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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022119922
(43)【公開日】2022-08-17
(54)【発明の名称】水切れ警報の決定
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/16 20060101AFI20220809BHJP
【FI】
A61M16/16 A
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022087989
(22)【出願日】2022-05-30
(62)【分割の表示】P 2019503323の分割
【原出願日】2017-07-19
(31)【優先権主張番号】62/364,250
(32)【優先日】2016-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】513259285
【氏名又は名称】フィッシャー アンド ペイケル ヘルスケア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100164688
【弁理士】
【氏名又は名称】金川 良樹
(72)【発明者】
【氏名】ポー-イェン、リウ
(72)【発明者】
【氏名】イバン、チー-ファン、テン
(72)【発明者】
【氏名】ステファン、レオ、バン、ウォルクム
(72)【発明者】
【氏名】オリバー、サミュエル、シュタイナー
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー、ジェームズ、ニューランド
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本開示は、加湿ガス供給装置の水切れ状態を決定する改良された方法を提供する。
【解決手段】方法は、水切れ状態の一次決定と水切れ状態の二次決定を含む2ステッププロセスを含む。この一次決定は装置の通常動作が認められている間に行われる。二次決定の際、方法は装置の加湿部分の一時的な制御を行う。二次決定は一次決定を確認する又は否認する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス流を加湿するための呼吸補助システムであって、
加湿チャンバであって、前記加湿チャンバにガスを通過させるための入口と出口とを含み、一定量の水を保持するように適合された加湿チャンバと、
前記加湿チャンバに隣接するヒータであって、前記加湿チャンバ内の前記一定量の水に熱を供給するように適合されたヒータと、
前記加湿チャンバに配置されたフローセンサと、
前記加湿チャンバと関連付けられた温度センサと、
ヒータプレート、前記フローセンサ、及び前記温度センサと電子通信するコントローラと、
を含み、
前記コントローラは、少なくとも1つの動作状態を、前記ヒータの温度、前記加湿チャンバの前記出口の温度、又は治療モード及び流量のうちの少なくとも1つに基づき決定するように構成されており、
前記コントローラは、少なくとも1つの水切れ検知方法を、決定された前記動作状態に基づき選択するように更に構成されている、
呼吸補助システム。
【請求項2】
前記動作状態は、流量閾値に対する前記流量に依存する、請求項1に記載の呼吸補助システム。
【請求項3】
前記フローセンサは前記流量を検知し、前記フローセンサは、前記入口又は前記出口のいずれかに配置されている、請求項1に記載の呼吸補助システム。
【請求項4】
人が治療モードの所定の一覧から前記治療モードを選択することを可能にするように構成されているユーザインタフェースを更に含み、
前記所定の一覧は、侵襲モード、非侵襲モード、及びハイフロー非密閉モードを含み、 前記ハイフロー非密閉モードは、非密閉インターフェイスを通る高流量を含む、
請求項1に記載の呼吸補助システム。
【請求項5】
前記治療モードは複数の設定値を含む、請求項4に記載の呼吸補助システム。
【請求項6】
前記非侵襲モードは、摂氏31度、摂氏29度、及び摂氏27度の設定値を含み、前記ハイフロー非密閉モードは、摂氏37度、摂氏35度、及び摂氏33度の設定値を含み、前記侵襲モードは、摂氏37度の設定値を含む、請求項5に記載の呼吸補助システム。
【請求項7】
前記少なくとも1つの動作状態は、所定の温度閾値を下回る前記ヒータの前記温度又は所定の温度閾値を下回る前記加湿チャンバの前記出口の前記温度に関連する始動動作状態、流量なし又は低流量に関連する第1の動作状態、高設定値及び高流量を有する治療モードに関連する第2の動作状態、低設定値を有する治療モードに関連する第3の動作状態、又は高設定値及び低流量又は中流量を有する治療モードに関連する第4の動作状態を含む、請求項1に記載の呼吸補助システム。
【請求項8】
前記高設定値は摂氏31度を超える温度を有し、前記低設定値は摂氏25度~摂氏31度の温度を有する、請求項7に記載の呼吸補助システム。
【請求項9】
前記ヒータの前記所定の温度閾値は摂氏30度以上である、請求項7に記載の呼吸補助システム。
【請求項10】
前記ヒータの前記所定の温度閾値は摂氏40度である、請求項9に記載の呼吸補助システム。
【請求項11】
前記加湿チャンバの前記出口の前記所定の温度閾値は摂氏30度以上である、請求項7に記載の呼吸補助システム。
【請求項12】
前記加湿チャンバの前記出口の前記所定の温度閾値は摂氏37度である、請求項11に記載の呼吸補助システム。
【請求項13】
前記流量なしは、0l/min~3.5l/minの流量を有し、前記低流量は、3l/min~7l/minの流量を有し、前記中流量は、5l/min~15l/minの流量を有し、前記高流量は、13l/min~35l/minの流量を有する、請求項7に記載の呼吸補助システム。
【請求項14】
前記第1の動作状態にあるとき、前記コントローラは前記水切れ検知方法を無効にする、請求項7に記載の呼吸補助システム。
【請求項15】
前記第2の動作状態にあるとき、前記コントローラは受動水切れ検知方法を選択する、請求項7に記載の呼吸補助システム。
【請求項16】
前記第3の動作状態又は前記第4の動作状態にあるとき、前記コントローラは能動水切れ検知方法を選択する、請求項7に記載の呼吸補助システム。
【請求項17】
前記第3の動作状態又は前記第4の動作状態にあるとき、前記コントローラは能動水切れ検知方法と受動水切れ検知方法との組み合わせを選択する、請求項7に記載の呼吸補助システム。
【請求項18】
前記第4の動作状態にあるとき、前記コントローラは時間ベースの能動水切れ検知方法を選択する、請求項7に記載の呼吸補助システム。
【請求項19】
複数の水切れ方法、並びに動作状態と水切れ方法との間の関係を記憶するように構成されたメモリを含むシステムを更に含む、請求項1に記載の呼吸補助システム。
【請求項20】
前記システムは、ユーザが前記治療モードを選択することを可能にするためのユーザインタフェースを更に含む、請求項1に記載の呼吸補助システム。
【請求項21】
前記少なくとも1つの水切れ検知方法は、受動水切れ検知方法、能動水切れ検知方法、及び前記受動水切れ検知方法と前記能動水切れ検知方法との組み合わせを含む、請求項1に記載の呼吸補助システム。
【請求項22】
前記受動水切れ検知方法は、
推定水位を算出することと、
前記推定水位を閾値と比較することと、
前記推定水位が前記閾値未満である場合に水切れ状態を決定することと、
を含む、請求項21に記載の呼吸補助システム。
【請求項23】
前記推定水位は、前記ヒータに供給される電力の量を、前記ヒータの温度から前記加湿ガスの温度を引いた差で除した比率を含む、請求項22に記載の呼吸補助システム。
【請求項24】
前記ヒータに供給される前記電力は、ヒータプレートのパワーセンサによって決定される、請求項23に記載の呼吸補助システム。
【請求項25】
前記ヒータプレートのパワーセンサはPMICを含む、請求項24に記載の呼吸補助システム。
【請求項26】
前記能動水切れ検知方法は、
前記ヒータの温度をベースラインに対して制御することと、
目標が達成されるまである量の電力を前記ヒータに供給することと、
最高温度に達するまで前記ヒータ温度を監視することと、
前記ヒータ最高温度を閾値と比較することと、
前記ヒータ最高温度が前記閾値を超える場合に肯定試験結果を決定することと、
を含む、請求項21に記載の呼吸補助システム。
【請求項27】
前記受動水切れ検知方法と前記能動水切れ検知方法との組み合わせは、
前記受動水切れ検知方法によって水切れ状態を決定することと、
前記受動水切れ検知方法で肯定的な結果がもたらされた場合、前記能動水切れ検知方法によって水切れ状態を確認することと、
を含む、請求項21に記載の呼吸補助システム。
【請求項28】
前記治療モードは、前記コントローラが受け取ったモード値に関連する、請求項1に記載の呼吸補助システム。
【請求項29】
前記治療モードはユーザによって選択される、請求項1に記載の呼吸補助システム。
【請求項30】
呼吸補助システムの水切れ状態を決定する方法であって、
選択された治療モードに関連するデータを受け取ることと、
フローデータを受け取ることと、
動作状態を、ヒータの温度、加湿チャンバの出口の温度、又は前記選択された治療モード及びガスの流量のうちの少なくとも1つに基づき決定することと、
少なくとも1つの水切れ検知方法を、前記動作状態に基づき選択することと、
を含む、方法。
【請求項31】
前記動作状態は温度設定値及びガスの流量に基づき、設定値は前記選択された治療モードに基づく、請求項30に記載の水切れ状態を決定する方法。
【請求項32】
前記動作状態を決定することは、治療モードとガスの流量との間の所定の関係を含む、請求項30に記載の水切れ状態を決定する方法。
