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特開2022-119980スピロケタール置換環状ケトエノール類を製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022119980
(43)【公開日】2022-08-17
(54)【発明の名称】スピロケタール置換環状ケトエノール類を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 491/113 20060101AFI20220809BHJP
   C07D 317/72 20060101ALI20220809BHJP
   C07D 319/16 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
C07D491/113 CSP
C07D317/72
C07D319/16
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022091408
(22)【出願日】2022-06-06
(62)【分割の表示】P 2019505192の分割
【原出願日】2017-07-31
(31)【優先権主張番号】16182706.8
(32)【優先日】2016-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】507203353
【氏名又は名称】バイエル・クロップサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ヒムラー,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ハーン,ジュリア・ジョアンナ
(72)【発明者】
【氏名】クレーデ,ヨアヒム
(57)【要約】      (修正有)
【課題】殺虫剤、殺ダニ剤又は除草剤として使用することが可能なスピロケタール置換環状ケトエノール類を、より簡潔で、より短いプロセスによって製造するための新規方法、および新規中間体を提供する。
【解決手段】一般式(III)で表されるスピロケタール置換アミノ酸をフェニルアセチルクロリドを用いてアシル化し、酸性条件下でジオールを用いてエステル化し、次いでディークマン環化によりスピロケタール置換環状ケトエノール類を生成させる方法である。

【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(XI)
【化1】
〔式中、
、R、R、R、R、Rは、互いに独立して、水素、メチル、エチル又は
フェニルを表し;
、R、R10、R11、R12は、互いに独立して、水素、メチル、エチル、フ
ルオロアルキル(ここで、該フルオロアルキルは、1個又は2個の炭素原子及び1~5個
のフッ素原子を有している)、ハロゲン、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメトキシを
表すか、又は、メチル-、エチル-、メトキシ-、エトキシ-若しくはハロゲン-で置換
されていてもよいフェニルを表し;及び、
nは、0又は1を表す〕
で表される化合物を調製する方法であって、
式(III)
【化2】
〔式中、n及びR~Rは、上記で与えられている意味を有する〕
で表される化合物を、塩基の存在下で、式(VII)
【化3】
〔式中、R~R12は、上記で与えられている意味を有する〕
で表される化合物と反応させて、式(XV)
【化4】
〔式中、n、R~R及びR~R12は、上記で与えられている意味を有する〕
で表される化合物を生成させ;
次いで、式(XV)で表される化合物を、触媒としての酸の存在下で、式(XIV)
【化5】
〔式中、n及びR~Rは、上記で与えられている意味を有し、そして、具体的な個々
の場合では、一般式(XV)で表される化合物における意味と同一である〕
で表される化合物を用いてエステル化して、式(XVI)及び式(XVII)
【化6】
〔式中、n、R~R及びR~R12は、上記で与えられている意味を有し、そして
、式(XVI)又は式(XVII)で表される化合物の当該2つの位置において、n並び
に対応するラジカルR~R及びR~R12は、両方とも同じである〕
で表される化合物を生成させ;
次いで、式(XVI)及び式(XVII)〔式中、n、R~R及びR~R12は、
上記で与えられている意味を有する〕で表される化合物を、強塩基と反応させることによ
って、式(XI)
【化7】
〔式中、n、R~R及びR~R12は、上記で与えられている意味を有する〕
で表される化合物に変換させる;
ことを特徴とする、前記調製方法。
【請求項2】
~Rが、互いに独立して、水素、メチル又はエチルを表し;
~R12が、互いに独立して、水素、メチル、エチル、フッ素、塩素、メトキシ、
エトキシ、トリフルオロメトキシを表すか、又は、メチル-、エチル-、メトキシ-、エ
トキシ-、フッ素-、塩素-若しくは臭素-で置換されていてもよいフェニルを表し;
nが、0又は1を表す;
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
~Rが、互いに独立して、水素又はメチルを表し;
~R12が、互いに独立して、水素、メチル、エチル、フッ素、塩素、メトキシ、
エトキシを表すか、又は、メチル-、エチル-、メトキシ-、エトキシ-、フッ素-若し
くは塩素-で置換されていてもよいフェニルを表し;
nが、0又は1を表す;
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
式(XIX)
【化8】
〔式中、Mは、ナトリウム又はカリウムを表す〕
で表される化合物を調製する方法であって、
式(II-1、 9,12-ジオキサ-1,3-ジアザジスピロ[4.2.4.2]テト
ラデカン-2,4-ジオン)で表される化合物を水酸化ナトリウム水溶液又は水酸化カリ
ウム水溶液と反応させ、その際、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムは1~10モル当
量の量で使用することを特徴とする、前記調製方法。
【請求項5】
請求項4に記載の式(XIX)
【化9】
〔式中、Mは、ナトリウム又はカリウムを表す〕
で表される化合物を調製する方法であって、
式(II-1、 9,12-ジオキサ-1,3-ジアザジスピロ[4.2.4.2]テト
ラデカン-2,4-ジオン)で表される化合物を水酸化ナトリウム水溶液又は水酸化カリ
ウム水溶液と反応させ、その際、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムは1~10モル当
量の量で使用し、式(XIX)で表される生成物を濾過によって単離することを特徴とす
る、前記調製方法。
【請求項6】
式(XVI)及び式(XVII)
【化10】
〔式中、
~R及びR~R12は、上記で与えられている意味を有し、そして、一般式(
XVI)又は一般式(XVII)で表される化合物の当該2つの位置において、対応する
ラジカルR~R及びR~R12は、同一であり;及び、
nは、0又は1を表し、そして、式(XVI)又は式(XVII)で表される化合物の
当該2つの位置において同一である〕
で表される化合物を調製する方法であって、
式(XVIII)
【化11】
〔式中、R~R12は、上記で与えられている意味を有する〕
で表される化合物を、触媒としての酸の存在下で、式(XIV)
【化12】
〔式中、n及びR~Rは、上記で与えられている意味を有し、そして、具体的な個々
の場合では、式(XVI)又は式(XVII)で表される化合物における意味と同一であ
る〕
で表される化合物と反応させることを特徴とする、前記調製方法。
【請求項7】
式(XV-1)
【化13】
で表される化合物。
【請求項8】
式(XIX)
【化14】
〔式中、Mは、ナトリウム又はカリウムを表す〕
で表される化合物。
【請求項9】
式(XVI)及び式(XVII)
【化15】
〔式中、
~Rは、互いに独立して、水素、メチル、エチル又はフェニルを表し、そして、
式(XVI)又は式(XVII)で表される化合物の当該2つの位置において、同一であ
り;
nは、0又は1を表し、そして、式(XVI)又は式(XVII)で表される化合物の
当該2つの位置において同一であり;及び、
~R12は、互いに独立して、水素、メチル、エチル、フルオロアルキル(ここで
、該フルオロアルキルは、1個又は2個の炭素原子及び1~5個のフッ素原子を有してい
る)、ハロゲン、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメトキシを表すか、又は、メチル-
、エチル-、メトキシ-、エトキシ-若しくはハロゲン-で置換されていてもよいフェニ
ルを表し、そして、式(XVI)又は式(XVII)で表される化合物の当該2つの位置
において同一である〕
で表される化合物。
【請求項10】
~Rが、互いに独立して、水素又はメチルを表し、そして、式(XVI)又は式
(XVII)で表される化合物の当該2つの位置において、同一であり;
nが、0を表し;及び、
~R12が、互いに独立して、水素、メチル又は塩素を表し、そして、式(XVI
)又は式(XVII)で表される化合物の当該2つの位置において同一である;
