(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022011978
(43)【公開日】2022-01-17
(54)【発明の名称】発券機及び発券方法
(51)【国際特許分類】
G07B 5/00 20060101AFI20220107BHJP
【FI】
G07B5/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020113431
(22)【出願日】2020-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】591189339
【氏名又は名称】東亜電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】加藤 茂
(72)【発明者】
【氏名】溝内 弘人
(57)【要約】
【課題】発券機及び発券方法の提供。
【解決手段】ユーザの体温を計測する計測器から前記ユーザの体温情報を取得する取得部と、取得した体温情報が示すユーザの体温に応じて、ユーザへのチケットの発券を許可又は禁止する発券制御部と、発券制御部が発券を許可した場合、ユーザに対してチケットを発券する発券部とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの体温を計測する計測器から前記ユーザの体温情報を取得する取得部と、
取得した体温情報が示す前記ユーザの体温に応じて、前記ユーザへのチケットの発券を許可又は禁止する発券制御部と、
前記発券制御部が発券を許可した場合、前記ユーザに対してチケットを発券する発券部と
を備える発券機。
【請求項2】
前記発券制御部は、前記ユーザの体温が基準値未満である場合、前記ユーザへの発券を許可し、前記ユーザの体温が前記基準値以上である場合、前記ユーザへの発券を禁止する
請求項1に記載の発券機。
【請求項3】
前記計測器は、複数のユーザの体温を同時的に計測することが可能であり、
前記発券制御部は、同時的に計測された全てのユーザの体温が前記基準値未満である場合、前記複数のユーザへの発券を許可する
請求項2に記載の発券機。
【請求項4】
発券すべきチケットに前記ユーザの体温情報を記録する記録部を備え、
前記発券部は、前記記録部により前記ユーザの体温情報が記録されたチケットを発券する
請求項1から請求項3の何れか1つに記載の発券機。
【請求項5】
前記ユーザの体温が前記基準値以上である場合、前記ユーザへの質問を提示する質問提示部と、
提示した質問に対する前記ユーザの回答を取得する回答取得部と
を更に備え、
前記発券制御部は、前記質問に対する前記ユーザからの回答に応じて、前記発券の許否判断を変更する
請求項2から請求項4の何れか1つに記載の発券機。
【請求項6】
ユーザの体温を計測する計測器から、前記ユーザの体温情報を取得し、
取得した体温情報が示す前記ユーザの体温に応じて、前記ユーザへのチケットの発券を許可又は禁止し、
発券を許可した場合、前記ユーザに対してチケットを発券する
発券機によるチケットの発券方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発券機及び発券方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、美術館、博物館、映画館、動物園、水族館、遊園地、遊技場、駅、銀行、病院など様々な施設に発券機が設置されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
有料の施設に設置されている発券機は、所定の料金が入金されると、その施設へ入場を許可する入場券などのチケットを発券する。また、銀行や病院などの施設に設置されている発券機は、受付操作などの所定の操作が行われると、順番待ちを示す整理券などのチケットを発券する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の発券機は、所定の料金が入金された場合、若しくは所定の操作が行われた場合、無条件にチケットを発行する構成であるため、発券機によって施設へのユーザの入場を制限することはできない。
【0006】
本発明は、特定の条件下でユーザが施設へ入場することを制限できる発券機及び発券方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る発券機は、ユーザの体温を計測する計測器から前記ユーザの体温情報を取得する取得部と、取得した体温情報が示す前記ユーザの体温に応じて、前記ユーザへのチケットの発券を許可又は禁止する発券制御部と、前記発券制御部が発券を許可した場合、前記ユーザに対してチケットを発券する発券部とを備える。
