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特開2022-119734変性ポリビニルアルコール系ポリマーとその用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022119734
(43)【公開日】2022-08-17
(54)【発明の名称】変性ポリビニルアルコール系ポリマーとその用途
(51)【国際特許分類】
   C08F 299/00 20060101AFI20220809BHJP
   C08F 8/30 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
C08F299/00
C08F8/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022010049
(22)【出願日】2022-01-26
(31)【優先権主張番号】63/145,486
(32)【優先日】2021-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】591057290
【氏名又は名称】長春石油化學股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】孫 君茹
(72)【発明者】
【氏名】張 鴻銘
(72)【発明者】
【氏名】王 晨帆
(72)【発明者】
【氏名】許 嘉豪
【テーマコード(参考)】
4J100
4J127
【Fターム(参考)】
4J100AD02P
4J100BA38H
4J100CA31
4J100DA01
4J100DA09
4J100DA32
4J100DA62
4J100HA09
4J100HA62
4J100HC01
4J100HC05
4J100HC25
4J100HC51
4J100HC69
4J100HC75
4J100HE05
4J100HE14
4J100JA01
4J100JA03
4J100JA11
4J127AA01
4J127BB041
4J127BB081
4J127BB211
4J127BC031
4J127BE221
4J127BE22X
4J127BF591
4J127BF59X
4J127BF661
4J127BF66X
4J127BF691
4J127BF69X
4J127BG061
4J127BG06X
4J127BG06Z
4J127BG271
4J127BG27Z
4J127BG331
4J127BG33Y
4J127BG33Z
4J127BG351
4J127BG35Y
4J127BG35Z
4J127CA01
4J127FA51
(57)【要約】      (修正有)
【課題】懸濁重合の分散剤として用いるのに適したポリビニルアルコール系ポリマーであり、粒子径が小さく、粗大粒子の少ないポリ塩化ビニル系樹脂の製造に有利なポリビニルアルコール系ポリマーを提供する。
【解決手段】式(I):

(ここで、Xはアルケニル基を含む部位である)で表される変性モノマー単位を含む変性ポリビニルアルコール系ポリマーであって、変性ポリビニルアルコール系ポリマーは、ケン化度が67モル%~78モル%であり、変性率が0.02モル%~1.5モル%であることを特徴とする、変性ポリビニルアルコール系ポリマーを提供する。変性ポリビニルアルコール系ポリマーは、得られるポリ塩化ビニル系樹脂の粒子径を小さくし、粗大粒子を少なくするために、懸濁重合の分散剤として用いることが好適である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
(式(I)中、Xは、アルケニル基を含む部分である)
で表される変性モノマー単位を含む、変性ポリビニルアルコール系ポリマーであって、
変性ポリビニルアルコール系ポリマーは、ケン化度が67モル%~78モル%であり、変性率が0.02モル%~1.5モル%であることを特徴とする、変性ポリビニルアルコール系ポリマー。
【請求項2】
前記変性モノマー単位が、式(I-I):
【化2】
(式(I-I)中、Yは、-C(=O)-、-P(=O)(R41)-、-P(=S)(R42)-、-O-、-S-、又はフェニレン基であり;
式(I-I)中、Rは、C1~C10アルキレン基であり;R21及びR22はそれぞれ独立してC1~C10アルキレン基であり;R31、R32、及びR33はそれぞれ独立して、ハロ基及びアルデヒド基で置換されていないC2~C6アルケニル基、ハロ基で置換されたC2~C6アルケニル基、又はアルデヒド基で置換されたC2~C6アルケニル基であり;R41及びR42はそれぞれ独立してC1~C6のアルキル基であり;
式(I-I)中、o、p、n1、n2、m1、m2及びm3はそれぞれ独立して、0又は1であり;m1、m2及びm3の合計は1~3であり;n1はm1以下であり;n2はm2以下であり;pはm3以下である)
で表される構成を有することを特徴とする、請求項1に記載の変性ポリビニルアルコール系ポリマー。
【請求項3】
前記変性モノマー単位が、式(I-II):
【化3】
(式(I-II)中、RはC1~C6アルキレン基であり;R21及びR22はそれぞれ独立してC1~C6アルキレン基であり;R31及びR32はそれぞれ独立して、ハロ基及びアルデヒド基で置換されていないC2~C6のモノオレフィン基であり;
式(I-II)中、o及びm1は1であり;n1、n2及びm2はそれぞれ独立して、0又は1であり;n2はm2以下である)
で表される構成を有することを特徴とする、請求項1に記載の変性ポリビニルアルコール系ポリマー。
【請求項4】
前記変性モノマー単位が、式(I-III):
【化4】
(式(I-III)中、Rは、C1~C6アルキレン基であり;Yは-C(=O)-、-P(=O)(R41)-、-P(=S)(R42)-、-O-、-S-又はフェニレン基であり;R33は、ハロ基及びアルデヒド基で置換されていないC2~C6モノオレフィン基、ハロ基で置換されたC2~C6モノオレフィン基、アルデヒド基で置換されたC2~C6モノオレフィン基、ハロ基及びアルデヒド基で置換されていないC3~C6ジエニル基、ハロ基で置換されたC3~C6ジエニル基、アルデヒド基で置換されたC3~C6ジエニル基、ハロ基及びアルデヒド基で置換されていないC4~C6トリエニル基、ハロ基で換されているC4~C6トリエニル基、又はアルデヒド基で置換されたC4~C6トリエニル基であり;
式(I-III)中、o及びpはそれぞれ独立して、0又は1であり;m3は1である)
で表される構成を有することを特徴とする、請求項1に記載の変性ポリビニルアルコール系ポリマー。
【請求項5】
前記変性ポリビニルアルコール系ポリマーが、0.02モル%~1.26モル%の変性率を有することを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の変性ポリビニルアルコール系ポリマー。
【請求項6】
前記変性ポリビニルアルコール系ポリマーが、式(II)で表される第1モノマー単位、式(III)で表される第2モノマー単位、及び式(IV)で表される第3モノマー単位を含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載の変性ポリビニルアルコール系ポリマー。
