(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022119657
(43)【公開日】2022-08-17
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 5/04 20060101AFI20220809BHJP
【FI】
A63F5/04 650
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021016929
(22)【出願日】2021-02-04
(71)【出願人】
【識別番号】591142507
【氏名又は名称】株式会社北電子
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川口 聖矢
【テーマコード(参考)】
2C518
【Fターム(参考)】
2C518EA09
2C518EB01
2C518EB08
2C518EB11
2C518EB16
2C518EC26
2C518EC30
(57)【要約】
【課題】 特定の時間帯に遊技を行うと設定示唆演出が実施される遊技機を提供する。
【解決手段】 第1遊技設定値と第2遊技設定値とを含む複数の遊技設定値から何れかの遊技設定値を設定可能な遊技設定値設定手段と、現在の時刻が特定時刻であるかを判定可能な時刻判定手段と、時刻判定手段により特定時刻と判定された状態において、遊技が実行されたかを判定可能な遊技実行判定手段と、遊技実行判定手段により遊技が実行されたと判定されたことに基づいて、遊技設定値設定手段により設定された遊技設定値に関する情報である遊技設定値情報を報知可能な報知手段とを備える構成としてある。
【選択図】
図25
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1遊技設定値と第2遊技設定値とを含む複数の遊技設定値から何れかの遊技設定値を設定可能な遊技設定値設定手段と、
現在の時刻が特定時刻であるかを判定可能な時刻判定手段と、
前記時刻判定手段により前記特定時刻と判定された状態において、遊技が実行されたかを判定可能な遊技実行判定手段と、
前記遊技実行判定手段により遊技が実行されたと判定されたことに基づいて、前記遊技設定値設定手段により設定された遊技設定値に関する情報である遊技設定値情報を報知可能な報知手段と、
を備えることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記報知手段は、
前記遊技実行判定手段により遊技が実行されたと判定され、かつ、前記遊技実行判定手段により遊技が実行されたと判定された後に、所定回数の遊技が実行された場合、遊技設定値情報を報知可能である
ことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記報知手段は、
前記遊技実行判定手段により遊技が実行されたと判定されない場合、前記所定回数の遊技が実行されても遊技設定値情報を報知しない
ことを特徴とする請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記遊技設定値情報は、
第1遊技設定値情報と、第2遊技設定値情報と、を含み、
前記特定時刻は、
第1特定時刻と、当該第1特定時刻よりも後の時刻である第2特定時刻と、を含み、
前記報知手段は、
前記第1遊技設定値が設定されている場合において、前記第1特定時刻に前記第1遊技設定値情報を報知した場合、前記第2特定時刻に前記第2遊技設定値情報を報知せず、
前記第2遊技設定値が設定されている場合において、前記第1特定時刻に前記第1遊技設定値情報を報知した場合、前記第2特定時刻に前記第2遊技設定値情報を報知可能である
ことを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の遊技機。
【請求項5】
前記遊技設定値情報は、
第3遊技設定値情報を含み、
前記報知手段は、
前記第2遊技設定値が設定されている場合よりも前記第1遊技設定値が設定されている場合の方が、前記第1特定時刻において高確率で前記第3遊技設定値情報を報知可能であり、
前記第1遊技設定値が設定されている場合よりも前記第2遊技設定値が設定されている場合の方が、前記第1特定時刻において高確率で前記第1遊技設定値情報を報知可能である
ことを特徴とする請求項4に記載の遊技機。
【請求項6】
遊技者が操作した際、風を送風可能な操作手段と、
前記時刻判定手段により前記特定時刻と判定された状態において、前記操作手段が操作されたかを判定可能な操作実行判定手段と、を備え、
前記操作手段は、
前記操作実行判定手段により操作が実行されたと判定されたことに基づいて、設定されている前記遊技設定値に応じて送風態様が異なる風演出を実行可能な
ことを特徴とする請求項1~5の何れかに記載の遊技機。
【請求項7】
前記第2遊技設定値が設定されている場合にのみ、実行可能な前記風演出を備える
ことを特徴とする請求項6に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技者に有利な遊技状態である有利区間中のゲーム数が1200回に到達したことを条件として、設定示唆演出が行われる遊技機が開示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の遊技機には、改良すべき余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を達成するため、本発明の遊技機は、第1遊技設定値と第2遊技設定値とを含む複数の遊技設定値から何れかの遊技設定値を設定可能な遊技設定値設定手段と、現在の時刻が特定時刻であるかを判定可能な時刻判定手段と、前記時刻判定手段により前記特定時刻と判定された状態において、遊技が実行されたかを判定可能な遊技実行判定手段と、前記遊技実行判定手段により遊技を実行されたと判定されたことに基づいて、前記遊技設定値設定手段により設定された遊技設定値に関する情報である遊技設定値情報を報知可能な報知手段とを備える構成としてある。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図4】遊技機の表示窓における有効ラインを示す図である。
【
図5】当選役と当選役に対応する特典を示す図である。
【
図6】各当選役の内部抽選テーブルを示す図である。
【
図9】各遊技状態における演出画面の表示例を示す図である。
【
図14】第1特化ゾーン抽選テーブルを示す図である。
【
図15】第2特化ゾーン抽選テーブルを示す図である。
【
図16】疑似ゲーム数抽選テーブルを示す図である。
【
図17】通常AT天井ゲーム数抽選テーブルを示す図である。
【
図18】第3特化ゾーン抽選テーブルを示す図である。
【
図20】副制御部の副制御処理を示すフローチャートである。
【
図21】設定示唆演出パターン設定処理を示すフローチャートである。
【
図22】設定示唆キャラ抽選テーブルを示す図である。
【
図23】特定時刻制御処理を示すフローチャートである。
【
図24】遊技実行時制御処理を示すフローチャートである。
【
図25】設定示唆演出画面の表示例を示す図である。
【
図26】風演出制御処理を示すフローチャートである。
【
図29】設定示唆演出パターン設定処理の変形例を示すフローチャートである。
【
図30】設定示唆キャラシナリオ一覧を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら、本発明における遊技機の好ましい実施形態について説明する。
なお、遊技機は、遊技場等に設置されるものであり、様々な種類があるが、本実施形態の一例として、スロットマシン1に適用した場合について説明する。
【0008】
[スロットマシン]
スロットマシン1は、
図1~
図3に示すように、正面側が開口した筐体1bと、筐体1bの正面側を開閉できるように覆う前扉1aで構成される遊技機である。
前扉1aの上部には、例えば、液晶表示器から構成され、遊技に応じた表示による演出や情報表示を行い、報知手段として機能する表示器8や7セグメント表示器で構成される設定示唆演出表示器14を備えている。
この表示器8が表示する情報には、遊技者が狙う停止図柄や停止ボタン5の操作順序(以下、押し順という)に関する情報が含まれる。
そして、表示器8の左右には、音声を出力するスピーカ9や、光による演出を行うLED等の発光手段を備えるランプ11が内蔵されている。
なお、遊技者に対し、表示器8の下方に備えるナビランプ12によっても、停止ボタン5に対応する押し順を報知できる。
【0009】
前扉1aの中央部には、後方を視認可能な表示窓6が形成されており、この表示窓6を透して、可変表示手段としてリール41に表された図柄を視認できる。
表示窓6の下方には、前側に突出する段部が形成されており、この段部の上面には、メダルを投入するメダル投入口2と、ゲームの開始に際して遊技者が押下することにより掛け数を設定するベットボタン2aと、遊技者の押下により遊技機に設定されている設定値の示唆演出を行う演出ボタン15をそれぞれ備えている。
段部の前面には、遊技者がゲームを開始する際に操作するスタートレバー3と、リール41を停止させる際に遊技者が押下する停止ボタン5を備えている。
【0010】
表示窓6の下方には、遊技者に有利な有利区間であることを報知する有利区間ランプ13を備えている。
前扉1aの下部には、メダルが払い出されるメダル払出口7bを備えている。
【0011】
筐体1bの上部には、遊技を統括的に制御する主制御部10と、この主制御部10の制御下で遊技の演出等に関する制御を行う副制御部20を備えている。
主制御部10は、各種演算処理等を行うCPUと、制御プログラムや制御データ等を格納するROMと、各種データを一時記憶する記憶領域やCPUの作業領域等を備えるRAM等を備えている。
主制御部10には、ベットボタン2a、メダルセレクタ2b、スタートレバー3、停止ボタン5、ドラムユニット4、メダル払出装置7、有利区間ランプ13、設定示唆演出表示器14等が接続され、各機器に内蔵されたセンサからの各種信号を受信できるように構成されている。
また、主制御部10は、抽選手段として機能することで、遊技の開始処理や、乱数発生器からの乱数をサンプリングする処理等を行い、このサンプリングされた乱数に基づき役の内部抽選を行う。
副制御部20には、演出に関するプログラム、画像データ、音声データ等の各種情報を格納するサブROMと、各種データを一時記憶する記憶領域やサブCPUの作業領域を備えたサブRAM等が備えられている。
副制御部20には、ナビランプ12、演出ボタン15、表示器8、スピーカ9、ランプ11等が接続され、各機器に対して各種信号を送信できるように構成されている。
筐体1bの中央部には、リール41を回転駆動させるドラムユニット4を備えている。
