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特開2022-119863胎児の脳の酸素化を測定するためのシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022119863
(43)【公開日】2022-08-17
(54)【発明の名称】胎児の脳の酸素化を測定するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/12 20060101AFI20220809BHJP
   A61B 8/13 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
A61B8/12
A61B8/13
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022082486
(22)【出願日】2022-05-19
(62)【分割の表示】P 2020094591の分割
【原出願日】2015-07-08
(31)【優先権主張番号】62/021,946
(32)【優先日】2014-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/168,081
(32)【優先日】2015-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】508152917
【氏名又は名称】ザ ボード オブ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティー オブ テキサス システム
(71)【出願人】
【識別番号】517008526
【氏名又は名称】ノンインベイシックス,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】クーパー,トミー,ジー.
(72)【発明者】
【氏名】オルソン,ゲイル,エル.
(72)【発明者】
【氏名】サーデ,ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】ペトロフ,アイリーン
(72)【発明者】
【氏名】ペトロフ,ユーリー
(72)【発明者】
【氏名】プロー,ドナルド,エス.
(72)【発明者】
【氏名】エセナリエフ,リナト
(57)【要約】      (修正有)
【課題】被験体の生理的パラメータを光音響的に判定し酸素化をモニタリングする医療装置を提供する。
【解決手段】光音響診断システム、装置、および方法が記載されている。システムは、コンソールユニットと手持ちプローブを含んでもよい。コンソールユニットは、制御装置、プロセッサ、フォトダイオードアレイ、音響処理サブシステム、および冷却サブシステムを含む。プローブは、フォトダイオードアレイから患者の組織まで光信号を方向づける。光信号は各々、対象の生理的パラメータに基づいて選択される様々な波長を有する。プローブはさらに、方向づけられた光信号に応答して生成された音響信号を受け取る音響トランスデューサを含む。プローブは、分娩中に子宮内の胎児の頭蓋に向けることができる指で握る作業端部を含んでもよい。プローブは、帝王切開の処置が必要かどうかを判断するために胎児の血液酸素化を正確に判定することができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
胎児の酸素化をモニタリングする方法であって、
光出力部と音響トランスデューサを含むセンサーを膣に挿入する工程、
センサーを、子宮頚部を通って子宮へ進める工程、および、
センサーを胎児の頭部の上に位置付ける工程を含み、
センサーの光出力部が胎児の頭部へ光を放射し、センサーの音響トランスデューサが放射された光に応じて生成される音圧を検知し、
センサーが、検知された音圧に応じて胎児の酸素化を判定する、方法。
【請求項2】
センサーはプローブヘッドを含み、
センサーを膣に挿入する工程は、センサーのプローブヘッドを膣に挿入する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
センサーは、胎児の判定された酸素化を表示するように構成された酸素化モニターと、プローブヘッドを酸素化モニターに接続するケーブルを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
酸素化モニターと少なくともケーブルの一部は、プローブヘッドが膣に挿入されると、子宮の外部に留まる、請求項1-3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
光出力部はプローブヘッド中に導波路を含み、
ケーブルは1つ以上の光ファイバーを含み、
酸素化モニターは、1つ以上の光ファイバーを通って導波路に連結された1つ以上のレーザーダイオードまたは発光ダイオードを含む、請求項1-4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
センサーを膣に挿入する工程は、プローブヘッドをユーザーの2本の指の指先で把持する工程を含む、請求項1-5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
センサーを胎児の頭部の上に位置付ける工程は、光出力部と音響トランスデューサを胎児の上矢状静脈洞に面するように位置決めする工程を含む、請求項1-6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
センサーを胎児の頭部の上に位置付ける工程は、プローブヘッドから伸びる光出力部の先端部を胎児の頭部の皮膚に接触させる工程を含む、請求項1-7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
センサーの光出力部は、胎児の上矢状静脈洞へ光を放射し、放射された光に応じて生成される音圧は上矢状静脈洞によって生成され、および、センサーは上矢状静脈洞の酸素化を判定する、請求項1-8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
センサーを膣に挿入する工程は、分娩中にセンサーを膣に挿入する工程を含む、請求項1-9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
光出力部によって放射される光は、1μJ-1mJのエネルギーを有する、請求項1-10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
光出力部によって放射される光は、685-715nm、715-745nm、745-775nm、790-820nm、または845-875nmの2以上の範囲の波長を有する、請求項1-11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
光出力部によって放射される光は、700nm、730nm、760nm、805nm、または860nmの2以上の範囲の波長を有する、請求項1-12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
胎児の判定された酸素化は胎児の静脈の酸素化を含む、請求項1-13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
胎児の酸素化をモニタリングする方法であって、
子宮内の胎児の頭部の上に位置付けられたセンサーの光出力部から光を放射する工程、
センサーの音響トランスデューサで音圧を検知する工程であって、音圧が放射された光に応じて生成される、工程、
検知された音圧に応じて胎児の酸素化を判定する工程、および、
胎児の判定された酸素化を、センサーを用いてユーザーに表示する工程、を含む、方法。
【請求項16】
センサーは光出力部と音響トランスデューサを含むプローブヘッドを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
光出力部はプローブヘッドのハウジングから外に伸びる先端部を含む、請求項15-16に記載の方法。
【請求項18】
センサーは、胎児の判定された酸素化を表示するように構成された酸素化モニターと、プローブヘッドを酸素化モニターに接続するケーブルを含む、請求項15-17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
光出力部は、プローブヘッド内に導波路を含み、ケーブルは1以上の光ファイバーを含み、酸素化モニターは、1つ以上の光ファイバーを介して導波路に連結された1つ以上のレーザーダイオードまたは発光ダイオードを含む、請求項15-18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
光出力部と音響トランスデューサは胎児の上矢状静脈洞に面する、請求項15-19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
センサーの光出力部は胎児の上矢状静脈洞へ光を放射し、放射された光に応じて生成される音圧は、上矢状静脈洞中によって生成され、センサーは上矢状静脈洞中の酸素化を判定する、請求項15-20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
光出力部によって放射される光は、1μJ-1mJのエネルギーを有する、請求項15-21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
光出力部によって放射される光は、685-715nm、715-745nm、745-775nm、790-820nm、または845-875nmの2以上の範囲の波長を有する、請求項15-22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
光出力部によって放射される光は、700nm、730nm、760nm、805nm、または860nmの2以上の範囲の波長を有する、請求項15-23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
胎児の判定された酸素化は胎児の静脈の酸素化を含む、請求項15-24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
胎児の酸素化をモニタリングするためのシステムであって、
前記システムは、
プロセッサ、光源、およびディスプレイを含むモニター、
ケーブル、および
ユーザーの2本の指の指先で保持され、かつケーブルを介してモニターに連結されるように構成されるプローブヘッドを含み、
プローブヘッドは光出力部と音響トランスデューサを含み、
光源はプローブヘッドの光出力部を通って胎児に放射される光を生成するように構成され、
音響トランスデューサは放射された光に応じて生成される音圧を検知するように構成され、
プロセッサは検知された音圧に応じて胎児の酸素化を判定するように構成され、および、
ディスプレイは判定された酸素化を表示するように構成される、システム。
【請求項27】
光出力部はプローブヘッドのハウジングから外に伸びる先端部を含む、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
モニターの光源は1つ以上のレーザーダイオードまたは発光ダイオードを含む、請求項26または27に記載のシステム。
【請求項29】
モニターの光源は1μJ-1mJのエネルギーを有する光を生成するように構成される、請求項26-28のいずれかに記載のシステム。
【請求項30】
モニターの光源は、685-715nm、715-745nm、745-775nm、790-820nm、または845-875nmの2以上の範囲の波長を有する光を生成するように構成される、請求項26-29のいずれかに記載のシステム。
【請求項31】
モニターの光源は、700nm、730nm、760nm、805nm、または860nmの2以上の範囲の波長を有する光を生成するように構成される、請求項26-30のいずれかに記載のシステム。
【請求項32】
ケーブルは、光源により生成される光をプローブヘッドの光出力部へ方向づけるように構成された1つ以上の光ファイバーを含む、請求項26-31のいずれかに記載のシステム。
【請求項33】
プロセッサは検知された音圧に応じて胎児の静脈の酸素化を判定するように構成される、請求項26-32のいずれかに記載のシステム。
【請求項34】
胎児の脳の酸素化プローブであって、
胎児の頭部に光を放射するように構成された光出力部と、放射された光に応じて生成される音圧を検知するように構成された音響トランスデューサとを含むプローブヘッド、および、
モニターに連結するためにプローブヘッドから伸びるケーブルを含む、
プローブ。
【請求項35】
プローブヘッドはユーザーの2本の指の指先で把持されるのに適している、請求項35に記載のプローブ。
【請求項36】
プローブヘッドは円筒状である、請求項34または35のいずれかに記載のプローブ。
【請求項37】
光出力部は、プローブヘッドのハウジングから外に伸びる先端部を含む、請求項34-36に記載のプローブ。
【請求項38】
ハウジングはプローブヘッドの中心を囲む連続的な丸い溝を含む光導波路を含む、請求項34-37のいずれかに記載のプローブ。
【請求項39】
光出力部は1つ以上の光ファイバーを含む、請求項34-38のいずれかに記載のプローブ。
【請求項40】
音響トランスデューサは圧電トランスデューサを含む、請求項34-39のいずれかに記載のプローブ。
【請求項41】
プローブヘッドは、音響トランスデューサが位置付けられる内部空間を規定するハウジングを含み、光出力部がその内部空間を通る、請求項34-40のいずれかに記載のプローブ。
【請求項42】
プローブヘッドは音響トランスデューサのための増幅器をさらに含む、請求項34-41のいずれかに記載のプローブ。
【請求項43】
プローブヘッドは、電磁干渉から音響センサーと増幅器を保護する電磁シールドを含む、請求項34-42のいずれかに記載のプローブ。
【請求項44】
プローブヘッドは、プローブヘッド内の望ましくないリンギングを吸収するように構成された音響減衰器をさらに含む、請求項34-43のいずれかに記載のプローブ。
【請求項45】
光出力部は、モニター内の光源によって生成される光を向けるように構成される、請求項34-44のいずれかに記載のプローブ。
【請求項46】
プローブヘッドは1μJ-1mJのエネルギーを有する光を放射するように構成される、請求項34-45のいずれかに記載のプローブ。
【請求項47】
光出力部によって放射される光は、685-715nm、715-745nm、745-775nm、790-820nm、または845-875nmの2以上の範囲の波長を有する、請求項34-46のいずれかに記載のプローブ。
【請求項48】
光出力部によって放射される光は、700nm、730nm、760nm、805nm、または860nmの2以上の範囲の波長を有する、請求項34-47のいずれかに記載のプローブ。
【請求項49】
被験体の酸素化を光音響的に判定する方法であって、
第1の波長を有する第1の光を被験体の組織に放射する工程、
第1の波長とは異なる第2の波長を有する第2の光を組織に放射する工程、
第1と第2の波長とは異なる第3の波長を有する第3の光を組織に放射する工程、
第1、第2、および第3の放射された光に応じて組織により生成される音圧を検知する工程、および、
検知された音圧に応じて酸素化を判定する工程を含む、方法。
【請求項50】
第1の波長は790から820nmまでの範囲である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
第1の波長は805nmである、請求項49または50に記載の方法。
【請求項52】
