(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022119918
(43)【公開日】2022-08-17
(54)【発明の名称】ガラスパネル及びガラスパネルにおける吸引孔の規定方法
(51)【国際特許分類】
C03C 27/06 20060101AFI20220809BHJP
E06B 3/677 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
C03C27/06 101D
E06B3/677
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087754
(22)【出願日】2022-05-30
(62)【分割の表示】P 2019552803の分割
【原出願日】2018-11-06
(31)【優先権主張番号】P 2017217840
(32)【優先日】2017-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004008
【氏名又は名称】日本板硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】稲岡 大介
(72)【発明者】
【氏名】田口 雅文
(72)【発明者】
【氏名】藤野 一也
(72)【発明者】
【氏名】皆合 哲男
(57)【要約】
【課題】一方のガラス板の大気側表面で吸引孔の周りに形成されている吸引孔封止用金属材料のはみ出し部における封止状態が長く維持されるガラスパネルを提供する。
【解決手段】一対のガラス板1A,1Bの内の一方のガラス板1Aは、そのガラス板1Aにおいて表裏に貫通して一対のガラス板1A,1B間の間隙部V内の空気を吸引する吸引孔4と、吸引孔4を介して間隙部Vが減圧された状態で吸引孔4及びその吸引孔4の周りにまで至って覆うことにより吸引孔4を封止する吸引孔封止用金属材料とを有する。一方のガラス板1Aの大気側表面で吸引孔4の周りに形成されている吸引孔封止用金属材料のはみ出し部において、一方のガラス板1Aの大気側表面との接触部に、他方のガラス板1B側から見た時に光が乱反射して白く光る白曇り部が面積比にして10%以下に設定してある。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する一対のガラス板と、
前記一対のガラス板間にスペーサーを配置して形成される間隙部と、
前記一対のガラス板の周縁部をその全周に亘って接合して前記間隙部を気密に封止する周辺封止用金属材料とを備え、前記一対のガラス板の内の一方のガラス板は、そのガラス板において表裏に貫通して前記間隙部内の空気を吸引する吸引孔と、前記吸引孔を介して前記間隙部が減圧された状態で前記吸引孔及びその吸引孔の周りにまで至って覆うことにより前記吸引孔を封止する吸引孔封止用金属材料とを有するガラスパネルであって、
前記一方のガラス板の大気側表面で前記吸引孔の周りに形成されている前記吸引孔封止用金属材料のはみ出し部において、前記一方のガラス板の大気側表面との接触部に、他方のガラス板側から見た時に光が乱反射して白く光る白曇り部を面積比にして10%以下に設定してあるガラスパネル。
【請求項2】
前記白曇り部は、前記吸引孔封止用金属材料の酸化物である請求項1に記載のガラスパネル。
【請求項3】
前記吸引孔封止用金属材料の主成分は、Snが72~99.9%に対し、Zn、Al、Si及びTiの内のいずれかの成分を含有し、鉛の含有量が重量%で0.1%未満である請求項1または2に記載のガラスパネル。
【請求項4】
前記白曇り部の面積比における割合の下限値は、0.1%である請求項1から3のいずれか一項に記載のガラスパネル。
【請求項5】
請求項1記載の対向する一対のガラス板と、
前記一対のガラス板間にスペーサーを配置して形成される間隙部と、
前記一対のガラス板の周縁部をその全周に亘って接合して前記間隙部を気密に封止する周辺封止用金属材料と、
前記一対のガラス板の内の一方のガラス板は、そのガラス板において表裏に貫通して前記間隙部内の空気を吸引する吸引孔とを備え、
前記吸引孔を介して前記間隙部が減圧された状態で前記吸引孔及びその吸引孔の周りにまで至って吸引孔封止用金属材料で覆うことにより前記吸引孔を封止するガラスパネルにおいて、
前記吸引孔に前記吸引孔封止用金属材料を直接供給して前記吸引孔の周りに前記吸引孔封止用金属材料のはみ出し部が形成される場合に、
前記一方のガラス板の大気側表面で前記吸引孔の周りに形成されている前記吸引孔封止用金属材料のはみ出し部において、前記一方のガラス板の大気側表面との接触部に、他方のガラス板側から見た時に光が乱反射して白く光る白曇り部が面積比にして10%以下であるものを、前記吸引孔の封止部における前記吸引孔封止用金属材料と前記ガラス板との密着性、耐酸性及び耐アルカリ性が良好と判定するガラスパネルにおける吸引孔の規定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対向する一対のガラス板と、前記一対のガラス板間にスペーサーを配置して形成される間隙部と、前記一対のガラス板の周縁部をその全周に亘って接合して前記間隙部を気密に封止する周辺封止用金属材料とを備え、前記一対のガラス板の内の一方のガラス板は、そのガラス板において表裏に貫通して前記間隙部内の空気を吸引する吸引孔と、前記吸引孔を介して前記間隙部が減圧された状態で前記吸引孔及びその吸引孔の周りにまで至って覆うことにより前記吸引孔を封止する吸引孔封止用金属材料とを有するガラスパネル及びガラスパネルにおける吸引孔の規定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、吸引孔封止用金属材料による前記吸引孔の封止部の状態を、規定してあるガラスパネルはなかった(該当する公知文献が見当たらない)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した従来のガラスパネルにおいて、吸引孔封止用金属材料による前記吸引孔の封止部は、前記一方のガラス板の大気側表面で前記吸引孔の周りに形成されている吸引孔封止用金属材料のはみ出し部において、前記一方のガラス板の大気側表面との接触部の密着性が十分であれば、間隙部における減圧状態が長く維持されるが、不十分であれば、ガラス板に対して、風圧や、ふき取り掃除の際の圧力等の外力が作用したり、日射によるガラス板の表裏間の温度差や、室内外の温度差等で発生する反り現象によって、ガラス板に対する吸引孔封止用金属材料のはみ出し部の接触部が剥がされ、間隙部に対するリークが発生してその減圧度が低下する虞があるという問題が生じる。
【0004】