【化5】
【請求項7】
前記変性ポリビニルアルコール系ポリマーの0.1重量%水溶液が、UV吸収分光法において、波長215nmで0.34~0.8の吸光度を有することを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載の変性ポリビニルアルコール系ポリマー。
【請求項8】
前記変性ポリビニルアルコール系ポリマーの0.1重量%水溶液が、UV吸収分光法において、波長280nmで0.3~0.4の吸光度を有することを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載の変性ポリビニルアルコール系ポリマー。
【請求項9】
前記変性ポリビニルアルコール系ポリマーの0.1重量%水溶液が、UV吸収分光法において、波長320nmで0.06~0.09の吸光度を有することを特徴とする、請求項1~8のいずれかに記載の変性ポリビニルアルコール系ポリマー。
【請求項10】
前記変性ポリビニルアルコール系ポリマーは、イエローインデックスが10~35であることを特徴とする、請求項1~9のいずれかに記載の変性ポリビニルアルコール系ポリマー。
【請求項11】
前記変性ポリビニルアルコール系ポリマーが、5.0cps~6.55cpsの粘度を有することを特徴とする、請求項1~10のいずれかに記載の変性ポリビニルアルコール系ポリマー。
【請求項12】
懸濁重合において、塩化ビニルモノマーと、請求項1~11のいずれかに記載の変性ポリビニルアルコール系ポリマーとを混合することを含むことを特徴とする、変性ポリビニルアルコール系ポリマーの用途。
【請求項13】
前記変性ポリビニルアルコール系ポリマーが、前記塩化ビニルモノマーの量に対して500ppm~1200ppmであることを特徴とする、請求項12に記載の用途。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、変性ポリビニルアルコール系ポリマー(変性PVA系ポリマー)に関する。さらに、本開示は、変性ポリビニルアルコール系ポリマーの懸濁重合反応への用途にも関する。
【背景技術】
【0002】
ポリ塩化ビニル系樹脂(PVC系樹脂)は、現在広く使用されている樹脂材料であり、懸濁重合、乳化重合、バルク重合又は溶液重合等で製造することができる。
【0003】
乳化重合では、熱安定性や電気絶縁性に劣るPVC系樹脂が形成され、産業界ではほとんど採用されていない。バルク重合は、重合時の攪拌や熱伝導が難しく、製造コストが高くなる。また、溶液重合は重合度の低いPVC系樹脂が形成され、製造工程で有害な溶剤を使用しているため環境汚染を引き起こすため、この方法も広く産業界で採用されていない。現在、PVAC樹脂の生産は、ほとんどが懸濁重合で行われている。この方法は、開始剤を溶解した水溶液に懸濁させた液滴中において、塩化ビニルモノマー(VCM)のフリーラジカル重合を行い、PVC系樹脂を製造するものである。
【0004】
しかしながら、懸濁重合を安定的に行うためには、攪拌と分散剤が必要である。このように、PVC系樹脂の製造における懸濁重合には、分散剤が必要である。分散剤は、懸濁重合の不安定性を低減できると期待される。
【0005】
従来、ポリビニルアルコール系ポリマーが懸濁重合の分散剤として使用できることが知られていた。しかしながら、従来のポリビニルアルコール系ポリマーが懸濁重合反応にもたらす安定化効果は限定的であり、得られるPVC系樹脂は粒子径が大きく、粗大粒子も多いため、依然として改善が必要であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の一つの目的は、従来のポリビニルアルコール系ポリマーを改良し、懸濁重合の分散剤として用いるのに適したポリビニルアルコール系ポリマーとし、粒子径が小さく、粗大粒子の少ないポリ塩化ビニル系樹脂の製造に有利なポリビニルアルコール系ポリマーとすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示は、変性ポリビニルアルコール系ポリマーを提供し、変性ポリビニルアルコール系ポリマーは、式(I):
【化1】
(式(I)中、Xは、アルケニル基を含む部位である)
で表される変性モノマー単位を含有し、
前記変性ポリビニルアルコール系ポリマーは、ケン化度が67モル%(mol%)~78モル%であり、変性ポリビニルアルコール系ポリマーは、変性率が0.02モル%~1.5モル%であることを特徴とする。
【0008】
変性ポリビニルアルコール系ポリマーは、イソシアネート変性ポリビニルアルコール系ポリマー(イソシアネート変性PVA系ポリマー)である。上記式(I)に示すように、変性ポリビニルアルコール系ポリマーの変性モノマー単位は、ウレタン基を介してPVAにアルケニル基(X)を含む部位をグラフト可能な側鎖構造を有する。本開示において、側鎖構造の導入は、変性ポリビニルアルコール系ポリマーの塩化ビニルモノマーへのグラフト化を促進し、コロイドの保護性を高め、懸濁重合の分散安定性を向上させ、これらはポリ塩化ビニル系樹脂の粒子径や粒子分布を制御するために有利である。
【0009】
変性ポリビニルアルコール系ポリマーは、式(I)で表される変性モノマー単位、ケン化度67モル%~78モル%、変性率0.02モル%~1.5モル%を有するため、本開示の変性ポリビニルアルコール系ポリマーは、懸濁重合用の分散剤として使用でき、懸濁重合反応において大きな分散安定性を与え、得られるポリ塩化ビニル系樹脂の粒子径が小さく、粗粒子が少ない利点を付与することができる。
【0010】
変性ポリビニルアルコール系ポリマーの水酸基の数は、変性ポリビニルアルコール系ポリマーの親水性に影響を与え、それによってポリ塩化ビニル系樹脂の物性に影響を与える。一実施形態において、変性ポリビニルアルコール系ポリマーは、ケン化度が68モル%~76モル%であってよい。別の実施形態では、変性ポリビニルアルコール系ポリマーは、ケン化度が68モル%~74モル%であってもよい。さらに別の実施形態では、変性ポリビニルアルコール系ポリマーは、ケン化度が70モル%~73モル%であってもよい。
【0011】
一実施形態において、変性ポリビニルアルコール系ポリマーは、変性率が0.03モル%~1.4モル%であってもよい。別の実施形態では、変性ポリビニルアルコール系ポリマーは、変性率が0.04モル%~1.3モル%であってもよい。さらに別の実施形態では、変性ポリビニルアルコール系ポリマーは、変性率が0.04モル%~1.28モル%であってもよい。いくつかの実施形態では、変性ポリビニルアルコール系ポリマーは、変性率が0.04モル%~1.00モル%、又は0.04モル%~0.50モル%であってもよい。変性率は、水素-1核磁気共鳴(NMR)分光法又は炭素-13NMR分光法の定量分析によって決定することができる。炭素-13NMR分光法の場合、逆ゲートデカップリングパルスシーケンスを用いることにより定量分析を行うことができる。D.A.L.Otte,D.E.Borchmann,C.Lin,M.Weck,K.A.Woerpel,Organic Letters 2014 16(6),1566-1569を参照。
