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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022011987
(43)【公開日】2022-01-17
(54)【発明の名称】電子機器の温度調整構造
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20220107BHJP
【FI】
H05K7/20 Z
H05K7/20 G
H05K7/20 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020113447
(22)【出願日】2020-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006758
【氏名又は名称】株式会社ヨコオ
(74)【代理人】
【識別番号】100127306
【弁理士】
【氏名又は名称】野中 剛
(72)【発明者】
【氏名】安部 富夫
(72)【発明者】
【氏名】廣澤 岳志
【テーマコード(参考)】
5E322
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AA03
5E322AA11
5E322AB06
5E322AB11
5E322BA03
5E322BA05
5E322BB04
5E322BB08
5E322EA10
5E322EA11
5E322FA04
(57)【要約】
【課題】 車両の内部に設けられた電子機器の温度調整構造などを提供する。
【解決手段】 車両の内部に設けられた電子機器の温度調整構造は、第1領域50を備える。第1領域50は、給気口51aを介して、第1領域50とは別の領域であり第1領域50と比べて冷えた空気若しくは温かい空気を有する領域と、車両1のエアーコンディショナー1dのダクト1cと、の少なくとも一つと連通する。給気口51aに流入した空気が、第1領域50における電子機器10がある領域に流入する。
【選択図】図18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1領域を備えた、車両の内部に設けられた電子機器の温度調整構造であって、
前記第1領域は、給気口を介して、前記第1領域とは別の領域であり前記第1領域と比べて冷えた空気若しくは温かい空気を有する領域と、前記車両のエアーコンディショナーのダクトと、の少なくとも一つと連通し、
前記給気口に流入した空気が、前記第1領域における前記電子機器がある領域に流入する、温度調整構造。
【請求項2】
前記第1領域は、前記給気口を含む前段領域を有し、
前記給気口に流入した空気が、前記前段領域を介して、前記電子機器がある領域に流入する、請求項1に記載の温度調整構造。
【請求項3】
前記電子機器がある領域に空気を流入させること、前記電子機器がある領域から空気を排出させることの少なくとも一方を行うファンが、前記電子機器とは別体で設けられる、請求項1または請求項2に記載の温度調整構造。
【請求項4】
前記ファンは、前記車両のアクセサリースイッチがオン状態にされた時に動作する、請求項3に記載の温度調整構造。
【請求項5】
前記電子機器の筐体は、給気開口と排気開口を有し、
前記電子機器がある領域に流入した空気は、前記給気開口を介して前記筐体の内部に流入し、前記排気開口を介して前記筐体の外部に排出される、請求項1~請求項4のいずれかに記載の温度調整構造。
【請求項6】
前記電子機器には、基板に取り付けられた実装部品を覆う遮蔽板と、吸放熱部材が設けられ、
前記遮蔽板と前記吸放熱部材は、一体で構成される、請求項5に記載の温度調整構造。
【請求項7】
前記第1領域は、前記電子機器を収容する中央領域を有し、
前記中央領域の上流側の第1端部領域は、前記上流側から徐々に断面積が大きくなる形状を有する、請求項1~請求項6のいずれかに記載の温度調整構造。
【請求項8】
前記第1領域は、前記給気口を介して、前記別の領域と連通するものであり、
前記別の領域は、運転席を含む空間または前記車両の床下である、請求項1~請求項7のいずれかに記載の温度調整構造。
【請求項9】
前記前段領域は、前記給気口を介して、前記ダクトと連通するものであり、
前記電子機器は、前記前段領域の空気が排出される部分と対向する位置に設けられ、
前記ダクトから前記前段領域への空気の流れを制御する弁が設けられる、請求項2に記載の温度調整構造。
【請求項10】
前記給気口からの空気は、前記電子機器の下部を通るように構成され、
前記電子機器の下部であって、前記給気口からの空気が通る領域には、吸放熱部材が設けられる、請求項1~請求項9のいずれかに記載の温度調整構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器の温度調整構造などに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示す送受信部のように、車両の内部に設けられた電子機器が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-47192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、車両の内部に設けられた電子機器の温度が高くなりすぎたり、低くなりすぎたりして、温度調整が必要になる場合がある。
【0005】
したがって本発明の目的は、車両の内部に設けられた電子機器の温度調整構造などを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車両の内部に設けられた電子機器の温度調整構造は、第1領域を備える。第1領域は、給気口を介して、第1領域とは別の領域であり第1領域と比べて冷えた空気若しくは温かい空気を有する領域と、車両のエアーコンディショナーのダクトと、の少なくとも一つと連通する。給気口に流入した空気が、第1領域における電子機器がある領域に流入する。
【発明の効果】
【0007】
以上のように本発明によれば、車両の内部に設けられた電子機器の温度調整構造などを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態の第1領域を含む車両の斜視図である。
図2】第1実施形態の第1領域で電子機器がある領域のxz断面の構成図である。
