(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022119948
(43)【公開日】2022-08-17
(54)【発明の名称】圧力調整ダンパーを用いた空調機の排気装置
(51)【国際特許分類】
F24F 1/48 20110101AFI20220809BHJP
F24F 13/14 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
F24F1/48
F24F13/14 Z
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022089438
(22)【出願日】2022-06-01
(62)【分割の表示】P 2018142339の分割
【原出願日】2018-07-30
(71)【出願人】
【識別番号】591224869
【氏名又は名称】クリフ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591023479
【氏名又は名称】ダイダン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100069420
【弁理士】
【氏名又は名称】奈良 武
(72)【発明者】
【氏名】藤本 大輔
(72)【発明者】
【氏名】石井 要憲
(72)【発明者】
【氏名】間宮 啓介
(72)【発明者】
【氏名】仲井 章一
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は空調機における排気装置システムの全体的な設備費をより安価なものとするとともに熱交換排気のショートサーキット現象やシステム異常を阻止し、安定した運転状態を維持することができる排気装置の提供を目的とする。
【解決手段】建屋バルコニーにパッケージ型空調機の室外機41には屋外排出用開口42と室外機用排気出口41aとの接続用開口43を備えるダクト部材(L型ダクト)44を設けるとともにダクト部材44は、建屋に対向する方向に屋外排出用開口42を有する前記ダクト部材44の屋外排出用開口42との対向面となる側壁部45にモーメント調整手段を備える圧力調整ダンパー1を装備することにより室外装置40を構成する。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外排出用開口とパッケージ型空調機等の空調機の室外機の排出用開口との接続用開口を備えて成るダクト部材を介して、
前記室外機からの排気を外部に放出することができるように構成した空調機の排気流路において、
前記ダクト部材の屋外排出用開口との対向面にモーメント調整手段を備える圧力調整ダンパーを設けることにより構成したことを特徴とする空調機の排気装置。
【請求項2】
屋外排出用開口とパッケージ型空調機等の空調機の室外機の排出用開口との接続用開口を備えて成るダクト部材を介して、
前記室外機からの排気を外部に放出することができるように構成した空気調機の排気流路において、
前記ダクト部材の屋外排出用開口との対向面にモーメント調整手段を備える圧力調整ダンパーを装着し、
前記ダクト部材の屋外排出用開口からダクト部材内に流入する外風を当該圧力調整ダンパーを介して排出することにより、
前記ダクト部材の屋外排出用開口からの外風による前記室外機からの排気が逆流して発生するショートサーキット現象やシステム異常の発生を阻止することができるように構成したことを特徴とする空調機の排気装置。
空調機
【請求項3】
前記圧力調整ダンパーに備えるモーメント調整手段は枠体の前面開口部に開閉自在に装着した羽根の背面に取り付けたアームと当該アームの長さ方向にその固定位置を可変とするバランスウェイトを設けることにより構成したことを特徴とする請求項1または2記載の空調機の排気装置。
【請求項4】
前記圧力調整ダンパーは前後両面に開口部を備える枠体の前面開口部に圧力調整用の羽根を開閉自在に装備するとともに、
当該羽根にモーメント調整手段を設けることにより構成した圧力調整ダンパーにおいて、
前記羽根は1または複数の羽根により構成するとともに前記モーメント調整手段は、前記羽根に取り付けたアームと当該アームにバランスウェイトを取り付けるとともに、
前記羽根の取付面に対する角度を変更するアーム角度調整手段を設けることにより構成した圧力調整ダンパーにより構成したことを特徴とする請求項1または2記載の空調機の排気装置。
【請求項5】
前記圧力調整ダンパーは前後両面に開口部を備える枠体の前面開口部に圧力調整用の羽根を開閉自在に装備するとともに、
当該羽根にモーメント調整手段を設けることにより構成した圧力調整ダンパーにおいて、
