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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022120135
(43)【公開日】2022-08-17
(54)【発明の名称】噴射剤及び乳化組成物
(51)【国際特許分類】
   B01J 13/00 20060101AFI20220809BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20220809BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20220809BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20220809BHJP
   A61K 8/00 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
B01J13/00 A
A61K8/86
A61K8/31
A61K8/06
A61K8/00
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022096210
(22)【出願日】2022-06-15
(62)【分割の表示】P 2019504078の分割
【原出願日】2017-07-28
(31)【優先権主張番号】62/368,001
(32)【優先日】2016-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】マダン・パーベティヤー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】不燃性噴射剤を含み、噴射剤を溶解するための連続水相中の分散相としての油を使用する必要がない、新しいタイプの水性ベースのマイクロエマルションを提供する。
【解決手段】(a)水と、(b)水溶性ヒドロキシ含有高分子材料と、(c)少なくとも1種のヒドロトロープと、(d)トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンを含む噴射剤と、を含む、安定なマイクロエマルションが開示される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)約1重量%~約20重量%の水と、
(b)約20重量%~約70重量%の量の水溶性ヒドロキシ含有高分子材料と、
(c)約2重量%~約15重量%の量で存在する少なくとも1種のヒドロトロープと、
(d)約5重量%~約65重量%の量のトランス-1,3,3,3-テトラフルオロプ
ロペン(HFC-1234ze(E)又はトランスHFO-1234ze)を含む噴射剤
と、を含み、前記重量パーセントは前記成分(a)~(d)に基づくものであり、前記水
溶性ヒドロキシ含有高分子材料及び前記少なくとも1種のヒドロトロープは、前記水中前
記噴射剤、又は前記噴射剤中前記水の安定なマイクロエマルションを生成するのに有効な
量で存在する、安定なマイクロエマルション。
【請求項2】
約4重量%~約15重量%の水を含む、請求項1に記載の安定なマイクロエマルション
【請求項3】
約4重量%~約15重量%の水を含む、請求項1に記載の安定なマイクロエマルション
【請求項4】
前記水溶性ヒドロキシ含有高分子材料がポリアルキレングリコールを含む、請求項1~
3のいずれか一項に記載の安定なマイクロエマルション。
【請求項5】
前記水溶性ヒドロキシ含有高分子材料がポリアルキレングリコールから本質的になる、
請求項1~3のいずれか一項に記載の安定なマイクロエマルション。
【請求項6】
前記水溶性ヒドロキシ含有高分子材料がポリアルキレングリコールからなる、請求項1
~3のいずれか一項に記載の安定なマイクロエマルション。
【請求項7】
前記水溶性ヒドロキシ含有高分子材料が、ポリエチレングリコール(PEG)及び/又
はポリプロピレングリコール(PPG)から選択される、請求項1~3のいずれか一項に
記載の安定なマイクロエマルション。
【請求項8】
前記水溶性ヒドロキシ含有高分子材料が約350~約450の分子量を有する、請求項
1~7のいずれか一項に記載の安定なマイクロエマルション。
【請求項9】
前記水溶性ヒドロキシ含有高分子材料が約240~約280のヒドロキシル価を有する
、請求項1~7のいずれか一項に記載の安定なマイクロエマルション。
【請求項10】
前記水溶性ヒドロキシ含有高分子材料がポリプロピレングリコール(PPG)を含む、
請求項1~9のいずれか一項に記載の安定なマイクロエマルション。
【請求項11】
前記水溶性ヒドロキシ含有高分子材料がポリプロピレングリコール(PPG)から本質
的になる、請求項1~9のいずれか一項に記載の安定なマイクロエマルション。
【請求項12】
前記水溶性ヒドロキシ含有高分子材料が約40重量%~約60重量%の量で存在する、
請求項1~11のいずれか一項に記載の安定なマイクロエマルション。
【請求項13】
前記水溶性ヒドロキシ含有高分子材料が約40重量%~約50重量%の量で存在する、
請求項1~11のいずれか一項に記載の安定なマイクロエマルション。
【請求項14】
前記ヒドロトロープが約2重量%~約10重量%の量で存在する、請求項1~13のい
ずれか一項に記載の安定なマイクロエマルション。
【請求項15】
前記ヒドロトロープが約5重量%~約15重量%の量で存在する、請求項1~13のい
ずれか一項に記載の安定なマイクロエマルション。
【請求項16】
前記ヒドロトロープが、カルボン酸塩又はスルホン酸塩から選択されるアニオン性基と
、芳香環又は環系から選択される疎水性基とからなる、請求項1~16のいずれか一項に
記載の安定なマイクロエマルション。
【請求項17】
前記ヒドロトロープがキシレンスルホン酸の塩である、請求項1~16のいずれか一項
に記載の安定なマイクロエマルション。
【請求項17】
前記ヒドロトロープがキシレンスルホン酸ナトリウムである、請求項1~16のいずれ
か一項に記載の安定なマイクロエマルション。
【請求項18】
前記ヒドロトロープがキシレンスルホン酸ナトリウムを含む、請求項1~16のいずれ