図3】第1実施形態の遮蔽板と吸放熱部材が別体で構成された場合の基板と実装部品と熱伝導材料と遮蔽板と吸放熱部材のxz断面の構成図である。
図4】第1実施形態の遮蔽板と吸放熱部材が一体で構成された場合の基板と実装部品と熱伝導材料と遮蔽板と吸放熱部材のxz断面の構成図である。
図5図1の第1領域がある領域を拡大した斜視図である。
図6】第1実施形態の前段領域と中央領域と後段領域と給気開口と排気開口の断面積の比較を示す模式図である。
図7】第1実施形態の第2領域から空気を取り入れる給気口を含む車両の運転席を含む空間を内側から見た断面構成図である。
図8】第2実施形態の第1領域を含む車両の斜視図である。
図9】第3実施形態の前段領域と中央領域と後段領域の断面積の比較を示す模式図である。
図10】第3実施形態の電子機器の斜視図である。
図11】第3実施形態の第1領域で電子機器がある領域のxz断面の構成図である。
図12】第4実施形態の電子機器の斜視図である。
図13】第4実施形態の電子機器のyz断面の構成図である。
図14】第5実施形態の電子機器と、前段領域の中央領域と隣接する部分と、中央領域と、後段領域の中央領域と隣接する部分の斜視図で、中央領域の上面を省略したものである。
図15】第6実施形態の電子機器と、前段領域の中央領域と隣接する部分と、中央領域と、後段領域の中央領域と隣接する部分の斜視図で、中央領域の上面を省略したものである。
図16】第7実施形態の電子機器と、前段領域の中央領域と隣接する部分と、中央領域と、後段領域の中央領域と隣接する部分の斜視図で、中央領域の上面を省略したものである。
図17】第8実施形態の車両の運転席を含む空間を内側から見た断面構成図で、前後方向に延びる第1領域を含むものである。
図18】第9実施形態の第1領域を含む車両の斜視図である。
図19】第10実施形態の電子機器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、第1実施形態などについて、図を用いて説明する。
なお、実施形態は、以下の実施形態に限られるものではない。また、一つの実施形態に記載した内容は、原則として他の実施形態にも同様に適用される。また、各実施形態及び各変形例は、適宜組み合わせることが出来る。
【0010】
(車両1の構成)
第1実施形態の車両1は、図1図7に示すように、電子機器(アンテナ装置)10と、第1領域(冷却風導入領域)50とを備える。
【0011】
方向を説明するために、第1領域50が設けられる車両1の左右方向をx方向、x方向と垂直な前後方向をy方向、x方向とy方向に垂直な略鉛直方向をz方向として説明する。図1などにおいて、xyz軸のそれぞれの矢印が指し示す方向をそれぞれ左方向、前方向、上方向と定義する。
なお、図1図5の斜視図は、第1領域50について、実際には外側からは見えないが、発明を説明するために、中身(第1領域50)を透視し、且つ中央領域55は上面を省略して中央領域55の内部に設けられた電子機器10が見える状態を示す。第2実施形態の図8、及び第9実施形態の図18も同様である。
また、図6の斜視図は、電子機器10について、実際には外側から見えないが、発明を説明するために、中身(電子機器10)を透視した状態を示す。第3実施形態の図9も同様である。
また、図1などで、空気の流れの方向は、点線矢印で示される。
【0012】
(電子機器10)
電子機器10は、アンテナ装置などである。なお、第1実施形態では、電子機器10がアンテナ装置であるとして説明するが、他の装置であってもよい。アンテナ装置としての電子機器10は、図2に示すように、アンテナケース(筐体)11、基板13、アンテナエレメント15、実装部品17、グラウンドプレート19、吸放熱部材21、熱伝導材料23、断熱材25、蓄熱材26、ブラケット27を有する。
【0013】
(アンテナケース11)
アンテナケース11は、電子機器10の側面と上面を構成する。アンテナケース11は、電波透過性を有する合成樹脂製である。アンテナケース11は、基板13など電子機器10を構成する部材をz方向上方から覆う。アンテナケース11は、熱伝導率が高い樹脂で構成されるのが望ましい。
【0014】
アンテナケース11の前面、すなわち、アンテナケース11を構成する側面のうち、電子機器10が後述する第1領域50の中央領域55に収容された時に前段領域51と対向する面には、給気開口11aが設けられる。アンテナケース11の背面、すなわち、アンテナケース11を構成する側面のうち、電子機器10が中央領域55に収容された時に後段領域53と対向する面には、排気開口11bが設けられる。
【0015】
(基板13)
基板13には、アンテナエレメント15、実装部品17などが取り付けられる。基板13は、グラウンドプレート19に保持される。
【0016】
(アンテナエレメント15)
アンテナエレメント15は、電気信号を送信したり受信したりする。例えば、アンテナエレメント15としては、衛星放送を受信するための平面アンテナ、GPSなどの衛星からの位置情報(時間情報)を受信するための平面アンテナ、AM/FM放送の受信用の容量装荷素子及びコイルを含むアンテナ、V2X(車車間・路車間通信)用、及び通信端末用のアンテナなどが考えられる。アンテナエレメント15は、基板13に保持される。ただし、アンテナエレメント15は、グラウンドプレート19に保持されてもよいし、アンテナケース11に保持されてもよい。また、アンテナエレメント15の一部は、アンテナケース11の内壁と接してもよい。アンテナエレメント15は、銅合金、アルミ合金など、熱伝導率の高い金属で構成されるのが望ましい。
【0017】
第1実施形態では、アンテナエレメント15がアンテナケース11の内側に設けられる例を示す。しかしながら、アンテナエレメント15の一部又は全部がアンテナケース11の外側に設けられてもよい。
【0018】
(実装部品17)
実装部品17は、半導体を含み、増幅回路、同調回路など、アンテナエレメント15で送受信する電気信号についての信号処理を行う回路である。実装部品17は、基板13の表面(上面)若しくは裏面(下面)に取り付けられる。
【0019】
(グラウンドプレート19)
グラウンドプレート19は、例えばアンテナベースとして機能する金属板である。基板13、及び実装部品17は、熱伝導材料23を介して、グラウンドプレート19と接続される。グラウンドプレート19は、基板13の下方で、基板13と離れて配置される。