第2または第3の波長は、685nmから715nm、715nmから745nm、745nmから775nm、または845nmから875nmの範囲である、請求項49-51のいずれかに記載の方法。
【請求項53】
第2または第3の波長は、700nm、730nm、760nm、または860nmである、請求項49-52のいずれかに記載の方法。
【請求項54】
第1、第2、および第3の光は共通の光源から放射される、請求項49-53のいずれかに記載の方法。
【請求項55】
共通の光源は第1の波長を備えた第1の光、第2の波長を備えた第2の光、および第3の波長を備えた第3の光の放射を迅速に切り替えるように構成される、請求項49-54のいずれかに記載の方法。
【請求項56】
第1、第2、および第3の光は共通の光ファイバーから組織に放射される、請求項49-55のいずれかに記載の方法。
【請求項57】
第1の光、第2の光、または第3の光の1つ以上は、少なくとも0.5マイクロジュールのエネルギー準位を有する、請求項49-56のいずれかに記載の方法。
【請求項58】
検知された音圧に応じて酸素化を判定する工程は、第1の放射された光と第2の放射された光に応じて検知された音圧の第1の差、および第1の放射された光と第3の放射された光に応じて検知された音圧の第2の差に応答して酸素化を判定する工程を含む、請求項49-57のいずれかに記載の方法。
【請求項59】
酸素化を判定する工程は、第1の差に応じて判定された酸素化と、第2の差に応じて判定された酸素化の平均に応じて酸素化を判定する工程を含む、請求項49-58のいずれかに記載の方法。
【請求項60】
放射された第1、第2、または第3の光の1つ以上は少なくとも150nsのパルス幅を有する、請求項49-59のいずれかに記載の方法。
【請求項61】
放射された第1、第2、または第3の光の1つ以上は10~2000Hzの反復率を有する、請求項49-60のいずれかに記載の方法。
【請求項62】
第1の波長は、オキシヘモグロビンとデオキシヘモグロビンとの間の実質的に等しい吸収度を有する、請求項49-61のいずれかに記載の方法。
【請求項63】
第2と第3の波長はオキシヘモグロビンとデオキシヘモグロビンとの間で吸収度の差がある、請求項49-62のいずれかに記載の方法。
【請求項64】
被験体の酸素化を光音響的に判定するシステムであって、
前記システムは、
第1の波長を有する第1の光、第1の波長とは異なる第2の波長を有する第2の光、および第1と第2の波長とは異なる第3の波長を有する第3の光を、組織に放射するように構成される光源、
第1の放射された光、第2の放射された光、および第3の放射された光に応じて、組織により生成される音圧を検知するように構成される音響トランスデューサ、および、
検知された音圧に応じて酸素化を判定するように構成されるプロセッサ、を含むシステム。
【請求項65】
光源はレーザーダイオードまたは発光ダイオードのアレイを含む、請求項64に記載のシステム。
【請求項66】
レーザーダイオードまたは発光ダイオードのアレイは、第1の光を放射するように構成された第1のレーザーダイオード、第2の光を放射するように構成された第2のレーザーダイオード、および第3の光を放射するように構成された第3のレーザーダイオードを含む、請求項64または65のいずれかに記載のシステム。
【請求項67】
第1の波長は790から820nmまでの範囲である、請求項64-66のいずれかに記載のシステム。
【請求項68】
第1の波長は805nmである、請求項64-67のいずれかに記載のシステム。
【請求項69】
第2または第3の波長は、685nmから715nm、715nmから745nm、745nmから775nm、または845nmから875nmの範囲である、請求項64-68のいずれかに記載のシステム。
【請求項70】
第2または第3の波長は、700nm、730nm、760nm、または860nmである、請求項64-69のいずれかに記載のシステム。
【請求項71】
第1の波長を備えた第1の光、第2の波長を備えた第2の光、および第3の波長を備えた第3の光の放射の間に光源を迅速に切り替えるように構成された制御装置をさらに含む、請求項64-70のいずれかに記載のシステム。
【請求項72】
光源に連結された共通の光ファイバーをさらに含み、第1、第2、および第3の光は共通の光源から送信される、請求項64-71のいずれかに記載のシステム。
【請求項73】
第1の光、第2の光、または第3の光の1つ以上は、少なくとも0.5マイクロジュールのエネルギー準位を有する、請求項64-72のいずれかに記載のシステム。
【請求項74】
プロセッサは、第1の放射された光と第2の放射された光に応じて検知された音圧の第1の差と、第1の放射された光と第3の放射された光に応じて検知された音圧の第2の差に応答して、酸素化を判定するように構成される、請求項64-73のいずれかに記載のシステム。
【請求項75】
プロセッサは、第1の差に応じて判定された酸素化と第2の差に応じて判定された酸素化の平均に応答して酸素化を判定するように構成される、請求項64-74のいずれかに記載のシステム。
【請求項76】
光源は少なくとも150nsのパルス幅を有する第1、第2、または第3の光を放射するように構成される、請求項64-75のいずれかに記載のシステム。
【請求項77】
光源は10~2000Hzの反復率を有する第1、第2、または第3の光を放射するように構成される、請求項64-76のいずれかに記載のシステム。
【請求項78】
第1の波長は、オキシヘモグロビンとデオキシヘモグロビンとの間の実質的に等しい吸収度を有する、請求項64-77のいずれかに記載のシステム。
【請求項79】
第2と第3の波長はオキシヘモグロビンとデオキシヘモグロビンとの間で吸収度の差がある、請求項64-78のいずれかに記載のシステム。
【請求項80】
判定された酸素化を表示するように構成されたディスプレイをさらに含む、請求項64-79のいずれかに記載のシステム。
【請求項81】
被験体の酸素化をモニタリングするための、デスクトップサイズのコンソールであって、
前記コンソールは、
被験体の組織に向けられた光パルスを放射するためのレーザーダイオードサブシステムであって、
第1の波長を有する第1の光パルスを放射するように構成される第1のレーザーダイオード、
第1のレーザーダイオードの温度を調節するために第1のレーザーダイオードに連結される第1の熱電冷却器、
第1の波長とは異なる第2の波長を有する第2の光パルスを放射するように構成される第2のレーザーダイオード、
第2のレーザーダイオードの温度を調節するために第2のレーザーダイオードに連結される第2の熱電冷却器、
第1の冷却ファン、および、
第1と第2のレーザーダイオードの温度を調節するべく、第1の冷却ファン、第1の熱電冷却器、または第2の熱電冷却器の1つ以上を制御するために、第1の冷却ファン、第1の熱電冷却器、または第2の熱電冷却器の1つ以上に連結される少なくとも1つの制御装置、
を含む、レーザーダイオードサブシステム、ならびに、
放射された光パルスに応答して組織内で生成された音圧を測定するための音響センサーサブシステムを含み、
被験体の酸素化は受け取った音圧に応じて判定される、コンソール。
【請求項82】
レーザーダイオードサブシステムはさらに、第1と第2の波長とは異なる第3の波長を有する第3の光パルスを放射するように構成される第3のレーザーダイオードと、第3のレーザーダイオードの温度を調節するために、第3のレーザーダイオードに連結される 第3の熱電冷却器を備え、
少なくとも1つの制御装置は、第3のレーザーダイオードの温度を調節するために、第3の熱電冷却器にさらに連結される、請求項81に記載のコンソール。
【請求項83】
レーザーダイオードサブシステムはさらに、第1のレーザーダイオードの温度を測定するための第1の温度センサー、第2のレーザーダイオードの温度を測定するための第2の温度センサー、および、第3のレーザーダイオードの温度を測定するための第3の温度センサーを含み、少なくとも1つの制御装置は、第1、第2、および第3の温度センサーによって測定される温度に応じて第1、第2、および第3のレーザーダイオードの温度を調節するように構成される、請求項81または82のいずれかに記載のコンソール。
【請求項84】
第1、第2、または、第3の波長は、685nm~715nm、715nm~745nm、745nm~775nm、790nm~820nm、または845nm~875nmの範囲である、請求項81-83のいずれかに記載のコンソール。
【請求項85】
レーザーダイオードサブシステムは、第1のレーザーダイオードの温度を測定するための第1の温度センサーと、第2のレーザーダイオードの温度を測定するための第2の温度センサーとを含み、少なくとも1つの制御装置は、第1および第2の温度センサーによって測定される温度に応じて第1および第2のレーザーダイオードの温度を調節するように構成される、請求項81-84のいずれかに記載のコンソール。
【請求項86】
第1または第2の波長は、685nm~715nm、715nm~745nm、745nm~775nm、790nm~820nm、または845nm~875nmの範囲である、請求項81-85のいずれかに記載のコンソール。
【請求項87】
レーザーダイオードサブシステムを制御するためにレーザーダイオードサブシステムに連結される、および、測定された音圧を受け取るために音響センサーサブシステムに連結されるプロセッサをさらに含む、請求項81-86のいずれかに記載のコンソール。
【請求項88】
プロセッサは測定された音圧に応じて被験体の酸素化を判定するように構成される、請求項81-87のいずれかに記載のコンソール。
【請求項89】
レーザーダイオードサブシステム、音響センサーサブシステム、およびプロセッサに連結された電源をさらに含む、請求項81-88のいずれかに記載のコンソール。
【請求項90】
判定された酸素化をユーザーに表示するためにプロセッサに連結されたディスプレイをさらに含む、請求項81-89のいずれかに記載のコンソール。
【請求項91】
ディスプレイはコンソールを操作するためのタッチスクリーンを含む、請求項81-90のいずれかに記載のコンソール。
【請求項92】
レーザーダイオードサブシステム、音響センサーサブシステム、およびプロセッサを囲むデスクトップサイズのハウジングをさらに含む、請求項81-91のいずれかに記載のコンソール。
【請求項93】
コンソールを冷やすために、プロセッサまたは音響センサーサブシステムの1つ以上に連結される、第2の冷却ファンをさらに含む、請求項81-92のいずれかに記載のコンソール。
【請求項94】
プロセッサは被験体の医療記録にアクセス可能である、請求項81-93のいずれかに記載のコンソール。
【請求項95】
レーザーダイオードサブシステムのための出力ポートと、音響センサーサブシステムのための入力ポートをさらに含む、請求項81-94のいずれかに記載のコンソール。
【請求項96】
出力ポートと入力ポートは、被験体の組織に1つ以上の光パルスを放射するとともに組織内で生成された音圧を受け取るために、センサモジュールまたは光音響プローブに連結されるように構成される、請求項81-95のいずれかに記載のコンソール。
【請求項97】
出力ポートと入力ポートは、1つ以上の光ファイバーを含むケーブルでセンサモジュールまたは光音響プローブに連結されるように構成される、請求項81-96のいずれかに記載のコンソール。
【請求項98】
被験体の酸素化をモニタリングする方法であって、
第1の波長を有する第1の光パルスを、第1のレーザーダイオードで生成する工程、
第1の波長とは異なる第2の波長を有する第2の光パルスを、第2のレーザーダイオードで生成する工程、
第1と第2のレーザーダイオードの温度を、第1のレーザーダイオードに連結された第1の熱電冷却器、第2のレーザーダイオードに連結された第2の熱電冷却器、および第1の冷却ファンで調節する工程、
生成された第1と第2の光パルスを被験体の組織に方向づける工程、
方向づけられた第1と第2の光パルスに応じて組織で生成される音圧を測定する工程、および、
測定された音圧に応じて被験体の酸素化を判定する工程、
を含む、方法。
【請求項99】
第1と第2の波長とは異なる第3の波長を有する第3の光パルスを、第3のレーザーダイオードで生成する工程、
第3のレーザーダイオードの温度を、第3のレーザーダイオードと第1の冷却ファンに連結された第3の熱電冷却器で調節する工程、および、
生成された第3の光パルスを被験体の組織に方向づける工程をさらに含み、
測定された音圧が、方向づけられた第1、第2、および第3の光パルスに応じて組織内で生成される、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
第1のレーザーダイオードの温度を測定する工程、第2のレーザーダイオードの温度を測定する工程、第3のレーザーダイオードの温度を測定する工程、および、測定された温度に応じて第1、第2、および第3のレーザーダイオードの温度を調節する工程をさらに含む、請求項98または99に記載の方法。
【請求項101】
第1、第2、または、第3の波長は、685nm~715nm、715nm~745nm、745nm~775nm、790nm~820nm、または845nm~875nmの範囲である、請求項98-100に記載の方法。
【請求項102】
第1のレーザーダイオードの温度と第2のレーザーダイオードの温度を測定する工程、および、測定された温度に応じて第1および第2のレーザーダイオードの温度を調節する工程をさらに含む、請求項98-101に記載の方法。
【請求項103】
第1または第2の波長は、685nm~715nm、715nm~745nm、745nm~775nm、790nm~820nm、または845nm~875nmの範囲である、請求項98-102に記載の方法。
【請求項104】
被験体の判定された酸素化を表示する工程をさらに含む、請求項98-103に記載の方法。
【請求項105】
第1および第2のレーザーダイオードの温度を第2の冷却ファンで調節する工程をさらに含む、請求項98-104に記載の方法。
【請求項106】
第2の冷却ファンは、第1のレーザーダイオード、第2のレーザーダイオード、および第1の冷却ファンを囲むハウジングで囲まれる、請求項98-105に記載の方法。
【請求項107】
生成された第1と第2の光パルスを被験体の組織に方向づける工程は、第1と第2のフォトダイオードに連結されたセンサモジュールまたは光音響センサーの光導波路を用いて第1と第2の光パルスを方向づける工程を含む、請求項98-106に記載の方法。
【請求項108】
音圧は、センサモジュールまたは光音響センサーの音響トランスデューサによって測定される、請求項98-107に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<相互参照>