【0012】
ドラムユニット4は、水平方向に並設されるリール41a、リール41b、リール41cを備え、これらリール41a~41cがステッピングモータ(不図示)の駆動によりそれぞれ回転可能に構成されている。
各リール41a~41cの外周面には、所定の配列にしたがって複数の図柄が表示され、リール41の停止状態において、各リール41a~41cについて、連続する所定数(例えば、3つ)の図柄が表示窓6を透して視認可能となっている。
筐体1bの下部には、メダルの払い出しを行うメダル払出装置7やメダルを貯留するホッパー7aを備え、このメダル払出装置7から払い出されたメダルはメダル払出口7bを介して遊技者に払い出される。
このようなスロットマシン1は、主制御部10が以下のようなゲームを制御する。
【0013】
まず、遊技者が遊技媒体となるメダルをメダル投入口2に投入した後、ゲームの開始にあたり、1ゲームにおけるメダルの掛け数の設定を行う。
このとき、掛け数の設定は、メダル投入口2から直接メダルを投入して設定する方法と、ベットボタン2aを押下して設定する方法がある。
メダル投入口2から直接メダルを投入して設定する方法では、投入されたメダルが前扉1a裏面に設けられたメダルセレクタ2bによって検知されることにより、投入分のメダル枚数に対応する掛け数が設定されてゲームを開始できる状態になる。
【0014】
一方、ベットボタン2aを押下して設定する方法では、1ゲームに掛けるメダルの取得先をクレジットメダルから指定するためのベットボタン2aを押下することで、掛け数が設定されてゲームを開始できる状態になる。
すなわち、本実施形態のスロットマシン1では、1ゲームに対して最大3枚掛けることができ、最大3枚の掛け数を超えない範囲で、1枚掛け、2枚掛け、3枚掛けのいずれの掛け数でもゲームを開始できる。
また、クレジットメダルは、メダル投入口2からのメダルの投入や入賞により加算され、例えば、メダルを50枚まで記憶できる。
このように、メダル投入口2からの直接メダルを投入して設定する方法やベットボタン2aを押下して設定する方法により、設定されるメダルの掛け数は、主制御部10が備えるRAM等の記憶手段に記憶される。
このような状態で、スタートレバー3が操作されると、ゲームが開始され、各リール41a~41cを回転できる。
このとき、主制御部10は、スタートレバー3の操作とともに抽選対象となる「ハズレ」を含む複数の役の中から、1ゲームごとに内部抽選処理を行うことになる。
内部抽選処理では、複数の役の中からゲームが行われるたびに当選役を、所定の当選確率に基づいて抽選により決定する。
したがって、主制御部10は、掛け数が設定された状態で、かつ、スタートレバー3が操作されると、役の抽選を行う抽選手段として機能する。
【0015】
各リール41a~41cは、停止状態から徐々に回転速度を上げた後、一定の速度で回転する定常回転に達する。
このような定常回転に達すると、各リール41a~41cに対応して設けられた各停止ボタン5a~5cを押下できる状態となり、各停止ボタン5a~5cが押下されると、その操作タイミングと内部抽選処理の抽選結果により許容される図柄の組み合わせで停止するように、各リール41a~41cが停止制御される。
【0016】
そして、第3リール停止操作後に、有効ライン上に停止した図柄の組み合わせを判定した結果、所定の図柄の組み合わせであるときに入賞と判定され、図柄の組み合わせに応じた特典が付与される。
このように、主制御部10は、各ゲームの終了に基づいて、遊技結果に応じた特典を付与する。
なお、第1リールとは、3つのリール41a~41cの停止操作が各1回ずつ計3回された場合において、遊技者が最初に停止操作したときの1番目に停止操作されたリールをいう。
【0017】
また、
図4に示すように、表示窓6を介して視認される各リール41a~41cの停止図柄で表される図柄の組み合わせには、複数の有効ラインが設定される。
有効ラインは、3つ水平に並んだ中段、上段、下段の有効ライン1、有効ライン2、有効ライン3と、斜めにクロスする2つの有効ライン4、有効ライン5の計5ラインが設けられる。
この有効ラインに沿って停止されたリール41に表された図柄の組み合わせによって、ゲームの結果が決定されるようになっている。
【0018】
[当選役と当選役に対応する特典]
次に、
図5を参照しながら、有効ラインに沿って停止され、表示窓6に表示される当選役とその当選役に対応する特典について説明する。
当選役には、大別すると小役、リプレイ役及びボーナス役等がある。
小役には、例えば、ベル役、チャンス目役、スイカ役及びチェリー役がある。
なお、チャンス目役、スイカ役及びチェリー役は、以下の説明において、纏めて「レア役」ともいい、後述するモード抽選処理においては、レア役とレア役以外の当選役とで異なる抽選処理が行われることになる。
以下の対応する図柄の組み合わせは、「左リール41a・中リール41b・右リール41c」の順として、説明する。
【0019】
ベル役には、対応する図柄の組み合わせがそれぞれ異なる押し順ベル役と共通ベル役が設けられている。
押し順ベル役には、例えば、3つの停止ボタン(左停止ボタン5a、中停止ボタン5b、右停止ボタン5c)についての6通りある押し順に対して、それぞれ1通りの押し順によって停止ボタン5a~5cが操作されることで、対応する図柄の組み合わせ(例えば、「ベル・ベル・リプレイ」)が有効ライン上に表示される小役で、6通りの押し順ベル1~6役が設けられている。
【0020】
例えば、押し順ベル1役に当選し、かつ、後述するナビ権利抽選で当選した場合には、遊技者は、左停止ボタン5a→中停止ボタン5b→右停止ボタン5cの押し順で停止ボタン5a~5cを操作することで、「ベル・ベル・リプレイ」の図柄の組み合わせが揃うようになっている。
【0021】
このような押し順ベル1~6役は、他の5通りの押し順によって停止ボタン5a~5cが操作されると、対応する図柄の組み合わせ(「ベル・ベル・リプレイ」)が停止されず、「ベル・リプレイ・ベル」等の他の図柄の組み合わせ(「ベルこぼし目」という)が停止することになる。
また、押し順ベル1~6役が有効ライン上に停止した場合には、「15枚」のメダルが払い出される。
なお、押し順ベル役は、6通りに限らず、3通りの押し順ベル1~3役等でもよく、さらには、第1停止図柄(赤7、青7)も組み合わせに加えて、12通り以上になるようにしても良い。
【0022】
共通ベル役は、停止ボタン5a~5cの押し順に関係なく、対応する図柄の組み合わせ「ベル・ベル・ベル」等が停止する小役である。
共通ベル役が有効ライン上に停止した場合には、押し順ベル役と同様に、「15枚」のメダルが払い出される。
【0023】
チャンス目役は、対応する図柄の組み合わせを、「ベル・スイカ・リプレイ」等とする小役(レア役)であり、スイカ役は、対応する図柄の組み合わせを、「スイカ・スイカ・スイカ」等とする小役(レア役)である。
チャンス目役及びスイカ役は、対応する図柄の組み合わせが停止した場合には、ともに「3枚」のメダルが払い出される。
【0024】
チェリー役には、弱チェリー役及び強チェリー役があり、何れも左リール41aの有効ライン上にチェリー図柄が停止する。
弱チェリー役は、有効ライン上に「チェリー・チェリー・ベル」等の図柄の組み合わせが停止し、強チェリー役は、有効ライン上に「チェリー・チェリー・チェリー」等の図柄の組み合わせが停止する小役(レア役)である。
弱チェリー役及び強チェリー役は、ともに対応する図柄の組み合わせが停止した場合、次に説明するリプレイ役と同様に、次回のゲームにおいてメダルの投入を行うことなく遊技できる状態となる、いわゆる再遊技役となっている。
【0025】
リプレイ役は、対応する図柄の組み合わせを、「リプレイ・リプレイ・リプレイ」とする小役であり、このリプレイ役が入賞すれば、次回のゲームにおいてメダルの投入を行うことなく、すなわち、メダルを費やすことなく遊技できる状態となる。
【0026】
ボーナス役は、有効ライン上に「赤7・赤7・赤7」等の対応する図柄の組み合わせが停止しない限り、当選した権利を持ち越すことが可能な役になっている。
このため、対応する図柄の組み合わせが停止することでボーナス役が入賞するまでの期間は、ボーナス当選の成立状態が維持される(以下、この遊技状態を「ボーナス持越し状態」といい、一方、ボーナス役に当選していない遊技状態を「ボーナス非持越し状態」という)。
ボーナス役は、当選したゲームでのみ、入賞させることができ、入賞すると、スイカ役のみに当選するボーナス状態に移行する。
また、ボーナス状態中は、3枚掛けでゲームが行われ、必ず当選するスイカ役の払出枚数が「3枚」と設定されているため、遊技者に払い出されるメダルの払出枚数から遊技者が投入したメダルの投入枚数を差し引いた数量(以下、純増枚数という)は「0枚」となっている。
すなわち、ボーナス状態では、遊技者は、獲得するメダルの増加を期待できない。
以上、説明したような図柄の組み合わせに基づいて、小役、リプレイ役、ボーナス役の当選がそれぞれ判定され、判定の結果、対応する図柄の組み合わせが有効ラインに停止したときに、入賞が成立して各入賞の成立に応じた特典が付与される。
【0027】
続いて、スロットマシン1に設定される設定値について説明する。
スロットマシン1は、ボーナスやAT状態への移行抽選の当選確率等をスロットマシン1の電源部に設けられた設定変更手段を用いることで、変更できる。
例えば、設定変更手段により、特定の当選役の当選確率の異なる1~6の6段階の設定値を設定できる。
【0028】
設定値の設定は、主制御部10と、専用の鍵である設定キー(不図示)と、設定キースイッチ(不図示)によって、実現される。
具体的には、遊技場の管理者等が、設定キーをスロットマシン1の電源部に設けられた設定キースイッチに挿入し、回転操作することで、スロットマシン1の設定値を設定できる状態となる。
そして、この状態のときに、設定値変更スイッチ(不図示)を操作することで、所望の設定値を設定でき、主制御部10は、この設定された設定値をRAM等の記憶手段に記憶し、記憶した設定値に基づいて、ゲームを制御することになる。
すなわち、主制御部10は、第1遊技設定値(例えば、設定1)と第2遊技設定値(例えば、設定6)とを含む複数の遊技設定値から何れかの遊技設定値を設定可能な遊技設定値設定手段として機能する。
なお、設定値は、設定値1~6の6段階(有利度=1<2<3・・・<6)であるが、5段階にしても良いし、7段階以上にしても良い。
【0029】
次に、各当選役の内部抽選における当選確率について説明する。
本実施形態におけるスロットマシン1は、設定値1が設定されるより、設定値6が設定される方が、遊技者にとって有利にゲームを進行するように制御される。
図6は、1~6の6段階の設定値のうち、設定6における3枚掛けのゲーム時の各当選役に対応する内部抽選テーブルを示す図である。
