(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022119868
(43)【公開日】2022-08-17
(54)【発明の名称】細胞治療のための構造的に活性なサイトカイン受容体
(51)【国際特許分類】
C12N 15/62 20060101AFI20220809BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20220809BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20220809BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20220809BHJP
C12P 21/02 20060101ALI20220809BHJP
A61K 38/17 20060101ALI20220809BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20220809BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220809BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20220809BHJP
C07K 19/00 20060101ALN20220809BHJP
C07K 14/715 20060101ALN20220809BHJP
C07K 14/705 20060101ALN20220809BHJP
C07K 16/00 20060101ALN20220809BHJP
C12N 15/86 20060101ALN20220809BHJP
C12N 15/63 20060101ALN20220809BHJP
【FI】
C12N15/62 Z ZNA
C12N15/12
C12N5/10
C12N15/13
C12P21/02 C
A61K38/17
A61K35/17 Z
A61P35/00
A61P37/04
C07K19/00
C07K14/715
C07K14/705
C07K16/00
C12N15/86 Z
C12N15/63 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022083476
(22)【出願日】2022-05-23
(62)【分割の表示】P 2019511347の分割
【原出願日】2017-08-11
(31)【優先権主張番号】62/380,021
(32)【優先日】2016-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】391058060
【氏名又は名称】ベイラー カレッジ オブ メディスン
【氏名又は名称原語表記】BAYLOR COLLEGE OF MEDICINE
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャム、トーマス シー.ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ゴットシャルク、ステファン、エム.ジー.
(72)【発明者】
【氏名】オメル、ビラル
(72)【発明者】
【氏名】ルーニー、クリオナ、エム.
(57)【要約】 (修正有)
【課題】注入後のインビボを含む、免疫療法のための免疫細胞の拡大および/または増殖を増強するための方法および組成物を提供する。
【解決手段】特定の実施形態では免疫細胞(例えば、T細胞)は膜貫通ドメインおよびエンドドメインが、それらが作動可能に連結される対応するエキソドメインへの任意の入力とは別に活性化シグナルを提供し得る、構成的に活性なサイトカイン受容体を発現する。特定の実施形態において、IL-7Rα由来の膜貫通ドメインおよびエンドドメインが、CD34のエキソドメインとともに利用される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作されたサイトカイン受容体ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドであって、以下の成分を含むポリヌクレオチド:
a)1つ以上のサイトカイン受容体エンドドメイン;
b)受容体ポリペプチドのホモ二量体化を促進する1つ以上の突然変異を含む膜貫通ドメイン
c)成分a)の対応する1つ以上のサイトカイン受容体エンドドメインの内因性細胞外ドメインではない1つ以上の細胞外ドメインであって、細胞外ドメインがサイトカイン受容体に由来しないもの。
【請求項2】
請求項1に記載のポリヌクレオチドを含む細胞。
【請求項3】
前記1つ以上のサイトカイン受容体エンドドメインが、細胞中のSTAT5経路を介してシグナル伝達を誘発する、請求項2に記載の細胞。
【請求項4】
前記1つ以上のサイトカイン受容体エンドドメインが、細胞中のSTAT3経路を介してシグナル伝達を誘発する、請求項2に記載の細胞。
【請求項5】
前記サイトカイン受容体エンドドメインが、IL-7サイトカイン受容体α、IL-21サイトカイン受容体α、CD122、IL-23サイトカイン受容体α、IL-12サイトカイン受容体α、またはそれらの組み合わせ由来である、請求項2~4のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項6】
前記膜貫通ドメインが自己オリゴマー化している、請求項2~5のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項7】
前記膜貫通ドメインが、成分a)の1つ以上のサイトカイン受容体エンドドメインの内因性膜貫通ドメインであるか、またはその自己活性化誘導体である、請求項2~6のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項8】
前記自己活性化誘導体が、対応する野生型膜貫通ドメインと比較して1つ以上の変異を含む、請求項7に記載の細胞。
【請求項9】
前記1つ以上の突然変異が、前記受容体を、前記膜貫通成分および前記エンドドメイン成分を通してホモ二量体化することを可能にする、請求項8に記載の細胞。
【請求項10】
前記1つ以上の突然変異が、エンドドメインに関連するヤヌスキナーゼが交差リン酸化および活性化を可能にするように配向されるように、前記膜貫通ドメインおよび前記エンドドメインを構造的にねじれることができるようにする、請求項8に記載の細胞。
【請求項11】
前記1つ以上の突然変異が、前記膜貫通ドメインおよび前記エンドドメインを、らせん様式で集合的に構造的にねじれることができるようにする、請求項8に記載の細胞。
【請求項12】
前記膜貫通ドメインが、対応するIL-7サイトカイン受容体α膜貫通ドメインと比較して、1つ以上の変異を含むIL-7サイトカイン受容体α膜貫通ドメインである、請求項8~11のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項13】
前記膜貫通ドメインがIL-7サイトカイン受容体α由来である場合、前記突然変異は配列PILLTISILSFFSVALLVILACVLW(配列番号1)にある、請求項8~12のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項14】
前記突然変異が、少なくとも1つのシステインを前記膜貫通ドメインに導入する、請求項8~13のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項15】
前記突然変異がプロリンを前記膜貫通ドメインに導入する、請求項8~13のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項16】
前記膜貫通ドメインが、長さが21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、または33アミノ酸である、請求項6~15のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項17】
前記細胞外ドメインが球状の形態である、請求項2~16のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項18】
前記細胞外ドメインが、シグナル伝達活性を欠くデコイ受容体である、請求項2~17のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項19】
前記デコイ受容体が、
PD-1もしくはB7由来の細胞外ドメインであるか、またはPD-1もしくはB7由来の細胞外ドメインを含む細胞外ドメインである、構成的に活性なサイトカイン受容体
を含む、請求項18に記載の細胞。
【請求項20】
前記細胞外ドメインがCD34の細胞外ドメインである、請求項2~19のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項21】
前記細胞外ドメインの長さが少なくとも70アミノ酸である、請求項2~10のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項22】
前記細胞外ドメインの長さが2000アミノ酸以下である、請求項2~21のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項23】
前記細胞外ドメインの長さが、70~2000アミノ酸、100~1000アミノ酸、500~2000アミノ酸、50~500アミノ酸、100~750アミノ酸、200~2000アミノ酸、または500~2000アミノ酸である、請求項2~22のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項24】
細胞外ドメインが、PD-1、CD30、HER2、EGFR、CD19、CD34、TGF-β受容体、IL-4受容体、IL-13受容体α1およびα2、IL-8受容体、IL-10受容体、LAG3、TIGIT、CTLA4、FAS、CD19、CD27、CD28、CD52、CD134、CD137、HER2、EGFRまたはNGFRに由来する、請求項2~23のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項25】
免疫細胞である、請求項2~24のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項26】
T細胞、NK細胞、NKT細胞、αβ細胞、γδT細胞、粘膜関連インバリアントT細胞(MAIT T細胞)、自然リンパ球、幹細胞、または前駆細胞である、請求項2~24のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項27】
細胞に対して抗原特異性を付与する非天然分子を含む、請求項2~26のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項28】
前記細胞が、少なくとも1つのさらなる操作された受容体をさらに含む、請求項2~27のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項29】
前記追加の操作された受容体が、構成的に活性なサイトカイン受容体、キメラ抗原受容体、組換えT細胞受容体、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTEまたはT細胞ENG)、デュアルアフィニティー再標的化(DART)タンパク質、またはそれらの組合せである、請求項28に記載の細胞。
【請求項30】
少なくとも1つのキメラ抗原受容体を含むT細胞である、請求項2~29のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項31】
ポリヌクレオチドが発現ベクターとしてさらに定義される、請求項2~30のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項32】
前記発現ベクターが、ウイルスベクターまたは非ウイルスベクターである、請求項32に記載の細胞。
【請求項33】
前記ウイルスベクターが、レトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス、またはアデノ随伴ウイルスベクターである、請求項33に記載の細胞。
【請求項34】
前記膜貫通ドメインが、配列番号2~24からなる群より選択される配列を含む、請求項1~33のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項35】
前記細胞が、T細胞、NK細胞、NKT細胞、αβT細胞、γδT細胞、粘膜関連インバリアントT細胞(MAIT T細胞)、自然リンパ球、幹細胞、前駆細胞、または免疫エフェクター細胞のうちの1つ以上の混合物を含む、請求項2~34のいずれか一項に記載の複数の細胞。
【請求項36】
請求項2~34のいずれか一項に記載の細胞においてポリヌクレオチドを発現させる工程を含む、細胞集団を増殖させる方法。
【請求項37】
前記細胞がインビトロである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記細胞がインビボである、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記細胞が哺乳動物においてインビボである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記哺乳動物がヒトである、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
細胞外ドメインに結合すると細胞を破壊の標的とする、細胞外ドメインの1つまたは複数の阻害剤
の有効量をヒトに提供する、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記阻害剤が1つ以上の抗体である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記ヒトが治療を必要とし、治療有効量の細胞が前記ヒトに提供される、請求項35~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記ヒトが、癌、感染性疾患、自己免疫疾患、免疫不全を有するか、または固形臓器移植もしくは幹細胞移植の前もしくは後である、請求項39~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
操作されたサイトカイン受容体ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドであって、以下の成分:
a)1つ以上のサイトカイン受容体エンドドメイン;
b)受容体ポリペプチドのホモ二量体化を促進する1つ以上の突然変異を含む膜貫通ドメイン;および
c)成分a)において、対応する1つ以上のサイトカイン受容体エンドドメインの内因性細胞外ドメインではなく、サイトカイン受容体に由来せず、シグナル伝達活性を欠くデコイ受容体である、1つ以上の細胞外ドメイン
を含み、前記膜貫通ドメインは、配列番号2~24からなる群より選ばれる配列を含む、ポリヌクレオチド。
【請求項46】
前記細胞外ドメインが、PD-1もしくはB7由来の細胞外ドメインであるか、またはPD-1もしくはB7由来の細胞外ドメインを含む、請求項45に記載のポリヌクレオチド。
【請求項47】
請求項45または46に記載のポリヌクレオチドによってコードされる、ポリペプチド。
【請求項48】
請求項45または46に記載のポリヌクレオチドを含む、細胞。
【請求項49】
個体における癌を処置する方法であって、該癌が腫瘍抗原を発現し、
(1)該腫瘍抗原を標的とするキメラ抗原受容体、および(2)構成的に活性なサイトカイン受容体を発現する、免疫細胞
を該個体に投与する工程を含む、方法。
【請求項50】
前記構成的に活性なサイトカイン受容体が、
インターロイキン-7(IL-7)受容体エンドドメインと、
前記サイトカイン受容体が構成的に活性であるようにサイトカイン受容体のホモ二量体化を促進する膜貫通ドメイン
とを含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記膜貫通ドメインが、配列番号1~24のいずれかの配列を含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記構成的に活性なサイトカイン受容体が、対応するサイトカインが前記細胞外ドメインに結合した場合にシグナルを伝達しない細胞外ドメインを含む、請求項49~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記構成的に活性なサイトカイン受容体がIL-7受容体エンドドメインを含み、対応するサイトカインがIL-7である、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記細胞外ドメインがCD34由来の細胞外ドメインである、請求項52または53に記載の方法。
【請求項55】
前記細胞外ドメインがPD-1またはB7由来の細胞外ドメインである、請求項52または53に記載の方法。
【請求項56】
