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特開2022-119983銀ナノプレート上への貴金属コーティングの適用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022119983
(43)【公開日】2022-08-17
(54)【発明の名称】銀ナノプレート上への貴金属コーティングの適用方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 9/24 20060101AFI20220809BHJP
   B22F 1/17 20220101ALI20220809BHJP
   B82Y 30/00 20110101ALI20220809BHJP
   B82Y 40/00 20110101ALI20220809BHJP
【FI】
B22F9/24 E
B22F9/24 F
B22F1/17
B82Y30/00
B82Y40/00
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022091525
(22)【出願日】2022-06-06
(62)【分割の表示】P 2018530051の分割
【原出願日】2016-12-02
(31)【優先権主張番号】14/963,974
(32)【優先日】2015-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514325310
【氏名又は名称】シー3ナノ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】C3Nano Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100136777
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 純子
(72)【発明者】
【氏名】ヨンシン・ホゥ
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・スンイル・ホン
(72)【発明者】
【氏名】イン-シイ・リ
(72)【発明者】
【氏名】シーチアン・ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ヤドン・ツァオ
(72)【発明者】
【氏名】アジャイ・ビーカー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】より大規模な銀ナノプレート合成方法を提供する。
【解決手段】銀ナノプレートの合成方法は、混合条件下で、銀イオン、ポリカルボキシレートアニオン、多官能性水酸化物化合物、第1の量の過酸化水素および還元剤のブレンドの水溶液に、第2の量の過酸化水素を徐々に添加することを含んでなり、前記水溶液が、約0.00025M~約0.1Mの銀イオン濃度を有し、かつ還元剤に対する全過酸化水素のモル比が、約10~約120である。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
銀ナノプレートの合成方法であって、
混合条件下で、銀イオン、ポリカルボキシレートアニオン、多官能性水酸化物化合物、第1の量の過酸化水素および還元剤のブレンドの水溶液に、第2の量の過酸化水素を徐々に添加することを含んでなり、前記水溶液が、約0.00025M~約0.1Mの銀イオン濃度を有し、かつ還元剤に対する全過酸化水素のモル比が、約10~約120である、方法。
【請求項2】
前記ポリカルボキシレートアニオンが、シトレート、スクシネート、シトラマレート、マロネート、タルトレート、イソシトレート、シス-アコネート、トリカルバリレートまたはその混合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記多官能性ヒドロキシド化合物が、式RC(OH)Rによって表され、ここで、Rが、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基、カルボン酸基、ケトン基、複素環式基、アミノ基、アミド基またはその複数を有する部分であり、かつRおよびRが、独立して、H、あるいは任意選択的にヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基、カルボン酸基、ケトン基、複素環式基、アミノ基、アミド基またはその複数を有するアルキル部分であり、前記R、RおよびR部分が、存在する場合、隣接するか、または-C(OH)-部分からメチレン部分-CH-によって空間をあけられた、前記示された官能基を有するC(OH)基に結合した炭素原子を有する、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記多官能性ヒドロキシド化合物が、グリセロール、乳酸エチル、ジアセトンアルコール、プロピレングリコールまたはその混合物である、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記過酸化物対還元剤のモル比が、少なくとも約70である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記還元剤が、水素化ホウ素塩を含んでなる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記還元剤が、前記反応混合物中に注入され、前記合成が完了するまで、前記反応が続けられる、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記反応溶液の体積が、少なくとも約500ミリリットルである、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ポリマーキャッピング剤および/または無機コーティングを含まずに約120nm以下の平均円相当径を有し、かつ約40nm以下のピーク吸収スペクトル波長のシフトによって決定される周囲条件下での少なくとも21日の暗室貯蔵に対する安定性を有する、銀ナノプレートの分散体。
【請求項10】
前記銀ナノプレートの分散体が、約500nm~約750nmのピーク吸収を有する、請求項9に記載の分散体。
【請求項11】
少なくとも約0.6の600nmにおける標準化光吸収を有する、請求項9または請求項10に記載の分散体。
【請求項12】
約25nm~約90nmの平均銀ナノプレート円相当径を有する、請求項9~11のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項13】
少なくとも約4週間の室温および周囲雰囲気における分散体の暗室貯蔵における安定性を有する、請求項9~12のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項14】
少なくとも約5重量%の貴金属を有し、かつ少なくとも約0.6標準化吸収単位である600nmにおける光吸収を有し、かつ貴金属コーティングのない対応する銀ナノプレートも、少なくとも約0.6標準化吸収単位である600nmにおける光の吸収を有する、貴金属がコーティングされた銀ナノプレートの分散体。
【請求項15】
金属の全重量の少なくとも約7.5重量%の貴金属を有する、請求項14に記載の分散体。
【請求項16】
少なくとも約0.7標準化単位である600nmにおける光吸収を有する、請求項14または請求項15に記載の分散体。
【請求項17】
前記ナノプレートが、約120nm以下の平均円相当径を有する、請求項14~16のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項18】
銀ナノプレート上への貴金属コーティングの適用方法であって、
銀ナノプレート、ポリカルボキシレートアニオン、ポリマーキャッピング剤、配位子および還元剤の水性分散体を含んでなる反応溶液に、複合貴金属イオンおよびポリマーキャッピング剤の水溶液を含んでなるコーティング溶液を徐々に添加することを含んでなり、全ての形態における銀の全濃度が、少なくとも約0.75mMである、方法。
【請求項19】
前記貴金属イオンが、金イオンおよび/またはプラチナイオンを含んでなる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記複合貴金属イオンが、ヨウ化物イオン、臭化物イオン、スルフィット、CN、SCN、チオスルフェートまたはその混合物を複合化剤として含んでなる、請求項18または請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記ポリカルボキシレートアニオンが、シトレート、スクシネート、シトラマレート、マロネート、タルトレート、イソシトレート、シス-アコネート、トリカルバリレートまたはその組合せである、請求項18~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記キャッピングポリマーが、ポリビニルピロリドンを含んでなる、請求項18~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記配位子が、ニトレート、ジエチルアミン、エチレンジアミン、ニトリロ三酢酸、イミノビス(メチレンホスホン酸)、アミノトリス(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、1,3-プロピレンジアミン四酢酸(1,3-PDTA)、トリエチレンテトラミン、トリ(2-アミノエチル)アミン、ジエチレントリアミン五酢酸、1,2-シクロヘキサンジアミノ四酢酸、イミノ二酢酸、メチルイミノ二酢酸、N-(2-アセトアミド)イミノ酢酸、N-(2-カルボキシエチル)イミノ二酢酸、N-(2-カルボキシメチル)イミノジプロピオン酸、ピコリン酸、ジピコリン酸、ヒスチジンまたはその組合せを含んでなる、請求項18~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記還元剤が、アスコルビン酸、シュウ酸、酒石酸、ヒドロキシルアミン、ギ酸またはその混合物を含んでなる、請求項18~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記銀ナノプレートが、前記銀ナノプレートの合成からの未精製溶液として提供される、請求項18~24のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善された安定化された銀ナノプレート、銀ナノプレートの大規模な安定した合成、所望の吸収特徴を有する貴金属がコーティングされた銀ナノプレート、および銀ナノプレート上での貴金属コーティングの合成に関する。
【背景技術】
【0002】
透明ポリマーフィルムは、電子ディスプレイなどの広範囲の製品において使用される。機能性透明フィルムは、透明電気伝導性フィルムなどの所望の機能性を提供することができる。例えば、静電気が望ましくないか、または危険となる可能性がある場合、電気伝導性フィルムは、静電気の放散のため、重要となる可能性がある。光学フィルムは、偏光、抗反射、相シフティング、輝度増強または他の機能などの様々な機能を提供するために使用することができる。高品質ディスプレイは、1つ以上の光学コーティングを含んでなることが可能である。種々の用途に基づき、色、透明度、曇りなどの外観は、透明ポリマーフィルムの重要な態様となる可能性がある。
【0003】
透明伝導体は、例えば、タッチスクリーン、液晶ディスプレイ(LCD)、フラットパネルディスプレイ、有機発光ダイオード(OLED)、太陽電池およびスマートウインドウなどのいくつかの光電子用途のために使用可能である。歴史的に、酸化インジウムスズ(ITO)は、妥当な電気伝導率で、その比較的高い透明度のため、選択される材料であった。しかしながら、ITOには、いくつかの欠点がある。例えば、ITOは、一般に、高温および減圧を伴い、したがって、比較的遅く進行する可能性のある製作プロセスである、スパッタリングを使用して析出される脆性セラミックである。さらに、ITOは、可撓性基板上で容易に亀裂することが知られている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の態様において、本発明は、銀ナノプレートの合成方法であって、混合条件下で、銀イオン、ポリカルボキシレートアニオン、多官能性水酸化物化合物、第1の量の過酸化水素および還元剤のブレンドの水溶液に、第2の量の過酸化水素を徐々に添加するステップを含んでなる方法に関する。一般に、水溶液は、約0.00025M~約0.1Mの銀イオン濃度を有することが可能であり、そして還元剤に対する全過酸化水素のモル比は、約10~約120であることが可能である。
【0005】
さらなる態様において、本発明は、ポリマーキャッピング剤および/または無機コーティングを含まずに約120nm以下の平均円相当径を有し、かつ約40nm以下のピーク吸収スペクトル波長のシフトによって決定される周囲条件下での少なくとも21日の暗室貯蔵に対する安定性を有する、銀ナノプレートの分散体に関する。
【0006】
別の態様において、本発明は、少なくとも約5重量%の貴金属を有し、かつ少なくとも約0.6標準化吸収単位である600nmにおける光吸収を有し、かつ貴金属コーティングのない対応する銀ナノプレートも、少なくとも約0.6標準化吸収単位である600nmにおける光の吸収を有する、貴金属がコーティングされた銀ナノプレートの分散体に関する。
【0007】
他の態様において、本発明は、銀ナノプレート上への貴金属コーティングの適用方法であって、銀ナノプレート、ポリカルボキシレートアニオン、ポリマーキャッピング剤、配位子および還元剤の水性分散体を含んでなる反応溶液に、複合貴金属イオンおよびポリマーキャッピング剤の水溶液を含んでなるコーティング溶液を徐々に添加するステップと、を含んでなる方法に関する。一般に、全ての形態における銀の全濃度は、少なくとも約0.75mMであることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】金属伝導性薄層、および金属伝導性薄層のいずれかの側面上に種々の追加の透明層を有するフィルムの断片的側面図である。
図2】金属伝導性薄層で形成された3つの電気伝導性経路を有する、代表的な概略的パターン化構造の上面図である。
図3】銀ナノプレートが形成される場合、過酸化水素添加の第1ステップ後および過酸化水素の第2の添加後の溶液の標準化光吸収スペクトルのプロットである。
図4】過酸化水素の単一添加を伴う対応する反応と比較して、2ステップ過酸化水素添加に基づく銀溶液から処理された銀ナノプレートの標準化光吸収スペクトルのプロットである。
図5A-5J】異なる銀濃度において、実施例1の方法を使用して合成された銀ナノプレートの標準化光吸収スペクトルのプロットである(A=12倍、B=16倍、C=24倍、D=32倍、E=44倍、F=68倍、G=88倍、H=100倍、I=128倍およびJ=156倍)。
図6】グリセロールの代わりの別の安定剤として、ジアセトンアルコール、エチルラクテートまたはプロピレングリコールを用いて合成された銀ナノプレートの3つの試料の標準化光吸収のプロットである。
図7】実施例1において合成された銀ナノプレートおよび実施例2に記載のとおりに合成された金がコーティングされた銀ナノプレートのそれぞれの試料の標準化光吸収のプロットである。
図8】合成されたままの銀ナノプレート、コーティングプロセスの間にシトレートが添加された、金がコーティングされた銀ナノプレート、およびコーティングプロセスの間にシトレートが添加されない、金がコーティングされた銀ナノプレートの標準化光吸収のプロットである。
図9】典型的な金がコーティングされた銀ナノプレートの透過型電子顕微鏡写真である。
図10】未コーティングの銀ナノプレート、および異なる金コーティング厚を有する3セットの金がコーティングされた銀ナノプレートの光吸収のプロットである。
図11】凍結前および凍結融解サイクル後の金がコーティングされた銀ナノプレートの光吸収のプロットである。
図12】凍結前および凍結融解サイクル後のPVPがコーティングされた市販の銀ナノプレートの光吸収のプロットである。
図13】90℃において100時間の加熱前および加熱後のプロピレングリコールモノメチルエーテル中で分散された金がコーティングされた銀ナノプレートの光吸収のプロットである。
図14】90℃において100時間の加熱前および加熱後のプロピレングリコールモノメチルエーテル中で分散された未コーティングの銀ナノプレートの光吸収のプロットである。
図15】ポリマーハードコートを有する、または銀ナノプレートが装てんされたポリマーハードコートを有する透明伝導性インクフィルムの60℃および90%相対湿度での貯蔵日数の作用としてのb値のプロットである。
図16】ポリマーハードコートを有する、または金がコーティングされた銀ナノプレートが装てんされたポリマーハードコートを有する透明伝導性インクフィルムの60℃および90%相対湿度での貯蔵日数の作用としてのb値のプロットである。
図17】電気伝導性溶融金属ナノ構造化ネットワーク中で十分に分散された典型的な金がコーティングされた銀ナノプレートの透過型電子顕微鏡写真である。
図18】b、aおよび曇りのヒストグラムプロットで、ポリマー結合剤と一緒に伝導性層に含まれる銀ナノプレートの増加量を含む電気伝導性溶融金属ナノ構造化ネットワークの試料の3つのヒストグラムプロットのセットである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
フィルムの全光透過、曇りまたは導電率を有意に変化させることなく、透明伝導性フィルムを通しての光の透過率の色相を制御するためにナノスケール着色剤を使用することができることが発見されている。特に、金属ナノプレートは、表面プラズモン共振に基づく特定の色を生じるように設計されている。市販量のナノ粒子を形成するための、任意選択的に貴金属、例えば、金コーティングを有する安定化銀ナノプレートの形成のための合成方法が、本明細書に記載される。ナノプレート形態または安定度に対する望ましくない変化が生じることなく、反応溶液の濃度増加および/または全体積の増加のいずれかに基づく合成手順が首尾よく発見された。貴金属コーティングの適用は、コーティングされたナノプレートの望ましくない色の変化を生じずに、大規模に達成することができる。いくつかの実施形態において、着色剤の役割を果たす銀ナノプレートは、電気伝導性層中および/またはコーティング層中にポリマー結合剤と組み込まれることが可能である。銀ナノプレートは、電気伝導性要素のため、透明伝導性フィルムを通しての透過において、少なくとも部分的に色を埋め合わせることが可能であり、そして/または望ましい色合いをフィルムに導入することが可能である。特に、追加的または別の実施形態において、適切な金属酸化物などの他の透明伝導性材料が使用可能であるが、透明伝導性フィルムは、金属ナノワイヤーから、そして/または融合金属ナノ構造化ネットワークから有効に形成可能である。いくつかの実施形態において、ナノスケール着色剤は、曇りを有意に増加させるか、または光透過を減少させることなく、ナノワイヤーベースの伝導性層を通しての光透過の白色度を改善することが可能である。
