(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022119777
(43)【公開日】2022-08-17
(54)【発明の名称】可変幾何学的形状のスラスタ
(51)【国際特許分類】
B64D 33/02 20060101AFI20220809BHJP
F02C 6/20 20060101ALI20220809BHJP
F02C 6/08 20060101ALI20220809BHJP
F02K 1/36 20060101ALI20220809BHJP
F15D 1/02 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
B64D33/02
F02C6/20
F02C6/08
F02K1/36
F15D1/02 Z
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022075954
(22)【出願日】2022-05-02
(62)【分割の表示】P 2019511446の分割
【原出願日】2017-08-24
(31)【優先権主張番号】62/379,711
(32)【優先日】2016-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/380,108
(32)【優先日】2016-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518073310
【氏名又は名称】ジェトプテラ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】アンドレイ・エブレット
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ビークルに結合された推進システムを提供する。
【解決手段】システムは、拡散構造と、ビークルによって生成される一次流体を、流路を通じて拡散構造に導入するように構成された導管部とを含む。流路は、壁面によって画定されており、拡散構造は、導入された一次流体のためのシステムからの出口を提供するように構成された終端部を備える。狭窄部材が、壁面に隣接して配置される。作動装置が、狭窄部材に結合され、且つ壁面に向かって狭窄部材を押し進めるように構成され、それによって、流路の断面積を低減させている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビークルに結合された推進システムであって、前記システムは、
拡散構造と、
前記ビークルによって生成される一次流体を、第1の流路を通じて前記拡散構造に導入するように構成された導管部と、前記第1の流路は、第1の壁面によって画定されており、ここにおいて、前記拡散構造は、前記導入された一次流体のための前記システムからの出口を提供するように構成された終端部を備え、
前記第1の壁面に隣接して配置された第1の狭窄部材と、
前記第1の狭窄部材に結合され、且つ前記第1の壁面に向かって前記第1の狭窄部材を押し進めるように構成され、それによって、前記第1の流路の断面積を低減させる作動装置と
を備える、システム。
【請求項2】
前記作動装置は、
前記第1の狭窄部材に係合するように構成され、且つ並進的に動くように構成された第1の並進構成要素と、
前記第1の並進構成要素に結合され、且つ回動するように構成された第1の回転構成要素と
を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記導管部は、前記一次流体を第2の流路を通じて前記拡散構造に導入するように更に構成され、前記第2の流路は、第2の壁面によって画定されており、
前記システムは、前記第2の壁面に隣接して配置された第2の狭窄部材を更に備え、これにより、前記作動装置は、前記第2の狭窄部材に結合され、且つ前記第2の壁面に向かって前記第2の狭窄部材を押し進めるように構成され、それによって、前記第2の流路の断面積を低減させており、
前記作動装置は、
前記第2の狭窄部材に係合するように構成され、且つ並進的に動くように構成された第2の並進構成要素と、
前記第2の並進構成要素に結合され、且つ回動するように構成された第2の回転構成要素と、
前記第1及び第2の回転構成要素に結合され、且つ前記第1及び第2の回転構成要素を一緒に回動させるように構成されたレバー部材と
を更に備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記拡散構造に結合された凸面を更に備え、ここにおいて、前記導管部は、前記一次流体を前記第1の流路を通じて前記凸面に導入するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記一次流体は、ターボジェットによって生成される圧縮機の抽気を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記拡散構造は、前記ビークルのターボチャージャのタービンの下流に配置され、前記一次流体は、前記ターボチャージャの圧縮機によって供給される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
