(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022120133
(43)【公開日】2022-08-17
(54)【発明の名称】デジタルPCR検出器、デジタルPCR定量検出方法、異なる体積のデジタルPCRの定量解析方法、デジタルPCR検出方法、核酸検出微小球、核酸検出微小球製造方法、核酸検出微小球試薬キット及びハイスループット核酸検出方法
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20220809BHJP
C12M 1/34 20060101ALI20220809BHJP
C12Q 1/6844 20180101ALI20220809BHJP
【FI】
C12M1/00 A
C12M1/34 B
C12Q1/6844 Z
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096041
(22)【出願日】2022-06-14
(62)【分割の表示】P 2020560539の分割
【原出願日】2019-01-24
(31)【優先権主張番号】201811392278.2
(32)【優先日】2018-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201810070377.2
(32)【優先日】2018-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201810932950.6
(32)【優先日】2018-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.MATLAB
(71)【出願人】
【識別番号】520269444
【氏名又は名称】思納福(北京)医療科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SNIPER(BEIJING)MEDICAL TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 0235,Floor 4,Block A,Building 24,Yard 68,Beiqing Road,Haidian District,Beijing 100094,China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】盛 広済
(57)【要約】 (修正有)
【課題】デジタルPCR検出器、デジタルPCR定量検出方法、異なる体積のデジタルPCRの定量解析方法、デジタルPCR検出方法、核酸検出微小球、核酸検出微小球製造方法、試薬キット及びハイスループット核酸検出方法を提供する。
【解決手段】蛍光コード情報を有する核小体と、被覆層と、を含み、前記被覆層は、前記核小体を被覆し、基体とプライマーとを含み、前記プライマーは、前記基体に分散され、前記核小体と一意に対応する、核酸検出微小球を用いたデジタルPCR検出器等を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光コード情報を有する核小体と、被覆層と、を含み、
前記被覆層は、前記核小体を被覆し、基体とプライマーとを含み、
前記プライマーは、前記基体に分散され、前記核小体と一意に対応する、核酸検出微小球。
【請求項2】
前記被覆層は、プローブをさらに含み、
前記プローブ及び前記プライマーは、前記基体に分散され、前記核小体と一意に対応する、ことを特徴とする請求項1に記載の核酸検出微小球。
【請求項3】
前記基体は、アガロースのゲルである、ことを特徴とする請求項1に記載の核酸検出微小球。
【請求項4】
前記核小体は、蛍光染料を含むソリッド球体である、ことを特徴とする請求項1に記載の核酸検出微小球。
【請求項5】
前記核小体は、その直径が10ミクロン~100ミクロンである、ことを特徴とする請求項1に記載の核酸検出微小球。
【請求項6】
前記被覆層は、その厚さが10ミクロン~100ミクロンである、ことを特徴とする請求項1に記載の核酸検出微小球。
【請求項7】
複数の核小体及びプライマー溶液を提供するステップS110と、
ゲル粉末を提供し、前記ゲル粉末を再蒸留水に添加し、ゲル粉溶液を取得し、前記ゲル粉溶液を、澄むまで、加熱し、被覆層の製造液を取得するステップS120と、
ゲル溶解温度で、前記複数の核小体、前記プライマー溶液及び前記被覆層の製造液を混合し、核酸検出の微小球の製造溶液を取得するステップS130と、
前記ゲル溶解温度で、前記核酸検出微小球の製造溶液を微滴化し、複数の核酸検出微小球の液滴を形成するステップS140と、
前記複数の核酸検出微小球の液滴を冷却し、フローサイトメトリーにより、複数の核酸検出微小球を取得するステップS150と、を含む、核酸検出微小球の製造方法。
【請求項8】
前記ステップS150には、前記核酸検出微小球は、単一の前記核小体を含む核酸検出微小球である、ことを特徴とする請求項7に記載の核酸検出微小球の製造方法。
【請求項9】
前記ステップS120には、前記ゲル粉末がカンテン末、又は、ポリエチレングリコールジアクリレートなどである、ことを特徴とする請求項7に記載の核酸検出微小球の製造方法。
【請求項10】
前記ステップS140には、
出口端を有し、前記核酸検出微小球の製造溶液を貯留している液体吐出ピペットチップを提供し、疎水性油を貯留している開口容器を提供するステップS141と、
前記ゲル溶解温度で、前記液体吐出ピペットチップの出口端を前記疎水性油の液面に挿入するステップS142と、
前記液体吐出ピペットチップの出口端が前記疎水性油の液面下に瞬間加速度運動を行い、又は、周期的に変化する速度で運動を行い、前記核酸検出微小球の製造溶液を前記液体吐出ピペットチップの出口端から排出し、前記疎水性油の液面下に前記複数の核酸検出微小球の液滴を形成するステップS143と、を含む、ことを特徴とする請求項7に記載の核酸検出微小球の製造方法。
【請求項11】
プライマー溶液、プローブ溶液、及び、複数の核小体を提供するステップS210と、
ゲル粉末を提供し、前記ゲル粉末を再蒸留水に添加し、ゲル粉溶液を取得し、前記ゲル粉溶液を、澄むまで、加熱し、被覆層の製造液を取得するステップS220と、
ゲル溶解温度で、前記複数の核小体と、前記プライマーとプローブ溶液とを前記被覆層の製造液に混合し、核酸検出微小球の製造溶液を取得するステップS230と、
前記ゲル溶解温度で、前記核酸検出微小球の製造溶液を微滴化し、複数の核酸検出微小球の液滴を形成するステップS240と、
前記複数の核酸検出微小球の液滴を冷却し、フローサイトメトリーにより、複数の核酸検出微小球を取得するステップS250と、を含む、核酸検出微小球の製造方法。
【請求項12】
前記ステップS250には、前記核酸検出微小球は、単一の前記核小体を含む核酸検出微小球である、ことを特徴とする請求項11に記載の核酸検出微小球の製造方法。
【請求項13】
ハイスループットで核酸への検出と解析に用いられる試薬キットであって、請求項1から6のいずれか一つに記載の核酸検出微小球与核酸反応液を含む、ことを特徴とする、試薬キット。
【請求項14】
核酸増幅反応液、及び、多種類の異なる種類の核酸検出微小球を提供し、前記核酸検出微小球は、核小体及び被覆層を含み、前記核小体は、コード情報を有し、前記被覆層は、前記核小体を被覆し、前記被覆層は、基体と前記基体に分散されるプライマーとを含み、前記プライマーが前記核小体に一意に対応し、前記核小体は、蛍光染料を含むソリッド球体である、ステップS310と、
前記多種類の異なる種類の核酸検出微小球と前記核酸増幅反応液とを混合し、核酸検出液を取得するステップS320と、
前記核酸検出液を微滴化し、複数の微小液滴を形成するステップS330と、
前記複数の微小液滴に核酸を増幅し、増幅された前記複数の微小液滴を取得するステップS340と、
増幅された前記複数の微小液滴に基づいて、各前記微小液滴中の前記核小体を検出し、一つの前記核小体しかを含まない前記微小液滴をスクリーニングし、第一の効果的な微小液滴を取得するステップS350と、
前記第一の効果的な微小液滴に基づいて、前記第一の効果的な微小液滴における前記核小体の蛍光コード信号を検出し、前記核小体と対応する前記プライマーを取得し、核酸増幅反応された報告蛍光信号を読み取り、前記第一の効果的な微小液滴に、対応する標的核酸分子が存在するかどうかについて取得するステップS360と、を含む、ハイスループット核酸検出方法。
【請求項15】
前記ステップS310には、前記核酸増幅反応液は、デオキシリボ核酸を鋳型とする核酸増幅反応液、リボ核酸を鋳型とする逆転写核酸増幅反応液、又は、ループ介在等温増幅反応液であり、前記核酸増幅反応液に蛍光染料を含む、ことを特徴とする請求項14に記載のハイスループット核酸検出方法。
【請求項16】
前記ステップS360は、
コード蛍光チャネル及び蛍光染料検出チャネルを含み、コード蛍光チャネルに基づいて、前記効果的な微小液滴における前記核小体の蛍光コード信号を識別する蛍光信号検出装置を提供するステップS361と、
前記核小体の蛍光コード信号に基づいて、前記核小体と対応する前記プライマーを取得するステップS362と、
前記蛍光染料検出チャネルに基づいて、前記第一の効果的な微小液滴における核酸増幅反応された報告蛍光信号を検出し、前記第一の効果的な微小液滴に、対応する標的核酸分子が存在するかどうかについて取得するステップS363と、を含む、ことを特徴とする請求項14に記載のハイスループット核酸検出方法。
【請求項17】
核酸増幅反応液及び多種類の異なる種類の核酸検出微小球を提供し、前記核酸検出微小球は、核小体及び被覆層を含み、前記核小体は、コード情報を有し、前記被覆層は、前記核小体を被覆し、前記被覆層は、基体、及び、前記基体に分散されるプライマーとプローブとを含み、前記プライマーと前記プローブとが前記核小体に一意に対応し、前記核小体は、蛍光コード情報を有するソリッド球体であるステップS410と、
前記多種類の異なる種類の核酸検出微小球と前記核酸増幅反応液とを混合し、核酸検出液を取得するステップS420と、
前記核酸検出液を微滴化し、複数の微小液滴を形成するステップS430と、
前記複数の微小液滴に核酸を増幅し、増幅された前記複数の微小液滴を取得するステップS440と、
増幅された前記複数の微小液滴に基づいて、各前記微小液滴における前記核小体を検出し、一つの前記核小体しかを含まない前記微小液滴をスクリーニングし、第二の効果的な微小液滴を取得するステップS450と、
前記第二の効果的な微小液滴に基づいて、前記第二の効果的な微小液滴における前記核小体の蛍光コード信号を検出し、前記核小体と対応する前記プライマーと前記プローブとを取得し、核酸増幅反応された報告蛍光信号を読み取り、前記第二の効果的な微小液滴に、対応する標的核酸分子が存在するかどうかについて取得するステップS460とを含む、ハイスループット核酸検出方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2018年1月24日に出願された「デジタルPCR定量検出方法」という第201810070377.2号、2018年8月16日に出願された「デジタルPCR検出方法」という第201810932950.6号、及び、2018年11月21日に出願された「核酸検出微小球、製造方法、試薬キット及びハイスループット核酸検出方法」という第201811392278.2号の中国特許出願を優先権として主張し、それらのすべてをここで参照として援用する。
【技術分野】
【0002】
本出願は、核酸検出解析の分野に関し、特に、デジタルPCR検出器、デジタルPCR定量検出方法、異なる体積デジタルPCRの定量解析方法、デジタルPCR検出方法、核酸検出微小球、核酸検出微小球製造方法、核酸検出微小球試薬キット及びハイスループット核酸検出方法に関する。
【背景技術】
【0003】
デジタルPCR(Digital PCR、dPCR)は、核酸分子の絶対定量に係る技術である。デジタルPCRは、qPCRに比べると、DNA分子の個数を直接に数えるため、初期試料のコピー数に対する絶対定量である。定量PCRは、標準曲線又は参照遺伝子に従って核酸量を検出する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在、デジタルPCRは、液滴式PCR検出方法及びチップ式検出方法が含まれる。チップ式検出方法では、単一のチップに効果的な反応チャンバーが数千個だけ含まれているため、液滴式のほうよりも遥かに少ない。故に、チップ式デジタルPCRは、動的範囲が液滴式のほうよりも比較的狭い。液滴式PCR検出方法は、試料を「油中水」の反応セルに分散させてから、各反応セルをリアルタイムで解析したり、エンドポイントで蛍光解析したりする。しかしながら、従来のデジタルPCR機器における効果的な反応チャンバーは、その数が少ないため、現在のデジタルPCRの動的範囲が比較的狭く、その作業の効率が低い。従来の液滴デジタルPCRのエンドポイント検出方法は、制約性が存在し、検出に精度が低い。デジタルPCR検出解析の工程では、数千万のナノリットルの微小液滴のマトリックスについて、従来のデジタルPCR検出方法により、多種類の標的配列を同時に検出しようとすると、多種類のプライマーを設計して順次に検出することが必要となり、複数の検出が継続して繰り返されると作業量が膨大になり、時間が掛かり、作業効率が低い。しかも、従来のPCR検出技術によれば、限られた標的配列だけを検出できる。PCRの検出により、十数、数十又は数百の種類の標的配列を検出しようとすると、複数の検出を繰り返すことが必要となり、作業量が膨大になり、多量の試料が消耗されてしまい、しかも、時間あたりの作業効率が低い。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このことに鑑み、本出願は、微小液滴生成装置、温度制御装置、蛍光信号検出装置及び定量解析装置を含むデジタルPCR検出器を提供する。前記微小液滴生成装置は、核酸増幅反応液を微滴化し、複数の微小液滴を形成するために用いられる。前記温度制御装置は、前記微小液滴生成装置にレールを介して接続され、前記複数の微小液滴を前記温度制御装置に移転し、温度の循環で核酸増幅を実現するために用いられる。前記蛍光信号検出装置は、前記温度制御装置に対向配置され、核酸増幅された前記複数の微小液滴を撮影して検出するために用いられる。前記蛍光信号検出装置は、微小液滴に複数の蛍光チャネルでイメージングを行い、明視野・暗視野でイメージングを行うことができる。そのうち、複数の蛍光チャネルによるイメージングは、微小液滴の反応信号を検知するために用いられ、明視野・暗視野によるイメージングは、微小液滴を形成するサイズの情報を検出し、反応の工程において液滴の状態をモニターするために用いられる。定量解析装置については、前記定量解析装置が前記蛍光信号検出装置にデータ線を介して接続され、前記複数の微小液滴の蛍光情報の送信、及び、定量解析を実現するために用いられる。制御器については、前記制御器が、それぞれ、前記微小液滴生成装置、前記温度制御装置、蛍光信号検出装置及び定量解析装置に接続され、前記微小液滴生成装置、前記温度制御装置、前記蛍光信号検出装置及び前記定量解析装置を制御するために用いられる。前記デジタルPCR検出器は、前記微小液滴生成装置、前記温度制御装置、前記蛍光信号検出装置及び前記定量解析装置を集積化するため、一体化とされるデジタルPCR検出機器により、前記操作員に自動化で操作を実現し、前記デジタルPCR検出器に作業効率を高めることができる。
【0006】
このことに鑑み、本出願が提供するデジタルPCR定量検出方法は、微小液滴の全てについて複数のリアルタイム蛍光画像を取得し、前記複数のリアルタイム蛍光画像に基づいて、核酸増幅すべき微小液滴のリアルタイム蛍光曲線を取得するステップS4110と、前記リアルタイム蛍光曲線に基づいて、核酸増幅すべき微小液滴の全てのCt値を取得するステップS4120と、前記Ct値と核酸増幅すべき微小液滴の核酸初期コピー数との関係に基づいて、核酸増幅すべき微小液滴の全ての核酸初期コピー数を取得するステップS4130と、前記核酸増幅すべき微小液滴の全ての核酸初期コピー数に基づいて、前記核酸初期コピー数の度数分布を取得するステップS4140と、前記核酸初期コピー数の度数分布に基づいて、ポアソン分布のパラメータλを計算するステップS4150と、を含む。デジタルPCR定量検出方法によれば、前記複数の微小液滴の動的追跡を実現することができると共に、前記複数の微小液滴に温度循環を実行する工程に、各微小液滴の対応する具体的な位置を発見することができ、核酸増幅を行う工程全体に渡ってモニターを実現することができる。
【0007】
前記デジタルPCR定量検出方法によれば、標準曲線に対する依頼を脱出できるに加えて、標準曲線により定量結果が確定でないという課題も解決できると共に、液滴式デジタルPCRにエンドポイント検出方式による制限を解決でき、また、一つのp(χ=0)のデータだけを用いて検出すべき試料の全体についてパラメータを推量する制約性を破ることができる。同時に、前記複数の微小液滴に蛍光曲線を処理し、均一性の仮設によらずなされる統計・修正を行うことにより、デジタルPCRの定量検出に正確性が向上する。
【0008】
このことに鑑み、本出願は、異なる体積デジタルPCRの定量解析方法を提供する。異なる体積デジタルPCRの定量解析方法によれば、ln(c)に対応する標準偏差σ及び信頼区間を取得することができる。ln(c)に対応する標準偏差σ及び信頼区間により、検出すべき核酸増幅反応液の核酸濃度cを取得することができるため、前記検出すべき核酸増幅反応液に含まれているDNA初期コピーの数が分かる。前記異なる体積デジタルPCRの定量解析方法は、200個未満の微小液滴により五つのオーダーの動的検出範囲が実現可能であり、デジタルPCR検出器の動的検出範囲が向上する。しかも、その性能は、12,000個の微小液滴を有し、体積が単一となるデジタルPCRのほうと同じく優れており、機器にコストが削減され、消耗品としてのコストも低下する。
【0009】
このことに鑑み、本出願が提供するデジタルPCR検出方法は、検出すべき核酸増幅反応液を製造するステップS10と、前記検出すべき核酸増幅反応液を微滴化し、微小液滴のマトリックスを形成するステップS20と、前記微小液滴のマトリックスをポリメラーゼ連鎖反応させ、前記微小液滴のマトリックスにおける各微小液滴の蛍光曲線と各微小液滴の溶解曲線を取得するステップS30と、前記微小液滴のマトリックスにおける各微小液滴の蛍光曲線と各微小液滴の溶解曲線に基づいて、前記微小液滴のマトリックスを解析し、前記検出すべき核酸情報を取得するステップS40と、を含む。
【0010】
本出願が提供する前記デジタルPCR検出方法は、検出すべき核酸増幅反応液を製造する時に、一つの染料だけを用いると、ジェノタイピング、突然変異の走査、メチル化の研究などを実現することができ、高い分解能と感度を有し、検出にコストが低下する。しかも、前記デジタルPCR検出方法によれば、前記微小液滴のマトリックスは、高度で集積化する同一のデジタルPCR検出器に、ポリメラーゼ連鎖反応が済むと共に、前記微小液滴のマトリックスがPCR増幅されてから、PCR産物に溶解曲線を解析するようにすることができる。同時に、前記デジタルPCR検出方法によれば、前記微小液滴のマトリックスについて蛍光曲線及び溶解曲線を取得することにより、PCR増幅を工程全体に渡ってリアルタイムでモニターすること、及び、PCR産物の溶解曲線を解析すること、の両方を、シームレスに実行するように、実現することができる。そして、前記微小液滴のマトリックスの蛍光曲線及び溶解曲線に基づいて、異なる形状の溶解曲線によるジェノタイピングや分類を実現し、前記微小液滴のマトリックスに対する定性及び定量の解析を実現し、より全面的、簡便的、高い効率に、デジタルPCRの検出を済ませることができる。
【0011】
このことに鑑み、本出願は、核酸検出微小球、製造方法、試薬キット及びハイスループット核酸検出方法を提供する。そのうち、前記被覆層は、前記核小体を被覆し、前記核酸検出微小球を形成する。前記基体は、疎水性油に形成された含水高分子ゲルであり、流動性がなく、しかも、形状や体積も変化し易くない。含水高分子ゲルは、室温でゲルの状態となり、室温のほうよりも高い温度で溶解し、酵素や反応液などの拡散・活性に影響を与えることがない。同時に、前記基体に分散された前記プライマーは、標的検出核酸を定性解析して識別することができる。前記核小体は、高温に耐えられる材料であり、特殊なマーク機能を有し、前記核小体ごとに、一つの前記プライマーと一意に対応していることから、追跡して検出するように、前記核小体により前記核酸検出微小球をマークすることができる。PCR検出を実行する時に、複数かつ多種類の前記核酸検出微小球を検出すべき核酸増幅反応液に混合すると、核酸検出液を取得することができる。前記核酸検出液を微滴化すると、複数の微小液滴を形成して、複数の微小液滴にPCRの反応を行わせることができる。PCRの反応工程では、二本鎖DNAを90℃~95℃で変性させ、再び、50℃~60℃まで急速に冷却させ、プライマーがアニーリングして標的配列に結合した後に、急速に70℃~75℃まで昇温させ、Taq DNAポリメラーゼによる作用で、プライマーの鎖を鋳型に沿って伸長させ、適当な温度の範囲で核酸を増幅させる。複数の微小液滴にPCRの温度を制御する工程では、前記被覆層が溶解して分解される。そして、前記被覆層に付けられた前記プライマーは、対応する微小液滴に解放して微小液滴に含まれている標的核酸分子と反応することになる。最終的に、前記核小体を、位置決め、追跡して識別し、前記核小体の対応する前記プライマーにより、標的核酸分子が分かると、ハイスループットでPCR検出を実現することができる。
【0012】
実際の応用工程では、多種類の前記核酸検出微小球をバッチ処理で製造することが可能である。多種類の前記核酸検出微小球を、実際に検出標的とされる核酸のニーズに合わせて、一定の比で混合させ、検出すべき核酸増幅反応液と混合させると、核酸検出液を取得することにより、標的核酸を検出することができ、一回だけで多種類の標的核酸分子が検出可能であり、複数回繰り返して検出する必要が無くなり、作業量が小さく、検出時間が短く、感度が高い。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本出願における実施例、又は、従来技術における技術的手段をより明確に説明するように、以下に実施例又は従来技術を説明するに必要な図面を簡単に説明しておく。下記説明における図面は、本出願の実施例に過ぎず、創造的労働をしない前提で、提供する図面に基づいて他の図面を取得することも当業者にとって自明である。
【0014】
【
図1】本出願が提供するデジタルPCR検出器の全体構造の模式図である。
【
図2】本出願が提供するデジタルPCR検出器の微小液滴生成装置を示す図である。
【
図3】本出願の一実施例が提供する液体吐出ピペットチップの出口端が運動する時に力を受ける液滴の模式図である。
【
図4】本出願の一実施例が提供する液体吐出ピペットチップの出口端の速度変化の模式図である。
【
図5】本出願の一実施例が提供する液体吐出ピペットチップの出口端が運動する時に微小液滴の生成工程の模式図である。
【
図6】本出願に係る蛍光信号検出装置の構造の模式図である。
【
図7】本出願に係る温度制御装置の構造の模式図である。
【
図8】本出願に係る温度制御装置の構造の断面構造の模式図である。
【
図9】本出願に係る温度制御装置の半導体熱電対における電極の接続構造の模式図である。
【
図10】本出願に係る温度制御装置による瞬間的な性能テストの模式図である。
【
図11】本出願に係る温度制御装置による定常的な性能テストの模式図である。
【
図12】本出願に係るデジタルPCR検出器の解析方法のフローチャートである。
【
図13】本出願に係る微小液滴の敷き詰め方法のフローチャートである。
【
図14】本出願に係る微小液滴容器の底板に微小液滴が積み重ねられる模式図である。
【
図15】本出願に係る完全なサンプリングのデジタルPCR定量検出方法のフローチャートである。
【
図16】本出願に係る一部サンプリングのデジタルPCR定量検出方法のフローチャートである。
【
図17】一部サンプリングのデジタルPCR定量検出方法と他の方法CPDの標準偏差との対比図である。
【
図18】異なる体積デジタルPCRの定量解析方法のフローチャートである。
【
図19】本出願が提供するデジタルPCR検出方法全体のステップのフローチャートである。
【
図20】本出願が提供するデジタルPCR検出方法により取得された微小液滴のマトリックスの模式図である。
【
図21】本出願が提供するデジタルPCR検出方法により取得された微小液滴のマトリックスの蛍光画像の模式図である。
【
図22】本出願が提供するデジタルPCR検出方法により取得されたリアルタイムの蛍光曲線の模式図である。
【
図23】本出願が提供するデジタルPCR検出方法により取得された一部サンプリングのデジタルPCR定量検出方法と他の方法CPDの標準偏差とを対比する対比図である。
【
図24】本出願が提供するデジタルPCR検出方法により取得された溶解曲線の模式図である。
【
図25】本出願が提供する核酸検出微小球の構造の模式図である。
【
図26】本出願が提供する被覆層の構造の模式図である。
【
図27】本出願が提供する核小体の構造の模式図である。
【
図28】本出願が提供する一実施例の被覆層の構造の模式図である。
【
図29】本出願が提供する一実施例の核酸検出微小球の構造の模式図である。
【
図30】本出願が提供する微小液滴生成装置の構造の模式図である。
【
図31】本出願が提供する異なる種類のマイクロ流体制御チップの構造の模式図である。
【
図32】本出願が提供する第一の効果的な微小液滴の構造の模式図である。
【
図33】本出願が提供する微小液滴生成装置の構造の模式図である。
【
図34】本出願が提供する異なる種類のマイクロ流体制御チップの構造の模式図である。
【
図35】本出願が提供する第二の効果的な微小液滴の構造の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、本出願の実施例の添付図面を参照しながら、本出願の実施例の技術的解決手段を明確かつ完全に説明する。当然のことながら、ここで説明する実施例は、本願の実施例の全てではなく一部にすぎない。当業者にとって創造的な作業なしに本願の実施例に基づいて得られる全ての他の実施例は、本願の保護範囲に含まれるべきである。
【0016】
本出願の目的、技術的手段及び利点をさらに明らかにするために、以下に、実施例及び図面を参照しながら、本出願をさらに詳細に説明する。ここで述べた具体的な実施例は本出願を解釈するために用いられ、本出願を限定するためのものではないことを理解するべきである。
【0017】
従来のデジタルPCR機器に、効果的な反応用のセルが少なく、消耗品としてコストが高く、動的範囲が比較的狭く、作業の効率が低く、また、集積化の度合いが高くないという課題について、デジタルPCR検出器を提供する。
【0018】
図1を参照すると、本出願は、微小液滴生成装置10、温度制御装置20、蛍光信号検出装置30、定量解析装置40、及び、制御器50を含む、デジタルPCR検出器1を提供する。前記微小液滴生成装置10は、核酸増幅反応液を微滴化し、複数の微小液滴を形成するために用いられる。前記温度制御装置20は、前記微小液滴生成装置10にレールを介して接続され、前記複数の微小液滴を前記温度制御装置20に移転し、温度の循環で核酸増幅を実現するために用いられる。前記蛍光信号検出装置30は、前記温度制御装置20に対向配置され、核酸増幅された前記複数の微小液滴を撮影して検出するために用いられる。前記定量解析装置40は、前記蛍光信号検出装置30にデータ線を介して接続され、前記複数の微小液滴の蛍光情報を送信して定量解析を行うために用いられる。前記制御器50は、前記微小液滴生成装置10、前記温度制御装置20、蛍光信号検出装置30、及び、定量解析装置40にそれぞれ接続され、前記微小液滴生成装置10、前記温度制御装置20、蛍光信号検出装置30及び定量解析装置40を制御するために用いられる。
【0019】
前記デジタルPCR検出器1は、前記微小液滴生成装置10、前記温度制御装置20、前記蛍光信号検出装置30、及び、前記定量解析装置40を集積化するため、操作員に自動で操作を実現することができる。前記デジタルPCR検出器1は、比較的高い作業効率を有する。
【0020】
前記デジタルPCR検出器1が稼働している時に、前記微小液滴生成装置10は、前記検出すべき核酸増幅反応液を微滴化し、複数の微小液滴を形成することができる。前記温度制御装置20は、前記複数の微小液滴に、核酸を増幅する。前記蛍光信号検出装置30は、前記複数の微小液滴に、変化する蛍光のイメージをリアルタイムで撮影する。前記複数の微小液滴に係る変化する蛍光のイメージに基づいて、前記複数の微小液滴に、変化する蛍光曲線を取得することができる。前記変化する蛍光曲線に基づいて、前記複数の微小液滴のCt値を取得することができ、Ct値と初期コピー数との関係に基づいて、初期DNAの濃度を定量解析することができる。ただし、Ct値とは、各微小液滴の蛍光信号が所定閾値になるまで、経過した巡回数である。
【0021】
