(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022119700
(43)【公開日】2022-08-17
(54)【発明の名称】管理装置、管理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20220809BHJP
B65B 57/00 20060101ALI20220809BHJP
B31D 5/02 20170101ALI20220809BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
B65B57/00 G
B31D5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021143211
(22)【出願日】2021-09-02
(62)【分割の表示】P 2021016649の分割
【原出願日】2021-02-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】小泉 忠理
(72)【発明者】
【氏名】遠山 健司
(72)【発明者】
【氏名】古▲瀬▼ 清人
【テーマコード(参考)】
3C100
3E075
【Fターム(参考)】
3C100AA22
3C100AA29
3C100AA57
3C100AA70
3C100BB05
3C100BB13
3C100BB15
3C100BB27
3C100BB34
3E075AA05
3E075BA07
3E075CA01
3E075DC04
3E075DC45
3E075DD03
3E075DD13
3E075DD34
3E075DD45
3E075FA05
3E075FA06
3E075FA27
3E075GA03
3E075GA04
(57)【要約】
【課題】生産性を低下させることなく容器を製造することができる管理装置、管理方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】金型を往復動作させることにより包材の面を押圧して容器を製造する製造工程を管理する管理装置であって、前記包材の温度分布を示す画像を受け付ける画像受付部と、前記包材の温度分布を示す画像が解析された解析結果に基づいて、容器に不具合が発生するか否かを推定する推定部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型を往復動作させることにより包材の面を押圧して容器を製造する製造工程を管理する管理装置であって、
前記包材の温度分布を示す画像を受け付ける画像受付部と、
前記包材の温度分布を示す画像が解析された解析結果に基づいて、容器に不具合が発生するか否かを推定する推定部と、
を備える管理装置。
【請求項2】
前記推定部は、品質を管理する基準となる品質管理情報であり包材の温度分布を示す品質管理情報と、前記温度分布を示す画像が解析された解析結果とに基づいて、容器に不具合が発生するか否かを推定する
請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記品質管理情報を記憶する記憶部を有し、
前記推定部は、前記記憶部に記憶された品質管理情報を参照し、前記推定を行う
請求項2に記載の管理装置。
【請求項4】
前記包材は、当該包材の一部が折り曲げて重ねられた部分が熱融着可能であり、
前記画像受付部は、前記包材に対して熱風が供給された場合における前記包材の温度分布を示す画像を受け付ける
請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の管理装置。
【請求項5】
金型を往復動作させることにより包材の面を押圧して容器を製造する製造工程を管理する管理装置であるコンピュータ装置が行う管理方法であって、
画像受付部が、前記包材の温度分布を示す画像を受け付け、
推定部が、前記包材の温度分布を示す画像が解析された解析結果に基づいて、容器に不具合が発生するか否かを推定する
管理方法。
【請求項6】
金型を往復動作させることにより包材の面を押圧して容器を製造する製造工程を管理する管理装置であるコンピュータ装置に、
前記包材の温度分布を示す画像の受け付けをさせ、
前記包材の温度分布を示す画像が解析された解析結果に基づいて、容器に不具合が発生するか否かを推定させる
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理装置、管理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
食品の包装容器として、特許文献1に記載の紙製容器が知られている。この紙製容器は、紙製のブランク(包材)の一部を折り曲げて接着することにより製造される。特許文献1には、ブランクを配置する工程、配置したブランクの四隅に熱風を供給する工程、金型を用いてブランクを押圧する工程などが記載されている。このような工程が行われることによって、ブランクの表面に形成された熱溶解樹脂からなる層を溶解させた後に、四隅を折り曲げて重ね、重ねた部分を押圧して熱融着させることより接合して紙製容器を製造する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、紙製容器は、ブランクを金型で押圧することによって製造する場合、可動部品となる金型に位置ずれや経年劣化などの不具合が生じやすい。また、熱風により金型が高温となることを防止するために、金型の内部に冷却水を循環させる場合がある。この場合、金型に、冷却水を供給或いは排水する機構が設けられるが、これらの機構を定期的にメンテナンスする必要がある。メンテナンスにおいては、金型を分解して構成部品の経年劣化の有無などを確認した後、清掃などを行い、再度、組みなおして元の位置に設置する再現作業が行われる。
【0005】