従って、本発明の目的は、上記問題点を解消し、一方のガラス板の大気側表面で吸引孔の周りに形成されている吸引孔封止用金属材料のはみ出し部における封止状態が長く維持されるガラスパネルを提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の特徴構成は、対向する一対のガラス板と、前記一対のガラス板間にスペーサーを配置して形成される間隙部と、前記一対のガラス板の周縁部をその全周に亘って接合して前記間隙部を気密に封止する周辺封止用金属材料とを備え、前記一対のガラス板の内の一方のガラス板は、そのガラス板において表裏に貫通させて前記間隙部内の空気を吸引する吸引孔と、前記吸引孔を介して前記間隙部が減圧された状態で前記吸引孔及びその吸引孔の周りにまで至って覆うことにより前記吸引孔を封止する吸引孔封止用金属材料とを有するガラスパネルであって、前記一方のガラス板の大気側表面で前記吸引孔の周りに形成されている前記吸引孔封止用金属材料のはみ出し部において、前記一方のガラス板の大気側表面との接触部に、他方のガラス板側から見た時に光が乱反射して白く光る白曇り部が面積比にして50%以下である。
【0006】
本発明の第1の特徴構成によれば、前記吸引孔封止用金属材料のはみ出し部における白曇り率が50%より大きくなれば、ガラス板に対して、風圧や、ふき取り掃除の際の圧力等の外力が作用したり、日射によるガラス板の表裏間の温度差や、室内外の温度差等で発生する反り現象が起こった場合、ガラス板に対する吸引孔封止用金属材料のはみ出し部の接触部が剥がされ、間隙部に対するリークが発生し、間隙部の減圧度を維持することが出来なくなる。これに対し、吸引孔封止用金属材料のはみ出し部において、前記一方のガラス板の大気側表面との接触部に、他方のガラス板側から見た時に光が乱反射して白く光る白曇り部が面積比にして50%以下に設定してあれば、前述の外力や反り現象が作用しても、ガラス板に対する吸引孔封止用金属材料のはみ出し部の接触部が剥がされることがなく、間隙部の減圧度が維持できる。
【0007】
本発明の第2の特徴構成は、前記白曇り部の割合を更に30%以下に設定し、且つ、前記白曇り部が、前記吸引孔封止用金属材料のはみ出し部の外周縁部から前記吸引孔の外周縁部に至る連設部を形成していないところにある。
【0008】
例えば、
図20に示す概念図のように、前記白曇り部18が前記吸引孔封止用金属材料のはみ出し部の外周縁部から前記吸引孔の外周縁部に至る連設部を形成していると、前述の外力や反り現象に対する耐久性が悪くなる傾向がある。これに対し、本発明の第2の特徴構成によれば、前記白曇り部の割合を更に30%以下に設定し、且つ、前記白曇り部が、前記吸引孔封止用金属材料のはみ出し部の外周縁部から前記吸引孔の外周縁部に至る連設部を形成していなければ、前述の外力や反り現象に対する耐久性を有するのみならず、耐酸性を確保できる。
【0009】
本発明の第3の特徴構成は、対向する一対のガラス板と、前記一対のガラス板間にスペーサーを配置して形成される間隙部と、前記一対のガラス板の周縁部をその全周に亘って接合して前記間隙部を気密に封止する周辺封止用金属材料とを備え、前記一対のガラス板の内の一方のガラス板は、そのガラス板において表裏に貫通して前記間隙部内の空気を吸引する吸引孔と、前記吸引孔を介して前記間隙部が減圧された状態で前記吸引孔及びその吸引孔の周りにまで至って覆うことにより前記吸引孔を封止する吸引孔封止用金属材料とを有するガラスパネルであって、前記一方のガラス板の大気側表面で前記吸引孔の周りに形成されている前記吸引孔封止用金属材料のはみ出し部において、前記一方のガラス板の大気側表面との接触部に、他方のガラス板側から見た時に光が乱反射して白く光る白曇り部を面積比にして10%以下である。
【0010】
本発明の第3の特徴構成によれば、前述の外力や反り現象に対する耐久性を有するのは
言うまでもなく、耐酸性のみならず、耐アルカリ性も期待できる。
【0011】
つまり、建物の窓ガラスに使用された場合に、その窓ガラスに対する窓拭きなどで、アルカリ性洗剤が使われることが多く、その場合でも、白曇り部の割合が、10%以下であれば、白曇り部がアルカリによりたとえ侵されても、接触部が剥がされることなく間隙部のリークは防止できる。
【0012】
本発明の第4の特徴構成は、前記白曇り部は、前記吸引孔封止用金属材料の酸化物である。
【0013】
本発明の第5の特徴構成は、前記吸引孔封止用金属材料の主成分は、Snが72~99.9%に対し、Zn、Al、Si及びTiの内のいずれかの成分を含有し、鉛の含有量が重量%で0.1%未満である。
【0014】
本発明の第5の特徴構成によれば、含有するZn、Al、Si及びTiの内のいずれかの成分と、ガラス板表面の酸素とが結合して接合強度を向上させることが出来る。
【0015】
本発明の第6の特徴構成は、前記白曇り部の面積比における割合の下限値は、0.1%である。
【0016】
本発明のガラスパネルにおける吸引孔の規定方法の特徴構成は、対向する一対のガラス板と、前記一対のガラス板間にスペーサーを配置して形成される間隙部と、前記一対のガラス板の周縁部をその全周に亘って接合して前記間隙部を気密に封止する周辺封止用金属材料と、前記一対のガラス板の内の一方のガラス板は、そのガラス板において表裏に貫通して前記間隙部内の空気を吸引する吸引孔とを備え、前記吸引孔を介して前記間隙部が減圧された状態で前記吸引孔及びその吸引孔の周りにまで至って吸引孔封止用金属材料で覆うことにより前記吸引孔を封止するガラスパネルにおいて、前記吸引孔に前記吸引孔封止用金属材料を直接供給して前記吸引孔の周りに前記吸引孔封止用金属材料のはみ出し部が形成される場合に、前記一方のガラス板の大気側表面で前記吸引孔の周りに形成されている前記吸引孔封止用金属材料のはみ出し部において、前記一方のガラス板の大気側表面との接触部に、他方のガラス板側から見た時に光が乱反射して白く光る白曇り部が面積比にして10%以下であるものを、前記吸引孔の封止部における前記吸引孔封止用金属材料と前記ガラス板との密着性、耐酸性及び耐アルカリ性が良好と判定する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図3】ガラスパネルの製造方法を示すフローチャートである。
【
図4】周辺封止ステップを示す要部縦断面図である。
【
図9C】繰り返し曲げ試験の概略図であって、ガラスパネルと加圧ブロックによる加圧部の位置を示す平面図である。
【
図10】ガラスパネルに対する光の屈折及び反射を示す縦断説明図である。
【
図11A】吸引孔封止用金属材料のはみ出し部の拡大写真で、(a)は白曇り率が10%以下の状態を示す。
【
図11B】吸引孔封止用金属材料のはみ出し部の拡大写真で、白曇り率が50%より多い場合を示す。
【
図12】吸引孔封止装置の縦断面図で、先鋭部材により封止用金属材料を突き刺す前の状態である。
【
図13】吸引孔封止装置の縦断面図で、先鋭部材により封止用金属材料を突き刺す時の状態である。
【
図14】吸引孔封止装置の縦断面図で、先鋭部材により封止用金属材料を突き刺す時の状態である。
【
図15】吸引孔封止装置の縦断面図で、先鋭部材により封止用金属材料を突き刺した後の状態である。