【0020】
(吸放熱部材21)
吸放熱部材21は、放熱用のフィンを含むヒートシンクなどで構成され、基板13の発熱する領域、実装部品17の発熱する領域などに取り付けられる。吸放熱部材21は、電子機器10を構成する部材の熱、特に、基板13の発熱する領域、実装部品17の発熱する領域などの熱を放射するために使用される。アンテナの送受信性能に影響を及ぼさないようにするため、吸放熱部材21は、基板13の上面よりも下面に設けられるのが望ましい。基板13若しくは実装部品17の吸放熱部材21が直接的または間接的に取り付けられる部分の面積よりも、対応する吸放熱部材21の外気に触れる部分の表面積が大きくなるように、各吸放熱部材21の寸法及び形状が決定される。吸放熱部材21は、フィンのように凹凸形状を有するものに限らず、板状のものであってもよい。吸放熱部材21は、金属に限るものではなく、樹脂などで構成されてもよい。
【0021】
(熱伝導材料23)
熱伝導材料(TIM:Thermal Interface Material)23は、シリコンシート、サーマルグリス熱伝導シート、相変化材料(PCM:Phase Change Material)、ゲル(熱伝導性ギャップフィラー)、高熱伝導接着剤、サーマルテープ(熱伝導性の両面テープ)などで構成される。熱伝導材料は、基板13とグラウンドプレート19の間、実装部品17とグラウンドプレート19の間などに設けられる。熱伝導材料23は、接触した部材(基板13、実装部品17など)の熱を、蓄積したり、グラウンドプレート19などの他の部材に伝達したりする。熱伝導材料23は、基板13及び実装部品17の発熱部位と、グラウンドプレート19との熱交換に用いられる。基板13と吸放熱部材21の間、及び実装部品17と吸放熱部材21の間にも、熱伝導材料23が設けられてもよい。
【0022】
(遮蔽板24)
実装部品17の周囲には、実装部品17が発したノイズがアンテナエレメント15など他の部品に影響を及ぼすのを防止するための遮蔽板24が設けられても良い(図3参照)。この場合、実装部品17と遮蔽板24の間には、熱伝導材料23が設けられる。遮蔽板24に吸放熱部材21が取り付けられる場合には、遮蔽板24と吸放熱部材21が別体で構成されてもよいが、図4に示すように、遮蔽板24と吸放熱部材21が一体で構成されてもよい。この場合、吸放熱部材21と遮蔽板24の構成を簡素化出来、且つ、熱伝達効率を高めることができる。
【0023】
(断熱材25)
断熱材25は、アンテナケース11の上面の上に設けられる。断熱材25は、日光など外部からの熱が電子機器10の内部に伝わりにくくするために設けられる。
【0024】
(蓄熱材26)
蓄熱材26は、パラフィンなど相変化蓄熱材で構成され、電子機器10の内部の温度の上昇を鈍らせるために使用される。蓄熱材26は、カプセルなど密閉された容器の中に入れた状態で、基板13の上などに配置される。
【0025】
(ブラケット27)
ブラケット27は、金属部材で構成され、第1領域50の中央領域55の上に配置される。ブラケット27の上面にグラウンドプレート19の下面が接するように、電子機器10がブラケット27の上に取り付けられる。第1実施形態では、ブラケット27が、第1領域50の下面に取り付けられる例を示すが、他の面(例えば、上面)に吊り下げられてもよい。
【0026】
(第1領域50)
図5に示すように、第1領域50は、車両1の内部に設けられ、内部に電子機器10を収容する。第1領域50は、第1領域50とは別の領域(第2領域70など)から、空気を取り込み、取り込んだ空気を使って、電子機器10を冷却する。すなわち、第1領域50は、電子機器10の温度調整構造を構成する。
【0027】
電子機器10、及び第1領域50の電子機器10を収容する領域(中央領域55)は、車両1のルーフ1aとルーフライニング1bの間の領域に設けられる。しかしながら、電子機器10、及び中央領域55は、ルーフ1aとルーフライニング1bの間に設けられる形態に限らない。例えば、電子機器10、及び中央領域55は、車両1の第2領域70とは異なる他の領域に設けられても良い。
【0028】
第1領域50は、前段領域51、後段領域53、中央領域55、ファン57を有する。中央領域55は、前段領域51と後段領域53の間に設けられる。前段領域51と中央領域55と後段領域53は、x方向に並べられる。
【0029】
(前段領域51)
前段領域51は、管状部材で構成される。前段領域51の一方の端部は、給気口51aとして開口する。前段領域51は、給気口51aを介して、後述する第2領域70と連通する。前段領域51は、前段領域51の他方の端部を介して、中央領域55の一方の端部を含む第1端部領域55a、すなわち、前段領域51の他方の端部と接する領域と連通する。
【0030】
(後段領域53)
後段領域53は、管状部材で構成される。後段領域53の一方の端部は、中央領域55の他方の端部を含む第2端部領域55b、すなわち、後段領域53の一方の端部と接する領域と連通する。後段領域53の他方の端部は、排気口53aとして開口する。後段領域53は、排気口53aを介して、トランクルームなど運転席、助手席や後部座席を含む空間(以下、「運転席を含む空間」という。)とは異なる領域と連通する。
【0031】
(中央領域55)
中央領域55は、電子機器10を収容する領域である。中央領域55のyz断面は、前段領域51及び後段領域53のyz断面よりも大きい。中央領域55の底面、側面などには、電子機器10と車両1の内部の他の装置と電気的な接続を行うケーブル若しくはコネクタが通る孔(不図示)が設けられる。
【0032】
(ファン57)
ファン57は、給気口51aから第2領域70の空気を取り込み、排気口53aから第1領域50の空気を排出する。ファン57は、前段領域51、中央領域55、後段領域53の少なくとも1つに設けられる。例えば、ファン57は、給気用として前段領域51に1つ、排気用として後段領域53に1つ設けられる。ただし、ファン57は、給気用兼排気用として、前段領域51か後段領域53に1つ設けられても良い。第1実施形態では、ファン57が前段領域51に1つ設けられる例を示す(図5参照)。
【0033】
