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特開2022-119931管腔内プロテーゼ展開デバイスおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022119931
(43)【公開日】2022-08-17
(54)【発明の名称】管腔内プロテーゼ展開デバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/962 20130101AFI20220809BHJP
【FI】
A61F2/962
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088443
(22)【出願日】2022-05-31
(62)【分割の表示】P 2017565180の分割
【原出願日】2016-07-28
(31)【優先権主張番号】62/201,046
(32)【優先日】2015-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/199,168
(32)【優先日】2015-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500369717
【氏名又は名称】トリバスキュラー・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】TriVascular, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ディエゴ アリスティサバル
(72)【発明者】
【氏名】デール エル. エーネス
(72)【発明者】
【氏名】テレサ ウッドソン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】展開プロセスの間の管腔内プロテーゼの位置の制御を維持しながらの患者の体腔内における管腔内プロテーゼの展開のための改良されたカテーテルシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】展開手技の間、カテーテルシステムの構成要素の摩擦力を最小限にするように構成される。管腔内プロテーゼ12を患者の体腔内で展開するためのカテーテルシステムのいくつかの実施形態は、近位端と、遠位端と、遠位区分と、患者の体腔を通したシャーシ16の前進のために十分な全体的柱強度とを有する、可撓性伸長シャーシを含む。カテーテルシステムはまた、シャーシの遠位区分にわたって拘束状態で配置される、自己拡張式管状管腔内プロテーゼを含んでもよい。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管腔内プロテーゼを患者の体腔内で展開するためのカテーテルシステムであって、
可撓性伸長シャーシであって、近位端、遠位端、遠位区分、および前記患者の前記体腔を通した前記シャーシの前進のために十分な全体的柱強度を有する可撓性伸長シャーシと、
前記管腔内プロテーゼであって、前記管腔内プロテーゼは、前記シャーシの前記遠位区分にわたって拘束状態で配置される自己拡張式管状管腔内プロテーゼである、前記管腔内プロテーゼと、
薄く可撓性かつ弾力性のある延在部であって、
前記シャーシに固定関係で固着される近位端と、
前記シャーシの外側表面から半径方向外向き、かつ前記延在部の前記近位端の遠位に配置される遠位端と
を備える、薄く可撓性かつ弾力性のある延在部と
を備え、前記延在部は、前記延在部が半径方向に拘束された状態にあると、前記延在部が、前記管腔内プロテーゼの遠位区画を少なくとも部分的に捕捉し、前記シャーシに対する前記管腔内プロテーゼの近位変位を制限するように、前記管腔内プロテーゼの遠位端の壁を通して延在し、前記延在部は、非拘束弛緩状態では、S形状を備え、前記延在部の前記S形状の最近位偏向および前記延在部の前記S形状の最遠位偏向は、異なる方向に延在する、カテーテルシステム。
【請求項2】
前記カテーテルシステムは、前記管腔内プロテーゼおよびシャーシにわたって配置された管状外側シースをさらに備え、前記管状外側シースは、前記管腔内プロテーゼを前記拘束状態に拘束する内側表面を含む、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項3】
前記最近位偏向の外向きに面する曲率は、前記拘束された管状構造内の通過のために成形された丸形外形に対応する、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項4】
前記最近位偏向は、前記シャーシの外側表面と前記延在部との間に間隙を提供する、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項5】
管腔内プロテーゼを患者の体腔内で展開するためのカテーテルシステムであって、
可撓性伸長シャーシであって、近位端、遠位端、および患者の体腔を通した前記シャーシの前進のために構成される柱強度を有する可撓性伸長シャーシと、
前記シャーシの前記遠位端に拘束状態で配置される、自己拡張式管状管腔内プロテーゼと、
管状外反シースであって、
第1の直径と、前記シャーシに固定関係で固着される固定端と、前記管腔内プロテーゼにわたって配置され、前記管腔内プロテーゼを前記拘束状態で半径方向に拘束する管腔内プロテーゼ区分とを含む内側区分と、
前記内側区分の前記管腔内プロテーゼ区分にわたって外反される外側区分であって、前記外側区分は、後退端と、第2の直径とを含み、前記第2の直径は、前記後退端の後退および前記外反シースの外反の間、前記外側区分が前記内側区分にわたって容易に摺動可能であるように、前記内側区分の前記第1の直径よりも大きい、外側区分と
を備える、管状外反シースと
を備える、カテーテルシステム。
【請求項6】
前記外側区分の前記第2の直径は、前記管状外反シースの前記外側区分の少なくとも壁厚の量だけ前記内側区分の前記第1の直径よりも大きい、請求項5に記載のカテーテルシステム。
【請求項7】
前記外反シースの前記外側区分の前記後退端に配置される一体型漏斗区分であって、前記漏斗区分は、弛緩拡張状態において前記管腔内プロテーゼの外径よりも大きな大径をその開口部に有する、一体型漏斗区分と、
前記一体型漏斗に固着され、前記一体型漏斗から延在する後退テザーと
をさらに備える、請求項5に記載のカテーテルシステム。
【請求項8】
円錐形頭部をさらに備え、
前記円錐形頭部が前記管腔内プロテーゼの遠位にある軸方向位置において前記シャーシに固着される、または、
前記円錐形頭部が前記シャーシの前記遠位端に固着され、前記円錐形頭部が前記管状外反シースの遠位端内に配置される肩部部分を含む
のうちの少なくとも1つである、請求項5に記載のカテーテルシステム。
【請求項9】
前記シャーシの近位端に固着される近位アダプタをさらに備える、請求項5に記載のカテーテルシステム。
【請求項10】
前記シャーシは、前記シャーシの前記近位端から前記シャーシの前記遠位端まで延在するガイドワイヤ管腔を備える、請求項5に記載のカテーテルシステム。
【請求項11】
前記管状管腔内プロテーゼは、自己拡張式ステントに固着される応従性材料の少なくとも1つの層を含む管状ステントグラフトを備え、
前記ステントグラフトは、完全にステントが内挿されたステントグラフトを含む、請求項5に記載のカテーテルシステム。
【請求項12】
管腔内プロテーゼを患者の体腔内で展開するためのカテーテルシステムであって、
可撓性伸長シャーシであって、近位端、遠位端、および患者の体腔を通した前記シャーシの前進のために構成される柱強度を有する可撓性伸長シャーシと、
前記シャーシの前記遠位端に拘束状態で配置される自己拡張式管状管腔内プロテーゼと、
管状外反シースであって、
前記シャーシに固定関係で固着される固定端と、前記管腔内プロテーゼにわたって配置され、前記管腔内プロテーゼを前記拘束状態で半径方向に拘束する管腔内プロテーゼ区分とを含む内側区分と、
前記内側区分の前記管腔内プロテーゼ区分にわたって外反される外側区分であって、後退端を含む外側区分と、
前記外側区分が前記内側区分にわたって容易に摺動可能であるように、隣接するノードを相互接続する別個の原繊維を伴わない独立気泡微小構造を有するPTFE材料と
を備える、管状外反シースと
を備える、カテーテルシステム。
【請求項13】
前記外反シースは、ともに固着される応従性PTFE材料の複数の層を含む層状管状構造を備え、
前記PTFE材料構造積層材は、強度のために、前記外反シースの長手方向または前記外反シースの円周方向のうちの少なくとも1つに沿って異方的に配向される、請求項12に記載のカテーテルシステム。
【請求項14】
前記外反シースの前記層状管状構造の隣接する層間に配置され、前記管腔内プロテーゼ区分および前記外反シースの外側区分に沿って長手方向に延在する、薄く伸長の高引張後退テザーをさらに備える、請求項13に記載のカテーテルシステム。
【請求項15】
前記外反シースの前記層状管状構造の2つの隣接する層間に配置される、複数の薄く伸長の高引張後退テザーをさらに備え、前記複数の薄く伸長の高引張後退テザーは、前記外反シースの管状構造まわりに螺旋状に巻着される、請求項14に記載のカテーテルシステム。
【請求項16】
管腔内プロテーゼを拘束するように構成されるシースの中に前記管腔内プロテーゼを装填する方法であって、
複数の薄い高引張テザーループに前記管腔内プロテーゼの端部を通過させることと、
前記複数のテザーループに前記シースの内腔を通過させることと、
前記シースの端部を押さえ、前記テザーループのそれぞれの両端を同時に引っ張ることであって、これにより、引張力を前記管腔内プロテーゼに印加するように、前記テザーループが前記シースの前記内腔を通して引っ張られ、前記管腔内プロテーゼが、前記シースの前記内腔内の管腔内プロテーゼ区分まで前記シースの前記内腔の中に引き込まれるにつれて、半径方向に圧縮および拘束される、ことと、
その後、前記テザーループのそれぞれが、前記管腔内プロテーゼおよび前記シースの前記内腔から引き抜かれるまで、前記テザーループのそれぞれの片側のみを引っ張り、各テザーループの反対端を解放することと
を含む、方法。
【請求項17】
前記管腔内プロテーゼを拘束するように構成される前記シースは、カテーテルシステムの外反シースを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記シースは、外反シースを備え、前記テザーを引っ張ることは、前記管腔内プロテーゼが、前記外反シースの内側区分の管腔内プロテーゼ区分内に配置されて前記管腔内プロテーゼ区分によって拘束されるまで、それらを前記外反シースを通して引っ張ることを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記管腔内プロテーゼを拘束するように構成される前記シースは、カテーテルシステムの近位に後退可能な外側シースを含む、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、2015年7月30日に出願され、”Stent Graft Deployment Devices and Methods Using Double-Backed Sheath”と題されたD.Ehnesによる米国仮特許出願第62/199,168号および2015年8月4日に出願され、”Stent Retention
Mechanisms and Methods for Endoluminal Prosthesis Delivery”と題されたD.Woodsonらによる米国仮特許出願第62/201,046号からの優先権を主張するものであり、これらの両方は、全体が参照により本明細書中に援用される。
【背景技術】
【0002】
動脈瘤は、概して、患者の動脈の壁の拡張および弱化によって示される、血管障害である。動脈瘤は、患者の身体内の種々の部位において発症し得る。胸部大動脈瘤(TAA)または腹部大動脈瘤(AAA)は、大動脈の拡張および弱化によって現れ、これは、介入が概して適応される、深刻かつ致死的な疾患である。動脈瘤を治療する既存の方法は、罹患した血管もしくは体腔のグラフト交換またはグラフトを用いた血管の補強を伴う、侵襲性外科手術手技を含む。
【0003】
大動脈瘤を治療するための外科手術手技は、本疾患の外科手術的修復に固有のリスク要因ならびに長期入院および痛みを伴う回復に起因して、比較的に高い疾病率および死亡率を有し得る。これは、特に、TAAの外科手術的修復に関して当てはまり、これは、概して、AAAの外科手術的修復と比較すると、より高いリスクおよびさらなる困難を伴うと見なされる。AAAの修復を伴う外科手術手技の実施例が、W. B. Saunders Companyによって1986年に出版された、Denton A. Cooley, M. D.による「Surgical Treatment of Aortic
Aneurysms」と題された書籍に説明されている。
【0004】
大動脈瘤の外科手術的修復の固有のリスクおよび複雑性に起因して、低侵襲性血管内修復が、その中でもとりわけ、AAAを治療する際に、広く使用される代替療法となっている。本分野における初期研究が、Lawrence, Jr. et al.によって「Percutaneous Endovascular Graft:Experimental Evaluation」(Radiology)(1987年5月)において、およびMirich et al.によって「Percutaneously Placed Endovascular Grafts for Aortic Aneurysms:Feasibility Study」(Radiology)(1989年3月)において例示されている。
【0005】
カテーテルまたは他の好適な器具によって管腔内プロテーゼタイプデバイスを展開するとき、種々の誘導カテーテルならびに患者の時として蛇行した解剖学的構造を通した通過のためのステントグラフト等の可撓性かつ薄型管腔内プロテーゼおよびカテーテルシステムを有することが、有利であり得る。患者の体腔内の動脈瘤ならびに他の適応症の治療のための既存の血管内プロテーゼおよび方法の多くは、以前のデバイスならびに方法に優る有意な進歩を表す一方、多くの場合、最大24フレンチの比較的に大きい横断外形を有するシステムを使用する。また、そのような既存のシステムは、所望のものを上回る側方堅性を有し、これは、特に、高度の曲率または角形成を含む血管障害部位の治療における使用に関して、送達プロセスを複雑化させ得る。より可撓性の薄型送達システムであっても、非常に角張り、湾曲した血管内の血管内プロテーゼの展開は、展開プロセス中のプロテーゼの配向の可視化または撮像における困難に起因して、問題となり得る。加えて、そのような角張ったまたは蛇行性解剖学的構造はまた、望ましくない摩擦量をカテーテルシステムの構成要素間に誘発し得、これは、カテーテルシステムの動作をいくつかの状況において困難にし得る。したがって、患者の体腔内の動脈瘤ならびに他の適応症の低侵襲性血管内治療は、そのような手技から利益を享受するであろう多くの患者に対して利用可能ではない場合があり、その手技が示されるそれらの患者に対して実行することがより困難であり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
必要とされているものは、好適な管腔内プロテーゼが可撓性薄型カテーテルシステムを使用して安全かつ確実に展開され得るように、広い範囲の患者解剖学的構造に適合可能である、カテーテルシステムおよびこれらのカテーテルシステムの使用方法である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
管腔内プロテーゼを患者の体腔内で展開するためのカテーテルシステムのいくつかの実施形態は、近位端と、遠位端と、遠位区分と、患者の体腔を通したシャーシの前進のために十分な全体的柱強度とを有する、可撓性伸長シャーシを含む。カテーテルシステムはまた、シャーシの遠位区分にわたって拘束状態で配置される、自己拡張式管状管腔内プロテーゼを含んでもよい。加えて、そのようなカテーテルシステムは、伸長カテーテルシャーシに固定関係で固着される、近位端と、シャーシの外側表面から半径方向外向きであって、かつ延在部の近位端の遠位に配置される、遠位端とを含む、薄く可撓性かつ弾力性のある延在部を含んでもよい。そのようなカテーテルシステムに関して、延在部は、延在部が半径方向に拘束された状態にあると、延在部が、管腔内プロテーゼの遠位区画を少なくとも部分的に捕捉し、シャーシに対する管腔内プロテーゼの近位変位を制限するように、管腔内プロテーゼの遠位端の壁を通して延在してもよい。いくつかの場合では、そのようなカテーテルシステムは、複数のそのような延在部を含んでもよい。
【0008】
管腔内プロテーゼを患者の体腔内で展開するためのカテーテルシステムのいくつかの実施形態は、近位端と、遠位端と、遠位区分と、患者の体腔を通したシャーシの前進のために十分な全体的柱強度とを有する、可撓性伸長シャーシを含む。カテーテルシステムはまた、シャーシの遠位区分にわたって拘束状態で配置される、自己拡張式管状管腔内プロテーゼを含んでもよい。加えて、カテーテルシステムはまた、伸長カテーテルシャーシに固定関係で固着される、近位端と、シャーシの外側表面から半径方向外向きであって、かつ延在部の近位端の遠位に配置される、遠位端とを有する、剛性延在部を含んでもよい。そのようなカテーテルシステムに関して、延在部は、延在部が半径方向に拘束された状態にあると、延在部が、管腔内プロテーゼの遠位区画を少なくとも部分的に捕捉し、シャーシに対する管腔内プロテーゼの近位変位を制限するように、管腔内プロテーゼの遠位端の壁を通して延在してもよい。いくつかの場合では、そのようなカテーテルシステムは、複数のそのような剛性延在部を含んでもよい。
【0009】
管腔内プロテーゼを患者の体腔内で展開するための方法のいくつかの実施形態は、カテーテルシステムの管腔内プロテーゼが治療部位に配置されるまで、管腔内プロテーゼの展開のためのカテーテルシステムを患者の体腔の中に前進させるステップを含む。外側拘束力は、次いで、延在部がシャーシに対する管腔内プロテーゼの近位軸方向移動を防止しながら、管腔内プロテーゼから除去されてもよい。そのような延在部は、伸長カテーテルシャーシに固定関係で固着される、近位端と、シャーシの外側表面から半径方向外向きであって、かつ延在部の近位端の遠位に配置される、遠位端とを含んでもよい。延在部はまた、延在部が半径方向に拘束された状態にあると、延在部が管腔内プロテーゼの遠位区画を少なくとも部分的に捕捉するように、管腔内プロテーゼの遠位端の壁を通して延在する。管腔内プロテーゼは、次いで、管腔内プロテーゼの外側表面が患者の体腔の内側表面に接触するように、自己拡張することを可能にされる。シャーシおよび延在部は、次いで、延在部が管腔内プロテーゼの遠位端の壁を通して軸方向に通過し、管腔内プロテーゼを完全に係脱するように、近位に後退されてもよい。
【0010】
管腔内プロテーゼを患者の体腔内で展開するためのカテーテルシステムのいくつかの実施形態は、近位端と、遠位端と、遠位区分と、患者の体腔を通したシャーシの前進のために十分な全体的柱強度とを有する、可撓性伸長シャーシを含む。そのようなカテーテルシステムはまた、シャーシの遠位区分にわたって拘束状態で配置される、自己拡張式管状管腔内プロテーゼを含んでもよい。加えて、そのようなカテーテルシステムは、伸長カテーテルシャーシに固定関係で固着される、固定端と、固定端と反対に配置される、遊離端とを有する、薄い可撓性の軸方向ベルトを含んでもよい。そのようなカテーテルシステム実施形態に関して、軸方向ベルトは、管腔内プロテーゼの壁の遠位区画を通して固定端および遊離端から近位に延在する、ループを形成してもよい。軸方向ベルトの遊離端は、円周方向ベルトがシャーシおよび遊離端を中心として配置されると、ループが、管腔内プロテーゼの遠位区画を捕捉し、シャーシに対する管腔内プロテーゼの近位変位を制限するように、シャーシに解放可能に固定関係で固着される。
【0011】