か一項に記載の安定なマイクロエマルション。
【請求項19】
前記ヒドロトロープが、キシレンスルホン酸及び/又はパラトルエンスルホン酸及び/
又はクメンスルホン酸の塩である、請求項1~16のいずれか一項に記載の安定なマイク
ロエマルション。
【請求項20】
前記塩がナトリウム、カリウム、又はアンモニウム塩である、請求項19に記載の安定
なマイクロエマルション。
【請求項21】
前記トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFC-1234ze(E
)が、前記マイクロエマルション中に約10重量%~約50重量%の量で存在する、請求
項1~20のいずれか一項に記載の安定なマイクロエマルション。
【請求項22】
前記トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFC-1234ze(E
)が、前記マイクロエマルション中に約10重量%~約30重量%の量で存在する、請求
項1~20のいずれか一項に記載の安定なマイクロエマルション。
【請求項23】
前記噴射剤が、前記噴射剤の総量に基づいて少なくとも約75重量%の量でトランスH
FO-1234zeを含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の安定なマイクロエマ
ルション。
【請求項24】
前記噴射剤が、前記噴射剤の総量に基づいて少なくとも約80重量%の量でトランスH
FO-1234zeを含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の安定なマイクロエマ
ルション。
【請求項25】
前記噴射剤が、前記噴射剤の総量に基づいて少なくとも約85重量%の量でトランスH
FO-1234zeを含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の安定なマイクロエマ
ルション。
【請求項26】
前記噴射剤が、前記噴射剤の総量に基づいて少なくとも約90重量%の量でトランスH
FO-1234zeを含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の安定なマイクロエマ
ルション。
【請求項27】
前記噴射剤が、前記噴射剤の総量に基づいて少なくとも約95重量%の量でトランスH
FO-1234zeを含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の安定なマイクロエマ
ルション。
【請求項28】
前記噴射剤が、前記噴射剤の総量に基づいて少なくとも約99.5重量%の量でトラン
スHFO-1234zeを含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の安定なマイクロ
エマルション。
【請求項29】
前記水性マイクロエマルションが相当量の油相を含まない、請求項1~28のいずれか
一項に記載の安定なマイクロエマルション。
【請求項30】
前記水性マイクロエマルションが、相当量の油相を含まない水中噴射剤エマルションで
ある、請求項1~29のいずれか一項に記載の安定なマイクロエマルション。
【請求項31】
グリセリン、イソプロパノール、又はこれらの混合物を更に含む、請求項1~29のい
ずれか一項に記載の安定なマイクロエマルション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、参照により本明細書に組み込まれる、2016年7月28日に出願された米
国仮出願第62/368,001号に関し、その優先的な利益を主張するものである。
【0002】
本発明はマイクロエマルションに関する。より具体的には、水性マイクロエマルション
、水性マイクロエマルションを形成する方法、及び水性マイクロエマルションを含む組成
物及び製品に関する。
【背景技術】
【0003】
マイクロエマルションは公知である。1つの例は、米国特許第4,146,499号に
記載される水中油型マイクロエマルションである。米国特許第4,146,499号に説
明されているように、既知のマイクロエマルションは、2種類の不混和性液体の分散液(
「分散」されている1種の液相と、「連続」している別の液体)であり、分散相の個々の
液滴が、光の波長の約1/4未満の平均半径を有する。典型的には、これまで作製されて
いるマイクロエマルションでは、分散相液滴は、約1,400A半径未満、好ましくは1
00A~500Aのオーダーである。このような場合において、第2の液体は技術的に溶
液中にないにもかかわらず、液滴は十分に小さく光を分散しないため、本質的に透明であ
る。本特許は、このようなマイクロエマルションを作製するための比較的複雑なプロセス
について記載する。開示されるプロセスは、少なくとも2種類の界面活性剤、水中油型エ
マルションの油相を構成する材料、及び二次溶媒で滴定する前に、まず水中油型システム
を超微粒子状の乳状エマルションに転換しなければならないことが必須である、様々な成
分を組み合わせるための特定の順序を使用する、4工程のプロセスが関与する。
【0004】
米国特許第4,536,323号は、米国特許第4,146,499号に記載される水
中油型マイクロエマルションの改善点について記載している。米国特許第4,536,3
23号に開示されるマイクロエマルションは、連続水相と、分散油相と、を含む。好まし
い油相は、比較的高濃度(23~35重量%)で存在するように開示される塩化メチレン
(methylene chorlide)である。これらのマイクロエマルションは、
油相に溶解すると言われている噴射剤として説明される材料を含む。米国特許第4,14
6,499号に記載される水中油型マイクロエマルションで使用するため、多くのイオン
性及び非イオン性界面活性剤が開示されている。
【0005】
出願人らは、上記の種類のマイクロエマルションには大きな欠点が関連すると認識する
ようになった。例えば、米国特許第4,146,499号に記載される水中油型マイクロ
エマルションは、マイクロエマルションの形成に比較的複雑な手順(relativel