ファン57は、車両1のアクセサリースイッチがオン状態になってから第1時間T1(例えば、T1=5分)の間、オン状態にされる。ただし、ファン57のオンオフ制御は、これに限るものではない。例えば、電子機器10の温度状態と湿度状態の少なくとも一方に基づいて、ファン57のオンオフ制御が行われてもよい。具体的には、電子機器10の温度情報と湿度情報の少なくとも一方を検知し、電子機器10の温度Tが温度閾値Tth(例えば、Tth=60℃)を超える条件、電子機器10の湿度Hが湿度閾値Hth(例えば、Hth=50%)を超える条件の少なくとも一方の条件を満たす場合、ファン57がオン状態にされる。ファン57のオンオフ制御は、車両1のECU(Electronic Control Unit、不図示)などによって行われる。
【0034】
(各断面の断面積)
前段領域51から中央領域55を通って後段領域53に空気が流れやすくするため、第1領域50の各部のyz断面(流路断面)の断面積が、以下の関係が成りたつように、各部の寸法が決定される(図6参照)。前段領域51のyz断面の断面積A1は、給気開口11a及び排気開口11bの開口面積A4よりも小さい(A1<A4)。中央領域55のyz断面の断面積と電子機器10のyz断面の断面積の差A2は、給気開口11a及び排気開口11bの開口面積A4よりも小さい(A2<A4)。前段領域51のyz断面の断面積A1は、後段領域53のyz断面の断面積A3と同じか当該断面積A3よりも小さい(A1≦A3)。差A2より開口面積A4を大きくすることで、前段領域51からの空気が電子機器10の外周を通って後段領域53に流れることを抑制して、当該空気が吸気開口11aから電子機器10内に流入し、その後に後段領域53に流れるようにすることができる。
なお、図6で示す吸気開口11aと排気開口11bは、図2で示す吸気開口11aと排気開口11bの形状と異なる。しかしながら、図6は、吸気開口11a及び排気開口11bの開口面積A4と前段領域51の断面積A1と後段領域53の断面積A3と断面積の差A2との大きさの関係を模式的に示したものである。すなわち、図2で示す吸気開口11aと排気開口11bの形状を含め吸気開口11aと排気開口11bの形状は、上記した大きさの関係をもっていれば、いずれの形状にしてもよい。
【0035】
(第2領域70)
第2領域70は、車両1の第1領域50とは別の領域で、例えば、車両1のルーフライニング1bの下の領域、すなわち運転席を含む空間である。すなわち、第1実施形態では、第2領域70が、第1領域50とは別の領域で第1領域50よりも冷えた空気を有する領域に相当する。この場合、運転席を含む空間の側部の上方で、ルーフライニング1bの近くに、給気口51aが設けられる(図7参照)。
【0036】
(電子機器10の冷却手順)
次に、電子機器10の冷却手順について説明する。予め、電子機器10は第1領域50に設置され、第1領域50は車両1に設置されている。車両1のエンジンをオン状態にするなど、車両1のアクセサリースイッチがオン状態にされると、第1時間T1の間、ファン57が動作する。電子機器10は、車両1のアクセサリースイッチがオン状態にされる間、オン状態にされてもよいし、電子機器10の一部または全部が、アクセサリースイッチがオン状態にされているか否かに関わらずオン状態にされてもよい。
【0037】
ファン57が動作することにより、給気口51aを介して、第2領域70の空気が第1領域50の前段領域51に流入する。前段領域51に流入した空気は、中央領域55に流入する。中央領域55に流入した空気は、給気開口11aを介して、電子機器10の内部に流入する。電子機器10の内部に流入した空気は、基板13など電子機器10の内部の部材と熱交換して、当該部材を冷却し、排気開口11bから排出される。排気開口11bから排出された熱交換後の空気は、後段領域53を通って、排気口53aを介して、トランクルームなど車両1の内部であって運転席を含む空間とは異なる領域若しくは後述する第3領域80に排出される。
【0038】
(温度調整構造を設けたことの効果)
第2領域70などから、給気口51aを介して第1領域50の前段領域51に空気が取り込まれ、取り込まれた空気が、電子機器10の温度調整に使用される。これにより、電子機器10が配置された領域とは別の外部からの空気を使って温度調整を行わない形態に比べて、電子機器10の温度調整がしやすくなる。また、電子機器10がある領域に空気を送り込み続けることにより、電子機器10に空気が流れ続ける。このため、電子機器10の部材が乾燥した状態を維持しやすい。
【0039】
なお、本実施形態における「温度調整」とは、電子機器10の性能に影響を及ぼす温度にならないように調整することを意味している。例えば、ある環境下において所定の温度以上、または所定の温度以下になると電子機器10の性能に影響を及ぼすことが実験等で得られている場合には、本実施形態における「温度調整」は、当該所定の温度以上、または当該所定の温度以下にならないように調整することを意味する。
【0040】
(電子機器10と別体でファン57を設けたことの効果)
ファン57を用いることにより、第1領域50の圧力状態に関わらず、電子機器10がある領域に空気を流入させたり、電子機器10がある領域から熱交換後の空気を排出させたりすることが可能になる。
【0041】
(アクセサリースイッチがオン状態にされた時にファン57を動作させることの効果)
車両1のアクセサリースイッチをオン状態にする直前は、車両1が走行していないなど、電子機器10の温度が高い状態になっている可能性がある。このため、車両1のアクセサリースイッチがオン状態にされた時に、ファン57を動作させると、他の時間帯にファン57を動作させる形態に比べて、効果的に電子機器10の温度調整がしやすくなる。
【0042】
(電子機器10の筐体に通気孔を設けることの効果)
電子機器10の筐体に通気孔(給気開口11a、排気開口11b)を設けることにより、電子機器10の内部に前段領域51からの空気を取り入れることが可能になる。このため、電子機器10の外部に前段領域51からの空気を当てて温度調整する形態に比べて、電子機器10の内部の部材の温度調整がしやすくなる。
【0043】
(運転席を含む空間からの空気を送り込むことの効果)
第2領域70は、第1領域50よりも低い位置にあり、第1領域50と異なる温度状態になっている可能性がある。例えば、気温が高くなる炎天下では、ルーフ1aの直下(第1領域50)よりも、運転室を含む空間(第2領域70)の方が低い温度状態になっている可能性が高い。このため、第2領域70から流入した空気により、電子機器10の温度調整が可能になる。