前記温度制御装置20は、前記複数の微小液滴を核酸増幅反応させ、前記蛍光信号検出装置30により、核酸増幅反応された前記複数の微小液滴の産物の信号(例えば、蛍光、紫外線吸収や濁度などの信号)を採集する。前記複数の増幅された微小液滴と増幅されなかった微小液滴との構成の相違により、標的配列増幅が得られた液滴数を解析して、核酸分子への定量解析を最終的に実現することができる。前記複数の微小液滴に係る変化する蛍光のイメージをリアルタイムでモニターすることにより、検出結果に直接性を持っているため、前記複数の微小液滴における偽陽性と偽陰性という問題を解決することができる。
【0022】
前記デジタルPCR検出器1は、前記微小液滴生成装置10、前記温度制御装置20、前記蛍光信号検出装置30、及び、前記定量解析装置40を集積化するため、前記操作員に自動で操作を実現するだけではなく、作業効率が高まり、反応が急速となり、再度利用性がよく、感度が高く、特異性が強く、また、結果が明確であるという利点を持っている。
【0023】
一実施例では、微小液滴が急速に生成され、体積に均一性が高い、微小液滴生成方法及び装置を提供する。
【0024】
図2を参照すると、一実施例では、前記微小液滴生成装置10が、液体吐出ピペットチップ110、流体駆動機構120、運動制御機構130及び第一の制御器170を含む。前記液体吐出ピペットチップ110は、出口端及び入口端を有し、第一の液体を貯留するために用いられる。微小液滴生成装置10は、微小液滴容器と協働して使用される。前記微小液滴容器は、第二の液体が貯留されており、前記液体吐出ピペットチップ110の出口端が前記第二の液体の液面下に挿入される。
【0025】
前記第一の液体と前記第二の液体とは、互いに非相溶を持ち、又は、界面反応を有する。第一の液体と第二の液体は、互いに非相溶を持ち、又は、界面反応を有する任意の二つの液体とされてもよい。本出願の一実施例では、前記第一の液体が水溶液であり、前記第二の液体が、水と互いに非相溶を持つ油性液体、例えば、鉱油(テトラデカンなどを含み)、植物油、シリコーンオイルやパーフルオロアルカンオイルなどであり、生成された液滴が水溶液の液滴となる。又は、前記第一の液体は、鉱油、例えば、テトラデカンとn-ヘキサンなどの有機相であり、前記第二の液体は、鉱油と互いに非相溶を持つパーフルオロアルカンオイルである。前記第一の液体と第二の液体は、互いに非相溶を持つ水性両相であってもよい。本出願の他の実施例では、前記第一の液体が水溶液であり、前記第二の液体は、水と互いに非相溶を持つ水性液体であり、例えば、第一の液体は、デキストラン溶液であり、第二の液体は、ポリエチレングリコール(PEG) 水溶液であり、生成された液滴は、デキストラン溶液の液滴となる。
【0026】
前記第一の液体と第二の液体は、界面反応を有する二つの液体であってもよい。本出願の一実施例では、前記第一の液体は、アルギン酸ナトリウム水溶液であり、前記第二の液体は、例えば、質量濃度が1%の酸化カルシウムの水溶液である酸化カルシウム水溶液であり、両者に界面反応を有し、生成された液滴は、アルギン酸カルシウムゲルの微小球となる。本出願では、液体吐出ピペットチップ、又は、液体吐出ピペットチップから流れた第一の液体の成分を交換することにより、順次に、開口とされた容器に複数の異なる成分や体積の液滴を形成してもよい。そして、バッチ処理で微小体積にハイスループットでスクリーニングを実現できると共に、複数のステップにより生化学での超微量反応・検出を実現できるので、幅広い応用の見通しを持っている。
【0027】
前記流体駆動機構120は、前記液体吐出ピペットチップ110の入口端に接続され、前記液体吐出ピペットチップ110の内部に貯留されている前記第一の液体を前記液体吐出ピペットチップ110の出口端から排出するために用いられる。前記運動制御機構130は、前記液体吐出ピペットチップ110の出口端が前記第二の液体に対して所定軌跡、所定速度、又は、所定加速度に従って対向運動し、前記液体吐出ピペットチップ110の出口端から排出された第一の液体が、表面張力、及び、前記液体吐出ピペットチップ110から受けられた付着力に打ち勝ち、微小液滴を形成するように制御するために用いられる。前記第一の制御器170は、前記流体駆動機構120及び前記運動制御機構130にそれぞれ接続され、前記流体駆動機構120及び前記運動制御機構130が協調して稼働するように制御するために用いられる。
【0028】
一実施例では、微小液滴の生成工程が安定である微小液滴生成方法を提供する。
【0029】
図3に示されるように、本出願に係る一実施例では、運動制御機構130の連動により、液体吐出ピペットチップ110の出口端112が第二の液体の液面下に、瞬間加速度運動を含む運動を行うことができ、ただし、加速度をa
1とする。第一の液体は、液体吐出ピペットチップ110の出口端112から排出されてから、液体吐出ピペットチップ110の出口端112に付着される液滴195を形成する。液滴195は、液体吐出ピペットチップ110の出口端112が瞬間加速度運動をする瞬間に、液体吐出ピペットチップ110の出口端112から脱離され、微小液滴を形成する。液体吐出ピペットチップ110の出口端112から脱離されるまで受けられた微小液滴の作用力は、それぞれ、重力G、第二の液体の浮力f
1、第二の液体の粘性抵抗f
2、及び、液体吐出ピペットチップ110の出口端112と液滴195との間の最大付着力f
3である。液体吐出ピペットチップ110の出口端112から脱離されるまでの微小液滴の質量をmとし、加速度をa
2とすると、ニュートン運動の第2法則により、
【0030】
液体吐出ピペットチップ110の出口端112と液滴195との間の付着力の最大値f
3は、液体吐出ピペットチップ110の表面自由エネルギー、液滴195の表面張力、及び、液体吐出ピペットチップ110の幾何学的寸法に関連されている。液体吐出ピペットチップ110の出口端112が瞬間加速度運動をする時に、液滴195に対する液体吐出ピペットチップ110の出口端112の付着力の方向及び加速度の方向は、同じである。液体吐出ピペットチップ110の出口端112に付着される液滴195を球状として簡略化する。ストークス(Stokes)の式により、第二の液体において運動する時に受けられた液滴195の粘性抵抗がf
2=6πηrvとなり、そのうち、ηが第二の液体の粘性係数であり、rが液滴195の半径であり、vが液滴195の運動速度である。液体吐出ピペットチップ110の出口端112が瞬間加速度運動をするまで、液滴195の速度がゼロであることから、液体吐出ピペットチップ110の出口端112が瞬間加速度運動をする瞬間で、第二の液体に受けられた液滴195の粘性抵抗f
2は、ゼロ又は極めて小さい。微小液滴の生成工程では、一般的に、液滴195の直径範囲がピコリットルからマイクロリットルのオーダーにあり、しかも、液滴195の重力Gと第二の液体の浮力f
1との方向が反対であることから、液滴195の重力Gと第二の液体の浮力f
1のベクトルの和がほぼゼロとなる。粘性抵抗f
2が、ゼロ又は極めて小さく、しかも、重力Gと浮力f
1のベクトルの和がほぼゼロであることから、
【0031】
運動制御機構130は、液体吐出ピペットチップ110の出口端112が瞬間加速度運動をする加速度の大きさを正確に制御することができる。従って、液体吐出ピペットチップ110の出口端112が各瞬間加速度運動をする加速度の値を比較的大きくするように制御すれば、液体吐出ピペットチップ110の出口端112が瞬間加速度運動をすることにより、液滴195を効果的に生成することができる。
【0032】
このことに基づいて、本出願がさらに提供する微小液滴生成方法は、
出口端112を有し、第一の液体を貯留している液体吐出ピペットチップ110を提供し、開口を有し第二の液体を貯留している微小液滴容器を提供し、そのうち、第一の液体と第二の液体は、互いに非相溶を持ち、又は、界面反応を有する任意の二つの液体とされるステップS201と、
液体吐出ピペットチップ110の出口端112を、微小液滴容器の開口より、第二の液体の液面下に挿入するステップS202と、
液体吐出ピペットチップ110の出口端112が第二の液体の液面下に、瞬間加速度運動を含む運動を行いながら、第一の液体を液体吐出ピペットチップ110の出口端112から排出し、液体吐出ピペットチップ110の出口端112から排出された第一の液体により、液体吐出ピペットチップ110の出口端112に付着される液滴195を形成し、液体吐出ピペットチップ110の出口端112が瞬間加速度運動をしている過程において、液滴195を液体吐出ピペットチップ110の出口端112から脱離して第二の液体の液面下に、微小液滴を形成するステップS203と、を含む。
【0033】
本出願に係る一実施例では、ステップS203に、液体吐出ピペットチップ110の出口端112が第二の液体の液面下に、瞬間加速度運動を含む運動を周期的に行う。液体吐出ピペットチップ110の出口端112が第二の液体の液面下に周期的に運動することは、液体吐出ピペットチップ110の出口端112の変位、速度又は加速度がいずれも周期性に変化するということを意味している。液体吐出ピペットチップ110の出口端112は、瞬間加速度運動を含む運動を周期的に行い、第一の液体を液体吐出ピペットチップ110の出口端112により一定の流速で排出するように協働し、微小液滴を等時間間隔で生成することを実現することができる。又は、第一の液体吐出ピペットチップ110の出口端112の流速は、変化しているものの、液体吐出ピペットチップ110の出口端112による一つの運動周期に、第一の液体吐出液体吐出ピペットチップ110の出口端112の体積が同じく保持される。そして、体積の一致する微小液滴を生成するように、液体吐出ピペットチップ110の出口端112が各瞬間加速度運動を行う前に、液滴195の体積が同じであることを確保する。
【0034】
液体吐出ピペットチップ110又は第一の液体が交換されない場合に、液体吐出ピペットチップ110の表面自由エネルギー、液体吐出ピペットチップ110の幾何学的寸法、及び、液滴195の表面張力は、液体吐出ピペットチップ110の出口端112と液滴195との間の最大付着力f3に影響を与える二つの要素として、変化しない。従って、液体吐出ピペットチップ110又は第一の液体が交換されない場合に、液体吐出ピペットチップ110の出口端112と液滴195との間の付着力の最大値f3は、変化しない。流体駆動機構120の連動により、第一の液体が均一な流速で液体吐出ピペットチップ110の出口端112から連続して排出される。運動制御機構130は、液体吐出ピペットチップ110の出口端112が瞬間加速度a1に従って加速度運動するタイミング、及び、瞬間加速度a1の大きさを正確に制御することができる。流体駆動機構120と運動制御機構130とが互いに協働することは、液滴195の体積が一定値になる瞬間で、液体吐出ピペットチップ110の出口端112に加速度がa1となる瞬間加速度運動を生じさせるように駆動して、体積の一致する微小液滴を形成するということを容易に実現することができる。流体駆動機構120は、第一の液体を液体吐出ピペットチップ110の出口端112から均一かつ連続で排出するように制御することができれば、運動制御機構130駆動液体吐出ピペットチップ110の出口端112が等時間に瞬間加速度運動を行うように駆動するということだけで、体積の一致する微小液滴を生成することができる。
【0035】
複数の液体吐出ピペットチップ110を用いて微小液滴を同時又は順次に生成する時に、液体吐出ピペットチップ110の表面自由エネルギー及び液体吐出ピペットチップ110の幾何学的寸法は、液体吐出ピペットチップ110の出口端112と液滴195との間の最大付着力f3に影響を与える二つの要素として、変化する。しかしながら、バッチ処理の加工によれば、液体吐出ピペットチップ110の表面自由エネルギー及び液体吐出ピペットチップ110の幾何学的寸法が一定の区間で変化するように制御することができる。液滴195の表面張力は、液体吐出ピペットチップ110の出口端112と液滴195との間の最大付着力f3に影響を与えるもう一つの要素として、極めて小さい範囲だけに変化する。従って、液体吐出ピペットチップ110の出口端112と液滴195との間の付着力の最大値f3も、極めて小さい空間だけに波動する。流体駆動機構120は、第一の液体が均一な流速で連続して液体吐出ピペットチップ110の出口端112から排出されるように駆動することができる。運動制御機構130は、液体吐出ピペットチップ110の出口端112が瞬間加速度a1に従って加速度運動するタイミング及び瞬間加速度a1の大きさを正確に制御することができる。流体駆動機構120と運動制御機構130が互いに協働すると、液滴195の体積が一定値になる瞬間に、駆動液体吐出ピペットチップ110の出口端112が、a1という加速度で、瞬間加速度運動を行い、体積の一致する微小液滴を生成することを容易に実現することができる。流体駆動機構120は、第一の液体を液体吐出ピペットチップ110の出口端112から均一かつ連続で排出するように制御することができれば、運動制御機構130により、液体吐出ピペットチップ110の出口端112が等時間間隔に瞬間加速度度運動を行うように駆動するということだけで、体積の一致する微小液滴を生成することができる。
【0036】
流体駆動機構120は、第一の液体を均一な速度で液体吐出ピペットチップ110の出口端112から排出しながら、運動制御機構130が、液滴195の体積が所定値になる瞬間に、比較的大きい加速度に従って、瞬間加速度運動をするように協働する。本出願が提供する微小液滴生成方法は、一つの液体吐出ピペットチップ110だけにより、体積が均一な液滴195を生成することができると共に、複数の液体吐出ピペットチップ110により同時又は順次に生成された微小液滴の体積も均一性を持っていることを確保することができる。本実施例が提供する微小液滴生成方法は、微小液滴の体積の均一性を確保することができると共に、複数の液体吐出ピペットチップ110により同時に微小液滴を生成することができることから、微小液滴の生成効率が向上する。
【0037】
さらに、運動制御機構130の制御により、液体吐出ピペットチップ110の出口端112は、一つの周期性運動に複数の瞬間加速度運動が含まれており、複数の瞬間加速度運動の加速度の大きさが同じ、しかも、複数の瞬間加速度運動のタイミングを介して液体吐出ピペットチップ110の出口端112による一つの運動周期が均一に分けられる。液体吐出ピペットチップ110の出口端112は、一つの周期性運動に複数の瞬間加速度運動が含まれることは、液体吐出ピペットチップ110の出口端112により一つの運動周期内に複数の微小液滴を生成することに役立つ。好ましくは、ステップS203に、第二の液体の液面下に、液体吐出ピペットチップ110の出口端112の運動軌跡は、直線セグメント、円弧セグメントや多角形形状などの多種類の軌跡の一つ又は複数の組み合わせが含まれる。一つの実施可能な形態として、液体吐出ピペットチップ110の出口端112は一つの周期性運動に二つの瞬間加速度運動が含まれると、液体吐出ピペットチップ110の運動軌跡は、直線又は円弧とされる。液体吐出ピペットチップ110の出口端112は一つの周期性運動に二つ以上の瞬間加速度運動が含まれると、第二の液体における液体吐出ピペットチップ110の出口端112の軌跡は、正三角形、正方形、正五角形や正六角形などを含む正多角形の形状とされる。
【0038】
一つの実施可能な形態として、ステップS203に、液体吐出ピペットチップ110の出口端112が第二の液体の液面下に周期的に運動する工程では、液体吐出ピペットチップ110の出口端112の速度が矩形波状に変化する。液体吐出ピペットチップ110の出口端112の速度が矩形波状に変化し、加速の段階が完了した直後に、均一な速度の段階に移行するということは、運動制御機構130により、液体吐出ピペットチップ110の出口端112の運動状態を正確に制御することに役立つ。好ましくは、液体吐出ピペットチップ110の出口端112の運動速度の変化を示す矩形波状のハイレベルタイミング及びローレベルタイミングは、同等でもよく、相違でもよい。さらに、ステップS203では、液体吐出ピペットチップ110の出口端112が第二の液体の液面下に周期的に運動する工程は、液体吐出ピペットチップ110の出口端112の速度が方形波状に変化する。液体吐出ピペットチップ110の出口端112の運動速度の変化を示す矩形波状のハイレベルタイミング及びローレベルタイミングは、同等である。液体吐出ピペットチップ110の出口端112の運動速度の変化を示す矩形波状がローレベルに位置する時に、液体吐出ピペットチップ110の出口端112の速度がゼロであり、又は、ハイレベルに位置する時の方向と反対方向の速度を有する。
図4に示されるように、さらに、前記液体吐出ピペットチップ110の出口端112が周期的に運動する周期の前半及び後半において、前記液体吐出ピペットチップ110の出口端112の速度は、それらの大きさが同じであり、それらの方向が反対である。液体吐出ピペットチップ110の出口端112の一つの運動周期に、二つの反対方向に、瞬間加速度運動が含まれる。
【0039】
本実施例では、第二の液体の液面下に液体吐出ピペットチップ110の出口端112の運動軌跡は、直線セグメントとされ、液体吐出ピペットチップ110の出口端112が、直線セグメントの一つの端点から、瞬間加速度運動を行い始め、直線セグメントの他の端点から反対方向に瞬間加速度運動を行う。二つの瞬間加速度運動の加速度は、共にa1とされる。他の実施例では、第二の液体の液面下に液体吐出ピペットチップ110の出口端112の運動軌跡は、円弧セグメント又は多角形形状とされる。さらに、ステップS203に、液体吐出ピペットチップ110の出口端112が第二の液体の液面下に周期的に運動する頻度は、0.1Hz乃至200Hzにある。そうすると、プロジェクトでは、実現されやすい。
【0040】
図4及び
図5に示されるように、本出願の一つの具体的な実施例では、流体駆動機構120は、第一の液体を一定の流速で液体吐出ピペットチップ110の出口端112から排出するように制御する。運動制御機構130は、液体吐出ピペットチップ110の出力端が、直線とされる運動軌跡で、方形波状に変化する速度で、周期的に運動するように制御する。液体吐出ピペットチップ110の出口端112の速度方向が変化する時に、液体吐出ピペットチップ110の出口端112が瞬間加速度運動をする加速度が最大値になる。液体吐出ピペットチップ110の出口端112に付着された液滴195も、液体吐出ピペットチップ110の出口端112が瞬間加速度運動をする加速度が最大値になった時に、液体吐出ピペットチップ110の出口端112から脱離して、微小液滴199を形成する。第一の液体が、一定流速で、液体吐出ピペットチップ110の出口端112から排出されることから、液滴195が液体吐出ピペットチップ110の出口端112から脱落する時に、新たな液滴195が生成状態に移行する。液体吐出ピペットチップ110の出口端112が再度、反対方向に加速度運動を行う時に、新たに生成された液滴195も液体吐出ピペットチップ110の出口端112から落下して新たな微小液滴199を形成する。
【0041】
本実施例では、液体吐出ピペットチップ110の出口端112は、一つの運動周期に二つの微小液滴199を生成することができ、方形波状がプロジェクトで実現されやすい。他の実施例では、液体吐出ピペットチップ110の出口端112は、一つの運動周期に、一つの微小液滴199を生成する。好ましくは、実施例では、液体吐出ピペットチップ110の出口端112は、第二の液体699において、任意方向に、直線とされる軌跡で速度が方形波状で変化する運動を行う。この運動は、例えば、液体吐出ピペットチップ110の伸長方向と垂直する平面内に、直線とされる軌跡で速度が方形波状で変化する運動、液体吐出ピペットチップ110の伸長方向に対して任意角度とされる平面に、直線とされる軌跡で速度が方形波状で変化する運動、液体吐出ピペットチップ110の伸長方向に、直線とされる軌跡で速度が方形波状で変化する運動などが含まれる。本出願の他の実施例では、液体吐出ピペットチップ110の出口端112の運動軌跡が円弧セグメント又は多角形の形状とされる時に、液体吐出ピペットチップ110の出口端112が第二の液体699において任意方向に、円弧セグメント又は多角形の形状とされる軌跡で速度が方形波状で変化する運動は、液体吐出ピペットチップ110の伸長方向と垂直する平面に、円弧セグメント又は多角形の形状とされる軌跡で速度が方形波状で変化する運動、液体吐出ピペットチップ110の伸長方向に対して任意角度とされる平面に、円弧セグメント又は多角形の形状とされる軌跡で速度が方形波状で変化する運動、液体吐出ピペットチップ110の伸長方向に直線とされる軌跡で速度が方形波状で変化する運動などが含まれる。
【0042】
一実施例では、前記微小液滴199は、検出すべき核酸増幅反応液であり、前記微小液滴生成装置10により、前記検出すべき核酸増幅反応液を微滴化し、複数の微小液滴を形成し、前記デジタルPCR検出器1により検出を行うために用いられる。前記検出すべき核酸増幅反応液は、一体式とされるデジタルPCR検出器1の微小液滴生成装置10により、微滴化という処理を介して、複数の微小液滴199に転換され、検出すべき試料における検出すべき断片が多量で複雑な背景から分離され、微小液滴容器60に置かれて、検出を待機される。微小液滴生成装置10により、複数の大きさが均一な微小液滴199を生成することができる。各前記微小液滴199の大きさがミクロンオーダであり、しかも、各前記微小液滴199が、独立する一つの反応器として取り扱われるため、生化学反応に、よく使われる試験管と相当できる。観察を便宜にするように、前記複数の微小液滴199を微小液滴容器60に置く。同時に、前記微小液滴生成装置10により、複数の異なる体積となる微小液滴を生成することができるため、医学臨床の検出に適用されてもよい。前記複数の微小液滴199は、体積が小さく、数が多いことから、数多くの普通な試験管にない優位性を有している。前記微小液滴生成装置10により、微小液滴199を多量に生成できるので、前記デジタルPCR検出器1にスループットが高く、消耗品としてコストが低く、背景にノイズが低い、という利点を有し、より良い工業化の見通しが存在している。
【0043】
一実施例では、昇降温の速度が早く、耐用年数が長い温度制御装置を提供する。
【0044】
図7、8に示されるように、本出願がさらに提供する温度制御装置20は、フレキシブル回路基板220と、前記フレキシブル回路基板220と間隔配置される加熱基板240と、複数の半導体熱電対230とを含む。前記加熱基板240は、対向配置される第一の表面241及び第二の表面242を含む。前記複数の半導体熱電対230は、前記フレキシブル回路基板220と前記第一の表面241との間に配置される。前記複数の半導体熱電対230が互いに直列接続され、並列接続され、又は、直列列接続されている。
【0045】
前記温度制御装置20は、一般的に、高低温の循環の環境に応用されており、温度を急速に昇降させる必要があるため、前記温度制御装置20に対する要求が極めて高い。前記温度制御装置20に応用のニーズを満たせるように、前記温度制御装置20に、前記フレキシブル回路基板220が用いられる。前記フレキシブル回路基板220は、配線の密度が高く、重さが軽く、厚さが薄く、折り曲げ性がよい、という利点を有している。前記フレキシブル回路基板220は、昇降温の工程において自体の変形により熱応力を解消できる。前記フレキシブル回路基板220により、昇降温の工程に存在する熱応力が低減可能であるため、前記温度制御装置20の耐用年数を延ばすことができる。同時に、前記フレキシブル回路基板220により、温度分布が均一でないという問題を解決することができる。前記複数の微小液滴に、異なる温度範囲に核酸を増幅する時に、前記フレキシブル回路基板220、加熱基板240及び複数の半導体熱電対230により、僅か数秒時間に切り替えを急速に実現することができる。そして、前記温度制御装置20は、瞬間に昇降温を実現することができ、昇降温の工程が短縮化し、高低温の循環が実現され、前記デジタルPCR検出器1の検出時間が短縮化し、検出に効率が向上する。
【0046】
前記フレキシブル回路基板220(Flexible Printed Circuit 、FPC)は、ポリイミド(Polyimide)又はポリエステルフィルムを素材として形成され、高度な確実性、特に優れる可撓性を有する印刷回路基板であってもよい。前記フレキシブル回路基板は、配線の密度が高く、重さが軽く、厚さが薄く、折り曲げ性がよいという利点を有している。前記フレキシブル回路基板は、重さが軽く、厚さが薄く、製品に体積を効果的に省くことができる。そのうち、前記サーモエレクトリック・クーラ(Thermo Electric Cooler、TEC)は、半導体材料によりペルチェ効果により製造されたものである。いわゆるペルチェ効果とは、直流電流が二つの半導体材料からなる熱電対を流す時に、その一方端が吸熱し他方端が放熱するという現象である。前記フレキシブル回路基板220により、従来のサーモエレクトリック・クーラの一つの基板に代えて、前記サーモエレクトリック・クーラの熱伝導の性能をより良くすることができる。
【0047】
温度が変わったときに、物体に、外部からの制限、及び、内部における各部分間の互いの制限により、完全に自在膨張・収縮できず、応力が生じる。熱応力は、温度変化による応力とも称する。熱応力とゼロの外部負荷との高度なバランスは、熱変形が約束されて、自体に生じたバランスとなる応力であり、高い温度に圧縮が生じ、低い温度に伸長という変形が生じる。ある条件では、応力を制御することにより、合理的な分布を取り、部品に機械性能や耐用年数を延ばし、有害なものを、利益的なものに変えることができる。
【0048】
一実施例では、前記加熱基板240は、アルミニウム超伝導基板回路であってもよい。
【0049】
アルミニウム基板は、良い放熱性能を持つ金属基材銅張り板であり、一般的に、片面板は、回路層(銅箔)、絶縁層及び金属基層という三つの層からなる構造である。前記アルミニウム超伝導基板回路は、配線回路板の材料がアルミニウム合金とされ、熱伝導が速い。アルミニウム基板は、熱抵抗が最も低く、極めて優れる熱伝導性能を持ち、膜が厚いセラミック回路に比べると、その機械性能も極めて優れる。
【0050】
図9に示されるように、一実施例では、前記半導体熱電対230は、一つのP型の熱電素子231と、前記P型の熱電素子231に間隔配置される一つのN型の熱電素子232と、を含む。
【0051】
前記P型の熱電素子231と前記N型の熱電素子232とは、前記フレキシブル回路基板220と前記基板240との間に溶接される。前記半導体熱電対230は、複数の前記P型の熱電素子231と前記N型の熱電素子232とで形成された、対となる熱電対を含み、複数の対となる前記半導体熱電対230の間に電極が接続され、前記フレキシブル回路基板220と前記第一の表面241との間に介在される。電流が流れると、「熱」側及び「冷」側が生じる。冷却するか加熱するか、及び、冷却や加熱の速度についても、その電流方向及び大きさにより決められている。対となる前記半導体熱電対230により生成した熱電效応が非常に小さいことから、実際に、生じる熱電效応を大きくするように、数百対の前記半導体熱電対230を直列接続することが多い。
【0052】
一実施例では、前記第一の表面241は、間隔配置されている複数の第一の電極片243を含み、一つの前記第一の電極片243が一つの前記半導体熱電対230に対応し、前記半導体熱電対230における前記P型の熱電素子231と前記N型の熱電素子232とは、前記第一の電極片243を介して直列接続される。
【0053】
一実施例では、前記フレキシブル回路基板220は、間隔配置され、かつ、互いに直列接続される複数の第二の電極片221を含み、隣接する二つの前記半導体熱電対230は、一つの前記第二の電極片221と直列接続される。
【0054】
前記P型の熱電素子231と前記N型の熱電素子232とが結合された前記半導体熱電対230に電流が流れると、両端間に熱量が移転され、熱量が一方端から他方端に移転することにより生じた温度差により冷却・発熱端が形成される。しかしながら、前記P型の熱電素子231と前記N型の熱電素子232は、自体に存在する電気抵抗により、電流が前記P型の熱電素子231と前記N型の熱電素子232とを流れると、熱量が生じることから、熱伝導に影響を与えてしまう。さらに、前記フレキシブル回路基板220と前記加熱基板240との間の熱量は、空気、及び、前記P型の熱電素子231と前記N型の熱電素子232との材料自体を介して反対方向に熱伝導をすることもある。冷却・発熱端が一定の温度差になり、この二つの熱伝導量が等しくなると、一つのバランスポイントで、順方向及び逆方向の熱伝導が互いに相殺することになる。この時、冷却・発発熱端の温度がこれ以上に変化しない。また、より低い温度を得るために、放熱などの方式で発熱端の温度を低くさせてもよい。
【0055】
一実施例では、前記温度制御装置20は、前記第二の表面242に配置される熱伝導強化層250をさらに含む。
【0056】