本出願は、2014年7月8日に出願され、「System and Methods for Measuring Fetal Cerebral Oxygenation」と題する米国仮出願第62/021,946号と、2015年5月29日に出願され、「System and Methods for Measuring Fetal Cerebral Oxygenation」と題する第62/168,081号の利益を主張するものであり、当該文献は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願の主題は以下の特許と特許出願の主題に関する:1998年10月27日に出願され、「Real Time Optoacoustic Monitoring of Changes in Tissue Properties」と題された米国特許第6,309,352号、2002年12月24日に出願され、「Optoacoustic Monitoring of Blood Oxygenation」と題された第6,498,942号、2004年4月20日に出願され、「Methods for Noninvasive Analyte Sensing」と題された第6,725,073号、2004年6月15日に出願され、「Continuous Optoacoustic Monitoring of Hemoglobin Concentration and Hematocrit」と題された第6,751,490号、2008年9月30日に発行され、「Noninvasive Blood Analysis by Optical Probing of the Veins Under the Tongue」と題された第7,430,445号、2012年3月13日に発行され、「Noninvasive Glucose Sensing Methods and Systems」と題された第8,135,460号、2013年1月8日に出願され、「Noninvasive Blood Analysis by Optical Probing of the Veins Under the Tongue」と題された第8,352,005号、および、2007年4月11日に出願され、「Optoacoustic Monitoring of Multiple Parameters」と題された米国特許出願第12/101,891号、2012年6月29日に出願され、「Noninvasive, Accurate Glucose Monitoring with OCT by using Tissue Warming and Temperature Control」と題された第13/538,687号。これらの文献の内容物は参照により本明細書に完全に組み込まれる。
【0003】
政府の支援を受けた研究の通知
本発明は国立衛生研究所(NIH)によって与えられた認可/契約番号1R43HD075551-01の下で政府の支援を受けて行われた。政府は本発明の一定の権利を有する。
【背景技術】
【0004】
分娩中の低酸素脳症は、死亡または重篤な神経学的合併症(例えば脳性麻痺)の危険因子を表す。現在、基本心拍数の変化と、胎児心拍数(FHR)の変動およびFHR一過性徐脈のタイミングの変化を使用して、胎児窒息を間接的に評価する胎児心拍数(FHR)モニター以外に、低酸素脳症を検知するために使用することができる市販のモニターはない。胎児心拍数のモニタリングは胎児の酸素化に関する重要な情報を提供するが、こうした情報は多少制限されており、脳性麻痺の危険に関する情報をあたえるものではない。結果として、多くの帝王切開が、分娩の所要時間を減らすことにより分娩時の胎児窒息のリスクを軽減するための防衛処置として行われる。不運なことに、防衛のための帝王切開は母体のリスクの増加を伴う。米国では、33%を超える帝王切開率での母体死亡率は、33%未満の帝王切開率での母体死亡率よりも21%高い。
【0005】
FHRによって提供される情報が制限されることと帝王切開処置に関連するリスクを考慮すると、胎児の脳の酸素化(つまり、ヘモグロビン飽和)を測定するより直接的な方法があることが望ましいことが認識されよう。
【0006】
対象となる文献は以下を含む:米国特許第4,537,197号、第5,088,493号、第5,099,842号、第5,228,440号、第5,348,002号、第5,377,673号、第5,823,952号、第5,840,023号、第5,941,821号、第6,049,728号、第6,381,480号、第6,553,242号、第6,594,515号、第6,463,311号、第6,466,806号、第6,484,044号、第6,567,678号、第6,751,490号、第6,846,288号、第7,164,938号、第7,322,972号、第7,515,948号、第7,747,301号、第7,916,283号、第8,121,663号、第8,280,469号、第8,332,006号、第8,423,111号、第8,501,099号、第8,781,548号、第8,852,095号、第8,864,667号、第8,885,155号、および、第8,934,953号;米国特許出願公開第2006/100530号、第2006/184042号、第2007/015992号、第2009/069652号、第2009/108205号、第2010/081904号、第2011/239766号、第2013/112001号、第2013/190589号、第2013/324815号、第2014/142404号、第2014/275943号、第2014/343384号、第2014/378811号、第2015/051473号、および第2015/099973号;ドイツ特許出願公開第De4400674A1号;ならびに、Petrovaらの「Noninvasive monitoring of cerebral blood oxygenation in ovine superior sagittal sinus with novel multi-wavelength optoacoustic system」(27 April 2009 / Vol. 17, No. 9 / OPTICS EXPRESS 7285)。
【発明の概要】
【0007】
本開示は一般に医療装置とその使用のための方法、とりわけ、光音響診断用の装置と方法に関する。1つ以上の生理的パラメータを光音響的に判定するシステム、装置、および方法が記載されている。典型的なシステムは、制御装置および/またはプロセッサ、フォトダイオードアレイ、音響処理サブシステム、ならびに冷却サブシステムを含む、便利なデスクトップサイズのコンソールユニットを含むことがある。該システムは、コンソールユニットに連結可能な手持ちプローブをさらに含むことがある。プローブは、コンソールユニットのフォトダイオードアレイから患者の組織まで光信号を方向づけることもある。各々が様々な波長を有する複数の光信号が組織に向けられてもよい。光の波長は対象の生理的パラメータに基づいて選択されることがある。プローブは、方向づけられた光信号に応答して生成された音響信号を受け取る音響トランスデューサをさらに含むことがある。プローブは様々な形状因子を有してもよい。例えば、プローブは、分娩中に子宮内の胎児の頭蓋に向けることができる指で握る作業端部を含むことがある。プローブは、帝王切開の処置が必要かどうかを判断するために胎児の血液酸素化を正確に判定することができ、それによって、分娩中に母親と子どもにとっての結果を改善するとともに、医療過誤の訴訟と保険金を減らすことができる。コンソールユニットは、胎児または他の標的組織の血液酸素化レベル(および/または他の生理的パラメータ)を示し、血液酸素化値または他の測定された生理的パラメータを記録・分析するために電子カルテなどの他のコンピューター化された医療システムと通信することができる。
【0008】
本開示の態様は、被験体の酸素化をモニタリングするための、デスクトップサイズのコンソールのような装置を提供する。コンソールは、被験体の組織に向けられた光パルスを放射するためのレーザーダイオードサブシステムと、放射された光パルスに応答して組織内で生成された音圧を測定するための音響センサーサブシステムを含んでもよい。レーザーダイオードサブシステムは、第1のレーザーダイオードドライバーを備える第1のレーザーダイオード、第1の熱電冷却器と第1の温度センサーを備えた第1の温度制御装置、第2のレーザーダイオード、第2の熱電冷却器と第2の温度センサーを備えた第2の温度制御装置、第1の冷却ファン、およびレーザー制御装置を含むことがある。第1のレーザーダイオードは第1の波長を有する第1の光パルスを放射するように構成されてもよい。第1の熱電冷却器は、第1の温度センサーによって検知され得る第1のレーザーダイオードの温度を調節するために、熱を加えるまたは取り除くべく第1のレーザーダイオードに連結されることもある。第2のレーザーダイオードは第1の波長とは異なる第2の波長を有する第2の光パルスを放射するように構成されることがある。第2の熱電冷却器は、第2の温度センサーによって検知され得る第2のレーザーダイオードの温度を調節するために、熱を加えるまたは取り除くべく、第2のレーザーダイオードに連結されることもある。第1と第2の温度制御装置は、第1と第2のレーザーダイオードの温度を調節するべく、第1の冷却ファン、第1の熱電冷却器、および第2の熱電冷却器を制御するために、第1の冷却ファン、第1の熱電冷却器、および第2の熱電冷却器に連結されることもある。第1と第2の温度制御装置は、第1と第2のレーザーダイオードが所望の波長で一貫して光パルスを放射することができるように、第1と第2のレーザーダイオードを最適な温度範囲で維持するように構成されてもよい。被験体の酸素化は受け取った音圧に応じて判定されることがある。
【0009】
レーザーダイオードサブシステムはさらに、第3のレーザーダイオードと、第3の温度センサーおよび第3の熱電冷却器を備え得る第3の温度制御装置とを含むことがある。第3のレーザーダイオードは、第1と第2の波長とは異なる第3の波長を有する第3の光パルスを放射するように構成されることがある。第3の熱電冷却器は、第3のレーザーダイオードの温度を調節するために、第3のレーザーダイオードに連結されることがある。第3の温度センサーは、第3のレーザーダイオードの温度を調節するために、第3の熱電冷却器にさらに連結されることがある。
【0010】
第1の温度制御装置は、第1の熱電冷却器と、第1のレーザーダイオードの温度を測定および制御するための第1の温度センサーとを含むことがある。第2の熱電制御装置は、第2の熱電冷却器と、第2のレーザーダイオードの温度を測定および制御するための第2の温度センサーとを含むことがある。同様に、第3の温度制御装置は、第3の熱電冷却器と、第3のレーザーダイオードの温度を測定および制御するための第3の温度センサーを含むことがある。第1、第2、および/または第3の温度制御装置は、それぞれ第1、第2、および第3の温度センサーによって測定される温度に応じて第1、第2、および/または第3のレーザーダイオードの温度を調節するように構成されてもよい。第1、第2、または、第3の波長は、685nm~715nm、715nm~745nm、745nm~775nm、790nm~820nm、または845nm~875nmの範囲であってもよい。
【0011】
コンソールはさらに、レーザーダイオードサブシステムを制御するためにレーザーダイオードサブシステムに連結される、および、測定された音圧を受け取るために音響センサーサブシステムに連結されるプロセッサを含み得る。プロセッサは測定された音圧に応じて被験体の酸素化を判定するように構成されてもよい。コンソールは、レーザーダイオードサブシステム、音響センサーサブシステム、およびプロセッサに連結された電源をさらに含むことがある。コンソールは、判定された酸素化をユーザーに表示するためにプロセッサに連結されたディスプレイをさらに含むことがある。ディスプレイはコンソールを操作するためのタッチスクリーンを含むことがある。コンソールは、レーザーダイオードサブシステム、音響センサーサブシステム、およびプロセッサを囲むデスクトップサイズのハウジングを含むことがある。コンソールはさらに、コンソールを冷やすために、プロセッサまたは音響センサーサブシステムの1つ以上に連結され得る、第2の冷却ファンを含み得る。プロセッサは被験体の医療記録にアクセス可能であってもよい。
【0012】
コンソールはさらに、レーザーダイオードサブシステムのための出力ポートと、音響センサーサブシステムのための入力ポートを含むことがある。出力ポートと入力ポートは、被験体の組織に1つ以上の光パルスを放射するとともに組織内で生成された音圧を受け取るために、センサモジュールまたは光音響プローブに連結されるように構成されてもよい。出力ポートと入力ポートは、1つ以上の光ファイバーを含むケーブルでセンサモジュールまたは光音響プローブに連結されるように構成されることがある。
【0013】
本開示の態様はさらに、被験体の酸素化をモニタリングする方法を提供する。第1の波長を有する第1の光パルスは、第1のレーザーダイオードで生成され得る。第1の波長とは異なる第2の波長を有する第2の光パルスは、第2のレーザーダイオードで生成され得る。第1と第2のレーザーダイオードの温度は、第1のレーザーダイオードに連結された第1の熱電冷却器、第2のレーザーダイオードに連結された第2の熱電冷却器、および/または、第1の冷却ファンで調節され得る。生成された第1と第2の光パルスは被験体の組織に方向づけられてもよい。方向づけられた第1と第2の光パルスに応じて組織で生成される音圧が測定され得る。被験体の酸素化は測定された音圧に応じて判定され得る。
【0014】
第1と第2の波長とは異なる第3の波長を有する第3の光パルスは、第3のレーザーダイオードで生成されることがある。第3のレーザーダイオードの温度は、第3のレーザーダイオードと第1の冷却ファンに連結された第3の熱電冷却器で調節され得る。生成された第3の光パルスは被験体の組織に方向づけられてもよい。測定された音圧は、方向づけられた第1、第2、および第3の光パルスに応じて組織内で生成され得る。
【0015】
第1の温度制御装置は、第1のレーザーダイオードの温度を測定するための第1の温度センサーと、測定された温度に応じて第1のレーザーダイオードの温度を調節するべく熱を加えるまたは取り除くための第1の熱電冷却器とを含むことがある。第2の温度制御装置は、第2のレーザーダイオードの温度を測定するための第2の温度センサーと、測定された温度に応じて第2のレーザーダイオードの温度を調節するべく熱を加えるまたは取り除くための第2の熱電冷却器とを含むことがある。同様に、第3の温度制御装置は、第3のレーザーダイオードの温度を測定するための第3の温度センサーと、測定された温度に応じて第3のレーザーダイオードの温度を調節するべく熱を加えるまたは取り除くための第3の熱電冷却器を含むことがある。第1、第2、および第3の温度制御装置は、それぞれ第1、第2、および第3の温度センサーによって測定された温度に応じて第1、第2、および第3のレーザーダイオードの温度を調節するように構成され得る。第1、第2、または、第3の波長は、685nm~715nm、715nm~745nm、745nm~775nm、790nm~820nm、または845nm~875nmの範囲であってもよい。
【0016】
被験体の判定された酸素化は表示されてもよい。第1、第2、および/または第3のレーザーダイオードの温度は第2の冷却ファンで調節されてもよい。第2の冷却ファンは、第1のレーザーダイオード、第2のレーザーダイオード、第3のレーザーダイオード、および/または、第1の冷却ファンを囲むハウジングで囲まれてもよい。生成された第1と第2の光パルスは、第1と第2のフォトダイオードに連結されたセンサモジュールまたは光音響センサーの光導波路を用いて第1と第2の光パルスを方向づけることによって、被験体の組織に向けられてもよい。音圧は、センサモジュールまたは光音響センサーの音響トランスデューサによって測定されることがある。
【0017】
本開示の態様はさらに被験体の酸素化を光音響的に判定する方法を提供する。第1の波長を有する第1の光は被験体の組織に放射され得る。第2の波長を有する第2の光は、組織に放射され得る。第2の波長は第1の波長とは異なることがある。第3の波長を有する第3の光は、組織に放射され得る。第3の波長は第1と第2の波長とは異なることがある。第1、第2、および第3の放射された光に応じて組織により生成される音圧が検知され得る。
【0018】
第1の波長は800nmまたは805nmなど790から820nmまでの範囲であり得る。第2または第3の波長は、685nmから715nm、715nmから745nm、745nmから775nm、または845nmから875nmなどの範囲、例えば、700nm、730nm、760nm、または860nmであり得る。
【0019】
