝達ベルト51が緩むと、動力伝達ベルト51の遊びが多くなり開動作の開始時における抵抗が小さくなる。その結果、
図5に示すように開動作の開始時にドア速度が急激に増加する。そのため、開動作の開始時の自動ドア100(D)の走行速度Vd(D)は、自動ドア100(C)の走行速度Vd(C)より高いことがわかる。
【0052】
図5では開動作の場合を例に挙げたが、閉動作の開始時も同様の結果が得られる。したがって、第2相関データ同士を比較して走行速度が乖離しているかを判断することにより、異常や劣化の可能性のある自動ドアを特定できる。
【0053】
以上をまとめると、稼働情報は、自動ドア100の開閉動作の回数と、自動ドア100の走行距離と、セーフティリターンの回数と、セーフティストップの回数と、駆動電圧、駆動電流及び通電時間の少なくとも1つと、制動距離と、第1相関データと、第2相関データと、のうちの少なくとも1つを含む、といえる。
【0054】
比較部106は、稼働情報のうち、駆動電圧及び駆動電流のうちの少なくとも1つの最大値同士を比較してもよい。モータ41の駆動電圧及び駆動電流の最大値が比較的大きい場合、モータ41に大きい負荷がかかる。そのため、モータ41に異常や劣化が生じる可能性が高くなる。したがって、これらの最大値を比較することにより、異常や劣化の可能性のある自動ドア100を特定できる。なお、ここでの最大値は、設置時から現在までの最大値であってもよいし、設置後の任意の時点から現在までの一定期間内での最大値であってもよい。
【0055】
ドア条件データは、自動ドア100の管理者を示すデータを含んでもよい。自動ドア100の管理者を示すデータは、例えば、その管理者の名前等の管理者を識別するための情報を含む。この場合、抽出部105は、自動ドア100の管理者を示すデータに基づいて、管理者が同一の自動ドア100の稼働情報を抽出してもよい。具体的には、抽出部105は、自動ドア指定部104によって指定された自動ドア100の稼働情報と、指定された自動ドア100と同一の管理者且つ同一の開閉方式の自動ドア100の稼働情報と、を抽出してもよい。また、比較部106は、抽出部105によって抽出された、管理者が同一の自動ドア100に関する稼働情報同士を比較してもよい。本構成によると、管理者が所有している全ての自動ドア100について、保守の要否をまとめて判断しやすくなる。
【0056】
ドア条件データは、自動ドア100の設置される建物に関するデータ、自動ドア100の使用する駆動部40の種類に関するデータ、自動ドア100の設置時期又は保安点検時期に関するデータのうちの少なくとも1つを含んでもよい。自動ドア100の設置される建物に関するデータは、例えばその建物の名前や住所等を含む。自動ドア100の使用する駆動部40の種類に関するデータは、例えば駆動部40の型番を含む。例えば、自動ドア100の設置時期に関するデータは最初に設置した年月日を含み、保安点検時期に関するデータは保守点検を行った年月日を含む。この場合、抽出部105は、自動ドア100の設置される建物に関するデータ、自動ドア100の使用する駆動部40の種類に関するデータ、自動ドア100の設置時期又は保安点検時期に関するデータに基づいて、同じ建物に設置される自動ドア、同一種類の駆動部を使用する自動ドア、同一の設置時期又は保守点検時期の自動ドアのうちの少なくとも1つの稼働情報を抽出してもよい。また、比較部106は、抽出部105によって抽出された、同じ建物に設置される自動ドア、同一種類の駆動部を使用する自動ドア、同一の設置時期又は保守点検時期の自動ドアのうちの少なくとも1つに関する稼働情報同士を比較してもよい。本構成によると、より近い使用条件にある自動ドア100に関する稼働情報のうち、問題のある稼働情報に関連付けられた自動ドア100を特定できるため、特定結果に対する信頼性が高まりやすくなる。
【0057】