【0044】
(空気の流入箇所の応用例)
第1実施形態では、車両1の内部の運転席を含む空間(第2領域70)から、前段領域51を介して、電子機器10がある領域に空気を流入させる例を説明した。しかしながら、第2領域70は、運転席を含む空間に限るものではなく、トランクルームなど、車両1であって、第1領域50及び運転席を含む空間とは別の空間であってもよい。
【0045】
また、第1領域50とは別の領域で第1領域50と比べて冷えた空気を有する領域が、運転席を含む空間など車両1の内部の領域(第2領域70)であり、第1領域50の前段領域51は、第2領域70と連通する例を説明した。しかしながら、第1領域50とは別の領域で第1領域50と比べて冷えた空気を有する領域が、車両1の外部の領域であってもよい。すなわち、第1領域50の前段領域51は、給気口51aを介して、車両1の外部であって第1領域50よりも低い位置にある第3領域80と連通してもよい(第2実施形態、図8参照)。この場合、前段領域51は、車両1のセンターピラーなどを通って、車両1の床下に延びる。また、後段領域53は、車両1のリアピラーなどを通って、車両1の床下に延びる。第1領域50の後段領域53は、排気口53aを介して、第3領域80と連通する。
【0046】
第2実施形態では、ファン57が動作することにより、給気口51aを介して、第3領域80の空気が第1領域50の前段領域51に流入する。前段領域51に流入した空気は、中央領域55に流入する。中央領域55に流入した空気は、給気開口11aを介して、電子機器10の内部に流入する。電子機器10の内部に流入した空気は、基板13など電子機器10の内部の部材と熱交換して、当該部材を冷却し、排気開口11bから排出される。排気開口11bから排出された熱交換後の空気は、後段領域53を通って、排気口53aを介して、トランクルームなど車両1の内部であって運転席を含む空間とは異なる領域若しくは第3領域80に排出される。
【0047】
(床下から空気を送り込むことの効果)
第3領域80は、第1領域50よりも低い位置にあり、第1領域50と異なる温度状態になっている可能性がある。例えば、気温が高くなる炎天下では、ルーフ1aの直下(第1領域50)よりも、車両の床下(第3領域80)の方が低い温度状態にある可能性が高い。このため、第3領域80から流入した空気により、電子機器10の温度調整が可能になる。
【0048】
(電子機器10の上方などから温度調整)
また、第1実施形態では、前段領域51を介して外部から取り込んだ空気が、電子機器10の内部を通って電子機器10を冷却する例を説明した。しかしながら、前段領域51を介して外部から取り込んだ空気が、電子機器10の外部を通って電子機器10を冷却してもよい(第3実施形態、図9図11参照)。
【0049】
第3実施形態の電子機器10のアンテナケース11は、給気開口11a及び排気開口11bを有さない。また、第3実施形態の電子機器10のアンテナケース11の上面には、断熱材25に代えて、放熱フィン29が設けられる。
【0050】
(各断面の断面積)
前段領域51から中央領域55を通って後段領域53に空気が流れやすくするため、第1領域50の各部のyz断面(流路断面)の断面積が、以下の関係が成りたつように、各部の寸法が決定される(図9参照)。前段領域51のyz断面の断面積A1は、中央領域55のyz断面の断面積と電子機器10のyz断面の断面積の差A2よりも小さい(A1<A2)。前段領域51のyz断面の断面積A1は、後段領域53のyz断面の断面積A3と同じか当該断面積A3よりも小さい(A1≦A3)。
【0051】
放熱フィン29は、前段領域51を介して外部から取り込んだ空気が流れやすくなるように、空気が流れる方向(x方向)に平行に延びる溝を有する(図10参照)。放熱フィン29は、アンテナケース11の上面と接する。放熱フィン29は、アンテナケース11の内部の部材から伝達された熱を放射する。放熱フィン29の溝は、直線状のものに限らず、放熱面積を大きくするために曲線状であったり、クロスパターンなど斜線状であったりしてもよい。
【0052】
また、放熱フィン29は、上面だけでなく側面に設けられても良い。また、第1実施形態のように上面に断熱材25が設けられる場合には、側面にだけ放熱フィン29が設けられても良い。
【0053】
第3実施形態では、グラウンドプレート19の実装部品17とz方向で対向する領域には、z方向上方に突出する隆起部19aが設けられる(図11参照)。実装部品17は、熱伝導材料23を介して、隆起部19aと接続する。
【0054】
第3実施形態では、ファン57が動作することにより、給気口51aを介して、第2領域70若しくは第3領域80の空気が第1領域50の前段領域51に流入する。前段領域51に流入した空気は、中央領域55に流入する。中央領域55に流入した空気は、中央領域55と電子機器10の間の空間に流入する。具体的には、中央領域55の上面の内壁と電子機器10の上面の間の空間、中央領域55の側面の内壁と電子機器10の側面の間の空間に、空気が流れ込む。中央領域55と電子機器10の間の空間に流入した空気は、放熱フィン29と熱交換して、放熱フィン29を冷却する。熱交換後の空気は、後段領域53を通って、排気口53aを介して、トランクルームなど車両1の内部であって運転席を含む空間とは異なる領域若しくは第3領域80に排出される。
【0055】
(電子機器10の上面などから温度調整することの効果)
電子機器10の周囲(上面、側面)に、前段領域51を介して外部から取り込んだ空気を流すことで、電子機器10を冷却することが可能になる。第3実施形態では、アンテナケース11に給気開口11a及び排気開口11bが設けられないため、電子機器10の内部に埃などの不純物が侵入するのを防止しながら、外部から取り込んだ空気を使って、電子機器10の温度調整を行うことが可能になる。電子機器10の内部で発熱する部材(実装部品17)は、隆起部19aと接続する。このため、当該発熱部材の熱は、熱伝導材料23、隆起部19aを含むグラウンドプレート19に伝達される。このため、グラウンドプレート19は、放熱板として機能させることが可能になる。
【0056】
(電子機器10の下部から温度調整)