前記羽根は1または複数の羽根により構成するとともに前記モーメント調整手段は、前記羽根に取り付けたアームと当該アームにバランスウェイトを取り付けるとともに、
前記羽根の取付面に対する角度を変更するアーム角度調整手段を設けるとともに前記モーメント調整手段の羽根に取り付けたアームは、1または複数のアームにより構成した圧力調整ダンパーにより構成したことを特徴とする請求項1または2記載の空調機の排気装置。
【請求項6】
前記圧力調整ダンパーは前後両面に開口部を備える枠体の前面開口部に圧力調整用の羽根を開閉自在に装備するとともに、
当該羽根にモーメント調整手段を設けることにより構成した圧力調整ダンパーにおいて、
前記羽根は1または複数の羽根により構成するとともに前記モーメント調整手段は、前記羽根に取り付けたアームと当該アームにバランスウェイトを取り付けるとともに、
前記羽根の取付面に対する角度を変更するアーム角度調整手段を設けるとともに前記モーメント調整手段の羽根に取り付けたアームのバランスウェイトは、アームの長さ方向において移動自在に取り付け、その固定位置を調整することができるように構成したことを特徴とする請求項1または2記載の空調機の排気装置。
【請求項7】
前記圧力調整ダンパーは前記圧力調整ダンパーは前後両面に開口部を備える枠体の前面開口部に圧力調整用の羽根を開閉自在に装備するとともに、
当該羽根にモーメント調整手段を設けることにより構成した圧力調整ダンパーにおいて、
前記羽根は1または複数の羽根により構成するとともに前記モーメント調整手段は、前記羽根に取り付けたアームと当該アームにバランスウェイトを取り付けるとともに、
前記羽根の取付面に対する角度を変更するアーム角度調整手段を設けるとともに前記モーメント調整手段のアームの角度調整手段は、折曲部の屈曲角の異なる複数のアームからダンパー調整条件に適合するアームを選択して取付ることにより構成したことを特徴とする請求項1または2記載の空調機の排気装置。
【請求項8】
前記圧力調整ダンパーは前記圧力調整ダンパーは前後両面に開口部を備える枠体の前面開口部に圧力調整用の羽根を開閉自在に装備するとともに、
当該羽根にモーメント調整手段を設けることにより構成した圧力調整ダンパーにおいて、
前記羽根は1または複数の羽根により構成するとともに前記モーメント調整手段は、前記羽根に取り付けたアームと当該アームにバランスウェイトを取り付けるとともに、
前記羽根の取付面に対する角度を変更するアーム角度調整手段を設けるとともに前記モーメント調整手段のアームの角度調整手段は、アームに装着したラチェット機構によりアームの羽根の取付面に対する角度を可変自在に構成したことを特徴とする請求項1または2記載の空調機の排気装置。
【請求項9】
前記圧力調整ダンパーは前記圧力調整ダンパーは前後両面に開口部を備える枠体の前面開口部に圧力調整用の羽根を開閉自在に装備するとともに、
当該羽根にモーメント調整手段を設けることにより構成した圧力調整ダンパーにおいて、
前記羽根は1または複数の羽根により構成するとともに前記モーメント調整手段は、前記羽根に取り付けたアームと当該アームにバランスウェイトを取り付けるとともに、
前記羽根の取付面に対する角度を変更するアーム角度調整手段を設けるとともに前記モーメント調整手段のアームの角度調整手段は、アームに装着した段付座金機構によりアームの羽根の取付面に対する角度を可変自在に構成したことを特徴とする請求項1または2記載の空調機の排気装置。
【請求項10】
前記圧力調整ダンパーは前記圧力調整ダンパーは前後両面に開口部を備える枠体の前面開口部に圧力調整用の羽根を開閉自在に装備するとともに、
当該羽根にモーメント調整手段を設けることにより構成した圧力調整ダンパーにおいて、
前記羽根は1または複数の羽根により構成するとともに前記モーメント調整手段は、前記羽根に取り付けたアームと当該アームにバランスウェイトを取り付けるとともに、
前記羽根の取付面に対する角度を変更するアーム角度調整手段を設けるとともに前記羽根にはモーメント調整手段としての羽根の自重を調整することのできるカウンターウェイトを着脱自在に取り付けることにより構成したことを特徴とする請求項1または2記載の空調機の排気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力調整ダンパーを用いた空調機の排気装置に係り、そして、本発明の圧力調整ダンパーは、例えばデータセンター空調システムに供されるパッケージ型空調システムのように、屋外に密集配置される室外機の熱交換空気を大気に排気するエアダクトにおいて、エアダクト内部の気圧が所定圧以上に変化することを防ぐことに有効な圧力調整ダンパーである。
【背景技術】
【0002】