管腔内プロテーゼを患者の体腔内で展開するための方法のいくつかの実施形態は、カテーテルシステムの管腔内プロテーゼが治療部位に配置されるまで、管腔内プロテーゼの展開のためのカテーテルシステムを患者の体腔の中に前進させるステップを含む。外側拘束力は、軸方向ベルトがシャーシに対する管腔内プロテーゼの近位軸方向移動を制限しながら、管腔内プロテーゼから除去されてもよい。そのような軸方向ベルトは、伸長カテーテルシャーシに固定関係で固着される、固定端と、固定端と反対に配置される、遊離端とを含んでもよい。軸方向ベルトは、軸方向ベルトの遊離端がシャーシに解放可能に固定関係で固着され、円周方向ベルトがシャーシおよび遊離端を中心として配置されると、ループが管腔内プロテーゼの遠位区画を捕捉するように、管腔内プロテーゼの壁の遠位区画を通して固定端および遊離端から近位に延在する、ループを形成する。管腔内プロテーゼは、管腔内プロテーゼの外側表面が患者の体腔の内側表面に接触するように、拘束力の除去によって自己拡張することを可能にされてもよい。管腔内プロテーゼが完全に展開され、体腔に係合することを可能にするように、円周方向ベルトは、次いで、軸方向ベルトから解放され、軸方向ベルトは、管腔内プロテーゼの遠位区画から解放される。シャーシおよび軸方向ベルトは、次いで、軸方向ベルトが管腔内プロテーゼの遠位端の壁から抜去されるように、近位に後退されてもよい。
【0012】
管腔内プロテーゼを患者の体腔内で展開するためのカテーテルシステムのいくつかの実施形態は、近位端と、遠位端と、遠位区分と、患者の体腔を通したシャーシの前進のために十分な全体的柱強度とを有する、可撓性伸長シャーシを含む。そのようなカテーテルシステムはまた、シャーシの遠位区分にわたって拘束状態で配置される、自己拡張式管状管腔内プロテーゼを含んでもよい。加えて、そのようなカテーテルシステムは、複数の軸方向解放ワイヤを含んでもよく、各軸方向解放ワイヤは、近位端と、遠位端と、遠位区分とを有する。そのような実施形態に関して、各解放ワイヤの遠位区分は、管腔内プロテーゼの壁の遠位区画を通して延在してもよく、遠位区分は、シャーシに固着され、そこから半径方向外向きに延在する、一対の軸方向に離間されるブッシングに解放可能に固定関係で固着される。そのような構造は、遠位区分、軸方向に離間されるブッシング、およびシャーシの外側表面間にループ構造または別様に封入された構造を形成するように構成され、したがって、本ループ構造は、管腔内プロテーゼの遠位区画を解放可能に捕捉し、シャーシに対する管腔内プロテーゼの近位変位を制限してもよい。
【0013】
管腔内プロテーゼを患者の体腔内で展開するためのカテーテルシステムのいくつかの実施形態は、近位端と、遠位端と、患者の体腔を通したシャーシの前進のために構成される柱強度とを有する、可撓性伸長シャーシを含む。そのようなカテーテルシステムはまた、シャーシの遠位端に拘束状態で配置される、自己拡張式管状管腔内プロテーゼを含んでもよい。加えて、そのようなカテーテルシステムは、第1の直径と、シャーシに固定関係で固着される、固定端と、管腔内プロテーゼにわたって配置され、それを拘束状態で半径方向に拘束する、管腔内プロテーゼ区分を含む、内側区分とを有する、管状外反シースを含んでもよい。管状外反シースはまた、内側部分の管腔内プロテーゼ区分にわたって外反される、外側区分を有してもよい。外側区分は、後退端の後退および外反シースの外反の間、外側区分が内側区分にわたって容易に摺動可能であるように、後退端および内側区分の第1の直径より大きい第2の直径を含んでもよい。
【0014】
管腔内プロテーゼを患者の体腔内で展開するためのカテーテルシステムのいくつかの実施形態は、近位端と、遠位端と、患者の体腔を通したシャーシの前進のために構成される柱強度とを有する、可撓性伸長シャーシを含んでもよい。そのようなカテーテルシステムはまた、シャーシの遠位端に拘束状態で配置される、自己拡張式管状管腔内プロテーゼを含んでもよい。加えて、そのようなカテーテルシステムは、シャーシに固定関係で固着される固定端と、管腔内プロテーゼにわたって配置され、それを拘束状態で半径方向に拘束する、管腔内プロテーゼ区分を含む、内側区分とを有する、管状外反シースを含んでもよい。管状外反シースはまた、内側部分の管腔内プロテーゼ区分にわたって外反される、外側区分を有してもよい。外側区分はまた、後退端を含んでもよい。外反シースはまた、外側区分が内側区分にわたって容易に摺動可能であるように、隣接するノードを相互接続する明確に異なる原繊維を伴わない独立気泡微小構造を有する、PTFE材料を含んでもよい。
【0015】
管腔内プロテーゼを患者の体腔内で展開するための方法のいくつかの実施形態は、カテーテルシステムの管腔内プロテーゼが治療部位に拘束状態で配置されるまで、管腔内プロテーゼの展開のためのカテーテルシステムを患者の体腔の中に前進させるステップを含む。管腔内プロテーゼは、管状外反シースの内側区分の管腔内プロテーゼ区分によって拘束状態に保持される。いくつかの場合では、内側区分は、第1の直径と、カテーテルシステムの伸長シャーシに固定関係で固着される固定端とを有してもよい。外側拘束力は、管状外反シースの外側区分の後退端を近位に後退させることによって、管腔内プロテーゼから除去されてもよい。そのような外側区分は、内側区分の管腔内プロテーゼ区分にわたって外反され、内側区分の第1の直径より大きい第2の直径を含んでもよい。管腔内プロテーゼは、したがって、内側区分の管腔内プロテーゼ区分が近位に外反されるにつれて、管腔内プロテーゼから半径方向拘束力を除去するように、自己拡張することが可能にされてもよい。管腔内プロテーゼが自己拡張するにつれて、管腔内プロテーゼの外側表面は、次いで、患者の体腔の内側表面に係合してもよい。
【0016】
管腔内プロテーゼを患者の体腔内で展開するための方法のいくつかの実施形態は、カテーテルシステムの管腔内プロテーゼが治療部位に拘束状態で配置されるまで、管腔内プロテーゼの展開のためのカテーテルシステムを患者の体腔の中に前進させるステップを含む。そのようなカテーテルシステムに関して、管腔内プロテーゼは、管状外反シースの内側区分の管腔内プロテーゼ区分によって拘束状態に保持されてもよい。そのような管状外反シースは、隣接するノードを相互接続する明確に異なる原繊維を伴わない独立気泡微小構造を有する、PTFE材料を含んでもよい。内側区分は、カテーテルシステムの伸長シャーシに固定関係で固着される固定端を含んでもよい。外側拘束力は、次いで、管状外反シースの外側区分の後退端を近位に後退させることによって、管腔内プロテーゼから除去されてもよい。そのような外側区分は、内側区分の管腔内プロテーゼ区分にわたって外反されてもよい。管腔内プロテーゼは、次いで、内側区分の管腔内プロテーゼ区分が近位に外反されるにつれて、管腔内プロテーゼから半径方向拘束力を除去するように、自己拡張することを可能にされてもよい。管腔内プロテーゼが自己拡張するにつれて、管腔内プロテーゼの外側表面は、患者の体腔の内側表面に係合してもよい。
【0017】
管腔内プロテーゼを患者の体腔内で展開するためのカテーテルシステムのいくつかの実施形態は、近位端と、遠位端と、遠位区分と、患者の体腔を通したシャーシの前進のために十分な全体的柱強度とを有する、可撓性伸長シャーシを含んでもよい。カテーテルシステムはまた、シャーシの遠位区分にわたって拘束状態で配置される、自己拡張式管状管腔内プロテーゼと、管腔内プロテーゼの遠位端の壁を通して延在する、薄く可撓性かつ弾力性のある延在部とを含んでもよい。延在部は、延在部が、管腔内プロテーゼの遠位区画を少なくとも部分的に捕捉し、シャーシに対する管腔内プロテーゼの近位変位を制限するように、半径方向に拘束された状態で配置されてもよい。延在部は、伸長カテーテルシャーシに固定関係で固着される、近位端と、シャーシの外側表面から半径方向外向きであって、かつ延在部の近位端の遠位に配置される、遠位端とを含んでもよい。加えて、カテーテルシステムはさらに、シャーシに固定関係で固着される、固定端と、管腔内プロテーゼおよび延在部にわたって配置され、それを拘束状態で半径方向に拘束する、管腔内プロテーゼ区分を含む、内側区分とを有する、管状外反シースを含んでもよい。管状外反外側シースはまた、内側部分の管腔内プロテーゼ区分にわたって外反される、外側区分を有してもよく、外側区分は、固定端に対して外反シースの反対端に配置される、後退端を含む。
【0018】
管腔内プロテーゼを患者の体腔内で展開するための方法のいくつかの実施形態は、カテーテルシステムの管腔内プロテーゼが治療部位に配置されるまで、管腔内プロテーゼの展開のためのカテーテルシステムを患者の体腔の中に前進させるステップを含んでもよい。そのようなカテーテルシステムに関して、管腔内プロテーゼおよび管腔内プロテーゼの遠位区画を少なくとも部分的に捕捉する弾力性かつ可撓性の延在部は両方とも、管状外反シースの内側区分の管腔内プロテーゼ区分によって拘束状態で保持されてもよい。外側拘束力は、その後、管状外反シースの外側区分の後退端を近位に後退させることによって、管腔内プロテーゼおよび延在部から除去されてもよい。外側区分の後退は、近位後退の間、延在部がカテーテルシステムの可撓性伸長シャーシに対する管腔内プロテーゼの近位軸方向移動を防止しながら、外側区分が内側区分の管腔内プロテーゼ区分にわたって外反されることによって実施されてもよい。管腔内プロテーゼおよび延在部は、次いで、管腔内プロテーゼの外側表面が患者の体腔の内側表面に係合するように、自己拡張することを可能にされてもよい。最後に、シャーシおよび延在部は、延在部が管腔内プロテーゼの遠位端の壁を通して軸方向に通過し、もはや管腔内プロテーゼの遠位区画に係合しないように、近位に後退されてもよい。
【0019】
管腔内プロテーゼを拘束するように構成されるシースの中に管腔内プロテーゼを装填する方法のいくつかの実施形態は、複数の薄高引張テザーループを管腔内プロテーゼの端部を通して通過させるステップを含む。複数のテザーループもまた、シースの内腔を通して通過される。シースの端部は、押さえられ、テザーループのそれぞれの両端が、管腔内プロテーゼから離れる方向に同時に引っ張られ、したがって、テザーループがシースの内腔を通して引動され、軸方向引張力がそれによって、管腔内プロテーゼの端部に印加され、シースの内腔の漏斗区分の中にシースの内腔内の管腔内プロテーゼ区分まで引き込まれるにつれて、管腔内プロテーゼは、半径方向に圧縮および拘束される。その後、テザーループのそれぞれの片側のみが、引っ張られ、各テザーループの反対端は、テザーループのそれぞれが、管腔内プロテーゼおよびシースの内腔から引き抜かれるまで解放される。
【0020】
ある実施形態が、以下の説明、実施例、請求項、および図面にさらに説明される。実施形態のこれらの特徴は、付随の例示的図面と関連して検討されることによって、以下の発明を実施するための形態からより明白となるであろう。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
管腔内プロテーゼを患者の体腔内で展開するためのカテーテルシステムであって、
近位端、遠位端、遠位区分、および患者の体腔を通したシャーシの前進のために十分な全体的柱強度を有する、可撓性伸長シャーシと、
前記シャーシの遠位区分にわたって拘束状態で配置される、自己拡張式管状管腔内プロテーゼと、
薄く可撓性かつ弾力性のある延在部であって、
前記シャーシに固定関係で固着される近位端と、
前記シャーシの外側表面から半径方向外向きであって、かつ前記延在部の近位端の遠位に配置される遠位端と、
を備える、薄く可撓性かつ弾力性のある延在部と、
を備え、前記延在部は、前記延在部が半径方向に拘束された状態にあると、前記延在部が、前記管腔内プロテーゼの遠位区画を少なくとも部分的に捕捉し、前記シャーシに対する前記管腔内プロテーゼの近位変位を制限するように、前記管腔内プロテーゼの遠位端の壁を通して延在する、カテーテルシステム。
(項目2)
前記シャーシの縦軸に対して形成される可撓性延在部の角度は、前記延在部が弛緩非拘束状態にあると、5度~50度である、項目1に記載のカテーテルシステム。
(項目3)
前記延在部は、4mm~25mmの長さを備える、項目1に記載のカテーテルシステム。
(項目4)
前記延在部は、0.08mm~1mmの横断面積を備える、項目1に記載のカテーテルシステム。
(項目5)
前記延在部は、その非拘束弛緩状態では、S形状を備え、前記延在部のS形状の最近位偏向は、前記シャーシから離れるように延在し、前記延在部のS形状の最遠位偏向は、前記シャーシに向かって延在する、項目1に記載のカテーテルシステム。
(項目6)
複数の薄く可撓性かつ弾力性のある延在部を備え、前記複数の延在部はそれぞれ、
前記シャーシに固定関係で固着される近位端と、
前記シャーシの外側表面から半径方向外向きであって、かつ前記延在部の近位端の遠位に配置される遠位端と、
を備え、前記複数の延在部はそれぞれ、前記延在部が半径方向に拘束された状態にあると、各延在部が、前記管腔内プロテーゼの遠位区画を少なくとも部分的に捕捉し、前記シャーシに対する前記管腔内プロテーゼの近位変位を制限するように、前記管腔内プロテーゼの遠位端の壁を通して延在する、項目1に記載のカテーテルシステム。
(項目7)
前記複数の延在部は、前記シャーシを中心として円周方向配向に対して均一に分散される、項目6に記載のカテーテルシステム。
(項目8)
2つの延在部~6つの延在部を備える、項目6に記載のカテーテルシステム。
(項目9)
3つの延在部を備える、項目8に記載のカテーテルシステム。
(項目10)
前記延在部は、前記シャーシの縦軸と略同一平面にある、項目1に記載のカテーテルシステム。
(項目11)
略同一平面は、前記シャーシの縦軸と同一平面にある前記延在部の厚さ以内を含む、項目10に記載のカテーテルシステム。
(項目12)
前記延在部によって捕捉された遠位区画は、前記管腔内プロテーゼの自己拡張式ステントのステント要素を備える、項目1に記載のカテーテルシステム。
(項目13)
前記延在部によって捕捉されたステント要素は、前記ステントの円頂区分を含む、項目12に記載のカテーテルシステム。
(項目14)
前記延在部は、超弾性ニッケルチタン合金を含む、項目1に記載のカテーテルシステム。
(項目15)
前記管腔内プロテーゼおよびシャーシにわたって配置され、前記管腔内プロテーゼを前記拘束状態に拘束する内側表面を含む、管状外側シースをさらに備える、項目1に記載のカテーテルシステム。
(項目16)
前記シャーシの遠位端に固着される円錐形頭部をさらに備え、前記円錐形頭部は、前記管状外側シースの遠位端内に配置される肩部部分を含み、前記肩部部分はさらに、前記延在部が前記半径方向に拘束された状態にあるとき、前記延在部の遠位端を受け入れるように構成される、スロットを備える、項目15に記載のカテーテルシステム。
(項目17)
前記シャーシは、前記シャーシの近位端から前記シャーシの遠位端まで延在するガイドワイヤ管腔を備える、項目1に記載のカテーテルシステム。
(項目18)
前記管状管腔内プロテーゼは、自己拡張式ステントに固着される応従性材料の少なくとも1つの層を含む、管状ステントグラフトを備える、項目1に記載のカテーテルシステム。
(項目19)
前記薄い応従性の材料は、ePTFEを含む、項目18に記載のカテーテルシステム。(項目20)
前記ステントグラフトは、完全にステントが内挿されたステントグラフトを含む、項目18に記載のカテーテルシステム。
(項目21)
管腔内プロテーゼを患者の体腔内で展開するためのカテーテルシステムであって、
近位端、遠位端、遠位区分、および患者の体腔を通したシャーシの前進のために十分な全体的柱強度を有する、可撓性伸長シャーシと、
前記シャーシの遠位区分にわたって拘束状態で配置される、自己拡張式管状管腔内プロテーゼと、
剛性延在部であって、
前記シャーシに固定関係で固着される近位端と、
前記シャーシの外側表面から半径方向外向きであって、かつ前記延在部の近位端の遠位に配置される遠位端と、
を備える、剛性延在部と、
を備え、前記延在部は、前記延在部が半径方向に拘束された状態にあると、前記延在部が、前記管腔内プロテーゼの遠位区画を少なくとも部分的に捕捉し、前記シャーシに対する前記管腔内プロテーゼの近位変位を制限するように、前記管腔内プロテーゼの遠位端の壁を通して延在する、カテーテルシステム。
(項目22)
管腔内プロテーゼを患者の体腔内で展開するための方法であって、
(a)カテーテルシステムの管腔内プロテーゼが治療部位に配置されるまで、管腔内プロテーゼの展開のためのカテーテルシステムを前記患者の体腔の中に前進させるステップと、
(b)延在部がシャーシに対する前記管腔内プロテーゼの近位軸方向移動を防止しながら、外側拘束力を前記管腔内プロテーゼから除去するステップであって、前記延在部は、伸長カテーテルシャーシに固定関係で固着される近位端と、前記シャーシの外側表面から半径方向外向きであって、かつ前記延在部の近位端の遠位に配置される遠位端とを備え、前記延在部は、前記延在部が半径方向に拘束された状態にあると、前記延在部が前記管腔内プロテーゼの遠位区画を少なくとも部分的に捕捉するように、前記管腔内プロテーゼの遠位端の壁を通して延在する、ステップと、
(c)前記管腔内プロテーゼの外側表面が前記患者の体腔の内側表面に接触するように、前記管腔内プロテーゼが自己拡張することを可能にするステップと、
(e)前記延在部が前記管腔内プロテーゼの遠位端の壁を通して軸方向に通過するように、前記シャーシおよび延在部を近位に後退させるステップと、
を含む、方法。
(項目23)
前記カテーテルシステムは、前記管腔内プロテーゼを拘束状態に保持するように、前記シャーシおよび管腔内プロテーゼにわたって配置される管状外側シースを備え、前記外側拘束力を前記管腔内プロテーゼから除去するステップは、前記管状外側シースを近位に後退させるステップを含む、項目22に記載の方法。
(項目24)
前記カテーテルシステムを前記患者の体腔の中に前進させるステップは、前記カテーテルシステムの管腔内プロテーゼが前記治療部位に配置されるまで、前記カテーテルシステムをガイドワイヤにわたって前進させるステップを含む、項目22に記載の方法。
(項目25)
管腔内プロテーゼを患者の体腔内で展開するためのカテーテルシステムであって、
近位端、遠位端、遠位区分、および患者の体腔を通したシャーシの前進のために十分な全体的柱強度を有する、可撓性伸長シャーシと、
前記シャーシの遠位区分にわたって拘束状態で配置される、自己拡張式管状管腔内プロテーゼと、
薄い可撓性の軸方向ベルトであって、
前記シャーシに固定関係で固着される、固定端と、
前記固定端と反対に配置される、遊離端と、
を備える、薄い可撓性の軸方向ベルトと、
を備え、前記軸方向ベルトは、前記軸方向ベルトの遊離端が前記シャーシに解放可能に固定関係で固着され、解放可能円周方向ベルトが前記シャーシおよび遊離端を中心として配置されると、前記ループが、前記管腔内プロテーゼの遠位区画を捕捉し、前記シャーシに対する前記管腔内プロテーゼの近位変位を制限するように、前記管腔内プロテーゼの壁の遠位区画を通して前記固定端および遊離端から近位に延在する、ループを形成する、カテーテルシステム。
(項目26)
前記円周方向ベルトは、前記円周方向ベルトを前記シャーシおよび軸方向ベルトを中心として拘束状態に解放可能に固着し、前記円周方向ベルトから前記シャーシの近位端まで軸方向に延在する、トリガワイヤによって固着される、項目25に記載のカテーテルシステム。
(項目27)
前記軸方向ベルトは、10mm~25mmの長さを備える、項目25に記載のカテーテルシステム。
(項目28)
前記軸方向ベルトは、0.08mm~1mmの横断面積を備える、項目25に記載のカテーテルシステム。
(項目29)
複数の薄い可撓性の軸方向ベルトを備え、前記複数の軸方向ベルトはそれぞれ、
前記シャーシに固定関係で固着される、固定端と、
前記固定端と反対に配置される、遊離端と、
を備え、前記軸方向ベルトはそれぞれ、前記軸方向ベルトの遊離端が前記シャーシに固定関係で解放可能に固着され、円周方向ベルトが前記軸方向ベルトのそれぞれのシャーシおよび遊離端を中心として配置されると、ループを形成し、前記ループは、前記管腔内プロテーゼの遠位区画を捕捉し、前記シャーシに対する前記管腔内プロテーゼの近位変位を制限するように、前記管腔内プロテーゼの壁の遠位区画を通して前記固定端および遊離端から近位に延在する、項目25に記載のカテーテルシステム。
(項目30)
前記複数の軸方向ベルトは、前記シャーシを中心として円周方向配向に対して均一に分散される、項目29に記載のカテーテルシステム。
(項目31)
2つの軸方向ベルト~6つの軸方向ベルトを備える、項目29に記載のカテーテルシステム。
(項目32)
3つの軸方向ベルトを備える、項目31に記載のカテーテルシステム。
(項目33)
前記軸方向ベルトによって捕捉された遠位区画は、前記管腔内プロテーゼの自己拡張式ステントのステント要素を備える、項目25に記載のカテーテルシステム。
(項目34)
前記軸方向ベルトによって捕捉されたステント要素は、前記ステントの円頂区分を含む、項目33に記載のカテーテルシステム。
(項目35)
前記軸方向ベルトは、超弾性ニッケルチタン合金を含む、項目25に記載のカテーテルシステム。
(項目36)