【0012】
式(I)において、Xは、炭素数2~59であり、少なくとも1つのアルケニル基を含む部位であってもよい。他の実施形態では、Xは、炭素数2~44であり、少なくとも1つのアルケニル基を含む部位、炭素数2~22であり、少なくとも1つのアルケニル基を含む部位、炭素数2~18であり、少なくとも1つのアルケニル基を含む部位、又は炭素数2~12であり、少なくとも1つのアルケニル基を含む部位であってもよい。
【0013】
本開示によれば、Xに含まれるアルケニル基は、モノオレフィン基、又はポリエニル(polyenyl)基であってもよく、ポリエニル基は、例えば、ジエニル基又はトリエニル基であってもよいが、これらに限定されない。Xに含まれるアルケニル基は、炭素-炭素二重結合の位置に基づいて、末端アルケニル基又は内部アルケニル基(非末端アルケニル基ともいう)に分類することができる。当業者は、用語「末端アルケニル基」は、炭素-炭素二重結合がXの炭素鎖の末端位置にあるアルケニル基を指し、用語「内部アルケニル基」は、炭素-炭素二重結合がXの炭素鎖の末端位置にないアルケニル基を指すと理解することができる。さらに、複数の炭素-炭素二重結合の相対位置に基づいて、Xに含まれるアルケニル基も、共役ポリエニル基、孤立(isolated)ポリエニル基又はクムレニル基(cumulenyl group)に分類され得る。当業者は、用語「共役ポリエニル基」は、2つの炭素-炭素二重結合が1つの炭素-炭素単結合によって分離されているアルケニル基を指し、用語「孤立ポリエニル基」は、2つの炭素-炭素二重結合が2以上の炭素-炭素単結合によって分離されているアルケニル基を指し、用語「クムレニル基」は、2以上の隣接炭素-炭素二重結合を有するアルケニル基を指すことを理解し得る。
【0014】
一実施形態では、変性モノマー単位は、式(I-I):
【化2】
(式(I-I)中、Yは、-C(=O)-、-P(=O)(R41)-、-P(=S)(R42)-、-O-、-S-、又はフェニレン基であり;
式(I-I)中、RはC1~C10アルキレン基;R21及びR22はそれぞれ独立してC1~C10アルキレン基、R31、R32及びR33はそれぞれ独立してハロ基及びアルデヒド基で置換されていないC2~C6アルケニル基、ハロ基で置換されたC2~C6アルケニル基、又はアルデヒド基で置換されたC2~C6アルケニル基;R41及びR42はそれぞれ独立してC1~C6アルキル基であり;
式(I-I)中、o、p、n1、n2、m1、m2及びm3は、それぞれ独立して、0又は1であり;m1、m2及びm3の合計は1~3であり;n1はm1以下であり;n2はm2以下であり;pはm3以下である)
で表される構造を有する。
【0015】
式(I-I)において、m1、m2及びm3の少なくとも1つは、1である。一実施形態において、m1が1のとき、n1は0又は1である。別の実施形態において、m2が1であるとき、n2は0又は1である。さらに別の実施形態では、m3が1のとき、pは0又は1である。式(I-I)において、m1が0のとき、n1は0であり;m2が0のとき、n2は0であり;m3が0のとき、pは0であり;但し、m1、m2及びm3が同時に0でないことを条件とする。
【0016】
式(I-I)において、m1、m2及びm3のいずれかが1であり、他の2つが0のとき、oは0又は1であり、Rが表されるC1~C10アルキレン基は、2価の直鎖C1~C10アルキレン基又は2価の分枝状C2~C10アルキレン基であってもよい。式(I-I)において、m1、m2及びm3のうち2つが1であり、他の1つが0であるとき、oは1であり、Rで表されるC1~C10アルキレン基は、3価のC1~C10アルキレン基であってもよい。式(I-I)において、m1、m2及びm3の全てが1のとき、oは1であり、Rで表されるC1~C10アルキレン基は、4価のC1~C10アルキレン基であってもよい。
【0017】
式(I-I)において、R21、R22で表されるC1~C10アルキレン基は、2価の直鎖C1~C10アルキレン基、又は2価の分枝状C2~C10アルキレン基であってもよい。好ましくは、R21、R22で表されるC1~C10アルキレン基は、2価の直鎖C1~C10アルキレン基であってもよい。
【0018】
式(I-I)において、R31、R32、R33で表されるハロ基及びアルデヒド基で置換されていないC2~C6アルケニル基は、ハロ基及びアルデヒド基で置換されていないC2~C6モノオレフィン基、ハロ基及びアルデヒド基で置換されていないC3~C6ジエニル基、ハロ基及びアルデヒド基で置換されていないC4~C6トリエニル基であってもよいが、これらに限定されない。式(I-I)において、R31、R32、R33で表されるハロ基で置換されたC2~C6アルケニル基は、ハロ基で置換されたC2~C6モノオレフィン基、ハロ基で置換されたC3~C6ジエニル基、又はハロ基で置換されたC4~C6トリエニル基であってもよいが、これらに限定されるものではない。式(I-I)において、R31、R32、R33で表されるアルデヒド基で置換されたC2~C6アルケニル基は、アルデヒド基で置換されたC2~C6モノオレフィン基、アルデヒド基で置換されたC3~C6ジエニル基、又はアルデヒド基で置換されたC4~C6トリエニル基であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0019】
式(I-I)において、R41、R42で独立して表されるC1~C6アルキル基は、非置換の直鎖C1~C6アルキル基、又は、非置換の分枝状C3~C6アルキル基であってもよい。
【0020】
別の実施形態では、変性モノマー単位は、式(I-II):
【化3】
(式(I-II)中、RはC1~C6アルキレン基であり、R21及びR22はそれぞれ独立してC1~C6アルキレン基であり、R31及びR32はそれぞれ独立してハロ基及びアルデヒド基で置換されていないC2~C6モノオレフィン基であり、
式(I-II)中、o及びm1は1であり;n1、n2及びm2はそれぞれ独立して0又は1であり;n2はm2以下である)
で表される構造を有する。
【0021】
式(I-II)において、m1及びm2の少なくとも一方は1である。一実施形態において、m1が1のとき、n1は0又は1である。別の実施形態では、m2が1のとき、n2は0又は1である。式(I-II)において、m1が0のとき、n1は0であり;m2が0のとき、n2は0であり、但し、m1とm2が同時に0でないことを条件とする。
【0022】
式(I-II)において、o及びm1が1、m2及びn2が0のとき、Rで表されるC1~C10アルキレン基は、2価のC1~C10直鎖アルキレン基又は2価の分岐状C2~C10アルキレン基であってもよく;o、m1及びm2が全て1のとき、n1及びn2はそれぞれ独立して0又は1を表してよく、Rで表されるC1~C10アルキレン基は、3価のC1~C10アルキレン基であってもよい。
【0023】
式(I-II)において、R21、R22で表されるC1~C10アルキレン基は、2価の直鎖C1~C10アルキレン基、又は2価の分枝状C2~C10アルキレン基であってもよい。好ましくは、R21、R22で表されるC1~C10アルキレン基は、2価の直鎖C1~C10アルキレン基であってよい。
