(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022119721
(43)【公開日】2022-08-17
(54)【発明の名称】スチレン-アクリレートトナー組成物
(51)【国際特許分類】
G03G 9/093 20060101AFI20220809BHJP
G03G 9/087 20060101ALI20220809BHJP
G03G 9/097 20060101ALI20220809BHJP
G03G 9/09 20060101ALI20220809BHJP
G03G 9/08 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
G03G9/093
G03G9/087 325
G03G9/097 365
G03G9/09
G03G9/097 368
G03G9/08 381
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022004313
(22)【出願日】2022-01-14
(31)【優先権主張番号】17/167,430
(32)【優先日】2021-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(72)【発明者】
【氏名】ジョーダン・エー.・フランク
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・ダブリュー.・アザレス
(72)【発明者】
【氏名】チーミン・チェン
(72)【発明者】
【氏名】ポール・ケー.・アクアヴィヴァ
(72)【発明者】
【氏名】リチャード・ピー.・エヌ.・ヴェレジン
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・エフ.・ゾナ
【テーマコード(参考)】
2H500
【Fターム(参考)】
2H500AA01
2H500AA06
2H500AA08
2H500BA11
2H500BA17
2H500CA03
2H500CA05
2H500CA29
2H500CA30
2H500CA43
2H500CB06
2H500CB14
2H500EA12B
2H500EA13C
2H500EA34B
2H500EA42B
2H500EA42C
2H500EA44B
2H500EA44C
2H500EA60A
(57)【要約】 (修正有)
【課題】トナーは、高温オフセット、グロス、エージング、及び保存安定性特性を含む、意図される機械のいくつかの要件を満たす。
【解決手段】コア及びその上のシェルを含む、トナー粒子であって、コアが、スチレン-アクリレートコポリマー1、スチレン-アクリレートコポリマー2、及びスチレン-アクリレートコポリマー3、及びこれらの組み合わせから選択される、少なくとも1つのスチレン-アクリレートコポリマーを含む、トナー粒子と、ワックスと、任意選択的な着色剤と、を含み、シェルが、スチレン-アクリレートコポリマー1、スチレンアクリレートコポリマー2、スチレンアクリレートコポリマー3、及びこれらの組み合わせから選択される、少なくとも1つのスチレン-アクリレートコポリマーを含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーであって、
コア及びその上のシェルを含む、トナー粒子であって、
前記コアが、第1のコアスチレン-アクリレートコポリマー、第2のコアスチレン-アクリレートコポリマー、及び第3のコアスチレン-アクリレートコポリマー、又はこれらの組み合わせから選択される、少なくとも1つのスチレン-アクリレートコポリマーを含む、トナー粒子と、ワックスと、任意選択的な着色剤と、を含み、
前記第1のコアスチレン-アクリレートコポリマーが、約32,000g/mol~約38,000g/molの重量平均分子量、及び約57.0℃~約61.0℃の開始ガラス転移温度を有し、
前記第2のコアスチレン-アクリレートコポリマーが、約52,000g/mol~約58,000g/molの重量平均分子量、及び約53.0℃~約57.0℃の開始ガラス転移温度を有し、
前記第3のコアスチレン-アクリレートコポリマーが、約33,000g/mol~約39,000g/molの重量平均分子量、及び約49.0℃~約53.0℃の開始ガラス転移温度を有し、
前記シェルが、第1のシェルスチレン-アクリレートコポリマー、第2のシェルスチレンアクリレートコポリマー、第3のシェルスチレンアクリレートコポリマー、又はこれらの組み合わせから選択される、少なくとも1つのスチレン-アクリレートコポリマーを含み、
前記第1のシェルスチレン-アクリレートコポリマーが、約32,000g/mol~約38,000g/molの重量平均分子量、及び約57.0℃~約61.0℃の開始ガラス転移温度を有し、
前記第2のシェルスチレン-アクリレートコポリマーが、約52,000g/mol~約58,000g/molの重量平均分子量、及び約53.0℃~約57.0℃の開始ガラス転移温度を有し、
前記第3のシェルスチレン-アクリレートコポリマーが、約33,000g/mol~約39,000g/molの重量平均分子量、及び約49.0℃~約53.0℃の開始ガラス転移温度を有する、トナー。
【請求項2】
前記トナーが、前記トナーの総重量に基づいて、
約50~約80重量パーセントのコアと、
約20~約36重量パーセントのシェルと、
約3~約10重量パーセントの着色剤と、
約5~約20重量パーセントのワックスと、含む、請求項1に記載のトナー。
【請求項3】
前記トナーコアが、約32,000g/mol~約38,000g/molの重量平均分子量、及び約57.0℃~約61.0℃の開始ガラス転移温度を有する、前記第1のコアスチレン-アクリレートコポリマーと、約52,000g/mol~約58,000g/molの重量平均分子量、及び約53.0℃~約57.0℃の開始ガラス転移温度を有する、前記第2のコアスチレン-アクリレートコポリマーとの組み合わせを含み、
前記トナーシェルが、単一のスチレン-アクリレートコポリマーを含み、前記単一のスチレン-アクリレートコポリマーが、約32,000g/mol~約38,000g/molの重量平均分子量、及び約57.0℃~約61.0℃の開始ガラス転移温度を有する、前記第1のシェルスチレン-アクリレートコポリマーである、請求項1に記載のトナー。
【請求項4】
前記トナーコアが、約32,000g/mol~約38,000g/molの重量平均分子量、及び約57.0℃~約61.0℃の開始ガラス転移温度を有する、前記第1のコアスチレン-アクリレートコポリマーと、約33,000g/mol~約39,000g/molの重量平均分子量、及び約49.0℃~約53.0℃の開始ガラス転移温度を有する、前記第3のコアスチレン-アクリレートコポリマーとの組み合わせを含み、
前記トナーシェルが、単一のスチレン-アクリレートコポリマーを含み、前記単一のスチレン-アクリレートコポリマーが、約32,000g/mol~約38,000g/molの重量平均分子量、及び約57.0℃~約61.0℃の開始ガラス転移温度を有する、前記第1のシェルスチレン-アクリレートコポリマーである、請求項1に記載のトナー。
【請求項5】
前記コアが、約52,000g/mol~約58,000g/molの重量平均分子量、及び約53.0℃~約57.0℃の開始ガラス転移温度を有する、前記第2のコアスチレン-アクリレートコポリマーと、約33,000g/mol~約39,000g/molの重量平均分子量、及び約49.0℃~約53.0℃の開始ガラス転移温度を有する、前記第3のコアスチレン-アクリレートコポリマーとの組み合わせを含み、
前記シェルが、約52,000g/mol~約58,000g/molの重量平均分子量、及び約53.0℃~約57.0℃の開始ガラス転移温度を有する、前記第2のシェルスチレン-アクリレートコポリマーである、請求項1に記載のトナー。
【請求項6】
前記コアが、約33,000g/mol~約39,000g/molの重量平均分子量、及び約49.0℃~約53.0℃の開始ガラス転移温度を有する、前記第3のコアスチレン-アクリレートコポリマーを含み、
前記シェルが、約32,000g/mol~約38,000g/molの重量平均分子量、及び約57.0℃~約61.0℃の開始ガラス転移温度を有する、前記第1のシェルスチレン-アクリレートコポリマーを含む、請求項1に記載のトナー。
【請求項7】
前記コアが、約33,000g/mol~約39,000g/molの重量平均分子量、及び約49.0℃~約53.0℃の開始ガラス転移温度を有する、前記第3のコアスチレン-アクリレートコポリマーを含み、
前記シェルが、約33,000g/mol~約39,000g/molの重量平均分子量、及び約49.0℃~約53.0℃の開始ガラス転移温度を有する、前記第3のシェルスチレン-アクリレートコポリマーを含む、請求項1に記載のトナー。
【請求項8】
前記コアが、約33,000g/mol~約39,000g/molの重量平均分子量、及び約49.0℃~約53.0℃の開始ガラス転移温度を有する、前記第3のコアスチレン-アクリレートコポリマーを含み、
前記シェルが、約52,000g/mol~約58,000g/molの重量平均分子量、及び約53.0℃~約57.0℃の開始ガラス転移温度を有する、前記第2のシェルスチレン-アクリレートコポリマーである、請求項1に記載のトナー。
【請求項9】
前記コアが、約32,000g/mol~約38,000g/molの重量平均分子量、及び約57.0℃~約61.0℃の開始ガラス転移温度を有する、前記第1のコアスチレン-アクリレートコポリマーと、約52,000g/mol~約58,000g/molの重量平均分子量、及び約53.0℃~約57.0℃の開始ガラス転移温度を有する、前記第2のコアスチレン-アクリレートコポリマーとの組み合わせを含む、請求項1に記載のトナー。
【請求項10】
前記シェルが、約32,000g/mol~約38,000g/molの重量平均分子量、及び約57.0℃~約61.0℃の開始ガラス転移温度を有する、前記第1のスチレン-アクリレートコポリマーを含む、請求項1に記載のトナー。
【請求項11】