前記熱伝導強化層250は、特によい強度、柔軟、電気伝導、熱伝導や光学特性を有している。前記熱伝導強化層250は、前記微小液滴容器60に直接接触することにより、前記複数の微小液滴への熱伝導を均一にするように、温度を制御して核酸を増幅することが実現される。前記熱伝導強化層250は、グラファイト熱伝導層又はシリコーングリース熱伝導層であってもよい。そうすると、熱伝導が速く、前記加熱基板240の前記第二の表面242に温度の均一性が向上し、前記微小液滴容器60に近い表面に温度が均一となるということを確保でき、前記複数の微小液滴への熱伝導を均一することができる。また、核酸の増幅が完了し、検出効率が向上し、時間が短縮化する。
【0057】
一実施例では、前記熱伝導強化層250は、その材料にグラフェンが含まれる。前記グラフェンは、平面の薄膜であり、特に良い熱伝導の性能を有し、横方向に均一な熱伝導がされる。
【0058】
一実施例では、前記温度制御装置20は、前記フレキシブル回路基板220に電気接続され、電流を制御するための第二の制御器210をさらに含む。
【0059】
一実施例では、前記温度制御装置20は、前記第二の表面242に配置され、前記第二の制御器210に電気接続され、前記第二の表面242の温度を検出して前記第二の制御器210に送信するための温度センサー260をさらに含む。
【0060】
前記温度センサー260は、前記熱伝導強化層250の前記第二の表面242に配置され、前記第二の表面242のリアルタイムの温度を検出し、温度の情報を前記第二の制御器210にフィードバックすることにより、前記複数の微小液滴に対する加熱温度を制御することができる。前記温度センサー260は、金属の電気抵抗の変化を検出することにより、前記微小液滴容器60の温度を測量し、また、前記複数の微小液滴に核酸を増幅する工程において温度の変化をリアルタイムで検出し、温度の情報を前記第二の制御器210にフィードバックすることにより、前記制御回路により温度を調整するように制御し、温度制御を実現することができ、より良い核酸の増幅を目指すことが可能である。
【0061】
一実施例では、前記第二の制御器210は、温度制御手段212及び制御回路214を含む。前記温度制御手段212は、前記温度センサー260に接続され、前記第二の表面242の温度をリアルタイムで検出するために用いられる。前記制御回路214は、前記フレキシブル回路基板220に接続され、前記複数の半導体熱電対230の温度の変化を調整して制御するために用いられる。
【0062】
前記温度制御手段212と前記制御回路214とは、一つの回路基板に配置される。前記温度制御手段212と前記制御回路214との関係は、内部のアルゴリズムの論理演算の関係であり、PIDクローズループ制御アルゴリズムというPacket Identifierのクローズループ制御アルゴリズムが採用されてもよい。前記温度制御手段212により検出された温度が内部アルゴリズムの入力として、核酸増幅の温度フィードバックであり、前記制御回路214により計算された結果が内部アルゴリズムの出力とされることにより、クローズループという関係が形成される。回路部分の温度フィードバックは、実際に、一つのサンプリング回路とされる。採集されたのは白金抵抗による電気信号であり、温度値に変換されてから制御回路の入力端に送信される。前記温度センサー260は、前記温度制御手段212に標準化する白金抵抗三線式で接続される。
【0063】
一実施例では、前記フレキシブル回路基板220は、第一の電極222及び第二の電極223が配置されている。前記複数の第二の電極片221は、直列接続されてから前記第一の電極222及び前記第二の電極223に直列接続される。前記第一の電極222及び前記第二の電極223は、前記制御回路にそれぞれ接続される。
【0064】
前記制御回路214と前記フレキシブル回路基板220とは、前記第一の電極222及び前記第二の電極223に、二つの配線を介して、それぞれ接続される。
【0065】
一実施例では、前記温度制御装置20は、放熱装置270をさらに含み、前記放熱装置270は、基板271、及び、前記基板271に接続される放熱フィン272を含む。前記フレキシブル回路基板220は、前記基板271の表面に配置される。
【0066】
前記放熱フィン272は、前記基板271の表面に配置されていることから、前記基板271の面積を少なくしないが熱交換の面積をさらに増加してきたため、前記基板271の表面に作用する涼しい風の時間を延ばし、複数の放熱ダクトを形成し、熱交換を速く行うことに役立つに加えて、より多い熱量を前記基板271の表面から逃がして、より理想な放熱効果を達することができる。
【0067】
一実施例では、前記温度制御装置は、前記放熱フィン273の周りを囲むように配置されるファン273を含む。
【0068】
前記ファン273により、前記放熱装置270による放熱を支援してもよい。そのうち、前記ファン273は、前記放熱フィン273の周りに複数配置されてもよい。そうすると、より優れた放熱の効果が実現され、前記温度制御装置20への昇降温をより急速に行うことができる。
【0069】
一実施例では、前記温度制御装置20に交流電力を流すと、前記第二の制御器210により電流の大きさを調節することにより、前記温度制御装置20を冷却させるか加熱させるか、及び、この冷却や加熱の速度を制御することができる。同時に、前記温度センサー260により、前記微小液滴容器60の加熱温度をリアルタイムで検出し、温度の情報を前記温度制御手段212にフィードバックする。前記温度制御手段212は、温度が変化した旨を前記制御回路214にフィードバックし、前記複数の微小液滴の温度を制御する。前記温度制御装置20により、前記複数の微小液滴に核酸を増幅することができる。PCRには、三つのステップの原理を元に、変性-アニーリング-伸長という三つの温度点を配置する。標準反応に三つの温度点法を用いることにより、二本鎖DNAを90~95℃で変性させ、再度急速に40~60℃まで冷却し、プライマーをアニーリングして標的配列と結合し、次に、急速に70~75℃まで昇温し、Taq DNAポリメラーゼの作用により、プライマーの鎖を鋳型に沿って延ばして、適宜な温度範囲に、核酸を増幅する。同時に、核酸を増幅する工程では、前記微小液滴容器60の底部が前記温度制御装置20にぴったりと貼り合わせられ、両者間に隙間が無くなると、前記デジタルPCR検出器1に正確性が向上する。
【0070】
図10を参照すると、前記温度制御装置20については、一般的な場合に、温度制御の性能をテストする主な二つの指標として、それぞれ、瞬間状態と安定状態で、前記温度制御装置20の昇降温度の変化を検出するということである。前記複数の微小液滴の加熱工程をモニターすることにより、前記温度制御装置20が前記複数の微小液滴を温度昇降する時に、昇降温の速度が最大で13.34448℃/sとなり、制御の精度が0.02722℃となる。しかも、前記温度制御装置20の昇温が安定状態になるまで測量された速度が最速で18.953894℃/sとなることもある。従って、前記温度制御装置20は、その瞬間的なレスポンスが良く、前記温度制御装置20により、瞬間に昇降温を実現でき、時間が短縮化し、検出の効率が向上する。
【0071】
図11を参照すると、前記温度制御装置20が安定状態にある時に、つまり、安定になった後に、温度が浮動する場合を示す。前記温度制御装置20が安定状態にある時に、温度の変化が比較的安定し、温度の浮動が比較的小さい。従って、前記温度制御装置20は、急速に昇降温による循環を実現でき、しかも、安定された後に温度の浮動が比較的小さいことから、デジタルPCRで溶液試料を検出する時間を省いて、作業効率が向上する。このような昇降温の速度により、核酸に増幅を済ませる必要な時間を省いて、核酸増幅の効率が向上すると共に、デジタルPCRによる検出システムに正確性が向上する。
【0072】
図6を参照すると、一実施例では、前記蛍光信号検出装置30は、励起光源340、蛍光検知アセンブリ330及び第三の制御器310を含む。前記励起光源340は、前記微小液滴容器60の検出領域の上方に配置され、前記微小液滴容器60の検出領域に対して傾斜角度で照射し、傾斜照射光路を形成する。前記蛍光検知アセンブリ330は、前記微小液滴容器60の検出領域の直上に配置され、前記複数の微小液滴に蛍光画像を採集するために用いられる。前記第三の制御器310は、前記励起光源340及び前記蛍光検知アセンブリ330にそれぞれ接続され、前記励起光源340及び前記蛍光検知アセンブリ330を制御するために用いられる。前記蛍光信号検出装置は、微小液滴に複数の蛍光チャネルでイメージングを行い、明視野・暗視野でイメージングを行うことができる。そのうち、複数の蛍光チャネルによるイメージングは、微小液滴の反応信号を検知するためのものであり、明視野・暗視野によるイメージングは、微小液滴を形成するサイズの情報を検出し、反応工程において液滴状態をモニターするために用いられる。
【0073】
一実施例では、前記第三の制御器310は、前記励起光源340の移動を制御しているが、この時に、前記蛍光検知アセンブリ330と前記微小液滴容器60とが移動しない。言い換えると、この時、前記励起光源340の移動により、前記複数の微小液滴を蛍光検出する。又は、前記第三の制御器310は、前記蛍光検知アセンブリ330の移動を制御しているが、この時に、前記微小液滴容器60と前記励起光源340とが移動しないように、前記複数の微小液滴を蛍光検出する。又は、前記第三の制御器310は、前記微小液滴容器60の移動を制御しているが、前記蛍光検知アセンブリ330と前記励起光源340とが移動しないように、前記複数の微小液滴を蛍光検出する。前記第三の制御器310は、前記励起光源340、前記蛍光検知アセンブリ330、及び、前記微小液滴容器60の位置移動を調節し、対向運動が生じると、検出領域における前記微小液滴容器60と前記蛍光検知アセンブリ330とが合わせられ、撮影により蛍光検出する工程全体が済む。
【0074】
前記励起光源340の放射する光路を、前記複数の微小液滴に傾斜照射することにより、前記微小液滴容器60に蛍光物質を含んでいる微小液滴に蛍光を生じさせる。前記蛍光検知アセンブリ330により、前記蛍光物質を含んでいる微小液滴に蛍光情報を採集し、前記蛍光物質を含んでいる微小液滴を蛍光情報として蛍光画像の形式で前記定量解析装置40に送信し、定量解析を行う。
【0075】
前記微小液滴容器60上方から、傾斜角度で前記微小液滴容器60に照射する。前記蛍光信号検出装置30により、前記複数の微小液滴に周期性に二次元走査を行いながら、リアルタイムで撮影する。傾斜照射光路により、効果的に、励起光の散乱の背景を低減し、蛍光検出の感度を上がることができる。前記微小液滴容器60における前記複数の微小液滴の内部の蛍光が励起され、前記蛍光検知アセンブリ330により、前記複数の微小液滴に蛍光画像を採集する。
【0076】
前記励起光源340は、前記複数の微小液滴に、蒸発、原子化や励起を行うに必要なエネルギーを提供する。前記励起光源340は、スペクトルバンド幅が狭く、周波数スペクトルの純度が高く、波長の安定性が良く、効率が高く、耐用年数が長く、確実性が良く、光束の品質が良いなどの利点を有していることから、検出結果に正確性や安定性が確保されえる。
【0077】
一実施例では、前記励起光源340は、複数の異なる色のLED光源341、ダイクロイックミラー344、複眼レンズ345及び集光レンズ346を含む。各前記LED光源341は、それらの先端に、順次にコリメータミラー342及び第一の光学フィルター343が設けられる。前記ダイクロイックミラー344は、前記第一の光学フィルター343の先端に傾斜配置され、各前記LED光源341の放射した光を一つの光路に屈折するために用いられる。前記複眼レンズ345は、屈折された前記光路の均一性を高めるために用いられる。前記集光レンズ346は、前記複眼レンズ345の先端に配置され、集光してイメージングするために用いられる。
【0078】
前記複数の異なる色のLED光源341は、励起光源340として、異なる色の蛍光を生成し、検出チャネルを増やし、異なる種類の微小液滴を検出することができる。各前記LED光源341は、その先端に、順次に、前記コリメータミラー342及び前記第一の光学フィルター343が設けられる。前記コリメータミラー342は、光束が導くシステムに用いられ、レーザ共振チャンバーと集光光学素子との光束のコリメーションを維持するために用いられる。しかも、前記LED光源341は、前記第一の光学フィルター343により、必要な周波数帯の光を励起光として分離することができる。前記ダイクロイックミラー344、前記複眼レンズ345及び前記集光レンズ346などの光学鏡を利用して、励起光を、平行又は集光の光束に変えて、チップにおける複数の液滴が含まれている領域に照射して、励起の領域を形成すると共に、励起光を、前記微小液滴容器60における前記複数の微小液滴に励起する。
【0079】
一実施例では、前記励起光源340と前記蛍光検知アセンブリ330とは、一体形成とされてもよく、個別に形成されてもよい。
【0080】
前記蛍光信号検出装置30を傾斜角度で前記微小液滴容器60に照射する時に、前記蛍光信号検出装置30は、前記複数の微小液滴に周期性に二次元走査を行いながら、リアルタイムで撮影することができる。前記蛍光信号検出装置30を傾斜角度で前記微小液滴容器60に照射することにより、効果的に励起光の散乱の背景を低減させ、蛍光検出の感度を上がることができる。前記微小液滴容器60内の前記複数の微小液滴の内部蛍光は、励起されると、前記第二の光学フィルター333を通過し、上方の前記対物レンズ332に集められてから、前記カメラ331に進入し、前記カメラ331により前記複数の微小液滴に蛍光画像を採集する。
【0081】
前記第一の光学フィルター343は、必要な放射周波数帯の光学器件を選択することに用いられる。前記第一の光学フィルター343は、プラスチック又はガラス片に、特別な種類の染料を添加してなされたものであり、赤色光学フィルターは、赤色光のみを通過する。このように、類推する。ガラス片の透過率は、そもそも、空気とほぼ同じであり、すべての色を通過できるわけではないため、透明であり、しかし、染料により着色された後に、分子の構造が変化し、屈折率も変化した。ある種類の光を通過することも、併せて変化する。例えば、一つの白光が青色光学フィルターを通過すると、射出されたのは青色光となり、含まれている緑色光や赤色光が極めて少なく、数多くの光は光学フィルターに吸収された。前記ダイクロイックミラー344は、前記第一の光学フィルター343の先端に傾斜配置され、各前記LED光源341の放射した光を一つの光路に屈折する。前記複眼レンズ345は、屈折された前記光路の均一性を高めるために用いられる。前記集光レンズ346は、前記複眼レンズ345の先端に配置され、集光してイメージングするために用いられる。前記集光レンズ346は、屈折率分布型レンズに該当し、端面で集光とイメージングの特性を有し、また、円柱状とされる見かけの特徴を有することから、多種類の異なるマイクロ式光学システムに適用されえる。
【0082】
前記第三の制御器310により、前記複数の異なる色のLED光源341間に切り替えを制御して、異なる蛍光検出チャネルを構成することができる。前記複数の異なる色のLED光源341は、交替で作業してもよく、個別に配置する交替リング(交替用部材)が必要とされない。
【0083】
前記コリメータミラー342は、反射式コリメータミラーと透過式コリメータミラーに分けられる。反射式コリメータミラーと透過式コリメータミラーは、光束を導くシステムに用いられ、レーザ共振チャンバーと集光光学素子との光束のコリメーションを維持するために用いられる。反射式コリメータミラーは、一般的に、銅製全反射ミラーが用いられる一方、透過式コリメータミラーは、セレン化亜鉛レンズが用いられる。
【0084】
一実施例では、前記蛍光検知アセンブリ330は、対物レンズ332、カメラ331、及び、第二の光学フィルター333を含み、前記対物レンズ332が前記カメラ331と前記第二の光学フィルター333との間に配置される。
【0085】
前記第二の光学フィルター333は、マルチバンドパスフィルタが用いられる。前記マルチバンドパスフィルタは、ある種類の染料とそれぞれ対応する複数の周波数帯の光を同時に通過することができる。バイオメディシンに蛍光による検査・解析システムでは、物質の励起光や放射蛍光の特徴の周波数帯のスペクトルを分離して選択する。分子は、吸収帯に、励起スペクトルを吸収してから、放射帯に長波の放射スペクトルを放射し、即ち、蛍光スペクトルを形成する。
【0086】
前記複数の微小液滴に蛍光画像を生成することは、主に、前記カメラ331によりなされる。前記カメラ331は、光学映像をデジタル信号に変換することができる。前記カメラ331に、数多くの揃った容量が配列されているので、光線を励起して、映像をデジタル信号に変換することができる。各小容量は、外部回路の制御により、その電荷を、隣接する他の容量に転送することができる。前記カメラ331により、前記複数の微小液滴に蛍光を採集することから、直観的に視認できる蛍光画像を提供し、蛍光検出の速度が向上し、検出結果がより正確になる。
【0087】
前記蛍光信号検出装置30により、前記複数の微小液滴を蛍光でイメージングし、一回だけ、一定数の前記複数の微小液滴に蛍光画像を撮影し、画像処理の技術に基づいて、画像における液滴の蛍光を自動識別して液滴の蛍光情報を取得することができる。
【0088】
前記微小液滴容器60における前記複数の微小液滴の内部の蛍光は、励起されると、前記第二の光学フィルター333を通過し、上方の前記対物レンズ332に集められ、前記カメラ331に進入し、前記カメラ331により、前記複数の微小液滴に蛍光イメージを採集する。
【0089】
一実施例では、連続照射による蛍光の退色を避けるように、コンピューターにより、前記LED光源341の起動と前記カメラ331の採集とを同期に行わせる。採集されていない状態では、前記LED光源341が、そのまま、閉じた状態を維持する。
【0090】
前記ダイクロイックミラー344は、前記第一の光学フィルター343の先端に傾斜設置され、各前記LED光源341の放射した光を一つの光路に屈折するために用いられる。前記ダイクロイックミラー344の原理とは、その内部に透明な方解石(Iceland spar)を置いて、光線を二つの垂直する振動光に分解して、ダイクロイックミラーを介して、それぞれ、この二つの光線の色を観察するということである。
【0091】
前記複眼レンズ345は、屈折された前記光路に均一性を高めるために用いられる。前記複眼レンズ345は、一連の小レンズにより組み合わせて形成され、二つの配列の複眼レンズマトリックスを照明システムに適用すると、高い光エネルギーの利用率及び大きい面積に均一な照明を取得することができる。二つの配列の複眼レンズマトリックスによれば、均一な照明を実現でき、複数の異なる色の前記LED光源に均一性及び照明の輝度が向上し、自体と、観察される物体との方位や距離を効果的に算出し、より正確な蛍光イメージを取得することができる。前記複眼レンズマトリックスにより均一な照明を実現するには、二つの配列の複眼レンズマトリックスが平行して配列され、第一の列複眼レンズマトリックスにおける各個の小単位としてのレンズの焦点が第二の列の複眼レンズマトリックスにおける対応する小単位レンズの中心と一致しており、二つの配列の複眼レンズの光軸が互いに平行し、第二の列複眼レンズの後方に集光鏡を設置し、集光鏡の焦平面に照明スクリーンを設置して均一な照明システムを形成することが必要となる。
【0092】
前記複眼レンズマトリックスは、均一な照明を実現する原理が以下の通りである。光軸と平行する光束は、第一のレンズを通過して第二のレンズの中心に集光され、第一の配列の複眼レンズにより光源を複数の光源像として形成して照明を行い、第二の配列の複眼レンズの各小レンズが第一の配列の複眼レンズにおける対応する小レンズを照明面に重ねてイメージングする。第一の配列の複眼レンズは、光源の広い光束全体を複数の細かい光束に分けて照明を行い、しかも、各細かい光束の範囲内に不均一性について、対称位置に位置する細かい光束が互いに重なり合うことから、細かい光束の不均一性が補償され、アパーチャ全体内の光エネルギーを効果的に用いることが可能である。第二の配列の複眼レンズから出射されたスポットは、集光鏡を介して、照明スクリーンに集光されることから、照明スクリーンにおいて各スポットが、いずれも、光源における各点から放射された光線により照射され、同時に、光源における各点から放射された光束も、さらに、いずれも、照明スポットによる同一の視野範囲に重なれることから、一つの均一な方形スポットが得られる。
【0093】
前記第三の制御器310により、前記複数の異なる色のLED光源341間に切り替えを制御することができる。前記第三の制御器310は、前記複数の異なる色のLED光源341及び前記カメラ331を同期に起動する。前記複数の微小液滴の蛍光画像を生成することは、主に、前記カメラ331によりなされる。前記カメラ331は、光学映像をデジタル信号に変換可能である。前記カメラ331には、数多くの揃った容量が配列され、光線が励起され、映像をデジタル信号に変換する。各小容量は、外部回路の制御により、その電荷を、隣接する他の容量に転送することができる。前記カメラ331により前記複数の微小液滴の蛍光を採集することにより、直観的に視認できる蛍光の画像を提供し、蛍光検出の速度を上がり、検出結果をより正確にすることができる。
【0094】
図6を参照すると、一実施例では、前記励起光源340は、五つの異なる色のLED光源341、五つの前記コリメータミラー342、五つの前記第一の光学フィルター343、四つの前記ダイクロイックミラー344、一つの前記複眼レンズ345及び一つの集光レンズ346を含む。前記五つの異なる色のLED光源341は、異なる色の光を生成し、前記複数の微小液滴に照射することができる。前記五つの異なる色のLED光源341を選択することにより、異なる蛍光色の照射を取得することができる。前記五つの異なる色のLED光源341は、交替で作業する。各LED光源から放射された光路は、直前に、前記コリメータミラー、前記第一の光学フィルター343及びダイクロイックミラー344が順次に配置される。前記コリメータミラー342及び前記第一の光学フィルター343は、光路に対して垂直角度で配置(90°という角度で配置)される。前記ダイクロイックミラー344は、光路角度に対して0°~45°で配置される。前記ダイクロイックミラー344により形成された一つの光路により、前記光路の直前に、前記複眼レンズ345及び前記集光レンズ346が順次配置される。前記複眼レンズ345は、前記集光レンズ346と光路に対して垂直角度で配置(90°という角度で配置)される。
【0095】
前記集光レンズ346の光路は、前記複数の微小液滴に傾斜照射されることにより、前記微小液滴容器における蛍光物質を含んでいる微小液滴に蛍光が生成される。前記蛍光検知アセンブリ330により、前記蛍光物質を含んでいる微小液滴に蛍光情報を採集し、前記蛍光物質を含んでいる微小液滴について蛍光情報を蛍光画像の形式でコンピューターに送信し、定量解析を行う。
【0096】
一実施例では、前記励起光源340においては、前記LED光源341、前記コリメータミラー342、前記第一の光学フィルター343、前記ダイクロイックミラー344、前記複眼レンズ345及び前記集光レンズ346について、それらの数が限定されない。
【0097】
前記励起光源340は、前記微小液滴容器60に傾斜照射され、前記複数の微小液滴に照射するために用いられる。前記励起光源340により形成された傾斜照射光路は、励起光の散乱の背景を効果的に低降することができる。同時に、前記微小液滴容器60の前記微小液滴容器60の側壁の高さを下げることにより、励起光を側方から照射すると発生した影を排除することに役立ち、前記カメラ331により微小液滴の全ての蛍光情報を取得し、前記蛍光信号検出装置30に感度を上がるようにすることができる。
【0098】
一実施例では、前記定量解析装置40は、コンピューターである。前記蛍光信号検出装置30により、前記複数の微小液滴の蛍光情報の写真を取得することができる。前記コンピューターには、取得された前記複数の微小液滴の蛍光情報を定量解析することを実現するために用いられる、例えば、matlab、microsoft office、origin及びMicrosoft Office visual.c ++などの解析ソフトウェアがインストールされている。
【0099】
一実施例では、前記制御器50は、前記第一の制御器170、前記第二の制御器210及び前記第三の制御器310にそれぞれ接続され、前記微小液滴生成装置10、前記温度制御装置20、蛍光信号検出装置30及び定量解析装置40の稼働を制御するために用いられる。
【0100】
前記微小液滴生成装置10は、前記検出すべき核酸増幅反応液を微滴化し、複数の微小液滴を形成する。そして、前記温度制御装置20により前記複数の微小液滴を加熱する工程では、前記蛍光信号検出装置30を用いて前記複数の微小液滴に蛍光の変化画像をリアルタイムで撮影する。前記定量解析装置40により、前記複数の微小液滴に蛍光の変化画像を解析して、前記複数の微小液滴のCt値を取得し、Ct値と初期コピー数との関係に基づいて、初期核酸の濃度を定量解析する。
【0101】
前記デジタルPCR検出器1は、前記微小液滴生成装置10、前記温度制御装置20、前記蛍光信号検出装置30及び前記定量解析装置40を集積化するため、前記操作員に一体式とされるデジタルPCR検出器1を介して自動で操作を実現し、前記デジタルPCR検出器1の作業効率が向上する。
【0102】
前記微小液滴生成装置10は、前記検出すべき核酸増幅反応液を微滴化し、複数の微小液滴を形成する。そして、前記温度制御装置20により、前記複数の微小液滴に核酸増幅を行う。同時に、前記蛍光信号検出装置30を使用して、前記複数の微小液滴に蛍光変化イメージをリアルタイムで撮影する。前記複数の微小液滴の蛍光変化イメージに基づいて、前記複数の微小液滴に蛍光の変化曲線を取得する。前記蛍光の変化曲線に基づいて、前記複数の微小液滴のCt値を取得し、Ct値と初期コピー数との関係に基づいて初期DNAの濃度を定量解析する。ただし、Ct値とは、各微小液滴の蛍光信号が所定の閾値になるまで経過した巡回数を指す。
【0103】
前記微小液滴生成装置10により生成されたのは、均一な大きさの微小液滴であり、温度制御装置20により、前記複数の微小液滴を核酸増幅反応させ、例えば、蛍光、紫外線吸収、濁度などの産物信号を採集する。前記複数の増幅された微小液滴と増幅されなかった微小液滴との構成の相違により、標的配列増幅が得られた液滴数を解析して、核酸分子への定量解析を最終的に実現することができる。前記複数の微小液滴に係る変化する蛍光のイメージをリアルタイムでモニターすることにより、検出結果に直接性を持っているため、前記複数の微小液滴における偽陽性と偽陰性という問題を解決することができる。
【0104】
一実施例では、前記微小液滴生成装置10は、前記検出すべき核酸増幅反応液を微滴化し、複数の微小液滴を形成する。ただし、前記微小液滴生成装置10により生成された微小液滴は、その大きさが均一である。そして、前記温度制御装置20により、前記複数の微小液滴に核酸増幅を行う。それと同時に、前記蛍光信号検出装置30を用いて、前記複数の微小液滴に蛍光の変化画像をリアルタイムで撮影する。前記複数の微小液滴の蛍光の変化画像に基づいて、前記複数の微小液滴に蛍光の変化曲線を取得する。前記蛍光の変化曲線に基づいて、前記複数の微小液滴のCt値を取得することが可能である。そして、Ct値と初期コピー数との関係に基づいて、初期核酸の濃度を定量解析する。
【0105】
そのうち、Ct値において、CがCycleを示す。リアルタイムの蛍光PCRにおいて、Ct値とは、各前記微小液滴内に蛍光信号が所定の閾値になるまで経過した巡回数を指す。
【0106】
PCR循環は、Ct値が所在する巡回数になる時に、真の指数増幅期(対数期)に移行したばかりであるため、この時に微小誤差がまだ拡大されていないため、Ct値の再現性が極めて良く、即ち、同一の核酸鋳型において異なる時間で増幅したり、又は、同一時間で異なる微小液滴の容器内に増幅したりすることにより得られたCt値は、一定となる。前記微小液滴に対応する蛍光曲線が増幅曲線である場合に、前記微小液滴に標的遺伝子成分を含むことが表れる。前記微小液滴に対応する蛍光曲線が一つの直線である場合に、前記微小液滴に標的遺伝子成分を含まないことが表れる。取得されたリアルタイムの蛍光曲線に基づいて、Ct値を取得し、各微小液滴にCt値が取得される時に、前記リアルタイムの蛍光曲線に導関数を導出して、前記リアルタイムの蛍光曲線に傾きが一定である蛍光曲線の初期循環回数は、必要なCt値である。
【0107】
前記デジタルPCR検出器1による検出工程は、主に、検出すべき核酸増幅反応液の製造、検出すべき核酸増幅反応液の微滴化、核酸増幅、蛍光情報の採集及び定量解析という五つの工程が含まれる。
図12を参照すると、一実施例では、デジタルPCR検出器による解析方法は、検出すべき核酸増幅反応液を製造するステップS10と、前記検出すべき核酸増幅反応液を微滴化し、複数の微小液滴を形成するステップS20と、前記複数の微小液滴に核酸増幅を行い、前記複数の微小液滴に蛍光情報をリアルタイムで取得するステップS30と、前記複数の微小液滴の蛍光情報に基づいて、前記複数の微小液滴を定量解析するステップS40と、を含む。一実施例では、前記ステップS10には、検出すべき核酸増幅反応液を製造することを含む。前記核酸増幅反応液に、検出すべき核酸の鋳型、反応緩衝水溶液、デオキシリボヌクレオシド三リン酸、プライマー、ポリメラーゼ及び産物マーク物質などが含まれている。