前記円周方向ベルトは、超弾性ニッケルチタン合金を含む、項目25に記載のカテーテルシステム。
(項目37)
前記管腔内プロテーゼおよびシャーシにわたって配置され、前記管腔内プロテーゼを前記拘束状態に拘束する内側表面を含む、管状外側シースをさらに備える、項目25に記載のカテーテルシステム。
(項目38)
前記シャーシの遠位端に固着される円錐形頭部をさらに備え、前記円錐形頭部は、前記管状外側シースの遠位端内に配置される肩部部分を含む、項目37に記載のカテーテルシステム。
(項目39)
前記シャーシは、前記シャーシの近位端から前記シャーシの遠位端まで延在するガイドワイヤ管腔を備える、項目25に記載のカテーテルシステム。
(項目40)
前記管状管腔内プロテーゼは、自己拡張式ステントに固着される応従性材料の少なくとも1つの層を含む、管状ステントグラフトを備える、項目25に記載のカテーテルシステム。
(項目41)
前記ステントグラフトは、完全にステントが内挿されたステントグラフトを含む、項目40に記載のカテーテルシステム。
(項目42)
管腔内プロテーゼを患者の体腔内で展開するための方法であって、
(a)カテーテルシステムの管腔内プロテーゼが治療部位に配置されるまで、管腔内プロテーゼの展開のためのカテーテルシステムを前記患者の体腔の中に前進させるステップと、
(b)外側拘束力を前記管腔内プロテーゼから除去するステップであって、軸方向ベルトは、シャーシに対する前記管腔内プロテーゼの近位軸方向移動を制限し、前記軸方向ベルトは、前記シャーシに固定関係で固着される、固定端と、前記固定端と反対に配置される、遊離端とを備え、前記軸方向ベルトは、前記軸方向ベルトの遊離端が前記シャーシに解放可能に固定関係で固着され、円周方向ベルトが前記シャーシおよび遊離端を中心として配置されると、前記ループが前記管腔内プロテーゼの遠位区画を捕捉するように、前記管腔内プロテーゼの壁の遠位区画を通して前記固定端および遊離端から近位に延在する、ループを形成する、ステップと、
(c)前記管腔内プロテーゼの外側表面が前記患者の体腔の内側表面に接触するように、前記管腔内プロテーゼが自己拡張することを可能にするステップと、
(d)前記円周方向ベルトを前記軸方向ベルトから、軸方向ベルトを前記管腔内プロテーゼの遠位区画から解放するステップと、
(e)前記軸方向ベルトが前記管腔内プロテーゼの遠位端の壁から抜去されるように、前記シャーシおよび軸方向ベルトを近位に後退させるステップと、
を含む、方法。
(項目43)
前記カテーテルシステムは、前記管腔内プロテーゼを拘束状態に保持するように、前記シャーシおよび管腔内プロテーゼにわたって配置される管状外側シースを備え、前記外側拘束力を前記管腔内プロテーゼから除去するステップは、前記管状外側シースを前記管腔内プロテーゼの外側表面から近位に後退させるステップを含む、項目42に記載の方法。(項目44)
前記カテーテルシステムは、複数の軸方向ベルトを備え、前記軸方向ベルトはそれぞれ、前記シャーシに固定関係で固着される、固定端と、前記固定端と反対に配置される、遊離端とを備え、前記軸方向ベルトはそれぞれ、前記軸方向ベルトの遊離端が前記シャーシに解放可能に固定関係で固着され、円周方向ベルトが前記軸方向ベルトのそれぞれの前記シャーシおよび遊離端を中心として配置されると、前記ループが、前記管腔内プロテーゼの遠位区画を捕捉し、前記シャーシに対する前記管腔内プロテーゼの近位変位を制限するように、前記管腔内プロテーゼの壁の遠位区画を通して前記固定端および遊離端から近位に延在する、ループを形成し、前記円周方向ベルトを解放するステップは、前記円周方向ベルトを前記複数の軸方向ベルトから、複数の軸方向ベルトを前記管腔内プロテーゼの個別の遠位区画から解放するステップを含む、項目42に記載の方法。
(項目45)
前記カテーテルシステムを前記患者の体腔の中に前進させるステップは、前記カテーテルシステムの管腔内プロテーゼが前記治療部位に配置されるまで、前記カテーテルシステムをガイドワイヤにわたって前進させるステップを含む、項目42に記載の方法。
(項目46)
管腔内プロテーゼを患者の体腔内で展開するためのカテーテルシステムであって、
近位端、遠位端、遠位区分、および患者の体腔を通したシャーシの前進のために十分な全体的柱強度を有する、可撓性伸長シャーシと、
前記シャーシの遠位区分にわたって拘束状態で配置される、自己拡張式管状管腔内プロテーゼと、
複数の軸方向解放ワイヤであって、それぞれ、近位端、遠位端、および遠位区分を備える、軸方向解放ワイヤと、
を備え、各解放ワイヤの遠位区分は、前記遠位区分が、前記遠位区分、前記軸方向に離間されるブッシング、および前記シャーシの外側表面間にループ構造を形成するように、前記シャーシに固着され、そこから半径方向外向きに延在する、一対の軸方向に離間されるブッシングに解放可能に固定関係で固着されると、前記ループ構造が、前記管腔内プロテーゼの遠位区画を解放可能に捕捉し、前記シャーシに対する前記管腔内プロテーゼの近位変位を制限するように、前記管腔内プロテーゼの壁の遠位区画を通して延在する、カテーテルシステム。
(項目47)
前記複数の軸方向解放ワイヤは、前記シャーシおよび離間されるブッシングを中心として円周方向配向に対して均一に分散される、項目46に記載のカテーテルシステム。
(項目48)
2つの軸方向解放ワイヤ~6つの軸方向解放ワイヤを備える、項目46に記載のカテーテルシステム。
(項目49)
3つの軸方向解放ワイヤを備える、項目48に記載のカテーテルシステム。
(項目50)
前記軸方向解放ワイヤによって捕捉された管腔内プロテーゼの遠位区画は、前記管腔内プロテーゼの自己拡張式ステントのステント要素を備える、項目46に記載のカテーテルシステム。
(項目51)
前記複数の軸方向解放ワイヤによって捕捉されたステント要素は、前記ステントの円頂区分を含む、項目50に記載のカテーテルシステム。
(項目52)
前記軸方向解放ワイヤは、超弾性ニッケルチタン合金を含む、項目46に記載のカテーテルシステム。
(項目53)
前記管腔内プロテーゼおよびシャーシにわたって配置され、前記管腔内プロテーゼを前記拘束状態に拘束する内側表面を含む、管状外側シースをさらに備える、項目46に記載のカテーテルシステム。
(項目54)
前記シャーシの遠位端に固着される円錐形頭部をさらに備え、前記円錐形頭部は、前記管状外側シースの遠位端内に配置される肩部部分を含む、項目53に記載のカテーテルシステム。
(項目55)
前記シャーシは、前記シャーシの近位端から前記シャーシの遠位端まで延在するガイドワイヤ管腔を備える、項目46に記載のカテーテルシステム。
(項目56)
前記管状管腔内プロテーゼは、自己拡張式ステントに固着される応従性材料の少なくとも1つの層を含む、管状ステントグラフトを備える、項目46に記載のカテーテルシステム。
(項目57)
前記ステントグラフトは、完全にステントが内挿されたステントグラフトを含む、項目56に記載のカテーテルシステム。
(項目58)
管腔内プロテーゼを患者の体腔内で展開するためのカテーテルシステムであって、
近位端、遠位端、および患者の体腔を通したシャーシの前進のために構成される柱強度を有する、可撓性伸長シャーシと、
前記シャーシの遠位端に拘束状態で配置される、自己拡張式管状管腔内プロテーゼと、
管状外反シースであって、
第1の直径、前記シャーシに固定関係で固着される、固定端、および前記管腔内プロテーゼにわたって配置され、それを前記拘束状態で半径方向に拘束する、管腔内プロテーゼ区分を含む、内側区分と、
前記内側区分の管腔内プロテーゼ区分にわたって外反される、外側区分であって、前記外側区分は、後退端の後退および前記外反シースの外反の間、前記外側区分が前記内側区分にわたって容易に摺動可能であるように、後退端および前記内側区分の第1の直径より大きい第2の直径を含む、外側区分と、
を備える、管状外反シースと、
を備える、カテーテルシステム。
(項目59)
前記外側区分の第2の直径は、前記管状外反シースの外側区分の少なくとも壁厚の量だけ前記内側区分の第1の直径を上回る、項目58に記載のカテーテルシステム。
(項目60)
前記外反シースの外側区分の後退端に配置される一体型漏斗区分をさらに備える、項目58に記載のカテーテルシステム。
(項目61)
前記漏斗区分は、10度~40度の内包漏斗角度を有する、項目60に記載のカテーテルシステム。
(項目62)
前記漏斗区分は、弛緩拡張状態において前記管腔内プロテーゼの外径を上回る大径をその開口部に有する、項目60に記載のカテーテルシステム。
(項目63)
前記一体型漏斗に固着され、そこから延在する、後退テザーをさらに備える、項目60に記載のカテーテルシステム。
(項目64)
前記外反シースは、ともに固着される薄い柔軟性の材料の複数の層を含む層状管状構造を備える、項目58に記載のカテーテルシステム。
(項目65)
前記外反シースは、隣接するノードを相互接続する明確に異なる原繊維を伴わない独立気泡微小構造を有する、PTFEを含む、項目58に記載のカテーテルシステム。
(項目66)
前記外反シースの薄い柔軟性の材料の複数の層は、隣接するノードを相互接続する明確に異なる原繊維を伴わない独立気泡微小構造を有する、PTFEを含む、項目64に記載のカテーテルシステム。
(項目67)
PTFE材料構造積層材は、強度のために、前記外反シースの縦方向に沿って異方的に配向される、項目65に記載のカテーテルシステム。
(項目68)
PTFE材料構造積層材は、強度のために、前記外反シースの円周方向に沿って異方的に配向される、項目65に記載のカテーテルシステム。
(項目69)
前記外反シースの層状管状構造の隣接する層間に配置され、前記管腔内プロテーゼ区分および前記外反シースの外側区分に沿って縦方向に延在する、薄く伸長の高引張後退テザーをさらに備える、項目64に記載のカテーテルシステム。
(項目70)
前記外反シースの層状管状構造の2つの隣接する層間に配置される、複数の薄く伸長の高引張後退テザーをさらに備える、項目69に記載のカテーテルシステム。
(項目71)
前記複数の薄く伸長の高引張後退テザーは、前記外反シースの管状構造を中心として螺旋状に巻着される、項目70に記載のカテーテルシステム。
(項目72)
前記管腔内プロテーゼの遠位にある軸方向位置において前記シャーシに固着される、円錐形頭部をさらに備える、項目58に記載のカテーテルシステム。
(項目73)
前記シャーシは、50cm~200cmの長さを備える、項目58に記載のカテーテルシステム。
(項目74)
前記シャーシの近位端に固着される、近位アダプタをさらに備える、項目58に記載のカテーテルシステム。
(項目75)
前記シャーシの遠位端に固着される、円錐形頭部をさらに備え、前記円錐形頭部は、前記管状外反シースの遠位端内に配置される、肩部部分を含む、項目58に記載のカテーテルシステム。
(項目76)
前記シャーシは、前記シャーシの近位端から前記シャーシの遠位端まで延在するガイドワイヤ管腔を備える、項目58に記載のカテーテルシステム。
(項目77)
前記管状管腔内プロテーゼは、自己拡張式ステントに固着される応従性材料の少なくとも1つの層を含む、管状ステントグラフトを備える、項目58に記載のカテーテルシステム。
(項目78)
前記ステントグラフトは、完全にステントが内挿されたステントグラフトを含む、項目77に記載のカテーテルシステム。
(項目79)
前記薄い応従性の材料は、ePTFEを含む、項目77に記載のカテーテルシステム。(項目80)
管腔内プロテーゼを患者の体腔内で展開するためのカテーテルシステムであって、
近位端、遠位端、および患者の体腔を通したシャーシの前進のために構成される柱強度を有する、可撓性伸長シャーシと、
前記シャーシの遠位端に拘束状態で配置される、自己拡張式管状管腔内プロテーゼと、
管状外反シースであって、
前記シャーシに固定関係で固着される固定端、および前記管腔内プロテーゼにわたって配置され、それを前記拘束状態で半径方向に拘束する、管腔内プロテーゼ区分を含む、内側区分と、
前記内側区分の管腔内プロテーゼ区分にわたって外反される、外側区分であって、後退端を含む、外側区分と、
前記外側区分が前記内側区分にわたって容易に摺動可能であるように、隣接するノードを相互接続する明確に異なる原繊維を伴わない独立気泡微小構造を有する、PTFE材料と、
を備える、管状外反シースと、
を備える、カテーテルシステム。
(項目81)
前記外反シースは、ともに固着される応従性PTFE材料の複数の層を含む層状管状構造を備える、項目80に記載のカテーテルシステム。
(項目82)
前記PTFE材料構造積層材は、強度のために、前記外反シースの縦方向に沿って異方的に配向される、項目81に記載のカテーテルシステム。
(項目83)
前記PTFE材料構造積層材は、強度のために、前記外反シースの円周方向に沿って異方的に配向される、項目81に記載のカテーテルシステム。
(項目84)
前記外反シースの外側区分の後退端に配置される一体型漏斗区分をさらに備える、項目80に記載のカテーテルシステム。
(項目85)
前記漏斗区分は、10度~40度の内包漏斗角度を有する、項目84に記載のカテーテルシステム。
(項目86)
前記漏斗区分は、弛緩拡張状態において前記管腔内プロテーゼの外径を上回る大径をその開口部に有する、項目84に記載のカテーテルシステム。
(項目87)
前記一体型漏斗に固着され、そこから延在する、後退テザーをさらに備える、項目84に記載のカテーテルシステム。
(項目88)
前記外反シースの層状管状構造の隣接する層間に配置され、前記管腔内プロテーゼ区分および前記外反シースの外側区分に沿って縦方向に延在する、薄く伸長の高引張後退テザーをさらに備える、項目82に記載のカテーテルシステム。
(項目89)
前記外反シースの層状管状構造の2つの隣接する層間に配置される、複数の薄く伸長の高引張後退テザーをさらに備える、項目88に記載のカテーテルシステム。
(項目90)
前記複数の薄く伸長の高引張後退テザーは、前記外反シースの管状構造を中心として螺旋状に巻着される、項目89に記載のカテーテルシステム。
(項目91)
前記管腔内プロテーゼの遠位にある軸方向位置において前記シャーシに固着される、円錐形頭部をさらに備える、項目80に記載のカテーテルシステム。
(項目92)
前記シャーシは、50cm~200cmの長さを備える、項目80に記載のカテーテルシステム。
(項目93)
前記シャーシの近位端に固着される、近位アダプタをさらに備える、項目80に記載のカテーテルシステム。
(項目94)
前記シャーシの遠位端に固着される、円錐形頭部をさらに備え、前記円錐形頭部は、前記管状外反シースの遠位端内に配置される、肩部部分を含む、項目80に記載のカテーテルシステム。
(項目95)
前記シャーシは、前記シャーシの近位端から前記シャーシの遠位端まで延在するガイドワイヤ管腔を備える、項目80に記載のカテーテルシステム。
(項目96)
前記管状管腔内プロテーゼは、自己拡張式ステントに固着される応従性材料の少なくとも1つの層を含む、管状ステントグラフトを備える、項目80に記載のカテーテルシステム。
(項目97)
前記ステントグラフトは、完全にステントが内挿されたステントグラフトを含む、項目96に記載のカテーテルシステム。
(項目98)
管腔内プロテーゼを患者の体腔内で展開するための方法であって、
(a)カテーテルシステムの管腔内プロテーゼが治療部位に拘束状態で配置されるまで、管腔内プロテーゼの展開のためのカテーテルシステムを前記患者の体腔の中に前進させるステップであって、前記管腔内プロテーゼは、管状外反シースの内側区分の管腔内プロテーゼ区分によって前記拘束状態に保持され、前記内側区分は、第1の直径および前記カテーテルシステムの伸長シャーシに固定関係で固着される固定端を含む、ステップと、
(b)前記管状外反シースの外側区分の後退端を近位に後退させることによって、外側拘束力を前記管腔内プロテーゼから除去するステップであって、前記外側区分は、前記内側区分の管腔内プロテーゼ区分にわたって外反され、前記内側区分の第1の直径より大きい第2の直径を含む、ステップと、
(c)前記管腔内プロテーゼの外側表面が前記患者の体腔の内側表面に係合するように、前記内側区分の管腔内プロテーゼ区分が近位に外反されるにつれて、前記管腔内プロテーゼから半径方向拘束力を除去するように、前記管腔内プロテーゼが自己拡張することを可能にするステップと、
を含む、方法。
(項目99)
前記外側区分の後退端は、前記外反シースおよび前記管腔内プロテーゼ区分によってかけられる拘束力が前記管腔内プロテーゼから完全に除去されるまで、近位に後退される、項目98に記載の方法。
(項目100)
前記カテーテルシステムを前記患者の体腔の中に前進させるステップは、前記カテーテルシステムの管腔内プロテーゼが前記治療部位に配置されるまで、前記カテーテルシステムをガイドワイヤにわたって前進させるステップを含む、項目98に記載の方法。
(項目101)
管腔内プロテーゼを患者の体腔内で展開するための方法であって、
(a)カテーテルシステムの管腔内プロテーゼが治療部位に拘束状態で配置されるまで、管腔内プロテーゼの展開のためのカテーテルシステムを前記患者の体腔の中に前進させるステップであって、前記管腔内プロテーゼは、管状外反シースの内側区分の管腔内プロテーゼ区分によって前記拘束状態に保持され、前記管状外反シースは、隣接するノードを相互接続する明確に異なる原繊維を伴わない独立気泡微小構造を有する、PTFE材料を含み、前記内側区分は、前記カテーテルシステムの伸長シャーシに固定関係で固着される固定端を含む、ステップと、
(b)前記管状外反シースの外側区分の後退端を近位に後退させることによって、外側拘束力を前記管腔内プロテーゼから除去するステップであって、前記外側区分は、前記内側区分の管腔内プロテーゼ区分にわたって外反される、ステップと、
(c)前記管腔内プロテーゼの外側表面が前記患者の体腔の内側表面に係合するように、前記内側区分の管腔内プロテーゼ区分が近位に外反されるにつれて、前記管腔内プロテーゼから半径方向拘束力を除去するように、前記管腔内プロテーゼが自己拡張することを可能にするステップと、
を含む、方法。
(項目102)
前記外側区分の後退端は、前記外反シースおよび前記管腔内プロテーゼ区分によってかけられる拘束力が前記管腔内プロテーゼから完全に除去されるまで、近位に後退される、項目101に記載の方法。
(項目103)
前記カテーテルシステムを前記患者の体腔の中に前進させるステップは、前記カテーテルシステムの管腔内プロテーゼが前記治療部位に配置されるまで、前記カテーテルシステムをガイドワイヤにわたって前進させるステップを含む、項目101に記載の方法。
(項目104)
管腔内プロテーゼを患者の体腔内で展開するためのカテーテルシステムであって、
近位端、遠位端、遠位区分、および患者の体腔を通したシャーシの前進のために十分な全体的柱強度を有する、可撓性伸長シャーシと、
前記シャーシの遠位区分にわたって拘束状態で配置される、自己拡張式管状管腔内プロテーゼと、
薄く可撓性かつ弾力性のある延在部であって、前記延在部が半径方向に拘束された状態にあると、前記延在部は、前記管腔内プロテーゼの遠位区画を少なくとも部分的に捕捉し、前記シャーシに対する前記管腔内プロテーゼの近位変位を制限するように、前記管腔内プロテーゼの遠位端の壁を通して延在し、前記延在部は、前記伸長カテーテルシャーシに固定関係で固着される近位端と、前記シャーシの外側表面から半径方向外向きであって、かつ前記延在部の近位端の遠位に配置される遠位端とを備える、延在部と、
管状外反シースであって、
前記シャーシに固定関係で固着される、固定端、および前記管腔内プロテーゼおよび延在部にわたって配置され、それを前記拘束状態で半径方向に拘束する、管腔内プロテーゼ区分を含む、内側区分と、
前記内側区分の管腔内プロテーゼ区分にわたって外反される、外側区分であって、前記外反シースの反対端に前記固定端として配置される、後退端を含む、外側区分と、
を備える、管状外反シースと、
を備える、カテーテルシステム。
(項目105)
前記外側区分は、前記後退端の後退および前記外反シースの外反の間、前記外側区分が前記内側区分にわたって容易に摺動可能であるように、前記内側区分の直径を上回る直径を有する、項目104に記載のカテーテルシステム。
(項目106)
前記外側区分の直径は、前記管状外反シースの外側区分の少なくとも壁厚の量だけ前記内側区分の直径を上回る、項目105に記載のカテーテルシステム。
(項目107)
前記外反シースは、前記外側区分が前記内側区分にわたって容易に摺動可能であるように、隣接するノードを相互接続する明確に異なる原繊維を伴わない独立気泡微小構造を有する、PTFE材料を含む、項目104に記載のカテーテルシステム。
(項目108)
