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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022119681
(43)【公開日】2022-08-17
(54)【発明の名称】固体撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/378 20110101AFI20220809BHJP
   H04N 5/369 20110101ALI20220809BHJP
   G01C 3/06 20060101ALN20220809BHJP
【FI】
H04N5/378
H04N5/369 600
G01C3/06 110V
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021016981
(22)【出願日】2021-02-04
(71)【出願人】
【識別番号】521506272
【氏名又は名称】グディックス テクノロジー(エイチケー)カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】山本 秀彦
(72)【発明者】
【氏名】石原 啓一郎
(72)【発明者】
【氏名】八重樫 浩
【テーマコード(参考)】
2F112
5C024
【Fターム(参考)】
2F112AC03
2F112AC06
2F112BA06
2F112CA12
2F112DA04
5C024CY17
5C024EX43
5C024EX52
5C024HX17
5C024HX23
5C024HX29
(57)【要約】
【課題】高精度な距離測定可能な固体撮像装置を提供すること。
【解決手段】固体撮像装置は、第1の方向及び第1の方向と交差する第2の方向に配置され、それぞれに光電変換素子を含み、露光した光の強度に基づく第1の値を生成する第1の画素、及び露光した光の強度に基づく第2の値を生成し第1の画素に隣接する第2の画素を含む複数の画素を有する画素部と、第1の値及び第2の値を用いて差分値を生成する第1の減算回路と、差分値を増幅して差分増幅値を生成し、差分値に対する差分増幅値を規定する特性の接線の傾きが、第1の差分値、第1の差分値より大きい第2の差分値、及び第2の差分値より大きい第3の差分値のうち、第2の差分値において最大となる増幅回路と、増幅回路を用いて生成した差分増幅値をデジタル信号に変換するAD変換回路部と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向及び前記第1の方向と交差する第2の方向に配置され、それぞれに光電変換素子を含み、露光した光の強度に基づく第1の値を生成する第1の画素、及び露光した光の強度に基づく第2の値を生成し前記第1の画素に隣接する第2の画素を含む複数の画素を有する画素部と、
前記第1の値及び前記第2の値を用いて差分値を生成する第1の減算回路と、
前記差分値を増幅して差分増幅値を生成し、前記差分値に対する前記差分増幅値を規定する特性の接線の傾きが第1の差分値、前記第1の差分値より大きい第2の差分値及び前記第2の差分値より大きい第3の差分値のうち、前記第2の差分値において最大となる増幅回路と、
前記増幅回路を用いて生成した差分増幅値をデジタル信号に変換するAD変換回路部と、
を有する固体撮像装置。
【請求項2】
前記増幅回路は対数増幅回路である、請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記増幅回路はリニアアンプである、請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記増幅回路は2乗アンプである、請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項5】
前記第1の減算回路が、前記第1の値から前記第2の値を減算し差分値を生成すると、前記AD変換回路部は、前記第2の値を用いず、前記第1の値をデジタル信号に変換し、
前記第1の減算回路が、前記第2の値から前記第1の値を減算し差分値を生成すると、前記AD変換回路部は、前記第1の値を用いず、前記第2の値をデジタル信号に変換する、請求項1~請求項4の何れか一項に記載の固体撮像装置。
【請求項6】
画素値再構成回路を有し、
前記画素値再構成回路は、
前記増幅回路を用いて生成した差分増幅値のデジタル信号を逆変換し、
前記逆変換されたデジタル信号、及び、前記第1の値のデジタル信号と前記第2の値のデジタル信号との何れか一方の信号を用いて、前記第1の画素に対応するデジタル画像データ及び前記第2の画素に対応するデジタル画像データを生成する、
請求項5に記載の固体撮像装置。
【請求項7】
前記複数の画素は、露光した光の強度に基づく第3の値を生成し前記第1の画素に隣接する第3の画素、及び、露光した光の強度に基づく第4の値を生成し前記第2の画素及び前記第3の画素に隣接する第4の画素を含む、請求項6に記載の固体撮像装置。
【請求項8】
前記第1の値及び前記第3の値を用いて差分値を生成する第2の減算回路と、
前記第1の値及び前記第3の値を用いて生成された差分値を増幅した差分増幅値を生成する第2の増幅回路と、を有し、
前記第2の画素は、前記第1の画素に対して前記第2の方向に隣接し、
前記第3の画素は、前記第1の画素に対して前記第1の方向に隣接し、
前記第4の画素は、前記第2の画素に対して前記第1の方向に隣接し、かつ、前記第3の画素に対して前記第2の方向に隣接し、
前記AD変換回路部は、前記第1の値及び前記第3の値を用いて生成された差分値を増幅した差分増幅値をデジタル信号に変換する、請求項7に記載の固体撮像装置。
【請求項9】
前記第2の画素は、前記第4の画素に対して前記第1の方向に隣接し、かつ、前記第3の画素に対して前記第2の方向に隣接し、
前記第3の画素は、前記第1の画素に対して前記第1の方向に隣接し、
前記第4の画素は、前記第1の画素に対して前記第2の方向に隣接し、
前記第3の値及び前記第4の値を用いて差分値を生成する第2の減算回路と、
前記第3の値及び前記第4の値を用いて生成された差分値を増幅した差分増幅値を生成する第2の増幅回路と、を有し、
前記AD変換回路部は、前記第3の値及び前記第4の値を用いて生成された差分値を増幅した差分増幅値をデジタル信号に変換する、
請求項7に記載の固体撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は固体撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ライトフィールド技術を用いた固体撮像装置を備えた電子機器が広く普及している。ライトフィールド技術を用いた固体撮像装置は、携帯情報端末、デジタルカメラなど、画像を撮像するための機能を有する電子機器に備えられる。ライトフィールド技術を用いた固体撮像装置は、例えば、マイクロレンズアレイと光電変換素子を含む複数の画素とAD変換回路とを備え、複数の画素のうち隣接する画素(ペア画素)によって露光された被写体の露光信号の差分値を用いて、被写体と固体撮像装置の距離情報を含む距離マップを生成することができる。固体撮像装置は、イメージセンサを含む。
【0003】
例えば、特許文献1は、ライトフィールド技術を用いた撮像デバイスおよび撮像方法を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2017/210781号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、ペア画素のそれぞれによって露光された被写体のエッジコントラストが小さい場合、露光信号中に含まれる距離信号成分が小さくなる。AD変換回路は、ペア画素のそれぞれの露光信号を量子化する(デジタルデータを含むデジタル信号に変換する)。すなわち、量子化されたペア画素のそれぞれの距離信号成分の精度が低下し、量子化されたペア画素のそれぞれの露光信号を用いて生成される差分値の精度が低下する。その結果、量子化された差分値を含む信号を用いて生成される距離信号の精度が低下する。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ペア画素のそれぞれによって露光された被写体の距離信号成分の精度の低下を抑制し、高精度な距離測定が可能な固体撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態に係る固体撮像装置は、第1の方向及び前記第1の方向と交差する第2の方向に配置され、それぞれに光電変換素子を含み、露光した光の強度に基づく第1の値を生成する第1の画素、及び露光した光の強度に基づく第2の値を生成し前記第1の画素に隣接する第2の画素を含む複数の画素を有する画素部と、前記第1の値及び前記第2の値を用いて差分値を生成する第1の減算回路と、前記差分値を増幅して差分増幅値を生成し、前記差分値に対する前記差分増幅値を規定する特性の接線の傾きが、第1の差分値、前記第1の差分値より大きい第2の差分値、及び前記第2の差分値より大きい第3の差分値のうち、前記第2の差分値において最大となる増幅回路と、前記増幅回路を用いて生成した差分増幅値をデジタル信号に変換するAD変換回路部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本実施形態によれば、ペア画素のそれぞれによって露光された被写体の距離信号成分の精度の低下を抑制し、高精度な距離測定可能な固体撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る固体撮像装置の構成を示すブロック図である。
図2】本実施形態に係るイメージセンサの構成を示す平面図である。
図3図3(A)は本実施形態に係る差分算出回路の構成を示すブロック図であり、図3(B)は本実施形態に係る増幅回路の入出力特性を示す図である。
図4図4(A)、図4(B)、及び図4(C)は、ライトフィールド技術を用いた固体撮像装置における距離信号を説明するための図である。
図5】ライトフィールド技術を用いた固体撮像装置における距離信号を説明するための図である。
図6図6(A)は本実施形態に係る画素部の構成を示す平面図であり、図6(B)は本実施形態に係る画素部のA1とA2に沿った切断部端面図である。
図7図7(A)は本実施形態に係るイメージセンサを用いない固体撮像装置のシミュレーション結果を示す図であり、図7(B)は本実施形態に係るイメージセンサを用いた固体撮像装置のシミュレーション結果を示す図である。
図8】本実施形態に係る固体撮像装置の駆動方法を説明するためのフローチャート図である。
図9図9(A)及び図9(B)は本実施形態に係る固体撮像装置の駆動方法を説明するための図である。
図10】本実施形態に係る固体撮像装置の駆動方法を説明するためのフローチャート図である。
図11図11(A)及び図11(B)は本実施形態に係る固体撮像装置の駆動方法を説明するための図である。
図12】本実施形態に係る固体撮像装置の構成を示すブロック図である。
図13図13(A)は本実施形態に係る画素部の構成を示す平面図であり、図13(B)は本実施形態に係る画素部のE1とE2に沿った切断部端面図である。
図14】本実施形態に係る固体撮像装置の駆動方法を説明するためのフローチャート図である。
図15図15(A)及び図15(B)は本実施形態に係る固体撮像装置の駆動方法を説明するための図である。
図16】本実施形態に係る固体撮像装置の構成を示すブロック図である。
図17】本実施形態に係る画素部の構成を示す平面図である。
図18】本実施形態に係る固体撮像装置の駆動方法を説明するためのフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照し、説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎない。つまり、当業者が、発明の主旨を保ち、適宜変更することによって容易に想到し得る構成は、当然に本発明の範囲に含有される構成である。図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合がある。しかし、これらはあくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0011】
以下の説明において、露光素子として、光によって起電力が発生する光電変換素子が用いられた構成について例示するが、この構成に限定されない。例えば、露光素子として、光によって電気伝導度が変化する光電変換素子が用いられてもよいし、露光した光の特性(例えば、光の波長)を電気的な信号に変換するタイプの光電変換素子が用いられてもよい。また、本実施形態に係る固体撮像装置は、トランジスタ、容量素子及び抵抗素子などを含む。トランジスタ、容量素子及び抵抗素子などの構造、トランジスタ、容量素子及び抵抗素子などを形成する膜、層、及び各部分の材料は、本発明の技術分野で通常使用される公知技術を採用することができる。
【0012】
なお、本実施形態における「第1」、「第2」、「第3」などの序数は、説明を簡潔にするためだけに用いられており、限定的に解釈されるべきではない。また、本明細書等において、同一、または類似する複数の構成のそれぞれを区別して表記する際には、アルファベットの大文字または小文字を用いる。