【0010】
銀ナノワイヤーベースの伝導性フィルムから、より白色を生じるために有効である吸収スペクトルを有するナノプレートを製造するために使用可能である、改善された合成アプローチが本明細書に記載される。また、貴金属がコーティングされた銀ナノプレートは、経時的に高い安定度を有するフィルム中に組み入れるために合成される。貴金属コーティングは、銀ナノプレート上に均一の貴金属コーティングを形成する、安定な析出プロセスにおいて適用されることが可能である。以下の実施例に示すように、貴金属がコーティングされた銀ナノプレートは、所望の結果を有する金属伝導性薄層上のコーティング中に組み込むことができる。対応するフィルムにおける色相/色の変更および金属ナノプレートの組み込みに関して、明確に除外されない限り、銀ナノプレートには、貴金属がコーティングされたナノプレートが含まれる。
【0011】
色スペースが、色の体感にスペクトルの波長を関連づけるために定義されることができる。CIELABは、International Commission on Illumination(CIE)によって決定された色空間である。CIELAB色空間は、座標、L、aおよびbの三次元の組合せを使用し、ここで、Lは、色の明度に関し、aは、赤および緑の間の色の位置に関し、そしてbは、黄色および青色の間の色の位置に関する。「」値は、標準白色点と比較して標準化された値を表す。下記のように、これらのCIELABパラメータは、分光光度計で実行された測定から市販のソフトウェアを使用して決定することができる。
【0012】
透明伝導性フィルムは、カーボンナノチューブ、金属ナノワイヤーなどの種々のナノ材料から形成することができる。また、伝導性フィルムを形成するために、酸化インジウムスズ(ITO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)などの伝導性金属酸化物を使用することができる。伝導性金属酸化物は、伝導性層として、または可能であれば、ポリマー結合剤を有する相中の微粒子として形成可能である。透明伝導性フィルムのための銀ナノワイヤーに関して、一般に、より長く、かつより薄いナノワイヤーの使用は、所与の光学透明度および鮮明度のため、より良好な導電率をもたらす。しかしながら、より薄い銀ナノワイヤーで形成されたいくつかのフィルムは、黄色がかっているように見える可能性があることが観察されている。
【0013】
透明伝導性フィルムの色が、金属ナノプレート、金属ナノシェル、ナノリボンまたは他のナノスケール着色剤、例えば、顔料の組み込みによって、より黄色が低くなる、すなわち、bの絶対値がより小さくなる可能性があることが発見されている。ナノプレートは、表面プラズモン共振に基づいて特定の色特性に関して調整可能であり、かつ他のナノスケール着色剤は、それらの色、および全透過における減少に対する低い寄与に基づいて選択することができる。金属ナノ構造は、ポリマー、異なる金属および/またはシリカなどの非金属組成物でコーティングされることができる。Pt、Pd、Ir、Rh、Ru、Osまたはその組合せなどの貴金属による有効なコーティングの合成方法が本明細書に記載される。いくつかの実施形態において、全透過を有意に低下させることなく、そして/または曇りを増価させることなく、全色特性を変更するために、フィルム中に少量のナノスケール着色剤を組み込むことができる。特定の径範囲および種類のナノプレートおよびナノシェルは曇りを低下させることもできることが発見されている。特に、銀ナノプレート、ナノシェルまたは他のナノスケール要素は、より白色の透過光を生じるためにフィルム中の電気伝導性要素によって導入された色歪みを埋め合わせることができる。他の実施形態において、対応して、望ましい場合、選択されたナノスケール要素を使用して、望ましい色相を透過光に導入することができる。本明細書中の議論は、より白色の光を生じることに焦点をあてているが、いくつかの実施形態において、透過光の望ましい色相の導入は、一般に少なくとも約85%の可視光の全透過度を有する透明フィルムを形成しながら、選択されたナノスケール着色剤の導入によって導入可能であることを当業者は理解するであろう。適切な実施形態において、ナノスケール粒子は、電気伝導性層、コーティング層または両方に有効に組み込むことができる。色相の制御のためのナノスケール着色剤の一般的な使用は、参照によって本明細書に組み込まれる、“Transparent Films with Control of Light Hue Using Nanoscale Colorants”と題されたYangらへの米国特許出願公開第2016/0108256号明細書に記載される。
【0014】
本明細書に記載される場合、色によって調整されたコーティングは、可視光の全透過の適度な低下を有するように形成されることができる。良好な高透明度マトリクスを提供するために、種々のポリマーを、比較的良好な機械強度を有する結合剤として導入することができる。一般に、コーティングは、望ましい色調整を提供しながら、小さい厚さで形成されることができる。いくつかの実施形態において、薄いオーバーコートを通して導電率を維持することができるため、小さい厚さは、隣接した透明伝導性層としての使用のために望ましくなる可能性がある。したがって、約100ミクロン以下、いくつかの実施形態においては、1ミクロン以下の平均厚さを有するコーティングによって所望のレベルの色調整を得ることが可能である。
【0015】
結果として生じるコーティングにおける粒子の凝集塊の影響が減少するように、良好なコーティング特性は、一般に、マトリクスポリマーの溶液中での銀ナノプレートの良好な分散体の形成を伴う。銀ナノプレートは、一般に、比較的平滑な薄いコーティング中に、そして粒子が光学的特性を所望以上に変更しないように組み込まれることが可能である。一般に、コーティングは、約30重量%以下の銀ナノプレート装てん量を有する。コーティング溶液中のポリマー結合剤および銀ナノプレートの濃度は、粘度および最終コーティングの厚さなどの溶液の所望のコーティング特性をもたらすように調整可能である。コーティング溶液中の固体の濃度の比率は、コーティングが乾燥した時に望ましいコーティング濃度をもたらすように調整することができる。コーティングのポリマー成分は、一般に、UV放射、またはポリマー結合剤がさらにコーティングを強化するための他の手段によって架橋可能である。
【0016】
一般に、銀ナノプレートは、受動保護コーティング中に、および/または直接的に透明伝導性層中に導入することができる。受動透明保護コーティングは、透明伝導性層を被覆するために使用されても、または使用されなくてもよい。これらのコーティングのための共通点は、コーティング溶液中での成分の適合性、ならびに結果として生じる複合材料である。適合性は、容認できない程度の凝集などの成分の集合を生じることなく、比較的均一な材料へと有効に分散する能力を示す。特に、融和性は適度に同一の複合材料形成の形成にコーティングを供給するためのコーティング溶液の中の材料の良い分配を考慮に入れることができる。より均一な複合材料は、良好な透明度および低い曇りなどのコーティングの所望の光学的特性に寄与すると考えられる。
【0017】
受動コーティングのために、コーティング溶液は、溶媒、溶解マトリクスポリマー、ナノスケール着色剤、その可能な組合せおよび任意選択の追加の成分を含んでなることができる。下記のように、透明フィルムに適切である広範囲のマトリクスポリマーを使用することができる。界面活性剤などの湿潤剤、ならびに他の加工助剤も使用可能である。一般に、溶媒は、水、有機溶媒またはその適切な混合物を含んでなることが可能である。活性コーティングのために、コーティング溶液は、一般に、導電率を提供する金属ナノワイヤーなどの活性な機能性に寄与する成分をさらに含んでなる。
【0018】
ナノプレートは、100nm以下の平均厚さを有し、そして2つの他の寸法は、100nmより大きくても、またはそれ以下であってもよい。金属ナノプレートは、溶液ベース技術を使用して合成され、そしてそれらの光学特性は調査されている。例えば、参照によって本明細書に組み込まれる、“Silver Nanoplates”と題されたAhernらへの米国特許出願公開第2012/0101007号明細書、および“Silver Nanoplate Compositions and Methods”と題されたOldenburgらへの米国特許出願公開第2014/0105982号明細書を参照のこと。表面プラズモン共振に基づく調整された吸収特性を有する銀ナノプレートは、nanoComposix,Inc.,San Diego,CA,USA、Beijing Nanomeet Technology Co.Ltd.,ChinaおよびSuzhou ColdStones Technology Co.,Ltd.,Chinaから商業的に入手可能である。同様に、ナノプレートは、例えば、参照によって本明細書に組み込まれる、Kelly et al.,ACTA PHYSICA POLONICA A,(2012),122:337-345,“Triangular Silver Nanoparticles:Their Preparation,Functionalisation and Properties”;Jiang et al.,Inorganic Chemistry,(2004),43:5877-5885,“Ultrasonic-Assisted Synthesis of Monodisperse Single-Crystalline Silver Nanoplates and Gold Nanorings”;およびXiong et al.,Langmuir(2006),20:8563-8570,“Poly(vinyl pyrrolidone):a dual functional reductant and stabilizer for the facile synthesis of noble metal nanoplates in aqueous solutions”などの既知の合成技術を使用して、直接合成可能である。nanoComposixの報告によると、銀ナノプレートは、約10nmの厚さ、およびそれぞれ、40~60nm(550nmナノプレート)または60~80nm(650nmナノプレート)の(円相当)径を有し、これは特にコーティングの黄色を修正するために有用である。いくつかの市販ナノプレートは、ポリビニルピロリドン(PVP)コーティングまたはシリカ(酸化ケイ素)コーティングによって得ることができる。
【0019】
合成の間により高濃度を使用して、そして製品ナノプレートの所望の可視吸収を有するナノプレートを合成するために有効である、改善された合成方法が記載されている。特に、ナノプレート合成は、商業的量の銀ナノプレートを製造するために有効に使用可能である、有意により高い反応物濃度を使用することを伴う。高い製造合成は、所望の吸収特性を有するナノプレートの製造と一貫して実行することができる。ナノプレートの形成は、多官能性カルボン酸を使用して有意な程度まで導かれる。安定化は、追加的なアルコールまたはグリセロール、ラクテート、プロピレングリコールなどの他の選択された官能基を有するC3以上のアルコールによって提供され、1ステッププロセスでの有効なスケールアップならびにナノプレート自体の安定化がもたらされる。銀イオンの還元は、水素化ホウ素ナトリウムなどによって引き起こされる。また、過酸化物化合物は、高濃度合成を安定化させるための2ステップの段階的添加プロセスで添加される。アルコールベースの化合物による安定化は、多官能性カルボン酸がすでに銀イオンと錯形成し、そしてナノプレートの表面をコーティングすることができるため、驚くべき改善をもたらす。ナノプレート自体が、ナノ粒子または他の構造への転移に対して熱力学的に安定していないため、そしてプロセスを通して安定化と組み合わせられたその方向付けられたナノ構造成長が製品ナノプレートのより大きい量の合成をもたらすため、ナノプレートの合成は、条件の平衡および化合物の安定化を本質的に伴う。
【0020】
銀ナノプレートの合成において、シトレートは、ナノプレート構造の形成を導くための溶液中の重要なイオンであることが見出された。他のポリカルボキシレートアニオンも、首尾のよいナノプレート形成を首尾よく導くことが見出され、そしてシトレートに加えて、スクシネートおよびシトラマレートが、特に有効であることが見出された。これは、参照によって本明細書に組み込まれる、Zhang et al.,“A Systematic Study of the Synthesis of Silver Nanoplates:Is Citrate a “Magic” Reagent?”Journal of the American Chemical Society,(2011),133:18931-18939(以後、「Zhang JACS」)に記載されている。しかしながら、参照によって本明細書に組み込まれる、Zhang et al.,“Citrate-Free Synthesis of Silver Nanoplates and the Mechanistic Study”,ACS Applied Materials and Interfaces,(2013),5:6333-6345に記載されるように、熱の適用によってポリビニルピロリドンを使用するナノプレートの非シトレートベースの合成も達成されている。スケールアップ手順は、捕捉材料による参照によって組み込まれる、Liu et al.,“One-Step Growth of Triangular Silver Nanoplates with Predictable Sizes on a Large Scale”,Nanoscale,(2014),6:4513-4516(補足材料参照)に記載のとおり、別個のシード(Agナノ粒子)形成ステップを使用して記載されている。それとは対照的に、本明細書に記載されたスケールアップ手順は、シード粒子ステップを伴わない。
【0021】
銀ナノプレート上の貴金属コーティングの形成のための有効な方法が本明細書に記載される。コーティング方法において、銀ナノプレート、キャッピング剤、配位子および穏やかな還元剤から分散体が形成される。貴金属イオン、キャッピング剤および錯形成剤を有する溶液は徐々に添加され、コーティングを形成する。貴金属イオン複合体は容易に還元可能であるため、アスコルビン酸、シュウ酸、酒石酸、ヒドロキシルアミン、ギ酸またはその混合物などの穏やかな還元剤が、コーティングプロセスを引き起こすために有効である。シトレートなどの適切な多官能性カルボキシル酸アニオンは、ポリビニルピロリドンと一緒に、望ましいコーティングされたナノプレートを一緒に形成するために有効であることが見出され、そして金コーティングが以下に例証される。シトレートあるいは他の適切なカルボキシレートまたその組合せの存在が、コーティングプロセスと関連するスペクトルブルーシフトを減少させることによって、コーティングされたナノプレートの吸収スペクトルを変化させ、それによって、ナノプレートに色相変更ポリマー充てん剤としての所望の特徴をもたらすことが見出された。
【0022】
銀ナノプレートの金コーティングは、参照によって本明細書に組み込まれる、Gao et al.,“Highly Stable Silver Nanoplates for Surface Plasmon Resonance Biosensing”,Angewandte Chemie International Edition,(2012),51:5629-5633(以下、「Gao 2012」)に記載される。この論文において、銀ナノプレートは、その後にナノプレートを合成するために使用される銀シードから出発して合成された。有効な合成方法は、Gaoの方法からの相違に基づいて、有効厚さを有する平滑なコーティングの送達のために大規模で実行することができる本出願において記載される。
【0023】
透明電気伝導性フィルムは、低い表面抵抗を有し、良好な光学透明度および低い曇りを有する、銀ナノワイヤーまたは溶融金属ナノ構造化ネットワークで形成されている。しかしながら、これらのフィルムは、いくつかの実施形態において、CIELABスケールにおいてbの正の値に対応する、わずかな黄色を有することを観察されることができる。銀ナノプレートなどの少量のナノスケール着色剤の包含が、bの減少によって、色相をより中性灰色に改善することができることが見出された。パラメータLは、中性灰色スケールに沿って黒色から白色の範囲を提供する。しかしながら、銀ナノプレートは、透明度のわずかな減少およびaの絶対値のわずかな増加をもたらすことができるが、これらの有害作用は、一般に、小さく、そして許容レベル内であることが可能である。
【0024】
透明伝導性フィルムを通しての透過光の白色度を改善するための銀ナノプレートの使用に関して、銀ナノプレートは、伝導性材料の吸収/分散に対して補足的な小さい補償吸収および/または分散を有するよう選択することができる。CIELABパラメータに基づいて、原則として、フィルムは、CIELABスケールにおいてbおよびaの小さい絶対値に一般に基づいて、望ましい白色度を得るために設計することができる。しかしながら、実際の限界から判断して、フィルムの設計は、本明細書に例示される銀ナノプレートによって達成されるような、特定の望ましい範囲(標的カットオフ値より低いbおよびaの絶対値)内のより白色の光を生じるための結果に向けることができる。さらに以下に説明されるように、白色の妥当な値は、可視光の全透過における受容できる減少を伴って得ることができる。
【0025】
同様に、銀ナノプレートは、白色光以外の望ましい色相または色を導入するよう選択することができる。適切な実施形態に関して、透明伝導性フィルムの電気伝導性層に基づく色への本質的な寄与は、CIELABシステムにおいてbおよびa値によって表すことのできる所望の色を達成するための銀ナノプレートの選択および銀ナノプレートの装てんを考慮に入れることができる。選択された色相は、ディスプレイなどの特定の用途のために適切にパターン化することが可能である。
【0026】
一般に、金属ナノプレートは、硬化性ポリマーマトリックスコーティング材料中へ、ならびに/または金属ナノワイヤーおよび任意選択の溶融剤と一緒に、以下に要約された硬化性ポリマーなどのポリマー結合剤を含んでなることができる金属伝導性薄フィルム中へ組み込むことが可能である。伝導性層中の金属ナノプレートは、溶融金属ナノ構造化ネットワークと溶融して、そしてその中に組み込まれてもよく、またはそうでなくてもよい。しかしながら、いずれの場合も、例えば、金属ナノプレートの吸収特性は、フィルムの色相を変更するために、伝導性層でなお有効に使用可能である。コーティング溶液は、コーティングされ、乾燥され、そしていくつかの実施形態において、例えば、UV光、熱硬化、他の放射硬化または他の適切な架橋法によって硬化される溶液であることが可能である。コーティングの厚さは、特定の用途のために選択することができる。
【0027】