【請求項33】
フローセンサにより前記流量を検知することと、
前記治療モードデータをユーザインタフェースから受け取ることと、
前記温度設定値を、加湿チャンバ、導管、又は前記加湿チャンバ及び前記導管の両方に位置する温度センサに関連付けることと、
を更に含む、請求項30に記載の水切れ状態を決定する方法。
【請求項34】
前記選択された治療モードは、
侵襲モードと、
非侵襲モードと、
ハイフロー非密閉モードと、
を含む所定の一覧から選択され、
前記ハイフロー非密閉モードは、非密閉インターフェイスを通る高流量を含む、
請求項30に記載の水切れ状態を決定する方法。
【請求項35】
前記選択された治療モードは複数の設定値を含む、請求項34に記載の水切れ状態を決定する方法。
【請求項36】
前記非侵襲モードは、摂氏31度、摂氏29度、及び摂氏27度の設定値を含み、前記ハイフロー非密閉モードは、摂氏37度、摂氏35度、及び摂氏33度の設定値を含み、前記侵襲モードは、摂氏37度の設定値を含む、請求項34に記載の水切れ状態を決定する方法。
【請求項37】
前記少なくとも1つの動作状態は、所定の温度閾値を下回る前記ヒータの温度又は所定の温度閾値を下回る前記加湿チャンバの前記出口の前記温度に関連する始動動作状態と、流量なし又は低流量に関連する第1の動作状態と、高設定値及び高流量を有する治療モードに関連する第2の動作状態と、低設定値を有する治療モードに関連する第3の動作状態と、高設定値及び低流量又は中流量を有する治療モードに関連する第4の動作状態と、を含む、請求項30に記載の水切れ状態を決定する方法。
【請求項38】
前記高設定値は摂氏31度を超える温度を有し、前記低設定値は摂氏25度~摂氏31度の温度を有する、請求項37に記載の水切れ状態を決定する方法。
【請求項39】
前記ヒータの前記所定の温度閾値は摂氏30度以上である、請求項37に記載の水切れ状態を決定する方法。
【請求項40】
前記ヒータの前記所定の温度閾値は摂氏40度である、請求項39に記載の水切れ状態を決定する方法。
【請求項41】
前記加湿チャンバの前記出口の前記所定の温度閾値は摂氏30度以上である、請求項37に記載の水切れ状態を決定する方法。
【請求項42】
前記加湿チャンバの前記出口の前記所定の温度閾値は摂氏37度である、請求項41に記載の水切れ状態を決定する方法。
【請求項43】
前記流量なしは、0l/min~3.5l/minの流量を有し、前記低流量は、3l/min~7l/minの流量を有し、前記中流量は、5l/min~15l/minの流量を有し、前記高流量は、13l/min~35l/minの流量を有する、請求項37に記載の水切れ状態を決定する方法。
【請求項44】
前記水切れ検知方法は、前記第1の動作状態にあるときには無効にされる、請求項37に記載の水切れ状態を決定する方法。
【請求項45】
受動水切れ検知方法は前記第2の動作状態にあるときに選択される、請求項37に記載の水切れ状態を決定する方法。
【請求項46】
能動水切れ検知方法は、前記第3の動作状態又は前記第4の動作状態にあるときに選択される、請求項37に記載の水切れ状態を決定する方法。
【請求項47】
受動水切れ検知方法と能動水切れ検知方法との組み合わせは、前記第3の動作状態又は前記第4の動作状態にあるときに選択される、請求項37に記載の水切れ状態を決定する方法。
【請求項48】
前記第4の動作状態にあるとき、前記コントローラは、時間ベースの能動水切れ検知方法を選択する、請求項37に記載の水切れ状態を決定する方法。
【請求項49】
受動水切れ方法は、水切れ状態を常に確認するために既定の間隔で実施される、請求項37に記載の水切れ状態を決定する方法。
【請求項50】
受動水切れ検知方法は、前記第2の動作状態、前記第3の動作状態、及び前記第4の動作状態にあるときに実施され、
前記水切れ検知方法は第1の動作状態又は条件にあるときに無効にされる、
請求項37に記載の水切れ状態を決定する方法。
【請求項51】
前記第3の動作状態又は前記第4の動作状態にあるときには能動水切れ検知方法のみが選択される、請求項37に記載の水切れ状態を決定する方法。
【請求項52】
前記少なくとも1つの水切れ検知方法は、受動水切れ検知方法、能動水切れ検知方法、及び前記受動水切れ検知方法と前記能動水切れ検知方法との組み合わせを含む、請求項30に記載の水切れ状態を決定する方法。
【請求項53】
前記受動水切れ検知方法は、
推定水位を算出することと、
前記推定水位を閾値と比較することと、
前記推定水位が前記閾値未満である場合に水切れ状態を決定することと、
を含む、請求項52に記載の水切れ状態を決定する方法。
【請求項54】
前記推定水位は、前記ヒータに供給される電力の量を、前記ヒータの温度から前記加湿ガスの温度を引いた差で除した比率を含む、請求項53に記載の水切れ状態を決定する方法。
【請求項55】
前記能動水切れ検知方法は、
前記ヒータの温度をベースラインに対して制御することと、
目標が達成されるまである量の電力を前記ヒータに供給することと、
最高温度に達するまで前記ヒータ温度を監視することと、
前記ヒータ最高温度を閾値と比較することと、
前記ヒータ最高温度が前記閾値を超える場合に肯定試験結果を決定することと、
を含む、請求項52に記載の水切れ状態を決定する方法。
【請求項56】
前記受動水切れ検知方法と前記能動水切れ検知方法との組み合わせは、
前記受動水切れ検知方法によって水切れ状態を決定することと、
前記受動水切れ検知方法で肯定的な結果がもたらされた場合、前記能動水切れ検知方法によって水切れ状態を確認することと、
を含む、請求項52に記載の水切れ状態を決定する方法。
【請求項57】
水切れ状態を決定するための受動方法であって、
推定水位を算出することと、
前記推定水位を閾値と比較することと、
前記推定水位が前記閾値未満である場合に肯定水切れ状態を決定することと、
前記推定水位が前記閾値未満でない場合に否定水切れ状態を決定することと、
を含む、受動方法。
【請求項58】
水を収容するためのチャンバと、
前記水を加熱し、前記チャンバ内のガスを加湿するための蒸気を生成するためのヒータと、
前記ヒータに電力を供給するための電源と、
を含むシステムのためのものである、請求項57に記載の水切れ状態を決定するための受動方法。
【請求項59】
前記推定水位は、ヒータに供給される電力の量を、ヒータの温度から加湿ガスの温度を引いた差で除した比率である、請求項57に記載の水切れ状態を決定するための受動方法。
【請求項60】
水切れ試験を実行するための能動方法であって、
前記ヒータの温度をベースラインに対して制御することと、
目標が達成されるまである量の電力を前記ヒータに供給することと、
最高温度に達するまで前記ヒータ温度を監視することと、
前記ヒータ最高温度を閾値と比較することと、
前記ヒータ最高温度が前記閾値を超える場合に肯定試験結果を決定することと、
前記ヒータ最高温度が前記閾値を超えない場合に否定試験結果を決定することと、
を含む、能動方法。
【請求項61】
水を加熱して蒸気を生成するためのヒータと、
前記ヒータに電力を供給するための電源と、
を含むシステムのためのものである、請求項60に記載の水切れ試験を実行するための能動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年7月19日に出願された米国仮特許出願第62/364250号明細書の優先権を主張する。米国仮特許出願第62/364250号明細書の内容全体を参照により本明細書に援用する。
【0002】
本開示は、患者に供給するガスの加湿システムに関する。
【背景技術】
【0003】
様々な用途において、患者に供給するガスを加湿することは有益である。これらの用途としては、ガスが患者の呼吸用である場合、及び手術中にガスを患者に供給する場合が挙げられる。呼吸ガスの場合、湿度は患者の快適性を高め、加湿ガスは患者の気道の組織が乾燥しがちになるのを和らげる。手術用ガスの場合、加湿ガスは露出した組織の乾燥を低減し、術後の結果を向上させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
患者に供給するためのガスを加湿するための加湿チャンバを組み込むガス加湿システムにおいて、加湿器がガス流に水蒸気を供給する能力を持つためには、特定の最低限のレベルの水を維持していることが重要である。したがって、患者に加湿ガスを投与する医療従事者、又は家庭での投与の場合には患者自身が水位を確認し、必要な場合には更に水を追加することが重要である。この作業は見落とされることが多く、空気流の加湿操作の中断、又は一部の場合では、呼吸補助デバイスの破損をもたらす。
【0005】
水切れ警報は呼吸加湿デバイスに組み込まれてきたが、警報は、チャンバが実際には空でない状況で誤警報を発しがちになることが多い。誤警報は、多くの場合、デバイスが適切に機能しているかが不確かな非医療従事者にとって大きな懸念の原因となる。誤警報はそれがしばしば起こる場合、本当の警報が起こったときに医療従事者がそれを無視する原因にもなる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、警報基準の選択を、誤警報のリスクが最小になるように最適化するためのシステムを提供する。本開示は、水切れ状態を決定するための複数の異なる方法、及び有利な水切れ決定方法を選択するための動作条件に基づく選択基準を提供する。
【0007】
本開示の目的は、上述の欠点を克服する、又は公共若しくは医療従事者に有用な選択を少なくとも提供するためのいくらかの助けになるブレス補助装置を提供することである。
【0008】