【0013】
なお、以下の各実施形態は、技術的な矛盾を生じない限り、互いに組み合わせることができる。
【0014】
本実施形態に係るイメージセンサは、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサである。本実施形態において、ライトフィールド技術を用いた固体撮像装置を、単に固体撮像装置と記す。本実施形態に係る固体撮像装置は、携帯情報端末、デジタルカメラなどの、画像を撮像するための機能を有する電子機器に適用することができる。
【0015】
詳細は後述するが、本実施形態において、ペア画素は、行方向(X方向)に隣接する画素、列方向(Y方向)に隣接する画素だけでなく、互いに対角に位置する画素も含む。本実施形態において、行方向(X方向)は第1の方向と呼ばれ、列方向(Y方向)は第2の方向と呼ばれる。
【0016】
1.第1実施形態
1-1.固体撮像装置10の全体構成
図1は本実施形態に係る固体撮像装置10の全体構成を示すブロック図である。本実施形態に係る固体撮像装置10の構成は、図1に示す構成に限定されない。
【0017】
図1に示すように、固体撮像装置10は、イメージセンサ100、画素値再構成回路200、距離計算回路300、イメージシグナルプロセッサ(Image Signal Processor、ISP)400、及び表示パネル500を有する。イメージセンサ100は、画素値再構成回路200に接続される。画素値再構成回路200は、距離計算回路300、及びISP400に接続される。距離計算回路300、及びISP400は、表示パネル500に接続される。
【0018】
1-2.イメージセンサ100の構成
図2は本実施形態に係るイメージセンサ100の構成を示す平面図である。本実施形態に係るイメージセンサ100の構成は図2に示す構成に限定されない。図1と同一、又は類似する構成の説明は、省略されることがある。
【0019】
図2に示すように、イメージセンサ100は、画素部110、行選択走査回路120、読み出し回路130、及び制御回路140を有する。
【0020】
1-2-1.画素部110の構成
図2に示すように、画素部110の画素PXは、行(ロウ)方向と列(カラム)方向(Y行X列)のマトリクス状に配置される。ここで、Y及びXはそれぞれ独立に設定される正の自然数である。画素PXは、例えば、R画素209A、R画素209B、R画素209C、R画素209D、G画素211A、G画素211B、G画素211C、G画素211D、B画素212A、B画素212B、B画素212C、B画素212D、G画素213A、G画素213B、G画素213C及びG画素213Dに分類される。R画素209A、R画素209B、R画素209C、及びR画素209Dは赤色カラーフィルタを有する画素PXである。G画素211A及びG画素211BはB画素212A及びB画素212Bを有する行に設けられ、緑色カラーフィルタを有する画素PXである。G画素211C及びG画素211DはB画素212C及びB画素212Dを有する行に設けられ、緑色カラーフィルタを有する画素PXである。B画素212A、B画素212B、B画素212C、及びB画素212Dは青色カラーフィルタを有する画素PXである。G画素213A及びG画素213BはR画素209A及びR画素209Bを有する行に設けられ、緑色カラーフィルタを有する画素PXである。G画素213C及びG画素213DはR画素209C及びR画素209Dを有する行に設けられ、緑色カラーフィルタを有する画素PXである。本実施形態では、例えば、R画素209A、R画素209B、R画素209C及びR画素209Dの4つの画素を1つのR画素ユニット159とし、G画素211A、G画素211B、G画素211C及びG画素211Dの4つの画素を1つのGB画素ユニット151とし、B画素212A、B画素212B、B画素212C及びB画素212Dを1つのB画素ユニット152とし、G画素213A、G画素213B、G画素213C及びG画素213Dを1つのGR画素ユニット153とする。R画素ユニット、GR画素ユニット、B画素ユニット及びGB画素ユニットをまとめて1つのブロックとすると、1つのブロックが、マトリクス状に配置される。図2に示す画素の配置は、例えば、クアッドベイヤー(Quad Bayer)配列、クアッドベイヤー配置、クアッドベイヤー構造などと呼ばれる。
【0021】
画素部110において、1行目に設けられる複数の画素PXは、G画素213A、G画素213B、R画素209A及びR画素209Bを第1の組とすると、第1の組がX方向に配置される。2行目に設けられる複数の画素PXは、G画素213C、G画素213D、R画素209C及びR画素209Dを第2の組とすると、第2の組がX方向に配置される。3行目に設けられる複数の画素PXは、B画素212A、B画素212B、G画素211A及びG画素211Bを第3の組とすると、第3の組がX方向に配置される。4行目に設けられる複数の画素PXは、B画素212C、B画素212D、G画素211C及びG画素211Dを第4の組とすると、第4の組がX方向に配置される。1列目に設けられる複数の画素PXは、G画素213A、G画素213C、B画素212A及びB画素212Cを第5の組とすると、第5の組がY方向に配置される。2列目に設けられる複数の画素PXは、G画素213B、G画素213D、B画素212C及びB画素212Dを第6の組とすると、第6の組がY方向に配置される。3列目に設けられる複数の画素PXは、R画素209A、R画素209C、G画素211A及びG画素211Cを第7の組とすると、第7の組がY方向に配置される。4列目に設けられる複数の画素PXは、R画素209B、R画素209D、G画素211B及びG画素211Dを第8の組とすると、第8の組がY方向に配置される。
【0022】
各画素PXは光電変換素子42を有する。光電変換素子42は、露光された光の強度に基づき生成した電力に対応した露光信号を生成する。光の強度は明るさと呼んでもよい。露光した光の強度は、露光強度と呼んでもよい。本実施形態では、光電変換素子42はフォトダイオード(Photo Diode、PD)である。
【0023】
1-2-2.制御回路140及び行選択走査回路120の構成
図2に示すように、制御回路140は、行選択走査回路120及び読み出し回路130に接続する。制御回路140は、行選択走査回路120の行選択を制御するための信号を行選択走査回路120に送信し、スイッチ132a、スイッチ132b、スイッチ132c、スイッチ132d、スイッチ136a、スイッチ136b、スイッチ136c、スイッチ136d、スイッチ136e及びスイッチ136fを制御する信号、及びAD変換回路部138を制御する信号を読み出し回路130に送信する。
【0024】
図2に示すように、行選択走査回路120は、例えば、画素部110に対して行方向に隣接する位置に配置される。行選択走査回路120は、複数の水平信号線に接続する。複数の水平信号線は、例えば、第1の水平信号線162、及び第2の水平信号線164を有する。水平信号線は、同じ行に設けられた複数の画素PXに接続される。例えば、第1の水平信号線162はG画素213A、G画素213B、R画素209A及びR画素209Bに接続され、第2の水平信号線164はG画素213C、G画素213D、R画素209C及びR画素209Dに接続される。行選択走査回路120は、制御回路140から、行選択走査回路120の行選択を制御するための信号を受信し、受信した信号を用いて、各画素を制御する制御信号を生成する。行選択走査回路120は、当該制御信号を用いて、読み出し対象となる画素を行単位で選択する。水平信号線には、当該制御信号が入力される。当該制御信号は、例えば、1行目、2行目、3行目、・・・のように、行毎に順次入力され、各行に接続された複数の画素を、行毎に順次選択する。当該制御信号は、行毎にランダムに入力されてよく、複数の行に同時に入力されてもよい。
【0025】
行選択走査回路120が、所望の行を選択すると、選択した行に接続された各画素に備えられた光電変換素子42が露光される。各画素に備えられた光電変換素子42は、露光された光の強度に基づき電力を生成し、生成した電力に対応した露光信号を生成する。選択された行に接続された各画素に備えられた光電変換素子42によって生成された露光信号(露光された光の強度に基づき生成した電力に対応した露光信号)が、各画素から各画素に接続された垂直信号線に供給される。本実施形態において、露光信号は、被写体の輝度と距離信号成分とを含む。当該露光信号は露光された被写体に対応した画像データであり、画像データは、露光データ、又は生のデータ(RAWデータ)と呼ばれることがある。
【0026】
1-2-3.読み出し回路130の構成
図2に示すように、読み出し回路130は、例えば、画素部110に対して列方向に隣接する位置に配置される。読み出し回路130は、複数の差分算出回路134、AD変換回路部138、差分算出回路134と垂直信号線を接続する複数のスイッチ132、及び、差分算出回路134とAD変換回路部138とを接続する複数のスイッチ136を有する。
【0027】
読み出し回路130は、複数の垂直信号線、及び画素値再構成回路200に接続する。読み出し回路130は、複数の垂直信号線のそれぞれに送信された露光信号を受信する。読み出し回路130に含まれる複数の差分算出回路134は、受信した複数の露光信号を用いて、増幅信号を生成する。また、読み出し回路130に含まれるAD変換回路部138が、受信した複数の露光信号及び増幅信号をデジタル露光信号に変換する。さらに、読み出し回路130は、デジタル露光信号を画素値再構成回路200(図1)に送信する。また、デジタル露光信号はイメージセンサ100から出力される信号(出力データ(図1))である。
【0028】
差分算出回路134は、入力端子L、入力端子R、及び出力端子Oを有する。差分算出回路134は、例えば、第1の差分算出回路134aa、第2の差分算出回路134ab、第1の差分算出回路134ba、第2の差分算出回路134bb、第3の差分算出回路134c(図12)、第4の差分算出回路134d(図16)である。AD変換回路部138は、複数のAD変換回路138a~138hを有する。複数のAD変換回路138a~138hのそれぞれは、入力端子と出力端子(図示は省略)を有する。
【0029】
垂直信号線172はG画素211A、R画素209A、第2の差分算出回路134abの入力端子L、及びAD変換回路138aに接続する。垂直信号線174はG画素213C、B画素212C、及び第1の差分算出回路134aaの入力端子Rに接続する。垂直信号線176はG画素213B、B画素212Bに接続する。垂直信号線178はG画素213D、B画素212Dに接続する。垂直信号線182はR画素209A、G画素211A、第2の差分算出回路134bbの入力端子L、及びAD変換回路138eに接続する。垂直信号線184はR画素209C、G画素211C、及び第1の差分算出回路134baの入力端子Rに接続する。垂直信号線186はR画素209B、G画素211Bに接続する。垂直信号線188はR画素209D、G画素211Dに接続する。
【0030】
スイッチ132aの第1の端子は、垂直信号線172、または垂直信号線176に接続し、スイッチ132aの第2の端子は、第1の差分算出回路134aの入力端子Lに接続する。スイッチ132aは、スイッチ132aを制御する信号、及びAD変換回路部138を制御する信号を用いて、垂直信号線172、または垂直信号線176の何れかを選択し、選択した信号線を第1の差分算出回路134aの入力端子Lに導通させる。
【0031】
スイッチ132bの第1の端子は、垂直信号線176、または垂直信号線178に接続し、スイッチ132bの第2の端子は、第2の差分算出回路134abの入力端子Rに接続する。スイッチ132bは、スイッチ132bを制御する信号、及びAD変換回路部138を制御する信号を用いて、垂直信号線176、または垂直信号線178の何れかを選択し、選択した信号線を第2の差分算出回路134abの入力端子Rに導通させる。
【0032】
スイッチ132cの第1の端子は、垂直信号線182、または垂直信号線186に接続し、スイッチ132cの第2の端子は、第1の差分算出回路134baの入力端子Lに接続する。スイッチ132cは、スイッチ132cを制御する信号、及びAD変換回路部138を制御する信号を用いて、垂直信号線182、または垂直信号線186の何れかを選択し、選択した信号線を第1の差分算出回路134baの入力端子Lに導通させる。
【0033】
スイッチ132dの第1の端子は、垂直信号線186、または垂直信号線188に接続し、スイッチ132dの第2の端子は、第2の差分算出回路134bbの入力端子Rに接続する。スイッチ132dは、スイッチ132dを制御する信号、及びAD変換回路部138を制御する信号を用いて、垂直信号線186、または垂直信号線188の何れかを選択し、選択した信号線を第2の差分算出回路134bbの入力端子Rに導通させる。
【0034】
スイッチ136aの第1の端子は、第1の差分算出回路134aaの出力端子O、または垂直信号線174に接続し、スイッチ136aの第2の端子は、AD変換回路138bに接続する。スイッチ136aは、スイッチ136aを制御する信号、及びAD変換回路部138を制御する信号を用いて、第1の差分算出回路134aaの出力端子O、または垂直信号線174の何れかを選択し、選択した信号線をAD変換回路138bに導通させる。
