(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022119809
(43)【公開日】2022-08-17
(54)【発明の名称】消毒装置
(51)【国際特許分類】
A61L 2/10 20060101AFI20220809BHJP
G01V 1/00 20060101ALI20220809BHJP
A61L 2/24 20060101ALI20220809BHJP
A61L 9/20 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
A61L2/10
G01V1/00 A
A61L2/24
A61L9/20
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022078216
(22)【出願日】2022-05-11
(62)【分割の表示】P 2021530266の分割
【原出願日】2020-12-15
(31)【優先権主張番号】63/040,667
(32)【優先日】2020-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000231198
【氏名又は名称】日本国土開発株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100136261
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 俊成
(72)【発明者】
【氏名】関口 政一
(72)【発明者】
【氏名】小幡 博志
(72)【発明者】
【氏名】森本 秀敏
(72)【発明者】
【氏名】馬場 司
(57)【要約】 (修正有)
【課題】感染症の感染防止が可能な消毒装置を提供する。
【解決手段】消毒装置は、消毒領域にいる人がいるかどうかを検出する検出装置と、第1の波長の不可視光による照射と、前記第1の波長とは異なる波長の不可視光による照射とが可能な照射装置と、前記検出装置が前記消毒領域に前記人を検出した際に、前記消毒領域に対して前記第1の波長を用いて前記照射装置による消毒を行い、前記検出装置が前記消毒領域に前記人を検出しない際に、前記第1の波長による消毒の履歴に基づいて、前記第1の波長とは異なる波長を用いた消毒を行うかどうかを判断する制御装置と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
消毒領域にいる人がいるかどうかを検出する検出装置と、
第1の波長の不可視光による照射と、前記第1の波長とは異なる波長の不可視光による照射とが可能な照射装置と、
前記検出装置が前記消毒領域に前記人を検出した際に、前記消毒領域に対して前記第1の波長を用いて前記照射装置による消毒を行い、前記検出装置が前記消毒領域に前記人を検出しない際に、前記第1の波長による消毒の履歴に基づいて、前記第1の波長とは異なる波長を用いた消毒を行うかどうかを判断する制御装置と、を備えた消毒装置。
【請求項2】
前記照射装置は、前記第1の波長として波長205~230nmの不可視光を照射し、前記第1の波長と異なる波長として波長205~230nm以外の不可視光を照射する請求項1記載の消毒装置。
【請求項3】
前記検出装置は、マイクロフォンと、加速度センサと、体温計との少なくとも1つを有している請求項1または請求項2記載の消毒装置。
【請求項4】
前記検出装置の検出結果をホストコンピュータに通信する通信装置を備えた請求項3記載の消毒装置。
【請求項5】
前記検出装置は、顔を認識する顔認識装置を備え、
前記制御装置は、前記マイクロフォンと、前記加速度センサと、前記体温計との少なくとも1つの検出結果と、前記顔認識装置の検出結果とを紐づける請求項3記載の消毒装置。
【請求項6】
前記検出装置は、顔を認識する顔認識装置を備え、
前記制御装置は、前記顔認識装置の検出結果に基づいて、前記人を検出しない際に、前記第1波長とは異なる波長を用いた消毒を行うかどうかを判断する請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の消毒装置。
【請求項7】
前記検出装置は、席に設けられた荷重センサを有している請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の消毒装置。
【請求項8】
前記消毒領域には、前記人が操作する操作部が設けられており、