屋外に施設された空調室外機の吐出側の圧力が大気圧よりも高くなるような環境下になった場合でも、自動制御により室外機の排気風量を増加させて熱交換排熱を維持し、安定した空調室外機運転を行う発明が特許文献1に開示されている。
【0003】
一方、対象空間内の圧力を調整をする他の技術として、カウンターウェイトを備えた羽で、クリーンルーム等の陽圧空間の余剰空気を逃がす圧力調整ダンパーが開示されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-148769号公報
【特許文献2】実開昭64-1344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
パッケージ型空調機の室外機(室外装置)を建屋の屋外バルコニー(架台)に施設するとき、同方向からの外風(強風)が室外機に連続して吹き当たることがある。この同方向からの連続した外風とは、季節風(冬季の北風)や一日の中の時間帯における一定方向の風(海からの風)などがある。
【0006】
前記室外機が上下階の両階バルコニーに施設される場合、室外機が吹き出す熱交換排気のショートサーキットを防ぐため、室外機の排気吐出側に、建屋に対向する方向に開口を有する排気用エアダクトを設けるが、エアダクト吐出口に前記外風が連続して当たり続けると、エアダクトにおいて熱交換排気が阻害され、逆流が連続し、室外機における熱交換が正常に行われなくなる不具合が生じる課題がある。
【0007】
この課題の対策として、前記特許文献1における空調機の室外装置200は、室外機がその吹出口側で大気圧よりも圧力が大きくなるような環境下に設置された場合でも安定した空調運転を維持し得る空調機の室外装置の提供を目的とするものである。
【0008】
然るに、当該室外装置200においては、
図18、19に示すように補助ファン(前記ブースターファン)206が必要となるとともに同補助ファン206の駆動制御手段に加えて室外ファン204との制御システムとその作動装置等の組込みが要求され(室外機の改造)、電源系統の追加工事および自動制御工事など高額の設備費が必要となるとともに省エネにもならないものである。
【0009】
さらに、当該室外機装置200における大気の逆流防止は、シャッター208によるものであるが排気通路領域209からの強風環境下の設置には強風による室外機211の排気の逆流は防止することができず、ショートサーキット現象を阻止できないものである。
そして、当該室外装置200を高密度に並べて施設した場合には、前記逆流が阻止されたとしても排熱の排気不良によるショートサーキットのリスクが存在するものである。
【0010】
一方、空間の圧力を逃がして空気の逆流を防止する装置として、特許文献2の微圧調整ダンパーが知られている。前記微圧ダンパーはクリーンルーム等の屋内の清浄な空間で用いられるが、その圧力開放の調整幅は狭く、構成部品点数が多く、長期に渡り日照や風雨、寒暖変化の暴露に耐える耐久性はない。よって、建物の上階バルコニーにおいて長期間使用する場合、ダンパーの部品(ウェイトやビス)が落下により地上の通行人に危険を及ぼす。
【0011】
又、
図15の圧力調整羽根103自体の構成において備えるバランスウエイト121とレバー部120の構成が開示されているが、当該構成から成るモーメント調整手段としては、技術上
図16、17の説明図に示す如く、枠体102と羽根103の支点122からのカウンターウェイト121の固定位置の変更またはその個数の変更により圧力調整羽根103の開きやすさ(力のモーメント)を調整することができる。
【0012】
すなわち、この時の力のモーメントM=F× L(F:力、L:支点122からのカウンターウェイト121の固定位置までの距離)により求めることが出来る。
【0013】
然るに、かかるモーメント調整手段の構成においては、前記レバー部120に対する固定位置の変更には、カウンターウェイト121を固定するビスが必要で、その作業は煩雑であるとともにその固定位置がレバー部120の長さに限定されることになり、調整の余地が狭い欠点がある。
【0014】
又、
図15のレバー部120に対するカウンターウェイト121の個数を変更するモーメント調整手段の場合には、レバー部120に対するカウンターウェイト121の増減には作業に手間が掛かり作業性に乏しい欠点が存在する。
【0015】
因って、本発明は前記特許文献2の微圧調整ダンパー100における前記欠点を解消し、そのモーメント調整手段において、羽根103の開きやすさ(力のモーメント)をレバー部120に対するカウンターウェイト121の固定位置、個数に限定されずに幅広い範囲作動開始圧を所定圧力に調整可能とし、振動による部材の緩みを防ぎ、耐久性と耐候性に優れる素材を採用することでメンテナンス性の高く汎用性の広い圧力調整ダンパーの採用を目的とするものである。