【0035】
スイッチ136bの第1の端子は、垂直信号線176、または第2の差分算出回路134abの出力端子Oに接続し、スイッチ136bの第2の端子は、AD変換回路138cに接続する。スイッチ136bは、スイッチ136bを制御する信号、及びAD変換回路部138を制御する信号を用いて、垂直信号線176、または第2の差分算出回路134abの出力端子Oの何れかを選択し、選択した信号線をAD変換回路138cに導通させる。
【0036】
スイッチ136cの第1の端子は、第2の差分算出回路134abの出力端子O、または垂直信号線178に接続し、スイッチ136cの第2の端子は、AD変換回路138dに接続する。スイッチ136cは、スイッチ136cを制御する信号、及びAD変換回路部138を制御する信号を用いて、第2の差分算出回路134abの出力端子O、または垂直信号線178の何れかを選択し、選択した信号線をAD変換回路138dに導通させる。
【0037】
スイッチ136dの第1の端子は、第1の差分算出回路134baの出力端子O、または垂直信号線184に接続し、スイッチ136dの第2の端子は、AD変換回路138fに接続する。スイッチ136dは、スイッチ136dを制御する信号、及びAD変換回路部138を制御する信号を用いて、第1の差分算出回路134baの出力端子O、または垂直信号線184の何れかを選択し、選択した信号線をAD変換回路138fに導通させる。
【0038】
スイッチ136eの第1の端子は、垂直信号線186、または第2の差分算出回路134bbの出力端子Oに接続し、スイッチ136eの第2の端子は、AD変換回路138gに接続する。スイッチ136eは、スイッチ136eを制御する信号、及びAD変換回路部138を制御する信号を用いて、垂直信号線186、または第2の差分算出回路134bbの出力端子Oの何れかを選択し、選択した信号線をAD変換回路138gに導通させる。
【0039】
スイッチ136fの第1の端子は、第2の差分算出回路134bbの出力端子O、または垂直信号線188に接続し、スイッチ136fの第2の端子は、AD変換回路138hに接続する。スイッチ136fは、スイッチ136fを制御する信号、及びAD変換回路部138を制御する信号を用いて、第2の差分算出回路134bbの出力端子O、または垂直信号線188の何れかを選択し、選択した信号線をAD変換回路138hに導通させる。
【0040】
読み出し回路130は、以上説明した垂直信号線172~188に係る構成が、X方向に対して繰り返された構成を有する。以上説明したように、読み出し回路130は、複数の差分算出回路134、AD変換回路部138、及び複数のスイッチを用いて、受信した複数の露光信号を処理し、増幅信号を生成し、受信した複数の露光信号及び増幅信号をデジタル露光信号に変換する処理を実行する。よって、本実施形態において、読み出し回路130は処理回路とも呼ばれる。
【0041】
1-2-4.差分算出回路134の構成
図3(A)は本実施形態に係る差分算出回路134の構成を示すブロック図であり、図3(B)は本実施形態に係る増幅回路602の入出力特性を示す図である。本実施形態に係る差分算出回路134の構成は図3(A)及び図3(B)に示す構成に限定されない。図1及び図2と同一、又は類似する構成の説明は、省略されることがある。
【0042】
図3(A)に示すように、差分算出回路134は、減算回路600、及び増幅回路(アンプ)602を有する。減算回路600は、入力端子L、入力端子R、ノード(node)、及び増幅回路602に接続される。増幅回路602は、減算回路600、ノード(node)、及び出力端子Oに接続される。
【0043】
減算回路600は、入力端子Lが受信した信号(露光信号)と、入力端子Rが受信した信号(露光信号)とを受信する。減算回路600は、入力端子Lが受信した信号と、入力端子Rが受信した信号との差分値を算出(生成)し、算出(生成)した差分値を含む差分信号をノード(node)及び増幅回路602に送信する。
【0044】
増幅回路602は、算出(生成)した差分値を含む差分信号を受信し、当該差分信号を増幅した増幅値を含む増幅信号を、出力端子Oに送信する。詳細は後述するが、本実施形態において、差分信号は、例えば、差分信号(UL-DL)、差分信号(UL-UR)、差分信号(UR-DL)、差分信号(UL-DR)、差分信号(GR-GB)、差分信号(L-R)である。また、本実施形態では、増幅値は差分増幅値とも呼ばれる。増幅回路602は、入力信号である差分信号の0電圧近辺の増幅率が、1倍より大きければよい。例えば、増幅回路602は、対数増幅回路(対数アンプ、ログアンプ、LOGアンプ)、リニアアンプ、2乗アンプなどである。本実施形態に係る固体撮像装置の増幅回路602は、一例として、対数アンプである。
【0045】
図3(B)に示すように、増幅回路602の入出力特性は、非線形な特性を示す。増幅回路602の入出力特性では、例えば、増幅回路602への入力が差分値D1のとき、増幅回路602は差分増幅値DAV1を生成(出力)し、増幅回路602への入力が差分値D2のとき、増幅回路602は差分増幅値DAV2を生成(出力)し、増幅回路602への入力が差分値D3のとき差分増幅値DAV3を生成(出力)し、増幅回路602への入力が差分値D4のとき差分増幅値DAV4を生成(出力)する。差分値D2は、差分値D1と異なり、差分値D1より大きい。差分値D3は、差分値D1及び差分値D2と異なり、差分値D2より大きい。差分値D4は、差分値D1、差分値D2及び差分値D3と異なり、差分値D3より大きい。第1の割合は、差分値D1と前記差分値D2との差分と、差分増幅値DAV1と差分増幅値DAV2との差分との割合である。第2の割合は、差分値D2と差分値D3との差分と、差分増幅値DAV2と差分増幅値DAV3との差分との割合である。第3の割合は、差分増幅値DAV3と差分増幅値DAV4との差分との割合である。第1の割合は第2の割合より小さく、第2の割合は第3の割合よりも大きい。
【0046】
また、図3(B)は、対数アンプ、リニアアンプ及び2乗アンプのそれぞれの入出力特性を示す図である。さらに、図3(B)は、増幅率が1の時の特性、及び対数アンプをリニア近似した特性も示す。各増幅回路の入出力特性において、差分信号(差分値、入力)が0電圧(差分値が0(ゼロ))の時、出力はADCの中心電圧である。
【0047】
図3(B)に示すように、差分値D1と差分増幅値DAV1とで示される点における接線の傾き(差分値D1の接線の傾き)及び差分値D4と差分増幅値DAV4とで示される点における接線の傾き(差分値D4の接線の傾き)は、差分値D2と差分増幅値DAV2とで示される点における接線の傾き(差分値D2の接線の傾き)及び差分値D3と差分増幅値DAV3とで示される点における接線の傾き(差分値D3の接線の傾き)より小さい。差分値に対する差分増幅値を規定する特性の接線の傾き(ある差分値の接線の傾き)は、差分値D2と差分値D3との間において最大となり、最大の接線の傾きは差分値D1の接線の傾き、差分値D2の接線の傾き、差分値D3の接線の傾き、及び差分値D4の接線の傾きより大きい。例えば、差分信号が0電圧とADCの中心電圧とで示される点(差分値が0(ゼロ)の点)における接線の傾き(差分値D5の接線の傾き)は、差分値D1の接線の傾き、差分値D2の接線の傾き、差分値D3の接線の傾き、及び差分値D4の接線の傾きより大きく、入出力特性における最大の接線の傾きである。本実施形態では、差分値が0(ゼロ)の場合の差分値D5が、第2の差分値と呼ばれる場合があり、差分値D1または差分値D2が第1の差分値、差分値D3または差分値D4が第3の差分値と呼ばれる場合がある。
【0048】
ここで、ライトフィールド技術を用いた固体撮像装置について簡単に説明する。図4(A)、図4(B)、図4(C)、及び図5は、ライトフィールド技術を用いた固体撮像装置における距離信号を説明するための図である。図4(A)、図4(B)、及び図4(C)において、第1の画素L、第1の画素Lに隣接する第2の画素R、第1の画素Lと第2の画素Rとエッジの位置との関係、第1の画素L及び第2の画素Rに入射する入射光を示す。なお、図4(A)、図4(B)、及び図4(C)では、説明の簡略化のため、マイクロレンズアレイを省略する。図4(A)、図4(B)、図4(C)、及び図5は、距離信号成分を検出する際の図を示し、第1の画素L及び第2の画素Rの信号強度と、合焦距離との関係を示す。また、図4(A)、図4(B)、図4(C)、及び図5は、距離信号成分を検出する際の図を示し、第1の画素L及び第2の画素Rの露光信号の強度の差分信号(L-R)と、合焦距離との関係を示す。本実施形態では、第1の画素Lと、第1の画素Lに隣接する第2の画素Rとをペア画素と呼ぶ場合がある。
【0049】
図4(A)に示す図は、画像中のエッジがX方向にあり、被写体と固体撮像装置の距離が合焦距離よりも近い場合の図である。すなわち、被写体にピントが合っていない図である。図4(A)に示すように、第1の画素Lの露光信号のエッジは、ペア画素の入射角特性により右にズレており、第2の画素Rの露光信号のエッジは、ペア画素の入射角特性により左にズレている。その結果、差分信号は下に凸の曲線となる。
【0050】
図4(B)に示す図は、画像中のエッジがX方向にあり、被写体と固体撮像装置の距離が合焦距離と等しい場合の図である。すなわち、被写体にピントが合っている場合の図である。図4(B)に示すように、第1の画素Lの露光信号のエッジは、第2の画素Rの露光信号のエッジと一致しており、差分信号は0となる。
【0051】
図4(C)に示す図は、画像中のエッジがX方向にあり、被写体と固体撮像装置の距離が合焦距離よりも遠い場合の図である。すなわち、被写体にピントが合っていない図である。図4(C)に示すように、第1の画素Lの露光信号のエッジは、ペア画素の入射角特性により左にズレており、第2の画素Rの露光信号のエッジは、ペア画素の入射角特性により右にズレている。その結果、差分信号は上に凸の曲線となる。
【0052】
図5に示す図は、例えば、画像中のエッジがX方向にあり、被写体と固体撮像装置の距離が合焦距離よりも遠い場合(図4(C))に、露光信号及び差分信号を量子化したことを示す図である。具体的には、図5に示す図は、ペア画素によって露光された被写体の露光信号及び差分信号がAD変換回路を用いて量子化された場合を示す図である。図5に示すように、量子化前と比較して、信号の精度が低下する。
【0053】
被写体と固体撮像装置の距離が、合焦距離と等しい場合(ピントが合っている場合)は特に問題とならないが、被写体と固体撮像装置の距離が、合焦距離と等しくない場合(ピントが合っていない場合)、かつ、エッジのコントラスト(エッジコントラストC、図5)が小さい場合、ペア画素を用いて生成した距離信号成分の強度がより小さくなる。その結果、量子化された信号は、当該差分信号もより小さくなる。すなわち、ペア画素によって露光された被写体の露光信号がAD変換回路を用いて量子化される(デジタルデータを含むデジタル信号に変換される)と、量子化された距離信号成分の精度がより低下する。その結果、量子化された信号から生成された差分信号を用いて生成される距離信号の精度は低下する。
【0054】
一方、図3(A)に示すように、本実施形態に係る固体撮像装置10は増幅回路602を有する。その結果、本実施形態に係る固体撮像装置10は、増幅回路を有さない場合と比較して、差分信号が小さい場合、差分信号を増幅することができる。さらに、差分信号が大きい場合、差分信号のオーバーフローを抑制することができる。したがって、本実施形態に係る固体撮像装置10は、量子化する際のビット数を増やすことなく(分解能を増やすことなく)、量子化された差分信号の精度の低下を抑制することができる。また、本実施形態に係る固体撮像装置10は、差分信号を用いて算出される距離信号の精度の低下を抑制することができる。本実施形態において、距離情報(距離データ)を含む信号(距離信号)は、露光信号である。
【0055】
距離信号distdiffは、例えば、第1の画素Lの露光信号の強度L、第2の画素Rの露光信号の強度R、エッジコントラストCを用いて、式1で表すことができる。
【数1】
【0056】
1-2-5.画素値再構成回路200、距離計算回路300、ISP400、及び表示パネルの構成
詳細は後述するが、画素値再構成回路200は、複数の露光信号及び差分値を含む対数増幅された差分信号をデジタル化したデジタル露光信号を受信する。画素値再構成回路200は、差分値を含む増幅信号をデジタル化したデジタル露光信号を逆対数変換し、差分値のデジタルデータを生成する。また、画素値再構成回路200は、複数の露光信号及び差分値のデジタルデータを用いて、各画素に対応するデジタル画像データを生成する。距離計算回路300は、差分値のデジタルデータ及び各画素に対応するデジタル画像データを受信し、エッジを検出し、距離情報を算出(生成)し、各画素と被写体との複数の距離情報を含む距離マップを生成する。ISP400は、デジタル画像データ及び距離信号を受信し、表示パネル500に含まれる各画素の表示するデータに対応する複数のRGB画像データを生成する。表示パネル500は、例えば、複数のRGB画像データを受信し、撮像した被写体の画像を表示する。本実施形態では、距離情報は、例えば、距離信号を被写体と固体撮像装置の物理距離に変換した結果を示す情報であり、距離データとも呼ばれる。また、本実施形態では、距離マップは、例えば、距離情報(距離データ)を含み、距離情報(距離データ)を2次元に配置したマップである。