したがって、第1の態様において、本開示は、広くは、加湿チャンバであって、加湿チャンバにガスを通過させるための入口と出口とを含み、一定量の水を保持するように適合された加湿チャンバと、加湿チャンバに隣接するヒータであって、加湿チャンバ内の一定量の水に熱を供給するように適合されたヒータと、加湿チャンバに配置されたフローセンサと、加湿チャンバと関連付けられた温度センサと、ヒータプレート、フローセンサ、及び温度センサと電子通信するコントローラと、を含み、コントローラは、少なくとも1つの動作状態を、治療モード及び流量に基づき決定するように構成されており、少なくとも1つの水切れ検知方法を、決定された動作状態に基づき選択するように構成されている、ガス流を加湿するための呼吸補助システムを含むとされ得る。動作状態は、流量閾値に対する流量に依存する。
【0009】
水切れ検知方法は、受動水切れ検知方法、能動水切れ検知方法、及び受動水切れ検知方法と能動水切れ検知方法との組み合わせを含み得る。
【0010】
呼吸補助システムは、人が治療モードの所定の一覧から治療モードを選択することを可能にするように構成されているユーザインタフェースも含み得る。所定の一覧は、侵襲モード、非侵襲モード、及びハイフロー非密閉治療モードを組み込む。
【0011】
本開示に関係する当業者であれば、多くの構造変更並びに本開示の広く異なる実施形態及び用途を、添付の特許請求の範囲に定義される本開示の範囲から逸脱することなく自身で提案するであろう。本開示及び本明細書中の記載は、純粋に例示であり、限定を意図するものでは決してない。
【0012】
明細書及び特許請求の範囲で使用される「含む(comprising)」という用語は、「から少なくとも部分的になる(consisting at least in part of)」を意味する。「含む(comprising)」を含む本明細書及び特許請求の範囲の文を解釈する場合、この用語が前に置かれた特徴以外の特徴も存在し得る。「含む(comprise)」及び「含む(comprises)」などの関連用語も同様に解釈される。
【0013】
本開示の好適な実施形態を、添付の図面を参照して記載する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1a】本開示による、加湿器チャンバ内における水の欠如を決定するための全体的なプロセスを示す流れ図である。
図1b】本開示による、加湿器チャンバ内における水の欠如を決定するための全体的なプロセスの他の実施形態を示す流れ図である。
図2】本開示の代替的な実施形態による、加湿器チャンバ内における水の欠如を決定するための全体的なプロセスを示す流れ図である。
図3】本開示による、加湿器チャンバ内における水の欠如を決定するための能動水切れ検知方法を示す流れ図である。
図4a】ユーザが鼻マスクを装着しており、モジュール式ブロワ/加湿器ブレス補助システムから空気を受け取っている、加湿された空気を受け取っているユーザの概略図を示す。
図4b】ユーザが鼻カニューレを装着しており、モジュール式ブロワ/加湿器ブレス補助システムから空気を受け取っている、加湿された空気を受け取っているユーザの概略図を示す。
図5】ユーザが鼻マスクを装着しており、一体型ブロワ/加湿器ブレス補助システムから空気を受け取っている、加湿された空気を受け取っているユーザの概略図を示す。
図6】ユーザが鼻カニューレを装着しており、ブレス補助システムは中央供給源から壁入口を介してガスを受け取っており、ガスを制御ユニットに供給し、制御ユニットは、制御ユニットと並設され且つ、御ユニットの下流にある加湿器チャンバにガスを供給する、加湿された空気を受け取っているユーザの概略図を示す。
図7】本開示を用いた水切れ検知方法を試験するために行った実験による、ヒータプレート電力、ヒータプレート温度、濾過済み水位、及びチャンバ出口温度の機能の、時間に対するプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書は、複数の治療モードを供給し、且つ加湿チャンバ内の水位が許容できる閾値レベル未満に達したかどうかを決定するように構成されている呼吸補助システムを提供する。システムは、適切な水切れ検知方法をシステムの動作状態に基づき選択し、適切な水切れ検知方法は、更には、ユーザによって選択される特定の治療モード及びガス流量に関係する。システムの治療モードは、侵襲モード、非侵襲モード、及びハイフロー非密閉モード、又は当業者には周知の任意の他のモードを含み得る。ハイフロー非密閉治療モード(本明細書中ではOptiflow(登録商標)モードと呼ばれる)は、Auckland,New Zealandに所在のFisher and Paykel Healthcare LimitedによりOptiflow(登録商標)として市販されている。
【0016】
第1の例示的システム構成による呼吸補助呼吸ユニット及び加湿器システム1から空気を受け取っているユーザ2の概略図を図4a及び図4bに示す。システム1は、例えば、閉塞型睡眠時無呼吸の発生の低減、CPAP治療の提供、治療目的での加湿の提供等を含む治療目的でユーザ2に加熱加湿ガスの加圧流を供給する。システム1については、以下で詳細に記載する。
【0017】
補助式呼吸ユニット又はブロワユニット3は、内部圧縮機ユニット、流れ発生器又はファンユニット13(一般に、これはフロー制御機構と呼ばれ得る)を有する。大気からの空気が大気入口40を通じてブロワユニット3のハウジングに入り、ファンユニット13を通して引き込まれる。ファンユニット13の出力は調整可能であり、ファン速度は可変である。加圧されたガス流はファンユニット13及びブロワユニット3を出、接続導管4を通って加湿器チャンバ5に移動し、流入ポート又は入口ポート23を通って加湿器チャンバ5に入る。
【0018】
代替的な実施形態では、補助式呼吸ユニットはベンチレータを含んでもよい。ベンチレータは、空気流を発生させるように構成されたファン又はタービンを有してもよい。いくつかの実施形態では、ベンチレータは、タンクなどの圧縮空気源からガスを受け取ってもよい。ベンチレータは、その後、弁を使用し、加湿チャンバ5への空気の送出を制御してもよい。
【0019】
加湿器チャンバ5は使用時、ある量の水20を収容する。いくつかの実施形態では、使用時、加湿器チャンバ5は、ヒータプレート12を有する加湿器ベースユニット21の上に配置されている。ヒータプレート12は、チャンバ5のベースを加熱するために、ゆえに、チャンバ5の内容物を加熱するために給電されている。チャンバ5内の水は加熱されると蒸発し、加湿器チャンバ5内(水20の表面の上方)のガスは加熱及び加湿される。入口ポート23を通って加湿器チャンバ5に入るガス流は加熱された水の上(又はこれら加熱加湿ガス内(大型チャンバ及び大流量の場合に適用可能))を通過し、通過する際に加熱及び加湿される。ガス流は、その後、流出ポート又は出口ポート9を通って加湿器チャンバ5を出、送出導管6に入る。
【0020】
本開示に関し、本明細書で「加湿器ユニット」について述べる場合、これは、少なくともチャンバ5、及び適切な場合、ベースユニット21及びヒータプレート12を意味するものと解釈すべきである。
【0021】
加熱加湿ガスは送出導管6の長さに沿って通過し、患者又はユーザ2にユーザインタフェース7を通じて供給される。導管6は、水滴降下の防止を助けるためにヒータ線(図示せず)等により加熱されてもよい。
【0022】
図4aに示されるユーザインタフェース7は、ユーザ2の鼻を囲み且つ覆う鼻マスクである。しかしながら、鼻カニューレ(図4bに示すような)、フルフェイスマスク、気管切開取付具、又は任意の他の適切なユーザインタフェースが、示される鼻マスクを代替できることに留意されたい。中央コントローラ又は制御システム8が、ブロワケーシング(コントローラ8a)内又は加湿器ベースユニット(コントローラ8b)内のいずれかに配置されている。この種のモジュール式システムでは、別個のブロワコントローラ8a及び加湿器コントローラ8bが使用されてもよく、コントローラ8aとコントローラ8bは、使用時、互いに通信することができるように(例えばケーブル等によって)接続されていてもよい。いくつかの実施形態では、コントローラは互いに独立していてもよい。加湿器コントローラ8bは、任意の種類のガス源と共に使用するように構成されている独立ユニットであってもよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、ブロワコントローラ8aと加湿器コントローラ8bはマスターサーバント関係にあり、これは一般に、コントローラの1つがもう一方のコントローラの機能を制御する能力を意味し得る。別の実施形態では、ブロワコントローラ8aと加湿器コントローラ8bはピア関係にあり、これは一般に、各コントローラがもう一方から独立して機能する能力を意味し得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、制御システム8は、加湿器ベースユニット21又はブロワユニット3のいずれか、又は両方に配置されたユーザコントロール11を介してユーザ入力信号を受信する。いくつかの実施形態では、コントローラ8は、また、システム1全体の様々な場所に配置されたセンサから入力を受け取る。別の実施形態では、加湿器は垂直壁又は背を含んでもよく、ユーザコントロール11は背に配置されている。ユーザコントロールは、加湿チャンバ5及びヒータプレート12の上方に配置されていてもよい。これにより、ユーザは、ヒータプレート12に触れるリスクが最小限の状態でユーザコントロールと相互作用することができる。
【0025】
センサ及びセンサの位置について以下で更に詳細に記載する。コントロール11からのユーザ入力及びセンサから受け取った信号に応答して、制御システム8は、いくつかの実施形態では、加湿器チャンバヒータプレート12への電力及びファン13の速度を調整するための信号を送信する制御出力を決定する。コントローラが制御出力をどのように決定するかを決定するプログラミングについては以下で更に詳細に記載する。