【0024】
式(I-II)において、R31、R32で表されるハロ基及びアルデヒド基で置換されていないC2~C6アルケニル基は、ハロ基及びアルデヒド基で置換されていないC2~C6モノオレフィン基、ハロ基及びアルデヒド基で置換されていないC3~C6ジエニル基、又はハロ基及びアルデヒド基で置換されていないC4~C6トリエニル基であってもよいが、これらに限定はされない。R31、R32で表されるハロ基で置換されたC2~C6アルケニル基は、ハロ基で置換されたC2~C6モノオレフィン基、ハロ基で置換されたC3~C6ジエニル基、又はハロ基で置換されたC4~C6トリエニル基であってもよいが、これらに限定されるものではない。R31、R32で表されるアルデヒド基で置換されたC2~C6アルケニル基は、アルデヒド基で置換されたC2~C6モノオレフィン基、アルデヒド基で置換されたC3~C6ジエニル基、又はアルデヒド基で置換されたC4~C6トリエニル基であってもよいが、これらに限定されない。好ましくは、R31及びR32は、それぞれ独立して、ハロ基及びアルデヒド基で置換されていないC2~C6モノオレフィン基を表す。
【0025】
さらに別の実施形態では、変性モノマー単位は、式(I-III):
【化4】
(式(I-III)中、Rは、C1~C6アルキレン基であり、Yは、-C(=O)-、-P(=O)(R41)-、-P(=S)(R42)-、-O-、-S-、又はフェニレン基であり;R33は、ハロ基及びアルデヒド基で置換されていないC2~C6モノオレフィン基、ハロ基で置換されたC2~C6モノオレフィン基、アルデヒド基で置換されたC2~C6モノオレフィン基、ハロ基及びアルデヒド基で置換されていないC3~C6ジエニル基、ハロ基で置換されたC3~C6ジエニル基、アルデヒド基で置換されたC3~C6ジエニル基、ハロ基及びアルデヒド基で置換されていないC4~C6トリエニル基、ハロ基で置換されたC4~C6トリエニル基、又はアルデヒド基で置換されたC4~C6トリエニル基であり;
式(I-III)中、o及びpはそれぞれ独立して0又は1であり、m3は1である)
で表される構造を有する。
【0026】
式(I-III)において、oが1のとき、Rで表されるC1~C10アルキレン基は、2価のC1~C10の直鎖アルキレン基、又は2価のC2~C10の分枝状アルキレン基であってもよい。
【0027】
アルケニル基、ハロ基及びアルデヒド基で置換されていないC2~C6アルケニル基、モノオレフィン基、又はハロ基及びアルデヒド基で置換されていないC2~C6モノオレフィン基は、例えば、-CH=CH、-CHCH=CH、-C(CH)=CH、-CHCHCH=CH、-CH(CH)CH=CH、-CHC(CH)=CH、-C(CHCH)=CH、-CHCHCHCH=CH、-CH(CH)CHCH=CH、-CHCH(CH)CH=CH、-CHCHC(CH)=CH、-CHCHCHCHCH=CH、-CH(CH)CHCHCH=CH、-C(CHCHCH=CH、-CHC(CHCH=CH、-CHCH(CH)C(CH)=CH等の末端アルケニル基であってもよいが、これらに限定されるものではない。さらに、アルケニル基、ハロ基及びアルデヒド基で置換されていないC2~C6アルケニル基、モノオレフィン基、又はハロ基及びアルデヒド基で置換されていないC2~C6モノオレフィン基は、例えば、-CH=CH(CH)、-CH=CHCHCH、-CHCH=CHCH、-C(CH)=CHCH、-CH=C(CH、-CH=CHCHCHCH、-CHCH=CHCHCH、-CHCHCH=CHCH、-C(CH)=CHCHCH、-CH=C(CH)CHCH、-CH=CHCH(CH、-CH(CH)CH=CHCH、-CHC(CH)=CHCH、-CHCH=C(CH、-CH=CHCHCHCHCH、-CHCH=CHCHCHCH、-CHCHCH=CHCHCH、-CHCHCHCH=CHCH、-C(CH)=CHCHCHCH、-CH=C(CH)CHCHCH、-C(CH)=C(CH)CHCH、-CH=CHC(CH、-CH(CH)CH=CHCHCH、-CHC(CH)=CHCHCH、-CHCH=C(CH)CHCH、-CHCH=CHCH(CH、-C(CHCH=CHCH等の内部アルケニル基であってよいが、これらに限定されるものではない。好ましくは、アルケニル基、ハロ基及びアルデヒド基で置換されていないC2~C6アルケニル基、モノオレフィン基、又はハロ基及びアルデヒド基で置換されていないC2~C6モノオレフィン基は、-CH=CH、-CHCH=CH、-C(CH)=CH、-CHCHCH=CH、-CH(CH)CH=CH、-CHC(CH)=CH、-C(CHCH)=CH、-CHCHCHCH=CH、-CHCHC(CH)=CH、-CH=CH(CH)、-CH=CHCHCH、-CHCH=CHCH、-CH=C(CH、-CH=CHCH(CH、-CHCH=C(CH、-CH=CHCHCHCHである。
【0028】
ハロ基で置換された、アルケニル基、モノオレフィン基、又はC2~C6モノオレフィン基は、例えば、-C(X)=CH、-CH=CH(X)、-CH=C(X)(CH)、-CHCH=CH(X)、-C(CH)=CH(X)、-C(X)=CHCHCH、-CHC(X)=CHCH、-CHCH=C(X)CH、-CHCHCH=CH(X)、-C(CH)=C(X)CH、-C(X)=C(CH、-C(X)=C(CH、-CH(CH)C(X)=CH、-CH(CH)CH=CH(X)、-CHC(CH)=CH(X)、-C(X)=CHCHCHCH、-CH=C(X)CHCHCH、-CHC(X)=CHCHCH、-CHCH=C(X)CHCH、-CHCHC(X)=CHCH、-CHCHCH=C(X)CH、-CHCHCHCH=CH(X)、-CHCHCHC(X)=CH、-C(CH)=C(X)CHCH、-C(X)=C(CH)CHCH、-CH=C(X)CH(CH)CH、-CH(CH)CHC(X)=CH、-CH(CH)CHCH=CH(X)、-C(CHC(X)=CH、-C(CHCH=CH(X)、-C(X)=CHCHCHCHCH、-CH=C(X)CHCHCHCH、-CHCHCHCHC(X)=CH、-CHCHCHCHCH=CH(X)、-C(CH)=C(X)CHCHCH、-C(X)=C(CH)CHCHCH、-C(X)=CHC(CH、-CH=C(X)C(CH、-C(CHCHC(X)=CH、-C(CHCHCH=CH(X)、-CHC(CHC(X)=CH、-CHC(CHCH=CH(X)、-CHCH(CH)C(CH)=CH(X)であってもよいが、これらに限定されるものではない。ここで、Xは、クロロ、ブロモ、又はヨードであってもよい。好ましくは、ハロ基で置換された、アルケニル基、モノオレフィン基、又はC2~C6モノオレフィン基は、-C(Cl)=CH、-CH=CH(Cl)、又は-CHCH=CH(Cl)である。
【0029】