溶液コーティングのために適切であるコーティング/結合剤ポリマーは、商業的に入手可能であるか、または使用のために配合することができる。ポリマーは、水または非水性溶媒に溶解するように選択することができる。放射線硬化可能なポリマーおよび/または熱硬化可能なポリマーの適切な分類は、さらに以下に記載される。ポリマー結合剤は、放射線への曝露時に自己架橋することが可能であり、かつ/または、それらは、光開始剤もしくは他の架橋剤によって架橋可能である。
【0028】
処理のために、銀ナノプレートは、例えば、コーティングを形成するため、または透明伝導性層を形成するために、コーティング溶液中に分散させることが可能である。いくつかの実施形態において、ナノプレートの分散は、最初に分散され、次いで、ポリマー結合剤、金属ナノワイヤー、他の添加剤などの他の成分の溶液に添加させることが可能である。銀ナノプレートの濃度は、コーティング溶液から形成される最終的な結果の層における所望の装てん量が得られるように選択することができる。コーティング溶液の濃度に基づいて、湿潤コーティングの厚さは、乾燥およびさらなる処理時におけるコーティングの厚さの経験的な減少に基づいて、所望の乾燥コーティングの厚さが得られるように選択することができる。
【0029】
透明電気伝導性層の形成のために、種々の金属伝導性薄層を金属ナノワイヤーから形成することができる。金属ナノワイヤーは、広範囲の金属から形成可能であり、かつ金属ナノワイヤーは、商業的に入手可能であるか、または合成可能である。金属ナノワイヤーは、本質的に電気伝導性であるが、金属ナノワイヤーベースのフィルムにおける抵抗の圧倒的多数は、ナノワイヤー間の接合のためであると考えられる。処理条件およびナノワイヤー特性次第で、析出された比較的透明なナノワイヤーフィルムのシート抵抗は、ギガオーム/sq範囲以上など、非常に大きくなる可能性がある。光学的透明度を損失することなく、ナノワイヤーフィルムの電気抵抗を減少させるための種々の方法が提案されている。
【0030】
伝導性を改善するために、接合においてナノワイヤーを平坦化させるように処理される、金属ナノワイヤーによって形成されたフィルムは、参照によって本明細書に組み込まれる、Aldenらへの“Transparent Conductors Comprising Metal Nanowires”と題された米国特許第8,049,333号明細書に記載されている。金属伝導性を増加させるために表面エンボス化金属ナノワイヤーを含んでなる構造は、参照によって本明細書に組み込まれる、Srinivasらへの“Patterned Transparent Conductors and Related Manufacturing Methods”と題された米国特許第8,748,749号明細書に記載されている。しかしながら、溶融金属ナノ構造化ネットワークの所望の特性は、高い導電率に関して見られ、そして所望の光学特性は、透明度および低い曇りに関して見られた。隣接する金属ナノワイヤーの溶融は、商業的に適切な処理条件下での低温における化学プロセスに基づいて実行することができる。
【0031】
特に、金属ナノワイヤーに基づく電気伝導性フィルムを達成することに関する重要な進歩は、金属ナノワイヤーの隣接部分が溶融する、溶融金属ネットワークを形成するための十分に制御可能なプロセスの発見であった。種々の溶融源による金属ナノワイヤーの溶融は、全て、参照によって本明細書に組み込まれる、Virkarらへの“Metal Nanowire Networks and Transparent Conductive Material”と題された米国特許出願公開第2013/0341074号明細書、およびVirkarらへの“Metal Nanostructured Networks and Transparent Conductive Material”と題された米国特許出願公開第2013/0342221号明細書(’221出願)、Virkarらへの“Fused Metal Nanostructured Networks,Fusing Solutions with Reducing Agents and Methods for Forming Metal Networks”と題された米国特許出願公開第2014/0238833号明細書(’833出願)、およびYangらへの“Transparent Conductive Coatings Based on Metal Nanowires and Polymer Binders,Solution Processing Thereof,and Patterning Approaches”と題された米国特許出願公開第2015/0144380号明細書(’380出願)、Liらへの“Metal Nanowire Inks for the Formation of Transparent Conductive Films with Fused Networks”と題された米国特許第9,183,968号明細書にさらに記載されている。
【0032】
透明伝導性フィルムは、一般に、有害に光学特性を変化させることなく、加工性および/または構造の機械的特性に寄与するいくつかの成分または層を含んでなることができる。金属伝導性薄層は、透明伝導性フィルムに組み込まれる場合、所望の光学特性を有するよう設計することができる。金属伝導性薄層は、ポリマー結合剤をさらに含んでなっても、または含んでならなくてもよい。他に明記されない限り、層に対する参照は、参照された層またはフィルム上の平均厚さを指し、そして隣接する層は、特定の材料によって、それらの境界において巻きついてよい。いくつかの実施形態において、全フィルム構造は、少なくとも約85%の可視光の全透過、約2%以下の曇りおよび約250オーム/sq以下のシート抵抗を有することができるが、有意に良好な性能が本明細書に記載される。
【0033】
銀ナノプレートに関して、有意にコーティングの他の光学特性を犠牲にすることなく、黄色度を有意に減少させるために有効なレベルで、金属伝導性薄層に着色剤を添加することができることが見出された。透明伝導性フィルムのための透明コーティング中に、または直接、金属伝導性薄層の形成のためのインク中に組み込むために、オーバーコート中および/または透明電気伝導性層中の適切な量の銀ナノプレートは、一般に、有意にシート抵抗を増加させない。いくつかの実施形態において、シート抵抗は、対応する未装てんフィルムのシート抵抗に対して、銀ナノプレートを有するフィルム中、約20%以下増加し、そして同様に、パーセントでの可視光の全透過は、未装てんフィルムに対して、銀ナノプレートを有するフィルム中、約5以下減少する可能性がある。曇りは、銀ナノプレートの存在によって有意に変化し得ず、そしていくつかの実施形態において、銀ナノプレートは、いくらか曇りを減少させ得る。参照未装てんフィルムは、溶媒中の他の成分の濃度が同じであり、かつ最終厚さがわずかに異なり得るように、同一の様式で処理されるコーティング溶液との比較のために製造される。
【0034】
透明な電気伝導性フィルムは、例えば、太陽電池およびタッチスクリーンにおいて、重要な用途を見出す。金属ナノワイヤー成分から形成された透明伝導性フィルムは、従来の材料に対して、より低い加工費の可能性およびより適応可能な物理的特性を提供する。種々の構造的ポリマー層を有する多層フィルムにおいて、結果として生じるフィルム構造は、所望の電気伝導率を維持しながら、処理に関して強靭であることが見出され、かつ、本明細書に記載される所望の成分の組み込みは、フィルムが組み込まれたデバイスが、正常の使用において適切な寿命を有することができるように、フィルムの機能的特性を悪化させることなく、安定化をさらに提供することができる。
【0035】
ナノプレート合成および貴金属コーティング
銀ナノプレートおよび金がコーティングされた銀ナノプレートは、透明ポリマーフィルムのための有効な着色剤であることが見出されている。特に、金がコーティングされたナノプレートは、確立された促進摩耗試験下で、透明伝導性フィルムに対して安定な色相制御を提供することが見出されている。改善された方法は、銀ナノプレート、ならびに銀ナノプレートの貴金属コーティングの大規模合成に関して記載される。また、ナノワイヤーに基づく透明伝導性フィルムなどの透明フィルムの色相調整を提供するために、貴金属コーティングされたナノプレートが有効であるように、コーティングから生じるブルースペクトル吸収シフトを制限する貴金属コーティングの析出のための方法も記載される。合成方法は溶液ベースであり、かつ商業的品質のナノプレートの製造のためにより適切である、有意により濃縮された溶液による安定した均一ナノプレートの製造において有効である。
【0036】
合成は、硝酸銀などの溶解性銀塩による水溶液を含む。ナノプレート形成は、一般に、中程度の分子量のポリマーキャッピング剤を含む銀ナノワイヤー合成と対照して、小分子キャッピング剤によって導かれる。特に、クエン酸ナトリウムなどのシトレート塩が、高い特異度を有するナノプレート形状合成を導くことが見出された。シトレートアニオンは、式(OOCCHCOH(COO)CHCOO)-3を有するトリカルボキシレート分子である。Yin基の作用(上記Zhang JACSを参照)に基づき、他のポリカルボキシレートアニオンは、有効にシトレートと置き換えることができる。Zhang JACSによって見出されたとおり、有効な化合物は、1個または2個の炭素原子によって分離された2個または3個のカルボキシレート基を有し、ナノプレート合成を導くために有効である。約100%のナノプレート収率を導き、そしてナノプレートを安定化させるために有効なアニオンとしては、例えば、シトレート、スクシネートおよびシトラマレートが含まれ、マロネート、タルトレート、イソシトレート、シス-アコネートおよびトリカルバリレートによって80~90%のナノプレート収率が得られる。これらを、ポリカルボキシレートキャッピング剤と呼ぶことができ、そしてポリカルボキシレートアニオンの混合物を使用することができる。
【0037】
過酸化水素は、一般に、さらにナノプレートの形成を導くために添加される。過酸化水素は、金属銀を酸化させることが可能である強力な酸化剤である。還元剤の添加時に、過酸化水素エッチング液および還元剤によって確立された動的平衡があり、これは、銀金属形成をもたらす。Zhang JACSは、均衡が、シトレートまたは同等のポリカルボキシレートキャッピング剤によって少なくとも一部は基づくナノプレートの平面成長に反応物が消費される場合に最終的に導かれる銀シード形成をもたらすと仮定する。ヒドラジン、NaBH、LiAlH、アスコルビン酸、シュウ酸、ギ酸、その組合せなどの他の還元剤が、おそらく置換可能であるが、水素化ホウ素ナトリウムが、一般に、還元剤として使用される。
【0038】
より高い濃度の使用による反応のスケールアップのために、硝酸銀濃度は、小規模合成の2倍以上増加可能であり、そして適切な調整によって、高収率および高品質の銀ナノプレートが得られる。反応物濃度の百倍以上の増加に基づく結果は、反応物体積に関するスケールアップとともに、実施例において記載される。首尾のよい合成スケールアップにおけるいくつかの調整は、多官能性アルコール安定剤の添加、ホウ化水素に対する過酸化水素の比率の増加および過酸化水素の段階的な添加を含む。適切な濃度が以下に提供される。反応のスケールアップおよび/またはこれらの修正のない反応物濃度の増加は、一般に、ナノ粒子合成およびナノプレートの見掛けの不安定化をもたらす。
【0039】
多官能性アルコールは、結果として生じる銀ナノプレートを安定化させることが見出された。加えて、多官能性アルコールは、銀イオン濃度の増加によって、銀ナノ粒子合成を拡大する能力も提供する。多官能性アルコールは、式RC(OH)Rによって表すことができ、ここで、Rは、ヒドロキシル基、エステル基、ケトン基、複素環式基、アミノ基、アミド基、エーテル基、アルデヒド基、カルボン酸基またはその複数を有する部分であり、かつRおよびRは、独立して、H、あるいは任意選択的にヒドロキシル基、エステル基、ケトン基、複素環式基、アミノ基、アミド基、エーテル基、アルデヒド基、カルボン酸基またはその複数を有するアルキル部分であり、R、RおよびR部分は、存在する場合、隣接するか、または-C(OH)-部分からメチレン部分-CH-によって空間をあけられた、示された官能基を有するC(OH)基に結合した炭素原子を有する。特定の適切な多官能性アルコール(追加的な水酸化物またはエーテル官能性を有する)としては、例えば、グリセロール(CH(OH)CH(OH)C(OH)H)、乳酸エチル(CHCHOC(O)CH(OH)CH)、ジアセトンアルコール(CHC(O)CHC(OH)(CH)、エチレングリコールモノメチルエーテル(CHOCHCHOH)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(CHOCH(CH)CHOH)、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコールなどが含まれる。
【0040】
一般に、ナノプレート合成反応は水中で実行される。成長溶液は、約0.00025M~約0.1M、さらなる実施形態において、約0.0005M~約0.05M、追加的な実施形態において、約0.001M~約0.025Mの銀塩濃度を有することができる。成長溶液は、約0.0003M~約0.005M、さらなる実施形態において、約0.0006M~約0.0035Mまでのポリカボキシレートアニオンを含んでなることができる。多官能性アルコールに関して、溶液成長は、約0.0002M~約0.0025M、そしてさらなる実施形態において、約0.00035M~約0.002Mを含んでなることができる。酸化還元成分に関して、成長溶液は、約0.05M~約1Mの過酸化水素、約0.00005M~約0.0002Mの還元剤、そしてさらなる実施形態において、約0.075M~約0.8Mの過酸化水素および約0.0001M~約0.001Mの還元剤を含んでなることができる。より大規模の反応に関して、還元剤、特にホウ化水素還元剤に対する過酸化水素のモル比は、約10~約120、さらなる実施形態において、約15~約100、そして追加的な実施形態において、約20~約80であることが可能である。当業者は、上記の明示的な範囲内の反応物濃度の追加的範囲が考えられ、そして本開示の範囲内であることを認識するであろう。
【0041】
合成反応を実行するために、還元剤が残されたまま、過酸化水素の最初の部分が最後から2番目に添加される状態で、良好な混合条件下で反応物は水に添加される。他の反応物が混合されたら、還元剤は迅速に、混合成長溶液に注入される。次いで、ナノプレートを形成するために適切な期間で反応が続けられる。より濃縮拡大された合成において、過酸化水素の第2の部分は、還元剤の添加後に徐々に添加される。過酸化水素の第1の量に対する過酸化水素の第2の量の比率は、少なくとも約0.5、さらなる実施形態において、少なくとも約0.75、そして追加的な実施形態において、約1~約10である。過酸化水素の第2の量は、約1分~約2時間、さらなる実施形態において、約2分~約1.5時間、そして追加的な実施形態において、約3分~約1時間の期間で添加される。過酸化水素の第2の量の添加の完了後、反応を、少なくとも2分間、さらなる実施形態において、少なくとも約5分間、そして追加的な実施形態において、約8分~約3時間続ける。当業者は、上記の明示的な範囲内の反応時間および反応物添加時間の追加的範囲が考えられ、そして本開示の範囲内であることを認識するであろう。ナノプレートを溶液から回収することができ、そして再懸濁させることができる。しかしながら、貴金属めっきプロセスに関して、ナノプレートは、コーティングのための成長、すなわち、合成溶液に繰り越すことが可能であり、これは分離ステップを省力し、そしてまた、例えば、ナノプレート不安定性のため、回収の間にナノプレートの損失を回避することができる。
【0042】
合成されたままの銀ナノプレートは、ポリマーコーティングまたは他の無機コーティングを含まずに形成される。ナノプレートは、約20nm~約150nm、さらなる実施形態において、約25nm~約120nm、そして追加的な実施形態において、約25nm~約90nmである、エッジからナノプレートの数学的中心を通って延在する線分を平均化することによって得られる円相当径を有することができる。また、合成されたままの銀ナノプレートは、約450nm~約850nm、さらなる実施形態において、約500nm~約750nmのピーク吸収波長を有することができる。いくつかの用途に関して、少なくとも約0.6、さらなる実施形態において、少なくとも約0.65、そして追加的な実施形態において、少なくとも約0.7である600nmにおける標準化吸収を有することが望ましくなる可能性がある。当業者は、上記の明示的な範囲内の追加的特性範囲が考えられ、そして本開示の範囲内であることを認識するであろう。
【0043】
いくつかの実施形態において、貴金属コーティングは、銀ナノプレートに適用可能である。銀ナノプレートは、上記プロセスを使用して合成可能であるか、またはコーティングのための銀ナノプレートは、他の技術を使用して合成可能であり、かつ所望であれば、商業的供給源から得られてもよい。いずれにしても、金コーティングは、比較的穏やかな有機還元剤を使用して均一に適用可能である。コーティングプロセスは、一般に、コーティング析出を促進するためにポリマーキャッピング剤と一緒に実行される。コーティングプロセスを介在するために、配位子が反応溶液に含まれることが可能である。ポリカルボキシレートの包含は、さらに所望の光学特性を有するコーティングされたナノプレートの形成を促進することが見出された。本明細書の実験はシトレートを用いて実行されるが、ナノプレート合成を促進するために適切であるポリカルボキシレートアニオンが、コーティングプロセスに及ぼす所望の効果を提供するために有効であることも予想される。適切なポリカルボキシレートアニオンとしては、例えば、シトレート、スクシネート、シトラマレート、マロネート、タルトレート、イソシトレート、シス-アコネート、トリカルバリレート、その混合物、ならびに1個または2個の炭素原子がカルボン酸官能基を分離している他のジカルボン酸およびトリカルボン酸が含まれる。
【0044】