【0016】
そして、かかる圧力調整ダンパーの開発により、特許文献1記載の室外装置200における排気用エアダクトの逆流を解消することのできる圧力調整ダンパーを採用することにより、前記圧力調整ダンパーを用いた空調設備の排気装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
よって、本発明の前記問題点を解決する手段としての請求項1は、屋外排出用開口とパッケージ型空調機等の空調機の室外機の排出用開口との接続用開口を備えて成る建屋に対向する方向に開口を有するエアダクト部材を介して、前記室外機からの排気を外部に放出することができるように構成した空調機の排気流路において、前記ダクト部材の屋外排出用開口との対向面にモーメント調整手段を備える圧力調整ダンパーを設けることにより構成したことを特徴とする。
【0018】
請求項2は、屋外排出用開口とパッケージ型空調機等の空調機の室外機の排出用開口との接続用開口を備えて成るダクト部材を介して、前記室外機からの排気を外部に放出することができるように構成した空調機の排気流路において、前記ダクト部材の屋外排出用開口との対向面にモーメント調整手段を備える圧力調整ダンパーを装着し、前記ダクト部材の屋外排出用開口からダクト部材内に流入する外風を当該圧力調整ダンパーを介して排出することにより、前記ダクト部材の屋外排出用開口からの外風による前記室外機からの排気が逆流して発生するショートサーキット現象やシステム異常の発生を阻止することができるように構成したことを特徴とする。
【0019】
請求項3は、請求項1または2記載の空調機の排気装置において、前記圧力調整ダンパーに備えるモーメント調整手段は枠体の前面開口部に開閉自在に装着した羽根の背面に取り付けたアームと当該アームの長さ方向にその固定位置を可変とするバランスウェイトを設けることにより構成したことを特徴とする。
【0020】
請求項4は、請求項1または2記載の空調機の排気装置において、前記圧力調整ダンパーは前後両面に開口部を備える枠体の前面開口部に圧力調整用の羽根を開閉自在に装備するとともに、当該羽根にモーメント調整手段を設けることにより構成した圧力調整ダンパーにおいて、前記羽根は1または複数の羽根により構成するとともに前記モーメント調整手段は、前記羽根に取り付けたアームと当該アームにバランスウェイトを取り付けるとともに、前記羽根の取付面に対する角度を変更するアーム角度調整手段を設けることにより構成した圧力調整ダンパーにより構成したことを特徴とする。
【0021】
請求項5は、前記請求項1または2記載の空調機の排出装置において、前記圧力調整ダンパーは、前後両面に開口部を備える枠体の前面開口部に圧力調整用の羽根を開閉自在に装備するとともに、当該羽根にモーメント調整手段を設けることにより構成した圧力調整ダンパーにおいて、前記羽根は1または複数の羽根により構成するとともに前記モーメント調整手段は、前記羽根に取り付けたアームと当該アームにバランスウェイトを取り付けるとともに、前記羽根の取付面に対する角度を変更するアーム角度調整手段を設けるとともに前記モーメント調整手段の羽根に取り付けたアームは、1または複数のアームにより構成した圧力調整ダンパーにより構成したことを特徴とする。
【0022】
請求項6は、前記請求項1または2記載の空調機の排出装置において、前記圧力調整ダンパーは、前後両面に開口部を備える枠体の前面開口部に圧力調整用の羽根を開閉自在に装備するとともに、当該羽根にモーメント調整手段を設けることにより構成した圧力調整ダンパーにおいて、前記羽根は1または複数の羽根により構成するとともに前記モーメント調整手段は、前記羽根に取り付けたアームと当該アームにバランスウェイトを取り付けるとともに、前記羽根の取付面に対する角度を変更するアーム角度調整手段を設けるとともに前記モーメント調整手段の羽根に取り付けたアームのバランスウェイトは、アームの長さ方向において移動自在に取り付け、その固定位置を調整することができるように構成したことを特徴とする。
【0023】
請求項7は、前記請求項1または2記載の空調機の排出装置において、前記圧力調整ダンパーは前記圧力調整ダンパーは前後両面に開口部を備える枠体の前面開口部に圧力調整用の羽根を開閉自在に装備するとともに、当該羽根にモーメント調整手段を設けることにより構成した圧力調整ダンパーにおいて、前記羽根は1または複数の羽根により構成するとともに前記モーメント調整手段は、前記羽根に取り付けたアームと当該アームにバランスウェイトを取り付けるとともに、前記羽根の取付面に対する角度を変更するアーム角度調整手段を設けるとともに前記モーメント調整手段のアームの角度調整手段は、折曲部の屈曲角の異なる複数のアームからダンパー調整条件に適合するアームを選択して取付ることにより構成したことを特徴とする。