PTFE材料構造積層材は、強度のために、前記外反シースの縦方向に沿って異方的に配向される、項目107に記載のカテーテルシステム。
(項目109)
PTFE材料構造積層材は、強度のために、前記外反シースの円周方向に沿って異方的に配向される、項目107に記載のカテーテルシステム。
(項目110)
前記外反シースは、ともに固着される薄い柔軟性の材料の複数の層を含む層状管状構造を備える、項目104に記載のカテーテルシステム。
(項目111)
前記外反シースの薄い柔軟性の材料の複数の層は、隣接するノードを相互接続する明確に異なる原繊維を伴わない独立気泡微小構造を有する、PTFEを含む、項目110に記載のカテーテルシステム。
(項目112)
前記外反シースの層状管状構造の隣接する層間に配置され、前記管腔内プロテーゼ区分および前記外反シースの外側区分に沿って縦方向に延在する、薄く伸長の高引張後退テザーをさらに備える、項目110に記載のカテーテルシステム。
(項目113)
前記外反シースの層状管状構造の2つの隣接する層間に配置される、複数の薄く伸長の高引張後退テザーをさらに備える、項目112に記載のカテーテルシステム。
(項目114)
前記複数の薄く伸長の高引張後退テザーは、前記外反シースの管状構造を中心として螺旋状に巻着される、項目113に記載のカテーテルシステム。
(項目115)
前記シャーシの縦軸に対して形成される前記可撓性延在部の角度は、前記延在部が弛緩非拘束状態であると、5度~50度である、項目104に記載のカテーテルシステム。
(項目116)
前記延在部は、4mm~25mmの長さを備える、項目104に記載のカテーテルシステム。
(項目117)
前記延在部は、0.08mm~1mmの横断面積を備える、項目104に記載のカテーテルシステム。
(項目118)
前記延在部は、その非拘束弛緩状態では、S形状を備え、前記延在部のS形状の最近位偏向は、前記シャーシから離れるように延在し、前記延在部のS形状の最遠位偏向は、前記シャーシに向かって延在する、項目104に記載のカテーテルシステム。
(項目119)
複数の薄く可撓性かつ弾力性のある延在部を備え、前記複数の延在部はそれぞれ、
前記シャーシに固定関係で固着される近位端と、
前記シャーシの外側表面から半径方向外向きであって、かつ前記延在部の近位端の遠位に配置される遠位端と、
を備え、前記複数の延在部はそれぞれ、前記延在部が半径方向に拘束された状態にあると、各延在部が、前記管腔内プロテーゼの遠位区画を少なくとも部分的に捕捉し、前記シャーシに対する前記管腔内プロテーゼの近位変位を制限するように、前記管腔内プロテーゼの遠位端の壁を通して延在する、項目104に記載のカテーテルシステム。
(項目120)
前記複数の延在部は、前記シャーシを中心として円周方向配向に対して均一に分散される、項目119に記載のカテーテルシステム。
(項目121)
2つの延在部~6つの延在部を備える、項目119に記載のカテーテルシステム。
(項目122)
3つの延在部を備える、項目121に記載のカテーテルシステム。
(項目123)
前記延在部は、前記シャーシの縦軸と略同一平面にある、項目104に記載のカテーテルシステム。
(項目124)
略同一平面は、前記シャーシの縦軸と同一平面にある前記延在部の厚さ以内を含む、項目123に記載のカテーテルシステム。
(項目125)
前記延在部によって捕捉された遠位区画は、前記管腔内プロテーゼの自己拡張式ステントのステント要素を備える、項目104に記載のカテーテルシステム。
(項目126)
前記延在部によって捕捉されたステント要素は、前記ステントの円頂区分を含む、項目125に記載のカテーテルシステム。
(項目127)
前記延在部は、超弾性ニッケルチタン合金を含む、項目104に記載のカテーテルシステム。
(項目128)
前記管腔内プロテーゼの遠位にある軸方向位置において前記シャーシに固着される、円錐形頭部をさらに備える、項目104に記載のカテーテルシステム。
(項目129)
前記シャーシの遠位端に固着される、円錐形頭部をさらに備え、前記円錐形頭部は、前記管状外反シースの遠位端内に配置される、肩部部分を含む、項目104に記載のカテーテルシステム。
(項目130)
前記シャーシの遠位端に固着される円錐形頭部をさらに備え、前記円錐形頭部は、前記外反シースの遠位端内に配置される、肩部部分を含み、前記肩部部分はさらに、前記延在部が前記半径方向に拘束された状態にあるとき、前記延在部の遠位端を受け入れるように構成される、スロットを備える、項目104に記載のカテーテルシステム。
(項目131)
前記シャーシは、前記シャーシの近位端から前記シャーシの遠位端まで延在するガイドワイヤ管腔を備える、項目104に記載のカテーテルシステム。
(項目132)
前記管状管腔内プロテーゼは、自己拡張式ステントに固着される応従性材料の少なくとも1つの層を含む、管状ステントグラフトを備える、項目104に記載のカテーテルシステム。
(項目133)
前記薄い応従性の材料は、ePTFEを含む、項目132に記載のカテーテルシステム。
(項目134)
前記ステントグラフトは、完全にステントが内挿されたステントグラフトを含む、項目132に記載のカテーテルシステム。
(項目135)
前記外反シースの外側区分の後退端に配置される一体型漏斗区分をさらに備える、項目104に記載のカテーテルシステム。
(項目136)
前記漏斗区分は、10度~40度の内包漏斗角度を有する、項目135に記載のカテーテルシステム。
(項目137)
前記漏斗区分は、弛緩拡張状態において前記管腔内プロテーゼの外径を上回る大径をその開口部に有する、項目135に記載のカテーテルシステム。
(項目138)
前記一体型漏斗に固着され、そこから延在する、後退テザーをさらに備える、項目135に記載のカテーテルシステム。
(項目139)
前記シャーシは、50cm~200cmの長さを備える、項目104に記載のカテーテルシステム。
(項目140)
前記シャーシの近位端に固着される、近位アダプタをさらに備える、項目104に記載のカテーテルシステム。
(項目141)
前記シャーシは、前記シャーシの近位端から前記シャーシの遠位端まで延在するガイドワイヤ管腔を備える、項目104に記載のカテーテルシステム。
(項目142)
前記管状管腔内プロテーゼは、自己拡張式ステントに固着される応従性材料の少なくとも1つの層を含む、管状ステントグラフトを備える、項目104に記載のカテーテルシステム。
(項目143)
前記ステントグラフトは、完全にステントが内挿されたステントグラフトを含む、項目142に記載のカテーテルシステム。
(項目144)
前記薄い応従性の材料は、ePTFEを含む、項目142に記載のカテーテルシステム。
(項目145)
前記外側区分の後退端に固着される後退ハンドルをさらに備える、項目104に記載のカテーテルシステム。
(項目146)
管腔内プロテーゼを患者の体腔内で展開するための方法であって、
(a)カテーテルシステムの管腔内プロテーゼが治療部位に配置されるまで、管腔内プロテーゼの展開のためのカテーテルシステムを前記患者の体腔の中に前進させるステップであって、前記管腔内プロテーゼおよび前記管腔内プロテーゼの遠位区画を少なくとも部分的に捕捉する弾力性かつ可撓性の延在部は、管状外反シースの内側区分の管腔内プロテーゼ区分によって拘束状態で保持される、ステップと、
(b)前記管状外反シースの外側区分の後退端を近位に後退させることによって、外側拘束力を前記管腔内プロテーゼおよび前記延在部から除去するステップであって、前記外側区分は、前記近位後退の間、前記延在部が前記カテーテルシステムの可撓性伸長シャーシに対する前記管腔内プロテーゼの近位軸方向移動を防止しながら、前記内側区分の管腔内プロテーゼ区分にわたって外反される、ステップと、
(c)前記管腔内プロテーゼの外側表面が前記患者の体腔の内側表面に係合するように、前記管腔内プロテーゼおよび延在部が自己拡張することを可能にするステップと、
(d)前記延在部が前記管腔内プロテーゼの遠位端の壁を通して軸方向に通過し、もはや前記管腔内プロテーゼの遠位区画を少なくとも部分的に捕捉しないように、前記シャーシおよび延在部を近位に後退させるステップと、
を含む、方法。
(項目147)
前記延在部は、前記シャーシに固定関係で固着される近位端と、前記シャーシの外側表面から半径方向外向きであって、かつ前記延在部の近位端の遠位に配置される遠位端とを備え、前記管腔内プロテーゼおよび延在部が自己拡張することを可能にするステップは、前記延在部の遠位端が前記シャーシから離れるように外向きに枢動することを可能にするステップを含む、項目146に記載の方法。
(項目148)
前記カテーテルシステムを前記患者の体腔の中に前進させるステップは、前記カテーテルシステムの管腔内プロテーゼが前記治療部位に配置されるまで、前記カテーテルシステムをガイドワイヤにわたって前進させるステップを含む、項目146に記載の方法。
(項目149)
前記外側区分の後退端は、前記外反シースおよび前記管腔内プロテーゼ区分によってかけられる拘束力が前記管腔内プロテーゼから完全に除去されるまで、近位に後退される、項目146に記載の方法。
(項目150)
管腔内プロテーゼを拘束するように構成されるシースの中に管腔内プロテーゼを装填する方法であって、
複数の薄高引張テザーループを前記管腔内プロテーゼの端部を通して通過させるステップと、
前記複数のテザーループを前記シースの内腔を通して通過させるステップと、
前記シースの端部を押さえ、前記テザーループのそれぞれの両端を同時に引っ張り、したがって、引張力を前記管腔内プロテーゼに印加するように、前記テザーループが前記シースの内腔を通して引動され、前記管腔内プロテーゼが、前記シースの内腔内の管腔内プロテーゼ区分まで前記シースの内腔の中に引き込まれるにつれて、半径方向に圧縮および拘束される、ステップと、
その後、前記テザーループのそれぞれが、前記管腔内プロテーゼおよび前記シースの内腔から引き抜かれるまで、前記テザーループのそれぞれの片側のみを引動させ、各テザーループの反対端を解放するステップと、
を含む、方法。
(項目151)
前記管腔内プロテーゼを拘束するように構成されるシースは、カテーテルシステムの外反シースを含む、項目150に記載の方法。
(項目152)
前記シースは、外反シースを備え、前記テザーを引動させるステップは、前記管腔内プロテーゼが、前記外反シースの内側区分の管腔内プロテーゼ区分内に配置され、それに拘束されるまで、それらを前記外反シースを通して引動させるステップを含む、項目151に記載の方法。
(項目153)
前記管腔内プロテーゼを拘束するように構成されるシースは、カテーテルシステムの近位に後退可能な外側シースを含む、項目150に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、体腔内に配置される管腔内プロテーゼを患者の体腔内で展開するためのカテーテルシステムの立面図である。
図2図2は、図1の囲まれた部分2-2によって示されるカテーテルシステムおよび体腔の部分的断面における拡大図である。
図3図3は、部分的に展開された状態にある図2の管腔内プロテーゼの部分的断面における立面図である。
図4図4は、完全に展開された状態にある図2の管腔内プロテーゼの部分的断面における立面図である。
図5図5は、完全に展開された状態にある図2の管腔内プロテーゼの部分的断面における立面図であって、カテーテルシステムの伸長シャーシおよび延在部が患者の体腔から抜去されている。
図6図6は、カテーテルシステム実施形態の伸長シャーシおよび延在部の立面図である。
図7図7は、図6の線7-7によって示される図6の伸長シャーシの横断面図である。
図8図8は、延在部実施形態の拡大立面図である。
図9図9は、図2-5に示されるような管腔内プロテーゼ実施形態の立面図である。
図10図10は、図9の線10-10に沿って得られた図9の管腔内プロテーゼ実施形態の横断面図である。
【0022】
図11図11は、伸長シャーシおよびそこから延在する延在部の断面の立面図であって、延在部は、伸長シャーシの管状構造から切り取られている。
図12図12は、図11の線12-12に沿って得られた図11の伸長シャーシおよび延在部の横断面図である。
図13図13は、カテーテルシステム実施形態の伸長シャーシ、延在部、および円錐形頭部の立面図である。
図14図14は、図13の線14-14に沿って得られた図13の伸長シャーシおよび延在部の横断面図である。
図15図15は、カテーテルシステム実施形態の遠位部分の部分的断面の立面図である。
図16図16は、図15の線16-16に沿って得られた図15のカテーテルシステムの外側シース、円錐形頭部、および延在部の横断面図である。
図17図17は、カテーテルシステム実施形態の伸長シャーシ、延在部、および円錐形頭部の立面図である。
図18図18は、図17の線18-18に沿って得られた図17のカテーテルシステムの伸長シャーシの横断面図である。
図19図19は、管腔内プロテーゼを患者の体腔内で展開するためのカテーテルシステムの立面図である。
図20図20は、図19の囲まれた部分20-20によって示されるカテーテルシステムの部分的断面における拡大図である。
図21図21は、図20の囲まれた部分21-21によって示されるカテーテルシステムの部分的断面における拡大図である。
図22図22は、図21の線22-22に沿って得られた図21のカテーテルシステムの横断面図である。
図23図23は、患者の体腔内に配置される図19のカテーテルシステムの部分的断面における立面図である。
図24図24は、患者の体腔内に配置される図19のカテーテルシステムの部分的断面における立面図であって、外側シースは、近位に後退され、カテーテルシステムの管腔内プロテーゼは、患者の体腔内に部分的に展開されている。
図25図25は、患者の体腔内に配置される図19のカテーテルシステムの部分的断面における立面図であって、管腔内プロテーゼは、完全に展開され、患者の体腔に係合している。
図26図26は、患者の体腔内における管腔内プロテーゼの送達のためのカテーテルシステム実施形態の遠位部分の部分的断面における立面図である。
図27図27は、患者の体腔内における管腔内プロテーゼの送達のためのカテーテルシステム実施形態の遠位部分の部分的断面における立面図である。
図28図28は、図27のカテーテルシステムの遠位部分の拡大図である。
図29図29は、図28の線29-29に沿って得られた図28のカテーテルシステムの伸長シャーシの横断面図である。
図30図30は、患者の体腔内に配置される図27のカテーテルシステムと、展開され、体腔の内側表面と係合されるカテーテルシステムの管腔内プロテーゼとの立面図である。
図31図31は、管腔内プロテーゼを患者の体腔内で展開するためのカテーテルシステムの立面図である。
図32図32は、図31の囲まれた部分32-32によって示されるカテーテルシステムおよび体腔の部分的断面における拡大図である。
図33図33は、図31の囲まれた部分33-33によって示されるカテーテルシステムおよび体腔の部分的断面における拡大図である。
【0023】
図34図34は、図33の線34-34に沿って得られた図33のカテーテルシステムの横断面図である。
図35図35は、図32に示される囲まれた部分35-35によって示されるカテーテルシステムの壁部分の断面における拡大立面図である。
図36図36は、図32の線36-36に沿って得られた図32のカテーテルシステムの横断面図である。
図37図37は、カテーテルシステム実施形態の外反シース実施形態の立面図である。
図38図38は、図37の囲まれた部分38-38によって示されるような図37の外反シースの内側区分と外側区分との間の遷移区分の拡大図である。
図39図39は、図38の囲まれた部分39-39によって示されるような図38の外反シースの外側区分の壁部分の拡大図である。
図40図40は、図37の囲まれた部分40-40によって示されるような図37の外反シースの外側区分の後退端に配置される漏斗区分の拡大図である。
図41図41は、図37の外反シースの外側区分の端面図である。
図42図42は、患者の体腔内に配置される図31のカテーテルシステムの遠位部分を示す、部分的断面における立面図である。
図43図43は、患者の体腔内に配置される図31のカテーテルシステムの遠位部分を示す、部分的断面における立面図であって、外反シースは、部分的に後退され、カテーテルシステムの管腔内プロテーゼは、部分的に展開されている。
図44図44は、患者の体腔内に配置される図31のカテーテルシステムの遠位部分を示す、部分的断面における立面図であって、外反シースは、部分的に後退され、カテーテルシステムの管腔内プロテーゼは、部分的に展開されている。
図45図45は、完全に展開され、患者の体腔の内側表面に係合する、図31のカテーテルシステムの管腔内プロテーゼを示す、断面における立面図である。
図46図46は、患者の腸骨動脈腔内に配置される図31のカテーテルシステムの遠位部分を示す。
図47図47は、シャーシに動作可能に固着され、管腔内プロテーゼ実施形態の遠位区画を通して通過する、可撓性弾力性延在部を含む、図31の囲まれた部分32-32によって示されるカテーテルシステムおよび体腔の別の実施形態の部分的断面における拡大図である。
図48図48は、患者の体腔内に配置される図31のカテーテルシステムの遠位部分を示す、部分的断面における立面図であって、カテーテルシステムは、図47に示されるようにシャーシに動作可能に固着される随意の延在部を含む。
図49図49は、患者の体腔内に配置される図48のカテーテルシステムの遠位部分を示す、部分的断面における立面図であって、外反シースは、部分的に後退され、カテーテルシステムの管腔内プロテーゼは、部分的に展開されている。
図50図50は、外反シースとともに患者の体腔内に配置される図48のカテーテルシステムの遠位部分を示す、部分的断面における立面図である。
図51図51は、患者の体腔内に配置される図48のカテーテルシステムの遠位部分を示す、部分的断面における立面図であって、外反シースが完全に後退され、随意の延在部が管腔内プロテーゼから後退されている。
図52図52は、完全に展開され、患者の体腔の内側表面に係合する、図48のカテーテルシステムの管腔内プロテーゼを示す、断面における立面図である。
図53図53は、外反シース実施形態の中に装填されている、管腔内プロテーゼ実施形態および随意の伸長カテーテルシャーシの立面図である。
図54図54は、図53の外反シース実施形態の立面図であって、管腔内プロテーゼおよび伸長カテーテルシャーシは、管腔内プロテーゼおよび随意のシャーシの弾力性延在部が半径方向に拘束されるように、外反シースの漏斗区分の中に牽引されている。
図55図55は、図53の外反シースの立面図であって、管腔内プロテーゼは、外反シースの管腔内プロテーゼ区分の中に完全に装填されている。
図56図56は、外反シースを通して、図55の完全に装填された管腔内プロテーゼの端部から引き出されている、薄高引張テザーを示す。
図57図57は、図56の完全に装填された管腔内プロテーゼの端部から引き抜かれている、薄高引張テザーの部分的断面におけるより詳細な図を示す。
図58図58は、図56の完全に装填された管腔内プロテーゼの端部から引き抜かれている、薄高引張テザーを示す。
【0024】
図面は、本技術の実施形態を図示し、限定的ではない。図示を明確および容易にするために、図面は、縮尺通りに描かれない場合があり、いくつかの事例では、種々の側面が、特定の実施形態の理解を促進するために、誇張または拡大して示され得る。
【発明を実施するための形態】
【0025】
前述のように、デバイスを患者内の様々な体腔標的部位に確実かつ正確に送達する、管腔内プロテーゼの展開のためのカテーテルシステムの必要性がある。これを達成するために、正確度を維持するために、展開の間、管腔内プロテーゼの軸方向位置の制御を維持するようにカテーテルシステム実施形態を構成することが望ましくあり得る。また、カテーテルシステム実施形態が、アクセスが困難であって、蛇行性の解剖学的構造内でも容易に機能するように、カテーテルシステム実施形態の種々の構成要素内の摩擦力を最小限にすることが望ましくあり得る。加えて、摩擦力を最小限にすることは、患者の身体へのアクセス点から空間的に遠隔にある体腔標的部位にアクセスするときに重要であり得る。1つまたはそれを上回るそのような望ましい属性を達成することを対象とし得る、種々のカテーテルシステム実施形態が、本明細書で議論される。加えて、そのようなカテーテルシステムの使用の種々の方法またはそのようなカテーテルシステムの調製もしくは製造の方法もまた、議論される。本明細書で議論される種々のカテーテルシステムの配向を説明するために使用される用語に関して、用語「遠位」は、カテーテルシステムのユーザから離れた位置または方向を説明するために使用され、用語「近位」は、カテーテルシステムのユーザに向かう位置または方向を説明するために使用される。同一慣例はまた、そのようなカテーテルシステムの管腔内プロテーゼ構成要素にも適用される。管腔内プロテーゼデバイスの「近位」端を患者の血流に向かって配置される端部として説明することが一般的であるが、本慣例は、本明細書では採用されない。
