(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022119748
(43)【公開日】2022-08-17
(54)【発明の名称】光路エクステンダを有する光干渉近接センサ
(51)【国際特許分類】
G01S 17/34 20200101AFI20220809BHJP
G01B 11/00 20060101ALI20220809BHJP
G01C 3/06 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
G01S17/34
G01B11/00 G
G01C3/06 120Q
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022015424
(22)【出願日】2022-02-03
(31)【優先権主張番号】17/167,218
(32)【優先日】2021-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】503260918
【氏名又は名称】アップル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Apple Inc.
【住所又は居所原語表記】One Apple Park Way,Cupertino, California 95014, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100121979
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 吉信
(72)【発明者】
【氏名】ネイサン ショウ
(72)【発明者】
【氏名】ダリル アイ ヴリス
(72)【発明者】
【氏名】トン チェン
【テーマコード(参考)】
2F065
2F112
5J084
【Fターム(参考)】
2F065AA02
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2F065PP22
2F065UU07
2F112AD01
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2F112BA10
2F112CA05
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2F112EA20
2F112FA19
5J084AA05
5J084AA07
5J084AB20
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5J084BA04
5J084BA36
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5J084BB20
5J084CA08
5J084CA31
5J084CA70
(57)【要約】
【課題】光干渉近接センサの改良された技術を提供する。
【解決手段】光近接センサは、光近接センサの幾何学的経路長の対応する延長を伴わずに、光近接センサの光路長を延長する光路エクステンダを含む。光路エクステンダは、光近接センサを通る光路に沿って配置された高屈折率材料であってもよい。光路エクステンダは、光近接センサ内を進行する光の方向を変化させるように構成された1つ以上の方向転換特徴部を含むことができる。光路エクステンダは、それを通って進行する光に運動量依存伝達関数を適用することによって、光近接センサ内の幾何学的経路の延長を模擬するように構成されたフォトニック構成要素を含むことができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を画定するハウジングと、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置された自己混合近接センサであって、
前記開口を通して光ビームを放出するように構成された垂直キャビティ面発光レーザー(VCSEL)光源と、
前記VCSEL光源と前記開口との間に延びる厚さを有する光路エクステンダであって、前記厚さの少なくとも3倍である光路長を有する、光路エクステンダと、
を含む、自己混合近接センサと、
前記ハウジング内に配置されており、かつ前記自己混合近接センサに動作可能に結合された処理ユニットであって、前記自己混合近接センサの出力信号を使用して対象までの距離を判定するように構成されている、処理ユニットと、
を備える、電子デバイス。
【請求項2】
前記自己混合近接センサが、
前記開口内に配置されており、かつ前記光ビームを前記対象に向かって向けるように構成されたレンズと、
自己混合干渉効果のための前記VCSEL光源の電力出力を監視するように構成された電力コントローラと、
を更に含み、
前記光路エクステンダが、前記VCSEL光源と前記レンズとの間に配置されている、
請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項3】
前記光路長が、3.5~4.5mmであり、
前記光路エクステンダの前記厚さが、0.8~1.5mmである、
請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項4】
前記VCSEL光源が、フリップチップVCSELであり、
前記光路エクステンダが、前記フリップチップVCSELのガリウムヒ素基板を含む、
請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項5】
前記基板が、0.4~1mmの基板厚を有し、
前記基板が、3~4の屈折率を有する、
請求項4に記載の電子デバイス。
【請求項6】
前記光路エクステンダが、前記光ビームが前記光路エクステンダを通過するときに前記光ビームの方向を変化させるように構成された1つ以上の方向転換特徴部を備える、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項7】
前記光路エクステンダが、前記光ビームに運動量依存伝達関数を適用するように構成されたフォトニック構成要素を含む、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項8】
前記フォトニック構成要素が、シリコン及び二酸化ケイ素の交互層を含むメタマテリアルを含む、請求項7に記載の電子デバイス。
【請求項9】
エンクロージャと、
前記エンクロージャ内に配置されており、かつオブジェクトに向かって光のコヒーレントビームを放出するように構成された垂直キャビティ面発光レーザー(VCSEL)光源と、
前記VCSEL光源に光学的に結合されたフォトダイオードと、
前記VCSEL光源と前記オブジェクトとの間に配置されており、かつ3~4の屈折率を有する光路エクステンダと、
電力コントローラであって、
前記フォトダイオードの電力出力を監視し、
前記フォトダイオードの前記電力出力に少なくとも部分的に基づいて、前記光ビームを反射する前記オブジェクトの特性を判定する、
ように構成された、電力コントローラと、
を備える、電子デバイス用の光近接センサ。
【請求項10】
前記特性が、距離、速度、又は加速度のうちの1つである、請求項9に記載の光近接センサ。
【請求項11】
前記オブジェクトが、電子デバイスのハウジングの内面である、請求項9に記載の光近接センサ。
【請求項12】
前記エンクロージャが、開口を画定し、
前記VCSEL光源が、前記コヒーレントビームが前記開口を通過するように、前記開口と整列している、
請求項9に記載の光近接センサ。
【請求項13】
前記光近接センサが、前記開口内に配置されたレンズを更に備える、請求項12に記載の光近接センサ。
【請求項14】
前記電力コントローラが、三角形の電流波形で前記VCSEL光源を駆動するように構成されている、請求項9に記載の光近接センサ。
【請求項15】
開口を画定するハウジングと、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置されており、かつグラフィック出力を提供するように構成されたディスプレイと、
回転入力を受信するように構成された回転入力構成要素と、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置された光近接センサであって、
前記開口を通して光ビームを放出するように構成された垂直キャビティ面発光レーザー(VCSEL)光源と、
前記VCSEL光源の光路内に配置された光路エクステンダであって、前記光路エクステンダの厚さの少なくとも3倍である光路長を有する、光路エクステンダと、
を含む、光近接センサと、
前記ハウジング内に配置されており、かつ前記光近接センサに動作可能に結合された処理ユニットであって、前記光近接センサの出力信号に基づいて、前記グラフィック出力を修正するように構成されている、処理ユニットと、
を備える、電子ウォッチ。
【請求項16】
前記光路エクステンダが、3~4の屈折率を有する前記VCSEL光源の基板を含む、請求項15に記載の電子ウォッチ。
【請求項17】
前記処理ユニットが、
前記光近接センサの前記出力信号を使用して、ユーザの指と前記回転入力構成要素との間の距離の変化を判定し、
前記距離の前記変化に基づいて、前記グラフィック出力を修正する、
ように構成されている、請求項15に記載の電子ウォッチ。
【請求項18】
前記ディスプレイが、タッチ感知スクリーンであり、
前記光近接センサが、前記タッチ感知スクリーンを介して前記光ビームを放出するように構成されている、