前記制御装置は、前記検出装置が前記少なくとも1つの情報を検出した際に、前記照射装置により前記操作部を照射する照射時間を前記操作部以外を照射する照射時間よりも長くする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の消毒装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は例えばウィルスを消毒可能な消毒装置に関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスや教室等の居室内や、バス、電車、飛行機等の移動体内の座席に対応して動き検出部及び音検出部を設けて、どの座席で咳をした人がいるかを検知する咳検知装置が特許文献1に開示されている。また、特許文献1では、咳検知装置の検知結果に基づいて感染症を検知することを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、感染症を検知するまでに留まっており、感染症の感染防止などの対策については開示されていなかった。
【0005】
そこで、本発明では、感染症の感染防止が可能な消毒装置、車両、および建設機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る消毒装置は、消毒領域にいる人がいるかどうかを検出する検出装置と、第1の波長の不可視光による照射と、前記第1の波長とは異なる波長の不可視光による照射とが可能な照射装置と、前記検出装置が前記消毒領域に前記人を検出した際に、前記消毒領域に対して前記第1の波長を用いて前記照射装置による消毒を行い、前記検出装置が前記消毒領域に前記人を検出しない際に、前記第1の波長による消毒の履歴に基づいて、前記第1波長とは異なる波長を用いた消毒を行うかどうかを判断する制御装置と、を備えている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の消毒装置によれば、消毒領域を効率的に消毒することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本第1実施形態の被牽引式スクレーパを示す概要図である。
【
図2】本第1実施形態の牽引車両の操縦室を示す概要図である。
【
図3】本第1実施形態の主要部のブロック図である。
【
図4】本第1実施形態の制御装置により実行されるフローチャートを示す図である。
【
図5】本第2実施形態の回転式破砕装置を示す概要図である。
【
図6】本第2実施形態の主要部のブロック図である。
【
図7】本第2実施形態の制御装置により実行されるフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の第1の実施形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施形態により、本発明が限定されるものではない。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態の被牽引式スクレーパ100を示す概要図である。本実施形態の被牽引式スクレーパ100は、駆動車両である牽引車両1とスクレーパ車両20とを有する。
図1に示すように、牽引車両1は、スクレーパ車両20を牽引するものであり、連結装置であるヒッチ21によりスクレーパ車両20と連結されている。ヒッチ21は、牽引車両1から着脱可能であり、牽引車両1側の一端に設けられたフレキシブルなボールジョイント22と、スクレーパ車両20側の他端に設けられた不図示のフレキシブルなボールジョイントとを有している。
【0011】
(牽引車両)
図2は、牽引車両1の操縦室2を示す概要図である。
図2の操縦室2は、牽引車両1の正面側から操縦室2を見た概要図である。
図3は本実施形態の操縦室2の主要部のブロック図である。以下、
図2及び
図3を用いて操縦室2の説明を続ける。
【0012】
本実施形態において、操縦室2は、運転席3と、ハンドル4と、ギアシフトレバー5と、ウィンカー6と、ワイパー7と、不図示のアクセルと、不図示のブレーキなどを有している。また、操縦室2は、操縦室2内に不可視光を照射する照射装置8と、操縦室2内に流体を供給する流体供給装置9と、センサ10と、を備えている。なお、運転席3の各要素のレイアウトは一例に過ぎず、左右のレイアウトを変えるなど各種の変更が可能である。
【0013】
本実施形態の牽引車両1は、ダンプトラックを採用することができ、例えば、アーティキュレートダンプトラックを採用することができる。このような、アーティキュレートダンプトラックにおいて、ハンドル4と、ギアシフトレバー5と、ウィンカー6と、ワイパー7と、不図示のアクセルと、不図示のブレーキとは、周知の構成なので、その構成の説明は省略する。また、ハンドル4と、ギアシフトレバー5と、ウィンカー6と、ワイパー7と、不図示のアクセルと、不図示のブレーキと、を総称して操作部16(
図3参照)と呼ぶこともある。
【0014】