再現作業においては、元の位置に金型を設置したつもりであっても、紙製容器が正しく製造できない不具合が生じる場合が多く発生していた。このような場合、金型の位置を変更しながらブランクを押圧するテストを繰り返して、紙製容器が正しく製造されるようになるまで調整を行う必要があった。このため、メンテナンス後の再現作業に時間がかかるという問題があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、メンテナンス後の再現作業が長引くことを抑制することができる管理装置、管理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明の一態様は、金型を往復動作させることにより包材の面を押圧して容器を製造する製造工程を管理する管理装置であって、前記包材の温度分布を示す画像を受け付ける画像受付部と、前記包材の温度分布を示す画像が解析された解析結果に基づいて、容器に不具合が発生するか否かを推定する推定部と、を備える管理装置である。
【0008】
また、本発明の一態様は、金型を往復動作させることにより包材の面を押圧して容器を製造する製造工程を管理する管理装置であるコンピュータ装置が行う管理方法であって、画像受付部が、前記包材の温度分布を示す画像を受け付け、推定部が、前記包材の温度分布を示す画像が解析された解析結果に基づいて、容器に不具合が発生するか否かを推定する管理方法である。
【0009】
また、本発明の一態様は、金型を往復動作させることにより包材の面を押圧して容器を製造する製造工程を管理する管理装置であるコンピュータ装置に、前記包材の温度分布を示す画像の受け付けをさせ、前記包材の温度分布を示す画像が解析された解析結果に基づいて、容器に不具合が発生するか否かを推定させるプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、生産性を低下させることなく容器を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態による製造工程の流れを示す図である。
【
図2】実施形態による製造工程を説明する図である。
【
図3】実施形態による製造工程を説明する図である。
【
図4】実施形態による製造工程を説明する図である。
【
図5】実施形態による製造工程を説明する図である。
【
図6】実施形態による製造工程を説明する図である。
【
図7】実施形態による製造工程を説明する図である。
【
図8】実施形態による製造工程を説明する図である。
【
図9】実施形態による品質管理装置90が適用される管理システム1の構成例を示すブロック図である。
【
図10】実施形態による品質管理情報921の構成例を示す図である。
【
図11】実施形態によるメンテナンス情報922Aの構成例を示す図である。
【
図12】実施形態によるメンテナンス情報922Bの構成例を示す図である。
【
図13】実施形態の品質管理装置90が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【
図14】実施形態の品質管理装置90が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
管理システム1は、容器を製造する製造工程を管理するシステムである。以下では、製造工程において紙製容器を製造する場合を例示して説明する。しかしながらこれに限定されることはない。管理システム1は、少なくとも金型を動かして製品を製造する工程であって、メンテナンス等において金型が取り外された後に再度元の位置に設置されるような工程に適用することが可能である。
【0014】
まず、
図1~
図5を用いて、製造工程について説明する。
図1は、実施形態による製造工程の流れを示す図である。
図2~
図5は、
図1の製造工程を説明する図である。
【0015】
図1に示すように、製造工程では、工程A、工程B、及び工程Cの各工程が行われることにより容器が製造される。次工程は製造工程の次に行われる工程であり、例えば、製造工程にて製造された容器に内容物を充填したり、容器に蓋材を接合したりする工程である。
【0016】
工程Aは、ブランクBRを所定の位置に配置する工程である。工程Bは、ブランクBRの四隅に熱風を供給する工程である。工程Cは、ブランクBRを押圧して容器を製造する工程である。ブランクBRは、略方形の紙製の包材であり、エンボス加工等により予め複数の折り曲げ線が形成されている。ブランクBRの中央部には、容器の底面を構成する四角形が折り曲げ線の一部により形成されている。
【0017】
図2には、工程AにおけるブランクBRと金型(オス型OGとメス型MG)の相対的な位置関係が示されている。工程Aにおいて、ブランクBRは、オス型OGとメス型MGとの間に配置される。
【0018】
オス型OGは、上下の方向Dに動作可能に構成される。例えば、オス型OGは、駆動機構(不図示)と接続される軸Tに取り付けられている。駆動機構より軸Tが駆動されると、軸Tと共にオス型OGが上下動する。メス型MGはオス型OGの下方に設置され、その設置位置は固定されている。
【0019】
図3には、工程BにおけるブランクBRと熱風供給ユニットHA1~HA4との相対的な位置関係が示されている。工程Bにおいて、熱風供給ユニットHA1~HA4は、噴出孔からブランクの四隅に向けて熱風を噴出する。熱風によってブランクBRの表面に形成された熱溶解樹脂からなる層が溶解する。
【0020】
図4には押圧前、
図5には押圧後、のそれぞれのブランクBRと金型の相対的な位置関係が示されている。
【0021】
図4に示すように、工程Aにおいて、オス型OGとメス型MGとの間に、ブランクBRが配置される。
【0022】
図5に示すように、工程Cにおいて、オス型OGは、ブランクBRの上方からブランクBRに近接してブランクBRが配置された位置に到達し、ブランクBRと接した状態でメス型MGに向かって下降する。この結果、ブランクBRは、折り曲げ線に沿って折れ曲がり、底面部と、折り曲げにより底面部から立ち上がった側面部とからなる容器の形状に形成される。
【0023】
図5に示すように、メス型の下方にはローラR(金型の一例)が設置されている。ローラRは、容器の側面の形状に対応する径及び長さを有する円柱形状であり、金型の左右の側に一つずつ設置されている。オス型OGは、メス型MGが設置された位置まで下降してブランクBRを容器の形状に形成した後、容器の底面に接した状態で、さらにローラRが設置された位置まで下降する。容器がローラRの位置まで下降すると、容器の側面がローラRによって押圧される。これにより、容器側面における折り曲げられて重ねられた部分が近接して接合され容器が完成する。
