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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022119971
(43)【公開日】2022-08-17
(54)【発明の名称】無針注射装置用注射ノズル
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/30 20060101AFI20220809BHJP
【FI】
A61M5/30 500
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022091077
(22)【出願日】2022-06-03
(62)【分割の表示】P 2019540707の分割
【原出願日】2017-10-02
(31)【優先権主張番号】16/59833
(32)【優先日】2016-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】506257331
【氏名又は名称】クロスジェクト
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・オリエル
(72)【発明者】
【氏名】パトリック・アレクサンドル
(72)【発明者】
【氏名】ブノワ・ギシャール
(72)【発明者】
【氏名】ジェニファー・アスカニ
(72)【発明者】
【氏名】アブデル・タジブト
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ガス発生器などのエネルギー源によって作動し、人及び動物の治療用の液状の有効成分の皮内注射、皮下注射、及び筋肉注射に使用される、プレフィル及び使い捨ての無針注射装置を提供する。
【解決手段】射出軸Bに沿って延在する少なくとも1つの流出導管42を備える無針注射装置用注射ノズルであって、流出導管は、第1セクションを有する第1導管部と、第2セクションを有する第2導管部と、第1導管部と第2導管部との間にある接続部とを備えている。第1セクションは第2セクションよりも大きい。接続部は、射出軸に対して70度から90度の角度で傾斜している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出軸(B)に沿って延在する少なくとも1つの流出導管(42)を備える無針注射装置用注射ノズルであって、
前記流出導管(42)は、
第1セクション(91)を有する第1導管部(90)と、
第2セクション(93)を有する第2導管部(92)と、
前記第1導管部(90)と前記第2導管部(92)との間にある接続部(94)と、
を備え、
前記第1セクション(91)は、前記第2セクション(93)よりも大きく、
前記接続部(94)は、前記射出軸(B)に対して70度から90度の角度で傾斜している、
無針注射装置用注射ノズル。
【請求項2】
前記接続部(94)は、前記射出軸(B)に対して80度から90度の角度で傾斜している、請求項1に記載の無針注射装置用注射ノズル。
【請求項3】
前記接続部(94)は、前記射出軸(B)に対して垂直である、請求項1~2のいずれか1つに記載の無針注射装置用注射ノズル。
【請求項4】
前記接続部(94)は、前記第1導管部(90)と前記第2導管部(92)との間に肩部を形成する、請求項1~3のいずれか1つに記載の無針注射装置用注射ノズル。
【請求項5】
前記第1セクション(91)は、0.8ミリメートルから1ミリメートル、好ましくは1ミリメートルの直径を有する、請求項1~4のいずれか1つに記載の無針注射装置用注射ノズル。
【請求項6】
前記第2セクション(93)は、0.3ミリメートルから0.45ミリメートル、好ましくは0.4ミリメートルの直径を有する、請求項1~5のいずれか1つに記載の無針注射装置用注射ノズル。
【請求項7】
前記第1セクション(91)と前記第2セクション(93)との比率は、0.35から0.45であり、好ましくは0.4である、請求項1~6のいずれか1つに記載の無針注射装置用注射ノズル。
【請求項8】
前記第2導管部(92)の長さは、0.5ミリメートルから1.5ミリメートルである、請求項1~7のいずれか1つに記載の無針注射装置用注射ノズル。
【請求項9】
前記流出導管(42)を受け入れるように構成された支持部(39)を有する、請求項1~8のいずれか1つに記載の無針注射装置用注射ノズル。