照射装置8は、操縦室2の上方(例えば天井や、天井付近)に設けられ、紙面奥側(X方向の奥側)から操縦室2に向けて紫外線などの不可視光を照射するものである。本実施形態においては、紫外線として波長205~230nmの遠紫外線C波を照射している。これは、波長205~230nmの遠紫外線C波は、ヒトの細胞には到達しないため人体に害を及ぼさないが、空気中や物体の表面にある細菌やウィルスには浸透し、消毒できると考えられているからである。波長205~230nmの遠紫外線C波を採用すれば、運転席3に運転者がいる場合であっても照射装置8から不可視光を照射することができる。
なお、運転席3に運転者がいない場合に照射装置8からの不可視光を照射するように制御すれば、波長205~230nm以外の波長領域の紫外線を用いることもできる。この場合も細菌やウィルスに浸透し、消毒できる紫外線を用いるものとする。
【0015】
照射装置8は、運転者が接触する領域もしくは操縦室2(以下、総称して消毒領域という)に照射しており、運転席3、ハンドル4と、ギアシフトレバー5と、ウィンカー6と、ワイパー7と、不図示のアクセルと、不図示のブレーキ、不図示のドアノブ、床などに遠紫外線C波を照射する。このような消毒領域に遠紫外線C波を照射するために、照射装置8を複数設けたり、床側に照射装置8を設けて床側から天井側に向けて遠紫外線C波を照射したりしてもよい。また、照射角度調整装置11(
図3参照)を設けて、Y方向やZ方向の照射装置8の照射角度を調整するようにしてもよい。なお、照射装置8による遠紫外線C波の照射により、操縦室2に浮遊している細菌やウィルスを消毒することも可能である。
【0016】
流体供給装置9の一例は、圧縮された気体(例えば空気)を消毒領域に供給する気体供給装置である。被牽引式スクレーパ100を運転する運転者の手や靴には土などの異物が付着することがあり、消毒領域には土などの異物が付着することがある。細菌やウィルスは、例えばハンドル4に直接付着する場合もあり、ハンドル4に付着した土に付着する場合もあり、それらの両方に付着する場合もある。照射装置8は、土の表面に付着した細菌やウィルスを消毒することができるが、ハンドル4と土との間にある細菌やウィルスを消毒できない場合もある。
【0017】
このため、本実施形態では、照射装置8が土の表面に付着した細菌やウィルスを消毒した後に、流体供給装置9が消毒された土を圧縮された気体により吹き飛ばしている。照射装置8は、土が吹き飛ばされた消毒領域に対して遠紫外線C波を照射することにより、ハンドル4などの操作部16に直接付着した細菌やウィルスを消毒することができる。
【0018】
流体供給装置9は、圧縮された気体に代えて、または、圧縮された気体と併用して消毒領域に消毒可能な液体を供給するものであってもよい。消毒可能な液体としては、アルコール系、アルデヒド系、塩素系、ヨウ素系、酸化剤系、第4級アンモニウム塩系などの各種を用いることができる。本実施形態では、運転席3に運転者がいる場合はアルコール系の消毒液を用い、運転席3に運転者がいない場合はアルコール系以外の消毒液を用いるものとする。これにより、運転者の人体に害が及ばないようにしている。この場合、流体供給装置9に複数の容器を設け、一方の容器にはアルコール系の消毒液を入れ、他方の容器にはアルコール系以外の消毒液を入れて、運転者がいるかいないかに応じて、複数の容器から1つの容器の消毒液を選択するようにしてもよい。なお、容器の数は3つ以上でもよく、供給する消毒液は2種類以上でもよい。
また、流体供給装置9は、運転者の人体に害が及ばない消毒液を用いる場合でも運転者には消毒液がかからないように消毒液を供給することが好ましく、特に顔には消毒液がかからないように消毒液を供給することが好ましい。なお、流体供給装置9は、スプレーノズルにより消毒液を霧状に噴霧することが望ましい。
【0019】
流体供給装置9により消毒領域を消毒するのは、消毒領域を効率的に消毒するためと、遠紫外線C波がハンドル4などにより遮られてしまい遠紫外線C波が照射されない消毒領域を消毒するためである。
なお、照射角度調整装置11は、遠紫外線C波が遮られないように照射装置8の照射角度を調整するようにしてもよい。また、供給角度調整装置12(
図3参照)を設けて、Y方向やZ方向の流体供給装置9が供給する流体の供給角度を調整するようにしてもよい。
【0020】
図2には2つの流体供給装置9が図示されているが、一方が圧縮された気体を供給する気体供給装置とし、他方が消毒液を供給する液体供給装置としてもよい。
また、2つとも気体供給装置としてもよく、2つとも液体供給装置としてもよい。また、流体供給装置9が圧縮された気体と、消毒液との両方を供給するようにしてもよい。なお、流体供給装置9の数は1つでも3つ以上でもよく、床に流体供給装置9を配置してもよい。また、照射装置8と、流体供給装置9とをユニット化して1つの装置としてもよい。
【0021】
センサ10は、特開2018-117708号公報に記載されているような、マイクロフォンのような音検出部であり、運転者の咳やくしゃみを検出するものである。センサ10の出力に基づき、音信号の周波数分析によりセンサ10が検出した音信号が咳やくしゃみかどうかを検出することができる。この場合、センサ10が検出した音信号を無線によりホストコンピュータに送信して、このホストコンピュータにより周波数分析を行ってもよく、制御装置15(