【0024】
請求項8は、前記請求項1または2記載の空調機の排出装置において、前記圧力調整ダンパーは前記圧力調整ダンパーは前後両面に開口部を備える枠体の前面開口部に圧力調整用の羽根を開閉自在に装備するとともに、当該羽根にモーメント調整手段を設けることにより構成した圧力調整ダンパーにおいて、前記羽根は1または複数の羽根により構成するとともに前記モーメント調整手段は、前記羽根に取り付けたアームと当該アームにバランスウェイトを取り付けるとともに、前記羽根の取付面に対する角度を変更するアーム角度調整手段を設けるとともに前記モーメント調整手段のアームの角度調整手段は、アームに装着したラチェット機構によりアームの羽根の取付面に対する角度を可変自在に構成したことを特徴とする。
【0025】
請求項9は、前記請求項1または2記載の空調機の排出装置において、前記圧力調整ダンパーは前記圧力調整ダンパーは前後両面に開口部を備える枠体の前面開口部に圧力調整用の羽根を開閉自在に装備するとともに、当該羽根にモーメント調整手段を設けることにより構成した圧力調整ダンパーにおいて、前記羽根は1または複数の羽根により構成するとともに前記モーメント調整手段は、前記羽根に取り付けたアームと当該アームにバランスウェイトを取り付けるとともに、前記羽根の取付面に対する角度を変更するアーム角度調整手段を設けるとともに前記モーメント調整手段のアームの角度調整手段は、アームに装着した段付座金機構によりアームの羽根の取付面に対する角度を可変自在に構成したことを特徴とする。
【0026】
請求項10は、前記請求項1または2記載の空調機の排出装置において、前記圧力調整ダンパーは前記圧力調整ダンパーは前後両面に開口部を備える枠体の前面開口部に圧力調整用の羽根を開閉自在に装備するとともに、当該羽根にモーメント調整手段を設けることにより構成した圧力調整ダンパーにおいて、前記羽根は1または複数の羽根により構成するとともに前記モーメント調整手段は、前記羽根に取り付けたアームと当該アームにバランスウェイトを取り付けるとともに、前記羽根の取付面に対する角度を変更するアーム角度調整手段を設けるとともに前記羽根にはモーメント調整手段としての羽根の自重を調整することのできるカウンターウェイトを着脱自在に取り付けることにより構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
そして、本発明の請求項1乃至10記載の空調機の排気装置によれば、従来の特許文献1におけるダクト部材の圧力調整に必須とする補助ファン等の圧力調整手段に換えて室外装置の空気流路の吹出口側に前記発明の圧力調整ダンパーを装備することにより、特許文献1に示す外風圧対策を施した専用室外装置を必要としない。また、圧力調整のための自動制御システムや電気工事を不要とし、全体的な設備費をより安価なものとしつつ排熱のショートサーキットによるシステム異常を防止し、安定した空調機の運転状態を維持することのできる排気装置を提供することができるものである。
【0028】
また、本発明の請求項5乃至10記載の空調機の排気装置の圧力調整ダンパーによれば、羽根の構成において当該羽根の開きやすさ(力のモーメント)を調整するモーメント調整手段をアーム数やバランスウェイト数の増減による圧力調整にとどまらずアームの羽根の取付面に対する角度調整手段を設けることにより幅広い圧力調整から微調整までの汎用性の高い性能を発揮するとともに圧力調整ダンパーの作動開始における圧力調整作業の簡易、迅速性に加え、屋外における長期運用中の部品(アーム、バランスウェイト、ビス)の脱落を防ぐ耐久性を有する。この耐久性により、圧力調整機構の安定動作と階下の通行人等に対する部品落下事故を防ぐことができる。また、部品点数を少なくすることで、メンテナンスの簡便化にも寄与することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は本発明の圧力調整ダンパーの実施例1を示す一部を破断して示す正面図
【
図2】
図2は本発明の圧力調整ダンパーの実施例1を示す一部を破断して示す縦断側面図
【
図3】
図3は本発明の圧力調整ダンパーの実施例2を示す一部を破断して示す正面図
【
図4】
図4は本発明の圧力調整ダンパーの実施例2を示す一部を破断して示す側面図
【
図5】
図5は本発明の圧力調整ダンパーの実施例2を示す一部を破断して示す縦断側面図
【
図6】
図6はアームの角度調整手段の実施例を示す説明図
【
図7】
図7はアームの角度調整手段の実施例を示す説明図
【
図9】
図9(a)、(b)は
図6、7とは別の実施例を示すアームの角度調整手段の実施例を示す説明図
【
図10】
図10は