【0008】
本発明の一態様に係る発券方法は、ユーザの体温を計測する計測器から、前記ユーザの体温情報を取得し、取得した体温情報が示す前記ユーザの体温に応じて、前記ユーザへのチケットの発券を許可又は禁止し、発券を許可した場合、前記ユーザに対してチケットを発券する。
【発明の効果】
【0009】
本願によれば、特定の条件下でユーザが施設へ入場することを制限できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】発券機の内部構成を説明するブロック図である。
【
図3】発券機による発券手順を説明するフローチャートである。
【
図4】体温情報が記録された記録紙の一例を示す模式図である。
【
図5】実施の形態2における発券手順を説明するフローチャートである。
【
図6】体温情報が記録されたチケットの一例を示す模式図である。
【
図7】実施の形態4における発券手順を説明するフローチャートである。
【
図9】実施の形態5における発券手順を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
(実施の形態1)
図1は発券機1の概略構成を示す斜視図である。実施の形態1に係る発券機1は、有料の施設に設置されており、ユーザによって所定の料金が入金された場合、施設への入場を許可するチケットを発券する。有料の施設は、例えば、美術館、博物館、映画館、動物園、水族館、遊園地、ライブ施設、遊技場、駅などの施設を含む。チケットは、施設に応じて、入館券、入園券、入場券、切符などとも呼ばれる。
【0012】
発券機1は、縦長の筐体を備え、筐体の正面に操作部14、表示部15、入金受付部16、発券部17などを備える。ユーザは、表示部15に表示される案内に従い、操作部14を用いて券種や発券枚数などを入力する。券種や発券枚数などが定まると料金が確定するので、ユーザは入金受付部16に料金を入金する。発券機1は、所定の料金が入金されると、チケットを発券する。
【0013】
本実施の形態では、チケットを購入しようとしているユーザの体温を計測する計測器2を備える。
図1に示す例では、計測器2は、発券機1の筐体に設置されている。代替的に、計測器2は発券機1に内蔵されてもよい。発券機1は、ユーザの体温を計測して得られる体温情報を計測器2から取得し、取得した体温情報に基づき、当該ユーザへの発券を許可又は禁止する。発券機1は、ユーザへの発券を許可した場合にのみチケットを発券し、発券を禁止した場合にユーザへの発券を行わない構成としている。
【0014】
図2は発券機1の内部構成を説明するブロック図である。発券機1は、例えば、制御部11、記憶部12、接続部13、操作部14、表示部15、入金受付部16、発券部17、及び検知部18を備える。
【0015】
制御部11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)を備える。制御部11が備えるROMには、発券機1が備えるハードウェア各部の動作を制御する制御プログラム、制御に必要なデータ等が記憶される。制御部11内のCPUは、ROMに記憶された制御プログラムを実行し、ハードウェア各部の動作を制御することによって、機器全体を本願における発券機として機能させる。制御部11が備えるRAMには、制御の実行中に生成される各種データが一時的に記憶される。
【0016】
本実施の形態では、制御部11がCPU、ROM、及びRAMを備える構成としたが、マイコンや適宜のメモリを備える1又は複数の制御回路であればよい。また、制御部11は、日時情報を出力するクロック、計測開始指示を与えてから計測終了指示を与えるまでの経過時間を計測するタイマ、数をカウントするカウンタ等を備えていてもよい。
【0017】
記憶部12は、フラッシュメモリなどの記憶装置により構成される。記憶部12は、発券機1が使用する各種のデータを記憶する。記憶部12に記憶されるデータは、チケット料金の情報、発券時に印字する図柄のデータ、発券の許否を判断する際に参照する判断基準の情報などを含む。
【0018】
接続部13は、計測器2を接続するインタフェースを備える。接続部13が備えるインタフェースは有線のインタフェースであってもよく、無線のインタフェースであってもよい。計測器2は、ユーザの体温を計測する既存のセンサを備えており、計測したユーザの体温の情報(体温情報)を発券機1へ出力する。計測器2が備えるセンサは、サーミスタや熱電対などの接触式センサ、又は赤外線センサなどの非接触式センサである。計測器2は、複数のユーザの同時的に計測するサーマルカメラなどのセンサを備えてもよい。計測器2は、発券機1から計測指示が与えられたタイミングにてユーザの体温を計測し、計測結果である体温情報を発券機1へ出力する。代替的に、計測器2は、定期的なタイミングで計測を行う。発券機1の制御部11は、接続部13を通じて、計測器2より出力されるユーザの体温情報を取得する。