図3参照)により周波数分析を行ってもよい。
【0022】
センサ10として特開2018-117708号公報に記載されているような加速度センサを有した動き検出部を設けて、運転者の咳やくしゃみを検出するようにしてもよい。この場合、加速度センサは運転席3に設けることが好ましい。ホストコンピュータのメモリや牽引車両1側のメモリ13(
図3参照)に人が咳やくしゃみをしたときの加速度の数値やパターンをリファレンスとして記憶させておき、加速度センサが検出した加速度との比較により運転者が咳やくしゃみをしたかどうかを検出することができる。
【0023】
センサ10としてマイクロフォンと加速度センサとの両方を備えることにより、精度よく運転者の咳やくしゃみを検出することができる。なお、マイクロフォンと加速度センサとの数は1つでも複数でもよく、その配置場所も任意に設定することができるが、マイクロフォンは運転者の前側(運転者の顔と対向する側)に設けることが好ましい。
また、牽引車両1のコストを抑えるためにセンサ10としてマイクロフォンと加速度センサとのいずれか一方を設けるようにしてもよい。
【0024】
また、センサ10として体温計を設置するようにしてもよい。この場合、運転者の額に対向するように、運転者が運転席に座ったタイミングで天井部から降下するようにしてもよい。体温計としては、非接触式の体温計が好ましく、例えば赤外線を利用した体温計を用いることができるが、これに限定されるものではない。なお、センサ10に土が付着するのを避けるため、センサ10による検出を行うとき以外はカバーによりセンサ10を覆い、センサ10による検出を行うときにカバーを開けるようにしてもよい。
【0025】
センサ10が運転者の咳やくしゃみを検出したタイミングで、照射装置8と流体供給装置9との少なくとも一方を駆動すれば、咳やくしゃみに細菌やウィルスが含まれていた場合でも、この細菌やウィルスを即座に消毒することができる。また、センサ10が運転者の発熱を検出した場合に、照射装置8と流体供給装置9との少なくとも一方を駆動すれば、運転者の呼気に含まれている細菌やウィルスを即座に消毒することができる。
【0026】
メモリ13は、不揮発性のメモリ(例えばフラッシュメモリ)であり、前述した加速度の数値やパターンや、操縦室2の消毒履歴や、牽引車両1を駆動するためなどの各種データを記憶している。また、メモリ13は、牽引車両1を駆動するためのプログラムや、後述する
図4のフローチャートなどの各種プログラムを記憶している。
【0027】
通信装置14は、ホストコンピュータやインターネット等の広域ネットワークにアクセスする無線通信ユニットであり、本実施形態では、センサ10の検出結果や、照射装置8の照射履歴や、流体供給装置9の供給履歴や、操作部16の操作履歴などをホストコンピュータに送信する。なお、メモリ13にセンサ10の検出結果や、照射装置8の照射履歴や、流体供給装置9の供給履歴や、操作部16の操作履歴などを記憶させてもよい。
【0028】
制御装置15は、CPUを有し、牽引車両1やスクレーパ車両20の制御に加えて、操縦室2内の細菌やウィルスを消毒するための制御を行う。なお、制御装置15による操縦室2内の細菌やウィルスを消毒するための制御については後述する。
【0029】
(スクレーパ車両)
図1に戻って、スクレーパ車両20は、前述のヒッチ21およびボールジョイント22に加えて、フレーム23と、ボウル24と、スクレーパ(scraper)25と、車軸26と、車輪27などを有している
【0030】
フレーム23はボウル24などの構造物を支持する金属製のフレームであり、ボウル24は上面が開放されており、スクレーパ25が掘削した土砂などの掘削物を収容するものである。
スクレーパ25は、地表等の走行面の土砂を削り取るための刃状或いはへら状の部材であり、本実施形態では、ボウル24の底部にボウル24と一体的に設けられている。
ボウル24とスクレーパ25とは一体的に設けられているので、不図示の油圧シリンダによりボウル24を地面に向けて傾斜させることにより、スクレーパ25が地面に食い込んで土砂を掘削することができる。また、ボウル24には不図示の開口部が設けられており、ボウル24が地面に向けて傾斜した状態の際に、スクレーパ25が掘削した掘削物が不図示の開口部からボウル24に収容される。
【0031】
スクレーパ25による掘削が終了すると、不図示の油圧シリンダによりボウル24を地面に地上に向けて傾斜させることにより、スクレーパ25が地面から離れた状態となる。
【0032】
車軸26は牽引車両1の牽引力により回転し、車輪27は車軸26の両端に接続されており、車軸の回転に伴い回転する一対の従動輪である。なお、車輪27はスクレーパ車両20の前後に設けて前輪および後輪としてもよい。