【0108】
そのうち、核酸増幅反応液は、デオキシリボ核酸(DNA)を鋳型とする核酸増幅反応液(DNA増幅反応液とも呼ばれる)であってもよく、リボ核酸(RNA)を鋳型とする逆転写核酸増幅反応液(RNA逆転写反応液とも呼ばれる)であってもよく、例えば、ループ介在等温増幅(LAMP)反応液である他の核酸増幅反応液であってもよい。そのうち、前記DNA増幅反応液の特徴としては、DNAを増幅させるに必要なdNTP、緩衝液、無機塩イオン、ポリメラーゼ、プライマー、検出すべきDNA鋳型及び蛍光染料又は蛍光プローブなどを含んでいるということである。反応液における蛍光染料又は蛍光プローブは、核酸の増幅を示すことができ、SYBR GreenなどのDNAと結合される蛍光染料であってもよく、例えばTaqMan蛍光プローブなどの蛍光基とクエンチ基との両方を含むオリゴ糖ヌクレオチドプローブでもよい。
【0109】
一実施例では、デジタルPCRにのみ用いられ、セットとなる試薬及び溶液を用意して、鋳型DNAの試料に対する外来DNAの潜在的な汚染を減少し又は回避する。使用される機器及び消耗品の全ては、高温で殺菌され、高温乾燥で処理されるべきである。前記待検出核酸増幅反応液は、その成分が、増幅すべき鋳型DNA、鋳型を増幅させる特異性のオリゴヌクレオチドプライマー、耐熱性のDNAポリメラーゼ、四つの種類のデオキシリボヌクレオチド三リン酸基質、2価金属カチオンMg2+、Taqmanプローブ又は蛍光染料及びPCR緩衝液などを含む。
【0110】
一実施例では、前記検出すべき核酸増幅反応液を製造する時に、Taqmanプローブにより、前記検出すべき核酸増幅反応液をマークしてもよい。一実施例では、前記検出すべき核酸増幅反応液を製造する時に、SYBRの蛍光染料により、前記検出すべき核酸増幅反応液をマークする。一実施例では、前記ステップS20では、前記検出すべき核酸増幅反応液を微滴化し、複数の微小液滴を形成するということは、瞬間加速度運動による微小液滴生成方法、及び、周期的に変化する速度による微小液滴生成方法という二つの微小液滴生成方法を含む。前記微小液滴生成装置10により、前記検出すべき核酸増幅反応液に微滴化処理を行うことにより、バッチで生産された微小液滴を取得し、前記デジタルPCR検出器1による検出に用いられる。そのうち、前記駆動液体は、前記検出すべき核酸増幅反応液と互いに非相溶性を持ち、しかも、互いに影響しない、液体である。前記第一の液体190は、前記検出すべき核酸増幅反応液であり、前記第二の液体699が油相混合物である。
【0111】
製造された核酸増幅反応液が前記微小液滴生成装置を通過すると、バッチ生産で微小液滴を製造することができる。前記複数の微小液滴を製造する工程では、前記複数の微小液滴の検出を便宜にするように、前記複数の微小液滴を前記微小液滴容器内に置く。一実施例では、前記微小液滴生成装置10により、前記第二の液体に多量の微小液滴を生成し、前記複数の微小液滴間に互いに溶解されないということを保持することができる。
【0112】
一実施例では、前記ステップS30には、前記複数の微小液滴を前記微小液滴容器に平らに敷き詰めるステップS310と、敷き詰められた前記複数の微小液滴に核酸増幅を行うステップS320と、前記複数の微小液滴が核酸増幅されている時に、前記複数の微小液滴をリアルタイムで撮影検出するステップS330と、を含む。
【0113】
図13を参照すると、一実施例では、前記ステップS310には、微小液滴敷き詰め方法を含む。前記微小液滴敷き詰め方法は、開口631を有し第二の液体699を貯留している微小液滴容器60を提供するステップS311と、密度が前記第二の液体699のほうよりも大きく、しかも、前記第二の液体699と互い非相溶性を持ち第一の液体190を提供し、前記第一の液体190により生成された複数の微小液滴を前記微小液滴容器の底板610に積み重ねるステップS312と、前記複数の微小液滴が前記容器底板610に敷き詰められるまで、前記複数の微小液滴に高低温で循環を行うステップS313と、を含む。
【0114】
複数の微小液滴は、前記微小液滴容器60に生成され、前記微小液滴容器60の前記容器底板610に落下して、不規則に積み重なる。多量の微小液滴が前記容器底板610に落下した場合に、前記容器底板610に多層の微小液滴が形成されることになる。しかも、微小液滴生成装置で製造された複数の微小液滴は、下向きに降下する工程において、微小液滴容器の中央の箇所に集まられてしまうため、観察されにくい。
【0115】
図14を参照すると、前記ステップS10では、複数の微小液滴が微小液滴容器60に落下し、前記複数の微小液滴が前記微小液滴容器の底板610に積み重なると、前記複数の微小液滴が前記微小液滴容器の底板610に多層の微小液滴を形成する。蛍光信号を検出する工程では、前記複数の微小液滴を撮影する時に、多層間に互いに影響が存在しており、前記複数の微小液滴への撮影・検出に影響を与えてしまう。従って、前記複数の微小液滴を貯蔵している前記微小液滴容器60に、高低温で循環を行う。前記複数の微小液滴が前記微小液滴容器の底板610に敷き詰められ、バッチ生産で前記微小液滴が前記反応セル612に敷き詰められるまで、多量の液滴を大規模で平行観測できるように、前記複数の微小液滴に複数回だけ高低温で循環を行う。
【0116】
前記温度制御装置20により、高低温で循環を行い、熱膨張収縮の原理に基づいて、敷き詰めを行う。物体は、温度が上がる時に、分子の運動エネルギーが増加し、分子の平均自由行程が増加していることから、熱膨張と表現される。同様に、物体は、温度が下がる時に、分子の運動エネルギーが減少し、分子の平均自由行程が減少していることから、収縮と表現される。温度が変化するのに伴い、温度が上がると、試料の液滴の粘度が低くなり、体積が收縮される。同時に、温度が高いほど粘度が低い。温度が60℃程度となる時に、試料の液滴の形状が最も柔らかく、この時に、形状が概ね六角形を呈ている一方、他の温度の場合に、試料の液滴の形状が変化しにくく、液滴容器における敷き詰めが形成されにくい。
【0117】
一実施例では、前記温度制御装置20により高低温で循環を行うステップは、以下の通りである。まず、前記複数の微小液滴が90℃~95℃まで昇温するように加熱し、5分~10分だけ加熱する。そして、前記複数の微小液滴が40℃~60℃まで降温するように、30s~60sだけアニーリングして伸長する。最後に、複数の、0℃~10℃まで降温するように順次に複数回だけ循環を行い、前記複数の微小液滴を保存する。
【0118】
一実施例では、前記温度制御装置20により、高低温で循環を行うステップは、さらに、まず、前記複数の微小液滴が昇温するように加熱し、95℃の温度まで加熱し、10分だけ加熱すること(前記複数の微液を95℃まで加熱し、10分だけ加熱するということは、前記複数の微小液滴中の酵素をホットスタートさせるためである)、次に、前記複数の微小液滴について、酵素へのホットスタートが完了した時に、前記複数の微小液滴を30sだけ変性させること、次に、前記複数の微液が変性された後に、55℃まで降温し、45sだけアニーリングして伸長し、前記複数の微小液滴を撮影し、45回だけ循環を行うこと、最後に、45回だけ循環を行った後に、4℃まで降温し、前記複数の微液を長時間に渡って保存する、ことを含む。
【0119】
前記検出すべき核酸増幅反応液は、前記微小液滴生成装置10により、複数の微小液滴を生成し、検出を行うために用いられる。前記微小液滴生成装置10により製造された前記複数の微小液滴は、下向きに降下する工程において、前記微小液滴容器60における中央の箇所に集められてしまうため、観察されにくい。従って、前記複数の微小液滴について核酸増幅反応と関連する情報をより正確に取得するように、前記複数の微小液滴を前記微小液滴容器に敷き詰めることが必要となる。前記複数の微小液滴を前記微小液滴容器に敷き詰め、一層だけ形成することにより、多層の微小液滴間に相互影響が避けられ、前記蛍光信号検出装置30により、より正確な蛍光情報を撮影して検出して、定量解析を便宜にすることができる。
【0120】
PCR反応条件は、温度、時間及び循環回数である。
【0121】
温度と時間の配置については、PCRの原理を元に、三つのステップにより、変性-アニーリング-伸長という三つの温度点を配置する。標準反応に三つの温度点法を用いると、二本鎖DNAが90~95℃で変性し、再び、40~60℃まで迅速に冷却され、プライマーアニーリングと共に、標的配列に結合されてから、急速に70~75℃まで昇温され、Taq DNAポリメラーゼによる作用で、プライマーの鎖が鋳型に沿って延ばされる。一方、比較的短い標的遺伝子(長さが100~300bpであるとき)について、二つの温度点法を用いてもよい。変性温度以外に、アニーリングと伸長温度とを両者で一つに統合し、一般的に、94℃で変性し、65℃程度でアニーリングと伸長(この温度では、Taq DNA酵素が依然として比較的高い触媒の活性を持っている)を行う。
【0122】
変性温度と時間については、変性温度が低いことによる不完全な解鎖が、PCRが失敗となってしまうということにとって主な原因であり。一般的に、場合によって、鋳型とされるDNAを変性させるために93℃~94℃が十分であり、93℃よりも低いと時間を延長することが必要となる。また、温度が高すぎるようにならない。それは、高温の環境において、酵素の活性に影響を与えたからである。このステップでは、標的とされる遺伝子の鋳型、又は、PCRの産物を完全に変性させないと、PCRの失敗が招致されてしまうことになる。
【0123】
アニーリング(annealing)温度と時間について、アニーリング温度が、PCRの特異性に影響を与える比較的重要な要素である。変性された後に、急速に温度40℃~60℃まで冷却するということにより、プライマーと鋳型とを結合させることができる。鋳型DNAがプライマーのほうよりも遥かに複雑であるため、プライマーと鋳型との間の衝突結合のチャンスが遥かに鋳型の相補鎖間の衝突のほうよりも高い。アニーリング温度と時間は、プライマーの長さ、塩基組成とその濃度、ひいては、標的基の配列の長さにより決められている。20個のヌクレオチドを含み、G+C含量が約50%のプライマーについて、55℃を最適なアニーリング温度の起点として選択すると、比較的理想なものである。
【0124】
許容範囲には、比較的高いアニーリング温度を選択すると、プライマーと鋳型との間に非特異性の結合を可及的に減少すると共に、PCR反応に特異性を向上させることができる。アニーリング時間は、一般的に、30sec~60secとされると、プライマーと鋳型との間に完全に結合させることができる。
【0125】
伸長温度と時間については、Taq DNAポリメラーゼの生物学的活性は、70~80℃で150個のヌクレオチド/S/酵素分子となり、70℃で、60個のヌクレオチド/S/酵素分子となり、55℃で、24個のヌクレオチド/S/酵素分子となり、90℃以上である場合に、DNAがほぼ、合成されない。
【0126】
故に、PCR反応の伸長温度は、一般的に、70~75℃という範囲に選択され、よく使われる温度が72℃とされ、高すぎる伸長温度がプライマーと鋳型との結合に役立たない。PCR伸長反応の時間は、増幅すべき断片の長さにより選択されてもよい。一般的に、1Kb以内のDNA断片について、伸長時間を1分とすると、十分である。3~4kbの標的配列は、3分~4分とされ、10Kbだけ増幅しようとすると、15分まで延長される必要がある。伸長時間は、長すぎると、非特異性を持つ増幅帯の現れがある。低濃度とされる鋳型の増幅については、伸長時間を少々長くする必要がある。
【0127】
一実施例では、前記ステップS320において、前記複数の微小液滴に核酸を増幅するステップは、以下の通りである。まず、前記微小液滴容器60を前記温度制御装置20の前記加熱基板240に置く。そして、前記複数の微小液滴が昇温するように加熱し、温度95℃まで上がり、10分だけ加熱する。前記複数の微液を95℃まで加熱し、10分だけ加熱するということは、前記複数の微小液滴中の酵素にホットスタートを行わせるためである。次に、前記複数の微小液滴に、酵素へのホットスタートが完了した後に、前記複数の微小液滴を30sだけ変性させる。前記複数の微液が変性した後に、再度、55℃まで降温し、45sだけアニーリングして伸長し、45回だけ循環を行う。最後に、45回だけ循環を行った後に、4℃まで降温し、前記複数の微液を長時間に渡って保存する。
【0128】
前記温度制御装置20は、前記フレキシブル回路基板220と前記熱伝導強化層250とにより、前記微小液滴容器60に温度分布が均一となり、前記サーモエレクトリック・クーラが、熱伝導の性能を向上させるようにする。前記複数の微小液滴は、異なる温度範囲に、核酸の増幅が行われる時に、前記熱伝導強化層250の表面に配置された温度センサー260が前記第二の制御器210に接続されると、前記微小液滴容器60の温度をリアルタイムで検出し、温度の情報を前記第二の制御器210にフィードバックし、前記複数の微小液滴を加熱する温度を制御し、また、迅速に僅か数秒の時間に切り替えることが実現される。前記温度制御装置20は、瞬間に昇降温を実現できるため、昇降温の工程が短くなり、高低温で循環が実現でき、前記デジタルPCR検出器1による検出時間が短くなり、検出の効率が向上する。
【0129】
一実施例では、前記複数の微小液滴に核酸を増幅する工程では、前記蛍光信号検出装置30により、前記複数の微小液滴を撮影して検出する。
【0130】
前記蛍光信号検出装置30により、前記複数の微小液滴に蛍光をイメージングし、一回だけ、一定数の前記複数の微小液滴に蛍光画像を撮影し、画像処理の技術に基づいて、画像における液滴蛍光を自動で識別して、液滴の蛍光情報を取得することができる。
【0131】
一実施例では、前記蛍光信号検出装置30が撮影するステップにより、前記微小液滴容器60において各微小液滴について、45個の蛍光イメージが取得されて定量解析に用いられる。
【0132】
一実施例では、前記ステップS330に、前記複数の微小液滴に核酸を増幅する時にリアルタイムで前記複数の微小液滴を撮影して検出するステップは、以下の通りである。
【0133】
前記複数の微小液滴が昇温するように加熱し、95℃の温度まで加熱し、10分だけ加熱する。前記複数の微液を95℃まで加熱し、10分だけ加熱するということは、前記複数の微小液滴中の酵素をホットスタートさせるためである。次に、前記複数の微小液滴について、酵素へのホットスタートが完了した時に、前記複数の微小液滴を30sだけ変性させる。次に、前記複数の微液が変性された後に、55℃まで降温し、45sだけアニーリングして伸長し、前記複数の微小液滴を撮影し、45回だけ循環を行う。最後に、45回だけ循環を行った後に、4℃まで降温し、前記複数の微液を長時間に渡って保存する、こと。
【0134】
前記集光レンズ346の光路を前記複数の微小液滴に傾斜照射することにより、前記微小液滴容器60に含まれる蛍光物質の微小液滴に蛍光が生じるようにする。前記蛍光検知アセンブリ330により、前記蛍光物質を含んでいる微小液滴について蛍光情報を採集すると共に、前記蛍光物質を含んでいる微小液滴について、その蛍光情報を蛍光画像の形式でコンピューターに送信して、定量で解析を行う。
【0135】
前記蛍光イメージングの検出方法によれば、一回だけ、一定数の前記微小液滴に蛍光画像を撮影し、次に、画像処理技術に基づいて、画像における液滴蛍光に自動で識別を行い、液滴の蛍光情報を取得することができる。前記蛍光イメージングの検出方法によるイメージング範囲は、大きいことから、検出の場合に、前記微小液滴が位置する検出環境に対する要求が比較的低い。
【0136】
一実施例では、前記核酸検出すべき試料は、DNAを含有する検出すべき試料である。前記微小液滴生成装置10により生成された均一な大きさの微小液滴は、温度制御装置20により、前記複数の微小液滴を核酸増幅反応させ、例えば、蛍光、紫外線吸収や濁度などの産物信号を採集する。前記複数の増幅された微小液滴と増幅されなかった微小液滴との構成の相違により、標的配列増幅が得られた液滴数を解析して、核酸分子への定量解析を最終的に実現することができる。微小液滴を加熱する工程では、前記複数の微小液滴に蛍光変化イメージをリアルタイムで撮影して、複数の微小液滴のCt値を取得して、Ct値と初期コピー数との関係に基づいて初期DNAの濃度に定量解析を行う。
【0137】
標的とされるDNAを含んでいる微小液滴が増幅された後に、その蛍光信号の強度が一定のレベルに達すると、陽性と示され、DNAの含量がゼロである微小液滴に、蛍光信号がほぼ検出されなかった場合に、陰性と見なされている。
【0138】
デジタルPCRにおける微小液滴に含まれている初期DNAコピー数をxとすると、数理統計学の理論によれば、x=k(k=0、1、2、3.....)の確率分布関数Pがポアソン分布の確率モデルに該当しており、そのうち、λが微小液滴に含まれている平均の分子コピー数である。
【0139】
従って、前記ポアソン分布モデルの期待値μと分散σ2によれば、期待値μがλであり、分散σ2がλであると分かる。従って、デジタルPCRにおいて、各微小液滴に含まれる標的DNA分子のコピー数がλであることから、求められたλ値により核酸を定量で検出することが実現されえる。
【0140】
前記検出すべき核酸増幅反応液については、その総体積をV(各微小液滴の体積がv)とすると、前記検出すべき核酸増幅反応液の濃度c(copy/μL)が、
【0141】
故に、λの値を取得できれば、DNAを定量で検出することができる。
【0142】
そのうち、リアルタイム蛍光定量PCRに内部標準の付与を必要としないということは、Ct値の再現性、及び、Ct値と初期DNA濃度との線形の関係による。PCR循環は、Ct値が位置する巡回数になると、真の指数増幅期(対数期)に入ったばかりであり、この時に、微小誤差がまだ拡大されないことから、Ct値の再現性が極めてよく、即ち、同一DNA鋳型を異なる時間で増幅したり、同一時間で異なる微小液滴容器内に増幅したりすることにより得られるCt値が一定である。
【0143】
前記微小液滴と対応する蛍光曲線が増幅曲線である時に、前記微小液滴に標的遺伝子成分を含むと表現される。前記微小液滴と対応する蛍光曲線が直線である時に、前記微小液滴に標的遺伝子成分を含まないと表現される。
【0144】
取得されたリアルタイムの蛍光曲線に基づいて、Ct値を取得し、各微小液滴のCt値を取得する時に、前記リアルタイムの蛍光曲線に導関数を導出して、前記リアルタイムの蛍光曲線の傾きが一定となる蛍光曲線の初期循環回数は、必要なCt値となる。
【0145】
一実施例では、微小液滴生成装置10により、複数の体積が均一な微小液滴を生成することができる。各前記微小液滴の大きさは、ミクロンレベルにある。前記複数の微小液滴の体積が均一になる場合に、前記複数の微小液滴の蛍光情報に基づいて、前記複数の微小液滴を定量で解析する。
【0146】
図15を参照すると、前記ステップS40は、デジタルPCR定量検出方法を含む。前記デジタルPCR定量検出方法は、微小液滴の全てについて複数のリアルタイムの蛍光画像を取得し、前記複数のリアルタイムの蛍光画像に基づいて、核酸増幅された微小液滴にリアルタイムの蛍光曲線を取得するステップS4110と、前記リアルタイムの蛍光曲線に基づいて、核酸増幅された微小液滴の全てのCt値を取得するステップS4120と、前記Ct値と核酸増幅された微小液滴の核酸初期コピー数との関係に基づいて、核酸増幅された微小液滴の全ての核酸初期コピー数を取得するステップS4130と、前記核酸増幅された微小液滴の全ての核酸初期コピー数に基づいて、前記核酸初期コピー数の度数分布を取得するステップS4140と、前記核酸初期コピー数の度数分布に基づいて、ポアソン分布のパラメータλを計算するステップS4150と、を含む。
【0147】
前記デジタルPCR定量検出方法により、その結果が偽陽性や偽陰性であるという問題が解決される。シークエンシングプラットフォームの試料は、ハイスループット性を持っているため、数百個の試料を同時に検出することができる。また、異なる種類の蛍光により、複数のローカスを検出することができ、そして、検出に速度が速く、試験するためのコストが低下する。デジタルPCR検出器を用いて微滴化処理を行うと、希有な検出断片を多量の複雑な背景から分離させ、大幅に操作手間を簡単にして、効果的に用意時間や検出時間を省いて、しかも、結果の読み取りにも直観的で確実であり、安定で実施できるという利点を持ち、検出に感度や正確性が共に正確で、定量の要求が満たされており、検出に感度や正確性が向上する。
【0148】
一実施例では、前記ステップS4110は、
各リアルタイムの蛍光画像に基づいて、核酸増幅された各微小液滴の蛍光強度値を取得するステップS4111と、
前記核酸増幅された各微小液滴の蛍光強度値に基づいて、核酸増幅された各微小液滴のリアルタイムの蛍光曲線を取得するステップS4113と、
前記核酸増幅された各微小液滴の蛍光曲線に基づいて、前記核酸増幅された微小液滴の全てのリアルタイムの蛍光曲線を取得するステップS4115と、を含む。
【0149】
一実施例では、前記ステップでは、前記複数の微小液滴の蛍光画像を採集し、画像追跡を行う。各微小液滴にリアルタイムの蛍光曲線を取得する時に、各画像における各微小液滴について、それぞれ、位置決め、各微小液滴の蛍光強度を取得する必要がある。前記デジタルPCR検出器では、イメージングシステムに、前記蛍光画像の各画素と対応する実際的な比が何であるかについて定められる。前記蛍光画像に基づいて、前記微小液滴の直径と対応する数の画素を抽出し、直径と対応するミクロンを取得すると、前記微小液滴の直径が何であるかについて算出することができる。
【0150】
一実施例では、各微小液滴を追跡する時に、各温度循環工程に撮影された写真に基づいて、NCAST画像の差分とクラスタリングの演算を行い、各微小液滴の位置を識別して、前記複数の微小液滴に蛍光強度を取得してもよい。
【0151】
一実施例では、一つの温度循環工程になされた微小液滴の移動距離は、一つの微小液滴の直径以下である場合に、以下方法で微小液滴に追跡を行う。
【0152】
そのうち、各微小液滴に追跡を行う時に、各微小液滴の画像を追跡するステップは、まず、温度循環工程毎に撮影された写真を識別し、各微小液滴の円心位置を取得し、次に、現在に識別される各微小液滴の円心位置と、前回循環工程における各微小液滴の円心位置とを比較し、最後に、現在に識別される各微小液滴の円心位置と前回循環工程中の各微小液滴の円心位置の円心との距離が一つの微小液滴直径よりも小さい場合に、同一の微小液滴と示される。
【0153】
一実施例では、各温度循環工程における各微小液滴の蛍光強度値に基づいて、各微小液滴の蛍光曲線を取得する。温度循環工程毎に各微小液滴の各箇所の蛍光強度値に、和を算出することにより、それを、所定のタイミングでの各微小液滴の蛍光強度値として取得する。
【0154】
一実施例では、隣接する各微小液滴のエッジ箇所に互いに影響を与えないように、所定のタイミングでの各微小液滴の蛍光強度値について、その一部を加算する方式を用いてもよい。温度循環工程毎に、前記複数の微小液滴の蛍光強度値に基づいて、前記複数の微小液滴が循環工程全体に渡って変化する事情を取得して、各微小液滴の蛍光曲線を取得する。
【0155】
一実施例では、微小液滴について45回だけ循環を行い、45個の蛍光イメージを取得する。この45個の蛍光イメージにおける各微小液滴に、位置決めて、各微小液滴の45個の蛍光強度値を取得して、各微小液滴の蛍光曲線を取得する。
【0156】
一実施例では、前記ステップS4120は、
核酸増幅された各微小液滴のリアルタイムの蛍光曲線に導関数を導出し、前記核酸増幅された各微小液滴のリアルタイムの蛍光曲線の傾きを取得するステップS4121と、
前記核酸増幅された各微小液滴のリアルタイムの蛍光曲線の傾きに基づいて、前記核酸増幅された各微小液滴のリアルタイムの蛍光曲線の傾きのうち、数値が変化しない傾きを取得するステップS4123と、
前記傾きが変化しない数値に基づいて、その対応する初期巡回数を核酸増幅された各微小液滴のCt値として取得する、ステップS4125と、
前記核酸増幅された各微小液滴のCt値に基づいて、前記核酸増幅された微小液滴の全てのCt値を取得するステップS4127と、を含む。
【0157】
一実施例では、前記ステップS4120は、
核酸増幅された各微小液滴のリアルタイムの蛍光曲線に基づいて、核酸増幅された各微小液滴の蛍光閾値の欠失値を取得するステップS4122と、
核酸増幅された各微小液滴の蛍光閾値の欠失値に基づいて、その対応する巡回数を、核酸増幅された各微小液滴のCt値として取得するステップS4124と、
前記核酸増幅された各微小液滴のCt値に基づいて、前記核酸増幅された微小液滴の全てのCt値を取得するステップS4126と、をさらに含む。
【0158】
そのうち、Ct値において、CがCycleを示し、tがthresholdを示し、Ct値とは、各反応管内に蛍光信号が所定の閾値になるまで経過した巡回数を意味している。
【0159】
一実施例では、PCR反応が行われる際に先の15個の循環される蛍光信号を蛍光バックグラウンド信号として、また、3-15個の循環される蛍光信号の標準偏差の10倍を蛍光閾値の欠失配置とし、即ち、threshold=10×SDcycle 3-15となる。前記蛍光閾値の欠失値thresholdによれば、対応する巡回数を、前記Ct値として取得する。
【0160】
一実施例では、前記S4130では、前記各微小液滴のCt値と前記各微小液滴のDNA初期コピー数の対数との間に、線形の関係が存在している。
【0161】
一実施例では、各鋳型(DNA)のCt値と該鋳型(DNA)の初期コピー数の対数との間に、線形の関係が存在している。前記線形の関係は、
として示される。
そのうち、x
0は、初期の鋳型(DNA)量であり、E
xが増幅の効率であり、Nが、蛍光増幅信号が、閾値の強度になるまで増幅産物の量である。
【0162】
初期コピーの数が多いほど、Ct値が小さい。既知されている初期コピー数の標準品によれば、標準曲線が作成可能であり、そのうち、横座標が初期コピー数の対数を示し、縦座標がCt値を示す。従って、未知の試料のCt値を取得できれば、標準曲線からこの試料の初期コピー数を算出することができる。
【0163】
Ct値と初期DNA濃度との関係は、各DNA鋳型のCt値とDNA鋳型の初期コピー数の対数との間に、線形の関係が存在している。初期コピー数が多いほど、Ct値が小さい。
【0164】
一実施例では、前記ステップS4140は、前記核酸増幅された微小液滴の全ての核酸の初期コピー数に基づいて、前記核酸増幅された微小液滴の全ての核酸の初期コピー数における最大値及び最小値を取得するステップS4141と、前記最大値、前記最小値、階級の幅及び階級数を選択して、前記核酸初期コピー数の度数分布を取得するステップS4143と、を含む。
【0165】
そのうち、頻数とは、異なる区間に位置するデータ個数を指す。異なる区間の頻数の和は、この組のデータの総数と等しい。
【0166】
一実施例では、前記S4150に、ポアソン分布のパラメータλを計算する時に、最尤推定法が使用される。
【0167】
そのうち、液滴式PCRについて、単一の液滴に含まれている初期コピー数は、Poisson分布を満たしている。
そのうち、λは、前記微小液滴に平均して含まれる初期DNAコピー数である。各液滴に含まれる平均初期コピー数は、CPD(copies per droplet)により表される。
【0168】
一実施例では、Ct値により、初期に、k(k=0、1、2、3…)個のDNA初期コピー数を有する液滴数n
k、がそれぞれ取得可能であり、最尤推定法を用いると、
を取得する。
【0169】
そのうち、前記微小液滴のDNA初期コピー数の対応する度数値はnkであり、言い換えると、k=0個のDNA初期コピー数である時に、対応して表される前記微小液滴の個数は、n0個となり、k=一つのDNA初期コピー数である時に、対応して表される前記微小液滴の個数は、n1となり、k=2個のDNA初期コピー数である時に、対応して表される前記微小液滴の個数は、n2個となり、k=3個のDNA初期コピー数である時に、対応して表される前記微小液滴の個数は、n3個となる。このように、類似に類推する。この方法によれば、陰性とされる暗い液滴の数を確保する必要がなくなる。また、完全な度数分布データにより、全体に対して最適パラメータを推量することは、単独に一つの度数を用いて推量するほうよりも、精度や安定性が遥かに高い。
【0170】
図16を参照すると、一実施例では、デジタルPCR定量検出方法は、
微小液滴の全てについて、複数のリアルタイムの蛍光画像を取得し、前記複数のリアルタイムの蛍光画像に基づいて、核酸増幅された微小液滴のリアルタイムの蛍光曲線を取得するステップS4210と、
前記リアルタイムの蛍光曲線に基づいて、核酸増幅された微小液滴の全てのCt値を取得するステップS4220と、
前記Ct値と核酸増幅された微小液滴の核酸初期コピー数との関係に基づいて、核酸増幅された微小液滴の全ての核酸初期コピー数を取得するステップS4230と、
前記核酸増幅された微小液滴の全ての核酸初期コピー数に基づいて、一部の核酸初期コピー数を選択するステップS4240と、
前記一部の核酸初期コピー数に基づいて、前記一部の核酸初期コピー数の度数分布を取得するステップS4250と、