請求項15に記載の電子ウォッチ。
【請求項19】
前記処理ユニットが、
前記光近接センサの前記出力信号を使用して、前記タッチ感知スクリーンに対するユーザの指の位置を判定し、
前記ユーザの指の前記位置に基づいて、前記グラフィック出力を修正する、
ように構成されている、請求項18に記載の電子ウォッチ。
【請求項20】
前記処理ユニットが、
前記光近接センサの前記出力信号を使用して、前記タッチ感知スクリーンに加えられた力を判定し、
前記力に基づいて、前記グラフィック出力を修正する、
ように構成されている、請求項18に記載の電子ウォッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の実施形態は、光センサに関し、具体的には、オブジェクトまでの距離又はオブジェクトの速度を判定するように構成された光干渉近接センサに関する。
【背景技術】
【0002】
電子デバイスは、自由空間内のその電子デバイスを電子デバイスのユーザなどのオブジェクト又は表面から分離する距離を測定又は推定する、システム又はセンサ(本明細書では「近接センサ」と呼ばれる)を含むことができる。しかしながら、従来の近接センサは、十分な感知性能を達成するために光路に沿って自由空間を必要とする場合があり、これは、近接センサ及びそれらが配備されるデバイスの厚さの増加に寄与する。
【発明の概要】
【0003】
本明細書に記載の実施形態は、光路エクステンダを含む光近接センサを参照する。光路エクステンダは、光源と光近接センサのハウジング内の開口との間に配置することができる。光源は、オブジェクトを照明し、再帰反射信号を収集して、自己混合干渉法に基づいて、そのオブジェクトまでの距離及び/又はそのオブジェクトの速度を判定するように構成されている。光路エクステンダは、光近接センサの光路長を増加させることができ、それにより、光近接センサが、同様の又は改善された感知性能を達成しながら、従来の光近接センサと比較して低減された厚さを有することを可能にする。
【0004】
以下に、添付の図面に例示された代表的な実施形態について参照する。以下の説明は、本開示を1つの包含された実施形態に限定することを意図するものではないことを理解されたい。これとは対照的に、本明細書により提供される本開示は、記載された実施形態の趣旨及び範囲内に含まれ、添付の特許請求の範囲により定義されるような、代替例、修正例及び均等物を網羅することが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】電子デバイスの近くのオブジェクトまでの距離及び/又はオブジェクトの速度を判定する、本明細書に記載されるような近接センサを組み込んだ電子デバイスの概略図を示す。
【
図2】VCSEL光源と一体化された光路エクステンダを有する例示的な光近接センサを示す。
【
図3A】光近接センサの光路長を増加させるための方向転換特徴部を含む例示的な光近接センサを示す。
【
図3B】光近接センサの光路長を増加させるための方向転換特徴部を含む例示的な光近接センサを示す。
【
図4A】光近接センサの光路長を増加させるためのフォトニック構成要素を含む例示的な光近接センサを示す。
【
図4B】光近接センサの光路長を増加させるためのフォトニック構成要素を含む例示的な光近接センサを示す。
【
図5A】電子デバイスの近くのオブジェクトまでの距離及び/又はオブジェクトの速度を判定する、本明細書に記載されるような近接センサを組み込んだ別の電子デバイスの概略図を示す。
【
図5B】電子デバイスの可動表面までの距離及び/又はその速度を判定する、本明細書に記載されるような近接センサを組み込んだ別の電子デバイスの概略図を示す。
【
図6A】電子デバイスの入力領域に対するユーザの指までの距離及び/又はその速度を判定する、本明細書に記載されるような近接センサを組み込んだ電子デバイスの概略図を示す。
【
図6B】電子デバイスのタッチ入力領域に対するユーザの指までの距離及び/又はその速度を判定する、本明細書に記載されるような近接センサを組み込んだ電子デバイスの概略図を示す。
【
図6C】電子デバイスのユーザが力を及ぼすことができる電子デバイスの可動表面までの距離及び/又はその速度を判定する、本明細書に記載されるような近接センサを組み込んだ電子デバイスの概略図を示す。
【
図6D】電子デバイスのユーザが力を及ぼすことができる電子デバイスの可動表面までの距離及び/又はその速度を判定する、本明細書に記載されるような近接センサを組み込んだ電子デバイスの別の概略図を示す。
【
図7】本明細書に記載されるような近接センサを動作させる方法の例示的な動作を示すフローチャートである。
【
図8】本明細書に記載の動作を実行することができる電子デバイスのサンプル電気ブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
異なる図面における同じ又は類似する参照番号の使用は、類似、関連、又は同一の要素を示している。
【0007】
添付の図でのクロスハッチング又はシェーディングの使用は、概して、隣り合う要素間の境界を明らかにし、かつ図の視認性を促進するために提供される。したがって、クロスハッチング又はシェーディングの存在も不在も、添付の図に示される任意の要素に関する特定の材料、材料特性、要素の割合、要素の寸法、同様に図示されている要素の共通点、又は任意の他の特質、属性、若しくは特性についてのいかなる選好又は要件も伝達又は指示するものではない。
【0008】
同様に、特定の添付の図は、添付の図面に示される、又は場合によっては省略される1つ以上の光源から発生する1つ以上の光子によって行われ得る、1つ以上の媒体を介した反射、屈折、回折などを含むことができる、1つ以上の例示的な経路のベクトル、光線、トレース、及び/又は他の視覚表現を含む。これらの簡略化された光の視覚的表現は、本明細書に記載のさまざまな実施形態の理解を容易にするために単に提供され、したがって、必ずしも一定の縮尺で、又は角度精度若しくは正確さで提示又は図示されない場合があり、したがって、本明細書に記載又は参照される他の実施形態を除外するために、任意の特定の図示された角度、向き、偏光、色、又は方向で光を受光、放出、反射、屈折、フォーカス、及び/又は回折するための図示された実施形態の任意の選好又は要件を示すことを意図するものではないことが理解される。
【0009】
追加的に、種々の特徴及び要素(並びにそれらの集合及び群)の(相対的であれ絶対的であれ)割合及び寸法、並びにそれらの間に提示される境界、分離点及び位置関係は、単に本明細書に述べられる種々の実施形態の理解を容易にするために添付の図に提供されるものであり、したがって必ずしも一定の縮尺で提示又は図示されていない場合があり、図示される実施形態についての任意の選好又は要件を、それを参照して述べられる実施形態を除外して示す意図はないことを理解されたい。
【0010】
本明細書に記載の実施形態は、電子デバイス用の光近接センサに関する。これらの実施形態は、典型的には、光近接センサに対するそのオブジェクトまでの距離及び/又はそのオブジェクトの速度を判定するために、光近接センサの近くのオブジェクトに向かって光ビームを放射するように向けられた垂直キャビティ面発光レーザー(vertical cavity surface-emitting laser、「VCSEL」)を含む。オブジェクトまでの距離及び/又はオブジェクトの速度は、オブジェクトの外面からの放射ビームの反射に基づいて判定することができる。オブジェクトは、光近接センサを組み込んだ電子デバイスの内部又は外部にあってもよい。光ビームは、本明細書では「波長変調」と呼ばれる、特定のパターンに従って変調された波長を有することができる。
【0011】
光近接センサは、光近接センサの光路長を延長することによって光近接センサの厚さを低減するための、1つ以上の光路エクステンダを含むことができる。結果として、光近接センサは、電子デバイス内のより少ない空間を占めることができ、及び/又は光近接センサは、従来の光近接センサよりも、小さく、薄いデバイス内に配置することができる。
【0012】
光路エクステンダは、様々な方法のいずれかで、光近接センサの光路長を延長することができる。場合によっては、光路エクステンダは、光近接センサを通る光路に沿って配置された高屈折率材料であってもよい。場合によっては、光路エクステンダは、
図2に関してより詳細に説明するように、例えば、VCSEL光源の基板として、VCSEL光源と一体化することができる。
【0013】
光路エクステンダは、
図3A~
図3Bに関してより詳細に説明するように、VCSEL光源と窓との間を進行する光の方向を変化させるように構成された1つ以上の方向転換特徴部を含むことができる。追加的又は代替的に、光路エクステンダは、
図4A~
図4Bに関してより詳細に説明するように、それを通って進行する光に運動量依存伝達関数を適用することによって、光近接センサ内の幾何学的経路の延長を模擬するように構成されたフォトニック構成要素を含むことができる。
【0014】