前記ワックスが、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、及びこれらの組み合わせからなる群のメンバから選択される、請求項1に記載のトナー。
【請求項12】
前記ワックスが、約70℃~約100℃のピーク溶融温度を有するフィッシャー・トロプシュワックスである、請求項1に記載のトナー。
【請求項13】
前記ワックスが、パラフィンワックスである、請求項1に記載のトナー。
【請求項14】
前記ワックスが、ポリエチレンワックスである、請求項1に記載のトナー。
【請求項15】
前記任意選択的な着色剤が存在し、前記着色剤が、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、又はこれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載のトナー。
【請求項16】
前記任意選択的な着色剤が存在し、前記着色剤が、シアン顔料と、カーボンブラックとの組み合わせを含む、請求項1に記載のトナー。
【請求項17】
凝集剤、キレート剤、又はこれらの組み合わせを更に含む、請求項1に記載のトナー。
【請求項18】
コア及びその上のシェルを含む、トナー粒子を含む、エマルジョン凝集コア-シェルトナー粒子を含む、トナーを調製する方法であって、
前記コアが、第1のスチレン-アクリレートコポリマー、第2のスチレン-アクリレートコポリマー、及び第3のスチレン-アクリレートコポリマー、又はこれらの組み合わせから選択される、少なくとも1つのスチレン-アクリレートコポリマーと、ワックスと、任意選択的な着色剤と、を含み、
前記第1のスチレン-アクリレートコポリマーが、約32,000g/mol~約38,000g/molの重量平均分子量、及び約57.0℃~約61.0℃の開始ガラス転移温度を有し、
前記第2のスチレン-アクリレートコポリマーが、約52,000g/mol~約58,000g/molの重量平均分子量、及び約53.0℃~約57.0℃の開始ガラス転移温度を有し、
前記第3のスチレン-アクリレートコポリマーが、約33,000g/mol~約39,000g/molの重量平均分子量、及び約49.0℃~約53.0℃の開始ガラス転移温度を有し、
前記シェルが、前記第1のスチレン-アクリレートコポリマー、前記第2のスチレンアクリレートコポリマー、前記第3のスチレン-アクリレートコポリマー、又はこれらの組み合わせから選択される、少なくとも1つのスチレン-アクリレートコポリマーを含み、
前記方法が、
コアスチレン-アクリレートコポリマーのラテックスと、前記任意選択的な着色剤の水性分散液と、前記ワックスの水性分散液と、を得ることと、
コアスチレン-アクリレートコポリマーの前記ラテックスと、前記任意選択的な着色剤の前記水性分散液と、前記ワックスの前記水性分散液と、の混合物を形成することと、
前記混合物を第1の温度に加熱することと、
前記第1の温度を維持して、凝集トナー粒子を形成することと、
シェルスチレン-アクリレートコポリマーのラテックスを添加して、前記凝集粒子上にシェルを形成することと、
任意選択的に、キレート剤の溶液を添加することと、
更なる凝集を停止し、前記第1の温度よりも高い第2の温度まで温度を上昇させて、前記凝集粒子を合体させることと、
続いて、エマルジョン凝集トナー粒子を冷却、任意選択的に洗浄、及び回収することと、を含む、方法。
【請求項19】
前記トナーコアが、約32,000g/mol~約38,000g/molの重量平均分子量、及び約57.0℃~約61.0℃の開始ガラス転移温度を有する、前記第1のスチレン-アクリレートコポリマーと、約52,000g/mol~約58,000g/molの重量平均分子量、及び約53.0℃~約57.0℃の開始ガラス転移温度を有する、前記第2のコアスチレン-アクリレートコポリマーとの組み合わせを含み、
前記トナーシェルが、単一のスチレン-アクリレートコポリマーを含み、前記単一のシェルスチレン-アクリレートコポリマーが、約32,000g/mol~約38,000g/molの重量平均分子量、及び約57.0℃~約61.0℃の開始ガラス転移温度を有する、前記第1のスチレン-アクリレートコポリマーである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ワックスが、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、及びこれらの組み合わせからなる群のメンバから選択され、
前記任意選択的な着色剤が存在し、前記着色剤が、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、カーボンブラック、銅フタロシアニン、PR122、PR269、PY74、又はこれらの組み合わせから選択される、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
トナーであって、コア及びその上のシェルを含む、トナー粒子であって、コアが、第1のコアスチレン-アクリレートコポリマー、第2のコアスチレン-アクリレートコポリマー、及び第3のコアスチレン-アクリレートコポリマー、又はこれらの組み合わせから選択される、少なくとも1つのスチレン-アクリレートコポリマーを含む、トナー粒子と、ワックスと、任意選択的な着色剤と、を含み、第1のコアスチレン-アクリレートコポリマーが、約32,000g/mol~約38,000g/molの重量平均分子量、及び約57.0℃~約61.0℃の開始ガラス転移温度を有し、第2のコアスチレン-アクリレートコポリマーが、約52,000g/mol~約58,000g/molの重量平均分子量、及び約53.0℃~約57.0℃の開始ガラス転移温度を有し、第3のコアスチレン-アクリレートコポリマーが、約33,000g/mol~約39,000g/molの重量平均分子量、及び約49.0℃~約53.0℃の開始ガラス転移温度を有し、シェルが、第1のシェルスチレン-アクリレートコポリマー、第2のシェルスチレンアクリレートコポリマー、第3のシェルスチレンアクリレートコポリマー、又はこれらの組み合わせから選択される、少なくとも1つのスチレン-アクリレートコポリマーを含み、第1のシェルスチレン-アクリレートコポリマーが、約32,000g/mol~約38,000g/molの重量平均分子量、及び約57.0℃~約61.0℃の開始ガラス転移温度を有し、第2のシェルスチレン-アクリレートコポリマーが、約52,000g/mol~約58,000g/molの重量平均分子量、及び約53.0℃~約57.0℃の開始ガラス転移温度を有し、第3のシェルスチレン-アクリレートコポリマーが、約33,000g/mol~約39,000g/molの重量平均分子量、及び約49.0℃~約53.0℃の開始ガラス転移温度を有する、トナーが開示される。
【0002】
コア及びその上のシェルを含む、トナー粒子を含む、エマルジョン凝集コア-シェルトナー粒子を含む、トナーを調製する方法であって、コアが、第1のスチレン-アクリレートコポリマー、第2のスチレン-アクリレートコポリマー、及び第3のスチレン-アクリレートコポリマー、又はこれらの組み合わせから選択される、少なくとも1つのスチレン-アクリレートコポリマーと、ワックスと、任意選択的な着色剤と、を含み、第1のスチレン-アクリレートコポリマーが、約32,000g/mol~約38,000g/molの重量平均分子量、及び約57.0℃~約61.0℃の開始ガラス転移温度を有し、第2のスチレン-アクリレートコポリマーが、約52,000g/mol~約58,000g/molの重量平均分子量、及び約53.0℃~約57.0℃の開始ガラス転移温度を有し、第3のスチレン-アクリレートコポリマーが、約33,000g/mol~約39,000g/molの重量平均分子量、及び約49.0℃~約53.0℃の開始ガラス転移温度を有し、シェルが、第1のスチレン-アクリレートコポリマー、第2のスチレンアクリレートコポリマー、第3のスチレン-アクリレートコポリマー、又はこれらの組み合わせから選択される、少なくとも1つのスチレン-アクリレートコポリマーを含み、この方法が、コアスチレン-アクリレートコポリマーのラテックスと、任意選択的な着色剤の水性分散液と、ワックスの水性分散液と、を得ることと、コアスチレン-アクリレートコポリマーのラテックスと、任意選択的な着色剤の水性分散液と、ワックスの水性分散液と、の混合物を形成することと、混合物を第1の温度に加熱することと、第1の温度を維持して、凝集トナー粒子を形成することと、シェルスチレン-アクリレートコポリマーのラテックスを添加して、凝集粒子上にシェルを形成することと、任意選択的に、キレート剤の溶液を添加することと、更なる凝集を停止し、第1の温度よりも高い第2の温度まで温度を上昇させて、凝集粒子を合体させることと、続いて、エマルジョン凝集トナー粒子を冷却、任意選択的に洗浄、及び回収することと、を含む、方法が更に開示される。
【0003】
スチレン-アクリレートトナー組成物は、トナー及びトナー/現像剤にとって望ましい。トナーは、望ましくは、高温オフセット、グロス、エージング、及び保存安定性特性を含む、意図される機械のいくつかの要件を満たす。
【0004】
参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第7,455,943号は、非架橋スチレンアクリレートポリマーを含む結合剤、少なくとも1つの着色剤、少なくとも1つのワックス、及びアルミナイズドシリカのエマルジョン凝集トナー粒子を含むトナーを記載し、トナー粒子中のアルミニウム金属の量は、約50ppm~約600ppmである。このようなトナーは、低い最小固定温度を維持しながら、高レベルの光沢を提供し得る。アルミナイズドシリカは、トナーのエマルジョン凝集形成プロセス中に凝固剤として作用する。
【0005】
参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第10,409,185号は、トナーを形成する方法を記載している。実施形態では、このような方法は、少なくとも1つの樹脂と、少なくとも1つのワックスと、任意選択的に少なくとも1つの着色剤と、の混合物からトナーを形成することであって、少なくとも1つのワックスは、1つの種類であり、トナーの所定のPER10値を提供するように選択される量で存在する、形成することと、トナーのPER10値を測定することであって、トナーの測定されたPER10値は、所定のPER10値以下である、測定することと、を含む。この方法を使用して形成されたトナーも提供される。