【0026】
図1-10を参照すると、展開の間、自己拡張式管腔内プロテーゼ12の軸方向位置を制御するように構成される、カテーテルシステム10が、示される。特に、管腔内プロテーゼ12を患者の体腔14内で展開するためのカテーテルシステム10は、近位端18と、遠位端20と、遠位区分22と、患者の体腔14を通したシャーシ16の前進のために構成される全体的柱強度とを有する、可撓性伸長シャーシ16を含み得るように示される。いくつかの場合では、伸長シャーシ16は、患者の血管系の蛇行性動脈または静脈等の患者の蛇行性体腔14を通した非外傷性通過のために構成されてもよい。シャーシは、患者の体腔14をナビゲートするための十分な可撓性と、そこに固着される種々の構造およびシャーシ16を用いて実施される機能を支持するための構造強度の両方を提供する、任意の好適な構成を有してもよい。いくつかの場合では、シャーシは、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン(PE)、ナイロン、Pebax(R)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリイミド、複合材料、または同等物等の任
意の好適な生体適合性ポリマーから作製される、伸長管状構造を含んでもよい。
【0027】
自己拡張式管状管腔内プロテーゼ12は、シャーシ16の遠位区分にわたって拘束状態で配置されて示され、管腔内プロテーゼ12の近位軸方向変位は、シャーシ16から管腔内プロテーゼ12の遠位端26を通して延在する、複数の延在部24によって制限される。管腔内プロテーゼ12の近位軸方向変位は、1つまたはそれを上回るそのような延在部24によってそのように制限されてもよい。各延在部24は、伸長カテーテルシャーシ16に固定関係で固着される、近位端28と、シャーシ16の外側表面32から半径方向外向きに、かつ延在部24の近位端28の遠位に配置される、遠位端30とを有する、薄く可撓性かつ弾力性のある延在部であってもよい。シャーシに対する近位端28の固定は、延在部24と同一材料から作製されてもよい、またはそうではなくてもよい、材料の高強度円筒形等の基部構造によって促進されてもよい。延在部24はそれぞれ、図2に示されるように、延在部24が半径方向に拘束された状態にあると、延在部24が、管腔内プロテーゼ12の遠位区画36を少なくとも部分的に捕捉し、変位シャーシ16に対する管腔内プロテーゼ12の近位を制限するように、管腔内プロテーゼ12の遠位端26の壁34を通して延在してもよい。いくつかの実施形態に関して、カテーテルシステム10は、1つの延在部24~10の延在部24、より具体的には、2つの延在部24~6つの延在部24、さらにより具体的には、3つの延在部24~4つの延在部24を有してもよい。
【0028】
カテーテルシステム10は、随意に、管腔内プロテーゼ12およびシャーシ16にわたって配置され、管腔内プロテーゼ12を拘束状態に拘束する内側表面40を含む、管状外側シース38を含んでもよい。外側シースの内側表面40もまた、図2に示されるように、延在部24の遠位端30を半径方向に拘束された状態に半径方向に抑止するように構成されてもよい。延在部24のそのような半径方向に拘束された状態は、近位引張力が管腔内プロテーゼ12に印加されると、延在部24の遠位端30上の半径方向拘束力が近位方向に枢動しないように防止するため、延在部24が管腔内プロテーゼ12の近位軸方向移動を制限するためのさらなる効力を提供する。したがって、いくつかの実施形態に関して、延在部24は、弛緩非拘束状態において、その管腔内プロテーゼ12もまた非拘束状態にあるときに展開されることになる管腔内プロテーゼ12の半径に類似する距離だけシャーシ16から半径方向外向きに延在する、遠位端30を有してもよい。いくつかの事例では、可撓性延在部24がシャーシ16の縦軸42に対して形成する角度41は、図8に示されるように、延在部24が弛緩非拘束状態にあると、約5度~約50度であってもよい。シャーシの縦軸42に対する可撓性延在部24の角度41は、図8に示されるように、いくつかの場合では、シャーシ16の縦軸42と延在部24の近位端28から延在部24の遠位端30まで延在する線44との間の角度によって画定されてもよい。
【0029】
いくつかの延在部実施形態24のばね状弾力性のため、これらの延在部24の遠位端30は、管腔内プロテーゼ12および延在部24の両方が弛緩非拘束状態にあるとき、管腔内プロテーゼ12の壁34を通して容易に通過され得る。その後、管腔内プロテーゼ12および延在部24の両方は、図2に示されるように、内向き半径方向力によって半径方向に拘束され、外側シース38の内側表面40によってその拘束状態に保持されてもよい。外側シース38の近位後退の間、管腔内プロテーゼ12からの軸方向荷重下における圧潰に抵抗するため、適切な可撓性および弾力性ならびに十分に強力な曲げモーメントの両方を達成するために、いくつかの延在部実施形態24は、金属合金または複合材料等の弾力性高強度材料から作製されてもよい。いくつかの実施形態に関して、延在部24は、超弾性ニッケルチタン合金から作製される、またはそれを含んでもよい。いくつかのそのような実施形態に関して、延在部24は、約0.08mm~約1mmの横断面積を含んでもよい。いくつかの実施形態に関して、延在部24は、約4mm~約25mmの長さを有してもよい。
【0030】
図7に示されるように、延在部24は、シャーシ16の縦軸42と略同一平面にある。いくつかの場合では、語句「略同一平面」の意味は、シャーシ16の縦軸42と同一平面にある延在部24の厚さ以内にあることを含み得る。いくつかの実施形態に関して、複数の延在部24は、シャーシ16を中心として円周方向配向に対して均一に分散される。例えば、延在部24を有する、そのようなカテーテルシステム実施形態10に関して、延在部24は、シャーシ16の縦軸42を中心として約120度相互から離間されるであろう。いくつかの事例では、延在部24は、図8により詳細に示されるように、非拘束弛緩状態においてS形状を有してもよい。示される実施形態に関して、延在部24のS形状の最近位偏向46は、矢印48によって示されるように、シャーシから離れるように延在し、延在部24のS形状の最遠位偏向50は、矢印52によって示されるように、シャーシに向かって延在する。最近位偏向46の外向きに面する曲率は、以下に議論される外側シース38または外反シース172等の拘束管状構造内の通過のための平滑丸形外形を提供するために有用であり得る。最近位偏向46はまた、間隙をシャーシの外側表面32と延在部24との間に提供し、管腔内プロテーゼ12の近位軸方向移動を制限するように、延在部によって少なくとも部分的に機械的に捕捉され得る、管腔内プロテーゼの遠位区分36を収容するために有用であり得る。随意の最遠位偏向50は、いくつかの状況では、管腔内プロテーゼ12およびその遠位区画36を個別の延在部24上に装填するために有用であり得る。延在部24の近位端28の外向きに指向される方向は、延在部24および管腔内プロテーゼ12の両方が弛緩非拘束状態にあるとき、管腔内プロテーゼ12の壁34を通した延在部24の穿通を促進するために有用であり得る。
【0031】
いくつかの実施形態に関して、延在部24によって捕捉された管腔内プロテーゼ12の遠位区画36は、図2および3に示されるように、管腔内プロテーゼ12の自己拡張式ステント56の高強度ステント要素54を含んでもよい。いくつかの場合では、延在部24によって捕捉されたステント要素54は、ステントの円頂区分(図示せず)を含む。高強度ステント要素54は、ニッケルチタン合金または同等物等の弾力性かつ随意に超弾性の材料を含んでもよい。
【0032】
いくつかの実施形態に関して、シャーシ16は、随意に、ガイドワイヤ管腔58を含み、シャーシ16の近位端18からシャーシ16の遠位端20まで延在するガイドワイヤ60を摺動可能に格納してもよい。いくつかの事例では、カテーテルシステム10はまた、シャーシ16の遠位端20に固着される、円錐形頭部62を含んでもよい。円錐形頭部62は、同様に管腔内プロテーゼ12およびシャーシ16にわたって配置され得る、管状外側シース38の遠位端66内に配置される、肩部部分64を含んでもよい。外側シース38は、管腔内プロテーゼ12および延在部24を拘束状態に少なくとも部分的に半径方向に拘束する、内側表面40を含む。いくつかのそのような実施形態に関して、図13-16を具体的に参照すると、円錐形頭部62の肩部部分64はさらに、随意に、延在部24が半径方向に拘束された状態にあるとき、対応する延在部24の遠位端30を受け入れるように構成される、1つまたはそれを上回る伸長縦方向に配向されるスロット68を含んでもよい。これらの縦方向に配向されるスロット68のいくつかの実施形態は、シャーシ16の縦軸42と略平行であって、それと略同一平面にあるように配置されてもよい。円錐形頭部62内の縦方向に配向されるスロット68は、いくつかの事例では、半径方向に拘束された状態に配置されるとき、1つまたはそれを上回る延在部24の遠位端30を安定化させるために有用であり得る。延在部の遠位端30は、円錐形頭部62と外側シース38の内側表面40との間のスロット68内にあってもよい。スロット68は、いくつかの事例では、約0.2mm~約3mmの半径方向深度および約0.2mm~約3mmの円周方向幅を成してもよい。いくつかの実施形態に関して、スロットは、約1mm~約10mmの軸方向長さを有してもよく、いくつかの場合では、肩部部分64の軸方向長さの全部または大部分に延在してもよい。
【0033】
いくつかの場合では、管状管腔内プロテーゼ12は、自己拡張式ステント56に固着される薄い応従性の材料70の少なくとも1つの層を含む、管状ステントグラフトであってもよい。これらの実施形態のうちのいくつかに関して、薄い応従性の材料70は、ナイロンメッシュ、PTFE、ePTFE、または同等物を含んでもよい。いくつかの事例では、ステントグラフト12は、図9に示されるように、完全にステントが内挿されたステントグラフトであってもよく、管状グラフト材料70に固着される、螺旋の弾力性かつ波状のステント56は、ステントグラフトの遠位端26からステントグラフトの近位端まで延在する。いくつかの実施形態に関して、管腔内プロテーゼは、ニッケルチタンまたは同等物等の高強度超弾性金属合金から作製される、ステント56を含んでもよい。
【0034】
使用時、図1-5に戻って参照すると、管腔内プロテーゼ12を患者の体腔14内に展開するための方法実施形態は、管腔内プロテーゼ12が治療部位74に配置されるまで、カテーテルシステム10を患者の体腔14の中に前進させるステップを含んでもよい。いくつかの場合では、段階的アプローチにおいて、または任意の他の好適な方法によって、カテーテルシステム10より先に移動され得る、治療部位74を横断して事前に配置され得る、ガイドワイヤ60にわたって、カテーテルシステム10を治療部位に前進させることが望ましくあり得る。本明細書で議論されるカテーテルシステム実施形態10および方法実施形態のいずれかに関する好適な治療部位74は、動脈瘤(図示せず)もしくは同等物等の血管障害の治療等の様々な適応症または血管内プロテーゼ12が適応され得る任意の他の好適な適応症を含んでもよい。加えて、好適な治療部位74は、血管障害に隣接する健康な体腔区分または実質的に健康な体腔区分を含んでもよい。そのような健康な体腔区分における管腔内プロテーゼの展開は、いくつかの場合では、事前に展開された管腔内プロテーゼ12を延在するために、または任意の他の好適な適応症のために望ましくあり得る。
【0035】
外側シース38の外側拘束力等の外側拘束力は、次いで、延在部24が、外側シース38の近位後退の間、管腔内プロテーゼ12の外側表面76および外側シース38の内側表面40との間の摩擦力に起因するシャーシ16に対する管腔内プロテーゼ12の近位軸方向移動を防止しながら、管腔内プロテーゼ12から除去されてもよい。そのような場合、図3に示されるように、外側拘束力は、管腔内プロテーゼ12上の外側シース38の半径方向拘束を解放し、また、外側シース38の内側表面40と管腔内プロテーゼ12の外側表面76との間の摩擦相互作用に起因して、管腔内プロテーゼ12上に近位方向において軸方向力を課す、カテーテルシステム10の外側シース38を近位に後退させることによって、除去されてもよい。外側シース38の内側横寸法は、典型的には、弛緩非拘束状態における管腔内プロテーゼ12の外側横寸法未満となるであろう。延在部24はそれぞれ、前述のように、伸長カテーテルシャーシ16に固定関係で固着される、近位端28と、シャーシ16の外側表面32から半径方向外向きに、かつ延在部24の近位端28の遠位に配置される、遠位端30とを含んでもよい。1つまたはそれを上回る延在部24はそれぞれまた、同様に前述のように、延在部24の遠位端30が外側シース38の内側表面40によって半径方向に拘束された状態に保持されると、管腔内プロテーゼ12の遠位端26の壁34を通して延在してもよい。延在部24は、1つまたはそれを上回る延在部24のそれぞれが、管腔内プロテーゼ12の個別の遠位区画36を少なくとも部分的に捕捉するように、そのように拘束される。外側拘束力が除去されるにつれて、管腔内プロテーゼ12は、次いで、図3に示されるように、管腔内プロテーゼ12の外側表面が患者の体腔14の内側表面78に接触するように、自己拡張することが可能にされる。シャーシ16および1つまたはそれを上回る延在部24は、次いで、図4に示されるように、延在部24がそれぞれ、管腔内プロテーゼ12の遠位端26の壁34内の個別の穿孔を通して軸方向に摺動し、管腔内プロテーゼ12が、完全に展開し、患者の体腔14の内側表面78に係合することが可能にされるように、一体となって近位に後退されてもよい。
【0036】
図11および12を参照すると、本明細書で議論される任意の好適なカテーテルシステム実施形態10において使用され得る、伸長シャーシ80の実施形態が、伸長シャーシ80の管状部材82から直接切り込まれる、管腔内プロテーゼ保定のために構成される複数の延在部84を有する、可撓性かつ弾力性の材料の管状部材82を含むように示される。伸長シャーシ80のそのような「切断したまま」の構成は、ステンレス鋼等の任意の好適な高強度弾力性材料ならびにニッケルチタン合金および同等物等の形状記憶材料から作製されてもよい。形状記憶実施形態に関して、延在部84は、同一または類似長さ、断面積、S形状構成、シャーシ16、80の縦軸42に対して形成される角度等を含む、他の延在部実施形態に関して前述のように、形状および構成のいずれかに熱固化されてもよい。延在部84は、レーザ切断、ウォータージェット切断、ワイヤEDM、または同等物を含む、任意の好適な方法によって、管状シャーシ80から切断されてもよい。
【0037】
図17および18を参照すると、管腔内プロテーゼ12を患者の体腔14内に展開するためのカテーテルシステム実施形態10において使用するための管腔内プロテーゼ保定のために構成される略剛性延在部86を含む、伸長シャーシ16の実施形態が、示される。伸長シャーシ16は、固定関係でそこに固着される、1つまたはそれを上回るそのような剛性延在部実施形態86を有してもよい。剛性延在部実施形態86は、伸長カテーテルシャーシ16に固定関係で固着される、近位端88と、シャーシ16の外側表面32から半径方向外向きに、かつ延在部86の近位端88の遠位に配置される、遠位端90とを含んでもよい。そのような略剛性延在部実施形態86は、延在部86が、管腔内プロテーゼ12の遠位区画36を少なくとも部分的に捕捉し、シャーシ16に対する管腔内プロテーゼ12の近位変位を制限するように、管腔内プロテーゼ12の遠位端26の壁34内の個別の穿孔を通して延在してもよい。この意味で、剛性延在部86は、前述の延在部24と同様に機能し得る。本明細書における本文脈で使用される用語「略剛性」は、その遠位端90が、通常使用の間、血管内グラフト12の展開の間に延在部86上に管腔内プロテーゼ12によってかけられる力に起因して、シャーシ16に対して約1mmを上回って偏向または変位されない、延在部86を含むことを意味する。延在部実施形態86は、それ以外では、可撓性弾力性延在部実施形態24に関して前述の長さと同一または類似長さを有してもよい。略剛性延在部86の遠位端90は、延在部86の遠位端90とシャーシ16の外側表面32との間に、約0.5mm~約5mmの間隙92を伴って配置されてもよい。略剛性延在部86は、ステンレス鋼、ニッケルチタン、複合材料、または同等物等の金属および金属合金を含む、任意の好適な高強度材料または複数の材料から作製されてもよい。
【0038】
図19-22を参照すると、管腔内プロテーゼ12を患者の体腔14内に展開するためのカテーテルシステム実施形態100が、示される。カテーテルシステムは、近位端18と、遠位端20と、遠位区分22と、患者の体腔14を通したシャーシの前進のために十分な全体的柱強度とを有する、可撓性伸長シャーシ16を含む。そのようなカテーテルシステム100はまた、シャーシ16の遠位区分22にわたって拘束状態で配置される自己拡張式管状管腔内プロテーゼ12を含んでもよい。加えて、カテーテルシステム100は、1つまたはそれを上回る薄い可撓性の軸方向ベルト102を含んでもよく、各軸方向ベルト102は、伸長カテーテルシャーシ16に固定関係で固着される、固定端104と、固定端104と反対に配置される、遊離端106とを有する。そのようなカテーテルシステム実施形態に関して、各軸方向ベルト102は、固定端104および遊離端106から管腔内プロテーゼ12の壁34の遠位区画36を通して近位に延在する、ループ108を形成してもよい。各軸方向ベルト102の遊離端106は、円周方向ベルト110がシャーシ16および遊離端106を中心として配置されると、シャーシ16に解放可能に固定関係で固着されてもよい。円周方向ベルト110は、各遊離端106をシャーシ16と固定関係で解放可能に固着するために十分な内向き半径方向力を各軸方向ベルト102の遊離端106上に印加するように構成されてもよい。円周方向ベルトの内向き半径方向力は、円周方向ベルト110の引張力が遊離端106をシャーシ16の外側表面32に対して圧搾することによって発生されてもよい。そのような固定関係では、ループは、管腔内プロテーゼ12の遠位区画36を捕捉するように構成され、その周囲でループ108は、シャーシ16に対する管腔内プロテーゼ12の近位変位を制限するように配置される。
【0039】
いくつかのそのような実施形態に関して、円周方向ベルト110は、円周方向ベルト110のループ状端部118を通して通過するトリガワイヤ112によって、遊離端106およびシャーシ16の周囲に引張状態で解放可能に固着されてもよい。そのようなトリガワイヤ112は、円周方向ベルト110からシャーシ16の近位端18まで、最終的には、近位アダプタ116の展開ハンドル114まで、シャーシ16に沿って、またはその中に軸方向に延在してもよい。展開ハンドル114は、近位方向におけるトリガワイヤ112の軸方向平行移動を印加し、トリガワイヤを端部ループ118から後退させるように作動されてもよい。いくつかの場合では、トリガワイヤ112が、依然として、患者の蛇行性体腔14を通して前進されるために十分な可撓性を維持しながら、トリガワイヤ112が抜去されるまで、円周方向ベルト110の端部ループ118を相互に固定関係に保つために十分な堅度を有することが望ましくあり得る。いくつかのトリガワイヤ実施形態112は、超弾性ニッケルチタン合金を含むニッケルチタン合金ならびにステンレス鋼、複合材料、および同等物等の金属ならびに金属合金を含む、高強度弾力性可撓性材料から作製されてもよい。いくつかの場合では、トリガワイヤ112は、約0.002mm~約0.06mm、より具体的には、約0.04mm~約0.05mmの断面積を有してもよい。
【0040】