【0024】
製造工程においては、以下の管理が行われる。
(管理1)熱風供給ユニットHA1~HA4の管理
(管理2)冷却水、及び金型の温度管理
(管理3)金型の位置、及び動作タイミング管理
(管理4)ブランクBRの溶融管理
(管理5)容器の個体識別管理
【0025】
(管理1)では、熱風供給ユニットHA1~HA4から供給される熱風の温度及び風量が測定され、測定された値が記録される。(管理1)を行うために製造工程では、例えば、熱風供給ユニットHA1~HA4の噴出孔付近の温度を測定する温度センサ、及び風量を測定する風量センサが設けられる。工程Bにおいて、温度センサにより測定された温度が記録され、風量センサにより測定された風量が記録される。
【0026】
(管理2)では、冷却水、及び金型の温度が測定され、測定された値が記録される。(管理2)を行うために製造工程では、例えば、オス型OG、メス型MG、及びローラRのそれぞれの温度を測定する温度センサが設けられる。工程A~Cの各工程において、温度センサにより測定された温度が記録される。また、オス型OG、メス型MG、及びローラRのそれぞれに循環させている冷却水の温度を測定する温度センサが設けられる。工程A~Cの各工程において、温度センサにより測定された温度が記録される。
【0027】
(管理3)では、金型の位置が測定され、測定された値が記録される。(管理3)を行うために製造工程では、例えば、金型(オス型OG、メス型MG、及びローラR)のそれぞれの位置を測定する位置センサが設けられる。位置センサは、例えば、金型を支持する柱などに設置され、位置センサが設置された位置から金型までの距離を測定する。位置センサは、例えば、光学式のセンサである。この場合、位置センサは、測定対象とする金型に向けて、短い間隔(パルス)で区切ったレーザー光(例えば、赤外線など)を照射し、その反射を受光部で検出する。位置センサは、照射したレーザー光と、受光したレーザー光のズレ(位相差など)に基づいて、距離を測定する。
【0028】
図6は、金型の位置を測定する方法について説明する図である。
図6に示すように、例えば、オス型OGの位置を測定する位置センサは、オス型OGの上面S1までの距離を測定するセンサPS1、側面S2までの距離を測定するセンサPS2、及び側面S3までの距離を測定するセンサPS3のそれぞれによって構成される。メス型MG、ローラRの位置についても、同様に、高さ方向の位置を含む三次元の位置が測定される。例えば、工程Aにおいて、位置センサにより、それぞれの金型の位置が測定され、測定値が記録される。
【0029】
上述したように、オス型OGは上下動を行う。このため、オス型が動くとその設置位置が変化する。位置センサは、上下動するオス型OGの位置を、毎回決まったタイミングにて測定する。例えば、位置センサは、例えば、オス型の上下動が上昇から下降に変化するタイミングにて、オス型OGの位置を測定する。上昇から下降に転じる際には動きが止まる。この動きが止まるタイミングにて、位置センサがオス型OGの位置を測定する。これにより、精度よく位置を測定することができる。
【0030】
また、(管理3)では、金型の動作タイミングが測定され、測定された値が記録される。(管理3)の動作タイミングを検知するために製造工程では、金型の駆動部(オス型OGを上下動させる駆動部)の動作を検知する検知センサが設けられる。検知センサは、例えば、オス型OGの高さ方向の位置を測定する位置センサの測定値の変化を検知することによって、動作タイミングを検知する。或いは、検知センサは、金型の駆動部を制御する駆動制御部から出力される信号を(例えば、駆動開始を指示する信号)を検知することによって、動作タイミングを検知するようにしてもよい。
【0031】
(管理4)では、ブランクBRの温度が測定され、測定された値が記録される。(管理4)を行うために製造工程では、例えば、ブランクBRの表面温度を測定する赤外線カメラが設けられる。
【0032】
図7、及び
図8は、ブランクBRの温度を測定する方法について説明する図である。
図7に示すように、例えば、工程Bにおいて、ブランクBRの上方に設置した赤外線カメラTCを用いてブランクBRの温度分布を色で示す画像(所謂、ヒートマップ)を撮像する。そして、
図8に示すように、撮像した画像を解析した結果を記録する。この図の例では、撮像された画像の全体図、拡大図、及び解析結果が示されている。全体図は赤外線カメラTCにて撮像されたブランクBR全体の温度分布を示す画像である。拡大図は、溶解温度に達しているかを確認したい部分、ブランクBRの四隅における温度分布を示す画像である。解析結果は、拡大図における温度分布を解析した結果であり、この図の例では、最高温度と、所定の温度範囲(この図の例では、T2~T3[℃])に達している領域の面積(ピクセル数)が示されている。
【0033】
(管理5)では、製造工程において製造された容器に、当該容器を一意に特定する情報(個体識別情報)を付与し、付与した情報が記録される。(管理5)を行うために、例えば、容器の個体識別情報が埋め込まれた二次元コードなどが、ブランクBRに印字されている。製造工程において、ブランクBRに印字された二次元コードがコードリーダなどによって読み取られ、読み取られた情報が記録される。
【0034】
上述した(管理1)~(管理5)が行われることにより、製造工程において製造される容器の品質が管理される。例えば、(管理1)にて測定された熱風供給ユニットHA1~HA4から供給される熱風の温度が閾値温度未満であれば熱融着が不十分となり、容器に形成不良が生じている可能性が高い。このため、熱風供給ユニットHA1~HA4から供給される熱風の温度が閾値温度未満と記録されている容器については不良品とするような管理が行われる。
【0035】
また、(管理1)~(管理5)が行われることにより、製造工程において用いられる製造装置に不具合や故障が生じないように管理される。例えば、(管理2)にて測定された金型や冷却水の温度が閾値温度以上であれば、金型の温度が上昇して、製造装置が故障する原因となり得る。このため、金型内における冷却水の循環が適切に行われているか、冷却水の供給口、排出口に目詰まり等がないか、冷却水を循環させるポンプに不具合がないかなどがチェックされ、金型や冷却水の温度が閾値温度未満となるように対策が行われる。