【0006】
参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2020年2月25日に出願され、「デュアルワックストナー組成物」と題された、米国特許出願第16/800,176号は、第1のワックスと、第1のワックスとは異なる第2のワックスと、を含み、ここで、第1のワックスは、パラフィンワックスを含み、第2のワックスは、ポリメチレンワックスを含み、少なくとも1つのポリエステルと、任意選択的な着色剤と、を更に含むトナー組成物を記載している。
【0007】
現在入手可能なトナー組成物は、それらの意図される目的に好適である。しかしながら、改善されたトナー組成物が依然として必要とされている。更に、改善されたスチレン-アクリレートトナー組成物が依然として必要とされている。その上更に、実施形態では、ブラックトナーを使用する単一成分現像機械について、単一成分現像機械に好適な改善されたスチレン-アクリレートトナー組成物が依然として必要とされている。その上更に、ホットオフセット、光沢、エージング、及び保存安定性特性を含む、意図される機械の要件を満たす改善されたスチレン-アクリレートトナー組成物が依然として必要とされている。
【0008】
上記の米国特許及び特許出願公開のそれぞれの適切な構成要素及びプロセスの態様は、その実施形態において本開示のために選択され得る。更に、本出願全体を通して、様々な刊行物、特許、及び公開された特許出願は、特定の引用によって参照される。本出願において参照される刊行物、特許、及び公開された特許出願の開示は、本発明が関係する最新技術をより完全に説明するために、参照により本開示に組み込まれる。
【発明の概要】
【0009】
トナーであって、コア及びその上のシェルを含む、トナー粒子であって、コアが、第1のコアスチレン-アクリレートコポリマー、第2のコアスチレン-アクリレートコポリマー、及び第3のコアスチレン-アクリレートコポリマー、又はこれらの組み合わせから選択される、少なくとも1つのスチレン-アクリレートコポリマーを含む、トナー粒子と、ワックスと、任意選択的な着色剤と、を含み、第1のコアスチレン-アクリレートコポリマーが、約32,000g/mol~約38,000g/molの重量平均分子量、及び約57.0℃~約61.0℃の開始ガラス転移温度を有し、第2のコアスチレン-アクリレートコポリマーが、約52,000g/mol~約58,000g/molの重量平均分子量、及び約53.0℃~約57.0℃の開始ガラス転移温度を有し、第3のコアスチレン-アクリレートコポリマーが、約33,000g/mol~約39,000g/molの重量平均分子量、及び約49.0℃~約53.0℃の開始ガラス転移温度を有し、シェルが、第1のシェルスチレン-アクリレートコポリマー、第2のシェルスチレンアクリレートコポリマー、第3のシェルスチレンアクリレートコポリマー、又はこれらの組み合わせから選択される、少なくとも1つのスチレン-アクリレートコポリマーを含み、第1のシェルスチレン-アクリレートコポリマーが、約32,000g/mol~約38,000g/molの重量平均分子量、及び約57.0℃~約61.0℃の開始ガラス転移温度を有し、第2のシェルスチレン-アクリレートコポリマーが、約52,000g/mol~約58,000g/molの重量平均分子量、及び約53.0℃~約57.0℃の開始ガラス転移温度を有し、第3のシェルスチレン-アクリレートコポリマーが、約33,000g/mol~約39,000g/molの重量平均分子量、及び約49.0℃~約53.0℃の開始ガラス転移温度を有する、トナーが記載される。
【0010】
コア及びその上のシェルを含む、トナー粒子を含む、エマルジョン凝集コア-シェルトナー粒子を含む、トナーを調製する方法であって、コアが、第1のスチレン-アクリレートコポリマー、第2のスチレン-アクリレートコポリマー、及び第3のスチレン-アクリレートコポリマー、又はこれらの組み合わせから選択される、少なくとも1つのスチレン-アクリレートコポリマーと、ワックスと、任意選択的な着色剤と、を含み、第1のスチレン-アクリレートコポリマーが、約32,000g/mol~約38,000g/molの重量平均分子量、及び約57.0℃~約61.0℃の開始ガラス転移温度を有し、第2のスチレン-アクリレートコポリマーが、約52,000g/mol~約58,000g/molの重量平均分子量、及び約53.0℃~約57.0℃の開始ガラス転移温度を有し、第3のスチレン-アクリレートコポリマーが、約33,000g/mol~約39,000g/molの重量平均分子量、及び約49.0℃~約53.0℃の開始ガラス転移温度を有し、シェルが、第1のスチレン-アクリレートコポリマー、第2のスチレンアクリレートコポリマー、第3のスチレン-アクリレートコポリマー、又はこれらの組み合わせから選択される、少なくとも1つのスチレン-アクリレートコポリマーを含み、この方法が、コアスチレン-アクリレートコポリマーのラテックスと、任意選択的な着色剤の水性分散液と、ワックスの水性分散液と、を得ることと、コアスチレン-アクリレートコポリマーのラテックスと、任意選択的な着色剤の水性分散液と、ワックスの水性分散液と、の混合物を形成することと、混合物を第1の温度に加熱することと、第1の温度を維持して、凝集トナー粒子を形成することと、シェルスチレン-アクリレートコポリマーのラテックスを添加して、凝集粒子上にシェルを形成することと、任意選択的に、キレート剤の溶液を添加することと、更なる凝集を停止し、第1の温度よりも高い第2の温度まで温度を上昇させて、凝集粒子を合体させることと、続いて、エマルジョン凝集トナー粒子を冷却、任意選択的に洗浄、及び回収することと、を含む、方法も記載される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
スチレン-アクリレートコポリマーを含むコア樹脂、スチレン-アクリレートコポリマーを含むシェル樹脂、任意選択的な顔料、ワックスリリース剤からなり、実施形態では、凝集剤及びキレート剤を用いて調製されるトナー粒子が記載される。
【0012】
実施形態では、トナーが記載され、トナーは、コア及びその上のシェルを含む、トナー粒子であって、コアが、少なくとも1つのスチレン-アクリレートコポリマー、実施形態では、第1のスチレン-アクリレートコポリマー(スチレン-アクリレートコポリマー1)、第2のスチレン-アクリレートコポリマー(スチレン-アクリレートコポリマー2)、及び第3のスチレン-アクリレートコポリマー(スチレン-アクリレートコポリマー3)から選択される、少なくとも2つのスチレン-アクリレートコポリマーの組み合わせを含む、トナー粒子と、ワックスと、任意選択的な着色剤と、を含み、第1のコアスチレン-アクリレートコポリマーは、約32,000g/mol~約38,000g/molの重量平均分子量、及び約57.0℃~約61.0℃の開始ガラス転移温度を有し、第2のコアスチレン-アクリレートコポリマーは、約52,000g/mol~約58,000g/molの重量平均分子量、及び約53.0℃~約57.0℃の開始ガラス転移温度を有し、第3のコアスチレン-アクリレートコポリマーは、約33,000g/mol~約39,000g/molの重量平均分子量、及び約49.0℃~約53.0℃の開始ガラス転移温度を有し、シェルは、第1のシェルスチレン-アクリレートコポリマー、第2のシェルスチレンアクリレートコポリマー、第3のスチレン-アクリレートコポリマー、又はこれらの組み合わせから選択される、少なくとも1つのスチレン-アクリレートコポリマーを含み、第1のシェルスチレン-アクリレートコポリマー(スチレン-アクリレートコポリマー1)は、約32,000g/mol~約38,000g/molの重量平均分子量、及び約57.0℃~約61.0℃の開始ガラス転移温度を有し、第2のシェルスチレン-アクリレートコポリマー(スチレン-アクリレートコポリマー2)は、約52,000g/mol~約58,000g/molの重量平均分子量、及び約53.0℃~約57.0℃の開始ガラス転移温度を有し、第3のシェルスチレン-アクリレートコポリマー(スチレン-アクリレートコポリマー3)は、約33,000g/mol~約39,000g/molの重量平均分子量、及び約49.0℃~約53.0℃の開始ガラス転移温度を有する。
【0013】
分子量は、通常の方法に従って、ゲル浸透クロマトグラフィによって判定される。開始Tg(開始ガラス転移温度)は、示差走査熱量測定を使用して測定され、ガラス転移の前後の両方の熱流曲線に接する線の交点として定義される。
【0014】
実施形態では、トナーが記載され、トナーは、コア及びその上のシェルを含む、エマルジョン凝集トナー粒子であって、コアが、第1のコアスチレン-アクリレートコポリマー、第2のスチレン-アクリレートコポリマー、及び第3のスチレン-アクリレートコポリマーから選択される、少なくとも2つのスチレン-アクリレートコポリマーの組み合わせを含む、エマルジョン凝集トナー粒子と、ワックスと、任意選択的な着色剤と、を含み、第1のコアスチレン-アクリレートコポリマーは、約32,000g/mol~約38,000g/molの重量平均分子量、及び約57.0℃~約61.0℃の開始ガラス転移温度を有し、第2のコアスチレン-アクリレートコポリマーは、約52,000g/mol~約58,000g/molの重量平均分子量、及び約53.0℃~約57.0℃の開始ガラス転移温度を有し、第3のコアスチレン-アクリレートコポリマーは、約33,000g/mol~約39,000g/molの重量平均分子量、及び約49.0℃~約53.0℃の開始ガラス転移温度を有し、シェルは、第1のシェルスチレン-アクリレートコポリマー、第2のシェルスチレンアクリレートコポリマー、第3のもの、又はこれらの組み合わせから選択される、少なくとも1つのスチレン-アクリレートコポリマーを含み、第1のシェルスチレン-アクリレートコポリマーは、約32,000g/mol~約38,000g/molの重量平均分子量、及び約57.0℃~約61.0℃の開始ガラス転移温度を有し、第2のシェルスチレン-アクリレートコポリマーは、約52,000g/mol~約58,000g/molの重量平均分子量、及び約53.0℃~約57.0℃の開始ガラス転移温度を有し、トナーは、約50~約80重量パーセントのコアを含み、トナーは、約50~約60重量パーセントのコア、又は約52~約56重量パーセントのコア、約20~約36重量パーセントのシェル、又は約24~約32重量パーセントのシェル、又は約26~約30パーセントのシェル、約3~約10重量パーセントの着色剤、又は約4~約8パーセント、又は約5~約7パーセントの着色剤、約5~約20重量パーセントのワックス、又は約7~約20重量パーセントのワックス、又は約9~約16パーセントのワックスを含み、ここで、パーセントは、トナーの総重量に基づく重量パーセントである。