【
図17A】別実施形態の要部縦断面図で、先鋭部材が封止用金属材料を突き刺す前の状態を示す。
【
図17B】別実施形態の要部縦断面図で、先鋭部材が封止用金属材料を突き刺した時の状態を示す。
【
図18A】別実施形態の要部縦断面図で、先鋭部材が封止用金属材料を突き刺した時の状態を示す。
【
図18B】別実施形態の要部縦断面図で、先鋭部材が封止用金属材料を突き刺した後の状態を示す。
【
図19A】従来例の吸引孔封止装置の要部縦断作用説明図で、封止用金属材料を押しつぶす前の状態を示す。
【
図19B】従来例の吸引孔封止装置の要部縦断作用説明図で、封止用金属材料を押しつぶす途中の状態を示す。
【
図19C】従来例の吸引孔封止装置の要部縦断作用説明図で、封止用金属材料を押しつぶした状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1において、ガラスパネルPは、対向する一対のガラス板1A,1Bと、一対のガラス板1A,1B間に、マトリックス状に一定のスペーサーピッチPdで複数の柱状のスペーサー2を介在させることにより形成される間隙部Vと、間隙部Vの周縁部V1をシールする周辺封止用金属材料3と、一対のガラス板1A,1Bの内の一方のガラス板1Aを貫通する吸引孔4とを有する。吸引孔4は、その吸引孔4の周りにまで至って覆う吸引孔封止用金属材料15で封止されてある。
【0019】
ガラスパネルPにおいて、2枚のガラス板1A,1Bは透明なフロートガラスであり、間隙部Vが1.33Pa(1.0×10-2Torr)以下に減圧されている。これは、間隙部Vは、その内部の空気が吸引孔4を介して排出されることによって減圧され、間隙部Vの減圧状態を維持するために周辺封止用金属材料3及び吸引孔封止用金属材料15によって封止されている。
【0020】
スペーサー2は円柱状であり、その直径が0.3~1.0mm程度、高さが30μm~1.0mm程度である。このスペーサー2は、ガラス板1A,1Bに作用する大気圧に起因する圧縮応力を負荷されても坐屈しない材料、例えば、圧縮強度が4.9×108Pa(5×103kgf/cm2)以上の材料、好ましくは、ステンレス鋼(SUS304)等により形成されている。
【0021】
図3は、
図1のガラスパネルPの製造方法を示すフローチャートである。
まず、フロートガラスから成る所定の厚さの2枚のガラス素板(不図示)を所定の寸法、例えば、1200mm×900mmに夫々切断し、同一形状且つ同一サイズであるガラス板1A,1Bを準備し(ステップS31)、ガラス板1Aに、その四隅のうちいずれか1つの近傍において吸引孔4をドリル等によって穿設する(ステップS32)(穿設ステップ)。
【0022】
次に、クリーンルームやケミカルクリーンルーム等の空気の汚染状態を化学的又は物理的に制御可能な空間内において、純水ブラシ洗浄、液体洗浄法、光洗浄の少なくとも1つの方法を用いて一対のガラス板1A,1Bを洗浄する(ステップS33)(洗浄ステップ)。この液体洗浄法では、純水、脱イオン水などが用いられる。また、洗浄液は、例えば、アルカリ洗剤又はオゾン水を含有する。また、該洗浄液には、研磨材が含有されていてもよい。研磨材としては、例えば酸化セリウムを主成分とする微粒子が用いられる。
【0023】
そして、吸引孔4が穿設されていない洗浄されたガラス板1Bに、複数のスペーサー2をマトリックス状に一定のスペーサーピッチPdで配置し、洗浄されたガラス板1Aを重ね合わせることで、一対のガラス板1A,1Bのペアリングを行う(ステップS34)。
【0024】
さらに、ペアリングされた一対のガラス板1A,1Bをほぼ水平に保ち、溶解温度が250℃以下である周辺封止用金属材料3を用いて、一対のガラス板1A,1Bの周縁部V1を封止する(ステップS35)(周辺封止)。
【0025】
図4は、
図3のステップS35における周辺封止を説明するのに用いられる図である。
図4において、金属導入装置5は、高部6aと、高部6aより低い低部6bとを有して段差状に形成された定盤6を有し、高部6aにおいて一対のガラス板1A,1Bを保持すると共に、低部6bにおいて一対のガラス板1A,1Bにハンダを供給する供給塔7を保持する。段差状定盤6の低部6bには、上記一対のガラス板1A,1Bに沿って2本のレール部材12が配され、上記供給塔7はレール部材12上を走行する移動機構13の上に載置されている。
【0026】
供給塔7は、液相又は固相のハンダを貯留する横断面長方形の坩堝部9と、坩堝部9の側壁部に内蔵されると共に坩堝部9内に貯留されたハンダを加熱する電熱ヒーター10と、坩堝部9の底部に連通すると共に一対のガラス板1A,1Bの周縁部V1の外側に向かって開口する断面長尺状の導入路11と、導入路11の中位に水平に配された導入板8とを備える。導入板8は、導入路11から延伸して一対のガラス板1A,1Bの周縁部V1に嵌入しており、これにより、ハンダは、その表面張力と相俟って間隙部Vに侵入する。
加えて、坩堝部9内で液位ΔHにあるハンダの重力が導入板8の部位においてハンダに印加され、これにより、一対のガラス板1A,1Bの周縁部V1へのハンダの侵入を促進する。
【0027】
また、
図5に示すように、導入板8は、その移動方向で上下に複数回波打つ状態の屈曲部8Aが間隔を空けて2箇所に形成された形状の物でも良い(蛇腹形状)。
つまり、屈曲部8Aを有する導入板8の移動によって、バネ作用を有する屈曲部8Aが、ガラス板の表面を軽く擦りつけるようになり、ハンダのガラス面への付着性をより向上させて、間隙部Vの気密性が確実化される効果を発揮できるようになる。
【0028】
また、導入板8は、バネ作用を有する弓状の形状や、屈曲部を有さない平板状であっても良い。ただし、上述の理由により、屈曲部8Aを有する導入板8の方が有利である。
【0029】
一方、移動機構13は、一対のガラス板1A,1Bの周縁部V1に沿ってレール部材12上を一定速度で移動するので、一対のガラス板1A,1Bの開先部分14から導入板8を間隙部Vに挿入すると、周辺封止用金属材料3が導入板8を介して一対のガラス板1A,1Bの周縁部V1全体に亘って侵入する。これにより、一対のガラス板1A,1B間に形成された間隙部Vの周縁部V1を、周辺封止用金属材料3によって気密に封止される。
【0030】
図6に示すように、開先部分14とは、ガラスパネルPの角部に設けてあり、導入板8を間隙部Vに挿入する際に、容易に実施できるよう、一対のガラス板1A,1Bの間隙部V側の角部を面取りしてある箇所である。
【0031】
続くステップS36において、吸引孔4の近傍において排気カップで吸引孔4を覆うようにガラス板1Aの大気側の主面に取付け、この排気カップに接続された不図示のロータリーポンプやターボ分子ポンプによる吸引により、間隙部Vの圧力を1.33Pa以下にまで減圧するべく間隙部Vの気体分子を外部へ排出する真空引きを行う(ステップS36)。
【0032】