説明を簡単にするために、例示的な実施形態は、非可視周波数帯域(例えば、赤外光又は紫外光)を含むスペクトル範囲の光を放出するように構成されたVCSELを参照することが理解される。しかしながら、これは単に一実施例であり、他の実施形態では、2つ以上のVCSELを使用することができ(例えば、任意の好適なパターンで配置されたVCSELのアレイ)、又は追加的若しくは代替的に、可視周波数帯域を含むスペクトル範囲の光を放出するように構成された1つ以上のVCSELを使用することができることを理解することができる。更に、全ての実施形態に必要ではないが、以下の多くの実施形態を参照して説明する例示的なVCSELは、米国国立規格協会によって定義されるような光電子モジュール又はシステムで動作している間に、クラス1レーザーであると理解され、他の場合には、より高い電力のレーザーを使用することができる。追加的又は代替的に、本明細書に記載の実施形態は、他のレーザー(例えば、端面発光レーザー(edge emitting lasers、EEL)、垂直外部キャビティ面発光レーザー(vertical external-cavity surface-emitting lasers、VECSEL)、水平キャビティ面発光レーザー(horizontal cavity surface-emitting lasers、HCSEL)、量子カスケードレーザー(quantum cascade lasers、QCL)、固体レーザー、ファイバレーザーなど)、並びに/又は準コヒーレント及び非コヒーレント光源(例えば、発光ダイオード(light-emitting diodes、LED)、RC-LED、スーパールミネッセントダイオード(super-luminescent diodes、SLD)など)を含むことができる。
【0015】
上記のように、光近接センサのVCSELから放出されたビームは、オブジェクトから反射されてもよい。反射光の少なくとも一部分は、VCSEL内に戻るように向けられて、VCSELの量子井戸層に戻り(すなわち、再び入る)、その動作に干渉し、VCSELの電気的特性を変化させることができる。VCSELの電気的及び/又は光学的特性の変化は、(1)光近接センサからオブジェクトの表面までの距離、及び(2)VCSELによって放出される光の波長に関連する。
【0016】
VCSELによって放出される光の波長は、変調又は固定されているかに関わらず、既知であるため、任意の測定された干渉(「自己混合」効果とも呼ばれる)は、例えば、干渉モードホップをカウントすることによって、又はビート周波数の特性を定量化することによって(例えば、周波数ドメイン分析を介して)、オブジェクトの表面と光近接センサを分離する相対変位と相関させることができることを理解することができる。この相対変位は、オブジェクトの表面と光近接センサを分離する絶対距離と更に相関させることができる。この距離は、本明細書では、光近接センサとオブジェクトの表面を分離する「測定距離」と呼ばれる。理解することができるように、この構成は、典型的には「自己混合」干渉法又は反射測定法と呼ばれる効果を活用する。
【0017】
これらの前述の実施形態及び他の実施形態は、
図1~
図8を参照して以下に説明する。しかしながら、当業者であれば、これらの図を参照して本明細書により与えられている詳細な説明は、例示目的のみであり、限定するものとして解釈されるべきではないことが容易に理解されよう。
【0018】
図1は、電子デバイス102のハウジング内に配置された光近接センサ110に対する視線軸に沿ったオブジェクト104までの距離d及び/又はオブジェクト104の速度vを測定するように構成された電子デバイス102の概略
図100を示す。電子デバイスは、電力コントローラ122と、処理ユニット124と、メモリ126と、を含むことができる。場合によっては、電力コントローラ122、処理ユニット124、及び/又はメモリ126は、光近接センサ110の一部として含まれる。他の場合では、電力コントローラ122、処理ユニット124、及び/又はメモリ126は、電子デバイス102の別個の構成要素である。
【0019】
光近接センサ110は、1つ以上のVCSEL光源112と、窓114と、1つ以上の光路エクステンダ116と、を含むことができる。広くは、光近接センサ110を使用して、オブジェクト104までの距離d及び/又はオブジェクト104の速度vを判定することができる。光路エクステンダ(単数又は複数)116は、光近接センサの見かけの光学的厚さを超えて光路長を延長することによって、光近接センサ110の厚さを低減することができる。結果として、光近接センサ110は、電子デバイス102内のより少ない空間を占め、及び/又は光近接センサは、同様の又は改善された感知性能を達成しながら、従来の光近接センサよりも、小さく、薄いデバイス内に配置することができる。例示的な光路エクステンダは、
図2~
図4Bに関してより詳細に説明する。
【0020】
電力コントローラ122は、VCSEL光源112に結合されている。これらの構成要素の各々は、特定の実施形態又は実装形態において必要な又は好ましい場合がある光近接センサ110の他の構成要素と共に、構成要素エンクロージャ内に全体的に又は部分的に配置することができる。光近接センサ110はまた、VCSEL光源112から放出された光が構成要素エンクロージャを通過してオブジェクト104の表面を照明することを可能にするように構成された窓114を含む。図示の実施形態では、VCSEL光源112は、VCSEL光源112から放出された光が、窓114を横断してオブジェクト104の表面(ユーザ、電子デバイスの内面などであってもよい)を照明するように、窓114と整列している。
【0021】
これらの実施例では、処理ユニット124は、電力コントローラ122に三角形の電流波形(又は他の好適な周期的又は非周期的波形)を生成させて、電流をVCSEL光源112に注入させるように構成することができる。簡単にするために、本明細書に記載されるような電力コントローラ又は処理ユニットによってかに関わらず、変調された、又は別の方法でVCSEL光源内に光を放出し、自己混合を促進するためかに関わらず、電流を注入する動作は、本明細書では、光源を「駆動」することと呼ばれる。
【0022】
オブジェクト104からの反射は、窓114を横断し、VCSEL光源112に再び入り、距離dに直接関連する自己混合干渉を引き起こす。場合によっては、電力コントローラ122は、自己混合効果から生じるVCSEL光源112の電力出力の変動(例えば、以下の式2及び3を参照)を定量化及び/又は他の方法で判定するために、VCSEL光源112に光学的に結合された1つ以上のフォトダイオードからの電力出力を監視するように更に構成することができる。
【0023】
光近接センサ110は、VCSEL光源112と対象104との間に延びる幾何学的経路長lを有することができる。光近接センサ110は、幾何学的経路長lと光近接センサ110の屈折率との積に等しい、関連付けられた光路長(optical path length、OPL)を有することができる。屈折率は、光近接センサ110の幾何学的経路長lに沿って変化してもよく、その場合、光路長は、以下のように式1によって表すことができる。
【数1】
式中、nは、幾何学的経路Cに沿った距離の関数としての局所屈折率である。
【0024】
光路長は、光が光近接センサ110の幾何学的経路を横断するのにかかる時間(すなわち、飛行時間)に比例する。上記のように、光路エクステンダ116は、(
図1にl’として示す)VCSEL光源112と窓114との間の幾何学的経路の部分に沿って屈折率を増加させることによって、幾何学的経路長lの対応する延長を伴わずに、光近接センサ110の光路長を延長することができる。
【0025】
光路エクステンダ116は、様々な方法のいずれかで、光近接センサ110の光路長を延長することができる。場合によっては、光路エクステンダ116は、VCSEL光源112と窓114との間に配置された高屈折率材料であってもよい。場合によっては、光路エクステンダ116は、窓114と一体化することができる。場合によっては、光路エクステンダ116は、
図2に関してより詳細に説明するように、例えば、底面発光(フリップチップ)VCSEL光源の基板として、VCSEL光源112と一体化することができる。
【0026】
光路エクステンダ116は、
図3A~
図3Bに関してより詳細に説明するように、VCSEL光源112と窓114との間を進行する光の方向を変化させて、折り畳まれた経路を生成するように構成された、1つ以上の方向転換特徴部を含むことができる。追加的又は代替的に、光路エクステンダ116は、
図4A~
図4Bに関してより詳細に説明するように、それを通って進行する光に運動量依存伝達関数を適用することによって、光近接センサ内の幾何学的経路の延長を模擬するように構成されたフォトニック構成要素を含むことができる。
【0027】
上記のように、光近接センサ110を使用して、オブジェクト104までの距離d及び/又はオブジェクト104の速度vを判定することができる。例えば、一実施形態では、波長変調を光近接センサ110によって使用して、光近接センサ110に対するオブジェクト104までの距離d及びオブジェクト104の速度vを同時に検出することができる。波長変調は、VCSEL光源112に供給される駆動電流を変調することによって達成することができる。
【0028】
1つの例示的な波長変調は、「アップサイクル」(VCSEL光源112に供給される電流及びそれに応じてそこから放出される放射ビームの波長が特定の速度で直線的に増加する)及び「ダウンサイクル」(VCSEL光源112に供給される電流及びそこから放出される放射ビームの波長が同じ特定の速度で直線的に減少する)を含む三角波を活用する。この実施例では、波長のうねりは、オブジェクト104が実際に移動しているかどうかに関わらず、光近接センサ110に向かう、及び光近接センサ110から離れる、オブジェクト104の動きを効果的に模擬することができる。これらの実施例では、自己混合干渉効果によって影響を受ける、VCSEL光源112からの電力出力の周波数成分は、以下に提示される式2によって説明することができる。
