(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022119724
(43)【公開日】2022-08-17
(54)【発明の名称】圧延前に酸化処理を経た鋼とアルミニウムとの両金属を圧延してラミネートする方法
(51)【国際特許分類】
B21B 1/22 20060101AFI20220809BHJP
B21B 1/38 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
B21B1/22 B
B21B1/38 L
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022005790
(22)【出願日】2022-01-18
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-05-20
(31)【優先権主張番号】202110158854.2
(32)【優先日】2021-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】514276562
【氏名又は名称】燕山大学
【氏名又は名称原語表記】YANSHAN UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】No. 438, Hebei Street, Haigang District, Qinhuangdao City, HeBei 066004 P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】余 超
(72)【発明者】
【氏名】付 倫
(72)【発明者】
【氏名】張 文哲
(72)【発明者】
【氏名】肖 宏
【テーマコード(参考)】
4E002
【Fターム(参考)】
4E002AA07
4E002AA08
4E002AD05
4E002AD12
4E002BC02
4E002BC05
4E002BD09
4E002BD10
(57)【要約】 (修正有)
【課題】冷間圧延された鋼とアルミニウムとによるラミネート板の結合強度を効果的に高めることができる、ラミネートする方法を提供する。
【解決手段】ラミネートすべき鋼板とアルミニウム板を用意するステップS1と、表面を洗浄する処理ステップS2と、表面を酸化処理するステップS3と、ワークを積層して圧延するステップS4と、熱処理を行うステップS5を含む圧延前に酸化処理を経た鋼とアルミニウムとの両金属を圧延してラミネートする方法を提供する。圧延前に鋼板接触面を酸化処理すると共に、処理されたワークを室温まで冷却してからアルミニウム板に積層を行い、冷間圧延を経て、鋼とアルミニウムとの両金属が酸化された初期ラミネートを実現し、得られたラミネート板を熱処理し、冷間圧延前の酸化処理プロセスによって、鋼とアルミニウムとによるラミネート界面に界面結合強度を効果的に高めることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧延すべきアルミニウム板と鋼板を用意し、ただし、前記鋼板が蟻形溝を有する鋼板と蟻形溝を有さない鋼板を含むステップS1と、
鋼板とアルミニウム板の表面を洗浄処理するステップであって、前記ステップS1によって得られた圧延すべき鋼板とアルミニウム板におけるラミネートすべき表面の硬化層、酸化物と油汚れをクリーニングして、洗浄された鋼板とアルミニウム板を取得するステップS2と、
鋼板の表面を酸化処理するステップであって、前記ステップS2によって得られた洗浄された鋼板におけるラミネートすべき界面を酸化処理し、前記酸化処理は、鋼を空気に加熱し又は直接に濃酸化性溶液に浸す方法が採用されており、前記酸化処理された鋼板における結合すべき面に酸化膜が形成され、酸化の過程に酸素の拡散深さが4μm~15μmに制御されるステップS3と、
ワークを積層して圧延するステップであって、前記ステップS3によって酸化処理された鋼板と洗浄されたアルミニウム板を貼り合わせて積層すると共に、積層されたワークを冷間圧延して、鋼とアルミニウムとの両金属板の圧延とラミネートを実現し、初期ラミネート板を取得するステップS4と、