ただし、本ステップで用いるポンプは上述のロータリーポンプやターボ分子ポンプに限られず、排気カップに接続でき、吸引可能なものであればよい。
【0033】
次いで、吸引孔4を覆い被さるように吸引孔封止用金属材料15を滴下させて、吸引孔4の近傍のガラス表面と吸引孔封止用金属材料15を接着させて封止する(ステップS37)。
これにより、一対のガラス板1A,1B間に形成された間隙部Vが密閉される。
【0034】
尚、上述した各工程のうち、一対のガラス板1A,1Bの主面を洗浄して(ステップS33)から吸引孔4の近傍のガラス表面と吸引孔封止用金属材料15を接着させて封止する(ステップS37)までの各工程は、夫々、空気の汚染状態を化学的又は物理的に制御可能な空間内で実施される。
【0035】
本実施の形態では、液体洗浄法を用いて一対のガラス板1A,1Bを洗浄するが、これに限るものではなく、純水ブラシ洗浄法、超音波洗浄法、アルカリ水洗浄法、加熱洗浄法、真空(凍結)洗浄法、UV洗浄法、オゾン洗浄法、及びプラズマ洗浄法の少なくとも1つを用いて一対のガラス板1A,1Bを洗浄してもよい。これにより、一対のガラス板1A,1Bの主面から分解又は飛散し得る気体分子の発生を抑制することができ、もってガラスパネルPの初期性能を長時間に亘って発揮することができる。
【0036】
本実施の形態では、周辺封止用金属材料3として、溶解温度が250℃以下であるハンダ、例えば91.2Sn-8.8Zn(共晶点温度:198℃)の組成を有するハンダにTiを加えたハンダを用いて一対のガラス板1A,1Bの周縁部V1を封止する。しかし、周辺封止用金属材料3(ハンダ)は、これに限るものではなく、Sn、Cu、In、Bi、Zn、Pb、Sb、Ga、及びAgから成る群から選択された少なくとも1つの材料を含む金属材料であって溶解温度が250℃以下となる封着材を用いて一対のガラス板1A,1Bの周縁部V1を封止してもよい。
【0037】
また、上記周辺封止用金属材料3は、Tiに代わって、又は、Tiに加えて、Al、Cr、及びSiから成る群から選択された少なくとも1つの材料を含んでいてもよい。これにより、周辺封止用金属材料3と一対のガラス板1A,1Bのガラス成分との接着性を向上させることができる。
【0038】
本実施の形態では、吸引孔封止用金属材料15として、溶解温度が250℃以下であるハンダ、例えば91.2Sn-8.8Zn(共晶点温度:198℃)の組成を有するハンダにTiを加えたハンダを用いて吸引孔4を封止する。しかし、吸引孔封止用金属材料15(ハンダ)は、これに限るものではなく、Sn、Cu、In、Bi、Zn、Pb、Sb、Ga、及びAgから成る群から選択された少なくとも1つの材料を含む金属材料であって溶解温度が250℃以下となる封着材を用いて吸引孔4を封止してもよい。
尚、Snを選択した場合、90%以上あればよく、また、Cuを添加したSnの場合、Cuの量は、0.1%以下にする必要がある。
【0039】
また、上記吸引孔封止用金属材料15は、Tiに代わって、又は、Tiに加えて、Al、Cr、及びSiから成る群から選択された少なくとも1つの材料を含んでいてもよい。
さらに、吸引孔封止用金属材料15は、周辺封止用金属材料3と異なる成分のハンダを用いても良い。
尚、吸引孔封止用金属材料15または周辺封止用金属材料3にTi(チタン)を含有させることにより、ガラスの密着性が向上する。
【0040】
本実施の形態では、間隙部Vの圧力を1.33Pa以下にまで減圧するが、これに限るものではなく、ほぼ真空になるまで間隙部Vの圧力を減圧してもよい。これにより、ガラスパネルPの断熱性能を更に高めることができる。
【0041】
本実施の形態では、一対のガラス板厚みTgの下限は、0.3mm以上である。また、好ましくは、0.5mm以上である。さらに好ましくは、1mm以上である。一対のガラス板厚みTgが薄ければガラス自体の蓄熱量が小さくなるので、周辺封止の際に、単位時間あたりの空気中への放熱量が上昇し、周辺封止用金属材料3が冷却されやすい。従って、溶融した周辺封止用金属材料3の固化を促進させることが可能となる。ただし、ガラス板は薄くなるとガラス板の剛性が低下するため、同じ大きさの外力によるガラス板の変形量が大きくなる。従って、ガラスパネルPにおいて、吸引孔4の間隙部側表面付近に発生する引張応力が大きくなる。
【0042】
一対のガラス板厚みTgの上限は、15mm以下である。好ましくは、12mm以下である。さらに好ましくは、10mm以下である。厚いガラス板を用いるとガラス板の剛性は増加するため、同じ大きさの外力によるガラス板の変形量が小さくなる。従って、ガラスパネルPにおいて、吸引孔4の間隙部側表面付近に発生する引張応力が小さくなるため、長期耐久性が向上する。一方で、ガラス板厚みTgが厚くなると、吸引孔封止の際に、吸引孔封止用金属材料15の吸引孔4への流入量が減少する。そのため、間隙部側の吸引孔封止用金属材料15のはみ出しが小さくなり、吸引孔4の間隙部側表面付近に発生する引張応力を緩和させることが困難となる。
【0043】
一対のガラス板1A,1Bは、フロートガラスであるが、これに限るものではない。一対のガラス板1A,1Bには、上記のような用途に応じて、例えば、型板ガラス、表面処理により光拡散機能を備えたすりガラス、網入りガラス、線入ガラス板、強化ガラス、倍強化ガラス、低反射ガラス、高透過ガラス板、セラミックガラス板、熱線や紫外線吸収機能を備えた特殊ガラス、又は、これらの組み合わせ等、種々のガラスを適宜選択して使用することができる。
さらに、一対のガラス板1A,1Bの組成についても、ソーダ珪酸ガラス、ソーダ石灰ガラス、ホウ珪酸ガラス、アルミノ珪酸ガラス、各種結晶化ガラス等を使用することができる。
【0044】
本実施の形態では、開先部分14はガラス板1A,1Bの間隙部V側の角部を平面状に面取りしているが、これに限られるものではなく、曲面状に面取りをする等、導入板8を容易に挿入可能とする形態であれば、適宜選択してガラス板1A,1Bに設ける事ができる。
【0045】
本実施の形態では、スペーサーピッチPdは、5~100mmであり、好ましくは、5~80mm、さらに好ましくは、5~60mmである。
【0046】
また、スペーサー2はステンレス鋼により形成されているが、これに限るものではない。スペーサー2は、例えば、インコネル、鉄、アルミニウム、タングステン、ニッケル、クロム、チタン等の金属、炭素鋼、クロム鋼、ニッケル鋼、ニッケルクロム鋼、マンガン鋼、クロムマンガン鋼、クロムモリブデン鋼、珪素鋼、真鍮、ハンダ、ジュラルミン等の合金、又は、セラミックやガラス等、高剛性を有するもので形成されてもよい。また、スペーサー2も、円柱状に限らず、角形状や球状等の各種形状であってもよい。
【0047】
本実施の形態では、間隙部高Vhは30μm~1mmである。ただし、スペーサー2の高さと略同一である。
【0048】