【0026】
本開示の第2の形態による一体型ブロワ/加湿器システム100から空気を受け取っているユーザ2の概略図を図5に示す。システムは、加湿器チャンバ105がブロワユニット103と一体化されており、一体型ユニット110を形成していること以外は、図4に示し、上で記載したモジュール式システム1と非常に類似するように動作する。加圧されたガス流は、一体型ユニット110のケーシングの内部に配置されたファンユニット113によって供給される。加湿器チャンバ105内の水120は、ヒータプレート112(この実施形態ではブロワユニット103の構造の一体部分である)によって加熱される。空気は流入ポート123を通って加湿器チャンバ105に入り、流出ポート109を通って加湿器チャンバ105を出る。ガス流は、送出導管106及びインターフェイス107を介してユーザ2に供給される。コントローラ108は、一体型ユニット100の外部シェル内に収容されている。図示される実施形態においては、コントローラ108は、ヒータプレート112、及びブロワユニット103の動作を、1つ以上のセンサ入力に基づき制御する単一コントローラである。コントローラ108は、ブロワユニット103及びヒータプレート112を制御するための個別のソフトウェアモジュール又はハードウェアモジュールを含んでもよい。ユーザコントロール111はユニット100の外部表面に配置されている。
【0027】
ブレス補助システム200の更に別の形態から空気を受け取っているユーザ2の概略図を図6に示す。システム200は、全般的には、リモート供給源システムと特徴付けることができ、リモート供給源から壁入口1000を通じて空気を受け取る。
【0028】
壁入口1000は、入口1000からガスを受け取る制御ユニット202に入口導管201を介して接続されている。制御ユニット202は、入力ガス流のそれぞれ湿度、温度及び圧力及び流量を測定するセンサ250、260、280、290を有する。
【0029】
ガス流は、その後、加湿器チャンバ205に供給され、ガス流は加熱及び加湿された状態で、上で説明したものに類似する手法でユーザに供給される。システム200などのリモート供給源システムの「加湿器ユニット」について述べる場合、これは、制御ユニット202を組み込むことを意味するものと解釈すべきであり、即ち、リモート供給源からのガスは、入口に直接又は制御ユニット202を介して(圧力を低減するため等)のいずれかで接続され得るが、制御ユニット及び加湿器チャンバは全体的な「加湿器ユニット」に属するものと解釈すべきであることに留意されたい。
【0030】
いくつかの実施形態では、システム200は、ユーザにO又はO画分を供給することができる。システムは、中央供給源をO源として有することによりユーザにOを供給してもよい。別の実施形態では、システムは、大気空気を中央供給源から導入されるOと混合することによりOを供給してもよい。大気空気と導入されるOとの混合は、制御ユニット202内に配置されたベンチュリ90等により行われてもよい。
【0031】
制御ユニット202は、また、システム200を通過するガスの流量を調整するためのフロー制御機構として機能する弁211又は類似の機構を有してもよい。付加的に、制御ユニットはまた、システム200を通過するガスの流量を制御するための複数の弁を有してもよい。いくつかの実施形態では、弁211の動作はコントローラ9により制御してもよい。別の実施形態では、弁211の動作は、制御ユニット202内に配置された付加的なコントローラにより制御してもよい。
【0032】
センサ
図4図5及び図6に示すモジュール式システム及び一体型システム1、100及び200は、システムの全体にわたる箇所に配置されたセンサを有する。これらについてはブレス補助システム1との関連で以下に記載する。
【0033】
一実施形態では、モジュール式システム1は、図4に示すように、以下の位置に少なくとも以下のセンサを有する。
【0034】
1)ブロワケーシング内、ブロワケーシング近傍、又はブロワケーシング上に配置されており、大気から導入される空気の温度を測定するように構成又は適合されている周囲温度センサ60。温度センサ60は、ファンユニット13の後(下流)のガス流中に、加湿器チャンバへの入口又は流入部に可能な限り接近させて配置してもよい。
【0035】
2)チャンバ流出ポート9、又は送出導管6の装置側端部(患者側端部の反対側)のいずれかに配置された加湿器ユニット流出ポート温度センサ63。出口温度センサ63は、ガス流がチャンバ5を出る際にガス流の温度を測定するように構成又は適合されている(いずれの構成においても、流出ポート温度センサ63は、チャンバ流出ポート9の近位側にあるものと考えられ得る)。
【0036】
同様に、図5に示す一体型システム100及び図6のシステム200において、センサは実質的に同一位置に配置されている。例えば、図5の一体型システムでは、周囲温度センサ160は、加湿器チャンバ流入ポート123の直前(上流)の、ブロワケーシング内のガス流中に配置されている。チャンバ流出ポート温度センサ163は、チャンバ流出ポート109のいずれかに配置されており、ガス流がチャンバ105を出る際にガス流の温度を測定するように構成されている(いずれの構成においても、流出ポート温度センサ163は、チャンバ流出ポート109の基端側にあるものと考えられ得る)。あるいは、このセンサは、いずれの実施形態においても、送出導管106の装置側端部(患者側端部の反対側)に配置され得る。図6に示すブレス補助システムにおいては、周囲温度センサ260、ファンユニット213、チャンバ流出ポート209に配置されたチャンバ流出ポート温度センサ263等、類似の番号付与システムが用いられる。
【0037】
一実施形態では、ブレス補助システム1(及び100、200)は、ヒータプレート12の近傍に位置し、ヒータプレートの温度を測定するように構成されているヒータプレート温度センサ62を有する。ヒータプレート温度センサを有するブレス補助システムはヒータプレートの状態の即時表示を行うので用いられてもよい。このセンサは、熱源とリザーバとの間のヒートパス内にあるべきである。このため、例えば、一方の側で水チャンバに接し、もう一方の側にヒータを有する伝導プレート上のセンサが用いられてもよい。
【0038】
一実施形態では、システムは、ファンユニット13の上流に配置されており、ガス流を測定するように構成されているフローセンサを有する。フローセンサの位置はファンユニットの上流であり得るが、フローセンサは、ファンの下流、又は適切な他のどこにでも配置することができる。いくつかの実施形態では、フローセンサは出口9の、温度センサ63の近傍に配置されていてもよい。フローセンサはシステムの一部を形成することができるが、フローセンサはシステムの一部であることが絶対に必要というわけではない。
【0039】
一実施形態では、システムは、加湿チャンバ5の出口9に配置された温度センサ63を含んでもよい。別の実施形態では、温度センサ63は加湿チャンバ5の入口23に配置されていてもよい。温度センサ63は、温度センサ63に印加される電圧の極性又は温度センサ63に印加される電圧のレベルに基づき、フローセンサとして機能するようにも構成されていてよい。
【0040】
ここで、ブレス補助システム1のレイアウト及び動作について以下に詳細に記載する。システム100及びシステム200の動作及びレイアウトは実質的に同一であり、必要な場合を除いては詳細に記載しない。
【0041】
ブレス補助システム1において、全センサの読取値は制御システム8にフィードバックされる。制御システム8は、また、ユーザコントロール11から入力を受け取る。
【0042】
更なる代替的なセンサレイアウト
上で説明した装置及び方法の変更形態において、システム(システム1又はシステム100又はシステム200)は、以下で説明するような更なるセンサも有する。
【0043】
3)患者側端部温度センサ15(又は115又は215)が、送出導管6の患者側端部(又は代替的に、インターフェイス7内又はインターフェイス7上)に配置されている。即ち、患者若しくは送出地点にある、又は患者若しくは送出地点に近接している。本明細書で解釈される場合、「患者側端部」又は「ユーザ側端部」は、送出導管(例えば送出導管6)のユーザ側端部に近接している、又は患者インターフェイス7内若しくは患者インターフェイス7上にある、のいずれか意味するものと解釈すべきである。これは特定の位置が明示されない限り適用される。いずれの構成においても、患者側端部温度センサ15は、ユーザ若しくは患者2のところにある又はユーザ若しくは患者2に近接していると考えることができる。
【0044】
動作状態の決定
いくつかの実施形態によれば、呼吸補助システムは、加湿チャンバ5が水の追加を必要としているかどうかをシステムの動作状態に基づき決定するための適切な水切れ検知方法を選択するように構成されたルーチンを組み込む。動作状態は、ユーザが選択した、システムの治療モード及びガス流量に関係する。このルーチンは、以下で更に詳述するように、任意の適切な時間間隔で実施してもよい。ある実施形態では、ルーチンは10分毎に実行される。これにより、能動試験が既に実行されている場合にヒータプレートを適切に冷却することができる。しかしながら、別の実施形態では、ルーチンは数秒毎又は数ミリ秒毎に実行され得る。ルーチンは図1a及び図1bに示される。図1a及び図1bは、第4の動作状態におけるシステムの制御の別の実施形態を示す。
【0045】