請求項9に記載の式(XVI)及び式(XVII)で表される化合物。
【請求項11】
~Rが、水素を表し;
nが、0を表し;及び、
が、メチルを表し;
が、水素を表し;
10が、塩素を表し;
11が、水素を表し;
12が、メチルを表す;
請求項9に記載の式(XVI)及び式(XVII)で表される化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺虫剤、殺ダニ剤又は除草剤として使用することが可能なスピロケタール置
換環状ケトエノール類を調製するための新規調製方法に関する。本発明は、さらに、スピ
ロケタール置換環状ケトエノール類を調製するための新規中間体にも関する。
【背景技術】
【0002】
特定のスピロケタール置換環状ケトエノール類が殺虫活性、殺ダニ活性又は除草活性を
有していることは、既に知られている(WO99/16748;WO06/089633
)。そのようなスピロケタール置換環状ケトエノールの1つの既知合成(A)は、ブヘラ
・ベルクス反応において一般式(II)で表されるスピロケタール置換ヒダントインに変
換され得る一般式(I)で表される適切にスピロケタールで置換されているシクロヘキサ
ノンから出発する。これらのヒダントイン類をアルカリ加水分解することによって、一般
式(III)で表されるスピロケタール置換アミノ酸が得られる。次いで、これらのアミ
ノ酸を有機化学の既知方法によって(例えば、アルコールR-OH及び塩化チオニルと
の反応によって)エステル化して、一般式(IV;R=C-C-アルキル)で表さ
れるスピロケタール置換アミノ酸エステルが得られる。これらのアミノ酸エステルを、次
いで、その窒素において一般式(VII)で表されるフェニルアセチルクロリドでアシル
化して、一般式(VIII)で表される化合物が得られる。一般式(VIII)で表され
る化合物を、次いで、ディークマン反応において強塩基(例えば、カリウムtert-ブ
トキシド又はナトリウムメトキシド)の作用によって環化させて、一般式(XI)で表さ
れるスピロケタール置換環状ケトエノールが得られる。この調製方法(A)は、スキーム
1に示されている。この調製方法(A)の考慮すべき不利点は、酸性条件下における一般
式(III)で表されるアミノ酸のエステル化に際して、殆どの場合、該環状ケタールが
少なくとも部分的に再ケタール化されて一般式(V)で表される非環状ケタール(ジェミ
ナルビス(アルコキシ)化合物)となるという事実である。さらに、実際面では、原理上
無水である条件下においてさえ、たとえごく僅かな量とはいえ、一般式(VI)で表され
る付加的なケトンが形成され得るということが分かった。その後、結果として、該エステ
ルは、一般式(IV)及び一般式(V)で表される少なくとも2種類の生成物の混合物と
して得られ、これは、調製方法(A)のその後の段階においても対応する生成物の混合物
をもたらす。加えて、非環状ケタールは容易に加水分解されるという事実は、さらに、一
般式(X)で表されるN-アシル化ケトン(これは、一般式(VI)で表されるケト化合
物のN-アシル化の生成物と同一である)の形成ももたらす。かくして、一般式(VII
)で表されるフェニルアセチルクロリドによるN-アシル化の後で、一般式(VIII)
、一般式(IX)及び一般式(X)で表されるアミドが得られる。次いで、ディークマン
環化に付して、一般式(XI)、一般式(XII)及び一般式(XIII)で表される環
状ケトエノールの混合物が得られる。従って、不純物を含んでいない一般式(XI)で表
される生成物を工業条件下(ここでは、例えば、目標化合物のクロマトグラフィーによる
精製はオプションにはない)で得るためには、付加的な段階において、一般式(XI)、
一般式(XII)及び一般式(XIII)で表される化合物の該混合物を酸性触媒の存在
下で一般式(XIV)で表されるジオールを用いて一般式(XI)で表される均質な化合
物に変換させることが不可欠である。この付加的な段階は、多大な時間を必要とし、膨大
な費用がかかり、非経済的である。
【0003】
スキーム1: 調製方法A
【化1】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際特許出願公開第99/16748号
【特許文献2】国際特許出願公開第06/089633号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、一般式(XI)で表されるスピロケタール置換環状ケトエノールを調製するた
めの、より簡潔で、より短いプロセスが求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
驚くべきことに、第1段階(1)において、一般式(III)で表されるスピロケター
ル置換アミノ酸を、その窒素において、ショッテン・バウマン条件下で一般式(VII)
で表されるフェニルアセチルクロリドを用いてアシル化して、一般式(XV)で表される
アミドを生成させ;次いで、本発明の調製方法の第2段階(2)において、酸性条件下で
一般式(XIV)で表されるジオールを用いてエステル化を実施し(これは、一般式(X
VI)で表されるエステルと一般式(XVII)で表されるジエステルの混合物を生成し
得る);及び、次いで、本発明の調製方法の第3段階(3)において、ディークマン環化
を実施して一般式(XI)で表されるスピロケタール置換環状ケトエノールを生成させる
ことによって、一般式(XI)で表されるスピロケタール置換環状ケトエノールの合成を
単純化させることができるということが見いだされた。本発明による調製方法(B)は、
スキーム2に示されている。
【0007】
スキーム2: 調製方法B
【化2】
【0008】
従って、本発明は、一般式(XI)で表されるスピロケタール置換環状ケトエノールを
調製するための新規調製方法(B)を包含し、ここで、該調製方法は、
該調製方法の第1段階に(1)において、一般式(III)
【化3】
【0009】
〔式中、
ラジカルR~Rは、互いに独立して、水素、メチル、エチル又はフェニルを表し;
及び、
nは、0又は1を表す〕
で表されるスピロケタール置換アミノ酸を、塩基の存在下で、一般式(VII)
【化4】
【0010】
〔式中、ラジカルR~R12は、互いに独立して、水素、メチル、エチル、フルオロア
ルキル(ここで、該フルオロアルキルは、1個又は2個の炭素原子及び1~5個のフッ素
原子を有している)、ハロゲン、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメトキシを表すか、
又は、メチル-、エチル-、メトキシ-、エトキシ-若しくはハロゲン-で置換されてい
てもよいフェニルを表す〕
で表されるフェニルアセチルクロリドと反応させて、一般式(XV)
【化5】
【0011】
〔式中、n並びにラジカルR~R及びR~R12は、上記で与えられている意味を
有する〕
で表される化合物を生成させ;
次いで、本発明による調製方法(B)の第2段階(2)において、一般式(XV)で表
される化合物を、触媒としての酸の存在下で、一般式(XIV)
【化6】
【0012】
〔式中、n及びラジカルR~Rは、上記で与えられている意味を有し、そして、具体
的な個々の場合では、一般式(XV)で表される化合物における意味と同一である〕
で表されるα,ω-ジオールを用いてエステル化して、一般式(XVI)及び一般式(X
VII)
【化7】
【0013】
〔式中、n並びにラジカルR~R及びR~R12は、上記で与えられている意味を
有し、そして、一般式(XVI)又は一般式(XVII)で表される化合物の当該2つの
位置において、n並びに対応するラジカルR~R及びR~R12は、両方とも同じ
である〕
で表されるモノエステル及びジエステルを生成させ;
次いで、本発明による調製方法(B)の第3段階(3)において、一般式(XVI)及
び一般式(XVII)〔式中、n並びにラジカルR~R及びR~R12は、上記で
与えられている意味を有する〕で表される化合物を、強塩基と反応させることによって、
一般式(XI)
【化8】
【0014】
〔式中、n並びにラジカルR~R及びR~R12は、上記で与えられている意味を
有する〕
で表されるスピロケタール置換環状ケトエノールに変換させる;
ことを特徴とする。
【0015】
~Rは、R、R、R、R、R、Rを表す。
【0016】
~R12は、R、R、R10、R11、R12を表す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
式(III)、式(VII)、式(XV)、式(XIV)、式(XVI)、式(XVI
I)、式(XI)において、
~Rは、互いに独立して、好ましくは、水素、メチル又はエチルを表し、
~R12は、互いに独立して、好ましくは、水素、メチル、エチル、フッ素、塩素
、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメトキシを表すか、又は、メチル-、エチル-、メ
トキシ-、エトキシ-、フッ素-、塩素-若しくは臭素-で置換されていてもよいフェニ
ルを表し、
nは、好ましくは、0又は1を表す;
~Rは、互いに独立して、特に好ましくは、水素又はメチルを表し、