複数の軸方向ベルト102を含む、それらのカテーテルシステム実施形態に関して、複数の軸方向ベルト102は、シャーシ16を中心とする円周方向配向に対してシャーシ16を中心として均一に分散されてもよい。いくつかの実施形態に関して、1つまたはそれを上回る軸方向ベルト102は、約10mm~約25mmの長さを有してもよい。いくつかの実施形態に関して、1つまたはそれを上回る軸方向ベルト102はそれぞれ、約0.002mm~約0.16mm、より具体的には、約0.05mm~約0.09mmの横断面積を有してもよい。いくつかの場合では、カテーテルシステム100は、1つの軸方向ベルト102~10の軸方向ベルト102、より具体的には、2つの軸方向ベルト102~6つの軸方向ベルト102、さらにより具体的には、3つの軸方向ベルト102~4つの軸方向ベルト102を含んでもよい。いくつかの場合では、軸方向ベルト102および解放可能円周方向ベルト110は、ステンレス鋼、超弾性ニッケルチタン等の金属合金を含む金属の中実ワイヤまたは編組もしくは撚線フィラメントならびにナイロン、アラミドファイバ、および同等物等の高強度ポリマーの中実、編組、または撚線フィラメントを含む、任意の好適な高引張可撓性材料から作製されてもよい。
【0041】
いくつかの場合では、管腔内プロテーゼ12の個別の遠位区画36は、1つまたはそれを上回る軸方向ベルト102のそれぞれのループ108によって捕捉されてもよい。各遠位区画36は、管腔内プロテーゼ12の自己拡張式ステント56の高強度ステント要素54を含んでもよい。加えて、1つまたはそれを上回る軸方向ベルト102のループのそれぞれによって捕捉されたステント要素54は、ステント56の円頂区分(図示せず)を含んでもよい。高強度ステント要素54は、ニッケルチタン合金または同等物等の弾力性かつ随意に超弾性の材料を含んでもよい。
【0042】
いくつかの実施形態に関して、シャーシ16は、随意に、シャーシ16の近位端18からシャーシ16の遠位端20まで延在する、ガイドワイヤ管腔58を含んでもよい。いくつかの事例では、カテーテルシステム100はまた、シャーシ16の遠位端20に固着される、円錐形頭部62を含んでもよい。円錐形頭部は、管状外側シース38の遠位端66内に配置される、肩部部分64を有してもよい。管腔内プロテーゼ12およびシャーシ16にわたって配置される、随意の管状外側シース38は、管腔内プロテーゼ12を拘束状態に少なくとも部分的に半径方向に拘束する、内側表面40を含んでもよい。
【0043】
いくつかの場合では、本明細書で議論される管状管腔内プロテーゼ実施形態12は、図9および10に示されるように、自己拡張式ステント56に固着される薄い応従性の材料70の少なくとも1つの層を含む、管状ステントグラフトであってもよい。これらの実施形態のうちのいくつかに関して、薄い応従性の材料70は、ナイロンメッシュ、PTFE、ePTFE、または同等物を含んでもよい。いくつかの事例では、ステントグラフト12は、図9に示されるように、完全にステントが内挿されたステントグラフトであってもよく、管状グラフト材料70に固着される、螺旋の弾力性かつ波状のステント56は、ステントグラフト12の遠位端26からステントグラフト12の近位端72まで延在する。
【0044】
使用時、図23-25を参照すると、管腔内プロテーゼ12を患者の体腔14内に展開するための方法は、図23に示されるように、カテーテルシステムの管腔内プロテーゼ12が治療部位74に配置されるまで、カテーテルシステム100を患者の体腔14の中に前進させるステップを含んでもよい。いくつかの場合では、段階的アプローチにおいて、または任意の他の好適な方法によって、カテーテルシステム100より先に移動され得る、治療部位74を横断して事前に配置され得る、ガイドワイヤ60にわたって、カテーテルシステム100を治療部位74まで前進させることが望ましくあり得る。外側シース38等の外側拘束力は、図24に示されるように、軸方向ベルト102がシャーシに対する管腔内プロテーゼ12の近位軸方向移動を制限しながら、管腔内プロテーゼ12から除去されてもよい。管腔内プロテーゼ12上の外側拘束力の除去は、図23において矢印120によって示されるように、外側シース38の近位後退を含んでもよい。いくつかの場合では、外側シース38は、シャーシ16に対して後退ハンドル67に近位引張力を印加することによって、近位に後退されてもよい。前述のように、軸方向ベルト102は、伸長カテーテルシャーシ16に固定関係で固着される、固定端104と、固定端104と反対に配置される、遊離端106とを含んでもよい。軸方向ベルト102は、固定端104および遊離端106から管腔内プロテーゼ12の壁34の遠位区画36を通して近位に延在する、ループ108を形成する。軸方向ベルト102の遊離端106は、円周方向ベルト110がシャーシ16および遊離端106を中心として配置されると、シャーシ16に解放可能に固定関係で固着される。1つまたはそれを上回る軸方向ベルト102のそれぞれのループ108は、管腔内プロテーゼ12の個別の遠位区画36を捕捉し、その近位方向における軸方向移動を制限する。管腔内プロテーゼ12は、管腔内プロテーゼ12の外側表面76が患者の体腔14の内側表面78に接触するように、外側シース38の近位後退等による拘束力の除去によって、自己拡張することが可能にされてもよい。円周方向ベルト110の引張力および結果として生じる内向き半径方向力は、次いで、円周方向ベルト110の端部ループ118からのトリガワイヤ112の近位後退によって、1つまたはそれを上回る軸方向ベルト102から解放されてもよい。軸方向ベルト102の遊離端106は、それによって、管腔内プロテーゼ12の遠位区画36から解放される。このように、管腔内プロテーゼ12は、さらに自己拡張し、完全に展開され、体腔14の内側表面78に係合することが可能にされる。シャーシ16および1つまたはそれを上回る軸方向ベルト102は、次いで、図25に示されるように、軸方向ベルト102が管腔内プロテーゼ12の遠位端の壁34内の個別の穿孔から抜去されるように、近位に後退されてもよい。
【0045】
図26を参照すると、カテーテルシステム126の別の実施形態が、図19-22のカテーテルシステム100のものに類似する管腔内プロテーゼ抑止システムを有するように示される。しかしながら、図19-25のカテーテルシステム100の場合のように、遠位区画36の周囲の固定端104から遊離端106に戻るように延在する各軸方向ベルト102の各ループ108の代わりに、図26のカテーテルシステム実施形態126の軸方向ベルト128は、シャーシ16に固着される固定端130から、血管内プロテーゼ12の遠位区画36の周囲の壁34内の個別の穿孔を通して、次いで、遊離端132に遠位に延在する。遊離端132は、同様に、シャーシ16に解放可能に固定関係で固着されてもよく、円周方向ベルト110およびトリガワイヤ112配列は、同一または類似特徴、寸法、および材料を用いた図19-22のカテーテルシステム実施形態100のものと同一または類似配列を伴う。
【0046】
図27-29を参照すると、管腔内プロテーゼを患者の体腔内で展開するためのカテーテルシステム140は、近位端18と、遠位端20と、遠位区分22と、患者の体腔14を通したシャーシ16の前進のために十分な全体的柱強度とを有する、可撓性伸長シャーシ16を含む。そのようなカテーテルシステム140はまた、シャーシ16の遠位区分22にわたって拘束状態で配置される自己拡張式管状管腔内プロテーゼ12を含んでもよい。加えて、カテーテルシステム140は、複数の軸方向解放ワイヤ142を含んでもよく、各軸方向解放ワイヤ142は、近位端と、遠位端144と、遠位区分146とを有する。各解放ワイヤ142の遠位区分146は、遠位区分146が、最近位ブッシング148と、最遠位ブッシング150とを含む、一対の軸方向に離間されるブッシングに解放可能に固定関係で固着されると、管腔内プロテーゼ12の壁34の遠位区画36を通して延在してもよい。ブッシング148、150は、シャーシ16に固着され、そこから半径方向外向きに延在してもよい。そのような構造は、遠位区分146、軸方向に離間されるブッシング148、150、およびシャーシ16の外側表面32間に形成される連続封入構造を有する、ループ構造152を形成するように構成されてもよく、したがって、本ループ構造152は、管腔内プロテーゼ12の個別の遠位区画36を解放可能に捕捉し、シャーシ16に対する管腔内プロテーゼ12の近位変位を制限する。本構成はまた、個別のループ構造152によって捕捉された遠位区画36の外向き半径方向変位を制限してもよい。
【0047】
いくつかの実施形態に関して、解放ワイヤ142は、解放ワイヤ142が最近位ブッシング148の縦方向管腔154および最遠位ブッシング150の対応する縦方向管腔156を通して配置される構成において、離間されるブッシング148、152に解放可能に固着されてもよい。いくつかの場合では、ブッシング148、150の縦方向管腔154、156が、その中に配置される解放ワイヤ142の外側表面158に対して略密嵌合を伴う内径を有することが望ましくあり得る。これらの場合では、縦方向管腔154、156の略密嵌合は、付加的半径方向支持および安定性をその中に配置される解放ワイヤ142に提供し得る。いくつかの場合では、最近位ブッシング148および最遠位ブッシング150の対応する縦方向管腔154、156は、相互に同軸または別様に整合されてもよい。いくつかの場合では、ブッシング148、150および縦方向管腔154、156の間隔ならびに構成は、カテーテルシステム140の性能に重要であり得る。いくつかの実施形態に関して、離間されるブッシング148、150は、約2mm~約15mm、より具体的には、約5mm~約10mmの軸方向長さと、約2mm~約6mm、より具体的には、約2mm~約3.5mmの外径とを有してもよい。いくつかの場合では、最近位ブッシング148の遠位端と最遠位ブッシング150の近位端との間の縦方向間隙は、約4mm~約16mmであってもよく、離間されるブッシング148、150の縦方向管腔154、156とシャーシ16の外側表面32との間の間隙160は、約0.5mm~約5mmであってもよい。
【0048】
いくつかの実施形態に関して、複数の軸方向解放ワイヤ142は、シャーシ16および離間されるブッシング148、150を中心として円周方向配向に対して均一に分散されてもよい。そのような解放ワイヤ142は、離間されるブッシング148、150からシャーシ16の近位端18までシャーシ16に沿って、またはその中に軸方向に延在し、図19に示される近位アダプタ116上に配置される展開ハンドル114等の展開ハンドルに結合されてもよい。いくつかの場合では、解放ワイヤ142が、解放ワイヤ142がカテーテルシステム140の近位アダプタ116に配置されるハンドル114からの近位後退によって抜去されるまで、管腔内プロテーゼ12の遠位区画36をシャーシ16と固定関係で保つために十分な堅度を有することが望ましくあり得る。しかしながら、解放ワイヤ142は、依然として、患者の蛇行性体腔14を通して前進されるために十分な可撓性を維持するべきである。いくつかの解放ワイヤ実施形態142は、超弾性ニッケルチタン合金を含むニッケルチタン合金ならびにステンレス鋼、複合材料、および同等物等の金属および金属合金を含む、高強度弾力性可撓性材料から作製されてもよい。いくつかの場合では、解放ワイヤ142は、約0.04mm~約0.06mmの断面積を有してもよい。いくつかの場合では、カテーテルシステム140は、2つの軸方向解放ワイヤ142~10の軸方向解放ワイヤ142、より具体的には、2つの軸方向解放ワイヤ142~6つの軸方向解放ワイヤ142、さらにより具体的には、3つの軸方向解放ワイヤ142~4つの軸方向解放ワイヤ142を有してもよい。
【0049】
いくつかの場合では、解放ワイヤ142によって捕捉された管腔内プロテーゼ12の個別の遠位区画36は、管腔内プロテーゼ12の自己拡張式ステント56の高強度ステント要素54を含んでもよい。加えて、解放ワイヤ142のそれぞれによって捕捉されたステント要素54は、ステント56の円頂区分を含んでもよい。高強度ステント要素54は、ニッケルチタン合金または同等物等の弾力性かつ随意に超弾性の材料を含んでもよい。
【0050】
いくつかの実施形態に関して、シャーシ16は、随意に、シャーシ16の近位端18からシャーシ16の遠位端20まで延在する、ガイドワイヤ管腔58を含んでもよい。いくつかの事例では、カテーテルシステム140はまた、シャーシ16の遠位端20に固着される、円錐形頭部62を含んでもよく、円錐形頭部62は、管状外側シース38の遠位端66内に配置され得る、肩部部分64を含む。随意の外側シース38の内側表面40は、管腔内プロテーゼおよびシャーシにわたって配置され、管腔内プロテーゼを拘束状態に少なくとも部分的に半径方向に拘束してもよい。
【0051】
いくつかの場合では、管状管腔内プロテーゼ12は、自己拡張式ステント56に固着される薄い応従性の材料70の少なくとも1つの層を含む、管状ステントグラフトであってもよい。これらの実施形態のうちのいくつかに関して、薄い応従性の材料70は、ナイロンメッシュ、PTFE、ePTFE、または同等物を含んでもよい。いくつかの事例では、ステントグラフト12は、図9に示されるように、完全にステントが内挿されたステントグラフトであってもよく、管状グラフト材料70に固着される、螺旋の弾力性かつ波状のステント56は、ステントグラフト12の遠位端26からステントグラフト12の近位端72まで延在する。
【0052】
使用時、図28および30に示されるように、管腔内プロテーゼ12の展開は、図19に示されるように、外側シース38の近位端69に固着される後退ハンドル67に軸方向引張力を印加することによる随意の外側シース38の近位後退から開始してもよい。外側シース38の近位後退の間、管腔内プロテーゼ12の近位変位は、管腔内プロテーゼ12の個別の遠位区画36を機械的に捕捉するループ構造152によって、制限される。前述のように、近位軸方向力が、管腔内プロテーゼ12の外側表面76と外側シース38の内側表面40との間の摩擦係合に起因して、外側シース38の後退の間、管腔内プロテーゼ上に発生され得る。摩擦係合は、外側表面76を外側シース38の内側表面40に対して押動させる、管腔内プロテーゼのいくつかの実施形態の半径方向に拘束された自己拡張式ステント56の外向き半径方向力に起因し得る。
【0053】
いったん外側シース38が近位に後退されると、解放ワイヤ142は、次いで、図28に示されるように、離間されるブッシング148、150の個別の縦方向管腔154、156または最遠位ブッシング150の少なくとも縦方向管腔156から近位に後退されてもよい。いったん解放ワイヤ142が少なくとも最遠位ブッシング150および管腔内プロテーゼ12の遠位区画36から係脱されると、管腔内プロテーゼ12は、図30に示されるように、自己拡張し、患者の体腔14の内側表面78に係合することが可能にされるであろう。解放ワイヤ142の近位後退に先立って、解放ワイヤ142、離間されるブッシング148、150、およびシャーシ16の外側表面32間に形成されるループ152は、展開プロセスの開始時に随意の外側シース38の近位後退によって管腔内プロテーゼ12上にかけられる摩擦力に起因して、管腔内プロテーゼ12の近位方向における軸方向移動を制限する役割を果たす。このように、管腔内プロテーゼ12の軸方向位置は、展開プロセスの間、シャーシ16および体腔14に対して維持される。
【0054】
図31-41を参照すると、管腔内プロテーゼ12を患者の体腔14内に展開するためのカテーテルシステム170のいくつかの実施形態は、近位端18と、遠位端20と、遠位区分22と、縦軸42と、患者の体腔14を通したシャーシ16の前進のために構成される柱強度とを有する、随意の可撓性伸長シャーシ16を含んでもよい。そのようなカテーテルシステム170はまた、シャーシ16の遠位区分22に拘束状態で配置される自己拡張式管状管腔内プロテーゼ12を含んでもよい。カテーテルシステムは、内側区分174を有する、管状外反シース172を含む。内側区分は、第1の直径と、シャーシ16に固定関係で固着される、固定端176と、管腔内プロテーゼ12にわたって配置され、それを拘束状態で半径方向に拘束する、管腔内プロテーゼ区分178とを含む。固定端176は、内側区分の遠位端に配置されてもよく、いくつかの場合では、内側区分174は、管腔内プロテーゼ区分178の近位端に隣接する位置においてシャーシ16に固定関係で固着されてもよい。管腔内プロテーゼ区分178は、概して、固定端176と反対の内側区分174の遠位端に、シャーシ16の遠位区分22に隣接して配置される。内側区分174は、随意に、外反シース172の直径、厚さ、および/または材料における遷移が存在し得る、遷移点において、外側区分180に継合する。内側区分の第1の直径174は、図38に示される矢印179によって示される。
【0055】
管状外反シース172はまた、内側区分174の管腔内プロテーゼ区分178にわたって外反され、また、管腔内プロテーゼ区分178の近位の内側区分174の残りの一部または全部にわたって外反されてもよい、外側区分180を含む。外側区分180は、後退端182の後退および外反シース172の外反の間、外側区分180が内側区分174にわたって容易に摺動可能であるように、後退端182と、内側区分174の第1の直径より大きい第2の直径とを含んでもよい。後退端182は、外側区分180を内側区分174にわたって引き返し、外反シース172を外反させるために、近位軸方向引張力をシャーシ16に対して外側区分180および内側区分174に印加するために使用され得る、後退ハンドル186に固着される。したがって、いくつかの場合では、随意のシャーシ16が、外反シース172の外反の間、外側区分180の後退端182に印加される軸方向引張力に抵抗するために十分な柱強度を有することが望ましくあり得る。外側区分180の第2の直径は、図38に示される矢印181によって示される。
【0056】
段階的または多直径外反シース172を含む、カテーテルシステム実施形態170に関して、外側区分180の直径は、いくつかの場合では、管状外反シース172の外側区分180の、図38に示される矢印184によって示される少なくとも壁厚の量だけ、内側区分174の第1の直径を上回ってもよい。いくつかの実施形態に関して、外反シースの壁の厚さ184は、約0.05mm~約2mmであってもよい。本二重直径配列は、管状外反シース172を外反させるために要求される外側区分180上の摩擦および引張力を低減させるために有用であり得る。いくつかの実施形態に関して、図35に示されるように、内側区分174と外側区分180との間に配置される潤滑材料175が、外反の間、これらの区分174、180間の摩擦を低減させるために使用されてもよい。潤滑材料175の好適な潤滑材料として、液体、ペースト、ヒドロゲルを含むゲル、ならびに潤滑性材料から形成される管状構造が挙げられ得る。
【0057】
外反シースのいくつかの実施形態はまた、少なくとも部分的に、本タイプの材料の潤滑性およびしなやかな性質に起因して、外側区分が内側区分にわたって容易に摺動可能であるように、隣接するノードを相互接続する明確に異なる原繊維を伴わない独立気泡微小構造を有する、PTFE材料を含んでもよい。明確に異なる原繊維を伴わない独立気泡微小構造を伴うPTFE材料を有する外反シースを含む、カテーテルシステム実施形態はまた、随意に、内側区分174が外側区分180と異なる直径を有する、二重直径外反シースを伴わずに構成されてもよい。前述のように、本明細書で議論される種々のカテーテルシステムおよび/または管腔内プロテーゼデバイスの構成要素は、J. Humphrey
et al.によって2010年10月29日に出願され、「PTFE Layers
and Methods of Manufacturing」と題された共同所有の米国特許第8,728,372号(参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)に説明されるように、隣接するノードを相互接続する明確に異なる原繊維を有していない独立気泡微小構造をもたらす、湿式延伸法または同等物によって生産されるタイプのPTFE材料を含んでもよい。
【0058】