【0029】
より具体的には、(以下の)式2では、量ftは、光近接センサ110のVCSEL光源112が波長λで光を放出しているときに、光近接センサ110のVCSEL光源112からの電力出力が特定の時間tにおける自己混合の結果として変調される、周波数を示す。量ftは、ベースバンド周波数又は中間周波数(intermediate frequency、IF)を示すことができ、これは、典型的には、光キャリア周波数(波長)及びその変調よりも数桁低く、無線周波数電子機器によって容易にサンプリングされる。
【0030】
オブジェクトまでの絶対距離d(総往復距離drtの半分に等しい)が変化すると、時間tにおけるVCSEL光源112によって受光された光は、同じ時間tにおけるVCSEL光源112によって放出された光とは異なる波長を有することになり、これは、2つのビームの波長が、波長の経時的な変化速度dλ/dtに以前に放出された光がVCSEL光源112からオブジェクトまで及び戻りの往復距離drtを横断するために必要な総往復飛行時間を掛けたものに関連する量だけ異なるためであることを理解することができる。
【0031】
このようにして、VCSEL光源112からの電力出力は、三角波(例えば、dI/dtの速度でVCSEL光源112に注入された電流)に従う。加えて、VCSEL光源112からの電力出力は、特定の方法で互いに干渉する光の異なる波長から生じる建設的又は破壊的干渉の効果に対応する、その三角波に重ね合わされた干渉信号を有する。
【0032】
より具体的には、重ね合わされた干渉は、オブジェクトまでの絶対距離、又は、より具体的には、オブジェクトまで及びオブジェクトから進行するのに必要な往復時間に基づいて、かつ波長の変化速度dλ/dt(これは、次に、VCSEL光源112に注入される電流の変化速度dI/dtに基づく)に基づいて決定される、光の2つの特定の波長の間で発生する、建設的及び破壊的干渉「モード」遷移の数(例えば、ビート周波数とも呼ばれる)に対応する。
【0033】
別の言い方をすると、時間t0にVCSEL光源112から放出される光の波長は、波長の変化速度dλ/dtによって決定される量だけ、時間t1にVCSEL光源112から放出された光の波長とは異なる。このようにして、(変化速度dλ/dtに基づいて)異なる波長の光が異なる時間に放出されるため、特定の波長が放出された時間に基づいて、異なる波長の光がVCSEL光源112内で受光されることになる。
【0034】
したがって、一般的かつ広義には、VCSEL光源112からの電力出力の周波数成分(例えば、量ft)が、VCSEL光源112とオブジェクト104を分離するOPLに直接関連することを理解することができる。
【0035】
更に、量ftは、オブジェクト104の速度vから生じる1つ以上のドップラー効果の結果として、増加又は減少することができることを理解することができる。例えば、オブジェクト104が光近接センサに向かって(例えば、放出されたビームの伝搬方向に平行に)移動している場合、周波数ftは、増加することができる。あるいは、オブジェクト104が光近接センサから離れて(例えば、放出されたビームの伝搬方向に平行に)移動している場合、周波数ftは、減少することができる。
【0036】
上記で参照した値を関連付ける式2は、以下の式に従う。
【数2】
【0037】
より一般的な形態では、オブジェクト104の動きの方向、又はより具体的には、放出されたビームの伝搬方向に対するオブジェクト104の動きの角度θもまた考慮することができる。このより一般的な形態を表す式3は、以下の式に従う。
【数3】
【0038】
式2又は式3のいずれかを使用すると、drt/2によって表されるオブジェクト104までの距離及びそのオブジェクト104の速度vは、三角形変調波形のアップサイクル及びダウンサイクル中のVCSEL光源によって消費される電力の周波数成分の1つ以上の特性を監視することによって、容易に判定することができることを理解することができる。鋸歯変調波形において、vは、連続サイクル間の時間的及び/又はスペクトルの位相変化から導出することができる。以下の特定の実施形態を参照して説明するように、VCSEL光源から得られたこれらの測定値は、補助VCSEL光源から得られた同様の測定値に応じて、較正、調整、又は他の方法で修正することができる。ftは、特定のサンプリング周波数又は帯域幅fsでサンプリングすることができることが留意される。結果として、[0,fs]ドメインの外のftの任意の値は、[0,fs]ドメインに折り畳まれ、又は反射して戻されることになり、式2は、それに応じて調整されることになる。
【0039】
本明細書に提示される実施形態は、式3のdrtは、同様の又はより薄い光学深さtにより増加させることができ、これにより、より高い無線周波数に向かう測定されたftのシフトをもたらす。支配的な低周波数ノイズフロアから(例えば、低周波数ドライバ、レーザー及び検出器ノイズ、並びに/又は非線形性残余から)離れるftの移動により、より薄いデバイスフォームファクタに加えて、より高い検出信号対雑音比、より広い空間感知範囲、及びより良好な空間感知精度が可能になる。
【0040】
多くの実施形態では、光近接センサ110は、三角波変調を活用して、VCSEL光源(又はVCSELのアレイ)から距離及び速度情報の両方を取得するように構成されているが、これは単に一実施例であり、他の構成及び変調技術を使用することができることを理解することができる。
【0041】
VCSEL光源(単数又は複数)112は、基板又は半導体ダイ上に形成されたVCSEL光源であってもよい。例示及び説明を簡単にするために、例示される実施形態は、これらの要素の多くを省略しており、これらの要素は、本明細書に提示される他の図を参照してより詳細に説明する。多くの場合、thte VCSEL光源112は、損傷を防止するために、保護エンクロージャ、ポッティング、又はカプセル化(電子デバイス102の任意のハウジング又はエンクロージャを含む)内に配置されている。
【0042】
光近接センサ110のVCSEL光源(単数又は複数)112は、パターン又はアレイに形成することができるが、これは、必要とされない場合がある。光近接センサ110のVCSEL光源(単数又は複数)112は、任意の数の好適な材料又は材料の組み合わせから形成することができる。例示的な一実施形態では、光近接センサ110のVCSEL光源(単数又は複数)112は各々、限定又は明確な要件ではなく、第1の分布ブラッグ反射体層と、放出開口を画定する酸化物層と、多量子井戸構造体と、第2の分布ブラッグ反射体層と、などを含む。他の実施例では、追加の又はより少ない層が必要であってもよい。
【0043】
任意の静止又はポータブル電子デバイスは、本明細書に記載されるような光近接センサを組み込むことができる。例示的な電子デバイスとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:携帯電話デバイス、タブレットデバイス、ラップトップデバイス、デスクトップコンピュータ、コンピューティングアクセサリ、周辺機器入力デバイス、家庭用又は業務用ネットワークデバイス、航空、海上、海底、若しくは地上車両制御デバイス又はネットワークデバイス、携帯型エンターテイメントデバイス、拡張現実デバイス、仮想現実デバイス、産業用制御デバイス、デジタルウォレットデバイス、家庭用又は業務用セキュリティデバイス、ウェアラブルデバイス、ヘッドマウントデバイス、ハンドヘルドコントローラ、健康又は医療デバイス、埋め込み型デバイス、衣類組み込みデバイス、ファッションアクセサリデバイス、家庭用又は産業用機器、メディア機器、など。
【0044】
同様に、光近接センサ110は、多くの好適な目的のために電子デバイスによって活用することができる。例示的な目的としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:電子デバイスの入力表面又は構成要素に対するユーザの指(又はスタイラスなどの他のオブジェクト)の距離及び速度を検出すること、電子デバイスの入力表面又は構成要素に対するユーザの身体(又は任意の他のオブジェクト)の距離及び速度を検出すること、力の印加によって(例えば、ユーザ又はスタイラスなどの他のオブジェクトによって)引き起こされる変形による電子デバイスのハウジングの表面のたわみを検出すること、など。
【0045】
同様に、光近接センサ110は、任意の数の好適な光路エクステンダ、レンズ、又はビーム成形要素を含むことができる。例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:反射体、ミラー、半透明レンズ窓、透明レンズ窓、凹レンズ、凸レンズ、傾斜レンズ、マイクロレンズ、マクロレンズ、コリメータ、偏光子、カラーフィルタ、赤外線カットフィルタ、赤外線透過フィルタ、光ファイバケーブル、など。
【0046】
多くの実施形態では、光近接センサ110は、プラスチック材料又はアクリル材料から形成された構成要素エンクロージャを含み、ガラス及び金属を含む他の導電性又は非導電性/絶縁材料も好適であり得る。構成要素エンクロージャは、単一の材料から形成することができ、又は代替的に、好適な様式で(例えば、接着剤、溶接などによって)一緒に接合された異なる材料の複数の層若しくは領域から形成することができる。