初期ラミネート板を熱処理するステップであって、前記ステップS4によって得られた初期ラミネート板を熱処理して、350℃~600℃の温度範囲に1~2時間だけアニーリングするステップS5とを含み、
酸化された鋼板における結合すべき面に、酸化膜を破壊させる臨界圧下率が存在しており、冷間圧延圧下率が前記臨界圧下率よりも大きい場合に、圧延された鋼板における結合すべき界面の酸化物が破壊されてアルミニウム板側にある酸化膜又は基体を突き通し、ひいては、鋼とアルミニウムとのラミネート界面に機械噛み合いを効果的に形成し、鋼とアルミニウムが界面に脆性化合物を生じることを防ぐと共に、突き通しの過程においてアルミニウム側にある酸化膜を急速に破壊させ、鋼板とアルミニウム板を高強度でラミネートしており、
前記ステップS4には、前記積層されたワークを圧延することに、圧延機を用いて冷間圧延することが採用され、圧延速度が0.1 ~ 5m/sであり、圧延を累計した圧下率が55%以上であることから、鋼とアルミニウムとの両金属によるラミネート板を初期ラミネートすることを実現する
ことを特徴とする圧延前に酸化処理を経た鋼とアルミニウムとの両金属を圧延してラミネートする方法。
【請求項2】
前記ステップS1では、内嵌合凹溝を加工することに、フライス盤が採用され、或いは、ワイヤーカットを用いて加工することが採用される、ことを特徴とする請求項1に記載の圧延前に酸化処理を経た鋼とアルミニウムとの両金属を圧延してラミネートする方法。
【請求項3】
前記ステップS1では、フライス盤或いはワイヤーカットによる加工を用いて、前記蟻形溝を有する鋼板を形成する、ことを特徴とする請求項1に記載の圧延前に酸化処理を経た鋼とアルミニウムとの両金属を圧延してラミネートする方法。
【請求項4】
前記ステップS2では、表面処理に、ワイヤーブラシ、紙やすり又は砥石を用いてラミネートすべき表面の酸化物と硬化層を取り除き、アセトンとアルコールを用いてラミネートすべき表面の油汚れを綺麗に拭ってから、ドライヤーを用いて乾燥して待機に備える、ことを特徴とする請求項1に記載の圧延前に酸化処理を経た鋼とアルミニウムとの両金属を圧延してラミネートする方法。
【請求項5】
前記ステップS3では、前記圧延すべき鋼板を酸化処理した後に、室温まで冷却することが必要である、ことを特徴とする請求項1に記載の圧延前に酸化処理を経た鋼とアルミニウムとの両金属を圧延してラミネートする方法。
【請求項6】
前記ステップS5では、前記初期ラミネート板を1~2時間だけアニーリングしてから、炉と共に冷却することにより、鋼とアルミニウムとの両金属ラミネート板を取得し、ただし、前記初期ラミネート板のせん断強度が70MPa以上である、ことを特徴とする請求項1に記載の圧延前に酸化処理を経た鋼とアルミニウムとの両金属を圧延してラミネートする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラミネート材料及びその製作方法の技術分野に関し、特に、圧延前に酸化処理を経た鋼とアルミニウムとの両金属を圧延してラミネートする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鋼とアルミニウムとの両金属板材ラミネートは、鋼を基体とし、アルミニウムを強化体とするものであり、製作されたアルミニウム板による強化の鋼を基体とするラミネート材は、機械、電子機器、航空宇宙や自動車などの業界に、幅広い発展空間及び適用の見通しがある。アルミニウムが空気において一瞬に酸化して緻密な酸化膜を生成することから、鋼とアルミニウムとがラミネートされることが厳しく妨げられることがある。そのため、圧延前に、硬化層と酸化層を磨くなどの処理を行うことがあり、ひいては、酸化を防ぐために、真空処理を実施したり、直ぐに圧延したりする方法を採用することがある。従来、鋼とアルミニウムを冷間圧延してラミネートする方法は、一般的に、単一のプロセスにおいて、55%よりも大きい圧下率で圧延を行い、大きい圧下率で圧延することにより鋼板とアルミニウム板を大きく変形させる。