前記癌が膠芽腫(glioblastoma)である、請求項49~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記腫瘍抗原がGD2である、請求項49~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記腫瘍抗原がEphA2である、請求項49~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記腫瘍抗原が、EphA3、HER2(ERBB2)、GD2、Glypican-3、5T4、8H9、αvβ6インテグリン、B細胞成熟抗原(BCMA)B7-H3、B7-H6、CAIX、CA9、CD19、CD20、CD22、カッパ軽鎖、CD30、CD33、CD38、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD70、CD96、CD123、CD138、CD171、CEA、CLL-1、CSPG4、EGFR、EGFRvIII、EGP2、EGP40、EPCAM、ERBB3、ERBB4、ErbB3/4、FAP、FAR、FBP、胎児AchR、葉酸受容体α、GD2、GD3、HLA-AI、MAGE A1、HLA-A2、IL13a2、KDR、Lambda、Lewis-Y、MCSP、メソテリン、Muc1、Muc16、NCAM、NKG2Dリガンド、NY-ESO-1、PRAME、PSCA、PSC1、ROR1、Sp17、TAG72、TEM8、Tn-O-グリコペプチド、VEGFR2、癌胎児性抗原、HMW-MAA、VEGF受容体、TSHR、CS-1、CMA、Tn Ag、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、FLT3、CD44v6、KIT、インターロイキン11受容体a(IL-11Ra)、PRSS21、VEGFR2、CD24、血小板由来増殖因子受容体-β(PDGFR-β)、SSEA-4、ERBB2(HER2/neu)、プロスターゼ、PAP、ELF2M、Ephrin B2、IGF-I受容体、CAIX、LMP2、gplOO、bcr-abl、チロシナーゼ、EphA2、フコシルGM1、sLe、GM3、TGS5、o-アセチル-GD2、葉酸受容体β、TEM1/GD248、TEM7R、CLDN6、GPRC5D、CXORF61、CD97、CD179a、ALK、ポリシアル酸、PLAC1、GloboH、NY-BR-1、UPK2、HAVCR1、ADRB3、PANX3、GPR20、LY6K、OR51E2、TARP、WT1、LAGE-1a、MAGE-A1、レグマイン、HPV E6、E7、MAGE A1、ETV6-AML、精子タンパク質17、XAGE1、Tie2、MAD-CT-1、MAD-CT-2、Fos関連抗原1、p53、p53変異体、prostein、サバイビンおよびテロメラーゼ、PCTA-1/Galectin 8、Melan A/MART1、Ras変異体、hTERT、肉腫転座切断点、ML-IAP、ERG(TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、MYCN、RhoC、TRP-2、CYP1B 1、BORIS、SART3、PAX5、OY-TES1、LCK、AKAP-4、SSX2、RAGE-1、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、RU1、RU2、腸内カルボキシルエステラーゼ、mut hsp70-2、CD79a、CD79b、CD72、LAIR1、FCAR、LILRA2、CD300LF、CLEC12A、BST2、EMR2、LY75、GPC3、FCRL5、またはlGLL1である、請求項49~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記癌が、乳癌、前立腺癌、肺癌、脳腫瘍、結腸癌、頭頸部癌、皮膚癌、卵巣癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、腎臓癌、肺癌、胃癌、小腸癌、肝臓癌、膵臓癌、胆嚢癌、胆管癌、食道癌、唾液腺癌または甲状腺癌である、請求項49~55または59のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2016年8月26日に出願された米国仮特許出願第62/380,021号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示の実施形態は、少なくとも細胞生物学、分子生物学、免疫学、および少なくとも癌医学を含む医学の分野を含む。
【背景技術】
【0003】
抗原特異的T細胞による細胞療法は前臨床モデルおよび早期臨床試験において有望であることが示されているが、大きな疾患を有する患者はほとんど治癒していない。この効力の欠如は、注入後の制限されたin vivo T細胞増殖を含むいくつかの因子のためである。化学療法および/または放射線療法によるT細胞移植の前にリンパを枯渇させる患者はin vivoでのT細胞増殖を大いに増強するが、これらの薬剤は望ましくない副作用を有する。このような毒性物質なしにT細胞増殖を可能にするための手段が必要とされている。
【0004】
本開示は、インビボでT細胞増殖を安全に増強するための方法および組成物を提供するための当該分野における必要性を満たす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の実施形態は、注入後のインビボを含む、免疫細胞の拡大および/または増殖を増強するための方法および組成物に関する。特定の場合において、T細胞は特定の構成的に活性なサイトカイン受容体分子を発現し、癌を含む医学的状態のための治療としての使用のためのインビボでのT細胞の拡大を促進する。構成的に活性なサイトカイン受容体は、特定の実施形態において、少なくとも1つのエンドドメイン、膜貫通ドメイン、および少なくとも1つのエキソドメインを含む。
【0006】
第1の局面において、本明細書中で提供されるのは、関連するサイトカインの結合を必要とせずにホモ二量体化して下流のシグナル伝達を促進する、操作されたサイトカイン受容体ポリペプチドである。このような操作されたサイトカイン受容体の共通の特徴は、(例えば膜貫通ドメインに)対応するサイトカインの結合の非存在下で、ホモ二量体化、さらに結果としてシグナルを、引き起こすかまたは促進する、1つ以上の変異を含むように操作されることである。このように、サイトカインのシグナル伝達に関して、それらは構成的に活性である(すなわち、突然変異は「機能獲得」突然変異である)。
【0007】
特定の場合、操作されたサイトカイン受容体ポリペプチドは、受容体の膜貫通ドメインが外部シグナル(例えば、サイトカイン)が膜貫通ドメインおよびエンドドメインを活性化するために必要とされないように、受容体がホモ二量体化することを可能にする1つ以上の変異を含むので、構成的に活性である。少なくともいくつかの場合において、膜貫通ドメインにおける1つ以上の変異は、そのシグナルが作用する所望の標的分子により近接して分子を位置決めする構造的立体配置を膜貫通ドメイン/エンドドメインに付与する。特定の例において、膜貫通ドメインにおける突然変異はジスルフィド架橋の形成を可能にする(それによってポリペプチドのホモ二量体化を促進する)ための膜貫通ドメインアミノ酸配列における少なくとも1つのシステインの挿入であるか、またはそれを含み、および/またはコンフォメーション変化を誘導するための少なくとも1つのプロリンの挿入(例えば、分子を受容体分子を通る軸を中心にキンクさせる、ねじらせるか、または回転させる)を含み、その両方の突然変異は、分子の性質、したがってそのシグナル伝達に構造的に影響を及ぼす。
【0008】
特定の実施形態では、膜貫通ドメインが対応する野生型IL-7サイトカイン受容体α膜貫通ドメインと比較して、1つまたは複数の変異を含むIL-7サイトカイン受容体α膜貫通ドメインである。特定の実施形態では、膜貫通ドメインがIL-7サイトカイン受容体α由来である場合、変異は配列LLTISILSFFSVALLVILACVLW(配列番号25)にある。特定の局面において、変異は少なくとも1つのシステインを膜貫通ドメインに導入し、および/または変異は、プロリンを膜貫通ドメインに導入する。膜貫通ドメインは、場合によっては21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、または33アミノ酸長である。
【0009】
膜貫通ドメインの特定の実施形態では、ドメインは自己二量体化し、特定の場合において、膜貫通ドメインは本開示の1つ以上のサイトカイン受容体エンドドメインの内因性膜貫通ドメインであるか、またはその自己活性化誘導体である。自己活性化誘導体は対応する野生型膜貫通ドメインと比較して1つ以上の突然変異を含んでもよく、1つまたは複数の突然変異は受容体をホモ二量体化することを可能にする。特定の場合において、突然変異は、受容体を膜貫通成分およびエンドドメイン成分を通してホモ二量体化することを可能にする。特定の実施形態において、例えば、ヤヌスキナーゼがエンドドメイン/ポリペプチドをリン酸化および活性化し得るように、1つまたは複数の変異は膜貫通およびエンドドメインを構造的に配向(例えば、ねじれ)させ得る。特定の実施形態において、1つまたは複数の変異は、膜貫通ドメインおよびエンドドメインをらせん様式で集合的に構造的にねじれ得るようにする。
【0010】
特定の実施形態では、操作されたサイトカイン受容体ポリペプチドが少なくとも1つのエンドドメイン、少なくとも1つの膜貫通ドメイン、および少なくとも1つのエキソドメインを含み、任意で1つまたは複数のエキソドメインを含む。いくつかの実施形態では、エンドドメインは野生型であり、すなわち、サイトカインシグナル伝達に関して機能的に活性である。具体的な実施形態では操作されたサイトカイン受容体ポリペプチドが正常な(野生型)エキソドメインを含み、この実施形態ではポリペプチドが対応するサイトカインの存在下または非存在下でホモ二量体化し、シグナルを伝達する。別の特定の実施形態では、操作されたサイトカイン受容体ポリペプチドが、このような受容体についての野生型エキソドメインではないエキソドメインを含む。より具体的な実施形態では、エキソドメインは、受容体が存在する細胞に通常有害であるリガンド(例えば、通常は細胞をダウンレギュレートするか、または細胞のアネルギーを引き起こすか、または細胞のアポトーシスを引き起こすリガンド)に結合する。例えば、このような非野生型エキソドメインは例えば、チェックポイントタンパク質に対するデコイ受容体であり得るか、またはデコイ受容体として役立ち得る;例えば、エキソドメインは、チェックポイントタンパク質PD-1に対する受容体を含む。場合によっては、非野生型エキソドメインは、エキソドメインに結合した場合に、操作されたサイトカイン受容体ポリペプチドを含む細胞を破壊するために標的化する抗体の標的である。別の特定の実施形態では、操作されたサイトカイン受容体ポリペプチドがエキソドメインを欠く。特定の実施形態において、サイトカインはインターロイキン(例えば、IL-7、IL-21、IL-23、またはIL-12)である。
【0011】
本開示の特定の局面において、構成的に活性なサイトカイン受容体は、構成的IL-7受容体活性を誘導する。特定の実施形態において、IL-7Rαの膜貫通ドメインにおける1つ以上の変異または改変は、受容体をホモ二量体化状態においてシグナル伝達を誘導可能にする。特定の実施形態では、インターロイキンはIL-7である。特定の実施形態において、操作されたサイトカイン受容体ポリペプチドは、操作されたIL-7受容体ポリペプチドである。
【0012】
他の実施形態では、そのような操作されたサイトカイン受容体ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、そのようなポリヌクレオチドを含む細胞、そのようなポリペプチドを発現する細胞(例えば、キメラ抗原受容体をさらに発現する細胞)、および疾患(例えば、癌(例えば、血液癌または固形腫瘍))を処置するためのそのような細胞の使用が本明細書に提供される。
【0013】
一実施形態では、操作されたサイトカイン受容体ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドがあり、ポリペプチドは以下の作動可能に連結された成分を含む:
a)1つ以上のサイトカイン受容体エンドドメイン;
b)操作された受容体のホモ二量体化を促進する1つまたは複数の変異を含む膜貫通ドメイン;および
c)成分a)における対応する1つ以上のサイトカイン受容体エンドドメインの内因性細胞外ドメインではない1つ以上の細胞外ドメインであって、細胞外ドメインがサイトカイン受容体に由来しないもの。特定の実施形態において、このようなポリヌクレオチドを含む1つまたは複数の細胞が存在する。
【0014】
特定の実施形態において、1つ以上のサイトカイン受容体エンドドメインは、細胞中のSTAT5経路または細胞中のSTAT3経路を介してシグナル伝達を誘発する。特定の場合において、サイトカイン受容体エンドドメインは、IL-7受容体α、IL-21受容体α、CD122、IL-23受容体α、IL-12受容体α、またはそれらの組み合わせに由来する。
【0015】
一実施形態では、細胞外ドメインは球状である。細胞外ドメインは、シグナル伝達活性を欠くデコイ受容体であり得る。細胞外ドメインは、細胞傷害性抗体の標的であり得る。特定の場合において、細胞外ドメインは、少なくとも70アミノ酸および/または2000アミノ酸以下である。細胞外ドメインの長さは、70~2000アミノ酸、100~1000アミノ酸、500~2000アミノ酸、50~500アミノ酸、100~750アミノ酸、200~2000アミノ酸、または500~2000アミノ酸であり得る。場合によっては、細胞外ドメインはCD34の細胞外ドメインである。特定の実施形態では、細胞外ドメインがCD30、HER2、EGFR、CD19、CD34、TGF-β受容体、IL-4受容体、IL-13受容体α1およびα2、IL-8受容体、IL-10受容体、PD-1、LAG3、TIGIT、CTLA4、FAS、CD19、CD27、CD28、CD52、CD134、CD137、HER2、EGFR、NGFR、またはそれらの組み合わせに由来する。
【0016】
特定の実施形態では、構成的に活性なサイトカイン受容体を発現する細胞が免疫細胞である。細胞は、T細胞、NK細胞、NKT細胞、αβ細胞、γδT細胞、粘膜関連インバリアントT細胞(MAIT T細胞)、自然リンパ球、幹細胞、または前駆細胞であり得る。特定の実施形態では、細胞が細胞に対して抗原特異性を付与する非天然分子を含む。細胞は少なくとも1つのさらなる操作された受容体、例えば、別の構成的に活性なサイトカイン受容体、キメラ抗原受容体、組換えT細胞受容体、二重特異性T細胞係合体(BiTEまたはT細胞ENG)、デュアルアフィニティー再標的化(DART)タンパク質、またはそれらの組み合わせをさらに含み得る。
【0017】
構成的に活性なサイトカイン受容体を発現する細胞に関連するいくつかの実施形態において、この細胞は、受容体ポリペプチドを発現するポリヌクレオチドを有する。ポリヌクレオチドは、ウイルスベクターまたは非ウイルスベクターなどの発現ベクターとしてさらに定義することができる。ウイルスベクターは、レトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス、またはアデノ随伴ウイルスベクターであり得る。非ウイルスベクターは、例えばプラスミドであり得る。
【0018】
一実施形態では構成的に活性なサイトカイン受容体を発現する本開示の複数の細胞があり、細胞はT細胞、NK細胞、NKT細胞、αβT細胞、γδT細胞、粘膜関連インバリアントT細胞(MAIT T細胞)、先天性リンパ球細胞、幹細胞、前駆細胞、または免疫エフェクター細胞のうちの1つまたは複数の混合物を含む。
【0019】
一実施形態では、本開示に包含される細胞においてポリヌクレオチドを発現させる工程を含む、細胞集団を拡大する方法がある。細胞はin vitroまたはin vivo(例えば、ヒトを含む哺乳動物)であり得る。特定の実施形態において、ヒトには、細胞外ドメインに結合すると、破壊のために細胞を標的化する細胞外ドメインの1つ以上の阻害剤の有効量が提供される。インヒビターは、任意の種類の1つ以上の抗体であり得る。特定の実施形態では、ヒトは治療を必要としており、治療有効量の細胞がヒトに提供される。特定の局面において、ヒトは、癌、感染性疾患、自己免疫疾患、免疫不全を有するか、または固形臓器移植もしくは幹細胞移植の前または後である。
【0020】
特定の実施形態では、構成的に活性なサイトカイン受容体が構成的に活性なサイトカイン受容体を発現する細胞に有害である1つ以上の分子を結合することなどによって、シンクまたはリガンドトラップとして利用されるエキソドメインを利用する。このようなリガンドは、例えば免疫抑制の場合のように、T細胞を止めるためにシグナル伝達経路を通常活性化するので、免疫抑制性であり得る。いくつかのそのような場合では、エキソドメインはデコイ受容体として有害なリガンドに結合するが、膜貫通/エンドドメインはなお独立して正のサイトカインシグナルを与えることができる。いくつかの実施形態では、正常な環境下でそうであるように、デコイ受容体は対応するリガンドがT細胞を抑制するのを妨げる。デコイ受容体のエキソドメインは例えば、阻害性サイトカインに結合し得る。デコイ受容体が結合し得る有害なリガンドの例には、TGF-β、PD-L1、IL-4、IL-13、IL-8およびIL-10が含まれる。いくつかの実施形態では、デコイ受容体エキソドメインがLAG3、TIGIT、CTLA4、FASなどのT細胞によって通常発現される阻害受容体の1つである。
【0021】
上記は以下の本発明の詳細な説明がよりよく理解され得るように、本発明の特徴および技術的利点をかなり広く概説した。本発明の特許請求の範囲の主題を形成する本発明の追加の特徴および利点を以下に説明する。開示される概念および特定の実施形態は本発明の同じ目的を実行するための他の構造を修正または設計するための基礎として容易に利用され得ることが、当業者によって理解されるべきである。当業者なら、添付の特許請求で説明したような本発明の精神および範囲から、このような等価な構成が、逸脱しないことも認識すべきである。本発明の特徴であると考えられる新規な特徴はその構成および動作方法の両方に関して、更なる目的および利点と共に、添付の図面と関連して考慮されるとき、以下の説明からより良く理解されるのであろう。しかしながら、図面の各々は、例示および説明の目的のみのために提供され、本発明の限定の定義として意図されないことが明確に理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明をより完全に理解するために、添付の図面と共に以下の説明を参照する。
【0023】
【
図1】正常なIL-7サイトカイン/受容体シグナル伝達のスキーム。
【0024】
【
図2】IL7RP2受容体におけるシグナル伝達のスキーム。
【0025】
【
図3】Δ34.IL7RP2タンパク質のシグナル伝達のスキーム。
【0026】
【
図4】
図4Aおよび
図4B: STAT5は、IL7RP2形質導入T細胞において構成的に活性である。
図4Aは代表的なドナーからのデータであり、