前記一部の核酸初期コピー数の度数分布に基づいて、ポアソン分布について点推定を行い、ポアソン分布のパラメータλを取得するステップS4260と、を含む。
【0171】
そのうち、一実施例では、複数の微小液滴の全てについて、それらの初期DNAの濃度の不完全な試料に基づいて、最小二乗法によりポアソン分布に点推定を行う。
【0172】
複数の微小液滴全体について、初期DNAの濃度の不完全なサンプリングによって、EMアルゴリズム(Expectation Maximization Algorithm,EM)、マルコフ連鎖モンテカルロ法(Markov chain Monte Carlo,MCMC)法を介して、ポアソン分布に点推定を行う。前記マルコフ連鎖モンテカルロ法(Markov chain Monte Carlo、MCMC)は、ベイズ法の一つである。
【0173】
一実施例では、前記S4260は、前記一部の核酸初期コピー数の度数値の残差平方和errが最小になるように、一つの空間[λmin,λmax]内にλを照会することを含む。
【0174】
一実施例では、前記初期DNAの濃度が比較的小さい場合に、五つ以上のコピーを含む液滴の数は非常に少ない(又は、無視してもよい)。システムは、20,000個の液滴システムである場合に、一般的に、試料のDNAの濃度を6CPD以下にするということが推薦される。実際の試験工程では、k>4時に、Ct値の区分が小さくなり、Ct値により一つの液滴の初期コピー数が4であるか5であるかについて区分しにくいことから、x0、x1、x2、x3の不完全なサンプルだけを用いて、Poissonの分布に、点推定を実行する。不完全な試料に基づいて、Poissonに点推定するアルゴリズムが数多くあり、操作可能性を持つアルゴリズム(最小二乗法)を挙げて、ここで説明する。
【0175】
一実施例では、一つの空間[λ
min,λ
max]を設置し、λを[λ
min,λ
max]空間に照会し、誤差の平方和を計算して、残差平方和が最小になるように、適合なλを選択する。
そのうち、各微小液滴に含まれるDNA初期コピー数は、確率変数xであり、一部の微小液滴のDNA初期コピー数と対応する度数値がn
kであり、Nが前記複数の微小液滴の総数である。
【0176】
一実施例では、前記S4260に、ポアソン分布に点推定を行う方法は、モーメント法、順序統計量法又は最尤推定法がさらに含まれる。
【0177】
そのうち、点推定の方法は、さらに、サンプルモーメントにより母集団に対応するパラメータを推量するというモーメント法を含む。
【0178】
まず、気になるパラメータに係る母集団モーメント(即ち、考えられる確率の変数の冪の期待値)の方程式を推定する。次に、一つのサンプルを取出してこのサンプルから母集団モーメントを推量する。次に、サンプルモーメントを用いて(未知)母集団モーメントに代えて、気になるパラメータを求め、それらのパラメータの推量を取得する。
【0179】
順序統計量法は、サンプルの中央値を用いて母集団の数学期望を推量する方法である。順序統計量推量法の利点としては、計算が簡便であり、しかも、個別な異常データからの影響を受けることが難しい。一群のサンプル値に、あるデータに異常がある(例えば、小さく過ぎる、或いは、大きすぎる)と、この異常のデータが母集団にランダムに生成されたものであるか、外部からの干渉により生成されたものであるか(例えば、作業人員の不始末や、記載にエラーによるか)と推測してもよい。その原因が後者に該当すると、サンプルの平均値によりE(x)を推量すると、明らかに影響がある。しかしながら、サンプルの中央値によりE(x)を推量すると、一つの(ひいては、複数の)異常のデータは、中央値を容易に変更することがないため、推量値に影響を与えることが難しい。
【0180】
最尤推定法(Maximum Likelihood、ML)は、最尤推定とも呼ばれ、最尤法とも呼ばれ、理論性を持つ点推定法である。前記最尤推定法は、その基本思想として、モデル母集団からランダムにn組のサンプルの観測値を抽出した後に、最も合理的なパラメータ推定量について、モデルからこのn組のサンプルの観測値を抽出する確率が最大となるべきであるということであり、最小二乗推量法のような、モデルが一番よくサンプルのデータのパラメータ推定量に当てはめるものではない。
【0181】
実際の工程では、前記デジタルPCR定量検出方法は、標準曲線によらず、高い精度で前記複数の微小液滴に初期DNAの濃度を検出することができる。前記デジタルPCR検出器では、イメージングシステムに、前記蛍光画像の各画素と対応する実際的な比が何であるかについて定められる。前記蛍光画像に基づいて、前記微小液滴の直径と対応する数の画素を抽出し、直径と対応するミクロンを取得すると、前記微小液滴の直径が何であるかについて算出することができる。
【0182】
デジタルPCR定量検出方法により、前記複数の微小液滴を動的に追跡することができる。前記複数の微小液滴に温度循環を行わせる工程では、各微小液滴と対応する具体的な位置を求めることができ、核酸を増幅する工程全体をモニターすることができる。従って、前記デジタルPCR定量検出方法により、前記複数の微小液滴に偽陽性が存在する課題を解決することができる。また、前記複数の微小液滴に、蛍光曲線を処理することは、仮に均一性により行われる統計修正によらず、真の絶対定量を取得することができる。
【0183】
標準曲線に対する依頼を排除できるに加えて、標準曲線による定量結果が確定でないという問題を解消し、液滴式デジタルPCRのエンドポイント検出方式による制限を解消して、一つのP(x=0)のデータのみにより、検出すべき試料全体をパラメータ推量する制約性を破ることができる。前記リアルタイム蛍光定量PCR検出方法を用いると、デジタルPCRの定量検出に正確性が向上する。
【0184】
前記デジタルPCR定量検出方法を用いると、陰性とされる空液滴(核酸がふくまれていない液滴)の数を確保する必要が無くなる。また、多次元の度数分布データを用いると、全体に対して最適パラメータを推量することは、単独に、一つのP(x=0)のデータを用いて推量するほうよりも、その精度と安定性が遥かに高い。
【0185】
各蛍光曲線は、一つの有用な情報の曲線の変化過程を示し、リアルタイムでモニターするように、液滴の試料に参加した情報(価値持ち情報)であり、所定のアルゴリズムで、隣接する液滴間における互いの影響を取り除くことができる。
【0186】
前記デジタルPCR定量検出方法は、抽象化した数学モデルにより、再現性と高感度が実現でき、しかも、動的範囲が大きくなり、少量の液滴でモニターが実現できる。小量のデータにより数多くの情報をカバーすることができる。また、前記デジタルPCR定量検出方法は、前記ポアソン分布の確率モデルの誤差を回避して絶対定量を実現し、より直観的になる。すべてのデータを総合して、ランダム性の誤差を取り除く。液滴の試料の蛍光曲線を取得し、液滴試料の蛍光輝度の変化をリアルタイムでモニターし、偽陽性を除去し、隣接する液滴間に互いの影響を取り除き、その後、定量解析モデルにより正確なデータ源を提供する。
【0187】
図17を参照すると、前記一部の核酸初期コピー数がそれぞれ0、1、2、3である場合に取得されたポアソン分布に基づいて当てはめる。そのうち、横座標が各液滴に含まれる平均初期コピー数(copies per droplet、CPD)である。縦座標は、各液滴に含まれる平均初期コピー数の標準偏差(standard deviation、Std Dev 、STD)である。各液滴に含まれる平均初期コピー数は、CPD(copies per droplet)により表示される。そして、前記一部の核酸初期コピー数により取得された各液滴に含まれる平均初期コピー数のCPDの標準偏差は、他のアルゴリズムで取得された平均初期コピー数のCPDの標準偏差よりも小さいと分かる。従って、このアルゴリズムで取得された各液滴に含まれる平均初期コピー数用のCPDの値は、より正確になる。20000個の液滴を1000回だけシミュレーションした結果が示される。単点による推量方法だけを用いると、限られる濃度範囲だけをカバーし、推量の精度も、試料の濃度が上がるのに伴い、急速に悪くなる。しかしながら、不完全なポアソン分布により当てはめアルゴリズム(N=0、1、2、3)を用いると、試料の濃度の増加に伴い、推量精度が明らかに変化せず、検出すべき核酸増幅反応液の濃度を二倍拡大することも可能である。液滴数が比較的小さい場合には、不完全なポアソン分布で当てはめアルゴリズム(一部サンプリングポアソン分布の当てはめのアルゴリズム)が依然として、よい確実性を持っている。
【0188】
シミュレーションの結果からわかるように、デジタルPCR定量検出方法を用いると、200個の液滴による試験のシステムは、その精度が、従来の単点の推定アルゴリズム(uCount algorithm)のほうよりも良い。液滴数が近い場合に、ポアソン当てはめアルゴリズムの安定性、精度、及び、用いられる動的範囲も、共に、従来の単点の推定アルゴリズムのほうよりも遥かに良い。同様な検出精度を実現する場合には、ポアソン当てはめアルゴリズムを用いるに必要な液滴数は、従来の単点の推定アルゴリズムで、必要な液滴数のほうよりも2桁だけ低い。従って、デジタルPCR検出器1は、その検出精度が高く、検出範囲が大きく、少数の液滴だけで複数の異なる種類の核酸を検出でき、使用効率が向上する。
【0189】
一実施例では、前記微小液滴生成装置10が生成した前記複数の均一な微小液滴は、体積に特殊性を有する場合に、前記微小液滴の体積が変更されると、体積が均一でないことがある。また、前記微小液滴生成装置10により、医学臨床の検出に用いられるように、複数の異なる体積の微小液滴を生成てもよい。
【0190】
ミクロ細孔式であれ液滴式デジタルPCR技術であれ、その反応セルの体積は、一致として高度に保持されることが多く、単一の体積とされるデジタルPCRの技術と見なされてもよい。単一体積とされるデジタルPCRの定量限界は、主に、反応セルの体積と数により決められており、検出の下限が試料の総体積に関連されている。単一体積デジタルPCRの技術は、その分解能と動的範囲を独立して調節することができない。また、検出すべき試料を連続して希釈すると、その動的範囲を拡大できるものの、検出に感度を向上させることができない。また、連続して希釈する方法には、試薬の消費量が増加し、クロスして汚染するリスクが増加し、操作の手間が複雑になる。
【0191】
多重体積デジタルPCR(multivolume digital PCR、MVdPCR)によれば、連続して希釈することによる弊害を避けると共に、研究者が独立して動的範囲と分解能を調節することができる。
【0192】
多重体積デジタルPCRの微小液滴容器には、一連の異なる体積の反応セルを含み、小体積の反応セルにより、高濃度の試料に対して定量を行い、大体積の反応セルについて十分な容積により、高感度で検出することが実現される。多重体積デジタルPCRは、多量の反応セルを必要としないが、単一体積デジタルPCRによる動的範囲に達することが可能である。従って、前記微小液滴容器により、数多くの試料に解析を済ませると共に、その試薬の消費量を効果的に低減することができる。
【0193】
前記デジタルPCR検出器では、イメージングシステムに、前記蛍光画像の各画素と対応する実際的な比が何であるかについて定められる。前記蛍光画像に基づいて、前記微小液滴の直径と対応する数の画素を抽出し、直径と対応するミクロンを取得すると、前記微小液滴の直径が何であるかについて算出することができる。
【0194】
一実施例では、前記試料溶液は、デジタルPCR検出器の定量解析方法に用いられる核酸増幅反応液である。
【0195】
図18を参照すると、以上の場合について提出する異なる体積デジタルPCRの定量解析方法は、
微小液滴の全ての体積v
1、v
2、...v
mを取得し、ただし、前記体積v
1、v
2、...v
mと順次に対応する微小液滴の数量をn
1、n
2、…、n
mとし、前記体積v
1、v
2、...v
mと順次に対応する微小液滴における核酸増幅された陰性の微小液滴の数量をb
1、b
2、…、b
mとする、ステップS4310と、
微小液滴の全てについて核酸増幅された関連のパラメータv
1、v
2、...v
m、n
1、n
2、…、n
m、b
1、b
2、…、b
mに基づいて、核酸増幅反応液の濃度cについての結合二項分布関数f(c)を構築するステップS4320と、
結合二項分布関数f(c)に基づいて、前記結合二項分布関数f(c)に極値点を取った時のcの値を求めるステップS4330と、
前記結合二項分布関数f(c)をln(c)についての結合二項分布関数F(Λ)に転換して、ln(c)についての標準偏差及び信頼区間を取得するステップS4340と、
ln(c)についての標準偏差及び信頼区間に基づいて、前記核酸増幅反応液の濃度cの標準偏差及び信頼区間を取得するステップS4350を含む。
【0196】
標的DNAを含む微小液滴が増幅された後に、その蛍光信号の強度が一定レベルになると、陽性と示され、DNAの含量がゼロである微小液滴について、蛍光信号をほぼ検出できず、陰性と見なされる。
【0197】
デジタルPCRにおける微小液滴に含まれる初期DNAコピー数をxとすると、数理統計の理論により、x=k(k=0、1、2、3.....)の確率分布関数Pがポアソン確率モデルに該当し、そのうち、λが微小液滴に含まれる平均分子コピー数である。
従って、前記ポアソン分布モデルの期待値μと分散σ
2により、期待値μがλであり、分散σ
2がλであると分かる。従って、デジタルPCRにおける各微小液滴に含まれる標的DNA分子のコピー数がλであるので、求められるλ値により、核酸を定量で検出することが実現される。
【0198】
前記検出すべき核酸増幅反応液の総体積をV(各微小液滴の体積がvであり)とすると、前記検出すべき核酸増幅反応液の濃度c(copy/μL)は、
故に、λの値を求めると、DNAを定量で検出することが実現される。
【0199】
そのうち、リアルタイム蛍光定量PCRに内部標準の付与を必要としないということは、Ct値の再現性、及び、Ct値と初期DNA濃度との線形の関係による。PCR循環は、Ct値が位置する巡回数になると、真の指数増幅期(対数期)に入ったばかりであり、この時に、微小誤差がまだ拡大されないことから、Ct値の再現性が極めてよく、即ち、同一DNA鋳型を異なる時間で増幅したり、同一時間で異なる微小液滴容器内に増幅したりすることにより得られるCt値が一定である。
【0200】
前記微小液滴と対応する蛍光曲線が増幅曲線である時に、前記微小液滴に標的遺伝子成分を含むと表現される。前記微小液滴と対応する蛍光曲線が直線である時に、前記微小液滴に標的遺伝子成分を含まないと表現される。
【0201】
取得されたリアルタイムの蛍光曲線に基づいて、Ct値を取得し、各微小液滴のCt値を取得する時に、前記リアルタイムの蛍光曲線に導関数を導出して、前記リアルタイムの蛍光曲線の傾きが一定となる蛍光曲線の初期循環回数は、必要なCt値となる。
【0202】
一実施例では、前記ステップS4310は、
標的核酸を含んでいる試料溶液を微滴化し、複数の異なる体積v1、v2、...vmの微小液滴を取得し、ただし、前記微小液滴体積v1、v2、...vmと順次に対応する微小液滴の数量をn1、n2、…、nmとするステップS4311と、
微小液滴の全てについて核酸増幅を行い、撮影により検出し、前記微小液滴の全てに蛍光画像を取得するステップS4313と、
前記微小液滴の全ての蛍光画像に基づいて、前記微小液滴の全ての体積v1、v2、...vmと順次に対応する核酸増幅された陰性微小液滴数量b1、b2、…、bmを取得するステップS4315と、を含む。
【0203】
一実施例では、前記ステップS4310は、
標的核酸を含んでいる試料溶液を微滴化し、複数の微小液滴を形成するステップS4312と、
前記複数の微小液滴に核酸を増幅し、撮影により検出し、核酸増幅された微小液滴の全ての蛍光画像を取得するステップS4314と、
前記蛍光画像に基づいて、前記核酸増幅された微小液滴の全ての体積を取得し、ただし、前記体積をそれぞれv1、v2、...vmとして、前記体積v1、v2、...vmと順次に対応する核酸増幅された微小液滴の数量をn1、n2、…、nmとして、前記体積v1、v2、...vmと順次に対応する核酸増幅された陰性微小液滴数量をb1、b2、…、bmとするステップS4316をさらに含む。
【0204】
一実施例では、前記ステップに、前記複数の微小液滴に蛍光画像を採集し、画像追跡を行う。各微小液滴のリアルタイムの蛍光曲線を取得する時に、各画像における各微小液滴をそれぞれ位置決め、各微小液滴の蛍光強度を取得する必要がある。前記デジタルPCR検出器では、イメージングシステムに、前記蛍光画像の各画素と対応する実際的な比が何であるかについて定められる。前記蛍光画像に基づいて、前記微小液滴の直径と対応する数の画素を抽出し、直径と対応するミクロンを取得すると、前記微小液滴の直径が何であるかについて算出することができる。
【0205】
一実施例では、各微小液滴を追跡する時に、各温度循環工程に撮影された写真に基づいて、NCAST画像の差分とクラスタリングの演算を行い、各微小液滴の位置を識別して、前記複数の微小液滴に蛍光強度を取得してもよい。
【0206】
一実施例では、各温度循環工程における各微小液滴の蛍光強度値に基づいて、各微小液滴の蛍光曲線を取得する。各蛍光曲線は、一つの有用な情報の曲線の変化過程を示し、リアルタイムでモニターするように、液滴の試料に参加した情報であり、所定のアルゴリズムで、隣接する液滴間における互いの影響を取り除くことができる。温度循環工程毎に各微小液滴の各箇所の蛍光強度値に、和を算出することにより、それを、所定のタイミングでの各微小液滴の蛍光強度値として取得する。
【0207】
一実施例では、隣接する各微小液滴の辺縁の箇所に互いに影響を与えないように、所定のタイミングでの各微小液滴の蛍光強度値について、その一部を加算する方式を用いてもよい。温度循環工程毎に、前記複数の微小液滴の蛍光強度値に基づいて、前記複数の微小液滴が全部循環工程に変化する事情を取得して、各微小液滴の蛍光曲線を取得する。一実施例では、微小液滴について45回だけ循環を行い、45個の蛍光イメージを取得する。この45個の蛍光イメージにおける各微小液滴に、位置決めて、各微小液滴の45個の蛍光強度値を取得して、各微小液滴の蛍光曲線を取得する。
【0208】
一実施例では、前記S4320に、検出すべき核酸増幅反応液の濃度cについての結合二項分布関数f(c)を構築すると、
【0209】
単一体積デジタルPCRに、各微小液滴の体積をvとし、検出すべき核酸増幅反応液の核酸濃度をcとすると、各微小液滴に含まれる平均DNAの数量がvcとなる。各微小液滴に含まれる分子数をkとすると、ポアソン分布の確率モデルによりkの確率分布Pを推定すると、
【0210】
k=0について、即ち、標的DNA分子を含まない陰性微小液滴について、上式を書き直すと、
【0211】
単一体積デジタルPCR解析には、微小液滴の総数n及び陰性の微小液滴bにより、陰性の微小液滴の確率を推量することができる。
従って、
【0212】
特定の試験結果について、陰性の微小液滴の数量b及び総数nが既知である。従って、二項方程式を構築すると、
単一体積デジタルPCRの解析工程に基づいて、各微小液滴の体積のそれぞれをv
1、v
2、...v
mとすると、各微小液滴の体積とそれぞれ対応する数量が順次にn
1、n
2、…、n
mである。cについての結合二項分布関数を構築すると
【0213】
一実施例では、前記ステップS4330は、
前記結合二項分布関数f(c)に導関数を導出し、前記結合二項分布関数f(c)の導関数を取得するステップS4331と、
前記結合二項分布関数f(c)の導関数を0にし、前記結合二項分布関数f(c)に極値点を取った時の核酸増幅反応液濃度cの値を取得するステップS4332と、を含む。
【0214】
通常に、関数の導関数が0である時に、関数値を極大値又は極小値として取る。二項分布に、一つの極大値しかを含まないことから、関数の導関数を0にする時の解は、最も可能な濃度値となる。前記結合二項分布関数f(c)に最大値を取る時に、対応するcの最も可能数を取得する。
【0215】
一実施例では、前記ステップS4340における前記ln(c)についての結合二項分布関数F(Λ)は、
【0216】
P関数は、ln(c)について、cのほうよりも、より対称性を持っていることから、ln(c)の標準偏差σは、より、統計学で意味を持っている。濃度が正値となる約束条件を強化させることにより、低濃度で試料を解析する時に、比較的よい正確度を有することになる。計算を簡単にするように、計算ln(c)と対応する標準偏差σを算出する時に、対応するパラメータを切り替える必要がある。
【0217】
一実施例では、前記ステップS4340には、
前記関数F(Λ)に対数を取り、関数L(Λ)を取得するステップS4341と、
前記関数L(Λ)に一次導関数を導出し、関数L(Λ)の一次導関数を0にするステップS4342と、
ln(c)に対応する標準偏差σを取得するステップS4343と、
ln(c)に対応する標準偏差σに基づいて、ln(c)の信頼区間を取得するステップS4344と、を含む。
【0218】
前記関数F(Λ)に対数を取り、以下のように変換すると、
となり、
前記関数F(Λ)に自然対数を取ることにより、対応する乗法関係を、独立する加法関係に変更して、対応する導関数をより容易に処理することができる。
【0219】
前記L(Λ)に一次導関数を導出すると、
が得られる。
【0220】
ln(θ
i)を-v
iに代えて、t
iにより第i重体積における陽性の微小液滴の数を示すと、b
i=n
i-t
iとなり、ステップ4の式が
になる。
【0221】
【0222】
一実施例では、前記S4343に、ln(c)のFisher情報量I(Λ)に基づいて、標準偏差σを取得する。
【0223】
【0224】
標準偏差σについて、ln(c)のFisher情報量I(X)を組み合わせて取得し、対応するFisher情報量は、以下の式で示されており、そのうち、E[]が対応パラメータの期待値を示す。
【0225】
一実施例では、前記ln(c)に対応する標準偏差σ及び信頼区間は、それぞれ
【0226】
【0227】
上記の式から、ln(c)に対応する標準偏差σ及び信頼区間を取得することができる。
そのうち、Zが標準正規分布の最大の臨界値である。
【0228】
取得されたln(c)と対応する標準偏差σ及び信頼区間に基づいて、検出すべき核酸増幅反応液の核酸濃度cを取得することができる。標準正規分布表から、対応する数値を取得し、そして、ln(c)の信頼区間を取得し、さらに、検出すべき核酸増幅反応液の核酸濃度がcであるため、前記検出すべき核酸増幅反応液に含まれるDNA初期コピー数量を取得することができる。
【0229】
そのうち、信頼区間とは、サンプルの統計量により構成される母集団のパラメータの推量空間である。統計学では、一つの確率のサンプルの信頼区間(Confidence interval、CI)は、このサンプルのある母集団パラメータに対する空間推量である。信頼区間に示されるのは、このパラメータの真の値がある確率で測量結果の周囲に位置する度合いである。信頼区間により示されるのは、測量されるパラメータの測量値の信頼程度、即ち、上記の必要な「一つの確率」である。
【0230】
デジタルPCRの定量結果は、通常に、信頼区間と信頼水平とを組み合わせて示される必要がある。デジタルPCRでは、信頼区間に示されるのは試料の真の濃度が、一定の確率で測量結果λの周囲の空間に位置する度合いを示し、この確率は、信頼レベルと呼ばれる。信頼区間の両端は、信頼限界と呼ばれる。
【0231】
単一体積デジタルPCRに比べると、異なる体積デジタルPCRのほうは、200個未満の微小液滴により、五つのオーダーの動的検出範囲を実現でき、その性能は、12000個の微小液滴を有する単一体積デジタルPCRのほうと同様に優れるため、機器のコストを削減して、消耗品としてコストが低下する。また、前記デジタルPCR検出器1による検出の精度が向上するように、前記微小液滴に均一な体積が存在する特殊な事情を修正してもよい。
【0232】
前記デジタルPCR定量検出方法により、その結果が偽陽性や偽陰性であるという問題が解決される。シークエンシングプラットフォームの試料は、ハイスループット性を持っているため、数百個の試料を同時に検出することができる。また、異なる種類の蛍光により、複数のローカスを検出することができ、そして、検出に速度が速く、試験するためのコストが低下する。デジタルPCR検出器を用いて微滴化処理を行うと、希有な検出断片を多量の複雑な背景から分離させ、大幅に操作のステップを簡単にして、効果的に用意時間や検出時間を省いて、しかも、結果の読み取りにも直観的で確実であり、安定で実施できるという利点を持ち、検出に感度や正確性が共に正確で、定量要求を満たしており、検出に感度や正確性が向上する。
【0233】
実際の工程では、前記異なる体積デジタルPCR定量解析方法は、標準曲線によらず、高精度で前記複数の微小液滴に初期DNAの濃度を検出することができる。前記デジタルPCR検出器1は、イメージングシステムに、前記蛍光画像の各画素と対応する実際的な比が何であるかについて定められる。前記蛍光画像に基づいて、前記微小液滴の直径と対応する数の画素を抽出し、直径と対応するミクロンを取得すると、前記微小液滴の直径が何であるかについて算出することができる。
【0234】
デジタルPCR定量検出方法により、前記複数の微小液滴を動的に追跡することができる。前記複数の微小液滴に温度循環を行わせる工程では、各微小液滴と対応する具体的な位置を求めることができ、核酸を増幅する工程全体をモニターすることができる。従って、前記デジタルPCR定量検出方法により、前記複数の微小液滴に偽陽性が存在する課題を解決することができる。また、前記複数の微小液滴に、蛍光曲線を処理することは、仮に均一性により行われる統計修正によらず、真の絶対定量を取得することができる。
【0235】
標準曲線に対する依頼を脱出できるに加えて、標準曲線により定量結果が確定でないという課題も解決できると共に、液滴式デジタルPCRにエンドポイント検出方式による制限を解決でき、また、一つのP(x=0)のデータだけを用いて検出すべき試料の全体についてパラメータを推量する制約性を破ることができる。前記リアルタイム蛍光定量PCR検出方法により、デジタルPCR定量検出に正確性が向上する。
【0236】
前記デジタルPCR定量検出方法は、抽象化の数学モデルにより、再現性と高感度が実現でき、しかも、動的範囲が大きくなり、少量の液滴でモニターが実現できる。小量のデータにより数多くの情報をカバーすることができる。また、前記デジタルPCR定量検出方法は、前記のポアソン分布の確率モデルの誤差を回避して絶対定量を実現し、より直観的になる。すべてのデータを総合して、ランダム性の誤差を取り除く。液滴の試料の蛍光曲線を取得し、液滴試料の蛍光輝度の変化をリアルタイムでモニターし、偽陽性を除去し、隣接する液滴間に互いの影響を取り除き、その後、定量解析モデルにより正確なデータ源を提供する。
【0237】
検出すべき試料DNAを鋳型として、検出すべき試料DNAと対応する検出プライマー及びそのプローブを添加する。前記リアルタイム蛍光定量PCR検出方法に用いられるのはTaqman蛍光プローブである。
【0238】
ヒトサイトメガロウイルスの核酸の定量検出の試薬キットを取得する。前記検出試薬キットには、ヒトサイトメガロウイルスDNAのリアルタイムの蛍光の定量検出のプライマー及びそのプローブを含む。
【0239】
試薬キットにおける10^6 copies/mLという濃度の陽性品質制御品(非標準の濃度)を、比例で希釈して、10^6 copies/mL、10^5 copies/mL、10^4 copies/mL、0.5×10^4 copies/mLという濃度を取得する。また、2×10^6 copies/mL、10^6 copies/mL、10^5 copies/mL、10^4 copies/mL及び0.5×10^4 copies/mLという五つの試料の濃度を製造する。そのうち、前記検出すべき試料の試薬を配置する比は、1ulの試料(2×10^6 copies/mLに2ulの試料を添加し)、1ulのDNAポリメラーゼ、20ulのBuffer、合計すると、22ulとなる。
【0240】
2×10^6 copies/mL、10^6 copies/mL、10^5 copies/mL、10^4 copies/mL及び0.5×10^4 copies/mLという前記試料濃度の試料を、それぞれ、本出願が提供するデジタルPCR検出器、QX200デジタルPCR検出器及びqPCRデジタルPCR検出器により、検出し、表1に示されるように、各個機器による五つの核酸増幅反応液初期コピー数の検出値と真の値の関連係数との対比表を取得する。
【0241】
【0242】
関連係数Rとは、パラメータ間に関連関係の強さを示す統計的指標であり、二つのパラメータ間に線形の関係を測るものである。表1からみれば、本出願が提供するデジタルPCR検出器により検出された五つの核酸増幅反応液の初期コピー数の検出値と真の値との関連係数が最大であり、最も1に近接したと分かる。故に、本出願が提供するデジタルPCR検出器1は、検出精度がより高く、精度がより高い。
【0243】