y omplex procedure)を必要とし、米国特許第4,536,323号
のマイクロエマルションは、塩化メチレンなどの水に混和しない油を比較的多量に使用す
ることによる、水中油型マイクロエマルションの形成を必要とする。特に塩化メチレンに
ついて、OSHAは、塩化メチレンが、高濃度に短期間曝露することによる潜在的職業性
発癌物質であり、精神錯乱、意識朦朧、悪心、嘔吐、及び頭痛を引き起こす可能性がある
と考えている。
【0006】
更に、米国特許第4,536,323号に開示されている噴射剤は、ほとんどが可燃性
の炭化水素であるため、マイクロエマルション自体が不燃性であると記載されていても、
問題となり潜在的リスクを与える。噴射剤としての使用が考えられる、特定のクロロフル
オロカーボン(CFC)などのその他の材料は、地球のオゾン層に悪影響を及ぼす。オゾ
ン層が地球表面からの有害な放射線のフィルターとなるため、皮膚癌の発生率の増加が、
オゾン層の厚さ又は濃度の減少によるものと考えられている。
【0007】
多くの場合、CFC化合物の代替として特定の飽和ヒドロフルオロカーボン(HFC)
が使用されている。HFC化合物はオゾンを破壊しないが、最近、地球温暖化に影響を及
ぼし得ることが発見された。多くのHFC化合物は、二酸化炭素よりもより強力な温暖化
剤である。例えば、ODPがゼロのHFC-134a(1,1,1,2-テトラフルオロ
エタン)は、エアロゾル中の噴射剤として使用されているが、1300と高い地球温暖化
係数(GWP)を有する。
【0008】
そのため出願人らは、上記の欠点のうち1つ以上を克服するマイクロエマルションを配
合し、オゾン層破壊係数が低く、地球温暖化係数が低く、それによって上記噴射剤の欠点
のうち1つ以上を克服する噴射剤を利用するニーズがあることを認識している。
【発明の概要】
【0009】
他のものと同様の上記欠点のうち1つ以上に対応し、克服するため、出願人らは、分散
した不燃性噴射剤を含み、噴射剤を溶解するための連続水相中の分散相としての油を使用
する必要がない、新しいタイプの水性ベースのマイクロエマルションを開発した。
【0010】
本発明の好ましい一実施形態は、
a.水性相と、
b.好ましくは、ポリアルキレングリコール、更により好ましくはポリエチレングリコ
ール(PEG)及び/又はポリプロピレングリコール(PPG)を含む、水溶性ヒドロキ
シ含有高分子材料と、
c.少なくとも1種のヒドロトロープと、
d.トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFC-1234ze(E
)又はトランスHFO-1234ze)を含む噴射剤相と、を含み、当該プロピレングリ
コール及び当該少なくとも1種のヒドロトロープが、当該水性相中当該噴射剤の、又は当
該噴射剤中当該水性層の安定なマイクロエマルションを生成するのに有効な量で存在する
、水性マイクロエマルションを提供する。
【0011】
本発明の好ましい安定な水性マイクロエマルションは予期されぬものであったが、これ
は、好ましい噴射剤が水中で安定ではなく、また本発明の好ましい態様によって噴射剤を
溶媒和できる分散相の生成するために油相を必要としないからである。
【0012】
本明細書で使用するとき、用語「水性マイクロエマルション」は、水を含む連続相と噴
射剤を含む分散相、又は、噴射剤を含む連続相と水を含む分散相のいずれかを有するエマ
ルションを意味する。
【0013】
本明細書で使用するとき、用語「マイクロエマルション」、「マイクロ乳化された」な
どは、安定で本質的に透明な液体、すなわち、肉眼で単相に見える液体を意味する。
【0014】
本明細書で使用するとき、用語「安定」は、周囲温度(すなわち、室温)条件下で保存
したときに少なくとも6週間、より好ましくは高温(すなわち、40℃又は50℃)条件
下で保存したときに6週間、更により好ましくは、周囲温度(すなわち、室温)条件下で
保存したときに1年間、マイクロエマルションが本質的に透明で、外観が1つの相のまま
であることを意味する。特定の特に好ましい実施形態では、本発明のマイクロエマルショ
ンは、周囲温度(すなわち、室温)条件下で保存したとき、少なくとも2年間本質的に透
明であり、外観が1つの相のままである。好ましくは、本発明のマイクロエマルションは
、製造から予測される使用時までの全期間、本質的に透明であり、外観が1つの相のまま
である。好ましくは、本発明のマイクロエマルションは、周囲温度条件で保存したとき、
少なくとも6ヶ月、より好ましくは少なくとも1年間、更により好ましくは少なくとも2
年間、オストワルド熟成を示さない。
【0015】
本明細書で使用するとき、用語「実質的な油相を含まない」とは、マイクロエマルショ
ンが、周囲温度条件下で水に本質的に不混和性の当該噴射剤以外の成分を5重量%以下、
より好ましくはかかる成分を2.5重量%以下、更により好ましくはかかる成分を1重量
%以下で含むことを意味する。
【0016】
したがって、本発明の好ましい実施形態は、
a.連続水性相と、
b.好ましくは、ポリアルキレングリコール、更により好ましくはポリエチレングリコ
ール(PEG)及び/又はポリプロピレングリコール(PPG)を含む、水溶性ヒドロキ
シ含有高分子材料と、
c.少なくとも1種のヒドロトロープと、
d.当該水相中にマイクロ乳化されているトランス-1,3,3,3-テトラフルオロ
プロペン(HFC-1234ze(E)又はトランスHFO-1234ze)を含む噴射
剤と、を含み、当該ポリプロピレングリコール及び当該少なくとも1種のヒドロトロープ
が、当該水性相中当該噴射剤の安定なマイクロエマルションを生成するのに有効な量で存
在し、当該水性マイクロエマルションが、当該水性連続相中に分散された相当量の油相を
含まない、水性マイクロエマルションを提供する。
【0017】
本発明の好ましい実施形態によると、
a.連続噴射剤相であって、当該噴射剤が、トランス-1,3,3,3-テトラフルオ
ロプロペン(HFO-1234ze(E)又はトランスHFO-1234ze)を含む、
連続噴射剤相と、
b.好ましくは、ポリアルキレングリコール、更により好ましくはポリエチレングリコ