この場合には、アルミニウム板における結合すべき面にある酸化膜を破壊させる臨界圧下率が必ず存在する。圧下率がこの臨界圧下率よりも大きい場合には、アルミニウム側にある酸化膜を十分に破壊させることにより、その内部に新たな金属を露出させて鋼板に結合することができる。しかも、熱処理の際に、アニーリングを行うと、鋼とアルミニウムによるラミネート界面に、鋼とアルミニウムによる脆性化合物を形成し易い。そして、冷間圧延してラミネートする方法によって生産された鋼とアルミニウムによるラミネート板は、結合の強度を効果的に高めることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記した従来技術に存在している問題については、本発明が、圧延前に酸化処理を経た鋼とアルミニウムとの両金属を圧延してラミネートする方法を提供する。本発明では、圧延前に鋼板との接触面を酸化処理し、処理されたワークを室温まで冷却してから積層を実施して冷間圧延し、鋼とアルミニウムとの両金属を初期ラミネートして得られたラミネート板を熱処理することにより、界面における結合強度を効果的に高めることができる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
具体的に、本発明が提供する、圧延前に酸化処理を経た鋼とアルミニウムとの両金属を圧延してラミネートする方法は、
圧延すべきアルミニウム板と鋼板を用意するステップS1と、
鋼板とアルミニウム板の表面を洗浄処理するステップであって、ステップS1によって得られた圧延すべき鋼板とアルミニウム板におけるラミネートすべき表面の硬化層、酸化物と油汚れをクリーニングして、洗浄された鋼板とアルミニウム板を取得するステップS2と、
鋼板の表面を酸化処理するステップであって、ステップS2によって得られた洗浄された鋼板におけるラミネートすべき界面を酸化処理し、前記酸化処理は、鋼を空気に加熱し又は直接に濃酸化性溶液に浸す方法が採用されており、酸化処理された鋼板における結合すべき面に酸化膜が形成され、酸化の過程に酸素の拡散深さが4μm~15μmに制御されるステップS3と、
ワークを積層して圧延するステップであって、ステップS3によって酸化処理された鋼板と洗浄されたアルミニウム板を貼り合わせて積層すると共に、積層されたワークを冷間圧延して、鋼とアルミニウムとの両金属板の圧延とラミネートを実現し、初期ラミネート板を取得するステップS4と、
初期ラミネート板を熱処理するステップであって、ステップS4によって得られた初期ラミネート板を熱処理して、350℃~600℃の温度範囲に1~2だけアニーリングするステップS5を含み、
酸化された鋼板における結合すべき面に、酸化膜を破壊させる臨界圧下率が存在しており、冷間圧延圧下率が前記臨界圧下率よりも大きい場合に、圧延された鋼板における結合すべき界面の酸化物が破壊されアルミニウム板側にある酸化膜又は基体を突き通し、ひいては、鋼とアルミニウムとのラミネート界面に機械噛み合いを効果的に形成し、鋼とアルミニウムが界面に脆性化合物を生じることを防ぐと共に、并且突き通しの過程においてアルミニウム側にある酸化膜を急速に破壊させ、鋼板とアルミニウム板を高強度でラミネートする。
【0005】
好ましくは、ステップS1では、前記鋼板が蟻形溝を有する鋼板と蟻形溝を有さない鋼板を含む。
【0006】
好ましくは、ステップS1では、内嵌合凹溝を加工することに、フライス盤或いはワイヤーカットを用いて加工を行うことが採用される。
【0007】
好ましくは、ステップS1では、フライス盤或いはワイヤーカットを用いて、蟻形溝を有する鋼板を加工する。
【0008】
好ましくは、ステップS2では、表面処理に、ワイヤーブラシ、紙やすり又は砥石を用いてラミネートすべき表面の酸化物と硬化層を取り除き、アセトンとアルコールを用いてラミネートすべき表面の油汚れを綺麗に拭ってから、ドライヤーを用いて乾燥して待機に備える。
【0009】