図4Bは、3人のドナーの平均結果である。
【0027】
【
図5】IL7RP2形質導入抗原特異的T細胞は、抗原特異的刺激後に非修飾抗原特異的T細胞よりも増殖能が高い。
【0028】
【
図6】
図6A、6Bおよび6C: Δ34.IL7RP2を共発現するGD2.CAR T細胞は、in vivoでGD2.CAR T細胞よりも大きな増殖および抗腫瘍効果を有する。GD2.CAR-Δ34.IL7RP2 T細胞がin vivoで有意に増殖し、GD2.CAR T細胞と比較して腫瘍部位でT細胞の持続期間が延長した(
図6A)。LAN-1腫瘍はGD2.CAR T細胞を投与したマウスで増殖し、腫瘍はGD2.CAR-Δ34.IL7RP2 T細胞で消失した(
図6B)。その結果、GD2.CAR-Δ34.IL7RP2 T細胞を投与したマウスの生存率優位性が有意に高まった(
図6C)。
【0029】
【
図7】Δ34.IL7RP2形質導入T細胞は、抗原刺激の非存在下では限られた持続性を有する。
【0030】
【
図8】Δ34.IL7RP2は、EphA2.CAR T細胞の細胞傷害能および増殖を延長する。
【0031】
【
図9】Δ34.IL7RP2はin vivoでEphA2.CAR T細胞のアンチグリオーマ活性を増強する。
【0032】
【
図10】
図10A、10Bおよび10C:Δ34.IL7RP2タンパク質は、IL-21Rα細胞質ドメインと融合されて、構成的に活性なコンビナトリアルサイトカイン受容体を生成し得る。Δ34.IL7RP2-リンカー-IL21Rαの活性化の模式図(
図10A).Δ34.IL7RP2およびΔ34.IL7RP2-リンカー-IL21Rα T細胞によるSTAT5の構成的活性化(
図10B)、およびΔ34.IL7RP2-リンカー-IL21RαのみによるSTAT3の構成的活性化(
図10C)。
【0033】
【
図11】IL7RP2は、NK細胞の抗原媒介性増殖を増強する。
【0034】
【
図12】構成的に活性なサイトカイン受容体が2つのエキソドメインから構成される一実施形態の図解。
【0035】
【
図13】構成的に活性なサイトカイン受容体が、エキソドメインをデコイ受容体として利用して、受容体を発現する細胞に有害または潜在的に有害なリガンドを結合する実施形態の図解。
【0036】
【
図14】
図14A~14I:C7Rからの構成的シグナル伝達はT細胞においてSTAT5を活性化するが、自律的細胞増殖を支持しない。 (14A)操作されたC7Rホモ二量体化受容体と比較した、ヘテロ二量体化されたIL7Rαおよびγcからなる天然のIL-7受容体に結合したIL-7の概略比較。 (14B、14C)非形質導入(NT)細胞に対する(14B)CD4および(c)CD8 T細胞におけるΔ34およびC7R(3を表す)の形質導入効率。 (14D、14E)Δ34またはC7Rで形質導入した(14D)CD4および(14E)CD8 T細胞におけるリン酸化STAT5(pSTAT5)の代表的なフローサイトメトリー比較。細胞を、分析前に24~72時間、IL-15およびIL-7なしで培養した。 (14F、14G)複数のドナーを用いて14Dおよび14Eにおける実験を繰り返す場合の平均pSTAT5 MFI値。 (14H,14I)さらなる抗原刺激なしで、PBMC活性化の9~12日後に開始する、サイトカインを含まない完全細胞培養培地で培養したΔ34またはC7R形質導入(14H)CD4または(14I)CD8 T細胞のインビトロ持続性の定量。トリパンブルー排除法を用いて生細胞を毎週計数した。X軸は、IL-15およびIL-7を培養培地から取り出した後の日数を示す。曲線下面積(AUC)値を両側t検定と比較した: 10.5 ±0.6616(CD8 Δ34)、56.37±7.972(CD8 C7R)、p<0.05;10.22±1.694(CD4 Δ34)および31.36±2.590(CD4 C7R)、p<0.05。
*P<0.05、
**P<0.01、
***P<0.001(両側対t検定、14F‐14I)。グラフ14F~14Iは、異なるドナーからの平均±SEM(n=3)を表す。
【0037】
【
図15】
図15A~15I:C7Rは、連続腫瘍攻撃中にGD2-CAR T細胞活性を増強する。 (15A)LAN-1腫瘍細胞との共培養の24時間後にGD2-CAR T細胞またはGD2-CAR.C7R T細胞によって分泌されるサイトカインをELISAによって決定した。 (15B)LAN-1腫瘍細胞を死滅させるT細胞の4時間ルシフェラーゼベースの細胞毒性アッセイ。 (15C)連続共培養概略図。最初の共培養(CC1)は、IL-15またはIL-7の非存在下で、0.5×10
6個のLAN-1 GFP-FFluc腫瘍細胞と共に1×106 GD2-CARまたはGD2-CAR.C7R T細胞の存在下で、7日間開始した。第2および第3の共培養物(CC2およびCC3)について、T細胞を前の共培養物から回収し、次いで、同じ2:1のE:T比で新鮮な腫瘍細胞を有する新しい培養培地中で再播種した。 (15D)連続共培養中のGD2-CARまたはGD2-CAR.C7R T細胞の累積増殖。矢印は、腫瘍細胞によるT細胞再刺激の時点を示す。 (15E)GD2-CAR T細胞およびGD2-CAR.C7R T細胞をそれぞれ有するCC3後に残存するLAN-1腫瘍細胞。 (15F、15G)増殖分析のために、CC1の終わりに収集したGD2-CARおよびGD2-CAR.C7R T細胞を、CC2の間に再チャレンジする前にCell Trace Violetで標識した。 (15G)Fにおける実験を複数のドナーで繰り返し、分裂指数をGD2-CARおよびGD2-CAR.C7R増殖ヒストグラムから編集した。 (15H)生存分析のために、LAN-1腫瘍細胞での2回の連続腫瘍チャレンジ後に、GD2-CARおよびGD2-CAR.C7R T細胞を、アネキシンVおよび7-AADで染色した。棒グラフは、アネキシンV、7-AAD、両方、またはどちらも陽性であるT細胞染色の頻度を示す。アネキシンV(+)7-AAD(-)およびアネキシンV(-)7-AAD(+)の平均比較はn.sであった。 (15I)CC2終了後、腫瘍をGD2特異的抗体で標識し、CAR T細胞から磁気的に分離した。T細胞から全RNAを単離し、その後、Human Immunology Panel Version 2およびnCounter Analysis System(Nanostring)を用いて遺伝子発現分析を行った。表示されたヒートマップは、0.02未満のP値を有するlog2倍変化(GD2-CAR.C7R/GD2-CAR)を有する遺伝子を示す。5人のドナー(10対のサンプル)からデータを作成した。
*P<0.05、
**P<0.01(両側対t検定、15A、15B、15D、15E、15G、15H)。グラフ15A、15B、15C、15E、15G、15Hは、異なるドナーからの平均± SEM(n=6、15A、15D、15E; n=3、15G、15H)を表す。
【0038】
【
図16】
図16A~16G: C7Rは転移性および頭蓋内悪性腫瘍に対する養子T細胞免疫療法を増強する。 (16A)および(16B)1×10
6個のCHLA-255 FFluc細胞を雌NSGマウスに静脈内注射し、7日後に無関係なCAR、GD2-CARΔ.C7R、GD2-CAR、またはGD2-CAR.C7Rを発現する1×10
6個のT細胞を注射した。(16A)経時的な神経芽細胞腫増殖の代表的な生物発光画像。(16B)CHLA-255 FFlucチャレンジマウスのカプラン・マイヤー生存分析。 (16C,16D)T細胞の移動および持続を追跡するために、並行試験において、1×10
6個のCHLA-255細胞をNSGマウスに静脈内注射し、7日後にGD2-CARまたはGD2-CAR.C7Rを共発現する1×10
6個の GFP-FFluc T細胞を注射した。(16C)T細胞の逐次生物発光イメージング。(16D)経時的なT細胞の定量化生物発光シグナル。(16E)1×10
5 U373 GFP-FFluc細胞を、雄SCIDマウスに頭蓋内注射した。7日後、EphA2-CARΔ.C7R、EphA2-CARを発現する1×10
4のT細胞。C7R、EphA2-CAR、またはEphA2-CAR.C7Rを腫瘍に頭蓋内注射した。各処置群からの定量U373 GFP-FFluc生物発光を経時的に示す。 (16F)T細胞で処置した後のU373 GFP-FFlucチャレンジマウスのカプラン・マイヤー生存分析。
*P<0.05、
**P<0.01(Welchのt検定、D;ペアの両側t検定、16G)。5匹のマウスを全群に使用した。グラフDは、実験反復からの平均± SEMを表す。Dに示す実験ではGD2-CAR.C7R群の1匹のマウスが腫瘍負荷とは関係のない理由で5日目の画像化中に死亡したため、9~16日目のGD2-CAR.C7Rにおける平均生物発光シグナルはn=4から計算される。
【0039】
【
図17】
図17A~17D: C7R-CAR T細胞は、iC9自殺スイッチを用いて欠失させることができる。 (17A)GD2-CAR.C7RおよびiC9-CD19tベクターで二重形質導入したT細胞を、CD19特異的Miltenyiビーズを用いてiC9発現について選択した。次いで、細胞を完全培養培地中でAP20187と共に24時間インキュベートし、次いで、アネキシンVおよび7-AADで染色した。棒グラフは、アネキシンV、7-AAD、両方、またはどちらも陽性であるか、またはどちらも陽性でないT細胞染色の相対頻度を示す。アネキシンV(+)7-AAD(-)およびアネキシンV(-)7-AAD(+)の比較はn.sであった。 (17B、17C)NSGマウスにおいて、GFP-FFluc、並びに、GD2-CARΔ.C7R、GD2-CAR.C7RまたはGD2-CAR.C7R+iC9-CD19t、で形質導入した1×10
6 T細胞を静脈内注入してから8日後に、LAN-1腫瘍を皮下樹立した。GD2-CARΔ.C7Rを、17Bおよび17Cにおいて同じ対照として使用した。腫瘍容積を経時的に測定した。GD2-CARΔ.C7R群の2匹のマウスは腫瘍負荷のため21日後に安楽死させ、24日目に残りの3匹のマウスの腫瘍サイズをGD2-CAR.C7R群およびGD2-CAR.C7R+iC9-CD19t群と比較した。T細胞注入32日後の平均腫瘍体積:GD2-CAR.C7Rについては236±11mm3、GD2-CAR.C7R+iC9-ΔCD19tについては196±18mm3、n.s(p=0.1857)。 (17D)腫瘍部位からのGD2-CAR.C7R T細胞(iC9-CD19Tの有無にかかわらず)の生物発光シグナルを経時的に定量した。赤色の矢印は、合計3回の投与のための、24時間毎の28日目のAP20187投与の開始を示す。
*P<0.05、
**P<0.01(両側t検定、17A、17D; Welchのt検定、17B、17C)。群当たりn=5のマウス。17Aのグラフは、異なるドナーからの平均±SEM(n=3)を表す。
【0040】
【
図18】
図18A~18D:CD34‐IL7R
*(C7R)はT細胞において安定に発現し、そしてIL7R
*と比較して構成的STAT5活性化を増強する。 (18A)IL7R
*融合構築物およびΔ34の模式図。全てのIL7R
*構築物は、修飾IL-7Rα膜貫通ドメイン(IL-7RαにおけるThr244とIle245の間のシステイン、プロリン、およびトレオニンの挿入)および未修飾のIL-7Rαエンドドメインを含む。Δ34構築物はCD34の外部ドメインおよび膜貫通を含むが、エンドドメインの一部のみを保持する。 (18B)形質導入細胞をQBEND10に特異的な抗CD34抗体(Q8で使用されるCD34エピトープを検出する)で染色して、NT細胞と比較して、aにおける構築物の形質導入効率を比較した。培養NT細胞上のIL-7Rαのバックグラウンド発現のために、IL7R
*形質導入は、バイシストロン性ベクター中のQ8タグによって間接的に検出された。形質導入効率の差はΔ34とIL7R
*(p =0.2951)とを比較したときおよびIL7R
*とC7R(p=0.1736)を比較したとき、n.s.であった。 (18C)異なる構築物のMFIを、Bから比較した。Δ34とIL7R
*のMFI比較から、およびΔ34とC7Rの間のMFI比較からは、n.s.であった。 (18D)T細胞によるSTAT5リン酸化の比較を行った。細胞を、分析前に24~72時間、IL-15およびIL-7なしで培養した。
*P<0.05、
**P<0.01、
***P<0.001、
****P<0.0001(両側t‐検定、18B‐18D)。グラフ18B~18Dは、異なるドナーからの平均(n=3)±SEMを表す。
【0041】
【
図19】
図19A~19B:CD4およびCD8選択T細胞の両方におけるC7RおよびΔ34の効率的なレトロウイルス形質導入。CD34の発現をフローサイトメトリーにより評価し、NT T細胞対照と比較して、(19A)CD4および(19B)CD8 T細胞におけるC7RおよびΔ34形質導入を検出した。両側t検定(n=3)と比較した場合、差はn.s.であった。
【0042】
【
図20】
図20A~20D:C7Rシグナル伝達は、培養中にGD2-CAR T細胞の表現型組成を変化させない。 (20A)GD2-CARおよびGD2-CAR.C7Rベクターのスキーム。GD2-CAR構築物は、14g2a scFv、CD8細胞外スペーサー、CD8膜貫通ドメイン、および41BBζエンドドメイン、続いてIRESおよび短縮型NGFRから構成される。GD2-CAR.C7R構築物はIRESおよび短縮型NGFRを2A配列で置換し、続いてC7Rがある以外は同一である。 (20B、20C)GD2-CARまたはGD2-CAR.C7Rを発現するT細胞の記憶表現型の比較。棒グラフは、CD45RO-CCR7-(ターミナルエフェクター様、TE)、CD45RO+CCR7-(エフェクターメモリー、EM)、CD45RO+CCR7+(セントラルメモリー、CM)、またはCD45RO-CCR7+(ナイーブ)である(20B)CD4 T細胞および(20C)CD8 T細胞の相対頻度を示す。GD2-CARとGD2-CAR.C7Rの差は、CD4およびCD8 T細胞の4つすべての記憶亜集団についてn.s.であった。(20D)CD4およびCD8のパーセンテージをGD2-CARとGD2-CAR.C7R T細胞間で比較した。差異はn.s.であった。グラフ20B~20Dは平均±SEM(n=3)を表し、集団を、両側t検定を用いて比較した。
【0043】
【
図21】
図21A~21B:C7Rは、U373腫瘍に対する頭蓋内EphA2-CAR T細胞増殖を有意に増加させない。(21A,21B)T細胞を追跡するために、1×10
5 U373細胞をSCIDマウスに頭蓋内注射し、7日後に、EphA2-CARまたはEphA2-CAR.C7Rを発現する1×10
4個のT細胞、GFP-FFlucを発現するco3を頭蓋内注射した。(21A)生物発光画像を経時的に収集し,定量した。(21B)AUC分析を実施し、両群間でn.s.であることが判明した(両側t検定)。n=群当たり5匹のマウス。
【0044】
【
図22】GD2-CAR T細胞と比較によるGD2-CAR.C7R T細胞の遺伝子発現の差異。CC2の終了後、腫瘍をGD2特異的抗体で標識し、CAR T細胞から磁気的に分離した。T細胞から全RNAを単離し、その後、Human Immunology Panel Version 2およびnCounter Analysis System(Nanostring)を用いて遺伝子発現分析を行った。表示された表は、0.02未満のP値を有する遺伝子(GD2-CAR.C7R/GD2-CAR)の倍数変化を示す。5人のドナー(10対のサンプル)からデータを作成した。
【0045】
【
図23】
図23A~23B: 34.IL7RP2-EBVSTによるLCL腫瘍の治療。
図23Aにおいて、34.IL7RP2-EBVSTで処置したマウスにおけるルシフェラーゼのイメージングがある。
図23Bは、34.IL7RP2-EBVST処置マウスにおける腫瘍増殖の測定を示す。
【0046】
本出願の範囲は、明細書に記載されたプロセス、機械、製造、物質の組成、手段、方法およびステップの特定の実施形態に限定されることを意図していない。
【発明を実施するための形態】
【0047】
長年にわたる特許法の慣例に従い、「a」および「an」という用語は、特許請求の範囲を含む単語「comprising」と一緒に本明細書で使用される場合、「1つまたは複数」を意味する。本開示のいくつかの実施形態は、本開示の1つまたは複数の要素、方法ステップ、および/または方法からなるか、または本質的にそれらからなることができる。本明細書中に記載されるいずれの方法または組成物も、本明細書中に記載される任意の他の方法または組成物に関して使用され得ることが意図される。
【0048】
本明細書で使用される「サイトカイン」という用語は炎症および感染に対する免疫系の応答を調節し、免疫応答において細胞間連絡を助ける細胞シグナル伝達分子を指す。例としては、ケモカイン、インターフェロン、インターロイキン、リンホカイン、および腫瘍壊死因子が挙げられる。
【0049】
I 一般的実施形態
【0050】
本開示は、細胞性免疫療法剤を必要とする個体への送達後のin vivoを含む、その増殖を増強するための細胞性免疫療法剤の改善に関する。このような改善はサイトカイン受容体の少なくとも1つのエンドドメイン、膜貫通ドメイン、および少なくとも1つのエキソドメインを含む複数の成分からなる構成的に活性なサイトカイン受容体を利用するが、場合によっては、エキソドメインは受容体において欠損している。一実施形態では、構成的に活性なサイトカイン受容体がIL-7サイトカイン受容体α鎖のエンドドメインを利用する。非天然キメラIL7R含有受容体を発現するように遺伝的に改変された抗原特異的T細胞は、未改変T細胞とは対照的に、細胞培養研究および動物モデルにおいて強力な増殖を示した。
【0051】
II 構成的に活性なサイトカイン受容体分子
【0052】
特定の実施形態では構成的に活性なサイトカイン受容体(タンパク質および/または核酸形態で)、それらを作製する方法、およびそれらを使用する方法は本開示によって包含される。受容体は少なくとも1つのエキソドメイン、膜貫通ドメイン、および少なくとも1つのエンドドメインを含み、エンドドメインはサイトカイン受容体に由来し、エキソドメインは膜貫通およびエンドドメイン成分と同じまたは異なる分子に由来する。別の態様において、膜貫通ドメインおよびエキソドメインは同じ分子由来であり、エンドドメインは異なる分子由来であるが、分子が膜貫通ドメインおよび/またはエンドドメインをねじる変異を含むため、受容体は依然として構成的に活性である。