決定ステップを連続的に記載するが、システムは、同様に、ステップを異なる順序で又は同時に実施してもよい。ステップ1001に示すように、コントローラ8はシステムの治療モードに関する情報を受け取る。コントローラ8は、その後、ステップ1002に進み、システムの流量を決定する。流量は、加湿チャンバ5に、具体的には入口23又は出口ポート9のいずれかに配置されたフローセンサによって決定されてもよい。あるいは、フローセンサは、ブロワユニット3と関連付けられたファンユニット13の下流に配置されていてもよい。コントローラ8は受け取った治療モード及び流量情報を用いて、システムの動作状態を決定する。システムの動作モード及び流量に基づき、コントローラ8は適切な水切れ検知方法を選択する。
【0046】
コールドスタート動作状態
ステップ1003において、コントローラ8はシステムがコールドスタート動作状態にあるかどうかを決定する。始動後、システムは、(i)ヒータプレート温度が所定の温度閾値を超えるまで、(ii)システムの始動から所定の時間閾値が満たされるまで、(iii)チャンバ出口の温度が所定の温度閾値を超えるまで、及び/又は(iv)患者側端部の温度が所定の温度閾値を超えるまで、コールドスタート動作状態にあると決定される。ヒータプレート温度、チャンバ出口温度、及び患者側端部温度は、例えば、温度センサ62、63及び15などの、それら各々の温度センサによって決定され得る。ヒータプレート、チャンバ出口、及び患者側端部の所定の温度閾値は、例えば、摂氏35度、摂氏37度、摂氏40度、摂氏42度などの摂氏30度を超える温度、及び/又はシステムの始動後の各構成要素に十分な温度である別の所定の温度であり得る。ヒータプレート、チャンバ出口、及び患者側端部の各所定の温度閾値は別々に定義され得る。例えば、好適な実施形態では、ヒータプレート温度閾値は摂氏40度であり、チャンバ出口温度閾値は摂氏37度であり、患者側端部温度閾値は摂氏40度である。いくつかの実施形態では、システムのチャンバ出口は、所定の流量閾値及び温度閾値を含む。流量閾値は、例えば、約0.5L/min若しくは0.5L/min超、約3L/min若しくは3L/min超、又は別の非ゼロ流量など任意の非ゼロ流量であり得る。例えば、チャンバ出口温度閾値は、摂氏37度、流量閾値3L/minであり得る。システムの始動から測定した時間の所定の時間閾値は、2分、5分、10分、20分、及び/又はシステムの始動後ヒータプレートが加熱するのに十分な時間を提供する任意の他の所定の時間枠であり得る。コールドスタート動作状態は治療モード又は流量に依存しない。別のいくつかの実施形態では、コールドスタート動作状態は流量に少なくとも一部依存し得る。
【0047】
システムがコールドスタート動作状態の基準を満たしているとコントローラ8が決定した場合、コントローラ8はステップ1004の能動水切れ検知方法に進む。能動水切れ検知方法が水切れ状態に戻った場合、セットアップエラー及び/又は水切れ警報による警報が作動される。システムがコールドスタート動作状態の基準を満たしていないとコントローラ8が決定した場合、コントローラ8はステップ1005に進む。いくつかの実施形態では、システムの始動後のデフォルトの動作状態はコールドスタート動作状態である。システムは、コールドスタート動作モードを終了する基準のうちの1つが満たされるまでコールドスタート動作状態に留まる。例えば、システムは、時間閾値が満たされるまで、又はヒータプレート、チャンバ出口、又は患者側入口の温度の1つがそれら各々の温度閾値を超えるまでコールドスタート動作モードに留まる。
【0048】
第1の動作状態
ステップ1005において、コントローラ8はシステムが第1の動作状態にあるかどうかを決定する。システムは、任意の選択された治療モードの流量が0~3L/minである場合に第1の動作状態(又は「流れなし」状態)にあると決定される。システムが第1の動作状態の基準を満たしているとコントローラ8が決定した場合、ステップ1006において水切れ警報が無効にされる。低流量状態の間には水位が急速に減少しないことから、この低流量において誤警報は一般的であり得る。警報は大きな問題なく無効にすることができる。警報が無効にされると、コントローラ8はステップ1001に戻ってもよい。しかしながら、システムが第1の動作状態の基準を満たしていないとコントローラ8が決定した場合、コントローラ8はステップ1007に進む。
【0049】
第2の動作状態
ステップ1007において、コントローラ8はシステムが第2の動作状態にあるかどうかを決定する。システムは、システムが侵襲治療モード又はOptiflow(登録商標)治療モードのいずれかである場合に第2の動作状態にあると決定され、流量は中流量又は高流量であると決定される。流量レベルはシステムに提供される閾値に基づく。
【0050】
システムが第2の動作状態の基準を満たしているとコントローラ8が決定した場合、コントローラ8はステップ1008の受動水切れ検知方法に進む。受動水切れ検知方法が水切れ状態に戻った場合、能動水切れ検知方法を実行することなく警報が作動される。しかしながら、システムが第2の動作状態の基準を満たしていないとコントローラ8が決定した場合、コントローラ8は次のステップに進む。
【0051】
第3の動作状態
ステップ1009において、コントローラ8はシステムが第3の動作状態にあるかどうかを決定する。システムは、システムが侵襲治療モード又はOptiflow(登録商標)治療モードのいずれかである場合に第3の動作状態にあると決定され、流量は中流量又は低流量であると決定される。
【0052】
システムが第3の動作状態の基準を満たしているとコントローラ8が決定した場合、コントローラ8はステップ1010の受動水切れ検知方法に進む。受動水切れ検知方法はステップ1011において水切れ状態があるかどうかを決定する。受動水切れ検知方法が水切れ状態に戻った場合、コントローラはステップ1012の能動水切れ検知方法に進む。以下で更に詳細に記載するように、能動水切れ検知方法は、低設定値による治療モードの偽陽性警報の尤度を低下させるために、受動水切れ検知方法と併せて実行される。能動水切れ検知方法が水切れ状態に戻った場合、警報が作動される。しかしながら、能動水切れ検知方法が水切れ状態に戻らない場合、コントローラ8はシーケンスを終了し、ルーチンを適切な時間間隔で再度開始する。
【0053】
付加的に、システムが第3の動作状態の基準を満たしていないとコントローラ8が決定した場合、コントローラ8は次のステップに進む。
【0054】
第4の動作状態
ステップ1013において、コントローラ8はシステムが第4の動作状態にあるかどうかを決定する。システムは、システムが非侵襲治療モードである場合に第4の動作状態にあると決定される。
【0055】
システムが第4の動作状態の基準を満たしているとコントローラ8が決定した場合、コントローラ8はステップ1010の受動水切れ検知方法に進む。受動水切れ検知方法が水切れ状態に戻った場合、コントローラ8はステップ1012の能動水切れ検知方法に進む。能動水切れ検知方法が水切れ状態に戻った場合、警報が作動される。
【0056】
しかしながら、能動水切れ検知方法が水切れ状態に戻らない場合、又はシステムが第4の動作状態の基準を満たしていないとコントローラ8が決定した場合、コントローラ8はシーケンスを終了し、ルーチンを適切な時間間隔で再度開始する。
【0057】
ここで図1bを参照すると、第4の動作状態の別の実施形態が示されている。図1bでは、システムが第4の動作状態の基準を満たしているとコントローラ8が決定した場合、コントローラ8は、ステップ1014の時間ベースの能動水切れ検知方法に進む。ステップ1014において、コントローラ8は、前の能動水切れ検知方法が作動されてから又はシステムが非侵襲治療モードに入ってから所定の時間枠が経過したかどうかを決定する。所定の時間枠が経過したとコントローラ8が決定した場合、コントローラ8はステップ1012の能動水切れ検知方法に進む。所定の時間枠は、例えば、15分、20分、30分、1時間等などの任意の所定の時間間隔であり得る。時間枠が経過していない場合、コントローラ8はステップ1001に戻ってもよい。いくつかの実施形態では、コントローラ8は能動水検知方法をそれぞれ所定の時間間隔で実行し続ける。
【0058】
ステップ1001は、システム条件による、システムの治療モードに関する情報の継続的な受け取りを示し得る。この継続的なプロセスは、加湿チャンバ5が、送られるガス温度及び湿度を好ましいレベルに又はほぼ好ましいレベルに維持するための十分な水を確実に含むようにすることを目的とする。継続的なプロセスとして、ルーチンでは水切れ状態の可能性を監視する。しかしながら、ルーチンでは水切れ状態の可能性を間断なく監視する必要はないことに留意されたい。ルーチンは、システム要件に応じて適切な間隔で実行されてもよい。
【0059】
代替的なルーチン実施形態
以下で更に詳細に記載するように、いくつかの実施形態では、この検知方法は通常の動作過程の最中に収集されるセンサデータに基づく計算を含むことから、受動水切れ検知方法は間断なく実行されてもよい。したがって、方法は加湿器の動作に影響しない。
【0060】
したがって、別の実施形態では、図2に示されるように、ステップ2002におけるルーチンの開始は、ステップ2001に示すような間断なく実行される受動水切れ検知方法により検知された第1の水切れ状態に基づきトリガーされてもよい。システムは、その後、加湿チャンバ5が空であるかどうかを決定するために正確に決定することができる適切な方法を、上述の前実施形態に類似するシステムの動作状態に基づき選択するためのルーチンを開始してもよい。
【0061】
水切れ検知方法
水切れ状態が存在するかどうかを決定するために用いられる様々な水切れ検知方法について以下に記載する。各方法は、特定の条件下で用いられ、システムのルーチンは、上で更に詳細に述べたようにシステムの動作状態に基づき最適な水切れ検知方法を選択する。適切な水切れ検知方法が選択されると、システムは以下に記載する方法のうちの1つを用いて水切れ状態の存在又は不存在を決定する。