【0036】
さらに、本実施形態では、(管理1)~(管理5)にて記録された情報を用いて、効率よく、メンテナンス後の再現作業を行う。以下、メンテナンス後の再現作業を行う構成について詳しく説明する。
【0037】
図9は、実施形態の管理システム1が適用される品質管理装置90の構成例を示すブロック図である。管理システム1は、例えば、各種のセンサ群と、品質管理装置90とを備える。各種のセンサ群は、例えば、金型管理装置10と、熱風噴出孔管理装置20と、熱画像撮像装置30と、コードリーダ40とで構成される。
【0038】
金型管理装置10は、金型を管理するセンサ群を備える。金型管理装置10は、例えば、第1位置検出センサ11と、第2位置検出センサ12と、第3位置検出センサ13と、金型温度センサ14と、冷却水温度センサ15と、金型動作センサ16とを備える。第1位置検出センサ11はオス型OGの位置を検出するセンサであり、例えば、
図6に示すように三方向それぞれからオス型までの距離を測定するセンサPS1~PS3である。第2位置検出センサ12はメス型MGの位置を検出するセンサである。第3位置検出センサ13はローラRの位置を検出するセンサである。第2位置検出センサ12及び第3位置検出センサ13は、例えば、第1位置検出センサ11と同様の構成を備える。
【0039】
金型温度センサ14は、金型の温度を測定するセンサであり、例えば、オス型OGの温度を測定するセンサ、メス型MGの温度を測定するセンサ、及びローラRの温度を測定するセンサである。冷却水温度センサ15は、金型の内部を循環する冷却水の温度を測定するセンサである。金型動作センサ16は、金型の動作を検知するセンサである。金型管理装置10が備えるセンサ群によって測定された測定値を示す情報は品質管理装置90に出力される。
【0040】
熱風噴出孔管理装置20は、熱風供給ユニットHA(熱風供給ユニットHA1~HA4)を管理するセンサ群を備える。熱風噴出孔管理装置20は、例えば、熱風温度センサ21と、風量センサ22とを備える。熱風温度センサ21は熱風供給ユニットHAの熱風噴出孔から噴出される熱風の温度を測定する。風量センサ22は熱風供給ユニットHAの熱風噴出孔から噴出される熱風の風量を測定する。熱風噴出孔管理装置20が備えるセンサ群によって測定された測定値を示す情報は品質管理装置90に出力される。
【0041】
熱画像撮像装置30は、ブランクBRの温度を測定する赤外線カメラである。熱画像撮像装置30は、ブランクBRから放出される赤外線を受光し、受光した赤外線の波長及び強度を検知することによりブランクBRの温度分布を示す画像を撮像する。熱画像撮像装置30は、撮像した温度分布を示す画像を品質管理装置90に出力する。
【0042】
コードリーダ40は、ブランクBRに印字された二次元コード(個体識別情報が埋め込まれたコード)を読み取る。コードリーダ40は、二次元コードから読取った情報を品質管理装置90に出力する。
【0043】
品質管理装置90は、製造工程において製造された容器に品質を管理するコンピュータ装置であり、例えば、PC(Personal Computer)、サーバ装置などである。品質管理装置90は、例えば、通信部91と、記憶部92と、制御部93と、表示部94と、入力部95とを備える。
【0044】
通信部91は、例えば、汎用の通信用IC(Integrated Circuit)などによって実現される、外部の装置と通信を行う機能部である。通信部91は、例えば、金型管理装置10、熱風噴出孔管理装置20、熱画像撮像装置30、及びコードリーダ40のそれぞれが出力した情報(センサ情報)を受信する。表示部94は、例えば、液晶ディスプレイなどの表示装置を含み、制御部93にしたがった画像を表示装置に表示する。入力部95は、例えば、マウスやキーボードなどの入力装置を含み、入力装置に入力された情報を取得し、取得した情報を制御部93に出力する。
【0045】
記憶部92は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)、或いはこれらの組合せによって実現される。記憶部92は、品質管理装置90の各構成要素を実現するためのプログラム、プログラムを実行する際に用いられる変数、及び各種の情報を記憶する。
【0046】
記憶部92は、例えば、センサ情報920と、品質管理情報921と、メンテナンス情報922と、を備える。センサ情報920は、金型管理装置10、熱風噴出孔管理装置20、熱画像撮像装置30、及びコードリーダ40のそれぞれが出力した情報である。
【0047】
品質管理情報921は、製造工程において製造された容器の品質を管理する情報であって、センサ情報920を、製造工程において製造された容器ごとに対応付けた情報である。
図10は、実施形態の品質管理情報921の構成例を示す図である。
図10に示すように、品質管理情報921は、例えば、容器コード、工程、金型位置、金型温度、冷却水温度、動作タイミング、熱風供給、ブランク温度、及び不具合の有無などの項目を備える。
容器コードは(管理5)においてコードリーダ40により読み取られた容器の個体識別情報である。工程はセンサ情報が取得された工程を示しており、工程A~工程Cの何れかを示す情報である。金型位置は(管理3)において第1位置検出センサ11などにより測定された金型の位置を示す情報である。金型温度は(管理2)において金型温度センサ14により測定された金型の温度を示す情報である。冷却水温度は(管理2)において冷却水温度センサ15により測定された冷却水の温度を示す情報である。動作タイミングは(管理3)において金型動作センサ16により測定された動作タイミングを示す情報である。熱風供給は(管理1)において熱風噴出孔管理装置20により測定された熱風の温度及び風量を示す情報である。ブランク温度は(管理4)において熱画像撮像装置30により撮像されたブランクBRの温度分布を示す情報である。不具合の有無は容器が不良品と判定されたか否かを示す情報である。容器の不具合は、例えば、各種のセンサ情報が所定の製造条件を充足するか否か、及び検品結果などに基づいて決定される。