【請求項10】
ガス発生器(20)と、
注射される流体を受け入れるように構成された貯蔵器(24)と、
前記ガス発生器(20)によって駆動されるように配置され、前記貯蔵器(24)の外に流体を排出するように構成されたプランジャ(32,34)と、
前記貯蔵器(24)と流体連通して流体を無針注射装置(10)の外にガイドするように構成された請求項1~9のいずれか1つに記載の注射ノズル(38)と、
を備える、無針注射装置。
【請求項11】
前記貯蔵器(24)及び前記プランジャ(32,34)は、前記射出軸(B)に沿って配置されている、請求項10に記載の無針注射装置。
【請求項12】
前記貯蔵器(24)に収容されている流体は、以下の有効成分(26):
-メトトレキサート
-アドレナリン
―スマトリプタン
―ヒドロコルチゾン
-ナロキソン
-ミダゾラム
-アポモルフィン
-エチルナルトレキソン臭化物
-フィトメナジオン
-塩酸クロルプロマジン
-酢酸ズクロペンチキソール
-ダナパロイドナトリウム
-エノキサパリンナトリウム
-シピオン酸エストラジオール
-酢酸メドロキシプロゲステロン
-ナドロパリンカルシウム
-酢酸メチルプレドニゾロン
-ヘパリンカルシウム
-テルブリン
を含むグループから選択された有効成分(26)を含む、
請求項10~11のいずれか1つに記載の無針注射装置(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術分野は、ガス発生器などのエネルギー源によって作動し、人及び動物の治療用の液状の有効成分の皮内注射、皮下注射、及び筋肉注射に使用される、プレフィル及び使い捨ての無針注射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
前記有効成分は、多かれ少なかれ粘性を有する液体、液体の混合物、又はゲルによって構成されている。また、前記有効成分は、注射用の適当な溶媒に溶解される固体であってもよいし、適当な液体中に一定の濃度で懸濁される粉末状の固体によって構成されてもよい。前記有効成分の粒径は、後者の詰まりを避けるために、導管の直径に適合すべきである。
【0003】
例えば、仏国特許出願公開2815544号明細書(WO/2002/34317と同等)などの既知の方法において、注射装置は、ガス発生器と、膨張室と、液状の有効成分を含む貯蔵器と、注射機構とを連続的に備える本体を備えている。
【0004】
貯蔵器は、装置の本体に挿入される上流側のキャップ型のプランジャと、下流側のキャップ型のプランジャとの間に、液状の有効成分を含むガラス管によって構成されている。
【0005】
貯蔵器の下流側の自由端は、射出軸に沿って軸方向に延在する少なくとも1つの注射導管を備える注射ノズルと協働する。
【0006】
ガス発生器は、注射ノズルを介して、患者の皮膚を通じて有効成分を注射するために、キャップ型のプランジャを移動させるように駆動する加圧ガスを生成するように設計されている。
【0007】
更に、注射装置は、本体を覆うとともに、注射ノズルの通路に適した下部の開口部を画定する中空のカバーを備えている。
【0008】
本体及びカバーから突出する注射ノズルの自由端は、着脱可能な蓋及び当該蓋を収容するキャップによって保護される。
【0009】
図4に示すように、ボトル形状のノズルを用いることが知られている。ボトル形状とは、第1セクションを有する第1部分と、第2セクションを有する第2部分とを備え、第1セクションが第2セクションよりも大きいことを意味する。更に、ノズルは、わずかな傾斜(例えば、ノズルの軸に対して45度)によって、第1部分と第2部分とを接続するように構成され、角が丸みを帯びている接続部分を有している。
【0010】
この形状タイプの選択は、流体力学に関連する最新技術から直接的に生じる。実際に、この形状タイプは、圧力降下を制限し、ノズルの吐出口における液状の成分の噴射性能を向上させるために推奨されている。
【0011】
それにもかかわらず、そのようなノズル形状は、有効成分に加えられる圧力という観点において最適ではない有効成分の噴射のコヒーレンス長を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、上述した欠点の全部又は一部を解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的のために、本発明は、射出軸に沿って延在する少なくとも1つの流出導管を備える無針注射装置用注射ノズルであって、