第1、第2、および第3の光は共通の光源から放射され得る。共通の光源は第1の波長を備えた第1の光、第2の波長を備えた第2の光、および第3の波長を備えた第3の光の放射を迅速に切り替えるように構成され得る。例えば、共通の光源は、共通制御されたレーザーダイオードアレイまたは光パラメトリック発振器(OPO)であり得る。第1、第2、および第3の光は共通の光ファイバーから組織に放射され得る。
【0020】
第1の光、第2の光、または第3の光の1つ以上は、少なくとも0.5マイクロジュールのエネルギー準位を有し得る。放射された第1、第2、または第3の光の1つ以上は、少なくとも100nsのパルス幅を有し得る。放射された第1、第2、または第3の光の1つ以上は、10~10,000Hzの反復率があることがある。
【0021】
酸素化は、第1の放射された光と第2の放射された光に応じて検知された音圧の第1の差、および第1の放射された光と第3の放射された光に応じて検知された音圧の第2の差に応答して酸素化を判定することにより、検知された音圧に応じて判定され得る。酸素化は、第1の差に応じて判定された酸素化と、第2の差に応じて判定された酸素化の平均に応じて酸素化を判定することにより判定され得る。第1の波長は、オキシヘモグロビンとデオキシヘモグロビンとの間の実質的に等しい吸収度を有することがある。第2と第3の波長ではオキシヘモグロビンとデオキシヘモグロビンとの間で吸収差があり得る。
【0022】
本開示の態様は被験体の酸素化を光音響的に判定するシステムも提供する。システムは光源、音響トランスデューサ、およびプロセッサをさらに含み得る。光源は、第1の波長を有する第1の光、第1の波長とは異なる第2の波長を有する第2の光、および第1と第2の波長とは異なる第3の波長を有する第3の光を、組織に放射するように構成され得る。音響トランスデューサは、第1の放射された光、第2の放射された光、および第3の放射された光に応じて、組織により生成される音圧を検知するように構成されてもよい。プロセッサは検知された音圧に応じて酸素化を判定するように構成され得る。
【0023】
光源はレーザーダイオードまたは発光ダイオードのアレイを含んでもよい。レーザーダイオードまたは発光ダイオードのアレイは、第1の光を放射するように構成された第1のレーザーダイオード、第2の光を放射するように構成された第2のレーザーダイオード、および第3の光を放射するように構成された第3のレーザーダイオードを含み得る。第1の波長は、805nmなどの790から820nmまでの範囲であり得る。第2または第3の波長は、685nmから715nm、715nmから745nm、745nmから775nm、または845nmから875nmなどの範囲、例えば、700nm、730nm、760nm、または860nmであり得る。
【0024】
システムは、第1の波長を備えた第1の光、第2の波長を備えた第2の光、および第3の波長を備えた第3の光の放射の間に光源を迅速に切り替えるように構成された制御装置をさらに含んでもよい。例えば、光源は、共通制御されたレーザーダイオードアレイまたは光パラメトリック発振器(OPO)であり得る。第1、第2、および第3の光は共通の光ファイバーから組織に放射され得る。
【0025】
第1の光、第2の光、または第3の光の1つ以上は、少なくとも0.5マイクロジュールのエネルギー準位を有し得る。放射された第1、第2、または第3の光の1つ以上は少なくとも150nsのパルス幅を有し得る。放射された第1、第2、または第3の光の1つ以上は10~2000Hzの反復率を有し得る。
【0026】
プロセッサは、第1の放射された光と第2の放射された光に応じて検知された音圧の第1の差と、第1の放射された光と第3の放射された光に応じて検知された音圧の第2の差に応答して、酸素化を判定するように構成されてもよい。プロセッサは、第1の差に応じて判定された酸素化と第2の差に応じて判定された酸素化の平均に応答して酸素化を判定するように構成されてもよい。第1の波長は、オキシヘモグロビンとデオキシヘモグロビンとの間の実質的に等しい吸収度を有することがある。第2と第3の波長ではオキシヘモグロビンとデオキシヘモグロビンとの間で吸収差があり得る。システムは、判定された酸素化を表示するように構成されたディスプレイをさらに含み得る。
【0027】
本開示の態様は、胎児の静脈の酸素化などの胎児の酸素化をモニタリングする方法も提供し得る。センサーは膣に挿入され得る。センサーは光出力部と音響トランスデューサを含むことがある。センサーは子宮頚部を通って子宮へ進められてもよい。センサーは胎児の頭部の上に位置付けられてもよい。センサーの光出力部は、胎児の頭部へ光を放射することもあり、センサーの音響トランスデューサは、放射された光に応じて生成される音圧を検知し得る。センサーは、検知された音圧に応じて胎児の酸素化を判定し得る。
【0028】
センサーは膣に挿入され得るプローブヘッドを含むことがある。センサーは、胎児の判定された酸素化を表示するように構成された酸素化モニターと、プローブヘッドを酸素化モニターに接続するケーブルを含むことがある。プローブヘッドが膣に挿入されると、酸素化モニターと少なくともケーブルの一部は子宮の外部に留まることがある。光出力部はプローブヘッド中に導波路を含むことがある。ケーブルは1つ以上の光ファイバーを含んでもよく、酸素化モニターは、1つ以上の光ファイバーを通って導波路に連結された1つ以上のレーザーダイオードまたは発光ダイオードを含んでもよい。センサーを膣に挿入するために、プローブヘッドはユーザーの2本の指の指先で把持され得る。センサーは、光出力部と音響トランスデューサを胎児の上矢状静脈洞に面するように位置決めすることにより、胎児の頭部の上に位置付けられ得る。胎児の頭部の上にセンサーを位置決めするために、プローブヘッドから伸びる光出力部の先端部は、毛髪の吸収による光度の損失を少なくするべく髪を通すなどするために、胎児の頭部の皮膚に接触させてもよい。
【0029】
センサーの光出力部は、胎児の上矢状静脈洞へ光を放射してもよい。放射された光に応じて生成される音圧は、上矢状静脈洞によって生成され得る。センサーは上矢状静脈洞の酸素化を判定し得る。センサーは分娩中に膣/産道と子宮に挿入され得る。
【0030】
光出力部によって放射される光は、1μJ-1mJのエネルギーを有し得る。光出力部によって放射される光は、700nm、730nm、760nm、805nm、または860nmの2以上の範囲の波長など、685-715nm、715-745nm、745-775nm、790-820nm、または845-875nmの2以上の範囲の波長を有し得る。
【0031】
本開示の態様は、胎児の静脈の酸素化など、胎児の酸素化をモニタリングするさらなる方法も提供する。光は子宮内の胎児の頭部の上に位置付けられたセンサーの光出力部から放射され得る。音圧はセンサーの音響トランスデューサで検知され得る。音圧は放射された光に応じて生成され得る。胎児の酸素化は検知された音圧に応じて判定され得る。胎児の判定された酸素化は、センサーを用いてユーザーに表示され得る。
【0032】
センサーは、光出力部と音響トランスデューサを含むプローブヘッドを含み得る。光出力部はプローブヘッドのハウジングから外に伸びる先端部を含み得る。センサーは、胎児の判定された酸素化を表示するように構成された酸素化モニターと、プローブヘッドを酸素化モニターに接続するケーブルを含むことがある。光出力部は、プローブヘッド内に光ファイバーなどの導波路を含むことがある。ケーブルは1以上の光ファイバーおよび/またはケーブルを含むことがある。酸素化モニターは、1つ以上の光ファイバーおよび/または鏡もしくはレンズなどの他の光学部品を介して導波路に連結された1つ以上のレーザーダイオードまたは発光ダイオードを含み得る。ケーブルは、酸素化モニターにプローブヘッド内の音響トランスデューサを接続することがある。
【0033】
光出力部と音響トランスデューサは胎児の上矢状静脈洞に面するように位置決めされ得る。センサーの光出力部は胎児の上矢状静脈洞へ光を放射し得る。放射された光に応じて生成される音圧は、上矢状静脈洞中の血液によって生成され得る。センサーは上矢状静脈洞中の静脈血の酸素化を判定し得る。
【0034】
光出力部によって放射される光は、1μJ-1mJのエネルギーを有し得る。光出力部によって放射される光は、700nm、730nm、760nm、800nm、805nm、または860nmの2以上の範囲の波長など、685-715nm、715-745nm、745-775nm、790-820nm、または845-875nmの2以上の範囲の波長を有し得る。
【0035】
本開示の態様は、胎児の静脈の大脳の酸素化など、胎児の酸素化をモニタリングするためのシステムも提供する。システムはモニター、ケーブル、およびプローブヘッドを含み得る。モニターはプロセッサ、光源、およびディスプレイを含み得る。プローブヘッドは、ユーザーの2本の指の指先で保持され、かつケーブルを介してモニターに連結されるように構成されてもよい。プローブヘッドは光出力部と音響トランスデューサを含み得る。光源はプローブヘッドの光出力部を通って胎児に放射される光を生成するように構成されてもよい。音響トランスデューサは放射された光に応じて生成される音圧を検知するように構成されてもよい。プロセッサは検知された音圧に応じて胎児の酸素化を判定するように構成されてもよい。ディスプレイは判定された酸素化を表示するように構成されてもよい。光出力部はプローブヘッドのハウジングから外に伸びる先端部を含み得る。
【0036】
モニターの光源は1つ以上のレーザーダイオードまたは発光ダイオードを含み得る。モニターの光源は1μJ-1mJのエネルギーを有する光を生成するように構成されてもよい。モニターの光源は、例えば、700nm、730nm、760nm、805nm、800nm、または860nmの2以上など、685-715nm、715-745nm、745-775nm、790-820nm、または845-875nmの2以上の範囲の波長を有する光を生成するように構成されてもよい。ケーブルは、光源により生成される光をプローブヘッドの光出力部に方向づけるように構成された1つ以上の光ファイバーを含み得る。
【0037】
本開示の態様は胎児の脳の静脈の酸素化プローブも提供し得る。胎児の脳の静脈の酸素化プローブはプローブヘッドとケーブルを含み得る。プローブヘッドは、胎児の頭部に光を放射するように構成された光出力部と、放射された光に応じて生成される音圧を検知するように構成された音響トランスデューサとを含み得る。ケーブルはプローブヘッドからモニターまで伸びることがある。
【0038】
プローブヘッドはユーザーの2本の指の指先で把持されるのに適するものであってもよい。プローブヘッドは円柱状であり得る。光出力部は、プローブヘッドの中央部からなど、プローブヘッドのハウジングから外に伸びる先端部または出力部を含んでもよい。例えば、先端部または出力部は、光源に連結された光ファイバーの突出部を含み得る。光出力部は、プローブヘッドの中央部を囲む連続的な丸い溝を含む光導波路を含んでもよい。プローブヘッドは、音響トランスデューサが位置付けられる内部空間を規定するハウジングを含んでもよく、光出力部はその内部空間を通る。光出力部は1つ以上の光ファイバーを含んでもよい。音響トランスデューサは圧電トランスデューサを含み得る。プローブヘッドは音響トランスデューサのための増幅器をさらに含み得る。プローブヘッドは、電磁干渉から音響センサーと増幅器を保護する電磁シールドをさらに含み得る。プローブヘッドは、プローブヘッド内の望ましくないリンギングを吸収するように構成された音響減衰器をさらに含み得る。光出力部は、モニター内の光源によって生成される光を向ける(channel)ように構成され得る。
【0039】
プローブヘッドは1μJ-1mJのエネルギーを有する光を放射するように構成され得る。例えば、光出力部によって放射される光は、700nm、730nm、760nm、805nm、または860nmの2以上など、685-715nm、715-745nm、745-775nm、790-820nm、または845-875nmの2以上の範囲の波長を有してもよい。
<参照による組み込み>
【0040】
本明細書で言及される出版物、特許、および特許出願はすべて、あたかも個々の出版物、特許、または特許出願が参照により組み込まれるように具体的かつ個別に指示される程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
本開示の新規な特徴は、とりわけ添付の請求項で説明される。本開示の特徴と利点についてのよりよい理解は、発明の原則が利用されている例示的な実施形態を説明する以下の詳細な記載と添付の図面とを参照することにより得られる。一致する参照番号は全図面で対応する部分を指定している。図面は必ずしも同一縮尺で描かれているわけではない。
【0042】
図1】多くの実施形態に係る、1つ以上の生理的パラメータの光音響診断のためのシステムの概略図を示す。
図2図1のシステムの典型的なレーザーダイオードサブシステムの概略図を示す。
図3】多くの実施形態に係る、胎児の脳の酸素化を測定するためのシステムの実施形態の概略図である。
図4】多くの実施形態に係る、図3のシステムで使用可能な胎児の脳の酸素化プローブの実施形態の斜視図である。
図5図4の胎児の脳の酸素化プローブの正面図である。
図6図4の胎児の脳の酸素化プローブの側面図である。
図7図4の胎児の脳の酸素化プローブの横断面図である。
図8】多くの実施形態に係る、胎児の検査中に胎児の脳の酸素化プローブを保持するために使用される第1の例となるグリップを例証する概略図である。
図9】多くの実施形態に係る、胎児の検査中に胎児の脳の酸素化プローブを保持するために使用される第2の例となるグリップを例証する概略図である。
図10A】多くの実施形態に係る、様々な波長で第1の赤ん坊の上矢状静脈洞(SSS)から記録される光音響信号を描いたグラフである。
図10B】多くの実施形態に係る、様々な波長で第2の赤ん坊のSSSから記録された典型的な光音響信号を描いたグラフである。
図11】AとBは、多くの実施形態に係る光音響プローブの典型的な構造を例証する。
図12】AとBは、多くの実施形態に係る光音響プローブの別の典型的な構造を例証する。
図13】A、B、およびCは、多くの実施形態に係る、胎児の脳の酸素化の測定手続中にユーザーによって把持されるプローブを例証する。
図14】A、B、およびCは、多くの実施形態に係る、胎児の脳の酸素化の測定手続中にユーザーによって把持される別のプローブを例証する。
図15】AとBは、多くの実施形態に係る、胎児の脳の酸素化の測定手続中にユーザーによって把持されるまた別のプローブを例証する。
図16】多くの実施形態に係る、1つ以上の生理的パラメータを光音響的に測定または検知する典型的な方法のフローチャートを示す。
図17A】多くの実施形態によれば、光音響プローブの典型的な配置を例証する。
図17B】多くの実施形態によれば、光音響プローブの典型的な配置を例証する。
図17C】多くの実施形態によれば、光音響プローブの典型的な配置を例証する。
図18A】多くの実施形態に係る晩期産中に胎児から記録された差分光音響信号を描いたグラフである。
図18B】多くの実施形態に係る晩期産中に胎児から記録された差分光音響信号を描いたグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0043】
上に記載されたように、脳の静脈血酸素化飽和のような胎児の脳の酸素化を測定する直接的な方法を有していることが望ましい。この目的に非常に適したシステムと方法が本明細書で開示されている。多くの実施形態では、胎児の脳の酸素化を測定するためのシステムは、分娩中に胎児の頭部に適用可能な胎児の脳の酸素化プローブを含む。プローブは、頭蓋と脳組織を通って上矢状静脈洞(SSS)へと光を放射し、かつSSSの照射によって引き起こされる音波を折り返し受け取るように構成された光音響プローブであり得る。血液酸素飽和度の判定は音波によって下すことができる。いくつかの実施形態では、プローブは胎児の頭部へ適用しやすいように産科医の指と指の間にフィットするように構成され、光を放射する導波管とSSSから放射された音響信号を検知する音響センサーとを含む。