コーティング反応のために、コーティング溶液は、一般に、反応溶液に段階的に添加される。反応溶液は、約0.00025重量%~約0.1重量%の銀ナノプレート、さらなる実施形態において、約0.0005重量%~約0.05重量%、そして追加的な実施形態において、約0.001重量%~約0.025重量%の銀ナノプレートを含んでなる。キャッピングポリマーに関して、反応溶液は、約0.005重量%~約5重量%、さらなる実施形態において、約0.0075重量%~約3重量%、そして追加的な実施形態において、約0.01重量%~約2重量%を含んでなることができる。適切なキャッピングポリマーとしては、例えば、PVP、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、その組合せなどが含まれる。反応溶液は、約0.005M~約2M、さらなる実施形態において、約0.004M~約1.5M、そして追加的な実施形態において、約0.005M~約1Mの多座配位子を含んでなることができる。一般に、適切な配位子としては、例えば、ニトレート、ジエチルアミン、エチレンジアミン、ニトリロ三酢酸、イミノビス(メチレンホスホン酸)、アミノトリス(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、1,3-プロピレンジアミン四酢酸(1,3-PDTA)、トリエチレンテトラミン、トリ(2-アミノエチル)アミン、ジエチレントリアミン五酢酸、1,2-シクロヘキサンジアミノ四酢酸、イミノ二酢酸、メチルイミノ二酢酸、N-(2-アセトアミド)イミノ酢酸、N-(2-カルボキシエチル)イミノ二酢酸、N-(2-カルボキシメチル)イミノジプロピオン酸、ピコリン酸、ジピコリン酸、ヒスチジン、その組合せが含まれる。還元剤に関して、反応溶液は、約0.001M~約0.1M、さらなる実施形態において、約0.002M~約0.08M、そして追加的な実施形態において、約0.0025M~約0.05Mの還元剤を含んでなることができる。また、反応溶液は、約0.0005M~約0.2M、さらなる実施形態において、約0.00075M~約0.05M、そして追加的な実施形態において、約0.001M~約0.025Mのポリカルボキシレートアニオンを含んでなることができる。当業者は、上記の明示的な範囲内の反応溶液の組成物の追加的範囲が考えられ、そして本開示の範囲内であることを認識するであろう。
【0045】
コーティングは、精製を行わずに、そしていくつかの実施形態においては、希釈を行わずに、ナノプレートを合成するために使用される溶液中の銀ナノプレートで直接実行可能である。生成物ナノプレートに対する溶液の正確な組成は、それが合成のために添加された組成物に基づいて妥当に推測されることは可能であるが、知られ得ない。いずれにしても、コーティングを実行するための銀ナノプレート溶液は、銀ナノプレートを形成するために反応溶液に添加された銀に基づいて決定することができる、いずれかの形態の全銀濃度に基づいて特徴づけることができる。いくつかの実施形態において、溶液は、いずれかの形態で、少なくとも約0.00075M、さらなる実施形態において、少なくとも約0.00085M、追加的な実施形態において、少なくとも約0.001M、そして他の実施形態において、少なくとも約0.0011Mの銀を含んでなることができる。当業者は、上記の明示的な範囲内の全銀濃度の追加的範囲が考えられ、そして本開示の範囲内であることを認識するであろう。
【0046】
コーティング溶液は、約0.0002M~約0.02M、さらなる実施形態において、約0.0003M~約0.01M、そして追加的な実施形態において、約0.0004M~約0.0075Mの濃度の錯化金イオンを含んでなることができる。キャッピングポリマーに関して、コーティング溶液は、約0.05重量%~約5重量%、さらなる実施形態において、約0.075重量%~約3重量%、そして追加的な実施形態において、約0.1重量%~約2重量%を含んでなることができる。コーティング溶液は、Au塩の有効還元電位を低下させるために、金イオンと複化する配位子を含んでなる。これは、上記で引用されたGao 2012の論文によって記載される。Gao 2012および以下の実施例は、還元電位を低下させるための選択された配位子としてヨウ化物イオン(I)を使用する。しかしながら、例えば、Br、スルフィット、CN、SCN、チオスルフェート(S -2)、その混合物などを含む他の配位子も、この役割において有効となる可能性がある。金イオンまたは他の貴金属イオンに対する配位子のモル比は、1より高く、さらなる実施形態において、1.5より高くなる可能性がある。当業者は、上記の明示的な範囲内のコーティング溶液組成の追加的範囲が考えられ、そして本開示の範囲内であることを認識するであろう。当業者は、上記の明示的な範囲内のコーティング溶液の追加的組成範囲が考えられ、そして本開示の範囲内であることを認識するであろう。
【0047】
コーティングプロセスのために、反応溶液の成分は、最初に十分混合される。コーティング溶液は徐々に反応溶液に添加される。一般に、コーティング溶液は、約2分~約5時間、さらなる実施形態において、約5分~約4時間、そして追加的な実施形態において、約7分~3時間の期間で添加される。コーティング溶液の添加のための時間量は、添加されたコーティング溶液の量に基づき、いくぶん調整可能であり、そして添加されたコーティング溶液の量は、一般に、析出されたコーティングの量を決定した。コーティング溶液は、一般に、上記目標時間を達成するために適切な速度で添加され、そして時間フレームにおける良好な希釈拡散を得るために妥当に増加させて添加することが可能である。析出された金コーティングの量は、結果として生じるコーティングされたナノプレート、およびコーティングされたナノプレートから形成される対応するデバイスの化学安定性に影響を与える。添加されたコーティング溶液の量および濃度は、析出されたコーティングの量を決定する。いくつかの実施形態において、金がコーティングされた銀ナノプレートは、約2原子%~約45原子%、さらなる実施形態において、約5原子%~約40原子パーセント、追加的な実施形態において、約7.5原子%~約35原子%の金を含んでなる。当業者は、上記の明示的な範囲内のプロセス時間およびコーティングレベルの追加的範囲が考えられ、そして本開示の範囲内であることを認識するであろう。
【0048】
銀ナノプレートによる電磁スペクトルの可視光および隣接部分の吸収は、プラズモン共振に関して特徴づけられる。金コーティングは、吸収スペクトルの基本的特徴を変更しないように析出可能であるが、一般に定量的変化が生じる。ナノプレートのプラズモン共振は、吸収スペクトルを、スペクトルの赤色部分へとシフトさせる。金コーティングは、スペクトルを、ペクトルの青色端部に戻すことが観察された。しかしながら、コーティングプロセスの間のポリカルボキシレートアニオンの使用は、吸収スペクトルを、望まれるよりも青色にシフトさせることなく、より厚いコーティングが適用可能であるように、コーティング時の吸収の青色シフトを減少させることが見出された。
【0049】
ナノプレートは、それらの大きさおよび吸収スペクトルによって特徴づけることができる。直径は、ナノプレートの中心を通る平均の線分長さとして、構造の平面中で測定することができる。一般に、ナノプレートは、200nm以下、さらなる実施形態において、約170nm以下、追加的な実施形態において、約20nm~約150nm、そして他の実施形態において、約25nm~約120nmの平均直径を有することができる。吸収スペクトルは、いくつかの様式で特徴づけることができる。特に重要な銀ナノプレートは、一般に、約500nm~約725nm、そしてさらなる実施形態において、約520nm~約700nmの波長を有するスペクトルの可視部分において電磁気吸収ピークを有する。1に設定された可視吸収ピークに対して標準化された吸収スペクトルに値を参照することによって、600nmにおける相対的吸収を考慮することができる。いくつかの実施形態において、600nmにおける標準化された吸収は、少なくとも約0.6、さらなる実施形態において、少なくとも約0.65、そして追加的な実施形態において、少なくとも約0.7であることが可能である。当業者は、上記の明示的な範囲内のナノプレートの径および吸収特性の追加的範囲が考えられ、そして本開示の範囲内であることを認識するであろう。
【0050】
上記のとおり、銀ナノプレートは、ナノ粒子などの他の銀材料への再構成に関して不安定となる可能性がある。本明細書に記載された合成方法を使用することによって、比較的安定したナノプレートを形成することができる。貴金属コーティングを含まない、生成物ナノプレートは、少なくとも約2週間、さらなる実施形態において、少なくとも約3週間、そして追加的な実施形態において、少なくとも約4週間以上、室温および周囲雰囲気下での暗室貯蔵下、ポリマーコーティングまたはセラミックコーティングなしで、分散体中で安定であることが可能である。貴金属コーティングの適用は、実施例において実証されるように、気温変化を含む、広範囲の条件に対して、銀ナノプレートを非常に安定化させる。
【0051】
透明コーティングおよびフィルム
本明細書に記載されるように、銀ナノプレート装てんポリマーによる透明コーティングは、一般に、所望の構造中に組み込むために、透明基板上にコーティングされることができる。一般構造が記載され、そして透明伝導性フィルムの特定の用途は、以下のセクションにおいて見出される。一般に、透明充てんコーティングのための前駆体溶液は、適切なコーティング方法を使用して、透明基板上に析出され、透明構造を形成することができる。いくつかの実施形態において、透明基板は、発光デバイスまたは受光デバイスなどの最終デバイス、あるいは代わりに、または追加的に、集積光学部品への組み込みのためのフィルムであることが可能である。このセクションの議論は、単純な受動透明基板に焦点を合わせており、そして他の構造は、次のセクションで論議される。
【0052】
一般に、いずれの妥当な透明基板も適切となることが可能である。したがって、適切な基板は、例えば、シリケートガラスなどの無機ガラス、透明ポリマーフィルム、無機結晶などから形成することができる。いくつかの実施形態において、基板はポリマーフィルムである。基板のための適切なポリマーとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアクリレート、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、フルオロポリマー、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン、ポリシロキサン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリノルボルネン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー、環式オレフィンポリマー、環式オレフィンコポリマー、ポリカーボネート、そのコポリマーまたはそのブレンドなどが含まれる。いくつかの実施形態のためのポリマーフィルムは、約5ミクロン~約5mm、さらなる実施形態において、約10ミクロン~約2mm、そして追加的な実施形態において、約15ミクロン~約1mmの厚さを有することができる。当業者は、上記の明示的な範囲内の厚さの追加的範囲が考えられ、そして本開示の範囲内であることを認識するであろう。基質は、組成および/または他の特性によって区別される複数の層を含んでなることができる。いくつかの市販の透明シートは、硬質研摩抵抗コーティングなどのコーティングを含んでなることができる。
【0053】
例えば、銀ナノプレート充てん剤を有する透明コーティングは、一般に、約100ミクロン以下、さらなる実施形態において、約15ナノメートル(nm)以下~約50ミクロン、そして追加的な実施形態において、約50nm~約20ミクロンの厚さを有することができる。透明伝導性層上のコーティング特性は、以下に記載される。透明な色相調整コーティングは、約0.001重量パーセント(重量%)~約10重量%の銀ナノプレート、さらなる実施形態において、約0.005重量%~約6重量%、他の実施形態において、約0.01重量%~約5重量%、そして追加的な実施形態において、約0.02重量%~約2.5重量%の銀ナノプレートを含んでなることができる。透明コーティングは、さらに、ポリマー結合剤、任意選択の特性調節剤、例えば、透明伝導性フィルムのための架橋剤、湿潤剤、粘度調節剤および/または安定剤、ならびに任意選択的に金属伝導性薄層を含んでなることができる。当業者は、上記の明示的な範囲内の装てんポリマー中の厚さおよびナノプレート濃度の追加的範囲が考えられ、そして本開示の範囲内であることを認識するであろう。
【0054】
所与の色の寄与のための所望の透明度を維持することができるように、銀ナノプレートのナノスケール特性は、ポリマーマトリクスを通しての良好な分布を提供することができる。一般に、本明細書で使用される場合、ナノスケールとは、粒子の少なくとも1つの寸法の平均(寸法カットオフ)が、約100nm以下、さらなる実施形態において、約75nm以下、そして追加的な実施形態において、約50nm以下であることを意味する。したがって、適切なナノプレートは、寸法カットオフ以下の平均厚さ、および平均厚さより少なくとも10倍大きく、ほぼ粒子の主軸に沿う他の2つの平均寸法を有する。出願人は、理論によって制限されることを望まないが、金属ナノプレートは、仮定された表面プラズモン共振を通しての径に基づいて調律された色の寄与を提供することができる。銀ナノプレートは、ポリビニルピロリドンコーティングまたは酸化ケイ素(シリカ)コーティングによって商業的に得ることができる。以下の実施例のように、本明細書に記載される技術を使用して、合成された金がコーティングされた銀ナノ粒子に関するデータが提供される。金および他の貴金属の不活性のために、貴金属がコーティングされた銀ナノプレートは、腐食および他の環境からの攻撃に関して安定となることができる。
【0055】
透明装てんコーティングは、適切なコーティング方法を使用して、前駆体溶液をコーティングすることによって形成することができる。銀ナノプレートは、適切な適合性を有するコーティングを析出させるために選択された適切な溶媒中に組み込むことができる。適切な溶媒としては、一般に、例えば、水、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、例えば、グリコールエーテル、芳香族化合物、アルカンなど、およびその混合物が含まれる。特定の溶媒としては、例えば、水、エタノール、イソプロプルアルコール、イソブチルアルコール、3級ブチルアルコール、メチルエチルケトン、グリコールエーテル、メチルイソブチルケトン、トルエン、ヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、PGMEA(2-メトキシ-1-メチルエチルアセテート)、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、ギ酸、炭酸ジメチルまたはその混合物が含まれる。
【0056】
一般に、コーティングのためのポリマー、一般に架橋性ポリマーは、市販のコーティング組成物として供給されるか、あるいはナノスケール着色剤および/または他の添加剤の添加のために、選択されたポリマー組成物によって配合することができる。通常の規約に続いて、結合剤に関して、ポリマーという用語は、追加の官能性を導入するために誘導化されることが可能であるオリゴマーを意味する。架橋剤、ならびに他の結合剤前駆体成分は、多官能性であることが可能であり、例えば、適切な架橋条件においてより高度な架橋ポリマー生成物を形成するために、3以上の官能基があってよく、これは、特定の構造次第で、官能化モノマーまたは官能化オリゴマーと考えられてよい。コーティングのための適切なポリマーは、例えば、放射線硬化性ポリマーおよび/または熱硬化性ポリマーを含むことができる。放射線硬化性ポリマーおよび/または熱硬化性ポリマーの適切な分類としては、例えば、ポリシロキサン、ポリシルセスキオキサン、ポリウレタン、アクリル樹脂、アクリルコポリマー、セルロースエーテルおよびエステル、ニトロセルロース、他の構造的ポリサッカリド、ポリエーテル、ポリエステル、ポリスチレン、ポリイミド、フルオロポリマー、スチレン-アクリレートコポリマー、スチレン-ブタジエンコポリマー、アクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマー、ポリスルフィド、エポキシ含有ポリマー、そのコポリマーおよびその混合物が含まれる。適切な市販のコーティング組成物としては、例えば、Hybrid Plastics,Inc.(Mississippi,USA)からのPOSS(登録商標)Coatings、California Hardcoating Company(CA,USA)、デクセリアルズ株式会社(Dexerials Corporation)(日本)からのシリカ充てんシロキサンコーティング、SDC Technologies,Inc.(CA,USA)からのCrystalCoat UV硬化性コーティングからのコーティング溶液が含まれる。いくつかの望ましい特性を有するハードコーティングは、参照によって本明細書に組み込まれる、Guらへの“Transparent Polymer Hardcoats and Corresponding Transparent Films”と題された同時係属の米国特許出願公開第14/741,119号明細書に記載される。いくつかの実施形態において、架橋性結合剤前駆体組成物は、モノマーに加えて、オリゴマーまたは低分子量ポリマーの有無にかかわらず、配合物中に非揮発性の比較的高分子量のモノマーを含んでなることができる。集合的に、モノマー、オリゴマーまたは低分子量ポリマーであることが可能である非揮発性の重合性化合物は、非揮発性ポリマー結合剤前駆体化合物と呼ぶことができる。
【0057】
ポリマー濃度、および対応して、他の非揮発性薬剤の濃度は、選択されたコーティングプロセスのための適切な粘度などの、コーティング溶液の所望のレオロジーを達成するよう選択することができる。揮発性溶媒を区別する全非揮発性濃度を調整するために、溶媒を添加するか、または除去することが可能である。非揮発性物質の相対的な量は、最終コーティング組成物の組成を調整するように選択することができ、そして固体の全量は、乾燥コーティングの所望の厚さを達成するように調整されることができる。一般に、コーティング溶液は、約0.1重量%~約80重量%、さらなる実施形態において、約0.5重量%~約60重量%、そして追加的な実施形態において、約0.75重量%~約55重量%の非揮発性成分の濃度を有することができる。当業者は、上記の特定の範囲内のポリマー濃度の追加的範囲が考えられ、そして本開示の範囲内であることを認識するであろう。
【0058】
銀ナノプレートは、コーティング層を形成するために、コーティング溶液に組み込むことができる。コーティング前駆体溶液は、約0.0001重量%~約2重量%、さらなる実施形態において、約0.00025重量%~約0.2重量%、そして追加的な実施形態において、約0.0005重量%~約0.02重量%の銀ナノプレートを含むことができる。当業者は、上記の明示的な範囲内のコーティング溶液中の銀ナノプレートの追加的範囲が考えられ、そして本開示の範囲内であることを認識するであろう。所望の、かつ適切な組成物が以下に記載されるように、架橋剤、湿潤剤、粘度調節剤、分散助剤、安定剤などの追加の添加剤を添加することができる。
【0059】
いくつかの実施形態において、ポリマーナノプレートを有する透明コーティングは、銀ナノプレートを有さない対応するコーティングと比較して、約5パーセンテージポイント以下、さらなる実施形態において、約3パーセンテージポイント以下、そして追加的な実施形態において、約1.5パーセンテージポイント以下で、可視光の全透過の減少を引き起こすことが可能である。同じく、銀ナノプレートを有する透明コーティングは、いくつかの実施形態において、対応する未装てんコーティングと比較して、約1.5パーセンテージポイント以下、さらなる実施形態において、約1パーセンテージポイント以下、そして追加的な実施形態において、約0.6パーセンテージポイント以下で、曇りの増加を引き起こすことが可能である。当業者は、上記の明示的な範囲内の装てんポリマーコーティングによる光学特性の変性の追加的範囲が考えられ、そして本開示の範囲内であることを認識するであろう。対応する未装てんコーティングは、銀ナノプレートが不在である以外、成分の同一溶媒中濃度を有し、かつコーティングの最終厚さが、対応するコーティングとわずかに異なり得るように、同一様式で処理される。