~R12は、互いに独立して、特に好ましくは、水素、メチル、エチル、フッ素、
塩素、メトキシ、エトキシを表すか、又は、メチル-、エチル-、メトキシ-、エトキシ
-、フッ素-若しくは塩素-で置換されていてもよいフェニルを表し、
nは、特に好ましくは、0又は1を表す;
~Rは、互いに独立して、同様に特に好ましくは、水素又はメチルを表し、
~R12は、互いに独立して、同様に特に好ましくは、水素、メチル、エチル、フ
ッ素、塩素、メトキシ、エトキシを表すか、又は、メチル-、メトキシ-、フッ素-若し
くは塩素-で置換されていてもよいフェニルを表し、
nは、同様に特に好ましくは、0を表す;
~Rは、互いに独立して、極めて特に好ましくは、水素又はメチルを表し、
~R12は、互いに独立して、極めて特に好ましくは、水素、メチル又は塩素を表
し、
nは、極めて特に好ましくは、0を表す。
【0018】
重要なのは以下の場合である:nは0を表し、R~Rは水素を表し、Rはメチル
を表し、Rは水素を表し、R10は塩素を表し、R11は水素を表し、R12はメチル
を表す。
【0019】
重要なのは以下の場合である:nは0を表し、R~Rは水素を表し、Rはメチル
を表し、Rは水素を表し、R10はメチルを表し、R11は水素を表し、R12はメチ
ルを表す。
【0020】
重要なのは以下の場合である:nは0を表し、Rは水素を表し、Rはメチルを表し
、Rは水素を表し、Rはメチルを表し、Rはメチルを表し、Rは水素を表し、R
10は水素を表し、R11はメチルを表し、R12は水素を表す。
【0021】
重要なのは以下の場合である:nは1を表し、Rは水素を表し、Rは水素を表し、
はメチルを表し、Rはメチルを表し、Rは水素を表し、Rは水素を表し、R
はメチルを表し、Rは水素を表し、R10は塩素を表し、R11は水素を表し、R12
はメチルを表す。
【0022】
重要なのは以下の場合である:nは1を表し、R~Rは水素を表し、Rはメチル
を表し、Rは水素を表し、R10は塩素を表し、R11は水素を表し、R12はメチル
を表す。
【0023】
調製方法Aに記載されている式(I)、式(II)及び式(XIII)において、R
、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12及びnは、上記
で記載されている意味を有する。
【0024】
調製方法Aに記載されている式(IV)、式(VIII)、式(IX)、式(X)及び
式(XII)において、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R
11、R12及びnは、上記で記載されている意味を有し、並びに、Rは、C-C
-アルキルを表す。特に重要なのは以下の場合である:nは0を表し;R~Rは水素
を表し;R及びR12はメチルを表し;R及びR11は水素を表し;R10は塩素を
表し;及び、Rはメチルを表す:
式(IV-1)で表される化合物:
【化9】
【0025】
式(VIII-1)で表される化合物:
【化10】
【0026】
式(IX-1)で表される化合物:
【化11】
【0027】
式(X-1)で表される化合物:
【化12】
【0028】
式(XII-1)で表される化合物:
【化13】
【0029】
調製方法Aに記載されている式(V)及び式(VI)において、Rは、C-C
アルキルを表す。特に重要なのは以下の場合である:Rは、メチルを表す:
式(V-1)で表される化合物:
【化14】
【0030】
式(VI-1)で表される化合物:
【化15】
【0031】
(Me=CH=メチル)。
【0032】
本発明による調製方法(B)の第1段階(1)は、当該反応条件下で不活性である溶媒
の中で実施する。可能な溶媒としては、例えば、以下のものを挙げることができる:ジク
ロロメタン、トルエン、オルト-キシレン、メタ-キシレン若しくはパラ-キシレン、メ
シチレン、クロロベンゼン、オルト-ジクロロベンゼン、アセトニトリル、ブチロニトリ
ル、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラ
ン、2-メチルテトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル、メチルtert-
ブチルエーテル、tert-アミルメチルエーテル、1,4-ジオキサン、酢酸エチル、
酢酸ブチル、水、又は、これら溶媒の混合物。好ましいのは、トルエン、オルト-キシレ
ン、メタ-キシレン若しくはパラ-キシレン、クロロベンゼン、アセトニトリル、ブチロ
ニトリル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、シクロペンチルメチル
エーテル、メチルtert-ブチルエーテル、tert-アミルメチルエーテル、酢酸エ
チル、酢酸ブチル、水又はこれら溶媒の混合物である。特に好ましいのは、トルエン、オ
ルト-キシレン、メタ-キシレン若しくはパラ-キシレン、クロロベンゼン、2-メチル
テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル
、tert-アミルメチルエーテルと水の混合物である(ショッテン・バウマン条件)。
【0033】
本発明による調製方法(B)の第1段階(1)において使用するのに適している塩基は
、有機塩基、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピペリジン、モルホリン、
ピリジン;又は、無機塩基、例えば、アンモニア、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、
水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、
炭酸カルシウムである。好ましいのは、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムである。
【0034】
固形無機塩基は、固体として、又は、それらの水溶液の形態で、使用することができる
。好ましくは、水溶液を使用する。
【0035】
該塩基は、通常、結果としてpHが10~14になるような量で使用する。好ましくは
、該反応は、pH11~13で実施する。
【0036】
本発明による調製方法(B)の第1段階(1)は、-5~50℃の温度で実施し;好ま
しくは、0~30℃の温度で実施する。
【0037】
一般式(XV)で表される化合物の単離は、濾過、相分離又は抽出などの有機化学の慣
習的な方法で実施する。
【0038】
本発明による調製方法(B)の第2段階(2)において、当該反応条件下で不活性であ
る溶媒を使用することができる。可能な溶媒としては、例えば、以下のものを挙げること
ができる:ジクロロメタン、トルエン、オルト-キシレン、メタ-キシレン若しくはパラ
-キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、オルト-ジクロロベンゼン、アセトニトリル
、ブチロニトリル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、シクロペンチ
ルメチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、tert-アミルメチルエーテル
、1,4-ジオキサン、又は、これら溶媒の混合物。好ましいのは、トルエン、オルト-
キシレン、メタ-キシレン若しくはパラ-キシレン、クロロベンゼン、アセトニトリル、
ブチロニトリル、2-メチルテトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル、メチ
ルtert-ブチルエーテル、tert-アミルメチルエーテル又はこれら溶媒の混合物
である。
【0039】
一般式(XIV)で表されるα,ω-ジオールは、一般式(XV)で表される化合物1
molあたり、少なくとも0.5molの量で使用する。過剰量の一般式(XIV)で表
されるα,ω-ジオールの中で実施することも可能であり、その場合、同時に、後者を溶
媒として使用する。
【0040】
本発明による調製方法(B)の第2段階(2)は、触媒量の酸の存在下で実施する。可
能な酸としては、例えば、以下のものを挙げることができる:塩化水素、硫酸、メタンス
ルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、パラ-トルエンスルホン酸、又は、酸性イオ
ン交換樹脂(例えば、Amberlite)。好ましくは、硫酸又はパラ-トルエンスル
ホン酸を使用する。特に好ましくは、硫酸を使用する。
【0041】
該酸は、一般式(XV)で表される化合物に基づいて、0.01~20重量%の量で使
用する。好ましいのは、0.05~10重量%である。
【0042】
本発明による調製方法(B)の第2段階(2)は、20~150℃の温度で実施し;好
ましくは、50~120℃の温度で実施する。
【0043】
一般式(XVI)及び一般式(XVII)で表される化合物の単離は、濾過、相分離又
は抽出などの有機化学の慣習的な方法で実施する。
【0044】
本発明による調製方法(B)の第3段階(3)において、当該反応条件下で不活性であ
る溶媒を使用することができる。可能な溶媒としては、例えば、以下のものを挙げること