この内部抽選テーブルは、各当選役と当選確率とを対応付けて規定されており、図には示していないが、スロットマシン1に設定する設定値ごとに設けられている。
レア役の当選確率は、弱チェリー<スイカ<チャンス目<強チェリーの関係性を有しており、当選役(例えば、リプレイ役)の中には、ボーナスの非持越し状態と、持越し状態で当選確率に差が設けられているものもある。
【0030】
したがって、主制御部10は、ボーナスを持越し状態か否かで区分けして内部抽選テーブルを記憶し、ゲーム時の各当選役の抽選を行う。
なお、ボーナス役は、単独で当選する構成としているが、これに限られず、他の小役(例えば、チェリ―役)と重複して当選する構成としても良い。
【0031】
[遊技状態の遷移]
次に、主制御部10により制御される遊技状態の遷移について説明する。
本実施形態におけるスロットマシン1は、上述した構成に加えて、以下に示すような遊技状態と、この遊技状態に基づく特徴的なゲーム性を備えている。
遊技状態は、
図7に示すように、RT0状態、RT1状態、ボーナス状態の間で移行するように制御される。
【0032】
[RT状態]
まず、本実施形態におけるスロットマシン1が備えるRT状態について説明する。
図7に示すのは、RT状態の遷移図である。
RTは、リプレイタイムの略称であり、RT状態は、リプレイ役の当選確率が所定の確率で定められたRT0状態、RT1状態を備える。
このRT状態では、主制御部10が、RT0状態、RT1状態を含む複数のRT状態のうち、何れかのRT状態に制御できる。
【0033】
RT0状態への移行は、ボーナス状態の終了又はスロットマシン1における初期化スイッチ等の操作に伴う電源投入(RAM初期化)、設定値の変更(同じ設定値を設定し直した場合(打ち直し)も含む)に基づいて、その後、RT0状態に移行する(
図7の矢印(a)、(b))。
ボーナス状態の終了は、ボーナス状態で、所定の枚数を超える払い出しが行われた時点で終了し、例えば、ボーナス状態は、遊技者にメダルの払い出し数が所定枚数(例えば、メダル40枚)を超えると終了する。
RT0状態の終了は、RT0状態におけるボーナス役の当選に基づく、RT1状態への移行により、終了する(
図7の矢印(c))。
【0034】
RT1状態への移行は、ボーナス役の当選に基づいて、その後、RT1状態に移行する(
図7の矢印(c))。
したがって、RT1状態では、ボーナス持越し状態といえる。
RT1状態の終了は、RT1状態でボーナス役に入賞したことに基づいて、その後、RT1状態からボーナス状態に移行することで、終了する(
図7の矢印(d))。
【0035】
このように、本実施形態では、移行条件がそれぞれ異なるRT0状態及びRT1状態が設けられ、RT0状態及びRT1状態ともに、予め遊技期間の定められていない無限の遊技状態(無限RT)となっている。
RT1状態は、ボーナス役に当選してから入賞するまで継続する、すなわち、ボーナス持越し中の状態に維持されることとなる。
また、ボーナス役は、3枚掛けのゲームでのみ当選し、2枚掛けや1枚掛けのゲームでは当選することはない。
したがって、基本的には、RT1状態で、かつ、ボーナス持越し中に、3枚掛けでゲームを行う構成となっているため、遊技場の開店前に店員が事前に、ボーナス持越し状態にすることが好ましい。
なお、本実施形態のRT状態は、2つであるが、1つ又は3つ以上であっても良い。
【0036】
続いて、AT状態を含む遊技状態間の移行処理及び移行処理に伴って発生する各遊技状態について説明する。
図8は、遊技状態の遷移図であり、遊技状態として、通常状態と、チャンスゾーン(以下、CZ状態という)と、AT状態の遊技状態が示されている。
そして、表示器8に表示される演出画面には、
図9に示すように、各遊技状態に応じて異なる遊技情報が表示される。
主制御部10は、複数の遊技状態に制御でき、遊技状態間における移行処理、移行処理に伴って発生する抽選処理等を制御する。
また、遊技状態は、通常区間と、この通常区間よりも遊技者に有利な有利区間に区分される。
主制御部10は、以下に示す移行条件が成立することに基づいて、それぞれの区間を移行するように制御する。
【0037】
通常区間は、「押し順ベル役」の当選時に「押し順ベル」を入賞させるための押し順が報知されない区間である。
通常区間から有利区間への移行は、内部抽選処理において「ハズレ」を除く全役(以下、有利区間移行役という)に当選した場合に移行する。
「ハズレ」の場合には、通常区間を維持し、一方、有利区間移行役に当選した場合には、通常区間から有利区間へ移行するようになっている。
したがって、通常状態の一部(設定値の設定変更後、AT状態の終了後等)においてのみ、通常区間に滞在し、それ以外は、基本的に有利区間に滞在することになる。
そのため、通常状態においても、通常区間と有利区間の双方に滞在する場合があるが、通常区間の滞在期間は極めて短く、有利区間に滞在していることがほとんどである。
なお、通常区間における遊技状態は、他の遊技状態(例えば、通常区間中に移行したボーナス状態等)を加える構成としても良い。
また、「ハズレ」以外の役に当選した場合に、有利区間に移行するため、ほとんど有利区間に滞在する構成になっているが、有利区間への移行役の種別をさらに限定する等して、有利区間に滞在する割合を減らす構成としても良い。
【0038】
一方、有利区間は、「押し順ベル役」当選時に「押し順ベル」を入賞させるための押し順が報知される区間であり、ボーナス持越し状態、ボーナス状態、、CZ状態、AT状態(ART状態)は、この有利区間に区分けされる。
【0039】
また、有利区間は、AT状態が終了したとき又は有利区間に移行後、以下に示す条件(a)、(b)のうち少なくとも1つが成立したときに終了する。
<有利区間の終了条件>
(a)有利区間での遊技回数が特定回数の「1500ゲーム」に到達したこと
(b)有利区間での獲得枚数が特定枚数の「2400枚」に到達したこと
【0040】
ここで、(a)、(b)に示す有利区間の終了条件について説明する。
主制御部10は、有利区間中に行われるゲーム数と、有利区間中に獲得するメダルの獲得枚数とをそれぞれカウントする有利区間カウンタを有しており、これらをカウントする。
具体的には、有利区間カウンタには、有利区間への移行を契機に、有利区間中に行われるゲーム数の特定回数(例えば、1500ゲーム)と、有利区間中に獲得する獲得枚数の特定枚数(例えば、2400枚)とがそれぞれセットされる。
有利区間カウンタは、ゲームが行われる(ゲームの開始操作を受け付ける)たびに、又は遊技者がメダルを獲得するたびに、カウントされる。
そして、(a)、(b)の条件のうち何れかが成立した場合には、有利区間には滞在することはできず、通常区間に移行するとともに、有利区間カウンタで管理される遊技回数や獲得枚数は、「0」にリセットされる。
なお、この有利区間中の遊技回数の特定回数は、「1500ゲーム以下」が好ましく、例えば、「500ゲーム」や「1000ゲーム」等、適宜任意のゲーム数に変更しても良い。
さらに、有利区間中の獲得枚数の特定枚数も、「2400枚以下」が好ましく、例えば、1000枚や1500枚等に適宜任意の枚数に変更しても良い。
また、本実施形態では、有利区間である場合、AT状態に移行しなければ、押し順に関する情報を報知する演出(以下、ナビ演出という)を行わない構成としているが、AT状態に移行する前でも、ナビ演出を行う構成としても良い。
また、有利区間中は、有利区間ランプ13が点灯されるが、遊技性の低下を防止するために、実際にメダルの増加が見込める状態(例えば、AT状態等)中のみ点灯させる構成としても良い。
【0041】
主制御部10は、所定の移行条件が成立することに基づいて、一の遊技状態から他の遊技状態へと移行するように制御し、CZ状態、AT状態への移行に伴う抽選処理を行う。
各遊技状態の概要は、以下の通りである。
【0042】
[通常状態]
通常状態は、所定の初期化スイッチ等の操作を伴う電源投入時に滞在し、非AT状態に制御される遊技状態である。
通常状態は、遊技を続けることで、遊技者の手持ちのメダルが漸次減少するため、遊技者にとって不利な遊技状態である。
一方、特定状態は、AT状態に制御され、遊技を続けることで、メダルが増加しやすく、遊技者にとって有利である。
そのため、遊技者は、通常状態から特定状態への移行を目指し、また、特定状態に長く滞在することを目指して遊技を行うことになる。
【0043】
ここで、モードについて説明する。
本実施形態におけるスロットマシン1は、「モードA」、「モードB」、「モードC」、「モードD」の計4つのモードが設けられている。
そして、主制御部10は、この4つの各モードで仕様が異なるように制御する。
【0044】
以下、
図10及び
図11を参照しながら、モード抽選処理及び各モードの仕様について説明する。
まず、モード抽選処理について説明する。
モード抽選処理は、通常状態で、通常区間に滞在中に行われる内部抽選処理において有利区間移行役の当選を契機として行われ、仕様がそれぞれ異なるモードのうち、何れかのモードに移行させるかを決定する。
【0045】
図10は、モードの抽選処理に用いる抽選テーブルを示している。
モード抽選は、有利区間移行役に当選したときに取得するモードの移行抽選用の乱数の判定により行われ、この有利区間移行役が通常区間中において当選した場合に、モード抽選処理が行われる。
モード抽選テーブルは、当たり値が、設定されるモードと、スロットマシン1に設定された設定値ごとで対応付けて規定される。
モード抽選は、レア役かレア役以外かで参照する抽選テーブルが異なっており、レア役に当選した場合の方が、遊技者に有利なモード(モードB、モードD)に移行する確率が高くなっており、有利なモードに移行した場合には、遊技者が期待を高められるようなゲーム構成になっている。
このとき、主制御部10は、非AT状態において、複数のモードのうち、何れかのモードに制御可能なモード制御手段として機能する。
なお、モード抽選テーブルでは、設定値ごとに当選確率が異なる4つのモードを設けているが、3つ以下としても良く、さらには、5つ以上としても良く、適宜変更できる。
また、設定値の変更等の制御は、主制御部10で行われるが、主制御部10から副制御部20への設定値に関する情報の送信により、副制御部20が設定値に応じたモードの管理を行うモード制御手段として、機能する構成としても良い。
【0046】
次に、モード抽選処理で決定された各モードの仕様について説明する。
各モードの仕様は、
図11に示すように、モードごとにCZ天井当選回数、CZ当選率、AT天井ゲーム数、AT中獲得数期待値がそれぞれ異なるように規定される。
CZ天井当選回数は、1回の有利区間中、すなわち有利区間移行後に制御されるモードにおいて、AT状態に移行するまでに必要なCZ当選回数を示している。