好ましくは、ステップS3では、前記圧延すべき鋼板を酸化処理した後に、室温まで冷却することが必要である。
【0010】
好ましくは、ステップS4では、前記積層されたワークを圧延することに、圧延機を用いて冷間圧延することが採用され、圧延速度が0.1 ~ 5m/sであり、プロセス毎に累計した圧下率が55%以上であることから、鋼とアルミニウムとの両金属によるラミネート板を初期ラミネートすることを実現する。
【0011】
好ましくは、ラミネート板を1~2時間だけアニーリングしてから、炉と共に冷却することにより、鋼とアルミニウムとの両金属ラミネート板を取得し、ただし、ラミネート板のせん断強度が70MPa以上である。
【0012】
好ましくは、ステップS3では、酸素の拡散する深さが10μmである。
【発明の効果】
【0013】
従来技術に比べて、本発明による効果が以下の通りである。
(1)本発明では、圧延前に酸化処理を行うことから、圧延後に鋼板側における界面の酸化物の粒子は、破壊されて、アルミニウム側にある基体に突き通して嵌入する一方、鋼とアルミニウムが界面に脆性化合物を生成することを阻み、そして、冷間圧延された鋼とアルミニウムとによるラミネート板の結合強度を効果的に高めることができる。
(2)本発明では、洗浄処理されてから人工で酸化された鋼板は、一定の厚さを有する酸化物を含むことから、このとき、鋼板における結合すべき面にある酸化膜を破壊させる臨界圧下率が必ず存在する。圧下率がこの臨界圧下率よりも大きい場合には、圧延された鋼板における結合すべき界面にある酸化物が破壊してアルミニウム側にある酸化膜又は基体を突き通し、ひいては、有効な機械噛み合いを形成でき、しかも、突き通しの過程に、アルミニウム側にある酸化膜を急速で破壊し、アルミニウム基体において、数多くの新たな金属が露出するように役立ち、圧延された鋼とアルミニウムによるラミネート板に、良い初期ラミネート状態を有させ、次に、アニーリングの過程において、アルミニウム板における内部の新た金属と鋼が互いに拡散することにより、高強度のラミネートを実現することができる。本願では、蟻形溝内に嵌合し厚中板を圧延してラミネートするプロセスが採用されることから、複数のプロセスで圧延可能であり、累計の圧下率が55%よりも大きいように実現することができる。本願は、圧延前に酸化処理を経た鋼板における表面の酸化膜を十分に破壊させる十分な条件を提供して、薄板をラミネートして圧延し、単一のプロセスにおいて圧下率が55%以上である。また、圧延前に酸化処理を経た鋼板における表面の酸化膜を十分に破壊させる十分な条件を提供し、その酸化物は、破壊されてアルミニウム側にある基体に突き通して嵌入する一方、鋼とアルミニウムが界面に脆性化合物を生成することを阻み、そして、冷間圧延された鋼とアルミニウムとによるラミネート板の結合強度を効果的に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る圧延前に酸化処理を経た鋼とアルミニウムとの両金属を圧延してラミネートする方法の発明のフローチャートである。
【
図2】本発明に係る圧延前に酸化処理を経た鋼とアルミニウムとの両金属を圧延してラミネートする方法において、圧延すべき蟻形溝を有した鋼板と圧延すべきアルミニウム板を結合して嵌合する模式図である。
【
図3】本発明に係る圧延前に酸化処理を経た鋼とアルミニウムとの両金属を圧延してラミネートする方法において、圧延すべき蟻形溝を有さない鋼板と圧延すべきアルミニウム板を貼り合わせて積層する模式図である。
【
図4】第一実施例における総圧下率が70%であるせん断強度とひずみ(strain)の関係図である。
【
図5A】第一実施例における圧延後の鋼板側面を走査した最初図である。
【
図5B】第一実施例における圧延後の鋼板側面を走査したAI元素の分布図である。
【
図5C】第一実施例における圧延後の鋼板側面を走査したFe元素の分布図である。
【
図5D】第一実施例における圧延後の鋼板側面を走査したO元素の分布図である。
【
図5E】第一実施例における圧延後のアルミニウム側面を走査した最初図である。
【