第3実施形態では、前段領域51を介して外部から取り込んだ空気が、電子機器10の上方などを通って電子機器10を冷却する例を説明した。しかしながら、前段領域51を介して外部から取り込んだ空気が、電子機器10の下方を通って電子機器10を冷却してもよい(第4実施形態、図12図13参照)。
【0057】
第4実施形態では、電子機器10の下方を空気が通過出来るように、アンテナケース11の第1端部領域55aと対向する面と第2端部領域55bと対向する面の下部に切り欠き11cが設けられる(図12参照)。切り欠き11cとブラケット27の間に、空気が流れ込む開口が形成される。すなわち、前段領域51からの空気は、電子機器10の下部を通るように構成される。
【0058】
また、グラウンドプレート19は、グラウンドプレート19の下方を空気が通過出来るように、基板13に近づけた状態で構成される(図13参照)。具体的には、グラウンドプレート19のy方向両端は、アンテナケース11の下端と接続される。グラウンドプレート19のy方向両端以外の領域は、基板13と接するように、上方に盛り上がった形状を有する。ただし、グラウンドプレート19のy方向両端以外の領域であって、基板13の下側に実装部品17が設けられた領域は、z方向下方に隆起した隆起部19aが形成される。隆起部19aの上面は、熱伝導材料23を介して、実装部品17と接続される。隆起部19aの下面には、吸放熱部材21が設けられる。基板13とアンテナケース11の内壁との間の空間で、空気の対流が起きやすくなるように、基板13は、低い位置に設けられ、実装部品17は基板13の下側に設けられるのが望ましい。
【0059】
第4実施形態では、ファン57が動作することにより、給気口51aを介して、第2領域70若しくは第3領域80の空気が第1領域50の前段領域51に流入する。前段領域51に流入した空気は、中央領域55に流入する。中央領域55に流入した空気は、電子機器10の第1端部領域55aと対向する側の切り欠き11cとブラケット27の間の空間に流入する。電子機器10の切り欠き11cとブラケット27の間の空間に流入した空気は、グラウンドプレート19、及びグラウンドプレート19の隆起部19aの下面に取り付けられた吸放熱部材21と熱交換して、吸放熱部材21などを冷却し、電子機器10の第2端部領域55bと対向する側の切り欠き11cから排出される。電子機器10の第2端部領域55bと対向する側の切り欠き11cから排出された熱交換後の空気は、後段領域53を通って、排気口53aを介して、トランクルームなど車両1の内部であって運転席を含む空間とは異なる領域若しくは第3領域80に排出される。
【0060】
(電子機器10の下面などから温度調整することの効果)
電子機器10の周囲(下面)に、前段領域51を介して外部から取り込んだ空気を流すことで、電子機器10を冷却することが可能になる。第4実施形態では、アンテナケース11に給気開口11a及び排気開口11bが設けられないため、電子機器10の内部に埃などの不純物が侵入するのを防止しながら、外部から取り込んだ空気を使って、電子機器10の温度調整を行うことが可能になる。電子機器10の内部で発熱する部材(実装部品17)は、隆起部19aと接続する。このため、当該発熱部材の熱は、熱伝導材料23、隆起部19aを含むグラウンドプレート19を介して、吸放熱部材21に伝達される。吸放熱部材21は、グラウンドプレート19の下で、空気の流路上にある。このため、グラウンドプレート19及び吸放熱部材21に別の領域からの空気を当てることにより、電子機器10の内部の部材の温度調整を行うことが可能になる。
【0061】
(第1端部領域55aなどの形状の応用例)
第3実施形態などでは、前段領域51が略円柱形状を有し、中央領域55が略直方体形状を有し、前段領域51と中央領域55の上流側の境界(第1端部領域55a)で、流路断面(yz断面)が急激に広がる例を説明した。また、第1実施形態などでは、中央領域55が略直方体形状を有し、後段領域53が略円柱形状を有し、中央領域55の下流側と後段領域53の境界(第2端部領域55b)で、流路断面(yz断面)が急激に狭まる例を説明した。しかしながら、第1端部領域55aを含む領域には、前段領域51がある側から徐々に断面積が大きくなる傾斜形状部分(第1傾斜形状部分56a)が設けられてもよい(第5実施形態、図14参照)。また、第2端部領域55bを含む領域には、後段領域53がある側から徐々に断面積が大きくなる傾斜形状部分(第2傾斜形状部分56b)が設けられてもよい。
【0062】
(中央領域55の端部を傾斜形状にすることの効果)
第1端部領域55aを含む領域、第2端部領域55bを含む領域に傾斜形状部分が設けられることにより、前段領域51から中央領域55を通って後段領域53に至る流路で淀みが発生しにくい状態にできる。
【0063】
(電子機器10の筐体形状の応用例)
第3実施形態などでは、電子機器10の筐体(アンテナケース11)の外形が略直方体形状である例を説明した。しかしながら、電子機器10の筐体の外形は、略直方体形状に限るものではない。例えば、電子機器10の筐体の外形は、第1端部領域55aと対向する側で、端部から徐々にz方向の寸法が大きくなり、第2端部領域55bと対向する側で端部に向けて徐々にz方向の寸法が小さくなる傾斜形状を有してもよい。具体的には、当該傾斜形状を有する電子機器10の筐体の外形として、上部が錐台形状を有するもの(第6実施形態、図15参照)、楕円体形状を有するもの(第7実施形態、図16参照)などが考えられる。
【0064】
(電子機器10の筐体の外形に傾斜を設けることの効果)
電子機器10の筐体の外形に傾斜形状を設けることにより、前段領域51から中央領域55を通って後段領域53に至る流路で淀みが発生しにくい状態にできる。
【0065】
(第1領域50が前後方向に延びる応用例、第1領域50の構成について応用例)
第1実施形態などでは、前段領域51と中央領域55と後段領域53が左右方向(x方向)に並べられた例を説明した。また、第1実施形態などでは、車両1の特定の領域(ルーフ1aパネルとルーフライニング1bの間の領域)に、これらの部材と別体で構成された第1領域50が設けられる例を説明した。しかしながら、前段領域51と中央領域55と後段領域53が他の方向に並べられてもよい(第8実施形態、図17参照)。また、第1領域50は、車両1の特定の領域と一体的に構成されてもよい。図17は、前段領域51と中央領域55と後段領域53が、前後方向(y方向)に並べられ、ルーフ1aパネルとルーフライニング1bの間の領域の全体が、第1領域50を構成する例を示す。