アルデヒド基で置換された、アルケニル基、モノオレフィン基、又はC2~C6モノオレフィン基としては、例えば、-CH=CHCHO、-CHCH=CHCHO、-CHCHCH=CHCHO、-CH(CH)CH=CHCHO、-CHC(CH)=CHCHO、-CHCHCHCH=CHCHO等であってもよいが、これらに限定されるものではない。好ましくは、アルデヒド基で置換された、アルケニル基、モノオレフィン基、又はC2~C6モノオレフィン基は、-CH=CHCHOである。
【0030】
ハロ基及びアルデヒド基で置換されていない、アルケニル基、ポリエニル基、ジエニル基、又はC3~C6ジエニル基は、例えば、-CH=CH-CH=CH、-CH-CH=CH-CH=CH、-CH=CH-CH=CH-CH、-CH-CH-CH=CH-CH=CH、-CH=CH-CH=CH-CHCH、-CH-CH=CH-CH=CH-CH等の共役ジエニル基であってもよいが、これらに限定されるものではない。さらに、ハロ基及びアルデヒド基で置換されていない、アルケニル基、ポリエニル基、ジエニル基、又はC3~C6ジエニル基は、例えば、-CH=CH-CH-CH=CH、-CH=CH-CH(CH)-CH=CH、-CH=CH-CH-CH-CH=CH等の孤立ジエニル基であってもよいが、これらに限定されるものではない。さらに、ハロ基及びアルデヒド基で置換されていない、アルケニル基、ポリエニル基、ジエニル基、C3~C6ジエニル基は、例えば、-CH=C=CH、-C(CH)=C=CH、-CHCH=C=CH、-CHCHCH=C=CH等のアレニル基であってもよいが、これらに限定されるものではない。好ましくは、ハロ基及びアルデヒド基で置換されていない、アルケニル基、ポリエニル基、ジエニル基、及びC3~C6ジエニル基は、-CH=CH-CH=CH、-C(CH)=C=CHである。
【0031】
ハロ基で置換された、アルケニル基、ポリエニル基、ジエニル基、又はC3~C6ジエニル基は、例えば、-C(X)=CH-CH=CH、-CHC(X)=CH-CH=CH、-C(X)=CH-CH=CH-CH、-CHCH=CH-CH=CH(X)、-CH=CH-CH=C(X)-CH、-CHCHCH=CH-CH=CH(X)、-CH=CH-CH=CH(X)、-C(X)=CH-CH=CHCHCH、-CHCH=CH-CH=CHCH、-C(X)=CHCHCH=CH、-CH=CHCHCH=CH(X)、-C(X)=CHCHCH=CH(X)、-C(X)=CHCH(CH)CH=CH、-C(X)=CHCHCHCH=CHであってもよいが、これらに限定されるものではない。ここで、Xは、クロロ、ブロモ、又はヨードであってもよい。
【0032】
アルデヒド基で置換された、アルケニル基、ポリエニル基、ジエニル基、又はC3~C6ジエニル基は、例えば、-CH=CH-CH=CHCHO、-CHCH=CH-CH=CHCHO、-CHCHCH=CH-CH=CHCHO、-CH=CHCHCH=CHCHO、-CH=CHCHCHCH=CHCHOであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0033】
ハロ基及びアルデヒド基で置換されていない、アルケニル基、ポリエニル基、トリエニル基、又はC4~C6トリエニル基は、例えば、-CH=CH-CH=CH-CH=CH等の共役トリエニル基であってもよい。ハロ基で置換された、アルケニル基、ポリエニル基、トリエニル基、又はC4~C6トリエニル基は、例えば、-C(X)=CH-CH=CH-CH=CH、-CH=C(X)-CH=CH-CH=CH、-CH=CH-C(X)=CH-CH=CH、-CH=CH-CH=CH-CH=CH(X)であってもよいが、これに限定されるものではない。ここで、Xは、クロロ、ブロモ、又はヨードであってもよい。アルデヒド基で置換されたC4~C6トリエニル基は、例えば、-CH=CH-CH=CH-CH=CHCHOであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0034】
C1~C10アルキレン基は、例えば、-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-、-CHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCH-等の2価の直鎖C1~C10アルキレン基であってもよいが、これらに限定されるものではない。あるいは、C1~C10アルキレン基はまた、例えば、-CH(CH)-、-C(CH-、-CH(CH)CH-、-CHCH(CH)CH-等の2価の分岐状C2~C10アルキレン基であってもよいが、これらに限定されるものではない。さらに、C1~C10アルキレン基は、例えば、
【化5】
等の3価のC1~C10のアルキレン基であってもよいが、これらに限定されない。さらに、C1~C10アルキレン基は、例えば、
【化6】
等の4価のC1~C10アルキレン基であってもよいが、これに限定されるものではない。好ましくは、Rで表されるC1~C10のアルキレン基は、-CH-、-CHCH-、-C(CH-、
【化7】
であってもよい。
【0035】
C1~C6アルキル基又は非置換の直鎖C1~C6アルキル基としては、例えば、-CH、-CHCH、-CHCHCH、-CHCHCHCH、-CHCHCHCHCH、-CHCHCHCHCHCHであってもよいが、これに限定されるものではない。あるいは、C1~C6アルキル基又は非置換C3~C6分岐状アルキル基としては、例えば、-CH(CH、-CHCH(CH、-C(CH、-CHCHCHCH(CHであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0036】
m1が1のとき、n1は0又は1であってもよく、R31で表される、アルケニル基、ハロ基及びアルデヒド基で置換されていないC2~C6アルケニル基、モノオレフィン基、又はハロ基及びアルデヒド基で置換されていないC2~C6モノオレフィン基は、-CH=CH、-CHCH=CH、-C(CH)=CHであってもよいが、これらに限定されるものではない。m2が1のとき、n2は0又は1であってもよく、R32で表される、アルケニル基、ハロ基及びアルデヒド基で置換されていないC2~C6アルケニル基、モノオレフィン基、又はハロ基及びアルデヒド基で置換されていないC2~C6モノオレフィン基は、-CH=CH、-CHCH=CH、-C(CH)=CH又は-CH=CHCHであってよいが、これらに限定されるものではない。好ましくは、-(OR21n1-[OC(=O)R31m1又は-(OR22n2-[OC(=O)R32m2は、それぞれ独立して、
【化8】
を表す。
【0037】
Yが-C(=O)-、-P(=O)(R41)-、又は-P(=S)(R42)-であり、pが1のとき、アルケニル基、ハロ基及びアルデヒド基で置換されていないC2~C6アルケニル基、モノオレフィン基、又はハロ基及びアルデヒド基で置換されていないC2~C6モノオレフィン基は、-CH=CH、-CHCH=CH、又は-C(CH)=CHであってもよいが、これらに限定されるものではない。好ましくは、-(Y)(R33m3は、-C(=O)C(CH)=CH、-P(=O)(CH)CHCH=CH、又は-P(=S)(CH)CH=CHである。
【0038】