【0048】
メンテナンス情報922は、メンテナンス時における再現作業に用いられる情報である。
図11、及び
図12は、実施形態のメンテナンス情報922の構成例を示す図である。
図11に示すメンテナンス情報922Aには、メンテナンス時の位置調整段階において用いられる情報の例が示されている。
図12に示すメンテナンス情報922Bには、メンテナンス時の試作段階において用いられる情報の例が示されている。
【0049】
位置調整段階とは、メンテナンス時に、再度、組みなおして元の位置に設置された金型の設置位置を調整する段階である。試作段階とは、メンテナンス時に、容器が正しく製造できるかテストするために、容器を試作する段階である。このように、メンテナンス後の再現作業では、例えば、位置調整段階と試作段階の、複数の段階に分けて調整が行われる。
【0050】
図11に示すように、メンテナンス情報922Aは、例えば、メンテナンスID、金型位置、基準位置、及び差分などの項目を備える。メンテナンスIDは、メンテナンスを一意に特定する情報である。金型位置は、調整段階において測定され金型の設置位置を示す情報である。基準位置は、基準となる金型の設置位置を示す情報であり、例えば、オス型、メス型、ローラのそれぞれの基準となる位置を示す情報である。差分は、金型位置と、基準位置との差分を示す情報である。
【0051】
図12に示すように、メンテナンス情報922Bは、例えば、品質管理情報921と同等の項目を備える。すなわち、メンテナンス情報922Bには、メンテナンス時に試作された容器の製造過程において測定された、金型位置、金型温度、冷却水温度、動作タイミング、熱風供給、ブランク温度などの測定値が示される。
【0052】
図10の説明にもどり、制御部93は、品質管理装置90が備えるハードウェアとしてのCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等のProcessing Unit(プロセッシングユニット)が記憶部92に記憶されたプログラムを実行することにより、機能が実現される。
【0053】
制御部93は、例えば、取得部930と、推定部931と、品質管理部932と、装置制御部933とを備える。取得部930は、位置調整段階において、金型の設置位置を示す情報(位置情報)を、通信部91を介して取得し、取得した情報を推定部931に出力する。また、取得部930は、試作段階において、製造工程にて各種センサ群により測定される情報(センサ情報)を、通信部91を介して取得し、取得した情報を推定部931に出力する。
【0054】
推定部931は、位置調整段階において取得部930から取得した金型の設置位置を示す情報に基づいて、試作段階において試作する容器に成形不良などの不具合が発生するか否かを推定する。
【0055】
推定部931は、位置調整段階において、例えば、取得部930から、メンテナンス時に金型を取り外す前に測定された金型の設置位置を示す情報を取得し、取得した情報を基準位置としてメンテナンス情報922Aに記憶させる。また、推定部931は、取得部930から、位置調整段階において測定された金型の設置位置を示す情報を取得し、取得した情報を金型位置としてメンテナンス情報922Aに記憶させる。推定部931は、金型位置と基準位置との差分が所定の閾値以上である場合、試作段階において試作する容器に不具合が発生すると推定する。
【0056】
この場合において、推定部931は、金型を取り外す前に測定した金型位置を基準位置とする代わりに、メンテナンス前の製造工程において測定された金型位置の統計量を、基準位置としてもよい。ここでの統計量は、例えば、平均値、最頻値、最大値、最小値などである。また、推定部931は、メンテナンス前の製造工程において測定された金型の位置のうち、製造された容器が良品である場合における、金型位置の統計量を、基準位置としてもよい。
【0057】
推定部931は、位置調整段階において、金型位置と基準位置との差分が所定の閾値以上である場合、不具合が発生する要因は、メンテナンス後に設置された金型の設置位置であると推定する。推定部931は、金型位置と基準位置との差分(推定結果)を示す情報を、表示部94に出力して表示させる。これにより、メンテナンス後の金型の位置を基準位置に近づけるようにメンテナンス作業員を誘導することができる。
【0058】
位置調整段階において、推定部931によって不具合が発生しないと推定された場合、メンテナンス後の再現作業が試作段階に進められる。
【0059】
推定部931は、試作段階において取得部930から取得したセンサ情報に基づいて、試作段階において試作する容器に成形不良などの不具合が発生するか否かを推定する。
【0060】
推定部931は、試作段階において、例えば、取得部930から、メンテナンス前の製造工程において取得された品質管理情報921を、基準情報として取得する。また、推定部931は、取得部930から、試作段階において測定されたセンサ情報を取得し、取得した情報を、メンテナンス情報922Bとして記憶させる。
【0061】
推定部931は、例えば、基準情報と、メンテナンス情報922Bとの、対応するセンサ情報同士の差分が所定の閾値以上である場合、試作段階において試作する容器に不具合が発生すると推定する。この場合、推定部931は、差分が所定の閾値以上となったセンサ情報(推定結果)を、表示部94に出力して表示させる。これにより、メンテナンス後のセンサ情報を、基準情報におけるセンサ情報の値に近づけるようにメンテナンス作業員を誘導することができる。
【0062】
或いは、推定部931は、基準情報に示されたセンサ情報の傾向と、メンテナンス情報922Bに示されたセンサ情報の傾向とが異なる傾向にある場合、試作する容器に不具合が発生すると推定するようにしてもよい。ここでの傾向は「相関の強さの度合い」の一例である。
【0063】