ビークルに結合された推進システムであって、前記システムは、
拡散構造と、
前記拡散構造に結合され、且つ前記ビークルがアクセス可能な二次流体を、前記拡散構造に導入するように構成された吸気構造と、前記吸気構造は、前記ビークルによって生成される一次流体を、流路を通じて前記拡散構造に導入するように構成された導管部を含み、前記流路は、壁面によって画定されており、ここにおいて、前記拡散構造は、前記導入された一次流体及び二次流体のための前記システムからの出口を提供するように構成された終端部を備え、
前記壁面に隣接して配置された第1の狭窄部材と、
前記狭窄部材に結合され、且つ前記壁面に向かって前記狭窄部材を押し進めるように構成され、それによって、前記流路の断面積を低減させる作動装置と
を備える、システム。
【請求項8】
前記作動装置は、
前記第1の狭窄部材に係合するように構成され、且つ並進的に動くように構成された第1の並進構成要素と、
前記第1の並進構成要素に結合され、且つ回動するように構成された第1の回転構成要素と
を備える、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記導管部は、前記一次流体を第2の流路を通じて前記拡散構造に導入するように更に構成され、前記第2の流路は、第2の壁面によって画定されており、
前記システムは、前記第2の壁面に隣接して配置された第2の狭窄部材を更に備え、これにより、前記作動装置は、前記第2の狭窄部材に結合され、且つ前記第2の壁面に向かって前記第2の狭窄部材を押し進めるように構成され、それによって、前記第2の流路の断面積を低減させており、
前記作動装置は、
前記第2の狭窄部材に係合するように構成され、且つ並進的に動くように構成された第2の並進構成要素と、
前記第2の並進構成要素に結合され、且つ回動するように構成された第2の回転構成要素と、
前記第1及び第2の回転構成要素に結合され、且つ前記第1及び第2の回転構成要素を一緒に回動させるように構成されたレバー部材と
を更に備える、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記拡散構造に結合された凸面を更に備え、ここにおいて、前記導管部は、前記一次流体を第1の流路を通じて前記凸面に導入するように構成される、請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
前記一次流体は、ターボジェットによって生成される圧縮機の抽気を備える、請求項7に記載のシステム。
【請求項12】
前記拡散構造は、前記ビークルのターボチャージャのタービンの下流に配置され、前記一次流体は、前記ターボチャージャの圧縮機によって供給される、請求項7に記載のシステム。
【請求項13】
一次流体供給源と、
拡散構造と、
前記供給源によって生成される一次流体を、第1の流路を通じて前記拡散構造に導入するように構成された導管部と、前記第1の流路は、第1の壁面によって画定されており、ここにおいて、前記拡散構造は、前記導入された一次流体のためのシステムからの出口を提供するように構成された終端部を備え、
前記第1の壁面に隣接して配置された第1の狭窄部材と、
前記第1の狭窄部材に結合され、且つ前記第1の壁面に向かって前記第1の狭窄部材を押し進めるように構成され、それによって、前記第1の流路の断面積を低減させる作動装置と
を備えるビークル。
【請求項14】
前記作動装置は、
前記第1の狭窄部材に係合するように構成され、且つ並進的に動くように構成された第1の並進構成要素と、
前記第1の並進構成要素に結合され、且つ回動するように構成された第1の回転構成要素と
を備える、請求項13に記載のビークル。
【請求項15】
前記導管部は、前記一次流体を第2の流路を通じて前記拡散構造に導入するように更に構成され、前記第2の流路は、第2の壁面によって画定されており、
前記システムは、前記第2の壁面に隣接して配置された第2の狭窄部材を更に備え、これにより、前記作動装置は、前記第2の狭窄部材に結合され、且つ前記第2の壁面に向かって前記第2の狭窄部材を押し進めるように構成され、それによって、前記第2の流路の断面積を低減させており、
前記作動装置は、
前記第2の狭窄部材に係合するように構成され、且つ並進的に動くように構成された第2の並進構成要素と、
前記第2の並進構成要素に結合され、且つ回動するように構成された第2の回転構成要素と、
前記第1及び第2の回転構成要素に結合され、且つ前記第1及び第2の回転構成要素を一緒に回動させるように構成されたレバー部材と
を更に備える、請求項14に記載のビークル。
【請求項16】
前記拡散構造に結合された凸面を更に備え、ここにおいて、前記導管部は、前記一次流体を前記第1の流路を通じて前記凸面に導入するように構成される、請求項13に記載のビークル。
【請求項17】
前記ビークルは、ターボジェットを備え、前記一次流体は、前記ターボジェットによって生成される圧縮機の抽気を備える、請求項13に記載のビークル。