CZ当選率は、通常状態中のCZ状態への移行抽選の当選確率を示している。
AT天井ゲーム数は、通常状態及びCZ状態において、AT状態に移行するまでに必要なゲーム数を示している(
図9(a)参照)。
AT中獲得数期待値は、AT状態中に、獲得できるメダル数の期待値を示している。
本実施形態では、モードごとに天井当選回数や天井ゲーム数が異なるが、天井当選回数や天井ゲーム数の少ない方が、有利な遊技状態に早く移行でき、メダルを多く獲得できる機会が増えるため、遊技者にとっては、天井当選回数や天井ゲーム数がなるべく小さい値の方が好ましいことになる。
例えば、「モードC」よりも「モードD」の方が、少ないAT天井ゲーム数やCZ天井当選回数が設定されるため、「モードC」よりも「モードD」の方が、メダルを多く獲得できる可能性が増えるため、遊技者にとって有利な構成になっている。
【0047】
したがって、通常状態からAT状態への遷移は複数あるが、基本的な遷移としては、以下の3つの条件のうち何れかを満たすことである。
・ゲーム数がAT天井ゲーム数に到達したこと(
図8の矢印(e))
・CZ状態への移行抽選で当選した回数がCZ天井当選回数に到達したこと(CZ状態に移行した後、AT状態に移行)
・通常状態からCZ状態に移行し、その後CZ状態中にAT抽選(以下、特化ゾーン抽選ともいう)で当選したこと
【0048】
このため、AT天井ゲーム数に到達した場合には、通常状態から直接AT状態に移行することになるが、特に、CZ状態中にAT状態への移行抽選に当選し易いため、遊技者は、通常状態に滞在中、まずCZ状態に移行することを期待して遊技を行うことになる。
なお、CZ状態への移行抽選で当選した回数がCZ天井当選回数に到達した場合も、CZ状態に移行することなく、通常状態から直接AT状態に移行するようにしても良い。
以下、特に説明がない場合には、各遊技状態から他の遊技状態への移行に係る移行抽選においても、基本的に有利区間中に実行されることになる。
【0049】
[CZ状態]
主制御部10は、通常状態において、内部抽選処理の抽選結果としてレア役の当選を契機にCZ状態への移行抽選処理を行う。
CZ状態は、通常状態と同様に、非AT状態に制御され、通常状態よりもAT状態へ移行し易い遊技状態である。
そのため、CZ状態は、通常状態よりも遊技者にとって有利なチャンスゾーンとして位置付けられている。
【0050】
図12は、CZ状態への移行抽選処理に用いる抽選テーブルを示している。
CZ抽選は、モードごとに異なる抽選テーブルが用いられ、レア役ごとに割り振られる乱数値の個数が異なっており、当たり値(当選)及びハズレ値(ハズレ)が、レア役ごとに対応付けて規定される。
【0051】
具体的には、CZ抽選は、通常状態であって有利区間に滞在中に、レア役の当選を契機としてCZ状態へ移行するか否かを決定する。
CZ抽選は、モード抽選処理によって決定されたモードに応じて、参照する抽選テーブルが異なっており、モードA、BとモードC、Dに区分けして、当たり値の当選確率が異なるように制御される。
そして、CZ抽選の当選確率は、モードA、BよりもモードC、Dの方が当選し易く、CZ抽選で当選した場合には、主制御部10は、遊技状態を通常状態からCZ状態に移行するように制御する(
図8の矢印(f))。
なお、CZ状態への移行抽選の移行役はレア役以外でもよく、例えば、ベル役等の当選を契機に所定の確率でCZ状態への移行抽選に当選するようにしても良い。
【0052】
また、CZ状態は、ゲーム数により管理される有限の遊技期間であって、予め設定される規定ゲーム数(例えば、13ゲーム)を、消化するまで継続する。
このとき、表示器8には、味方キャラと敵キャラが対戦するバトルゲームが表示される。
バトルゲームは、CZ状態で行われる演出であり、1ゲームごとに獲得するポイント数を抽選するPt(ポイント)抽選処理が行われ、獲得するポイント数によって、敵キャラがダメージを受ける演出が表示器8に表示される(
図9(b)参照)。
例えば、規定ゲーム数を13ゲームとした場合、1~10ゲームまでは、味方キャラが敵キャラ(雑魚キャラ)とバトルを繰り広げて、ボスキャラが待ち構えるステージに近づいて行く演出が行われ、11~13ゲームでは、ボスキャラが登場し、味方キャラがそのボスキャラとバトルする連続演出が行われる。
さらに、13ゲーム目には、AT状態への移行抽選(特化ゾーン抽選)が継続して行われ、AT状態に移行する場合には、味方キャラがボスキャラに勝利する演出が行われ、AT状態に移行しない場合には、味方キャラがボスキャラに敗北する演出が行われる。
【0053】
次に、
図13~
図15を参照しながら、CZ状態中に行われる抽選処理に用いる抽選テーブルについて説明する。
図13は、全モード共通のPt抽選テーブルを示しており、CZ状態では、所定の小役の当選を契機に、獲得するポイントの抽選処理が行われ、その抽選結果に基づいて、AT状態の移行抽選が行われる。
具体的には、小役の当選役に応じて、獲得するポイントの当選確率が異なっており、その獲得したポイント数によって当選確率の異なるAT抽選が行われる。
Pt抽選は、リプレイ役、ベル役、弱チェリー役、スイカ役、チャンス目役、強チェリー役の何れかに当選したときに取得するPt抽選用の乱数の判定により行われ、必ず何れかのポイントが獲得できるように規定される。
このPt抽選は、抽選結果(1Pt、10Pt、20Pt、30Pt、100Pt)ごとに割り振られる乱数値の個数が異なるように、当たり値が、当選役と、抽選結果ごとに対応付けて規定される。
例えば、リプレイ役に当選したときは、「100Pt」を獲得することはないが、強チェリー役に当選したときは、256個中64個(約25%の確率)で「100Pt」を獲得できる。
このようにPt抽選では、小役の中でも、強チェリー役に当選したときが高いポイントを獲得できる可能性があるため、遊技者は、強チェリー役に当選した場合は、当選に対する期待を高められるようになっている。
【0054】
図14は、CZ状態の終了時に参照する特化ゾーン抽選テーブル(以下、第1特化ゾーン抽選テーブルという)を示している。
第1特化ゾーン抽選テーブルは、CZ状態の終了後に、移行先を決定するための抽選テーブルであり、バトルゲームの13ゲーム間で獲得したポイントの累積値に基づいて、抽選結果が変動する。
第1特化ゾーン抽選テーブルにおいて、「ハズレ」は、AT状態の非当選を示しているため、抽選結果が「ハズレ」の場合には、CZ状態の終了後、通常状態に移行する(
図8の矢印(g))。
一方、「特化ゾーン」は、AT状態の当選を示しているため、抽選結果が「特化ゾーン」の場合には、CZ状態の終了後、AT状態に移行し、例えば、「特化ゾーン10G」は、AT状態に移行したときの特化ゾーンにおけるゲーム数(以下、特化ゲーム数ともいう)が10ゲームであることを示している(
図8の矢印(h))。
【0055】
また、第1特化ゾーン抽選テーブルは、CZ状態への移行抽選で当選した回数が天井当選回数に到達したCZ状態か否かで、参照する抽選テーブルが異なっており、CZ状態の当選回数が天井に未到達時のCZ状態と、CZ状態の当選回数が天井に到達時のCZ状態に区分けして、当たり値の当選確率が異なるように制御される。
例えば、CZ天井当選回数到達時のCZ状態では、当然ながら「ハズレ」が無く、必ずAT状態に移行でき、かつ、CZ天井当選回数未到達時に比べて特化ゾーンにおける特化ゲーム数も多く獲得できる可能性が高くなっている。
【0056】
図15は、ゲーム数がAT天井ゲーム数に到達した際に参照する特化ゾーン抽選テーブル(以下、第2特化ゾーン抽選テーブルという)を示している。
第2特化ゾーン抽選テーブルは、移行する特化ゾーンにおける特化ゲーム数を決定するためのテーブルである。
この第2特化ゾーン抽選テーブルは、当たり値が、付与される特化ゲーム数と、滞在するモードごとに対応付けて規定される。
本実施形態では、通常状態だけでなくCZ状態中においても継続してゲーム数をカウントしているため、CZ状態中にゲーム数がAT天井ゲーム数に到達することもあり得る。
この場合、CZ状態中にAT天井ゲーム数に到達した場合は、即座に特化ゾーン(AT状態)に移行することは無く、CZ状態の最終ゲームに行われる第1特化ゾーン抽選が終了するまで特化ゾーンへの移行を待機する構成になっている(
図8の矢印(h))。
したがって、CZ状態中に、AT天井ゲーム数に到達した場合には、第1特化ゾーン抽選によって獲得した特化ゲーム数が、第2特化ゾーン抽選によって獲得した特化ゲーム数に加算されることになる。
そのため、第1特化ゾーン抽選及び第2特化ゾーン抽選で獲得できる特化ゾーンにおける最大特化ゲーム数がともに30ゲームであるため、遊技者は、最大60ゲームの特化ゲーム数を獲得できる。
【0057】
[AT状態]
次に、本実施形態におけるスロットマシン1が備えるAT状態について説明する。
ATは、アシストタイムの略称であり、例えば、押し順ベル役当選時に、各停止ボタン5a~5cの押し順が報知され、押し順ベル役等の入賞を遊技者にアシストする遊技状態である。
【0058】
例えば、押し順の報知例として、押し順ベル1役に当選したときは、表示器8、スピーカ9及びナビランプ12等を介して、押し順が報知される。
このときの押し順ベル1役の報知は、表示器8では、停止ボタン5に対応する押し順を特定できるように数字「1(左)→2(中央)→3(右)」が表示される。
スピーカ9では、「左」、「中」、「右」の順でそれぞれの音声が出力される。
ナビランプ12を用いる場合は、「12a→12b→12c」の順でナビランプ12が点灯される。
AT状態は、通常、所定の遊技回数に亘って継続して行われ、報知が決定されると、3つの停止ボタン(左停止ボタン5a、中停止ボタン5b、右停止ボタン5c)のナビ演出が行われるため、遊技者が初心者でもメダルを獲得し易い状態といえる。
そのため、押し順を報知するAT状態は、押し順を報知しない非AT状態よりも、遊技者にとって有利な遊技状態である。
このように、主制御部10は、「押し順ベル」が停止するように、又は「ベルこぼし目」が停止しないようにアシストするという特典を遊技者に付与する。
なお、本実施形態におけるAT状態は、一例として各停止ボタン5a~5cの押し順を報知して遊技者をアシストする遊技状態を挙げているが、これに限られず、例えば、第1リール(左リール41a)に停止すべき図柄を表示器8等に表示して、停止すべき図柄を報知して遊技者をアシストする遊技状態のAT状態でも本発明を適用できる。
【0059】
ここで、AT状態における純増状態について説明する。
本実施形態におけるAT状態は、遊技者が獲得する純増枚数の期待値が変動する、いわゆる「純増枚数可変型」のAT状態である。
このため、AT状態は、
図8に示すように、特化ゾーン、疑似ボーナス、通常ATの3種類の1ゲームあたりの純増枚数の期待値が異なる純増状態によって構成される。