【0019】
本実施の形態では、発券機1の外部に計測器2を接続する構成としたが、発券機1が計測器2を内蔵する構成であってもよい。後者の場合、制御部11は、内蔵される計測器2よりユーザの体温情報を取得すればよい。
【0020】
操作部14は、各種のボタンを備えており、押下されたボタンに対応する情報を制御部11へ出力する。操作部14が備えるボタンは、例えば、0~9の数字を指定するための数字ボタン、発券を確定させるための確定ボタン、発券をキャンセルするためのキャンセルボタン、発券の区分(大人/小人)を選択するための区分ボタン、発券枚数を指定するための枚数ボタンなどを含む。操作部14に設けられるボタンは、発券機1の用途、種類などに応じて適宜設計される。また、操作部14は、上記のボタンに加え、若しくは上記のボタンに代えて、タッチパネルを備えてもよい。操作部14は、タッチパネルより入力される情報を制御部11へ出力する。
【0021】
表示部15は、例えば、VFD(Vacuum Fluorescent Display:蛍光表示管)及びその駆動回路であるVFDモジュールを備える。表示部15は、制御部11からの指示に基づき、ユーザに報知すべき情報を表示する。表示部15は、日本語用の文字コードのみならず諸外国で用いられる文字の文字コードに対応し、例えば英語(アルファベット)、中国語(繁体字、簡体字)などの文字表示が可能であってもよい。代替的に、表示部15は、液晶表示パネルを備え、制御部11からの指示により文字及び図形を含む各種情報を表示する構成であってもよい。
【0022】
入金受付部16は、貨幣が投入される投入口、投入された貨幣を識別する識別機、投入された貨幣を収容する収容部、釣り銭を排出する排出口などを備える。入金受付部16は、紙幣用及び硬貨用にそれぞれ投入口、識別機、収容部、及び排出口を備えてもよく、紙幣のみ又は硬貨のみを受付ける構成であってもよい。入金受付部16は、投入口に投入された貨幣を識別機により識別し、識別後の貨幣を収容部に収容させると共に、識別した金額の情報(金額情報)を制御部11へ出力する。入金受付部16は、識別した金額よりチケットの購入代金を差し引いた金額の貨幣(釣り銭)を排出口へ排出する。入金受付部16は、釣り銭が発生しないように定額貨幣のみを受付ける構成としてもよい。この場合、入金受付部16には排出口が設けられていなくてもよい。また、入金受付部16は、クレジットカード、プリペイドカード、又はポストペイカードによる入金を受付ける構成であってもよい。
【0023】
発券部17は、記録紙を収容する収容部、収容部から取り出した記録紙にチケット情報を記録する記録部、記録紙にチケット情報を記録して生成されるチケットを排出する排出口などを備える。チケット情報は、発券日、チケットの代金、種別、通し番号などを含む。チケット情報が記録される記録紙は、ロール紙であってもよく、予めチケットの形状に切断された硬券用紙などであってもよい。記録紙へのチケット情報の記録には、感熱方式などの既存の印刷手法が用いられる。ロール紙にチケット情報を記録する場合、発券部17は、所定の形状に切断した後に排出口より排出する。
【0024】
検知部18は、例えば、赤外線を利用した人感センサを備えており、発券機1の正面付近に存在する人物を検知する。人感センサにより発券機1の正面付近に存在する人物を検知した場合、検知部18は、チケットを購入しようとしているユーザの存在を制御部11に通知する。検知部18は、赤外線を利用した人感センサに限らず、操作部14への操作などを通じて、チケットを購入しようとしているユーザの存在を検知してもよい。
【0025】
以下、発券機1の動作について説明する。
図3は発券機1による発券手順を説明するフローチャートである。発券機1の制御部11は、検知部18より通知される検知結果に基づき、ユーザを検知したか否かを判断する(ステップS101)。ユーザを検知していない場合(S101:NO)、制御部11は、ユーザを検知するまで待機する。
【0026】
ユーザを検知したと判断した場合(S101:YES)、制御部11は、接続部13を通じて計測器2に計測指示を与える(ステップS102)。計測器2は、制御部11から計測指示が与えられた場合、ユーザの体温を計測して体温情報を発券機1へ出力する。発券機1の制御部11は、接続部13を通じて、計測器2より出力される体温情報を取得する(ステップS103)。