図6~9とはとは別の実施例を示すアームの角度調整手段の実施例を示す説明図
【
図11】
図11(a)~(c)は
図6~10とはとは別の実施例を示すアームの角度調整手段の実施例を示す説明図
【
図12】
図12は本発明のサーバー室のパッケージ型空調機の室外装置の実施例1を示す説明図
【
図13】
図13は本発明のサーバー室のパッケージ型空調機の室外装置の実施例2を示す建屋に対する取付状態を示す説明図
【
図14】
図14は本発明のサーバー室のパッケージ型空調機の室外装置の実施例2を示す説明図
【
図16】
図16は従来の圧力調整ダンパーにおけるモーメント調整手段の説明図
【
図17】
図17は従来の圧力調整ダンパーにおけるモーメント調整手段の説明図
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の空調機の排気装置は、屋外排出用開口とパッケージ型空調機等の空調機の室外機の排出用開口との接続用開口を備えて成るダクト部材を介して、前記室外機からの排気を外部に放出することができるように構成した空調機の排気流路において、前記ダクト部材の屋外排出用開口との対向面にモーメント調整手段を備える圧力調整ダンパーを設けることにより構成して実施する。
【実施例0031】
図1、2により本発明の空調機の排気装置における圧力調整ダンパー1の実施例1について説明する。
そして、
図1は同ダンパー1の正面図、
図2は同図の中央縦断側面図である。
【0032】
図1において10は長方形状の枠体から成るケースで当該ケース10の前面開口部10aには、左右両側枠11、12に取り付けた軸受22の回転軸23を介して羽根2を開閉自在に装着するとともに後面開口部10bにはパンチングカバー13を装備することにより構成されている。
【0033】
また、前記羽根2には、その背面に複数個のカウンターウェイト14を着脱自在に取り付けるとともに前面中央に固着したアーム支持台15にアーム3を取り外し自在に取り付け、かつ当該アーム3にはバランスウェイト4を、アーム3の長さ方向に於いて取付位置を可変自在に取り付けることにより構成されている。
【0034】
尚、前記アーム3はアーム支持台15に対して取付端部3aを取り外し自在に取り付けるためにアーム支持台15に設けた取付穴15aに当該取付端部3aを装入した後、前記締着ネジ16により締着けつつ固定することができるように構成したが、必要に応じて前記アーム3の取付端部3aをアーム支持台15の取付穴15aに装入した後、これを溶接等の手段にて締着ネジ16を用いずに固着することにより固定して実施することも可能である。
【0035】
16、17はアーム3とバランスウェイト4の締着ネジ、18はケース10の前面開口部10aの開口縁に添設したパッキン、19は羽根2の取付用支持枠、20は当該支持枠19をケース10の枠体に固着する固定ビス、21はバランスウェイト4の脱落防止用ナットをそれぞれ示すものである。
【0036】
しかして、以上の構成から成る圧力調整ダンパー1は、
図2に示すように所要の建造物の取付枠31に開口した開口部32に対して前記圧力調整ダンパー1のケース10をガスケット33を介して装着することにより構成する。
また、当該実施例2の圧力調整ダンパー1の各羽根2a、2bには圧力調整上に於いて各羽根2a、2bにはストッパー機構26を設けることにより羽根2a、2bごとに作動状態を制御調整することができるように構成されている。
尚、24は開口部10aに張設した整流板、25は背面開口部10bに設けたサイドプレートである。
前記実施例1、2にて説明した圧力調整ダンパー1としては、それぞれ開口部10aに羽根2、2a、2bを開閉自在に装着することにより構成した実施例を示したが、その他の実施例としては、実開昭64-1344号公報記載の微圧調整ダンパー(不図示)を適用することにより実施することも可能である。
尚、かかる実開昭64-1344号公報記載の微圧調整ダンパーについての説明は同公報記載の発明を引用し、その説明と図示は省略するものである。
バランスウェイト4とその取付位置は、事前にエアダクト内圧力値とバランスウェイト4位置の相関グラフを製作しておくことで、任意の圧力調整設定をすることができる。
すなわち、羽根2の自重による圧力調整に加えてアーム3の取付、これに対するバランスウェイト4の取付とその取付位置の変更またはバランスウェイト4の取付個数の変更により、圧力調整ダンパー1の外風圧30に対する開きやすさ(力のモーメント)を調整することができる。
しかし、かかる構成からのモーメント調整手段によっては、前記アーム3に対してバランスウェイト4の固定には締着ネジ17が必要であるとともにその取付位置による調整には、取付位置の変更作業が要求されるとともに取付位置はアーム3の長さ範囲に限定されることになる。