また、3種類のAT状態は、主制御部10によってゲーム数により管理され、表示器8に表示されるとともに、ゲームが消化されるごとに1減算される(
図9(c)~(e)参照)。
なお、
図9(d)に示す疑似ボーナス時の残ナビ数は、表示しない構成としても良い。
【0060】
特化ゾーンは、1ゲームあたりの純増枚数の期待値が相対的に中程度のAT状態であり、非AT状態から移行するとともに、押し順ベル1~6役が当選したときに一部のみでナビ(以下、一部ナビという)演出が行われる。
この特化ゾーンでは、
図16に示す疑似ゲーム数抽選テーブルを用いて、疑似ボーナスにおける上乗せするゲーム数を決定する。
【0061】
以下、特化ゾーン中に行われるゲーム数(以下、疑似ゲーム数ともいう)の抽選処理について説明する。
図16は、疑似ボーナスにおける疑似ゲーム数の抽選処理に用いるモードごとの疑似ゲーム数抽選テーブルであり、滞在するモードに応じて、参照する抽選テーブルが異なっており、モードA、BとモードC、Dに区分けして、当たり値の当選確率が異なるように制御される。
この疑似ゲーム数抽選は、特化ゾーンに滞在中、毎ゲームで行われ、この抽選で決定された疑似ゲーム数(抽選結果)が、毎ゲームで上乗せ(加算)される。
したがって、最終ゲームまでに上乗せされたゲーム数が、疑似ボーナス中のゲーム数になる。
【0062】
具体的には、疑似ゲーム数抽選は、主制御部10により、特化ゾーン中において、ベル入賞(ナビ実行含む)、弱チェリー役、スイカ役、チャンス目役、強チェリー役、その他に当選したときに取得するゲーム数抽選用の乱数の判定により行われる。
疑似ゲーム数抽選テーブルにおけるベル入賞(ナビ実行含む)とは、ベル役が入賞すること及びナビ演出が行われることの少なくとも何れか一方を満たすことであり、ナビ演出時に「ベルこぼし目」が停止した場合でもベル役が入賞したものとして疑似ゲーム数抽選が行われる。
また、疑似ゲーム数抽選テーブルにおけるその他とは、ベル役及びレア役以外の役のことで「ベルこぼし目」も含まれる。
疑似ゲーム数抽選は、抽選結果(5ゲーム、10ゲーム、30ゲーム、50ゲーム、100ゲーム)ごとに割り振られる乱数値の個数が異なるように、当たり値が、当選役と、抽選結果ごとに対応付けて規定される。
疑似ゲーム数抽選テーブルでは、ベル役やレア役以外の役でも疑似ゲーム数を獲得できるが、モードに関わらず、5ゲームや10ゲームと少ない疑似ゲーム数が付与され、一方、ベル役やレア役では、5ゲームが付与されないよう制御される。
そして、主制御部10は、特化ゾーン抽選で決定された特化ゲーム数を消化した後、AT状態を特化ゾーンから疑似ボーナスに移行するように制御する(
図8の矢印(i))。
【0063】
疑似ボーナスは、1ゲームあたりの純増枚数の期待値が相対的に高いAT状態であり、特化ゾーンから移行するとともに、押し順ベル1~6役が当選したときに必ずナビ(以下、全ナビという)演出が行われる。
そのため、遊技者は、疑似ボーナスに移行すれば、押し順に関する情報がより多く提供されるため、メダルを多く獲得できる期待感を持って遊技を行うことになる。
この疑似ボーナスは、特化ゾーンで決定された疑似ゲーム数を消化するまで継続し、疑似ボーナス終了時には、疑似ボーナス終了後に移行する通常ATの天井ゲーム数、すなわち再び特化ゾーンに移行までのゲーム数を決定する抽選処理が行われる。
【0064】
以下、
図17を参照しながら、通常ATの天井ゲーム数(以下、通常AT天井ゲーム数ともいう)を決定するときに用いる抽選テーブルについて説明する。
通常AT天井ゲーム数抽選は、有利区間における残りゲーム数に基づいて決定される通常AT天井ゲーム数抽選用の乱数により行われる。
この有利区間の残りゲーム数は、上述した予め定められた上限値となる有利区間中に行われるゲーム数の特定回数から、消化済みのゲーム数を減算した値である。
通常AT天井ゲーム数抽選テーブルは、当たり値が、抽選結果(30ゲーム、50ゲーム、100ゲーム、150ゲーム、200ゲーム)と、有利区間の残りゲーム数に対応付けて規定される。
【0065】
通常AT天井ゲーム数抽選は、滞在するモードに応じて、参照するテーブルが異なっており、主制御部10は、有利区間における残りゲーム数が多いほど、通常AT天井ゲーム数の多い抽選結果に当選するように制御する。
これにより、通常AT天井ゲーム数に到達する前に、有利区間のゲーム数の上限値である特定回数に到達する可能性を低くでき、通常AT天井ゲーム数と有利区間の特定回数の調整を図っている。
そして、主制御部10は、疑似ゲーム数抽選で決定された疑似ゲーム数を消化し、通常AT天井ゲーム数抽選で通常AT天井ゲーム数を決定した後、AT状態を疑似ボーナスから通常ATに移行するように制御する(
図8の矢印(j))。
なお、通常AT天井ゲーム数抽選は、「有利区間における残りゲーム数」に基づいて決定される通常AT天井ゲーム数抽選用の乱数により行われる例について説明したが、有利区間中の消化済みゲーム数である「有利区間消化ゲーム数」に基づいて通常AT天井ゲーム数抽選用の乱数を決定しても良い。
【0066】
通常ATは、1ゲームあたりの純増枚数の期待値が相対的に低いAT状態であり、疑似ボーナスから移行するとともに、押し順ベル1~6役が当選したときに一部ナビ演出が行われる。
この通常ATは、疑似ボーナス終了時に決定された通常AT天井ゲーム数に到達するまで継続し、通常AT天井ゲーム数の到達時に、特化ゾーンにおける特化ゲーム数を決定する抽選処理が行われる。
【0067】
以下、
図18を参照しながら、ゲーム数が通常AT天井ゲーム数に到達した際に参照する特化ゾーン抽選テーブル(以下、第3特化ゾーン抽選テーブルという)について説明する。
第3特化ゾーン抽選テーブルは、再び通常ATから移行する特化ゾーンにおける特化ゲーム数を決定するためのテーブルである。
第3特化ゾーン抽選は、滞在するモードに基づいて、通常AT天井ゲーム数の到達時にそれぞれ取得する特化ゲーム数の抽選用の乱数の判定により行われる。
第3特化ゾーン抽選テーブルは、当たり値が、付与される特化ゲーム数と、滞在するモードごとに対応付けて規定される。
【0068】
このように、AT状態は、純増状態が異なる3種類のAT状態から構成されており、遊技者の有利度からすると、疑似ボーナス>特化ゾーン>通常ATの関係性を有している。
そのため、遊技者は、AT状態が疑似ボーナスのときが、同一の期間内に、最も多くのメダルを獲得できる構成になっている。
そして、通常AT終了後は、再び特化ゾーンに移行することになり(
図8の矢印(k))、特化ゾーン→疑似ボーナス→通常AT→特化ゾーン・・・という流れで、有利区間の終了条件が成立するまでAT状態は継続する(
図8の矢印(l))。
【0069】
また、上述した3種類のAT状態では、押し順ベル役の当選時に行われ、ナビ演出を行うか否かを決定するナビ抽選の当選確率(以下、ナビ率という)を異ならせている。
例えば、特化ゾーンでは、ナビ率を30%とし、疑似ボーナスでは、ナビ率を100%とし、通常ATでは、ナビ率を10%としている。
このように、1ゲームあたりの純増枚数の期待値が多いほど、ナビ率を高くすることで、AT状態ごとの純増枚数の期待値の変動を実現している。
そのため、ナビ率は、特化ゾーン>通常ATの関係性を有しているものの、別途、次に説明するナビ権利抽選に当選してナビ権利を保有していると、一部ナビ演出の特化ゾーンや通常ATにおいても、保有しているナビ権利を消化することで、100%の確率でナビ演出が行われる。
すなわち、ナビ権利の保有状況によっては、通常ATのナビ率が特化ゾーンのナビ率を上回る可能性がある。
これにより、通常ATでも、特化ゾーンよりメダルを多く獲得できる機会が増えることもあるため、遊技者に与えられる喪失感を低減させ、遊技の興趣の低下を防止できる。
【0070】
以下、
図19を参照しながら、ナビ権利抽選テーブルについて説明する。
ナビ権利抽選テーブルは、AT状態(特化ゾーン、疑似ボーナス、通常AT)中に参照し、特化ゾーン及び通常AT中に消化可能なナビ権利(ナビ数)を獲得するか否かを決定する抽選テーブルである。
ナビ権利抽選テーブルは、主制御部10により、ベル入賞(ナビ実行含む)、弱チェリー役、スイカ役、チャンス目役、強チェリー役、その他に当選したときに取得するナビ権利抽選用の乱数の判定により行われる。
ナビ権利抽選テーブルにおけるベル入賞(ナビ実行含む)とは、上述した疑似ゲーム数抽選テーブルと同様に、ベル役が入賞すること及びナビ演出が行われることの少なくとも何れか一方を満たすことであり、ナビ演出時に「ベルこぼし目」が停止した場合でもベル役が入賞したものとしてナビ権利抽選が行われる。
また、ナビ権利抽選テーブルにおけるその他とは、ベル役やレア役以外の役のことで「ベルこぼし目」も含まれるが、ベル入賞やレア役に比べると獲得できるナビ権利は低く規定される。
【0071】
具体的には、ナビ権利抽選テーブルは、有利区間の残りゲーム数が「400ゲーム以下」か否かで当たり値が異なっており、有利区間の残りゲーム数が「400ゲーム以下」の方が、「401ゲーム以上」より、ナビ権利の獲得率が高くなるため、有利区間の後半にAT状態に当選しても満足した出玉を提供し易いように制御される。
【0072】
このようなナビ権利抽選テーブルによって獲得したナビ権利の保有状況によって、通常ATのナビ率が特化ゾーンのナビ率を上回る可能性もあるため、遊技者は、通常ATであっても遊技の興趣が低下すること無く、最後まで遊技を継続するようになり、遊技機の稼働率の向上が見込める。
主制御部10は、AT状態において、特化ゾーンから疑似ボーナス、疑似ボーナスから通常AT、通常ATから特化ゾーンのように移行するように制御することで、遊技の多彩化や期待感を向上させている。
なお、AT状態への移行抽選に当選した場合に、直ぐに特化ゾーン(AT状態)へ移行せず、遊技者に対して、AT状態への移行に対する期待感を高めるための前兆演出を所定ゲーム数(例えば、25~30ゲーム)実行した後に、AT状態へ移行するようにしても良い。
また、AT状態として、1ゲームあたりの純増枚数の期待値が異なる3種類を設けているが、2種類以下としても良く、さらには、4種類以上としても良く、適宜変更できる。
また、ATゲーム数の決定は、抽選テーブルを用いて、抽選で行う構成を一例として説明したが、これに限られず、抽選を行わずに、一義的に決定するような構成でも良い。
例えば、3種類の何れのAT状態は、一律に固定値として所定のゲーム数(例えば、50ゲーム)が設定されること等が一例として挙げられる。
また、3種類のAT状態は、主制御部10にゲーム数によって管理される例について説明したが、これに限られず、小役の当選数(例えば、押し順ベルの当選数)、小役の入賞数(例えば、押し順ベルの入賞数)、遊技者が投入したメダルの投入枚数、遊技者に払い出されるメダルの払出枚数、投入枚数と払い出された払出枚数の差である差枚数等、その他の数値等に基づき、AT状態を管理するようにしても良い。