【0062】
受動水切れ検知方法
本開示によれば、受動水切れ検知方法は水切れ状態が存在するかどうかを決定する。図2を参照すると、一実施形態によれば、コントローラ8は、ヒータプレート電力、ヒータプレート温度及びチャンバ出口温度の機能を、装置の通常使用中間断なく評価する。受動水切れ検知方法は加湿器の動作に影響しないため、絶えず実行されている。受動水切れ検知方法は通常の動作過程の最中に収集されるセンサデータに基づき推定水位の計算を実行する。
【0063】
コントローラ8は、以下の関数の結果が基準線閾値レベルと異なる場合に水切れ状態の可能性を決定する。関数は、センサ63(又は163又は263)によるチャンバ出口温度とヒータプレートのデューティサイクルにより示されるヒータプレート電力との比率である。
【0064】
受動水切れ検知方法では、少なくともヒータプレート電力、ヒータプレート温度、及びチャンバ出口温度を用いて現在の水位を推定する。いくつかの実施形態では、係数又は重み係数は使用されない。受動水切れ検知方法では、水位を以下の式に従い推定する。
【0065】
【数1】
【0066】
加湿チャンバ5が空であると、同じチャンバ出口温度を維持するのに必要な電力の量が減少する。これは水切れ状態を検知するのに有用である。推定水位がある時間にわたって既定の閾値を下回った場合、水切れ警報が発せられる。
【0067】
閾値は流量に依存し、実験的に決定され得る。チャンバ内に水がある状態で、システムを、動作範囲内の流量に関して定常状態に到達させる。その後、チャンバ内に水がない状態で、システムを同じ流量で試験する。結果は2つの値、水あり状態の値及び水切れ状態の値である。いくつかの実施形態では、閾値はこれら2つの値の間の半分に設定される。ユーザが異なる治療モードを選択すると、閾値は選択された治療モードの特定の設定値に従い調整され得る。
【0068】
推定水位は、拍動流、コントローラの安定性等により変動し得るヒータプレート電力に基づくことから、いくつかの実施形態では、警報を作動させる前にタイマを使用して、設定された期間、推定水位が閾値を下回る状態で待機する。ある実施形態では、これは低流量では15分、より高流量では10分に設定される。設定値変化、流量変化等による誤トリガーを防ぐために別にセトリングタイマ(settling timer)もある。いくつかの実施形態では、これは20分に設定される。
【0069】
いくつかの実施形態では、水切れ状態の警報後に加湿チャンバ5に水が充填されると、推定水位が閾値を超えて上昇したときに警報は停止する。
【0070】
能動水切れ検知
本開示によれば、特定の状況においては、水切れ状態を決定する受動水切れ検知方法に応じて水切れ状態の能動水切れ検知方法が行われる。いくつかの実施形態によれば、能動水切れ検知方法の間、コントローラ8は加湿器の電力入力を制御し、ヒータプレート電力入力を調整し、ヒータプレート12の温度応答を観察する。この能動水切れ検知方法は、特定の状況において、受動水切れ検知方法が水切れ状態の可能性に戻ったときに水切れ状態を確認するために実施される。
【0071】
いくつかの実施形態では、受動水切れ検知方法は能動試験なしで使用してもよいが、これにより低流量における精度がある程度犠牲になる可能性がある。別の実施形態では、能動試験は受動試験なしで使用してもよいが、これは治療の送達及び低温警報など他のモジュールの実行を更に妨げる可能性がある。
【0072】
いくつかの実施形態では、受動水切れ検知方法は特定の動作状態下では水切れ状態を誤って決定する可能性があることから、水切れ状態を確認するために能動水切れ検知方法を使用してもよい。これら状態には、上述したように、第3の動作状態及び第4の動作状態を含む。上述のように推定水位比率の分母がゼロに近くなりすぎることから、受動水切れ検知方法が偽陽性に戻る尤度は低設定値において増加する。これはヒータプレート温度も低下し、2つの分母値の範囲が近くなるために起こる。これはヒータプレート温度及びチャンバ出口温度の両方が周囲温度に近くなるために起こる。したがって、ヒータプレートはチャンバ出口の目標温度を達成するためにそれほど多く動作する必要はない。
【0073】
本開示によれば、受動水切れ検知方法が水切れ状態を決定した後、コントローラ8は、システムが第3の動作状態又は第4の動作状態にあるとき、能動水切れ検知方法を実施し始める。
【0074】
能動試験時、コントローラ8は以下に記載するルーチンに従い、ヒータプレートのフィードバックモード及びデューティサイクル計算を制御する。図3に示されるように、能動水切れ検知方法は、ヒータプレート12に固定電力を短時間パルス送信し、ヒータプレート12の温度の上昇を観察することを含む。加湿チャンバ5が空の場合、ヒータプレートの有効熱容量は減少し、より高い最高ヒータプレート温度が予想される。能動水切れ検知方法の完了時、コントローラ8はステップ3001に移行し、ヒータプレートのフィードバックモード及びデューティサイクル計算の制御は、その後、標準のヒータプレート制御アルゴリズム及びPIコントローラに戻る。
【0075】
図3に示されるように、コントローラ8は、ルーチンに従い、以下に記載する以下の能動水切れ検知方法を実施する。
【0076】
ステップ3001に示すように、システムは、システムが第3の動作状態又は第4の動作状態にある間、水切れ状態に戻る受動水切れ検知方法から生じるトリガーを待つ。この状態において、ヒータプレート制御モードは標準であり、チャンバ出口フィードバックを使用する。システムがステップ3002に示すように水切れ状態トリガーを受け取った場合、システムは能動水切れ検知試験を行うことになり、次のステップに移行する。
【0077】
ステップ3003において、コントローラ8は、試験の開始条件が制御されるようにヒータプレート温度をベースラインに制御する。ベースラインを達成するために、システムをオフにし、供給される電力を低減する、又は所望のベースラインレベルを達成するほど十分に低いレベルの一定電力をヒータプレート12に供給する。ヒータプレート温度は、その後、コントローラ8が次のステップに移行するのに先だって、0.1℃以内に15秒間留まらなければならない。
【0078】
ステップ3004において、コントローラ8はヒータプレートのデューティサイクルを調整してヒータプレート12に150Wを10秒間印加する。コントローラ8は、その後、次のステップに移行する。
【0079】
ステップ3005において、コントローラ8はヒータプレート電力を停止し、ヒータプレートセンサによりヒータプレート12の温度をヒータプレートの最高温度に関して監視する。最高温度に達するまで温度曲線が監視される。
【0080】
ステップ3006において、ヒータプレートの最高温度は任意の適切な方法により決定される。最高温度を決定する方法は、温度信号の一次導関数を求め、導関数が0に等しいときの最高温度を示すことによる。あるいは、システムは、温度低下があるまで待つことができ、低下直前の測定値を最高温度として用いる。ヒータプレートの最高温度に達するとすぐに、システムは次のステップに移行する。
【0081】
ステップ3007において、システムはヒータプレートの最高温度が所定の閾値を超えているかどうかを決定する。閾値は、チャンバが一杯のときのヒータプレートの推定温度上昇と、チャンバが空のときのヒータプレートの推定温度上昇との間の中間に設定される。閾値の計算のための数式は以下に含まれる。
ヒータプレート温度閾値
=0.5*チャンバが一杯のときのヒータプレートの推定温度+(1-0.5)*チャンバが空のときのヒータプレートの推定温度
チャンバが一杯のときのヒータプレートの推定温度
=5.377-0.052*ヒータプレート温度ベースライン-0.017*濾過流量
チャンバが空のときのヒータプレートの推定温度
=6.970-0.040*ヒータプレート温度ベースライン-0.017*濾過流量
【0082】
閾値はパラメータの中でも特に室温条件及び流量に合わせて調整され得る。別のいくつかの実施形態では、システムは閾値を他のパラメータの変化に基づき自動的に調整してもよい。あるいは、システムは、様々な環境パラメータに対する事前設定された数の保存閾値を有してもよい。
【0083】
ヒータプレートの最高温度又は10秒後の測定温度が閾値レベルを超えない場合、コントローラ8は水切れしていないと決定する。コントローラ8はステップ3001に移行し、能動水切れ検知試験の次の要求を待つ。いくつかの実施形態では、コントローラ8はステップ3001に移行する前に何もしなくてもよい。あるいは、コントローラ8はステップ3001に戻る前にユーザに十分な水があることを示すメッセージを送ってもよい。
【0084】
ヒータプレートの最高温度又は10秒後の測定温度が閾値レベルを超えるとすぐに、ステップ3008においてコントローラ8は警報を作動させる。警報は、視覚警報、メッセージ、アニメーション、又は聴覚警報であり得る。警報が作動された後、コントローラ8はステップ3001に移行し、能動水切れ検知試験の次の要求を待ってもよい。
【0085】
この監視機能の一例を図7に示す。このグラフは、適切な水切れ検知方法を選択するルーチンの試験中に捕捉されたデータを示す。時間を左から右に移動すると、ヒータプレート電力(HP電力として示される)はシステムの起動時に急上昇し、その後、ヒータプレート温度、チャンバ出口温度、及び上では推定水位と呼ばれている濾過済み水位と同様に、定常状態に落ち着いている。
【0086】