ール(PEG)及び/又はポリプロピレングリコール(PPG)を含む、水溶性ヒドロキ
シ含有高分子材料と、
c.少なくとも1種のヒドロトロープと、
d.当該噴射剤相中にマイクロ乳化されている水を含む水性分散相と、を含み、当該プ
ロピレングリコール及び当該少なくとも1種のヒドロトロープが、当該噴射剤中当該水性
相の安定なマイクロエマルションを生成するのに有効な量で存在し、当該水性マイクロエ
マルションが、当該水性連続相中に分散された相当量の油相を含まない、水性マイクロエ
マルションが提供される。
【0018】
本発明の好ましい実施形態によると、
a.連続噴射剤相であって、当該噴射剤が、トランス-1,3,3,3-テトラフルオ
ロプロペン(HFO-1234ze(E)又はトランスHFO-1234ze)を含む、
連続噴射剤相と、
b.好ましくは、ポリアルキレングリコール、更により好ましくはポリエチレングリコ
ール(PEG)及び/又はポリプロピレングリコール(PPG)を含む、水溶性ヒドロキ
シ含有高分子材料と、
c.少なくとも1種のヒドロトロープと、
d.当該噴射剤相中にマイクロ乳化されている水を含む水性分散相と、を含み、当該プ
ロピレングリコール及び当該少なくとも1種のヒドロトロープが、当該噴射剤中当該水性
相の安定なマイクロエマルションを生成するのに有効な量で存在し、当該水性マイクロエ
マルションが相当量の油相を含まない、水性マイクロエマルションが提供される。
【0019】
本発明はまた、本発明のマイクロ分散液中に含まれる少なくとも1つの活性成分を含む
機能性組成物も提供する。
【0020】
本発明はまた、マイクロエマルションを形成する方法も提供する。
【0021】
本発明はまた、本発明のマイクロエマルション及び/又は機能性組成物を、好ましくは
加圧下で含む装置及び物品、並びに、本発明のマイクロエマルション及び/又は機能性組
成物を使用目的の領域又は表面に分配するための容器中に、その容器上に、又はその容器
と関連するノズル、オリフィス、バルブなども提供する。好ましくは、本発明は、マイク
ロエマルション及び/又は機能性組成物を使用目的の領域又は表面に分配する方法を提供
し、当該噴射剤は、当該ノズル、オリフィス、バルブなどを通って当該マイクロエマルシ
ョン及び/又は機能性組成物を容器の外へ移動させるための動力の少なくとも一部を提供
する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
マイクロエマルション
前述のように、一実施形態では、本発明は、次の成分、すなわち、水性相と、噴射剤相
と、水溶性高分子と、ヒドロトロープと、任意追加的にイソプロパノールと、任意追加的
にグリセリンと、を含む、マイクロ分散液を提供する。これらのそれぞれについての好ま
しい特徴、特性及び構造を、以下で説明する。
水性相
【0023】
前述のように、本発明の水性相は分散相又は連続相として存在することができ、一般に
水を含む。しかしながら、多くの他の成分を水性相中に含有させること及び/又は関連さ
せることができると理解されよう。例えば、水溶性ヒドロキシ含有高分子材料の少なくと
も一部は水相中に含有されていてよいが、一般的には、好ましい水溶性ヒドロキシ含有高
分子材料の一部は、噴射剤相中及び/又は相間界面に位置していてもよいと考えられ、か
つそのことが好ましい。これにより、かかる全ての配置及び配置の組み合わせが、本発明
の範囲内にある。
【0024】
噴射剤
本発明の噴射剤は、ヒドロフルオロオレフィン(HFO)テトラフルオロプロペン(H
FO-1234)を含む。このように、用語「HFO-1234」は、本明細書ではテト
ラフルオロプロペンを指すのに使用される。テトラフルオロプロペンのうち、好ましいも
のは、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、並びに、両
方のシス-及びトランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234
ze)である。用語HFO-1234zeは、シス-又はトランス異性体であるかどうか
にかかわらず、本明細書では1,3,3,3-テトラフルオロプロペンを指すのに使用さ
れる。用語「シスHFO-1234ze」及び「トランスHFO-1234ze」を用い
て、本明細書では1,3,3,3-テトラフルオロプロペンのシス及びトランス異性体を
示すために使用する。したがって、用語「HFO-1234ze」は、シスHFO-12
34ze、トランスHFO-1234ze、及びこれらの全ての組み合わせ及び混合物を
含む。HFO-1234は、Honeywell Internationalから市販
されており、その全体が本明細書に参照により組み込まれる、米国特許出願公開第200
8/0292564号に記載されている。
【0025】
噴射剤は、HFO-1234の単一異性体(他のHFO-1234異性体の微量不純物
の存在は問わない)、又はHFO-1234異性体の混合物を含んでよい。好ましい実施
形態では、HFO-1234zeは、HFO-1234zeのシス及びトランス異性体の
総量に基づいて、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少な
くとも約99%、少なくとも約99.5%のトランスHFO-1234zeを含む。
【0026】
好ましい実施形態では、噴射剤はトランスHFO-1234zeを含む。好ましくは、
噴射剤は、噴射剤の総量に基づいて、少なくとも約70重量%の量でトランスHFO-1
234zeを含む。他の実施形態では、噴射剤は、噴射剤の総量に基づいて、少なくとも
約75重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約85重量%、少なくとも約90重
量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約97重量%、少なくとも約98.5重量%
、少なくとも約99.5重量%含む。更なる実施形態では、噴射剤はトランスHFO-1
234zeから本質的になる。更なる実施形態では、噴射剤はトランスHFO-1234
zeからなる。
【0027】