【0057】
1-2-6.画素部110の切断構造
図6(A)は本実施形態に係る画素部110の構成を示す平面図であり、図6(B)は本実施形態に係る画素部110のA1とA2に沿った切断部端面図である。本実施形態に係る画素部110の構成は図6(A)及び図6(B)に示す構成に限定されない。図1図5と同一、又は類似する構成の説明は、省略されることがある。
【0058】
図6(A)に示すように、G画素213A、G画素213B、G画素213C及びG画素213Dの4つの画素を含む1つのGR画素ユニット153は、1つのマイクロレンズ62を有する。すなわち、4つの画素PXは、1つのオンチップレンズ(On Chip Lens、OCL)を備える。1つのGR画素ユニット153と同様に、R画素209A、R画素209B、R画素209C及びR画素209Dの4つの画素を含む1つのR画素ユニット159、B画素212A、B画素212B、B画素212C及びB画素212Dを含む1つのB画素ユニット152、G画素211A、G画素211B、G画素211C及びG画素211Dを含む1つのGR画素ユニット151も、それぞれのユニット(4つの画素)につき1つのオンチップレンズを有する。各ユニットは、2×2個の4つの画素と、1つのOCLを有するため、本実施形態では、例えば、2×2OCL、2×2OCL構成と呼ぶ場合がある。
【0059】
図6(B)に示すように、本実施形態に係る固体撮像装置10は、回路部30、光電変換素子部40、カラーフィルタ部50、及び光学素子部60を有する。本実施形態に係る固体撮像装置10において、X方向の画素ピッチ及びY方向の画素ピッチは、ピッチD1である。
【0060】
回路部30は、複数のスイッチ部32を含む。また、回路部30は、トランジスタ、容量素子、水平信号線、垂直信号線、トランジスタに電源を供給する電源線などを有する。
【0061】
光電変換素子部40は複数の光電変換素子42、及び複数の素子分離部44を有する。光電変換素子部40は、回路部30の上に設けられる。複数の素子分離部44は、例えば、無機素材、又は有機素材などの遮光、あるいは反射膜から構成される。複数の光電変換素子42は、複数の素子分離部44によって互いに分離される。光電変換素子42は回路部30に電気的に接続される。露光された光が光電変換素子42によって光電変換され、光電変換された信号(露光信号)が、回路部30に送信される。
【0062】
カラーフィルタ部50は、例えば、赤色カラーフィルタ(図示は省略)、緑色カラーフィルタ54、青色カラーフィルタ52、及び遮光部58を有する。カラーフィルタ部50は、光電変換素子部40の上に設けられる。遮光部58は、例えば、アルミニウム、タングステン、銅、又は、それらを含む合金などを含む膜によって構成される。遮光部58は、例えば、画素の境界の迷光を遮光する機能、隣接する画素の色に対応した光との混色を防止する機能などを有する。
【0063】
光学素子部60は、カラーフィルタ部50の上(Z方向)に設けられる。光学素子部60は、複数のマイクロレンズ62を有する。
【0064】
G画素211A(PX(211A))は、スイッチ部32、光電変換素子42、緑色カラーフィルタ54、及びマイクロレンズ62を有する。G画素211Aに隣接するG画素211B(PX(212B))は、スイッチ部32、光電変換素子42、緑色カラーフィルタ54、及びマイクロレンズ62を有する。
【0065】
1-2-7.固体撮像装置10のシミュレーション結果
図7(A)は本実施形態に係るイメージセンサを用いない固体撮像装置のシミュレーション結果を示す図であり、図7(B)は本実施形態に係るイメージセンサ100を用いた固体撮像装置10のシミュレーション結果を示す図である。
【0066】
表1は、本実施形態に係るイメージセンサを用いない固体撮像装置のシミュレーション結果と、本実施形態に係るイメージセンサ100を用いた固体撮像装置10のシミュレーション結果とを示す。表1は、絶対距離に対する、増幅回路有無における誤差の割合を示す。
【表1】
【0067】
表1に示すように、本実施形態に係るイメージセンサを用いない固体撮像装置のシミュレーション結果では、エッジコントラストが800LSBに対して、差分値(増幅回路なし)から求めた距離の誤差の割合は0.02%、エッジコントラストが80LSBの時、差分値(増幅回路なし)から求めた距離の誤差の割合は0.26%、エッジコントラストが感度40LSBの時、差分値(増幅回路なし)から求めた距離の誤差の割合は0.66%である。すなわち、表1及び図7(A)に示すように、エッジコントラストが低下すると、差分値(増幅回路なし)から求めた距離の誤差の割合は大きくなる。
【0068】
一方、表1に示すように、本実施形態に係るイメージセンサ100を用いた固体撮像装置10のシミュレーション結果では、エッジコントラストが800LSBに対して、差分値(増幅回路あり)から求めた距離の誤差の割合は0.04%、エッジコントラストが80LSBの時、差分値(増幅回路あり)から求めた距離の誤差の割合は0.04%、エッジコントラストが感度40LSBの時、差分値(増幅回路あり)から求めた距離の誤差の割合は0.04%である。すなわち、エッジコントラストが低下しても、差分値(増幅回路あり)から求めた距離の誤差の低下は抑制される。
【0069】
1-3.固体撮像装置10の駆動方法
図8は本実施形態に係る固体撮像装置10の駆動方法を説明するためのフローチャート図であり、図9(A)及び図9(B)は本実施形態に係る固体撮像装置10の駆動方法を説明するための図であり、図10(A)及び図10(B)は本実施形態に係る差分算出回路134の駆動方法を説明するための図である。本実施形態に係る固体撮像装置10の駆動方法は図8図10(B)に示す構成に限定されない。図1図7(B)と同一、又は類似する構成の説明は、省略されることがある。
【0070】
本実施形態に係る固体撮像装置10の駆動方法では、G画素211A、G画素211B、G画素211C及びG画素211Dを含むGB画素ユニット151、B画素212A、B画素212B、B画素212C及びB画素212Dを含むB画素ユニット152、R画素209A、R画素209B、R画素209C及びR画素209Dを含むR画素ユニット159、G画素213A、G画素213B、G画素213C及びG画素213Dを含むGR画素ユニット153に対して、それぞれの画素ユニットにおける露光信号の差分値の算出が同時に実行される。それぞれの画素ユニットにおける露光信号の差分値の算出方法は、同様である。本実施形態に係る固体撮像装置10の駆動方法の説明では、G画素213A、G画素213B、G画素213C及びG画素213Dを含む1つのGR画素ユニット153を例に、露光信号の差分値の算出を説明する。
【0071】
図9(A)に示すように、本実施形態に係る固体撮像装置10の駆動方法では、横に隣接する画素PX(G画素213A)と画素PX(G画素213B)との露光信号の差分値、及び、縦に隣接する画素PX(G画素213A)と画素PX(G画素213C)との露光信号の差分値を算出する。
【0072】
図8に示すように、固体撮像装置10が駆動を開始すると、ステップ31(S31)において、固体撮像装置10は被写体を露光する。ステップ31(S31)の駆動を説明する。
【0073】
制御回路140は、行選択走査回路120の行選択を制御するための信号を行選択走査回路120に送信し、スイッチ132a、スイッチ132b、スイッチ132c、スイッチ132d、スイッチ136a、スイッチ136b、スイッチ136c、スイッチ136d、スイッチ136e及びスイッチ136fを制御する信号を読み出し回路130に送信する。これらの信号を用いて、スイッチ132aは垂直信号線172を選択し、スイッチ132bは垂直信号線176を選択し、スイッチ132cは垂直信号線182を選択し、スイッチ132dは垂直信号線186を選択し、スイッチ136aは第1の差分算出回路134aaの出力端子Oを選択し、スイッチ136bは第2の差分算出回路134abの出力端子Oを選択し、スイッチ136cは垂直信号線178を選択し、スイッチ136dは第1の差分算出回路134baの出力端子Oを選択し、スイッチ136eは第2の差分算出回路134bbの出力端子Oを選択し、スイッチ136fは垂直信号線188を選択する。
【0074】
図9(B)に示すように、行選択走査回路120の行選択を制御するための信号に基づき、行選択走査回路120が、第1の水平信号線162を選択すると、第1の水平信号線162に接続されたG画素213Aに備えられた光電変換素子42が露光される。G画素213Aは、G画素213Aに備えられた光電変換素子42によって、露光された光の強度に基づき生成した電力に対応した第1の値を含む第1の露光信号ULを生成する。第1の露光信号ULは、G画素213Aから、垂直信号線172、AD変換回路部138内のAD変換回路138a、第1の差分算出回路134aaの入力端子L及び第2の差分算出回路134abの入力端子Lに送信される。行選択走査回路120の行選択を制御するための信号に基づき、行選択走査回路120が、第1の水平信号線162を選択すると、G画素213Aと同様に、第1の水平信号線162に接続されたG画素213Bに備えられた光電変換素子42が露光される。G画素213Bは、G画素213Bに備えられた光電変換素子42によって、露光された光の強度に基づき生成した電力に対応した第3の値を含む第3の露光信号URを生成する。第3の露光信号URは、G画素213Bから、垂直信号線176及び第2の差分算出回路134abの入力端子Rに送信される。
【0075】
図9(B)に示すように、行選択走査回路120の行選択を制御するための信号に基づき、行選択走査回路120が、第2の水平信号線164を選択すると、第2の水平信号線164に接続されたG画素213Cに備えられた光電変換素子42が露光される。G画素213Cは、G画素213Cに備えられた光電変換素子42によって、露光された光の強度に基づき生成した電力に対応した第2の値を含む第2の露光信号DLを生成する。第2の露光信号DLは、G画素213Cから、垂直信号線174及び第1の差分算出回路134aaの入力端子Rに送信される。行選択走査回路120の行選択を制御するための信号に基づき、行選択走査回路120が、第2の水平信号線164を選択すると、G画素213Cと同様に、第2の水平信号線164に接続されたG画素213Dに備えられた光電変換素子42が露光される。G画素213Dは、G画素213Dに備えられた光電変換素子42によって、露光された光の強度に基づき生成した電力に対応した第4の値を含む第4の露光信号DRを生成する。第4の露光信号DRは、G画素213Dから、垂直信号線178及びAD変換回路部138内のAD変換回路138dに送信される。
【0076】
なお、第1の水平信号線162及び第2の水平信号線164の選択は同時に行われる。第1の水平信号線162及び第2の水平信号線164が選択された後に第3の水平信号線166及び第4の水平信号線168が選択されてもよく、第3の水平信号線166及び第4の水平信号線168が選択された後に第1の水平信号線162及び第2の水平信号線166が選択されてもよい。行の選択は、本実施形態に係る固体撮像装置10の構成を逸脱しない範囲において、固体撮像装置10の用途、仕様などに基づき、適宜決定されればよい。
【0077】
図8及び図9を用いて、ステップ33(S33)の駆動を説明する。ステップ33(S33)において、第1の差分算出回路134aaは、第1の露光信号UL及び第2の露光信号DLを受信する。第1の差分算出回路134aaは第1の露光信号ULから第2の露光信号DLを減算した第1の差分信号(UL-DL)を生成し、第1の差分信号を増幅した第1の増幅信号を生成し、第1の増幅信号を出力端子Oに送信する。第1の差分信号は、第1の露光信号ULから第2の露光信号DLを減算した値(差分値D1)を含み、第1の増幅信号は、差分値D1を対数増幅した第1の増幅値を含む。例えば、差分値D1が電圧値の場合、第1の増幅値は電圧値を対数増幅した値である。
【0078】
第2の差分算出回路134abは、第3の露光信号UR及び第1の露光信号ULを受信する。第2の差分算出回路134abは第1の露光信号ULから第3の露光信号URを減算した第2の差分信号(UL-UR)を生成し、第2の差分信号を増幅した第2の増幅信号を生成し、第2の増幅信号を出力端子Oに送信する。第2の差分信号は、第1の露光信号ULから第3の露光信号URを減算した値(差分値D2)を含み、第2の増幅信号は、差分値D2を対数増幅した第2の増幅値を含む。例えば、差分値D2が電圧値の場合、第2の増幅値は電圧値を対数増幅した値である。
【0079】