尚、間隙部Vには、間隙部V内の気体分子を吸着するべく蒸発型ゲッターを用いたり、加熱されて活性化することにより気体分子を吸着して除去する非蒸発型ゲッターを用いたりしてもよく、また、非蒸発型ゲッターと蒸発型ゲッターとを併用してもよい。また、間隙部Vにおいて、ゲッター材(吸着剤)及び吸着剤収容孔は2ヶ所以上でもよい。
【0049】
本実施の形態では、周辺封止用金属材料3は、金属導入装置5を用いて形成されたが、これに限定されるものではない。周辺封止用金属材料3は、陽極接合法、超音波接合法、多段接合法、レーザー接合法及び圧着接合法のいずれか一つの接合方法を用いて形成されてもよい。これにより、周辺封止用金属材料3の一対のガラス板1A,1Bへの付着性を向上させることができる。
【0050】
また、ガラスパネルPの平面に対する厚み方向視における周辺封止用金属材料3の幅Rwは1mm以上10mm以下である。幅Rwが1mmより小さいと、ガラスパネルPの間隙部Vの封止を保持することが困難となる。また、10mmを超えると、周辺金属封止材料3を通じて発生する熱交換量が過大となる。さらに好ましくは、幅Rwは1mm以上5mm以下である。この場合、ガラスパネルPの間隙部Vの封止を保持する事に加え、さらに熱交換量を低減させることができる。
【0051】
本実施の形態では、封止後の吸引孔封止用金属材料15がガラス板1Aの大気側表面より突出している部分を突出部16とする。突出部16の突出部直径Dw(
図1のガラス板1Aと接触する接触部33の幅と同じ)は2~30mmである。さらに好ましくは、2~15mmである。ただし、突出部直径Dwはいずれの場合も後述の吸引孔径Swよりは大きい。
また、突出部16の突出部厚みDgは0.1~20mmである。好ましくは、0.1~10mmである。
【0052】
本実施の形態では、吸引孔径Swは、2~10mmである。好ましくは2~5mmである。強化ガラスの場合は、吸引孔径Swは、ガラス厚より大きく10mm以下が望ましい。これは、風冷強化の際に、吸引孔4を通じて風を通すためである。
【0053】
また、吸引孔4の上部及び少なくとも下部の少なくともいずれか一方の縁部は曲面状に形成されていてもよく、または面取りされていてもよい(縁部に微小面を設けていてもよい)。
【0054】
前記吸引孔封止用金属材料15による吸引孔4の封止部において、一方のガラス板1Aの大気側表面で吸引孔4の周りに形成されている突出部(吸引孔封止用金属材料のはみ出し部と称する)16は、一方のガラス板1Aの大気側表面との接触部33における密着性が重要である。その接触部33の全てに、一方のガラス板1Aの裏側から見た時に吸引孔封止用金属材料15の金属光沢があれば十分密着しており、間隙部Vにおける減圧状態が長く維持される。しかし、密着が不十分であれば、ガラス板1Aに対して、風圧や、ふき取り掃除の際の圧力等の外力が作用したり、日射によるガラス板1Aの表裏間の温度差や、室内外の温度差等で発生する反り現象によって、ガラス板1Aに対する吸引孔封止用金属材料のはみ出し部16の接触部33が剥がされる。そして、間隙部Vに対するリークが発生してその減圧度が低下する虞があるために、その接触部33の密着性を測定する必要がある。
【0055】
尚、前記吸引孔封止用金属材料の主成分は、Snが72~99.9%に対し、Zn、Al、Si及びTiの内のいずれかの成分を含有し、鉛の含有量が重量%で0.1%未満である。
【0056】
[実験例1]
そこで、前記接触部33の密着性を測定するために、次の測定装置を準備すると共に、各種耐久試験を行った。
【0057】
〔接触面測定装置〕
図7に示すように、下から光が均等に照射される照射パネル装置23の上に、測定物であるガラスパネルP(被写体)が、吸引孔4を設けたガラス板1Aが下側になるように設けられてある。その照射パネル装置23の上方に、被写体に対して左右両側から夫々45度の角度で吸引孔4周りの吸引孔封止用金属材料のはみ出し部16のガラス板に対する接触部33を照射するように、蛍光灯を内蔵し、且つ、内部を黒く塗装あるいは、黒い布で覆って映り込み防止をした撮影ボックス24を左右一対設ける。照射パネル装置23の中央上方には、被写体の前記吸引孔封止用金属材料のはみ出し部16を撮影するカメラ25を設置して接触面測定装置26を構成してある。
【0058】
尚、照射パネル装置23は、蛍光灯10W2本、色温度5000K、照度:5500lxであり、撮影ボックス24は、27W蛍光灯(昼光色)、照度4800lxで設けてある。
また、カメラ設定は、F値3.5、シャッタースピード:1/200秒、ISO感度100に設定する。
【0059】
前記接触部33において、上記接触面測定装置26で測定すると、吸引孔封止用金属材料15がガラス板1Aに接着している場合には、金属光沢になって撮影ボックス24からの45度の入射光は、ほぼ100%近くそのまま反射して出射光がカメラ25には入らず黒く映る。よって、吸引孔封止用金属材料のはみ出し部16に接着不良の部分や、酸化金属などの不純物が析出していれば、撮影ボックス24からの光が乱反射して金属光沢の無い白く光る白曇り部が現れる。
【0060】
〔白曇り部の検出実験〕
白曇り部を計測するのに、レーザー顕微鏡により接触部33をガラス板を通して見ることにより、ガラス板界面と接する吸引孔封止用金属材料のはみ出し部16を計測すると、白曇り部の凹凸のある空隙部が検出された。
【0061】
そこで、前記接触部33における白曇り部の割合(白曇り率)を算出するのに、吸引孔封止用金属材料のはみ出し部16より外側の部分は、照射パネル装置23の下からの照度の大きい透過光を、背景として切り分け、金属光沢部と白曇り部とを2値化して、白曇り部の占める割合を数値に出す。
尚、白曇り率の算出と同時に、白曇り部が吸引孔封止用金属材料のはみ出し部16の外周縁部から吸引孔4の外周縁部に至る連設部(例えば、
図20に示す概念図のような白曇り部18)の有無も検出する。
【0062】
〔応力検出装置〕
また、間隙部Vの真空が保たれているかを検出するために、
図8に示す応力検出装置27によって調べる。
応力検出装置27は、照射パネル装置23の上に第1偏光板28を載置し、その第1偏光板28の上に検出用のガラスパネルPを載置し、ガラスパネルPの上に第2偏光板29を載置し、第1偏光板28と第2偏光板29の偏光方向が直角になるように設置して構成する。
つまり、照射パネル装置23による下からの光は、第1偏光板28と第2偏光板29とにより透過しないものである。しかし、第1偏光板28と第2偏光板29との間のガラスパネルPにおける間隙部Vが真空又は略真空であれば、大気圧により押圧されてスペーサー2の近傍部のみが偏光されて光を透過して、リークなしと判定する。これに対し、間隙部Vが大気圧であれば、スペーサー2近傍部には偏光が生じないために、スペーサー2近傍部はその他の部分と同様に光を通さず、リークがあると判定する。
【0063】
〔繰り返し曲げ試験〕