【0033】
(フローチャートの説明)
以上のように構成された本実施形態の制御装置15による操縦室2内の細菌やウィルスを消毒するための制御について
図4のフローチャートに沿って説明を続ける。なお、本フローチャートは、牽引車両1のエンジンが駆動した際に実施されるものとする。
【0034】
制御装置15は、センサ10による検出を行い、運転者が咳やくしゃみを行ったかどうかを検出する(ステップS1)。なお、このステップS1において、制御装置15は、運転者の体温を検出するようにしてもよい。なお、複数の運転者が代わる代わる牽引車両1を運転する場合があるので、運転席3の前面に顔認識装置を設けて運転者の顔を認識し、センサ10の出力と運転者とを紐づけるようにしてもよい。この場合、メモリ13に運転者の顔のデータを登録しておけばよい。また、このステップS1において、制御装置15は、操作部16のうち運転者が操作したものをメモリ13に記憶させるようにしてもよい。
【0035】
制御装置15は、運転者が咳やくしゃみを行ったかどうか、もしくは運転者が発熱しているかどうかに基づいて消毒を実施するかどうか判断する(ステップS2)。ここでは、運転者が発熱しておらず、また、咳やくしゃみを行っていないとしてステップS3に進むものとする。
【0036】
制御装置15は、牽引車両1のエンジンが駆動しているかどうかを判断する(ステップS3)。ここでは、牽引車両1のエンジンが駆動しているものとして、ステップS1を再度実行して、ステップS2に進むものとする。
【0037】
ここで、制御装置15は、センサ10の検出結果に基づいて運転者が咳やくしゃみを行ったと判断し、ステップS4に進む。
【0038】
制御装置15は、照射装置8と、流体供給装置9とを駆動して操縦室2の消毒を実施する(ステップS4)。ここで、流体供給装置9が気体供給装置である場合、制御装置15は、気体供給装置による気体供給に先立って、照射装置8により操作部16に遠紫外線C波を照射する。これにより、未だ消毒が実施されておらず、細菌やウィルスが付着した状態の土が操縦室2に拡散することを防止することができる。なお、操縦室2に吸い込み口を設けて不図示の換気装置により操縦室2内を換気するようにしてもよい
【0039】
制御装置15は、照射装置8により操作部16に付着した土を消毒した後に、気体供給装置によりこの土を除去し、土が除去された操作部16に照射装置8による波長205~230nm、好ましくは波長222nm付近の遠紫外線C波の照射を行う。
【0040】
制御装置15は、ステップS4において、照射角度調整装置11を駆動して操縦室2全体の消毒を行うことにより、操縦室2に浮遊している細菌やウィルスを消毒することができる。また、運転者の手に細菌やウィルスが付着している可能性もあるため、制御装置15は、メモリ13に記憶されている操作履歴に基づいて、運転者が触った操作部16を消毒するものとする。
【0041】
また、運転者の咳やくしゃみなどの飛沫は操縦室2の前面に付着するので、制御装置15は、操縦室2の前面に照射装置8による消毒を行う。この場合、制御装置15は、操縦室2の前面と、運転者が触った操作部16とに遠紫外線C波を照射する時間をこれ以外の部分に遠紫外線C波を照射する時間よりも長くしている。
【0042】
照射装置8による遠紫外線C波の照射時間は、遠紫外線C波の強度に応じて数秒から数分の間で設定することができる。操縦室2の細菌やウィルスを確実に消毒するため、気体供給装置に気体の供給時間に比べて、照射装置8による遠紫外線C波の照射時間を長く設定することが好ましい。なお、気体供給装置による気体の供給を省略する場合もあり、気体供給装置自体を省略する場合もある。
【0043】
流体供給装置9が消毒液を供給する液体供給装置の場合、制御装置15は、照射装置8による遠紫外線C波の照射と、液体供給装置による消毒液(例えばアルコール系や、第4級アンモニウム塩系)の供給とを同時に行うことにより、操縦室2全体を早く消毒することができる。なお、照射装置8による遠紫外線C波の照射時間と、液体供給装置による消毒液の供給時間とは、同じにしてもよく、照射装置8による遠紫外線C波の照射時間のほうを長くしてもよい。また、液体供給装置による液体の供給を省略する場合もあり、液体供給装置自体を省略する場合もある。
【0044】
制御装置15は、ステップS4の消毒を実施した後に、ステップS3へと進む(ステップS5)。制御装置15は、牽引車両1のエンジンが駆動しているかどうかを判断する(ステップS5)。ここでは、牽引車両1のエンジンが停止しているものとして、ステップS6へと進む。
【0045】
制御装置15は、メモリ13に記憶されている消毒履歴や、操作部16の操作履歴を確認する(ステップS6)。制御装置15は、前回の消毒から所定時間経過していたり、運転者が変わっていたりする場合には消毒を実施すると判断し、それ以外の場合には消毒不要と判断する(ステップS7)。制御装置15は、消毒不要と判断した場合には、本フローチャートを終了する。