【0060】
コーティング前駆体溶液の析出のため、ディップコーティング、スプレーコーティング、ナイフエッジコーティング、バーコーティング、メイヤー(Meyer)-ロッドコーティング、スロットダイコーティング、グラビア印刷、インクジェット印刷、スクリーン印刷、スピンコーティングなどのいずれかの妥当な析出方法も使用可能である。析出方法は、析出される液体の量に関し、そして溶液の濃度は、表面上の生成物コーティングの所望の厚さを提供するように調整することができる。分散によるコーティングの形成後、コーティングを乾燥させて液体を除去し、そして適切に架橋することができる。
【0061】
透明伝導性フィルム
透明電気伝導性構造またはフィルムは、一般に、光学特性に有意に悪影響を及ぼさない電気伝導性を提供する金属伝導性薄層と、機械的支持ならびに伝導性要素の保護を提供する種々の追加的な層とを含んでなることができる。ポリマーオーバーコートを、金属伝導性薄層上に配置することができる。本明細書に記載されるナノスケール着色剤を、オーバーコート層、アンダーコート層および/または直接的に金属伝導性薄層中に配置することができる。追加的な実施形態において、電気伝導性層は、フィルムとして、または粒子として、伝導性金属酸化物を含んでなることができる。ナノスケール着色剤は、一般に、観察される白色度を改善する、透明フィルムのb値を低下させるか、またはフィルムに望ましい色相を提供するように選択することができる。
【0062】
透明電気伝導性要素、例えば、フィルムは、いくつかの実施形態において、金属伝導性薄層を含んでなることができる。伝導性層は、光学透明度の望ましい量を提供するために一般に薄く、したがって、金属の被覆度は、伝導性要素の層中の非常に有意なギャップを有する。例えば、透明電気伝導性フィルムは、層に沿って析出された金属ナノワイヤーを含んでなることができ、そこでは、適切な伝導経路を提供するために十分な接触が、電子パーコレーションのために提供されることが可能である。他の実施形態において、透明電気伝導性フィルムは、所望の電気および光学特性を示すことが見出された、溶融金属ナノ構造化ネットワークを含んでなることができる。一般に、ナノワイヤーは、高い電気伝導率のために望ましくなる可能性がある、銀、金、インジウム、スズ、鉄、コバルト、プラチナ、パラジウム、ニッケル、コバルト、チタン、銅およびその合金などの広範囲の金属から形成可能である。市販の金属ナノワイヤーは、Sigma-Aldrich(Missouri,USA)、Cangzhou Nano-Channel Material Co.,Ltd.(China)、Blue Nano(North Carolina,USA)、EMFUTUR(Spain)、Seashell Technologies(California,USA)、C3Nano-Aiden(Korea)、nanoComposix(USA)、Nanopyxis(Korea)、K&B(Korea)、ACS Materials(China)、KeChuang Advanced Materials(China)およびNanotrons(USA)から入手可能である。代わりに、銀ナノワイヤーは、種々の周知の合成ルートまたはその変形を使用して合成可能でもある。
【0063】
適切な実施形態のために、金属伝導性薄層は、基板の構造中に1層以上の層を有することが可能である基板上に形成されることができる。基板は、一般に、自立フィルムまたはシート構造として認識されることができる。アンダーコートとして記載される薄い溶液処理層は、基板フィルムの上面に沿って、そして金属伝導性薄層のすぐ下に、任意選択的に配置することができる。また、金属伝導性薄層は、基板の反対側の金属伝導性薄層の側面上にいくらかの保護を提供する1層以上の追加の層でコーティングされることができる。一般に、電気伝導性構造は、最終生成物においていずれかの配向で、すなわち、基板が外側に向いている状態で、または基板が、電気伝導性構造を支持する生成物の表面に対向している状態で配置することが可能である。いくつかの実施形態において、複数のコーティング、例えば、アンダーコート層および/またはオーバーコート層が適用されることが可能であり、そしてそれぞれの層が、選択されたナノスケール着色剤を有していても、または有していなくてもよい。
【0064】
図1を参照して、全ての実施形態が全ての層を含むわけではないが、代表的な透明伝導性フィルム100は、基板102、アンダーコート層104、金属伝導性薄層106、オーバーコート層108、光学的に透明な接着剤層110および保護表面層112を含んでなる。透明伝導性フィルムは、一般に、金属伝導性薄層、および金属伝導性薄層のそれぞれの側面上に少なくとも1層を含んでなる。透明伝導性フィルムの全厚さは、一般に、10ミクロン~約3ミリメートル(mm)、さらなる実施形態において、約15ミクロン~約2.5mm、そして他の実施形態において、約25ミクロン~約1.5mmの厚さを有することができる。当業者は、上記の明示的な範囲内の厚さの追加的範囲が考えられ、そして本開示の範囲内であることを認識するであろう。いくつかの実施形態において、製造されたままのフィルムの長さおよび幅は、さらなる処理のために、フィルムが生成物中に直接導入されることができるように、特定の用途に適切であるように選択することができる。加えて、または別の実施形態において、フィルムの幅は、特定の用途のために選択することができ、他方、フィルムの長さは、フィルムが使用のために望ましい長さに切断可能であることを予想して、長くなることが可能である。例えば、フィルムは、ロングシートまたはロールであることが可能である。同様に、いくつかの実施形態において、フィルムは、ロール上、または別の大型標準フォーマットにあることが可能であり、そしてフィルムの要素は、使用のために望ましい長さおよび幅に切断することができる。
【0065】
基板102は、一般に、適切なポリマーまたはポリマーから形成される耐久性支持層を含んでなる。いくつかの実施形態において、基板は、約10ミクロン~約1.5mm、さらなる実施形態において、約15ミクロン~約1.25mm、そして追加的な実施形態において、約25ミクロン~約1mmの厚さを有する。当業者は、上記の明示的な範囲内の基板の厚さの追加的範囲が考えられ、そして本開示の範囲内であることを認識するであろう。非常に良好な透明度、低い曇りおよび良好な保護能力を有する適切な光学的に透明なポリマーを基板のために使用することができる。適切なポリマーとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアクリレート、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、フルオロポリマー、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン、ポリシロキサン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリノルボルネン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー、環式オレフィンポリマー、環式オレフィンコポリマー、ポリカーボネート、そのコポリマーまたはそのブレンドなどが含まれる。適切な市販のポリカーボネート基板としては、例えば、Bayer Material Scienceから商業的に入手可能であるMAKROFOL SR243 1-1 CG;TAP Plasticsから商業的に入手可能であるTAP(登録商標)Plastic;およびSABIC Innovative Plasticsから商業的に入手可能であるLEXANTM 8010CDEが含まれる。保護表面層112は、独立して、上記のこのパラグラフで記載される基板と同一の厚さ範囲および組成範囲を包含する厚さおよび組成を有することができる。
【0066】
包含のために独立して選択可能な任意選択のアンダーコート層104および/または任意選択のオーバーコート層108は、それぞれ、金属伝導性薄層106の下または上に配置することができる。任意選択のコーティング104、108は、硬化性ポリマー、例えば、熱硬化性または放射線硬化性ポリマーを含んでなる。コーティング104、108のために適切なポリマーは、金属ナノワイヤーインクでの包含のための結合剤として以下に記載され、そしてポリマー、対応する架橋剤および添加剤のリストは、本明細書に明示された議論を繰り返すことなく、任意選択のコーティング104、108と等しく適用される。コーティング104、108は、約25nm~約2ミクロン、さらなる実施形態において、約40nm~約1.5ミクロン、そして追加的な実施形態において、約50nm~約1ミクロンの厚さを有することができる。当業者は、上記の明示的な範囲内のオーバーコート厚さの追加的範囲が考えられ、そして本開示の範囲内であることを認識するであろう。一般に、オーバーコート層108の厚さは、金属伝導性薄層106に対して電気的接続が形成可能であるように、オーバーコート層108を通して電気伝導を可能にするが、いくつかの実施形態において、オーバーコートは、必ずしも全てではないが、いくつかの副層を通して電気伝導率が提供される副層を含んでなることができる。
【0067】
任意選択の光学的に透明な接着剤層110は、約10ミクロン~約300ミクロン、さらなる実施形態において、約15ミクロン~約250ミクロン、そして他の実施形態において、約20ミクロン~約200ミクロンの厚さを有することができる。当業者は、上記の明示的な範囲内の光学的に透明な接着剤層の厚さの追加的範囲が考えられ、そして本開示の範囲内であることを認識するであろう。適切な光学的に透明な接着剤は、コンタクト型接着剤であることが可能である。光学的に透明な接着剤としては、例えば、コーティング性組成物および接着テープが含まれる。UV硬化性液体光学的透明接着剤は、アクリルまたはポリシロキサンの化学的性質に基づいて利用可能である。適切な接着テープは、例えば、Lintec Corporation(MOシリーズ);Saint Gobain Performance Plastics(DF713シリーズ);Nitto Americas(Nitto Denko)(LUCIACS CS9621TおよびLUCIAS CS9622T);DIC Corporation(DAITAC LTシリーズ OCA、DAITAC WSシリーズOCAおよびDAITAC ZBシリーズ);PANAC Plastic Film Company(PANACLEANシリーズ);Minnesota Mining and Manufacturing(3M,MinnesotaUSA-製品番号8146、8171、8172、8173および類似製品)ならびにAdhesive Research(例えば、製品8932)から商業的に入手可能である。
【0068】
金属伝導性薄層106のための基板上に送達されるナノワイヤーの量は、透明性および電気伝導率の望ましい量を達成するための因子のバランスを含むことができる。ナノワイヤーネットワークの厚さは、原則として、走査型電子顕微鏡検査法を使用して評価することができるが、ネットワークは、光学透明度を提供するために比較的薄い可能性があり、このことによって、測定が複雑になる可能性がある。一般に、金属伝導性薄構造、例えば、溶融金属ナノワイヤーネットワークは、約5ミクロン以下、さらなる実施形態において、約2ミクロン以下、そして他の実施形態において、約10nm~約500nmの平均厚さを有するであろう。しかしながら、金属伝導性薄構造は、一般に、サブミクロン規模の有意な表面組織を有する比較的開放した構造である。ナノワイヤーの装てんレベルは、容易に評価可能であるネットワークの有用なパラメータを提供することができ、そして装てん値は、厚さに対する別のパラメータを提供する。したがって、本明細書で使用される場合、基板上へのナノワイヤーの装てんレベルは、一般に、1平方メートルの基板あたりのナノワイヤーのミリグラムとして示される。一般に、金属伝導性ネットワークは、溶融しているか、していないかにかかわらず、約0.1ミリグラム(mg)/m~約300mg/m、さらなる実施形態において、約0.5mg/m~約200mg/m、そして他の実施形態において、約1mg/m~約150mg/mの装てんを有することができる。透明伝導性層は、約0.05重量%~約70重量%、他の実施形態において、約0.075重量%~約60重量%、そしてさらなる実施形態において、約0.1重量%~約50重量%の金を含んでなることができる。当業者は、上記の明示的な範囲内の厚さ、金属装てんおよび濃度の追加的範囲が考えられ、そして本開示の範囲内であることを認識するであろう。金属伝導性薄層がパターン化される場合、厚さおよび装てんの議論は、金属がパターン化プロセスによって排除されないか、または有意に減少しない領域にのみ適用される。金属伝導性薄層は、ポリマー結合剤および他の加工助剤などに加えて、銀ナノプレートを含んでなることができる。透明ポリマー層中での装てんのために上記された銀ナノプレートの濃度範囲は、一般に、金属伝導性薄層にも当てはまる。別の様式で表すと、金属伝導性薄要素を形成するために使用される金属ナノワイヤー対銀ナノプレートの重量比は、約250:1~約5:1、そしてさらなる実施形態において、約100:1~約10:1であることが可能である。適切な実施形態において、金属伝導性薄層に組み込まれた銀ナノプレートが、溶融金属ナノ構造化ネットワークへと溶融または部分的に溶融していても、していなくてもよいが、明示的に記載されない限り、溶融金属ナノ構造化ネットワークを有する層中の銀ナノプレート、一般に、銀ナノプレートがネットワーク中に溶融していても、していなくてもよい構造を意味する。金属伝導性薄層での金属ナノプレートの導入によって、電気伝導率または色予想の有意な変化は観察されない。対応して、ナノスケール着色剤としての銀ナノプレートは、溶融金属ナノ構造化ネットワークに組み込まれた金属ナノワイヤーを意味しない。
【0069】
一般に、透明伝導性フィルム100の特性の成分に関する上記の全厚さの範囲内で、層102、104、106、108、110、112は、例えば、他の副層と異なる組成を有する副層に細分されることができる。例えば、オーバーコート層は、異なる特性強化成分を有する副層を含んでなることができる。したがって、より複雑な層の積層を形成することができる。副層は、特定の層の範囲内の他の副層と同様に処理されても、されなくてもよく、例えば、1つの副層をラミネートすることができるが、別の副層をコーティングまたは硬化することができる。例えば、コーティングにナノスケール着色剤を補充することができ、そしてこの層の上のさらなる層には、保護的硬度を提供するナノダイヤモンドなどの特性強化ナノ粒子を補充することができる。ナノダイヤモンドナノなどの特性強化粒子を有するポリマーコーティングは、参照によって本明細書に組み込まれる、Virkarらへの“Property Enhancing Fillers for Transparent Coatings and Transparent Conductive Films”と題された同時係属の特許出願公開第2016/0096967号明細書に記載されている。
【0070】
いくつかの用途に関して、タッチセンサーの別個の領域などの望ましい機能性を導入するために、フィルムの電気伝導性部分をパターン化することが望ましい。パターン化は、他の位置が有効に金属を含まないように選択された位置において金属ナノワイヤーを印刷することによって、あるいはナノワイヤーが特定の実施形態において溶融する場合、ナノワイヤーの溶融の前および/または後に選択され位置から金属をエッチングまたは他の様式で除去して、基板表面上の金属装てんを変化させることによって実行可能である。適切な実施形態に関して、電気伝導率におけるハイコントラストは、パターン化が金属ナノワイヤーを選択的に溶融することによって実行可能であるように、本質的に同等の金属装てんによる層の溶融および非溶融部分の間で達成可能であることを発見した。溶融に基づくパターン化の能力は、例えば、溶融溶液または蒸気の選択的な送達によって、選択的にナノワイヤーを溶融することに基づく、有意な追加的なパターン化の選択肢を提供する。金属ナノワイヤーの選択的溶融に基づくパターン化は、上記の’833出願および’380出願に記載されている。
【0071】
概要例として、溶融金属ナノ構造化ネットワークは、図2に示されるように、電気抵抗領域128、130、132、134で包囲された複数の電気伝導性経路122、124および126を有する基板表面120に沿って伝導性パターンを形成することができる。図2に示されるように、溶融領域は、電気伝導性経路122、124および126に対応する3つの別個の電気伝導性領域に対応する。3つの、独立して接続された伝導性領域が図2で例示されるが、所望であれば、2つ、4つ、または4より多い独立した伝導性経路または領域を有するパターンを形成することができることは理解される。多くの商業的利用のために、非常に複雑なパターンが、多数の要素によって形成可能である。特に、本明細書に記載されるフィルムのパターン化のために利用可能なパターン化技術によって、非常に微細なパターンを高解像度特徴で形成することができる。同様に、特定の伝導性領域の形状は、所望であれば、選択することができる。
【0072】
透明伝導性フィルムは、一般に、フィルムの機能的特徴を形成するために析出される金属伝導性薄要素の周囲に構築される。種々の層が、コーティングされるか、ラミネートされるか、または適切なフィルム処理方法を使用して構造に添加される。金属伝導性薄層の析出は、溶融金属ナノ構造化層に関して、以下にさらに記載されるが、未溶融金属ナノワイヤーコーティングは、溶融成分が不在であることを除き、同様に析出することができる。
【0073】
金属伝導性薄層は、一般に、基板に溶液コーティングされ、これは、金属伝導性薄層に隣接するアンダーコートを次いで形成する、基板の上部のコーティング層を有していても、または有していなくてもよい。オーバーコートは、いくつかの実施形態において、金属伝導性薄層上に溶液コーティングされることができる。UV光、熱または他の放射線の適用による架橋は、コーティング層および/または金属伝導性薄層中のポリマー結合剤を架橋するために実行可能であり、これは、1ステップまたは複数ステップで実行可能である。
【0074】
金属伝導性薄層
金属伝導性薄層は、一般に、金属ナノワイヤーから形成される。十分に装てんおよび選択されたナノワイヤー特性によって、対応する適切な光学特性とともに、妥当な電気伝導率をナノワイヤーで達成することができる。本明細書に記載される安定化フィルム構造は、種々の金属伝導性薄構造を有するフィルムのための所望の性能をもたらすことができると予想される。しかしながら、特に望マしい特性は、溶融金属ナノ構造化ネットワークで達成された。
【0075】