ができる:トルエン、オルト-キシレン、メタ-キシレン若しくはパラ-キシレン、メシ
チレン、クロロベンゼン、オルト-ジクロロベンゼン、アセトニトリル、ブチロニトリル
、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル
、メチルtert-ブチルエーテル、tert-アミルメチルエーテル、1,4-ジオキ
サン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロ
リドン、メタノール、エタノール、1-ブタノール、tert-ブタノール、又は、これ
ら溶媒の混合物。好ましいのは、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセ
トアミド、N-メチルピロリドン、メタノール、tert-ブタノール又はこれら溶媒の
混合物である。
【0045】
本発明による調製方法(B)の第3段階(3)において塩基として使用するのに適して
いるものは、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、カリ
ウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、ナトリウムtert-ブ
トキシド又はカリウムtert-ブトキシドである。好ましいのは、水酸化ナトリウム、
ナトリウムメトキシド及びカリウムtert-ブトキシドである。特に好ましくは、ナト
リウムメトキシドを使用する。
【0046】
該塩基は、一般式(XVI)及び一般式(XVII)で表される化合物に基づいて、0
.9~4モル当量の量で使用する。好ましくは、1~3.5モル当量を使用する。
【0047】
本発明による調製方法(B)の第3段階(3)における温度は、20~150℃である
。好ましくは、該反応は、40~100℃で実施する。
【0048】
一般式(XI)で表される化合物の単離は、当該反応混合物のpHを0~8の値に調節
した後で、濾過、相分離又は抽出などの有機化学の慣習的な方法で実施する。
【0049】
式(III)で表される化合物の一部は、既知であり(WO06/089633)、一
部は、新規であり、又は、その中に記載されている方法で調製することができる。
【0050】
式(VII)で表される化合物の一部は、既知であり(WO97/02243)、一部
は、新規であり、又は、その中に記載されている方法で調製することができる。
【0051】
式(XIV)で表される化合物は、市販されている。
【0052】
本発明は、さらに、新規化合物1-{[(4-クロロ-2,6-ジメチルフェニル)ア
セチル]アミノ}-4-オキソシクロヘキサンカルボン酸(XV-1)
【化16】
【0053】
も提供する。
【0054】
一般式(XV)で表される化合物を調製するのに必要とされる一般式(III)で表さ
れるアミノ酸の一部は、新規である。一般式(II)で表される対応するヒダントインを
アルカリ加水分解に付し、その後、pHを7未満に調節し、そして、無機塩を除去するこ
とによるそれらの調製において達成される収率は、必ずしも満足できるものではない。か
くして、例えば、WO06/089633には、化合物9,12-ジオキサ-1,3-ジ
アザジスピロ[4.2.4.2]テトラデカン-2,4-ジオン(II-1)を30%強
度水酸化カリウム水溶液の形態にある9.8モル当量の水酸化カリウムと一緒に沸騰させ
ることによる、化合物8-アミノ-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-カル
ボン酸(III-1)の調製が記載されている。その後、濃塩酸を用いてpHを5.2-
5.3に調節する。濾過後、その濾液を、メタノールと共沸蒸留させることで、最初の体
積の約半分になるまで濃縮する。塩化カリウムを吸引濾過し、その濾液を、メタノールを
用いて共沸的にさらに脱水する。目標化合物の単離された収率は、理論値の46%にすぎ
ない。公表されているさらなる調製方法(Journal of Agricultur
al and Food Chemistry 2012 (60) 4779-478
7)では、ヒダントイン(II-1)を、3N水酸化ナトリウム水溶液の形態にある7モ
ル当量の水酸化ナトリウムと一緒に環流しながら4日間沸騰させる。次いで、その混合物
を0℃まで冷却し、濃塩酸を用いてpHを6に調節する。濾過後、その濾液を減圧下で最
初の体積の約3分の1になるまで濃縮する。沈澱した固体を吸引濾過し、乾燥させた。目
標化合物の収率は、理論値の48%しかなかった。
【0055】
従って、一般式(XV
【化17】
【0056】
〔式中、ラジカルR~R12は、上記で与えられている意味を有する〕
で表される化合物を調製するのに適している前駆物質を調製するための改善された調製方
法が必要であった。
【0057】
驚くべきことに、アミノ酸(III-1)の代わりに、一般式(XIX)
【化18】
【0058】
〔式中、Mは、ナトリウム又はカリウムを表す〕
で表される対応するナトリウム塩又はカリウム塩を単純な方法で高い収率で得ることがで
きるということが分かった。
【0059】
従って、本発明は、一般式(XIX)で表される化合物を調製するための新規調製方法
(C)も提供し、ここで、該方法は、式(II-1、 9,12-ジオキサ-1,3-ジ
アザジスピロ[4.2.4.2]テトラデカン-2,4-ジオン)で表されるヒダントイ
ンを水酸化ナトリウム水溶液又は水酸化カリウム水溶液と一緒に環流しながら加熱し、次
いで、得られた一般式(XIX)で表される化合物を濾過によって単離することを特徴と
する。
【0060】
該水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムは、1~10モル当量の量で使用する。好まし
くは、2~7当量を使用する。該水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムをこれらの量で使
用する場合、式(XIX)で表される化合物は固体として沈澱する。
【0061】
特に好ましくは、水酸化ナトリウムを使用する。
【0062】
水の量は、ヒダントイン1モル当たり、250~1500mLである。好ましくは、ヒ
ダントイン1モル当たり、300~1000mLを使用する。
【0063】
該反応温度は、50℃~200℃である。好ましくは、80℃~150℃で実施する。
【0064】
該反応は、減圧下又は高圧下で実施することも可能である。
【0065】
一般式(XIX)で表される化合物は、単純な濾過によって単離する。分析によって含
有量を測定した後、それらは、それ以上精製することなく、化合物(XV)を調製する
ためのショッテン・バウマン反応において、該遊離アミノ酸の代わりに使用することが可
能であり、ここで、同時に、さらに、1当量の塩基が節約される。このことは、該調製方
法のさらなる有利点を構成する。
【0066】
本発明は、さらに、一般式(XIX)
【化19】
【0067】
〔式中、Mは、ナトリウム又はカリウムを表す〕
で表される新規化合物も提供する。
【0068】
好ましいのは、一般式(XIX)〔式中、Mは、ナトリウムを表す〕で表される化合物
である。
【0069】
本発明は、さらに、一般式(XVI)及び一般式(XVII)
【化20】
【0070】
〔式中、
ラジカルR~R及びR~R12は、上記で与えられている意味を有し、そして、
一般式(XVI)又は一般式(XVII)で表される化合物の当該2つの位置において、
対応するラジカルR~R及びR~R12は、同一であり;
nは、0又は1を表し、そして、一般式(XVI)又は一般式(XVII)で表される
化合物の当該2つの位置において同一である〕
で表される化合物を調製するための新規調製方法(D)も提供し、ここで、該調製方法は
、一般式(XVIII)
【化21】
【0071】
〔式中、ラジカルR~R12は、上記で与えられている意味を有する〕
で表されるケト化合物を、触媒としての酸の存在下で、一般式(XIV)
【化22】
【0072】
〔式中、n及びラジカルR~Rは、上記で与えられている意味を有し、そして、具体
的な個々の場合では、一般式(XVI)又は一般式(XVII)で表される化合物におけ
る意味と同一である〕
で表されるα,ω-ジオールと反応させることを特徴とする。
【0073】
本発明による調製方法(D)において出発物質として使用する一般式(XVIII)で
表される化合物は、原則として既知である(WO06/089633)。
【0074】
本発明による調製方法(D)において、当該反応条件下で不活性である溶媒を使用する
ことができる。可能な溶媒としては、例えば、以下のものを挙げることができる:ジクロ
ロメタン、トルエン、オルト-キシレン、メタ-キシレン若しくはパラ-キシレン、メシ
チレン、クロロベンゼン、オルト-ジクロロベンゼン、アセトニトリル、ブチロニトリル
、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル
、メチルtert-ブチルエーテル、tert-アミルメチルエーテル、1,4-ジオキ
サン、又は、これら溶媒の混合物。好ましいのは、トルエン、オルト-キシレン、メタ-
キシレン若しくはパラ-キシレン、クロロベンゼン、アセトニトリル、ブチロニトリル、