【0015】
特定の実施形態では、トナーコアは、約32,000g/mol~約38,000g/molの重量平均分子量、及び約57.0℃~約61.0℃の開始ガラス転移温度を有する、第1のスチレン-アクリレートコポリマーと、約52,000g/mol~約58,000g/molの重量平均分子量、及び約53.0℃~約57.0℃の開始ガラス転移温度を有する、第2のコアスチレン-アクリレートコポリマーとの組み合わせを含み、トナーシェルは、単一のシェル樹脂を含み、シェル樹脂は、約32,000g/mol~約38,000g/molの重量平均分子量、及び約57.0℃~約61.0℃の開始ガラス転移温度を有する、第1のコアスチレン-アクリレートコポリマーである。
【0016】
特定の実施形態では、トナーが記載され、トナーは、顔料であって、実施形態ではカーボンブラックであり、実施形態では、トナー粒子の総重量に基づいて、約3~約10重量パーセント、又は約4~約8重量パーセント、又は約5~約7重量パーセントの量で存在する、顔料と、ワックスであって、実施形態では、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、又はこれらの組み合わせであり、実施形態では、トナー粒子の総重量に基づいて、7~約20重量パーセント、又は約9~約16重量パーセントの量で存在する、ワックスと、少なくとも1つのスチレン-アクリレートコポリマーを含むコア樹脂であって、実施形態では、スチレン-アクリレートコポリマー1、スチレン-アクリレートコポリマー2、及びスチレン-アクリレートコポリマー3からなる群から選択される、少なくとも2つのスチレン-アクリレートコポリマーの組み合わせを含み、トナー粒子の総重量に基づいて、約50~約60重量パーセント、又は約52~約56重量パーセントの量で存在する、コア樹脂と、スチレン-アクリレートコポリマー1、スチレン-アクリレートコポリマー2、スチレン-アクリレートコポリマー3、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、少なくとも1つのスチレン-アクリレートコポリマーを含むシェル樹脂であって、トナー粒子の総重量に基づいて、約26~約30パーセント、又は約26~約28重量パーセントの量で存在する、シェル樹脂と、凝集剤であって、実施形態では、ポリ塩化アルミニウムであり、(トナーの総重量に基づいて)約0.18pph(百分率)の量で存在する、凝集剤と、キレート剤であって、実施形態では、エチレンジアミン四酢酸(ethylene diamine tetraacetic acid、EDTA)であり、(トナーの総重量に基づいて)約0.79pph(百分率)の量で存在する、キレート剤と、を含む。本明細書では、最終的なトナー中に実際に残存する原材料に基づいて、pphを記載することを意図する。
【0017】
コア樹脂。
【0018】
本明細書のトナーコアは、スチレン-アクリレートコポリマーのうちの1つ又は組み合わせを含む。実施形態では、コア樹脂は、第1のスチレン-アクリレートコポリマー、第2のスチレン-アクリレートコポリマー、及び任意選択で第3のスチレン-アクリレートコポリマーを含む。第1、第2、及び第3のスチレン-アクリレートコポリマーは異なる。実施形態では、シェル樹脂は、少なくとも1つのスチレン-アクリレートコポリマー、実施形態では、2つのスチレン-アクリレートコポリマーの組み合わせ、更なる実施形態では、3つのスチレン-アクリレートコポリマーの組み合わせを含む。スチレン-アクリレートコポリマーの各々は、特定の分子量及びガラス転移温度を有する。スチレン-アクリレートコポリマーは、トナー全体に、特定の分子量を提供するように選択される。したがって、トナー全体に、トナー分子量、ガラス転移温度、溶融粘度、及び摩擦帯電特性などの所望の特性を提供するコアラテックスの独自の組み合わせが記載される。
【0019】
実施形態では、トナーは、凝集剤、キレート剤、又は凝集剤及びキレート剤の両方を用いて調製される。
【0020】
トナーを調製する際に投入される凝集剤の量は、実施形態では、乾燥トナー粒子の総重量に基づいて、約0.01~約1.00、又は約0.05~約0.50、又は約0.10~約0.20百分率(pph)である。
【0021】
トナーを調製する際に投入されるキレート剤の量は、実施形態では、乾燥トナー粒子の総重量に基づいて、約0.01~約1.50、又は約0.50~約1.00、又は約0.75~約0.85百分率(pph)である。
【0022】
実施形態では、トナーを調製する際に投入される凝集剤の量は、トナーの総重量に基づいて、約1~約1,000、又は約350~約550、又は約425~約475百万分率(ppm)の凝集剤の、最終的なトナーにおける凝集剤の残留量を提供するように選択される。アルミニウム系凝集剤の場合、凝集剤中の有効成分は、元素アルミニウムイオンである。凝集剤の不活性な対イオンは、フィルタ除去される。アルミニウム系凝集剤の場合、トナー中の残存凝集剤を検証することは、元素アルミニウムを試験することによって行われ得る。したがって、実施形態では、トナーは、乾燥トナー粒子の総重量に基づいて、約1~約1,000、又は約350~約550、又は約425~約475百万分率(ppm)のアルミニウムの、最終的なトナーにおけるアルミニウムの残留量を提供するように選択される。
【0023】
実施形態では、トナーを調製する際に投入されるキレート剤の量は、乾燥トナー粒子の総重量に基づいて、約0~約8,000、又は約10~約100、又は約20~約50百万分率(ppm)の最終的なトナーにおけるキレート剤の残留量を提供するように選択される。
【0024】
凝集剤、キレート剤、又はこれらの組み合わせを選択することによって、最終的なトナーの所望のレオロジー特性が達成され得る。例えば、メルトフローインデックス(melt flow index、MFI)によって測定される溶融粘度は、より多量のキレート剤を使用することによって減少し得るか、又はより多量の凝集剤を使用することによって増加し得る。また、より多量のキレート剤を使用することによって、Tgが減少し得る。
【0025】
実施形態では、トナー粒子は、本明細書に記載される3つのスチレン-アクリレートラテックス:スチレン-アクリレートコポリマー1、スチレン-アクリレートコポリマー2、及びスチレン-アクリレートコポリマー3の様々な組み合わせを含み、様々な組み合わせを用いて調製される。
【0026】
実施形態では、スチレン-アクリレートコポリマー1は、モノマーのモル比が、約80~約90部のスチレン、約10~約20部のn-ブチルアクリレート、及び約0.5~約3部のβ-カルボキシエチルアクリレートであり、重量平均分子量(Mw)値が、約32,000g/mol~約38,000g/molであり、数平均分子量(Mn)値が、約13,000g/mol~約18,000g/molである、スチレン-アクリレートコポリマーである。Mw及びMnの両方は、ゲル浸透クロマトグラフィ(Gel Permeation Chromatography、GPC)を使用して判定され得る。実施形態では、スチレン-アクリレートコポリマー1は、約55℃~約65℃、約57℃~約64℃、又は約57℃~約61℃の範囲内のガラス転移温度(Tg)を有する。Tgは、示差走査熱量測定(Differential Scanning calorimetry、DSC)を使用して判定され得る。開始Tgは、ガラス転移の前後の両方の熱流曲線に接する線の交点として定義される。
【0027】
実施形態では、スチレン-アクリレートコポリマー2は、モノマーのモル比が、約70~約80部のスチレン、約20~約30部のn-ブチルアクリレート、及び約0.5~約3.0部のβ-カルボキシエチルアクリレートであり、重量平均分子量(Mw)値が、約52,000g/mol~約58,000g/molであり、数平均分子量(Mn)値が、約28,000g/mol~約33,000g/molである、スチレン-アクリレートコポリマーである。Mw及びMnの両方は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)を使用して判定され得る。実施形態では、スチレン-アクリレートコポリマー2は、約50.0℃~約60.0℃、約52.0℃~約59.9℃、又は約53.0℃~約57.0℃の範囲内のガラス転移温度(Tg)を有する。Tgは、示差走査熱量測定(DSC)を使用して判定され得る。
【0028】
実施形態では、スチレン-アクリレートコポリマー3は、モノマーのモル比が、約70~約80部のスチレン、約20~約30部のn-ブチルアクリレート、及び約0.5~約3.0部のβ-カルボキシエチルアクリレートであり、重量平均分子量(Mw)値が、約33,000g/mol~約39,000g/molであり、数平均分子量(Mn)値が、約13,000g/mol~約18,000g/molである、スチレン-アクリレートコポリマーである。Mw及びMnの両方は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)を使用して判定され得る。実施形態では、スチレン-アクリレートコポリマー3は、約46.0℃~約56.0℃、約48.0℃~約54.0℃、又は約49.0℃~約53.0℃の範囲内のガラス転移温度(Tg)を有する。Tgは、示差走査熱量測定(DSC)を使用して判定され得る。