AD変換回路138は、受信した複数の露光信号及び増幅信号をデジタル露光信号に変換する。具体的には、AD変換回路138aは第1の露光信号ULを受信し、第1の露光信号ULのデジタル値(第1のデジタルデータ)を含む第1のデジタル露光信号を生成し、AD変換回路138bは第1の増幅値を含む第1の増幅信号を受信し、第1の増幅値のデジタル値(第2のデジタルデータ)を含む第2のデジタル露光信号を生成し、AD変換回路138cは第2の増幅値を含む第2の増幅信号を受信し、第2の増幅値のデジタル値(第3のデジタルデータ)を含む第3のデジタル露光信号を生成し、AD変換回路138dは第4の露光信号DRを受信し、第4の露光信号DRのデジタル値(第4のデジタルデータ)を含む第4のデジタル露光信号を生成する。読み出し回路130は、第1のデジタル露光信号、第2のデジタル露光信号、第3のデジタル露光信号、及び第4のデジタル露光信号を読み出し、画素値再構成回路200(図1)に送信する。本実施形態に係る固体撮像装置10では、デジタル露光信号はイメージセンサ100から出力される信号(出力データ)である。
【0080】
図1及び図8を用いて、ステップ35(S35)を説明する。図8に示すように、ステップ35(S35)において、画素値再構成回路200(図1)は、第1のデジタル露光信号、第2のデジタル露光信号、第3のデジタル露光信号、及び第4のデジタル露光信号を受信する。画素値再構成回路200は、第2のデジタル露光信号に含まれる第2のデジタルデータ、及び第3のデジタル露光信号に含まれる第3のデジタルデータを逆対数変換する。第2のデジタルデータは第1の増幅値のデジタル値であり、第1の増幅値は差分値D1を対数増幅した値であるから、逆対数変換された第2のデジタルデータは、例えば、差分値D1のデジタルデータとなる。同様にして、第3のデジタルデータは第2の増幅値のデジタル値であり、第2の増幅値は差分値D2を対数増幅した値であるから、逆対数変換された第3のデジタルデータは、例えば、差分値D2のデジタルデータとなる。すなわち、画素値再構成回路200は、第2のデジタル露光信号に含まれる第2のデジタルデータ、及び第3のデジタル露光信号に含まれる第3のデジタルデータを逆対数変換し、差分値D1のデジタルデータ及び差分値D2のデジタルデータを生成する。
【0081】
さらに、画素値再構成回路200(図1)は、第1の露光信号ULのデジタル値(第1のデジタルデータ)、差分値D1のデジタルデータ、差分値D2のデジタルデータ、及び第4の露光信号DRのデジタル値(第4のデジタルデータ)を用いて、デジタル値、第2の露光信号DLのデジタル値、及び第3の露光信号URを生成する。画素値再構成回路200(図1)は、デジタル画像データを、距離計算回路300(図1)及びISP400(図1)に送信する。また、画素値再構成回路200(図1)は、差分値D1のデジタルデータ、及び差分値D2のデジタルデータを距離計算回路300に送信する。
【0082】
図1及び図8を用いて、ステップ37(S37)を説明する。図8に示すように、ステップ37(S37)において、距離計算回路300(図1)は、デジタル画像データ、差分値D1のデジタルデータ、及び差分値D2のデジタルデータを受信する。
【0083】
距離計算回路300は、デジタル画像データ、差分値D1のデジタルデータ、及び差分値D2のデジタルデータを用いて、画像中のエッジを検出し、行方向及び列方向エッジの距離情報を算出(生成)し、複数の距離情報を含む距離マップを生成する。距離計算回路300は、生成した距離マップをISP400(図1)及び表示パネル500(図1)に送信する。
【0084】
図1及び図8を用いて、ステップ39(S39)を説明する。図8に示すように、ステップ39(S39)において、ISP400(図1)は、デジタル画像データ、及び距離マップを受信する。ISP400は、デジタル画像データ、及び距離マップを用いて、撮像した被写体の画像データに対応した複数のRGB画像データを生成する。複数のRGB画像データは、表示パネル500(図1)に含まれる各画素に表示されるデータに対応する。ISP400は、複数のRGB画像データを含む画像信号を表示パネル500に送信する。
【0085】
本実施形態では、AD変換回路部138に含まれるAD変換回路の個数を増やし、スイッチ136を設けずに、垂直信号線に送信された露光信号、差分算出回路134から出力される増幅信号がそれぞれ個別にAD変換回路に送信されてもよい。以上の構成によって、第1のデジタル露光信号、第2のデジタル露光信号、第3のデジタル露光信号及び第4のデジタル露光信号を生成する際に、第2の露光信号DLのデジタル値を含むデジタル露光信号、及び第3の露光信号URのデジタル値を含むデジタル露光信号を生成することができる。
【0086】
以上説明したように、本実施形態に係る固体撮像装置10は、表示パネル500に撮像した被写体の画像を表示することができる。本実施形態に係る固体撮像装置10は、AD変換回路を用いて画像データをデジタル画像データに変換をする前に、増幅回路を用いてペア画素の露光信号の差分値を対数増幅することができる。その結果、ペア画素のそれぞれによって露光された被写体の距離信号成分の強度の低下を抑制し、高精度な距離測定可能な固体撮像装置、及び固体撮像装置の駆動方法を提供することができる。
【0087】
また、以上説明したように、本実施形態に係る固体撮像装置10は、行方向に隣接する同色のペア画素を用いて行方向の距離信号を検出し、列方向に隣接する同色のペア画素を用いて列方向の距離信号を検出することができる。すなわち、複数の同色の画素において、行方向の距離信号と列方向の距離信号とを同時に算出することができる。画像に含まれるエッジの方向は、被写体に依存するため、一意に決まることはない。一方、本実施形態に係る固体撮像装置10は、行方向、列方向の増幅信号を同時に算出できるため、エッジコントラストが小さい時に行方向の距離信号及び列方向の距離信号をより精度良く検出することができる。
【0088】
2.第2実施形態
第2実施形態では、第1実施形態で説明した固体撮像装置10を用いて、第1実施形態で説明した駆動方法とは異なる駆動方法を説明する。図10は本実施形態に係る固体撮像装置10の駆動方法を説明するためのフローチャート図であり、図11(A)及び図11(B)は本実施形態に係る固体撮像装置10の駆動方法を説明するための図である。本実施形態に係る固体撮像装置10の駆動方法は図10図11(A)及び図11(B)に示す構成に限定されない。図1図9と同一、又は類似する構成の説明は、省略されることがある。
【0089】
第2実施形態に係る固体撮像装置10の駆動方法は、第1実施形態に係る固体撮像装置10の駆動方法と同様に、GB画素ユニット151、B画素ユニット152、R画素ユニット159及びGR画素ユニット153に対して、それぞれの画素ユニットにおける露光信号の差分値の算出方法は同様である。また、それぞれの画素ユニットにおける露光信号の差分値の算出は同時に実行される。本実施形態に係る固体撮像装置10の駆動方法の説明では、GR画素ユニット153を例に、露光信号の差分値の算出を説明する。
【0090】
固体撮像装置10は、例えば、画素毎に露光時間を変えることで、高いダイナミックレンジ(明暗比、照度比とも呼ばれる)が可能となる。本実施形態に係る固体撮像装置10の駆動方法では、例えば、図11(A)に示すように、対角に位置する画素PX(G画素213B)及び画素PX(G画素213C)は、対角に位置する画素PX(G画素213A)及び画素PX(G画素213D)よりも露光時間を長くする。図11(A)では、露光時間の長さは、長い(long)又は短い(short)と記す。対角に位置する画素PX(G画素213B)及び画素PX(G画素213C)では、露光時間が長く(long)、対角に位置する画素PX(G画素213A)及び画素PX(G画素213D)は露光時間が短い(short)。本実施形態では、第1実施形態と同様に、一例として、増幅回路は対数アンプである。
【0091】
図11(A)に示すように、本実施形態に係る固体撮像装置10の駆動方法では、対角に位置する画素PX(G画素213B)と画素PX(G画素213C)との露光信号の差分値、及び、対角に位置する画素PX(G画素213A)と画素PX(G画素213D)との露光信号の差分値を算出する。本実施形態は、対角に位置する画素間で差分値を算出する点において、第1実施形態と異なり、それ以外の構成は第1実施形態と同様であるから、第1実施形態と同様の構成についての説明は省略する。
【0092】
図10に示すように、固体撮像装置10が駆動を開始すると、ステップ61(S61)において、固体撮像装置10は被写体を露光する。ステップ61(S61)の駆動を説明する。
【0093】
制御回路140は、行選択走査回路120の行選択を制御するための信号を行選択走査回路120に送信し、スイッチ132a、スイッチ132b、スイッチ132c、スイッチ132d、スイッチ136a、スイッチ136b、スイッチ136c、スイッチ136d、スイッチ136e及びスイッチ136fを制御する信号を読み出し回路130に送信する。これらの信号を用いて、スイッチ132aは垂直信号線176を選択し、スイッチ132bは垂直信号線178を選択し、スイッチ132cは垂直信号線186を選択し、スイッチ132dは垂直信号線188を選択し、スイッチ136aは第1の差分算出回路134aaの出力端子Oを選択し、スイッチ136bは垂直信号線176を選択し、スイッチ136cは第2の差分算出回路134abの出力端子Oを選択し、スイッチ136dは第1の差分算出回路134baの出力端子Oを選択し、スイッチ136eは垂直信号線186を選択し、スイッチ136fは第2の差分算出回路134bbの出力端子Oを選択する。
【0094】
図11(B)に示すように、行選択走査回路120の行選択を制御するための信号に基づき、行選択走査回路120が、第1の水平信号線162を選択すると、第1の水平信号線162に接続されたG画素213Aに備えられた光電変換素子42が露光される。G画素211Aは、G画素213Aに備えられた光電変換素子42によって、露光された光の強度に基づき生成した電力に対応した第1の値を含む第1の露光信号ULを生成する。第1の露光信号ULは、G画素213Aから、垂直信号線172、AD変換回路138a及び第2の差分算出回路134abの入力端子Lに送信される。行選択走査回路120の行選択を制御するための信号に基づき、行選択走査回路120が、第1の水平信号線162を選択すると、G画素213Aと同様に、第1の水平信号線162に接続されたG画素213Bに備えられた光電変換素子42が露光される。G画素213Bは、G画素213Bに備えられた光電変換素子42によって、露光された光の強度に基づき生成した電力に対応した第3の値を含む第3の露光信号URを生成する。第3の露光信号URは、G画素213Bから、垂直信号線176、第1の差分算出回路134aaの入力端子R及びAD変換回路138cに送信される。
【0095】
図11(B)に示すように、行選択走査回路120の行選択を制御するための信号に基づき、行選択走査回路120が、第2の水平信号線164を選択すると、第2の水平信号線164に接続されたG画素213Cに備えられた光電変換素子42が露光される。G画素213Cは、G画素213Cに備えられた光電変換素子42によって、露光された光の強度に基づき生成した電力に対応した第2の値を含む第2の露光信号DLを生成する。第2の露光信号DLは、G画素213Cから、垂直信号線174及び第1の差分算出回路134aaの入力端子Rに送信される。行選択走査回路120の行選択を制御するための信号に基づき、行選択走査回路120が、第2の水平信号線164を選択すると、G画素213Cと同様に、第2の水平信号線164に接続されたG画素213Dに備えられた光電変換素子42が露光される。G画素213Dは、G画素213Dに備えられた光電変換素子42によって、露光された光の強度に基づき生成した電力に対応した第4の値を含む第4の露光信号DRを生成する。第4の露光信号DRは、G画素213Dから、垂直信号線178及び第2の差分算出回路134abの入力端子Rに送信される。
【0096】
なお、第1実施形態と同様に本実施形態においても、第1の水平信号線162及び第2の水平信号線164の選択は同時に行われる。第1の水平信号線162および第2の水平信号線164が選択された後に第3の水平信号線166及び第4の水平信号168が選択されてもよく、第3の水平信号線166及び第4の水平信号線168が選択された後に第1の水平信号線162及び第2の水平信号線164が選択されてもよい。行の選択は、本実施形態に係る固体撮像装置10の構成を逸脱しない範囲において、固体撮像装置10の用途、仕様などに基づき、適宜決定されればよい。
【0097】
第1の差分算出回路134aaは、第2の露光信号DL及び第3の露光信号URを受信する。第1の差分算出回路134aaは、第3の露光信号URから第2の露光信号DLを減算した第3の差分信号(UR-DL)を生成し、第3の差分信号を増幅した第3の増幅信号を生成し、第3の増幅信号を出力端子Oに送信する。第3の差分信号は、第3の露光信号URから第2の露光信号DLを減算した値(差分値D3)を含み、第3の増幅信号は、差分値D3を対数増幅した第3の増幅値を含む。例えば、差分値D3が電圧値の場合、第3の増幅値は電圧値を対数増幅した値である。
【0098】
第2の差分算出回路134abは、第1の露光信号UL及び第4の露光信号DRを受信する。第2の差分算出回路134abは、第1の露光信号ULから第4の露光信号DRを減算した第4の差分信号(UL-DR)を生成し、第4の差分信号を増幅した第4の増幅信号を生成し、第4の増幅信号を出力端子Oに送信する。第4の差分信号は、第1の露光信号ULから第4の露光信号DRを減算した値(差分値D4)を含み、第4の増幅信号は、差分値D4を対数増幅した第4の増幅値を含む。例えば、差分値D4が電圧値の場合、第3の増幅値は電圧値を対数増幅した値である。