【0046】
制御装置15は、ステップS7にて消毒を実施すると判断した場合、運転者が牽引車両1の外に出たかどうかを検出する。具体的には、牽引車両1のロックが検出されたこと、前述の顔認識装置により顔が検出できないこと、運転席3に設けられた不図示の荷重センサにより例えば40Kg以上の荷重が検出されないことの少なくとも1つの検出結果に基づき運転者が牽引車両1の外に出たかどうかを判断する。
【0047】
制御装置15は、運転者が操縦室2にいないことを検出すると消毒を実施する(ステップS8)。制御装置15は、照射装置8による消毒を行う場合に、ステップS4の消毒のときよりも照射装置8の強度を上げたり、波長205~230nm以外の波長の紫外線を用いたりして照射を行う。照射装置8に波長設定機能がある場合は、この波長設定機能に応じて波長を切替えればよい。また、波長域の異なる照射装置8を設けるようにしてもよい。
【0048】
制御装置15は、液体供給装置による消毒を行う場合に、アルコール系及び第4級アンモニウム塩系以外の消毒液を用いて操縦室2内を消毒してもよい。なお、ステップS8の実施時は牽引車両1のエンジンは切れているが、照射装置8および流体供給装置9の駆動を不図示のバッテリーを用いた駆動とすれば問題はない。
【0049】
以上、本第1の実施形態を説明したが、上述の実施形態は、牽引車両1以外にも適用でき、例えば避難所などに適用することができる。また、牽引車両1は、ダンプトラックに限定されるものではなく、ブルドーザ、ローダ、ショベル系掘削機、窄孔機械など幅広く適用することができる。
【0050】
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態について説明をするが、第1の実施形態と同じ構成については同じ符号を付し、その説明を省略または簡略化する。本実施形態においては、建設機械(例えば回転式破砕装置)、に消毒装置を適用するものである。
図5は本実施形態の回転式破砕装置200を示す概要図であり、
図6は本実施形態の主要部のブロック図である。以下、
図5、
図6を用いて回転式破砕装置200の説明を行う。
【0051】
(回転式破砕装置)
本実施形態の回転式破砕装置200は、建設発生土などの原料土を改良して有効利用するために用いられる装置である。回転式破砕装置200は、原料土の破砕、細粒化を行い、原料土を細かく均質に分散させる。また、回転式破砕装置200には、必要に応じて、添加材(生石灰、消石灰などの石灰系固化材や、普通セメント、高炉セメントなどのセメント系固化材、あるいは高分子材料からなる土質改良材、天然繊維など)も投入される。添加材が投入された場合、回転式破砕装置200は、原料土と添加材を混合して改良土とすることで、改良土の性状や強度などを調整する。
【0052】
回転式破砕装置200は、
図5に示すように、架台50と、固定ドラム52と、回転ドラム54と、回転機構56と、を備える。
【0053】
架台50は、回転式破砕装置200の各部を保持するものであり、天板部50aと、脚部50bと、を有する。天板部50aは、例えば鉄製の板状部材であり、下面(-Z側の面)に固定される固定ドラム52の上部開口を閉塞する蓋としての機能を有している。天板部50aには、固定ドラム52内に原料土や添加材(以下、原料土と添加材とを処理対象と呼ぶ)を投入するための投入口部材31が設けられている。
【0054】
固定ドラム52は、円筒状の容器であり、天板部50aの下面(-Z側の面)に固定されている。固定ドラム52内には、投入口部材31を介して処理対象が投入され、固定ドラム52の下側(-Z側)に設けられた回転ドラム54内に処理対象を導く。
【0055】
回転ドラム54は、円筒状の容器であり、円筒の中心軸回り(Z軸回り)に、不図示の回転ドラム駆動用モータにより回転(自転)する。回転ドラム54は、複数の支持ローラ33を介して架台50により支持されているため、回転ドラム駆動用モータの回転力を受けてスムーズに回転するようになっている。なお、回転ドラム54の回転方向と、インパクト部材34との回転方向とは、同じ回転方向でもよく逆向きの回転方向でもよい。
【0056】
回転ドラム54の内側には、不図示の掻取棒が設けられている。この掻取棒は、回転ドラム54の内周面に接しており、固定ドラム52に対して固定された状態となっている。したがって、回転ドラム54が回転することにより、掻取棒が回転ドラム54の内周面に沿って相対的に移動する。これにより、回転ドラム54の内周面に処理対象が付着した場合であっても、回転ドラム54が回転することで、処理対象が掻取棒によって掻き取られる。すなわち、掻取棒と、掻取棒に対して移動する回転ドラム54とにより、回転ドラム54の内周面に付着した処理対象を掻き取る掻取部としての機能が実現されている。
【0057】