Yが-O-又は-S-であるとき、アルケニル基、ハロ基及びアルデヒド基で置換されていないC2~C6アルケニル基、モノオレフィン基、又はハロ基及びアルデヒド基で置換されていないC2~C6モノオレフィン基は、-CH=CH、-CHCH=CH、又は-C(CH)=CHでもあってもよいが、これに限定されるものではない。好ましくは、-(Y)(R33m3は、-OCHCH=CH又は-SCHCH=CHである。
【0039】
Yがフェニレン基であるとき、フェニレン基は、パラフェニレン基、メタフェニレン基、又はオルトフェニレン基であってもよく、アルケニル基、ハロ基及びアルデヒド基で置換されていないC2~C6アルケニル基、モノオレフィン基、又はハロ基及びアルデヒド基で置換されていないC2~C6モノオレフィン基は、-CH=CH、-CHCH=CH、又は-C(CH)=CHであってもよい。好ましくは、フェニレン基は、メタフェニレン基である。好ましくは、-(Y)(R33m3は、
【化9】
である。
【0040】
本開示において、用語「C1~C10」は、置換基が、1~10の範囲の任意の整数、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、又はその間の任意の範囲若しくは部分的な範囲の炭素数を有してよいことを意味する。同様に、用語「C2~C6」は、置換基が、3、4、5等の2~6の範囲の任意の整数、又はその間の任意の範囲若しくは部分的な範囲の炭素数を有してよいことを意味し、用語「C3~C6」は、置換基が、4、5等の3~6の範囲の任意の整数、又はその間の任意の範囲もしくは部分的な範囲の炭素数を有してよいことを意味する。
【0041】
本開示の変性ポリビニルアルコール系ポリマーにおいて、変性モノマー単位の例を以下に挙げるが、これらに限定されるものではない。
【化10】
【0042】
本開示の変性ポリビニルアルコール系ポリマーは、上記変性モノマー単位の他に、式(II)で表される第1モノマー単位、式(III)で表される第2モノマー単位、及び式(IV)で表される第3モノマー単位をさらに有する。
【化11】
【0043】
本開示によれば、変性ポリビニルアルコール系ポリマーの0.1重量%水溶液の紫外吸収分光法において、波長215ナノメートル(nm)における吸光度が、0.34~0.8の範囲である。一実施形態では、波長215nmにおける吸光度は、0.340~0.790の範囲である。
【0044】
本開示によれば、変性ポリビニルアルコール系ポリマーの0.1重量%水溶液の紫外吸収分光法において、波長280nmにおける吸光度が、0.3~0.4の範囲である。一実施形態では、波長280nmにおける吸光度は、0.310~0.398の範囲にある。
【0045】
本開示によれば、変性ポリビニルアルコール系ポリマーの0.1重量%水溶液の紫外吸収分光法において、波長320nmにおける吸光度は、0.06~0.09の範囲にある。一実施形態では、波長320nmにおける吸光度は、0.060~0.088の範囲である。
【0046】
本開示によれば、変性ポリビニルアルコール系ポリマーは、10~35の範囲のイエローインデックス(YI)を有していてもよい。一実施形態では、変性ポリビニルアルコール系ポリマーは、10~32の範囲のYIを有してよい。別の実施形態では、変性ポリビニルアルコール系ポリマーは、10~30の範囲のYIを有していてもよい。
【0047】
本開示によれば、変性ポリビニルアルコール系ポリマーは、5.0センチポイズ/秒(cps)~6.55cpsの範囲の粘度を有する。一実施形態では、変性ポリビニルアルコール系ポリマーは、5.3cps~6.5cpsの範囲の粘度を有する。一実施形態では、変性ポリビニルアルコール系ポリマーは、5.3cps~6.2cpsの範囲の粘度を有する。
【0048】
上記目的を達成するために、本開示は、塩化ビニルモノマーを上記変性ポリビニルアルコール系ポリマーと混合して懸濁重合を行うことを含む、変性ポリビニルアルコール系ポリマーの用途も提供する。
【0049】
本開示の変性ポリビニルアルコール系ポリマーは、懸濁重合反応において大きい分散安定性を与え、その結果、得られるポリ塩化ビニル系樹脂の粒子径が小さく、粗大粒子が少なくなるため、懸濁重合の分散剤として好適に用いることができる。
【0050】
一実施形態において、変性ポリビニルアルコール系ポリマーは、塩化ビニルモノマーの量に対して、500ppm~1200ppmの量を有していてもよい。別の実施形態では、変性ポリビニルアルコール系ポリマーは、塩化ビニルモノマーの量に対して、600ppm~1000ppmの量を有していてもよい。
【0051】
一実施形態において、変性ポリビニルアルコール系ポリマーは、懸濁重合反応を安定化させるための分散剤として単独で使用することができる。別の実施形態では、変性ポリビニルアルコール系ポリマーは、任意の他の従来の分散剤と共に使用して分散剤混合物を形成することができる。前記従来の分散剤は、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、セルロースエーテルであってよいが、これらに限定されるものではない。本実施形態では、分散剤混合物の量(すなわち、変性ポリビニルアルコール系ポリマーの量と任意の他の従来の分散剤の量との合計)は、塩化ビニルモノマーの量に対して、600ppm~1500ppmであってよい。
【0052】
本開示によれば、塩化ビニルモノマー及び変性ポリビニルアルコール系ポリマーを、水中で開始剤と混合して懸濁重合を行うことができる。開始剤は、例えば、ジ(2-エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート(EHP)、クミルパーオキシネオデカノエート(CNP)、tert-ブチルパーオキシネオカプレート(BNP)、3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド(TMHP)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル(ADVN)等であってもよいが、これらに限定されない。一実施形態において、開始剤は、塩化ビニルモノマーの量に対して、600ppm~1500ppmの量を有してよい。
【実施例0053】
好ましい実施形態の詳細な説明
いくつかの実施例を用いて、変性ポリビニルアルコール系ポリマー及びその懸濁重合における適用を示し、いくつかの比較例を比較のために提供する。当業者であれば、以下の実施例及び比較例により、本開示の利点及び効果を容易に理解することができる。本明細書に例示された実施例は、単に本開示の実施を示すために使用されるものであり、本開示の範囲を限定するために使用されるものではないことを理解されるべきである。当業者であれば、本開示を実施又は適用するために、本開示の精神を逸脱することなく、一般的な知識に従って修正又は変更を行うことができる。
【0054】
改質剤
変性ポリビニルアルコール系ポリマーを製造するために選択できる改質剤のCAS番号と構造式を以下の表1に示すが、これに限定されるものではない。選択された改質剤に基づいて、変性ポリビニルアルコール系ポリマーの変性モノマー単位も、それぞれ以下の表1に示す。
【0055】
【表1】
【0056】