噴射剤は、好ましくはHFO-1234、より好ましくはHFO-1234ze、更に
より好ましくはトランスHFO-1234zeに加えて、1種以上の追加の噴射剤を更に
含んでよい。かかる追加の噴射剤として、例えば、HFC-152a、HFC-134a
、HFC-227ea、プロパン、ブタン、イソブタン、CO、N、ジメチルエーテ
ル、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。代表的な組み合わせは、トランスH
FO-1234ze及びHFC-134aである。
【0028】
噴射剤は、本発明のマイクロエマルションの広範囲の濃度で存在してよい。好ましい実
施形態では、噴射剤は、エアゾールスプレー組成物の形態を含む、本発明のマイクロエマ
ルションの総重量に基づいて、組成物の約5重量パーセント~約90重量パーセント、よ
り好ましくは約10~約50重量パーセントから、より好ましくは約10~約30重量パ
ーセントの量で存在する。この範囲内において、噴射剤は、約10重量パーセント超の量
で存在してよい。またこの範囲内において、噴射剤は、約80重量パーセント未満の量で
存在してよい。
【0029】
HFO-1234噴射剤は水に不溶であり、水と混合すると直ちに別の相に分離する。
出願人らは、この問題にもかかわらず、意外にも、この成分の透明で安定な混合物を提供
するマイクロエマルションの製造が可能であり、本発明によるこのようなマイクロエマル
ションが、エアゾールディスペンサー及びその他容器、並びにクリーム、ローション、ス
プレー、フォーム、ゲルなどを圧力下で提供するために設計されたディスペンサー中で使
用するのに有利であることを思いがけず発見した。本発明のマイクロエマルションは、均
一で単一相の外観及び性能を有するエアゾール製品を提供する。
【0030】
本発明の好ましい噴射剤は、オゾン層を破壊せず、地球温暖化への影響が低減されてい
る。噴射剤は、0.05以下のオゾン層破壊係数と、1000以下、より具体的には75
0以下、500以下、更により具体的には150以下の地球温暖化係数を有し得る。
【0031】
水溶性高分子
好適な組成物は、水溶性の、好ましくはヒドロキシ含有高分子を含む。好ましい水溶性
高分子として、水溶性ポリエーテルが挙げられる。好ましい水溶性ポリエーテルとして、
水溶性ポリアルキレン(polyakylene)グリコールが挙げられ、好ましくはポ
リエチレングリコール、水溶性ポリプロピレングリコール、及びこれらの混合物を含む。
【0032】
特に好ましい実施形態では、水溶性ポリプロピレングリコール(PPG)は、約200
0以下、より好ましくは約1000以下、更により好ましくは約500未満の分子量を有
し、約350~約450からの分子量を有する、PAGである。好ましい実施形態では、
水溶性ポリエーテルは、約400の分子量を有するポリプロピレングリコールを含む。好
ましくは、好ましいPPGは、約240~約280のヒドロキシル価を有する。好ましく
は、好ましいPPGは、約240~約280のヒドロキシル価を有する。分子量が約40
0であり、かつヒドロキシル価が約240~約280である1つの好ましいPPGは、H
unstmanからJEFFOX PPG-400の商標名で販売されている製品である
【0033】
水溶性ポリエーテルは、好ましくは、約2000以下、より好ましくは約1000以下
の分子量を有する。好ましい実施形態では、水溶性ポリエーテルは、ポリプロピレングリ
コール400を含む。
【0034】
水溶性高分子、特にポリエチレングリコール及び/又はポリプロピレングリコールは、
特定の用途のニーズによって、多種多様な量で存在してもよい。好ましい実施形態では、
水溶性高分子は、本発明のマイクロエマルション中で、マイクロエマルションの約10重
量%~約60%の量で存在する。
【0035】
ヒドロトロープ
前述のように、本発明のマイクロエマルションの重要な成分は、ヒドロトロープとして
知られるイオン性界面活性剤の特定の形態である。ヒドロトロープは、一般的に、アニオ
ン性基、本発明では好ましくはカルボン酸塩又はスルホン酸塩と、疎水性基、本発明では
好ましくは芳香環又は環系の2つの部分からなる。好ましいヒドロトロープとして、キシ
レンスルホン酸塩、パラトルエンスルホン酸塩、クメンスルホン酸塩などが挙げられる。
塩は、ナトリウム、カリウム、アンモニウムなどを含んでよい。本発明の安定なマイクロ
エマルション組成物中で使用するのに特に好ましいヒドロトロープは、キシレンスルホン
酸ナトリウムである。
【0036】
キシレンスルホン酸ナトリウムなどのヒドロトロープは、特定の用途のニーズによって
、多種多様な量で存在してもよい。好ましい実施形態では、ヒドロトロープは、マイクロ
エマルション組成物の約4重量%~約25重量%の量で、更により好ましくは、マイクロ
エマルション組成物の約5重量%~約15重量%の量で存在する。
【0037】
任意の成分
共溶媒
本発明の組成物は、マイクロエマルションの1つ以上の品質の向上を促進し、役立ち得
る共溶媒を更に含んでもよい。好ましい共溶媒として、アルコール、グリコールエーテル
などのグリコール、及びこれらの混合物を挙げることができる。好ましいアルコールとし
て、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、グリセリン、プロパンジオール、1
-プロポキシ-2-プロパノール、1-ブトキシ-2-プロパノールなど、及びこれらの
混合物が挙げられる。好ましいグリコールとして、ジプロピレングリコールn-ブチルエ
ーテル、ジプロピレングリコールn-プロピルエーテル、ジエチレングリコールブチルエ
ーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノプロピル
エーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチル
エーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチ
ルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモ
ノブチルエーテルなどが挙げられる。
【0038】
界面活性剤
多くの実施形態においては好ましくないが、いくつかの実施形態では、ヒドロトロープ
以外に1種以上の界面活性剤を含み得ることが意図される。したがって、いくつかの用途
では、本発明のマイクロエマルションは、いかなる実質的な量の共界面活性剤を含まない
ことが意図される。共界面活性剤が含まれる場合、非イオン性界面活性剤、イオン性界面
活性剤、又はこれらの混合物を含み得ることが意図される。特定の実施形態では、乳化組
成物は、非イオン性界面活性剤及びイオン性界面活性剤を含む。
【0039】
組成物中で使用する非イオン性界面活性剤として、特定の用途で必要である場合、ポリ
エーテル及びエトキシ化アルコール、及びこれらの混合物を挙げることができる。ポリエ
ーテルとして、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリ
コールとポリプロピレングリコールのコポリマー、及びこれらの混合物が挙げられる。い
くつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤はポリプロピレングリコールを含む。いく
つかの実施形態では、ポリエーテル及びエトキシ化アルコールは、組成物中の溶媒として
代替的に又は追加的に作用し得る。
【0040】
好ましい配合物
本発明の組成物は、安定なエマルションを形成し、好ましくは安定なマイクロエマルシ
ョンを形成する。マイクロエマルションは、理想的には、透明で熱力学的に安定な、HF
O-1234噴射剤、水、及び界面活性剤の液体混合物である。従来のエマルションとは
異なり、マイクロエマルションは、好ましくは成分を単純に混合することにより形成され
、従来のエマルションの形成に一般に使用される高せん断条件を必要としない。
【0041】
好ましい実施形態では、マイクロエマルションは静置時に安定である。最終組成物を製
造するために使用される成分を添加するとき、これらを含む水性マイクロエマルション組
成物が安定であれば、特に有益である。配合したマイクロエマルション溶液の安定性は、
40℃のオーブン中で6週間実施した。全ての配合物が、熱安定性試験後に安定であるこ
とが確認された。
【0042】
組成物はまた、界面活性剤、共溶媒、レオロジー変性剤、pH調整剤、緩衝剤、染料、
香料などの任意の追加成分を含んでもよい。
【0043】
したがって、本発明の好ましい実施形態は、
a.約1重量%~約20重量%の水、より好ましくは約4重量%~約15重量%の水、
更により好ましくは約4重量%~約15重量%の水と、
b.約20重量~約70重量%、より好ましくは約40重量%~約60重量%、より好
ましくは約40重量%~約50重量%の量で好ましくは存在する、好ましくは、ポリアル
キレングリコール、更により好ましくはポリエチレングリコール(PEG)及び/又はポ
リプロピレングリコール(PPG)を含む、水溶性ヒドロキシ含有高分子材料と、
c.約2重量%~約15重量%、より好ましくは約約2重量%~約10重量%の量で好
ましくは存在する、少なくとも1種のヒドロトロープと、
d.約5重量%~約65重量%、より好ましくは約10重量%~約50重量%、より好
ましくは約10重量%~約40重量%の量の、トランス-1,3,3,3-テトラフルオ
ロプロペン(HFC-1234ze(E)又はトランスHFO-1234ze)を含む噴
射剤と、を含み、当該ポリプロピレングリコール及び当該少なくとも1種のヒドロトロー
プが、当該水中当該噴射剤、又は当該噴射剤中当該水の安定なマイクロエマルションを生
成するのに有効な量で存在し、当該水性マイクロエマルションが、当該水性連続相中に分
散された相当量の油相を含まない、水性マイクロエマルションを提供する。
【0044】
塗布組成物
水性マイクロエマルション組成物は、化粧料、パーソナルケア製品、医薬品、家庭用ク
リーナー、及び表面コーティング用途などの、水性エアゾール製品用の組成物の一部とし
て使用できる。このような用途において、本発明のマイクロエマルションは、処理される
物品又は体の表面に送達されるときに、特定の目的をもたらすために含まれる活性成分を
更に含むであろう。このような様々な活性成分が、本発明のマイクロエマルションと関連
して有用であり、本発明の範囲内に含まれることが意図される。
【0045】
装置及び方法
本発明はまた、本発明のマイクロエマルションを含み、本発明のマイクロエマルション
が使用目的の場合及び場所において分配される、装置及び容器、好ましくは加圧容器も提
供する。通常容器は、通常の閉鎖位置に容器を維持するが、作動/開放すると、マイクロ
エマルションの使用場所への放出、注ぎ、噴霧などを可能にできる、ノズル、オリフィス
などを備えるであろう。
【0046】
したがって、本発明の装置及び方法は、マイクロエマルションが噴射剤を含み、ノズル
を開放若しくは作動させる、つまり容器を開放すると、マイクロエマルション及び/又は
その他容器内容物を、加圧缶などの容器の外へ移動させるための動力を提供する。特定の
好ましい実施形態では、本発明の水性マイクロエマルションはエアゾール容器内に含まれ
る。
【実施例0047】
比較実施例1
種々の異なるHLB値を達成するため、以下の既知の界面活性剤の組み合わせを調製し
た後、これらの組み合わせのそれぞれについて、トランスHFO-1234zeと水の安
定なエマルションを形成する能力について評価した。
【0048】
【表CE1】
【0049】
界面活性剤溶液(50.0g)をそれぞれ用いて、フィッシャーポート管中で5.0g
のトランス-1234zeと混合した。管内の気体圧を圧力計を用いて記録した。溶液混
合物中、5.0gのトランス-1234zeは、60psiの気体圧をもたらした。出願
人らは、試験を行った界面活性剤のいずれも、安定で透明なトランス-1234zeと水
との混合物を形成できなかったことを見出した。
【0050】
比較実施例2
界面活性剤の特定の混合物を用いるマイクロエマルション形成の試みを、以下の混合物
を形成することにより実施した。それぞれの場合において、液状成分を周囲温度及び周囲
圧下で調製した後、噴射剤であるトランスHFO-1234zeを、トランスHFO-1