2-メチルテトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル、メチルtert-ブチ
ルエーテル、tert-アミルメチルエーテル又はこれら溶媒の混合物である。
【0075】
一般式(XIV)で表されるα,ω-ジオールは、一般式(XVIII)で表される化
合物1mol当たり、少なくとも2molの量で使用する。過剰量の一般式(XIV)で
表されるα,ω-ジオールの中で実施することも可能であり、その場合、同時に、後者を
溶媒として使用する。
【0076】
本発明による調製方法(D)は、触媒量の酸の存在下で実施する。可能な酸としては、
例えば、以下のものを挙げることができる:塩化水素、硫酸、メタンスルホン酸、トリフ
ルオロメタンスルホン酸、パラ-トルエンスルホン酸、又は、酸性イオン交換樹脂(例え
ば、Amberlite)。好ましくは、硫酸又はパラ-トルエンスルホン酸を使用する
【0077】
該酸は、一般式(XVIII)で表される化合物に基づいて、0.01~20重量%の
量で使用する。好ましいのは、0.05~10重量%である。
【0078】
本発明による調製方法(D)は、20~150℃の温度で実施し;好ましくは、50~
120℃の温度で実施する。
【0079】
一般式(XVI)及び一般式(XVII)で表される化合物の単離は、濾過、相分離又
は抽出などの有機化学の慣習的な方法で実施する。
【0080】
本発明は、さらに、一般式(XVI)及び一般式(XVII)
【化23】
【0081】
〔式中、
ラジカルR~Rは、互いに独立して、水素、メチル、エチル又はフェニルを表し、
そして、一般式(XVI)又は一般式(XVII)で表される化合物の当該2つの位置に
おいて、同一であり;
nは、0又は1を表し、そして、一般式(XVI)又は一般式(XVII)で表される
化合物の当該2つの位置において同一であり;及び、
ラジカルR~R12は、互いに独立して、水素、メチル、エチル、フルオロアルキル
(ここで、該フルオロアルキルは、1個又は2個の炭素原子及び1~5個のフッ素原子を
有している)、ハロゲン、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメトキシを表すか、又は、
メチル-、エチル-、メトキシ-、エトキシ-若しくはハロゲン-で置換されていてもよ
いフェニルを表し、そして、一般式(XVI)又は一般式(XVII)で表される化合物
の当該2つの位置において同一である〕
で表される新規化合物も提供する。
【0082】
好ましいのは、一般式(XVI)及び一般式(XVII)〔式中、
ラジカルR~Rは、互いに独立して、水素、メチル又はエチルを表し、そして、一
般式(XVI)又は一般式(XVII)で表される化合物の当該2つの位置において同一
であり;
nは、0又は1を表し、そして、一般式(XVI)又は一般式(XVII)で表される
化合物の当該2つの位置において同一であり;及び、
ラジカルR~R12は、互いに独立して、水素、メチル、エチル、フッ素、塩素、メ
トキシ、エトキシ、トリフルオロメトキシを表すか、又は、メチル-、エチル-、メトキ
シ-、エトキシ-、フッ素-、塩素-若しくは臭素-で置換されていてもよいフェニルを
表し、そして、一般式(XVI)又は一般式(XVII)で表される化合物の当該2つの
位置において同一である〕
で表される新規化合物である。
【0083】
特に好ましいのは、一般式(XVI)及び一般式(XVII)〔式中、
ラジカルR~Rは、互いに独立して、水素又はメチルを表し、そして、一般式(X
VI)又は一般式(XVII)で表される化合物の当該2つの位置において同一であり;
nは、0を表し;及び、
ラジカルR~R12は、互いに独立して、水素、メチル、エチル、フッ素、塩素、メ
トキシ、エトキシを表すか、又は、メチル-、エチル-、メトキシ-、エトキシ-、フッ
素-若しくは塩素-で置換されていてもよいフェニルを表し、そして、一般式(XVI)
又は一般式(XVII)で表される化合物の当該2つの位置において同一である〕
で表される新規化合物である。
【0084】
極めて特に好ましいのは、以下のものである:
2-ヒドロキシエチル 8-{[(4-クロロ-2,6-ジメチルフェニル)アセチル
]アミノ}-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-カルボキシレート((XV
I);ここで、n=0、R~Rは水素を表し、R及びR12はメチルを表し、R
及びR11は水素を表し、R10は塩素を表す);
エタン-1,2-ジイル ビス(8-{[(2,5-ジメチルフェニル)アセチル]ア
ミノ}-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-カルボキシレート)((XVI
I);ここで、n=0、R~Rは水素を表し、R及びR12はメチルを表し、R
及びR11は水素を表し、R10は塩素を表す);
3-ヒドロキシブタン-2-イル 8-{[(2,5-ジメチルフェニル)アセチル]
アミノ}-2,3-ジメチル-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-カルボキ
シレート((XVI);ここで、n=0、R及びRは水素を表し、R及びRはメ
チルを表し、R及びR11はメチルを表し、R、R10及びR12は水素を表す);
3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピル 9-{[(4-クロロ-2,6-ジメチ
ルフェニル)アセチル]アミノ}-3,3-ジメチル-1,5-ジオキサスピロ[5.5
]ウンデカン-9-カルボキシレート(((XVI);ここで、n=1、R、R、R
及びRは水素を表し、R及びRはメチルを表し、R及びR11は水素を表し、
及びR12はメチルを表し、R10は塩素を表す)。
【0085】
下記実施例によって、本発明についてさらに詳細に記載するが、本発明はそれら実施例
によって限定されるものではない。
【実施例0086】
実施例1
2-ヒドロキシエチル 8-{[(4-クロロ-2,6-ジメチルフェニル)アセチル
]アミノ}-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-カルボキシレート(Ex.
XVI-1、及び、エタン-1,2-ジイル ビス(8-{[(2,5-ジメチルフェニ
ル)アセチル]アミノ}-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-カルボキシレ
ート)(Ex.XVII-1)
【化24】
【0087】
3.82g[10mmol]の8-{[(4-クロロ-2,6-ジメチルフェニル)ア
セチル]アミノ}-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-カルボン酸を15m
Lのクロロベンゼンに溶解させた溶液に、1.862g[30mmol]のエチレングリ
コール及び10滴の濃硫酸を添加する。その反応混合物を88~103℃で9時間加熱す
る。5時間後、さらなる8滴の濃硫酸を添加する。その反応混合物を室温まで冷却し、3
0mLのクロロベンゼンで希釈し、濾過する。その濾過残渣を石油エーテルで洗浄し、塩
化メチレンに溶解させ、飽和重炭酸ナトリウム水溶液及び水で洗浄する。その有機相を硫
酸ナトリウムで脱水し、減圧下で濃縮して、3.00gの無色の固体が得られる。これは
、HPLCによれば、68.8%の2-ヒドロキシエチル 8-{[(4-クロロ-2,
6-ジメチルフェニル)アセチル]アミノ}-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン
-8-カルボキシレート(理論値の48.5%)及び14.1%のエタン-1,2-ジイ
ル ビス(8-{[(2,5-ジメチルフェニル)アセチル]アミノ}-1,4-ジオキ
サスピロ[4.5]デカン-8-カルボキシレート)(理論値の10.7%)を含んでい
る。
【0088】
LC/MS(ESIポジティブ):m/e=426(MH,1 35Cl);
LC/MS(ESIポジティブ):m/e=788(MH,2 35Cl);
H-NMR(600MHz,CDCl):δ=1.25-1.35(m;2H),1
.6-1.7(m;2H),1.8-1.9(m;2H),2.05-2.15(m;2
H),2.24(s;6H),2.9(s,br;1H),3.51(s;2H),3.
7(m,br;2H),3.85(s;4H),4.24(m;2H),5.48(s;
1H),7.04(s;2H)ppm;
H-NMR(600MHz,CDCl):δ=1.25-1.35(m;4H),1
.6-1.7(m;4H),1.8-1.9(m;4H),2.05-2.15(m;4
H),2.23-2.25(s;12H),3.48(s;4H),3.85(s;4H
),4.24(m;4H),5.48(s;1H),7.03(s;4H)ppm。
【0089】
実施例2
2-ヒドロキシエチル 8-{[(4-クロロ-2,6-ジメチルフェニル)アセチル
]アミノ}-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-カルボキシレート(Ex.