また、ガラスパネルPの接触部33は、風圧や、ふき取り掃除の際の圧力等の外力が作用したり、日射によるガラス板1Aの表裏間の温度差や、室内外の温度差等で発生する反り現象によって、ガラス板1Aに対する吸引孔封止用金属材料のはみ出し部16の接触部33が剥がされる。これにより、間隙部Vに対するリークが発生してその減圧度が低下する虞があるために、その接触部33の密着性を測定する必要があり、次の繰り返し曲げ試験(反り耐久性試験)を行う。
図9A,9B,9Cに示すように、周縁部V1及び吸引孔4をハンダ(吸引孔封止用金属材料15)で封止した幅200mm、長さ350mm、吸引孔4の封止部が端から50mmにあるガラスパネルPを、左右267mmスパンで硬質ゴムブロック30で支持する。そして、そのガラスパネルPの中央部分を直径50mmの加圧ブロック31で繰り返し荷重をかけてガラスに曲げ応力が作用するように試験を行い、応力検査装置を用いて試験後の間隙部のリークの有無を検出する。
【0064】
尚、室温は10℃~20℃で、繰り返し回数は4000回(1回/日として4000日(10年以上分))、4秒押し込み1秒無荷重にする。これらの試験は、環境の変化としての(温度差40℃、曲率半径24444mm、変形量0.36)に相当の中心部分の押し込み量になる。
【0065】
〔耐酸性試験〕
吸引孔封止用金属材料のはみ出し部16において、酸性洗浄剤や酸性溶液との接触に伴う金属の腐食に対する耐性を測定すべく、ガラスパネルをH2SO4溶液(5%)に48時間浸漬した後に応力検出装置を用いて、試験後の間隙部の真空リークの有無を検出する。
【0066】
〔耐アルカリ性試験〕
ガラスパネルPを、NaOH溶液(1%)に48時間浸漬した後に応力検出装置を用いて、試験後の間隙部の真空リークの有無を検出する。
【0067】
上記の各種耐久試験結果を、以下の表1に示す。
【0068】
【0069】
表1の結果から、前記接触部33において、白曇り部の割合が0.1%以上~50%以下で、繰り返し試験において吸引孔4からのリークが無く、建築用窓ガラスとして普通に使用できる状態を示し、0.1%以上~30%以下で、且つ、白曇り部が、吸引孔封止用金属材料のはみ出し部16の外周縁部から吸引孔4の外周縁部に至る連設部を形成していないという条件を満たせば、耐酸性があると判定できる。また、0.1%以上~10%以下で、且つ、前記白曇り部が、前記吸引孔封止用金属材料のはみ出し部16の外周縁部から前記吸引孔4の外周縁部に至る連設部を形成していないという条件を満たせば、耐アルカリ性があると判定できる。
【0070】
[実験例2]
前記接触部33の密着性の測定において、一方のガラス板1Aの間隙部側表面で吸引孔4の周りに吸引孔封止用金属材料15がはみ出している場合、接触部33の密着性をより精度よく測定するためには、一対のガラス板1A,1Bから成るガラスパネルPを、別々のガラス板1Aとガラス板1Bとに分解する必要がある。そして、吸引孔4の存在するガラス板1Aのみを、間隙部側表面が上になるように照射パネル装置23の上に載置して、接触面測定装置26で測定する。
ただし、ガラス板1Aの間隙部側表面で、吸引孔4からその外側にはみ出た吸引孔封止用金属材料15が、ガラス板1Aとガラス板1B12から成るガラスパネルPの分解後に、単板からなるガラス板1Aの間隙部側表面で、吸引孔4の外側に残っている場合、その吸引孔封止用金属材料15を研磨により取り除き、研磨処理後に速やかに接触面測定装置26で撮影する(尚、撮影条件は前述の実験例1と同様である)。また、ガラス板1Aの間隙部側表面に膜が形成されている場合は、膜を研磨により取り除き、研磨処理後に速やかに接触面測定装置26で撮影する。
【0071】
〔白曇り評価方法〕
図10に示すように、カメラ25に受像される光は、受光部に入って来た光の強さを0から255の段階に区分してピクセル毎に記録されている。ガラス内を屈折した光がガラスと接触部33との界面に到達したときに、接触部33が鏡面である場合は、光は、接触部33で反射して、ガラス面を進むため、接触部33直上に設置したカメラ25には、接触部33で反射した光は受光されない。一方、接触部33に異物等がある場合は、異物に光が当たったときに乱反射した一部がカメラ25の受光部に入ってくるため、異物が存在するところが白く映り込むことになり、接触部33で存在する異物の割合を感知することができる。
この時に、接触部33とカメラ25の間に、ガラス板や膜が存在する場合、界面との反射によって、接触部33に到達する光量が変化する。散乱する光の量は、入射される光の量に比例するので、接触部33まで到達する光量に比例してカメラ25の受光部に入ってくる散乱光も変化する。
従って、複層の状態で評価する場合、複層状態で、膜がガラス表面に付着していない条件下では、白曇りの閾値は、60~245である。しかし、膜がガラス面に付着している場合は、膜での反射によって、接触部33に到達する光量が変化してしまい、白曇りの閾値が変化してしまう恐れがある。
そこで、白曇り率を評価するために、複層ガラスを解体して単板にし、接触部33に到達する光量に合わせて、単板での白曇りと認定するコントラストの範囲を以下のような手順で設定した。
複層ガラスで解析した白曇り率と同じになるように、単板でのコントラストの閾値を調整して、複層ガラスで得られた白曇り率と同じになるようにコントラストの閾値を設定した。
複層ガラスから単板に解体したときに、吸引孔4部分のハンダが吸引孔4内で切れてしまうため、その部分で乱反射することから、吸引孔4の面積を差し引いて、接触部33の白曇り率を算定した。なお、吸引孔4のハンダがはみ出している場合は、ガラス面と面一になるようにセリコ研磨を行った。その場合も、吸引孔4部分は、白曇りとなるので、吸引孔4の面積部分を差し引いて接触部33の白曇り率を算定した。
その結果、閾値を57~245の範囲に設定した結果、複層ガラスで評価した白曇り率と同じ値を得られることが分かった。なお、撮影面側のガラス面に膜が形成されている場合は、セリコ研磨により、膜除去後に評価を行う。
【0072】
ところで、
図11A、11Bの拡大写真で示すように、
図11Aが白曇り部の割合10%以下の状態を示す。これに対して、
図11Bが白曇り部の割合が、50%よりも多い状態を示すものである。
また、前記白曇り部の面積比における割合の下限値は、測定可能な有限値を含むものである。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、断熱性能の高いガラスパネルとして利用することができる。例えば、建築用・乗物用(自動車・鉄道車両・船舶等の窓ガラス)、または冷蔵庫や保温装置等の各種装置の扉や壁部等において、長期耐久性を要する断熱性ガラスパネルとして利用することができる。
【0074】
〔別実施形態〕
1、 前記吸引孔4及びその吸引孔の周りにまで至って覆う吸引孔封止用金属材料15は、吸引孔4に充填される金属材料と、吸引孔周りにまで至る部分の金属材料とは、同一組成の物でも、又は、異なる組成の物でもよい。
【0075】
〔吸引孔の金属封止装置〕
以下、吸引孔の封止に関して、
図12~
図19に基づいて説明する。