上記で要約されたように、金属ナノワイヤー溶融を達成するために、いくつかの実際的な方法が開発された。金属装てんは、良好な光学特性とともに電気伝導率の所望のレベルを達成するために、釣り合いを取ることができる。一般に、金属ナノワイヤー処理は、第1のインクが金属ナノワイヤーを含んでなり、かつ第2のインクが溶融組成物を含んでなる2種のインクの析出によって、または金属ナノワイヤー分散体中に溶融要素を組み合わせるインクの析出によって達成することができる。インクは、さらに、追加の加工助剤、結合剤などを含んでいても、または含んでなくてもよい。特定のインクシステムに適合するように、適切なパターン化方法を選択することができる。
【0076】
一般に、金属ナノ構造化ネットワークの形成のための1種以上の溶液またはインクは、集合的に、良好に分散した金属ナノワイヤー、溶融剤および任意選択の追加成分、例えば、ポリマー結合剤、架橋剤、湿潤剤、例えば、界面活性剤、増粘剤、分散剤、他の任意選択の添加剤またはその組合せを含んでなることができる。金属ナノワイヤーインクおよび/または溶融溶液のための溶媒は、ナノワイヤーインクと別個である場合、水性溶媒、有機溶媒またはその混合物を含んでなることができる。特に、適切な溶媒としては、例えば、水、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、例えば、グリコールエーテル、芳香族化合物、アルカンなどおよびその混合物が含まれる。特定の溶媒としては、例えば、水、エタノール、イソプロプルアルコール、イソブチルアルコール、3級ブチルアルコール、メチルエチルケトン、グリコールエーテル、メチルイソブチルケトン、トルエン、ヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、PGMEA(2-メトキシ-1-メチルエチルアセテート)、炭酸ジメチルまたはその混合物が含まれる。溶媒は、金属ナノワイヤーの良好な分散を形成する能力に基づいて選択されるべきであるが、溶媒は、添加剤が溶媒中で溶解性であるように、他の選択された添加剤とも適合性があるべきである。溶融剤が、金属ナノワイヤーの単一溶液に含まれる実施形態に関して、溶媒またはその成分は、アルコールなどの溶融溶液の重要な成分であっても、またはそうでなくてもよく、かつ所望であれば、それに応じて選択されることができる。
【0077】
1インクまたは2インク構成のいずれかにおける金属ナノワイヤーインクは、約0.01~約1重量%の金属ナノワイヤー、さらなる実施形態において、約0.02~約0.75重量%の金属ナノワイヤー、そして追加的な実施形態において、約0.04~約0.5重量%の金属ナノワイヤーを含むことができる。当業者は、上記の明示的な範囲内の金属ナノワイヤー濃度の追加的範囲が考えられ、そして本開示の範囲内であることを認識するであろう。金属ナノワイヤーの濃度は、基板表面上の金属装てん、ならびにインクの物理的特性に影響を与える。
【0078】
一般に、ナノワイヤーは、高い電気伝導率のために望ましくなる可能性がある、銀、金、インジウム、スズ、鉄、コバルト、プラチナ、パラジウム、ニッケル、コバルト、チタン、銅およびその合金などの広範囲の金属から形成可能である。市販の金属ナノワイヤーは、Sigma-Aldrich(Missouri,USA)、Cangzhou Nano-Channel Material Co.,Ltd.(China)、Blue Nano(North Carolina,USA)、EMFUTUR(Spain)、Seashell Technologies(California,USA)、Aiden(Korea)、nanoComposix(USA)、Nanopyxis(Korea)、K&B(Korea)、ACS Materials(China)、KeChuang Advanced Materials(China)およびNanotrons(USA)から入手可能である。銀は、特に優れた電気伝導率を提供し、そして市販の銀ナノワイヤーが入手可能である。代わりに、銀ナノワイヤーは、種々の周知の合成ルートまたはその変形を使用して合成可能でもある。良好な透明度および低い曇りを有するために、ナノワイヤーが小さい直径の範囲を有することが望ましい。特に、金属ナノワイヤーが、約250nm以下、さらなる実施形態において、150nm以下、そして他の実施形態において、約10nm~約120nmの平均直径を有することが望ましい。平均長さに関しては、より長い長さを有するナノワイヤーは、ネットワーク中で、より良好な電気伝導率を提供することが予想される。一般に、金属ナノワイヤーは、少なくとも1ミクロン、さらなる実施形態において、少なくとも2.5ミクロン、そして他の実施形態において、約5ミクロン~約100ミクロンの平均長さを有することができるが、将来開発される改善された合成技術によって、より長いナノワイヤーが可能になり得る。アスペクト比は、平均直径で割った平均長さの比として明示されることができ、そしていくつかの実施形態において、ナノワイヤーは、少なくとも約25、さらなる実施形態において、約50~約10,000、そして追加的な実施形態において、約100~約2000のアスペクト比を有することができる。当業者は、上記の明示的な範囲内のナノワイヤー寸法の追加的範囲が考えられ、そして本開示の範囲内であることを認識するであろう。
【0079】
ポリマー結合剤および溶媒は、一般に、ポリマー結合剤が溶媒中で可溶性または分散可能であるように、一貫して選択される。適切な実施形態において、金属ナノワイヤーインクは、一般に、約0.02~約5重量パーセントの結合剤、さらなる実施形態において、約0.05~約4重量パーセントの結合剤、そして追加的な実施形態において、約0.1~約2.5重量パーセントの結合剤を含んでなる。いくつかの実施形態において、ポリマー結合剤は、放射線架橋性有機ポリマーおよび/または熱硬化性有機結合剤などの架橋性有機ポリマーを含んでなる。結合剤の架橋を促進するために、金属ナノワイヤーインクは、いくつかの実施形態において、約0.0005重量%~約1重量%、さらなる実施形態において、約0.002重量%~約0.5重量%、そして追加的な実施形態において、約0.005重量%~約0.25重量%の架橋剤を含んでなることができる。ナノワイヤーインクは、任意選択的に、レオロジー変性剤またはその組合せを含んでなることができる。いくつかの実施形態において、インクは、表面張力を低下させるための湿潤剤または界面活性剤を含んでなることができ、そして湿潤剤は、コーティング特性を改善するために有用となることが可能である。湿潤剤は、一般に、溶媒中で溶解性である。いくつかの実施形態において、ナノワイヤーインクは、約0.01重量パーセント~約1重量パーセント、さらなる実施形態において、約0.02~約0.75重量パーセント、そして他の実施形態において、約0.03~約0.6の重量パーセントの湿潤剤を含んでなることができる。増粘剤は、任意選択的に、分散体を安定させて、そして沈降を減少させるか、または排除するレオロジー変性剤として使用することができる。いくつかの実施形態において、ナノワイヤーインクは、任意選択的に、約0.05~約5重量パーセント、さらなる実施形態において、約0.075~約4重量パーセント、そして他の実施形態において、約0.1~約3重量パーセントの増粘剤を含んでなることができる。当業者は、上記の明示的な範囲内の結合剤、湿潤剤および増粘剤濃度の追加的範囲が考えられ、そして本開示の範囲内であることを認識するであろう。
【0080】
ポリマー結合剤の範囲は、金属ナノワイヤー用の溶媒中に溶解/分散するために適切であることが可能であり、そして適切な結合剤としては、コーティング用途のために開発されたポリマーが含まれる。ハードコートポリマー、例えば、放射線硬化性コーティングは、例えば、水または非水溶媒中での溶解のために選択可能な適用の範囲のためのハードコート材料として、商業的に入手可能である。放射線硬化性ポリマーおよび/または熱硬化性ポリマーの適切な分類としては、例えば、ポリウレタン、アクリル樹脂、アクリルコポリマー、セルロースエーテルおよびエステル、他の不水溶性構造ポリサッカリド、ポリエーテル、ポリエステル、エポキシ含有ポリマーおよびその混合物が含まれる。市販のポリマー結合剤の例としては、例えば、NEOCRYL(登録商標)ブランドアクリル樹脂(DMS NeoResins)、JONCRYL(登録商標)ブランドアクリルコポリマー(BASF Resins)、ELVACITE(登録商標)ブランドアクリル樹脂(Lucite International)、SANCURE(登録商標)ブランドウレタン(Lubrizol Advanced Materials)、セルロースアセテートブチレートポリマー(Eastman(商標)ChemicalからのCABブランド)、BAYHYDROL(商標)ブランドポリウレタン分散体(Bayer Material Science)、UCECOAT(登録商標)ブランドポリウレタン分散体(Cytec Industries,Inc.)、MOWITOL(登録商標)ブランドポリビニルブチラール(Kuraray America,Inc.)、セルロースエーテル、例えば、エチルセルロースまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリサッカリドベースのポリマー、例えば、キトサンおよびペクチン、ポリ酢酸ビニルのような合成ポリマーなどが含まれる。ポリマー結合剤は、放射線への曝露時に自己架橋可能であり、かつ/またはそれらは、光開始剤または他の架橋剤によって架橋可能である。いくつかの実施形態において光開始剤は、放射線への曝露時にラジカルを形成し得、次いで、ラジカルは、ラジカル重合機構に基づいて架橋反応を誘発する。適切な光開始剤としては、例えば、IRGACURE(登録商標)ブランド(BASF)、GENOCURE(商標)ブランド(Rahn USA Corp.)およびDOUBLECURE(登録商標)ブランド(Double Bond Chemical Ind.,Co,Ltd.)などの商業的に入手可能な製品、その組合せなどが含まれる。
【0081】
湿潤剤は、金属ナノワイヤーインクのコーティング性、ならびに金属ナノワイヤー分散体の品質を改善するために使用することができる。特に、湿潤剤は、インクがコーティング後に表面上に良好に延展するように、インクの表面エネルギーを低下させることができる。湿潤剤は、界面活性剤および/または分散剤であることが可能である。界面活性剤は、表面エネルギーを低下させるように機能する材料の分類であり、そして界面活性剤は、材料の溶解性を改善することができる。界面活性剤は、一般に、その性質に寄与する、分子の親水性部分および分子の疎水性部分を有する。非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性イオン性界面活性剤などの広範囲の界面活性剤が商業的に入手可能である。いくつかの実施形態において、界面活性剤と関連する特性が問題ではない場合、非界面活性剤の湿潤剤、例えば、分散剤は、当該技術分野においても既知であり、そしてインクの浸潤能力を改善するために有効となることが可能である。適切な市販の湿潤剤としては、例えば、COATOSIL(商標)ブランドエポキシ官能化シランオリゴマー(Momentum Performance Materials)、SILWET(商標)ブランドオルガノシロキサン界面活性剤(Momentum Performance Materials)、THETAWET(商標)ブランド短鎖非イオン性フルオロ界面活性剤((ICT Industries,Inc.)、ZETASPERSE(登録商標)ブランドポリマー分散剤(Air Products Inc.)、SOLSPERSE(登録商標)ブランドポリマー分散剤(Lubrizol)、XOANONS WE-D545界面活性剤(Anhui Xoanons Chemical Co.,Ltd)、EFKA(商標)PU 4009ポリマー分散剤(BASF)、MASURF FP-815CP、MASURF FS-910(Mason Chemicals)、NOVEC(商標)FC-4430フッ化界面活性剤(3M)、その混合物などが含まれる。
【0082】
増粘剤は、金属ナノワイヤーインクからの固体の沈降を減少または排除することによって、分散体の安定性を改善するために使用することができる。増粘剤は、インクの粘度または他の流体特性を有意に変化させても、またはさせなくてもよい。適切な増粘剤は、商業的に入手可能であって、そして、例えば、変性された尿素のCRAYVALLAC(商標)ブランド、例えば、LA-100(Cray Valley Acrylics,USA)、ポリアクリルアミド、THIXOL(商標)53Lブランドアクリル増粘剤、COAPUR(商標)2025、COAPUR(商標)830W、COAPUR(商標)6050、COAPUR(商標)XS71(Coatex,Inc.)、変性された尿素のBYK(登録商標)ブランド(BYK Additives)、Acrysol DR 73、Acrysol RM-995、Acrysol RM-8W(Dow Coating Materials)、Aquaflow NHS-300、Aquaflow XL-530疎水性ポリエーテル増粘剤(Ashland Inc.)、Borchi Gel L 75 N、Borchi Gel PW25(OMG Borchers)などが含まれる。
【0083】
上記のとおり、金属伝導性薄層を析出するためのインクは、さらに、銀ナノプレートを含んでなることができる。金属伝導性薄層を形成するための溶液は、約0.0001重量%~約2.5重量%の銀ナノプレート、さらなる実施形態において、約0.0002重量%~約2重量%、そして追加的な実施形態において、約0.0005~約1.5重量%の銀ナノプレートを含んでなることができる。当業者は、上記の明示的な範囲内の銀ナノプレート濃度の追加的範囲が考えられ、そして本開示の範囲内であることを認識するであろう。
【0084】
追加の添加剤は、一般に、それぞれ、約5重量パーセント以下、さらなる実施形態において、約2重量パーセント以下、そしてさらなる実施形態において、約1重量パーセント以下の量で金属ナノワイヤーインクに添加することができる。他の添加剤としては、例えば、酸化防止剤、UV安定剤、脱泡剤または消泡剤、沈降防止剤、粘度改質剤などを含むことができる。
【0085】
上記のとおり、金属ナノワイヤーの溶融は、種々の薬剤によって達成可能である。理論によって制限されることを望まないが、溶融剤は、金属イオンを動態化すると考えられ、そして自由エネルギーは、溶融プロセスにおいて低下するように思われる。過度の金属移動または増大は、いくつかの実施形態において、光学特性の悪化を導き得、したがって、所望の結果は、一般に、短時間で、望ましい光学特性を維持しながら、望ましい電気伝導率を得るために十分な溶融を生じるように妥当に制御された様式での均衡のシフトによって達成することができる。いくつかの実施形態において、溶融プロセスの開始は、成分の濃度を増加させるための溶液の部分乾燥によって制御されることが可能であり、そして溶融プロセスのクエンチングは、例えば、金属層のすすぎ、またはさらなる仕上によって達成することができる。溶融剤は、金属ナノワイヤーと一緒に単一インク中に組み込むことができる。1インク溶液は、溶融プロセスの適切な制御を提供することができる。
【0086】
いくつかの実施形態において、ナノワイヤー薄フィルムが最初に析出されるプロセスが使用され、そして別のインクの析出の有無にかかわらず、その後の処理によって、電気伝導性の金属ナノ構造化ネットワーク中への金属ナノワイヤーの溶融が提供される。溶融プロセスは、溶融蒸気への制御された曝露および/または溶液中の溶融剤の析出によって実行可能である。金属伝導性薄層は、一般に、選択された基板表面上で形成される。析出されたままのナノワイヤーフィルムは、一般に、乾燥され、溶媒が除去される。処理は、フィルムのパターン化のために適合することが可能である。
【0087】
金属ナノワイヤーインクの析出のため、ディップコーティング、スプレーコーティング、ナイフエッジコーティング、バーコーティング、メイヤー(Meyer)-ロッドコーティング、スロットダイコーティング、グラビア印刷、スピンコーティングなどのいずれかの妥当な析出方法も使用可能である。インクは、望ましい析出方法のための添加剤によって適切に調整された、粘度などの特性を有することができる。同様に、析出方法は、析出された液体の量に関し、そしてインクの濃度は、表面上の所望の金属ナノワイヤーの装てんを提供するように調整することができる。分散によるコーティングの形成後、金属伝導性薄層を乾燥させて、液体を除去することができる。
【0088】
フィルムは、例えば、ヒートガン、オーブン、熱ランプなどによって乾燥することができるが、風紀乾燥可能であるフィルムが、いくつかの実施形態において望ましくなる可能性がある。いくつかの実施形態において、フィルムは、乾燥間に、約50℃~約150℃の温度まで加熱可能である。乾燥後、フィルムを1回以上、例えば、エタノールまたはイソプロプルアルコールなどのアルコールまたは他の溶媒または溶媒ブレンドで洗浄して、過剰量の固体を除去し、曇りを低下させることができる。パターン化は、いくつかの都合のよい様式で達成することができる。例えば、金属ナノワイヤーの印刷は、直接パターン化をもたらすことができる。さらに、または代わりに、リソグラフ技術および/またはアブレーション方法を使用して、溶融前または後に、パターンを形成するために金属ナノワイヤーの一部分を除去ることができる。上記のように、1層以上のオーバーコート層を、金属伝導性薄層上に適用することができる。
【0089】
金属伝導性薄層を被覆する光学的に透明な接着層およびより厚い保護フィルムは、伝導性層との電気的接続を提供するために適切な位置で、正孔などを有するように形成することができる。一般に、これらのポリマーシートの処理のために、種々のポリマーフィルム処理技術および装置を使用することができ、このような装置および技術は、当該技術分野において良好に開発されており、そして将来開発される処理技術および装置は、本明細書の材料に対応して適合可能である。
【0090】
色相調整フィルムの特徴
銀ナノプレートは、一般に、許容範囲内の量以上に全透明度を減少させることなく、透明フィルムの望ましい色調整を提供するように選択される。透明度減少の許容範囲内の量は、適用に特定であり得る。いくつかの実施形態において、銀ナノプレートを有するフィルムが、継続的な低い曇りを有することがさらに望ましい。特に、銀ナノプレートは、曇りに対する低い寄与を有する良好な色調整を提供することがわかった。一般に、透明フィルムは、さらに、金属伝導性薄層などの透明伝導性層を含んでなる。
【0091】
金属伝導性薄層に関して、銀ナノプレートは、CIE色スケールにおけるbの全体値を低下させるように選択され得る。高度に伝導性の金属伝導性薄層が黄色っぽい色を有することを判明することができ、そしてbを低下させることによって、フィルムのより白い外観をもたらすことができる。実施例で実証されるように、いくつかの特定の銀ナノプレートは、フィルムのb値を首尾よく低下させることが見出された。さらに、または代わりに、選択された色または色パターンは、選択された銀ナノプレートの組み込みによって導入可能である。例えば、着色パネルのパターンを導入することができる。