【0066】
(エアーコンディショナー1dなどから空気を受ける応用例)
第1実施形態では、車両1の内部で第1領域50とは別の領域(第2領域70)からの空気を、前段領域51を介して、電子機器10がある領域に流入させる例を説明した。第2実施形態では、車両1の外部で第1領域50よりも低い領域(第3領域80)からの空気を、前段領域51を介して、電子機器10がある領域に流入させる例を説明した。また、第1実施形態などでは、第1領域50が、前段領域51と後段領域53と中央領域55を含む例を説明した。しかしながら、車両1のエアーコンディショナー1dの冷気が流れるダクト1cからの空気を、前段領域51を介して、電子機器10がある領域に流入させてもよい(第9実施形態、図18参照)。また、第1領域50が、後段領域53と中央領域55を省略し、前段領域51だけを有してもよい。また、前段領域51を省略し、給気口51aからの空気が、直接電子機器10がある領域に流入されてもよい。
【0067】
第9実施形態では、車両1の後部に設けられたエアーコンディショナー1d(不図示)からリアピラー、ルーフ1aとルーフライニング1bの間の空間を通って、ルーフライニング1bの下の運転席を含む空間に延びるダクト1cに前段領域51が連通する例を示す。しかしながら、車両1の前部(例えば、エンジンルーム)に設けられたエアーコンディショナー1d(不図示)からフロントピラー、ルーフ1aとルーフライニング1bの間の空間を通って、ルーフライニング1bの下の運転席を含む空間に延びるダクト1cに前段領域51が連通してもよい。
【0068】
第9実施形態では、前段領域51は、給気口51aを介して、ダクト1cと連通する。前段領域51には、ダクト1cからの空気の流れを制御する弁51bが設けられるのが望ましい。前段領域51にダクト1cからの空気が流れるようにする場合、弁51bが開状態にされる。前段領域51にダクト1cからの空気が流れないようにする場合、弁51bが閉状態にされる。弁51bの開閉制御は、車両1のECU(Electronic Control Unit、不図示)などによって行われる。図18では、弁51bが、前段領域51の電子機器10に近い領域に設けられる例を示すが、給気口51aの近傍に設けられてもよい。
【0069】
電子機器10は、前段領域51の他方の端部(前段領域51の空気が排出される部分)と対向する位置、すなわち、前段領域51を通ったエアーコンディショナー1dなどからの冷気が吹き付けられる位置に、配置される。電子機器10は、第1領域50を介さずに、ルーフライニング1bなどの車両1に取り付けられる。
【0070】
車両1のエンジンをオン状態にするなど、車両1のアクセサリースイッチがオン状態にされると、第1時間T1の間、前段領域51にエアーコンディショナー1dなどからの空気が通るように、弁51bが開状態にされる。弁51bが開状態にされているので、給気口51aを介して、エアーコンディショナー1dなどからの空気が第1領域50の前段領域51に流入する。前段領域51に流入した空気は、前段領域51の他方の端部から、電子機器10に吹き付けられる。
【0071】
(エアーコンディショナー1dなどのダクト1cと連通することの効果)
エアーコンディショナー1dからの空気を第1領域50の前段領域51に流入させて、早期に電子機器10の温度を調整することが可能になる。エアーコンディショナー1dなどからの空気の流れを活用するため、ファン57を設けずに、第1領域50の前段領域51に空気を流入させることが可能になる。
【0072】
なお、後段領域53と中央領域55を省略し、前段領域51から空気を電子機器10に吹き付ける構成は、第1実施形態(第2領域70からの空気取り込み)、第2実施形態(第3領域80からの空気取り込み)に応用してもよい。
【0073】
(放熱フィン39の形状の応用例)
第2実施形態では、電子機器10が空気の流れに沿うように溝を設けた放熱フィン29を含む例を説明した。しかしながら、放熱フィン29の溝の方向はこれに限るものではない。例えば、放熱フィン29は、空気が流れる方向(x方向)に垂直(y方向、z方向)に延びる溝を有する(第10実施形態、図19参照)。
【0074】
(電子機器10の温度調整の応用例)
第1実施形態などでは、給気口51aに流入した、冷たい空気が、前段領域51を介して、電子機器10がある領域に向けて流入し、これによって、電子機器10が冷やされる例を説明した。電子機器10が冷やされることにより、電子機器10の内部の半導体などの部材が高温になることなどを防ぎ、電子機器10の性能が低下する可能性を低くすることが出来る。
【0075】
しかしながら、給気口51aに流入した、温かい空気が、前段領域51を介して、電子機器10がある領域に流入し、これによって、電子機器10が温められてもよい。
【0076】
電子機器10を温める形態を第1実施形態に適用した場合、第2領域70が、第1領域50とは別の領域で第1領域50と比べて温かい空気を有する領域に相当する。第2領域70から、温かい空気が、前段領域51を介して、第1領域50の電子機器10がある領域に流入する。また、電子機器10を温める形態を第2実施形態に適用した場合、第3領域80が、第1領域50とは別の領域で第1領域50と比べて温かい空気を有する領域に相当する。第3領域80から、温かい空気が、前段領域51を介して、第1領域50の電子機器10がある領域に流入する。また、電子機器10を温める形態を第9実施形態に適用した場合、エアーコンディショナー1dは、温かい空気をダクト1cに流す。ダクト1cに流れる当該温かい空気の一部又は全部が、前段領域51を介して、第1領域50の電子機器10がある領域に流入する。また、温かい空気を電子機器10がある領域に流入させる場合、吸放熱部材21は、吸熱のために、すなわち、温かい空気の熱を電子機器10の部材に伝達するために使用される。
【0077】
電子機器10が温められることにより、寒い環境下での外部との温度差から電子機器10の内部に発生する結露などを防ぎ、電子機器10の性能が低下する可能性を低くすることが出来る。
【0078】
また、本実施形態では前段領域51を介して電子機器10内部に空気を流入させることについて説明したが、前段領域51を省略して、第2領域70などの空気を直接電子機器10の吸気開口11aに流入させるようにしてもよい。これにより、温度調整に必要となる効果的な空気を電子機器10の内部に流入させることができる。