234zeが液体状態を維持するのに十分な圧力下で液体に添加した。以下の表CE2は
、混合物と観測結果を示す。
【0051】
【表CE2】
【0052】
比較実施例3
これらの比較実施例のそれぞれにおいて、初期液体溶液を調製し、40重量%のキシレ
ンスルホン酸ナトリウム(60重量%の水)を含む水溶液を形成する。続いて、以下の表
C3に示すヒドロトロープを、室温より低い標準沸点を有する任意のその他成分と共に加
えた。
【0053】
【表CE3】
【0054】
実施例1.トランス1234zeの安定な水性マイクロ乳化
マイクロエマルションを以下の手順を用いて形成した。それぞれの場合において、存在
する場合、次の表E1中の配合(水、PEG、キシレンスルホン酸ナトリウム、PPG4
00など)の液状成分を周囲温度a及び周囲圧下で調製した後、噴射剤であるトランスH
FO-1234zeを、トランスHFO-1234zeが液体状態を維持するのに十分な
圧力下で液体に添加した。次に、混合物を少なくとも6週間観察し、示された配合物が安
定で透明なマイクロエマルションを有することを見出した。
【0055】
【表E1】
【手続補正書】
【提出日】2022-07-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)1重量%~20重量%の水と、
(b)ポリアルキレングリコールを含む水溶性ヒドロキシ含有高分子材料と、
(c)2重量%~15重量%の量で存在する少なくとも1種のヒドロトロープ、ここでヒドロトロープは、カルボン酸塩又はスルホン酸塩を含むアニオン性基、及び芳香環又は環系を含む疎水性基からなる、と、
(d)5重量%~65重量%の量のトランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze(E)又はトランスHFO-1234ze)を含む噴射剤と、を含み、前記重量パーセントは前記成分(a)~(d)に基づくものである、安定なマイクロエマルション。
【請求項2】
成分(b)が20重量%~70重量%の量で存在する、請求項1に記載の安定なマイクロエマルション。
【請求項3】
前記水溶性ヒドロキシ含有高分子材料が、ポリエチレングリコール(PEG)及び/又はポリプロピレングリコール(PPG)から選択され、前記ヒドロトロープが、カルボン酸塩又はスルホン酸塩から選択されるアニオン性基と、芳香環又は環系から選択される疎水性基とからなる、請求項1又は2に記載の安定なマイクロエマルション。
【請求項4】
前記噴射剤が、前記噴射剤の総量に基づいて少なくとも95重量%の量でトランスHFO-1234zeを含む、請求項1~3のいずれかに記載の安定なマイクロエマルション。
【請求項5】
4重量%~15重量%の水を含む、請求項1又は2に記載の安定なマイクロエマルション。
【請求項6】
前記水溶性ヒドロキシ含有高分子材料がポリアルキレングリコールからなる、請求項1又は2に記載の安定なマイクロエマルション。
【請求項7】
前記水溶性ヒドロキシ含有高分子材料が、ポリエチレングリコール(PEG)及び/又はポリプロピレングリコール(PPG)から選択される、請求項1又は2に記載の安定なマイクロエマルション。
【請求項8】
前記水溶性ヒドロキシ含有高分子材料が350~450の分子量を有する、請求項1又は2に記載の安定なマイクロエマルション。
【請求項9】
前記水溶性ヒドロキシ含有高分子材料がポリプロピレングリコール(PPG)を含む、請求項8に記載の安定なマイクロエマルション。
【請求項10】
前記水溶性ヒドロキシ含有高分子材料が40重量%~60重量%の量で存在する、請求項9に記載の安定なマイクロエマルション。
【請求項11】
前記ヒドロトロープが2重量%~10重量%の量で存在する、請求項10に記載の安定なマイクロエマルション。
【請求項12】
前記ヒドロトロープが、キシレンスルホン酸及び/又はパラトルエンスルホン酸及び/又はクメンスルホン酸の塩である、請求項11に記載の安定なマイクロエマルション。
【請求項13】
前記トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze(E))が、前記マイクロエマルション中に10重量%~50重量%の量で存在する、請求項1又は2に記載の安定なマイクロエマルション。
【請求項14】
前記噴射剤が、前記噴射剤の総量に基づいて少なくとも75重量%の量でトランスHFO-1234zeを含む、請求項1又は2に記載の安定なマイクロエマルション。
【請求項15】
前記水性マイクロエマルションが5%以下の油相を含む水中噴射剤エマルションである、請求項1又は2に記載の安定なマイクロエマルション。
【請求項16】
グリセリン、イソプロパノール、又はこれらの混合物を更に含む、請求項1又は2に記載の安定なマイクロエマルション。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0046
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0046】
したがって、本発明の装置及び方法は、マイクロエマルションが噴射剤を含み、ノズルを開放若しくは作動させる、つまり容器を開放すると、マイクロエマルション及び/又はその他容器内容物を、加圧缶などの容器の外へ移動させるための動力を提供する。特定の好ましい実施形態では、本発明の水性マイクロエマルションはエアゾール容器内に含まれる。
本明細書は以下の発明の態様を包含する。
[1]
(a)約1重量%~約20重量%の水と、
(b)約20重量%~約70重量%の量の水溶性ヒドロキシ含有高分子材料と、
(c)約2重量%~約15重量%の量で存在する少なくとも1種のヒドロトロープと、
(d)約5重量%~約65重量%の量のトランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFC-1234ze(E)又はトランスHFO-1234ze)を含む噴射剤と、を含み、前記重量パーセントは前記成分(a)~(d)に基づくものであり、前記水溶性ヒドロキシ含有高分子材料及び前記少なくとも1種のヒドロトロープは、前記水中前記噴射剤、又は前記噴射剤中前記水の安定なマイクロエマルションを生成するのに有効な量で存在する、安定なマイクロエマルション。