前記デジタルPCR検出器1は、前記微小液滴生成装置10、前記温度制御装置20、前記蛍光信号検出装置30及び前記定量解析装置40を集積化するため、制御器50により、一体式とされるデジタルPCR検出器1により、前記操作員に自動で操作を実現し、作業効率が向上し、反応が急速となり、再現性が良く、感度が高く、特異性が強く、結果が明確となる。
【0244】
従来のデジタルPCR検出方法は、その作業量が重く、時間が掛かり、効率が低いというの課題について、簡便で効率が高いデジタルPCR検出方法を提供する。
【0245】
図19を参照すると、本出願が提供するデジタルPCR検出方法は、
検出すべき核酸増幅反応液を製造するステップS10と、
前記検出すべき核酸増幅反応液を微滴化し、微小液滴のマトリックスを形成するステップS20と、
前記微小液滴のマトリックスをポリメラーゼ連鎖反応させ、前記微小液滴のマトリックスにおける各微小液滴の蛍光曲線及び各微小液滴の溶解曲線を取得するステップS30と、
前記微小液滴のマトリックスにおける各微小液滴の蛍光曲線及び各微小液滴の溶解曲線に基づいて、前記微小液滴のマトリックスを解析し、前記検出すべき核酸情報を取得するステップS40と、を含む。
【0246】
検出すべき核酸増幅の反応液を製造する時に、飽和の蛍光染料を用いると、異なる種類の変異を分類して、高い分解能と感度を持たせ、デジタルPCR検出器による検出にコストを低減することができる。しかも、前記デジタルPCR検出方法により、前記微小液滴のマトリックスに、一つの高度で集積化するデジタルPCR検出器でポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase Chain Reaction、PCR)を済ませ、前記微小液滴のマトリックスPCRが増幅された後に、PCR産物を溶解曲線で解析する。前記微小液滴のマトリックスにポリメラーゼ連鎖反応を行う工程では、各前記微小液滴の蛍光曲線を取得する。前記微小液滴のマトリックスは、PCR増幅が完了した後に、再度、高低温で循環を行いながら、循環工程における各前記微小液滴の溶解曲線を取得する。前記デジタルPCR検出方法によれば、前記微小液滴のマトリックスについて蛍光曲線及び溶解曲線を取得することにより、PCR増幅を工程全体に渡ってリアルタイムでモニターすること、及び、PCR産物の溶解曲線を解析すること、の両方を、シームレスに実行するように、実現することができる。そして、前記微小液滴のマトリックスの蛍光曲線及び溶解曲線に基づいて、異なる形状の溶解曲線によるジェノタイピングや分類を実現し、前記微小液滴のマトリックスに対する定性及び定量の解析を実現し、より全面的、簡便的、高い効率に、デジタルPCRの検出を済ませることができる。
【0247】
一実施例では、前記ステップS10に、前記核酸増幅反応液に、検出すべき核酸の鋳型、反応緩衝水溶液、デオキシリボヌクレオシド三リン酸、プライマー、ポリメラーゼ及び産物マーク物質などが含まれている。耐熱性のDNAポリメラーゼは、FastStart Taq DNAポリメラーゼ、Ex Taq、Z-Taq、AccuPrime Taq DNAポリメラーゼとHS TaqDNAポリメラーゼなどであってもよい。
【0248】
そのうち、核酸増幅反応液は、デオキシリボ核酸(DNA)を鋳型とする核酸増幅反応液(DNA増幅反応液とも呼ばれる)であってもよく、相補デオキシリボ核酸(cDNA)、即ち、リボ核酸(RNA)を鋳型とする逆転写核酸増幅反応液(RNA逆転写反応液とも呼ばれる)であってもよく、さらに、例えば、ループ介在等温増幅(LAMP)反応液の他の核酸増幅反応液であってもよく、そのうち、前記DNA増幅反応液の特徴としては、DNAを増幅させるに必要なdNTP、緩衝液、無機塩イオン、ポリメラーゼ、プライマー、検出すべきDNA鋳型及び染料などを含んでいるということである。反応液における染料は、核酸増幅を示すことができ、SYBR GreenなどのDNAと結合される蛍光染料であってもよい。
【0249】
一実施例では、デジタルPCRにのみ用いられ、セットとなる試薬及び溶液を用意して、鋳型DNAの試料に対する外来DNAの潜在的な汚染を減少し又は回避する。使用される機器及び消耗品の全ては、高温で殺菌され、高温で乾燥処理されるべきである。
【0250】
一実施例では、前記検出すべき核酸増幅反応液を製造する時に、SYBR Green蛍光染料により、前記検出すべき核酸増幅反応液をマークする。SYBR Green蛍光染料がすべての二本鎖DNAと結合できることから、鋳型を選択する必要がなく、しかも、価格が低く、多種類の産物を検出するに適用される。溶解曲線により解析するということ、一般的に、SYBR Greenを蛍光染料とする時に使用される。これは、SYBR Greenの染料が特異性なしの染料であり、増幅があれば、染料が二本鎖DNAと結合することから、蛍光が大幅に増強される。蛍光信号を変更し、温度図を作成して、溶解曲線を形成することは、増幅により蛍光を発する断片がデジタルPCR検出時に必要な検出の標的遺伝子であるかどうかを観察するためのことである。もし、作成された溶解曲線が単一のピークしかを有さないと、ピップ位置がアニーリング温度となり、しかも、狭いピークに該当すると、産物が、PCR増幅の特異性の産物である。一方、ピーク位置が正しくない又は広いピークに該当すると、産物が特異性を有さず、又は、対応する産物が設計されていない。また、溶解曲線のピークの先に小さいピークが存在すると、プライマーダイマーであるかもしれないため、プライマーなどを設計し直すことが必要となる。高分解能の溶解曲線は、温度又は曲線の形状が僅かに変化すると、ヌクレオチドに変化があったと表現される。多量の微小液滴についてマトリックスの溶解曲線を繰り返して解析することにより、集中的な曲線解析のマッチングプログラムに基づいて、核酸配列へのタイピングなどが自動に実現される。
【0251】
図20を参照すると、一実施例では、前記ステップS20では、前記検出すべき核酸増幅反応液を微滴化し、微小液滴のマトリックスを形成する。前記微小液滴のマトリックスは、多量の複数の微小液滴が含まれる。
【0252】
一実施例では、微小液滴生成装置10、温度制御装置20、蛍光信号検出装置30、定量解析装置40、及び、制御器50を含む、デジタルPCR検出器1を提供する。
【0253】
前記微小液滴生成装置10は、核酸増幅反応液を微滴化し、前記微小液滴のマトリックスを形成し、微小液滴容器に微小液滴のマトリックスを形成し、多種類の標的配列を同時に検出するために用いられる。前記温度制御装置20は、温度循環で核酸を増幅させるために用いられる。前記蛍光信号検出装置30は、前記温度制御装置20に対向して配置され、核酸が増幅された前記微小液滴にマトリックスの信号を採集するために用いられる。前記定量解析装置40は、前記蛍光信号検出装置30にデータ線を介して接続され、前記微小液滴のマトリックス蛍光情報を送信して定量解析するために用いられる。前記制御器50は、それぞれ、前記微小液滴生成装置10、前記温度制御装置20、蛍光信号検出装置30及び定量解析装置40に接続され、前記微小液滴生成装置10、前記温度制御装置20、蛍光信号検出装置30及び定量解析装置40を制御するために用いられる。
【0254】
前記デジタルPCR検出器が稼働している時に、前記微小液滴生成装置10は、前記検出すべき核酸増幅反応液を微滴化し、前記微小液滴のマトリックスを形成することができる。前記微小液滴のマトリックスは、複数の多量の微小液滴が含まれる。前記温度制御装置20は、前記微小液滴のマトリックスに核酸増幅を行う。前記蛍光信号検出装置30は、前記微小液滴のマトリックスの蛍光変化画像をリアルタイムで採集する。前記温度制御装置20は、前記微小液滴のマトリックスを核酸増幅反応させ、前記蛍光信号検出装置30により核酸増幅反応された前記微小液滴のマトリックスの産物信号、例えば、蛍光、紫外線吸収、濁度などの信号を採集する。前記複数の増幅された微小液滴と増幅されなかった微小液滴との構成の相違により、標的配列増幅が得られた液滴数を解析して、核酸分子への定量解析を最終的に実現することができる。前記微小液滴にマトリックスの信号の変化をリアルタイムでモニターすることにより、検出結果に直接性を持たせ、前記微小液滴のマトリックスの偽陽性と偽陰性という問題を解決することができる。
【0255】
前記微小液滴生成装置10により、微小液滴容器に前記微小液滴のマトリックスを生成して、微小液滴容器の底部に落下して、不規則に積み重なる。前記微小液滴生成装置10により製造された前記微小液滴のマトリックスは、下向きに降下する工程では、微小液滴容器の中央の箇所に集中的に集まる。この時に、前記微小液滴のマトリックスの信号を採集する前に、複数の前記微小液滴のマトリックスを微小液滴容器の底部に敷き詰めることが必要となる。
【0256】
一実施例では、複数の前記微小液滴のマトリックスの信号を採集する前に、前記温度制御装置20により高低温を行い、複数の前記微小液滴のマトリックスを微小液滴容器の底部に敷き詰める。まず、前記微小液滴のマトリックスを昇温させる。次に、前記微小液滴のマトリックスを降温させる。再度、前記微小液滴のマトリックスを前記微小液滴容器の底板に敷き詰めるまで、前記微小液滴のマトリックスに高低温で循環を行う。最後に、前記微小液滴のマトリックスを微小液滴容器に敷き詰め、敷き詰められた前記微小液滴のマトリックスにPCR増幅を行うと共に、撮影により検出を実行する。
【0257】
一実施例では、微小液滴生成装置10により複数の均一な体積の微小液滴を生成することができる。各前記微小液滴の大きさは、ミクロンオーダである。複数の前記微小液滴体積が均一である場合に、複数の前記微小液滴の蛍光情報により、複数の前記微小液滴を定量で解析することができる。
【0258】
一実施例では、前記ステップS30には、
ポリメラーゼ連鎖反応の温度パラメータ、時間パラメータ及び循環回数を配置するステップS310と、
前記温度パラメータ及び前記時間パラメータに基づいて、前記微小液滴のマトリックスをポリメラーゼ連鎖反応させ、順次に前記循環回数だけ循環を行い、循環工程ごとに各前記微小液滴に蛍光曲線を取得するステップS320と、
ポリメラーゼ連鎖反応により増幅された前記微小液滴のマトリックスを降温させ、一定の温度間隔で昇温し、各前記微小液滴の溶解曲線を取得するステップS330と、を含む。
【0259】
PCRは、変性--アニーリング(annealing)--伸長という三つの基本反応のステップからなる。鋳型DNAの変性とは、鋳型DNAを90℃~95℃まで一定時間加熱してから、それがプライマーと結合して、次回の反応に備えるように、鋳型DNAの二本鎖、又は、PCR増幅を経て形成された二本鎖DNAを単鎖として解離するということである。鋳型DNAとプライマーのアニーリング(annealing)とは、鋳型DNAを加熱して単鎖に変性した後に、温度を50~60℃まで低下させ、プライマーと鋳型DNA単鎖の相補配列配対とが結合するようにするということである。プライマーの伸長とは、DNA鋳型とプライマー結合物がDNAポリメラーゼの作用により、70~75℃でdNTPを反応原料として、標的配列を鋳型として、塩基配列対と半保存的複製という原理で、一つの新しい鋳型DNA鎖と相補される半保存的複製の鎖を合成するということである。変性--アニーリング--伸長という三つの工程を循環すると、数多くの「半保存的複製の鎖」を取得でき、しかも、このような新しい鎖を、次回の循環に鋳型としてもよい。一つの循環を済ませると、2~4分かかるので、2~3時間で、増幅すべき標的遺伝子を数百万倍増幅させることができる。
【0260】
そのうち、アニーリング温度は、PCRの特異性に影響を与える比較的重要な要素である。変性後の温度について、急速に40℃~60℃まで冷却すると、プライマーと鋳型とを結合させることができる。鋳型DNAは、プライマーよりも遥かに複雑であるため、プライマーと鋳型が衝突して結合するチャンスは、鋳型相補鎖のほうよりも遥かに多い。アニーリング温度と時間は、プライマーの長さ、塩基組成及びその濃度、ひいては、標的基配列の長さにより決められる。
【0261】
前記ステップS310では、前記微小液滴のマトリックスは、プライマー、検出すべきDNA試料及び耐熱性のDNAポリメラーゼが存在している場合に、変性、アニーリングと伸長という三つのステップを、約30回~50回だけ繰り返して循環することにより、PCRが実行される。前記循環の回数は、一般的に、30回~50回だけ、変性、アニーリング及び伸長という三つのステップを繰り返して循環するように配置される。前記温度パラメータは、一般的に、40℃~95℃に配置され、前記時間パラメータは、具体的な工程により決められてもよい。
【0262】
一実施例では、前記ステップS320には、
前記温度パラメータ及び前記時間パラメータに基づいて、前記微小液滴のマトリックスをポリメラーゼ連鎖反応させ、前記微小液滴にマトリックスの蛍光画像を取得するステップS321と
前記循環回数だけ順次に循環を行い、ポリメラーゼ連鎖反応の工程における前記微小液滴についてマトリックスの蛍光画像の全てを取得するステップS322と、
前記微小液滴のマトリックスの蛍光画像の全てに基づいて、循環工程毎に各前記微小液滴の蛍光情報を取得するステップS323と、
毎次循環工程毎に各前記微小液滴の蛍光情報に基づいて、各前記微小液滴の蛍光曲線を取得し、前記微小液滴のマトリックスの蛍光曲線を取得するステップS324と、を含む。
【0263】
前記ステップS321には、
まず、前記微小液滴のマトリックスの酵素がホットスタートするように、前記微小液滴のマトリックスを95℃まで加熱し、4分だけ加熱し、前記微小液滴のマトリックスの酵素がホットスタートされた後に、1分だけ前記微小液滴のマトリックスを変性させること、
次に、前記微小液滴のマトリックスが変性した後に、プライマーとDNA鋳型とが結合して一部の二本鎖を形成するように、55℃まで降温し、1分だけアニーリング(annealing)すると、前記蛍光信号検出装置30により、前記微小液滴のマトリックスを撮影し、一回目の循環の前記微小液滴のマトリックスの蛍光画像を取得すること、
さらに次に、前記微小液滴のマトリックスを70℃まで昇温し、7分だけ伸長すること、
最後に、前記循環回数に従って、順次に上記の変性-アニーリング(annealing)-伸長という三つのステップを、45回だけ循環し、45回だけ循環が完了すると、4℃まで降温し、前記複数の微液を保存することを含む。
【0264】
一実施例では、前記温度制御装置20によれば、前記微小液滴のマトリックスを昇降温させ、前記循環回数を45回として配置すると、各微小液滴について、45回の循環工程において45個の蛍光画像を取得することができる。各前記微小液滴について45回だけ循環を行い、45個の蛍光画像を取得する。45個の蛍光画像における各前記微小液滴を位置決め、各前記微小液滴に45個の蛍光強度値を取得して、各前記微小液滴の蛍光曲線を取得する。
【0265】
一実施例では、前記ステップS323には、まず、各蛍光画像に基づいて、PCR増幅された各前記微小液滴の蛍光強度値を取得し、次に、前記PCR増幅された各微小液滴の蛍光強度値に基づいて、PCR増幅された各微小液滴の蛍光曲線を取得し、最後に、前記PCR増幅された各微小液滴の蛍光曲線に基づいて、前記PCR増幅された微小液滴の全ての蛍光曲線、即ち、前記微小液滴のマトリックスの蛍光曲線を取得する。
【0266】
図21を参照すると、一実施例では、前記微小液滴のマトリックスの蛍光画像を採集し、画像追跡を行う。各前記微小液滴のマトリックスの蛍光曲線を取得する時に、各画像における各前記微小液滴を位置決め、各前記微小液滴の蛍光強度を取得することが必要となる。前記デジタルPCR検出器では、イメージングシステムに、前記蛍光画像の各画素と対応する実際的な比が何であるかについて定められる。前記蛍光画像に基づいて、前記微小液滴の直径と対応する数の画素を抽出し、直径と対応するミクロンを取得すると、前記微小液滴の直径が何であるかについて算出することができる。
【0267】
一実施例では、各前記微小液滴を追跡する時に、各温度循環工程に採集された画像に基づいて、NCAST画像の差分とクラスタリングの演算を行い、各前記微小液滴の位置を識別して、前記微小液滴のマトリックスの蛍光強度を取得してもよい。
【0268】
一実施例では、一つの温度循環工程になされた微小液滴の移動距離は、一つの微小液滴の直径以下である場合に、以下の方法で微小液滴に追跡を行う。
そのうち、各前記微小液滴を追跡する時に、各前記微小液滴の画像を追跡するステップは、
まず、温度循環工程ごとに撮影された写真を識別し、各微小液滴の円心位置を取得すること、
次に、現在に識別される各微小液滴の円心位置と、前回循環工程における各微小液滴の円心位置と、を比較すること、
最後に、現在に識別される各微小液滴の円心位置と前回循環工程中の各微小液滴の円心位置の円心との距離が一つの微小液滴直径よりも小さい場合に、同一の微小液滴と示されること、を含む。
【0269】
図22を参照すると、一実施例では、各温度循環工程における各前記微小液滴の蛍光強度値に基づいて、前記各微小液滴の蛍光曲線を取得する。温度循環工程ごとに各前記微小液滴の各箇所の蛍光強度値に対して、その和を算出することにより、それを、所定のタイミングでの各微小液滴の蛍光強度値として取得する。
【0270】
一実施例では、隣接する各微小液滴の辺縁の箇所に互いに影響を与えないように、所定のタイミングでの各微小液滴の蛍光強度値について、その一部を加算する方式を用いてもよい。温度循環工程毎に、前記複数の微小液滴の蛍光強度値に基づいて、前記複数の微小液滴が全部循環工程に変化する事情を取得して、各微小液滴の蛍光曲線を取得する。
【0271】
一実施例では、前記ステップS330には、
ポリメラーゼ連鎖反応により増幅された前記微小液滴のマトリックスを40℃以下まで降温させるステップS33と、
40℃以下まで降温された前記微小液滴のマトリックスを一定の温度間隔で昇温させ、前記温度間隔に対応する前記微小液滴のマトリックスの蛍光画像を取得するステップS332と、
前記温度間隔に対応する前記微小液滴のマトリックスの蛍光画像に基づいて、前記温度間隔に対応する各前記微小液滴の蛍光情報を取得するステップS333と、
前記温度間隔に対応する各前記微小液滴の蛍光情報に基づいて、各前記微小液滴の溶解曲線を取得し、前記微小液滴のマトリックスの溶解曲線を取得するステップS334と、を含む。
【0272】
PCR増幅の反応が完了した後に、持続に温度を上がると共に、ステップ毎に蛍光信号をモニターして溶解曲線を生成する。異なるDNAが異なる温度溶解線を有するため、反応に二本鎖DNAの変性により、蛍光染料が遊離状態に回復されて、蛍光信号が低下することになる。そして、蛍光信号が温度の変化と伴い変化する図を作成する。増幅産物染料法には、溶解曲線を形成することが必要である。それは、染料法に特異性が悪いため、溶解曲線により、増幅産物が標的産物であるかどうかについて確認するためである。溶解温度に特徴的なピークが存在しており、この特徴的なピークにより、特異性の産物を他の産物、例えば、プライマーダイマー又は非特異性の産物から分離することができる。
【0273】
前記ステップS332では、PCR増幅された後に、PCR産物の溶解曲線を解析して、PCR増幅とPCR産物の溶解曲線の解析とをシームレスに実行する。前記ステップS332では、前記温度制御装置20により、温度が40℃以下に低下するようにして、前記温度間隔について0.1℃毎に順次に95℃まで昇温し、各間隔に0.1℃ごとに、95℃まで昇温するように、前記蛍光信号検出装置30により、一回ずつ撮影する。そして、撮影が完了した後に、前記微小液滴のマトリックスを4℃まで降温し、前記微小液滴のマトリックスを保存する。
【0274】
一実施例では、各前記微小液滴の蛍光曲線を取得する時に蛍光画像を処理する方法は、各前記微小液滴の溶解曲線を取得する時に蛍光画像を処理する方法と同じである。
【0275】
前記ステップS333では、各間隔について0.1℃ごとに採集して取得された蛍光画像に基づいて、各前記微小液滴と対応する蛍光強度を取得して、温度と蛍光強度に係る曲線を描いて一次微分でピークを含むピーク図を取得する。
【0276】
溶解曲線(Dissociation curve)とは、温度が高くなるのに伴い、DNAの二重らせんの構造が生分解する程度の曲線である。溶解曲線への解析により、非特異性の産物を含む、異なる反応産物を特定することができる。DNAの二重らせんの構造全体が半分生分解する温度を溶解温度(Tm)と呼ばれ、異なる配列についてDNA、Tm値が異なる。言い換えれば、一つのDNAの溶解曲線を、一つのDNAの指紋とも言え、一つの特定のDNAと対応している。溶解曲線図に基づいて、そのピークが位置する温度は、二本鎖DNA分子のTm値(溶解温度)を示す。増幅産物のTm値に基づいて、その遺伝子型を判断することができる。DNA断片のTmは、その長さ、G+C組成、配列、鎖相補性、濃度と緩衝領域の成分(例えば、塩、染料やPCRエンハンサー)により決められる。
【0277】
各溶解曲線は、各前記微小液滴に産物が単一である場合を示し、一つの溶解曲線が単一のピークであり、しかも、一定の合理的な温度範囲に位置する(一般的に、80~90℃)と、正常と見なされる。一方、溶解曲線がダブルピークである場合に、非特異性の増幅に該当するかもしれない。そして、産物が標的遺伝子でありか、単一であるかどうかについて判断することができる。
【0278】
前記微小液滴のマトリックスの各高分解能の溶解曲線の解析について、一塩基多型や走査型突然変異を検出することができる。
【0279】
一実施例では、デジタルPCR検出工程に、前記蛍光信号検出装置30により、前記微小液滴のマトリックスの画像を採集する。
【0280】
そのうち、微小液滴容器の上方から傾斜角度で微小液滴容器に照射する。前記蛍光信号検出装置30により、前記微小液滴のマトリックスに周期性に二次元走査を行いながら、リアルタイムで画像を採集する。微小液滴容器内の前記微小液滴のマトリックスの内部蛍光は、励起され、前記蛍光信号検出装置30の対物レンズに集められ、カメラに進入され、カメラにより、前記微小液滴のマトリックスの蛍光画像を採集する。
【0281】
前記蛍光信号検出装置30により、前記微小液滴のマトリックス蛍光をイメージングし、一回だけ一定数の前記微小液滴の蛍光画像を撮影してから、画像処理技術に基づいて、画像における液滴蛍光を自動に識別し、液滴の蛍光情報を取得する。
【0282】
前記蛍光信号検出装置の蛍光検知アセンブリにより、蛍光物質を含む前記微小液滴のマトリックスに蛍光情報を採集し、検出された蛍光情報を蛍光画像の形式でコンピューターに送信し、定量を解析する。
【0283】
一実施例では、前記ステップS40には、
前記微小液滴のマトリックスの蛍光曲線に基づいて、前記微小液滴のマトリックスの核酸初期コピー数を取得するステップS410と、
前記微小液滴のマトリックスの溶解曲線に基づいて、前記微小液滴のマトリックスの核酸情報を取得するステップS420と、を含む。
【0284】
一実施例では、前記ステップS410は、
前記微小液滴のマトリックスの蛍光曲線に基づいて、各前記微小液滴の前記蛍光曲線と対応するCt値を取得するステップS411と、
各前記微小液滴の前記蛍光曲線のCt値をクラスタリングすることにより、順次に大きい順で、x1、x2、…、xnの類別を取得するステップS412と、
前記x1、x2、…、xnの類別に基づいて、類別毎に対応する前記微小液滴の数y1、y2、…、ynを取得するステップS413と、
各類別に対応する前記微小液滴の数y1、y2、…、ynに基づいて、前記x1、x2、…、xnの類別毎に対応する前記微小液滴の数y1、y2、…、ynの度数分布を取得するステップS414と、
前記度数分布に基づいて、前記微小液滴のマトリックスの核酸初期コピー数を計算するステップS415と、を含む。
【0285】
PCR循環は、Ct値が所在する巡回数になる時に、真の指数増幅期(対数期)に移行したばかりであるため、この時に微小誤差がまだ拡大されていないため、Ct値の再現性が極めて良く、即ち、同一の核酸鋳型において異なる時間で増幅したり、又は、同一時間で異なる微小液滴の容器内に増幅したりすることにより得られたCt値は、一定となる。前記微小液滴に対応する蛍光曲線が増幅曲線である場合に、前記微小液滴に標的遺伝子成分を含むことが表れる。前記微小液滴に対応する蛍光曲線が一つの直線である場合に、前記微小液滴に標的遺伝子成分を含まないことが表れる。
【0286】
取得されたリアルタイムの蛍光曲線に基づいて、Ct値を取得し、各微小液滴にCt値が取得される時に、前記リアルタイムの蛍光曲線に導関数を導出して、前記リアルタイムの蛍光曲線に傾きが一定である蛍光曲線の初期循環回数は、必要なCt値である。
【0287】
一実施例では、前記ステップS411に、まず、PCR増幅された各微小液滴の蛍光曲線に導関数を導出し、前記PCR増幅された各微小液滴の蛍光曲線の傾きを取得する。次に、前記PCR増幅された各微小液滴の蛍光曲線の傾きにより、前記PCR増幅された各微小液滴の蛍光曲線の傾きから、数値の変化しない数値を取得する。さらに、次に、前記傾きの変化しない数値により、それの対応する初期巡回数をPCR増幅された各微小液滴のCt値として取得する。最後に、前記PCR増幅された各微小液滴のCt値により、前記PCR増幅された微小液滴の全てのCt値を取得する。
【0288】
一実施例では、前記ステップS411に、まず、PCR増幅された各微小液滴の蛍光曲線により、PCR増幅された各微小液滴の蛍光閾値の欠失値を取得する。次に、PCR増幅された各微小液滴の蛍光閾値の欠失値により、それと対応する巡回数をPCR増幅された各微小液滴のCt値tとして取得する。さらに、次に、前記PCR増幅された各微小液滴のCt値により、前記PCR増幅された微小液滴の全てのCt値を取得する。
【0289】
そのうち、Ct値において、CがCycleを示し、tがthresholdを示し、Ct値とは、各反応管内に蛍光信号が所定の閾値になるまで経過した巡回数を意味している。
【0290】
一実施例では、PCR反応が行われる際に前の15個の循環される蛍光信号を蛍光バックグラウンド信号として、また、3-15個の循環される蛍光信号の標準偏差(SD)の10倍を蛍光閾値の欠失配置とし、即ち、threshold = 10×SDcycle 3-15となる。前記蛍光閾値の欠失値thresholdによれば、対応する巡回数を、前記Ct値として取得する。Ct値と初期DNA濃度との関係は、初期コピー数が多いいほど、Ct値が小さい。
【0291】
前記ステップS412に、各前記微小液滴の前記蛍光曲線のCt値に基づいて、クラスタリングを行い、順次に大きい順でソートし、x2、…、xnの類別を取得する。そのうち、前記微小液滴のマトリックスに、暗い液滴と対応する類別がx1であり、つまり、前記微小液滴のマトリックスに核酸初期コピー数を含まない液滴と対応する類別は、x1の類別である。核酸初期コピー数が多いほど、Ct値が小さいことから、この時、暗い液滴(陰性とされる液滴)と対応するCt値が無限大であり、つまり、前記x1類別と対応するCt値も無限大である。このように類推すると、前記x2類別と対応する核酸初期コピー数は1であり、前記x3類別と対応する核酸初期コピー数は2であり、前記x4類別と対応する核酸初期コピー数は3であり、前記x5類別と対応する核酸初期コピー数は4である。
【0292】
一実施例では、前記ステップS415では、前記x1の類別の前記微小液滴の数y1が特徴値m以上である時に、前記度数分布により、ポアソン分布で当てはめ、ポアソン分布のパラメータλを取得し、前記微小液滴のマトリックスの核酸初期コピー数を取得する。
【0293】
そのうち、前記特徴値mの範囲は、前記微小液滴のマトリックスにおける前記微小液滴の総数の0.5%-10%に位置する。
【0294】
一実施例では、前記特徴値mは、前記微小液滴の総数の5%であってもよい。
【0295】
前記x1の類別の前記微小液滴の数y1が特徴値m以上である時に、前記微小液滴のマトリックスにおける暗い液滴の数y1が特徴値m以上である。この時、前記微小液滴のマトリックスにおける暗い液滴の数は、全体として前記微小液滴のマトリックスの核酸初期コピー数を計算するときに一定の役割を持っていることから、前記微小液滴の数y1、y2、…、yn度数分布をポアソン分布で当てはめ、対応するポアソン分布のパラメータλを取得する。
【0296】
デジタルPCRには、微小液滴に含まれる初期DNAコピー数をxとすると、数理統計理論に基づいて、x=k(k=0、1、2、3.....)の確率分布関数Pがポアソン確率モデルを満たし、そのうち、λが微小液滴に含まれる平均の分子コピー数である。
【0297】
従って、前記ポアソン分布モデルにおける期待値μと分散σ2とにより、期待値μがλであり、分散がσ2であるλと分かる。従って、デジタルPCRにおける各微小液滴に標的DNA分子を含むコピー数がλであることから、λ値を求めると核酸を定量で検出するのを実現できると分かる。
【0298】
そのうち、液滴式PCRについて、一個の液滴に含まれる初期コピー数は、Poisson分布を満たしている。
そのうち、λは、前記微小液滴に平均して含まれる初期DNAコピー数である。各液滴に含まれる平均初期コピー数は、CPD(copies per droplet)により示される。
【0299】
この時に、前記微小液滴のマトリックスの核酸初期コピー数は、λを前記微小液滴のマトリックスの前記微小液滴の数に掛けたものである。
【0300】