前記流出導管は、
第1セクションを有する第1導管部と、
第2セクションを有する第2導管部と、
前記第1導管部と前記第2導管部との間にある接続部と、
を備え、
前記第1セクションは、前記第2セクションよりも大きく、
前記接続部は、射出軸に対して70度から90度の角度で傾斜している、
無針注射装置用注射ノズルに関する。
【0014】
これらの配置によって、流体の噴射のコヒーレンス長が改善される。実際に、流線は、より長い距離に渡って互いに概ね平行となるように配向されており、人の組織内への生成物質のより良い浸透及び伝搬が可能になる。
【0015】
更に、流体力学の一般的な原理の観点では意外なことに、吐出口における流体の速度は、同一圧力において、ボトル形状と比較して概ね10%高い。実際に、ボトル形状は、通常、圧力降下を制限し、流体速度を最適化することを可能にする。
【0016】
更に、本発明に係る配置は、製造上の欠陥の影響を制限することを可能にする。更に、射出軸に対して有意に傾斜する接続部は、より製造が容易であり、より安価である。
【0017】
本発明に係る配置は、ガス発生器によって生成される同一圧力で注射ノズルの吐出口での有効成分の噴射のより良い性能を得ること、あるいは、注射ノズルの吐出口でガス発生器によって加えられる圧力を減少しながら流体の噴射の同一性能を維持することを可能にし、それにより、エネルギーが節約される。
【0018】
本発明に係る他の任意的な特徴によれば、
-前記接続部は、80度から90度の角度で傾斜している。これらの配置は、注射ノズルの吐出口での流体の噴射能力を向上させる。
-前記接続部は、前記射出軸に対して垂直である。これらの配置は、注射ノズルの吐出口での流体の噴射能力を向上させる。
-前記接続部は、前記第1導管部と前記第2導管部との間に肩部を形成する。肩部は、ボトル形状よりも製造上の欠陥に対して敏感ではない。
-前記第1セクションは、0.8ミリメートルから1ミリメートル、好ましくは1ミリメートルの直径を有している。従って、第1セクションの直径は、注射ノズルの容積を制限しながら、無針注射装置の適切な動作を可能にする。
-前記第2セクションは、0.3ミリメートルから0.45ミリメートル、好ましくは0.4ミリメートルの直径を有する。これらの配置は、第1セクションと第2セクションとの間の最適な比率を可能にする。
-前記第1セクションと第2セクションとの間の比率は、0.35から0.45であり、好ましくは0.4である。
-前記第2導管部の長さは、0.5ミリメートルから1.5ミリメートルである。この配置は、流体の流線を真っ直ぐにするのに十分な長さで且つ任意の圧力降下を生じさせないようにするのに十分な短さを可能にする。
-前記注射ノズルは、無針注射装置内の流出導管を保持するために、少なくとも1つの流出導管を受け入れるように構成された支持部を有する。
【0019】
更に、本発明は、
ガス発生器と、
注射される流体を受け入れるように構成された貯蔵器と、
前記ガス発生器によって駆動されるように配置され、前記貯蔵器の外に流体を排出するように構成されたプランジャと、
前記貯蔵器と流体連通して流体を無針注射装置の外にガイドするように構成された前述のいずれか1つの特徴を備える注射ノズルと、
を備える、無針注射装置に関する。
【0020】
本発明の一態様によれば、前記貯蔵器及び前記プランジャは、前記射出軸に沿って配置されている。
【0021】
本発明の一態様によれば、ガス発生器の圧力は、100バールから300バールである。
【0022】
本発明の一実施形態によれば、前記貯蔵器に収容されている流体は、以下の有効成分: -メトトレキサート(Methotrexate)
-アドレナリン(Adrenaline)
-スマトリプタン(Sumatriptan)
-ヒドロコルチゾン(Hydrocortisone)
-ナロキソン(Naloxone)
-ミダゾラム(Midazolam)
-アポモルフィン(Apomorphine)
-エチルナルトレキソン臭化物(Ethylnatrexone bromide)
-フィトメナジオン(Phytomenadione)
-塩酸クロルプロマジン(Chlorpromazine hydrochloride)
-酢酸ズクロペンチキソール(Zuclopenthixol acetate)
-ダナパロイドナトリウム(Danaparoid sodium)
-エノキサパリンナトリウム(Enoxaparin sodium)