例えば、基準情報と比較して、メンテナンス情報922において、熱風の温度がほとんど変わらないにもかかわらず、金型温度が高く、ブランクの温度が低い傾向にある場合を考える。このような傾向が発生する要因として考えられる状況は、例えば、メンテナンス後に熱風の風向きが変化して、ブランクの方向ではなく、オス型の方向に熱風が噴出されているような状況である。或いは、工程Aにおいて配置したブランクの位置が変化し、ブランクに熱風が噴出されずに、メス型に熱風が噴出されているような状況である。このような状況で容器が製造された場合、不具合が発生する可能性が高い。このような考え方に基づいて、推定部931は、基準情報に示されたセンサ情報の傾向と、メンテナンス情報922Bに示されたセンサ情報の傾向とが異なる傾向にある場合、試作する容器に不具合が発生すると推定する。
【0064】
一方、基準情報と比較して、メンテナンス情報922において、熱風の温度が低い傾向にあるが、金型温度、及びブランクの温度も低い傾向にあり、何れの温度も閾値を下回ってはいない場合を考える。このような傾向が発生する要因として考えられる状況は、例えば、メンテナンス後に、熱風噴出ユニットが冷えて、メンテナンス前よりも温度が低下しているような状況である。メンテナンス前よりも温度が低下した状況にあるものの、規定の温度に達していれば、このような状況で容器を製造しても、不具合が発生する可能性は低い。このような考え方に基づいて、推定部931は、基準情報に示されたセンサ情報の傾向と、メンテナンス情報922Bに示されたセンサ情報の傾向とが同じ傾向にある場合、試作する容器に不具合が発生しないと推定する。
【0065】
推定部931は、基準情報と、メンテナンス情報922Bの傾向の相違に基づいて、不具合が発生すると推定した場合、二つの情報の傾向が異なることを示す情報(推定結果)を、表示部94に出力して表示させる。この場合において、推定部931は、例えば、相関係数と共に、各種のセンサ情報の相関関係を、メンテナンス作業員が把握しやすくなるような付加情報を表示するようにしてもよい。付加情報は、例えば、基準情報とメンテナンス情報922Bのそれぞれについて、各種のセンサ情報を円グラフ(レーダチャート)にて重ねて示す画像である。これにより、メンテナンス作業員に、二つの情報の傾向の相違を把握させることができる。
【0066】
また、推定部931は、試作段階において、複数の容器を製造し、製造した複数の容器それぞれに対応するメンテナンス情報922を用いて、不具合が発生するか否かを推定するようにしてもよい。
【0067】
この場合、例えば、推定部931は、基準情報と、メンテナンス情報922との相関係数を算出する。相関係数は、「相関の強さの度合い」の一例である。相関係数は、例えば、+1から-1までの任意の実数値で示され、+1に近いほど正の相関が強く、-1に近いほど負の相関が強いことを示す。
【0068】
正の相関が強いとは、一方の情報(例えば、基準情報)と他方の情報(例えば、メンテナンス情報922)の傾向が同じ傾向にあることを示す。例えば、一方の情報において、熱風の風量が大きくなるほどブランクの温度が高い傾向が示されている場合に、他方の情報においても熱風の風量が大きいほどブランクの温度も高い傾向が示された場合、正の相関が強くなる。この場合、メンテナンス後においても、熱風の風量は適切であり、ブランクの温度が適切に上昇している状況であると考えられる。このような状況で容器が製造された場合、不具合が発生する可能性は低い。このような考え方に基づいて、推定部931は、基準情報と、メンテナンス情報922との相関係数において正の相関が強い場合、試作する容器に不具合が発生しないと推定する。
【0069】
一方、負の相関が強いとは、一方の情報(例えば、基準情報)と他方の情報(例えば、メンテナンス情報922)の傾向が逆の傾向にあることを示す。例えば、一方の情報が熱風の風量が大きいほどブランクの温度が高い傾向が示されている場合に、他方の情報において熱風の風量が大きいほどブランクの温度が低い傾向が示された場合、負の相関が強くなる。この場合、例えば、風量が大きすぎで、ブランクの位置がずれ、ブランクの温度が上昇しないような状況が考えられる。このような状況で容器が製造された場合、不具合が発生する可能性が高い。このような考え方に基づいて、推定部931は、基準情報と、メンテナンス情報922との相関係数において負の相関が強い場合、試作する容器に不具合が発生すると推定する。
【0070】
また、正の相関、及び負の相関が共に強くない場合、相関が弱いということになる。例えば、基準情報において金型の温度が高いほど冷却水の温度も高くなる傾向が示されている場合に、メンテナンス情報922において金型の温度が高いか低いかに関わらず、冷却水の温度が低い傾向が示された場合、相関は弱くなる。相関が弱い場合、基準情報において示されていた傾向が、メンテナンス情報922では示されていないということになる。このような場合、例えば、金型の内部に冷却水が供給されておらず、金型が冷却水によって冷却されていないような状況が考えられる。このような状況で容器が製造された場合、不具合が発生する可能性が高い。このような考え方に基づいて、推定部931は、基準情報と、メンテナンス情報922との相関係数において相関が弱い場合、試作する容器に不具合が発生すると推定する。
【0071】
推定部931は、基準情報と、メンテナンス情報922Bとの相関係数に基づいて、不具合が発生すると推定した場合、相関係数(推定結果)を、表示部94に出力して表示させる。この場合において、推定部931は、メンテナンス作業員が把握しやすくなるような付加情報を表示するようにしてもよい。付加情報は、各種のセンサ情報の相関関係を示す画像であり、例えば、熱風の温度が高い場合の金型温度の傾向、及び熱風の温度が低い場合の金型温度の傾向のそれぞれを、基準情報とメンテナンス情報922とで比較できるように円グラフ(レーダチャート)にて重ねて示す画像である。
【0072】
なお、推定部931は、基準情報として、メンテナンス前の製造工程において測定されたセンサ情報の統計量を用いてもよいし、メンテナンス前の製造工程において測定されたセンサ情報のうち、製造された容器が良品である場合における、センサ情報の統計量を用いてもよい。
【0073】