XVI-1)
【化25】
【0090】
1.689g[5mmol]の1-{[(4-クロロ-2,6-ジメチルフェニル)ア
セチル]アミノ}-4-オキソシクロヘキサンカルボン酸を7.5mLのクロロベンゼン
に溶解させた溶液に、2.483g[40mmol]のエチレングリコール及び5滴の濃
硫酸を添加する。その反応混合物を100~105℃で4.5時間加熱し、次いで、室温
で、水及び塩化メチレンと一緒に撹拌する。その有機相を分離し、水で洗浄し、硫酸ナト
リウムで脱水し、減圧下で濃縮する。これによって、1.98gの無色の固体が得られる
。これは、HPLCによれば、83.1%の標題化合物(理論値の77.3%)を含んで
いる。
【0091】
実施例3
3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピル 9-{[(4-クロロ-2,6-ジメチ
ルフェニル)アセチル]アミノ}-3,3-ジメチル-1,5-ジオキサスピロ[5.5
]ウンデカン-9-カルボキシレート(Ex.XVI-2)
【化26】
【0092】
5.067g[15mmol]の1-{[(4-クロロ-2,6-ジメチルフェニル)
アセチル]アミノ}-4-オキソシクロヘキサンカルボン酸を22.5mLのクロロベン
ゼンに溶解させた溶液に、12.5g[120mmol]の1,3-ジヒドロキシ-2,
2-ジメチルプロパン及び15滴の濃硫酸を添加する。その反応混合物を96~105℃
で4時間加熱し、次いで、室温で、25mLの水及び100mLの塩化メチレンと一緒に
撹拌する。その有機相を分離し、いずれの場合にも25mLの水で3回洗浄し、硫酸ナト
リウムで脱水し、減圧下で濃縮する。これによって、6.51gの無色の固体が得られる
。これは、HPLCによれば、83.5%の標題化合物(理論値の82.8%)を含んで
いる。
【0093】
LC/MS(ESIポジティブ):m/e=510(MH,1 35Cl);
H-NMR(600MHz,CDCl):δ=0.92(s;6H),0.94(s
;6H),1.3-1.4(m;2H),1.8-1.85(m;2H),1.95-2
.1(m;4H),2.30(s;6H),3.32(s;2H),3.45(d;4H
),3.56(s;2H),3.97(s;2H),5.42(s;1H),7.1(s
;2H)ppm。
【0094】
実施例4
2-ヒドロキシエチル 8-[(メシチルアセチル)アミノ]-1,4-ジオキサスピ
ロ[4.5]デカン-8-カルボキシレート(Ex.XVI-3)
【化27】
【0095】
2.530g[7mmol]の8-[(メシチルアセチル)アミノ]-1,4-ジオキ
サスピロ[4.5]デカン-8-カルボン酸を19.48g[313.8mmol]のエ
チレングリコールに懸濁させた懸濁液に、85℃で、3滴の濃硫酸を添加する。その反応
混合物を100℃で3.5時間撹拌し、次いで、室温で、50mLの塩化メチレンの中に
入れる。その塩化メチレン相を分離し、順次、飽和重炭酸ナトリウム水溶液及び水で抽出
し、硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下で濃縮する。これによって、2.90gの無色の固
体が得られる。これは、HPLCによれば、91.9%の標題化合物を含んでいる。これ
は、理論値の93.9%の収率に相当する。
【0096】
LC/MS(ESIポジティブ):m/e=406(MH),811([2M+H]
);
H-NMR(600MHz,CDCl):δ=1.3-1.4(m;2H),1.6
-1.7(m;2H),1.85-1.9(m;2H),2.1-2.2(m;2H),
2.29(s;9H),3.1(s,br;1H),3.58(s;2H),3.79(
m,br;2H),3.91(s;4H),4.3(m;2H),5.61(s;1H)
,6.92(s;2H)ppm。
【0097】
実施例5
3-ヒドロキシプロピル 9-{[(4-クロロ-2,6-ジメチルフェニル)アセチ
ル]アミノ}-1,5-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン-9-カルボキシレート(
Ex.XVI-4)、及び、プロパン-1,3-ジイル ビス(9-{[(4-クロロ-
2,6-ジメチルフェニル)アセチル]アミノ}-1,5-ジオキサスピロ[5.5]ウ
ンデカン-9-カルボキシレート)(Ex.XVII-4)
【化28】
【0098】
5.067g[15mmol]の1-{[(4-クロロ-2,6-ジメチルフェニル)
アセチル]アミノ}-4-オキソシクロヘキサンカルボン酸を22.5mLのクロロベン
ゼンに溶解させた溶液に、9.31g[120mmol]の1,3-プロパンジオール及
び15滴の濃硫酸を添加する。その反応混合物を95-100℃で10時間加熱し、次い
で、室温で、塩化メチレン及び水と一緒に撹拌する。その有機相を分離し、水で3回洗浄
し、硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下で濃縮する。これによって、7.37gの樹脂状の
油状物が得られる。これは、LC/MSによれば、64%の3-ヒドロキシプロピル 9
-{[(4-クロロ-2,6-ジメチルフェニル)アセチル]アミノ}-1,5-ジオキ
サスピロ[5.5]ウンデカン-9-カルボキシレート(理論値の69%)及び5.2%
のプロパン-1,3-ジイル ビス(9-{[(4-クロロ-2,6-ジメチルフェニル
)アセチル]アミノ}-1,5-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン-9-カルボキシ
レート)(理論値の6%)を含んでいる。
【0099】
LC/MS(ESIポジティブ):m/e=454(MH,1 35Cl),907(
[2M+H],2 35Cl);
LC/MS(ESIポジティブ):m/e=831(MH,2 35Cl)。
【0100】
実施例6
11-(4-クロロ-2,6-ジメチルフェニル)-12-ヒドロキシ-1,4-ジオ
キサ-9-アザジスピロ[4.2.4.2]テトラデカ-11-エン-10-オン(Ex
.XI-1)
【化29】
【0101】
5mLのN,N-ジメチルアセトアミドに、実施例1に記載されているようにして調製
した1.065g[2.50mmol]の2-ヒドロキシエチル 8-{[(4-クロロ
-2,6-ジメチルフェニル)アセチル]アミノ}-1,4-ジオキサスピロ[4.5]
デカン-8-カルボキシレートと0.218g[0.28mmol]のエタン-1,2-
ジイル ビス(8-{[(2,5-ジメチルフェニル)アセチル]アミノ}-1,4-ジ
オキサスピロ[4.5]デカン-8-カルボキシレート)の混合物を最初に装入する。次
いで、75-80℃で、メタノール中のナトリウムメトキシドの30%強度溶液1.57
6g[8.75mmol]を2分間かけて滴下して加える。その反応混合物を75-80
℃で55分間撹拌し、次いで、減圧下で濃縮する。その残渣を30mLの水に溶解させ、
その溶液を濾過し、その濾液を酢酸を用いてpH4-5に調節する。沈澱した固体を吸引
濾過し、いずれの場合にも5mLの水で2回洗浄し、乾燥させる。これによって、1.2
03gの薄いベージュ色の固体が得られる。これは、定量的NMRによれば、80.7%
の標題化合物を含んでいる。これは、両方の出発物質分子の総量に基づいて、理論値の9
9%の収率に相当する。
【0102】
H-NMR(600MHz,d-DMSO):δ=1.35-1.4(m;2H),
1.65-1.7(m;2H),1.8-1.9(m;4H),2.05-2.15(m
;2H),2.07(s;6H),3.88(s;4H),7.09(s;2H),8.