前記検出すべき核酸増幅反応液について、その総体積をV(各微小液滴の体積がv)とすると、前記検出すべき核酸増幅反応液の濃度c(copy/μL)は、
従って、λの値を求めたと、DNAの定量検出も実現される。
【0301】
一実施例では、前記ステップS415に、前記x1の類別の前記微小液滴の数y1が特徴値mよりも小さい時に、
前記x2、…、xn個の類別毎に対応する前記微小液滴の数y2、…、ynの一部の度数分布に基づいて、順次に前記x2の類別と対応する前記核酸初期コピー数として、ポアソン分布で当てはめ、各ポアソン分布の対応するパラメータλj(j=0、1、2….)を取得するステップS4151と、
度数値の残差平方和errが最小になり、λoptimalを最適に取得するように、一つの空間[λmin, λmax]にλjを照会する、ステップS4152と、
前記最適λoptimalに基づいて、前記微小液滴のマトリックスの核酸初期コピー数を計算するステップS4153と、を含む。
【0302】
前記x1類別の前記微小液滴の数y1が特徴値mよりも小さい時に、前記微小液滴のマトリックスにおける暗い液滴の数は、前記微小液滴のマトリックスの核酸初期コピー数の全体を計算するのに役立たず、無視しても構わない。
【0303】
システムは、20,000個の液滴システムである場合に、一般的に、試料のDNAの濃度を6CPD以下にするということが推薦される。
【0304】
実際の試験工程では、k>4という時に、Ct値の区分が小さくなり、Ct値により一つの液滴の初期コピー数が4であるか5であるかについて区分しにくいことから、前記x2、…、xnの類別により不完全なサンプリングを行い、Poissonの分布に当てはめを行う。
【0305】
一実施例では、一つの空間[λmin, λmax]を設置し、計算誤差の平方和errが最小になるように、[λmin, λmax]空間に照会して最適なλoptimalを選択して、残差平方和が最小になる。
【0306】
一実施例では、ポアソン分布のパラメータλを取得する時に、最尤推定法を使用してパラメータλを推量する。
【0307】
一実施例では、パラメータλを推量する方法は、モーメント法、順序統計量法又は最尤推定法であってもよい。
【0308】
この方法を用いると、陰性とされる暗い液滴の数を確保する必要がなく、単独に一つの度数を用いて推量するほうよりも、精度や安定性が遥かに高い。
【0309】
前記ステップS4153に、前記微小液滴のマトリックスの核酸初期コピー数は、前記最適λoptimalを前記微小液滴のマトリックスの前記微小液滴の数に掛けたものである。
【0310】
一実施例では、不完全な試料により、最小二乗法を用いてポアソン分布のパラメータλを点推定する。
【0311】
実際の工程では、前記デジタルPCR定量検出方法は、標準曲線によらず、高い精度で前記複数の微小液滴に初期DNAの濃度を検出することができる。
【0312】
また、前記デジタルPCR定量検出方法により、前記複数の微小液滴に偽陽性が存在する課題を解決することができる。また、前記複数の微小液滴に、蛍光曲線を処理することは、仮に均一性により行われる統計修正によらず、真の絶対定量を取得することができる。
【0313】
標準曲線に対する依頼を排除できるに加えて、標準曲線による定量結果が確定でないという問題を解除し、液滴式デジタルPCRのエンドポイント検出方式による制限を解消して、一つのP(x=0)のデータのみにより、検出すべき試料全体をパラメータ推量する制約性を破ることができる。前記リアルタイム蛍光定量PCR検出方法を用いると、デジタルPCRの定量検出に正確性が向上する。
【0314】
前記デジタルPCR定量検出方法を用いると、陰性とされる空液滴の数を確保する必要が無くなる。また、多次元の度数分布データを用いると、全体に対して最適パラメータを推量することは、単独に、一つのP(x=0)のデータを用いて推量するほうよりも、その精度と安定性が遥かに高い。
【0315】
各蛍光曲線は、一つの有用な情報の曲線の変化過程を示し、リアルタイムでモニターするように、液滴の試料に参加した情報であり、所定のアルゴリズムで、隣接する液滴間における互いの影響を取り除くことができる。
【0316】
前記デジタルPCR定量検出方法は、抽象化の数学モデルにより、再現性と高感度が実現でき、しかも、動的範囲が大きくなり、少量の液滴でモニターが実現できる。小量のデータにより数多くの情報をカバーすることができる。また、前記デジタルPCR定量検出方法は、前記ポアソン分布の確率モデルの誤差を回避して絶対定量を実現し、より直観的になる。すべてのデータを総合して、ランダム性の誤差を取り除く。液滴の試料の蛍光曲線を取得し、液滴試料の蛍光輝度の変化をリアルタイムでモニターし、偽陽性を除去し、隣接する液滴間に互いの影響を取り除き、その後、定量解析モデルにより正確なデータ源を提供する。
【0317】
図23を参照すると、前記一部の核酸初期コピー数がそれぞれ0、1、2、3である場合に取得されたポアソン分布に基づいて当てはめる。そのうち、横座標が各液滴に含まれる平均初期コピー数(copies per droplet、CPD)である。縦座標は、各液滴に含まれる平均初期コピー数の標準偏差(standard deviation、Std Dev 、STD)である。各液滴に含まれる平均初期コピー数は、CPD(copies per droplet)により表示される。そして、前記一部の核酸初期コピー数により取得された各液滴に含まれる平均初期コピー数用のCPDの標準偏差は、他のアルゴリズムで取得された平均初期コピー数用のCPDの標準偏差よりも小さいと分かる。従って、前記デジタルPCR検出方法により取得された各前記微小液滴に含まれる平均初期コピー数用のCPDの値は、より正確になる。20000個の液滴を1000回だけシミュレーションした結果が示される。単点による推量方法だけを用いると、限られる濃度範囲だけをカバーし、推量精度も、試料の濃度が上がるのに伴い、急速に悪くなる。しかしながら、不完全なポアソン分布により当てはめアルゴリズムを用いると、試料濃度の増加に伴い、推量精度が明らかに変化せず、検出すべき核酸増幅反応液の濃度を二倍拡大することも可能である。液滴数が比較的小さい場合には、不完全なポアソン分布で当てはめアルゴリズム(一部サンプリングポアソン分布の当てはめのアルゴリズム)が依然として、よい確実性を持っている。
【0318】
前記デジタルPCR定量検出方法により、その結果が偽陽性や偽陰性であるという問題が解決される。シークエンシングプラットフォームの試料は、ハイスループット性を持っているため、数百個の試料を同時に検出することができる。また、異なる種類の蛍光により、複数のローカスを検出することができ、そして、検出に速度が速く、試験するためのコストが低下する。デジタルPCR検出器を用いて微滴化処理を行うと、希有な検出断片を多量の複雑な背景から分離させ、大幅に操作手間を簡単にして、効果的に用意時間や検出時間を省き、しかも、結果の読み取りにも直観的で確実であり、安定で実施できるという利点を持ち、検出に感度や正確性が共に正確で、定量要求を満たしており、検出に感度や正確性が向上する。
【0319】
一実施例では、前記ステップS420には、前記微小液滴のマトリックスの溶解曲線に基づいて、各前記微小液滴の前記溶解曲線と対応する溶解温度を取得するステップS421と、前記溶解温度に基づいて、前記微小液滴のマトリックスの微小液滴を分類し、前記微小液滴のマトリックスの核酸情報を取得し、前記検出すべき核酸の核酸情報を取得するステップS422と、を含む。
【0320】
異なる配列についてDNA、Tm値が異なる。言い換えれば、一つのDNAの溶解曲線を、一つのDNAの指紋とも言え、一つの特定のDNAと対応している。溶解曲線図に基づいて、そのピークが位置する温度は、二本鎖DNA分子のTm値(溶解温度Melting Temperature)を示す。増幅産物のTm値に基づいて、その遺伝子型を判断することができる。同様な溶解曲線を分類し分けて、異なる形状溶解曲線をジェノタイピングし、又は分類し、標的遺伝子の溶解曲線と比較すると、非特異性に偽陽性を排除し、標的遺伝子と異なる配列を排除することができる。
【0321】
一実施例では、溶解曲線により、前記微小液滴のマトリックスを分類する時に、決定木、ベイジアン、人工ニューラルネットワーク、K-近傍法、サポートベクトルマシンおよび相関規則に基づく分類、Bagging及びBoostingなどのアルゴリズムを用いてもよい。
【0322】
一実施例では、前記デジタルPCR検出方法は、前記微小液滴のマトリックスの高分解能溶解曲線を取得し、前記微小液滴のマトリックスの微小液滴を分類し、前記微小液滴のマトリックスに、ジェノタイピングや突然変異の検出などの核酸情報を取得するステップS50をさらに含む。
【0323】
前記溶解曲線により、前記微小液滴のマトリックスの核酸増幅の特異性、及び、核酸増幅層の工程にプライマーダイマーという現象の有無などを取得することができる。
【0324】
前記微小液滴のマトリックスにより、dsDNA溶解の工程に、蛍光信号値の変化をリアルタイムで検出することにより、前記微小液滴のマトリックスの高分解能の溶解曲線を取得する。高分解能の溶解曲線とは、モノヌクレオチドの溶解温度が異なることにより、異なる形態の溶解曲線を形成する遺伝子解析の新技術であり、極めて高い感度を有し、一個の塩基の相違を検出でき、コストが低く、スループットが高く、速度が速く、結果が正確であり、検出ローカスによる制限がなく、真の「閉管(検出管が閉じられる状態)」の操作を実現できる。突然変異走査、一塩基多型解析、メチル化研究、ジェノタイピング、配列をマッチングするなどの場合には、HRM解析技術が、重要な役割を奏している。二本鎖ヌクレオチドは、その熱安定性が長さと塩基組成に影響されており、配列の変化が昇温の工程にdsDNAの解鎖の行為に変化をもたらす。用いられる蛍光染料は、dsDNAのみに嵌入して結合されるため、リアルタイムのPCR技術を用いて、dsDNA溶解工程に、蛍光信号値の変化をリアルタイムで検出すると、異なる形状の溶解曲線を生成する形態でPCR産物に存在している相違を直観的に表すことができる。また、専門的な解析ソフトウェアを介して、テスト群に、異なる形状溶解曲線によるジェノタイピング又は分類を実現することができる。
【0325】
一実施例では、前記ステップS20に、前記微小液滴のマトリックスを形成する時に、瞬間加速度運動による微小液滴生成方法、又は、周期的に変化する速度による微小液滴生成方法が用いられてもよい。
【0326】
一実施例では、前記ステップS10に、前記検出すべき核酸増幅反応液に、飽和染料を用いて、ポリメラーゼ連鎖反応の産物を解析する。
【0327】
一実施例では、複数の前記微小液滴を定性で分類し解析する時に、高分解能溶解曲線解析(high resolution melting analysis、HRM)を用いてもよく、配列特異性プローブを用いる必要がなく、飽和染料により PCR反応産物を解析してもよい。
【0328】
一実施例では、プライマーの設計に三つの基本原則がある。まず、プライマーと鋳型の配列とが緊密に相補すること。次に、プライマーとプライマーとの間に、安定なダイマーやバレッタ構造の形成を避けること。また、プライマーは、鋳型の非標的ローカスでDNA重合反応(即ち、誤って重合反応する)が発生してならないこと。具体的に、この三つの基本原則を実現するには、多くの要素、例えば、プライマーの長さ、産物の長さ、配列Tmの値、プライマーと鋳型とにより形成された二本鎖の内部の安定性、プライマーダイマー及びバレッタ構造を形成するエネルギーの値、誤って重合反応されたローカスでの発生効率、プライマー及び産物のGC含量などを考慮する必要がある。また、特殊な検出について、プライマーを修飾してもよく、例えば、制限エンドヌクレアーゼのローカスを増やして、突然変異を誘導するなどしてもよい。
【0329】
プライマーが対応する鋳型位置配列のTm値は、72℃程度で、アニーリングの条件が最適になる。Tm値の計算には、例えば、Tm=4(G+C)+2(A+T)という式により、Oligoというソフトウェアに使用されるのは、k近傍法という多種類方法が存在する。
【0330】
図24を参照すると、一実施例では、前記デジタルPCR検出方法により取得された前記微小液滴のマトリックスの溶解曲線図であり、蛍光信号の負の一次導関数が温度の変化と伴い変化する図を作成し、そのピークが所在する温度は、二本鎖DNA分子のTm値(溶解点温度)を示す。増幅産物のTm値だけによれば、その遺伝子型を判断できる。故に、二つの溶解温度Tm1及びTm2が存在すると分かる。溶解温度Tm1と溶解温度Tm2は、それぞれ、二つの異なる類別のDNAと対応していることから、前記微小液滴のマトリックスにおける標的DNAを区分できる。
【0331】
従来のPCR検出技術において、複数回だけ繰り返して検出することにより、作業量が膨大となり、時間が掛かるという課題について、ハイスループット、感度が高く、検出時間が短いということを実現可能なハイスループット核酸検出解析に用いられる核酸検出微小球、製造方法、試薬キット、及び、ハイスループット核酸検出方法を提供する。
【0332】
図25-27を参照すると、本出願が提供する核酸検出微小球700は、ハイスループットで核酸を検出して解析するのに用いられる。前記核酸検出微小球700は、核小体730及び被覆層710を含む。前記核小体730は、蛍光コード情報を有する。前記被覆層710は、前記核小体730を被覆し、前記被覆層710は、基体711及び前記基体711に分散されるプライマー712を含み、しかも、前記プライマー712が前記核小体730と一意に対応する。
【0333】
そのうち、前記被覆層710は、前記核小体730を被覆し、前記前記核酸検出微小球700を形成する。前記基体711は、疎水性油に形成される含水高分子ゲルであり、流動性がなく、形状と体積が変更し難しい。含水高分子ゲルは、室温にゲルの状態となり、室温よりも高い温度下に溶解し、酵素、反応液などの拡散及び活性に影響することがない。同時に、前記基体711に分散された前記プライマー712により、標的検出核酸に定性解析して識別する。前記核小体730は耐熱材料であり、蛍光コード情報を有する。前記蛍光コード情報は、前記核小体730の蛍光コード信号により示されることから、蛍光コード信号により特殊なマーク機能を実現する。しかも、各前記核小体730は、前記プライマー712と一意に対応することから、前記核小体730により、前記核酸検出微小球700をマークし、追跡して検出を行う。
【0334】
PCR検出を行う時に、複数且つ多種類の前記核酸検出微小球700と検出すべき核酸増幅反応液とを混合させると、核酸検出液を取得する。前記核酸検出液を微滴化して複数の微小液滴を形成し、複数の微小液滴にPCR反応を行う。PCR反応工程では、二本鎖DNAが90℃~95℃で変性し、再度、迅速に50℃~60℃まで冷却し、プライマーがアニーリングして標的配列と結合し、そして、急速に70℃~75℃まで昇温し、Taq DNAポリメラーゼによる作用で、プライマーの鎖を鋳型に沿って伸ばして、適宜な温度範囲に核酸を増幅する。複数の微小液滴にPCR温度を制御する工程では、前記被覆層710が溶解して分解し、前記被覆層710に含まれている前記プライマー712を対応する微小液滴に解放し、微小液滴に含まれる標的核酸分子と反応して、最終的に、前記核小体730を位置決め、追跡して識別し、前記核小体730と対応する前記プライマー712により、標的核酸分子が分かり、PCRハイスループット検出を実現する。
【0335】
実際の応用工程では、バッチ処理で複数の多種類前記核酸検出微小球700を製造してもよい。多種類の前記核酸検出微小球700を、標的核酸を検出する実際のニーズに応じて一定の比に従って、検出すべき核酸増幅反応液に混合させ、核酸検出液を取得することにより、標的核酸を検出し、一回だけ多種類の標的核酸の分子を検出することができ、繰り返して複数検出を行う必要が無くなり、作業量が小さく、検出時間が短く、感度が高い。
【0336】
図28-29を参照すると、そのうち、一実施例では、前記被覆層710は、プローブ713をさらに含み、前記プローブ713及び前記プライマー712は、前記基体711に分散され、前記核小体730と一意に対応する。
【0337】
そのうち、前記プローブ713は、核酸の増幅を示す蛍光プローブであってもよく、例えば、TaqMan蛍光プローブなどの蛍光基とクエンチ基を同時に含むオリゴ糖ヌクレオチドプローブであってもよい。前記プローブ713は、前記基体711に分散されており、標的検出核酸の分子を定性解析して識別するために用いられる。複数の微小液滴をPCR温度で制御する工程には、前記被覆層710は、溶解して分解し、前記被覆層710に含まれている前記プライマー712と前記プローブ713を、対応する微小液滴へ解放して微小液滴に含まれている標的検出核酸分子と反応し、最終的に、前記核小体730を位置決め、追跡して識別することが実現される。また、前記核小体730と対応する前記プライマー712及び前記プローブ713により、標的核酸分子を見出して、ハイスループットでPCRの検出を実現する。
【0338】
一実施例では、前記プライマー712は、異なる種類のプライマーとして配置されてもよい。バッチ処理で検出する時に、多種類の前記プライマー712を、異なる種類のプライマーとして配置してもよい。そして、異なる種類の標的核酸分子を検出することができる。また、ある種類の前記プライマー712は、ある種類の前記核小体730と対応し、言い換えれば、各前記プライマー712が、前記核小体730という、対応する代表的な番号を有しているため、前記核小体730の検出により識別されえる。
【0339】
一実施例では、100個の前記核酸検出微小球700を挙げると、100個の前記核酸検出微小球700が100種類の異なる前記プライマー712に対応し、つまり、100個の前記核酸検出微小球700が100種類の異なる前記核小体730に対応する。即ち、100種類の異なる前記プライマー712は、100種類の異なる前記核小体730に対応する。100個の前記核酸検出微小球700を含んでいる複数の微小液滴についてPCRの昇温を行う工程では、各前記核酸検出微小球700における前記被覆層710は、溶解し分解して、前記被覆層710に含まれている前記プライマー712を、対応する微小液滴に解放し、PCR増幅を行う。この時、一部の前記微小液滴に含まれている一つの前記核小体730について、前記核小体730により前記微小液滴に含まれている前記プライマー712を見出すことにより、前記プライマー712により前記微小液滴中の標的核酸分子を見出して、PCR検出を実現する。
【0340】
そのうち、一実施例では、前記基体がアガロースゲルとされる。アガロースゲルは、アガロースを支持媒体として製造されたゲルであり、アガロースの溶解点が62℃~65℃にあり、溶解されたと37℃で液体状態が数時間維持され、30℃でゲルに凝固される。複数の微小液滴にPCRの温度を制御する工程では、前記被覆層710は、溶解し分解して、前記被覆層710に含まれている前記プライマー712と前記プローブ713を、対応する微小液滴に解放し、前記プライマー712と微小液滴に含まれている標的核酸分子とをPCR反応させ、蛍光染料又は前記プローブ713により核酸が増幅されたかどうかについて示す。
【0341】
そのうち、一実施例では、前記核小体730は、蛍光染料を含んでいるソリッド球体(solid sphere)である。
【0342】
そのうち、前記核小体730は、その材料が耐熱材料であって、例えば、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフェニレンサルファイド又はポリアミドなどであってもよい。まは、前記核小体730に蛍光染料を有することにより、蛍光信号を放射することができる。異なる種類の蛍光染料及び蛍光の強度の大きさによって、前記核小体730をコードして、多量の異なる種類の前記核小体730を取得し、前記核小体730が蛍光コード信号を有するようにして、複数の前記核酸検出微小球700へのコードを実現する。
【0343】
一実施例では、本出願に、二つの異なる種類の蛍光染料を用いて、各蛍光染料に10個の異なるレベルの蛍光信号の強度を用いると、10×10=100個の異なるマークの前記核小体730を取得し、前記核小体730に蛍光コード情報を有すると、10×10=100個の異なるマークの前記核酸検出微小球700を取得する。そのうち、各前記核酸検出微小球700は、それぞれ、一つの前記核小体730に対応し、各前記核小体730は、それぞれ、前記プライマー712に対応し、各前記核小体730は、それぞれ、前記プローブ713に対応する。複数の前記核酸検出微小球700により、一回だけ、複数の異なる種類の標的核酸分子をPCR検出することができ、繰り返して複数検出を行う必要がなく、作業量が小さく、検出時間が短く、ハイスループット及び感度が高いという利点を持っている。
【0344】
そのうち、一実施例では、前記核小体730は、その直径が10ミクロン~100ミクロンである。前記被覆層は、その厚さが10ミクロン~100ミクロンである。
【0345】
前記核酸検出微小球700は、その直径の大きさが一般的に、20ミクロン~150ミクロンであってもよい。そうすると、画像を採集する時に十分な微小液滴を採集することができる。そのうち、前記核小体730は、その直径が10ミクロン~100ミクロンであてもよい。前記被覆層は、その厚さが10ミクロン~100ミクロンであってもよい。前記核酸検出微小球700は、大き過ぎ、又は、小さ過ぎると良くない。小さ過ぎると識別され難く、大き過ぎると、複数の微小液滴を生成する時に、微小液滴生成装置の出口端を塞いで、複数の微小液滴の生成を妨げてしまうことが多い。前記核酸検出微小球700の直径の大きさを配置することにより、再度複数の微小液滴を生成する時に蛍光信号検出装置30により識別されえるのに加えて、画像を便宜に採集するように、数多くの微小液滴を可及的にカバーすることができ、また、微小液滴生成装置の出口端で複数の微小液滴を生成することを妨げることがない。
【0346】
そのうち、一実施例では、核酸検出微小球の製造方法には、
複数の核小体730及びプライマー溶液を提供するステップS110と、
ゲル粉末を提供し、前記ゲル粉末を再蒸留水に添加し、ゲル粉溶液を取得し、前記ゲル粉溶液を、澄むまで、加熱し、被覆層の製造液を取得するステップS120と、
ゲル溶解温度で、前記複数の核小体730、前記プライマー溶液及び前記被覆層の製造液を混合し、核酸検出微小球の製造溶液を取得するステップS130と、
前記ゲル溶解温度で、前記核酸検出微小球の製造溶液を微滴化し、複数の核酸検出微小球の液滴を形成するステップS140と、
前記複数の核酸検出微小球の液滴を冷却し、フローサイトメトリーにより、複数の核酸検出微小球700を取得するステップS150と、を含む。
【0347】
前記ステップS110において、複数の前記核小体730が同一種類の蛍光染料を含んでいるソリッド球体である。そして、前記核酸検出微小球700を製造し、ただし、前記核酸検出微小球700が前記核小体730と一意に対応し、前記プライマー712も前記核小体730と一意に対応する。
【0348】
また、前記プライマー溶液は、前記プライマー712を含む。殺菌済みの超純水により、干し粉末プライマー712を希釈する時に、プライマー濃度が100μMとなるまで、言い換えれば、100μmol/Lまで希釈する。そして、濃度が100μMのプライマー溶液100ulを前記被覆層の製造液900ulに置いて、プライマー濃度を10μM(μmol/L)とするように配置する。
【0349】
前記ステップS120では、前記ゲル粉末は、カンテン末又はジエチレングリコールジアクリレートなどのゲルを製作できる物質であってもよい。そのうち、前記被覆層の製造液は、カンテン末溶液であってもよく、質量比が1.5%~4.5%のカンテン末と10mlの再蒸留水を提供し、前記カンテン末を前記再蒸留水に添加して高温で澄むまで溶解し、前記被覆層の製造液を取得する。そのうち、前記被覆層の製造液は、カンテン末溶液である。
【0350】
前記ステップS130では、前記プライマー溶液に含まれる複数の前記プライマー712は、同一の種類型のプライマーであり、複数の前記核小体730が同一の種類の蛍光系の核小体である。前記ゲルの溶解温度は、ゲルを液体溶液に転換する温度である。そのうち、前記アガロースの溶解点は、62℃~65℃であり、30℃時で凝固してゲルとなる。そして、高温環境の62℃~65℃で、複数の前記プライマー712と複数の前記核小体730とを前記被覆層の製造液(前記被覆層の製造液は、カンテン末溶液とされる)に添加して、前記核酸検出微小球の製造溶液を取得する。
【0351】
一実施例では、前記ステップS130に、前記プライマー712と前記核小体730とを前記アガロース溶液に添加する時、一般的に、前記核酸検出微小球700を生成する大きさにより、前記核小体730の濃度を選定する。
【0352】
図30-31を参照すると、前記ステップS140には、高温環境で、マイクロ流体制御チップ、マイクロ流体発生器、又は、微小液滴生成装置により、疎水性油に複数の前記核酸検出微小球の液滴を形成する。
【0353】
図30を参照すると、そのうち、一実施例では、前記ステップS140には、
出口端を有し前記核酸検出微小球の製造溶液を貯留している液体吐出ピペットチップを提供し、疎水性油を貯留している開口容器を提供するステップS141と、
前記ゲル溶解温度で、前記液体吐出ピペットチップの出口端を前記疎水性油の液面下に挿入するステップS142と、
前記液体吐出ピペットチップの出口端が前記疎水性油の液面下に瞬間加速度運動を行い、又は、周期的に変化する速度で運動を行い、前記核酸検出微小球の製造溶液を前記液体吐出ピペットチップの出口端から排出し、前記疎水性油の液面下に前記複数の核酸検出微小球の液滴を形成するステップS143と、を含む。
【0354】
本出願は、液体吐出ピペットチップ、流体駆動機構及び運動制御機構を含む微小液滴生成装置を提供する。前記液体吐出ピペットチップは、出口端及び入口端を有し、前記流体駆動機構は、前記液体吐出ピペットチップを駆動して、入口端を介して、核酸検出微小球の製造溶液を前記液体吐出ピペットチップに吸入し、前記液体吐出ピペットチップの出口端を、油性液体を貯留している容器に、挿入し、前記液体吐出ピペットチップの出口端が油性液体の液面下に挿入するようにする。また、前記運動制御機構が前記油性液体の液面下に瞬間加速度運動を行い又は周期的に変化する速度で運動を行うことにより、前記核酸検出微小球の製造溶液を前記液体吐出ピペットチップの出口端から排出し、前記油性液体の液面下に前記複数の核酸検出微小球の液滴を形成する。そのうち、前記油性液体と前記核酸検出微小球の製造溶液とは、互いに非相溶を持ち、又は、界面反応を有する二つの液体であり、前記油性液体は、鉱油(テトラデカンなどを含み)、植物油、シリコーンオイル又はパーフルオロアルカンオイルなどであってもよい。
【0355】
前記ステップS150では、複数の前記核酸検出微小球の液滴を常温の30℃程度まで冷却すると、複数の前記核酸検出微小球が凝固してゲルとなり、フローサイトメトリーにより複数の前記核酸検出微小球700を選択する。前記フローサイトメトリーは、高いエネルギーのレーザを、高速で流動する状態における複数の前記核酸検出微小球の液滴を照射する。複数の前記核酸検出微小球の液滴に0個、一つの又は複数の前記核小体730を含み、前記核小体730が蛍光染料を含むソリッド球体であることから、生じた散乱光と放射蛍光の強度を検出し、スクリーニングを行い、一個の前記核小体730しかを含まない核酸検出微小球700を取得する。
【0356】
この時、冷却された複数の前記核酸検出微小球700は、ゲルの状態となり、常温環境に、貯留と搬送がされ易く、バッチ処理で搬送されてPCR検出に用いられる。
【0357】
そのうち、一実施例では、核酸検出微小球の製造方法は、
プライマー溶液、プローブ溶液、及び、複数の核小体730を提供するステップS210と、
ゲル粉末を提供し、前記ゲル粉末を再蒸留水に添加し、ゲル粉溶液を取得し、前記ゲル粉溶液を、澄むまで、加熱し、被覆層の製造液を取得するステップS220と、
ゲル溶解温度で、将前記複数の核小体730と、前記プライマー溶液と、前記プローブ溶液とを、前記被覆層の製造液に混合し、核酸検出微小球の製造溶液を取得するステップS230と、
前記ゲル溶解温度で、前記核酸検出微小球を製造する溶液を微滴化し、複数の核酸検出微小球の液滴を形成するステップS240と、
前記複数の核酸検出微小球の液滴を冷却し、フローサイトメトリーにより、複数の核酸検出微小球ステップを選択するS250と、を含む。
【0358】
前記ステップS210に、前記プローブ溶液は、核酸が増幅されたかどうかを検出するための前記プローブ713を含み、TaqMan蛍光プローブなどの蛍光基及びクエンチ基を同時に含むオリゴ糖ヌクレオチドプローブであってもよい。複数の微小液滴によりPCRの温度を制御する工程では、前記被覆層710が溶解して分解し、前記被覆層710に含まれている前記プライマー712及び前記プローブ713が対応する微小液滴に解放され、微小液滴に含まれている標的検出核酸分子と反応し、最終的に、前記核小体730を位置決め、追跡して識別し、前記核小体730と対応する前記プライマー712及び前記プローブ713により、標的核酸分子が分かり、PCRハイスループットの検出を実現することができる。
【0359】