【0047】
光近接センサ110の構成要素エンクロージャは、不透明若しくは透明であってもよく、又は透明領域及び不透明領域を含むことができる。構成要素エンクロージャは、1つ以上の反射エリア又は領域を含むことができる。
【0048】
多くの実施形態では、構成要素エンクロージャは、構成要素エンクロージャを介して画定された、又は構成要素エンクロージャ内に形成された開口内に配置された、レンズ114又は窓を含む。典型的には、レンズ又は窓は、VCSEL光源112の真上に配置されており、かつそれと整列している。この構成の結果として、VCSEL光源112から放出/放射される光ビームは、光近接センサ110の構成要素エンクロージャから外向きに伝搬することができる。この構成の追加の結果として、オブジェクト104の表面から反射することができる放出/放射されたビームの1つ以上の反射は、VCSEL光源112によって受光することができる。
【0049】
多くの実施形態では、光近接センサ110はまた、VCSEL光源112に隣接して配置された、又はVCSEL光源112に一体化された、1つ以上のフォトダイオードを含む。これらの実施例では、光近接センサ110(又はより具体的には、光近接センサ110の、若しくはそれに通信可能に結合された、回路又はプロセッサ)は、フォトダイオードからの電力出力を監視して、VCSEL光源112のその電力出力のビート周波数などの1つ以上の性能特性を判定することができる(例えば、式2及び3を参照)。しかしながら、この前述の実施例は単に一実施例であり、VCSEL光源による電力出力及び/又は電力消費を監視及び/又は測定することは、多数の好適な方法で実行することができることを理解することができる。
【0050】
本明細書に記載の他の実施形態と同様に、VCSEL光源112は、光近接センサ110の構成要素エンクロージャから外向きにレーザー光ビームを放出するように構成することができる。図示の実施形態では、VCSEL光源112は、電子デバイス102のハウジングの縁部に対して概ね垂直な方向に光を放出/放射するように向けられている。しかしながら、これは単に一実施例であり、他の放出若しくは放射方向が可能である、又は更に好ましいこと(例えば、デバイスハウジングの縁部に対して横方向の対象速度を判定すること)を理解することができる。
【0051】
本明細書に記載の他の実施形態と同様に、VCSEL光源112は、オブジェクト104から放出/放射されたビームの反射を受光するように更に構成されている。この反射は、VCSEL光源112内の自己混合干渉をもたらすことができ、これにより、次に、VCSEL光源112の電力出力に影響を与えることができる。したがって、(例えば、上述したようになど、フォトダイオードの出力を監視することによって)VCSEL光源112の電力出力を監視することを使用して、放出ビームの光軸に沿ったオブジェクト104の距離d及び速度vを判定及び/又は計算することができる。(例えば、式2及び3を参照)
【0052】
光近接センサ110及び電子デバイス102は、任意の好適な様式で通信可能に又は機能的に結合することができる。より具体的には、光近接センサ110は、任意の好適なデジタル若しくはアナログ形態又は形式に準拠して、任意のプロトコルに従って、任意の好適な様式で、距離及び/又は速度情報(VCSEL光源112の自己混合に基づいて計算又は別の方法で判定される)を電子デバイス102のプロセッサ又はシステムに通信するように構成することができる。
【0053】
更に、上記のように、電子デバイス102は、静止及びポータブル電子デバイスの両方を含む任意の好適な電子デバイスであってもよい。一実施形態では、電子デバイス102は、スマートウォッチなどのウェアラブル電子デバイスである。この実施例では、電子デバイス102は、光近接センサ110を活用して、ユーザが電子デバイス102と相互作用している間に、そのユーザ(オブジェクト104によって表される)までの距離及びそのユーザの速度を判定することができる。例えば、電子デバイス102は、光近接センサ110から送信された信号を活用して、ユーザがスマートウォッチを装着している、又はスマートウォッチをユーザの顔に向かって向けているかを判定することができる。
【0054】
より具体的には、いくつかの実施形態では、電子デバイス102は、ユーザが距離閾値又は速度閾値などの1つ以上の閾値を交差する必要があると判定すると、機能を実行するように構成することができる。そのような閾値は、可変又は固定であってもよく、電子デバイス102のメモリによって設定されてもよく、かつ/又はその中に記憶されてもよい。いくつかの実施例では、閾値は、ユーザ設定、アプリケーション設定、又はオペレーティングシステム設定若しくは動作モードに基づくことができる。他の場合では、そのような閾値は、少なくとも部分的に、電子デバイス102のプロセッサによって実行又はインスタンス化された特定のアプリケーションに基づくことができる。例えば、電話アプリケーションに関連付けられた閾値セットは、ゲームアプリケーションに関連付けられた閾値セットとは異なってもよい。任意の好適な形態又は形式で記憶又はアクセスされる任意の好適な閾値又は閾値セットを使用して、光近接センサ110から受信された信号に応じて、電子デバイス102の1つ以上の挙動を通知することができることを理解することができる。
【0055】
特定の一実施形態では、電子デバイス102は、ユーザが電子デバイス102から離れた遠い距離であると判定すると、電子デバイス102のスクリーンを無効化することができる。
【0056】
別の特定の実施形態では、電子デバイス102は、ユーザの距離及び速度に基づいて、電子デバイス102のディスプレイ又は電力の設定を修正することができる。例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されなくてもよい:ユーザがディスプレイを覆っているという光近接センサ110からの信号を受信すると、ディスプレイ又は表示領域の輝度を減少させること、ユーザがディスプレイを覆っているという光近接センサ110からの信号を受信すると、ディスプレイの輝度を増加させること、ユーザがディスプレイの近くの指をホバリングしているという光近接センサ110からの信号を受信すると、グラフィカルユーザインタフェースのユーザインタフェース要素(例えば、リストのアイテム、ボタンなど)を強調表示すること、ユーザが電子デバイス102の入力構成要素(例えば、回転入力デバイス、プッシュボタン入力デバイス、タッチ入力デバイスなど)の近くの指をホバリングしているという光近接センサ110からの信号を受信すると、グラフィカルユーザインタフェースのユーザインタフェース要素を強調表示又は別の方法で修正すること、など。
【0057】
別の実施形態では、電子デバイス102は、光近接センサ110から受信した干渉信号を活用して、ユーザの生体情報(例えば、ユーザの心拍数パターン、血圧、呼吸、咀嚼、発話、ジェスチャ、及び移動など)を監視及び/又は認証することができる。別の実施形態では、電子デバイス102は、光近接センサ110から受信した干渉信号を活用して、特定の物質、粒子数、表面テクスチャ、表面下テクスチャなどを含むがこれらに限定されない、対象特性を測定することができる。
【0058】
別の実施形態では、電子デバイス102は、携帯電話などのポータブル電子デバイスであってもよい。これらの実施例では、電子デバイス102は、光近接センサ110から受信した速度又は距離信号を活用して、電子デバイスのユーザが携帯電話をユーザの耳まで持ち上げるときに、電子デバイス102のタッチ感知ディスプレイを無効化又は有効化するための適切な時間を判定することができる。
【0059】
別の実施形態では、電子デバイス102は、光近接センサ110から受信した速度又は距離信号を活用して、電子デバイス102が落下している、又は表面に切迫して影響を与えるかを判定することができる。
【0060】
別の実施形態では、電子デバイス102は、車両アクセサリ又はアタッチメントであってもよい。これらの実施例では、電子デバイス102は、光近接センサ110から受信した速度又は距離信号を活用して、別の車両、歩行者、又は道路障害物までの距離、及び/又はその速度を判定することができる。
【0061】
別の実施形態では、電子デバイス102は、電子デバイス102の入力/出力通信ポート又は電力ポート内に、光近接センサ110などの光近接センサを配置することができる。これらの実施例では、電子デバイス102は、光近接センサ110から受信した速度又は距離信号を活用して、ケーブルがポート内に適切に取り付けられているかどうか、ケーブルが過度に迅速に、又は電子デバイス102に損傷を引き起こし得る方法で取り外されているかどうか、などを判定することができる。
【0062】
前述の例示的な実施形態は、網羅的ではなく、本明細書に記載されるような光近接センサを電子デバイスによって任意の好適な様式で活用して、電子デバイスに対する既知若しくは未知のオブジェクト又は表面の距離及び/又は速度を判定することができることを理解することができる。
【0063】
例えば、いくつかの実施形態では、電子デバイスは、本明細書に記載されるような、2つ以上の光近接センサを含むことができる。別の実施例では、電子デバイスは、ラインなどのパターンに配置された光近接センサのアレイを含むことができる。
【0064】