尚、符号及び各部の名称などは、前述の実施形態の説明に使用した符号及び名称とが重複したり、異なる各部名称を用いる場合がある。
【0076】
以下の実施形態は、一対のガラス板1A,1B間に、スペーサー2を配置して間隙部Vを形成し、前記両ガラス板1A,1Bの周縁部を周辺封止用金属材料3で接合して前記間隙部Vを気密に封止し、前記間隙部V内の空気を吸引する吸引孔4を、前記一対のガラス板1A,1Bの内の一方のガラス板において表裏に貫通させて設けてあるガラスパネルにおいて、溶融した吸引孔封止用金属材料15を前記吸引孔4に供給してその吸引孔4を封止するガラスパネルPの吸引孔封止装置50、及び、溶融した吸引孔封止用金属材料15を前記吸引孔4及び吸引孔4周辺の大気側ガラス面上に供給して前記吸引孔4を封止するガラスパネルPの吸引孔封止方法に関し、詳しくは、前記ガラスパネルPは間隙部の空気を吸引孔4から吸引して、その吸引孔4を吸引孔封止装置50により封止するいわゆる真空ガラスと称するものである。
[背景技術]
【0077】
従来、前記ガラスパネルの吸引孔封止装置及び吸引孔封止方法は、吸引孔の近傍に載置された吸引孔封止用金属材料を加熱して溶融状態にする加熱装置を設け、その加熱装置により溶融状態に加熱され、表面張力により形状がほぼ保持された金属材料を、ウェイトが上面に載置されたカバー材により、溶融金属材料を吸引孔に流入するように押しつぶす装置を使用することが提案されていた(例えば、特許文献1参照)。
[先行技術文献]
【0078】
[特許文献]
[特許文献1]特開2002-137940号公報
[発明の概要]
[発明が解決しようとする課題]
【0079】
上述した従来の吸引孔封止装置及び吸引孔封止方法では、加熱して溶融状態になっている金属材料には、その表面に酸化金属の被膜が形成されていることが多く、
図19A~
図19Cに示すように、押しつぶし装置160'により押しつぶすと(
図19A→
図19B)、その酸化金属被膜150'が無秩序な大きさや形状に破れ、溶融状態の液状の吸引孔封止用金属材料15'と共にガラス板の大気側と接触部に流入してしまい(
図19C)、吸引孔4'周りのガラス板1'Aとの密着性の弱い部分が発生してしまうという問題点がある。
【0080】
以下に本実施形態を図面に基づいて説明する。尚、図面において従来例と同一の符号で表示した部分は、同一又は相当の部分を示している。
【0081】
本実施形態に係るガラスパネルPは、
図1に示すように、一対のガラス板1A,1B間に、スペーサー2を配置して間隙部Vを形成し、両ガラス板1A,1Bの周縁部V1を低融点の周辺封止用金属材料(ハンダ)3で接合して間隙部Vを気密に封止し(周辺封止工程(ステップS35))、間隙部V内の空気を吸引する吸引孔4を、一対のガラス板1A,1Bの内の一方のガラス板1Aにおいて表裏に貫通させて設けて、前記吸引孔4から間隙部V内の空間の空気を吸引して、間隙部Vを真空又は真空に近い減圧状態にした状態で、吸引孔4を吸引孔封止用金属材料15で封止して(吸引孔封止工程)真空パネルと称するものに構成してある。
【0082】
尚、前記真空封止工程において間隙部V内の空気を減圧する前には、予め、間隙部V内のガラス表面を清浄化するためにオゾン置換工程を施す。
【0083】
つまり、オゾン置換工程において、まず、ガラスパネルPの間隙部V内をロータリーポンプ(図外)にて真空排気する。その排気完了後にオゾンを間隙部V内に流入させ、その後に、ロータリーポンプを再び接続して間隙部V内の真空排気を行う。
【0084】
前記ガラスパネルPにおいて、吸引孔4から空気を吸引して外部に排除した後に、その吸引孔4を、吸引孔封止用金属材料15で封止する吸引孔封止装置50については、
図12~
図16に示すように構成してある。
【0085】
ガラスパネルPの吸引孔封止装置50は、固形状の吸引孔封止用金属材料15をその融点まで加熱する加熱部60と、加熱部60において加熱溶融して表面張力により角の丸くなった吸引孔封止用金属材料15の表面に突き刺し自在な押し込みピン形状の先鋭部材70と、先鋭部材70により形成される吸引孔封止用金属材料15の表面の突き刺し孔から流出する溶融金属を吸引孔4に誘導する溶融金属誘導部80とを有する。
【0086】
前記加熱部60には、吸引孔封止用金属材料15を受けることが出来るロート型の金属製受け具90を設けてある(受け具90の外周部に電熱線を巻いて加熱自在に構成)。また、吸引孔4に溶融金属を誘導する供給口100を受け具90の下部に設けて溶融金属誘導部80に形成してある。また、前記吸引孔封止装置50には、圧縮バネ110を介して先鋭部材70を受け具90の上方に配置し、先鋭部材70のピン先を下方に押し下げることで下方の溶融した吸引孔封止用金属材料15を上下貫通突き刺し操作自在にする操作機構120を設けてある。
【0087】
前記供給口100は、アルミナの円筒管を用いている。
つまり、アルミナ等のセラミックスから成る円筒管は、ハンダ(吸引孔封止用金属材料15)との線膨張係数差が、次の表2に示すように6以上あり(望ましくは17以上)、冷却時の収縮率がハンダより小さいために、ハンダと円筒管との密着性が悪く、従ってハンダと供給口100は固着しない。
【0088】
【0089】
さらに、吸引孔封止装置50は、前記吸引孔4を囲繞するようにガラス板1Aに対して密接自在なカップ130を有し、そのカップ130の内側に、加熱部60、受け具90、並びに、溶融金属誘導部80が収容可能に形成される。さらに、カップ130には、カップ130の内側空間を減圧可能な吸気部と、カップ130の内側を気密状態で前記操作機構120をカップ130の外から操作自在なピン押し込み操作装置140とが設けられてある。
【0090】
つまり、前記吸引孔封止装置50によって、加熱部60により加熱されて溶融した吸引孔封止用金属材料15は、表面張力により略角の取れた液状の塊となる(
図12参照)。吸引孔封止用金属材料15の表面に、例えば卵の薄皮のように酸化被膜150が形成されていたとしても、先鋭部材70により表面を突き刺すことで、その酸化被膜150の突き刺し部に穴が形成され(
図13参照)、その突き刺し部からは主として溶融金属が流出する(
図14、
図16参照)。流出した溶融金属は溶融金属誘導部80により吸引孔4に誘導されるために、酸化金属が吸引孔4に混入するのを防止しやすくなる(
図15参照)。
従って、吸引孔4及びその周囲のガラス表面との接触部33には、酸化金属の混入していない状態で吸引孔封止用金属材料15がガラスと接着し、間隙部Vの気密性を確保できる。
【0091】
〔別実施形態〕
以下に他の実施の形態を説明する。
なお、以下の他の実施形態において、上記実施形態と同様の部材には同一の符号を附してある。
〈1〉 前記吸引孔4の吸引孔封止用金属材料15を、溶融した状態で先鋭部材70により突き刺すのに、前記実施形態においては、
図12~
図16に示すように、上から下方に貫通するように突き刺した。これに代えて、
図18A~