回転機構56は、固定ドラム52及び回転ドラム54の中心に配置された鉛直方向(Z軸方向)に延びる回転軸30と、回転軸30の上端部に設けられたプーリ32と、回転軸30の下端部近傍において上下2段に設けられた2段のインパクト部材34と、を有する。
【0058】
回転軸30は、円柱状の部材であり、架台50の天板部50aを貫通した状態、かつ、天板部50aの上面側に設けられた2つのボールベアリング36a、36bを介して回転自在な状態で、天板部50aに保持されている。2つのボールベアリング36a、36bの間には、スペーサ38が設けられており、ボールベアリング36a、36b間には所定間隔が形成されている。回転軸30の下端部は、回転ドラム54の内部に位置しており、自由端となっている。すなわち、回転軸30は、片持ち支持されている。
【0059】
インパクト部材34は、回転軸30の回転により遠心回転し、厚板42が回転ドラム54の内周面近傍を高速移動することにより、処理対象を破砕したり混合したりする。このため、回転式破砕装置200は、回転式破砕混合装置と呼ぶこともできる。なお、インパクト部材34のチェーン40及び厚板42の数は、原料土の種類や性状、処理量、添加材の種類、量、改良土の目標品質などに応じて調整することができる。
【0060】
本実施形態の回転式破砕装置200によると、投入口部材31を介して固定ドラム52内に投入された処理対象は、回転ドラム54内においてインパクト部材34により破砕、混合され、回転ドラム54の下方に排出されるようになっている。
【0061】
本実施形態においては、天板部50aの下面側に照射装置8と、流体供給装置9と、センサ10とをそれぞれ2つずつ設けている。なお、照射装置8と、流体供給装置9と、センサ10との数は1つでもよく、3つ以上でもよい。また、照射装置8と、流体供給装置9と、センサ10とのX、Y方向の取り付け位置も適宜設定することができる。
【0062】
本実施形態においては、回転する回転ドラム54ではなく、回転しない天板部50aの下面側に照射装置8と、流体供給装置9と、センサ10とを設けているので、破砕された原料土が照射装置8と、流体供給装置9と、センサ10に衝突して照射装置8と、流体供給装置9と、センサ10とが故障することを低減することができる。しかしながら、天板部50aの下面側に添加剤が舞い上がったり、投入口部材31に投入された原料土や添加剤が照射装置8と、流体供給装置9と、センサ10とに当たったりする虞がある。
【0063】
そこで、本実施の形態では、照射装置8と、流体供給装置9と、センサ10とを保護するためのカバー39を設けており、照射装置8と、流体供給装置9と、センサ10とを駆動するとき以外には、照射装置8と、流体供給装置9と、センサ10と覆い、照射装置8と、流体供給装置9と、センサ10とを駆動するときにカバー駆動部41によりカバーを開けるようにしている。
【0064】
なお、
図5ではカバー39が照射装置8と、流体供給装置9と、センサ10とを保護しているが、照射装置8と、流体供給装置9と、センサ10とのそれぞれにカバー39を設けるようにしてもよい。カバー39の材質としては、鉄やステンレスを用いることにより、インパクト部材34により破砕された原料土によりカバー39が壊れてしまうことを防ぐことができる。
【0065】
回転式破砕装置200の停止時に回転ドラム54内において、回転ドラム54の清掃や、インパクト部材34のチェーン40や厚板42などの交換等のメンテナンス作業を行うために、作業者が不図示の経路から回転ドラム54内に入ることがある。
【0066】
そこで、本実施形態では、回転ドラム54内に作業者が入ると、センサ10により作業者の咳やくしゃみを検出し、咳やくしゃみが検出された場合には、照射装置8と、流体供給装置9と、を駆動して回転ドラム54内の消毒を行うようにしている。このように、本実施形態では、回転ドラム54内が消毒領域となっている。
【0067】
(フローチャートの説明)
以上のように構成された本実施形態の制御装置15によるメンテナンス領域内の細菌やウィルスを消毒するための制御について
図7のフローチャートに沿って説明を続ける。なお、本フローチャートは、回転式破砕装置200のメンテナンスが開始された際に実施されるものとする。
【0068】
制御装置15は、カバー駆動部41を駆動して、カバー39を開ける(ステップS1)。次いで、制御装置15は、センサ10による検出を行い、作業者が咳やくしゃみを行ったかどうかを検出する(ステップS2)。
【0069】
制御装置15は、作業者が咳やくしゃみを行ったかどうかに基づいて消毒を実施するかどうか判断する(ステップS3)。ここでは、作業者が発熱しておらず、また、咳やくしゃみを行っていないとしてステップS4に進むものとする。
【0070】