【0029】
実施形態では、トナー粒子コア樹脂及びシェル樹脂は、約38,000g/mol~約48,000g/mol、又は約40,000g/mol~約46,000g/mol、又は約42,000g/mol~約45,000g/molの重量平均分子量(Mw)、及び約16,000g/mol~約23,000g/mol、又は約17,000g/mol~約22,000g/mol、又は約18,000g/mol~約21,000g/molの数平均分子量(Mn)値を、最終的なトナーに提供するように選択される。トナーのMw及びMnは、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)を使用して判定され得る。
【0030】
実施形態では、トナー粒子コア樹脂及びシェル樹脂は、約53.0℃~約60.0℃、約54.0℃~約58.0℃、又は約55.0℃~約57.0℃の範囲内の開始ガラス転移温度(Tg)を、最終的なトナーに提供するように選択される。トナーのTgは、示差走査熱量測定(DSC)を使用して判定され得る。先に記載されたように、「開始Tg」は、ガラス転移の前後の両方の熱流曲線に接する線の交点として定義される。別段記載がない限り、本明細書で使用される場合、「Tg」及び「開始Tg」はいずれも、開始ガラス転移温度を指す。
【0031】
既知の連鎖移動剤を利用して、コア樹脂ポリマー及びシェル樹脂ポリマーの分子量特性を制御し得る。連鎖移動剤の例としては、ドデカンチオール、ドデシルメルカプタン、オクタンチオール、四臭化炭素、四塩化炭素などが挙げられ、様々な好適な量、例えば、総モノマーの約0.1~約10重量パーセント、例えば、総モノマーの約0.1~約8重量パーセント、又は約0.2~約5重量パーセントで存在する。
【0032】
実施形態では、トナー粒子は、コア-シェル構成を有する。コアは、スチレン-アクリレートコポリマーの組み合わせを含む。実施形態では、コアは、第1のスチレン-アクリレートコポリマーと、第2のスチレン-アクリレートコポリマーと、任意選択的に第3のスチレン-アクリレートコポリマーとの組み合わせを含み、第1のコアスチレン-アクリレートコポリマーは、スチレン-アクリレートコポリマー1であり、第2のコアスチレン-アクリレートコポリマーは、スチレン-アクリレートコポリマー2であり、任意選択的な第3のスチレン-アクリレートコポリマーは、スチレン-アクリレートコポリマー3である。他の実施形態では、コアは、スチレン-アクリレートコポリマー1、スチレン-アクリレートコポリマー3、又はスチレン-アクリレートコポリマー1とスチレン-アクリレートコポリマー3との組み合わせのうちの少なくとも1つを含む。他の実施形態では、コアは、スチレン-アクリレートコポリマー2、スチレン-アクリレートコポリマー3、又はスチレン-アクリレートコポリマー3の組み合わせのうちの少なくとも1つを含む。特定の実施形態では、コアは、第1のスチレン-アクリレートコポリマーと、第2のスチレン-アクリレートコポリマーとの組み合わせを含む。
【0033】
シェルは、スチレン-アクリレート1、スチレン-アクリレート2、及びスチレン-アクリレート3、又はこれらの組み合わせから選択される、少なくとも1つのスチレン-アクリレートコポリマーを含む。実施形態では、シェルは、第1のスチレン-アクリレートコポリマー及び第2のスチレン-アクリレートコポリマーを含み、第1のシェルスチレン-アクリレートコポリマーは、スチレン-アクリレートコポリマー1であり、第2のシェルスチレン-アクリレートコポリマーは、スチレン-アクリレートコポリマー2である。特定の実施形態では、シェルは、スチレン-アクリレートコポリマー1のみを含む。
【0034】
したがって、実施形態では、トナー粒子は、コア-シェル構造を有し、コアは、第1、第2、及び任意選択的な第3のスチレン-アクリレートコポリマーを含み、第1のコアスチレン-アクリレートコポリマーは、スチレン-アクリレートコポリマー1であり、第2のコアスチレン-アクリレートコポリマーは、スチレン-アクリレートコポリマー2であり、任意選択的な第3のスチレン-アクリレートコポリマーは、スチレン-アクリレートコポリマー3であり、シェルは、第1及び第2のスチレン-アクリレートコポリマーを含み、第1のシェルスチレン-アクリレートコポリマーは、スチレン-アクリレートコポリマー1であり、第2のシェルスチレン-アクリレートコポリマーは、スチレン-アクリレートコポリマー2である。更に、この実施形態では、コアは、カーボンブラックとシアン顔料との組み合わせを含む着色剤を含み得る。
【0035】
他の実施形態では、トナー粒子は、コア-シェル構造を有し、コアは、スチレン-アクリレートコポリマー1及びスチレン-アクリレートコポリマー3のうちの1つ又は組み合わせを含み、シェルは、スチレン-アクリレートコポリマー1、スチレン-アクリレートコポリマー2、及びスチレン-アクリレートコポリマー3のうちの1つ又は組み合わせを含む。実施形態では、コアは、スチレン-アクリレートコポリマー1及び3を含み、シェルは、単一のスチレン-アリーレートコポリマー1を含む。他の実施形態では、コアは、スチレン-アクリレートコポリマー1及び3を含み、シェルは、スチレン-アクリレートコポリマー2である。別の実施形態では、コアは、スチレン-アクリレートコポリマー2及び3を含み、シェルは、スチレン-アクリレートコポリマー2である。更に別の実施形態では、コアは、スチレン-アクリレートコポリマー3を含み、シェルは、スチレン-アクリレートコポリマー1を含む。更に別の実施形態では、コアは、スチレン-アクリレートコポリマー3を含み、シェルは、スチレン-アクリレートコポリマー2を含む。別の実施形態では、コアは、スチレン-アクリレートコポリマー3を含み、シェルは、スチレン-アクリレートコポリマー3を含む。特定の実施形態では、トナー粒子は、コア-シェル構造を有し、コアは、スチレン-アクリレートコポリマー1と、スチレン-アクリレートコポリマー2との組み合わせを含み、シェルは、スチレン-アクリレートコポリマー1のみを含む。更に、実施形態では、コアとしては、ブラック、カーボンブラック、シアン、マゼンタ顔料、及びイエロー顔料のうちの少なくとも1つを含む着色剤、実施形態では、銅フタロシアニン、PR122、PR269、PY74、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0036】
トナー粒子コアは、本明細書に記載されるスチレン-アクリレートコポリマー、並びに本明細書に記載される着色剤及びワックスの組み合わせを含み得る。コア粒子が形成され、所望の径に凝集されると、次いで、薄い外側シェルがコア粒子上に形成される。シェルは、本明細書に記載されるような、スチレン-アクリレートコポリマーのうちの1つ又は組み合わせからなり得る。
【0037】
シェルラテックスは、任意の好適な又は所望の量で、コアトナー粒子凝集体に添加され得、実施形態では、シェルラテックスは、総結合剤材料(すなわち、コアラテックスとシェルラテックスとの総量)の約20~約45重量パーセント、又は結合剤材料(コアラテックスとシェルラテックスとの合計)の総重量に基づいて、約25~約40重量パーセント、若しくは約30~約235重量パーセントの量で、コアトナー粒子凝集体に添加され得る。
【0038】
実施形態では、トナーは、約50~約60重量パーセントのコア樹脂、又は約52~約56重量パーセントのコア樹脂、約26~約30重量パーセントのシェル樹脂、又は約26~約28パーセントのシェル樹脂、約3~約10重量パーセントの着色剤、又は約4~約8パーセント、又は約5~約7パーセントの着色剤、約7~約20重量パーセントのワックス、又は約9~約16パーセントのワックスを含み、ここで、パーセントは、トナーの総重量に基づく重量パーセントである。
【0039】
コア樹脂及びシェル樹脂を含む結合剤の総量は、トナー粒子の約60~約95重量パーセント(すなわち、外部添加剤を除くトナー粒子)、又はトナー粒子の約70~約90重量パーセントであり得る。
【0040】
実施形態では、コア及びシェル結合剤のためのポリマーは各々、後続のエマルジョン凝集トナー粒子形成プロセスにおいて使用するためにラテックスに形成され得る。このようなものは、任意の添加剤を含むモノマー成分を水相中で、任意選択的に1つ以上の界面活性剤の存在下で混合し、次いで、例えば開始剤を使用してモノマーを重合して、小さな径のシード粒子を形成することによって行われ得る。例えば、約5ナノメートル(nm)~約500nm、又は約50nm~約300nmの小さな径のポリマー粒子を含む水相を有するラテックスが得られる。モノマーからラテックスを形成するための任意の好適な方法が使用され得る。ラテックス粒子径は、Nanotrac粒子径分析装置を使用して測定された体積平均中央粒子直径として与えられる。「Nanotrac」は、Microtracによって作製された粒子径分析装置のモデル名である。これは、動的光散乱技術を使用する。
【0041】
好適な着色顔料、染料、及びこれらの混合物を含む、様々な好適な着色剤が用いられ得る。好適な着色剤の例としては、REGAL(登録商標)330カーボンブラックなどのカーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、アニリンブラック、クロムイエロー、亜鉛イエロー、SICOFASTイエロー、SUNBRITE(登録商標)イエロー、LUNAイエロー、NOVAPERM(登録商標)イエロー、PY74(モノアゾイエロー)、クロムオレンジ、BAYPLAST(登録商標)オレンジ、カドミウムレッド、LITHOL(登録商標)スカーレット、HOSTAPERMレッド、PR122(キナクリドンレッド又は顔料レッド122)、PR269(ナフトールレッド、FANAL(登録商標)ピンク、HOSTAPERM(登録商標)ピンク、LUPRETONピンク、LITHOLレッド、RHODAMINE Lake B、ブリリアントカルミン、HELIOGEN(登録商標)ブルー、HOSTAPERM(登録商標)ブルー、NEOPAN(登録商標)ブルー、PV Fast(登録商標)ブルー、銅フタロシアニン、CINQUASSI(登録商標)グリーン、HOSTAPERM(登録商標)グリーン、二酸化チタン、コバルト、ニッケル、鉄粉末、SICOPUR 4068 FF、並びにMAPICO(登録商標)ブラック(Columbia)などの酸化鉄、NP608及びNP604(Northern Pigment)、BAYFERROX(登録商標)8610(Bayer)、並びにM08699(Mobay)、TMB-100(Magnox)、これらの混合物などが挙げられる。