【請求項18】
ターボチャージャを更に備え、ここにおいて、前記拡散構造は、前記ターボチャージャのタービンの下流に配置され、前記一次流体は、前記ターボチャージャの圧縮機によって供給される、請求項13に記載のビークル。
【請求項19】
シリンダを更に備え、ここにおいて、前記拡散構造は、前記シリンダの上流に設置される、請求項13に記載のビークル。
【請求項20】
シリンダを更に備え、ここにおいて、前記拡散構造は、前記シリンダの下流に設置される、請求項13に記載のビークル。
【発明の詳細な説明】
【著作権表示】
【0001】
[0001]本開示は、米国著作権法及び国際著作権法の下で保護されている。(C)2017 Jetoptera。著作権所有。本特許文献の開示の一部分は、著作権保護を受ける資料を含む。著作権者は、特許文献又は特許開示が特許商標庁の特許ファイル又は記録に掲載されているので、何者かによるファクシミリ複製に異論を唱えないが、それ以外の場合は、如何なる著作権も全て留保する。
【優先権主張】
【0002】
[0002]本願は、2016年8月25日に出願された米国仮特許出願第62/379,711号、及び2016年8月26日に出願された米国仮特許出願第62/380,108号に対して優先権を主張し、それらの開示全体が、本明細書に完全に記載されているかのように参照により本明細書に援用される。
【参照による援用】
【0003】
[0003]2017年8月7日に出願された米国特許出願第15/670,943号、2017年7月19日に出願された米国特許出願第15/654,621号、2016年7月27日に出願された米国特許出願第15/221,389号、2016年7月27日に出願された米国特許出願第15/221,439号、及び2016年9月2日に出願された米国特許出願第15/256,178号は、本明細書に完全に記載されているかのように、それらの全体が参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0004】
[0004]エジェクタ/スラスタに供給される一次流体の流れが最適未満である状態では、スラスタ又はエジェクタの円形端部(the round ends)における動作は、非常に高性能なままであることが試験において実証されてきた。しかしながら、一次流体噴射器が急速な性能低下を被る場所は、スラスタの直線状の部分である。試験では、より低い流量に伴ってスラスタの効率が著しく低下したが、スラスタの両端からの、混合され引き込まれた(the mixed entrained)/一次流体の流出の速度の測定値が、低流量でも高いままであることを示した。1つの試験では、その出口平面の下流のエジェクタの約1つ分の長さでスラスタの円形端部の後方で測定された速度は、200mphを超過したままであった一方で、直線状又は線形の幾何学的形状に対応するスラスタの中央では、速度は100mph未満に低下した。これは、周囲空気の急速な引き込み(entrainment)及びそれとの混合を促進する、平行でない角度で出現した一次壁面噴流の相対的配向に加えて、スラスタの円形端部の構成及び特定の流れパターンによるものである一方で、線形部分から発生する壁面噴流は、互いに平行であり、より低い流量ではより効率が劣る。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】[0005]一実施形態による、固定幾何学的形状のスラスタの断面部分を例示する図。
【
図2】[0006]一実施形態による、可変幾何学的形状のスラスタの断面部分を例示する図。
【
図3】[0007]一実施形態による、可変幾何学的形状のスラスタの側面斜視図を例示する図。
【
図4】[0008]一実施形態による、可変幾何学的形状の構成要素の側面斜視図を例示する図。
【
図5】[0009]一実施形態による、完全に開いた状態にある可変幾何学的形状の構成要素の側面斜視図を示す図。
【
図6】[0010]一実施形態による、狭窄状態(constricting state)にある可変幾何学的形状の構成要素の側面斜視図を示す図。
【
図7】[0011]一実施形態による、可変幾何学的形状の構成要素及び一次流体流路の側面断面図を例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[0012]本願は、本発明の1つ又は複数の実施形態を説明するように意図される。「しなければならい(must)」、「こととなる(will)」等の絶対名辞、並びに具体的な数量の使用は、そのような実施形態の1つ又は複数に適用可能であると解釈されるべきであるが、必ずしもそのような実施形態全てに適用可能ではないことを理解されたい。従って、本発明の実施形態は、そのような絶対名辞との関連で説明される1つ又は複数の特徴又は機能性を省略し得、若しくはそれらの修正を含み得る。
【0007】
[0013]