【0027】
制御部11は、体温情報により示されるユーザの体温が基準値以上であるか否かを判断する(ステップS104)。基準値は、感染症の観点から発熱と判断される値に設定される。基準値の一例は37.5℃である。基準値は、時間帯に応じて変動する値であってもよい。例えば、早朝の時間帯では相対的に低い値に設定され、昼から夕方の時間帯では相対的に高い値に設定されてもよい。また、感染症の流行期には、基準値は相対的に低い値が設定され、感染症の非流行期には、基準値は相対的に高い値が設定されてもよい。なお、感染症の流行期及び非流行期は、定点あたりの患者数などの適宜の指標を用いて区分すればよい。
【0028】
ユーザの体温が基準値未満である場合(S104:NO)、すなわちユーザに発熱がないと判断される場合、制御部11は、そのユーザへの発券を許可し(ステップS105)、続くステップS106~S109の処理を実行する。
【0029】
制御部11は、発券を許可すると判断した場合、操作部14を通じて券種の選択操作を受付け(ステップS106)、入金受付部16を通じて入金を受付ける(ステップS107)。ステップS106で選択された券種に応じてチケット代金が定まるので、チケット代金を上回る金額の貨幣が入金受付部16の投入口に投入された場合、制御部11は、入金が完了したと判断することができる。
【0030】
制御部11は、入金が完了したと判断した場合、発券処理を実行する(ステップS108)。すなわち、制御部11は、発券部17に指示を与えることによって、収容部から取り出した記録紙上にチケット情報を記録させ、チケット情報を記録させた記録紙をチケットとして排出口より排出させる。発券処理を実行した後、制御部11は、必要に応じて精算処理を実行する(ステップS109)。
【0031】
一方、ユーザの体温が基準値以上であると判断した場合(S104:YES)、すなわちユーザに発熱があると判断される場合、制御部11は、そのユーザへの発券を禁止し(ステップS110)、上述したステップS106~S109の処理を実行せずに、本フローチャートによる処理を終了する。なお、ユーザへの発券を禁止した場合、制御部11は、発熱が疑われるためチケットの発券を中止した旨の情報を表示部15に表示してもよい。
【0032】
また、ユーザに発熱があると判断される場合、制御部11は、発券部17に指示を与え、計測された体温と、チケットの発券を中止した旨の情報とを記録した記録紙を排出口より排出させてもよい。
図4は体温情報が記録された記録紙の一例を示す模式図である。
図4の例では、計測されたユーザの体温が37.8℃であり、基準値(37.5℃)以上であるため、入場できない(チケットの発券が中止された)ことを示している。
【0033】
以上のように、実施の形態1では、計測器2によって計測されたユーザの体温が基準値以上である場合、すなわちユーザに発熱があると判断される場合、チケットの発券が禁止される。これにより、発熱があると判断されるユーザの施設への入場を制限することができ、ウイルスや細菌などの病原体の感染拡大を未然に防止できる。
【0034】
(実施の形態2)
実施の形態2では、入金を伴わない発券処理について説明する。
【0035】
実施の形態2に係る発券機1は、入金を伴わずにユーザの受付操作によってチケットを発券する。このような発券機1は、銀行、病院、飲食店、映画館、空港(搭乗ゲート)などの施設に設置され、ユーザの受付操作に応じて、順番待ちを示す整理券(チケット)を発券する。また、発券機1は、映画館の座席指定券などと引き換えるために予め発行された2次元コードを読み取り、読み取った2次元コードに応じて座席指定券(チケット)を発行してもよい。
【0036】
実施の形態2に係る発券機1は、実施の形態1と同様に、制御部11、記憶部12、接続部13、操作部14、表示部15、発券部17、及び検知部18を備える。実施の形態2では入金を伴わないので、発券機1は、入金受付部16を備えていなくてもよい。また、実施の形態2に係る発券機1は、予め発行された2次元コードを読み取るための読取部を備えてもよい。
【0037】
図5は実施の形態2における発券手順を説明するフローチャートである。発券機1の制御部11は、実施の形態1と同様の手順を実行し、検知部18がユーザを検知した場合、計測器2に対して計測指示を与え、ユーザの体温情報を取得する(ステップS201~S203)。
【0038】