抽出部105は、複数の自動ドアに関する稼働情報のうち、同一時点又は同一期間に関する稼働情報を抽出してもよい。この場合、比較部106は、複数の自動ドアに関する稼働情報のうち、同一時点又は同一期間に関する稼働情報同士を比較してもよい。本構成によると、季節や時間帯等を考慮して問題のある稼働情報に関連付けられた自動ドア100を特定できるため、特定結果に対する信頼性が高まりやすくなる。
【0058】
比較部106は、複数の自動ドアに関する稼働情報のうち、第1の時点に関する稼働情報と、第1の時点よりも後の第2の時点に関する稼働情報とを比較してもよい。本構成によると、第1の時点に取得された稼働情報と、第1の時点よりも例えば半年後の第2の時点に取得された稼働情報とを比較することにより、その稼働情報の半年間での時系列的な変化を把握することができる。その結果、その変化の度合いを考慮して問題のある稼働情報に関連付けられた自動ドア100を特定できるため、特定結果に対する信頼性が高まりやすくなる。
【0059】
本実施形態では、比較結果を上記差分とし、上記差分が閾値を超えるか否かに基づいて、自動ドアが所定の基準から外れるか否かが判定されたが、これに限定されない。例えば、各稼働情報を有意差検定等の統計的手法を用いて比較し、有意差がある稼働情報に関する自動ドアが所定の基準から外れると判定されてもよい。
【0060】
本実施形態では、取得部101が全ての自動ドアA1~Amの稼働情報を取得し、抽出部105によって抽出された自動ドアB1~Bnの稼働情報を情報提示部107が提示していたが、取得部101に抽出部105の抽出機能を設け、最初から自動ドアB1~Bnの稼働情報のみを取得してもよい。
【0061】
情報提示部107は、所定の基準から外れる自動ドアの稼働情報と所定の基準から外れる自動ドア以外の他の自動ドアの稼働情報とを比較するための比較用情報をさらに提示してもよい。ここでの他の自動ドアの稼働情報は、1つでもよいし、複数であってもよい。例えば、情報提示部107は、
図6に示すようなn個の自動ドアB1~Bnの稼働情報の一覧表を比較用情報として作業端末等に提示する。
図6の一覧表は、各自動ドア100の管理番号、自動ドア100の開閉動作の回数、自動ドア100の走行距離、セーフティリターンの回数及びセーフティストップの回数を示す。このような比較用情報を提示することにより、他の自動ドアの稼働情報に対する乖離度合いを把握できるため、保守メンテナンスの要否の判断をより適切に支援することが可能となる。
【0062】
情報提示部107は、所定の基準から外れる自動ドア以外の他の自動ドアの稼働情報であって、所定の基準から外れる自動ドアの稼働情報に対する差分が最も大きい稼働情報を提示してもよい。本構成によると、所定の基準から外れる稼働情報とこの差分が最も大きい稼働情報とを比較でき、問題のある稼働情報との差がより顕著に表れるため、保守の必要性を判断しやすくなる。
【0063】
比較用情報では、所定の基準から外れる稼働情報を一覧表中で発見しやすくするために、所定の基準から外れる稼働情報に関連付けられた自動ドアの管理番号のセルをハイライトして表示することが好ましい。比較用情報は、上記の一覧表のような形態に限定されず、例えば、所定の基準から外れる稼働情報と他の稼働情報をグラフ形式で重ねて又は並べて配置したデータであってもよい。
【0064】
本実施形態の自動ドア保守支援装置1は、建物に設置される自動ドアを保守支援の対象としたが、これに限定されない。例えば、自動ドア保守支援装置1は、電車やバスの駅等の施設に設けられる自動ドアを保守支援の対象としてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 自動ドア保守支援装置、10 扉部、20 コントローラ、21 制御装置、22 記憶装置、23 通信装置、30 センサ、40 駆動部、41 モータ、100 自動ドア、101 取得部、102 稼働情報記録部、103 ドア条件記録部、104 自動ドア指定部、105 抽出部、106 比較部、107 情報提示部。