【0044】
以下の開示では、様々な具体的な実施形態が記載されている。こうした実施形態は開示された本発明の例証的に実施したものであり、代替的な実施形態が可能であることを理解されたい。上記のような実施形態はすべて、本開示の範囲内にあるよう意図されている。
【0045】
開いた大泉門を通って、または薄い頭蓋骨を通って晩期産中に胎児の脳の静脈血酸素飽和の正確な非侵襲的測定を行うために使用することができる脳の酸素化をモニタリングするためのシステムと方法が本明細書で開示されている。脳の静脈血酸素飽和度は、脳の酸素要求量を満たす脳血流と脳血液酸素含量の能力の評価を1つの数字で与える。以下に記載されるように、該システムと方法は上矢状静脈洞(SSS)内の光音響測定を可能にする。こうした測定技術は、血管の直接的な探索を可能にする高コントラストと高解像度を提供する。脳の静脈の不飽和化は、脳酸素利用率が脳酸素要求量を満たすのに不十分である証拠を直接与えるものであることから、SSS酸素化(SSS(SO2))を減少させることにより低酸素脳症の早期警告を与えることができる。したがって、この技術を用いて胎児心拍数(FHR)のモニタリングよりも迅速に胎児窒息を直接検知することができ、それにより脳性麻痺のリスクを減らすことができる。さらに、この技術はFHRモニタリングよりも的確であり、胎児仮死の偽陽性の事象を減らし、防衛的な帝王切開を減らすよう促す。
【0046】
晩期産中に胎児生存度を評価するための以前研究されていた技術とは対照的に、分娩中の胎児のSSS(SO2)の光音響モニタリングには大きな利点がある。事実上すべての胎児において、いったん母体の子宮頚部が5cmを越えて拡張すると大泉門を膣内診によって触知できるが、実質的にすべての胎児仮死(FHRモニタリングのみによって検知される)はその後に生じる。幼児では、大人とは異なり、矢状静脈洞は、頭蓋に介入することなく、または薄く重なる頭蓋骨を備えて頭皮の真下にあり、したがって、比較的低強度の光がよく浸透する。生成される超音波信号がSSSからまっすぐに返ってくるため、SSS中の実際のヘモグロビン飽和度を正確に判定することができる。静脈血酸素化検出のためのシステムと方法が記載されているが、こうしたシステムと方法は動脈または他の血液酸素化を検知するために等しく適用可能である。
【0047】
図1は、血液酸素化、例えば、分娩中の胎児の脳の酸素化(例えば、胎児のSSS(SO2))、または一般に外傷性脳損傷の患者のためなどの脳の酸素化のような生理的パラメータを光音響的に測定するためのシステム(100)の概略図を示す。システム(100)は、コンソール(110)と、ワイヤーまたはケーブル接続部(145)と動作可能に連結された患者インターフェース(150)を含み得る。コンソール(110)は、患者インターフェース(150)を介して患者のPAの胎児の脳の酸素化の測定値を提供するように構成された1つ以上のサブシステムまたは構成要素を含むコンソールを含み得る。コンソール(110)は、コンピュータボードまたはプロセッサ(115)、ユーザインタフェース(120)、電源サブシステム(130)、レーザーエミッターまたはダイオードサブシステム(135)、および音響センサーサブシステム(140)を含み得る。プロセッサ(115)は、サブシステムの操作を制御およびモニタリングするために、コンソール(110)の1つ以上のサブシステムまたは構成要素と通信してもよい。例えば、プロセッサは、1つ以上のユニバーサルシリアルバス(USB)ポートまたは1つ以上のサブシステムに接続するように構成された他のタイプのデータ転送ポートを含み得る。プロセッサ(115)は、スピーカーによってアラームまたはメッセージを出力するためのオーディオポートをさらに含み得る。電源サブシステム(130)は、プロセッサ、ユーザインタフェース、レーザーダイオードサブシステム、および音響センサーサブシステムのようなシステム(110)の1つ以上の構成要素に電力を供給するように構成され得る。電源サブシステム(130)は、外部のACまたはDC電源に接続するように構成されてもよく、外部電源を喪失した場合には非常用電源を供給するためのバッテリーを含み得る。
【0048】
システムを操作するように訓練された医療関係者のようなシステム(100)のユーザーは、ユーザインタフェース(120)によってシステムと対話することができる。ユーザインタフェース(120)は、例えば、ユーザーから1つ以上の入力を受け取るように構成されたタッチスクリーンを備えたバックライト付きのLCDなどのディスプレイ(125)を含み得る。ユーザインタフェース(120)は、オン/オフ・キーや、システムを「セーフ」モードに入れるように構成された停止スイッチなどのシステムの操作を制御するためのハードウェアコントロールを含み、レーザーダイオードはすべて切られる。
ユーザインタフェース(120)は、患者の特定、時間、温度などのようなデータに関する入力をさらに含んでもよい。プロセッサ(115)は、ユーザインタフェース(120)によってユーザー入力を受け取り、レーザーダイオードサブシステム(135)、音響センサーサブシステム(140)、および/または電源サブシステム(130)などの1つ以上のサブシステムへのユーザー入力に基づいて指示を送信することができる。プロセッサ(115)から受け取った指示に基づいて、レーザーダイオードサブシステム(135)は、患者インターフェース(150)を介して患者のPAの標的組織に向けられ得る光パルスを生成および放射してもよい。光パルスは光ファイバーケーブルおよび/またはマルチワイヤーシールドケーブルなどのケーブル接続部(145)によって患者インターフェース(150)へ伝えられる。例えば、光パルスは、上矢状静脈洞(SSS)などの標的組織に接している患者インターフェース(150)の光ファイバーモジュールに送信可能である。光パルスは組織と骨を通って静脈血に到達し、光パルスの吸収は結果として音圧を生成することがある。患者インターフェース(150)は、標的組織からの音圧を検知するとともに、コンソール(110)に、例えば、ケーブル接続部(145)を介して音響センサーサブシステム(140)に音響信号を返信することができる。患者インターフェース(150)は、例えば、音圧を検知およびデジタル化するように構成された高速デジタイザを含むことがある。音響センサーサブシステム(140)は、測定された音圧信号を受信および/または少なくとも部分的に処理し、信号をデジタル化し、さらなる処置と分析のためにプロセッサ(115)に信号を送信することができる。プロセッサ(115)は、例えば、測定された音圧から静脈血酸素飽和度を計算し、ディスプレイ(125)によってユーザーに表示される測定の結果をユーザインタフェース(120)に送信することができる。ディスプレイ(125)は、酸素飽和値(例えば、静脈血酸素飽和値)または他の生理的パラメータを継続的に、例えば、毎分一度更新して表示するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、システム(100)は、他の電子またはコンピューター化された医療管理システムと通信するために通信サブシステムをさらに含むことがある。例えば、測定された生理的パラメータデータは(電子カルテを作るために)保存およびアーカイブ化され、システム(100)と通信している別のコンピューター化されたシステムを用いて分析されてもよい。
【0049】
システム(100)は、輸送車両、前線の応急救護所、または集中治療室で利用可能な制限された空間を収容するためにコンパクトなサイズとなるように構成されてもよい。例えば、コンソール(110)はデスクトップサイズであってもよい。システム(100)の構成要素は、光音響測定に一般に慣れていない可能性のある医療関係者にとって操作しやすいように人間工学的に設計されてもよい。システム(100)のディスプレイ(125)は、ユーザーがアラームの原因を理解し、かつ適切な治療措置をとるのを促すために、システム(100)の様々なアラームの状態を表示するとともに、システム(100)の使用のためのユーザガイダンスを提供することができる。システム(100)は位置を変えることなく、最大で約24時間の連続モニタリングを可能にするように構成されてもよい。電力損失アラームは、モニタリング中に信号損失またはケーブルの断線をユーザーに警告するためにシステム(100)で実行されることがある。システム(100)は、最大で約1時間、システム(100)の電池による使用をサポートすることができる、ユーザー選択可能な輸送モードを有するようにさらに構成されてもよい。輸送モードでは、システム(100)は、低電力(例えば、動作モードの際よりも低い電力)で動作するように構成されてもよく、電力損失アラームは無効化されることもある。システム(100)は、ユーザーが患者識別データを入力し、患者の医療記録にアクセスし、例えば、上に記載された通信サブシステムを介して、アーカイブ化および評価目的のためのモニタリング処理の間に集められた測定データをダウンロードすることができるようにさらに構成されてもよい。
【0050】
システム(100)は様々な生理的パラメータをモニタリングするように構成されてもよい。多くの実施形態では、酸素飽和は測定される。例えば、約20%から約100%の範囲の静脈血酸素飽和度(本明細書でさらに記載されるように、オキシヘモグロビン÷総ヘモグロビン濃度[THb]として計算される)が測定されてもよい。システム(100)は、例えば、約40%から約90%までの飽和範囲にわたっておよそ+/-3%の精度を有することもある。
【0051】
音響センサーサブシステム(140)は、患者インターフェース(150)から音響信号を受け取ることがある。音響センサーサブシステム(140)は、受信信号に対する利得を与えるように構成された1つ以上の信号の増幅器を含み得る。利得は例えば500kHzで約40dBの利得であってもよく、例えば、50kHz-3.5Mhzの-3dBの帯域幅を有してもよい。音響センサーサブシステム(140)は、増幅器から増幅された音響信号をサンプリングし得る高速デジタイザを含んでもよい。このサンプリングは、例えば、20MHzの最低率で行われてもよい。デジタイザはレーザーダイオードサブシステム(135)からトリガー信号を受け取り、音響信号の、100、200、300、400、500、600、700、800、900、または1000サンプルなどのサンプルを保存してもよい。デジタイザは、波形の平均化のためにプロセッサ(115)にサンプルのブロックを転送することがある。しばしば、標的組織によって生成される音響信号は低レベルであり、数百もの繰り返しサイクルにわたる数値の平均化により背景ノイズから波形を抽出することができる。
【0052】
患者インターフェース(150)は、本明細書でさらに詳細に記載されるような脳酸素化プローブ(20)のような光音響センサーアセンブリまたはセンサモジュールを含み得る。光音響センサーアセンブリは、標的組織に向けられた光パルスを放射するように構成された光出力部と、光パルスに応じて生成される音圧を測定するように構成された音響トランスデューサとを含むことができる。光出力部は光源から光を出力してもよい。光源は、例えば、1つ以上の波長で高い強度の光パルスを生成するように構成された発光ダイオード(LED)アレイまたは高電力パルスレーザーダイオードアレーを含んでもよい。例えば、光出力部は光ファイバーケーブルによってコンソール(110)に接続可能である。光源は、コンソール(110)のレーザーダイオードサブシステム(135)を含んでもよい。音響トランスデューサは、マルチワイヤーシールドケーブルによってコンソールに接続される、例えば、圧電センサーを含むことができる。患者インターフェース(150)とコンソール(110)を接続するケーブル(145)は、コンソールにケーブルを取り外し可能なように連結するためのコネクターを含み得る。光源と音響トランスデューサは、SSS全体で頭皮の表面などの患者の頭の一部の上に置くことができるプローブで支持されてもよい。プローブ(20)は、ストラップシステムを用いて適所に保持されてもよく、該システムは用途間の掃除と消毒の必要を減らすまたはなくすために、使い捨ての単回使用のストラップを含み得る。
【0053】
図2は、図1のシステム(100)のレーザーダイオードサブシステム(135)の概略図を示す。レーザーダイオードサブシステム(135)は、例えば、第1のレーザーエミッターまたはダイオード(152A)、第2のレーザーエミッターまたはダイオード(152B)、および第3のレーザーエミッターまたはダイオード(152C)を含む、レーザーダイオードアレイを含んでもよい。レーザーダイオードサブシステム(135)は、システムのコンソール(110)のプロセッサ(115)と通信するレーザー制御処理装置(156)を含んでもよい。レーザー制御処理装置(156)は、コンソール(110)に提供される1つ以上のユーザー入力に基づいて、コンソールプロセッサ(115)からの指示を受け取ることができる。例えば、プロセッサ(115)は動作パラメータを設定およびモニタリングし、レーザーダイオードサブシステム(135)によって測定サイクルを開始・終了することができる。レーザーダイオードサブシステム(135)は、レーザー制御処理装置と通信しているレーザー監督プロセッサ(158)を含んでもよい。レーザー監督プロセッサ(158)は、ダイオード(152A)、(152B)、および/または(152C)の温度が波長精度を維持するために実質的に一定であるか、または許容範囲内となるように、レーザーダイオード(152A)、(152B)、および/または(152C)の動作をモニタリングしてもよい。例えば、許容可能な動作温度範囲は、10°Cから40°Cまでであってもよい。レーザー制御処理装置(156)とレーザー監督プロセッサ(158)は一緒になって、1つ以上のレーザードライバ(154)の動作を制御およびモニタリングすることができる。レーザー制御装置(154)は、レーザー制御処理装置(156)とレーザー監督プロセッサ(158)から支持を受け取り、受け取った指示に応じてレーザー制御装置(154)に連結されたレーザーエミッターまたはダイオード(158A)、(152B)、および/または(152C)の動作を制御するように構成可能である。レーザー制御装置(154)は、対応するレーザーエミッター(152A)、(152B)、および/または(152C)をそれぞれ冷ますために連結されるとともに構成された冷却器(152A’)、(152B’)、および/または(152C’)などの1以上のレーザーエミッター冷却器の動作を制御するようにさらに構成可能である。レーザー制御装置(154)は、レーザーダイオード(152A)、(152B)、および(152C)のためのレーザードライバと、それぞれの冷却器(152A’)、(152B’)、および(152C’)とを含み得る。例えば、レーザーエミッター冷却器は、それぞれのレーザーダイオード(152A)、(152B)、および/または(152C)の後ろに取り付けられた熱電冷却器(TEC)および/または2つの温度センサー(第1と第2)を含んでもよい。温度センサーは、レーザーダイオード(152A)、(152B)、および/または、(152C)の温度を測定するように構成可能であり、TECは、測定された温度と望ましい温度範囲に依存して、熱を加えるまたは取り除くなどして、レーザーダイオード(152A)、(152B)、および/または、(152C)を最適な動作温度範囲で保持するために、上記レーザーダイオードの温度を制御するように構成可能である。例えば、レーザーダイオード(152A)、(152B)、および(152C)の波長は、約0.3nm/degCの依存性を有することがある。レーザードライバは、レーザーダイオード(152A)、(152B)、および(152C)を駆動するために、高いアンペア数の持続時間の短い電流パルスを生成するように構成されてもよい。レーザーエミッター(152A)、(152B)、および/または、(152C)によって生成される光パルスは、ケーブル接続部(145)を介して、本明細書に記載されるような光音響センサーアセンブリまたはプローブを含み得る患者インターフェース(150)へ伝達可能である。