制御装置15は、メンテナンスが終了しているかどうかを判断する(ステップS4)。ここでは、メンテナンスが継続しているものとして、ステップS2を再度実行して、ステップS3に進むものとする。なお、メンテナンスの開始や終了は、回転式破砕装置200に人感センサ(例えば赤外線センサ)を設けて、回転ドラム54内に作業者がいるかどうかを判断するようにすればよい。
【0071】
ここで、制御装置15は、センサ10の検出結果に基づいて作業者が咳やくしゃみを行ったと判断し、ステップS5に進む(ステップS3)。
【0072】
制御装置15は、照射装置8と、流体供給装置9とを駆動して回転ドラム54内の消毒を実施する(ステップS5)。ここで、流体供給装置9が気体供給装置である場合、制御装置15は、気体供給装置による気体供給に先立って、照射装置8により回転ドラム54内に遠紫外線C波を照射する。これにより、未だ消毒が実施されておらず、細菌やウィルスが付着した状態の土が回転ドラム54内に拡散することを防止することができる。なお、回転ドラム54内に吸い込み口を設けて不図示の換気装置により回転ドラム54内を換気するようにしてもよい。
【0073】
制御装置15は、照射装置8によりインパクト部材34や、回転ドラム54の内壁などに付着した土を消毒した後に、気体供給装置によりこの土を除去し、土が除去されたインパクト部材34や、回転ドラム54の内壁などに照射装置8による波長205~230nm、好ましくは波長222nm付近の遠紫外線C波の照射を行う。
【0074】
制御装置15は、ステップS5において、照射角度調整装置11を駆動して回転ドラム54内全体の消毒を行うことにより、回転ドラム54内に浮遊している細菌やウィルスを消毒することができる。
【0075】
また、作業者の咳やくしゃみなどの飛沫は、回転ドラム54の側壁や、インパクト部材34に付着するので、制御装置15は、回転ドラム54の側壁や、インパクト部材34に対して照射装置8による消毒を行う。
【0076】
流体供給装置9が消毒液を供給する液体供給装置の場合、制御装置15は、照射装置8による遠紫外線C波の照射と、液体供給装置による消毒液(例えばアルコール系や、第4級アンモニウム塩系)の供給とを同時に行うことにより、回転ドラム54全体を早く消毒することができる。
【0077】
制御装置15は、ステップS5の消毒を実施した後に、ステップS4へと進み(ステップS6)。制御装置15は、メンテナンスが終了しているかどうかを判断する(ステップS4)。ここでは、メンテナンスが終了しているものとして、ステップS7へと進む。
【0078】
制御装置15は、メモリ13に記憶されている消毒履歴や、操作履歴(部品交換履歴)を確認する(ステップS7)。制御装置15は、前回の消毒から所定時間経過していたり、作業者が変わっていたりする場合には消毒を実施すると判断し、それ以外の場合には消毒不要と判断する(ステップS8)。制御装置15は、消毒不要と判断した場合には、ステップS10に進む。
【0079】
制御装置15は、ステップS8にて消毒を実施すると判断した場合、作業者が回転ドラム54の外に出たかどうかを検出する。この検出には前述の人感センサを用いればよい。
【0080】
制御装置15は、作業者が回転ドラム54にいないことを検出すると消毒を実施する(ステップS9)。制御装置15は、照射装置8による消毒を行う場合に、ステップS5の消毒のときよりも照射装置8の強度を上げたり、波長205~230nm以外の波長の紫外線を用いたりして照射を行う。
【0081】
制御装置15は、液体供給装置による消毒を行う場合に、アルコール系及び第4級アンモニウム塩系以外の消毒液を用いて回転ドラム54内を消毒してもよい。
制御装置15は、カバー駆動部41によりカバー39を閉めて、本フローチャートを終了する。
なお、本実施形態は、杭打ち機、シールド機などの建設機械に広く適用することができる。
【0082】
以上で説明した実施形態は、本発明を説明するための例示に過ぎず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々変更を加えることは可能である。具体的には、第1実施形態に記載された体温計や顔認識装置を第2実施形態に適用してもよい。また、第1実施形態と第2実施形態とを適宜組み合わせて使用することもできる。また、制御装置15は、センサ10が咳またはくしゃみを検出する回数が増加するのに応じて、照射装置8の照射時間を長くしたり、流体供給装置9が供給する流体の量を増やしたりしてもよい。また、制御装置15は、センサ10が検出した咳またはくしゃみの音量が大きくなるのに応じて、照射装置8の照射時間を長くしたり、流体供給装置9が供給する流体の量を増やしたりしてもよい。
【符号の説明】
【0083】
1 牽引車両 2 操縦室 3 運転席 8 照射装置
9 流体供給装置 10 センサ 15 制御装置
16 操作部 20 スクレーパ車両 34 インパクト部材
50 架台 54 回転ドラム 100 被牽引式スクレーパ
200 回転式破砕装置