また、推定部931は、相関係数を算出するにあたり、基準情報と、メンテナンス情報922Bとのそれぞれのセンサ情報に所定の係数を乗算することによって重みづけを行うようにしてもよい。センサ情報のうち、例えば、ごく僅かな差により、不具合が発生し得る情報(例えば、金型の設置位置を示す情報)には比較的大きな値(例えば、2.0)を乗算する。一方、測定値に差があっても不具合の発生に影響しない情報(例えば、容器の個体識別情報)には比較的小さな値(例えば、0.1)を乗算する。推定部931は、重みづけを行なった後の基準情報と、メンテナンス情報922Bの相関係数に基づいて、容器に不具合が発生するか否かを推定する。これにより、不具合の発生に大きく寄与する情報における相関の強さに基づいて、容器に不具合が発生するか否かを推定することができ、推定の精度を向上させることが可能となる。
【0074】
品質管理部932は、製造工程において製造される容器の品質を管理する。品質管理部932は、容器を製造する過程において各種のセンサ情報を取得し、取得した情報を品質管理情報921として、記憶部92に記憶させる。
【0075】
装置制御部933は、品質管理装置90を統合的に制御する。例えば、装置制御部933は、通信部91によって受信されたセンサ情報や、入力部95に入力された情報を、記憶部92に記憶させたり、推定部931などに出力したりする。入力部95には、例えば、各種の閾値などが、メンテナンス作業員等によって設定入力される。
【0076】
ここで、品質管理装置90が行う処理の流れについて、
図13、及び
図14を用いて説明する。
図13、及び
図14は、品質管理装置90が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【0077】
図13には、製造工程において各種のセンサ情報が記憶される処理の流れが示されている。まず、品質管理装置90は工程Aを実行し(ステップS10)、工程Aに対応するセンサ情報を取得し、取得した情報を記憶させる(ステップS11)。工程Aに対応するセンサ情報は、例えば、容器コード、金型の温度及び冷却水の温度、及び、金型の位置等をそれぞれ示す情報である。次に、品質管理装置90は工程Bを実行し(ステップS12)、工程Bに対応するセンサ情報を取得し、取得した情報を記憶させる(ステップS13)。工程Bに対応するセンサ情報は、例えば、熱風の温度及び風量、ブランクの温度分布、金型の温度及び冷却水の温度、及び金型の位置等をそれぞれ示す情報である。次に、品質管理装置90は工程Cを実行し(ステップS14)、工程Cに対応するセンサ情報を取得し、取得した情報を記憶させる(ステップS15)。工程Cに対応するセンサ情報は、例えば、オス型の下降開始時間、オス型の上昇開始時間、金型の温度及び冷却水の温度等をそれぞれ示す情報である。そして、品質管理装置90は、製造された容器において不具合が発生したか否かを示す情報を取得し、取得した情報を記憶させる(ステップS16)。最後に、品質管理装置90は、ステップS11、S13、S15及びS16のそれぞれで取得した情報を、容器コードに対応付けて記憶することによって、品質管理情報921を生成する。
【0078】
図14には、メンテナンス後の再現作業において品質管理装置90が行う処理の流れが示されている。品質管理装置90は、位置調整段階において、金型の設置位置を示す情報(位置情報)を取得し、メンテナンス情報922Aとして記憶させる(ステップS20~S21)。品質管理装置90は、メンテナンス情報922Aと、基準位置との差分が、所定の閾値未満であるか否かを判定する。品質管理装置90は、差分が、所定の閾値未満である場合、ステップS24を実行し、試作段階に進む。一方、品質管理装置90は、差分が、所定の閾値以上である場合、その差分を表示してメンテナンス作業員に調整を促す(ステップS22~S23)。そして、ステップS20に戻り、位置の調整を繰り返す。
【0079】
品質管理装置90は、試作段階において、容器を試作しその製造過程における各種のセンサ情報を取得し、メンテナンス情報922Bとして記憶させる(ステップS25)。品質管理装置90は、メンテナンス情報922Bと、基準情報とに基づいて、試作した容器に不具合が発生するか否かを推定する(ステップS26)。品質管理装置90は、例えば、メンテナンス情報922Bと、基準情報とにおいて対応するセンサ情報の差分が所定の閾値以上である場合、容器に不具合が発生すると推定する。或いは、品質管理装置90は、メンテナンス情報922Bと、基準情報との相関係数が所定の範囲内である場合に、メンテナンス情報922Bと基準情報の相関が弱く、容器に不具合が発生すると推定する。
【0080】
品質管理装置90は、容器に不具合が発生すると推定した場合、不具合が発生する要因を推定する(ステップS26)。品質管理装置90は、例えば、メンテナンス情報922Bと、基準情報とにおいて対応するセンサ情報の差分が所定の閾値以上であることが、容器に不具合が発生する要因であると推定する。或いは、品質管理装置90は、メンテナンス情報922Bと、基準情報との相関係数が所定の閾値未満であることが、容器に不具合が発生する要因であると推定する。品質管理装置90は、推定した不具合が発生する要因(推定結果)を表示部94に表示する(ステップS27)。
【0081】
以上説明したように、実施形態の品質管理装置90は、製造工程を管理する管理装置である。製造工程においては容器が製造される。製造工程においては金型を往復動作させることによりブランクBR(包材)を押圧して容器を製造する。品質管理装置90は、取得部930と、推定部931と、表示部94とを備える。取得部930は、位置情報を取得する。位置情報は、金型の設置位置を示す情報である。位置情報は、第1位置検出センサ11によって測定されたオス型OGの位置、第2位置検出センサ12によって測定されたメス型MGの位置、及び第3位置検出センサ13によって測定されたローラRの位置をそれぞれ示す情報である。推定部931は、メンテナンス後の再現作業(再設置)において、第1位置情報と第2位置情報とを用いて、再設置の後に製造する容器に不具合が発生するか否かを推定する。第1位置情報は、メンテナンス前に測定された情報であり、例えば、メンテナンス時において取り外し前に測定された位置情報、或いは、メンテナンス前の製造過程において測定された位置情報などである。