多くの場合、本明細書に記載されるような光近接センサは、電子デバイスのハウジング内に配置して、ハウジングによって画定される透明な開口と整列することができるが、これは、必要でなくてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、光近接センサは、ディスプレイの背後に配置することができる。他の場合には、光近接センサは、電子デバイスのハウジング内に完全に配置することができる。これらの実施例では、光近接センサを使用して、ユーザが意図的な力をその表面に加えることから生じ得る、電子デバイスの表面のたわみ又は変形を検出することができる。例えば、一実施形態では、光近接センサは、ディスプレイの背後に、電子デバイスのハウジング内に完全に配置される。この実施例では、電子デバイスのユーザがディスプレイに力を加えると、ディスプレイは、変形又は屈曲して、ディスプレイと光近接センサとの間の距離を短縮することができる。次に、光近接センサは、このたわみを検出及び測定することができ、これは、電子デバイスのプロセッサ及び/又は光近接センサのプロセッサによって力入力の大きさに相関させることができる。
【0065】
本明細書に記載されるように、本明細書で説明する光路エクステンダは、様々な方法のいずれかで光近接センサの光路長を延長することができる。場合によっては、光路エクステンダは、高屈折率材料であってもよい。
図2は、VCSEL光源212と一体化された光路エクステンダ216を有する例示的な光近接センサ210を示す。光近接センサ210は、本明細書で説明する光近接センサ(例えば、光近接センサ110)と同様であってもよく、VCSEL光源212、窓214、及びエンクロージャ230を含む、同様の構造及び/又は機能を有することができる。光近接センサ210は、光近接センサを通る光路を延長するように構成された光路エクステンダ216を含むことができる。光路エクステンダ216は、高屈折率材料を含む基板であってもよい。好適な高屈折率材料の例としては、ガリウムヒ素、窒化ガリウム、ガラス、ポリマー、化学コーティングなどが挙げられる。
【0066】
場合によっては、光路エクステンダ216は、VCSEL光源212の基板又は別の構成要素であってもよい。
図2に示す実施形態では、VCSEL光源212は、フリップチップVCSELであり、これは、光が、VCSELチップが形成された基板232を通って上方に発射することを意味する。基板232は、基板232が光路エクステンダ216の少なくとも一部を形成するように、ガリウムヒ素などの高屈折率材料で形成することができる。
【0067】
多くの従来のフリップチップVCSELでは、この基板は、チップの厚さを低減するために、製造後に薄膜化される(例えば、0.4mm、0.1mm、又はそれ未満まで)。
図2の実施形態では、基板232は、VCSEL波長で厚さにわたって最小限の光損失を有するように設計されており、薄膜化されていない、又は従来のVCSELほど薄膜化されていない。これにより、光が光路エクステンダ216の高屈折率材料を通って進行する、光近接センサの幾何学的経路の割合を増加させることによって、光近接センサ210の光路長を更に延長することができる。場合によっては、基板232は、0.25mm~2mm、0.4mm~1mm、0.6mm~0.8mmなどの厚さtを有する。基板232は、1.5~4.5、3~4、3.2~4.8などの屈折率を有することができる。結果として、光路長は、基板232の厚さの2.5~5倍、基板232の厚さの3~4.5倍などであってもよい。
【0068】
上記のように、本明細書で説明する光路エクステンダは、光近接センサの光路に沿って進行する光の方向を変化させるように構成された1つ以上の方向転換特徴部を含むことができる。
図3A及び
図3Bは、光近接センサの光路長を増加させるための方向転換特徴部を含む例示的な光近接センサ310a、310bを示す。光近接センサ310a、310bは、本明細書で説明する光近接センサ(例えば、光近接センサ110、210)と同様であってもよく、VCSEL光源312、窓314、光路エクステンダ316a、316b、及びエンクロージャ330を含む、同様の構造及び/又は機能を有することができる。
【0069】
図3Aを参照すると、光路エクステンダ316aは、光路エクステンダを通って延びる光路334aを画定することができる。
図3Aに示すように、光路334aの長さは、光路エクステンダ316aの厚さtよりも著しく長くてもよく、それによって、厚さtよりも大きい光路エクステンダを通る光路長をもたらすことができる。上記のように、光路長は、厚さtの2.5~5倍、厚さtの3~4.5倍などであってもよい。
【0070】
上記のように、光路エクステンダ316aは、光路334aが光路エクステンダ316aを通って延びる際に光路334aの方向を1回以上変化させるための方向転換特徴部を含むことができる。例えば、
図3Aでは、光路334aは、2回、方向を変化させる。光路エクステンダ316aは、光路の方向を変化させるために、ミラー340a、340b又は他の好適な方向転換特徴部を含むことができる。光路エクステンダ316aは、光路エクステンダ316aの中及び外に光を向けるために、光学特徴部342a、342bなどの追加の光学特徴部を含むことができる。光学特徴部342a、342bは、コリメータ、レンズなどを含むことができる。様々な実施形態では、ミラー340a、340bは、
図3Aに示されるように、平坦、かつ/又は互いに平行である必要はない。この向きの自由度により、光路エクステンダのものを超える追加のビーム指向及び成形機能を可能にすることができる。
【0071】
光路エクステンダ316aを通る光路334aは、2回、方向を変化させるが、様々な実施形態では、光路は、任意の回数、方向を変化させることができる。
図3Bを参照すると、光路エクステンダ316bは、光路エクステンダを通る光路334bを画定することができる。光路334aと同様に、光路334bの長さは、光路エクステンダ316bの厚さtよりも著しく長くてもよく、それによって、厚さtよりも大きい光路エクステンダを通る光路長をもたらすことができる。場合によっては、光路エクステンダ316bを通る光の方向転換は、光路エクステンダ316bの表面からの内部全反射(又はほぼ内部全反射)の結果として生じてもよい。
【0072】
場合によっては、光路エクステンダ316a、316bは、追加的又は代替的に、光路エクステンダを通る光路長を更に増加させるために、ガラス、ポリマー、化学コーティングなどを含む高屈折率材料を含むことができる。光路エクステンダ316a、316bの方向転換特徴部及び光学特徴部は、任意の好適な光路エクステンダ、レンズ、又はビーム成形要素を含むことができる。例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:反射体、ミラー、半透明レンズ窓、透明レンズ窓、凹レンズ、凸レンズ、傾斜レンズ、マイクロレンズ、マクロレンズ、コリメータ、偏光子、カラーフィルタ、赤外線カットフィルタ、赤外線透過フィルタ、光ファイバケーブル、など。本明細書に記載の光路エクステンダの材料(単数又は複数)は、干渉感知を有利にするために、高スループット、低拡散若しくはヘイズ、低色分散、及び/又は他の光学的、機械的、かつ/若しくは化学的特性のために選択又は設計することができる。
【0073】
上記のように、本明細書で説明する光路エクステンダは、光近接センサ内の幾何学的経路の延長を模擬するように構成されたフォトニック構成要素を含むことができる。
図4A及び
図4Bは、光近接センサの光路長を増加させるためのフォトニック構成要素416a、416bを含む例示的な光近接センサ410a、410bを示す。光近接センサ410a、410bは、本明細書で説明する光近接センサ(例えば、光近接センサ110、210、310a、310b)と同様であってもよく、VCSEL光源412、窓414、及びエンクロージャ430を含む、同様の構造及び/又は機能を有することができる。
【0074】
フォトニック構成要素416a、416bは、VCSEL光源412と窓414との間に配置することができ、フォトニック構成要素を通過する光に伝達関数を適用して、フォトニック構成要素の厚さよりもかなり長い長さにわたって光を効果的に伝搬させるように構成することができる。場合によっては、各フォトニック構成要素416a、416bは、それを通過する光に運動量依存伝達関数を適用する。フォトニック構成要素416a、416bは、フォトニクス構成要素の厚さよりも長い光路長を有する異なる媒体を通る光の伝搬を説明するフーリエ伝達関数を再現することができる。フォトニック構成要素416a、416bは、フォトニック構成要素416a、416bを出る光線がそれらの対応する入射光線と平行であるように、光の伝搬角度を保つことができる。
【0075】
様々な実施形態では、フォトニック構成要素416a、416bは、様々な方法で実装することができる。場合によっては、
図4Aに示すように、フォトニック構成要素416aは、背景媒体の屈折率以下の屈折率を有する平行平面板であってもよい。場合によっては、フォトニック構成要素416aは、方解石結晶などの一軸フォトニック結晶スラブを含み、その軸は、その入口面及び出口面に垂直に向けられている。場合によっては、
図4Bに示すように、フォトニック構成要素416bは、異なる厚さを有する複数の層を有するメタマテリアルである。メタマテリアルは、ケイ素及び二酸化ケイ素から形成された交互層を含むことができる。
【0076】
前述の実施例は、網羅的ではない。一般的かつ広義には、電子デバイスは、任意の好適な目的又は機能のために、本明細書に記載されるような1つ以上の光近接センサを活用することができることを理解することができる。例えば、