これらのタイプの特殊PTFE材料の製造は、任意の好適な方法によって実施されてもよい。そのようなPTFE材料は、PTFE樹脂粉末と、潤滑剤材料、延伸剤、またはそれらの組み合わせを調合し、次いで、調合された材料をラム押出機等の押出機を通して押出することによって生産されてもよい。押出成形物は、次いで、薄化し、押出成形物を機械的に加工するために、カレンダ加工されてもよい。カレンダ加工後、カレンダ加工されたPTFE層の片側または両側に、PTFEフィルムもしくは層が、浸水され、PTFE層の厚さを通して完全に飽和されるように、規定された温度でイソパラフィンベースの延伸剤が噴霧される。飽和され、カレンダ加工されたPTFE層は、次いで、幅出機械によって、カレンダ加工方向に略直交する方向に延伸され、PTFE層の厚さを低減させ、延伸されたPTFE層を形成してもよい。延伸されたPTFE層は、約0.00005インチ~約0.005インチの厚さを有してもよい。具体的には、延伸されたPTFE層は、約0.0002インチ~約0.002インチの厚さを有してもよい。PTFE層は、典型的には、ガラス遷移温度を上回る高温、具体的には、約80°F~約100°F、より具体的には、約85°F~約95°Fで幅出または延伸される。延伸剤を用いた湿潤幅出は、PTFE層が、実質的多孔率および流体浸透性を延伸されたPTFE層内に生成せずに、薄化されることを可能にする。延伸されたPTFE層は、多孔率を有するであろうが、その多孔率および細孔サイズは、典型的には、液体に対して浸透性であるほど十分に大きくなく、多くの場合、実質的に無流体浸透性を有するほど十分に小さいであろう。加えて、延伸されたPTFE層実施形態は、従来のノードおよび原繊維微小構造を有しておらず、代わりに、隣接するノードの境界が相互に直接接続される、独立気泡微小構造を有する。流体不浸透性の延伸されたPTFEフィルムまたは層は、典型的には、約0.5g/cm~約1.5g/cmの密度を有してもよいが、いくつかの実施形態に関して、より大きいまたはより小さい密度を有してもよい。加えて、前述のPTFEの層を処理する方法の全てに関して、これらの方法によって生産されるPTFE層のいずれかはまた、PTFE層の微小構造を実質的に固定するために、前述のプロセスにおける任意の点において焼結されてもよい。典型的焼結プロセスは、PTFE層を約350℃~約380℃の温度に、数分、具体的には、約2分~約5分にわたって暴露させてもよい。前述の種々の方法は、種々の望ましい特質を有するPTFE層を生産するために使用されてもよい。そのような材料の走査電子顕微鏡(SEM)画像は、延伸PTFE層に一般に見られる従来のノードおよび原繊維微小構造が実質的にない、略独立気泡微小構造を示す。PTFEフィルムの実施形態は、低流体浸透性または無もしくは実質的に無流体浸透性を有してもよい。PTFE層のうちの1つまたはそれを上回るものは、液体もしくはガス等の流体がそれを通して浸透または逃散しないように防止する、障壁層として使用されてもよい。20,000の倍率では、延伸されたPTFE層の微小構造は、相互接続される高密度領域および高密度領域のいくつかの間のポケットまたは細孔を含む、膿疱状構造に類似する。PTFEフィルムは、高密度領域粒界が隣接する高密度領域の粒界に直接接続される、高密度領域を接続する相互接続されたストランドを伴う、独立気泡網状構造を有すると見なされ得る。20,000のSEM倍率で見ると判別可能な実質的ノードおよび原繊維微小構造を典型的には有する、従来の延伸PTFE(「ePTFE」)と異なり、そのようなPTFE層は、ePTFEの隣接するノードを相互接続する、明確に異なる平行原繊維を欠いており、20,000のSEM倍率で見ると判別不能なノードおよび原繊維微小構造を有する。PTFE層の独立気泡微小構造は、液体がPTFE層の片側から反対側に通過しないように防止するための「障壁層」として使用され得る、低または実質的無流体浸透性を有する層を提供する。そのようなPTFEフィルムまたは層は、低もしくは実質的無流体浸透性を有するように構成されるが、PTFE層は、それにもかかわらず、多孔率を有する。PTFE層は、典型的には、約20%~約80%、具体的には、約30%~約70%の平均多孔率を有する。一実施形態では、そのようなPTFEフィルムは、約30%~約40%の多孔率を有する。別の実施形態では、そのようなPTFE層は、約60%~約70%の多孔率を有する。これらの図に説明されるような多孔率は、PTFEフィルムの総体積のパーセンテージとして固体PTFE材料の体積を示すことを意味する。PTFE層内の平均細孔サイズは、約20ミクロン未満、具体的には、約0.5ミクロン未満であってもよい。一実施形態では、そのようなPTFE層は、約0.01ミクロン~約0.5ミクロンの平均細孔サイズを有する。理解され得るように、組織内部成長が所望される場合、PTFEフィルムは、約6.0ミクロンを上回る平均細孔サイズを有してもよい。以下に説明されるように、得られるPTFE層の所望の特質に応じて、方法の実施形態は、10ミクロン~50ミクロンから実質的に約0.1ミクロン未満まで連続体におけるPTFEフィルムの平均多孔率および平均細孔サイズを変動させるように修正されてもよい。いくつかの場合では、そのようなPTFE層は、約0.5g/cm~約1.5g/cm、具体的には、約g/cm~約1.5g/cmの密度を有してもよい。PTFEフィルムの密度は、典型的には、完全に緻密化されたPTFE層(例えば、2.1g/cm)のための密度未満であるが、所望に応じて、PTFE層の密度は、PTFE層の密度が完全に緻密化されたPTFE層に匹敵するように、より高い密度レベルに緻密化されてもよい。そのようなPTFEフィルム実施形態は、約0.005インチ未満、具体的には、約0.00005インチ~約0.005インチ、より具体的には、約0.0001インチ~約0.002インチの平均厚さを有してもよい。
【0059】
いくつかの場合では、外反シース172またはその区分174、180は、図39に示されるように、ともに固着される薄い柔軟性の材料の複数の層187A、187B、187Cを含む、層状管状構造を含んでもよい。加えて、材料の単層を含む外反シース172または複数の層187から形成される外反シースの任意の区分は、例えば、PTFE、ePTFE、すなわち、前述のように、隣接するノードを相互接続する明確に異なる原繊維を伴わない独立気泡微小構造を有する、PTFE、または任意の好適な材料等の任意の好適な柔軟性の低摩擦材料を含んでもよい。
【0060】
図39は、材料の複数の層を含む、外反シース172の外側区分180の一部を図示する。示される実施形態に関して、外反シースは、随意に、層187A、187B、187Cのそれぞれの表面全体または部分的表面にわたってともに融合もしくは接合され得る、材料の3つの別個かつ明確に異なる層を含む。層はそれぞれ、同一材料または異なる材料を含んでもよい。層187の数は、外反シース172の所望の特質を達成するために変動されてもよい。いくつかの実施形態に関して、外反シースは、材料の1つの層~10の層、より具体的には、2つの層~6つの層、さらにより具体的には、材料の3つの層~4つの層を有してもよい。いくつかの事例では、複数の層を含む、外反シース実施形態172に関して、層のうちの1つまたはそれを上回るものは、異方的に配向されてもよい、またはそうではなくてもよい、ePTFEと、前述のように、隣接するノードを相互接続する明確に異なる原繊維を伴わない独立気泡微小構造を有する、PTFEの1つまたはそれを上回る層とを含んでもよい。
【0061】
いくつかの場合では、PTFE材料、特に、ePTFE材料を含む、外反シース実施形態172に関して、外反シース材料の1つまたはそれを上回る層のいずれかは、第1の方向において、第1の方向と垂直の第2の方向と比較して、より大きな強度を提供する、異方性配向を含んでもよい。例えば、縦方向により大きな強度を提供する異方性配向を有する、ePTFE材料の層は、外反シース172の外反の間に縦方向引張力を被る、外反シース172の外側区分180のために特に有用であり得る。他の実施形態に関して、円周方向においてより大きな強度を提供する異方性配向を有する、ePTFE材料の層は、内側区分174の管腔内プロテーゼ区分178内に配置される拘束された自己拡張式管腔内プロテーゼ12の外向き半径方向力を受ける、外反シース172の内側区分174のために特に有用であり得る。これらの異方性材料の任意の所望の組み合わせが、複数の層の外反シース実施形態172の層のために使用されてもよい。
【0062】
カテーテルシステム170のいくつかの実施形態に関して、外反シース実施形態172のいずれかはさらに、図39および40に示されるように、外反シース172の層状管状構造の隣接する層187間に配置され、管腔内プロテーゼ区分178および外反シース172の外側区分180に沿って縦方向に延在する、1つまたはそれを上回る薄く伸長の高引張後退テザー188を含んでもよい。単層外反シース実施形態172に関して、そのような後退テザー188は、外反シースのいずれかの表面に固着されてもよい。いくつかの場合では、1つまたはそれを上回る後退テザーは、図40に示されるように、外反シース172の管状構造を中心として螺旋状に巻着されてもよい。図39に示される実施形態に関して、後退テザー188は、第1の層187Aと第2の層187Bとの間に配置される。第3の層187Cは、第2の層187Bに固着される。後退テザー188はまた、第2の層187Bと第3の層187Cとの間に配置されてもよい。4層外反シース実施形態(図示せず)に関して、後退テザーは、第1の層と第2の層との間、第2の層と第3の層との間、または第3の層と第4の層との間に配置されてもよい。後退テザー188は、外反プロセスの間、外反シース172を補強および/または把持するために有用であり得る。したがって、後退テザー188の後退端を後退ハンドル186に固着することが望ましくあり得る。
【0063】
いくつかの場合では、カテーテルシステム170の外反シース172は、図40に示されるように、外反シース172の外側区分180の後退端182に配置される、随意の一体型漏斗区分190を含んでもよい。漏斗区分190は、管腔内プロテーゼ12を外反シース172の中に装填し、かつ外反の間の外側区分180と内側区分174との間の相対的移動を促進するために有用であり得る。いくつかの場合では、漏斗区分190は、図40における矢印192によって示されるように、10度~40度の内包漏斗角度を有してもよい。いくつかの実施形態に関して、漏斗区分190は、その開口部に、弛緩拡張状態において管腔内プロテーゼ12の外径を上回る、図40における矢印194によって示される大径を有してもよい。いくつかの実施形態に関して、随意の一体型後退テザー196が、図37および40-41に示されるように、外反プロセスをさらに促進し、外反シース172の後退端のためのアンカ点を提供するために、一体型漏斗区分190に固着され、そこから延在してもよい。したがって、一体型後退テザー196は、後退ハンドル186に固着されてもよい。
【0064】
いくつかの場合では、随意の円錐形頭部62が、シャーシ16の遠位端20に固着されてもよく、円錐形頭部62は、管状外反シース172の遠位端198内に配置される、肩部部分64を含む。円錐形頭部62は、いくつかの実施形態に関して、管腔内プロテーゼ12の遠位の軸方向位置においてシャーシ16に固着されてもよい。いくつかの事例では、シャーシ16は、シャーシ16の近位端18からシャーシ16の遠位端20まで延在する、ガイドワイヤ管腔58を含んでもよい。シャーシ16はさらに、本明細書で議論される実施形態のいずれかに関して、約50cm~約200cmの軸方向長さを含んでもよい。示される実施形態に関して、近位アダプタ19は、シャーシ16の近位端18に固着され、カテーテルシステム170の近位端を操作する、またはガイドワイヤ60もしくは同等物等の材料またはデバイスをカテーテルシステム170の種々の管腔の中に導入するためのカテーテルシステム170のユーザのためのインターフェースを提供するように構成される。
【0065】
いくつかの場合では、管状管腔内プロテーゼ12は、自己拡張式ステント56に固着される薄い応従性の材料70の少なくとも1つの層を含む、管状ステントグラフトであってもよい。これらの実施形態のうちのいくつかに関して、薄い応従性の材料70は、ナイロンメッシュ、PTFE、ePTFE、または同等物を含んでもよい。いくつかの事例では、ステントグラフト12は、図9に示されるように、完全にステントが内挿されたステントグラフトであってもよく、管状グラフト材料70に固着される、螺旋の弾力性かつ波状のステント56は、ステントグラフトの遠位端26からステントグラフト12の近位端72まで延在する。
【0066】
使用時、図42-45を参照すると、管腔内プロテーゼ12を患者の体腔14内に展開するための方法は、図42に示されるように、カテーテルシステム170の管腔内プロテーゼ12が治療部位74に拘束状態で配置されるまで、カテーテルシステム170を患者の体腔14の中に前進させるステップを含んでもよい。いくつかの場合では、カテーテルシステム170を患者の体腔14の中に前進させるステップは、他のカテーテルシステム実施形態に関してより詳細に前述のように、カテーテルシステムの管腔内プロテーゼ12が治療部位74に配置されるまで、カテーテルシステムをガイドワイヤ60にわたって前進させるステップを含んでもよい。管腔内プロテーゼ12は、管状外反シース172の内側区分174の管腔内プロテーゼ区分178の実質的に非拡張可能な内側表面200によってかけられる内向き半径方向拘束力によって半径方向に拘束された状態で保持されてもよい。本管腔内プロテーゼ12上の外側拘束力は、次いで、外反プロセスによって、シャーシ16および内側区分174に対する管状外反シース172の外側区分180の後退端182を近位に後退させ、変位させることによって、完全または部分的に、管腔内プロテーゼ12から除去されてもよい。
【0067】
外反プロセスの間、外反シース172の後退端182および外側区分180は、シャーシ16に対して近位に引き戻される一方、内側区分174は、定常のままであるが、そこに接続される外側区分180の軸方向変位に起因してその上に折畳されるにつれて、遠位端においてめくり上げられる。本プロセスは、図43に示されるように、内側区分174の管腔内プロテーゼ区分178から外側区分180および内側区分174の遠位部分が近位に外反されるまで継続されてもよい。すなわち、外反は、内側区分174の管腔内プロテーゼ区分178がめくり上げられ、それによって、管腔内プロテーゼを暴露し、管腔内プロテーゼ区分178の内向き半径方向拘束力を完全に除去するまで実施される。管腔内プロテーゼ12は、したがって、外側拘束力の本除去に起因して、自己拡張することが可能にされるであろう。管腔内プロテーゼ12が自己拡張するにつれて、管腔内プロテーゼ12の外側表面76は、次いで、図44に示されるように、患者の体腔14の内側表面78に係合してもよい。大部分の場合、外側区分180の後退端182は、外反シース172および外反シース172の管腔内プロテーゼ区分178によってかけられる拘束力が管腔内プロテーゼ12から完全に除去されるまで近位に後退される。
【0068】
カテーテルシステム170を用いて管腔内プロテーゼ12を展開するための本方法は、任意の好適な種々の管腔内プロテーゼを任意の好適な標的部位74に展開するために使用されてもよい。図46は、患者の腸骨動脈の内腔14内に展開されている、管腔内プロテーゼ12を示す。そのような腸骨動脈管腔におけるそのような管腔内プロテーゼ12の展開は、本明細書で議論されるカテーテルシステム実施形態および対応する使用方法のいずれかによって実施されてもよい。
【0069】
いくつかの場合では、前述のカテーテルシステム実施形態10、100、126、140のいずれかの管腔内プロテーゼ保定能力と、本明細書で議論されるカテーテルシステム170または任意の他の外反シースカテーテルシステムの外反シース展開能力を組み合わせることが有用であり得る。このように、管腔内プロテーゼの軸方向位置は、外反シース172の外反の間、効率的に維持され得る。図47を参照すると、カテーテルシステム実施形態210のいくつかの実施形態は、近位端18と、遠位端20と、遠位区分22と、縦軸42と、患者の体腔14を通したシャーシ16の前進のために十分な全体的柱強度とを有する、可撓性伸長シャーシ16を含んでもよい。カテーテルシステム210はまた、シャーシ16の遠位区分22にわたって拘束状態で配置される、自己拡張式管状管腔内プロテーゼ12と、管腔内プロテーゼ12の遠位端26の壁34を通して延在する、1つまたはそれを上回る薄く可撓性かつ弾力性のある延在部24とを含んでもよい。延在部24は、各延在部24が、管腔内プロテーゼ12の遠位区画36を少なくとも部分的に捕捉し、シャーシに対する管腔内プロテーゼ12の近位変位を制限するように、半径方向に拘束された状態で配置されてもよい。延在部24はそれぞれ、伸長カテーテルシャーシ16に固定関係で固着される、近位端28と、シャーシ16の外側表面32から半径方向外向きに、かつ延在部24の近位端28の遠位に配置される、遠位端30とを含んでもよい。カテーテルシステム210は、シャーシ16に固定関係で固着される固定端176と、管腔内プロテーゼ12および延在部24にわたって配置され、それを拘束状態で半径方向に拘束する、管腔内プロテーゼ区分178とを含む、内側区分174を有する、管状外反シース172を含む。管状外反外側シース172はまた、内側区分174の管腔内プロテーゼ区分178にわたって外反される、外側区分180を有してもよい。外側区分はまた、図31に示されるように、固定端176として外反シース172の反対端に配置される、後退端182を含む。一般に、カテーテルシステム210は、本明細書で議論されるカテーテルシステムのいずれかのものと同一または類似特徴、寸法、もしくは材料を含んでもよい。
【0070】
外反シース172は、管腔内プロテーゼ12およびシャーシ16にわたって配置され、管腔内プロテーゼを拘束状態に拘束する管腔内プロテーゼ区分178の内側表面200を含む。内側表面200はまた、図47に示されるように、延在部24の遠位端30を半径方向に拘束された状態で半径方向に拘束する。延在部24の遠位端30のそのような半径方向に拘束された状態は、近位引張力が管腔内プロテーゼ12に印加されると、延在部24の遠位端30上の半径方向拘束力が近位方向に枢動しないように防止するため、延在部24が管腔内プロテーゼ12の近位軸方向移動を制限するためのさらなる効力を提供し得る。いくつかの実施形態に関して、延在部24は、弛緩非拘束状態において、その管腔内プロテーゼ12もまた非拘束状態にあるときに展開されることになる管腔内プロテーゼ12の半径に類似する距離だけ、シャーシから半径方向外向きに延在する、遠位端30を有してもよい。いくつかの事例では、可撓性延在部24がシャーシ16の縦軸42に対して形成する角度は、図8に示されるように、延在部24が弛緩非拘束状態にあると、5度~50度であってもよい。シャーシ16の縦軸42に対する可撓性延在部24の角度は、いくつかの場合では、図8に示されるように、シャーシ16の縦軸42と延在部24の近位端28から延在部24の遠位端30まで延在する線との間の角度によって画定されてもよい。
【0071】
いくつかの延在部実施形態24の弾力性のため、これらの延在部24の遠位端30は、管腔内プロテーゼ12および延在部24の両方が弛緩非拘束状態にあるとき、管腔内プロテーゼ12の壁34を通して容易に通過され得る。管腔内プロテーゼ12および延在部24の両方は、図47に示されるように、内向き半径方向力によって半径方向に拘束され、外反シース172の内側区分174の内側表面200によってその拘束状態に保持されてもよい。管腔内プロテーゼ12からの軸方向荷重下における圧潰に抵抗するため、適切な可撓性および弾力性ならびに十分に強力な曲げモーメントの両方を達成するために、いくつかの延在部実施形態24は、金属合金または複合材料等の弾力性高強度材料から作製されてもよい。いくつかの実施形態に関して、延在部24は、超弾性ニッケルチタン合金から作製される、またはそれを含んでもよい。いくつかのそのような実施形態に関して、延在部24は、約0.08mm~約1mmの横断面積を含んでもよい。いくつかの実施形態に関して、延在部24は、約4mm~約25mmの長さを有してもよい。いくつかの場合では、カテーテルシステム210は、1つの延在部24~10の延在部24、より具体的には、2つの延在部24~6つの延在部24、さらにより具体的には、3つの延在部24~4つの延在部24を含んでもよい。
【0072】
いくつかの場合では、図7に示され、前述のように、延在部24は、シャーシ16の縦軸42と略同一平面にあってもよい。いくつかの場合では、略同一平面は、シャーシ16の縦軸42と同一平面にある延在部24の厚さ以内を含む。いくつかの実施形態に関して、複数の延在部24は、シャーシ16を中心として円周方向配向に対して均一に分散される。いくつかの場合では、延在部24は、図8により詳細に示されるように、非拘束弛緩状態においてS形状を有してもよい。示される実施形態に関して、延在部のS形状の最近位偏向46は、シャーシ16から離れるように延在し、延在部24のS形状の最遠位偏向50は、シャーシ16に向かって延在する。
【0073】