【0042】
実施形態では、任意選択的な着色剤が存在し、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、又はこれらの組み合わせから選択される。カーボンブラックは、シアン着色剤など1つ以上の他の着色剤とともに使用されて、所望の色相を生成し得る。実施形態では、任意選択的な着色剤が存在し、シアン顔料とカーボンブラックとの組み合わせを含む。更なる実施形態では、任意選択的な着色剤が存在し、カーボンブラック、銅フタロシアニン、マゼンタ、及びイエローの組み合わせを含み、実施形態では、マゼンタが顔料レッドであり、イエローが顔料イエローである。
【0043】
着色剤は、任意の好適な又は所望の量で含まれ得る。実施形態では、着色剤、例えば、カーボンブラック、シアン、マゼンタ、及び/又はイエロー着色剤は、所望の色をトナーに付与するのに十分な量で組み込まれる。一般に、顔料又は染料は、固形分換算で、トナー粒子の約2重量パーセント~約35重量パーセント、例えば、トナー粒子の約2重量パーセント~約25重量パーセント、又は約2重量パーセント~約20重量パーセントの量で用いられる。特定の実施形態では、着色剤は、トナー粒子の総重量に基づいて、約3~約10重量パーセントの総着色剤の量で含まれ、総着色剤は、ブラックとシアン着色剤との、実施形態では、カーボンブラックとシアンとの組み合わせを含む。実施形態では、着色剤は、カーボンブラックとシアンとの組み合わせを含み、カーボンブラックは、約1~約25、又は約4~約10、又は約5~約7パーセントのカーボンブラックの量で含まれ、シアンは、約0~約3、又は約0.5~約2パーセントのシアンの量で含まれる。
【0044】
着色剤をトナーに組み込むために、着色剤は、任意選択的に、アニオン性又は非イオン性界面活性剤などの界面活性剤を使用して、水性エマルジョン又は着色剤の水分散液の形態であり得、着色剤は、実施形態では、約50ナノメートル(nm)~約3,000nm、又は約100nm~約2,000nm、又は約50nm~約1,000nmの粒子径を有する顔料である。顔料粒子径は、Nanotrac粒子径分析装置を使用して測定された体積平均中央粒子直径として与えられる。
【0045】
アニオン性界面活性剤には、ドデシル硫酸ナトリウム(sodium dodecylsulfate、SDS)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルナフタレン硫酸ナトリウム、ジアルキルベンゼンアルキル硫酸塩及びスルホン酸塩、アビエチン酸、及びNEOGEN(登録商標)ブランドのアニオン性界面活性剤が含まれる。好適なアニオン性界面活性剤の例は、Daiichi Kogyo Seiyaku co.Ltd.から入手可能なNEOGEN(登録商標)RK、又は主に分岐ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムで構成されている、Tayca Corporation(日本)からのTAYCA POWER BN2060である。一般に用いられるアニオン性界面活性剤の有効濃度は、分散液の重量に基づいて、例えば、約0.01~約10重量パーセント、又は約0.1~約5重量パーセントである。
【0046】
カチオン性界面活性剤の例には、ジアルキルベンゼンアルキルアンモニウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムブロミド、塩化ベンザルコニウム、エチルピリジニウムブロミド、C12、C15、C17臭化トリメチルアンモニウム、四級化ポリオキシエチルアルキルアミンのハロゲン化物塩、ドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロリドが含まれる。Alkaril Chemical Companyから入手可能なMIRAPOL(登録商標)及びALKAQUAT(登録商標)、Kao Chemicalsから入手可能なSANISOL(登録商標)(塩化ベンザルコニウム)等。好適なカチオン性界面活性剤の例は、主にベンジルジメチルアルコニウムクロリドからなる、Kao Corp.から入手可能なSANISOL(登録商標)B-50である。一般に用いられるカチオン性界面活性剤の有効濃度は、分散液の重量に基づいて、例えば、約0.01~約10重量パーセント、又は約0.1~約5重量パーセントである。
【0047】
非イオン性界面活性剤の例には、IGEPAL(登録商標)CA-210、IGEPAL(登録商標)CA-520、IGEPAL(登録商標)CA-720、IGEPAL(登録商標)CO-890、IGEPAL(登録商標)CO-720、IGEPAL(登録商標)CO-290、IGEPAL(登録商標)CA-210、ANTAROX(登録商標)890及びANTAROX(登録商標)897としてRhone-Poulenc Inc.から入手可能な、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、メタロース、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ジアルキルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノールが挙げられる。好適な非イオン性界面活性剤の例は、主にアルキルフェノールエトキシレートからなるRhone-Poulenc Inc.から入手可能なANTAROX(登録商標)897である。一般に用いられる非イオン性界面活性剤の有効濃度は、分散液の重量に基づいて、例えば、約0.01~約10重量パーセント、又は約0.1~約5重量パーセントである。
【0048】
ポリマー結合剤(スチレン-アクリレート樹脂)及び着色剤に加えて、トナーは、ワックス、実施形態では、ワックス分散液の形態で使用されるものを更に含んで、トナーを形成し得る。ワックスは、トナー配合物に含まれて、トナーのオフセット耐性、例えば、特に低油又は無油の定着設計において、定着ロールからのトナー解放を助け得る。
【0049】
選択され得るワックスとしては、例えば、ポリメチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンなどのポリオレフィン、並びにフィッシャー・トロプシュプロセスによって作製されるワックスが挙げられる。実施形態では、トナーは、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、及びこれらの組み合わせからなる群のメンバから選択されるワックスを含む。実施形態では、ワックスは、フィッシャー・トロプシュワックスである。他の実施形態では、ワックスは、パラフィンワックスである。更に他の実施形態では、ワックスは、ポリエチレンワックスである。また更なる実施形態では、ワックスは、パラフィンワックスと、1つ以上のフィッシャー・トロプシュとの組み合わせを含む。
【0050】
実施形態では、ワックスは、Sasol又はShell-Malaysiaによって生成されるような、一酸化炭素又は他の低分子量供給原料から誘導される直鎖状フィッシャー・トロプシュワックスである。ワックスは、示差走査熱量測定を使用して測定された、約70℃~約100℃、又は約85℃~約95℃のピーク溶融温度を有し得る。
【0051】
実施形態では、ワックスは、約46~約56個の炭素原子、及び約88℃~約100℃のピーク溶融温度を有する直鎖状炭化水素である。
【0052】
実施形態では、ワックスは、約85℃~約110℃、又は約95℃~約105℃のピーク溶融温度を有するポリエチレンワックスである。
【0053】
任意の好適な又は所望のパラフィンワックスを、本明細書の実施形態のために選択することができる。実施形態では、パラフィンワックスは、BW-422及びBW-436(Blended Waxes,Inc.製);IGI 1245A、IGI 1250A、IGI 1297A、IGI 1266A(すべてthe International Group,Inc.製);Indrawax 6062-F、Indrawax 6264-F、Indrawax 6466-F、Indrawax 6668-F、Indrawax 6870-F、Indrawax 7072-F、Indrawax 8070、Indrawax 6062-S 140-144、Indrawax 6062-S(すべてIndustrial Raw Materials LLC製);Shell Sarawax SX70(Alpha Wax製);Strahl&Pitschの434及び674パラフィンワックス;CHEMBEAD(登録商標)30、CHEMBEAD(登録商標)30-AM、PARAFINE30、PARAFFIN60、PARAFFIN EMULSION 135-45 FDA、PARAFFIN EMULSION150-45 FDAを含むパラフィンワックスの分散液(すべてBYK Additives&Instruments製);並びにこれらの組み合わせからなる群から選択することができる。
【0054】
ワックスをトナーに組み込むために、ワックスは、水性エマルジョン又は固体ワックスの水分散液の形態であり得、固体ワックスの粒子径は、通常約100~約500nmの範囲内である。粒子径は、動的光散乱技術を使用するNanotrac粒子径分析装置を使用して測定された体積平均中央粒子直径を意味する。
【0055】
実施形態では、トナーは、トナーの重量に基づいて、約3.5~約20重量パーセント、又は約5~約20重量パーセント、又は約7~約20重量パーセント、又は約9~約16重量パーセントのワックスの総量を含む。
【0056】