-シピオン酸エストラジオール(Estradiol cypionate)
-酢酸メドロキシプロゲステロン(Medroxyprogesterone acetate)
-ナドロパリンカルシウム(Medroparin calcium)
-酢酸メチルプレドニゾロン(Methylprednisolone acetate)
-ヘパリンカルシウム(Heparin calcium)
-テルブリン(Terbuline)
を含むグループから選択された有効成分を含む。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明の他の特徴及び利点は、添付図面を参照する以下の詳細な説明によって明らかとなる。
図1図1は、無針注射装置を示す軸方向の分解斜視図である。
図2図2は、図1の詳細斜視図であり、本発明に係る流出導管を有する注射ノズルを示す図である。
図3図3は、無針注射装置の軸方向の断面図である。
図4図4は、従来技術における流出導管のボトル形状の輪郭を示す図である。
図5図5は、本発明に係る流出導管の輪郭を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本願明細書及び特許請求の範囲において、本願明細書及び特許請求の範囲を明確にするために、「長手方向」、「垂直方向」、及び「横方向」の用語は、図に示される「L」、「V」、及び「T」の三面体を参照し、非限定的に使用される。
【0025】
なお、本願明細書において、「上流」及び「下流」の用語は、注射方向に沿って、無針注射装置の内部を有効成分が流れているという点について理解されるべきである。
【0026】
更に、本願明細書において、「上端」、「下端」、「上側」、「下側」、「水平」、「垂直」、及びそれらの派生語は、要素又は構成要素の位置又は方向をいい、この位置又は方向は、地球の重力を言及するものではなく、図1から図5の装置の方向に関連して考慮されている。
【0027】
図1には、無針注射装置10(又は無針注射器)が示され、無針注射装置10は、U字形の本体12を備える。U字形の本体12は、ストライカ装置14と、プライマ16と、火工品装填物18と、膨張室22と、貯蔵器24と、注射機構28とを連続的に備えている。ストライカ装置14と、プライマ16と、火工品装填物18とは、ガス発生器20を構成する3つの要素である。貯蔵器24は、有効成分26を有する流体を収容する。
【0028】
ガス発生器20は、垂直方向の第1軸Aに沿って軸方向に延在する本体12の直線状の第1サブセットを構成し、貯蔵器24と注射機構28とは、垂直方向の第2射出軸Bに沿って軸方向に延在する本体12の直線状の第2サブセットを形成する。
【0029】
これら2つのサブセットは、サブセットの軸A,Bに対して垂直な軸を有する膨張室22によって互いに接続されている。
【0030】
貯蔵器24は、上流側のキャップ型のプランジャ32と下流側のキャップ型のプランジャ34とによって塞がれることで液体の有効成分26を収容するガラス管30によって構成されている。キャップ型のプランジャは、エラストマ系の弾性変形可能な素材で構成されている。
【0031】
貯蔵器24は、本体12の中に挿入され、その上流部分が、筒状部36を介して本体12によって垂直方向に閉塞されている。筒状部36は、ゴムなどの可撓性材料で構成され、弾性ポーチ37につながる中央開口部を備えている。弾性ポーチ37は、膨張室22に流体連通している。ガスは、弾性ポーチ37の中に侵入するように配置され、弾性ポーチ37が弾性によって伸長することで、弾性ポーチ37が上流側のキャップ型のプランジャ32を移動させる。従って、ガスは、有効成分26と流体連通しない。一方、貯蔵器24は、注射ノズル38によって下流部分が垂直方向に閉塞されている。
【0032】
図2から図3においてより詳細に示される注射ノズル38は、タッピングを有する外周面40によって画定され、射出軸Bに沿った筒形状を有している。タッピングは、本体12の下流側端部の内壁に形成された相補的なねじと協働することを意図されている。
【0033】
更に、注射ノズル38は、射出軸Bに対して平行であり且つ支持部39に形成される1つから3つの流出導管42を備えている。
【0034】
図3によれば、本体12は、中空のカバー46によって覆われている。カバー46は、カバーの底部を形成する水平なパッド48によって閉塞される下部開口部を画定する。
【0035】