そのうち、複数の前記核小体730は、同じ種類の蛍光染料を含んでいるソリッド球体でありる。そして、前記核酸検出微小球700を製造し、ただし、前記核酸検出微小球700が前記核小体730と一意に対応し、前記プライマー712が前記核小体730と一意に対応し、前記プローブ713が前記プライマー712と一意に対応する。
【0360】
前記ステップS220では、前記被覆層の製造液の製造方法は、前記ステップ120の製造方法と同じであってもよい。
【0361】
前記ステップS240では、複数の前記核酸検出微小球の液滴を形成する製造方法は、前記ステップS140方法と同じであってもよい。
【0362】
前記ステップS250では、複数の前記複数の核酸検出微小球700を取得する方法は、前記ステップ150方法と同じであってもよい。
【0363】
そのうち一実施例では、前記ステップS250に、前記核酸検出微小球は、一個の前記核小体を含む核酸検出微小球であってもよい。
【0364】
そのうち一実施例では、前記ステップS220に、前記ゲル粉末は、カンテン末又はポリエチレングリコールジアクリレートなどであってもよい。
【0365】
そのうち一実施例では、試薬キットは、ハイスループットで核酸検出解析に用いられる。前記試薬キットは、上記実施例のいずれもに記載の核酸検出微小球と核酸反応液とを含む。
【0366】
そのうち、前記核酸反応液は、PCR増幅に必要な酵素、dNTP、蛍光染料及びイオンなどを含む。例えば、前記核酸検出微小球700に前記プローブ713を含むと、前記核酸反応液に蛍光染料を含まなくてもよい。
【0367】
前記試薬キットは、多種類の異なる前記核酸検出微小球700を貯蔵・搬送するために用いられる。そのうち、前記核酸検出微小球700は、グリセリンに保存されてもよい。
【0368】
一実施例では、デジタルPCRにのみ用いられ、セットとなる試薬及び溶液を用意して、鋳型DNAの試料に対する外来DNAの潜在的な汚染を減少し又は回避する。使用される機器及び消耗品の全ては、高温で殺菌され、高温で乾燥処理されるべきである。
【0369】
図32を参照すると、そのうち、一実施例では、ハイスループット核酸検出方法は、
核酸増幅反応液と多種類の異なる種類の核酸検出微小球700を提供し、前記核酸検出微小球700は、核小体730及び被覆層710を含み、前記核小体730は、コード情報を有し、前記被覆層710は、前記核小体730を被覆し、前記被覆層710は、基体711及び前記基体711に分散されるプライマー712を含み、前記プライマー712が前記核小体730と一意に対応し、前記核小体730は、蛍光染料を含んでいるソリッド球体であるステップS310と、
前記多種類の異なる種類の核酸検出微小球700と前記核酸増幅反応液とを混合し、核酸検出液を取得するステップS320と、
前記核酸検出液を微滴化し、複数の微小液滴800を形成するステップS330と、
前記複数の微小液滴800に核酸を増幅し、増幅された前記複数の微小液滴800を取得するステップS340と、
増幅された前記複数の微小液滴800に基づいて、各前記微小液滴800における前記核小体730を検出し、一つの前記核小体730しかを含まない前記微小液滴800をスクリーニングし、第一の効果的な微小液滴810を取得するステップS350と、
前記第一の効果的な微小液滴810に基づいて、前記第一の効果的な微小液滴810における前記核小体730の蛍光信号を検出し、前記核小体730と対応する前記プライマー712を取得し、核酸増幅反応された報告蛍光信号を読み取り、前記第一の効果的な微小液滴810に、対応する標的核酸分子が存在するかどうかについて取得するステップS360と、を含む。
【0370】
前記ステップS310では、前記核酸増幅反応液は、デオキシリボ核酸を鋳型とする核酸増幅反応液、リボ核酸を鋳型とする逆転写核酸増幅反応液、又は、ループ介在等温増幅反応液である。また、前記核酸増幅反応液に蛍光染料を含む。前記核酸増幅反応液は、核酸の鋳型、反応緩衝液、デオキシグアノシン三リン酸、ポリメラーゼ及び二価金属陽イオンなどを含み、前記被覆層710に前記プローブ713がないと、前記反応緩衝液に蛍光染料を含む。
【0371】
そのうち、前記核酸増幅反応液は、デオキシリボ核酸(DNA)を鋳型とする核酸増幅反応液(DNA増幅反応液とも呼ばれる)であってもよく、リボ核酸(RNA)を鋳型とする逆転写核酸増幅反応液(RNA逆転写反応液とも呼ばれる)であってもよく、例えば、ループ介在等温増幅(LAMP)反応液である他の核酸増幅反応液であってもよい。そのうち、前記DNA増幅反応液の特徴としては、DNAを増幅させるに必要なdNTP、緩衝液、無機塩イオン、ポリメラーゼ、 プライマー、検出すべきDNA鋳型及び蛍光染料又は蛍光プローブなどを含んでいるということである。
【0372】
PCR反応システムでは、遊離の状態に、SYBR Green蛍光染料を添加すると弱い蛍光が発生するが、一旦二本鎖DNAと結合すると、蛍光が大きく強化し、蛍光信号を生じて、蛍光信号の増加とPCR産物の増加を完全に同期することを確保することができる。この時、SYBR Green蛍光染料により発生した蛍光信号を検出することにより、核酸増幅反応された報告蛍光信号を取得し、前記第一の有効な微小液滴810に、対応する標的核酸分子を含んでいるかどうかが分かる。
【0373】
そのうち、前記多種類の異なる種類の前記核酸検出微小球700における前記核酸検出微小球700の大きさ、形状、及び、含まれている前記プライマー712は、同じでもよく異なってもよい。複数の前記核酸検出微小球700には、異なる種類の前記標的核酸分子を検出するための異なる種類の前記プライマー712を含んでもよい。
【0374】
前記ステップS320では、前記多種類の異なる種類の核酸検出微小球700と前記核酸増幅反応液混合とを混合して前記核酸検出液を形成する場合に、前記複数の微小液滴800を生成する時に被覆数が最大になり、微小球の分布がポアソン分布理論のモデルに該当するように、前記核酸検出液における前記核酸検出微小球700の濃度を調整してもよい。この時、各前記微小液滴800に含まれている一つの前記核小体730の確率をp(x=1)=λe-λ、p’(x=1)=e-λ-λe-λ=0として計算し、この時、λ=1、即ち、各前記微小液滴800に含まれている一つの前記核小体730を平均すると、一個の前記核小体730による被覆の確率が最大となる。この時、各前記微小液滴800に含まれている一つの前記核小体730の確率は、p(x=1)= e-1=0.368となる。
【0375】
図1を参照すると、一実施例では、本出願が提供する核酸ハイスループット検出器は、微小液滴生成装置、温度制御装置、蛍光信号検出装置、解析装置及び制御器を含む。前記微小液滴生成装置は、前記核酸検出液を微滴化し、前記複数の微小液滴800を形成するために用いられる。前記温度制御装置は、前記微小液滴生成装置にレールを介して接続され、前記複数の微小液滴を前記温度制御装置に移転し、前記温度制御装置により温度循環で核酸増幅を実現するために用いられる。前記複数の微小液滴増幅が完了するまで、前記蛍光信号検出装置により、核酸増幅された前記複数の微小液滴を蛍光検出する。前記制御器は、前記微小液滴生成装置、前記温度制御装置及び前記蛍光信号検出装置にそれぞれ接続され、前記微小液滴生成装置、前記温度制御装置及び前記蛍光信号検出装置を制御するために用いられる。
【0376】
そのうち、前記微小液滴生成装置は、液体吐出ピペットチップ、流体駆動機構及び運動制御機構を含む。前記液体吐出ピペットチップは、出口端及び入口端を有し、前記流体駆動機構は、前記液体吐出ピペットチップを駆動して、入口端により、前記核酸検出液を前記液体吐出ピペットチップに吸入し、前記液体吐出ピペットチップの出口端を、油性液体を貯留している容器に挿入し、前記液体吐出ピペットチップの出口端が油性液体の液面下に進入するようにする。同時に、前記運動制御機構が前記油性液体の液面下に瞬間加速度運動とする運動又は周期的に変速する運動により、前記核酸検出液を前記液体吐出ピペットチップの出口端から排出して、前記油性液体の液面下に前記複数の微小液滴800を形成する。そのうち、前記油性液体と前記核酸検出液とは、互いに非相溶性を持ち又は界面反応を有する二つの液体であり、前記油性液体は、鉱油(テトラデカンなどを含み)、植物油、シリコーンオイルとパーフルオロアルカンオイルなどであってもよい。
【0377】
図33-34を参照すると、一実施例では、前記ステップS330に前記核酸検出液を微滴化し、複数の微小液滴800を形成する時に、マイクロ流体制御チップ、微流体発生器又は微小液滴生成装置などが用いられてもよい。また、前記複数の微小液滴800を製造する方法は、前記装置に限らず、前記複数の微小液滴800を製造する他の装置を使ってもよい。
【0378】
そのうち、各前記微小液滴800に、ゼロ個か、一つの又は複数の前記核酸検出微小球700を含み、しかも、各前記微小液滴800に、核酸を増幅するための前記核酸増幅反応液を含む。
【0379】
一実施例では、前記ステップS330に、前記核酸検出液を微滴化して形成された前記複数の微小液滴800は、その大きさが同じであってもよく、異なってもよい。
【0380】
一実施例では、前記ステップS330に、前記核酸検出液を微滴化する時に、マイクロ流体制御チップが用いられてもよい。
【0381】
前記核酸検出液を微滴化する時に、各前記微小液滴800に、ゼロ個、一つ又は複数の前記核酸検出微小球700を含むかもしれない。前記複数の微小液滴800に核酸を増幅する温度が、前記アガロースの溶解点よりも高い場合に、前記被覆層710が溶解し前記プライマー712を解放し、前記プライマー712と前記微小液滴800中の核酸分子とを同時にPCR増幅させ、この時、前記微小液滴800における対応する前記核小体730を識別することにより、前記プライマー712の種類が分かり、そして標的核酸分子が分かる。
【0382】
一実施例では、前記ステップS350に、前記第一の効果的な微小液滴810が一つの前記核小体730を含む。ゼロ個、又は一つ以上のの前記微小液滴800を無効な微小液滴として見なす。そのうち、前記第一の効果的な微小液滴810には、蛍光染料及び前記プライマー712を含む。前記プライマー712と前記第一の効果的な微小液滴810における核酸分子とにPCR増幅を行う工程では、前記蛍光染料と二本鎖DNAとが結合し、蛍光が大きく強化すると、比較的強い蛍光信号を放射し、前記第一の効果的な微小液滴810に比較的強い蛍光信号を持たせることにより、前記核小体730及び前記プライマー712により、前記第一の効果的な微小液滴810における対応する標的核酸分子の種類を取得することができる。
【0383】
そのうち、一実施例では、前記ステップS360は、
コード蛍光チャネル及び蛍光染料検出チャネルを含み、コード蛍光チャネルに基づいて、前記効果的な微小液滴における前記核小体730の蛍光信号を識別する蛍光信号検出装置を提供する、ステップS361と、
前記核小体730の蛍光信号に基づいて、前記730と対応する前記プライマー712を取得するステップS362と、
前記蛍光染料検出チャネルに基づいて、前記第一の効果的な微小液滴810における核酸増幅反応された報告蛍光信号を検出し、前記第一の効果的な微小液滴810に、対応する標的核酸分子が存在するかどうかについて取得するステップS363と、を含む。
【0384】
前記核小体730は、蛍光染料を含むソリッド球体であり、異なる種類の蛍光染料及び蛍光の強度の大きさにより、前記核小体730をマークしてもよい。種類毎の蛍光は、ある種類の前記核小体730に対応し、種類毎の前記核小体730がある種類の前記プライマー712と対応するということは、各種類に前記712にそれと対応する代表番号を有し、即ち、前記核小体730を有するということに相当する。
【0385】
前記ステップS360には、報告蛍光信号検出の有無により出標的核酸分子の有無を検出して、定性で検出を実現する。そのうち、スクリーニング工程では、同一種類の前記核小体730を有する前記第一の効果的な微小液滴810を同一の組に分けてもよい。また、検出報告蛍光の有無により、この類別の前記核小体730において、前記第一の効果的な微小液滴810に報告蛍光信号を有さない微小液滴数がこの類別の微小液滴の総数に占めている比を取得し、ポアソン分布により同一の種類の前記核小体730と対応する標的核酸分子の濃度を計算して取得する。
【0386】
図35を参照すると、そのうち、一実施例では、ハイスループット核酸検出方法は、
核酸増幅の反応液及び多種類の異なる種類の核酸検出微小球700を提供し、ただし、前記核酸検出微小球700は、核小体730及び被覆層710を含み、前記核小体730は、コード情報を有し、前記被覆層710は、前記核小体730を被覆し、前記被覆層710は、基体711、及び、前記基体711に分散されるプライマー712及びプローブ713を含み、前記プライマー712と前記プローブ713とが前記核小体730と一意に対応し、前記核小体730は、蛍光コード情報を有するソリッド球体であるステップS410と、
前記多種類の異なる種類の核酸検出微小球700と前記核酸増幅反応液とを混合し、核酸検出液を取得するステップS420と、
前記核酸検出液を微滴化し、複数の微小液滴800を形成するステップS430と、
前記複数の微小液滴800に核酸を増幅し、増幅された前記複数の微小液滴800を取得するステップS440と、
増幅された前記複数の微小液滴800に基づいて、各前記微小液滴800における前記核小体730を検出し、一つの前記核小体730しかを含まない前記微小液滴800をスクリーニングし、第二の効果的な微小液滴820を取得するステップS450と、
前記第二の効果的な微小液滴820に基づいて、前記第二の効果的な微小液滴820における前記核小体730の蛍光信号を検出し、前記核小体730と対応する前記プライマー712及び前記プローブ713を取得し、核酸増幅反応された報告蛍光信号を読み取り、前記第二の効果的な微小液滴820に、対応する標的核酸分子が存在するかどうかについて取得するステップS460、とを含む。
【0387】
前記核酸検出液を微滴化する時に、各前記微小液滴800に、ゼロ個、一つ又は複数の前記核酸検出微小球700を含むかもしれない。前記複数の微小液滴800に核酸を増幅する温度が、前記アガロースの溶解点よりも高い場合に、前記被覆層710が溶解し前記プライマー712を解放し、前記プライマー712と前記微小液滴800中の核酸分子とを同時にPCR増幅させ、この時、前記微小液滴800における対応する前記核小体730を識別することにより、前記プライマー712の種類が分かり、そして標的核酸分子が分かる。
【0388】
前記ステップS450では、前記第二の効果的な微小液滴820に、一つの前記核小体730を含む。ゼロ個、又は、一つ以上の前記核小体730を含む前記微小液滴800を無効な微小液滴として見なす。また、前記第二の効果的な微小液滴820は、さらに、前記プローブ713及び前記プライマー712を含む。前記第二の効果的な微小液滴820に前記プローブ713を含むと、前記第二の効果的な微小液滴820に蛍光染料を含まなくてもよく、この時、前記プローブ713が蛍光マークとして機能する。前記プライマー712と前記第二の効果的な微小液滴820における核酸分子とにPCR増幅を行う工程に、前記プローブ713が二本鎖DNAと結合すると、対応する標的核酸分子を含む前記第二の効果的な微小液滴820を識別することができる。
【0389】
前記プライマー712と前記第二の効果的な微小液滴820における核酸分子とにPCR増幅を行う工程では、前記プローブ713が二本鎖DNAと結合する後に、前記プローブ713を識別することにより、前記第二の効果的な微小液滴820に、対応する標的核酸分子を含んでいるかどうか判断することができる。そして、前記核小体730及び前記プライマー712により、前記第一の効果的な微小液滴810における対応する標的核酸分子の種類を取得することができる。
【0390】
一実施例では、前記ステップS430には、前記ステップS330に前記核酸検出液を微滴化する方法と同じである。
【0391】
図6を参照すると、一実施例では、本出願が蛍光信号検出装置30を提供する。前記蛍光信号検出装置30は、励起光源340、蛍光検知アセンブリ330及び第三の制御器310を含む。前記励起光源340は、前記複数の微小液滴800の検出領域の上方に配置され、前記複数の微小液滴800検出領域に対して傾斜角度で照射を行い、傾斜照射光路を形成する。前記蛍光検知アセンブリ330は、前記複数の微小液滴800検出領域の直上に配置され、前記複数の微小液滴800の蛍光画像を採集するために用いられる。前記第三の制御器310は、前記励起光源340及び前記蛍光検知アセンブリ330にそれぞれ接続され、前記励起光源340及び前記蛍光検知アセンブリ330を制御するために用いられる。前記蛍光信号検出装置30は、微小液滴に対して、複数の蛍光チャネルイメージング及び明視野・暗視野イメージングを行うことができる。そのうち、複数の蛍光チャネルイメージングは、微小液滴の反応信号を検知するためのものであり、明視野・暗視野イメージングは、微小液滴を形成するサイズ情報を検出し、反応工程において液滴の状態をモニターするために用いられる。
【0392】
前記励起光源340は、異なる色のLED光源341、コリメータミラー342、第一の光学フィルター343、ダイクロイックミラー344、複眼レンズ345、及び、集光レンズ346を含む。前記異なる色のLED光源341は、異なる色の光を生成して前記複数の微小液滴800に照射することができる。前記異なる色のLED光源341を選択することにより、異なる蛍光色を照射し、前記異なる色のLED光源341が交替に作業するようにすることができる。各LED光源放射の光路は、その直前に、前記コリメータミラー342、前記第一の光学フィルター343及びダイクロイックミラー344が順次に配置されている。前記コリメータミラー342及び前記第一の光学フィルター343は、光路に対して垂直角度で配置されている(90°角度で配置される)。前記ダイクロイックミラー344は、光路に対して0°~45°角度で配置される。前記ダイクロイックミラー344により形成された一つの光路において、その直前に、前記複眼レンズ345及び前記集光レンズ346が順次に配置されている。前記複眼レンズ345及び前記集光レンズ346は、光路に対して垂直角度で配置される(90°角度で配置される)。前記複数の微小液滴800の内部蛍光は、励起され、前記第二の光学フィルター333を介して、上方の前記対物レンズ332に集光され、カメラ331に入られ、前記カメラ331に前記複数の微小液滴の蛍光画像が採集される。
【0393】
前記励起光源340の放射する光路を、前記複数の微小液滴800に傾斜照射することにより、前記複数の微小液滴800に含まれている蛍光物質の微小液滴に蛍光を生じさせる。前記蛍光検知アセンブリ330により、前記蛍光物質を含んでいる微小液滴に対して、蛍光情報を採集し、前記蛍光物質を含んでいる微小液滴についての蛍光情報を蛍光画像の形式で解析装置(コンピューター)に送信して解析を行う。
【0394】
前記第二の制御器310は、異なる蛍光検出チャネルを構成するように、異なる光学フィルターを切り替えるために用いられる。前記蛍光信号検出装置は、コード蛍光チャネル、蛍光染料検出チャネル、蛍光プローブ検出チャネル、微小液滴識別チャネル及び複数の候補チャネルなどを含む。
【0395】
そのうち、複数の前記微小液滴800を生成する時に、前記核酸検出液にROX参照染料を添加する。前記ROX参照染料は、PCR反応に参加せず、複数の前記微小液滴800の具体的な位置、輪郭と数などの情報を識別することができる。前記微小液滴識別チャネルは、ROX参照染料の蛍光を識別し、正確に各前記微小液滴800を位置決めることに用いられる。前記コード蛍光チャネルは、前記核小体730の蛍光信号及び蛍光信号強度を識別し、一つの前記核小体730を含む前記第一の効果的な微小液滴810を取得することができる。前記蛍光染料検出チャネル又は蛍光プローブ検出チャネルは、前記第一の効果的な微小液滴810における核酸増幅反応された報告蛍光信号を識別し、前記報告蛍光信号に基づいて前記プライマー712又は前記プライマー712と前記プローブ713と標的核酸分子にPCR増幅が実行されたかどうかについて判断する。
【0396】
前記ステップS460では、報告蛍光信号の有無により、標的核酸分子の有無を検出し、定性で検出を実現できる。そのうち、スクリーニング工程に、同一の種類の前記核小体730を含む前記第二の効果的な微小液滴820を一組に分けることができる。それと同時に、報告蛍光の有無を検出することにより、この類別の前記核小体730における前記第二の効果的な微小液滴820に、報告されない報告蛍光信号の微小液滴数がこの類別の微小液滴の総数に占めている比を取得でき、ポアソン分布により同一種類の前記核小体730と対応する標的核酸分子の濃度を計算することができる。
【0397】
前記コード蛍光チャネルにより、複数の前記微小液滴800における前記核小体730の蛍光信号を検出すると、複数の前記微小液滴800から前記第一の効果的な微小液滴810をスクリーニングすることができる。そのうち、前記第一の効果的な微小液滴810に一つの前記核小体730を含む。そして、前記蛍光染料検出チャネルにより、前記第一の効果的な微小液滴810を検出し、核酸増幅反応された報告蛍光信号を読み取り、前記第一の効果的な微小液滴810に、対応する標的核酸分子を含んでいるかどうかについて判断する。前記第一の効果的な微小液滴810に標的核酸分子を含むと、前記第一の効果的な微小液滴810における前記核小体730と対応する前記プライマー712により、対応する標的核酸分子の種類が分かる。
【0398】
同様に、前記コード蛍光チャネルが複数の前記微小液滴800における前記核小体730の蛍光信号を検出することにより、複数の前記微小液滴800から前記第二の効果的な微小液滴810をスクリーニングすることができる。そのうち、前記第二の効果的な微小液滴820には、一つの前記核小体730が含まれている。そして、前記蛍光プローブ検出チャネルにより、前記第二の効果的な微小液滴820を検出し、核酸増幅反応された報告蛍光信号を読み取り、対応する標的核酸分子が前記第二の効果的な微小液滴820に含まれているかどうかについて判断する。前記第二の効果的な微小液滴820に、対応する標的核酸分子が含まれている場合に、前記第二の効果的な微小液滴820における前記核小体730の対応する前記プライマー712又は前記プローブ713により、対応する標的核酸分子の種類が分かる。
【0399】
一実施例では、前記蛍光信号検出装置は、多種類の異なる蛍光マークの前記核小体730を識別するための複数の前記コード蛍光チャネルを含む。具体的に、第一のコード蛍光チャネルを蛍光Aとして配置し、10個の勾配の濃度を配置し、第二のコード蛍光チャネルを蛍光Bとして配置し、同様に10個の勾配の濃度を配置すると、前記蛍光信号検出装置により、10×10=100種類の異なる蛍光チャネル及び強度マークの前記核小体730を識別することができ、言い換えれば、100種類の蛍光マークの前記核小体730により、100種類の異なる種類の前記プライマー712又は前記プライマー712や前記プローブ713をマークすることができる。このように類推すると、多量の異なる種類の前記核小体730を取得して、ひいては、多量の異なる種類の前記核酸検出微小球700をマークすることができる。
【0400】
前記核酸検出微小球700は、蛍光コード情報を有する前記核小体730、前記プライマー712、前記プローブ713の前記被覆層710からなる。多種類の前記核酸検出微小球700は、前記核酸増幅反応液に、ランダム分布されており、前記核酸検出液を混合して取得し、前記核酸検出液を再度、微小液滴化して前記複数の微小液滴800を生成する。温度が60℃以上に高まると、前記被覆層710が溶解し、前記プライマー712、前記プローブ713を前記微小液滴800に解放して、完全な核酸増幅反応のシステムを構成し、前記核小体730が前記微小液滴800に残されており、前記微小液滴800を示す蛍光記号とする。増幅が完了した後に、前記微小液滴800に標的核酸分子を含むと、増幅工程に、蛍光染料又は前記プローブ713が二本鎖DNAと結合し、蛍光信号が強化し、蛍光信号の生成が報告される。
【0401】
次に、複数の前記微小液滴800における蛍光コード情報を有する前記核小体730を検出することにより、一つの蛍光コード情報しかを有さない前記核小体730の前記微小液滴800を効果的な微小液滴としてスクリーニングして、引き続き解析に移行する。取得された効果的な微小液滴(効果的な微小液滴とは、上記実施例において、前記第一の効果的な微小液滴810、又は、前記第二の効果的な微小液滴820である)に基づいて、効果的な微小液滴における前記核小体730の蛍光信号を検出し、併せて、前記プライマー712、前記プローブ713の類別を取得する。次に、効果的な微小液滴における核酸増幅反応された報告蛍光信号を取得し、前記報告蛍光信号に基づいて、効果的な微小液滴に、対応する標的核酸分子を含んでいるかどうかについて判断する。従って、前記核酸検出微小球700、製造方法、試薬キット及びハイスループット核酸検出方法によれば、多種類の前記核酸検出微小球700を一回だけ添加することにより、一度、複数の標的核酸分子の有無を検出でき、しかも、ポアソン分布に基づいて各検出標的核酸の濃度を取得することができる。
【0402】
従って、多量の異なる種類の前記核酸検出微小球700と、検出すべき核酸増幅反応液とを混合して標的核酸を検出すると、一回だけ、多種類の標的核酸を検出でき、複数繰り返して検出を行う必要が無くなり、作業量が小さく、時間が短縮化し、感度が高い。
【0403】
以上の前記実施例の各技術的特徴は、任意に組み合わせることができ、記述を簡潔にするために、上記実施例における各技術的特徴のすべての可能な組合せを記述していないが、これらの技術的特徴の組合せは矛盾しない限り、本明細書に記載されている範囲に属すると考えられる。
【0404】
以上の実施例は、本出願の幾つかの実施形態だけを詳細且つ具体的な的に示しているが、本出願の保護範囲を限定するものではないと理解すべきである。当業者にとって、本出願の創造的構想から逸脱しない前提で、幾つかの変形や改良を行うことができ、これらはすべて本出願の保護範囲に属するべきであると理解しなければならない。従って、本出願の保護範囲は、特許請求の範囲に記載された内容を基準とする。
【0405】
最後に、本明細書では、部材の番号自体、例えば、「第一」、「第二」などは、説明対象を区別するためのみに使用され、順序や技術的な意味がない。また、本出願における「接続」や「連結」には、特に指定のない限り、直接接続と間接接続(連結)の両方が含まれる本出願の説明では、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」などの用語で示される方位又は位置関係は、図面で示される方位又は位置関係に基づいて、本出願の説明を容易にして説明を簡単にするためのものに過ぎず、言及された装置又は部品が必ず一定の方位を有し一定の方位で構造及び操作されることを指示又は示唆するものではないため、本発明を制限するものではないと理解されるべきある。
【0406】
本明細書では、特に明示的に規定及び限定されていない限り、第一特徴が第二特徴の「上」又は「下」であるとは、第一特徴が第二特徴と直接接触するか、又は第一特徴が第二特徴と中間媒体を介して間接的に接触することを意味し得る。また、第一特徴が第二特徴の「上」、「上方」及び「上側」であるとは、第一特徴が第二特徴の真上方又は斜め上方であるか、又は単に第二特徴と比較すると第一特徴の水平高さが高いことを意味する。第一特徴が第二特徴の「下」、「下方」及び「下側」であるとは、第一特徴が第二特徴の真下方又は斜め下方であるか、又は単に第二特徴と比較すると第一特徴の水平高さが低いことを意味する。
【0407】
本明細書に、例えば、「第一」、「第二」などという関係に係る技術的な表現が、一つのもの又は操作ともう一つのもの又は操作を区別するためにのみ使用されており、これらのもの又は操作の間に如何なる実際の関係又は順番を要求したり、暗示に示唆したりすることが必ず存在していない。しかも、「含み」や「含む」などの技術的表現又は他の如何なる変形も、非排他的に含まれるという意味を指しており、一連の要素からなる工程、方法、物品又は設備がこれらの要素だけでなく、明確に挙げられない他の要素、並びに、この工程、方法、物品又は設備が固有する要素も含まれているわけである。その以上の限定がない限り、「一つの……を含む」というセンテンスにより限定された要素は、前記要素を含む工程、方法、物品又は設備に存在している他の同様な要素を排除するものではない。
【0408】
本明細書の各実施例では、段階的に説明を行い、他の実施形態との相違点に着目して、実施例間で同じ又は類似の部分について互いに参照されてもよい。
【0409】
当業者は、開示された実施例の上記説明により、本出願を実施又は実現することができる。これらの実施例に対する様々な変更は、当業者にとって自明である。本明細書で定義された一般的な原理は、本出願の趣旨又は範囲を逸脱しない限り、他の実施例でも実施することができる。そのため、本出願は、本明細書に開示された実施例に限定されず、本明細書で開示された原理及び新たな特徴と合致している最も広い範囲に適合するべきである。