図5Aは、本明細書に記載されるような光近接センサ510に対するオブジェクト504までの距離d及び/又はオブジェクト504の速度を測定するように構成された電子デバイス502の概略
図500aを示す。この例示的な実施形態では、光近接センサ510は、光近接センサ510から放出された光を角度θに方向転換するビーム成形レンズを含むことができる。このようにして、かつこの構成の結果として、電子デバイス502及び光近接センサ510は、複数の方向の又は複数の軸に沿った速度(例えば、v
x及びv
y)を判定することができる。このようにして、1つ以上の追加の光近接センサと一緒に(任意選択的に)、電子デバイス502は、多軸速度及び距離を判定することができる。
【0077】
更に他の実施形態は、他の方法で実装されてもよい。例えば、
図5Bは、光近接センサ510を活用して、可撓性表面508までの距離d及びその可撓性表面508の1つ以上の変形又はたわみの速度vを測定するように構成された、電子デバイス502の概略
図500bを示す。このようにして、かつこの構成の結果として、可撓性表面508のたわみは、電子デバイス502によって定量化することができる。
【0078】
これら及び関連する実施例を更に詳しく説明すると、
図6A~
図6Dは、本明細書に記載されるような光近接センサの様々な例示的な使用事例を描写するために提示されている。これらの図は、スマートウォッチなどのウェアラブル電子デバイスを示すが、これは単に一実施例であることを理解することができる。本明細書に記載されるような光近接センサは、任意の好適な電子デバイスに組み込んで、任意の好適な目的のために活用することができる。
【0079】
例えば、
図6Aは、(例えば、リストバンド604を介して)ユーザによって装着することができる、ハウジング602を含むウェアラブル電子デバイス600を示す。この実施例では、光近接センサ606は、ハウジング602内に含まれて、ユーザが相互作用することができるグラフィカルユーザインタフェース608aを画定するディスプレイ608の周辺又はベゼル領域に対して配置することができる。この構成の結果として、光近接センサ606は、入力構成要素612に対するユーザの指610の距離d及び/又は速度vを検出、測定、又は他の方法で判定するように構成し、かつ向けることができる。入力構成要素612は、以下を含むがこれらに限定されない任意の好適な入力構成要素であってもよい:回転入力構成要素(例えば、クラウン)、押しボタン入力構成要素、固体入力構成要素、など。
【0080】
この例示的な実施形態では、ウェアラブル電子デバイス600は、ユーザの指610が入力構成要素612に近づいていると判定すると、第1の機能を実行し、ユーザの指610が入力構成要素612から離れて去っている又は移動していると判定すると、第2の機能を実行し、ユーザの指610が入力構成要素612の近く又は入力構成要素612上にホバリングしていると判定すると、第3の機能を実行するようになど、構成することができる。これらの実施例は、網羅的ではなく、ウェアラブル電子デバイス600は、光近接センサによって判定されるように、入力構成要素612に対するユーザの指610の距離d及び/又は速度vに基づいて、任意の好適な機能又は動作を実行することができることを理解することができる。
【0081】
例えば、一実施形態では、ウェアラブル電子デバイス600は、入力構成要素612とユーザの指610との間の距離dの変化に応じて、グラフィカルユーザインタフェース要素608bの位置、特性、サイズ、色、又は他の品質を修正することができる。
【0082】
別の実施例では、
図6Bは、リストバンド604を介してユーザに結合するように構成されたハウジング602を含むウェアラブル電子デバイス600を示す。本明細書に記載されるような光近接センサ606は、グラフィカルユーザインタフェース608aをレンダリングするディスプレイ608の背後に配置することができる。一実施例では、光近接センサ606は、ディスプレイ608の画素間領域を通して光を放出するように構成されている。
【0083】
この実施例では、光近接センサ606は、ディスプレイ608及び/又はグラフィカルユーザインタフェース608aに対するユーザの指610の距離d及び/又は速度vを検出、測定、又は他の方法で判定するように構成し、かつ向けることができる。ディスプレイ608は、限定するものではなく、以下のものとして、又はそれらと共に実装することができる:タッチ感知スクリーン又はディスプレイ、力感知スクリーン又はディスプレイ、触覚出力表面、など。
【0084】
この例示的な実施形態では、本明細書に記載の他の実施形態と同様に、ウェアラブル電子デバイス600は、光近接センサによって判定されるような、ディスプレイ608に対するユーザの指610の距離d及び/若しくは速度v並びに/又はそれらの経時的な変化に基づいて、任意の好適な機能又は動作を実行するように構成することができる。
【0085】
別の実施例では、
図6Cは、リストバンド604を介してユーザに取り付けることができるハウジング602を含むウェアラブル電子デバイス600を示す。本明細書に記載されるような光近接センサは、ハウジング602内に配置することができる。この実施例では、光近接センサは、ディスプレイ608によってレンダリングされたグラフィカルユーザインタフェース608aに対してユーザの指610によって加えられる下向きの力から生じるディスプレイ608のたわみの距離d及び/又は速度vを検出、測定、又は他の方法で判定するように構成し、かつ向けることができる。ディスプレイ608は、
図6Bを参照して説明したのと同じ方法で構成することができ、この説明は繰り返さない。
【0086】
この例示的な実施形態では、本明細書に記載の他の実施形態と同様に、ウェアラブル電子デバイス600は、光近接センサによって判定されるような、ディスプレイ608に対するユーザの指610の距離d及び/若しくは速度v並びに/又はそれらの経時的な変化に基づいて、任意の好適な機能又は動作を実行するように構成することができる。多くの実施例では、ウェアラブル電子デバイス600は、ディスプレイ608のたわみの距離d及び/又は速度vのうちの少なくとも1つを力入力Fの大きさに相関させる、又は他の方法で変換するように構成することができる。
【0087】
更に別の実施例では、
図6Dは、リストバンド604を介してユーザに取り付けることができるハウジング602を含むウェアラブル電子デバイス600を示す。本明細書に記載されるような光近接センサ606は、ハウジング602の側壁に隣接してハウジング602内に配置することができる。より具体的には、この実施例では、光近接センサ606は、ユーザによって加えられる力Fから生じるハウジング側壁又はハウジングセクションのたわみの距離d及び/又は速度vを検出、測定、又は他の方法で判定するように構成し、かつ向けることができる。
【0088】
この例示的な実施形態では、本明細書に記載の他の実施形態と同様に、ウェアラブル電子デバイス600は、光近接センサによって判定されるような、ユーザの指610によって加えられる力Fの判定大きさ及び/又はその経時的な変化に基づいて、任意の好適な機能又は動作を実行するように構成することができる。
【0089】
図1~
図6Bに示される前述の実施形態、並びにそれらの様々な代替形態及びそれらの変形形態は、概して、説明の目的で、本明細書に記載されるような光近接センサの様々な可能な構造の理解を容易にするために提示される。しかし、本明細書に提示する具体的な詳細の中には、具体的に記載する実施形態又はその等価物の実践のために、必須でなくてもよいものがあることが当業者には明らかとなるであろう。
【0090】
図7は、本明細書に記載されるような近接センサを動作させる方法700の例示的な動作を示すフローチャートである。方法700は、(例えば、本明細書に記載されるようなVCSELに光学的に結合されたフォトダイオードの)出力信号の周波数成分が監視される動作702を含む。次に、動作704で、動作702の監視された周波数成分に基づいて、距離及び/又は速度情報を判定することができる。
【0091】
図8は、本明細書に記載の動作を実行することができる電子デバイス800のサンプル電気ブロック図を示す。電子デバイス800は、場合によっては、電子デバイス102、502、及び602、並びに/又は光近接センサ110、210、310、410、510、及び610を含む、
図1~
図7を参照して説明した電子デバイスのうちのいずれかの形態を取ることができる。電子デバイス800は、ディスプレイ812、処理ユニット802、電源814、メモリ804又は記憶デバイス、入力デバイス806、及び出力デバイス810のうちの1つ以上を含むことができる。場合によっては、電子デバイス800の様々な実装形態は、これらの構成要素のいくつか若しくは全てを欠くことができ、かつ/又は追加若しくは代替の構成要素を含むことができる。
【0092】
処理ユニット802は、電子デバイス800の動作のうちのいくつか又は全てを制御してもよい。処理ユニット802は、電子デバイス800の構成要素のうちのいくつか又は全てと、直接的又は間接的のいずれかで通信することができる。例えば、システムバス又は他の通信機構816は、処理ユニット802、電源814、メモリ804、入力デバイス(単数又は複数)806、及び出力デバイス(単数又は複数)810の間の通信を提供することができる。
【0093】