図5F】第一実施例における圧延後のアルミニウム側面を走査したAI元素の分布図である。
【
図5G】第一実施例における圧延後のアルミニウム側面を走査したFe元素の分布図である。
【
図5H】第一実施例における圧延後のアルミニウム側面を走査したO元素の分布図である。
【
図6】第二実施例における圧下率が60%であるせん断強度とひずみ(strain)の関係図である。
【
図7A】第二実施例における圧延後の鋼板側面を走査した最初図である。
【
図7B】第二実施例における圧延後の鋼板側面を走査したAI元素の分布図である。
【
図7C】第二実施例における圧延後の鋼板側面を走査したFe元素の分布図である。
【
図7D】第二実施例における圧延後の鋼板側面を走査したO元素の分布図である。
【
図7E】第二実施例における圧延後のアルミニウム側面を走査した最初図である。
【
図7F】第二実施例における圧延後のアルミニウム側面を走査したAI元素の分布図である。
【
図7G】第二実施例における圧延後のアルミニウム側面を走査したFe元素の分布図である。
【
図7H】第二実施例における圧延後のアルミニウム側面を走査したO元素の分布図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
【0016】
具体的に、本発明は、圧延前に酸化処理を経た鋼とアルミニウムとの両金属を圧延してラミネートする方法を提供しており、以下のステップを含む。
【0017】
ステップS1は、圧延すべきアルミニウム板と鋼板を用意する。具体的な実施例では、ステップS1に、鋼板が蟻形溝を有するものと、蟻形溝を有さないものという二種類を含む。ステップS1に、内嵌合凹溝を加工することに、フライス盤或いはワイヤーカットによって加工を行う。ステップS1では、フライス盤或いはワイヤーカットによって蟻形溝を有する鋼板を加工する。
ここで,フライス盤は、主に、切れ刃によりワークの表面を加工するための機械である。切れ刃は、回転運動を主な運動とし,ワークと切れ刃の移動を送り運動とすることが一般的である。ワイヤーカットは、作動原理が、持続的移動可能な細い電極ワイヤーを電極として、電気パルスを用いて放電することにより、ワークに金属を腐食除去し、切断して成形する、ということにある。本明細書においては、ワークに必要な加工の寸法や形状に応じて、直柄でありながら蟻形溝を有する適正な切れ刃を選んでフライス盤に加工を行ったり、ワークの導電可能な物理の性能に基づいてワイヤーカット加工を行ったりすることが可能である。
【0018】
ステップS2では、鋼板とアルミニウム板の表面を洗浄処理する。ステップS1によって得られた圧延すべき鋼板とアルミニウム板におけるラミネートすべき表面の硬化層、酸化物や油汚れをクリーニングして、洗浄された鋼板とアルミニウム板を取得する。ステップS2に係る表面処理では、ワイヤーブラシ、紙やすり又は砥石を用いてラミネートすべき表面にある酸化物と硬化層を取り除き、アセトンとアルコールを用いてラミネートすべき表面の油汚れを綺麗に拭ってから、ドライヤーを用いて乾燥して待機に備える。
【0019】
ステップS3では、表面を酸化処理するステップであって、ステップS2によって得られた洗浄された鋼板におけるラミネートすべき界面を酸化処理するステップである。ステップS3では、前記鋼板を酸化処理することに、鋼を空気に加熱し、又は、直接に濃酸化性溶液に浸す方法が採用されており、酸化処理された鋼板における結合すべき面に酸化膜が形成され、酸化の過程に酸素の拡散深さが4μm~15μmに制御される。ステップS3では、前記圧延すべき鋼板を酸化処理した後に室温まで冷却することが必要である。
【0020】
ステップS4は、ワークを積層して圧延するステップであって、ステップS3によって酸化処理された鋼板と洗浄されたアルミニウム板を貼り合わせて積層し、積層されたワークを冷間圧延し、鋼とアルミニウムとの両金属板の圧延とラミネートを実現し、初期ラミネート板を取得する。
【0021】