1(s,br;1H),10.5(s,br;1H)ppm。
【0103】
実施例7
3-(4-クロロ-2,6-ジメチルフェニル)-4-ヒドロキシ-11,11-ジメ
チル-9,13-ジオキサ-1-アザジスピロ[4.2.5.2]ペンタデカ-3-エン
-2-オン(Ex.XI-2)
【化30】
【0104】
10mLのN,N-ジメチルアセトアミドに、2.550g[5mmol]の3-ヒド
ロキシ-2,2-ジメチルプロピル 9-{[(4-クロロ-2,6-ジメチルフェニル
)アセチル]アミノ}-3,3-ジメチル-1,5-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカ
ン-9-カルボキシレート(実施例3)を最初に装入する。次いで、75-80℃で、メ
タノール中のナトリウムメトキシドの30%強度溶液3.151g[17.5mmol]
を2分間かけて滴下して加える。その反応混合物を75-80℃で42分間撹拌し、次い
で、減圧下で濃縮する。その残渣を60mLの水に溶解させ、その溶液を酢酸を用いてp
H4-5に調節する。沈澱した固体を吸引濾過し、いずれの場合にも10mLの水で2回
洗浄し、乾燥させる。これによって、2.32gの薄いベージュ色の固体が得られる。こ
れは、HPLCによれば、76%の標題化合物を含んでいる。これは、理論値の86.9
%の収率に相当する。
【0105】
LC/MS(ESIポジティブ):m/e=406(MH,1 35Cl),811(
[2M+H],2 35Cl)。
【0106】
実施例8
12-ヒドロキシ-11-メシチル-1,4-ジオキサ-9-アザジスピロ[4.2.
4.2]テトラデカ-11-エン-10-オン(Ex.XI-3)
【化31】
【0107】
12mLのN,N-ジメチルアセトアミドに、2.43g[6.0mmol]の2-ヒ
ドロキシエチル 8-[(メシチルアセチル)アミノ]-1,4-ジオキサスピロ[4.
5]デカン-8-カルボキシレート(実施例4)を最初に装入する。次いで、75-80
℃で、メタノール中のナトリウムメトキシドの30%強度溶液3.78g[21mmol
]を3分間かけて滴下して加える。その反応混合物を75-80℃で6時間撹拌し、次い
で、減圧下で濃縮する。その残渣を70mLの水に溶解させ、その溶液を酢酸を用いてp
H4に調節する。沈澱した固体を吸引濾過し、12mLの水で洗浄し、乾燥させる。これ
によって、1.88gの薄いベージュ色の固体が得られる。これは、HPLCによれば、
87%の標題化合物を含んでいる。これは、理論値の79.4%の収率に相当する。
【0108】
LC/MS(ESIポジティブ):m/e=344(MH),687([2M+H]
);
H-NMR(600MHz,d-DMSO):δ=1.36-1.38(m;2H)
,1.67-1.69(m;2H),1.83-1.88(m;2H),2.04(s;
6H),2.06-2.1(m;2H),2.2(s;3H),3.88(s;4H),
6.81(s;2H)ppm。
【0109】
実施例9
3-ヒドロキシブタン-2-イル 8-{[(2,5-ジメチルフェニル)アセチル]
アミノ}-2,3-ジメチル-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-カルボキ
シレート(Ex.XVI-5)
【化32】
【0110】
20mLの2,3-ブタンジオールに、2.87g[7.66mmol]の8-{[(
2,5-ジメチルフェニル)アセチル]アミノ}-2,3-ジメチル-1,4-ジオキサ
スピロ[4.5]デカン-8-カルボン酸を最初に装入し、3滴の濃硫酸を添加し、その
混合物を100℃で10時間撹拌する。次いで、その反応混合物を、室温で、塩化メチレ
ンで希釈し、水で2回抽出する。その有機相を硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下で濃縮す
る。これによって、4.0gの黄色がかった油状物が得られる。これは、HPLCによれ
ば、77.1%の目標生成物を含んでおり、これは、理論値の90%の収率に相当する。
【0111】
LC/MS(ESIポジティブ):m/e=448(MH),895([2M+H]
)。
【0112】
実施例10
11-(2,5-ジメチルフェニル)-12-ヒドロキシ-2,3-ジメチル-1,4
-ジオキサ-9-アザジスピロ[4.2.4.2]テトラデカ-11-エン-10-オン
(Ex.XI-4)
【化33】
【0113】
7mLのN,N-ジメチルアセトアミドに、1.54g[3.45mmol]の3-ヒ
ドロキシブタン-2-イル 8-{[(2,5-ジメチルフェニル)アセチル]アミノ}
-2,3-ジメチル-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-カルボキシレート
(実施例9)を最初に装入する。次いで、75-80℃で、メタノール中のナトリウムメ
トキシドの30%強度溶液2.17g[12.1mmol]を5分間かけて滴下して加え
る。その反応混合物を75-80℃で90分間撹拌し、次いで、減圧下で濃縮する。その
残渣を40mLの水に溶解させ、その溶液を酢酸を用いてpH4-5に調節する。沈澱し
た固体を吸引濾過し、いずれの場合にも5mLの水で2回洗浄し、乾燥させる。これによ
って、0.70gの薄いベージュ色の固体が得られる。これは、HPLCによれば、82
.8%の標題化合物を含んでいる。これは、理論値の47.1%の収率に相当する。
【0114】
LC/MS(ESIポジティブ):m/e=358(MH),715([2M+H]
)。
【0115】
実施例11
8-アミノ-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-カルボン酸カリウム(E
x.XIX-1)
【化34】
【0116】
141.4g[0.625mol]の9,12-ジオキサ-1,3-ジアザジスピロ[
4.2.4.2]テトラデカン-2,4-ジオンを100mLの水に懸濁させる。アルゴ
ン雰囲気下、その混合物を90℃まで加熱し、47%強度水酸化カリウム溶液の形態にあ
る298.4g[2.5mol]の水酸化カリウムを15分間かけて加える。次いで、そ
の反応混合物を環流しながら24時間撹拌する。さらに撹拌しながら、その混合物を室温
まで冷却し、フリットを通して濾過することによって固体を単離する。1mbarの減圧
下、60℃で乾燥させることによって、139.0gのベージュ色の固体が得られる。定
量的NMR:88.0%。そこから、理論値の81.8%の収率が算出される。
【0117】
実施例12
8-アミノ-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-カルボン酸ナトリウム(
Ex.XIX-2)
【化35】
【0118】
43.4g[0.192mol]の9,12-ジオキサ-1,3-ジアザジスピロ[4
.2.4.2]テトラデカン-2,4-ジオンを30mLの水に懸濁させる。アルゴン雰
囲気下、その混合物を90℃まで加熱し、45%強度水酸化ナトリウム溶液の形態にある
68.3g[0.768mol]の水酸化ナトリウムを2分間かけて加える。次いで、そ
の反応混合物を環流しながら27.5時間撹拌する。さらに撹拌しながら、その混合物を
室温まで冷却し、フリットを通して濾過することによって固体を単離する。1mbarの
減圧下、60℃で乾燥させることによって、54.8gのベージュ色の固体が得られる。
定量的NMR:72.7%。そこから、理論値の93.0%の収率が算出される。
【0119】
H-NMR(600MHz,DO):δ=1.56-1.6(m,2H),1.69
-1.75(m,2H),1.75-1.82(m,2H),2.0-2.04(m,2
H),4.06(s,4H)ppm。
【0120】
実施例13
8-アミノ-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-カルボン酸ナトリウム(
Ex.XIX-2)
【化36】
【0121】
291.8g[1.29mol]の9,12-ジオキサ-1,3-ジアザジスピロ[4
.2.4.2]テトラデカン-2,4-ジオンを495mLの水に懸濁させる。アルゴン
雰囲気下、その混合物を90℃まで加熱し、45%強度水酸化ナトリウム溶液の形態にあ
る773.3g[8.7mol]の水酸化ナトリウムを17分間かけて加える。次いで、
その反応混合物を環流しながら20時間撹拌する。さらに撹拌しながら、その混合物を室
温まで冷却し、フリットを通して濾過することによって固体を単離する。1mbarの減
圧下、60℃で乾燥させることによって、367.3gのベージュ色の固体が得られる。
定量的NMR:76.3%。そこから、理論値の97.1%の収率が算出される。
【0122】
実施例14
1-{[(4-クロロ-2,6-ジメチルフェニル)アセチル]アミノ}-4-オキソ
シクロヘキサンカルボン酸(Ex.XV-1)
【化37】
【0123】
室温で、65mLの水に、23.88g[81.4mmol]の8-アミノ-1,4-
ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-カルボン酸カリウム(定量的NMRによる純度8
1.6%)を最初に装入し、その結果、pHは約13.6になる。その溶液を2℃まで冷
却し、32%強度塩酸を用いてpH12.1に調節する。次いで、3~5℃で、17.6
8g[81.4mmol]の(4-クロロ-2,6-ジメチルフェニル)アセチルクロリ
ドを20mLの乾燥テトラヒドロフランに溶解させた溶液を70分間かけて滴下して加え
る。同時に、32%強度水酸化ナトリウム水溶液を、その反応混合物のpHが常に11.