【0099】
AD変換回路138は、受信した複数の露光信号及び増幅信号をデジタル露光信号に変換する。具体的には、AD変換回路138aは第1の露光信号ULを受信し、第1の露光信号ULのデジタル値(第1のデジタルデータ)を含む第1のデジタル露光信号を生成し、AD変換回路138bは第3の増幅値を含む第3の増幅信号を受信し、第3の増幅値のデジタル値(第5のデジタルデータ)を含む第5のデジタル露光信号を生成し、AD変換回路138cは第3の露光信号URのデジタル値(第6のデジタルデータ)を含む第6のデジタル露光信号を生成し、AD変換回路138dは、第4の増幅値を含む第4の増幅信号を受信し、第4の増幅値のデジタル値(第7のデジタルデータ)を含む第7のデジタル露光信号を生成する。読み出し回路130は、第1のデジタル露光信号、第5のデジタル露光信号、第6のデジタル露光信号、及び第7のデジタル露光信号を読み出し、画素値再構成回路200(図1)に送信する。第1実施形態と同様に、第2実施形態においても、デジタル露光信号はイメージセンサ100から出力される信号(出力データ)である。
【0100】
図1及び図10を用いて、ステップ65(S65)を説明する。図10に示すように、ステップ65(S65)において、画素値再構成回路200(図1)は、第1のデジタル露光信号、第5のデジタル露光信号、第6のデジタル露光信号、及び第7のデジタル露光信号を受信する。画素値再構成回路200は、第5のデジタル露光信号に含まれる第5のデジタルデータ、及び第7のデジタル露光信号に含まれる第7のデジタルデータを逆対数変換する。第5のデジタルデータは第3の増幅値のデジタル値であり、第3の増幅値は差分値D3を対数増幅した値であるから、逆対数変換された第5のデジタルデータは、例えば、差分値D3のデジタルデータとなる。同様にして、第7のデジタルデータは第4の増幅値のデジタル値であり、第4の増幅値は差分値D4を対数増幅した値であるから、逆対数変換された第7のデジタルデータは、例えば、差分値D4のデジタルデータとなる。すなわち、画素値再構成回路200は、第5のデジタル露光信号に含まれる第5のデジタルデータ、及び第7のデジタル露光信号に含まれる第7のデジタルデータを逆対数変換し、差分値D3のデジタルデータ及び差分値D4のデジタルデータを生成する。
【0101】
さらに、画素値再構成回路200(図1)は、第1の露光信号ULのデジタル値(第1のデジタルデータ)、差分値D3のデジタルデータ、第3の露光信号URのデジタル値(第6のデジタルデータ)、及び差分値D4のデジタルデータを用いて、第2の露光信号DLのデジタル値、及び第4の露光信号DRのデジタル値を生成する。画素値再構成回路200(図1)は、デジタル画像データを、距離計算回路300(図1)及びISP400(図1)に送信する。また、画素値再構成回路200(図1)は、差分値D3のデジタルデータ、及び差分値D4のデジタルデータを距離計算回路300に送信する。
【0102】
図1及び図10を用いて、ステップ67(S67)を説明する。図10に示すように、ステップ67(S67)において、距離計算回路300(図1)は、デジタル画像データ、差分値D3のデジタルデータ、及び差分値D4のデジタルデータを受信する。
【0103】
距離計算回路300は、デジタル画像データ、差分値D3のデジタルデータ、及び差分値D4のデジタルデータを用いて、画像中のエッジを検出し、行方向及び列方向エッジの距離情報を算出(生成)し、複数の距離情報を含む距離マップを生成する。距離計算回路300は、生成した距離マップをISP400(図1)及び表示パネル500(図1)に送信する。
【0104】
図10に示すステップ69(S69)は、図8におけるステップ39(S39)と同様である。よって、ここでのステップ69(S69)の説明は省略する。
【0105】
本実施形態では、AD変換回路部138に含まれるAD変換回路の個数を増やし、スイッチ136を設けずに、垂直信号線に送信された露光信号、差分算出回路134から出力される増幅信号がそれぞれ個別にAD変換回路に送信されてもよい。以上の構成によって、第1のデジタル露光信号、第2のデジタル露光信号、第3のデジタル露光信号及び第4のデジタル露光信号を生成する際に、第2の露光信号DLのデジタル値を含むデジタル露光信号、及び第4の露光信号DRのデジタル値を含むデジタル露光信号を生成することができる。
【0106】
以上説明したように、本実施形態に係る固体撮像装置10は、AD変換回路を用いて画像データをデジタル画像データに変換をする前に、増幅回路を用いて互いに対角に位置する露光時間が同じ画素の露光信号の差分値を対数増幅することができる。その結果、高いダイナミックレンジの実現とペア画素のそれぞれによって露光された被写体の距離信号成分の強度の低下を抑制可能な固体撮像装置、及び固体撮像装置の駆動方法を提供することができる。
【0107】
3.第3実施形態
第3実施形態では、固体撮像装置10の他の構成を説明する。図12は本実施形態に係るイメージセンサ100Bの構成を示す平面図である。図13(A)は本実施形態に係る画素部110bの構成を示す平面図であり、図13(B)は本実施形態に係る画素部110bのE1とE2に沿った切断部端面図であり、図14は本実施形態に係る固体撮像装置10の駆動方法を説明するためのフローチャート図であり、図15(A)及び図15(B)は本実施形態に係る固体撮像装置10の駆動方法を説明するための図である。本実施形態に係る固体撮像装置10の構成は図12図15に示す構成に限定されない。図1図11と同一、又は類似する構成の説明は、省略されることがある。
【0108】
3-1.イメージセンサ100Bの構成
図12に示すように、イメージセンサ100Bは、画素部110b、行選択走査回路120b、読み出し回路130b、及び制御回路140bを有する。
【0109】
3-2.画素部110bの構成
図12に示すように、画素部110bの画素PXは、行(ロウ)方向と列(カラム)方向(Y行X列)のマトリクス状に配置される。ここで、Y及びXはそれぞれ独立に設定される正の自然数である。画素PXは、例えば、R画素209、G画素211、B画素212及びG画素213に分類される。R画素209は赤色カラーフィルタを有する画素PXである。G画素211はB画素212を有する行に設けられ、緑色カラーフィルタを有する画素PXである。B画素212は青色カラーフィルタを有する画素PXである。G画素213はR画素209を有する行に設けられ、緑色カラーフィルタを有する画素PXである。R画素209、G画素211、B画素212及びG画素213をまとめて1つの画素ユニット150とすると、画素ユニット150が、マトリクス状に配置される。図12に示す画素の配置は、ベイヤー(Bayer)配列、ベイヤー配置などと呼ばれる。
【0110】
画素部110bにおいて、1行目に設けられる複数の画素PXは、G画素213とR画素209とが交互に配置される。2行目に設けられる複数の画素PXは、B画素212とG画素211とが交互に配置される。1列目に設けられる複数の画素PXは、G画素213とB画素212とが交互に配置される。2列目に設けられる複数の画素PXは、R画素209とG画素211とが交互に配置される。画素部110bは、1行目と2行目の画素PXの配置が行方向に繰り返された配置を有し、1列目と2列目の画素PXの配置が列方向に繰り返された配置を有する。本実施形態においても、第1実施形態と同様に、各画素PXは光電変換素子42を有する。
【0111】
3-3.制御回路140b、行選択走査回路120b及び読み出し回路130bの構成
図12に示すように、制御回路140bは、行選択走査回路120b及び読み出し回路130bに接続する。制御回路140bは、行選択走査回路120bの行選択を制御するための信号を行選択走査回路120bに送信し、スイッチ136gを制御する信号、及びAD変換回路部138を制御する信号を読み出し回路130bに送信する。
【0112】
図12に示すように、行選択走査回路120bは、例えば、第1の水平信号線162、及び第2の水平信号線164に接続する。第1の水平信号線162はG画素213及びR画素209に接続され、第2の水平信号線164はB画素212及びG画素211に接続される。
【0113】
図12に示すように、読み出し回路130bは、第3の差分算出回路134c、AD変換回路部138、及び第3の差分算出回路134cとAD変換回路部138とを接続する複数のスイッチ136eを有する。読み出し回路130bは、複数の垂直信号線、及び画素値再構成回路200に接続する。垂直信号線172bはG画素213、第3の差分算出回路134cの入力端子L、及びAD変換回路138aに接続する。垂直信号線174bはB画素212に接続する。垂直信号線176bはR画素209に接続する。垂直信号線178bはG画素211、及び第3の差分算出回路134cの入力端子Rに接続する。
【0114】
スイッチ136gの第1の端子は、第3の差分算出回路134cの出力端子O、または垂直信号線178bに接続し、スイッチ136gの第2の端子は、AD変換回路138dに接続する。スイッチ136gは、スイッチ136gを制御する信号、及びAD変換回路部138を制御する信号を用いて、第3の差分算出回路134cの出力端子O、または垂直信号線178bの何れかを選択し、選択した信号線をAD変換回路138dに導通させる。
【0115】
読み出し回路130bは、以上説明した垂直信号線172b~178bに係る構成が、X方向に対して繰り返された構成を有する。
【0116】
上述した制御回路140bは、行選択走査回路120b及び読み出し回路130b以外の構成は、第1実施形態及び第2実施形態において説明した制御回路140、行選択走査回路120及び読み出し回路130と同様の構成を有するため、ここでの説明は省略する。第1実施形態及び第2実施形態と同様に、第3実施形態では、読み出し回路130bは処理回路とも呼ばれる。
【0117】
3-4.画素部110bの切断構造
図13(A)に示すように、マイクロレンズ62が、G画素211、R画素209、B画素212及びG画素213の4つの画素のそれぞれに対して設けられる。すなわち、4つの画素PXのそれぞれが、1つのオンチップレンズを備える。透過型回折格子64はマイクロレンズ62の上(Z方向)に設けられる。透過型回折格子64は、X方向に対して、G画素211に設けられるマイクロレンズ62の半分、R画素209に設けられるマイクロレンズ62の半分、B画素212に設けられるマイクロレンズ62の半分、及びG画素213に設けられるマイクロレンズ62の半分に重畳する。図13(A)に示す透過型回折格子64の構成は一例であって、透過型回折格子64の構成は図13(A)に示される構成に限定されない。第3実施形態は、4つの画素PXのそれぞれが、1つのオンチップレンズを備える点において、第1実施形態と異なり、それ以外の構成は第1実施形態と同様であるから、ここでは説明を省略する。
【0118】
図13(B)に示すように、G画素213(PX(G213))は、スイッチ部32、光電変換素子42、緑色カラーフィルタ54、マイクロレンズ62、透過型回折格子64、及び構造体66を有する。G画素213に隣接するR画素209(PX(R209))は、スイッチ部32、光電変換素子42、青色カラーフィルタ52、マイクロレンズ62、透過型回折格子64を有する。
【0119】
3-5.固体撮像装置10の駆動方法
図15(A)に示すように、第3実施形態に係る固体撮像装置10の駆動方法では、対角に位置する画素PX(G画素213)と画素PX(G画素211)との露光信号の差分値を算出する。
【0120】
図14に示すように、固体撮像装置10が駆動を開始すると、ステップ81(S81)において、固体撮像装置10は被写体を露光する。ステップ81(S81)の駆動を説明する。
【0121】
制御回路140bは、行選択走査回路120の行選択を制御するための信号を行選択走査回路120bに送信し、スイッチ136gを制御する信号、及びAD変換回路部138を制御する信号を読み出し回路130bに送信する。スイッチ136gを制御する信号、及びAD変換回路部138を制御する信号を用いて、スイッチ136gの第1の端子は第3の差分算出回路134cの出力端子Oに接続され、スイッチ136gの第2の端子はAD変換回路138dに接続される。
【0122】
図15(B)に示すように、行選択走査回路120bの行選択を制御するための信号に基づき、行選択走査回路120bが、第1の水平信号線162bを選択すると、第1の水平信号線162bに接続されたG画素211に備えられた光電変換素子42が露光される。G画素213は、G画素213に備えられた光電変換素子42によって、露光された光の強度に基づき生成した電力に対応した露光信号GRを生成する。露光信号GRは、G画素213から、垂直信号線172及びAD変換回路138aに送信される。行選択走査回路120bの行選択を制御するための信号に基づき、行選択走査回路120bが、第1の水平信号線162bを選択すると、G画素213と同様に、第1の水平信号線162に接続されたR画素209に備えられた光電変換素子42が露光される。R画素209は、R画素209に備えられた光電変換素子42によって、露光された光の強度に基づき生成した電力に対応した露光信号Rを生成する。露光信号Rは、R画素209から、垂直信号線176b及びAD変換回路138cに送信される。