【0082】
これにより、実施形態の品質管理装置90は、再設置の前に測定された位置情報を用いて、再設置後における金型の位置を調整することができる。このため、再設置の前の位置に正確に戻すことができる。このため、金型をメンテナンス前の位置関係に戻すことができ、再設置後の製造において、金型同士がかみ合わなくなったり、押圧する力が不足したり過剰になったりする不具合が発生する要因をなくすことができ、再現作業を効率よく進めることができる。したがって、メンテナンスにかかる時間の増大を抑制できるため生産性を低下させることなく容器を製造することが可能である。
【0083】
また、実施形態の品質管理装置90では、取得部930は、不具合情報を取得する。不具合情報は、製造工程において製造された容器に不具合が発生したか否かを示す情報である。不具合情報は、例えば、品質管理情報921における「不具合の有無」の項目に示される情報である。推定部931は、メンテナンス前の製造工程において製造された容器のうち、不具合が発生しておらず、良品と判定された容器の製造過程にて測定された位置情報の統計量を、基準位置とする。推定部931は、再設置後に測定された位置情報と基準位置との差分が閾値以上である場合に不具合が発生すると判定する。これにより、実施形態の品質管理装置90では、良品が製造される条件に基づいて、メンテナンス後の位置を調整することができる。したがって、上述した効果と同様の効果を奏し、生産性を低下させることなく容器を製造することが可能である。
【0084】
また、実施形態の品質管理装置90では、取得部930は、品質管理情報921を取得する。品質管理情報921は、製造される容器の品質を管理するために測定される情報である。推定部931は、再設置の前と後とにおいて、それぞれ測定された品質管理情報921とメンテナンス情報922に基づいて、再設置の後に製造する容器に不具合が発生するか否かを推定する。これにより、実施形態の品質管理装置90では、製造過程において測定してきた品質管理情報921を用いて、新たな情報を取得することなく、効率よくメンテナンスを実施することができる。
【0085】
また、実施形態の品質管理装置90では、推定部931は、再設置の前に取得された品質管理情報921(基準情報)と、再設置の後に取得された品質管理情報(メンテナンス情報922)の相関係数(相関の強さを示す度合)に基づいて、再設置の後に製造する容器に不具合が発生するか否かを推定する。これにより、品質管理情報921に多数のセンサ情報が含まれ、何れのセンサ情報が不具合の要因となるか一概に判断できない場合であっても、情報全体の傾向が類似する度合、すなわち相関が強いか否かに基づいて、不具合が発生するか否かを推定することができる。このため、多数のセンサ情報を品質管理情報921として測定している場合であっても、精度よく推定することが可能となる。
【0086】
また、実施形態の品質管理装置90では、取得部930は、往復動作するオス型OGの動作方向が変化するタイミングにて測定されたオス型の設置位置を、センサ情報920(位置情報)として取得するようにしてもよい。これにより、オス型が上下動する場合であっても、動きが停止したタイミングにて、オス型の設置位置を測定することができ、精度よく位置を測定することができる。
【0087】
また、実施形態の品質管理装置90では、オス型とメス型との間にブランクを配置し、オス型を動かして、メス型の方向に往復動作させることにより容器を形成する。これにより、ブランクを折り曲げ線にそって正しく折り曲げて、正しい形状に容器を形成することができる。
【0088】
また、実施形態の品質管理装置90では、品質管理情報に、熱風の温度及び風量を示す情報(熱風供給情報)が含まれるようにしてもよい。また、品質管理情報に、ブランク(包材)の温度分布を示す情報(温度分布情報)が含まれるようにしてもよい。また、品質管理情報に、金型及び冷却水の温度を示す情報(温度情報)が含まれるようにしてもよい。これにより、熱風の温度や風量、ブランクの温度分布、又は型及び冷却水の温度などの傾向、或いは相関係数などに基づいて、不具合が発生する可能性を推定することができる。
【0089】
なお、上述した実施形態では、オス型の下方にメス型が設置されていることから、オス型が上下動する場合を例に説明した。しかしながら、これに限定されない。オス型は、少なくともメス型の方向に往復動作ができればよい。例えば、オス型は左右方向や円弧など任意の軌跡にて往復動作するものであってもよい。このような場合、位置センサは、往復動作における移動方向が変化するタイミングにて、オス型OGの位置を測定する。これにより、精度よく位置を測定すること可能である。
【0090】
また、上述した実施形態では、オス型のメンテナンスを例に説明した。しかしながら、これに限定されない。メス型やローラのメンテナンスにおいても、適用することが可能である。複数の金型を同時にメンテナンスする場合にも、適用することが可能である。例えば、オス型とローラとを、取り外した後に再度、組みなおして元の位置に設置する場合、例えば、まず、オス型の設置位置を調整する。例えば、メス型の設置位置を基準として、オス型の設置位置が、メンテナンス前と同じ位置関係となるように調整する。その後、メス型(或いは調整後のオス型)の設置位置を基準として、ローラの設置位置を調整する。
【0091】
また、上述した実施形態では、金型を用いる例に説明した。しかしながら、金属製の金型に限定されることはなく、木製や樹脂製など任意の素材で作成された型が用いられてよいのはもちろんである。
【0092】
上述した実施形態における管理システム1、及び品質管理装置90の全部または一部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0093】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0094】
1…管理システム
90…品質管理装置(管理装置)
92…記憶部
920…センサ情報
921…品質管理情報
922…メンテナンス情報
93…制御部
930…取得部
931…推定部
932…品質管理部
933…装置制御部
94…表示部(出力部)