図18Bに示すように、斜め下方から溶融金属材料の下面部を突き刺したり、
図17A~
図17Bに示すように、溶融金属材料の側面を突き刺して、吸引孔封止用金属材料15の表面が酸化被膜150に覆われていても、純度の高い溶融金属材料を吸引孔4に流し込んでも良い。
尚、
図17、
図18は、説明図であるために、吸引孔封止用金属材料15の流動経路上の段部を表す横線は、省略する。
【0092】
尚、上述のように、図面との対照を便利にするために符号を記したが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【0093】
上記実施形態において、対向する一対のガラス板と、前記一対のガラス板間にスペーサーを配置して形成される間隙部と、前記一対のガラス板の周縁部を接合して前記間隙部を気密に封止する周辺封止用金属材料とを備え、前記一対のガラス板の内の一方のガラス板は、そのガラス板において表裏に貫通して前記間隙部内の空気を吸引する吸引孔を有するガラスパネルにおいて、溶融した吸引孔封止用金属材料15を前記吸引孔4に供給してその吸引孔4を封止するガラスパネルの吸引孔封止装置50であって、前記吸引孔封止用金属材料15をその融点まで加熱する加熱部60と、前記加熱部60において前記吸引孔封止用金属材料15の表面に突き刺し自在な先鋭部材70と、前記先鋭部材による前記吸引孔封止用金属材料15の突き刺し部から流出する溶融金属を前記吸引孔4に誘導する溶融金属誘導部80とを有する。この吸引孔封止装置50の効果としては、加熱部60により加熱されて溶融した金属材料は、表面張力により略角の取れた液状の塊となり(
図12参照)、その表面に、例えば卵の薄皮のように酸化被膜150が形成されていたとしても、先鋭部材70により表面を突き刺すことで、その酸化被膜150の突き刺し部に穴が形成され(
図13参照)、その突き刺し部からは主として溶融金属が流出し(
図14、
図16参照)、溶融金属は溶融金属誘導部80により吸引孔4に誘導されるために、酸化金属が吸引孔4に混入するのを防止しやすくなる(
図15参照)。
従って、吸引孔4及びその周囲のガラス表面には、酸化金属の混入していない状態で吸引孔封止用金属材料15がガラス板の大気側表面との接触部33と接着し、間隙部の気密性を確保できる。
【0094】
また、上記記載の吸引孔封止装置50は、前記加熱部60が吸引孔封止用金属材料15を受けるロート型の受け具90を有し、前記吸引孔4に溶融金属を誘導する供給口100が、前記受け具90の下部に設けられて前記溶融金属誘導部80に形成されてあり、前記先鋭部材70を前記受け具90の上方に配置すると共に前記先鋭部材70によって下方の金属材料を上下貫通突き刺し操作自在にする操作機構120を有する。この吸引孔封止装置50の効果としては、受け具90に吸引孔封止用金属材料15を載せて加熱することで、ロート型の受け具90上の金属材料は、表面張力で角の取れた液状の塊となり、その表面に酸化被膜150が形成されなくて流動性の良い状態であれば、受け具90の下部に設けた供給口100より吸引孔4に溶融金属が流入して吸引孔4は封止される。
しかし、例え溶融金属の表面に酸化被膜150が形成されていて流動性が低下していたとしても、操作機構120により先鋭部材70を、溶融して液状の塊となっている金属材料に上から下に貫通するように突き刺し操作することで、下側に突き刺し孔が形成され、その突き刺し孔より主として溶融金属が酸化金属膜150を巻き込むことなく供給口100を介して吸引孔4に流下供給される。
従って、簡単な構造の吸引孔封止装置50により、吸引孔4を金属材料で気密に封止できる。
【0095】
さらに、上記記載の吸引孔封止装置50は、前記ガラスパネルPが前記間隙部Vを減圧状態で封止する真空パネルであって、前記吸引孔4を囲繞するようにガラス板に対して密接自在なカップ130を有し、そのカップ130の内側に、前記加熱部60、前記受け具90、並びに、前記溶融金属誘導部80が収容可能に形成されると共に、前記カップ130の内側空間を減圧可能な吸気部が、前記カップ130に設けられ、前記操作機構120が、前記カップ130の外から操作自在に構成されてある。この吸引孔封止装置50の効果は、ガラス板に形成した吸引孔4に対して囲繞するように、カップ130をガラス板に密接させることで、カップ130に設けた吸気部より前記間隙部Vの減圧をすることが出来る。しかも、カップ内の加熱部60により予め受け具90に載せた吸引孔封止用金属材料15を加熱溶融し、操作機構120をカップ130の外から操作して、受け具90上の金属材料に先鋭部材70を突き刺して下方の吸引孔4に主として溶融金属を供給して吸引孔4を封止することが出来る。
従って、コンパクトな装置で間隙部Vの減圧と、吸引孔4の封止ができる。
【0096】
対向する一対のガラス板と、前記一対のガラス板1A,1B間にスペーサー2を配置して形成される間隙部Vと、前記一対のガラス板1A,1Bの周縁部を接合して前記間隙部Vを気密に封止する周辺封止用金属材料とを備え、前記間隙部V内の空気を吸引する吸引孔を前記一対のガラス板1A,1Bの内の一方のガラス板において表裏に貫通させて設けてあるガラスパネルPにおいて、溶融した吸引孔封止用金属材料15を前記吸引孔4に供給してその吸引孔4を封止するガラスパネルの吸引孔封止方法であって、固形の前記吸引孔封止用金属材料15をその融点まで加熱して、その吸引孔封止用金属材料15の表面を先鋭部材70で突き刺し、その先鋭部材70による前記吸引孔封止用金属材料15の突き刺し部から、溶融した金属材料を流出させて前記吸引孔4に供給して前記吸引孔4を封止する。このガラスパネルの吸引孔封止方法の効果は、融点まで加熱して溶融した金属材料は、表面張力により略角の取れた液状の塊となり、その表面に、例えば卵の薄皮のように酸化被膜150が形成されていたとしても、先鋭部材70により表面を突き刺すことで、その酸化被膜150の突き刺し部に穴が形成され、その突き刺し部から主として溶融金属が流出し、酸化金属150が吸引孔4に混入することなく溶融金属を吸引孔4周辺の大気側ガラス表面に供給できる。
従って、吸引孔4及びその周囲のガラス表面には、酸化金属150の混入していない状態で吸引孔封止用金属材料15が吸引孔4周辺の大気側ガラス表面にある接触部33と接着し、間隙部Vの気密性を確保できる。
【符号の説明】
【0097】
1A,1B:ガラス板、2:スペーサー(ピラー)、3:周辺封止用金属材料(ハンダ)、4:吸引孔、4e:エッジ、5:金属導入装置、6:定盤、6a:高部、6b:低部、7:供給塔、8:導入板、8A:屈曲部、9:坩堝部、10:伝熱ヒーター、11:導入路、12:レール部材、13:移動機構、14:開先部分、15:吸引孔封止用金属材料(ハンダ)、16:吸引孔封止用金属材料のはみ出し部(突出部)、33:接触部、V:間隙部、V1:周縁部、P:ガラスパネル、Dw:突出部直径、Dg:突出部厚み、Tg:ガラス板厚み、Pd:スペーサーピッチ(間隔)、Rw:幅、Sw:吸引孔径