【0123】
図15(B)に示すように、行選択走査回路120bの行選択を制御するための信号に基づき、行選択走査回路120bが、第2の水平信号線164bを選択すると、第2の水平信号線164bに接続されたB画素212に備えられた光電変換素子42が露光される。B画素212は、B画素212に備えられた光電変換素子42によって、露光された光の強度に基づき生成した電力に対応した露光信号Rを生成する。露光信号Bは、B画素212から、垂直信号線174b及びAD変換回路138bに送信される。行選択走査回路120bの行選択を制御するための信号に基づき、行選択走査回路120bが、第2の水平信号線164bを選択すると、B画素212と同様に、第2の水平信号線164bに接続されたG画素211に備えられた光電変換素子42が露光される。G画素211は、G画素211に備えられた光電変換素子42によって、露光された光の強度に基づき生成した電力に対応した露光信号GBを生成する。露光信号GBは、G画素211から、垂直信号線178b及び第3の差分算出回路134cの入力端子Rに送信される。
【0124】
なお、第1実施形態及び第2実施形態と同様に第3実施形態においても、第1の水平信号線162b及び第2の水平信号線164bの選択は同時に行われる。第1の水平信号線162b及び第2の水平信号線164bが選択された後に第3の水平信号線166b及び第4の水平信号線168bが選択されてもよく、第3の水平信号線166b及び第4の水平信号線168bが選択された後に第1の水平信号線162b及び第2の水平信号線164bが選択されてもよい。行の選択は、本実施形態に係る固体撮像装置10の構成を逸脱しない範囲において、固体撮像装置10の用途、仕様などに基づき、適宜決定されればよい。
【0125】
図14及び図15(B)を用いて、ステップ83(S83)の駆動を説明する。ステップ83(S83)において、第3の差分算出回路134cは、露光信号GR及び露光信号GBを受信する。第3の差分算出回路134cは、露光信号GRから露光信号GBを減算した5の差分信号(GR-GB)を生成し、第5の差分信号を増幅した第5の増幅信号を生成し、第5の増幅信号を出力端子Oに送信する。第5の差分信号は、露光信号GRから露光信号GBを減算した値(差分値D5)を含み、第5の増幅信号は、差分値D5を対数増幅した第5の増幅値を含む。例えば、差分値D5が電圧値の場合、第5の増幅値は電圧値を対数増幅した値である。
【0126】
読み出し回路130bは、受信した複数の露光信号及び増幅信号をデジタル露光信号に変換する。さらに、読み出し回路130bは、デジタル露光信号を画素値再構成回路200(図1)に送信する。具体的には、AD変換回路138aは露光信号GRを受信し、露光信号GRのデジタル値(第8のデジタルデータ)を含む第8のデジタル露光信号を生成し、AD変換回路138bは露光信号Bを受信し、露光信号Bのデジタル値(第9のデジタルデータ)を含む第9のデジタル露光信号を生成し、AD変換回路138cは露光信号Rのデジタル値(第10のデジタルデータ)を含む第10のデジタル露光信号を生成し、AD変換回路138dは、第5の増幅値を含む第5の増幅信号を受信し、第5の増幅値のデジタル値(第11のデジタルデータ)を含む第11のデジタル露光信号を生成する。読み出し回路130は、第8のデジタル露光信号、第9のデジタル露光信号、第10のデジタル露光信号、及び第11のデジタル露光信号を読み出し、画素値再構成回路200(図1)に送信する。第1実施形態及び第2実施形態と同様に、第3実施形態においても、デジタル露光信号はイメージセンサ100から出力される信号(出力データ)である。
【0127】
図1及び図14を用いて、ステップ85(S85)を説明する。図14に示すように、ステップ85(S85)において、画素値再構成回路200(図1)は、第8のデジタル露光信号、第9のデジタル露光信号、第10のデジタル露光信号、及び第11のデジタル露光信号を受信する。画素値再構成回路200は、第11のデジタル露光信号に含まれる第11のデジタルデータを逆対数変換する。第11のデジタルデータは第5の増幅値のデジタル値であり、第5の増幅値は差分値D5を対数増幅した値であるから、逆対数変換された第11のデジタルデータは、例えば、差分値D5のデジタルデータとなる。画素値再構成回路200は、第11のデジタル露光信号に含まれる第11のデジタルデータを逆対数変換し、差分値D5のデジタルデータを生成する。
【0128】
さらに、画素値再構成回路200(図1)は、露光信号GRのデジタル値(第8のデジタルデータ)、露光信号Bのデジタル値(第9のデジタルデータ)、露光信号Rのデジタル値(第10のデジタルデータ)、及び差分値D5のデジタルデータを用いて、G画素211に対応するデジタル画像データ、R画素209に対応するデジタル画像データ、B画素212に対応するデジタル画像データ、及びG画素213に対応するデジタル画像データを生成する。画素値再構成回路200(図1)は、G画素211に対応するデジタル画像データ、R画素209に対応するデジタル画像データ、B画素212に対応するデジタル画像データ、及びG画素213に対応するデジタル画像データを、距離計算回路300(図1)及びISP400(図1)に送信する。また、画素値再構成回路200(図1)は、差分値D5のデジタルデータを距離計算回路300に送信する。
【0129】
図1及び図14を用いて、ステップ87(S87)を説明する。図14に示すように、ステップ95(S87)において、距離計算回路300(図1)は、デジタル画像データ、及び差分値D5のデジタルデータを受信する。また、距離計算回路300は、デジタル画像データ、及び差分値D5のデジタルデータを用いて、画像中のエッジを検出し、行方向及び列方向エッジの距離情報を算出(生成)し、距離情報を含む距離マップを生成する。距離計算回路300は、生成した距離マップをISP400(図1)及び表示パネル500(図1)に送信する。
【0130】
図1及び図14を用いて、ステップ89(S89)を説明する。図14に示すように、ステップ89(S89)において、ISP400(図1)は、G画素211に対応するデジタル画像データ、R画素209に対応するデジタル画像データ、B画素212に対応するデジタル画像データ、G画素213に対応するデジタル画像データ、及び距離マップを受信する。ISP400は、G画素211に対応するデジタル画像データ、R画素209に対応するデジタル画像データ、B画素212に対応するデジタル画像データ、G画素213に対応するデジタル画像データ、及び距離マップを用いて、撮像した被写体の画像データに対応した複数のRGB画像データを生成する。複数のRGB画像データは、表示パネル500(図1)に含まれる各画素に表示されるデータに対応する。ISP400は、複数のRGB画像データを含む画像信号を表示パネル500に送信する。
【0131】
以上説明したように、本実施形態に係る固体撮像装置10は、互いに対角に位置する画素の露光信号の差分値を対数増幅したデータを用いて、距離情報を生成することができる。その結果、回折格子の向きに依存することなく、ペア画素のそれぞれによって露光された被写体の距離信号成分の強度の低下を抑制可能な固体撮像装置、及び固体撮像装置の駆動方法を提供することができる。
【0132】
4.第4実施形態
第4実施形態では、固体撮像装置10の他の構成を説明する。図16は本実施形態に係るイメージセンサ100Cの構成を示す平面図である。図17は本実施形態に係る画素部110cの構成を示す平面図であり、図18(A)及び図18(B)は本実施形態に係る固体撮像装置10の駆動方法を説明するための図である。本実施形態に係る固体撮像装置10の構成は図16図18(B)に示す構成に限定されない。図1図15(B)と同一、又は類似する構成の説明は、省略されることがある。
【0133】
4-1.イメージセンサ100Cの構成
図16に示すように、イメージセンサ100Cは、画素部110c、行選択走査回路120c、読み出し回路130c、及び制御回路140cを有する。
【0134】
4-2.画素部110cの構成
図16に示すように、画素部110cの画素PXは、行(ロウ)方向と列(カラム)方向(Y行X列)のマトリクス状に配置される。ここで、Y及びXはそれぞれ独立に設定される正の自然数である。画素PXは、例えば、R画素209E、R画素209F、G画素211E、G画素211F、B画素212E、B画素212F、G画素213E及びG画素213Fに分類される。R画素209E及びR画素209Fは赤色カラーフィルタを有する画素PXである。G画素213E及びG画素213FはR画素209E及びR画素209Fを有する行に設けられ、緑色カラーフィルタを有する画素PXである。B画素212E及びB画素212Fは青色カラーフィルタを有する画素PXである。G画素211E及びG画素211FはB画素212E及びB画素212Fを有する行に設けられ、緑色カラーフィルタを有する画素PXである。本実施形態では、例えば、R画素209E及びR画素209Fの2つの画素を1つのR画素ユニットとし、G画素211E及びG画素211Fの2つの画素を1つのGB画素ユニットとし、B画素212E及びB画素212Fを1つのB画素ユニットとし、G画素213E及びG画素213Fを1つのGR画素ユニットとする。各ユニットは、例えば、2×1の画素構成とよも呼ばれる。R画素ユニット、GR画素ユニット、B画素ユニット及びGB画素ユニットをまとめて1つのブロックとすると、1つのブロックが、マトリクス状に配置される。
【0135】
画素部110cにおいて、1行目に設けられる複数の画素PXは、G画素213E、G画素213F、R画素209E及びR画素209Fを第9の組とすると、第9の組がX方向に配置される。2行目に設けられる複数の画素PXは、B画素212E、B画素212F、G画素211E及びG画素211Fを第10の組とすると、第10の組がX方向に配置される。1列目に設けられる複数の画素PXは、G画素213E、及びB画素212Eを第11の組とすると、第11の組がY方向に配置される。2列目に設けられる複数の画素PXは、G画素213F、及びB画素212Fを第12の組とすると、第12の組がY方向に配置される。3列目に設けられる複数の画素PXは、R画素209E、及びG画素211Eを第13の組とすると、第13の組がY方向に配置される。4列目に設けられる複数の画素PXは、R画素209F、及びG画素211Fを第14の組とすると、第14の組がY方向に配置される。本実施形態においても、第1実施形態及び第2実施形態と同様に、各画素PXは光電変換素子42を有する。
【0136】
4-3.制御回路140c、行選択走査回路120c及び読み出し回路130cの構成
図16に示すように、制御回路140cは、行選択走査回路120c及び読み出し回路130cに接続する。制御回路140cは、行選択走査回路120cの行選択を制御するための信号を行選択走査回路120cに送信し、スイッチ136hを制御する信号、及びAD変換回路部138を制御する信号を読み出し回路130cに送信する。
【0137】
行選択走査回路120cは、例えば、第1の水平信号線162c、及び第2の水平信号線164cに接続する。第1の水平信号線162cはG画素213E、G画素213F、R画素209E及びR画素209Fに接続され、第2の水平信号線164cはB画素212E、B画素212F、G画素211E及びG画素211Fに接続される。
【0138】
読み出し回路130cは、第4の差分算出回路134d、第4の差分算出回路134e、AD変換回路部138、スイッチ136h、及びスイッチ136iを有する。
【0139】
読み出し回路130cは、複数の垂直信号線、及び画素値再構成回路200に接続する。垂直信号線172cはG画素213E、B画素212E、第4の差分算出回路134dの入力端子L、及びAD変換回路138aに接続する。垂直信号線174cはG画素211F、B画素212F、第4の差分算出回路134dの入力端子R、及びAD変換回路138bに接続する。垂直信号線176cはR画素209E、G画素211E、第4の差分算出回路134eの入力端子L、及びAD変換回路138cに接続する。垂直信号線178cはR画素209F、G画素211F、第4の差分算出回路134eの入力端子R、及びAD変換回路138dに接続する。
【0140】
スイッチ136hの第1の端子は、第4の差分算出回路134dの出力端子O、または垂直信号線174cに接続し、スイッチ136hの第2の端子は、AD変換回路138bに接続する。スイッチ136hは、スイッチ136hを制御する信号、及びAD変換回路部138を制御する信号を用いて、第4の差分算出回路134dの出力端子O、または垂直信号線174cの何れかを選択し、選択した信号線をAD変換回路138bに導通させる。
【0141】
スイッチ136iの第1の端子は、第4の差分算出回路134eの出力端子O、及び垂直信号線178cに接続し、スイッチ136iの第2の端子は、AD変換回路138dに接続する。スイッチ136iは、スイッチ136iを制御する信号、及びAD変換回路部138を制御する信号を用いて、第4の差分算出回路134eの出力端子O、または垂直信号線178cの何れかを選択し、選択した信号線をAD変換回路138dに導通させる。