[2]
約4重量%~約15重量%の水を含む、[1]に記載の安定なマイクロエマルション。
[3]
約4重量%~約15重量%の水を含む、[1]に記載の安定なマイクロエマルション。
[4]
前記水溶性ヒドロキシ含有高分子材料がポリアルキレングリコールを含む、[1]~[3]のいずれかに記載の安定なマイクロエマルション。
[5]
前記水溶性ヒドロキシ含有高分子材料がポリアルキレングリコールから本質的になる、[1]~[3]のいずれかに記載の安定なマイクロエマルション。
[6]
前記水溶性ヒドロキシ含有高分子材料がポリアルキレングリコールからなる、[1]~[3]のいずれかに記載の安定なマイクロエマルション。
[7]
前記水溶性ヒドロキシ含有高分子材料が、ポリエチレングリコール(PEG)及び/又はポリプロピレングリコール(PPG)から選択される、[1]~[3]のいずれかに記載の安定なマイクロエマルション。
[8]
前記水溶性ヒドロキシ含有高分子材料が約350~約450の分子量を有する、[1]~[7]のいずれかに記載の安定なマイクロエマルション。
[9]
前記水溶性ヒドロキシ含有高分子材料が約240~約280のヒドロキシル価を有する、[1]~[7]のいずれかに記載の安定なマイクロエマルション。
[10]
前記水溶性ヒドロキシ含有高分子材料がポリプロピレングリコール(PPG)を含む、[1]~[9]のいずれかに記載の安定なマイクロエマルション。
[11]
前記水溶性ヒドロキシ含有高分子材料がポリプロピレングリコール(PPG)から本質的になる、[1]~[9]のいずれかに記載の安定なマイクロエマルション。
[12]
前記水溶性ヒドロキシ含有高分子材料が約40重量%~約60重量%の量で存在する、[1]~[11]のいずれかに記載の安定なマイクロエマルション。
[13]
前記水溶性ヒドロキシ含有高分子材料が約40重量%~約50重量%の量で存在する、[1]~[11]のいずれかに記載の安定なマイクロエマルション。
[14]
前記ヒドロトロープが約2重量%~約10重量%の量で存在する、[1]~[13]のいずれかに記載の安定なマイクロエマルション。
[15]
前記ヒドロトロープが約5重量%~約15重量%の量で存在する、[1]~[13]のいずれかに記載の安定なマイクロエマルション。
[16]
前記ヒドロトロープが、カルボン酸塩又はスルホン酸塩から選択されるアニオン性基と、芳香環又は環系から選択される疎水性基とからなる、[1]~[16]のいずれかに記載の安定なマイクロエマルション。
[17]
前記ヒドロトロープがキシレンスルホン酸の塩である、[1]~[16]のいずれかに記載の安定なマイクロエマルション。
[17]
前記ヒドロトロープがキシレンスルホン酸ナトリウムである、[1]~[16]のいずれかに記載の安定なマイクロエマルション。
[18]
前記ヒドロトロープがキシレンスルホン酸ナトリウムを含む、[1]~[16]のいずれかに記載の安定なマイクロエマルション。
[19]
前記ヒドロトロープが、キシレンスルホン酸及び/又はパラトルエンスルホン酸及び/又はクメンスルホン酸の塩である、[1]~[16]のいずれかに記載の安定なマイクロエマルション。
[20]
前記塩がナトリウム、カリウム、又はアンモニウム塩である、[19]に記載の安定なマイクロエマルション。
[21]
前記トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFC-1234ze(E)が、前記マイクロエマルション中に約10重量%~約50重量%の量で存在する、[1]~[20]のいずれかに記載の安定なマイクロエマルション。
[22]
前記トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFC-1234ze(E)が、前記マイクロエマルション中に約10重量%~約30重量%の量で存在する、[1]~[20]のいずれかに記載の安定なマイクロエマルション。
[23]
前記噴射剤が、前記噴射剤の総量に基づいて少なくとも約75重量%の量でトランスHFO-1234zeを含む、[1]~[22]のいずれかに記載の安定なマイクロエマルション。
[24]
前記噴射剤が、前記噴射剤の総量に基づいて少なくとも約80重量%の量でトランスHFO-1234zeを含む、[1]~[22]のいずれかに記載の安定なマイクロエマルション。
[25]
前記噴射剤が、前記噴射剤の総量に基づいて少なくとも約85重量%の量でトランスHFO-1234zeを含む、[1]~[22]のいずれかに記載の安定なマイクロエマルション。
[26]
前記噴射剤が、前記噴射剤の総量に基づいて少なくとも約90重量%の量でトランスHFO-1234zeを含む、[1]~[22]のいずれかに記載の安定なマイクロエマルション。
[27]
前記噴射剤が、前記噴射剤の総量に基づいて少なくとも約95重量%の量でトランスHFO-1234zeを含む、[1]~[22]のいずれかに記載の安定なマイクロエマルション。
[28]
前記噴射剤が、前記噴射剤の総量に基づいて少なくとも約99.5重量%の量でトランスHFO-1234zeを含む、[1]~[22]のいずれかに記載の安定なマイクロエマルション。
[29]
前記水性マイクロエマルションが相当量の油相を含まない、[1]~[28]のいずれかに記載の安定なマイクロエマルション。
[30]
前記水性マイクロエマルションが、相当量の油相を含まない水中噴射剤エマルションである、[1]~[29]のいずれかに記載の安定なマイクロエマルション。
[31]
グリセリン、イソプロパノール、又はこれらの混合物を更に含む、[1]~[29]のいずれかに記載の安定なマイクロエマルション。
【手続補正書】
【提出日】2022-07-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項15
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項15】
前記水性マイクロエマルションが5重量%以下の油相を含む水中噴射剤エマルションである、請求項1又は2に記載の安定なマイクロエマルション。
【外国語明細書】