いくつかの実施形態に関して、延在部24によって捕捉された管腔内プロテーゼ12の遠位区画36は、図47に示されるように、管腔内プロテーゼ12の自己拡張式ステント56の高強度ステント要素54を含む。いくつかの場合では、延在部24によって捕捉されたステント要素54は、ステントの円頂区分を含む。高強度ステント要素54は、ニッケルチタン合金または同等物等の弾力性かつ随意に超弾性の材料を含んでもよい。
【0074】
いくつかの実施形態に関して、シャーシ16は、随意に、シャーシ16の近位端18からシャーシ16の遠位端20まで延在する、ガイドワイヤ管腔58を含んでもよい。いくつかの事例では、カテーテルシステム210はまた、管腔内プロテーゼ12の遠位の軸方向位置においてシャーシ16の遠位端20に固着される、円錐形頭部62を含んでもよい。円錐形頭部62はまた、管状外反シース172の遠位端198内に配置される、肩部部分64を含んでもよい。いくつかの実施形態に関して、管状外反シース172は、管腔内プロテーゼ12およびシャーシ16にわたって配置され、管腔内プロテーゼ12および1つまたはそれを上回る延在部24を拘束状態に少なくとも部分的に半径方向に拘束する、内側表面200を含んでもよい。いくつかのそのような実施形態に関して、図13-16を具体的に参照すると、円錐形頭部62の肩部部分64はさらに、随意に、延在部24が半径方向に拘束された状態にあるとき、対応する延在部24の遠位端30を受け入れるように構成される、1つまたはそれを上回る伸長縦方向に配向されるスロット68を含んでもよい。これらの縦方向に配向されるスロット68のいくつかの実施形態は、シャーシ16の縦軸42と略平行であって、それと略同一平面にあるように配置されてもよい。円錐形頭部62内の縦方向に配向されるスロット68は、いくつかの事例では、半径方向に拘束された状態に配置されるとき、1つまたはそれを上回る延在部24の遠位端30を安定化させるために有用であり得る。
【0075】
いくつかの場合では、管状管腔内プロテーゼ12は、自己拡張式ステント56に固着される薄い応従性の材料70の少なくとも1つの層を含む、管状ステントグラフトであってもよい。これらの実施形態のうちのいくつかに関して、薄い応従性の材料70は、ナイロンメッシュ、PTFE、ePTFE、または同等物を含んでもよい。いくつかの事例では、ステントグラフト12は、図9に示され、前述のように、完全にステントが内挿されたステントグラフトであってもよく、管状グラフト材料70に固着される、螺旋の弾力性かつ波状のステント56は、ステントグラフト12の遠位端からステントグラフトの近位端まで延在する。
【0076】
段階的または多直径外反シース172を含む、カテーテルシステム実施形態210に関して、図37-39に示されるように、外側区分180の直径は、いくつかの場合では、管状外反シース172の外側区分180の少なくとも壁厚184の量だけ内側区分174の第1の直径を上回ってもよい。いくつかの実施形態に関して、外側区分180の直径は、外反シース172の1つの壁厚~外反シース172の4つの壁厚と等しい量だけ、内側区分174の直径を上回ってもよい。いくつかの場合に関して、内側区分174および外側区分180の直径は、各個別の区分174、180の壁の直径方向に対向する点における壁厚の中心において測定されてもよい。
【0077】
カテーテルシステム210は、シャーシ16に固定関係で固着される、固定端176と、管腔内プロテーゼ12および1つまたはそれを上回る延在部24にわたって配置され、それを拘束状態に半径方向に拘束する、管腔内プロテーゼ区分178とを含む内側区分174を伴う、管状外反シース172を含む。管状外反シース172は、図47に示されるように、内側区分174の管腔内プロテーゼ区分178にわたって外反される、外側区分180を含む。これらの実施形態の外側区分180は、随意に、カテーテルシステム210の近位区分に配置され、シャーシ16に対して軸方向に摺動可能である、後退ハンドル186に固着される、後退端182を含んでもよい。外反シース172は、外側区分が内側区分にわたって容易に摺動可能であるように、隣接するノードを相互接続する明確に異なる原繊維を伴わない独立気泡微小構造を有する、PTFE材料を含んでもよい。明確に異なる原繊維を伴わない独立気泡微小構造を有するPTFE材料を含む外反シースを含む、カテーテルシステム実施形態は、内側区分174が、上記でより詳細に議論されるように、外側区分180と異なる直径を有する、二重直径外反シース172を伴って、または伴わずに構成されてもよい。
【0078】
いくつかの場合では、外反シース172またはその区分174、180は、図39に示され、前述のように、ともに固着される薄い柔軟性の材料の複数の層を有する、層状管状構造を含んでもよい。材料の単層を含む外反シース172または複数の層から形成される外反シースの任意の層は、ナイロンメッシュ、PTFE、ePTFE、すなわち、前述のように、隣接するノードを相互接続する明確に異なる原繊維を伴わない独立気泡微小構造を有する、PTFE、または任意の他の好適な材料等の任意の好適な柔軟性の低摩擦材料を含んでもよい。
【0079】
いくつかの場合では、PTFE材料、特に、ePTFE材料を含む、外反シース実施形態172に関して、外反シース材料は、第1の方向において、第1の方向と垂直な第2の方向と比較してより大きい強度を提供する、異方性配向を含んでもよい。例えば、縦方向においてより大きい強度を提供する異方性配向を有する、ePTFE材料の層は、外反シース172の外反の間に縦方向引張力を受ける、外反シース172の外側区分180のために特に有用であり得る。他の実施形態に関して、円周方向により大きい強度を提供する異方性配向を有する、ePTFE材料の層は、内側区分174の管腔内プロテーゼ区分178内に配置される拘束された自己拡張式管腔内プロテーゼ12の外向き半径方向力を受ける、外反シース172の内側区分174のために特に有用であり得る。
【0080】
カテーテルシステム210のいくつかの実施形態に関して、外反シース実施形態172のいずれかはさらに、図39および40に示されるように、外反シース172の層状管状構造の隣接する層間に配置され、管腔内プロテーゼ区分178および外反シース172の外側区分180に沿って縦方向に延在する、1つまたはそれを上回る薄く伸長の高引張後退テザー188を含んでもよい。単層外反シース実施形態172に関して、そのような後退テザー188は、外反シース172のいずれかの表面に固着されてもよい。いくつかの場合では、1つまたはそれを上回る後退テザー188は、図40に示され、前述のように、外反シース172の管状構造を中心として螺旋状に巻着されてもよい。
【0081】
いくつかの場合では、カテーテルシステム210の外反シース172は、図40および41に示されるように、外反シース172の外側区分180の後退端182に配置される、随意の一体型漏斗区分190を含んでもよい。漏斗区分190は、管腔内プロテーゼ12を外反シース172の中に装填し、かつ外反の間、外側区分180と内側区分174との間の相対的移動を促進するために有用であり得る。いくつかの場合では、漏斗区分190は10度~40度の内包漏斗角度192を有してもよい。いくつかの実施形態に関して、漏斗区分190は、その開口部に、弛緩拡張状態で展開されることになる管腔内プロテーゼ12の外径を上回る大径を有してもよい。いくつかの実施形態に関して、随意の一体型後退テザー196は、図37および40-41に示されるように、外反プロセスをさらに促進し、外反シース172の後退端182のためのアンカ点を提供するために、一体型漏斗区分190に固着され、そこから延在してもよい。
【0082】
シャーシ16はさらに、いくつかの実施形態に関して、50cm~200cmの軸方向長さを含んでもよい。本明細書で議論される実施形態に関して、近位アダプタ19は、シャーシ16の近位端18に固着され、カテーテルシステム210のユーザが、カテーテルシステム210を操作する、またはガイドワイヤ60もしくは同等物等の材料またはデバイスをカテーテルシステム210の種々の管腔の中に導入するためのインターフェースを提供するように構成されてもよい。
【0083】
使用時、図48-52を参照すると、管腔内プロテーゼ12を患者の体腔14内に展開するための方法は、図48に示されるように、カテーテルシステム210の管腔内プロテーゼ12が治療部位74に配置されるまで、管腔内プロテーゼ12を患者の体腔14の中に展開するために、カテーテルシステム210を前進させるステップを含んでもよい。いくつかの場合では、カテーテルシステム210は、図48に示されるように、ガイドワイヤ60にわたって前進されてもよい。そのようなカテーテルシステム210に関して、管腔内プロテーゼ12および管腔内プロテーゼ12の遠位区画36を少なくとも部分的に捕捉する弾力性かつ可撓性の延在部24は両方とも、管状外反シース172の内側区分174の管腔内プロテーゼ区分178によって拘束状態で保持されてもよい。外側拘束力は、その後、図49に見られるように、管状外反シース172の外側区分180の後退端182を近位に後退させることによって、管腔内プロテーゼ12および延在部24から除去されてもよい。外側区分180の後退は、図49における矢印212によって示されるように、近位後退の間、外側区分180が内側区分174の管腔内プロテーゼ区分178にわたって外反されることによって実施されてもよい。本外反プロセスは、延在部24が、カテーテルシステム210の可撓性伸長シャーシ16に対する管腔内プロテーゼ12の近位軸方向移動を防止しながら、実施されてもよい。いくつかの場合では、外側区分180は、図50に示されるように、外反シース172およびその管腔内プロテーゼ区分178によってかけられる拘束力が管腔内プロテーゼ12および延在部24から完全に除去されるまで、近位に後退される。
【0084】
管腔内プロテーゼ12および延在部24の遠位端30は、その後、図50に示されるように、管腔内プロテーゼ12の外側表面76が患者の体腔14の内側表面78に係合するまで、自己拡張してもよい。最後に、シャーシ16および延在部24は、図50における矢印214によって示されるように、延在部24が管腔内プロテーゼ12の遠位端26の壁34内の穿孔を通して軸方向に通過し、図51に示されるように、もはや管腔内プロテーゼ12の個別の遠位区画36を捕捉しないように近位に後退されてもよい。シャーシ16および延在部24は、図52に示されるように、もはや管腔内プロテーゼ12の管腔216内に配置されなくなるまで、さらに近位に後退されてもよい。
【0085】
示される実施形態に関して、管腔内プロテーゼ12および延在部24が自己拡張することを可能にすることが、延在部24の遠位端30がシャーシ16から離れるように外向きに枢動することを可能にすることを含むように、延在部24の近位端28は、伸長カテーテルシャーシ16に固定関係で固着され、延在部24の遠位端30は、シャーシ16の外側表面32から半径方向外向きに、かつ延在部24の近位端28の遠位に配置される。
【0086】
前述のカテーテルシステム実施形態のいくつかに関して、自己拡張式管腔内プロテーゼ12、ならびにシャーシ16等の任意の関連付けられたカテーテルシステム構成要素を本明細書で議論されるカテーテルシステムのいずれかの中に装填することは、特に、大半径方向および摩擦力がカテーテルシステムの種々の構成要素間で相互にかけられ得るため、困難であり得る。加えて、そのようなカテーテルシステムの構成要素の多くは、脆弱性である、または不適切なタイプの力および接触を受けると容易に損傷し得る。したがって、管腔内プロテーゼ12をカテーテルシステムの中に、かつ拘束状態に装填するための好適な方法を有することが望ましくあり得る。図53-58を参照すると、自己拡張式(または任意の他の好適なタイプ)の管腔内プロテーゼ12を前述の外反シース実施形態172等のシースの中に装填する方法が、示される。示される方法実施形態は、図53に示されるように、複数の薄高引張テザーループ220を管腔内プロテーゼ12の端部を通して通過させるステップを含む。複数のテザーループ220はまた、同様に図53に示されるように、外反シース172の内腔222を通して通過されてもよい。いくつかの場合では、テザーループ220は、ステンレス鋼、超弾性ニッケルチタン等の金属合金を含む金属ならびにナイロン、アラミドファイバ、および同等物等の高強度ポリマーの中実ワイヤまたは編組もしくは撚線フィラメントを含む、任意の好適な高引張可撓性材料から作製されてもよい。
【0087】
外反シース172の端部は、前述され、図53に示されるような漏斗区分190の一体型後退テザー196等によって、または任意の他の好適な方法によって、押さえられてもよい。テザーループ220のそれぞれの両端は、同時に、管腔内プロテーゼ12から離れる方向に各テザーループ220の両端に印加される、軸方向引張力を用いて引っ張られてもよい。軸方向引張力は、テザーループ220が、外反シース172の内腔222を通して引動され、軸方向引張力が、それによって、管腔内プロテーゼ12の端部に印加されるように、各テザーループ220の両端に印加される。軸方向引張力は、図54に示されるように、管腔内プロテーゼ12が、それによって、外反シース172の内腔222の中に管腔内プロテーゼ区分178またはシース172の内腔222内の任意の他の所望の区分まで引き込まれるように、管腔内プロテーゼ12に印加される。図53に示されるように、管腔内プロテーゼ12は、最初に、内側区分174への進入に先立って、漏斗区分190の中に引き込まれる。漏斗区分190は、管腔内プロテーゼを内側区分174の中に誘導し、圧縮するために有用であり得る。その後、テザーループ220のそれぞれの片側のみ引っ張り、各テザーループ220の反対端を解放することによって、テザーループ220はそれぞれ、図56-58に示されるように、管腔内プロテーゼ12およびシース178の内腔222を通して摺動し、そこから完全に引き抜かれてもよい。
【0088】
図53-58に示されるように、装填方法はまた、管腔内プロテーゼ12およびそこから延在する可撓性弾力性延在部24を含む対応するシャーシ16の両方に荷重するために使用されてもよい。そのような事例では、テザーループ220は、血管内プロテーゼ、シャーシ、および関連付けられた延在部24を外反シース172の内腔222の中に引き込むために使用されてもよい。本組み合わせられた構造は、テザーループ220に印加される軸方向引張力に起因して、内腔222の中に牽引されるにつれて、自己拡張式管腔内プロテーゼおよび延在部24の遠位端30の両方が、圧縮され、半径方向に拘束されるであろう。組み合わせられた構造は、管腔内プロテーゼ12が、内側区分174の管腔内プロテーゼ区分178に配置される、または内腔222内の任意の他の所望の場所に配置されるまで、内腔222を通して引動されてもよい。
【0089】
図53-58に示されるように、装填されているシースは、外反シース172であって、テザー220を引動させるステップは、管腔内プロテーゼ12が、そのような外反シース172の内側区分174の管腔内プロテーゼ区分178内に配置され、それによって拘束されるまで、外反シース172を通してテザー220を引動させるステップを含んでもよい。しかしながら、そのような方法はまた、同様に前述のように、自己拡張式管腔内プロテーゼ12を少なくとも部分的に拘束するように構成される、本明細書で議論される近位に後退可能な外側シース実施形態のいずれかを含む、任意の他の好適なシース実施形態のために使用されてもよい。
【0090】
本明細書で議論される送達システムおよび方法実施形態は、1つまたはそれを上回る膨張可能部分を含む、管腔内プロテーゼ実施形態のために特に有用であり得る。本明細書で議論されるシステムおよび方法によって展開され得る、そのような膨張可能管腔内プロテーゼ実施形態は、M. Chobotov et al.によって2002年12月20日に出願され、「Advanced Endovascular Graft」と題された米国特許第7,147,660号(参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)において議論される。
【0091】
本明細書で議論される送達カテーテル実施形態は、2004年7月15日に公開され、Chobotov et al.によって2003年10月16日に出願され、「Delivery System and Method for Bifurcated Graft」と題された、共同所有である米国特許出願公開第2004/0138734号および2002年10月24日に公開され、Chobotov et al.によって2001年4月11日に出願され、「Delivery System and Method for Bifurcated Graft」と題された、PCT国際出願第WO02/083038号(そのそれぞれが、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)に議論される送達システムの特徴、寸法、または材料のいくつかもしくは全てを含み得る。
【0092】
本明細書で議論される管腔内プロテーゼ実施形態は、Chobotov et al.によって2008年10月3日に出願され、「Modular Vascular Graft for Low Profile Percutaneous Delivery」と題された共同所有の米国特許公開第2009/0099649号(参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)に議論されるプロテーゼの特徴、寸法、または材料の一部もしくは全部を含んでもよい。
【0093】
本明細書に議論される任意の好適なシステムまたはその構成要素と併用され得る、展開デバイス、整合デバイス、放射線不透過性マーカ送達方法、および同等物の実施例は、M. Chobotov et al.によって2011年2月9日に出願され、「Fill Tube Manifold and Delivery Methods for
Endovascular Graft」と題された共同所有の米国特許出願第2011/0218609号、J. Watson et al.によって2013年3月15日に出願され、「Delivery Catheter for Endovascular Device」と題された米国特許公開第2013/0268048号、およびD. Parsons et al.によって2013年3月13日に出願され、「Durable Stent Graft with Tapered Struts and
Stable Delivery Methods and Devices」と題された米国特許公開第2013/0268044号(それぞれ、参照することによって全体として本明細書に組み込まれる)に見出され得る。
【0094】
本明細書に参照される各特許、特許出願、公開、および文書の全体が、参照することによって本明細書に組み込まれる。上記の特許、特許出願、公開、および文書の引用は、前述のいずれかが関連する従来技術であることを承認するわけではなく、また、これらの公開または文書の内容もしくは日付に関するいずれの承認も構成しない。
【0095】
修正が、議論される実施形態の基本的側面から逸脱することなく、前述に成され得る。実施形態が、1つまたはそれを上回る具体的実施形態を参照して実質的に詳細に説明されたが、当業者は、変更が本願に具体的に開示される実施形態に成され得るが、これらの修正および改良は本開示の範囲ならびに精神内であることを認識するであろう。
【0096】
本明細書に好適に例証的に説明される実施形態は、本明細書に具体的に開示されない任意の要素の不在下で実践され得る。したがって、例えば、本明細書の各事例において、用語「~を備える」、「~から本質的に成る」、および「~から成る」のいずれかは、他の2つの用語のいずれかと置換され得る。採用されている用語および表現は、限定ではなく、説明の用語として使用され、そのような用語および表現の使用は、示され、説明される特徴の任意の均等物またはその一部を除外せず、種々の修正が、可能である。用語「a」または「an」は、要素のうちのいずれか1つまたは要素のうちの1つを上回るものが説明されていることが文脈上明確でない限り、これが修飾する要素のうちの1つまたは複数の要素を指し得る(例えば、「試薬(areagent)」は、1つまたはそれを上回る試薬を意味し得る)。したがって、実施形態は、代表的実施形態および随意の特徴によって具体的に開示されたが、本明細書に開示される概念の修正および変形例が、当業者によって用いられ得、そのような修正および変形例は、本開示の範囲内であると見なされることを理解されたい。
【0097】
本技術のある実施形態が、以下の請求項に記載される。
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