加湿チャンバ5内の水が無くなると第1段階に到達する。この時点で、ベースプレートは乾いているが、チャンバ出口温度センサは凝縮によりまだ濡れている。温度センサはガス温度が低下していなくても低い値に戻る。これは、ドライガスを測定する湿潤温度センサがエラーを導入することで起こる。ヒータプレート電力は増加し、温度値の減少を補償する。その結果、ヒータプレート温度も上昇するが、ベースプレート上に水がないことで通常よりも速く上昇する。濾過済み水位はこの比率の変化によって低下し始める。
【0087】
温度センサが乾き、エラーがもはや存在しなくなると第2段階に到達する。ヒータプレート電力は同様に減少するが、ベースプレート上方の空気は水が吸収するほど熱を吸収しないため、ヒータプレート温度は上昇し続ける。このことは、ヒータプレート電力とヒータプレート温度が開き続けるにつれて濾過済み水位が更により急激に低下する原因となる。
【0088】
濾過済み水位が水切れ閾値を下回って低下すると第3段階に到達する。この例では、治療モードが非侵襲に設定される、又は流量が低から中であり、これにより、能動水切れ検知方法を開始させる。ヒータプレート電力の急上昇はそれぞれ、試験の実行を示す(すなわち、ステートマシンはステップ3004に移行する)。3つ目の急上昇の後、加湿チャンバ5に水が補充され、ヒータプレート温度を大幅に低下させる。これにより、ひいては、ヒータプレート電力を増加させ、追加された冷水を加熱する。
【0089】
システムの治療モード
本開示によれば、呼吸補助システムはいくつかの治療モードのうちの1つにされてもよい。コントローラ8が適切な水切れ検知方法を決定する際、選択された治療モードにより特定の設定値及び閾値が変更される。特に、治療モードによりシステムの特定のガス流量が変更されてもよい。
【0090】
いくつかの実施形態では、治療モードは、侵襲モード、非侵襲モード、又はOptiflow(登録商標)モードのいずれかのうちの1つから選択してもよい。Optiflow(登録商標)モードは、用途において非密閉インターフェイスを通過する高流量が必要とされる場合に用いられる。
【0091】
記載したように、各治療モードは個別化された設定値を有する。いくつかの実施形態では、非侵襲モードは、摂氏31度、摂氏29度、及び摂氏27度の設定値を含んでもよい。Optiflow(登録商標)モードは、摂氏37度、摂氏35度、及び摂氏33度の設定値を含んでもよい。侵襲モードは、摂氏37度の設定値を含んでもよい。
【0092】
いくつかの実施形態では、システムは、ユーザが各治療モードを選択することを可能にするように構成されたユーザインタフェースを含んでもよい。
【0093】
ガス流量
本開示によれば、呼吸補助システムは、また、様々なガス流量を提供するように構成されていてもよい。選択される流量により、システムの、適切な水切れ検知方法の決定が変更される。特に、流量によりシステムの特定のシステム動作状態が変更されてもよい。
【0094】
いくつかの実施形態では、流量は、流量なし、低流量、中流量、又は高流量のいずれかのうちの1つから選択してもよい。記載したように、各流量は、個別化された分類範囲を有する。いくつかの実施形態では、流量なしは、0L/min~3.5L/minの流量を含んでもよい。低流量は、3L/min~7L/minの流量を含んでもよい。中低流量は、5L/min~15L/minの流量を含んでもよい。中高流量は、13L/min~35L/minの流量を含んでもよい。高流量は、30L/minを超える流量を含んでもよい。
【0095】
各流量カテゴリの範囲は他のカテゴリと一部重複することができる。1つの流量カテゴリから次の流量カテゴリに移行するために、流量は、カテゴリの上限を超える必要がある、又はカテゴリの下限を下回る必要がある。例えば、現在の流量が低流カテゴリである場合、流量は、中低カテゴリに移動するためには7L/minを超える必要がある。同様に、中低カテゴリ内になってから低カテゴリに戻るためには、流量は5L/min未満に低下する必要がある。一部重複範囲は、閾値の近傍で変動する流量のカテゴリを常時切り換えないようにするのに役立ち得る。
【0096】
設計考慮事項
ベースライン温度
ヒータプレートの温度増加はベースライン温度に依存するため、閾値設計の試験範囲は、所期の動作範囲内の最低及び最高予想ヒータプレート温度を含むべきである。受動警報及び治療送達に対する影響を最小限にするために、ベースライン温度はヒータプレート動作温度に接近させるべきである。エンタルピーの懸念がある場合、ベースライン温度はヒータプレート動作温度よりも低くすべきであるが、これは試験のサイクルタイムを増加させる可能性がある。
【0097】
流量
ベースライン温度で記載したものと同じ分析が流量にも適用される。試験範囲は予想動作範囲を含むべきである。
【0098】
開ループデューティサイクル
電力の良好な方形パルスを与え、コントローラ8により影響されない開ループデューティサイクルが適用される。デューティサイクルは、PMICにより測定された電源電圧、測定されたヒータプレート抵抗、及び所望の電力に基づく。
【0099】
印加される電力
いくつかの実施形態では、150Wが選択されるが、この理由は、電源電圧が10%低下した場合でもヒータプレートは150Wであれば供給することができるからである(名目的なヒータプレート電力は200Wであると仮定する)。供給電力がこれより高ければ、ヒータプレートは、低電源電圧に接続されたときに同じ電力を供給できない可能性がある。供給電力がこれより低ければ、ヒータプレートの温度上昇が減少する可能性があり、誤警報の可能性が高まるおそれがある。
【0100】
電力印加時間
いくつかの実施形態では、過度の湿度を発生させる可能性を最小限にしながらタイミングジッタによる影響を低下させることができるように、10秒が選択される。(注:タイマによる実施が変化し、パルスの持続時間に影響する場合、閾値は再決定される必要がある。)
【0101】
検知基準
一貫性、乾燥チャンバと湿潤チャンバとの間の良好な信号対雑音比、計算の複雑さが少ない、及び試験のサイクルタイムが短い、が理由で、ヒータプレートの最高温度が検知測定基準として使用される。
【0102】
ステップ3005の最短時間
電力の印加とヒータプレート温度の応答との間の遅れにより、コントローラ8は、温度が最高温度を下回る場合に終了する前にヒータプレート温度の増加を認めるほど十分に長くステップ3005に留まる。
【0103】
中断の可能性
試験は完了するのに無視できない時間量を要することから、外部イベントが結果に影響を及ぼし得る可能性がある。可能性のあるイベントとしては、水の補充、流量又はパターンの変化、治療モードの変化、設定値の変化(ユーザ又は湿度補償による)、吸気回路又はセンサカートリッジ切断、及び電源オン又はオフが挙げられる。
【0104】
水の補充の場合、ヒータプレート温度は低下する。しかしながら、温度低下は水が存在することを示すため、これは適切である。
【0105】
低温警報との相互作用
能動水切れ検知方法は通常の加熱を中断するので、ヒータプレート温度及びチャンバ出口温度に影響する。ルーチンでは、ベースライン温度を現在のヒータプレート動作温度に近づけて設定することによりこの影響を最小限にしようとする。能動水切れ検知方法は10分以内に十分に収まるように完了することが予想されるため、低温警報(治療及び設定値に応じてトリガーに10~60分かかる)は誤警報を発しないはずである。
【0106】
時間切れ及びデフォルト状態に戻る
システムが状態移行のための条件を満たすことができなければ、時間切れが起こり、状態はステップ3001に戻る。デバイスの一実施形態では、時間切れ値は以下のとおりであり得る。
ステップ3003の時間切れ=15分
ステップ3004の時間切れ=15秒
ステップ3005の時間切れ=5分
【0107】
十分なエネルギーが供給されない
タイミング又は予想より低い電源電圧によって、システムは必要な電力を経時的に供給しない場合がある。PMICにより行われる電力の測定は、能動試験段階の間に供給されるエネルギーパルスを評価するために記録される。いくつかの実施形態では、電力の供給が少なすぎる又は多すぎる場合、システムは3回再試行する。全ての再試行が不合格であった場合、システムは能動水切れ検知方法を停止し(能動水切れ検知方法は受動水切れ検知方法に影響するため)、受動水切れ検知方法に戻る。
【0108】
試験継続時間
通常治療の混乱を減少させるために、試験継続時間は、能動水切れ検知方法を様々なベースラインヒータプレート温度で開始可能にすることにより最短にされる。
【0109】
呼吸加湿システム並びに関連の構成要素及び方法の例を、図を参照しながら記載してきた。図は、様々なシステム及びモジュール並びにそれらの間の接続を示す。様々なモジュール及びシステムは様々な構成で組み合わせることができ、様々なモジュールとシステムとの間の接続は物理的又は論理的リンクを示し得る。モジュール又はシステムの分割に関する原理及び詳細を明確に示すために示した図中の表現は、別個の物理的実施形態を詳述しようとするよりもむしろ説明を容易にするために提供したものである。例及び図は説明を目的としており、本明細書中に記載される本発明の範囲を限定するものではない。例えば、本明細書中の原理は呼吸加湿器はもとより、外科用加湿器を含む他の種類の加湿システムに適用され得る。本明細書中の原理は呼吸用途はもとより、水が呼吸システム内で利用可能であるかどうかを決定する他の場合に適用され得る。
【0110】