また、当業者は、上記表1に記載の改質剤以外にも、イソシアネート基と少なくとも1つのアルケニル基を有する任意の成分を改質剤として選択し、以下に記載の方法によりポリビニルアルコールの改質を行い、変性ポリビニルアルコール系ポリマーを得ることが可能である。
【0057】
コントロール:ポリビニルアルコール系ポリマー
コントロールとしては、式(I′)で表される構造を有する非変性ポリビニルアルコール系ポリマーが用いられる。この非変性ポリビニルアルコール系ポリマーは、重合度700、ケン化度約72.36モル%、粘度約5.99cps、YI約35.95である。
【化12】
【0058】
変性ポリビニルアルコール系ポリマー
実施例1~3
実施例1~3は、ポリビニルアルコール系ポリマー(コントロール)を以下の工程a~cにより改質し、変性ポリビニルアルコール系ポリマーを得た。
a.メタノール(MeOH、膨潤剤として)400重量部に、特定量の改質剤(下記表2に示す)を添加し、改質溶液を得る;
b.重合度約700、ケン化度約72.36モル%のポリビニルアルコール系ポリマー100重量部に改質溶液を添加し、60℃で6時間反応させ、変性物を得る;
c.変性物をメタノールで複数回洗浄し、遠心分離して液体を除去し、105℃で2時間乾燥し、変性ポリビニルアルコール系ポリマーを得る。
【0059】
実施例4~6、及び比較例1
実施例4~6及び比較例1は、ポリビニルアルコール系ポリマー(コントロール)を以下の工程a~cにより改質し、変性ポリビニルアルコール系ポリマーを得た。
a.43重量部の酢酸メチル(MeAc、膨潤剤として)に、特定の重量部の改質剤(以下の表2に示す)を添加し、改質溶液を得る;
b.重合度約700、ケン化度約72.36モル%のポリビニルアルコール系ポリマー100重量部に改質溶液を添加し、60℃で6時間反応させて、変性物を得る;
c.変性物を酢酸メチルで複数回洗浄し、遠心分離して液体を除去し、105℃で2時間乾燥して、変性ポリビニルアルコール系ポリマーを得る。
【0060】
実施例7
実施例7は、ポリビニルアルコール系ポリマーを以下の工程a~cにより改質し、変性ポリビニルアルコール系ポリマーを得た。
a.43重量部の酢酸メチル(膨潤剤として)に、特定の重量部の改質剤(以下の表2に示す)を添加し、改質溶液を得る;
b.重合度約700、ケン化度約73.11モル%のポリビニルアルコール系ポリマー100重量部に改質溶液を添加し、60℃で6時間反応させて、変性物を得る;
c.変性物を酢酸メチルで複数回洗浄し、遠心分離して液体を除去し、105℃で2時間乾燥して、変性ポリビニルアルコール系ポリマーを得る。
【0061】
比較例2
比較例2は、ポリビニルアルコール系ポリマーを以下の工程a~cにより改質し、変性ポリビニルアルコール系ポリマーを得た。
a.酢酸メチル(膨潤剤として)43重量部に、特定の重量部の改質剤(以下の表2に示す)を添加して、改質溶液を得る。
b.重合度約700、ケン化度約86.97モル%のポリビニルアルコール系ポリマー100重量部に改質溶液を加えて60℃で6時間反応させ、変性物を得ること。
c.変性物を酢酸メチルで複数回洗浄し、遠心分離して液体を除去し、105℃で2時間乾燥し、変性ポリビニルアルコール系ポリマーを得る。
【0062】
【表2】
【0063】
試験例1:特性分析
実施例1~7、比較例1、2の変性ポリビニルアルコール系ポリマー、及びコントロールの非変性ポリビニルアルコールに用いたケン化度、粘度、イエローインデックスの分析方法を以下に示し、その結果を先に述べ、上記表2に記載した。
ケン化度:標準法JIS K 6726(1994)に従って測定;
粘度:標準法JIS K 6726(1994)に従って測定;及び
YI:標準法ASTM E313-98に従って測定。
【0064】
上記表2に示すように、実施例1~7の変性ポリビニルアルコール系ポリマーは、ケン化度が約67モル%~78モル%である。また、実施例1~7の変性ポリビニルアルコール系ポリマーは、粘度が約5.0cps~6.55cpsであり、YIが約10~35である。
【0065】
試験例2:変性率
本試験例では、実施例1~7、比較例1、2の変性ポリビニルアルコール系ポリマーを分析対象物として使用した。各分析対象物をヘキサジュウテロジメチルスルホキシド(DMSO-d6、品番:DLM-10-10、Cambridge Isotope Laboratories,Inc.より購入)に溶解して試験サンプルとし、25℃で水素-1NMR分光法(H-NMR、AvanceII 400MHz、Bruker社製)により400MHzで、炭素-13NMR分光法(13C-NMR、Varian VNMRS-600 NMR Spectrometer、Varian社製)により600MHzで分析した。
【0066】
試験サンプルのH-NMR分析結果では、変性モノマー単位のXに含まれるアルケニル基に対応する水素シグナルが、5.8ppmと6.5ppmの間の化学シフト位置に観測され、それに伴い第1特性ピークの積分値が得られた。また、水酸基と結合した主鎖のメチン(methyne)基に対応する水素シグナルが、3.5ppmと3.9ppmの間の化学シフト位置に観測され、それに伴い第2特性ピークの積分値が得られた。側鎖のアセトキシ基に対応する水素シグナルが、1.9ppmと2.0ppmの間の化学シフト位置に観測され、それに伴い第3の特性ピークの積分値が得られた。各変性ポリビニルアルコール系ポリマーの変性率(モル%)は、第1特性ピークの積分値と第1、第2、第3特性ピークの積分値の和の比によって得ることができた。その結果を上記表2に示す。
【0067】
以下、CAS番号13641-96-8を用いてポリビニルアルコール系ポリマーを変性した実施例を例示し、変性ポリビニルアルコール系ポリマー(実施例2、3、5及び6のもの等)は、式(I′′)で表される構造を有する。さらに、これらの変性ポリビニルアルコール系ポリマーのH-NMR分析結果では、変性モノマー単位のXに含まれるアルケニル基(下記式(I′′)の1の位置で表記)に対応する水素シグナルが、5.8ppm~6.5ppmの間の化学シフト位置に観測され、それに伴って第1特性ピークの積分値が得られた。水酸基と連結する主鎖のメチン基(下記式(I′′)中の2の位置で表記)に対応する水素シグナルは、3.5ppm~3.9ppmの間の化学シフト位置で観測され、それに伴って第2特性ピークの積分値が得られた。また、側鎖のアセトキシ基(下記式(I′′)の3の位置で表記)に対応する水素シグナルが、1.9ppm~2.0ppmの化学シフト位置に観測され、これに伴い第3特性ピークの積分値が得られた。
【化13】
【0068】
さらに、各試験サンプルの13C-NMR分析結果において、変性モノマー単位に含まれるウレタン基(下記式(I′′′)中のbの位置に表記)に対応するカルボニル基シグナルが、160ppm~170ppmの化学シフト位置に観測された。主鎖のメチン基(下記式(I′′′)中のaの位置で表記)に対応するシグナルが、60ppm~80ppmの化学シフト位置で観測された。このことから、変性ポリビニルアルコール系ポリマーは、ウレタン基を含む変性モノマー単位構造を有することが確認された。
【化14】