【0053】
特定の場合において、構成的に活性なサイトカイン受容体は、それらの膜貫通ドメインおよび/またはエンドドメイン成分が、それらが作動可能に連結されているエキソドメインからの対応するシグナルの受信なしに活性化シグナルを伝達するように構成されるので、構成的に活性である。すなわち、受容体の特定の態様において、サイトカイン受容体に対するリガンドの必要性はない。場合によっては、本開示の構成的に活性なサイトカイン受容体の膜貫通ドメインおよび/またはエンドドメインは、それらが非天然の様式または状況または環境でホモ二量体化することができ、それにより、エキソドメインがシグナル伝達経路において下流の対応する実体に活性化シグナルを伝達する状態に留まることを可能にするように構成され得る。特定の実施形態では、構成的に活性なサイトカイン受容体の膜貫通/エンドドメインは、それらが作動可能に連結されるエキソドメインによるサイトカインの結合の非存在下で、独立して正のサイトカインシグナルを与える。
【0054】
特定の実施形態において、特定の構成的に活性なサイトカイン受容体が、本開示の方法において利用される。
【0055】
dCD34.IL7RP2 cDNA配列は配列番号2に提供され、対応するタンパク質配列は配列番号3に提供される。構築物dCD34.IL7RP2は、CD34エキソドメイン全体;システイン、プロリン、トレオニン(CPT)挿入;および正常なIL7Rエンドドメイン、を含む。
【0056】
IL7RP2 cDNA配列は配列番号4に提供され、対応するタンパク質配列は配列番号5に提供される。構築物IL7RP2は、IL7Rエキソドメイン;CPT挿入を伴う膜貫通ドメイン;および正常なIL7Rエンドドメイン、を含む。
【0057】
Q8E.IL7RP2 cDNA配列は配列番号6に提供され、対応するタンパク質配列は配列番号7に提供される。構築物Q8E.IL7RP2は、CD34細胞外ドメインプラスCD8ストークのフラグメント;CPT挿入を有するIL7R膜貫通ドメイン;および正常なIL7Rエンドドメインを有する。
【0058】
19AA.IL7RP2 cDNA配列は配列番号8に提供され、対応するタンパク質配列は配列番号9に提供される。19AA.IL7RP2構築物は、(IL7R膜貫通ドメインが開始する前のIL7Rエクトドメイン中の最後の19アミノ酸に由来する)IL7Rエキソドメインの19アミノ酸残基;CPT挿入を有するIL7R膜貫通ドメイン;および正常なIL7Rエンドドメインを含む。
【0059】
A.エキソドメイン
特定の実施形態では、構成的に活性なサイトカイン受容体が1つ、2つ、またはそれ以上のエキソドメインを含む。特定の実施形態ではエキソドメインがリガンドに結合することができるが、シグナル自体は例えば、構造的理由または他の理由のために、伝達されない。エキソドメインは、特定の実施形態において、その対応する膜貫通および/またはエンドドメインと同じ天然分子由来であってもよく、または天然分子由来でなくてもよい。エキソドメインは、それが作動可能に連結されるエンドドメインと同じ天然分子由来であってもよく、またはそうでなくてもよい。
【0060】
場合によっては、エキソドメインはIL7受容体エキソドメインおよびCD34エキソドメインの三次元幾何学構造に類似した球状形態である。エキソドメインによって提供される1つの特徴は、少なくともいくつかのデータが少なくとも特定のエキソドメインが高タンパク質発現および付随する高シグナル活性化(例えば、pSTAT5活性化)を可能にすることを示すので、タンパク質安定化を提供することであり得る。
【0061】
場合によっては、エキソドメインがタンパク質を安定化し、シグナル伝達を増加させ得る高グリコシル化を含む。
【0062】
いくつかの実施形態において、エキソドメインは、形質導入された細胞の同定を可能にする。例えば、エキソドメインが通常T細胞上で発現されない場合、エキソドメインは例えば、フローサイトメトリー分析の間にゲートアウトすることによって、形質導入された細胞が同定されることを可能にし、そしてまた、例えば、富化のために磁気的に選択される(例えば、対応する抗体に結合した磁気ビーズを使用する)。
【0063】
いくつかの実施形態では、構成的に活性なサイトカイン受容体が構成的に活性なサイトカイン受容体を発現する細胞に有害である1つ以上の分子の結合などのシンクまたはリガンドトラップ機能を付与するエキソドメインを利用する。ある態様において、リガンドは例えば、通常はシグナル伝達経路を活性化してT細胞を止める(免疫抑制)ので、免疫抑制性である。いくつかのそのような場合において、エキソドメインはデコイ受容体として有害なリガンドに結合するが、膜貫通/エンドドメインは依然として独立して正のサイトカインシグナルを与えることができる。特定の実施形態では、正常な状況下でそうであるように、デコイ受容体に対応するリガンドがT細胞を抑制するのを妨げる。特定の場合において、デコイ受容体エキソドメインは、例えば阻害性サイトカインに結合することができる。有害なリガンドの例には、TGF-β、PD-L1、IL-4、IL-13、IL-8、およびIL-10が含まれる。さらに、デコイ受容体エキソドメインはLAG3、TIGIT、CTLA4、FASなどのT細胞によって通常発現される阻害性受容体のエキソドメインをコードし得るが、これらに限定されない。特定の実施形態では受容体は構成的にシグナル伝達し、シグナル伝達は指定されたトリガーの存在下でさらに増大する。別の態様において、エキソドメインは例えば、IL-4サイトカイン受容体またはIL-13サイトカイン受容体からのものを含まないことを含めて、サイトカイン受容体からのものではない。場合によっては、エキソドメインがscFvなどの抗体を含んでも含まなくてもよい。
【0064】
特定の局面において、エキソドメインは、細胞の破壊のための標的である。例えば、エキソドメインは、受容体を発現する細胞のアポトーシスを直接的または間接的にもたらす分子の標的として利用することができる。例えば、エキソドメインは、エキソドメインに結合する対応する抗体で標的化され得、細胞の最終的な破壊を生じる。
【0065】
構成的に作用する受容体は抑制リガンドのデコイ受容体として働くエキソドメインを有し、自殺を標的とするドメインも有する場合もあるが、デコイ受容体エキソドメインと自殺を標的とするエキソドメインとはまったく同じ場合もある。
【0066】
特定の実施形態では、エキソドメインがCD30、HER2、EGFR、CD19、CD34、CD34、TGF-β受容体、IL-4受容体、IL-13受容体α1およびα2、IL-8受容体、IL-10受容体、PD-1、LAG3、TIGIT、CTLA4、FAS、CD19、CD27、CD28、CD52、CD134、CD137、HER2、EGFR、またはNGFRの細胞外ドメインを含む。さらに、エキソドメインはモノクローナル抗体もしくはそれらの誘導体(例えば、scFVに限定されない)、または二量体化ドメイン(例えば、FKBPに限定されない)を含み得る。
【0067】
特定の場合において、エキソドメインは、ポドカリキシン(ポドカリキシン様タンパク質1としても知られる);PODXL(PCLP1としても知られる);トロンボムチン;gp135;GCTM2;TRA-1-60;TRA-1-81;またはエンドグリカン(ポドカリキシン様タンパク質2、PODXL2またはPCLP2としても知られる)を含む。
【0068】
いくつかの実施形態では受容体のエキソドメイン成分が天然に存在する分子由来であり、野生型であるが、他の場合にはエキソドメインが対応する野生型天然に存在する分子と比較して、1つ以上の変異を含む。1つ以上の変異は例えば、受容体をさらに安定化するように機能し得る。エキソドメインが対応する野生型配列と比較して1つ以上の変異を含む場合、変異バージョンは、対応する野生型タンパク質または核酸配列と比較して、配列の一部または全部にわたって、例えば少なくとも50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%同一である。
【0069】
いくつかの実施形態では、細胞外ドメインがある長さのものである。特定の実施形態では、細胞外ドメインの長さは10~275アミノ酸、10~225アミノ酸、10~200アミノ酸、10~175アミノ酸、10~150アミノ酸、10~125アミノ酸、10~100アミノ酸、10~50アミノ酸、50~250アミノ酸、50~225アミノ酸、50~200アミノ酸、50~175アミノ酸、50~150アミノ酸、50~100アミノ酸、90~250アミノ酸、90~225アミノ酸、90~200アミノ酸、90~175アミノ酸、90~150アミノ酸、90~125アミノ酸、90~100アミノ酸、100~250アミノ酸、100~225アミノ酸、100~200アミノ酸、100~175アミノ酸、100~150アミノ酸、100~125アミノ酸、125~250アミノ酸、125~225アミノ酸、125~200アミノ酸、125~175アミノ酸、125~150アミノ酸、150~250アミノ酸、150~225アミノ酸、150~200アミノ酸、150~175アミノ酸、175~250アミノ酸、175~225アミノ酸、175~200アミノ酸、200~250アミノ酸、200~225アミノ酸である。
【0070】
代替の実施形態において、受容体は、エキソドメインを欠く。
【0071】
B.膜貫通ドメイン
特定の実施形態では、構成的に活性なサイトカイン受容体は、エキソドメインおよびエンドドメインに作動可能に連結された膜貫通ドメインを含む。膜貫通ドメインは、それが作動可能に連結されるエンドドメインと同じ天然分子由来であってもなくてもよい。特定の実施形態では、膜貫通は、それが作動可能に連結されるエキソドメインと同じ天然分子に由来しない。膜貫通ドメインは分子のねじれを引き起こす突然変異を必要とするので、特定の実施形態では天然ではない。膜貫通ドメインは、少なくとも特定の実施形態において、膜貫通が自己活性であることを可能にするように、その対応する野生型分子と比較して、1つ以上の変異を含む。本明細書中で使用される場合、用語「自己活性」はそれが作動可能に連結されるエンドドメインと共に、それが作動可能に連結されるエキソドメインからの対応する活性化シグナルの非存在下で、細胞にシグナルを伝達する膜貫通を指す。特定の実施形態では、膜貫通ドメインがホモ二量体化を引き起こすかまたは促進する1つ以上の突然変異を含む。
【0072】
特定の場合において、膜貫通ドメインは受容体に機能的立体配置を与えて、自己活性化を可能にし、例えば、シグナル伝達を導く様式で、下流エンドドメインが互いに対して配向されることを可能にし、例えば、エンドドメインと会合したヤヌスキナーゼが互いに相互作用し、互いに交差活性化することを可能にする。特定の局面において、膜貫通ドメインは、膜貫通ドメインおよびエンドドメインが自然には作用しない場合、非一過性の様式で一緒に作用することを可能にするような、1つまたは複数の変異を含む。少なくともいくつかの局面において、変異は、膜貫通および外部ドメインを人工的にホモ二量体化することを可能にする。例えば、膜貫通ドメインは、それぞれが膜貫通ドメインおよび少なくとも1つのエンドドメインを含む2つの別個の分子のホモ二量体化を可能にする1つ以上の変異を含んでもよく、このような分子のホモ二量体化は天然では起こらない。特定の実施形態では、膜貫通ドメインにおける1つまたは複数の突然変異は、例えば受容体ホモダイマーの膜貫通ドメインおよびエンドドメインの構造的ねじれを誘導して、自己活性化らせん構造を形成する。特定の実施形態において、膜貫通ドメインにおける1つ以上の変異は、受容体分子(またはその1つ以上の成分)の一部または全部の、垂直軸の周りのらせん状のねじれを誘導する。特定の変異が、膜貫通ドメインおよびエンドドメインが自己活性化するような構造的立体配置を誘導するか否かは、通常の方法(例えば、増殖因子の非存在下で、試験される特定の受容体を有する細胞を増殖させた後のSTAT3またはSTAT5リン酸化についてアッセイする)を用いて決定され得る。
【0073】
特定の実施形態では、そのような1つ以上の機能獲得突然変異を有する膜貫通ドメイン成分が本開示の方法および組成物において使用され得る。突然変異は例えば、置換、挿入、欠失、またはそれらの組み合わせであり得る。特定の実施形態では、1つ以上の突然変異が少なくとも1つのシステインおよび/または少なくとも1つのプロリンの含有を含む。いくつかの場合において、膜貫通ドメインは、膜貫通ドメインにおける機能獲得変異として腫瘍患者において同定された変異を利用する。少なくともいくつかの場合において、変異体バージョンは、膜貫通ドメインにおけるジスルフィド結合形成を誘導するシステイン挿入を含む。しかし、他の実施形態において、1つ以上の変異は、システインの挿入を欠く。例えば、突然変異が膜貫通ドメインの天然バージョンと比較して膜貫通ドメインをコンフォメーション的に変化させ、それによってシグナル伝達の誘導を可能にするため、依然としてシグナルを伝達し、構成的に活性であるシステイン挿入を有さない(したがって、ジスルフィド結合を有さない)膜貫通誘導体を利用することができる。例えば、プロリンのようなアミノ酸の挿入は膜貫通ドメインをねじる「キンク」を生じ、これは、シグナル伝達を誘導する(例えば、Shochatら、2011, J Exp Med.2011 May 9;208(5):901-8; Zenatti et al., 2011, Nat Genet. 2011年9月4日;43(10): 932-9を参照のこと)。
【0074】
特定の実施形態では膜貫通ドメインがIL-7Rα受容体由来であり、膜貫通ドメインにおける変異は配列PILLTISILSFFSVALLVILACVLW(配列番号1)にある。特定の実施形態では、突然変異が配列番号のアミノ酸配列への1つ以上のシステインおよび/または1つ以上のプロリンの挿入であるか、またはそれを含む。ここで、突然変異は受容体のホモ二量体化を可能にするまたは促進する。ある場合には、突然変異がシステイン、プロリン、トレオニン(CPT)の三量体ペプチドの膜貫通ドメインへの挿入を含む。このような突然変異は2つの分子(例えば、2つのIL7RP2受容体α鎖)のシステイン残基の-SH(チオール)基間にジスルフィド結合形成を付与し、ホモ二量体をそれらの間に形成させる(特定の実施形態では、システインの直後のプロリンがホモ二量体を正しい配向にねじるのを助ける)。特定の実施形態ではCPT挿入のトレオニンがトレオニンではなく別のアミノ酸であり、少なくとも特定の場合、他のアミノ酸はシステインまたはプロリンであるか、またはシステインまたはプロリンでない。
【0075】
1つ以上のアミノ酸が受容体における使用のために配列番号1に挿入される実施形態において、挿入は、配列番号1の任意の2つのアミノ酸の間であり得る。特定の実施形態では、挿入が配列番号の第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12、第13、第14、第15、第16、第17、第18、第19、第20、第21、第22、第23または第24のアミノ酸の後に位置する。
【0076】
本明細書中に記載される例示的な構築物(Δ34.IL7RP2)において使用される変異したTM配列の例(ここで、配列は、下記の下線配列の付加によって変異される)は以下の通りである。
PILLTCPTISILSFFSVALLVILACVLW (配列番号2)
他の構成的に活性なIL-7受容体における変異TM配列1. PILNPCLTISILSFFSVALLVILACVLW (配列番号3)2. PTCLTISILSFFSVALLVILACVLW (配列番号4)3. PSANCGAISILSFFSVALLVILACVLW (配列番号5)4. PILLVSCPTISILSFFSVALLVILACVLW (配列番号6)5. PILLIISIQWLSFFSVALLVILACVLW (配列番号7)6. NSPSCLTISILSFFSVALLVILACVLW (配列番号8)7. PCLEGLTISILSFFSVALLVILACVLW (配列番号9)8. PILLTISILSFFWNLLVILACVLW (配列番号10)9. RFCPHISILSFFSVALLVILACVLW (配列番号11)10. IKCILSFFSVALLVILACVLW (配列番号12)11. PIFHPFNCGPISILSFFSVALLVILACVLW (配列番号13)12. PILLMCPTISILSFFSVALLVILACVLW (配列番号14)13. PILLTISILSFFSGPSLALLVILACVLW (配列番号15)14. PILRLGCVTISILSFFSVALLVILACVLW (配列番号16)15. PIPQGGCILSFFSVALLVILACVLW (配列番号17)16. LQSCILSFFSVALLVILACVLW (配列番号18)17. PIFPHQHCTISILSFFSVALLVILACVLW (配列番号19)18. PILLTISKCHLSFFSVALLVILACVLW (配列番号20)19. PILLTCHLISILSFFSVALLVILACVLW (配列番号21)20. PIFSCGPLTISILSFFSVALLVILACVLW (配列番号22)21. PILLPPCLTISILSFFSVALLVILACVLW (配列番号23)22. PILLTPPVCSVTISILSFFSVALLVILACVLW (配列番号24)
【0077】
特定の実施形態において、1つ以上の膜貫通ドメイン変異は二量体化アルファ鎖(例示的なIL-7Rαについて)を構造的に改変して、結合したヤヌスキナーゼが近接するように自身を配向させ、交差リン酸化および活性化を可能にし;このような構造的改変は特定の実施形態において、二量体化鎖のねじれに由来する(Shochatら、2011; Durum、2014)。
【0078】
特定の実施形態では、膜貫通ドメインがその対応する野生型成分と比較して1つ以上の突然変異を含み、その対応する野生型のコンポーネントと比較して一定のパーセント同一性を有する。特定の場合において、膜貫通ドメインは、対応する野生型膜貫通ドメインと少なくとも50、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%同一である。