本明細書で使用する場合、用語「プロセッサ」は、任意の適切なデバイス、論理ブロック、モジュール、回路、又は命令を実行するための要素の組み合わせを広く意味する。例えば、コントローラ8は、Pentium(登録商標)プロセッサ、MIPS(登録商標)プロセッサ、Power PC(登録商標)プロセッサ、AMD(登録商標)プロセッサ、ARM(登録商標)プロセッサ、又はALPHA(登録商標)プロセッサなどの任意の従来の汎用シングルチップ又はマルチチップマイクロプロセッサを含み得る。加えて、コントローラ122は、デジタルシグナルプロセッサ又はマイクロコントローラなどの任意の従来の専用マイクロプロセッサを含み得る。本明細書中に開示される実施形態とともに記載した種々の例示的な論理ブロック、モジュール、及び回路は、汎用プロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、特定用途用集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又は他のプログラマブル論理デバイス、ディスクリートゲート又はトランジスタ論理、ディスクリートハードウェアコンポーネント、又は本明細書中に記載される機能を実施するように設計されたこれらの任意の組み合わせによって実施又は実行され得る、又はメインプロセッサ内の純粋なソフトウェアであり得る。例えば、論理モジュール504は、任意の付加的な及び/又は特殊なハードウェア要素を用いないソフトウェアにより実施される機能ブロックであり得る。コントローラ8は、コンピューティングデバイスの組み合わせ、例えば、DSPとマイクロプロセッサとの組み合わせ、マイクロコントローラとマイクロプロセッサとの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと組み合わせた1つ以上のマイクロプロセッサ、又は任意の他のそのような構成として実装され得る。
【0111】
データストレージは、データを記憶し、プロセッサによる取り出しを可能にする電子回路を意味し得る。データストレージは、外部デバイス又はシステム、例えば、ディスクドライブ又はソリッドステートドライブを意味し得る。データストレージは、また、通信バス又はコントローラ8に直接接続された高速半導体ストレージ(チップ)、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)又は様々な形態のリードオンリーメモリ(ROM)を意味し得る。他の種類のデータストレージとしては、バブルメモリ及びコアメモリが挙げられる。データストレージは、データを非一時的な媒体に記憶するように構成された物理的ハードウェアであり得る。
【0112】
特定の実施形態及び例を本明細書中に開示したが、本発明の対象は、具体的に開示した実施形態以外に他の別の実施形態及び/又は使用、並びにその改良形態及び均等物に及ぶ。したがって、特許請求の範囲又は本発明に添付の実施形態の範囲は本明細書中に記載される特定の実施形態のいずれによっても限定されない。例えば、本明細書中に開示されるあらゆる方法又はプロセスにおいて、方法又はプロセスの行為又は動作は任意の適切な順序で実施することができ、開示される任意の特定の順序に必ずしも限定されない。様々な動作は特定の実施形態の理解に役立つことができるように複数の別個の動作として順番に記載され得るが、記載の順序はこれら動作が順序依存であることを意味するものと解釈すべきではない。加えて、本明細書中に記載される構造体は、一体構成要素又は別個の構成要素として具現化され得る。様々な実施形態を比較する目的で、これら実施形態の特定の態様及び利点が記載されている。必ずしも全てのこのような態様又は利点が任意の特定の実施形態によって達成されるわけではない。したがって、例えば、様々な実施形態を、1つの利点又は利点の群を、同様に本明細書中で教示又は提案され得る他の態様又は利点を必ずしも達成することなく、本明細書中に教示されるように達成する又は最適化するように実施することができる。
【0113】
本明細書中で使用される、特に、「can」、「could」、「might」、「may」、「e.g.」等の条件的文言は、明確に記載されない限り、又は使用される文脈内で理解されない限り、一般に、特定の実施形態が特定の特徴、要素及び/又は状態を、他の実施形態が含まない一方で、含むことを伝えることを目的とするものである。したがって、このような条件的文言は、一般に、特徴、要素及び/又は状態が1つ以上の実施形態に多少なりとも必要であることを意味することを意図するものではない。本明細書で使用する場合、用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」又はこれらの任意の他の変化形は、非排他的な包含を含むことを意図している。例えば、要素の一覧を含むプロセス、方法、物品、又は装置はこれらの要素のみに必ずしも限定されず、特に列挙されない又はそのようなプロセス、方法、物品若しくは装置に固有のものではない他の要素を含んでもよい。また、用語「又は(or)」がその包含的な意味において(その排他的な意味ではなく)使用され、そのため、例えば、要素の一覧を接続するために使用される場合、用語「又は」は、一覧内の要素の1つ、いくつか、又は全てを意味する。文言「X、Y及びZのうちの少なくとも1つ」などの接続的文言は、明確に記載されない限り、一般に、物品、用語等がX、Y又はZのいずれかであり得ることを伝えるために使用されるものと文脈により理解される。したがって、このような接続的文言は、特定の実施形態が少なくとも1つのX、少なくとも1つのY、及び少なくとも1つのZがそれぞれ存在することを必要とすることを一般に意味するものではない。本明細書で使用する場合、「約(about)」又は「約(approximately)」という語は、値が記載した値の±10%の範囲内、±5%の範囲内、又は±1%の範囲内であることを意味し得る。
【0114】
本明細書中に記載される方法及びプロセスは、1つ以上の汎用コンピュータ及び/又は専用コンピュータにより実行されるソフトウェアコードモジュールに組み込まれてもよく、且つこれにより部分的に又は完全に自動化されてもよい。「モジュール」という語は、ハードウェア及び/又はファームウェアに組み込まれる論理、又は例えば、C又はC++などのプログラミング言語で書かれた、入口点及び出口点を有する可能性のあるソフトウェア命令の集合体を意味する。ソフトウェアモジュールは、コンパイルされ、実行可能プログラムにリンクさせてもよく、動的にリンクしたライブラリにインストールしてもよく、又は例えば、BASIC、Perl若しくはPythonなどのインタプリタ形式のプログラミング言語で書かれてもよい。ソフトウェアモジュールは他のモジュール又はそれ自体から呼び出し可能であってもよい及び/又は検出されたイベント又は割り込みに応答して呼び出されてもよいことは理解されよう。ソフトウェア命令は消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(EPROM)などのファームウェアに組み込まれてもよい。ゲート及びフリップフロップなどの接続された論理ユニットを含んでもよい及び/又はプログラマブルゲートアレイ、特定用途用集積回路及び/若しくはプロセッサなどのプログラマブルユニットを含んでもよいことは更に理解されよう。本明細書中に記載されるモジュールはソフトウェアモジュールとして実装され得るが、また、ハードウェア及び/又はファームウェアにおいて示されてもよい。更に、いくつかの実施形態ではモジュールは別々にコンパイルされてもよいが、他の実施形態では、モジュールは別々にコンパイルされたプログラムの命令のサブセットを示してもよく、他の論理的プログラムユニットが利用可能なインターフェイスを有しなくてもよい。
【0115】
特定の実施形態では、コードモジュールが任意の種類のコンピュータ可読媒体又は他のコンピュータストレージデバイスに実装されてもよい及び/又は格納されてもよい。いくつかのシステムでは、システムに入力されたデータ(及び/又はメタデータ)、システムにより生成されたデータ、及び/又はシステムにより使用されたデータは、リレーショナルデータベース及び/又はフラットファイルシステムなどの任意の種類のコンピュータデータリポジトリに格納され得る。本明細書中に記載されるシステム、方法及びプロセスのいずれも、ユーザ、オペレータ、他のシステム、構成要素、プログラム等との対話を可能にするように構成されたインターフェイスを含んでもよい。
【0116】
本明細書中に記載される実施形態に多くの変更及び修正を施してもよく、その要素は許容可能な例に含まれるものと理解されることは強調すべきである。そのような全ての修正及び変更は、本明細書中では本開示の範囲内に含まれ、以下の特許請求の範囲により保護されるものである。更に、前述の開示のいずれも、任意の特定の構成要素、特徴、又は工程段階が必要又は必須であることを意味するものではない。
図1a
図1b
図2
図3
図4a
図4b
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2022-06-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス流を加湿するための呼吸補助システムであって、
加湿チャンバであって、前記加湿チャンバにガスを通過させるための入口と出口とを含み、一定量の水を保持するように適合された加湿チャンバと、
前記加湿チャンバに隣接するヒータであって、前記加湿チャンバ内の前記一定量の水に熱を供給するように適合されたヒータと、
前記加湿チャンバに配置されたフローセンサと、
前記加湿チャンバと関連付けられた温度センサと、
ヒータプレート、前記フローセンサ、及び前記温度センサと電子通信するコントローラと、
を含み、
前記コントローラは、少なくとも1つの動作状態を、前記ヒータの温度、前記加湿チャンバの前記出口の温度、又は治療モード及び流量のうちの少なくとも1つに基づき決定するように構成されており、
前記コントローラは、少なくとも1つの水切れ検知方法を、決定された前記動作状態に基づき選択するように更に構成されている、
呼吸補助システム。
【外国語明細書】