パッド48は、射出軸Bの周囲に環状通路50を画定する。環状通路50は、注射ノズル38及び本体12の下流側端部の通路に適合する。注射ノズル38は、カバー46の垂直下方に向けて突出する下部セグメント52を備えている。
【0036】
また、無針注射装置10は、カバー46のパッド48を支える開口された上面56と、概ね平面状の閉塞された下面58とによって垂直方向に画定されるキャップ54を備えている。
【0037】
キャップ54は、射出軸Bに沿って軸方向に延在し且つ環状通路60を形成することによってキャップ54の下面58に開口する概ね筒状のハウジングを画定する。環状通路60は、着脱可能な底盤62によって閉塞される。
【0038】
底盤62は、底盤62の上面66から射出軸Bと平行な軸方向に延在する6つのクランプ脚64を備えている。
【0039】
更に、キャップ54に底盤62を固定することを可能にするため、底盤62は、キャップ54によって形成される内側環状溝70と協働するように構成されるとともに弾性変形可能な4つの歯68を備えている。
【0040】
他の観点では、キャップ54は、キャップ54及びカバー46が任意の凹凸を除いた均質な殻を形成するようにキャップ54がカバー46に続いて配置される閉塞位置と、キャップ54が射出軸Bの周りに約60度の角度で旋回する開放位置との間を枢動可能に取り付けられる。
【0041】
閉塞位置において、キャップ54は、無針注射装置10のその他の部分にロックされている。逆に、開放位置において、キャップ54は、無針注射装置10のその他の部分から取り外されるように構成され、注射ノズル38へのアクセスと注射の実行とを可能にする。
【0042】
この目的のために、無針注射装置10は、キャップ54が開放位置と閉塞位置との間を駆動する間、無針注射装置10の本体12にキャップ54をロックするように構成された第1のバヨネット型のロック手段を備えている。
【0043】
図5に示すように、流出導管42は、第1セクション91を有する第1導管部90と、第2セクション93を有する第2導管部92とを備えている。第1セクション91は、第2セクション93よりも大きい。更に、流出導管42は、第1導管部90と第2導管部92との間に接続部94を備えている。接続部94は、実質的に横断部である。すなわち、接続部94は、射出軸Bに対して、70度から90度の間、好ましくは80度から90度の間の傾斜を有する。接続部94は、好ましくは射出軸Bに対して垂直である。
【0044】
従って、有効成分の噴射のコヒーレンス長が改善される。実際に、流線は、より長い距離に渡って互いに概ね平行となるように配向されており、人の組織内への生成物質のより良い浸透及び伝播が可能になる。吐出口における有効成分の速度は、同一圧力において、図4に示すボトル形状と比較して概ね10%高い。実際に、ボトル形状は、通常、圧力降下を制限し、流体速度を最適化する。また、製造上の欠陥の影響も制限される。更に、射出軸Bに対して有意に傾斜する接続部94は、より製造が容易であり、より安価である。
【0045】
従って、ガス発生器によって生成される同一圧力で注射ノズルの吐出口での有効成分の噴射のより良い性能を得ること、あるいは、ガス発生器によって加えられる圧力を減少しながら同一性能を維持することを可能にし、それにより、エネルギーが節約される。
【0046】
接続部94は、第1導管部90と第2導管部92との間に肩部を形成する。肩部は、ボトル形状よりも製造上の欠陥に対して敏感ではない。
【0047】
第1セクション91は、0.8ミリメートルから1ミリメートル、好ましくは1ミリメートルの直径を有している。従って、第1セクション91の直径は、無針注射装置10の容積を制限しながら、無針注射装置10の適切な動作を可能にする。
【0048】
第2セクション93は、0.3ミリメートルから0.45ミリメートル、好ましくは0.4ミリメートルの直径を有している。これらの配置は、第1セクション91と第2セクション93との間の最適な比率を可能にする。
【0049】
第2導管部92の長さは、0.5ミリメートルから1.5ミリメートルである。この配置は、流体の流線を真っ直ぐするのに十分な長さで且つ任意の圧力降下を生じさせないようにするのに十分な短さを可能にする。
【0050】
例えば、流出導管42は、ポリカーボネートで構成されている。
【0051】
無針注射装置10の動作に関しては後で簡潔に説明するが、このことは、仏国特許発明第2815544号明細書に記載されている装置の動作に類似している。