【0054】
レーザーダイオードサブシステム135は、レーザーダイオードサブシステム135の構成要素に方向づけられた、矢印162によって示される気流を提供するように構成された冷却ファン160をさらに含む。そのような冷却ファン160は、構成要素の温度制御を補助することができ、これは、光学部品の塵埃汚染を防ぐために閉塞されたレーザーキャビティ内に配置される。冷却ファン160は、制御エレクトロニクス上方で外部空気を循環させるように構成された第2のファンをさらに含み得る。レーザーキャビティは、金属板から構築されたレーザーダイオードサブシステム筐体で囲まれてもよい。レーザーダイオードサブシステム135の筐体は、例えば機械的ファスナーによって、コンソール110用の筐体へ確実に設置することができる。
【0055】
操作開始時において、レーザーダイオードサブシステム135は、レーザーダイオード152A、152B、および/または152Cのための温度安定化時間を有し得る。温度安定化状態は、コンソール110のディスプレイ125上に表示することができる。レーザーダイオード152A、152B、及び/又は152Cの動作中、レーザーエミッター冷却器152A’、152B’及び/又は152C’によって生成される温度測定値を含む。レーザーダイオード152A、152B及び/又は152Cの動作係数は、レーザーダイオード動作のフィードバック制御のために、レーザー制御プロセッサ156及び/又はレーザー監視プロセッサ158へ返信することが可能である。例えば、レーザーエミッター冷却器が、TECと各レーザーダイオードに連結された温度センサーとを含む実施形態において、レーザー制御処理装置156は、温度センサーからの測定された温度を制御するために、TECを通じて電流を駆動する指示を含むことができる。
【0056】
レーザーダイオードサブシステム135のレーザーエミッター152A、152B及び/又は152Cは、それぞれ例えば約760nm、800nmおよび860nmの見かけ中心波長を有するパルス・レーザー・ダイオードを含み得る。少数の例を挙げれば、700nm、730nm、850nm、905nm、970nm、975nm、1064nm、1100nm、1200nm、1230nmおよび1450nmのような他の波長も、考慮される。波長は、いくつか例を挙げれば、例えば水、脂肪、ヘモグロビン、オキシヘモグロビン、デオキシヘモグロビン、カルボキシヘモグロビン、還元ヘモグロビン、メトヘモグロビン、乳酸塩、ミオグロビン、コレステロール、身体色素、インドシアニングリーン(ICG)のような外因性の染料などの、該当するパラメータのピーク音響応答と対応させるために選択されてもよい。血液酸素化の測定は本明細書に議論される一方で、他の生理学的パラメータと濃度との相関(interrogation)も考慮される。2つ以上の生理学的パラメータまたは濃度の同時的な測定は、米国特許公開第2008/0255433号で述べられており、これは参照によって本明細書に組み込まれる。
【0057】
見かけ中心波長は、動作温度範囲にわたり、約+/-1nm、0.9nm、0.8nm、0.7nm、0.6nm、0.5nm、0.4nm、0.3nm、0.2nmまたは0.1nmの安定性を有し得る。各レーザーダイオードの光出力のスペクトル幅(全幅の最大値の半分)は、ピーク出力の50%で測定されたものとして、見かけ上、約25nm、20nm、15nm、10nm、5nmまたは1nmであり得る。レーザーダイオード152A、152B、及び/又は152Cはそれぞれ、約150ナノ秒(振幅の50%での測定)のパルス幅、および約10から約2000Hzの反復率、またはセッティングの約0.5%で、約3.3kWのピーク出力(名目)を送出するように構成されたドライバーを含み得る。各光パルスは、見かけ上、約0.5mJのエネルギー(3300Wx150ナノ秒)を送出するように構成することができる。複数のレーザーダイオード152A、152B、及び/又は152Cの出力部は、単一ファイバー内に一体に結合することができる。各光パルスについては、レーザーダイオードサブシステム135は、レーザーダイオードサブシステム135に連結されたデジタイザにトリガー信号を出力し、それによってデジタイザがサンプリングシーケンスを開始するように構成されてもよい。
【0058】
3つのレーザーダイオードのアレイが記載されるが、他の構成も考慮される。例えば、アレイは、2つのレーザーダイオードまたは4つ以上のレーザーダイオードを有し得る。異なる波長で光出力を生成するレーザーダイオードのアレイを選択的にまたは組み合わせて使用することで、レーザーサブシステム135は、複数の波長間でレーザー出力を高速に切り替えるための光パラメトリック発振器(OPO)を備え得る。
【0059】
図3は、分娩中に子宮UT内に存在する胎児FEの大脳の酸素化(例えばSSS(SO))を測定するために使用するシステム100を示す。図3に示されるとともに、本明細書で前述され且つここで記載されるように、システム100は一般に、光音響のモニターまたはコンソール110、およびモニターに接続される被処置者のインターフェースまたは脳の酸素化プローブ150を含む。モニターまたはコンソールの110は、フォトダイオードサブシステム135のような光源を含むことができ、この光源は、図3に示されるように、プローブ150の先端部から胎児の頭部内へ放射され得る近赤外線(NIR)レーザー光線のような光を生成する。媒体中の光エネルギーの吸収に続いて、照射された媒体が熱膨張することができ、この場合、SSS中の血液は、音響(例えば超音波)の圧力波の形で伝播する機械的応力を誘発する。これらの波は、最小限の散乱で脳組織を通過することができるとともに、プローブ内の音響センサーによって検知することができ、センサーは、波を、モニターまたはコンソール110及び/又は処理用のコンピュータに提供することが可能な電気信号に変換する。
【0060】
いくつかの実施形態において、本明細書に前述されると共にここで議論されるように、放射光は、約600~1300nmのようなNIRスペクトル範囲のローエンド、例えば760nm 800nmおよび860nmである。そのような波長領域は、NIR照射の深部貫通をもたらすことができ、それはヘモグロビン飽和の光音響モニタリングに十分である。モニタリングのために適用されるレーザーエネルギーの量は低く、且つ、患者の皮膚、または患者もしくは操作者の眼組織への熱的または機械的損傷を全く誘発することがない。何故ならば、レーザーフルエンスレベルが、眼組織に対する最大許容露光量(MPE)よりかなり下にあるからである。いくつかの実施形態において、レーザーエネルギーは、約1μJから1mJの出力で送出される。
【0061】
オキシヘモグロビンとデオキシヘモグロビンは、可視およびNIRスペクトル範囲において、高吸収係数を有している。したがって、血液中で引き起こされ生成された光音響の圧力の振幅と空間的分布は両方とも、一般に、総ヘモグロビン濃度[THb]およびヘモグロビン飽和度(オキシヘモグロビン[THb]として算出)に依存する。開示された測定技術の高解像度により、大血管中における[THb]およびと飽和度の直接測定を可能にする。いくつかの実施形態において、飽和度は、次の4つの重要な波長を生成するためのNd-YAGレーザーによって注入された光パラメトリック発振器(OPO)を使用して評価することができる:800または805nm(オキシ-およびデオキシヘモグロビンが等しい吸収を有している等濃度点)と、700、730および760nmとであり、これらは、オキシ-及びデオキシヘモグロビンが、吸収において強い違いを示す波長である。いくつかの実施形態において、他の波長を選択するように、様々な分子の濃度が興味の対象となり得る。例えば、フォトダイオード152A、152B、及び/又は152Cの1つが、光信号を860nmで出力するように構成され、インドシアニングリーン(ICG)のような外因性の染料は、その波長で超低音響応答を示す一方で、約900nmにおいて、ピーク音響応答を示す。この差異は、高精度のICGモニタリングを提供し得る。
【0062】
音響信号は一般に、標的から直線的に帰還する。レーザー光音響の画像化技術は、光学的断層撮影法(高光学的コントラスト)と超音波診断(音波の最小限散乱)との長所を組み合わせたものであり、それにより、高コントラスト、高感度および高解像度を備えた非侵襲性の診断方法を生成する。光音響技術の高解像度、高感度および高コントラストは、優れた精度、特異性および感度で、[THb]と、酸素化および脱酸素化ヘモグロビンとのモニタリングを提供する。直線的に超音波信号が伝播することにより、光音響測定は、純粋な光学的技術とは、投射と反射の両方の光信号が組織を通過する際に散乱されるという点で、区別される。光音響の画像化は、数センチメートル程度の深度において、空間解像度≦0.5mmで、光学上混濁し不透明である組織の構造を視覚化することができるとともに、光音響画像を再現することも可能になる。要約すると、光音響モニタリングの長所は、限定的ではなく、以下を含む:(1)非侵襲性、(2)正確な定量的測定、(3)連続的でリアルタイムのモニタリング、(4)高空間解像度、および(5)コンパクトな大きさ。
【0063】
図4-6は、図3に示されるシステム10において使用することができる脳の酸素化プローブ20の例を示す。患者インターフェース150は、プローブ20を含んでもよい。プローブ20は、光を放射し且つ音波を検出するように設計されるので、このプローブは、光音響プローブと呼ぶことができる。概略的には、プローブ20は、ヘッド22を含み、そこから、プローブ20をシステム100の残りの部分に接続する1以上のケーブル24を伸ばしてもよい。
【0064】
ヘッド22は、ポリアミド(例えばPA2200)、ポリカーボネート(例えばPC-ISO)またはアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(例えばABS-M30)のような、生物学的適合性を有する高分子材料で製作することができ、1以上の部品から構成することができる。ヘッド22が1個以上の部品を含む場合、それらの部品は、ヘッド内部に空気または流体が進入するのを防ぐために、一体に密閉されることがある。図4-6から明白なように、ヘッド22は、概略的に円筒状であるハウジング26を含む。ハウジング26の中央部分(縦軸方向に沿って)は、ハウジングの両端部より細くすることができる。特に、ハウジング26は、各ハウジング端部から徐々に狭くなり、ハウジングの中央が最も狭くなる地点となっている。この構成のために、ハウジング26は、図6により明確に見られるように、丸い砂時計形状を有し得る。この形状により、ハウジング26の中央部を包囲する、連続的な丸い溝28を形成することになる。いくつかの実施形態において、この溝28は、およそ5~50mmの曲率半径を有する。以下に記載するように、この溝28は、酸素化測定処理の間、ヘッド22の把持を容易にすることができる。適用対象及び/又は使用者に適合させるために、ハウジング26の大きさは変更し得るが、いくつかの実施形態において、ハウジングは、高さ(H)がおよそ5~30mmであり、ハウジングの端部は、直径(D)がおよそ8~20mmであり、ハウジングの中間部は、直径(d)がおよそ3~15mmである(図6参照)。同様に図6において明示するように、ハウジング26の端部の縁部は丸くすることができる。ヘッド22は、可撓性または軟質な材料、あるいは、平滑な縁部を有する剛性材料で構成することができ、この材料は好ましくは、プローブ20内に収容した電気部品の電気的遮蔽を与えるものである。
【0065】
図4および5に最も明確に示されるように、ハウジング26のフロントエンド30がプローブの作業端であり、これが、胎児の頭部と接続するように構成される。プローブ20のこの端部において、ハウジング26は、ハウジング内部へのアクセスを提供する円形開口部32を含み得る。開口部32を閉塞するカバー36の背後に位置する内部電磁シールド34は、この開口部32を通じて可視であってもよい。光導波路38の先端部は、ハウジング26の縦軸と平行な方向に沿って、カバー36の中心から伸びてもよい。これらの構成要素の性質および機能は、図7の断面視に関して以下に記載される。
【0066】
図4-6をさらに参照すると、ハウジング26から伸びているのは、プローブヘッド22から伸びるケーブル24に対するストレインリリーフを提供するストレインリリーフ要素40である。いくつかの実施形態において、ストレインリリーフ要素40は、ハウジング26と同じ材料で製作することができ、それと一体に形成されてもよい。図4-6に示されるように、ケーブル24は電気ケーブル42および光ケーブル44を含むことがあり、それぞれ電気信号および光学信号を送信するために使用される。しかしながら、もし所望ならば、単一のケーブルに、これらのケーブル42および44を合体させることが可能であることが注目される。図6に最も明確に示されるように、ストレインリリーフ要素40は、ハウジングの縦軸に対し概して垂直な方向に、ハウジング26の後方端部46から外へ伸びることができる。図5および6の比較から明白なように、ストレインリリーフ要素40は、その高さ寸法(図6)より大きい幅寸法(図5)を有することができる。光ケーブル44は可撓性を有し、かつ小径(例えば約1mmの直径)であってもよく、それによって、ハウジングに合致するためにケーブルは湾曲することができる。
【0067】
ハウジング26およびストレインリリーフ要素40は、様々な方向に位置づけられる胎児頭部の大泉門上に、および産道内の深さの範囲にわたり、使用者がプローブを配置することを可能にするように構成することができる。例えば、プローブ20は、胎児頭部と子宮頚部壁との間に適合するように、または子宮頚部の開口内の胎児の頭頂部上に定位するように、大きさが決められる。ストレインリリーフ要素は、ユーザーが測定用の適正位置にプローブを移動させることを可能にするため、ケーブル用の出口の角度が柔軟で調整可能なように構成されてもよい。
【0068】
図7は、図4-6に示される光音響プローブ20の構築例を示すものである。図7に示されるように、プローブヘッド22は、ハウジング26およびストレインリリーフ40を規定するために一体に連結される2つの部品材料から形成することができる。代わりに、ハウジング26およびストレインリリーフ40を含むプローブヘッド22は、単一の一体的な1部品材料から形成されてもよい。特に、ヘッド22は、ハウジング26およびストレインリリーフ40の一部を各々規定し、プローブの内部構成要素が存在する中空内部空間54を密閉するように互いに結合されている、上面部50および底面部52を含むことができる。図7に示されるように、これらの構成要素は、電磁シールド34、カバー36、および上で参照した光導波路38、並びに、音響センサー56、スペーサ要素58、プリント回路基盤(PCB)60、および音響の裏打材62を含む。これら構成要素それぞれの目的は、以下に記載される。
【0069】
電磁シールド34は、音響センサー56およびPCB60を含むプローブ20の他の内部構成要素を囲む要素であり、電磁干渉からそれらを保護するシールドであり得る。このシールド34は銅箔のような導電材料で製作されてよく、これがなければプローブ20の適正動作を妨害するであろう電磁気ノイズからのシールドとして機能することができる。
【0070】