【0079】
膜貫通は任意の適切な長さであり得るが、特定の実施形態では21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、または33アミノ酸の長さである。
【0080】
C.エンドドメイン
構成的に活性なサイトカイン受容体は、1つ以上のエンドドメインを含む。エンドドメインは膜貫通ドメインと同じ分子に由来する場合もあるが、そうでない場合もある。特定の実施形態では、エンドドメインが免疫刺激性サイトカイン受容体を含むサイトカイン受容体に由来する。特定の実施形態では、サイトカイン受容体は、STAT5、STAT3などを含むシグナル伝達経路において作用する。本開示の受容体に有用な免疫刺激性サイトカインエンドドメインとしては、例えば、IL-7Ra受容体α、CD122(IL-2およびIL-15の共通受容体β)、IL-21受容体α、IL-23受容体α、およびIL-12受容体α、およびIL-6受容体が挙げられる。
【0081】
いくつかの実施形態では、エンドドメインが所望の下流経路に基づいて選択される。例えば、エンドドメインは、JAK1、STAT5、STAT4、JAK3、STAT3などを介して送信されるべき信号に対する要望に基づいて選択され得る。
【0082】
ある場合には、シグナル伝達経路はSTAT5を含む。STAT5は免疫刺激性サイトカインIL-15およびIL-7の主要な下流シグナル伝達ノードであり、いずれも免疫療法の状況においてT細胞を活性化するのに有用であることが知られている。いくつかの刊行物はサイトカインおよびサイトカイン受容体相互作用を迂回し、STAT5を直接活性化する(構成的に活性なSTAT5突然変異体を用いる)と、CD8 T細胞機能が、前臨床モデルを用いてin vivoでの持続性の増加およびin vivoでの抗腫瘍効果の増強を介して増強されることを既に示している。同じ概念は、IL-12の下流にあるSTAT4などの他の既知の免疫刺激サイトカインの下流でSTATタンパク質を活性化することに拡張することができる。
【0083】
特定の実施形態ではエンドドメインがIL7受容体α鎖由来のエンドドメインを含み、これは1つ以上の突然変異を含んでも含まなくてもよい。特定の場合において、それは、ホモ二量体化を引き起こすかまたは促進することを可能にする変異を含む膜貫通ドメインに作動可能に連結される。
【0084】
いくつかの実施形態では、エンドドメインが特定の長さのものである。特定の実施形態では、エンドドメインの長さは、70~250アミノ酸、70~225アミノ酸、70~200アミノ酸、70~175アミノ酸、70~150アミノ酸、70~125アミノ酸、70~100アミノ酸、80~250アミノ酸、80~225アミノ酸、80~200アミノ酸、80~175アミノ酸、80~150アミノ酸、80~100アミノ酸、90~250アミノ酸、90~225アミノ酸、90~200アミノ酸、90~175アミノ酸、90~150アミノ酸、90~125アミノ酸、90~100アミノ酸、100~250アミノ酸、100~225アミノ酸、100~200アミノ酸、100~175アミノ酸、100~150アミノ酸、100~125アミノ酸、125~250アミノ酸、125~225アミノ酸、125~200アミノ酸、125~175アミノ酸、125~150アミノ酸、150~250アミノ酸、150~225アミノ酸、150~200アミノ酸、150~175アミノ酸、175~250アミノ酸、175~225アミノ酸、175~200アミノ酸、200~250アミノ酸、200~225アミノ酸などである。特定の実施形態において、特定の長さのこれらのフラグメントは、シグナル伝達活性を保持する。
【0085】
III 操作されたサイトカイン受容体を含む細胞
【0086】
さらに、本開示の医薬組成物は、操作された受容体をコードするベクターで形質転換またはトランスフェクトされたものなどの構成的に活性なサイトカイン受容体を発現する宿主細胞を含むことが想定される。宿主細胞は、受容体をコードするベクターを導入することによって産生され得る。宿主細胞に導入された操作された受容体をコードする核酸分子またはベクターは、宿主のゲノムに組み込まれ得るか、または染色体外で維持され得る。
【0087】
宿主細胞は任意の原核細胞または真核細胞であり得るが、特定の実施形態では真核細胞である。特定の実施形態では、宿主細胞が細菌、昆虫、真菌、植物または動物細胞である。宿主細胞は、哺乳動物細胞、より好ましくはヒト細胞またはヒト細胞系であり得ることが特に想定される。特に好ましい宿主細胞は免疫細胞(例えば、T細胞、NK細胞、またはNKT細胞)を含む。
【0088】
一実施形態では、宿主細胞が操作されたサイトカイン受容体を含むT細胞である。場合によっては、操作されたサイトカイン受容体を発現する細胞が操作されたT細胞受容体のような別の天然に存在しない分子も発現する。天然に存在するT細胞受容体は2つのサブユニット(αサブユニットおよびβサブユニット)を含み、これらの各々は、各T細胞のゲノムにおいて組換え事象によって産生される独特のタンパク質である。TCRのライブラリーは、特定の標的抗原に対するそれらの選択性についてスクリーニングされ得る。「操作されたTCR」は、養子免疫療法に使用されるT細胞の集団に選択され、クローン化され、および/または引き続いて導入される標的抗原に対して高い結合活性および反応性を有する天然のTCRを指す。場合によっては、操作されたサイトカイン受容体を発現する細胞がキメラ抗原受容体(CAR:chimeric antigen receptor)も発現する。操作されたTCRとは対照的に、CARは、MHC非依存的な様式で標的抗原に結合するように操作される。特定の実施形態ではCARが限定されるものではないが、scFvなどの抗体またはその抗原結合フラグメントを含む細胞外結合ドメイン;膜貫通ドメイン;1つ以上の細胞内共刺激シグナル伝達ドメインおよび一次シグナル伝達ドメインを含む。
【0089】
IV 受容体を発現する宿主T細胞の治療的使用
【0090】
本明細書に提供される癌を治療する方法は、癌に特異的なCARを発現する有効量のT細胞を、前記癌を有する個体に投与することを含み、前記CAR T細胞が構成的に活性なサイトカイン受容体をさらに発現する。より具体的な実施形態では、癌は例えば、膠芽腫を含む固形腫瘍である。別の特定の実施形態では、CAR T細胞が抗原GD2を標的とする。より具体的な実施形態では、構成的に活性なサイトカイン受容体がIL-7受容体αに由来する膜貫通ドメインを含み、膜貫通ドメインはサイトカイン受容体のホモ二量体化を促進する1つまたは複数の変異を含む。
【0091】
癌の処置の特定の方法において、細胞は1つ以上の変異を有する膜貫通ドメインを有するサイトカイン受容体を含むT細胞であり、特定の実施形態では、膜貫通ドメインが配列番号の配列を含む。特定の実施形態において、処置のためのT細胞における膜貫通ドメインは、配列番号2~配列番号24のうちの1つの配列を含む。
【0092】
構成的に活性なサイトカイン受容体を発現する細胞の有効量は、それを必要とする個体に提供される。個体は特定の場合には癌を有し得るが、他の場合には個体は非癌性疾患の処置を必要とする。治療有効量の細胞が個体に提供され、そして1回または複数回の投与で提供され得る。場合によっては、本開示の細胞治療が個体に対して同時に提供されてもされなくてもよい1つ以上の他のタイプの治療に加えて、個体に提供される。
【0093】
例として、癌患者、または癌に罹患しやすい患者、または癌を有する疑いのある患者は、本明細書中に記載されるように処置され得る。本明細書に記載のように修飾された免疫細胞を個体に投与し、長期間保持してもよい。種々の投与経路の1つを利用することができる。いくつかの実施形態において、遺伝的に改変された細胞は免疫認識を阻害するためにカプセル化され、そして局所的に(例えば、腫瘍の部位で)投与される。
【0094】
種々の実施形態において、発現構築物、核酸配列、ベクター、宿主細胞および/またはそれらを含む医薬組成物は癌性疾患(例えば、腫瘍性疾患)の予防、処置または改善のために使用される。特定の実施形態では、本開示の細胞を含む医薬組成物が例えば、固形腫瘍を有する癌を含む癌を予防、改善および/または治療するのに特に有用であり得る。
【0095】
本明細書中で使用される場合、「処置」または「処置」は疾患または病理学的状態の症状または病理学に対する任意の有益な効果または望ましい効果を含み、そして処置される疾患または状態(例えば、癌)の1つ以上の測定可能なマーカーにおける最小の減少さえ含み得る。処置は場合により、疾患または状態の症状の減少または改善、または疾患または状態の進行の遅延のいずれかを含み得る。「処置」は、必ずしも、疾患もしくは状態、またはその関連症状の完全な根絶または治癒を示すものではない。
【0096】
本明細書中で使用される場合、「予防する」、および「予防される」、「予防している」などの類似の単語は疾患または状態(例えば、癌)を予防、阻害、または発生もしくは再発の可能性を低減するためのアプローチを示す。また、疾患または状態の発症または再発を遅らせること、または疾患または状態の症状の発生または再発を遅らせることを指す。本明細書中で使用される場合、「予防」および類似の単語はまた、疾患または状態の発症または再発前の疾患または状態の強度、効果、症状および/または負担を減少させることを含む。
【0097】
本明細書中に記載される方法および組成物は広範囲の免疫細胞(例えば、αβT細胞、γδT細胞、NK細胞、NKT細胞、粘膜関連インバリアントT細胞(MAIT T細胞)、自然リンパ球、またはそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない)に適用され得る。さらに、本発明の受容体は幹細胞および/または前駆細胞中で発現され得、これらは続いて、上記の免疫細胞に分化される。さらに、上記の全ての免疫細胞は第2の遺伝子改変(例えば、キメラ抗原受容体(CAR)、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTEまたはT細胞ENG)、二重アフィニティー再標的化(DART)タンパク質、またはαβT細胞受容体)を有する腫瘍細胞に再指向され得るが、これらに限定されない。特定の実施形態では、細胞が上記で定義したようなCAR発現免疫細胞、または腫瘍を標的とする抗原特異的免疫細胞(例えば、ウイルス特異的T細胞、または腫瘍抗原特異的T細胞)である。構成的に活性なサイトカイン受容体発現細胞がCARも発現する例において、CARは、EphA2、EphA3、HER2(ERBB2)、GD2、Glypican-3、5T4、8H9、αvβ6インテグリン、B細胞成熟抗原(BCMA) B7-H3、B7-H6、CAIX、CA9、CD19、CD20、CD22、カッパ軽鎖、CD30、CD33、CD38、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD70、CD96、CD123、CD138、CD171、CEA、CLL-1、CSPG4、EGFR、EGFRvIII、EGP2、EGP40、EPCAM、ERBB3、ERBB4、ErbB3/4、FAP、FAR、FBP、胎児AchR、葉酸受容体α、GD2、GD3、HLA-AI MAGE A1、HLA-A2、IL13Ra2、KDR、Lambda、Lewis-Y、MCSP、メソテリン、Muc1、Muc16、NCAM、NKG2Dリガンド、NY-ESO-1、PRAME、PSCA、PSC1、ROR1、Sp17、TAG72、TEM8、Tn-O-グリコペプチド、VEGRR2、癌胎児性抗原、HMW-MAA、VEGF受容体、TSHR、CS-1、CMA、Tn Ag、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、FLT3、CD44v6、KIT、インターロイキン-11受容体a(IL-llRa)、PRSS21、VEGFR2、CD24、血小板由来増殖因子受容体-β(PDGFR-β)、SSEA-4、ERBB2(Her2/neu)、プロスターゼ、PAP、ELF2M、Ephrin B2、IGF-I受容体、CAIX、LMP2、gplOO、bcr-abl、チロシナーゼ、EphA2、フコシルGM1、sLe、GM3、TGS5、o-アセチル-GD2、葉酸受容体β、TEM1/CD248、TEM7R、CLDN6、GPRC5D、CXORF61、CD97、CD179a、ALK、ポリシアル酸、PLAC1、GloboH、NY-BR-1、UPK2、HAVCR1、ADRB3、PANX3、GPR20、LY6K、OR51E2、TARP、WT1、LAGE-la、MAGE-Al、レグマイン、HPV E6、E7、MAGE Al、ETV6-AML、精子タンパク質17、XAGE1、Tie2、MAD-CT-1、MAD-CT-2、Fos関連抗原1、p53、p53変異体、prostein、サバイビンおよびテロメラーゼ、PCTA-l/Galectin 8、MelanA/MART1、Ras変異体、hTERT、肉腫転座切断点、ML-IAP、ERG(TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、アンドロゲン受容体、サイクリンBl、MYCN、RhoC、TRP-2、CYP1B 1、BORIS、SART3、PAX5、OY-TES1、LCK、AKAP-4、SSX2、RAGE-1、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、RU1、RU2、腸内カルボキシルエステラーゼ、mut hsp70-2、CD79a、CD79b、CD72、LAIR1、FCAR、LILRA2、CD300LF、CLEC12A、BST2、EMR2、LY75、GPC3、FCRL5、lGLL1、および/または、フィブロネクチン、テネイシン、または壊死領域の癌胎児性領域および他の腫瘍関連抗原のような腫瘍の細胞外マトリックス内に存在する他の例示的な抗原、もしくは例えば腫瘍のゲノム解析および/または差次的発現研究を通して同定される実用的変異のような、腫瘍の細胞外マトリックス内に存在する例示的な抗原などの任意の腫瘍抗原に対するものであり得る。
【0098】
また、個体における癌を処置する方法であって、該癌が腫瘍抗原を発現し、(1)該腫瘍抗原を標的とするキメラ抗原受容体、および(2)構成的に活性なサイトカイン受容体、を発現する免疫細胞を該個体に投与する工程を包含する方法が、本明細書中に提供される。前記構成的に活性なサイトカイン受容体は、本明細書に包含される構成的に活性なサイトカイン受容体のいずれであってもよい。特定の実施形態では、構成的に活性なサイトカイン受容体が、インターロイキン-7(IL-7)受容体エンドドメインと、サイトカイン受容体が構成的に活性であるようにサイトカイン受容体のホモ二量体化を促進する膜貫通ドメインとを含む。特定の実施形態では、構成的に活性なサイトカイン受容体がインターロイキン-21(IL-21)受容体エンドドメインと、サイトカイン受容体が構成的に活性であるようにサイトカイン受容体のホモ二量体化を促進する膜貫通ドメインとを含む。特定の実施形態では、構成的に活性なサイトカイン受容体がインターロイキン-23(IL-23)受容体エンドドメインと、サイトカイン受容体が構成的に活性であるようにサイトカイン受容体のホモ二量体化を促進する膜貫通ドメインとを含む。特定の実施形態では、構成的に活性なサイトカイン受容体がインターロイキン-12(IL-12)受容体エンドドメインと、サイトカイン受容体が構成的に活性であるようにサイトカイン受容体のホモ二量体化を促進する膜貫通ドメインとを含む。特定の実施形態では、膜貫通ドメインが配列番号1~24のいずれかの配列を含む。前述のいずれかの特定の実施形態では、構成的に活性なサイトカイン受容体が、対応するサイトカインが細胞外ドメインに結合した場合にシグナルを伝達しない細胞外ドメインを含む。例えば、より具体的な実施形態では、構成的に活性なサイトカイン受容体はIL-7受容体エンドドメインを含み、対応するサイトカインはIL-7である。前述のいずれかの特定の実施形態において、構成的に活性なサイトカイン受容体は、CD34由来の細胞外ドメインである細胞外ドメインを含む。前述のいずれかの別の特定の実施形態では、構成的に活性なサイトカイン受容体がPD-1またはB7由来の細胞外ドメインである細胞外ドメインを含む。
【0099】
本明細書において提供される治療方法のいずれかの特定の実施形態では、癌は膠芽腫である。本明細書中で提供される方法の特定の具体的な実施形態では、癌は乳癌、前立腺癌、肺癌(例えば、小細胞肺癌または非小細胞肺癌)、脳腫瘍、結腸癌、頭頸部癌、皮膚癌(例えば、黒色腫)、卵巣癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、腎臓癌、胃癌、小腸癌、肝臓癌、膵臓癌、胆嚢癌、胆管癌、食道癌、唾液腺癌または甲状腺癌である。
【0100】