ステップS4では、前記積層されたワークを圧延することに、圧延機を用いて冷間圧延することが採用され、圧延速度が0.1 ~ 5m/sであり、プロセス毎に累計した圧下率が55%以上であることから、鋼とアルミニウムとの両金属によるラミネート板を初期ラミネートすることを実現する。
【0022】
ステップS5は、熱処理というステップであって、ステップS4に得られた初期ラミネート板を熱処理して、350℃~600℃温度範囲で1~2時間だけアニーリングするステップである。
【0023】
ステップS5では、ラミネート板を1~2だけアニーリングしてから炉と共に冷却を行い、鋼とアルミニウムとの両金属ラミネート板を取得する。ただし、ラミネート板のせん断強度が70MPa以上である。
【0024】
第一実施例
図2に示すように、第一実施例は、圧延すべき鋼板2(第二鋼板Q235)と圧延すべきアルミニウム板1(第一アルミニウム板6061)をラミネートして圧延する実施例である。
【0025】
ステップS1では、内嵌合の蟻形溝を加工するステップであって、幅が30mmである第二鋼板Q235を、フライス盤によって、蟻形角が45°となり、蟻形深さが2mmとなる蟻形溝に形成し、鋼板2の厚さが5mmであり、第一アルミニウム板6061の厚さが4mmであり、幅が15mmであり、鋼板2とアルミニウム板1は、それらの長さが共に100mmである。
【0026】
ステップS2は、表面を洗浄処理するステップであって、ワイヤーブラシを用いてステップS1によって得られた第一アルミニウム板6061と第二鋼板Q235による鋼とアルミニウムとの両金属板におけるラミネートすべき表面の酸化物と硬化層を取り除き、アセトンとアルコールを用いてラミネートすべき表面の油汚れを綺麗に拭ってから、ドライヤーを用いて乾燥して待機に備えるステップである。
【0027】
ステップS3では、表面を酸化処理しており、空気に加熱を行う方法が採用され、洗浄された第二鋼板Q235を乾燥のプラットホームに置いて、鋼板側に酸化処理が済むまで、トーチランプを用いて100sだけ焼き、そして、それを室温まで冷却し、サンプリングする。酸素は、拡散深さが10μmであると検測された。
【0028】
ステップS4は、ワークを積層して圧延するステップであって、積層されたワークを第一プロセスにおいて50%の圧下率で圧延して、第二鋼板Q235と第一アルミニウム板6061を内嵌合して初期に互いに機械ロックを実現し、次に、第二プロセスにおいて40%の圧下率で累計の圧下率が70%になるようにして、鋼とアルミニウムによるラミネート板を初期ラミネートする。
【0029】
ステップS5は、熱処理を行うステップであって、ステップS4によって得られた初期ラミネート板を400℃で1時間だけアニーリングし、炉と共に冷却して、鋼とアルミニウムによるラミネート金属板を実現するステップである。
【0030】
第一実施例は、厚中板を圧延してラミネートするものである。圧延機は、単一のプロセスにおいて70%の圧下率に対応する圧延力を提供し難い。そこで、蟻形溝を有する圧延とラミネートの方法によって、複数のプロセスにおいて小さい圧下率で、累計の圧下率が70%になるようにする。せん断用のサンプルを製作した、二つのプロセスにおいて、総圧下率が70%であるという条件に従って、引張試験機によってラミネート板のせん断強度が77MPa(
図4参照)であると測定した。同じプロセスを用いるが界面に酸化処理をしない条件で圧延するほうに比べると、ラミネートの強度が10MPa向上した。EDS分析(
図5A~
図5H参照)により、酸化処理された鋼板側におけるせん断の断面に数多くのえくぼが分布していることから、鋼とアルミニウム基体が結合し、アルミニウム基体に塑性断裂が生じ、えくぼの内部に数多くの酸化物による突き通し粒子が含有され、アルミニウム側にあるせん断断面におけるえくぼにも、一部の酸化物による突き通し粒子が付着されていることが分かり、ひいては、圧延された鋼板における結合すべき界面の酸化物が破壊することにより、アルミニウム側にある酸化膜や基体を突き通して、機械噛み合いを効果的に形成すると共に突き通しの過程に、アルミニウム側にある酸化膜を急速で破壊させ、アルミニウム基体に、より多い新たな金属を露出させることに役立ち、鋼とアルミニウムのラミネート強度を効果的に高め、酸化物の存在によって鋼とアルミニウムによる脆性化合物が生成することに効果的な抑制役割を図るということが証明される。