データ又は命令の処理、受信、又は送信が可能な任意の電子デバイスとして、処理ユニット802を実装することができる。例えば、処理ユニット802は、マイクロプロセッサ、中央演算処理装置(central processing unit、CPU)、特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuit、ASIC)、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor、DSP)、又はそのようなデバイスの組み合わせであってもよい。本明細書で説明するとき、用語「処理ユニット」は、単一のプロセッサ若しくは処理ユニット、複数のプロセッサ、複数の処理ユニット、又は他の好適に構成された演算素子(単数又は複数)を包含することを意図している。
【0094】
電子デバイス800の構成要素が、複数の処理ユニットによって制御されてもよいことを留意されたい。例えば、電子デバイス800の選択構成要素(例えば、入力デバイス806)は、第1の処理ユニットによって制御されてもよく、電子デバイス800の他の構成要素(例えば、ディスプレイ812)は、第2の処理ユニットによって制御されてもよく、第1及び第2の処理ユニットは、互いに通信していてもよく、又は通信していなくてもよい。
【0095】
電源814は、電子デバイス800にエネルギを提供することのできる任意のデバイスにより実装することができる。例えば、電源814は、1つ以上のバッテリ又は充電式バッテリであってもよい。追加的又は代替的に、電源814は、電子デバイス800を壁コンセントなどの別の電源に接続する電源コネクタ又は電源コードであってもよい。
【0096】
メモリ804は、電子デバイス800によって使用することができる電子データを記憶することができる。例えば、メモリ804は、例えば、オーディオファイル及びビデオファイル、文書及びアプリケーション、デバイス設定及びユーザの好み、タイミング信号、制御信号、並びにデータ構造又はデータベースなどの、電子データ又はコンテンツを記憶してもよい。メモリ804は、任意のタイプのメモリとして構成することができる。単に例として、メモリ804は、ランダムアクセスメモリ、読み出し専用メモリ、フラッシュメモリ、取り外し可能メモリ、他の種類の記憶素子、又はそのようなデバイスの組み合わせとして実装されてもよい。
【0097】
様々な実施形態では、ディスプレイ812は、例えば、電子デバイス800のオペレーティングシステム、ユーザインタフェース、及び/又はアプリケーション(例えば、チャットユーザインタフェース、問題追跡ユーザインタフェース、問題発見ユーザインタフェースなど)に関連付けられたグラフィック出力を提供する。一実施形態では、ディスプレイ812は、1つ以上のセンサを含み、ユーザからの入力を受け取るためのタッチ感知(例えば、シングルタッチ、マルチタッチ)及び/又は力感知ディスプレイとして構成されている。例えば、ディスプレイ812は、タッチセンサ(例えば、容量性タッチセンサ)及び/又は力センサと一体化されて、タッチ及び/又は力感知ディスプレイを提供することができる。ディスプレイ812は、電子デバイス800の処理ユニット802に動作可能に結合されている。
【0098】
ディスプレイ812は、液晶ディスプレイ(liquid crystal display、LCD)技術、発光ダイオード(LED)技術、有機発光ディスプレイ(organic light-emitting display、OLED)技術、有機電界発光(organic electroluminescence、OEL)技術、又は別の種類のディスプレイ技術を含むがこれらに限定されない、任意の好適な技術を使用して実装されてもよい。場合によっては、ディスプレイ812は、電子デバイス800のエンクロージャの少なくとも一部分を形成するカバーの下に配置されており、それを通して視認可能である。
【0099】
様々な実施形態では、入力デバイス806は、入力を検出するための任意の好適な構成要素を含むことができる。入力デバイス806の例としては、光センサ、温度センサ、オーディオセンサ(例えば、マイクロフォン)、光学若しくは視覚センサ(例えば、カメラ、可視光センサ、又は不可視光センサ)、近接センサ、タッチセンサ、力センサ、機械的デバイス(例えば、クラウン、スイッチ、ボタン、又はキー)、振動センサ、向きセンサ、動きセンサ(例えば、加速度計、又は速度センサ)、位置センサ(例えば、全地球測位システム(global positioning system、GPS)デバイス)、熱センサ、通信デバイス(例えば、有線又は無線通信デバイス)、抵抗センサ、磁気センサ、電気活性ポリマー(electroactive polymers、EAP)、ひずみゲージ、電極、など、又はそれらの何らかの組み合わせが挙げられる。各入力デバイス806は、1つ以上の特定のタイプの入力を検出し、検出された入力に対応する信号(例えば、入力信号)を提供するように構成することができる。信号は、例えば、処理ユニット802に提供することができる。
【0100】
上述したように、場合によっては、入力デバイス(単数又は複数)806は、タッチ感知ディスプレイを提供するために、ディスプレイ812と一体化されたタッチセンサ(例えば、容量性タッチセンサ)を含む。同様に、場合によっては、入力デバイス(単数又は複数)806は、力感知ディスプレイを提供するために、ディスプレイ812と一体化された力センサ(例えば、容量性力センサ)を含む。
【0101】
出力デバイス810は、出力を提供するための任意の好適な構成要素を含むことができる。出力デバイス810の例としては、光エミッタ、オーディオ出力デバイス(例えば、スピーカ)、視覚出力デバイス(例えば、ライト又はディスプレイ)、触知出力デバイス(例えば、触覚出力デバイス)、通信デバイス(例えば、有線又は無線通信デバイス)、など、又はそれらの何らかの組み合わせが挙げられる。各出力デバイス810は、1つ以上の信号(例えば、処理ユニット802によって提供される出力信号)を受信して、信号に対応する出力を提供するように構成することができる。
【0102】
場合によっては、入力デバイス806及び出力デバイス810は、単一のデバイスとして一緒に実装される。例えば、入力/出力デバイス又はポートは、無線及び/又は有線ネットワーク接続などの通信ネットワークを介して、電子信号を送信することができる。無線及び有線ネットワーク接続の例としては、セルラー接続、Wi-Fi(登録商標)接続、Bluetooth(登録商標)接続、IR接続、及びイーサネット接続が挙げられるが、これらに限定されない。
【0103】
処理ユニット802は、入力デバイス806及び出力デバイス810に動作可能に結合することができる。処理ユニット802は、入力デバイス806及び出力デバイス810と信号を交換するように適合することができる。例えば、処理ユニット802は、入力デバイス806によって検出された入力に対応する入力デバイス806からの入力信号を受信することができる。処理ユニット802は、受信された入力信号を解釈して、入力信号に応じて1つ以上の出力を提供及び/又は変更するかどうかを判定することができる。次いで、処理ユニット802は、出力信号を出力デバイス810のうちの1つ以上に送信して、必要に応じて出力を提供及び/又は変更することができる。
【0104】
本明細書で使用するとき、一連の項目に先行する「少なくとも1つ」というフレーズは、項目のいずれかを分離する「及び」又は「又は」という用語と共に、リストの各要素ではなく、全体としてリストを修飾する。「少なくとも1つ」というフレーズは、リスト化された各項目の少なくとも1つの選択を必要とはせず、むしろ、そのフレーズは、項目のうちのいずれかの最小1つ、及び/又は項目の任意の組み合わせのうちの最小1つ、及び/又は項目のそれぞれのうちの最小1つ、を含む意味を可能にする。例として、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つ」又は「A、B、又はCのうちの少なくとも1つ」というフレーズは、それぞれが、Aのみ、Bのみ、又はCのみ、A、B、及びCの任意の組み合わせ、並びに/又は、A、B、及びCのそれぞれのうちの1つ以上を指す。同様に、本明細書で提供される結合リスト又は分離リストのために提示される要素の順序は、本開示を提供されるその順序のみに限定するものとして解釈されるべきではないことを理解することができる。
【0105】
多くの実施形態を上記で開示してきたが、本明細書に記載の方法及び技術に関して提示した動作及び工程は、例示として意図されており、したがって、網羅的なものではないことが理解されるであろう。特定の実施形態において、代替的な工程の順序又はより少ない若しくは追加的な動作が必要とされる又は所望されてもよいことを更に理解することができる。
【0106】
上記の開示は、さまざまな例示的な実施形態及び実施態様に関して記載されているが、個々の実施形態の1つ以上で説明される様々な特徴、態様及び機能は、それらが記載された特定の実施形態に適用が限定されるものではないが、かかる実施形態が記載されているか否かにかかわらず、かつ、かかる特徴が記載された実施形態の一部として提示されているか否かにかかわらず、本発明の一部の実施形態のうちの1つ以上に、単独で又はさまざまな組み合わせで適用され得ることを理解されたい。したがって、本発明の広さと範囲は、上述した例示的実施形態のいずれによっても限定されず、むしろ本明細書で提示された特許請求の範囲によって画定される。
【外国語明細書】