本明細書のトナーはまた、一価金属凝固剤、二価金属凝固剤、ポリイオン凝固剤などの凝集剤又は凝固剤も含有し得る。様々な凝固剤が当該技術分野において既知である。本明細書で使用するとき、「ポリイオン凝固剤」は、少なくとも3、望ましくは少なくとも4又は5の価数を有する金属種から形成される金属塩又は金属酸化物のような塩又は酸化物である凝固剤を指す。したがって、好適な凝固剤には、例えば、フッ化ポリアルミニウム及び塩化ポリアルミニウム(polyaluminum chloride、PAC)のようなポリハロゲン化アルミニウムのようなアルミニウムをベースとした凝固剤、ポリアルミニウムスルホシリケート(polyaluminum sulfosilicate、PASS)、ポリ水酸化アルミニウム、ポリリン酸アルミニウムのようなポリアルミニウムシリケートが含まれる。他の好適な凝固剤には、テトラアルキルチチネート、ジアルキルスズオキシド、テトラアルキルスズ酸化水酸化物、ジアルキルスズ酸化水酸化物、アルミニウムアルコキシド、アルキル亜鉛、ジアルキル亜鉛、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジブチルスズ、酸化ジブチルスズ酸化水酸化物、テトラアルキルスズ、これらの組み合わせ等も含まれるが、これらに限定されない。凝固剤がポリイオン凝固剤である場合、凝固剤は、存在する任意の所望の数のポリイオン原子を有し得る。例えば、実施形態では、好適なポリアルミニウム化合物は、化合物中に約2~約13、又は約3~約8のアルミニウムイオンが存在し得る。実施形態では、ポリ塩化アルミニウム凝集剤が選択される。
【0057】
このような凝固剤は、粒子凝集中にトナー粒子に組み込むことができる。このように、凝固剤は、トナー粒子の約0~約5重量パーセント、又は約0重量パーセント~約3重量パーセントの量で、外部添加剤を除いて、乾燥重量基準で、トナー粒子中に存在することができる。実施形態では、凝集剤(又は凝固剤)は、トナーの総重量に基づいて、約0.18pphの量で使用される。
【0058】
高光沢のためには、最終トナー粒子におけるアルミニウム金属及び/又は金属イオンの存在は、アルミニウムが、得ることができる光沢を阻害するため望ましくない(アルミニウム含有量が多いほど、例えば架橋に起因して、トナーの光沢が低下する)、したがって、アルミニウムは、形成されたトナー粒子から実質的に抽出される必要がある。このような抽出は、任意の好適な方法によって行われ得るが、実施形態における方法は、凝集トナー粒子にキレート剤又は封鎖剤を添加して、制御された様式で、すなわち、トナー中に存在するアルミニウムの最終含有量が制御され得るような様式で、そこからアルミニウムイオンを抽出することを含む。封鎖剤又はキレート剤として、実施形態では、VERSENE(登録商標)100として市販されているエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ケイ酸ナトリウム溶液などが選択され得る。
【0059】
キレート剤又は封鎖剤は、トナー中の最終的なアルミニウム含有量が、トナーの総重量に基づいて、約1,000ppm未満、例えば約1ppm~約1,000ppm、又は約350ppm~約550ppm、又は約425ppm~約475ppmとなるように、溶液からアルミニウムイオンを抽出するのに有効な量で添加され得、ここで、ppmは、百万分率である。添加されるキレート剤又は封鎖剤の量は、溶液の約0.01~約10重量パーセントであり得、溶液は、トナーの総重量に基づいて、39重量パーセント、又は約0.01~約5パーセント、又は約0.5~約5パーセントの活性キレート剤である。実施形態では、キレート剤、実施形態では、EDTAは、乾燥トナー粒子の総重量に基づいて、約0.79pphの量で選択され、ここで、pphは、百分率である。
【0060】
実施形態では、キレート剤又は封鎖剤は、最終トナー中には実質的に存在せず、したがって、最終トナー中のアルミニウムの前述の量を達成するために必要な量と実質的に等しい量で添加され、過剰な封鎖剤又はキレート剤がトナー中に保持されないように、このような量を実質的に超えない。
【0061】
キレート剤又は封鎖剤は、エマルジョン凝集トナー粒子形成プロセスにおける凝集工程の終わり近くで添加され得るが、このような抽出は、凝集に続いて任意の合体工程の前の任意の時間にも行われ得る。
【0062】
所望に応じて、トナー粒子は、他の任意選択的な添加剤を含有することができる。例えば、トナーは、正又は負の電荷制御剤を、任意の所望又は有効量、実施形態ではトナーの少なくとも約0.1重量パーセント、又はトナー又は少なくとも約1重量パーセント、又はトナーの約10重量パーセント以下、又はトナーの約3重量パーセント以下の量で含むことができる。好適な電荷制御剤の例としては、以下に限定するものではないが、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第4,298,672号に開示されたものを含む、アルキルピリジニウムハロゲン化物、重硫酸塩、アルキルピリジニウム化合物などの第四級アンモニウム化合物、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第4,338,390号に開示されたものを含む、有機硫酸塩及びスルホン酸塩組成物、セチルピリジニウムテトラフルオロボレート、ジステアリルジメチルアンモニウムメチルサルフェート、BONTRON E84(商標)又はE88(商標)(Hodogaya Chemical)などのアルミニウム塩など、並びにこれらの混合物が挙げられる。このような電荷制御剤は、シェル樹脂と同時に適用されても、シェル樹脂の適用後に適用されてもよい。
【0063】
エマルジョン凝集手順によってトナーを調製する際、1つ以上の界面活性剤がプロセス中に使用され得る。好適な界面活性剤としては、上記のアニオン性、カチオン性、及び非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0064】
任意の好適なエマルジョン凝集手順が、エマルジョン凝集トナー粒子を形成する際に使用され得る。これらの手順は、典型的には、結合剤ポリマー、着色剤、ワックス、任意選択的に1つ以上の界面活性剤、凝固剤、及び任意の追加の任意選択的な添加剤を含有する水性ラテックスエマルジョンを少なくとも凝集させて、凝集体を形成し、任意選択的にシェル材料のラテックスを添加することによって凝集コア粒子上にシェルを形成し、任意選択的に金属(アルミニウム)を粒子から抽出し、続いて任意選択的に凝集体を合体又は融合させ、次いで、得られたエマルジョン凝集トナー粒子を回収し、任意選択的に洗浄し、任意選択的に乾燥させる基本的なプロセス工程を含む。
【0065】
実施形態では、エマルジョン凝集コア-シェルトナー粒子を含む、トナーを調製する方法は、コアスチレン-アクリレートコポリマーのラテックスと、任意選択的な着色剤の水性分散液と、ワックスの水性分散液と、を得ることと、コアスチレン-アクリレートコポリマーのラテックスと、任意選択的な着色剤の水性分散液と、ワックスの水性分散液と、の混合物を形成することと、混合物を第1の温度に加熱することと、第1の温度を維持して、凝集トナー粒子を形成することと、シェルスチレン-アクリレートコポリマーのラテックスを添加して、凝集粒子上にシェルを形成することと、任意選択的に、キレート剤の溶液を添加することと、更なる凝集を停止し、第1の温度よりも高い第2の温度まで温度を上昇させて、凝集粒子を合体させることと、続いて、エマルジョン凝集トナー粒子を冷却、任意選択的に洗浄、及び回収することと、を含む。
【0066】
特定の実施形態では、本明細書のトナーは、コア及びその上のシェルを含む、エマルジョン凝集トナー粒子であって、コアが、第1のコアスチレン-アクリレートコポリマー、第2のスチレン-アクリレートコポリマー、及び第3のスチレン-アクリレートコポリマーから選択される、少なくとも2つのスチレン-アクリレートコポリマーの組み合わせを含む、エマルジョン凝集トナー粒子と、ワックスと、任意選択的な着色剤と、を含み、第1のコアスチレン-アクリレートコポリマーは、約32,000g/mol~約38,000g/molの重量平均分子量、及び約57.0℃~約61.0℃の開始ガラス転移温度を有し、第2のコアスチレン-アクリレートコポリマーは、約52,000g/mol~約58,000g/molの重量平均分子量、及び約53.0℃~約57.0℃の開始ガラス転移温度を有し、第3のコアスチレン-アクリレートコポリマーは、約33,000g/mol~約39,000g/molの重量平均分子量、及び約49.0℃~約53.0℃の開始ガラス転移温度を有し、シェルは、第1のシェルスチレン-アクリレートコポリマー、第2のシェルスチレンアクリレートコポリマー、又はこれらの組み合わせから選択される、少なくとも1つのスチレン-アクリレートコポリマーを含み、第1のシェルスチレン-アクリレートコポリマーは、約32,000g/mol~約38,000g/molの重量平均分子量、及び約57.0℃~約61.0℃の開始ガラス転移温度を有し、第2のシェルスチレン-アクリレートコポリマーは、約52,000g/mol~約58,000g/molの重量平均分子量、及び約53.0℃~約57.0℃の開始ガラス転移温度を有する、エマルジョン凝集トナー粒子を含み、トナーは、トナーの総重量に基づいて、約50~約60重量パーセントのコア、約26~約30重量パーセントのシェル、約3~約10重量パーセントの着色剤、及び約7~約20重量パーセントのワックスを含む。
【0067】
実施形態では、トナー粒子は、Coulter Counter Multisizer 3を使用して測定された、約1~約15マイクロメートル、又は約2~約10マイクロメートル、又は約4~約9マイクロメートルの体積平均中央粒子直径を有する。実施形態では、トナー粒子は、Malvern Sysmex Flow Particle Image Analyzer(FPIA3000)を使用して測定された、約0.93~約0.98の平均円形度を有する。円形度は、粒子の完全な球体への近さの尺度である。1.0の円形度は、完全な円形球体の形状を有する粒子を特定する。
【0068】
トナー粒子の凝集性は、粒子の表面形態とある程度関連する。粒子の表面がより丸く/より滑らかであれば、凝集力が低くなり、流動性が大きくなる。表面がより丸みが低下/より粗くなると、流動性が悪化し、凝集力が増加する。