【0052】
使用者は、キャップ54をいずれかの方向への回転を通じて取り外すことによって、無針注射装置10のロックを解除する。使用者は、治療される患者の皮膚に注射ノズル38の自由端を当て、指で押圧することによって、ガス発生器20が作動するまで本体12に沿ってスライドするカバー46を押し込む。ガス発生器の圧力は、100バールから300バールである。
【0053】
発生したガスは、膨張室22を圧し、圧力が十分であるとき、2つのキャップ型のプランジャ32,34と液状の有効成分26とによって構成される液柱を押し、液体の有効成分26が注射ノズル38によって排出される。
【0054】
本発明の説明は、非限定例として提供される。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2022-06-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出軸(B)に沿って延在する少なくとも1つの流出導管(42)を備える無針注射装置用注射ノズルであって、
前記流出導管(42)は、
流体が流れる第1セクション(91)を有する第1導管部(90)と、
第2セクション(93)を有する第2導管部(92)と、
前記第1導管部(90)と前記第2導管部(92)とを接続する接続部(94)と、
を備え、
前記第2導管部(92)は、流体の流れ方向において前記第1導管部(90)の下流に配置され、
前記第1セクション(91)を通過した流体は、前記第2セクション(93)を前記流れ方向に上流から下流へ流れ、
前記第1セクション(91)の直径は、前記第2セクション(93)の直径よりも大きく、
前記第2導管部(92)の長さは、0.5ミリメートルから1.5ミリメートルであり、
前記接続部(94)は、前記射出軸(B)に対して70度から90度の角度で傾斜し、
前記第1セクション(91)は、0.8ミリメートルから1ミリメートル、好ましくは1ミリメートルの直径を有し、
前記第2セクション(93)は、0.3ミリメートルから0.45ミリメートル、好ましくは0.4ミリメートルの直径を有する、
無針注射装置用注射ノズル。
【請求項2】
前記接続部(94)は、前記射出軸(B)に対して80度から90度の角度で傾斜している、請求項1に記載の無針注射装置用注射ノズル。
【請求項3】
前記接続部(94)は、前記射出軸(B)に対して垂直である、請求項1~2のいずれか1つに記載の無針注射装置用注射ノズル。
【請求項4】
前記接続部(94)は、前記第1導管部(90)と前記第2導管部(92)との間に肩部を形成する、請求項1~3のいずれか1つに記載の無針注射装置用注射ノズル。
【請求項5】
前記第1セクション(91)と前記第2セクション(93)との比率は、0.35から0.45であり、好ましくは0.4である、請求項1~のいずれか1つに記載の無針注射装置用注射ノズル。
【請求項6】
前記流出導管(42)を受け入れるように構成された支持部(39)を有する、請求項1~のいずれか1つに記載の無針注射装置用注射ノズル。
【請求項7】
ガス発生器(20)と、
注射される流体を受け入れるように構成された貯蔵器(24)と、
前記ガス発生器(20)によって駆動されるように配置され、前記貯蔵器(24)の外に流体を排出するように構成されたプランジャ(32,34)と、
前記貯蔵器(24)と流体連通して流体を無針注射装置(10)の外にガイドするように構成された請求項1~のいずれか1つに記載の注射ノズル(38)と、
を備える、無針注射装置。
【請求項8】
前記貯蔵器(24)及び前記プランジャ(32,34)は、前記射出軸(B)に沿って配置されている、請求項に記載の無針注射装置。
【請求項9】
前記貯蔵器(24)に収容されている流体は、以下の有効成分(26):
-メトトレキサート
-アドレナリン
―スマトリプタン
―ヒドロコルチゾン
-ナロキソン
-ミダゾラム
-アポモルフィン
-エチルナルトレキソン臭化物
-フィトメナジオン
-塩酸クロルプロマジン
-酢酸ズクロペンチキソール
-ダナパロイドナトリウム
-エノキサパリンナトリウム
-シピオン酸エストラジオール
-酢酸メドロキシプロゲステロン
-ナドロパリンカルシウム
-酢酸メチルプレドニゾロン
-ヘパリンカルシウム
-テルブリン
を含むグループから選択された有効成分(26)を含む、
請求項のいずれか1つに記載の無針注射装置(10)。
【外国語明細書】