本明細書に提供される方法のいずれかの特定の実施形態では、腫瘍抗原はGD2である。本明細書で提供される方法のいずれかの別の具体的な実施形態では、腫瘍抗原はEphA2である。本明細書で提供される方法の他の具体的な実施形態では、腫瘍抗原がEphA3、HER2(ERBB2)、GD2、Glypican-3、5T4、8H9、αvβ6インテグリン、B細胞成熟抗原(BCMA) B7-H3、B7-H6、CAIX、CA9、CD19、CD20、CD22、カッパ軽鎖、CD30、CD33、CD38、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD70、CD96、CD123、CD138、CD171、CEA、CLL-1、CSPG4、EGFR、EGFRvIII、EGP2、EGP40、EPCAM、ERBB3、ERBB4、ErbB3/4、FAP、FAR、FBP、胎児AchR、葉酸受容体α、GD2、GD3、HLA-AI MAGE A1、HLA-A2、IL13Ra2、KDR、Lambda、Lewis-Y、MCSP、Mesothelin、Muc1、Muc16、NCAM、NKG2Dリガンド、NY-ESO-1、PRAME、PSCA、PSC1、ROR1、Sp17、TAG72、TEM8、Tn-O-グリコペプチド、VEGFR2、癌胎児性抗原、HMW-MAA、VEGF受容体、TSHR、CS-1、CMA、Tn Ag、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、FLT3、CD44v6、KIT、インターロイキン11受容体a(IL-l lRa)、PRSS21、VEGFR2、CD24、血小板由来成長増殖因子受容体-β(PDGFR-β)、SSEA-4、ERBB2(Her2/neu)、プロスターゼ、PAP、ELF2M、Ephrin B2、IGF-I受容体、CAIX、LMP2、gplOO、bcr-abl、チロシナーゼ、EphA2、フコシルGM1、sLe、GM3、TGS5、o-アセチル-GD2、葉酸受容体β、TEM1/CD248、TEM7R、CLDN6、GPRC5D、CXORF61 、CD97、CD179a、ALK、ポリシアル酸、PLAC1、GloboH、NY-BR-1 、UPK2、HAVCR1、ADRB3、PANX3、GPR20、LY6K、OR51E2、TARP、WT1、LAGE-la、MAGE-Al、レグマイン、HPV E6,E7、MAGE Al、ETV6-AML、精子タンパク質17、XAGE1、Tie2、MAD-CT-1、MAD-CT-2、Fos関連抗原1、p53、p53変異体、prostein、サバイビンおよびテロメラーゼ、PCTA-l/Galectin 8、MelanA/MART1、Ras 変異体、hTERT、肉腫転座切断点、ML-IAP、ERG(TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、アンドロゲン受容体、サイクリンBl、MYCN、RhoC、TRP-2、CYP1B 1、BORIS、SART3、PAX5、OY-TES1、LCK、AKAP-4、SSX2、RAGE-1、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、RU1、RU2、腸内カルボキシルエステラーゼ、mut hsp70-2、CD79a、CD79b、CD72、LAIR1、FCAR、LILRA2、CD300LF、CLEC12A、BST2、EMR2、LY75、GPC3、FCRL5、またはlGLL1である。
【0101】
いくつかの実施形態において、構成的に活性なサイトカイン受容体発現細胞は、癌以外に、リンパ球療法が治療的である別の疾患である感染性疾患、自己免疫疾患、ならびに固形臓器および幹細胞移植後の合併症を含むがこれらに限定されない、別の疾患を含む医学的状態のために個体に提供される。このような場合、T細胞は増強された拡大を有することが望ましく、したがって、構成的に活性なサイトカイン受容体分子は癌適応のためのものと同一または類似であるが、細胞は非悪性適応を標的化するために特異的に改変され得る。個体が自己免疫疾患を有する実施形態において、例えば、細胞は例えば、抗原として自己反応性T細胞を使用し(OPEXA Therapeutics; The Woodlands, TXにおけるように)自己反応性T細胞に対してそれらのTCRを介して広く特異的であり得る。
【0102】
特定の実施形態では、本開示が部分的に、単独でまたは別の治療との任意の組み合わせのいずれかで投与され得る発現構築物、核酸分子、および/またはベクター、ならびに少なくともいくつかの態様において、薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤と一緒に投与され得る発現構築物、核酸分子、および/またはベクターを有する細胞を企図する。特定の実施形態では、細胞の投与前に、前記核酸分子またはベクターを細胞のゲノムに安定に組み込んでもよい。特定の実施形態では、特定の細胞または組織に特異的であり、前記細胞中に存続するウイルスベクターが使用され得る。適切な医薬担体および賦形剤は、当技術分野で周知である。本開示に従って調製された組成物は、上記で同定された疾患の予防または処置または遅延のために使用され得る。
【0103】
さらに、本開示は癌性(腫瘍を含む)疾患の予防、治療または改善のための方法であって、それを必要とする被験体に、構成的に活性なサイトカイン受容体、それらをコードする核酸配列、それらをコードするベクター(単数または複数)を含む有効量の細胞を、本明細書で企図されるように、および/または本明細書で企図される方法によって産生されるように、投与する工程を含む方法に関する。
【0104】
例示的な改変免疫細胞の組成物の投与のための可能な適応症は、癌性疾患(乳癌、前立腺癌、肺癌、脳腫瘍、結腸癌、頭頸部癌、皮膚癌、卵巣癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、腎臓癌、肺癌、胃癌、小腸癌、肝臓癌、膵臓癌、胆嚢癌、胆管癌、食道癌、唾液腺癌および甲状腺癌、ならびにT細胞、B細胞、NK細胞および骨髄細胞またはそれらの前駆体の血液学的悪性腫瘍を含む)である。細胞の組成物の投与の例示的な適応症は例えば、受容体発現細胞が標的とする抗原を発現する細胞を有する任意の悪性腫瘍を含む、癌性疾患である。さらに、それは、他の腫瘍抗原を異常に発現する悪性腫瘍を含み、それらもまた標的化され得る。本開示の組成物の投与は例えば、最小残存疾患、早期癌、進行癌、および/または転移癌および/または難治性癌を含む、あらゆる段階および型の癌に有用である。
【0105】
本開示は免疫細胞を介して作用する他の化合物、例えば、二重特異性抗体構築物、標的毒素または他の化合物との同時投与プロトコルをさらに含む。本発明の化合物の同時投与のための臨床レジメンは、他の成分の投与と同時、前および/または後における同時投与を包含し得る。特定の併用療法には、化学療法、放射線療法、手術、ホルモン療法、または他のタイプの免疫療法が含まれる。
【0106】
実施形態は、本明細書に記載の1つ以上の免疫細胞、本明細書に記載の核酸配列、本明細書に記載のベクター、および/または本明細書に記載の宿主を含むキットに関する。また、本開示のキットは、単独で、または医療処置または介入を必要とする個体に投与されるさらなる薬剤と組み合わせて、本明細書において上記した医薬組成物を含むことが企図される。
【0107】
次いで、構築物(単数または複数)で修飾された免疫細胞(例えば、T細胞またはNK細胞)を選択的条件下(場合によってのみ)で培養して増殖させることができ、次いで、構築物を有するものとして選択された細胞を、例えば、宿主細胞中の構築物(単数または複数)の存在を決定するためのポリメラーゼ連鎖反応を使用して、増殖させ、さらに分析することができる。改変された宿主細胞が同定された後、それらは、次いで、計画されたように使用され得、例えば、培養において拡大され得るか、または宿主生物に導入され得る。
【0108】
細胞の性質に依存して、細胞は多種多様な方法で、宿主生物(例えば、哺乳動物)に導入され得る。細胞は腫瘍の部位に導入され得るが、代替の実施形態では、細胞が癌にホーミングするか、または癌にホーミングするように改変される。使用する細胞の数は多くの状況、導入の目的、細胞の寿命、使用するプロトコル、例えば、投与回数、細胞の増殖能力、組換え構築物の安定性などに依存する。細胞は分散体として適用され得、一般的に、目的の部位またはその近くに注射されるか、または静脈内に送達され得る。細胞は、生理学的に許容される培地中にあってもよい。
【0109】
投与経路としては、例えば、静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内、局所または皮内投与が挙げられる。場合によっては、特定の投与量の細胞(例えば、総細胞数104~1011の細胞)が個体に提供される。具体的な実施形態では、1×105細胞/kg~1×109細胞/kgの用量が用いられ得る。特定の用量には、1×106細胞/mL~1×108細胞/mLが含まれる。
【0110】
ベクターの導入は、必ずしも全ての場合にインテグレーションをもたらす必要はない。状況によっては、導入されたDNAの一過性の維持で十分であり得る。このようにして、細胞が宿主に導入され、次いで、所定の時間の後、例えば、細胞が特定の部位にホーミングできた後、オンにされ得る短期間の効果を有し得る。
【0111】
この系は発現の効率、発現産物の活性、患者の特定の必要性(これは時間および環境とともに変化し得る)、細胞の損失または個々の細胞の発現活性の結果としての細胞活性の損失の速度などの変数に供され得ることが理解されるべきである。したがって、個々の患者ごとに、個々の患者に対する適切な投薬量について各患者をモニターすることが予想され、患者をモニターするそのような実施は、当該技術分野において日常的である。
【0112】
V ベクター全般
【0113】
本開示のベクターは構成的に活性なサイトカイン受容体を産生し、そして少なくともいくつかの場合において発現させるための組換え工学のために使用され得る。
【0114】
用語「ベクター」は、その中で核酸配列を、そこで細胞が複製できる該細胞への導入のために挿入することができるキャリアー核酸分子をいうのに用いられる。核酸配列は「外因性」であり得、これはベクターが導入されている細胞に対して外来性であること、または配列が細胞中の配列に相同であるが、配列が通常は見出されない宿主細胞核酸内の位置にあることを手段する。ベクターには、プラスミド、コスミド、トランスポゾン、ウイルス(バクテリオファージ、動物ウイルス、および植物ウイルス)、および人工染色体(例えば、YAC)が含まれる。標準的な組換え技術によってベクターを構築するために当業者は十分に備えられているであろう(例えば、Maniatis et al、1988およびAusubel et al、1994(両方とも参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと)。
【0115】
用語「発現ベクター」は、転写され得るRNAをコードする核酸を含む任意のタイプの遺伝子構築物を指す。いくつかの場合において、次いで、RNA分子を蛋白質、ポリペプチドまたはペプチドに翻訳する。他の場合において、これらの配列は例えば、アンチセンス分子またはリボザイムの産生において翻訳されない。発現ベクターは、特定の宿主細胞における作動可能に連結されたコード配列の転写および場合によっては翻訳に必要な核酸配列を指す、種々の「制御配列」を含み得る。転写および翻訳を支配する対照配列に加えて、ベクターおよび発現ベクターは同様に他の機能を発揮し、かつ後に記載された核酸配列を含有することができる。
【0116】
「プロモーター」は、転写の開始および速度が制御される核酸配列の領域である制御配列である。それは、核酸配列の特異的転写を開始するために、RNAポリメラーゼおよび他の転写因子などの調節タンパク質および分子が結合し得る遺伝子エレメントを含み得る。「作動可能に位置付けられる」、「作動可能に連結される」、「制御下にある」、および「転写制御下にある」という語句は、プロモーターがその配列の転写開始および/または発現を制御するために、核酸配列に関して正しい機能的位置および/または配向にあることを意味する。
【0117】
プロモーターは一般に、RNA合成の開始部位を位置決めするように機能する配列を含む。この最もよく知られた例はTATAボックスであるが、TATAボックスを欠くいくつかのプロモーター、例えば、哺乳動物末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ遺伝子のプロモーターおよびSV40後期遺伝子のプロモーターでは開始部位自体の上に重なる別個のエレメントが開始位置を固定するのに役立つ。さらなるプロモーターエレメントは転写開始の頻度を調節する。典型的にはこれらは開始部位の30~110bp上流の領域に位置するが、多くのプロモーターは開始部位の下流にも機能的エレメントを含むことが示されている。コード配列をプロモーターの「制御下に置く」ために、転写リーディングフレームの転写開始部位の5’末端を、選択されたプロモーターの「下流」(すなわち、プロモーターの3’)に位置付ける。「上流」プロモーターはDNAの転写を刺激し、コードされたRNAの発現を促進する。
【0118】
プロモーターエレメント間の間隔はしばしば柔軟であり、その結果、エレメントが互いに対して反転されるかまたは移動される場合にプロモーター機能は維持される。プロモーターに依存して、個々のエレメントは、協同的にまたは独立して機能して、転写を活性化するように機能し得ると思われる。プロモーターは、核酸配列の転写活性化に関与するシス作用性調節配列を指す「エンハンサー」と組み合わせて用いても、用いなくてもよい。
【0119】
プロモータはコードセグメントおよび/またはエクソンの上流に位置する5’-非コード配列を単離することによって得られ得るように、核酸配列と天然に結合したものであり得る。このようなプロモーターは、「内因性」と称され得る。同様に、エンハンサーは、その配列の下流または上流のいずれかに位置する、核酸配列と天然に会合したものであり得る。あるいはコード核酸セグメントを、組換えまたは異種プロモーター(これはその天然環境において核酸配列と通常結合しないプロモーターをいう)の制御下に配置することによって、特定の利点が得られであろう。組換えエンハンサーまたは異種エンハンサーはまた、その天然環境において核酸配列と通常結合していないエンハンサーも指す。このようなプロモーターまたはエンハンサーは他の遺伝子のプロモーターまたはエンハンサー、および任意の他のウイルス、または原核細胞もしくは真核細胞から単離されたプロモーターまたはエンハンサー、ならびに「天然に存在する」、すなわち、異なる転写調節領域の異なるエレメントを含有しない、および/または発現を変化させる変異を含むプロモーターまたはエンハンサーを含み得る。
【0120】
当然ながら、発現のために選択されたオルガネラ、細胞型、組織、器官、または生物におけるDNAセグメントの発現を効果的に指向するプロモーターおよび/またはエンハンサーを使用することが重要であろう。分子生物学の当業者は一般に、タンパク質発現のためのプロモーター、エンハンサー、および細胞型の組み合わせの使用を知っている(例えば、Sambrookら、1989(本明細書中で参考として援用される)を参照のこと)。用いられるプロモーターは、組換えタンパク質および/またはペプチドの大規模産生において有利であるような、導入されたDNAセグメントの高レベル発現を指向するための適切な条件下で、構成的、組織特異的、誘導性、および/または有用であり得る。プロモーターは、異種または内因性であり得る。
【0121】
組織特異的プロモーターまたはエレメントの同一性、ならびにそれらの活性を特徴付けるためのアッセイは、当業者に周知である。特定の実施形態では、低酸素特異的調節エレメントなどの環境特異的プロモーターまたはエレメントが利用される。組織特異的、系統特異的、および/または活性化特異的プロモーターを用いることができ、例としては、活性化T細胞エレメント、NFAT(系統限定活性化)、早期成長応答遺伝子(活性化)、肝臓X受容体応答エレメント(活性化)、低酸素応答エレメント(環境)などが挙げられる。
【0122】
ベクターは複数の制限酵素部位を含む核酸領域である多重クローニング部位(multiple cloning site)(MCS)を含み得、そのいずれもが、ベクターを消化するための標準的な組換え技術と組み合わせて使用され得る。「制限酵素消化」とは、核酸分子の特定の位置のみで機能する酵素による核酸分子の触媒的切断をいう。これらの制限酵素の多くは市販されている。このような酵素の使用は、当業者によって広く理解される。しばしば、ベクターは外因性配列がベクターに連結されることを可能にするために、MCS内で切断する制限酵素を使用して、線状化またはフラグメント化される。「ライゲーション」は、互いに隣接していても隣接していなくてもよい2つの核酸フラグメント間にホスホジエステル結合を形成するプロセスを指す。制限酵素およびライゲーション反応を含む技術は、組換え技術の当業者に周知である。
【0123】
スプライシング部位、終結シグナル、複製起点、および選択マーカーもまた使用され得る。
【0124】
特定の実施形態において、プラスミドベクターは、宿主細胞を形質転換するための使用が意図される。一般に、宿主細胞と適合する種由来のレプリコンおよび制御配列を含むプラスミドベクターは、これらの宿主と組み合わせて用いられる。ベクターは、通常、複製部位、および形質転換細胞において表現型選択を提供し得るマーキング配列を有する。
【0125】
さらに、宿主微生物と適合性であるレプリコンおよび制御配列を含むファージベクターは、これらの宿主に関連して形質転換ベクターとして使用され得る。例えば、λファージGEMTM11は宿主細胞(例えば、E.coli LE392)を形質転換するために使用され得る組換えファージベクターを作製する際に利用され得る。
【0126】
発現ベクターを含む細菌宿主細胞、例えば大腸菌を、任意の数の適切な培地、例えばLBで増殖させる。特定のベクターにおける組換えタンパク質の発現は当業者によって理解されるように、宿主細胞を特定のプロモーターに特異的な薬剤と接触させることによって、例えば、IPTGを培地に添加することによって、またはインキュベーションをより高い温度に切り替えることによって、誘導され得る。
【0127】
D.ウイルスベクター
ある種のウイルスが受容体を介したエンドサイトーシスを介して細胞に感染したり、細胞に侵入したりし、宿主細胞ゲノムに組み込まれ、ウイルス遺伝子を安定的かつ効率的に発現する能力により、外来核酸を細胞(例えば、哺乳動物細胞)に導入する魅力的な候補となった。本開示の構成要素は、ヘパラナーゼをコードするウイルスベクターであり得る。本開示の核酸を送達するために使用され得るウイルスベクターの非限定的な例は、以下に記載される。
【0128】
1.アデノウイルスベクター
核酸の送達のための特定の方法は、アデノウイルス発現ベクターの使用を含む。アデノウイルスベクターはゲノムDNAへの組込みについて低い能力を有することが知られているが、この特徴はこれらのベクターによって提供される遺伝子導入の高い効率によって相殺される。「アデノウイルス発現ベクター」は(a)構築物のパッケージングを支持し、そして(b)その中にクローニングされた組織または細胞特異的構築物を最終的に発現するのに十分なアデノウイルス配列を含む構築物を含むことを意味する。36kbの直鎖状二本鎖DNAウイルスであるアデノウイルスの遺伝的構成の知識は、7kbまでの外来配列によるアデノウイルスDNAの大きな断片の置換を可能にする(Grunhaus and Horwitz、1992)。