【0069】
トナー粒子はまた、(D84/D50)の体積幾何標準偏差(volume geometric standard deviation、GSDv)が、約1.15~約1.25の範囲内であるような径分布を有し得る。総トナー粒子の50%の累積パーセンテージが達成される体積平均粒子直径は、5の体積D50として定義され、84%の累積パーセンテージが達成される体積平均粒子直径は、体積D84として定義される。これらの上記の体積平均粒子径分布指数GSDvは、累積分布でD50及びD84を使用することによって表すことができ、体積平均粒子径分布指数GSDvは、(体積D84/体積D50)として表される。トナー粒子のGSDv値は、トナー粒子が非常に狭い粒子径分布を有するように作製されることを示す。
【0070】
また、流動助剤添加剤を含むトナー粒子外部添加剤粒子とブレンドすることもでき、これは、トナー粒子の表面上に存在することができる。これらの添加剤の例としては、以下に限定されるものではないが、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化スズなどの金属酸化物、並びにこれらの混合物、AEROSIL(登録商標)などのコロイド状及び非結晶性シリカ、金属塩、及びステアリン酸亜鉛、酸化アルミニウム、酸化セリウムなどを含む脂肪酸の金属塩、並びにこれらの混合物が挙げられる。これらの外部添加剤の各々は、任意の所望の又は有効な量、実施形態では、トナーの少なくとも約0.1重量パーセント、又はトナーの少なくとも約0.25重量パーセント、又はトナーの約5重量パーセント以下、又はトナーの約3重量パーセント以下の量で存在することができる。好適な添加剤には、これらに限定されるものではないが、米国特許第3,590,000号及び同第6,214,507号に開示されているものが含まれ、これらの各々は、参照により本明細書に組み込まれている。このような添加剤は、シェル樹脂と同時に適用されても、シェル樹脂の適用後に適用されてもよい。
【0071】
本発明のトナーは、現像剤組成物に配合されてもよい。現像剤組成物は、本開示のトナーを、鋼、フェライトなどのコーティングされた担体を含む既知の担体粒子と混合することによって調製することができる。このような担体としては、米国特許第4,937,166号及び同第4,935,326号に開示されているものが挙げられ、これらのそれぞれの開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0072】
トナーは、約1重量%~約15%重量%、約2重量%~約8重量%、又は約4重量%~約6重量%の量で担体内に存在してもよい。担体粒子はまた、ポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate、PMMA)などのポリマーコーティングを有するコアも含むことができ、その中に導電性カーボンブラックのような導電性成分が分散されている。担体コーティングとしては、メチルシルセスキオキサンなどのシリコーン樹脂、ポリフッ化ビニリデンなどのフルオロポリマー、ポリフッ化ビニリデン及びアクリルなどの摩擦電気系列表(triboelectric series)で近接していない樹脂の混合物、アクリルなどの熱硬化性樹脂、これらの組み合わせ、及び他の既知成分が挙げられる。
【0073】
本発明のトナーは、様々な電子写真式プロセスで、様々な電子写真式プリンタとともに使用し得る。電子写真式イメージングプロセスには、例えば、帯電構成要素、イメージング構成要素、光導電性構成要素、現像構成要素、転写構成要素、及び定着構成要素を含む電子写真式プリンタで画像を調製することが含まれる。実施形態では、現像構成要素は、担体を本明細書に記載のいずれかのトナーと混合することによって調製される現像剤を含んでもよい。電子写真式プリンタは、高速プリンタ、白黒高速プリンタ、カラープリンタなどを含んでもよい。画像がトナー/現像剤で形成されると、画像はその後、紙などの画像受容媒体に転写され得る。定着機ロール部材は、熱及び圧力を使用することによって、トナーを画像受容媒体に定着させるために使用され得る。電子写真式印刷プロセスで本発明のトナーを使用することにより、本明細書に記載の特性及び他の望ましい特性を有する印刷画像を提供することができる。
【0074】
この発明のトナーは、この発明のトナーのいずれかを含有する粉末スプレーガン(例えば、トリボガン)が、基材にトナーを供給するために使用される粉末コーティング適用などの他の適用での使用が見出される。
【0075】
実施形態では、本明細書のプロセスは、電子写真式プリンタを使用して本明細書に記載のトナーで画像を形成することと、トナーを含む画像を画像受容媒体に転写することと、トナーを画像受容媒体に定着させてトナー画像を形成することと、を含む。
【実施例0076】
以下の実施例は、本開示の様々な種類を更に定義するために提示される。これらの実施例は、例示のみを意図しており、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。また、別途記載のない限り、割合及び百分率は重量による。
【0077】
トナーを、以下のような凝集/合体プロセスを使用して調製した。
【0078】
1.コア材料(ラテックス、顔料、ワックス)及び脱イオン水を、ガロン反応器内で混合した。
【0079】
2.反応器の内容物を、ロータ/ステータホモジナイザーを使用して均質化し、ポリ塩化アルミニウム凝集剤を添加した。
【0080】
3.反応器を、凝集のために52℃~59℃に加熱した。撹拌速度を、スラリー粘度に応じて設定した。粒子径(D50v)を、Coulter Multisizer-3測定器を使用して監視した。
【0081】
4.約5.3マイクロメートルのプレシェル粒子径が達成されると、計量ポンプを使用して、シェルラテックスを反応器に添加した。
【0082】
5.スラリーのpHを、NaOH溶液及びVersene(商標)100溶液を添加することによって、4.5~5.7に増加させた。撹拌速度を、粘度に応じて徐々に減少させた。次いで、バッチを、10分間保持した。
【0083】
6.反応器を、約80℃に加熱した。HNO3溶液を、反応器に添加して、4.0~5.2のpHを達成した。次いで、反応器を、92.0~98.0℃の合体温度に加熱した。
【0084】
7.0.970~0.975の円形度が達成されるまで、反応器を合体温度に保持した。FPIA Sysmex 3000測定器を使用して、円形度を監視した。
【0085】
8.次いで、NaOH溶液を添加して、pHを6.0に上昇させた。次いで、反応器を、63℃未満に冷却し、1M NaOHを使用して、pHを8.8に更に上昇させた。次いで、反応器を、室温まで冷却した。
【0086】
9.反応器の内容物を収集し、次いで、通常の方法を使用して、ふるいにかけ、洗浄し、乾燥させた。
【0087】
材料特性表は、以下のとおりである。表2において、本明細書に記載されるような、Sty-A1は、スチレン-アクリレートコポリマー1を意味し、Sty-A2は、スチレン-アクリレートコポリマー2を意味し、Sty-A3は、スチレン-アクリレートコポリマー3を意味する。
【表1】
【表2】
【表3】
【0088】
トナーの特性は、凝集/合体プロセスにおいて使用される原料の種類及び量を変更することによって微調整され得る。全体的なトナー分子量(Mw)及びガラス転移温度(Tg)は、コアラテックス及びシェルラテックスによって影響を受ける可能性がある。実施例は、3つのスチレン-アクリレートラテックスの様々な組み合わせを示し、各ラテックスは、独自のTg及びMwを有する。トナー組成物は、トナーの保存安定性及び耐久性を改善するために、Tgの増加及びMwの増加に向かった。粒子コア及び粒子シェルのために選択された異なるラテックス組成物は、トナー特性を更に最適化するように選択される。シェル中のより高いTg及びMwは、保存安定性及び耐久性を改善するために一般的に好ましいが、コア中のより低いTg及びMwは、光沢及び低溶融特性を改善するために一般的に好ましい。
【0089】
ワックス配合物は、トナー溶融特性に有意な影響を及ぼし得る。パラフィンなどの低溶融ワックスは、メルトフローの増加(より低いT1/2)及びTgの減少をもたらす。ワックスはまた、ホットオフセット及び超微粒子放出などの他の機械性能メトリックに影響を及ぼし得る。実施形態では、ワックスの種類及び量は、これらの特性に影響を及ぼすように選択される。
【0090】
凝集剤として使用されるアルミニウム錯体はまた、トナー溶融特性に影響を及ぼし得る。残留アルミニウムは、合体樹脂を架橋させ、メルトフローの減少を引き起こし得る。これによって、フロス及び固定特性の減少がもたらされ得る。凝集を促進するために最小量の凝集剤が望まれるが、過剰なアルミニウムを除去するために、凍結工程中にキレート剤を添加することが可能である。
【0091】
実施形態では、カーボンブラックに起因する誘電損失及び光学濃度の範囲を観察するために、2つのレベルの顔料充填量を選択した。
【0092】
粒子径及び形状は、Tribo、流動性、及び転写性などの多くの電子写真特性に影響を及ぼす。このトナー組成物は、機械要件を満たし、所望のトナー特性を提供する広範囲のトナー径及び形状を可能にする。
【表4】
【0093】
以下の成分を含む、トナー粒子組成物を調製した。
以下の表5に示される成分を有する実施例9~22を、上記のプロセスによって調製した。
【表5】
【0094】
実施例9~22の特性を表6及び表7に示す。
【表6】
【表7】
【0095】
様々な上記で開示された及び他の特徴及び機能、又はこれらの代替物が、多くの他の異なるシステム又は用途に望ましく組み合わされ得ることが理解されるであろう。また、様々な現在予期されない、又は先行例のない代替、修正、変形、又は改善が、当業者によって行われてもよく、これらはまた、以下の「特許請求の範囲」によって包含されることが意図されている。特許請求の範囲に具体的に列挙されない限り、特許請求の範囲の工程又は構成要素は、本明細書又は任意の他の特許請求の範囲から、いかなる特定の順序、数、位置、サイズ、形状、角度、色、又は材料に関して、暗示又は意味されるべきではない。