ユーザの体温が基準値未満であれば(S204:NO)、制御部11は、発券を許可し(ステップS205)、発券要求を受付ける(ステップS206)。制御部11は、操作部14にて所定の操作(例えば、予め設定された整理券発行ボタンの押下操作)を受付けた場合、発券要求を受付けたと判断する。代替的に、制御部11は、図に示してない読取部を通じて有効な2次元コードを読み取った場合、発券要求を受付けたと判断してもよい。制御部11は、発券要求を受付けた場合、発券処理を実行する(ステップS207)。発券処理については実施の形態1と同様である。
【0039】
ユーザの体温が基準値以上であると判断した場合(S204:YES)、すなわちユーザに発熱があると判断される場合、制御部11は、そのユーザへの発券を禁止し(ステップS208)、上述したステップS205~S207の処理を実行せずに、本フローチャートによる処理を終了する。なお、ユーザへの発券を禁止した場合、制御部11は、発熱が疑われるためチケットの発券を中止した旨の情報を表示部15に表示してもよい。
【0040】
また、ユーザに発熱があると判断される場合、制御部11は、
図4に示すように、計測された体温とチケットの発券を中止した旨とを記録した記録紙を排出口より排出させてもよい。
【0041】
以上のように、本実施の形態2では、入金を伴わない発券機1において、本発明の発券方法を適用できる。
なお、発券機1は、入金により発券する機能、及び入金を伴わずに発券する機能の双方を備えるものであってもよい。
【0042】
(実施の形態3)
実施の形態3では、ユーザの体温情報をチケットに記録する構成について説明する。
なお、発券機1の内部構成は実施の形態1と同様であるため、その説明を省略することとする。
【0043】
発券機1は、計測器2により計測されるユーザの体温情報を取得するので、発券する際に、チケットにユーザの体温を記録することができる。すなわち、発券機1は、上述した発券手順のステップ108において記録紙上にチケット情報を記録する際、ユーザの体温情報を併せて記録すればよい。
【0044】
図6は体温情報が記録されたチケットの一例を示す模式図である。チケットには、チケット情報として、発券日、チケットの代金、種別、通し番号などの情報が記録される。実施の形態3では、これらのチケット情報に加え、ユーザの体温情報が記録される。
図6の例では、計測されたユーザの体温が36.5℃であり、基準値(37.5℃)未満であるため、チケットが発券されたことを示している。ユーザの体温を含む文字情報を記録する構成に代えて、ユーザの体温情報を含む二次元コードを記録する構成としてもよい。チケットが映画館の座席指定券、航空機の搭乗券などである場合、座席番号を併せて記録してもよい。
【0045】
以上のように、実施の形態3では、ユーザの体温情報がチケットに記録されるので、施設に入場したユーザは、チケットを提示することによって発熱がないことを証明できる。
【0046】
(実施の形態4)
実施の形態4では、複数のユーザに対してチケットを発券する手順について説明する。
なお、発券機1の内部構成は実施の形態1と同様であるため、その説明を省略することとする。
【0047】
図7は実施の形態4における発券手順を説明するフローチャートである。発券機1の制御部11は、検知部18より通知される検知結果に基づき、複数のユーザを検知したか否かを判断する(ステップS401)。複数のユーザを検知していない場合(S401:NO)、制御部11は、以下の処理を行わずに本フローチャートによる処理を終了する。なお、単独のユーザを検知した場合、
図3のフローチャートに示すステップS102以降の処理を実行すればよい。
【0048】
ユーザを検知したと判断した場合(S401:YES)、制御部11は、計測器2に計測指示を与えることにより(ステップS402)、各ユーザの体温情報を取得する(ステップS403)。
【0049】
制御部11は、各ユーザの体温を基準値と比較し、少なくとも1人の体温が基準値以上であるか否かを判断する(ステップS404)。全てのユーザの体温が基準値未満である場合(S404:NO)、制御部11は、発券を許可し(ステップS405)、操作部14を通じて券種の選択操作を受付ける(ステップS406)。このとき、ステップS401で検知したユーザの人数と、チケットの購入枚数とが合致しない場合、制御部11は、再計測指示を計測器2に与えてもよい。また、制御部11は、計測人数と購入枚数とが合致するように、表示部15に案内を表示してもよい。
【0050】
制御部11は、券種の選択操作を受付けた後、入金を受付け(ステップS407)、発券処理を実行する(ステップS408)。ステップS408においてチケット情報を記録紙に記録する際、発行するチケットのそれぞれに全てのユーザの体温情報を記録してもよい。また、制御部11は、必要に応じて精算処理を実行する(ステップS409)。