8~12.5に留まるような速度で滴下して加える(消費量10.93g[87.4mm
ol])。次いで、3~5℃で60分間撹拌を継続し、その混合物を室温まで昇温させ、
30mLの水で稀釈し、効果的に撹拌しながらその反応混合物のpHを約1.8に調節す
る。沈澱した固体をいずれの場合にも30mLの水で2回洗浄し、次いで、減圧下、約6
0℃で乾燥させる。これによって、29.31gの殆ど無色の固体が得られる。
【0124】
定量的NMR:純度88.7%、これは、理論値の83.6%の収率に相当する。
【0125】
H-NMR(600MHz,d-DMSO):δ=1.56-1.58(m,2H)
,1.64-1.69(m,2H),1.84-1.9(m,2H),2.01-2.0
3(m,2H),2.24(s,6H),3.54(s,2H),3.86(s,4H)
,7.05(s,2H),8.17(s,1H),12(s,br,1H)ppm。
【0126】
比較実施例1
8-アミノ-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-カルボン酸メチル
【化38】
【0127】
64.5gの8-アミノ-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-カルボン酸
を960mLのメタノールに懸濁させた懸濁液に、5~10℃で、57gの塩化チオニル
を60分間かけて滴下して加える。その混合物を40~45℃まで昇温させ、その温度で
48時間撹拌する。5℃まで冷却した後、固体を吸引濾過し、60mLの冷メタノールで
洗浄し、乾燥させる。次いで、撹拌しながら、その固体を、54gの炭酸カリウムを22
0mLの水に溶解させた溶液に添加し、約30分間撹拌する。次いで、その混合物をいず
れの場合にも200mLの塩化メチレンで5回抽出する。その有機相を合して硫酸ナトリ
ウムで脱水し、ロータリーエバポレーターで30℃で濃縮する。これによって、65.8
gの黒ずんだ油状物が得られる。これは、シリル化後のGC/MSによれば、約52.7
%の標題化合物及び35.7%の1-アミノ-4,4-ジメトキシシクロヘキサンカルボ
ン酸メチルを含んでいる。
【0128】
比較実施例2
8-{[(4-クロロ-2,6-ジメチルフェニル)アセチル]アミノ}-1,4-ジ
オキサスピロ[4.5]デカン-8-カルボン酸メチル
【化39】
【0129】
33.4gの比較実施例1の生成物を490mLの乾燥アセトニトリルに溶解させた溶
液に、室温で、38gの炭酸カリウムを添加する。次いで、5~10℃の温度で、30g
の(4-クロロ-2,6-ジメチルフェニル)アセチルクロリドを60mLの乾燥アセト
ニトリルに溶解させた溶液を1時間かけて計量添加する。5℃で2時間撹拌を継続し、そ
して、室温で一晩撹拌を継続し、その反応混合物を約2リットルの水に添加し、室温で1
時間撹拌し、沈澱した固体を濾過し、250mLの水で洗浄し、減圧下、50℃で乾燥さ
せる。これによって、53.2gの白色の固体が得られる。これは、GCによれば、66
.4%の標題化合物、18.2%の1-{[(4-クロロ-2,6-ジメチルフェニル)
アセチル]アミノ}-4,4-ジメトキシシクロヘキサンカルボン酸メチル及び12.4
%の1-{[(4-クロロ-2,6-ジメチルフェニル)アセチル]アミノ}-4-オキ
ソシクロヘキサンカルボン酸メチルを含んでいる。
【0130】
比較実施例3
8-{[(4-クロロ-2,6-ジメチルフェニル)アセチル]アミノ}-1,4-ジ
オキサスピロ[4.5]デカン-8-カルボン酸メチル
【化40】
【0131】
28.0gの粗製8-アミノ-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-カルボ
ン酸メチル塩酸塩(これは、純度約69%であり、そして、約21%の1-アミノ-4,
4-ジメトキシシクロヘキサンカルボン酸メチルを付加的に含んでいる)を90mLの水
に溶解させた溶液を10℃まで冷却し、1N水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH約7.
2に調節する。10.92gの重炭酸ナトリウム及び100mLのキシレンを添加し、そ
の後、23.88gの(4-クロロ-2,6-ジメチルフェニル)アセチルクロリドを2
7mLのキシレンに溶解させた溶液を5~10℃で1時間かけて滴下して加える。次いで
、5~10℃で30分間撹拌を継続し、次いで、その混合物を65℃まで昇温させ、その
温度で1時間撹拌する。その時間の間、1N水酸化ナトリウム水溶液を添加することによ
ってpHを7に維持する。室温まで冷却した後、沈澱した固体を吸引濾過し、順次、25
mLのキシレンで、及び、いずれの場合にも25mLの石油エーテルで2回、洗浄する。
減圧下、50℃で乾燥させて、ベージュ色の固体が得られる。これは、HPLC分析によ
れば、78.8%の標題化合物、6.6%の1-{[(4-クロロ-2,6-ジメチルフ
ェニル)アセチル]アミノ}-4,4-ジメトキシシクロヘキサンカルボン酸メチル及び
11.1%の1-{[(4-クロロ-2,6-ジメチルフェニル)アセチル]アミノ}-
4-オキソシクロヘキサンカルボン酸メチルを含んでいる。
【0132】
比較実施例4
11-(4-クロロ-2,6-ジメチルフェニル)-12-ヒドロキシ-1,4-ジオ
キサ-9-アザジスピロ[4.2.4.2]テトラデカ-11-エン-10-オン
【化41】
【0133】
42.0gの粗製8-アミノ-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-カルボ
ン酸メチル塩酸塩(これは、純度約69%であり、そして、約21%の1-アミノ-4,
4-ジメトキシシクロヘキサンカルボン酸メチルを付加的に含んでいる)を135mLの
水に溶解させた溶液を10℃まで冷却し、1N水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH約7
.2に調節する。16.4gの重炭酸ナトリウム及び150mLのキシレンを添加し、そ
の後、29.31gの(4-クロロ-2,6-ジメチルフェニル)アセチルクロリドを3
6mLのキシレンに溶解させた溶液を5~10℃で1時間かけて滴下して加える。次いで
、5~10℃で30分間撹拌を継続し、次いで、その混合物を65℃まで昇温させ、その
温度で1時間撹拌する。その時間の間、1N水酸化ナトリウム水溶液を添加することによ
ってpHを7に維持する。次いで、約250~110mbarの減圧下、水分離器での共
沸蒸留によって水を除去する。その底部を約50℃まで冷却し、次いで、110mLのN
,N-ジメチルアセトアミドを添加する。次いで、キシレンを、僅かに減圧下、約70℃
の沸点で留去する。次いで、その混合物を50℃まで冷却し、次いで、36.47gの3
0%強度メタノール性ナトリウムメトキシド溶液を10分間かけて滴下して加える。その
混合物を70℃まで加熱し、僅かに減圧下、約2時間かけてメタノールを留去する。次い
で、減圧下で、N,N-ジメチルアセトアミドを実質的に留去する。その残渣を取って5
00mLの水の中に入れ、その溶液を氷酢酸を添加することによってpH約5に調節する
。沈澱した固体を吸引濾過し、いずれの場合にも80mLの水で2回洗浄し、減圧下、5
0℃で乾燥させる。これによって、51.95gのベージュ色の固体が得られる。これは
、LC/MS分析によれば、71.3%の標題化合物、11.1%の3-(4-クロロ-
2,6-ジメチルフェニル)-4-ヒドロキシ-8,8-ジメトキシ-1-アザスピロ[
4.5]デカ-3-エン-2-オン及び1.9%の3-(4-クロロ-2,6-ジメチル
フェニル)-4-ヒドロキシ-1-アザスピロ[4.5]デカ-3-エン-2,8-ジオ
ンを含んでいる。
【外国語明細書】