【0092】
いくつかの実施形態において、銀ナノプレートは、銀ナノプレートを含まない対応するフィルムと比較して、少なくとも約0.2、さらなる実施形態において、少なくとも約0.25、そして追加的な実施形態において、少なくとも約0.3のbにおける減少をもたらすことができる。また、透明フィルムのbの絶対値が、1.2以下、さらなる実施形態において、1.1以下、そして追加的な実施形態において、1.0以下であることが望ましくなる可能性がある。所望のより白色の透過性を有する実施形態に関して、銀ナノプレートを有するフィルムのaの絶対値は、約1以下、追加的な実施形態において、約0.65以下、他の実施形態において、約0.6以下、そしてさらなる実施形態において、約0.5以下であることが可能である。当業者は、上記の明示的な範囲内の光学パラメータの追加的範囲が考えられ、そして本開示の範囲内であることを認識するであろう。bおよびaの値は、標準CIE DE2000,Center International Commission on Illumination(Commission Internationale de L’Eclairage)の方程式を使用して評価することができる。参照によって本明細書に組み込まれる、Colorimetry,3rd Edition,CIE,2004を参照のこと。これらの計算は、SpectraMagic(商標)NXソフトウェアを備えたKonica Minolta Spectrophotometer CM-3700Aなどの市販の分光光度計を使用して実行することができる。
【0093】
透明伝導性フィルムの一般的な電気および光学特性は、以下のセクションで示され、そしてこれらの特性に及ぼす銀ナノプレートの影響の範囲は、以下に論じられる。透明伝導性フィルムのための透明コーティング中への組み込み、または金属伝導性薄層の形成のためのインクへの直接的な組み込みのため、装てんされたオーバーコートは、一般に、銀ナノプレートを含まない同等のフィルムと比較して、薄いオーバーコートを有する金属伝導性薄層のシート抵抗を有意に増加させることなく、そしていくつかの実施形態において、シート抵抗は、銀ナノプレートを含まない対応するフィルムと比較して、約20%以下、さらなる実施形態において、約15%以下、そして追加的な実施形態において、約10%以下増加する。bの望ましい減少を達成しながら、銀ナノプレートは、透過パーセントの単位での入射可視光に対する全透過を、銀ナノプレートを含まない対応するフィルムと比較して、いくつかの実施形態において、約3未満、さらなる実施形態において、約2未満、そしていくつかの実施形態において、約1.5未満減少させることができる。また、曇りが、フィルム中の銀ナノプレートに対して大量に増加しないことが望ましくなる可能性がある。いくつかの実施形態において、曇りは、パーセント単位で測定された曇りの値において、銀ナノプレートを含まない対応するフィルムと比較して、約0.5以下、さらなる実施形態において、約0.4以下、追加的な実施形態において、約0.3以下、他の実施形態において、約0.25以下、いくつかの実施形態において、約0.2以下、そして追加的な実施形態において、約0.15以下増加可能である。銀ナノプレートを有するいくつかの実施形態において、曇りは、実際に縮小することが観察され、したがって、現在まで試験されたナノスケール顔料は曇りを増加させるが、適切な濃度の銀ナノプレートを使用して、透過光の白色度を改善することに加えて、曇りを減少するために使用することができる。当業者は、上記の明示的な範囲内のシート抵抗増加、全透過変化および曇り変化の追加的範囲が考えられ、そして本開示の範囲内であることを認識するであろう。
【0094】
透明伝導性フィルム-電気および光学特性
金属伝導性薄層、例えば、溶融金属ナノ構造化ネットワークは、良好な光学特性を提供ながら、低い電気抵抗を提供することができる。したがって、フィルムは、透明伝導性電極などとして有用となる可能性がある。透明伝導性電極は、太陽電池の受光面に沿っての電極などの広範囲の用途のために適切となる可能性がある。ディスプレイおよび特にタッチスクリーンのために、フィルムは、フィルムによって形成された電気伝導性パターンを提供するためにパターン化されることができる。パターン化フィルムを有する基板は、一般に、パターンのそれぞれの部分において良好な光学特性を有する。
【0095】
薄フィルムの電気抵抗は、シート抵抗力として表すことができ、それは、測定プロセスに関連するパラメータによって、バルク電気抵抗値から値を区別するためにオームパースクエア(Ω/□またはオーム/sq)の単位で報告される。フィルムのシート抵抗は、一般に、4点プローブ測定または別の適切なプロセスを使用して測定される。いくつかの実施形態において、溶融金属ナノワイヤーネットワークは、約300オーム/sq以下、さらなる実施形態において、約200オーム/sq以下、追加的な実施形態において、約100オーム/sq以下、そして他の実施形態において、約60オーム/sq以下のシート抵抗を有することができる。当業者は、上記の明示的な範囲内のシート抵抗の追加的範囲が考えられ、そして本開示の範囲内であることを認識するであろう。特定の用途次第で、デバイス中で使用するためのシート抵抗の商業的明細は、追加的なコストが含まれ得る場合など、シート抵抗の値を低下させるために必ずしも関連しなくてもよく、そして現在商業的に適切な値は、例えば、異なる品質および/またはサイズのタッチスクリーンのための標的値として、270オーム/sq、対150オーム/sq、対100オーム/sq、対50オーム/sq、対40オーム/sq、対30オーム/sq以下であってよく、そしてこれらの値のそれぞれは、範囲の終点としての特定の値の間の範囲、例えば、270オーム/sq~150オーム/sq、270オーム/sq~100オーム/sq、150オーム/sq~100オーム/sqなどを定義し、そして15の特定の範囲が定義される。したがって、より低コストのフィルムは、わずかにより高いシート抵抗値と引き換えに、特定の用途に適切となり得る。一般に、シート抵抗は、ナノワイヤーの装填を増加させることによって減少することが可能であるが、増加した装てんは、他の見地からの望ましくあり得ず、そして金属装てんは、シート抵抗の低値を達成するための多くの要因の中の1つのみの要因である。
【0096】
透明伝導性フィルムとしての用途のために、溶融金属ナノワイヤーネットワークまたは他の金属伝導性薄層が、良好な光学透明度を維持することが望ましい。原則として、光学透明度は、透明度の減少を導くより高い装てん量による装てんと逆相関があるが、ネットワークの処理も、有意に透明度に影響を与えることができる。また、ポリマー結合剤および他の添加剤は、良好な光学透明度を維持するように選択することができる。光学透明度は、基板を通る透過光と比較して評価することができる。例えば、本明細書に記載された伝導性フィルムの透明度は、UV-可視分光測光器を使用して、そして伝導性フィルムおよび支持基板を通る全透過を測定することによって、測定することができる。透過率は、入射光強度(I)に対する透過光強度(I)の比率である。フィルムを通る透過率(Tfilm)は、支持基板を通しての透過率(Tsub)によって、測定された全透過度(T)を割ることによって概算することができる。(T=I/IおよびT/Tsub=(I/I)/(Isub/I)=I/Isub=Tfilm)したがって、報告された全透過は、伝導性層、オーバーコートまたは他の成分単独の透過を得るために、基板を通しての透過を取り除くために修正されることができる。一般に、可視スペクトルを横切っての良好な光学透明度を有することが望ましいが、便宜上、光透過は、光の550nmの波長において報告することができる。代わりに、またはさらに、透過は、光の400nm~700nmの波長の全透過度として報告することができ、そしてこのような結果を以下の実施例に報告する。一般に、溶融金属ナノワイヤーフィルムに関して、550nm透過率および400nm~700nmの全透過度(または便宜上、「全透過度」のみ)の測定は、定性的に異ならない。いくつかの実施形態において、溶融ネットワークによって形成されたフィルムは、少なくとも80%、さらなる実施形態において、少なくとも約85%、追加的な実施形態において、少なくとも約90%、他の実施形態において、少なくとも約94%、そしていくつかの実施形態において、約95%~約99%の全透過度(TT%)を有する。透明ポリマー基板上のフィルムの透明度は、参照によって本明細書に組み込まれる、標準ASTM D1003(“Standard Test Method for Haze and Luminous Transmittance of Transparent Plastics”)を使用して評価することができる。当業者は、上記の明示的な範囲内の透過度の追加的範囲が考えられ、そして本開示の範囲内であることを認識するであろう。基板に関して以下の実施例においてフィルムの測定された光学特性を調整する場合、フィルムは、非常に良好な透過良および曇り値を有し、これは、観察された低いシート抵抗とともに達成される。
【0097】
溶融金属ネットワークは、望ましく低いシート抵抗を有しながら、可視光の高い全透過とともに、低い曇りも有することができる。曇りは、上記で参照されたASTM D1003に基づいて視程計を使用して測定することができ、そして基板の曇り寄与は、透明伝導性フィルムの曇り値を提供するために除去することができる。いくつかの実施形態において、焼成ネットワークフィルムは、約1.2%以下、さらなる実施形態において、約1.1%以下、追加的な実施形態において、約1.0%以下、そして他の実施形態において、約0.9%~約0.2%の曇り値を有することができる。適切に選択された銀ナノワイヤーを有する実施例において記載されるように、非常に低い曇り値およびシート抵抗が同時に達成された。装てんは、なお良好なシート抵抗値を有しながら、非常に低い曇り値が可能であるように、シート抵抗および曇り値の釣り合いを保つように調整することができる。特に、少なくとも約45オーム/sqのシート抵抗値を有しながら、0.8%以下、さらなる実施形態において、約0.4%~約0.7%の曇り値を達成することができる。また、約30オーム/sq~約45オーム/sqのシート抵抗値を有しながら、0.7%~約1.2%、そしていくつかの実施形態において、約0.75%~約1.05%の曇り値を達成することもできる。これら全てのフィルムは、良好な光学透明度を維持した。当業者は、上記の明示的な範囲内の曇りの追加的範囲が考えられ、そして本開示の範囲内であることを認識するであろう。
【0098】
多層フィルムの対応する特性に関して、追加成分は、一般に、光学特性にわずかな影響を与えるよう選択され、そして種々のコーティングおよび基板は、透明要素での使用のために商業的に入手可能である。適切な光学コーティング、基板および関連材料は上記に要約される。構造材料のいくつかは、電気的に絶縁可能であり、そしてより厚い絶縁層が使用される場合、フィルムは、絶縁層を通してのギャップまたは空隙が、他の包埋された電気伝導性要素への接近および電気的接触を提供することができる位置を提供するようにパターン化されることができる。
【実施例0099】
実施例1.2ステップH添加による銀ナノプレートの高濃度合成(0.12mg/mL)
本実施例は、ナノプレートの有効な高濃度合成を実証し、そして結果は、ベースプロセスに関して、およびベース合成プロセスの変形に関して提示される。
【0100】
有効なスケールアップ反応は、同様に公開された手順(Zhang JACS、補足材料のS29ページ)の値のほぼ60倍の反応体積および約12倍(12×)の銀濃度で、シトレート界面活性剤とグリセロール安定剤を使用して最初に実証される。過酸化水素の新規2ステップ添加を利用して、このような銀ナノプレートの高濃度合成を達成する。このスケールアップ手順において、1443mLのDI(脱イオン)水を4Lのエルレンマイヤーフラスコに最初に添加した。次いで、18mLの硝酸銀水溶液(0.1M)、30mLのクエン酸三ナトリウム水溶液(75mM)、10mLのグリセロール水溶液(35mM)および過酸化水素溶液(30重量%)の第1の部分を添加し、そして混合物溶液を室温で空気中、強力に撹拌した。37.5mLの水素化ホウ素ナトリウム水溶液(0.1M)をこの混合物に迅速に注入した。コロイド溶液は、濃黄色に変化した。さらに数分以内に、コロイド溶液の色は、次第に茶褐色に変化した。次いで、別の12mLの過酸化水素溶液(30重量%)を約5分間、コロイド溶液の色が青色に変化するまで、滴下によって添加した。過酸化水素の添加の完了後、撹拌を20分間続けた。
【0101】
過酸化水素溶液の第2の部分の体積は、標的吸収ピークを有するAgNPLの形成を補助するために使用された。図3を参照して、第2の量のHの滴下による添加前および後の溶液のUV-可視吸収スペクトルが示される。銀ナノプレートの形成によって、赤色への吸収ピークの特徴的シフトが提供される。全ての過酸化水素が最初の反応フラスコ中に添加される場合、ナノプレートではなく、銀ナノ粒子のみが観察される。生成物のこの差異は、全過酸化水素が1回で添加された場合または第2の量が徐々に添加される2ステップ添加の場合の吸収スペクトルが示される図4に見ることができる。少数のナノ粒子が溶液中で分散していることが観察され得るが、ナノプレートの収率は100%に近いと考えられる。
【0102】
実施例2.1ステップH添加による銀ナノ構造の高濃度合成(0.12mg/mL)
実施例1の2ステップH添加方法との比較として、差異を示すために、1ステップH添加方法が実行された。水素化ホウ素ナトリウム(0.1M)溶液の迅速な注入の前に、実施例1における第1および第2の添加からの過酸化水素溶液(30重量%)の組み合わせた量を使用したことを除き、実施例1と同一の手順に従った。コロイド溶液は、30分後に濃黄色に変化し、銀ナノ粒子の形成を示した。図4に示すUV-visスペクトルは、銀ナノ粒子の形成のみを証明する。
【0103】
実施例3.銀ナノプレートのより高濃度合成(>0.12mg/mL)
銀がより高濃度である場合でもナノプレート製造は首尾よく達成され、そして濃度が増加したため、より多くの部分の過酸化水素が滴下される必要があり、また安定化化合物の相対量は、吸収スペクトルによって特徴づけられる所望のナノプレート特性を達成するために調整されるべきであることが発見された。ナノプレートの吸収スペクトルは、ナノプレートの径およびアスペクト比によって影響を受けると考えられる。例えば、0.68mg/mLの濃度の銀ナノプレートの合成を達成するために、1443mLのDI(脱イオン)水を4Lのエルレンマイヤーフラスコに最初に添加する。次いで、10.2mLの硝酸銀水溶液(1M)、6mLのクエン酸三ナトリウム水溶液(0.75mM)、14mLのグリセロール水溶液(35mM)および過酸化水素溶液(30重量%)の第1の部分を添加し、そして混合物溶液を室温で空気中、強力に撹拌した。13.2mLの水素化ホウ素ナトリウム水溶液(1M)をこの混合物に迅速に注入した。コロイド溶液は、濃黄色に変化した。さらに数分以内に、コロイド溶液の色は、次第に茶褐色に変化した。次いで、コロイド溶液の色が、銀ナノプレートの形成を示す青色に変化するまで、別の110mLの過酸化水素溶液(30重量%)を滴下によって添加した。
【0104】
より高濃度の合成反応は、より広範囲のナノプレート径を有する銀ナノプレートを形成する傾向がある。実施例1の手順と類似の手順に従って、様々な銀濃度に対する異なる合成パラメータを以下の表1に示す。10の値を包含する濃度範囲のためのUV-可視吸収スペクトルは、濃度:12倍(A)、16倍(B)、24倍(C)、32倍(D)、44倍(E)、68倍(F)、88倍(G)、100倍(H)、128倍(I)および156倍(J)に関して、図5A~5Jに示される。結果は、プロセスのさらなる最適化が、所望の合成スケールを達成しながら、径分布を狭くする補助をし得ることを示唆する。体積も拡大可能であると考えられる。
【0105】
【表1】
【0106】
グリセロール安定化化合物に対する代替物を試験するために、実験のセットを実行した。特に、プロピレングリコール、乳酸エチルおよびジアセトンアルコールは、上記の12倍プロトコルおよび等モル基準で置換された。良好な銀ナノプレートの製造は、プロピレングリコールおよび乳酸エチル安定化化合物に関して見出された。ジアセトンアルコール化合物に関しては、妥当なナノプレート合成が観察されたが、より大きい部分の銀ナノ粒子が製造された。3種の試料のUV-可視吸収スペクトルは図6に示される。
【0107】
実施例4.金の薄シェルを有する銀ナノプレートのコーティング
本実施例は、銀ナノプレートの貴金属コーティングおよび結果として生じる金がコーティングされたナノプレートの光学特性を実証した。
【0108】
実施例1からの銀ナノプレートの調製されたままの溶液を、精製なしでコーティングのために使用した。6gのポリビニルピロリドン(PVP、MW40,000)、1.32gのクエン酸三ナトリウム、12mLのジエチルアミンおよび24mLのアスコルビン酸水溶液(0.5M)を、実施例1からの銀ナノプレート溶液(12倍)に添加した。クエン酸三ナトリウムは、金コーティングプロセスの間の銀ナノプレートの吸収ピークの大きい青色シフトを防ぐために重要であった。金コーティングのための別のコーティング溶液は、6mLのPVP(5重量%)、1.2mLのKI水溶液(0.2M)および300μL(0.25M)のHAuCl水溶液と45mLのDI水を混合することによって調製した。0.2mL/分の速度で、シリンジポンプによって、銀ナノプレートコロイド溶液に金コーティング溶液をゆっくり添加した。金の層が銀ナノプレートの表面で析出した。金層の厚さは、金の成長溶液の量によって制御することができる。金がコーティングされた銀ナノプレートを回収し、そしてDI水で2回洗浄し、そして将来の使用のために室温で貯蔵した。
【0109】
銀ナノプレートおよび金がコーティングされた銀ナノプレートの吸収スペクトルを図7に示す。金コーティングは、吸収スペクトルのピークを、より小さい波長にシフトさせ、そして赤色吸収尾部を増加した。コーティングプロセスの間に添加されたシトレートの効果を図8に示す。図8には、未コーティングのナノプレート、シトレートを添加して形成された金がコーティングされたナノプレート、および追加のシトレートを含まない金がコーティングされたナノプレートの吸収スペクトルが示される。シトレートが添加されずにコーティングされた銀ナノプレートは、より低い波長への有意に大きいシフトを有し、そして高い青色吸収を有した。金がコーティングされたナノプレートの典型的な透過型電子顕微鏡写真を図9に示す。金コーティングの後、ナノプレートのほとんどが変化せず、そして銀ナノプレートの小部分のみが平面の正孔によってエッチングされていた。顕微鏡写真に基づいて、金がコーティングされたナノプレートの表面は、原子スケールで平滑ではなかった。
【0110】