【0129】
2.AAVベクター
核酸は、アデノウイルス支援トランスフェクションを用いて細胞に導入することができる。アデノウイルス結合系を使用する細胞系において、トランスフェクション効率の増加が報告されている(Kelleher and Vos、1994; Cotten et al、1992; Curiel、1994)。アデノ随伴ウイルス(AAV)は高頻度の組込みを有し、非分裂細胞に感染し得るので、本開示の細胞において使用するための魅力的なベクター系であり、したがって、例えば、組織培養(Muzyczka、1992)またはインビボにおいて、哺乳動物細胞への遺伝子の送達に有用である。AAVは、感染性について広い宿主範囲を有する(Tratschin et al、1984;
Laughlin et al、1986; Lebkowski et al、1988; McLaughlin et al、1988)。rAAVベクターの生成および使用に関する詳細は、米国特許第5,139,941号および第4,797,368号に記載されており、各々が参照により本明細書に組み込まれる。
【0130】
3.レトロウイルスベクター
レトロウイルスはそれらの遺伝子を宿主ゲノムに組み込み、大量の外来遺伝物質を移入し、広範囲の種および細胞型に感染し、そして特殊な細胞系にパッケージングされるそれらの能力のために、送達ベクターとして有用である(Miller、1992)。
【0131】
ヘパラナーゼレトロウイルスベクターを構築するために、核酸(例えば、ヘパラナーゼの一部または全部をコードする核酸)を、特定のウイルス配列の代わりにウイルスゲノムに挿入して、複製欠損ウイルスを生成する。ビリオンを産生するために、gag、pol、およびenv遺伝子を含むが、LTRおよびパッケージング成分を含まないパッケージング細胞株を構築する(Mann et al、1983)。cDNAを含む組換えプラスミドがレトロウイルスLTRおよびパッケージング配列と共に(例えば、リン酸カルシウム沈殿によって)特別な細胞系に導入される場合、パッケージング配列は組換えプラスミドのRNA転写物がウイルス粒子にパッケージングされることを可能にし、次いで、ウイルス粒子は培養培地に分泌される(NicolasおよびRubenstein、1988; Temin、1986; Mannら、1983)。次いで、組換えレトロウイルスを含有する培地を集め、所望により、濃縮し、遺伝子導入のために用いる。レトロウイルスベクターは広く種々の細胞型に感染することができる。しかし、組込みおよび安定な発現は、宿主細胞の分裂を必要とする(Paskind et al、1975)。
【0132】
レンチウイルスは複雑なレトロウイルスであり、一般的なレトロウイルス遺伝子gag、pol、およびenvに加えて、調節機能または構造機能を有する他の遺伝子を含む。レンチウイルスベクターは当該分野で周知である(例えば、Naldiniら、1996; Zufferyら、1997; Blomerら、1997;米国特許第6,013,516号および5,994,136号を参照のこと)。レンチウイルスのいくつかの例には、ヒト免疫不全ウイルスHIV-1、HIV-2およびサル免疫不全ウイルスSIVが含まれる。レンチウイルスベクターはHIV毒性遺伝子を多重弱毒化することによって作製され、例えば、遺伝子env、vif、vpr、vpuおよびnefが欠失され、ベクターを生物学的に安全にする。
【0133】
組換えレンチウイルスベクターは、非分裂細胞に感染し得、そしてin vivoおよびex vivoの両方の遺伝子導入および核酸配列の発現のために使用され得る。例えば、パッケージング機能、すなわち、gag、polおよびenv、ならびにrevおよびtatを有する2つ以上のベクターで適切な宿主細胞がトランスフェクトされる、非分裂細胞に感染し得る組換えレンチウイルスが、米国特許第5,994,136号に記載される。参照により本明細書に組み込まれる。エンベロープタンパク質と、特定の細胞型の受容体を標的とするための抗体または特定のリガンドとの結合によって、組換えウイルスを標的とすることができる。目的の配列(調節領域を含む)を、例えば、特定の標的細胞上の受容体に対するリガンドをコードする別の遺伝子と共に、ウイルスベクターに挿入すると、今度はベクターが、標的特異的になる。
【0134】
4.その他ウイルスベクター
他のウイルスベクターが、本開示におけるワクチン構築物として使用され得る。ワクシニアウイルス(Ridgeway、1988; Baichwal and Sugden、1986; Coupar et al、1988)、シンドビスウイルス、サイトメガロウイルスおよび単純ヘルペスウイルスのようなウイルスに由来するベクターが使用され得る。それらは、種々の哺乳動物細胞に対していくつかの魅力的な特徴を提供する(Friedmann、1989; Ridgeway、1988; BaichwalおよびSugden、1986; Couparら、1988; Horwichら、1990)。
【0135】
E.ベクター送達および細胞形質転換
細胞のトランスフェクションまたは形質転換のための核酸送達のための適切な方法は、当業者に公知である。このような方法は限定されるものではないが、ex vivoトランスフェクション、注射などによるDNAの直接送達を含む。当該分野で公知の技術の適用を通して、細胞は、安定して、または一過性に形質転換され得る。
【0136】
F.Ex Vivo変換
ex vivo環境において生物から除去された真核細胞および組織をトランスフェクトする方法は、当業者に公知である。従って、細胞または組織は、本開示のヘパラナーゼまたは他の核酸を使用して、エキソビボで取り出され得、そしてトランスフェクトされ得ることが意図される。特定の局面において、移植された細胞または組織は、生物内に配置され得る。好ましい局面において、核酸は、移植された細胞において発現される。
【0137】
VI 併用療法
【0138】
本開示の特定の実施形態において、臨床的側面のための本開示の方法(例えば、構成的に活性なサイトカイン受容体を発現する免疫細胞(例えば、T細胞)のような構成的に活性なサイトカイン受容体を発現する細胞を有する個体への投与)は個体の医学的状態の処置において有効な1つ以上の他の薬剤(例えば、抗癌剤を含む過剰増殖性疾患の薬剤)と組み合わせられ得る。「抗癌」剤は例えば、癌細胞を殺傷すること、癌細胞においてアポトーシスを誘導すること、癌細胞の増殖速度を低下させること、転移の発生率または数を低下させること、腫瘍サイズを減少させること、腫瘍増殖を阻害すること、腫瘍または癌細胞への血液供給を減少させること、癌細胞または腫瘍に対する免疫応答を促進すること、癌の進行を予防または阻害すること、または癌を有する被験体の寿命を増加させることによって、被験体において癌に負の影響を及ぼすことができる。より一般的には、これらの他の組成物が細胞の増殖を殺すかまたは阻害するのに有効な組み合わせ量で提供される。このプロセスは、癌細胞を発現構築物および薬剤または複数の因子と同時に接触させることを含み得る。これは細胞を、両方の薬剤を含む単一の組成物または薬理学的処方物と接触させることによって、または同時に、細胞を2つの異なる組成物または処方物と接触させることによって達成され得、ここで、一方の組成物は発現構築物を含み、他方の組成物は第2の薬剤を含む。
【0139】
癌を有する個体が併用療法を必要とする、本開示の実施形態において、以下のうちの1つ以上が、本開示の治療細胞に加えて、個体に提供される:化学療法または他の薬物、toll様受容体(TLR)リガンドなどの病原体関連分子パターン(PAMP)、免疫療法、放射線療法、手術、ホルモン療法、およびそれらの組み合わせ。免疫療法が個体に提供される場合、免疫療法は、構成的に活性なサイトカイン受容体発現細胞の一部であってもなくてもよい。場合によっては、構成的に活性なサイトカイン受容体発現細胞が腫瘍抗原またはウイルス抗原に結合するなどの、それ自体が個体に対する治療を提供する他の受容体または分子を含む。
【0140】
化学療法剤および放射線療法剤に対する腫瘍細胞耐性は、臨床腫瘍学における主要な問題である。現在の癌研究の目標の1つは、化学療法および放射線療法を他の療法と組み合わせることによって、化学療法および放射線療法の有効性を改善する方法を見出すことである。本開示の文脈において、細胞治療は、他のアポトーシス促進剤または細胞周期調節剤に加えて、化学療法介入、放射線療法介入、または免疫療法介入と併せて同様に使用され得ることが意図される。
【0141】
本開示の方法および組成物は1つまたは複数の他の薬剤処置の前または後に、数分から数週間の範囲の間隔で存在し得る。他の薬剤および本開示の薬剤が個体に別々に適用される実施形態では一般的に、有意な期間が各送達の時間の間に満了しないことを確実にし、その結果、薬剤および本発明の治療はなお細胞に有利に組み合わされた効果を発揮し得る。このような場合、互いに約12~24時間以内、より好ましくは互いに約6~12時間以内に、両方の様式で細胞を接触させることができると考えられる。状況によっては治療のための期間を有意に延長することが望ましい場合があるが、それぞれの投与の間に数日(2、3、4、5、6または7)から数週間(1、2、3、4、5、6、7または8)が経過する。
【0142】
治療サイクルは必要であれば反復されると予測される。また、種々の標準的な治療、ならびに外科的介入が、本発明の細胞治療と組み合わせて適用され得ることが企図される。
【0143】
別の治療が本開示の細胞と共に提供され、そして一方または両方の複数回の投与が必要とされる場合、薬剤の投与は、異なる投与経路および異なる時間であり得る。
【0144】
A.化学療法
癌治療はまた、例えば、化学的および放射線ベースの治療の両方を用いる、種々の組み合わせ治療を含む。本開示の治療細胞と共に利用され得る化学療法の例としては、例えば、アシビシン;アクラルビシン;塩酸アコダゾール;アクロニン;アドゼレシン;アルデスロイキン;アルトレタミン;アンボマイシン;酢酸アメタントロン;アムサクリン;アナストロゾール;アントラマイシン;アスパラギナーゼ;アスペルリン;アザシチジン;アゼテパ;アゾトマイシン。バチマスタット;ベンゾデパ;ビカルタミド;ビサントレン塩酸塩;ビスナフィドジメシレート;ビゼレシン;硫酸ブレオマイシン;ブレキナールナトリウム;ブロピリミン;ブスルファン;カクチノマイシン;カルステロン;カラセミド;カルベティマー;カルボプラチン;カルムスチン;カルビシン塩酸塩;カルゼレシン;セデフィンゴル;セレコキシブ(COX-2阻害剤);クロラムブシル;シロレマイシン;シスプラチン;クラドリビン;クリスナトールメシレート;シクロホスファミド;シタラビン;ダカルバジン;ダクチノマイシン;塩酸ダウノルビシン;デシタビン;デクスホルマプラチン;デザグアニン;デザグアニンメシレート;ジアジコン;ドセタキセル;ドキソルビシン;塩酸ドキソルビシン;ドロロキシフェン;クエン酸ドロロキシフェン;ドロモスタノロンプロピオネート;デュアゾマイシン;エダトレキサート;エフロミチン塩酸塩;エルサミトルシン;エンロプラチン;エンプロメート;エピプロピジン;エピルビシン塩酸塩;エルブロゾール;塩酸エソルビシン;エストラヌスチン;エストラムスチンリン酸ナトリウム、エストルヌスチン。エストラムスチンリン酸ナトリウム。エタニダゾール;エトポシド;エトポシドホスフェート;エトプリン;塩酸ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フロクスリジン;フルダラビンホスフェート;フルオロウラシル;フルオロシタビン;フォスキドン;ホストリシンナトリウム;ゲムシタビン;ゲムシタビン塩酸塩;ヒドロキシウレア;イダルビシン塩酸塩;イホスファミド;イルモホシン;イプロプラチン;イリノテカン;塩酸イリノテカン;酢酸ランレオチド;レトロゾール;酢酸ロイプロリド;リアロゾール塩酸塩。ロメトレキソールナトリウム;ロムスチン;ロキソキサントロン塩酸塩;メソプロコール;メイタンシン;塩酸メクロレタミン;酢酸メゲストロール;酢酸メレンゲストロール;メルファラン;メノガリル;メルカプトプリン;メトトレキサート;メトトレキサートナトリウム;メトプリン;メチュレデパ;ミチンドマイド;ミトカルシン;ミトクロミン;ミトギリン;ミトマルシン;マイトマイシン;ミトスパー;ミトタン;ミトキサントロン塩酸塩;ミコフェノール酸;ノコダゾール;ノガラマイシン;オルマプラチン;オキシスラン;パクリタキセル;ペガスパラゲース;ペリオマイシン;ペンタムスチン;硫酸ペプロマイシン;ペルフォスファミド;ピポブロマン;ピポスルファン;ピロキサントロン塩酸塩;プリカマイシン;プロメスタン;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン。プレドニムスチン;塩酸プロカルバジン;ピューロマイシン;塩酸ピューロマイシン。ピラゾフリン;リボプリン;サフィンゴール;サフィンゴール塩酸塩;セムスティン;シムトラゼン;スパルホセートナトリウム;スパルソマイシン;スピロゲルマニウム塩酸塩;スピロムスチン;スピロプラチン;ストレプトニグリン;ストレプトゾシン;スルホフェヌル;タリソマイシン;テコガランナトリウム;タクソテレ;テガフール;塩酸テロキサントロン;テモポルフィン;テニポシド;テロキシロン;テストラクトン;チアミプリン;チオグアニン;チオテパ;チアゾフリン;チラパザミン;クエン酸トレミフェン;トレストロンアセテート;トリシリビンホスフェート;トリメトレキセート;グルクロン酸トリメトレキセート;トリプトレリン;塩酸チューブロゾール;ウラシルマスタード;ウレデパ;バプレオチド;ベルテポルフィン;硫酸ビンブラスチン;硫酸ビンクリスチン;ビンデシン;硫酸ビンデシン;硫酸ビネピジン;硫酸ビングリシネート;硫酸ビネロウシン;酒石酸ビノレルビン;硫酸ビンロシジン;硫酸ビンゾリジン;ボロゾール;ゼニプラチン;ジノスタチン;塩酸ゾルビシン;20-エピ-1,25ジヒドロキシビタミンD3;5-エチニルウラシル;アビラテロン;アクラルビシン;アシルフルベン;アデシペノール;アドゼレシン;アルデスロイキン;ALL-TKアンタゴニスト;アルトレタミン;アンバムスチン;アミドックス;アミホスチン;アミノレブリン酸;アムルビシン;アムサクリン;アナグレリド;アナストロゾール;アンドログラホリド;血管新生阻害剤;拮抗薬D;アンタゴニストG;アンタレリックス;背側背部形成タンパク質-1;抗アンドロゲン、前立腺癌;抗エストロゲン;アンチネオプラストン;アンチセンスオリゴヌクレオチド;アフィジコリングリシネート;アポトーシス遺伝子モジュレーター;アポトーシスレギュレーター;アプリン酸;ara-CDP-DL-PTBA;アルギニンデアミナーゼ;アスラクリン;アタメスタン;アトリムスチン;アキシナスタチン1;アキシナスタチン2; アキシナスタチン3; アザセトロン;アザトキシン;アザチロシン;バッカチンIII誘導体;バラノール;バチマスタット;BCR/ABL拮抗薬;ベンゾクロリン;ベンゾイルスタウロスポリン;ベータラクタム誘導体;β-アレチン;ベタクラマイシンB;ベツリン酸;bFGF阻害剤;ビカルタミド;ビサントレン;ビスアジリジニルスペルミン;ビスナフィド;ビストレンA;ビゼレシン;ブレフレート;ブロピリミンブドチタン。ブチオニンスルホキシミン。カルシポトリオール;カルホスチンC;カンプトテシン誘導体;カペシタビン;カルボキサミド-アミノ-トリアゾール;カルボキシアミドトリアゾール;CaRest M3;CARN 700;軟骨由来阻害剤;カルゼレシン;カゼインキナーゼ阻害剤(ICOS);カスタノスペルミン;セクロピンB;セトロレリックス;クロリン;クロロキノキサリンスルホンアミド;シカプロスト;シスポルフィリン;クラドリビン;クロミフェン類似体;クロトリマゾール;コリスマイシンA;コリスマイシンB;コンブレタスタチンA4;コンブレタスタチン類似体;コナゲニン;クラムベシジン816;クリスナトール;クリプトフィシン8;クリプトフィシンA誘導体;キュラシンA;シクロペンタアントラキノン類;シクロプラタム;シペマイシン;シタラビンオクホスフェート;細胞溶解因子;サイトスタチン;ダクリキシマブ;デシタビン;デヒドロジデンミンB;デスロレリン;デキサメタゾン;デキスフォスファミド;デクスラゾキサン;デクスベラパミル;ジアジクオン:ジデムニンB;ディドックス;ジエチルノルスペルミン;ジヒドロ-5-アザシチジン;ジヒドロタキソール;9-ジオキサマイシン;ジフェニルスピロムスチン;ドセタキセル;ドコサノール;ドラセトロン;ドキシフルリジン;ドキソルビシン;ドロロキシフェン;ドロナビノール;デュオカルマイシンSA;エブセレン;エコムスチン;エデルフォシン;エドレコロマブ;エフルニチン;エレメン;エミテフル;エピルビシン;エピステリド;エストラムスチン類似体;エストロゲンアゴニスト;エストロゲン拮抗薬;エタニダゾール;エトポシドホスフェート;エキセメスタン;ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フィルグラスチム;フィナステリド;フラボピリドール;フレゼラスチン;フルアステロン;フルダラビン;フルオロダウノルニシン塩酸塩;フォルフェニメックス;フォルメスタン;ホストリエシン;フォテムスチン;ガドリニウムテキサフィリン;硝酸ガリウム;ガロシタビン;ガニレリクス;ゼラチナーゼ阻害剤;ゲムシタビン;グルタチオン阻害剤;ヘプスルファム;ヘレグリン;ヘキサメチレンビスアセトアミド;ヒペリシン;イバンドロン酸;イダルビシン;イドキシフェン;イドラマントン;イルモホシン;イロマスタット;イマチニブ(例えば、GLEEVEC);イミキモド;免疫刺激ペプチド;インスリン様成長因子-1受容体阻害剤;インターフェロンアゴニスト;インターフェロン;インターロイキン;イオベングアーン;ヨードドキソルビシン;イポメアノール;4-イロプラクト;イルグラグラジン;イソベンガゾール;イソホモハリコンドリンB;イタセトロン;ジャスプラキノリド;カハラリドF;ラメラリン-Nトリアセテート;ランレオチド;レイナマイシン;レノグラスチム;レンチナン硫酸;レプトルスタチン;レトロゾール;白血病抑制因子;白血球アルファインターフェロン;ロイプロリド+エストロゲン+プロゲステロン;ロイプロレリン;レバミゾール;リアロゾール;直鎖状ポリアミン類似体;親油性二糖ペプチド;親油性白金化合物;リソクリナミド7;ロバプラチン;ロンブリシン;ロメトレキソール;ロニダミン;ロソキサントロン;ロキソリビン;ルルトテカン;ルテチウム;テキサフィリン;リゾフィリン;溶解ペプチド;マイタンシン;マンノスタチンA;マリマスタット;マソプロコール;マスピン;マトリライシン阻害剤;マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤;メノガリル;マーバロン;メテレリン;メチオニナーゼ;メトクロプラミド;MIF阻害剤;ミフェプリストン;ミルテフォシン;ミリモスチム;ミトグアゾン;ミトラクトール;マイトマイシン類似体;ミトナフィド;マイトトキシン線維芽細胞増殖因子-サポリン;ミトキサントロン;モファロテン;モルグラモスチム;エルビタックス、ヒト絨毛性ゴナドトロピン;モノホスホリルリピドA+ミオバクテリウム細胞壁sk;モピダモール;マスタード抗がん剤;マイカペルオキシドB;マイコバクテリア細胞壁抽出物;ミリアポロン;N-アセチルジナリン;N-置換ベンズアミド;ナファレリン;ナグレスティップ;ナロキソン+ペンタゾシン;ナパビン;ナフテルピン;ナルトグラスチム;ネダプラチン;ネモルビシン:ネリドロン酸;ニルタミド;ニサマイシン;一酸化窒素モジュレーター;ニトロキシド酸化防止剤;ニトルリン;オブリマーセン(GENASENSE(登録商標));O6-ベンジルグアニン;オクトレオチド;オキセノン;オリゴヌクレオチド;オナプリストン;オンダンセトロン;オンダンセトロン;オラシン;経口サイトカイン誘導剤;オルマプラチン;オサテロン;オキサリプラチン;オキサウノマイシン;パクリタキセル;パクリタキセル類似体;パクリタキセル誘導体;パラウアミン;パルミトイルリゾキシン;パミドロン酸;パナキシトリオール;パノミフェン;パラバクチン;パゼリプチン;ぺガスパルガーゼ;ペルデシン;ペントサンポリ硫酸ナトリウム;ペントスタチン;ペントロゾール;ペルフルブロン;ペルフォスファミド。