【0069】
上記表2に示すように、実施例1~7の変性率は、0.02モル%~1.5モル%の間に制御されている。これに対して、比較例1の変性率は、2モル%以上である。
【0070】
試験例3:吸光度
本試験例では、実施例1~7、比較例1、2の変性ポリビニルアルコール系ポリマーと、コントロールのポリビニルアルコール系ポリマーとを分析対象物として使用した。各分析対象物を0.1重量%水溶液に調製し、試験サンプルとした。各試験サンプルを、光路長1cmのキュベットに流し込み、UV/Vis/NIR分光分析装置(V-730、日本分光(株)製)で分析し、各試験サンプルの紫外吸収分光法における波長215nm、280nm、320nmの吸光度値を得た。その結果を以下の表3に示す。
【0071】
なお、紫外吸収分光法における波長215nmの吸光度は、変性ポリビニルアルコール系ポリマー中の主鎖構造上の-C(=O)-CH=CH-を表し、紫外吸収分光法における波長280nmの吸光度は、変性ポリビニルアルコール系ポリマー中の主鎖構造上の-C(=O)-(CH=CH)-を表し、紫外吸収分光法における波長320nmの吸光度は、変性ポリビニルアルコール系ポリマー中の主鎖構造中の-C(=O)-(CH=CH)-を表す。特定の波長における吸光度が高いほど、試験サンプル中の対応する構造が多いことを表している。
【0072】
なお、比較例1の変性ポリビニルアルコール系ポリマーは、水に均一に溶解できず、0.1重量%水溶液に調製することができなかった。従って、以下の表3では「-」と表示した。
【0073】
【表3】
【0074】
上記表3に示すように、実施例1~7の変性ポリビニルアルコール系ポリマーの0.1重量%水溶液は、波長215nmにおける吸光度が0.34~0.8、波長280nmにおける吸光度が0.3~0.4、波長320nmにおける吸光度が0.06~0.09となる。
【0075】
変性ポリビニルアルコール系ポリマーの用途
本発明の変性ポリビニルアルコール系ポリマーは、懸濁重合用分散剤、特にPVC懸濁重合に適用可能な分散剤として使用することができる。以下、変性ポリビニルアルコール系ポリマーのPVC懸濁重合用分散剤としての用途を示す。
【0076】
実施例1A~7A、及び比較例1A、2A
実施例1A~7A、比較例1A、2Aでは、分散剤として実施例1~7、比較例1、2の変性ポリビニルアルコール系ポリマーをそれぞれ使用し、以下に示す方法でポリ塩化ビニル系樹脂を得た。
【0077】
まず、塩化ビニルモノマー2.9キログラム(kg)、分散剤混合物(1000ppm)2.9グラム(g)、水5.3kgを反応器に加え、混合溶液を形成した。分散剤混合物において、塩化ビニルモノマーの量に対して、変性ポリビニルアルコール系ポリマーの量は800ppm、部分けん化ポリビニルアルコール(重合度:200、ケン化度:55モル%)の量は100ppm、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの量は100ppmであった。
【0078】
次に、この混合溶液に、ジ(2-エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート2.9g(1000ppm)を添加し、64℃に加熱して懸濁重合反応を行い、ポリ塩化ビニルスラリーを得た。
【0079】
最後に、反応器の圧力を0.1MPaまで下げ、ポリ塩化ビニルスラリーを遠心分離して液体を除去し、オーブンで60℃にて乾燥させ、PVC樹脂を得た。
【0080】
コントロールA
コントロールAでは、実施例1A~7A、比較例1A、2Aで用いた変性ポリビニルアルコール系ポリマーの代わりに、コントロールのポリビニルアルコール系ポリマーを用いた以外は、上述の方法でPVC樹脂を調製した。
【0081】
試験例4:懸濁重合の安定性
実施例及び比較例の各変性ポリビニルアルコール系ポリマー、並びにコントロールのポリビニルアルコール系ポリマーの懸濁重合用分散剤としての安定化効果を評価するために、実施例1A~6A、比較例1A及び2A、コントロール1Aで得られたPVC樹脂を本試験で試験する試料として選び、標準法ASTM D1921に従って、PVC樹脂の平均粒子径及び粒子径60メッシュ(含む)以上の粒子の割合を測定し、変性ポリビニルアルコール系ポリマーの分散剤としての安定化効果を評価した。その結果を以下の表4に示す。
【0082】
ここで、比較例1の変性ポリビニルアルコール系ポリマーは、水に均一に溶解できず、分散剤として作用できないため、比較例1を懸濁重合に用いることができず、比較例1AのPVC樹脂の平均粒子径及び粒子径60メッシュ以上の粒子の割合を測定することができなかった。従って、以下の表4において「-」と示した。
【0083】
【表4】
【0084】
上記表4の比較結果から、懸濁重合反応の分散安定性を調節するために同量の分散剤混合物を使用した場合、実施例1A~6AのPVC樹脂の平均粒子径は比較例2A及びコントロールのPVC樹脂よりも明らかに小さく、実施例1A~6AのPVC樹脂における60メッシュ以上の粒子の割合も比較例2A及びコントロールAのPVC樹脂よりも明らかに少なくなっている。従って、変性ポリビニルアルコール系ポリマーが、式(I)で表される変性モノマー単位を有し、変性率が0.02モル%~1.5モル%、ケン化度が67モル%~78モル%の場合、この変性ポリビニルアルコール系ポリマーは懸濁重合の分散剤として用いることが適しており;特に塩化ビニルモノマーの懸濁重合反応における分散安定性を促進して、粒子径を縮小し粗大粒子の少ないPVC樹脂を得るために有利であることが明らかとなっている。
【0085】
実施例1A~6A及びコントロールAのPVC樹脂の粒子径分析結果において、実施例1~6の変性ポリビニルアルコール系ポリマーは、非変性ポリビニルアルコール系ポリマー(コントロール)と比較して、塩化ビニルモノマーの懸濁重合反応の分散安定性を特に促進できることが判明した。そのため、コントロールAのPVC樹脂と比較して、実施例1A~6AのPVC樹脂は、粒子径が小さく、粗大粒子が少ない。
【0086】
さらに、実施例1A~6Aと比較例1A及び2Aとの比較において、比較例1及び2は、変性率及びケン化度がほぼ制御されていない変性ポリビニルアルコール系ポリマーであるため、予想通り、懸濁重合反応を安定化できないことが判った。具体的には、比較例2の変性ポリビニルアルコール系ポリマーは、ケン化度が78モル%より大きいため、比較例2AのPVC樹脂は、粒子径が予想ほど小さくなく、粗大粒子の数も予想ほど少なくないことがわかった。また一方、比較例1の変性ポリビニルアルコール系ポリマーは、変性率が1.5モル%より大きいため、比較例1AのPVC樹脂は粒子径解析の対象にもなり得ない。
【0087】
以上のことから、本開示の変性ポリビニルアルコール系ポリマーは、式(I)で表される変性モノマー単位、67モル%~78モル%のケン化度、0.02モル%~1.5モル%の変性率を有し、変性ポリビニルアルコール系ポリマーは懸濁重合用の分散剤として用いることが適しており、懸濁重合反応で大きな分散安定性が得られ、得られたPVC系樹脂は、粒子径が小さく、粗大粒子が少ないという利点を有している。