【0142】
読み出し回路130cは、以上説明した垂直信号線172c~178cに係る構成が、X方向に対して繰り返された構成を有する。
【0143】
上述した制御回路140cは、行選択走査回路120c及び読み出し回路130c以外の構成は、第1実施形態及び第2実施形態において説明した制御回路140、行選択走査回路120及び読み出し回路130と同様の構成を有するため、ここでの説明は省略する。第1実施形態及び第2実施形態と同様に、第4実施形態では、読み出し回路130cは処理回路とも呼ばれる。
【0144】
4-4.画素部110cの切断構造
図17に示すように、1つのマイクロレンズ62が、G画素213E及びG画素213Fの2つの画素に対して設けられる。すなわち、2つの画素PXが1つのオンチップレンズを備える。G画素213E及びG画素213Fと同様に、R画素209E及びR画素209Fの2つの画素が1つのオンチップレンズを備え、B画素211E及びB画素211Fの2つの画素が1つのオンチップレンズを備え、G画素211E及びG画素211Fの2つの画素が1つのオンチップレンズを備える。画素部110cのA1とA2に沿った切断部端面図は、図6(B)に示す切断部端面図と同様である。各画素は、2×1個の2つの画素と、1つのOCLを有するため、本実施形態では、例えば、2×1OCL、2×1OCL構成と呼ぶ場合がある。
【0145】
4-5.固体撮像装置10の駆動方法
【0146】
図18(A)に示すように、本実施形態に係る固体撮像装置10の駆動方法では、横に隣接する画素PX(G画素213E)と画素PX(G画素213F)との露光信号の差分値を算出する。本実施形態に係る固体撮像装置10の駆動方法は、図14に示すフローチャート図において、差分値D5及び第5の増幅値を、差分値D6及び第6の増幅値に置き換えたフローチャート図を用いることができる。本実施形態に係る固体撮像装置10の駆動方法は、差分値D5及び第5の増幅値を、差分値D6及び第6の増幅値に置き換えた以外は、図14に示すフローチャート図と同様であるから、図14に示すフローチャート図と同一、又は類似する構成の説明は、省略される。
【0147】
第4実施形態に係る固体撮像装置10の駆動方法においても、それぞれの画素ユニットにおける露光信号の差分値の算出方法は同様である。また、それぞれの画素ユニットにおける露光信号の差分値の算出は同時に実行される。第4実施形態に係る固体撮像装置10の駆動方法の説明では、GR画素ユニットを例に、露光信号の差分値の算出を説明する。
【0148】
図14に示すように、固体撮像装置10が駆動を開始すると、ステップ81(S81)において、固体撮像装置10は被写体を露光する。ステップ81(S81)では、制御回路140cは、行選択走査回路120cの行選択を制御するための信号を行選択走査回路120cに送信し、スイッチ136h及びスイッチ136iを制御する信号、及びAD変換回路部138を制御する信号を読み出し回路130cに送信する。スイッチ136h及びスイッチ136iを制御する信号、及びAD変換回路部138を制御する信号を用いて、スイッチ136hは第4の差分算出回路134dの出力端子Oを選択し、スイッチ136iは第4の差分算出回路134eの出力端子Oを選択する。
【0149】
図18(B)に示すように、行選択走査回路120cの行選択を制御するための信号に基づき、行選択走査回路120cが、第1の水平信号線162bを選択すると、第1の水平信号線162bに接続されたG画素213Eに備えられた光電変換素子42が露光される。G画素213Eは、G画素213Eに備えられた光電変換素子42によって、露光された光の強度に基づき生成した電力に対応した第5の値を含む露光信号Lを生成する。露光信号Lは、G画素213Eから、垂直信号線172c、AD変換回路部138内のAD変換回路138a、及び第4の差分算出回路134dの入力端子Lに送信される。G画素213Eと同様に、第1の水平信号線162bに接続されたG画素213Fに備えられた光電変換素子42が露光される。G画素213Fは、G画素213Fに備えられた光電変換素子42によって、露光された光の強度に基づき生成した電力に対応した第6の値を含む露光信号Rを生成する。露光信号Rは、G画素213Fから、垂直信号線174c及び第4の差分算出回路134dの入力端子Rに送信される。
【0150】
なお、第4実施形態においては、第1の水平信号線162c及び第2の水平信号線164cの選択は同時に行われてよく、第1の水平信号線162cが選択された後に第2の水平信号線164cが選択されてもよく、第2の水平信号線164cが選択された後に第1の水平信号線162cが選択されてもよい。行の選択は、本実施形態に係る固体撮像装置10の構成を逸脱しない範囲において、固体撮像装置10の用途、仕様などに基づき、適宜決定されればよい。
【0151】
第4の差分算出回路134dは、露光信号R及び露光信号Lを受信する。第4の差分算出回路134dは、露光信号Lから露光信号Rを減算した第6の差分信号(L-R)を生成し、第6の差分信号を増幅した第6の増幅信号を生成し、第6の増幅信号を出力端子Oに送信する。第6の差分信号は、露光信号Lから露光信号Rを減算した値(差分値D6)を含み、第6の増幅信号は、差分値D6を対数増幅した第6の増幅値を含む。例えば、差分値D6が電圧値の場合、第2の増幅値は電圧値を対数増幅した値である。
【0152】
読み出し回路130cは、受信した複数の露光信号及び増幅信号をデジタル露光信号に変換する。さらに、読み出し回路130cは、デジタル露光信号を画素値再構成回路200(図1)に送信する。具体的には、AD変換回路138aは露光信号Lを受信し、露光信号Lのデジタル値(第12のデジタルデータ)を含む第12のデジタル露光信号を生成し、AD変換回路138bは、第6の増幅値を含む第6の増幅信号を受信し、第6の増幅値のデジタル値(第13のデジタルデータ)を含む第13のデジタル露光信号を生成する。読み出し回路130cは、第12のデジタル露光信号、及び第13のデジタル露光信号を読み出し、画素値再構成回路200(図1)に送信する。第1実施形態~第3実施形態と同様に、第4実施形態においても、デジタル露光信号はイメージセンサ100から出力される信号(出力データ)である。
【0153】
図1及び図14を用いて、ステップ85(S85)を説明する。図14に示すように、ステップ85(S85)において、画素値再構成回路200(図1)は、第12のデジタル露光信号、及び第13のデジタル露光信号を受信する。画素値再構成回路200は、第13のデジタル露光信号に含まれる第13のデジタルデータを逆対数変換する。第13のデジタルデータは第6の増幅値のデジタル値であり、第6の増幅値は差分値D6を対数増幅した値であるから、逆対数変換された第13のデジタルデータは、例えば、差分値D6のデジタルデータとなる。画素値再構成回路200は、第13のデジタル露光信号に含まれる第14のデジタルデータを逆対数変換し、差分値D6のデジタルデータを生成する。
【0154】
さらに、画素値再構成回路200(図1)は、露光信号Lのデジタル値(第12のデジタルデータ)、及び差分値D6のデジタルデータを用いて、露光信号Rのデジタル値を生成する。画素値再構成回路200(図1)は、デジタル画像データを、距離計算回路300(図1)及びISP400(図1)に送信する。また、画素値再構成回路200(図1)は、差分値D6のデジタルデータを距離計算回路300に送信する。
【0155】
図1及び図14を用いて、ステップ87(S87)を説明する。図14に示すように、ステップ87(S87)において、距離計算回路300(図1)は、デジタル画像データ及び差分値D6のデジタルデータを受信する。また、距離計算回路300は、デジタル画像データ及び差分値D6のデジタルデータを用いて、エッジを検出し、エッジの距離情報を算出(生成)し、距離情報を含む距離マップを生成する。距離計算回路300は、生成した距離マップをISP400(図1)及び表示パネル500(図1)に送信する。
【0156】
次に、図1及び図14を用いて、ステップ89(S89)を説明する。図14に示すように、ステップ89(S89)において、ISP400(図1)は、デジタル画像データ、及び距離マップを受信する。ISP400は、各画像データ及び距離マップを用いて、撮像した被写体の画像データに対応した複数のRGB画像データを生成する。複数のRGB画像データは、表示パネル500(図1)に含まれる各画素に表示されるデータに対応する。ISP400は、複数のRGB画像データを含む画像信号を表示パネル500に送信する。
【0157】
以上説明したように、本実施形態に係る固体撮像装置10は、2×1OCL構造を用いて、行方向に隣接する同色のペア画素を用いて行方向の距離信号を検出することができる。すなわち、複数の同色の画素において、行方向の距離信号を同時に算出することができる。
【0158】
以上、本発明について図面を参照しながら説明したが、本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、各実施形態の固体撮像装置を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除または設計変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。さらに、上述した各実施形態は、相互に矛盾がない限り適宜組み合わせが可能であり、各実施形態に共通する技術事項については、明示の記載がなくても各実施形態に含まれる。
【0159】
また、上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0160】
10:固体撮像装置、30:回路部、32:スイッチ部、40:光電変換素子部、42:光電変換素子、44:素子分離部、50:カラーフィルタ部、52:青色カラーフィルタ、54:緑色カラーフィルタ、58:遮光部、60:光学素子部、62:マイクロレンズ、64:透過型回折格子、100:イメージセンサ、100B:イメージセンサ、100C:イメージセンサ、110:画素部、110b:画素部、110c:画素部、120:行選択走査回路、120b:行選択走査回路、120c:行選択走査回路、130:読み出し回路、130b:読み出し回路、130c:読み出し回路、132:スイッチ、132a:スイッチ、132b:スイッチ、132c:スイッチ、132d:スイッチ、134:差分算出回路、134a:第1の差分算出回路、134aa:第1の差分算出回路、134ab:第2の差分算出回路、134b:第2の差分算出回路、134ba:第1の差分算出回路、134bb:第2の差分算出回路、134c:第3の差分算出回路、134d:第4の差分算出回路、134e:第4の差分算出回路、136:スイッチ、136a:スイッチ、136b:スイッチ、136c:スイッチ、136d:スイッチ、136e:スイッチ、136f:スイッチ、136g:スイッチ、136h:スイッチ、136i:スイッチ、138:AD変換回路部、138a:AD変換回路、138b:AD変換回路、138c:AD変換回路、138d:AD変換回路、138e:AD変換回路、138f:AD変換回路、138g:AD変換回路、138h:AD変換回路、140:制御回路、140b:制御回路、140c:制御回路、151:GB画素ユニット、152:B画素ユニット、153:GR画素ユニット、159:R画素ユニット、162:第1の水平信号線、162b:第1の水平信号線、162c:第1の水平信号線、164:第2の水平信号線、164b:第2の水平信号線、164c:第2の水平信号線、166:第3の水平信号線、166b:第3の水平信号線、168:第4の水平信号線、168b:第4の水平信号線、172:垂直信号線、172b:垂直信号線、172c:垂直信号線、174:垂直信号線、174b:垂直信号線、174c:垂直信号線、176:垂直信号線、176b:垂直信号線、176c:垂直信号線、178:垂直信号線、178b:垂直信号線、178c:垂直信号線、182:垂直信号線、184:垂直信号線、186:垂直信号線、188:垂直信号線、200:画素値再構成回路、209A:画素、209B:画素、209C:画素、209D:画素、209E:画素、209F:画素、211:画素、211A:画素、211B:画素、211C:画素、211D:画素、211E:画素、211F:画素、212:画素、212A:画素、212B:画素、212C:画素、212D:画素、212E:画素、212F:画素、213:画素、213A:画素、213B:画素、213C:画素、213D:画素、213E:画素、213F:画素、300:距離計算回路、400:イメージシグナルプロセッサ(Image Signal Processor、ISP)、500:表示パネル、600:減算回路、600a:減算回路、600b:減算回路、600c:減算回路、600d:減算回路、602:増幅回路、602a:増幅回路、602b:増幅回路、602c:増幅回路、602d:増幅回路
図1
図2
図3
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図5
図6
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