ペリリルアルコール;フェナジノマイシン;酢酸フェニル;ホスファターゼ阻害剤;ピシバニル;ピロカルピン塩酸塩;ピラルビシン;ピリトレキシム;プラセチンA;プラセチンB;プラスミノーゲンアクチベーター阻害剤;白金錯体;白金化合物;白金-トリアミン錯体;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニゾン;プロピルビス-アクリドン;プロスタグランジンJ2;プロテアソーム阻害剤;プロテインAに基づく免疫調節剤;プロテインキナーゼC阻害剤;微細藻類;タンパク質チロシンホスファターゼ阻害剤;プリンヌクレオシドホスホリラーゼ阻害剤;パープリン;ピラゾロアクリジン;ピリドキシル化ヘモグロビンポリオキシエチレン結合体;raf拮抗薬;ラルチトレクセド;ラモセトロン;rasファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤;ras阻害剤;ras-GAP阻害剤;脱メチル化レテリプチン;レニウムRe186エチドロネート;リゾキシン;リボザイム;RIIレチナミド;ロヒツカイン;ロムルチド;ロキニメックス;ルビジノンB1;ルボキシル;サフィンゴール;セイントピン;SarCNU;サルコフィトールA;サルグラモスチム;Sdi1ミメティック;セムスチン;老化誘導阻害剤1;センスオリゴヌクレオチド;シグナル伝達阻害剤;シゾフラン;ソブゾキサン;ボロカプテートナトリウム;フェニル酢酸ナトリウム;ソル
ベロール;ソマトメジン結合タンパク質;ソネルミン;スパルホシン酸;スピカマイシンD;スピロムスチン;スプレノペンチン;スポンジスタチン1;スクアラミン;スチピアミド;ストロメリシン阻害剤;スルフィノシン;超活性血管作用性腸管ペプチドアンタゴニスト;スラディスタ;スラミン;スワインソニン;タリムスチン;タモキシフェンメチオジド;タウロムスチン;タザロテン;テコガランナトリウム;テガフール;テルラピリリウム;テロメラーゼ阻害剤;テモポルフィン;テニポシド:テトラクロロデカオキシド;テトラゾミン;タリブラスチン;チオコラリン;トロンボポエチン;トロンボポエチン模倣物;チマルファシン;チモポイエチン受容体アゴニスト;チモトリナン;甲状腺刺激ホルモン;スズエチルエチオプルプリン;チラパザミン;チタノセン二塩化物;トプセンチン;トレミフェン;翻訳阻害剤;トレチノイン;トリアセチルウリジン;トリシリビン;トリメトレキセート;トリプトレリン;トロピセトロン;トロステリド;チロシンキナーゼ阻害剤;チルホスチン;UBC阻害剤;ウベニメックス;泌尿生殖腺由来成長阻害因子;ウロキナーゼ受容体拮抗薬;バプレオチド;バリオリンB;ベラレゾール;ベラミン;ベルディン;ベルテポルフィン;ビノレルビン;ビンキサルチン;ビタキシン;ボロゾール;ザノテロン;ゼニプラチン;ジノスタチン;およびジノスタチンスチマラマー、または前述のいずれかの類似体もしくは誘導体の変異体が含まれる。
【0145】
B.放射線療法
DNA損傷を引き起こし、広範に使用されてきた他の因子としては、γ線、X線、および/または腫瘍細胞への放射性同位体の指向性送達として一般に知られているものが挙げられる。マイクロ波およびUV照射のようなDNA損傷因子の他の型もまた企図される。最もありそうには、これらの因子の全てはDNAに対する、DNAの前駆体に対する、DNAの複製および修復に対する、および染色体の組立および維持に対する広い範囲の損傷を行う。X線についての用量範囲は長時間の(3ないし4週間の)50~200レントゲンの一日量から、2000~6000レントゲンの単回量の範囲である。放射性同位体についての用量範囲は広く変化し、同位体の半減期、発せられる放射線の強度およびタイプ、および新生物細胞による取込に依存する。
【0146】
用語「接触」および「曝露」は細胞に適用される場合、治療薬構築物および化学療法剤または放射線治療薬剤が標的細胞に送達されるか、または標的細胞と直接並置されるプロセスを記載するために、本明細書中で使用される。細胞死滅または停滞を達成するために、両方の薬剤は、細胞を死滅させるか、または細胞が分裂するのを妨げるのに有効な組み合わせ量で細胞に送達される。
【0147】
C.免疫療法
一実施形態では、構成的に活性なサイトカイン受容体特異的発現細胞以外の免疫療法が本開示の方法および組成物とともに用いられる。このような治療は、細胞自体であってもなくてもよい。
【0148】
免疫療法は一般に、癌細胞を標的とし、破壊するための免疫エフェクター細胞および分子の使用に依存する。免疫エフェクターは例えば、腫瘍細胞の表面上のいくつかのマーカーに特異的な抗体であり得る。抗体は単独で療法のエフェクターとして働くことができるか、あるいはそれは他の細胞を動員して、細胞殺傷を現実に行うことができる。抗体は薬物またはトキシン(化学療法剤、放射性核種、リシンA鎖、コレラトキシン、100日咳トキシン等)にコンジュゲートさせ、単に標的化剤として提供することができる。別法として、エフェクターは、直接的にまたは間接的に腫瘍細胞標的と相互作用する表面分子を運ぶリンパ球であってもよい。種々のエフェクター細胞には、T細胞、細胞傷害性T細胞、NKT細胞、NK細胞、樹状細胞またはマクロファージが含まれる。
【0149】
したがって、免疫療法は、本細胞療法と併用した併用療法の一部として用いることができる。組合せ療法のための一般的アプローチは後に議論する。一般に、腫瘍細胞はターゲティングを受けやすい、すなわち、他の細胞の大部分には存在しない何らかのマーカーを有していなければならない。多くの腫瘍マーカーが存在し、これらのいずれも、本開示の文脈における標的化に適切であり得る。一般的な腫瘍マーカーには、前立腺特異抗原、尿中腫瘍関連抗原、胎児抗原、チロシナーゼ(p97)、gp68、TAG-72、HMFG、シアリルルイス抗原、MucA、MucB、PLAP、エストロゲン受容体、ラミニン受容体、erb B、p155、メラノーマ関連抗原(MAGE)、黒色腫の優先的発現抗原(PRAME)、サバイビン、CD19、CD20、CD22、k軽鎖、CD30、CD33、CD123、CD38、ROR1、ErbB2、ErbB3/4、ErbB二量体、EGFr vIII、癌胎児性抗原、EGP2、EGP40、メソテリン、TAG72、PSMA、NKG2Dリガンド、B7-H6、IL-13受容体a2、MUC1、MUC16、CA9、GD2、GD3、HMW-MAA、CD171、Lewis Y、CLL-1、G250/CAIX、HLA-AI MAGE A1、HLA-A2 NY-ESO-1、PSCA、葉酸受容体-α、CD44v6、CD44v7/8、avb6インテグリン、8H9、NCAM、VEGF受容体、5T4、胎児AchR、NKG2Dリガンド、CD44v6、二重抗原、ユニバーサル、EphA2、EphA3、HER2(ERBB2)、GD2、グリピカン-3、5T4、8H9、αvβ6インテグリン、B細胞成熟抗原(BCMA)B7-H3、B7-H6、CAIX、CA9、CD19、CD20、CD22、カッパ軽鎖、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD70、CD96、CD123、CD138、CD171、CEA、CLL-1、CSPG4、EGFR、EGFRvIII、EPCAM、ERBB3、ERBB4、FAP、FAR、FBP、胎児AchR、IL11Ra、KDR、Lambda、MCSP、NCAM、PSC1、PSMA、ROR1、Sp17、サバイビン、TAG72、TEM1、TEM8、Tn-O-グリコペプチド、VEGRR2、およびHMW-MAAが含まれる。
【0150】
別のタイプの免疫療法は、PAMPを使用する。これらは自然免疫を活性化するために腫瘍に注入され得、次いで、この自然免疫は本発明の構成的に活性なサイトカイン受容体特異的発現細胞を含む適応免疫を動員し活性化する。
【0151】
D.遺伝子
さらに別の実施形態では、二次治療は、治療用ポリヌクレオチドが本開示の臨床実施形態前、後、または同時に投与される遺伝子治療である。細胞増殖の誘導因子、細胞増殖の阻害因子、またはプログラムされた細胞死の調節因子を含む種々の発現産物が、本開示内に包含される。
【0152】
E.手術
癌を持つ個人のほぼ60%がいくつかのタイプの外科的処置を受け、これは、予防的、診断的またはステージング、治癒的および緩和的外科的処置を含む。治癒的外科手術は、本開示の治療、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、遺伝子療法、免疫療法、および/または代替療法などの他の療法と併用することができる癌治療である。
【0153】
治癒的外科的処置は切除を含み、そこでは、癌性組織の全てまたは一部が物理的に除去され、切り出され、および/または破壊される。腫瘍切除とは、腫瘍の少なくとも一部の物理的除去をいう。腫瘍切除に加えて、手術による治療には、レーザー手術、凍結手術、電気外科手術、および鏡視下手術(モース手術)が含まれる。本開示は、表在性癌、前癌、または付随する量の正常組織の除去と併せて使用され得ることがさらに企図される。
【0154】
癌性細胞、組織または腫瘍の全ての一部の切り出しに際して、キャビティーを身体中に形成することができる。治療は、当該領域のさらなる抗癌療法での灌流、直接的注射または局所的適用によって達成することができる。そのような治療は例えば、1、2、3、4、5、6、7日毎に、または1、2、3、4および5週間毎に、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12ヶ月毎に反復することができる。これらの治療は同様に投与量が変化するものとすることができる。
【0155】
VII 医薬組成物
【0156】
本開示によれば、用語「医薬組成物」は、個体に投与するための組成物に関する。本開示の特定の局面において、医薬組成物は、1つ以上の構成的に活性なサイトカイン受容体を発現する複数の免疫細胞を含む。好ましい実施形態において、医薬組成物は、非経口、経皮、管腔内、動脈内、髄腔内または静脈内投与のための組成物、または癌への直接注射のための組成物を含む。特に、前記医薬組成物は、注入または注射によって個体に投与されることが想定される。適切な組成物の投与は異なる方法によって、例えば、静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内、局所または皮内投与によって行うことができる。
【0157】
本開示の薬学的組成物は、薬学的に受容可能な担体をさらに含み得る。適切な医薬担体の例は当技術分野で周知であり、リン酸緩衝生理食塩水、水、油/水エマルジョンなどのエマルジョン、様々なタイプの湿潤剤、滅菌溶液などを含む。このような担体を含む組成物は、周知の従来の方法によって製剤化することができる。これらの医薬組成物は、適切な用量で対象に投与することができる。
【0158】
投薬レジメンは、主治医および臨床因子によって決定されるであろう。医療分野で周知のように、任意の1人の患者に対する投薬量は、患者のサイズ、体表面積、年齢、投与される特定の化合物、性別、投与の時間および経路、一般的な健康状態、ならびに同時に投与される他の薬物を含む、多くの因子に依存する。投与に好ましい投与量は、1×107/m2~1×1010/m2である。進行は、定期的な評価によってモニターすることができる。構成的に活性のあるサイトカイン受容体修飾細胞(T細胞など)を静脈内注入により投与してもよい。投与量は1×107/m2~1×1010/m2である。
【0159】
本開示の組成物は、局所的にまたは全身的に投与され得る。投与は一般に、非経口(例えば、静脈内)であり;DNAはまた、標的部位に直接(例えば、内部または外部標的部位へのバイオリスティック送達によって、または動脈中の部位へのカテーテルによって)投与され得る。好ましい実施形態において、医薬組成物は、皮下に投与され、さらにより好ましい実施形態において静脈内に投与される。非経口投与のための調製物の例は、滅菌水性または非水性溶液、懸濁液、およびエマルジョンを含む。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物油およびオレイン酸エチルのような注射可能な有機エステルである。水性担体には、水、アルコール性/水性溶液、乳液または懸濁液が含まれ、食塩水、緩衝性媒体が含まれる。非経口ビヒクルには、塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロースおよび塩化ナトリウム、乳酸リンゲルまたは不揮発性油が含まれる。静脈内ビヒクルとしては、体液および栄養補給剤、電解質補給剤(例えば、リンゲルデキストロースをベースとするもの)などが挙げられる。例えば、抗菌剤、抗酸化剤、キレート剤、および不活性ガスなどのような保存剤および他の添加剤が存在してもよい。さらに、本開示の医薬組成物は、タンパク質性担体(例えば、好ましくはヒト由来の、血清アルブミンまたは免疫グロブリンなど)を含んでもよい。本開示の医薬組成物は、構成的に活性なサイトカイン受容体構築物またはそれをコードする核酸分子もしくはベクターに加えて、医薬組成物の意図される使用に依存して、さらなる生物学的に活性な薬剤を含み得ることが想定される。
【0160】
本明細書に記載される組成物のいずれも、構成的に活性なサイトカイン受容体を発現する癌を治療するためのキットに含まれ得る。非限定的な例において、細胞治療における使用のための1つ以上の構成的に活性なサイトカイン受容体指向性免疫細胞、および/または組換え発現ベクターを保持する細胞治療における使用のための1つ以上の細胞を生成するための試薬は、キットに含まれ得る。キット構成物は、適切な容器手段で提供される。
【0161】
キットのいくつかの構成物は、水性媒体または凍結乾燥形態のいずれかで包装され得る。キットの容器手段は一般に、少なくとも1つのバイアル、試験管、フラスコ、瓶、注射器または他の容器を含み、その中に構成要素を配置し、好ましくは適切に等分することができる。キット中に2つ以上の成分がある場合、キットは一般に、第2、第3、または他の追加の容器も含み、その中に追加の成分を別々に配置することができる。しかし、成分のさまざまな組み合わせを1つのバイアル中に含めてもよい。キットはまた、典型的には、商業的販売のために成分を密閉して収容するための手段を含む。このような容器は、所望のバイアルが保持される射出成形またはブロー成形プラスチック容器を含み得る。
【0162】
キットの成分が1つおよび/または複数の液体溶液で提供される場合、液体溶液は水溶液であり、無菌水溶液が特に有用である。場合によっては、容器手段がそれ自身、注射器、ピペット、および/または他の同様の器具であってもよく、そこから製剤を身体の感染領域に適用し、動物に注射し、および/またはさらにはキットの他の成分に適用し、および/またはそれと混合してもよい。
【0163】
特定の実施形態では細胞治療に使用される細胞がキットで提供され、場合によっては細胞が本質的に、キットの唯一の構成要素である。キットは、所望の細胞を作製するための試薬および材料を含み得る。特定の実施形態において、試薬および材料は所望の配列、ヌクレオチド、適切な緩衝液または緩衝試薬、塩などを増幅するためのプライマーを含み、そしていくつかの場合において、試薬は、本明細書中に記載されるエンゲージャー分子をコードするベクターおよび/またはDNA、ならびに/またはそのための調節エレメントを含む。
【0164】
特定の実施形態では、個体から1つ以上のサンプルを抽出するのに適した1つ以上の装置がキット中に存在する。装置は、注射器、メス等であってもよい。
【0165】
特定の態様において、キットは、本開示の細胞療法、および細胞が免疫性である化学療法も含む。場合によっては、キットが細胞療法の実施形態に加えて、例えば、化学療法、ホルモン療法、および/または免疫療法などの第2の癌療法も含む。キット(複数可)は、個体についての特定の癌に合わせて調整され得、そして個体についてのそれぞれの第2の癌治療を含む。
【実施例0166】
以下の実施例は、本開示の好ましい実施形態を実証するために含まれる。以下の実施例において開示される技術は本開示の実施において良好に機能することが本発明者によって発見された技術を表し、したがって、その実施のための好ましいモードを構成すると考えられ得ることが、当業者によって理解されるべきである。しかし、当業者は、本開示に照らして、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、開示される特定の実施形態において多くの変更がなされ得、依然として同様の結果または類似の結果を得ることを理解するべきである。