【0051】
一方、少なくとも1人の体温が基準値以上であると判断した場合(S404:YES)、すなわち発熱したユーザが含まれていると判断される場合、制御部11は、そのユーザグループへの発券を禁止し(ステップS410)、上述したステップS405~S409の処理を実行せずに、本フローチャートによる処理を終了する。なお、ユーザグループへの発券を禁止した場合、制御部11は、発熱が疑われる人が含まれるためチケットの発券を中止した旨の情報を表示部15に表示してもよい。
【0052】
また、ユーザの少なくとも1人に発熱があると判断される場合、制御部11は、
図4と同様に、計測された各ユーザの体温とチケットの発券を中止した旨とを記録した記録紙を排出口より排出させてもよい。
【0053】
以上のように、実施の形態4では、計測器2によって計測された複数のユーザのうち、少なくとも1人の体温が基準値以上である場合、すなわちユーザグループに発熱があるユーザが含まれると判断される場合、チケットの発券が禁止される。これにより、発熱があると判断されるユーザの施設への入場を制限することができ、ウイルスや細菌などの病原体の感染拡大を未然に防止できる。
【0054】
(実施の形態5)
実施の形態5では、発熱があるユーザを検知した場合、問診を行い、ユーザからの回答に応じて許否判断を変更する構成について説明する。
なお、発券機1の内部構成は実施の形態1と同様であるため、その説明を省略することとする。
【0055】
発券機1の制御部11は、発熱が疑われるユーザを検知した場合、表示部15に質問を表示する。
図8は質問の表示例を示す模式図である。
図8に示す例では、医療機関の受診の有無、渡航歴、発熱開始時期、平熱をユーザに問い合わせる質問を表示部15に表示した例を示している。質問の内容は、
図8の例に限定されるものではなく、感染症の拡大リスクの観点から適宜設定される。例えば、質問には、マスクの着用の有無、通院歴、予防接種歴、服薬の有無、アレルギーの有無などを問い合わせる内容が含まれてもよい。
【0056】
ユーザは、表示部15に表示される質問に対し、例えば操作部14を操作することによって回答を入力する。制御部11は、操作部14を通じてユーザの回答を取得し、例えば感染症の拡大リスクが低いと判断できる場合に、発券の許否判断を変更する。例えば、計測器2によって計測された体温が37.5℃以上である場合であっても、平熱が37.5℃に近く、発熱の可能性が小さいと判断できる場合には、制御部11は、発券の許否判断を禁止から許可に変更する。
【0057】
図9は実施の形態5における発券手順を説明するフローチャートである。発券機1の制御部11は、実施の形態1と同様の手順を実行し、検知部18がユーザを検知した場合、計測器2に対して計測指示を与え、ユーザの体温情報を取得する(ステップS501~S503)。
【0058】
ユーザの体温が基準値未満であれば(S504:NO)、制御部11は、発券を許可し(ステップS505)、実施の形態1と同様の手順にて、発券処理、及び必要に応じて精算処理までを実行する(ステップS506~S509)。
【0059】
ユーザの体温が基準値以上であれば(S504:YES)、制御部11は、発券を禁止する(ステップS510)。
【0060】
次いで、制御部11は、
図8に示すような質問を表示部15に表示し(ステップS511)、操作部14を通じてユーザからの回答を取得する(ステップS512)。制御部11は、ユーザからの回答が得られた場合、許否判断を変更するか否かを判断する(ステップS513)。例えば、計測器2によって計測された体温が基準値(例えば37.5℃)以上である場合は発券が禁止されるが、質問に対する回答により、ユーザの平熱が37.5℃に近く、発熱の可能性が小さいと判断できる場合には、制御部11は、発券の許否判断を禁止から許可に変更する。
【0061】
許否判断を変更する場合(S513:YES)、制御部11は、ステップS506以降の処理を実行する。許否判断を変更しない場合(S513:NO)、制御部11は、ステップS506以降の処理を実行せずに、本フローチャートによる処理を終了する。
【0062】
以上のように、実施の形態5では、問診により感染症の拡大リスクが低いと判断される場合には、発券の許否判断が変更される。
【0063】
今回開示された実施形態は、全ての点において例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0064】
1 発券機
2 計測器
11 制御部
12 記憶部
13 接続部
14 操作部
15 表示部
16 入金受付部
17 発券部
18 検知部