図1は、拡散構造110を含む固定幾何学的形状のコアンダ型スラスタ100の断面部分を例示する。一次流体領域プレナム120のような導管部が、その幾何学的形状に固定され、プレナムによって供給される一次流体と、吸気構造130を介して導入される二次流体の引き込みとの局所的な状態を、一次流体送出の状態-例えば、圧力、流量、及び温度に恐らく完全に依存させる。スラスタ100の性能は、一次流体の上流供給に依存し、最良の引き込み及び最小限の損失に一致する状態において、制限された高効率(limited high efficiency)を有し得る。スラスタ100は、フリンジなしの固定されたシム140を含む。このような幾何学的形状は、一次流体の所定の流れの状態(flow condition)又は質量流量、圧力及び温度の組合せにおいて、理想的な性能を可能にし得る。
【0008】
[0014]一実施形態が、流れの状態に一致させるように、その一次流体導入状態を変更し得るコアンダスラスタを含み、それによって、
図1に関して説明された理想的な状態とは異なる状態において、より効率的に機能し、より高い引き込みを発生させる。
【0009】
[0015]具体的には、
図2は断面において、及び
図3は側面斜視図において、一実施形態による、
図1に例示されたスラスタ100に類似したコアンダ型スラスタ200を例示する。スラスタ200は、拡散構造210と、一次流体領域プレナム220のような導管部とを含む。その中で一次流体及び二次流体を混合するために、拡散構造210に、プレナム220は、一次流体を供給し、吸気構造230は、周囲空気のような二次流体を供給する。拡散構造210は、混合された一次流体及び二次流体のためのスラスタ200からの出口(egress)を提供するよう構成された終端部を備える。より具体的には、一実施形態では、プレナム220は、一次流体を凸状のコアンダ表面215に導入する。非限定的な例として、一次流体は、管路250のような一次流体供給源を介してプレナム220に送出される、ガス発生器からの加圧排出ガス又はターボジェットからの圧縮機の抽気から成る。スラスタ200は、本明細書において以下でより詳細に説明される流量制御装置240を更に含む。
【0010】
[0016]次に、
図4を参照すると、一実施形態では、プレナム220は、一次流体を一連の流路450を通じて拡散構造210に導入する。各流路450は、それぞれの壁面部分460によって少なくとも部分的に画定される。流量制御装置240は、壁面部分460のうちの対応する1つに隣接して配置された、シム440のような一連の狭窄部材(constricting elements)を含む。シム440は、動作の多数のサイクルに耐えるのに十分な柔軟性及び十分な薄さの金属材料から製造され得る。
【0011】
[0017]流量制御装置240は、シム440に結合された作動装置を更に含む。作動装置は、シム440をそれらの対応する壁面部分460に向かって押し進める(urge)ように構成され、それによって、各関連する流路450の断面積を低減させる。更に、作動装置は、シム440をそれらの対応する壁面部分460から能動的に引き離すように構成され得、それによって、各関連する流路450の断面積を増大させる。
【0012】
[0018]
図4に例示される実施形態では、作動装置は、一連の二次レバー410に結合された一次レバー400を含み、その各々は、対応する軸受筒(bushing)420に結合される。各軸受筒420は、順に、吸気構造230において形成されたねじ込みスロットと係合する対応するねじ込みピン430に結合される。各ピン430の先端部は、シムをそれらの対応する壁面部分460に向かって撓ませること(deflection)を可能にするように、シム440のうちの対応する1つに接している。
【0013】
[0019]
図5に示されるように、作動装置が完全に開いた状態にあるとき、シム440は、ピン430によって壁面460に向かって撓まされておらず、
図7に例示されるような位置700にある。結果として、流路450は、その最大の断面積にあり、それを通って拡散構造210に入る一次流体の流れは、狭窄が最小限となる。
【0014】
[0020]
図6に示されるように、力発生装置(図示せず)が、一次レバー400に所定の原動力を加えて、一次レバーを対応する所定の距離だけ水平に動かすとき、トルクが二次レバー410の各々に加えられる。この加えられたトルクに応じて、二次レバー410は回動し、それによって、壁面部分460に向かうピン430の先端部の並進運動を生じさせる。順に、シム440は、ピン430によって壁面部分460に向かって撓まされ、
図7に例示されるような位置710にある。結果として、流路450の断面積は低減され、それを通って拡散構造210に入る一次流体の流れは、所定の程度まで狭窄され、従って、加速される。更に、コアンダ効果及び引き込み率を制御する、エジェクタ200への壁面噴流の出現における一次流体の噴射速度は増加し、より低い流量でも高性能が維持される。
【0015】
[0021]速度の局所的な上昇は、ベルヌーイの定理により静圧を低下させ、周囲からより多く空気が引き込まれることを可能にし、一次質量流量、圧力、及び温度の同様の状態での固定幾何学的形状のスラスタと比較して、より大きい質量の流れをもたらす。
【0016】