【0073】
このように、スロットマシン1は、主制御部10が遊技状態制御手段として機能することにより、複数のRT状態、ボーナス状態、CZ状態及びAT状態を制御可能に構成されている。
スロットマシン1は、このような構成に加えて、副制御部20が時刻判定手段、遊技実行判定手段、操作実行判定手段として機能することにより、以下に示すような演出を実現可能に構成されている。
【0074】
次に、遊技場の管理者が設定した設定値を示唆する演出(以下、設定示唆演出という)に伴う各処理について、フローチャートを用いて説明する。
本実施形態では、設定示唆キャラ自体、設定示唆キャラの組み合わせ、演出ボタン15の押下を契機として行われる風演出によって、設定示唆演出を行っている。
設定示唆演出は、副制御部20が備えるサブCPUがプログラムや上述した抽選テーブル等を参照しながら、演出制御手段として機能することで実現される。
以下の各処理は、副制御部20が動作を実行可能なプログラムのフローチャートを示しており、このプログラムや抽選テーブルは、副制御部20に備えるサブROM等の記憶手段に記憶されている。
【0075】
[副制御処理]
図20は、副制御部20が行う副制御処理を示すフローチャートである。
副制御部20は、主制御部10からの制御信号に基づき、表示器8、スピーカ9、ランプ11、演出ボタン15等を用いて、設定示唆演出を行うように制御する。
副制御処理では、設定示唆演出パターン設定処理、特定時刻制御処理、遊技実行時制御処理、風演出制御処理が順次実行される(S100~S400)。
【0076】
[設定示唆演出パターン設定処理]
図21を参照しながら、設定示唆演出パターン設定処理(S100)について説明する。
設定示唆演出パターン設定処理は、具体的な設定示唆演出の演出パターンを決定する処理を行う。
まず、設定示唆演出パターン設定処理では、スロットマシン1の電源がONであるか否かを判定する(S101)。
副制御部20は、スロットマシン1の電源が投入され、主制御部10から電源投入コマンドを受信して電源がONであると判定した場合には(S101:Yes)、S102に処理を進め、一方、電源がOFFであると判定した場合には(S101:No)、処理をリターンする。
なお、副制御部20は、スロットマシン1の電源がONであるか否かの判定ではなく、現在時刻が遊技場の開店時刻以前か否かを判定し、開店時刻以前であると判定した場合には、S102に処理を進めるような制御でも良い。
【0077】
次に、副制御部20は、設定示唆演出カウンタを初期化する(S102)。
設定示唆演出カウンタは、特定時刻と対応付けて決定する設定示唆演出パターン(設定示唆キャラ)の出現順をカウントするカウンタである。
この設定示唆演出カウンタは、設定示唆演出パターンを決めるときと、決定した設定示唆パターンに沿った設定示唆演出を行うときにそれぞれ参照される。
そして、副制御部20は、この初期化した設定示唆演出カウンタに「13」を加算する(S103)。
ここでは、設定示唆演出を構成する設定示唆キャラの出現回数を示す値(例えば「13」)をセットする処理が行われる。
本実施形態では、10時台~22時台の間で1時間に1回、設定示唆キャラが表示されるため、最大「13回」の設定示唆キャラが表示される。
そのため、設定示唆演出カウンタには、「13」がセットされるが、設定示唆演出カウンタにセットする値は、表示器8に出現させたい回数に応じて任意に変更できる。
【0078】
次に、設定示唆演出の抽選処理を行う(S104)。
設定示唆演出の抽選処理は、
図22(a)に示す設定示唆キャラ抽選テーブルを用いて、表示器8に表示する設定示唆キャラを決定する。
副制御部20は、設定示唆キャラ抽選テーブルに規定されている当選確率に基づいて、設定示唆キャラを決定する。
このとき、副制御部20は、所定のタイミングで、主制御部20から設定値コマンドを受信し、この設定値コマンドに基づいて、スロットマシン1に設定されている設定値を判断することになる。
設定示唆キャラは、スロットマシン1に設定される設定値によって当選確率が異なっており、低設定(例えば、設定1~3)では、「キャラI~K」が当選しやすく、高設定(例えば、設定4~6)では、「キャラA~C」が当選し易い構成になっている。
したがって、表示器8には、設定6(第2遊技設定値)が設定されている場合よりも設定1(第1遊技設定値)が設定されている場合の方が、10時台の特定時刻(第1特定時刻)において、高確率で「キャラI」(第3遊技設定値情報)が表示され、設定1が設定されている場合よりも設定6が設定されている場合の方が、10時台の特定時刻で、高確率で、「キャラA」(第1遊技設定値情報)が表示されることになる。
そのため、遊技者は、「キャラA~C」が多く表示器8に表示されていれば、高設定ではないかといった期待感を抱くことができ、設定示唆キャラ自体によって、設定示唆演出を行うことができる。
【0079】
次に、副制御部20は、S104の処理で決定した設定示唆キャラが肯定されるパターンの組み合わせか否かを判定する(S105)。
図22(b)は、設定値ごとの同時に表示されない設定示唆キャラの組み合わせを「〇」で示すことによって、設定示唆キャラの組み合わせが否定されるパターンを示したものである。
例えば、スロットマシン1に設定1が設定されている場合は、「キャラA」と「キャラB」の組み合わせ、設定6が設定されている場合は、「キャラH~K」の組み合わせがそれぞれ否定されるパターンである。
そのため、表示器8には、設定1が設定されている場合、10時台の特定時刻(第1特定時刻)で「キャラA」(第1遊技設定値情報)が表示された場合、11時台の特定時刻(第2特定時刻)で「キャラB」(第2遊技設定値情報)が表示されず、設定6が設定されている場合、10時台の特定時刻で「キャラA」が表示された場合でも、11時台の特定時刻で「キャラB」が表示されることになる。
これにより、遊技者は、スロットマシン1に設定されている設定値の推測が可能になり、ゲームへの期待度が高められるようになっている。
【0080】
そして、副制御部20は、S105の処理おいて、設定示唆キャラが肯定されるパターンの組み合わせであると判定した場合には(S105:Yes)、その設定示唆キャラをセットし(S106)、設定示唆キャラが肯定されるパターンの組み合わせでないと判定した場合には、S104に処理を戻す。
このとき、例えば、スロットマシン1に設定されている設定値が1で1回目に「キャラA」が決定された場合、2回目以降の設定示唆キャラ抽選において「キャラB」が決定された場合には、副制御部20は、「キャラB」以外の設定示唆キャラが決定されるまで再度、設定示唆キャラ抽選をやり直すことにより、設定1で「キャラA」と「キャラB」の双方が表示器8に表示されないように制御する。
【0081】
次に、副制御部20は、設定示唆演出カウンタから「1」を減算する処理を行い(S107)、この減算した設定示唆演出カウンタが「0」であるか否かを判定する(S108)。
副制御部20は、設定示唆演出カウンタが「0」であると判定した場合には(S108:Yes)、S109に処理を進め、一方、設定示唆演出カウンタが「0」でないと判定した場合には、S104に処理を戻す。
したがって、設定示唆演出カウンタが「0」になるまで、S104の設定示唆演出抽選処理が行われることから、設定示唆演出カウンタの値が「13」の場合は、1回目、「12」の場合は、2回目・・・「1」の場合は、13回目という形で設定示唆キャラの決定とともに対応付けてカウントされ、一営業日中に出現する設定示唆キャラを全て決定する。
【0082】
次に、副制御部20は、特定時刻フラグ及び設定示唆演出準備フラグをそれぞれOFFにした後(S109、S110)、遊技回数カウンタを初期化する(S111)。
特定時刻フラグは、特定時刻(例えば、HH:00~15(HHは、時で10~22の値をとる。))であることを示すフラグであり、設定示唆演出準備フラグは、特定時刻に遊技を実行し、設定示唆演出表示の権利を有していることを示すフラグである。
遊技回数カウンタは、設定示唆演出を実行するまでのゲーム数を計数するカウンタである。
【0083】
[特定時刻制御処理]
続いて、
図23を参照しながら、特定時刻制御処理(S200)について説明する。
特定時刻制御処理は、現在時刻が設定示唆演出の実行権利を獲得できる時刻か否かを判定する処理を行う。
まず、特定時刻制御処理では、時刻コマンドを受信したか否かを判定する(S201)。
副制御部20は、RTC(Real-Time Clock)から現在の年月日、時分秒の組み合わせデータである時刻コマンドを受信したと判定した場合には(S201:Yes)、S202に処理を進め、一方、時刻コマンドを受信していないと判定した場合には、処理をリターンする(S201:No)。
RTCは、水晶振動子や発振回路等で構成され、リアルタイムクロック機能を有する。
このRTCは、副制御部20に接続されており、現在時刻を計時する計時手段として機能する。
【0084】
次に、副制御部20は、現在時刻が特定時刻であるか否かを判定する(S202)。
副制御部20は、RTCから受信した時刻コマンドに基づき、現在時刻が特定時刻(例えば、HH:00~15)であると判定した場合には(S202:Yes)、特定時刻フラグをONにした後(S203)、処理をリターンする。
一方、副制御部20は、現在時刻が特定時刻でないと判定した場合には(S202:No)、処理をリターンする。
このとき、副制御部20は、現在時刻が特定時刻であると判定可能な時刻判定手段として機能する。
【0085】
[遊技実行時制御処理]
次に、
図24を参照しながら、遊技実行時制御処理(S300)について説明する。
遊技実行時制御処理は、設定示唆演出を実行する処理を行う。
まず、遊技実行時制御処理では、遊技者が遊技を実行したか否かを判定する(S301)。
ここでは、副制御部20が遊技実行判定手段として機能することにより、主制御部10からスタートレバー3の操作時に送信されるスタートコマンド等に基づき、遊技者による遊技の実行を判定する。
副制御部20は、遊技者が遊技を実行したと判定した場合には(S301:Yes)、S302に処理を進め、一方、遊技者が遊技を実行していないと判定した場合には(S301:No)、処理をリターンする。
なお、遊技者の遊技の実行の判定方法は、遊技者の遊技を認識できるカメラやセンサを設け、そのカメラやセンサによって判定する方法でも良い。
【0086】
次に、副制御部20は、ボタンフラグがONであるか否かを判定する(S302)。
ボタンフラグは、演出ボタン15が有効であることを示すフラグである。
副制御部20は、ボタンフラグがONの場合、すなわち、演出ボタン15が有効であると判定した場合には(S302:Yes)、ボタンフラグをOFF(S303)にして、一方、ボタンフラグがOFFの場合、すなわち、演出ボタン15が有効でないと判定した場合には(S302:No)、S304に処理を進める。