【0079】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態及びその変形は、発明の範囲及び要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0080】
本明細書によれば、以下の態様が提供される。
(態様1)
車両の内部に設けられた電子機器の温度調整構造は、第1領域を備える。第1領域は、給気口を介して、第1領域とは別の領域であり第1領域50と比べて冷えた空気若しくは温かい空気を有する領域と、車両のエアーコンディショナーのダクトと、の少なくとも一つと連通する。給気口に流入した空気が、第1領域における電子機器がある領域に流入する。
【0081】
態様1によれば、第2領域などから、第1領域に空気が取り込まれ、取り込まれた空気が、電子機器10の温度調整に使用される。これにより、外部からの空気を使って温度調整を行わない形態に比べて、電子機器の温度調整がしやすくなる。また、電子機器がある領域に空気を送り込み続けることにより、電子機器に空気が流れ続ける。このため、電子機器の部材が乾燥した状態を維持しやすい。
【0082】
(態様2)
第1領域は、給気口を含む前段領域を有する。給気口に流入した空気が、前段領域を介して、電子機器がある領域に流入する。
【0083】
(態様3)
好ましくは、電子機器がある領域に空気を流入させること、電子機器がある領域から空気を排出させることの少なくとも一方を行うファンが、電子機器とは別体で設けられる。
【0084】
態様3によれば、ファンを用いることにより、第1領域の圧力状態に関わらず、電子機器がある領域に空気を流入させることが可能になる。
【0085】
(態様4)
さらに好ましくは、ファンは、車両のアクセサリースイッチがオン状態にされた時に動作する。
【0086】
態様4によれば、車両のアクセサリースイッチをオン状態にする直前は、車両が走行していないなど、電子機器の温度が高い状態若しくは低い状態になっている可能性がある。このため、車両のアクセサリースイッチがオン状態にされた時に、ファンを動作させると、他の時間帯にファンを動作させる形態に比べて、効果的に電子機器の温度を調整することが可能になる。
【0087】
(態様5)
また、好ましくは、電子機器の筐体は、給気開口と排気開口を有する。電子機器がある領域に流入した空気は、給気開口を介して筐体の内部に流入し、排気開口を介して筐体の外部に排出される。
【0088】
態様5によれば、電子機器の筐体に通気孔(給気開口、排気開口)を設けることにより、電子機器の内部に空気を取り入れることが可能になる。このため、電子機器の外部に空気を当てて温度調整する形態に比べて、電子機器の内部の部材の温度調整がしやすくなる。
【0089】
(態様6)
さらに好ましくは、電子機器には、基板に取り付けられた実装部品を覆う遮蔽板と、吸放熱部材が設けられる。遮蔽板と吸放熱部材は、一体で構成される。
【0090】
態様6によれば、吸放熱部材と遮蔽板の構成を簡素化出来、且つ、熱伝達効率を高めることができる。
【0091】
(態様7)
また、好ましくは、第1領域は、電子機器を収容する中央領域を有する。中央領域の上流側の第1端部領域は、上流側から徐々に断面積が大きくなる形状を有する。
【0092】
態様7によれば、第1端部領域を含む領域に傾斜形状部分が設けられることにより、流路で淀みが発生しにくい状態にできる。
【0093】
(態様8)
また、好ましくは、第1領域は、給気口を介して、当該別の領域と連通する。当該別の領域は、運転席を含む空間または車両の床下である。
【0094】
態様8によれば、当該別の領域は、第1領域よりも低い位置にあり、第1領域と異なる温度状態になっている可能性がある。このため、第2領域から流入した空気により、電子機器の温度調整が可能になる。
【0095】
(態様9)
また、好ましくは、前段領域は、給気口を介して、ダクトと連通する。電子機器は、前段領域の空気が排出される部分と対向する位置に設けられる。ダクトから前段領域への空気の流れを制御する弁が設けられる。
【0096】
態様9によれば、エアーコンディショナーからの冷たい空気若しくは温かい空気を第1領域に流入させて、早期に電子機器の温度を調整することが可能になる。
【0097】
(態様10)
また、好ましくは、給気口からの空気は、電子機器の下部を通るように構成される。電子機器の下部であって、給気口からの空気が通る領域には、吸放熱部材が設けられる。
【0098】
態様10によれば、電子機器の周囲(下面)に、外部から取り込んだ空気を流すことで、電子機器の温度を調整することが可能になる。電子機器の内部に埃などの不純物が侵入するのを防止しながら、外部から取り込んだ空気を使って、電子機器の温度調整を行うことが可能になる。吸放熱部材を冷やす若しくは温めることにより、電子機器の内部の部材の温度調整を行うことが可能になる。
【符号の説明】
【0099】
1 車両、1a ルーフ、1b ルーフライニング、1c エアーコンディショナーの冷気又は暖気が流れるダクト、1d エアーコンディショナー、10 電子機器(アンテナ装置)、11 アンテナケース(筐体)、11a 給気開口、11b 排気開口、11c 切り欠き、13 基板、15 アンテナエレメント、17 実装部品、19 グラウンドプレート、19a 隆起部、21 吸放熱部材、23 熱伝導材料、24 遮蔽板、25 断熱材、26 蓄熱材、27 ブラケット、29 放熱フィン、50 第1領域(冷却風導入領域)、51 前段領域、51a 給気口、51b 弁、53 後段領域、53a 排気口、55 中央領域、55a 第1端部領域、55b 第2端部領域、56a 第1傾斜形状部分、56b 第2傾斜形状部分、57 ファン、70 第2領域(運転席を含む空間)、80 第3領域(床下領域)、A1 前段領域のyz断面(流路断面)の断面積、A2 中央領域のyz断面(流路断面)の断面積と電子機器10のyz断面の断面積の差、A3 後段領域のyz断面(流路断面)の断面積、A4 吸気開口及び排気開口の開口面積、H 電子機器の湿度、Hth 湿度閾値、T 電子機器の温度、T1 第1時間(ファンを動作させる時間)、Tth 温度閾値
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19