カバー36は電磁シールド34を絶縁することができ、その開口部32を通じて空気や液体が通過するのを防ぐため、ハウジング26の前方端部30を密閉する。いくつかの実施形態において、カバー36はポリメタクリル酸メチルのような透明な高分子材料で製作される。
【0071】
光導波路38は、音響センサー56によって検出することができるSSSからの超音波を誘発するためのパルス化されたNIR光を、胎児の脳内の組織に送達するために使用することができる。光導波路38は、単一の光ファイバーまたは複数の光ファイバーを含むことができる。後者の場合、光通信ケーブルでのように、光ファイバーは一体に結束することができ、または互いに空間的に分離することもできる。いくつかの実施形態において、光導波路38は、10~1500μmのコアと、およそ12~2000μmの外径を有する単一の光ファイバーを含む。使用される光導波路38の特性に拘わらず、導光路の先端部はカバー36の外表面を越えて伸びる。この延伸は、胎児がかなりの量の毛を有する場合に、光導波路38を頭皮と直に接触した状態に配置することを容易にすることができる。いくつかの実施形態において、先端部はカバー36の外表面を越えておよそ1~3mm延びる。例えば、光導波路は、直径が約1mmであり、頭皮と接触するために髪を通り抜けることができる繊維の「ブラシ」を形成するためにハウジングから突出する、複数の光ファイバーを含むことがあり、それによって、髪による吸収によって光強度の損失を低減する。光ファイバーは、図7に示されるように、ハウジングの底部中心を通って伸び、カバー36の外表面を越えて約2mm延びることがある。複数の繊維が、繊維をSSS上に位置させることができるのと同じ方法で、中心対中心を合わせて一定間隔で配置され得る。繊維は好ましくは、標的組織との24時間以内の連続的な接触に対し、快適であるように構成される。
【0072】
前述のように、音響センサー56は胎児のSSSによって生成される超音波を検知することができる。いくつかの実施形態において、音響センサー56は、圧力、加速度、歪みまたは外力の変化を測定し、それらを電気信号に変換するために、圧電効果を使用する圧電トランスデューサを含む。このセンサー56は、ポリアミドのような高分子材料で製作可能なスペーサ要素58によって、電磁シールド34から分離されてもよい。いくつかの実施形態において、スペーサ要素58はおよそ0.005~5mmの厚さである。
【0073】
音響センサー56によって生成される電気信号は、1つ以上の電線64によって、PCB60へ送信される。PCB60は、センサー56から受け取った信号を、さらなる電線66に沿ってシステムのモニターやコンピュータへ信号を送信する前に増幅するプリアンプを含む。プリアンプは、約500kHzにおいて約40dBの利得を提供し、約40kHzから約10MHzまでの範囲において約3dBの帯域幅を有するように構成することができる。前記PCBは、音響センサー56によって検知された音響信号をデジタル化するように構成されたデジタイザをさらに含み得る。例えばデジタイザは、本明細書に記載されるように、プローブに接続されたレーザーダイオードサブシステムからのトリガー信号に応答して、少なくとも約20MHzでプリアンプからの音響信号をサンプリングするように構成することができる。前記デジタイザは、例えば、音響信号の約1000のサンプルを保存し、光音響プローブに接続され、これの動作を制御するコンソールユニット100のプロセッサへ、サンプルを波形加算平均するために、サンプルのブロックを転送することが可能である。
【0074】
音響裏打材62は、音響センサー56の背後に位置づけられる。これはセンサー56(圧力波の広帯域検出用)のための裏打ち材を提供し、信号中における不要なリンギングを防ぎ、リンギング雑音から信号の一部を分離するために、センサーを通過する振動を吸収する。いくつかの実施形態において、減衰器62は多くのエポキシを含む。
【0075】
図7に示されるように、プローブの内部構成要素が存在する中空の内部空間54は、直径54dが約8から約10mmの範囲であり、高さ54hが約10mmである、実質的な円柱状であってもよい。
【0076】
プローブ20は、たとえばハウジングの外面における溝やポケットなどの、使用間に清潔にしたり消毒したりすることが容易にはできない領域を縮小するように設計され得る。選択的にまたは組合せにおいて、プローブ20は、使用間にプローブを清潔にし消毒する必要性を減少するため、ハウジング上に配置されるように構成された使い捨てのカバーを含んでもよい。プローブ20は好ましくは、その構成要素が、滅菌用の消毒液中への浸漬に耐え得るように構成される。
【0077】
図11Aおよび11Bは、本明細書に記載されているような、光音響プローブ20の典型的な構成を示すものである。プローブ20は、図1および2を参照して記載されるコンソール110のような、プローブの動作を制御するコンソールに接続されたケーブル束24から伸びるヘッド22を含み得る。ヘッド22は、ハウジング26、上面部50、および、これと実質的に同形状の底面部52を含むことができる。例えばハウジング26は、実質的に円柱状形態を有することができ、例えば直径Dが約30mmから約40mm範囲であり、高さHが約18mmである。上面部50および底面部52は、実質的に同じ直径Dであり、実質的に互いに平行に配向された、実質的に円形であり得る。ハウジングは、ハウジングの中央部で、ハウジングの側部を連続的に周回して伸びる環状溝28を含むことができる。溝28は、ユーザーが酸素化測定のために底面部52を標的組織に接触させて配置する間、ユーザーがプローブヘッド22を把持することを容易にする、ハウジングの凹部状側面を形成することができる。
【0078】
図12Aおよび12Bは、本明細書に記載されるような、光音響プローブ20の異なる典型的な構成を示すものである。プローブ20は、図1および2を参照して記載されるコンソール110のような、プローブの動作を制御するコンソールに接続されたケーブル束24から伸びるヘッド22を含み得る。ヘッド22は、形状が異なる上面部51および底面部53を有するハウジング27を含むことができる。例えば、底面部53は、直径Dを有する実質的に円形の形状を含み。その一方で上面部51は、底面部の直径D方向に伸びる先細り形状を含み得る。上面部の第1の端部51aが底面部53と直接接続するように、上面部51の平面が底面部53の平面に対し、角度55で配置されてもよい。ハウジングの最大高さHは約25mmであり、底面部の直径Dは約30mmから約40mmまでであり得る。ハウジングは、ハウジングの側面部を連続的に周回して伸びる溝29を含み得る。図12Bに示されるように、上面部の第1の端部51aが底面部に接続する点で溝が終了するように、溝29は、ハウジングの上面部51と底面部53との間の角度55に対応するテーパを有し得る。溝29は、ユーザーが酸素化測定のために底面部53を標的組織に接触させて配置する間、ユーザーがプローブヘッド22を把持することを容易にする、ハウジングの凹部状の背面および側面を形成することができる。ストレインリリーフ要素40は、プローブヘッド22に連結され、ケーブル24上に配置されて歪み除去するように構成され、図示されるような流線形またはテーパ状の形状を有してもよい。
【0079】
図8および9は、胎児の大脳の酸素化測定手続中に、産科医によってプローブ20を把持することを可能にする方法の2つの例を示すものである。両方の場合において、プローブのヘッド22は、人差し指と中指の指先間に挟まれる。図に示すように、プローブヘッドハウジング26の溝28は、挟持を容易にする。プローブ20のケーブル24は、図8に示すように、手の内側に沿って走らせるか、あるいは、図9に示すように、手の外側に沿って走らせることができる。一旦、所望の把持とケーブルの経路設定が達成されたならば、図3に示すように、次いで産科医は自分の手を膣を通じて産道内へ挿入し、プローブヘッド22のフロントエンドを胎児の頭部に接触させて配置する。その後、測定値が、プローブ20を使用して取得され、大脳の酸素化を判定するために処理され得る。好ましくは、プローブヘッド22は、胎児頭部の大泉門上に配置される。胎児は、頭を下に向けた任意の位置にいる(例えば、前方後頭位(OA)、前方左後頭位(LOA)、前方右後頭位(ROA)、左後頭横(LOT)、右後頭横(ROT)、後方後頭位(OP)、後方左後頭位(LOP)、後方右後頭位(ROP))。典型的なシナリオでは、胎児の頭部は、産道内へ約50mm奥に位置することがあり、また子宮頚部は、約4~5cmまで拡大されることがある。光音響プローブの挿入、位置決め、および測定の所要時間は、例えば約30から約45秒であり得る。
【0080】
プローブ20は、超音波ゲルと共に使用してもよく、または、超音波ゲルなしの場合、プローブヘッドを胎児の頭皮に近接させた位置で使用してもよい。超音波ゲルなしで使用する場合、プローブヘッドを取り囲む環境中の水分が、適切な音響カップリングを提供し得る。
【0081】
図13A-13Cは、胎児の大脳の酸素化測定処理中にユーザーが把持するプローブ20の典型的な構成を示すものである。プローブ20は、図12A-12Bに示すような形状を有するプローブヘッド22を含んでもよく、この場合、ハウジングの上面部51および底面部53は異なる。プローブヘッド22は、ユーザーの人差し指と中指との間で、本明細書に記載するようなヘッドのハウジングの溝29に指の遠位部を係合させて把持することができる。図13Bおよび13Cに示すように、ケーブル束24は、手の内側に沿って走らせることができる。ヘッド22は、ユーザーの指の遠位部内に容易に合致するように、コンパクトな大きさにされ得る。例えば、図13Aに示すように、ヘッド22の先端部からストレインリリーフ要素40の末端部までの長さ70は、約40mmとされ得る。図13Bに示すように、ヘッドのハウジングの底面部53は、約10mmの厚さ71を有し得る。図13Cに示すように、ハウジングの底面部の直径Dは、約18mmから約20mmであり得る。
【0082】
図14A-14Cは、胎児の脳の酸素化測定処理の間にユーザーが把握するプローブ20の他の典型的な構成を示すものである。プローブ20は、図11A-11Bに示すような形状を有するプローブヘッド22を含んでもよく、この場合、ハウジングの上面部50および底面部52は、実質的に同じ円形の形状を含む。プローブヘッド22は、ユーザーの人差し指と中指との間で、本明細書に記載するようなヘッドのハウジングの溝28に指の遠位部を係合させて把持することができる。図14Bおよび14Cに示すように、ケーブル束24は手の内側に沿って走らせることができる。ヘッド22は、ユーザーの指の遠位部内に容易に合致するようなコンパクトな大きさに成され得る。例えば、図14Aに示すように、ヘッド22の先端部からストレインリリーフ要素40の末端部までの長さ72は、約20mmから約30mmとなされ得る。図14Bに示すように、ヘッドのハウジングの底面部52は、約10mmの厚さ73を有し得る。図14C示すように、ハウジングの底面部の直径Dは、約18mmから約20mmであり得る。
【0083】
図15Aおよび15Bは、胎児の脳の酸素化測定処理の間にユーザーが把持するプローブ20の、他の典型的な構成を示すものである。プローブ20は、本明細書で記載するように、プローブヘッド22およびストレインリリーフ要素40を含んでもよく、ヘッド22は、図11Bおよび12Bに示す溝28または29のような溝を有するハウジングを含み得る。本明細書に記載するように、ユーザーは、ヘッド22を2本の指で把持してもよく、またはユーザーは、溝内に1本の指先を配置してもよい。図15Aに示すように、ユーザーの1本または2本の指にヘッドを確実に結合するため、指サック80が、ヘッド22に係合させる1本または2本指の上に配置されてもよい。指サック80内に配置されるヘッド22は、約40mmの高さ81を有し、ハウジングの底面部が約20mmの直径Dを有する。ストレインリリーフ要素40から伸びるケーブル24の一部は指サック80内に囲まれると共に、ケーブルの残りの部分は手の内側に沿って走るように構成され得る。代わりに、図15Bに示すように、指グローブ82が、プローブヘッド22に係合するユーザーの1本または2本の指を覆うように配置される。指グローブは、ユーザーの手に指グローブを確実に結合するための、ユーザーの手首の周りに固定されるストラップを有してもよい。指グローブ82または指サック80の中への指の挿入、およびプローブヘッドの挿入を容易にするために、図15Bに示すように、プローブヘッド22は、ヘッドの先端部上に、先細りの「ブル・ノーズ」形状を含んでもよい。ストレインリリーフ40は同様にケーブル24に配置され、張力をさらに取り除くため、先細りのブル・ノーズ形状を含み得る。プローブのハウジングは、図示するようなブル・ノーズ形状を含んでもよく、代わりに、ブル・ノーズ形状を提供するためにアダプターがハウジング上に配置されtもよい。図15Bのブル・ノーズ形状のプローブヘッド22は、約40mmの高さ83、約20mmの底部直径D、および約30mmから約35mmの最大径84を有し得る。
【0084】
図17A-17Cは、プローブ20のさらなる実施形態を示す。この実施形態において、プローブ20は、ハウジング26の中央部を囲む連続的な丸い溝28を含むハウジング26を含み得る。ハウジング26はさらに、胎児のSSSまたは泉門を触診するために自分の指を使用している間、ユーザーがプローブ20を操作し位置決めするために自分の他の指を配置することが可能な指ポケット117を含み得る。指ポケット117はプローブ20の一方の端部に配置されるが、光出力部および音響トランスデューサが、本明細書で前述されおよびここで記載するように、もう一方の端部上に配置されてもよい。ケーブル24は、ハウジング26(図17B)から直線的に、または角度を有して(図17C)、近位方向へ伸長してもよい。
【0085】
図16は、1つ以上の生理学的パラメータを光音響的に判定する方法160のフローチャートを示す。
【0086】
ステップ1600において、測定シーケンスが開始される。
【0087】
ステップ1605において、本明細書で前述し且つここで記載するように、第1の光パルス発生器、第2の光パルス発生器および第3の光パルス発生器の温度が管理される。例えば、温度は、光パルス発生器を動作用の最適温度範囲、例えば10℃から40℃に維持するために管理される。第1、第2および第3の光パルス発生器は、光出力振動数の安定性が、その温度に依存するレーザーダイオード(例えば前述のレーザーダイオード152A、152B、及び/又は152C)を含み得る。ステップ1605は、第1、第2および第3の光パルス発生器の温度を連続的に測定するサブステップ;第1、第2および第3の光パルス発生器に冷却空気流(例えば冷却ファン160から)を導入するサブステップ;第1、第2および第3の光パルス発生器それぞれに接続され、第1、第2および第3の光パルス発生器から熱を排出するための第1、第2および第3の熱電冷却機(例えば前述の熱電冷却機152A’、152B’及び/又は152C’)を起動させるサブステップ;および、第1、第2および第3の光パルス発生器を最適な動作温度範囲に維持するために、冷却空気流および熱電冷却機を調節するサブステップ、を含んでもよい。
【0088】
ステップ1610において、本明細書で前述し且つここで記載するように、第1の光パルス列が生成され、第1の光パルス列は、第1の波長を有する。
【0089】
ステップ1620において、本明細書で前述し且つここで記載するように、生成されるパルス列の各光パルスは、組織上に導かれる。生成される光パルスは、例えば前述の患者インターフェース150のような患者インタフェース装置及び/又は光音響プローブ14を用いるなどして、対象とする組織上に導かれる。ステップ1610は、手持プローブ20を提供するとともに、該プローブ20を、前述した胎児の大泉門のような、検査される対象の組織と隣接するように位置づけるサブステップを含んでもよい。