[0022]例えば、100,000RPMにおいて、1000Kの温度及び2バールの圧力で1kg/秒の燃焼ガスを発生させ、これらの状態のために設計されたスラスタ-エジェクタに一次流体を供給するタービンガス発生器が、150lbfの推力を発生させる。しかしながら、85,000RPMの速度で作動する同じガス発生器は、950K及び1.4バールで僅か0.75kg/秒の燃焼ガスを発生させ、固定幾何学的形状の一次流体流路の性能により、100lbfへの推力低下が決定する。この主な理由は、より高い局所的な静圧を決定する、引き込み領域への一次流体の出現速度の減少であり、従って、より少ない引き込みが起こる。より高い局所的な一次流体の出現速度を決定するために、一次領域(primary area)を変化(低減)させること、及びベルヌーイの定理によるより低い静圧は、引き込み率および推力を120lbfに著しく増大させ、これは主に、引き込まれた空気の20%の増加によるものである。
【0017】
[0023]この問題に精通した人々にとって、一次流体噴流の等エントロピー膨張は、下記の理想的な推力値をもたらす:
【0018】
【0019】
[0024]ここで、
【0020】
【0021】
は、一次流体の質量流量であり、γは、比熱係数であり、Ruは、一般ガス定数であり、Tは、温度であり、一方、Pは、流れの周囲圧力及び全圧力に対応する圧力である。増大率(augmentation ratio)とは、手元の(at hand)それぞれのパラメータについて計算された、測定された推力と上記式との間の比率を指す。
【0022】
[0025]流路450の断面積を変化させる能力は、従って、有益であり、一次流体のある特定の状態(流量、温度、圧力)のみでの最適な動作のために設計された、さもなければ固定幾何学的形状のスラスタの全体的な性能を改善する。
【0023】
[0026]一実施形態では、シム440は、ステンレス鋼又は最大で1750Fまでの高温に耐え、依然として弾力性及び少なくとも2000サイクルの寿命を保持し得るその他任意の材料から製造され得る。
【0024】
[0027]流路450面積を低減させ、流れを最適化するためにピン430を動かすメカニズムは、その性質において機械的であり得る。しかしながら、他の作動メカニズムも用いられ得る。代替の実施形態では、マニホールド(図示せず)が、ピン430を作動させて、シム440を流れへと押し進めるように、圧縮機又はその他任意の高圧源などの供給源からの圧縮空気を供給するために用いられ得る。代替として、電動又は磁気アクチュエータ(図示せず)が、同じ機能を実行するために使用され得る。なお別の実施形態では、線形アクチュエータ及び半円形アクチュエータ(図示せず)を含むメカニズムが、スラスタの様々なセグメント又はスロットブロックの幾何学的形状における変化を可能にするために用いられ、それを手元の状態に適合させる。
【0025】
[0028]別の実施形態では、シム440を撓ませることは、メカニズムが全ての流路への流れを完全に塞ぐといったものであり得、流れを遮断し、ビークルの飛行の様々な段階における推力発生を中止させる。なお別の実施形態では、方向を変えた推力(vectored thrust)を発生させるために、一次スロットの一部分の選択的な遮断が用いられ、飛行しているビークルの着陸距離を低減させる。なお別の実施形態では、スラスタは、対称の配置においてテールシッターのバランスをとるために使用され(即ち、飛行機又は航空ビークル上に2つ以上のスラスタ)、シム440の作動は、ホバリング、離陸、又は着陸における航空機の姿勢制御を可能にする。なお別の実施形態では、フライングカーホバー(flying car hover)が、その姿勢/速度を制御するために、スラスタの可変幾何学的形状の機能を用いることによって拡張され、着陸、離陸、又は水平飛行のために使用され得る。
【0026】
[0029]上記の本文は、多数の異なる実施形態の詳細な説明を示しているが、保護範囲は、以下に示す特許請求の範囲の文言によって定められることが理解されるべきである。詳細な説明は、単なる例示であると解釈されるべきであり、全ての可能な実施形態を説明することは、不可能でないにしても、非実用的であるので、全ての可能な実施形態を説明しているわけではない。多数の代替の実施形態が、現在の技術、又は本特許の出願日より後に開発される技術のいずれかを使用して実装され得、それらも依然として特許請求の範囲内に含まれる。
【0027】
[0030]従って、多くの修正及び変形が、本特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書で説明及び例示された技法及び構造においてなされ得る。例えば、一実施形態では、スラスタ200は、吸気フィルタと出口胴体/気化器との間の誘導トラックと一体化され、及び内燃機関に関連付けられた、燃焼室又はシリンダの上流にあり得る。代替として、スラスタ200は、内燃機関の燃焼室の下流の排気管に配置され得る。従って、本明細書で説明された方法及び装置は、例示的であるにすぎず、特許請求の範囲を限定するものではないことが理解されるべきである。
【外国語明細書】