ボタンフラグは、1ゲーム間でのみ有効となるため、ボタンフラグがONのときに演出ボタン15を押下しないで、次のゲームを行った場合には、後述する風演出が行われることはない。
【0087】
次に、副制御部20は、特定時刻フラグがONであるか否かを判定する(S304)。
副制御部20は、特定時刻フラグがONの場合、すなわち、現在時刻が特定時刻(例えば、HH:00~15)であると判定した場合には(S304:Yes)、特定時刻フラグをOFF(S305)にして、一方、特定時刻フラグがOFFの場合、すなわち、現在時刻が特定時刻でないと判定した場合には(S304:No)、S309に処理を進める。
また、副制御部20は、特定時刻フラグをOFF、設定示唆演出準備フラグをONにした後(S305、S306)、設定示唆演出カウンタに「1」を加算する(S307)。
設定示唆演出準備フラグは、遊技回数カウンタを作動するためのフラグであり、S307の処理を行うために、ONにする。
そして、副制御部20は、遊技回数カウンタに「99」を加算した後(S308)、処理をリターンする。
ここでは、遊技回数が100に到達したときに、設定示唆演出が行われるため、今回の遊技を減算した残りの遊技回数である「99」がセットされる。
【0088】
次に、副制御部20は、設定示唆演出準備フラグがONであるか否かを判定する(S309)。
副制御部20は、設定示唆演出準備フラグがONの場合、すなわち、遊技回数カウンタが作動中であると判定した場合には(S309:Yes)、遊技回数カウンタから「1」を減算する(S310)。
一方、設定示唆演出準備フラグがOFFの場合、すなわち、遊技回数カウンタが作動中でないと判定した場合には(S309:No)、処理をリターンする。
次に、副制御部20は、遊技回数カウンタが「0」であるか否かを判定する(S311)。
副制御部20は、遊技回数カウンタが「0」である場合、すなわち、特定時刻から「100回」の遊技を行ったと判定した場合には(S311:Yes)、S312に処理を進め、一方、遊技回数カウンタが「0」でない場合、すなわち、特定時刻から「100回」の遊技を行っていないと判定した場合には(S311:No)、処理をリターンする。
【0089】
次に、副制御部20は、設定示唆演出カウンタに応じた設定示唆演出を行う(S312)。
ここでは、例えば、上述した設定示唆演出パターン設定処理において、表示器8には、設定示唆演出カウンタの値が「1」の場合は、13回目に決定された設定示唆キャラが表示され、設定示唆演出カウンタの値が「3」の場合は、11回目に決定された設定示唆キャラが表示される。
そして、副制御部20は、ボタンフラグをON、設定示唆演出準備フラグをOFFにした後(S313、S314)、処理をリターンする。
したがって、特定時刻に遊技が行われ、かつ、特定時刻に遊技が行われた後に、所定回数(例えば、100回)の遊技が行われた場合に、設定示唆キャラによる設定示唆演出が行われるが、特定時刻に遊技が行われなかった場合には、所定回数の遊技が行われた場合でも、設定示唆キャラによる設定示唆演出が行われることはない。
【0090】
ここで、上述した一連のフローチャートの実行時に、表示器8に表示される設定示唆演出画面の一例について説明する。
図25は、設定示唆演出画面を示しており、説明の便宜上、表示器8の他に表示器8の上段に設定示唆演出表示器14と、表示器8の下段に現在時刻をそれぞれ表示している。
図25(a)は、メニュー画面の一例であり、「キャラA」と「キャラC」の設定示唆キャラがそれぞれ表示されている。
これは、12時台の特定時刻より前の10時台(10:00~10:15(1回目))と11時台(11:00~11:15(2回目))の特定時刻で表示された設定示唆キャラを示している。
図25(b)は、現在時刻が特定時刻前を示しており、
図25(c)は、現在時刻が12時台の特定時刻(12:00~12:15)に含まれる12:00になったことを示している。
そして、遊技者は、この特定時刻内で遊技を開始したため、設定示唆キャラが表示され易くなり、設定示唆演出カウンタが作動するとともに、
図25(d)に示すように、設定示唆演出表示器14に「99」が表示される。
この設定示唆表示器14には、特定時刻で行ったゲーム数をカウントダウンした値、すなわち遊技回数カウンタの値が表示される。
図25(e)は、現在のゲームを含めて遊技回数が予め設定された所定回数まで残り1ゲームになったことを示しており、遊技者がその後も遊技を継続し、12:08の時点で遊技回数カウンタの値が所定回数(例えば、100回)に到達したため、設定示唆演出カウンタに応じた設定示唆キャラである「キャラB」が表示されたことを示している(
図25(f))。
図25(g)は、通常の遊技画面を示しており、
図25(h)は、遊技者がメニュー画面を選択したことで、
図25(a)のメニュー画面に表示された設定示唆キャラに12時台の特定時刻で表示された「キャラB」が加わって、表示されたことを示している。
このように、以前に表示された設定示唆キャラは、メニュー画面(
図25(a)、(h))によって、遊技者がいつでも確認できる構成になっている。
なお、各時間帯で表示される設定示唆キャラを、例えば、ミイラ、宇宙人、仙人等のように、常時表示器8に表示される構成としても良い。
【0091】
このような設定示唆演出により、遊技者は、表示器8に「キャラA~C」が表示されているため、高設定ではないだろうかという期待感を高めて遊技を行うことになる(
図22(a)参照)。
また、遊技者は、表示器8に設定1であるときに表示されない「キャラA」と「キャラB」の組み合わせと、設定2が設定されているときに表示されない「キャラB」と「キャラC」の組み合わせが表示されていることから、現在の設定値が1又は2でないことを推測できる(
図22(b)参照)。
このため、長時間遊技を行った遊技者は、設定示唆キャラを多く確認できることから設定値を予測し易くなるため、遊技を継続させる意欲を引き出すことになる。
このとき、表示器8は、設定示唆キャラ自体及び/又は設定示唆キャラの組み合わせによって、スロットマシン1に設定された設定値に関する情報である遊技設定値情報を報知可能な報知手段として機能する。
なお、図示していないが、「キャラB」が表示されたゲームの開始から次ゲームが開始するまでの期間は、演出ボタン15が有効(ボタンフラグがON)となるため、遊技者がこの期間中に演出ボタン15を押下すると、次に説明する風演出が行われる可能性がある。
【0092】
[風演出制御処理]
続いて、
図26を参照しながら、風演出御処理(S400)について説明する。
風演出御処理では、風を送り出す風演出を実行する処理を行う。
【0093】
まず、風演出御処理では、ボタンフラグがONであるか否かを判定する(S401)。
副制御部20は、ボタンフラグがONであると判定した場合には(S401:Yes)、S402に処理を進め、一方、ボタンフラグがOFFであると場合には(S401:No)、処理をリターンする。
【0094】
次に、副制御部20は、ボタン(例えば、演出ボタン15)操作を検出したか否かを判定する(S402)。
副制御部20は、操作実行判定手段として機能することにより、演出ボタン15が押下され、演出ボタンコマンドを受信して演出ボタン15が押下したと判定した場合には(S402:Yes)、風演出抽選処理を行う(S403)。
一方、副制御部20は、演出ボタンコマンドを受信していないため、演出ボタン15が押下していないと判定した場合には(S402:No)、処理をリターンする。
【0095】
ここで、風演出抽選処理及び風演出に用いる演出ボタン15について説明する。
まず、
図27を参照しながら、S403の処理において行われる風演出抽選処理について説明する。
図27は、風演出抽選処理に用いる風演出抽選テーブルを示しており、風演出抽選処理では、特定時刻における遊技者による演出ボタン15の操作を条件に、設定値に応じて演出内容を決定する抽選が行われる。
風演出の内容は、「無風」、「1秒送風」、「3秒送風」、「5秒送風」、「7秒送風」、「2秒送風→2秒停止→2秒送風」、「1秒停止→2秒送風(風遅れ)」からなる7種類ある。
そして、風演出抽選テーブルでは、これらの風演出の内容を、設定値ごとに異なる当選確率が規定されている。
例えば、「2秒送風→2秒停止→2秒送風」は、低設定(例えば、設定1~3)では当選することは無く、「1秒停止→2秒送風(風遅れ)」にあっては、設定6でのみ当選するように設定されている。
そのため、遊技者は、送風時間や送風パターン等の送風態様の違いを触覚で感じることで、設定されている設定値の推測が可能になり、ゲームへの期待度が高められるようになっている。
【0096】
このような風演出抽選処理によって決定された風演出は、次に説明する演出ボタン15によって、実行される。
図28は、風を送風できる演出ボタン15を示しており、
図28(a)は演出ボタン15の周囲に風発生部151を備える外観図、
図28(b)は演出ボタン15Aの中央に風発生部151を備える外観図である。
演出ボタン15(15A)は、ベットボタン2aに隣接して配置される操作手段の一例であり、表示器8等に遊技者に操作を促す表示がされない、いわゆる隠しボタンとなっており、特定時刻における押下操作を知る者にだけ風演出が行われる。
演出ボタン15は、特定時刻に遊技者が操作した際、風を送風でき、操作部150と、風発生部151と、収納部152により構成されている。
【0097】
操作部150は、透明のアクリル樹脂等によって、遊技者の操作を受け付け可能な円板状に形成されており、後方にはLED等の発光手段が配置されている。
これにより、発光手段が発光すると、操作部150に施された文字等に光が照射されて発光表示されるため、遊技者の興趣を高めている。
風発生部151は、送風機(不図示)からの風を送風するための送風口であり、例えば、操作部150と収納部152の間や操作部150の中央に設けることができる。
遊技者は、演出ボタン15を押下すると、この送風口から風演出抽選処理によって決定された送風時間や送風パターンに応じた風の圧力を受けることになる。
送風機は、送風ファンとその送風ファンを回転するモータ等が組み込まれており、モータの回転数等は電子回路によって制御される。
収納部152は、内部が空洞の円筒状に形成されており、操作部150の操作面を露出させる。
収納部152の内径は、風発生部151が操作部150と収納部152の間に設けられる場合は、操作部150の外径より少し大きく形成され、風発生部151が操作部150の中央に設けられる場合は、操作部150の外径とほぼ同一に形成される。
【0098】
再び、
図26に示す風演出制御処理に戻り、演出ボタン15による風演出が行われた後(S404)、ボタンフラグをOFFにして、処理をリターンする(S405)。