【0090】
ステップ1622において、本明細書で前述し且つここで記載するように、組織からの音響応答を測定することができる。音響応答は、前述のような、胎児の上矢状静脈洞の音響応答を含み得る。前述のように、例えば、音響応答はプローブ20の音響センサー56、または患者インターフェース150の他の作動部によって捕捉され得る。
【0091】
ステップ1624において、本明細書で前述し且つここで記載するように、各光パルスからの音響応答は、増幅されデジタル化される。前述のように、例えば、音響センサー56によって生成される電気信号は、プローブ20のプリアンプで増幅され得る。あらかじめ増幅された信号は、コンソールユニット100の音響サブシステム140によって受信され得る。その後、あらかじめ増幅された信号は、音響サブシステム140によってさらに増幅され、次いで、デジタイザでサンプリングされ得る。その後、サンプリングされた信号は、暗騒音からの波形を抽出するために波形平均化するため、コンソール110のプロセッサ115に転送され得る。
【0092】
ステップ1626において、本明細書で前述し且つここで記載するように、パルス列に対する音響応答波形は平均される。
【0093】
ステップ1628において、本明細書で前述し且つここで記載するように、血液分析物からの音響応答に対するウェーブレットの振幅を検出することができる。
【0094】
ステップ1630において、本明細書に記載されるように、第2の光パルス列が生成され、第2の光パルス列は、第1の波長とは異なる第2の波長を有し得る。
【0095】
ステップ1635において、ステップ1620から1628までのステップが、第2の波長に対して反復される。
【0096】
ステップ1640において、本明細書に記載するように、第3の光パルス列が生成され、第3の光パルス列は、第1、第2の波長とは異なる第3の波長を有し得る。
【0097】
ステップ1645において、ステップ1620からステップ1628までが、第2の波長のために繰り返される。本明細書で前述し且つここに記載するように、第1、第2および第3の波長は、互いに相違し、対象とする標的パラメータの吸収ピークおよび音響応答ピークと合致するように選択され得る。本明細書で前述し且つここに記載するように、典型的な波長は、いくつか例示すれば、700nm、730nm、760nm、800nm、805nmおよび860nmを含む。例えば、第1の波長は、800nmまたは805nmであり、これはオキシヘモグロビンとデオキシヘモグロビンが等しい吸収を有する等濃度点である。また、第2および第3の波長は、オキシヘモグロビンとデオキシヘモグロビンとが吸収において強い相異を示す波長、例えば700nm、730nmおよび760nmである。
【0098】
ステップ1650において、生理的パラメータが、音響応答から判定され得る。コンソールユニット100のプロセッサ115が、そのような判定をなすように構成され得る。例えば、血液酸素化またはSSS(SO)のような、対象とする生理的パラメータは、光パルスの2つの異なる波長での音響応答を比較することにより、判定され得る。対象とする生理的パラメータのより正確でより信頼性の高い数値を提供するため、本明細書に記載するように、判定した生理的パラメータの2以上がともに平均され得る。
【0099】
ステップ1655において、本明細書で前述し且つここで記載するように、判定した生理的パラメータが、前述のようなコンソールユニット100のディスプレイ125を用いるなどして、表示され得る。いくつかの実施形態において、平均化された生理的パラメータが表示される。
【0100】
ステップ1660において、判定した生理的パラメータが、記憶部に保存され得る。例えば、測定された生理学的パラメータは、コンソールユニット100によって電子カルテ管理システムに電子的に送信され得る。
【0101】
ステップ1670において、ユーザーに、測定を継続するべきかどうかについて、質問し得る。ユーザーが測定の継続を望む場合、測定シーケンスがステップ1600から再開され得る。ユーザーが測定の終了を希望する場合、測定シーケンスはステップ1680で停止する。さらなるステップが必要かどうかを判定することが判断されることがある。例えば、医師または他の医療専門家が、コンソールユニット100によって表示された、測定された血液酸素化に基づいて、帝王切開の処置が必要かどうかの判定をなすことができる。選択的にまたは組合せにおいて、コンソールユニット100は帝王切開または他の処置が必要かどうかについての推奨を、表示される測定された血液酸素化に基づいて示すように構成され得る。
【0102】
上記のステップは、多くの実施形態に従い、1以上の生理的パラメータを光音響的に判定する方法160を示すが、当業者は、本明細書で記載された教示に基づいて、多数の変更を認識するであろう。ステップは、異なる順序で完了されてもよい。ステップは、追加または削除がされてもよい。例えば、酸素化または他の対象とする生理的パラメータは、2またはそれ以下の少数の波長の光のパルス列を使用して判定されてもよい。ステップのうちの一部は、サブステップを含み得る。ステップの多くは、診断上の測定に有益な回数だけ、繰り返されてもよい。
【0103】
方法160の1つ以上のステップは、例えば、本明細書で前述し且つここに記載するような、1つ以上の、プロセッサ、制御装置または回路基板などの様々な回路類を用いて、本明細書に記載するように、実行され得る。そのような回路類は、方法160の1以上のステップを提供するようにプログラムされ、このプログラムは、コンピュータで読み取り可能なメモリ上に保存されるプログラム命令、または、例えばプログラマブルアレイロジックやフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイのような論理回路のプログラムされたステップを含み得る。
【0104】
本開示の様相は、酸素化を測定する方法も含む。そのような方法は、信号が良好な場合(つまり低バックグラウンドである場合)、酸素化を測定するためのに式の適用を含む。光信号の様々な波長で血液酸素化を判定する典型的な式は、下にリストされる。Rは、760および800nm(R=A760/A800)における、光音響振幅の比率である。
【0105】
【数1】
【0106】
一般に、任意の波長に対し:
【0107】
【数2】
【0108】
例えば、信号の違いを生成するための、1.0を導入は、以下を生成する:
【0109】
【数3】
【0110】
および、差分信号D760=A760-A800は次の式によって表わされる:
【0111】
【数4】
【0112】
そして一般に、任意の波長に対し、下記方程式(式1)を適用する:
【0113】
【数5】
【0114】
そして、第3の波長(例えば850nm)は次式(式2)で、下記のように、A800を消去するために導入される:
【0115】
【数6】
【0116】
800を消去するために、下記のように、式1を式2で割る。
【0117】
【数7】
【0118】
SOに対する最後の上記式は、例えば毛髪または皮膚メラニン(胎児、新生児および成人の頭部および黒ずんだ皮膚などにおける)からの高いバックグラウンドを有する任意の(良好または不良)信号を使用して、酸素化を測定するために使用することができる。したがって、光信号の3つ以上の波長または光信号に対する2つ以上の波長のペアが、酸素化を光音響的に測定するために、高いバックグラウンドの状態でさえも、使用され得る。本明細書で前述し且つここで記載するように、上記の波長は単なる例示であり、他の波長も使用に対して想定されるものである。様々な化学式および方程式用の上記係数は、同様に単なる例であり、上記化学式および方程式用の他の係数も、使用に対して想定されるものである。
【0119】
実験データ
実験手順において、血行力学的に安定な新生児が、胎児の光音響的モニタリングをシミュレートするために、光音響的に測定された。光パラメトリック発振器(OPO)は、3つの波長の間で高速に切り替えるようプログラムされたパーソナルコンピュータによって制御された:パルス・レーザー・ダイオードによって生成されるエネルギーと同様の、15マイクロジュールのエネルギー準位における800nm(等吸収点)、760nmおよび700nm、次いでSSS(SO)が、2つの波長の組(760nmと800nm)および(700nmと800nm)それぞれから計算され、その後、2つの計算値の平均が算出された。2つ以上の計算値の平均を採用することによって、血液酸素化のより正確な測定をなすことができる。
【0120】
2人の新生児のうちの最初(赤ん坊1:体重1,795g;現在の体重2,885g;在胎齢32週)は、2つの時間間隔において、SSS(SO)が58%および69%であった。第2の新生児(赤ん坊2:体重3,040g;在胎齢39週)では、3つの時間間隔において、SSS(SO)が55%、60%および62%であった。これらの測定値は、期待範囲、および、時間経過にわたる生理学的変化と一致している。図10Aおよび10Bは、赤ん坊1および2に対するSSS(SO)を計算した元データを示す。
【0121】
3つの異なる波長における測定値を得ることができる一方で、他の個数の波長で測定値を得ることができることに注意される。例えば、いくつかの実施形態において、測定値は、760nmと800nmとにおいて取得することができる。さらに、本明細書に記載された光音響プローブは、光源が発生した光を90°回転させる光導波路を含み、光はプローブから、0°(つまりプローブの先端から直線的)から90°までの任意の角度で照射可能であることが注目される。使用される特定角度は、胎児の頭部位置および解剖学から見て、どの角度が胎児頭部および泉門への最も容易なアクセスを提供するかに依存し得る。
【0122】
異なる試験手順において、音響信号は後期分娩の間に胎児から測定された。音響応答は、760nm、800nmおよび850nmで光信号を組織に向けることにより生成された。図18Aは、測定された差分信号を示し、800nmで得られた信号を、760nmで得られた信号から差し引いたものである。図18Bは、測定された差分信号を示し、800nmで得られた信号を、850nmで得られた信号から差し引いたものである。各グラフ中で示される2つのピークは、皮膚からの音響応答と、上矢状静脈洞(SSS)からの音響応答を表わす。SSSからのピークは、SSSにおける胎児の静脈の酸素化を判定するために使用されてもよい。
【0123】
本開示の好ましい実施形態が本明細書に示され記載される一方で、そのような実施形態は例示によってのみ提供されるものであることは、当業者にとって明白である。
本開示の範囲から外れることのない、多数の変更、変化および置換は、当業者が想到するものである。本明細書に記載された本開示の実施形態に対する様々な代替が、本開示の本発明を実施する際に使用されることは理解されるべきである。以下の請求項は本発明の範囲を定義するものであり、この請求項とその均等物の範囲内の方法および構造体がそれによって包含されるものであるということが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
図16
図17A
図17B
図17C
図18A
図18B
【手続補正書】
【提出日】2022-06-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験体の酸素化を光音響的に判定するシステムであって、
前記システムは、
第1の波長を有する第1の光、第1の波長とは異なる第2の波長を有する第2の光、および第1と第2の波長とは異なる第3の波長を有する第3の光を、組織に放射するように構成される光源、
第1の放射された光、第2の放射された光、および第3の放射された光に応じて、組織により生成される第1の音圧の振幅、第2の音圧の振幅、および第3の音圧の振幅をそれぞれ検知するように構成される音響トランスデューサ、ならびに、
第1の振幅と第2の振幅の間の第1の差、および第1の振幅と第3の振幅の間の第2の差に基づいて、被験体の酸素化を判定するように構成されるプロセッサ、を含むシステム。
【請求項2】
光源はレーザーダイオードまたは発光ダイオードのアレイを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
レーザーダイオードまたは発光ダイオードのアレイは、第1の光を放射するように構成された第1のレーザーダイオード、第2の光を放射するように構成された第2のレーザーダイオード、および第3の光を放射するように構成された第3のレーザーダイオードを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
第1の波長は790から820nmまでの範囲である、請求項1~3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
第1の波長は805nmである、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
第2または第3の波長は、685nmから715nm、715nmから745nm、745nmから775nm、または845nmから875nmの範囲である、請求項1~5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
第2または第3の波長は、700nm、730nm、760nm、または860nmである、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
第1の波長を備えた第1の光、第2の波長を備えた第2の光、および第3の波長を備えた第3の光の放射の間に光源を迅速に切り替えるように構成された制御装置をさらに含む、請求項1~7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
光源に連結された共通の光ファイバーをさらに含み、第1、第2、および第3の光はそれを通して送信される、請求項1~8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
第1の光、第2の光、または第3の光の1つ以上は、少なくとも0.5マイクロジュールのエネルギー準位を有する、請求項1~9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
プロセッサは、第1の差に基づいて第1の酸素化レベルを判定すること、第2の差に基づいて第2の酸素化レベルを判定すること、および
第1の酸素化レベルと第2の酸素化レベルとの平均を判定することによって、酸素化を判定するように構成される、請求項1~10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
光源は少なくとも150nsのパルス幅を有する第1、第2、または第3の光を放射するように構成される、請求項1~11のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
光源は10~2000Hzの反復率を有する第1、第2、または第3の光を放射するように構成される、請求項1~12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
第1の波長は、オキシヘモグロビンとデオキシヘモグロビンとの間の実質的に等しい吸収度を有する、請求項1~13のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
第2と第3の波長はオキシヘモグロビンとデオキシヘモグロビンとの間で吸収度の差がある、請求項1~14のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項16】
判定された酸素化を表示するように構成されたディスプレイをさらに含む、請求項1~15のいずれか1項に記載のシステム。
【外国語明細書】