【0031】
第二実施例
図3に示すように、第二実施例は、圧延すべき鋼板4(第四鋼板Q235)と圧延すべきアルミニウム板3(第三アルミニウム板6061)をラミネートして圧延する実施例である。
【0032】
ステップS1は、幅が30mmであり、厚さが2mmである第四鋼板Q235、及び、幅が30mmであり、厚さが2mmである第三アルミニウム板6061を用意し、鋼板4とアルミニウム板3とは、それらの長さが100mmである。
【0033】
ステップS2は、表面を洗浄処理するステップであって、サンドベルトを用いてステップS1によって得られた第三アルミニウム板6061と第四鋼板Q235による鋼とアルミニウムとの両金属板におけるラミネートすべき表面の酸化物と硬化層を取り除き、アセトンとアルコールを用いてラミネートすべき表面の油汚れを綺麗に拭ってから、ドライヤーを用いて乾燥して待機に備えるステップである。
【0034】
ステップS3は、表面を酸化処理するステップであって、空気に加熱を行う方法が採用され、洗浄された第四鋼板Q235を乾燥のプラットホームに置いて、鋼板側に酸化処理が済むまで、トーチランプを用いて100sだけ焼き、それを室温まで冷却し、サンプリングする。酸素は、拡散深さが13μmであると検測された。
【0035】
ステップS4は、ワークを積層して圧延するステップであって、積層されたワークを単一のプロセスにおいて60%の圧下率で圧延し、第四鋼板Q235と第三アルミニウム板6061との圧延とラミネートを実現して、鋼とアルミニウムによるラミネート金属板を取得する。
【0036】
第二実施例2は、薄板を圧延してラミネートするものである。圧延機は、単一のプロセスにおいて60%の圧下率に対応する圧延力を提供することが可能である。せん断用のサンプルを製作したと、単一のプロセスにおいて圧下率60%であるが、熱処理をしない条件で、引張試験機によってラミネート板のせん断強度が108MPa(
図6参照)であると測定した。EDS分析(
図7A~
図7H参照)により、酸化処理された鋼板側におけるせん断の断面に、数多くのえくぼと裂け目が分布していることから、鋼とアルミニウム基体が結合し、アルミニウム基体に塑性断裂が生じ、鋼板側において、圧延された酸化膜の破壊による裂け目の内部に、数多くのアルミニウム基体が含有され、アルミニウム側にあるせん断断面におけるえくぼにも、一部の酸化物による突き通し粒子が付着されていることが分かり、ひいては、圧延された鋼板における結合すべき界面の酸化物が破壊することによりアルミニウム側にある酸化膜や基体を突き通し、アルミニウム側における新たな金属が鋼板側にある裂け目にも押し入り、機械噛み合いを効果的に形成すると共に、突き通しの過程に、アルミニウム側にある酸化膜を急速で破壊させ、アルミニウム基体に、より多い新たな金属を露出させることに役立ち、鋼とアルミニウムのラミネート強度を効果的に高めることができる。この強度は、酸化処理されてラミネートされた鋼とアルミニウムによる従来のラミネート板が同じ圧下率である場合に得られないものであることから、冷間圧延前に、酸化処理によって同じ圧下率である場合におけるラミネート界面の界面強度を大幅に高め、予想せぬ技術効果を図ることができる。
【0037】
以上に説明した実施例は、本発明における好ましい実施形態を説明するためのものに過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者にとって、本発明に係る技術的手段について、様々な変形や改良も可能であり、それらのいずれもが本発明特許請求の範囲による保護範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0038】
1 アルミニウム板 ( 第一アルミニウム板6061)
2 鋼板 ( 第二鋼板Q235)
3 アルミニウム板 ( 第三アルミニウム板6061)
4 鋼板 ( 第四鋼板Q235)