金がコーティングされた銀ナノプレート合成の再現性を試験するために実験が行なわれた。これらの実験は、銀ナノプレート合成、ならびに金コーティングプロセスの両方の再現性を確認した。表2を参照すると、合成ステップは、上記で提示されるものと同一の反応パラメータで7回繰り返された。銀ナノプレートおよび金がコーティングされた銀ナノプレートのピーク吸収波長を表2に示す。金がコーティングされた銀ナノプレートの吸収ピークの窓は、約539nm~約580nmナノメートルであった。
【0111】
【表2】
【0112】
金コーティングの厚さは、金コーティング前駆体の量によって制御することができる。金複合体および還元剤のコーティング溶液の合計量を変化させたことを除いて、合成は、実施例4の手順と類似の手順に従う。異なる厚さを有する典型的な金がコーティングされた銀ナノプレートの吸収スペクトルを図10に示す。
【0113】
実施例5.溶液中の(金がコーティングされた)銀ナノプレートの安定性
様々な温度条件に関してのナノプレートの安定性を試験した。
【0114】
第1の試験において、金がコーティングされた銀ナノプレートを凍結および解凍した。凍結前および解凍後のUV-可視吸収スペクトルを図11に示す。解凍されたAuコーティングされたAgナノプレートは、より低い波長へ約10nmのみシフトした類似の吸収スペクトルを有した。比較のために、PVPによってコーティングされた市販の銀ナノプレートを同様に処理した。凍結前のPVPがコーティングされた銀ナノプレートの吸収スペクトルおよび解凍後の対応する吸収スペクトルを図12に示す。解凍されたポリマーがコーティングされたAgナノプレートは、吸収スペクトルの形状および位置における劇的なシフトおよび変化を示し、銀ナノ粒子への変換を示唆する。したがって、金コーティングは、凍結に関して、実質的にナノプレート安定性を改善した。
【0115】
実験のさらなるセットにおいて、濃縮された金がコーティングされた銀ナノプレートコロイド溶液および銀ナノプレートコロイド水溶液を、1:9v/vの比率でプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)中に別々に希釈し、次いで、90℃まで加熱した。色および吸収ピーク位置は、100時間後にUV-vis分光計によって監視した。金がコーティングされた銀ナノプレートは、高温でPGME中、非常に安定していた。わずかな青色シフトのみが試験の最初の2時間に観察され、次いで、さらなるシフトは次の100時間に見られなかった(図13)。対照的に、未コーティングの銀ナノプレートは、同一条件下で色が迅速に黄色へと変化し、これは、最初の銀ナノプレートからの銀ナノ粒子の形成を示し、これは、加熱試験の前および後のUV-visスペクトルによって実証される(図14)。
【0116】
実施例6.フィルムコーティングにおける(金がコーティングされた)銀ナノプレートの安定性
本実施例は、銀ナノプレートを有するポリマーコーティングの色相に対する影響を実証し、そして色相調整の安定性も示される。
【0117】
いくつかの実施例は、透明伝導性フィルムにおける形成をもたらす溶融金属伝導性ネットワークと関連した銀ナノプレートを含む。実施例は、溶融金属ナノ構造化ネットワークを有する伝導性層中、または溶融金属ナノ構造化ネットワークを有する層上に配置されたコーティング中の銀ナノプレートによって提示される。溶融金属ナノ構造化ネットワークは、PVPポリマーを使用するポリオールプロセスを使用して合成された銀ナノワイヤーを使用して形成された。一般に、銀ナノプレートの適切な量の組み込みは、容認できないほど他の特性を悪化させることなく、bを有意に減少させることができる。
【0118】
本明細書に記載の試験は、125ミクロン厚シートのPETポリエステル基板上の溶融金属ナノ構造化ネットワークの形成を含む。溶融金属ナノ構造化ネットワークは、溶融組成物を有する銀ナノワイヤーを含んでなる単一インクによって形成された。ポリマーハードコーティングが、溶融金属ナノ構造化ネットワーク上に適用された。
【0119】
銀ナノワイヤーは、25~50nmの平均直径および10~30ミクロンの平均長さで、次の実施例で使用された。銀ナノワイヤーインクは、本質的に、参照によって本明細書に組み込まれる、Liらへの“Metal Nanowire Inks for the Formation of Transparent Conductive Films with Fused Networks”と題された米国特許第9,183,968号明細書の実施例5に記載されている。金属ナノワイヤーインクは、0.1~1.0重量%の濃度の銀ナノワイヤー、0.05mg/mL~2.5mg/mLの銀イオンおよび約0.01~1重量%の濃度のセルロースベースの結合剤から構成された。銀ナノワイヤーインクは、少量のアルコールを含む水溶液であった。インクは、PETフィルムにスロットコーティングされた。ナノワイヤーインクをコーティング後、次いでフィルムを5~10分間、100~120℃のオーブン中で加熱し、フィルムを乾燥させた。
【0120】
いくつかのフィルムに関して、フィルム試料の全透過(TT)および曇りは、曇りメーターを使用して測定した。以下の試料の曇り測定を調整するために、基板曇りの値を測定値から差し引いて、透明伝導性フィルム単独に対するおよその曇り測定値を得ることができる。器具は、参照によって本明細書に組み込まれる、ASTM D 1003標準(“Standard Test Method for Haze and Luminous Transmittance of Transparent Plastics”)に基づいて光学特性を評価するよう設計される。これらのフィルムの全透過および曇りは、それぞれ、92.1~92.9%および0.1%~0.4%のベース全透過および曇りを有するPET基板を含む。次の実施例で、溶融金属ナノワイヤーインクの2つの異なる配合物が、光学およびシート抵抗測定と一緒に提示される。bおよびaのCIELAB値は、SpectraMagic(商標)NXソフトウェアを備えたKonica Minolta Spectrophotometer CM-3700Aによって製造された測定から、市販のソフトウェアを使用して決定した。シート抵抗は、4点プローブ方法または非接触式抵抗計で測定した。
【0121】
安定性測定の第1セットにおいて、実施例1および4で調製された、金がコーティングされたナノプレート(300μL Auコーティング)および対応する未コーティングの銀ナノプレートが使用された。ナノプレートをハードコート前駆体溶液中に分散し、そして溶融金属ナノ構造化ネットワーク上に25ミクロンの推定湿潤厚さでコーティングした。コーティングされたアクリルポリマーを乾燥させ、そしてUV架橋した。次いで、試料を、60℃および90%相対湿度に保持された、制御された環境チャンバー中で試験した(60/90試験)。これらのフィルムのbの値を10日間測定した。オーバーコート中ナノプレートなしで調製された第3の試料を参照として試験した。参照試料と比較して、銀ナノプレートを含有する試料のb、Δbの絶対増加は、ナノプレートの変化による寄付の基準と考えられた。bの結果は、図15(未コート)および16(Auコーティング)にプロットされる。Δbのもっと小さい差異は、ナノプレートのより高い安定性を示唆するが、より大きいΔbの差異は、銀ナノプレートの分解からのより多くの寄与、したがって、低い安定性を示す。プロットによると、金がコーティングされた銀ナノプレートは、この耐久性試験においてオーバーコート中の未コーティングの銀ナノプレートより安定していた。
【0122】
実験の別のセットにおいて、金がコーティングされた銀ナノプレートは、伝導性層の形成のためにインクに添加された。図17のTEM像によって示されるように、ナノプレートは、インク層中で十分分散した。試験のために、1つは対照であり、2つの試料は、異なる量の金がコーティングされた銀ナノプレートによる(550nmピーク吸収)、3種の試料を作成した。色測定および曇りをフィルム間で比較した。結果を図18に示す。プロットのパーセントにおける曇り値は、フィルム全体の平均であった。図18に示されるように、金がコーティングされた銀ナノプレートの包含によって、容認できないほど他の特性を低下させることなく、bを減少させた。550nm吸収ピークを有する金がコーティングされた銀ナノプレートの包含は、aの絶対値を有意に増加させなかった。
【0123】
伝導性フィルムに含まれた、異なる吸収ピークを有する金がコーティングされた銀ナノプレートで、3種の追加試料を作成した。対照フィルムは、ナノプレートを含まずに形成した。フィルムは上記のように処理された。結果として生じるフィルムのシート抵抗測定および光学特性を表3に示す。透明度は、ナノプレートを有するフィルムでいくらか減少したが、bの値は、aの絶対値とともに所望の量で減少した。
【0124】
【表3】
【0125】
上記の実施形態は、説明を意図し、制限することを意図しない。追加の実施形態は、請求項の範囲内である。加えて、本発明が特定の実施形態を参照して記載されているが、当業者は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、形式および詳細に変更可能であることを認識するであろう。上記の文献の参照によるいずれの組み込みも、本明細書の明示的な開示に相反する主題が組み込まれないように制限されている。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H
図5I
図5J
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【手続補正書】
【提出日】2022-07-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
銀ナノプレート上への貴金属コーティングの適用方法であって、
銀ナノプレート、ポリカルボキシレートアニオン、ポリマーキャッピング剤、配位子および還元剤の水性分散体を含んでなる反応溶液に、複合貴金属イオンおよびポリマーキャッピング剤の水溶液を含んでなるコーティング溶液を徐々に添加することを含んでなり、全ての形態における銀の全濃度が、少なくとも約0.75mMである、方法。
【請求項2】
前記貴金属イオンが、金イオンおよび/またはプラチナイオンを含んでなる、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記複合貴金属イオンが、ヨウ化物イオン、臭化物イオン、スルフィット、CN、SCN、チオスルフェートまたはその混合物を複合化剤として含んでなる、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリカルボキシレートアニオンが、シトレート、スクシネート、シトラマレート、マロネート、タルトレート、イソシトレート、シス-アコネート、トリカルバリレートまたはその組合せである、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記キャッピングポリマーが、ポリビニルピロリドンを含んでなる、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記配位子が、ニトレート、ジエチルアミン、エチレンジアミン、ニトリロ三酢酸、イミノビス(メチレンホスホン酸)、アミノトリス(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、1,3-プロピレンジアミン四酢酸(1,3-PDTA)、トリエチレンテトラミン、トリ(2-アミノエチル)アミン、ジエチレントリアミン五酢酸、1,2-シクロヘキサンジアミノ四酢酸、イミノ二酢酸、メチルイミノ二酢酸、N-(2-アセトアミド)イミノ酢酸、N-(2-カルボキシエチル)イミノ二酢酸、N-(2-カルボキシメチル)イミノジプロピオン酸、ピコリン酸、ジピコリン酸、ヒスチジンまたはその組合せを含んでなる、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記還元剤が、アスコルビン酸、シュウ酸、酒石酸、ヒドロキシルアミン、ギ酸またはその混合物を含んでなる、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記銀ナノプレートが、前記銀ナノプレートの合成からの未精製溶液として提供される、請求項に記載の方法。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0125
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0125】
上記の実施形態は、説明を意図し、制限することを意図しない。追加の実施形態は、請求項の範囲内である。加えて、本発明が特定の実施形態を参照して記載されているが、当業者は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、形式および詳細に変更可能であることを認識するであろう。上記の文献の参照によるいずれの組み込みも、本明細書の明示的な開示に相反する主題が組み込まれないように制限されている。
本明細書の開示内容は、以下の態様を含み得る。
(態様1)
銀ナノプレートの合成方法であって、
混合条件下で、銀イオン、ポリカルボキシレートアニオン、多官能性水酸化物化合物、第1の量の過酸化水素および還元剤のブレンドの水溶液に、第2の量の過酸化水素を徐々に添加することを含んでなり、前記水溶液が、約0.00025M~約0.1Mの銀イオン濃度を有し、かつ還元剤に対する全過酸化水素のモル比が、約10~約120である、方法。
(態様2)
前記ポリカルボキシレートアニオンが、シトレート、スクシネート、シトラマレート、マロネート、タルトレート、イソシトレート、シス-アコネート、トリカルバリレートまたはその混合物である、態様1に記載の方法。
(態様3)
前記多官能性ヒドロキシド化合物が、式R C(OH)R によって表され、ここで、R が、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基、カルボン酸基、ケトン基、複素環式基、アミノ基、アミド基またはその複数を有する部分であり、かつR およびR が、独立して、H、あるいは任意選択的にヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基、カルボン酸基、ケトン基、複素環式基、アミノ基、アミド基またはその複数を有するアルキル部分であり、前記R 、R およびR 部分が、存在する場合、隣接するか、または-C(OH)-部分からメチレン部分-CH -によって空間をあけられた、前記示された官能基を有するC(OH)基に結合した炭素原子を有する、態様1または態様2に記載の方法。
(態様4)
前記多官能性ヒドロキシド化合物が、グリセロール、乳酸エチル、ジアセトンアルコール、プロピレングリコールまたはその混合物である、態様1または態様2に記載の方法。
(態様5)
前記過酸化物対還元剤のモル比が、少なくとも約70である、態様1~4のいずれか一つに記載の方法。
(態様6)
前記還元剤が、水素化ホウ素塩を含んでなる、態様5に記載の方法。
(態様7)
前記還元剤が、前記反応混合物中に注入され、前記合成が完了するまで、前記反応が続けられる、態様1~6のいずれか一つに記載の方法。
(態様8)
前記反応溶液の体積が、少なくとも約500ミリリットルである、態様1~7のいずれか一つに記載の方法。
(態様9)
ポリマーキャッピング剤および/または無機コーティングを含まずに約120nm以下の平均円相当径を有し、かつ約40nm以下のピーク吸収スペクトル波長のシフトによって決定される周囲条件下での少なくとも21日の暗室貯蔵に対する安定性を有する、銀ナノプレートの分散体。
(態様10)
前記銀ナノプレートの分散体が、約500nm~約750nmのピーク吸収を有する、態様9に記載の分散体。
(態様11)
少なくとも約0.6の600nmにおける標準化光吸収を有する、態様9または態様10に記載の分散体。
(態様12)
約25nm~約90nmの平均銀ナノプレート円相当径を有する、態様9~11のいずれか一つに記載の分散体。
(態様13)
少なくとも約4週間の室温および周囲雰囲気における分散体の暗室貯蔵における安定性を有する、態様9~12のいずれか一つに記載の分散体。
(態様14)
少なくとも約5重量%の貴金属を有し、かつ少なくとも約0.6標準化吸収単位である600nmにおける光吸収を有し、かつ貴金属コーティングのない対応する銀ナノプレートも、少なくとも約0.6標準化吸収単位である600nmにおける光の吸収を有する、貴金属がコーティングされた銀ナノプレートの分散体。
(態様15)
金属の全重量の少なくとも約7.5重量%の貴金属を有する、態様14に記載の分散体。
(態様16)
少なくとも約0.7標準化単位である600nmにおける光吸収を有する、態様14または態様15に記載の分散体。
(態様17)
前記ナノプレートが、約120nm以下の平均円相当径を有する、態様14~16のいずれか一つに記載の分散体。
(態様18)
銀ナノプレート上への貴金属コーティングの適用方法であって、
銀ナノプレート、ポリカルボキシレートアニオン、ポリマーキャッピング剤、配位子および還元剤の水性分散体を含んでなる反応溶液に、複合貴金属イオンおよびポリマーキャッピング剤の水溶液を含んでなるコーティング溶液を徐々に添加することを含んでなり、全ての形態における銀の全濃度が、少なくとも約0.75mMである、方法。
(態様19)
前記貴金属イオンが、金イオンおよび/またはプラチナイオンを含んでなる、態様18に記載の方法。
(態様20)
前記複合貴金属イオンが、ヨウ化物イオン、臭化物イオン、スルフィット、CN 、SCN 、チオスルフェートまたはその混合物を複合化剤として含んでなる、態様18または態様19に記載の方法。
(態様21)
前記ポリカルボキシレートアニオンが、シトレート、スクシネート、シトラマレート、マロネート、タルトレート、イソシトレート、シス-アコネート、トリカルバリレートまたはその組合せである、態様18~20のいずれか一つに記載の方法。
(態様22)
前記キャッピングポリマーが、ポリビニルピロリドンを含んでなる、態様18~21のいずれか一つに記載の方法。
(態様23)
前記配位子が、ニトレート、ジエチルアミン、エチレンジアミン、ニトリロ三酢酸、イミノビス(メチレンホスホン酸)、アミノトリス(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、1,3-プロピレンジアミン四酢酸(1,3-PDTA)、トリエチレンテトラミン、トリ(2-アミノエチル)アミン、ジエチレントリアミン五酢酸、1,2-シクロヘキサンジアミノ四酢酸、イミノ二酢酸、メチルイミノ二酢酸、N-(2-アセトアミド)イミノ酢酸、N-(2-カルボキシエチル)イミノ二酢酸、N-(2-カルボキシメチル)イミノジプロピオン酸、ピコリン酸、ジピコリン酸、ヒスチジンまたはその組合せを含んでなる、態様18~22のいずれか一つに記載の方法。
(態様24)
前記還元剤が、アスコルビン酸、シュウ酸、酒石酸、ヒドロキシルアミン、ギ酸またはその混合物を含んでなる、態様18~23のいずれか一つに記載の方法。
(態様25)
前記銀ナノプレートが、前記銀ナノプレートの合成からの未精製溶液として提供される、態様18~24のいずれか一つに記載の方法。
【外国語明細書】