なお、風演出では、送風時間や送風パターンによって設定値を示唆する構成にしたが、この他にも、風の温度や風量をモータの回転数を調整する等して設定値ごとに変化させることで、設定値を示唆する構成としても良い。
また、演出ボタン15の温度を変化させる装置を設けて、例えば、冷たい演出ボタン15のときは、設定値の奇数(設定1、3、5)を示唆し、温かい演出ボタン15のときは、設定値の偶数(設置2、4、6)を示唆する等、演出ボタン15の温度によって設定値を示唆する構成としても良い。
また、演出ボタン15をいわゆる隠しボタンとして用いることで、風演出を行う構成としたが、演出ボタン15の操作を促す表示を表示器8に表示して、隠しボタンの存在を知らない初心者にも楽しめる構成としても良い。
さらには、送風機を有する風発生部151をスピーカ9等に設けて、その風発生部151の送風口から風を送風して、風演出を行っても良い。
【0099】
[変形例]
次に、
図29を参照しながら、設定示唆演出パターン設定処理(S100)の変形例について説明する。
この変形例において、上述した設定示唆演出パターン設定処理との相違点は、S503~S507の処理であり、それ以外の処理については、説明を省略する。
設定示唆演出パターン設定処理(S100)では、表示器8に表示される設定示唆キャラの組み合わせによって、設定値を推測できる構成になっているが、変形例では、複数回の設定示唆キャラを表示器8に表示することにより、2つの設定値に絞り込むことができる構成になっている。
【0100】
変形例における設定示唆演出パターン設定処理(S500)では、S501及びS502の処理をした後、現在の設定値が1又は2の何れか否かを判定する(S503)。
副制御部20は、スロットマシン1に設定されている現在の設定値が1又は2であると判定した場合には(S503:Yes)、設定示唆キャラシナリオデータの「シナリオA」をセットした後(S504)、S508に処理を進める。
一方、副制御部20は、現在の設定値が1又は2でないと判定した場合には(S503:No)、S505に処理を進める。
ここでの設定示唆キャラシナリオデータとして、
図30(a)に示す設定示唆キャラシナリオ一覧を用いて、表示器8に表示する設定示唆キャラを決定する。
設定示唆キャラシナリオ一覧は、出現回数1~13回目までをグループ化したシナリオとして管理され、設定されている設定値に基づいて、何れかのシナリオを決定する構成になっている。
また、
図30(b)は、設定値ごとの同時に表示されない設定示唆キャラの組み合わせを「〇」で示したものであり、設定示唆キャラの組み合わせが否定されるパターンを示したものである。
例えば、スロットマシン1に設定1が設定されている場合は、「キャラC」と「キャラD」の組み合わせ、設定2が設定されている場合は、「キャラD」と「キャラE」の組み合わせがそれぞれ否定されるパターンである。
したがって、「キャラD」は、設定1及び設定2の何れの場合でも、組み合わせが否定される設定示唆キャラとなっているため、遊技者は、表示器8に「キャラD」が表示されないことから、設定されている設定値が1又は2であることを推測できる。
そのため、「シナリオA」は、「キャラD」が出現回数1~13回の間で「1回」も出現されないように規定される。
【0101】
次に、現在の設定値が3又は4の何れか否かを判定する(S505)。
副制御部20は、スロットマシン1に設定されている現在の設定値が3又は4であると判定した場合には(S505:Yes)、設定示唆キャラシナリオデータの「シナリオB」をセットした後(S506)、S508に処理を進める。
一方、副制御部20は、現在の設定値が3又は4でないと判定した場合には(S505:No)、S507に処理を進める。
「シナリオB」は、設定3及び設定4の何れの場合でも、組み合わせが否定される「キャラG」が表示されないように規定されており、遊技者は、表示器8に「キャラG」が表示されないことから、設定されている設定値が3又は4であることを推測できる。
【0102】
次に、副制御部20は、S507の処理において、設定値が1~4の何れでもないことから、現在の設定値が5又は6であると判定できるため、この場合、設定示唆キャラシナリオデータの「シナリオC」をセットした後、S508に処理を進める。
「シナリオC」では、設定5及び設定6の何れの場合でも、組み合わせが否定される「キャラJ」が表示されないように規定されており、遊技者は、表示器8に「キャラJ」が表示されないことから、設定されている設定値が5又は6であることを推測できる。
【0103】
このように、変形例では、「シナリオA~C」のうち、何れかのシナリオを選択することで、設定1又は設定2が設定されている場合は、設定3~6を否定する「キャラG」及び「キャラJ」が表示され、設定3又は設定4が設定されている場合は、設定1、設定2、設定5、設定6を否定する「キャラD」及び「キャラJ」が表示され、設定5又は設定6が設定されている場合は、設定1~4を否定する「キャラD」及び「キャラG」が表示される。
これにより、遊技者は、表示器8に表示される設定示唆キャラを何度も確認すること、すなわち、長時間遊技を行うことで、設定されている設定値を絞り込むことができる。
その結果、遊技者は、現在の設定値が何れの設定であるのか興味を持つことができ、遊技を継続するようになるため、遊技機の稼働率の向上が見込める。
なお、変形例では、設定値に応じて予め作成したシナリオを用いることで、2つの設定値(例えば、設定1又は設定2等)を絞り込める構成にしたが、設定示唆演出パターン設定処理(S100)で示したように回数ごとに設定示唆キャラを決定することにより、シナリオを作成してその作成したシナリオに沿って設定示唆キャラを表示して設定を絞り込める構成としても良い。
【0104】
以上のように、本実施形態における遊技機によれば、特定の時間帯に遊技を行えば設定示唆演出を確認できるため、長期間遊技できない遊技者や閉店まで残り時間が少ない状況で遊技を行う遊技者でも設定示唆演出を確認できる。
さらに設定示唆演出は、複数種類存在し設定に応じて出現しない設定示唆演出も含まれていることから、設定の絞り込みもできるため、より正確な設定を知りたい遊技者を長期間に亘って遊技に引き止めておくことができる。
これにより、長期間遊技できる遊技者だけでなく、長期間遊技できない遊技者にも、現在の設定値に関する情報を、示唆することで推測させることができるため、設定示唆演出に興味を持たせることが可能になり、遊技の興趣向上に寄与できる。
【0105】
一方、従来の遊技機では、特許文献1に開示されているように、本発明のように特定の時間帯に設定示唆演出を確認できる構成ではなく、有利区間中のゲーム数が「1200回」に到達することで、設定示唆演出が行われるため、一日中遊技すれば確実に設定示唆演出を確認できるものの、長期間遊技する余裕がない遊技者や閉店まで残り時間が極めて少ない状況で遊技を行う遊技者は、設定示唆演出を確認できないため、遊技者の遊技の興趣が低下してしまうことがあった。
本発明の遊技機によれば、従来の遊技機が改善すべきこのような課題の全部又は一部を解決できる。
【0106】
以上、本発明の遊技機の好ましい実施形態について説明したが、本発明における遊技機は上述した実施形態にのみに限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能である。
例えば、本実施形態では、本発明をスロットマシン1に適用して説明したが、これに限るものではなく、例えば、パチンコ機等、その他の遊技機にも適用できる。
また、メダル、遊技球等の現物の遊技媒体を用いることなく、データ形式の疑似遊技媒体を用いてゲームを行う、いわゆる封入式遊技機にも適用できる。
また、上述した各種抽選テーブルにおける当選値やその当選値の区分け等は、一例であり、他の当選値やその当選値の区分けを用いることもできる。
さらに遊技機に設定される設定値ごとに各種抽選テーブルにおける当選値やその当選値の区分けを変更できる。
また、遊技機は、AT機に限られず、ART機やボーナスのみを搭載する、いわゆるAタイプでも良い。
また、特定時刻は、HH:00~15としたが、これ以外の時刻でも良く、さらには、特定時刻の終了のたびに次回の特定時刻を抽選によって決定しても良い。
また、特定時刻内に1回でも遊技を行えば、設定示唆演出の実行権利を得られる構成としたが、特定時間内に所定回数(例えば、100回)以上の遊技を行わなければ設定示唆演出の実行権利が得られない構成としても良い。
また、設定示唆演出は、遊技状態に関わらず、一律に「100回」の遊技を行うことで実行される構成としたが、CZ状態やAT状態においては、少ない遊技回数で設定示唆演出を実行する構成としても良い。
また、有利区間での残り遊技回数が所定回数(例えば、400ゲーム)になった場合は、ナビ権利保有数に関わらず、全ナビ演出を行う構成としても良い。
また、有利区間での遊技回数が「1480ゲーム」又は有利区間での獲得枚数が「2350枚」に到達した場合、有利区間の終了条件が成立するまで、エンディングAT(全ナビ演出)に制御する構成としても良い。
また、通常ATの通常AT天井ゲーム数は、一律(例えば、200ゲーム)としても良い。
また、
図21で説明したように、設定示唆演出カウンタを用いて「回数ごと」に設定示唆キャラを設定する構成について説明したが、「時刻ごと」に設定示唆キャラを設定する構成としても良い。
また、押し順ベル1~6役が当選したときに一部のみで全ナビ演出が行われるAT状態を、一部ナビ演出として説明したが、最初に停止する停止ボタン5のみでナビ演出が行われるAT状態を、一部ナビ演出としても良い。
また、停電等の電源遮断時における設定示唆キャラの情報を、記憶保持できる構成とすることで、電源復帰時に設定示唆キャラの情報を再現できる構成としても良く、電源ON後に現在時刻を判定し、判定した現在時刻から、特定時刻が何回発生するかを特定し、その特定した回数分の設定示唆キャラを決定して、電源ON後の設定示唆キャラを表示する構成としても良い。
この場合、例えば、現在時刻が20:50であれば、21:00~21:15、22:00~22:15の計2回分の設定示唆キャラを決定することになる。
また、オールナイト営業等、上述で説明した「13回」よりも多い回数の特定時刻が生じる場合には、設定示唆キャラを「13回」決定した後、改めて設定示唆キャラを「13回」決定するように制御する。
そのため、表示器8に設定示唆キャラを「13回」表示するたびに、「13回」の設定示唆キャラを決定する抽選処理を繰り返すことになる。
【符号の説明】
【0107】
1 スロットマシン(遊技機)
8 表示器(報知手段)
10 主制御部(遊技設定値設定手段)
15 演出ボタン(操作手段)
20 副制御部(時刻判定手段、遊技実行判定手段、操作実行判定手段)